JP2011042780A - ポリプロピレン系樹脂組成物を空冷インフレーション法に用いる方法およびそれより得られるフィルム - Google Patents

ポリプロピレン系樹脂組成物を空冷インフレーション法に用いる方法およびそれより得られるフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】透明性の良好な空冷インフレーションフィルムを提供する。
【解決手段】メルトフローレート0.5〜20、融解ピーク温度110〜170℃であるプロピレン系(共)重合体(A)95〜99.995重量%と、下記一般式(1)で示される環状脂肪酸金属塩である造核剤(B)0.005〜5重量%からなるポリプロピレン系樹脂組成物を用いた空冷インフレーション成形方法。

ここで、M及びM、更に、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10、の掲載省略
【選択図】なし

Description

本発明は、透明性の良好な空冷インフレーション成形ポリプロピレン系フィルムの製造方法及び空冷インフレーション成形ポリプロピレン系フィルムに関する。
従来から、ポリプロピレン系樹脂は、引張強度、剛性、透明性などに優れ、かつ無毒性、無臭性などの食品衛生性に優れるため、特に食品包装分野で広く利用されている。通常、ポリプロピレン系樹脂を包装分野に使用する際、フィルム状にして使用されることが多い。
フィルムの製造方法には、Tダイ成形法、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法等があり、経済性、フィルムの要求性能等を勘案し、適宜選択されている。
このうち、空冷インフレーション法は、設備が簡単な上、ブロー比の調整だけでフィルムの幅替えが容易にできるので、作業性が良く、また、比較的低温にて成形できるので、低臭性も優れる特徴を有する。
しかしながら、空冷インフレーション法は、ポリエチレン系樹脂には広く用いられてきたが、ポリプロピレン系樹脂ではあまり使用されない。その理由として、Tダイ成形法、水冷インフレーション法では、透明なフィルムが得られるプロピレン系樹脂材料であっても、空冷インフレーション法では、全く透明性が得られない、といった問題があった。
空冷インフレーション法における透明性の問題点を解決するために、様々な発明がなされてきた(例えば、特許文献1、2など参照。)。
例えば、特許文献1では、(A)メタロセン触媒を用いて重合され、MFRが1〜20g/分、融解ピーク温度(Tm)が110℃〜135℃、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5であるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体95〜99.9重量%、及び(B)造核剤0.1〜5重量%を含有するポリプロピレン樹脂組成物からなり、HAZEが5%以下であることを特徴とする空冷インフレーション成形ポリプロピレンフィルムが開示されている。
また、特許文献2では、メタロセン触媒を用いて重合され、MFRが1〜20g/分、融解ピーク温度(Tm)が110℃〜135℃、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5であるアイソタクチックプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなる層をメルトインデックスが0.1〜20g/分、密度が0.860〜0.925であるエチレンと炭素数3〜12のα−オレフィンとの共重合体からなる層の片側または両側に積層してなることを特徴とする空冷インフレーション成形ポリプロピレンフィルムが開示されている。
しかしながら、これらの方法で得られたポリプロピレンフィルムは、透明性については向上したものの、融解ピーク温度の範囲が110℃〜135℃に限られており、適用できる用途範囲が限定されていた。更には、成形条件を変更することで透明性が悪化する場合もあり、透明性に与える成形条件の依存性が小さい空冷インフレーション法によるポリプロピレンフィルムの製造方法の確立が望まれていた。
また、市場からはより一層透明性の向上した空冷インフレーション法によるポリプロピレンフィルムの製造方法の確立が望まれていた。
また、特許文献3には、式(1)および式(2)記載の環状脂肪酸塩を含む密度0.910乃至0.965グラム/cc及び二軸分子配向を有したポリエチレンポリマー又はコポリマーよりなるインフレートフィルムおよびその製造方法が開示されているが、ポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂では結晶生成メカニズムが異なるため、特許文献3記載の方法をポリプロピレン系樹脂に置き換えることにより本発明の効果が発現することは到底想像できないものである。
例えば、線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)よりなる空冷インフレーションフィルムの透明性を改善するために高圧法低密度ポリエチレン(HPLDPE)を加える手法が特許文献4に開示されているが、ポリプロピレン系樹脂にHPLDPEを加えると透明性が大幅に悪化してしまうことからもポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂では空冷インフレーション成形法における透明性発現手法が全く異なるものであることは明らかである。
更に、前記特許文献3では、成核剤としてナトリウム2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート((株)ADEKA製、商品名NA11)およびアルミニウムビス[2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート]((株)ADEKA製、商品名NA21)を用いた例が開示されている。そのヘイズ値は、NA11を用いた系の方が低くなっており、この現象は後に実施例にて示すとおりポリプロピレン系樹脂とは逆の挙動である。このことからもポリエチレン系樹脂とポリプロピレン系樹脂では空冷インフレーション成形法における透明性発現手法が全く異なるものであることは明らかである。
ポリプロピレン系樹脂を含む有機ポリマーにヘキサヒドロフタル酸シス−2ナトリウム塩をインフレーションフイルムを含む種々の手法により加工することができることは、特許文献5に記載されている。しかし、各種汎用に熱可塑性樹脂にそのナトリウム塩を使用できることが一応記載されており、成形方法も各種汎用の成形方法に供することが記載されているが、如何なる樹脂に関して、いかなる成形方法において、その特性を発揮させるかということに関しては、具体的にその挙動は全く吟味されていない。
また、プロピレンフイルムの、無延伸、延伸インフレーション成形において、プロピレンフイルムの透明性を発現するために、押出後に急冷することにより、結晶化を抑制することが一般的であり、インフレーションチューブを直接水槽に導入するという冷却方法が推奨されているが、エアーリングを使用する空気吹き付け冷却方式では短時間に結晶化を抑制することは非常に難しく、透明性に優れたフィルムを得にくいのが現状であります。
本発明の目的は、前述の問題点に鑑み、空冷インフレーション法にて、より広い融点範囲のポリプロピレン系樹脂組成物を用い、従来以上の高透明なポリプロピレンフィルムを容易に製造できる製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、特定のプロピレン系重合体に特定の造核剤を特定量配合したポリプロピレン系樹脂組成物を用いることにより、空冷インフレーション法にて、より広い融点範囲のポリプロピレン系樹脂組成物を用い、従来以上の高透明なポリプロピレンフィルムを容易に製造できることを見出し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、特定の造核剤を選定することにより、特定の要件を満たすプロピレン系(共)重合体であれば、それがプロピレン単独重合体、プロピレン共重合体、またはそれらのブレンドという融点範囲、特性に若干の違いがあるにもかかわらず、かつ、若干の添加剤、フイラー、改質剤を添加しても、その影響が少なく、且つ、空冷インフレーション成形という微妙な成形条件において、バブルの状態、ブロー比、フィルムの巻き取り速度、空冷温度、吹き込み量などに若干の変化があるか、または適正に調整することにより、容易にプロピレン系(共)重合体の結晶化を制御でき、透明性、剛性の優れたフィルムのような成形品を収得することができることを知見したものである。本発明のその具体的な手法を、原料樹脂、成形法および成形品の詳細を以下に示す。
本発明の第1の特徴点は、下記(A1)〜(A2)の特性を有するプロピレン系(共)重合体(A)95〜99.995重量%と、下記一般式(1)で示される環状脂肪酸金属塩である造核剤(B)0.005〜5重量%とを含むポリプロピレン系樹脂組成物を用いた空冷インフレーション成形方法。
プロピレン系(共)重合体(A)
(A1)JIS K7120−1995に準拠した230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.5より大きく、20以下であること。
(A2)融解ピーク温度(Tm)が110〜170℃であること。
造核剤(B)

ここで、M及びMは、カルシウム、ストロンチウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム及び一塩基性アルミニウムからなる群より互いに独立して選択され、更に、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は、水素及びC〜Cアルキルからなる群より互いに独立して選択され、更に、互いに隣接して位置した何れか2つのR〜R10アルキル基は任意に結合して炭素環を形成していてもよい、という点にある。
本発明の第2の特徴点は、プロピレン系(共)重合体がプロピレン単独重合体および/またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であることを特徴とする空冷インフレーション成形方法、にある。
本発明の第3の特徴点は、造核剤(B)が下記式(2)で示される環状脂肪酸金属塩であることを特徴とする空冷インフレーション成形方法、にある。
本発明の第4の特徴は、プロピレン系(共)重合体(A)が、(A1)および(A2)の特性に加え、さらに下記(A3)の特性を有するプロピレン単独重合体および/またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である空冷インフレーション成形方法、にある。
(A3)メタロセン触媒により重合されたものであること
本発明の第5の特徴は、ポリプロピレン系樹脂組成物を環状ダイ付きの成形用押出機に供給することにより溶融させてチューブ状に押出し、次いでブロアーなどから供給される空気を空冷リングから溶融チューブに吹き付けて冷却固化させた後にフィルムとして引き取ることを特徴とする空冷インフレーション成形方法、にある。
本発明の第6の特徴は、チューブ状フィルムを外部および/または内部から空気冷却して成膜方法が上向方向、水平方向または下向方向であることを特徴とする空冷インフレーション成形方法、にある。
本発明の第7の特徴点は、空冷インフレーション成形方法による成形されることを特徴とする単層または多層構造フィルム、にある。
本発明の第8の特徴点は、空冷インフレーション成形方法による成形されることを特徴とする延伸または未延伸の単層または多層構造フィルム、にある。
本発明の第9の特徴点は、フィルムが、少なくとも一つの表層に用いられている多層フィルム、にある。
本発明の第10の特徴点は、単層フィルムまたは多層フィルムが、フィルム厚み5μm以上100μm未満であり、JIS K7136−2000に準拠して測定したヘイズ値が5以下であることを特徴とする単層または多層フィルム、にある。
本発明の第11の特徴点は、単層または多層フィルムが、フィルム厚み100μm以上500μm未満であり、JIS K7136−2000に準拠して測定したヘイズ値が10以下であることを特徴とする単層または多層フィルム、にある。
実施例、比較例にて示したとおり、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を空冷インフレーション法に用いる方法を用いることにより、より広い融点範囲のポリプロピレン系樹脂組成物を用い、従来以上の高透明なポリプロピレンフィルムを容易に製造できる製造方法を提供することにある。
具体的には、実施例1〜6と参考例1および比較例1の対比で明らかなとおり、本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を空冷インフレーション法に用いる方法を用いることにより、製造条件が変更されても従来技術に比べ容易に高透明なポリプロピレンフィルムを製造できることが明らかである。
また、実施例と比較例2〜5および比較例8〜9との対比で明らかなとおり、従来技術の造核剤を用いてフィルムを製造する方法より高透明なフィルムを容易に製造できることが明らかである。
以下、本発明を詳細に説明すると(A1)JIS K7120−1995に準拠した230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.5より大きく、20以下であることこと、および(A2)融解ピーク温度(Tm)が110〜170℃であるという条件を満たす特性を有するプロピレン系(共)重合体(A)95〜99.995重量%と、一般式(1)で示される特定の環状脂肪酸金属塩である造核剤(B)0.005〜5重量%とを含むポリプロピレン系樹脂組成物にすれば、特にプロピレンフイルムのインフレーション成形において、例えば冷却水槽方式により急冷却して結晶化を抑制することによる透明性をもたせるという方式に対して、空気冷却方式によっても十分に対応することができることを知見したものである。
このように、(A1)〜(A2)に示す特定の特性を備えたプロピレン系(共)重合体を選定することと、さらに多くの市販のリン酸金属塩、ジベンジリデンソルビトール系、カルボン酸金属塩のような公知の各種造核剤に比較して、一般式1の造核剤(B)が、空冷インフレーション成形という、微妙な冷却時間および冷却タイミングにおいて、空冷の弱さを是正するように作用をするばかりでなく、最も適正に造核剤としての透明性、剛性、および成形サイクルのような機能を発現するということである。以下にその詳細を順次説明をする。
(1)プロピレン系重合体(A)
プロピレン系重合体(A)は、下記特性(A1)〜(A2)を満たす限り、プロピレン単独重合体であってもプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であっても良い。2種類以上のプロピレン単独重合体及び又はプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いる場合は、その混合物が特性(A1)〜(A2)を満たせばよい。
プロピレン系重合体(A)の重合方法は特に限定されず公知の方法を用いることが出来るが、ポリエチレン系樹脂との積層時のポリエチレン系樹脂層との層間強度の観点からメタロセン触媒により重合されたものであることが好ましい。
本発明で用いるプロピレン系重合体の重合に用いるメタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4Hアズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)〕ジクロニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシレンビス〔4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)〕ジスコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−メチル−フェニル−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−エチル−4−ナフテル−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス〔1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス〔1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス〔1−(2−エチル−4−フェノルインデニル)〕ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。
上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることができる。これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム;ジアルキルアルミニウムハライド;アルキルアルミニウムセスキハライド;アルキルアルミニウムジハライド;アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。本発明で用いるプロピレン系重合体、特にプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を得る方法としては、例えば、重合温度やコモノマー量を調節して、分子量および結晶性の分布を適宜制御することにより、所望のポリマーを得ることができる。
本発明で用いるプロピレン系重合体(A)は、前記条件を満たしていればよく、1種類でも2種類以上の混合物でも良い。また、本発明で用いるプロピレン系重合体(A)は、市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品の例としては、日本ポリプロ(株)製「ウィンテック」等が挙げられる。
プロピレン系重合体(A)のより好ましい形態は、成形安定性の観点からプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である。
共重合されるコモノマーとして用いられるα−オレフィンとしては、エチレン、または炭素数4〜18のα−オレフィンを挙げることができ、炭素数4〜18のα−オレフィンの具体例として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどを例示でき、これらの一種もしくは二種以上を用いることができる。中でも、エチレンおよび/又はブテン1(1−ブテン)が好ましい。
具体的な共重合体の例は、コモノマーを0.5〜20重量%含む、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−エチレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ブテン共重合体、プロピレン−1−ペンテン共重合体、プロピレン−1−ヘキセン共重合体、プロピレン−1−オクテン共重合体、プロピレン−1−デセン共重合体、プロピレン−1−ドデセン共重合体、プロピレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン−3−メチル−1−ペンテン共重合体などの、各種二元または三元共重合体などが挙げられる。
また、プロピレン系(共)重合体であれば、ポリプロピレン単独重合体、プロピレン系共重合体、プロピレン系ブロック共重合体またはそれらのポリマーブレンドでもよい。さらにプロピレン単独のグレードの相違するもの同士をポリマーブレンドするとか、ポリプロピレン単独重合体にポリプロピレン共重合体をポリマーブレンドするとか、プロピレン共重合体のグレードの相違するもの同士をポリマーブレンドするとか各種のものが使用することができる。そのブレンド量は、一方が1〜99重量%他方が99〜1重量%の範囲で使用できる。
(1)−1 (A1)メルトフローレート
メルトフローレートは、0.5より大きく、20以下であり、好ましくは1.0以上10以下、更に好ましくは1.5以上7以下、特に好ましくは2.0以上5以下である。メルトフローレートが0.5未満の場合は、押出負荷が高くなりやすくフィルムの生産性が低下しやすく、更にはシャークスキン、メルトフラクチャーといわれるフィルムの外観不良が発生しやすい。また、メルトフローレートが20を越えると、溶融張力が不足し、フィルム成形時の安定性が悪化し、フィルムの厚みムラが生じやすくなったり、シワが入りやすくなったり、極端な場合、成形自体が不可能になることがある。
汎用の一般の成形品に供するポリプロピレン系(共)重合体のメルトフローレート(MFR)は、通常0.5〜100(g/10min)、好ましくは、1〜50のものが使用されるが、空冷インフレーション成形という、特有の成形に供することを考慮すれば、最大、0.5〜20の範囲のものに制約される。その具体的な態様を示すと以下のようになる。
MFR 0.1 0.5 1 4 8 12 18 20 25
に示す各点の例でその挙動を吟味する。MFRが、0.1、25のような領域では、インフレーション成形が困難であるか、成形品に不良が発生する。そうすると、MFRが0.8、4、8、12、18のような、いわゆるMFRが0.5〜20の範囲は、造核剤(B)の機能を最大限に発揮して、しかも空冷インフレーション成形を円滑に実施する為の技術的に臨界的な範囲である。
(1)−2 (A2)融解ピーク温度
融解ピーク温度は、110〜170℃であり、好ましくは115〜160℃、更に好ましくは120〜150℃である。融解ピーク温度が110℃未満のものは、フィルム成形時の冷却固化が遅く、成形機に設置される振れ止めに接触した際、接触痕がつきやすくフィルムの外観不良が発生しやすい。融解ピーク温度が170℃を超えるプロピレン系重合体は製造が困難である。
この(A2)融解ピーク温度の110〜170℃の範囲も、造核剤(B)の選定と、空冷インフレーション成形の円滑な実施に深く関与している。融解ピーク温度(Tm)の範囲は、汎用のポリプロピレンを考察すれば、以下の態様が例示できる。
Tm 108 110 116 120 135 150 162 170 180
のような広範囲のものが想定できる。その例で見れば、Tmが108、180のような領域では、インフレーション成形が困難であるか、又は成形品に不良が発生する。そうすると、Tmが115、128、142、155、162のような、いわゆる110〜170の比較的広い範囲において、造核剤(B)の機能を最大限に発揮して、しかも空冷インフレーション成形を円滑に実施する為の技術的に臨界的な範囲である。
さらに、このTmと前記MFRの関係を同時に満たすということは、造核剤(B)の機能を最大限に発揮して、しかも空冷という冷却の弱さを若干補填して、ポリプロピレン系(共)重合体の、特有の問題であります、成形時における結晶化を抑制することによって、空冷インフレーション成形を円滑に実施する為の要件に適合するという事実は、本発明者の知見に基づくものである。
(2)造核剤(B)
造核剤(B)は、下記式(1)で示される環状脂肪酸金属塩である。
ここで、M及びMは、カルシウム、ストロンチウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム及び一塩基性アルミニウムからなる群より互いに独立して選択され、更に、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は、水素及びC〜Cアルキルからなる群より互いに独立して選択され、更に、互いに隣接して位置した何れか2つのR〜R10アルキル基は任意に結合して炭素環を形成していてもよい。
より好ましくは、下記式(2)で示される環状脂肪酸金属塩である。
式(1)で示される環状脂肪酸金属塩以外の造核剤は、得られるフィルムの透明性が劣りやすく、更には、透明性に与える成形条件の依存性が大きくなりやすく、容易に透明性の高いポリプロピレン系空冷インフレーションフィルムを製造することが困難になる。
尚、式(1)で示される環状脂肪酸金属塩は特表2004−524417号公報、特表2004−525227号公報、特表2004−530006号公報に開示されている。また、式(2)で示される環状脂肪酸金属塩は、ミリケン・ジャパン株式会社より、環状脂肪酸金属塩とステアリン酸亜鉛の混合物の形態でHyperform HPN−20E(商品名)として入手可能である。
(3)その他の成分
本発明の空冷インフレーション法により成形されてなるポリプロピレン系フィルムに用いられる樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤、エラストマー等を挙げることができる。
上記各種添加剤について、以下に詳細に述べる。
(i)酸化防止剤
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
また、燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
さらに、硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
これら酸化防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の配合量は、本発明のポリプロピレン系フィルムに用いられる、(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部であり、配合量が上記範囲未満では、熱安定性の効果が得られず、フィルムを製造する際に劣化が起こり、ヤケとなってフィッシュアイの原因となる。また、上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(ii)アンチブロッキング剤
アンチブロッキング剤としては、平均粒子径が1〜7μmであり、好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは1〜4μmである。平均粒子径が1μm未満では、得られるフィルムの滑り性、開口性が劣り好ましくない。一方、7μmを超えると、透明性、傷つき性が著しく劣り好ましくない。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
アンチブロッキング剤の具体例としては、たとえば無機系としては、合成または天然のシリカ(二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム等が使用される。
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ホリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。
特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが分散性、透明性、耐ブロッキング性、傷つき性のバランスから好適である。
また、アンチブロッキング剤は、表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッソ樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩等を用いることができ、特に有機酸処理、なかでもクエン酸処理されたものが好適である。処理方法は、特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。
アンチブロッキング剤は、いかなる形状であってもよく球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
これらアンチブロッキング剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤を配合する場合の配合量は、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜1.0重量部であり、好ましくは0.05〜0.7重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。配合量が上記範囲未満では、フィルムのアンチブロッキング性、滑り性、開口性が劣りやすくなる。上記範囲を超えると、フィルムの透明性を損ない、また、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(iii)スリップ剤
スリップ剤としては、モノアマイド類、置換アマイド類、ビスアマイド類等が挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて、使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸モノアマイドとしては、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
また、置換アマイド類の具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
さらに、ビスアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
また、不飽和脂肪酸ビスアマイドとしては、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
さらに、芳香族系ビスアマイドとしては、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
これらの中では、特に、脂肪酸アマイドのうち、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
スリップ剤を配合する場合の配合量としては、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.7重量部、より好ましくは0.1〜0.4重量部である。上記範囲未満では、開口性や滑り性が劣り易くなる。上記範囲を超えると、スリップ剤の浮き出しが過剰となり、フィルム表面にブリードし透明性が悪化する。
(iv)核剤
本発明では、造核剤(B)と他の核剤の併用を妨げるものではない。核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物((株)ADEKA製、商品名NA21)等が挙げられる。
上記核剤を配合する場合の配合量としては、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.05重量部である。上記範囲未満では、核剤としての効果が得られない。上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
また、上記以外の核剤として、高密度ポリエチレン樹脂を挙げることができる。高密度ポリエチレン樹脂としては、密度が0.94〜0.98g/cm、好ましくは0.95〜0.97g/10cmである。密度がこの範囲を外れると、透明性改良効果が得られない。高密度ポリエチレン樹脂の190℃メルトフローレイト(MFR)は、5g/10分以上、好ましくは7〜500g/10分、さらに好ましくは10〜100g/10分である。MFRが5g/10分より小さいときは、高密度ポリエチレン樹脂の分散径が充分に小さくならず、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。また、高密度ポリエチレン樹脂が微分散するためには、好ましくは高密度ポリエチレン樹脂のMFRが本発明に係るプロピレン系(共)重合体(A)のMFRより大きい方がよい。
核剤として使用される高密度ポリエチレン樹脂の製造は、目的の物性を有する重合体を製造し得る限り、その重合方法や触媒について特に制限はない。触媒については、チーグラー型触媒(すなわち、担持または非担持ハロゲン含有チタン化合物と有機アルミニウム化合物の組み合わせに基づくもの)、カミンスキー型触媒(すなわち、担持または非担持メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンの組み合わせに基づくもの)が挙げられる。高密度ポリエチレン系樹脂の形状については制限がなく、ペレット状であってもよく、また、粉末状であってもよい。
核剤として使用する場合、高密度ポリエチレンの配合量としては、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。上記範囲未満では、核剤としての効果が得られない。上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(v)中和剤
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学工業(株)製)などを挙げることができる。
中和剤を配合する場合の配合量は、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。配合量が上記範囲未満では、中和剤としての効果が得られず、押出機内部の劣化樹脂を掻き出してフィッシュアイの原因となる。また、上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
本発明のポリプロピレン系樹脂組成物を空冷インフレーション法に用いる方法においては、中和剤として直鎖状脂肪酸金属塩を添加した樹脂組成物を用いることが好ましい。
直鎖状脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、12−ヒドロキシステアリン酸カルシウム、12−ヒドロキシステアリン酸マグネシウム、12−ヒドロキシステアリン酸亜鉛、12−ヒドロキシステアリン酸アルミニウム等が例示でき、任意の1種類以上のものを用いることが出来る。その中でもステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
(vi)光安定剤
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が好適に使用され、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられるが、具体的には、以下のような化合物が用いられる。
具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
これらのヒンダードアミン系安定剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系安定剤を配合する場合の配合量は、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが望ましい。
ヒンダードアミン系安定剤の含有量は、0.005重量部未満であると、耐熱性、耐老化性等の安定性の向上効果がなく、2重量部より多いと、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
(vii)帯電防止剤
帯電防止剤としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として使用されている公知のものであれば、特に限定されることなく使用でき、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸またはロジン酸セッケン、N−アシルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミン塩等のカルボン酸塩;スルホコハク酸塩、エステルスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩;硫酸化油、硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸エーテル塩、硫酸アミド塩等の硫酸エステル塩;リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸エーテル塩、リン酸アミド塩等のリン酸エステル塩などが挙げられる。
上記カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩等のアミン塩;アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、テトラアルキルアンモニウム塩、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム塩、N−アルキルアルカンアミドアンモニウムの塩等の第4級アンモニウム塩;1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−1−アルキル−2−アルキル−2−イミダゾリン等のアルキルイミダゾリン誘導体;イミダゾリニウム塩、ピリジニウム塩、イソキノリニウム塩などが挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、p−アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル等のエーテル形;脂肪酸ソルビタンポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ソルビトールポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸グリセリンポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエステル形;脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、2価アルコールエステル、ホウ酸エステル等のエステル形;ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、脂肪酸アルカノールアミド、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミド、アルカノールアミンエステル、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミン、アミンオキシド、アルキルポリエチレンイミン等の含窒素形などが挙げられる。
上記両性界面活性剤としては、モノアミノカルボン酸、ポリアミノカルボン酸等のアミノ酸形;N−アルキルアミノプロピオン酸塩、N,N−ジ(カルボキシエチル)アルキルアミン塩等のN−アルキル−β−アラニン形;N−アルキルベタイン、N−アルキルアミドベタイン、N−アルキルスルホベタイン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン等のベタイン形;1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシ−1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−スルホエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン等のアルキルイミダゾリン誘導体などが挙げられる。
これらの中では、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、中でもモノグリセリド、ジグリセリド、ホウ酸エステル、ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、アミド等のエステル形または含窒素形の非イオン性界面活性剤;ベタイン形の両性界面活性剤が好ましい。
なお、帯電防止剤としては、市販品を使用することができ、例えば、エレクトロストリッパーTS5(花王(株)製、商標、グリセリンモノステアレート)、エレクトロストリッパーTS6(花王(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA(花王(株)製、商標、ラウリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA−7(花王(株)製、商標、ポリオキシエチレンラウリルアミンカプリルエステル)、デノン331P(丸菱油化(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート)、デノン310(丸菱油化(株)製、商標、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル)、レジスタットPE−139(第一工業製薬(株)製、商標、ステアリン酸モノ&ジグリセリドホウ酸エステル)、ケミスタット4700(三洋化成(株)製、商標、アルキルジメチルベタイン)、レオスタットS(ライオン(株)製、商標、アルキルジエタノールアミド)などが挙げられる。
帯電防止剤を配合する場合の配合量は、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.1〜0.8重量部、もっとも好ましくは0.2〜0.5重量部である。これら帯電防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。帯電防止剤の配合量が0.01重量部未満では、表面固有抵抗を減らして帯電による障害を防止することができない。一方、2重量部より多いと、ブリードによるフィルム表面に粉吹きが発生しやすくなる。
(viii)エラストマー
エラストマーとしては、例えばエチレン・α−オレフィン共重合体、プロピレン・α−オレフィン共重合体、水添スチレン系エラストマーなどが挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体としては、日本ポリエチレン(株)製「カーネル」シリーズや「ハーモレックス」シリーズ、ダウ・ケミカル日本(株)製「アフィニティ」シリーズや「エンゲージ」シリーズ等が例示でき、プロピレン・α−オレフィン共重合体としては、ダウ・ケミカル日本(株)製「バーシファイ」シリーズや、エクソンモービル社製「ビスタマックス」シリーズや三井化学(株)製「ノティオ」シリーズ等が例示でき、また、水添スチレン系エラストマーとしてはJSR(株)製「ダイナロン」シリーズ等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
(ix)その他
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、紫外線吸収剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、顔料、天然油、合成油、ワックス、脂肪族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5系石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、タッキファイヤーなどを配合することができ、その配合割合は適宜量である。
(4)フィルムの成形方法
本発明のフィルム製造方法は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を空冷インフレーション法に用いる方法である。空冷インフレーション法の好ましい態様は、ポリプロピレン樹脂組成物を環状ダイ付きの押出機により溶融させてチューブ状にして押出し、ブロアーなどから供給される空気を空冷リングから溶融チューブに吹き付けて冷却固化させた後、ガイド板を経てピンチロールにて折り畳み、引取機にて引き取る方法である。この成形方法で使用できる成形機、冷却リング、ブロアー、ガイド板、ピンチロール、及びフィルムの引取機などは広く市場にて使用されている装置で構わず、特別なものは必要としない。本発明における空冷インフレーション成形法フィルムを成形する条件としては、本発明で特定する特性が得られる限り特に限定しないが、ダイ径はφ50mm〜φ500mm、ダイリップ幅は0.8mm〜4.0mm、成形温度は170〜250℃、好ましくは170〜220℃、成形速度は5〜100m/分、好ましくは10〜50m/分が好適である。
また、本発明の多層フィルムの成形方法は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物を少なくとも一つの表層に配するように、複数の押出機及び共押出多層環状ダイ有する空冷インフレーション成形法により成形して得る製造方法である。
本発明における空冷インフレーション法の好ましい態様は、上記ポリプロピレン系樹脂組成物とプロピレン系樹脂もしくはエチレン系樹脂層を構成する樹脂を共押出多層環状ダイ付きの複数押出機により溶融させてチューブ状にして押出し、ブロアーなどから供給される空気を空冷リングから溶融チューブに吹き付けて冷却固化させた後、ガイド板を経てピンチロールにて折り畳み、引取機にて引き取る方法である。この成形方法で使用できる成形機、冷却リング、ブロアー、ガイド板、ピンチロール、及びフィルムの引取機などは広く市場にて使用されている装置で構わず、特別なものは必要としない。本発明における空冷インフレーション成形法フィルムを成形する条件としては、本発明で特定する特性が得られる限り特に限定しないが、ダイ径はφ50mm〜φ500mm、ダイリップ幅は0.8mm〜4.0mm、成形温度は170〜250℃、好ましくは170〜220℃、成形速度は5〜100m/分、好ましくは10〜50m/分が好適である。
空冷インフレーション成形方法においては、チューブ状フィルムを外部および/または内部から空気冷却して成膜することができる。また、チューブフイルムの吹き込み成膜方法は、上向方式、水平方式または下向方式などの任意の方向が採用できるが、特に上向き方向による成膜方法が、本発明のポリプロピレン樹脂組成物に適しているように見える。
(5)フィルム成形品
インフレーション成形方法による成形される成形品は、延伸フィルムまたは未延伸フィルムの単層または積層フィルムと任意に成形することができる。さらに、フィルムは、単層フィルムまたは積層構造の多層構造フィルムも任意に成形することができる。ポリプロ
ピレン系(共)重合体の単層フィルムは、透明性のよい、包装フィルムなど、各種汎用の用途が期待される。
積層フィルムとしては、本発明のポリプロピレン系樹脂と他のポリプロピレン系樹脂との積層、例えば本発明のポリプロピレン/他のポリプロピレン、本発明のポリプロピレン/他のポリプロピレン/本発明のポリプロピレンといった様態はもちろんのこと、ポリプロピレン系樹脂以外の樹脂との組合せとしては、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの構成を例示できる。前記他のポリプロピレン系樹脂としては、剛性、柔軟性、耐衝撃性、耐引裂性等の機能付与を目的とした任意のプロピレン系(共)重合体を適宜選択することが出来る。前記ポリエチレンとしては、成形安定性、ポリプロピレン層とポリエチレン層の間の層間強度確保の観点から、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)が好ましく、特に好ましくはメタロセン触媒により製造されたLLDPEである。また、前記LLDPEには、透明性向上および成形安定性向上を目的として、低密度ポリエチレン(LDPE)を5〜50重量%添加することが好ましい。
別の積層フィルムの様態としては、例えば、ポリプロピレン/ポリアミド、ポリプロピレン/ポリアミド/ポリプロピレン、ポリプロピレン/ポリアミド/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン/ポリアミド/エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリプロピレン/ポリアミド/エチレン−ビニルアルコール共重合体/ポリエチレン、ポリプロピレン/ポリ塩化ビニリデン/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリエチレン、ポリプロピレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリプロピレン、ポリプロピレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリエチレン、ポリプロピレン/軟質ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン/セルロースアセテート、ポリプロピレン/ポリカーボネート、ポリプロピレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリアミド、ポリプロピレン/エチレン−酢酸ビニル共重合体/ポリカーボネート、などの任意の各種熱可塑性樹脂からなる、二層以上の積層フィルムを任意に成形することができる。更には、各種熱可塑性樹脂層の間の層間強度を向上させる目的で、各層間に任意に接着性樹脂層を配することも出来る。前記層構成およびポリプロピレン以外の樹脂はあくまでも例示であり、層構成はこれらに限定されるものではない。このようにポリプロピレンの透明性を維持しながら、他の樹脂との積層構造により、機能を付加することができる。
実施例
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。なお、実施例、比較例で用いた評価方法及び使用樹脂は、以下の通りである。
1.評価方法
(1)メルトフローレート(MFR)[単位:g/10min]:
プロピレン系樹脂は、JIS K7210:1999「プラスチック−熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定し、エチレン・α−オレフィン共重合体は、JIS K6922−2:1997付属書に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定した。
(2)融解ピーク温度(Tm):
示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tm)を測定した。
(3)ヘーズ[単位:%]:
フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下にて24時間状態調整した後、JIS K7136:2000に準拠して、ヘーズメーターで測定した。得られた値が小さいほど透明性がよい。
(4)ヒートシール強度[単位:g/15mm幅]
JIS Z1707−1995に準拠し、下記の方法により測定した。
23℃、湿度50%に調整された恒温恒湿室内に設置された、東洋精機製作所製熱傾斜試験機にトーマス循環式恒温油槽T−201Pより熱媒体として信越シリコーン製シリコーン油KF96を導入し、5mm×200mmのヒートシールバーに温度傾斜を付けないように、シールバーの温度調節を行った。180℃にて圧力2kg/cm、時間1秒のヒートシール条件でシールした試料から15mm幅のサンプルを切り取り、ショッパー型引張試験機を用いて引張速度500mm/分にて引き離した時の強度を求めた。表層PPと中間層PEの層間強度の指標として用いた。
2.ポリプロピレン系重合体(A)
ポリプロピレン系重合体(A)として、後述する製造方法により得られた以下のものを用いた。
(A−1)
(1) 触媒の製造
攪拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,700gを投入し、98%硫酸500gを滴下した。そこへ、平均粒径18μmに造粒したモンモリロナイト(原料として水澤化学工業社製、ベンクレイSLを用いた)を300g添加、攪拌した。その後90℃で2時間反応させた。このスラリーをろ過、ろ液のpHが4以上になるまで洗浄した。回収したケーキに27%硫酸リチウム水溶液1,230gを加え、90℃で2時間反応させた。このスラリーをろ過し、さらに、ろ液のpHが4以上となるまで洗浄した。回収したケーキを100℃で予備乾燥した後に篩分し、150μm以下の粉体を回収した。この粉体を200℃で2時間乾燥した。その結果、275gの化学処理モンモリロナイトを得た。
1Lフラスコに、化学処理モンモリロナイト20gを加え、ヘプタン129mlとトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液71ml(0.7mmol/ml)を加え、室温で1時間攪拌した。その後ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mlに調製した。さらに、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液3ml(0.4mmol/ml)を加えて、10分間室温で攪拌した。
200mlフラスコ中で、特開平10−226712号公報記載の方法で合成した(r)−ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム(300μmol)にヘプタン(50ml)を加えてスラリーとした後、上記1Lフラスコに加えて室温で60分間攪拌した。その後、ヘプタンを181ml加えた。
(2) 予備重合
窒素で十分置換を行った内容積1.0Lの撹拌式オートクレーブに、上記スラリーを全量導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロプレンの供給を停止し、さらに1時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ、十分窒素置換を行った1Lフラスコにスラリーを抜き出した。このスラリーを減圧乾燥して予備重合触媒を63.4g回収した。
(3) 重合
内容積200Lの誘導撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、十分に脱水処理した液化プロピレン45,000gを導入し30℃に保持した。これに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液470ml(0.25mmol/ml)を加えた。水素2.5NL、エチレンを410g導入し、上記予備重合触媒1.7gをアルゴンで圧入した。温度65℃まで40分かけて昇温し、65℃で2時間反応させた。また、この間水素を0.15g/hrの定速で導入した。その後、エタノールを100ml圧入して反応を停止し、残ガスをパージした。その結果、15.8kgのプロピレン系重合体パウダー(A−1)が得られた。得られたプロピレン系重合体パウダーのMFRおよびTmを表1に示した。
(A−2)
(1) 触媒の製造
攪拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,700gを投入し、98%硫酸500gを滴下した。そこへ、平均粒径18μmに造粒したモンモリロナイト(原料として水澤化学工業社製、ベンクレイSLを用いた)を300g添加、攪拌した。その後90℃で6時間反応させた。このスラリーをろ過、ろ液のpHが4以上になるまで洗浄した。回収したケーキを100℃で予備乾燥した後に篩分し、150μm以下の粉体を回収した。この粉体を200℃で2時間乾燥した。その結果、210gの化学処理モンモリロナイトを得た。
1Lフラスコに、化学処理モンモリロナイト20gを加え、ヘプタン73mlとトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液126ml(0.4mmol/ml)を加え、室温で1時間攪拌した。その後ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mlに調製した。
200mlフラスコ中で、特開平10−226712号公報記載の方法で合成した(r)−ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム(300μmol)にヘプタン(85ml)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液1ml(0.7mmol/ml)を加えて、60分間室温で攪拌した。上記1Lフラスコに加えて室温で60分間攪拌した。その後、ヘプタンを213ml加えた。
(2) 予備重合
窒素で十分置換を行った内容積1.0Lの撹拌式オートクレーブに、上記スラリーを全量導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロプレンの供給を停止し、さらに1時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ、十分窒素置換を行った1Lフラスコにスラリーを抜き出した。このスラリーを減圧乾燥して予備重合触媒を64.5g回収した。
(3) 重合
内容積200Lの誘導撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、十分に脱水処理した液化プロピレン45,000gを導入し30℃に保持した。これに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液470ml(0.25mmol/ml)を加えた。水素4.0NL、エチレンを1220g導入し、上記予備重合触媒0.8gをアルゴンで圧入した。温度65℃まで40分かけて昇温し、65℃で2時間反応させた。また、この間水素を0.24g/hrの定速で導入した。その後、エタノールを100ml圧入して反応を停止し、残ガスをパージした。その結果、16.5kgのプロピレン系重合体パウダー(A−2)が得られた。得られたプロピレン系重合体パウダーのMFRおよびTmを表1に示した。
(A−3)プロピレン系重合体(A−2)の製造例(3)において、水素5.0NL、エチレンを2120g導入し、重合中の水素を0.3g/hrの速度で導入するように条件を変えた以外は、プロピレン系重合体(A−2)と同様にして、プロピレン系重合体パウダーを得た。得られたプロピレン系重合体パウダーのMFRおよびTmを表1に示した
(A−4)特開昭56−143207号公報の実施例12に記載に基づいて、プロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体を得た。重合体のエチレン濃度3.1重量%、ブテン濃度1.3重量%であった。得られた重合体パウダーのMFRおよびTmを表1に示した。
(A−5)日本ポリプロ(株)製EA9を用いた。MFRおよびTmを表1に示した。
(A−6)日本ポリプロ(株)製MG03Bを用いた。MFRおよびTmを表1に示した。
3.造核剤(B)
(B−1)ミリケン・ジャパン(株)製Hyperform HPN−20E(環状脂肪酸金属塩とステアリン酸亜鉛の混合物)を用いた。
(B−2)(株)ADEKA製NA21(アルミニウムビス[2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート])を用いた。
(B−3)(株)ADEKA製NA11(ナトリウム2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスフェート)を用いた。
(B−4)新日本理化(株)製ゲルオールMD(GAMD:1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール)を用いた。
(B−5)日本ポリエチレン(株)製HJ490(MFR=20g/10分(190℃ 2.16kg荷重、密度 0.958g/cm)を用いた。
この実施態様を表2 成分Bとして示す。
4.空冷インフレーション成形機
外層用としてスクリュー口径40mmの単軸押出機(Ex1)、内層用としてスクリュー口径40mmの単軸押出機(Ex2)、中間層用としてスクリュー口径50mmの単軸押出機(Ex3)、(株)プラコー社製HA300型エアリング、直径200mmリップ3mmのスパイラル型3層ダイを備えた、三層空冷インフレーション成形機を用いた。
(実施例1)
上記で得られたA−1パウダー100重量部に対し、造核剤(B−1)、下記の酸化防止剤、中和剤を添加し、ヘンシェルミキサーに投入した。
造核剤(B−1)0.1重量部
酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、イルガホス168)0.05重量部
中和剤:ステアリン酸カルシウム0.05重量部
添加剤を加えたプロピレン系重合体混合物をヘンシェルミキサーにより750rpmで1分間室温で高速混合した後、スクリュー口径30mmの池貝製作所製PCM二軸押出機にて、スクリュー回転数200rpm、吐出量10kg/hr、押出機温度200℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を、冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することで樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を外層用および内層用押出機(Ex1およびEx2)に投入し、日本ポリエチレン(株)製ハーモレックスNF375B(直鎖状低密度ポリエチレン MFR=1.0、密度0.921)80重量%と日本ポリエチレン(株)製ノバテックLD LF280H(低密度ポリエチレン MFR=0.7、密度0.928)20重量%からなるペレット混合物を中間層押出機に投入した。外層用および内層用押出機の温度を190℃、中間層用押出機の温度を170℃、ダイ温度を180℃に設定し、層比1/3/1、厚み60μm、ブロー比2.0、引取速度8m/分で成形し、2種3層空冷インフレーションフィルムを成形した。ブロワーメモリは20Hzであった(値が大きいほどエアリングから供給される冷却空気の量が多い。)。得られたフィルムの物性を表3に示した。
(実施例2)
外層用および内層用押出機の温度を210℃に、ダイ温度を210℃に、ブロワーメモリを25Hzに変更した以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示した。
(実施例3)
ポリプロピレン系重合体A−1をA−2に変えた以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示した。
(実施例4)
外層用および内層用押出機の温度を210℃に、ダイ温度を210℃に、ブロワーメモリを25Hzに変更した以外は実施例3と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示した。
(実施例5)
ポリプロピレン系重合体A−1をA−3に変えた以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示した。
(実施例6)
外層用および内層用押出機の温度を210℃に、ダイ温度を210℃に、ブロワーメモリを25Hzに変更した以外は実施例5と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示した。
(参考例1)
造核剤B−1 0.1重量部をB−5 1.0重量部に変えた以外は実施例5と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示した。
(比較例1)
外層用および内層用押出機の温度を210℃に、ダイ温度を210℃に、ブロワーメモリを25Hzに変更した以外は参考例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表3に示した。成形条件が変わったため、参考例1に比べ大幅に透明性が悪化した。
(実施例7)
造核剤B−1 0.1重量部を0.05重量部に変えた以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表4に示した。
(実施例8)
造核剤B−1 0.1重量部を0.15重量部に変えた以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表4に示した。
(実施例9)
ポリプロピレン系重合体A−1をA−4に変えた以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表4に示した。
(比較例2)
造核剤B−1 0.1重量部をB−2 0.2重量部に変えた以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表4に示した。本発明の範囲外の造核剤を用いてフィルムを製造しているため、透明性が悪化した。
(比較例3)
造核剤B−1 0.1重量部をB−3 0.1重量部に変えた以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表4に示した。本発明の範囲外の造核剤を用いてフィルムを製造しているため、透明性が悪化した。
(比較例4)
造核剤B−1 0.1重量部をB−3 0.1重量部に変えた以外は実施例3と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表4に示した。本発明の範囲外の造核剤を用いてフィルムを製造しているため、透明性が悪化した。
(比較例5)
造核剤を添加しなかった以外は実施例1と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表4に示した。造核剤を用いずにフィルムを製造しているため、透明性が悪化した。
(比較例6)
プロピレン系重合体としてA−6を外層用および内層用押出機(Ex1およびEx2)に投入し、日本ポリエチレン(株)製ハーモレックスNF375B(直鎖状低密度ポリエチレン MFR=1.0、密度0.921)80重量%と日本ポリエチレン(株)製ノバテックLD LF280H(低密度ポリエチレン MFR=0.7、密度0.928)20重量%からなるペレット混合物を中間層押出機に投入した。外層用および内層用押出機の温度を210℃、中間層用押出機の温度を170℃、ダイ温度を210℃に設定し、層比1/3/1、厚み60μm、ブロー比2.0、引取速度8m/分で成形し、2種3層空冷インフレーションフィルムを成形した。ブロワーメモリは20Hzであった(値が大きいほどエアリングから供給される冷却空気の量が多い。)。本発明の範囲外のMFRのプロピレン系重合体を使用してフィルムを成形したため、バブルが不安定となり、フィルムを得ることが出来なかった。
(比較例7)
ポリプロピレン系重合体A−6をA−5に変えた以外は比較例6と同様に成形した。本発明の範囲外のMFRのプロピレン系重合体を使用してフィルムを成形したため、押出負荷が高くなると共に、フィルム表面にメルトフラクチャーが発生し、良品が得られなかった。
(実施例10)
上記で得られたA−1パウダー100重量部に対し、造核剤(B−1)、下記の酸化防止剤、中和剤を添加し、ヘンシェルミキサーに投入した。
造核剤(B−1)0.1重量部
酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製、イルガノックス1010)0.05重量部、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)社製、イルガホス168)0.05重量部
中和剤:ステアリン酸カルシウム0.05重量部
添加剤を加えたプロピレン系重合体混合物をヘンシェルミキサーにより750rpmで1分間室温で高速混合した後、スクリュー口径30mmの池貝製作所製PCM二軸押出機にて、スクリュー回転数200rpm、吐出量10kg/hr、押出機温度200℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を、冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することで樹脂組成物を得た。
得られた樹脂組成物を外層用および内層用押出機(Ex1およびEx2)に投入した。中間層用押出機(Ex3)は使用しなかった。外層用および内層用押出機の温度を190℃、ダイ温度を180℃に設定し、厚み30μm、ブロー比2.0、引取速度13m/分で成形し、実質的に単層の空冷インフレーションフィルムを成形した。ブロワーメモリは25Hzであった(値が大きいほどエアリングから供給される冷却空気の量が多い。)。得られたフィルムの物性を表6に示した。
(実施例11)
ポリプロピレン系重合体A−1をA−2に変え、外層用および内層用押出機の温度を170℃に、ダイ温度を170℃に、ブロワーメモリを30Hzに変えた以外は実施例10と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表6に示した。
(比較例8)
造核剤B−1 0.1重量部をB−4 0.2重量部に変えた以外は実施例11と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表6に示した。本発明の範囲外の造核剤を用いてフィルムを製造しているため、透明性が大幅に悪化した。
(比較例9)
造核剤B−1 0.1重量部をB−3 0.2重量部に変えた以外は実施例11と同様に成形し、フィルムを得た。得られたフィルムの物性を表6に示した。本発明の範囲外の造核剤を用いてフィルムを製造しているため、透明性が大幅に悪化した。
特開2004−182967号公報 特開2004−322413号公報 特表2009−504842号公報 特開平1−43546号公報 特表2004−524417号

Claims (11)

  1. 下記(A1)〜(A2)の特性を有するプロピレン系(共)重合体(A)95〜99.995重量%と、下記一般式(1)で示される環状脂肪酸金属塩である造核剤(B)0.005〜5重量%とを含むポリプロピレン系樹脂組成物を用いた空冷インフレーション成形方法。
    プロピレン系(共)重合体(A)
    (A1)JIS K7120−1995に準拠した230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレート(MFR)が0.5より大きく、20以下であること。
    (A2)融解ピーク温度(Tm)が110〜170℃であること。
    造核剤(B)
    ここで、M及びMは、カルシウム、ストロンチウム、リチウム、亜鉛、マグネシウム及び一塩基性アルミニウムからなる群より互いに独立して選択され、更に、R、R、R、R、R、R、R、R、R、及びR10は、水素及びC〜Cアルキルからなる群より互いに独立して選択され、更に、互いに隣接して位置した何れか2つのR〜R10アルキル基は任意に結合して炭素環を形成していてもよい。
  2. プロピレン系(共)重合体がプロピレン単独重合体および/またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であることを.特徴とする請求項1に記載の空冷インフレーション成形方法。
  3. 造核剤(B)が下記式(2)で示される環状脂肪酸金属塩であることを特徴とする請求項1または2に記載の空冷インフレーション成形方法。
  4. プロピレン系(共)重合体(A)が、(A1)および(A2)の特性に加え、さらに下記(A3)の特性を有するプロピレン単独重合体および/またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体である請求項1乃至3のいずれか1項に記載の空冷インフレーション成形方法。
    (A3)メタロセン触媒により重合されたものであること
  5. ポリプロピレン系樹脂組成物を環状ダイ付きの成形用押出機に供給することにより溶融させてチューブ状に押出し、次いでブロアーなどから供給される空気を空冷リングから溶融チューブに吹き付けて冷却固化させた後にフィルムとして引き取ることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空冷インフレーション成形方法。
  6. チューブ状フィルムを外部および/または内部から空気冷却して成膜方法が上向方式、水平方式または下向方式であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の空冷インフレーション成形方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の空冷インフレーション成形方法により成形されることを特徴とする単層または多層構造フィルム。
  8. 請求項7に記載の空冷インフレーション成形方法により成形されることを特徴とする延伸または未延伸の単層または多層構造フィルム。
  9. 請求項7又は8に記載のフィルムが、少なくとも一つの表層に用いられていることを特徴とする多層フィルム。
  10. 請求項7〜9のいずれかに記載の単層フィルムまたは多層フィルムが、フィルム厚み5μm以上100μm未満であり、JIS K7136−2000に準拠して測定したヘイズ値が5以下である単層または多層フィルム。
  11. 請求項7〜10のいずれかに記載の単層または多層フィルムが、フィルム厚み100μm以上500μm未満であり、JIS K7136−2000に準拠して測定したヘイズ値が10以下である単層または多層フィルム。
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