JP4857093B2 - 深絞り容器 - Google Patents

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Description

本発明は、口径に対する深さの比が1以上の深絞り容器に関し、さらに詳しくは、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器に関する。
ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン等の熱可塑性樹脂は、各種容器の材料として用いられている。このような容器は、熱可塑性樹脂をシート状に押出成形した後、再加熱して、真空成形、真空圧空成形等の熱成形方法を用いて、二次加工することによって得ることができる。このような熱成形方法は、生産性が高く、多層化等も容易なことから、大量生産向きの成形方法として広く普及している。
熱可塑性樹脂の中でも、プロピレン系重合体は、耐熱性、剛性、耐衝撃性、あるいは、衛生面に優れていることから、食品等の容器として好適に用いられており、特に、高い耐熱性を必要とする電子レンジでのレンジアップ容器、高温充填が必要な容器等に使用範囲が広がってきている。
一方、近年、ワンハンドカップ等のような深絞り容器(深さ/口径比の大きな容器)が、前記熱成形方法により製造されるようになってきている。また、このような容器には、内容物が視認し易い透明性や高級感のある光沢が求められており、そのような特性を有する容器に成形可能なシートの開発が求められている。
しかし、深絞り成形を行うには、通常行われている成形温度よりも高い成形温度が必要となるが、従来の熱成形方法に用いられているプロピレン系樹脂を使用すると、成形性が著しく低下し、透明性や光沢が低下するという問題を有していた。
そこで、透明性、光沢を向上させるために、核剤を添加したプロピレン系重合体をその融点以上でエンドレスベルトを用いる方法(例えば、特許文献1参照。)や、ホモポリプロピレンにランダムポリプロピレンと核剤をブレンドしたシートを用いる方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されているが、これらの方法においては、シートの透明性、光沢は良いものの、得られたシートを深絞り成形によって二次加工をすると、その間に透明性や光沢が損なわれ、期待する程度の効果は得られないという問題がある。
また、表層にシンジオタクチックポリプロピレンを用いる方法(例えば、特許文献3参照。)や、環状ポリオレフィンを用いる方法(例えば、特許文献4参照。)も提案されているが、これらは、材料コストが高くなるという欠点がある。
特開平10−1548号公報 特開平7−148853号公報 特開平7−32557号公報 特開平9−1750号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、特定の原材料を特定比率で組み合わせたものからなる特定のシートを用いることにより、深さ/口径が1倍以上の深絞り成形しても、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた容器が得られることを見出し、これらの知見に基き、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メタロセン触媒を用いて得られたメルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜7g/10分、融点が135〜150℃およびMw/Mnが2.5〜4.0であるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)50〜90重量%と、メルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜10g/10分および融点が160℃以上であるプロピレン系重合体(B)50〜10重量%とからなる、メルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜5g/10分、溶融張力が3.0g以上、ヘイズ値が30%以下、グロス値が100%以上および曲げ弾性率が2000MPa以上であるシート(C)を、熱成形することにより得られ、且つ、ヘイズ値が1.5%以下及びグロス値が140%以上であることを特徴とする深さ/口径が1倍以上である深絞り容器が提供される。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、シート(C)の深絞り成形可能温度幅が10℃以上であることを特徴とする深絞り容器が提供される。
さらに、本発明の第3の発明によれば、第1又は第2の発明において、メタロセン触媒は、ハフニウムとシクロペンタジエニル基またはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用した触媒であることを特徴とする深絞り容器が提供される。
本発明は、上記した如く、特定の原材料からなる特定のシートを用いることを特徴とする深絞り容器などに係るものであるが、その好ましい態様としては、次のものが包含される。
(1)前記熱成形は、真空成形又は圧空成形であること、特に、プラグアシスト圧空成形であることを特徴とする上記の深絞り容器が提供される。
(2)前記メタロセン触媒は、助触媒として、イオン交換性層状珪酸塩及び有機アルミニウム化合物を用いることを特徴とする上記の深絞り容器が提供される。
(3)前記プロピレン系重合体(B)は、塩化マグネシウム担持チーグラーナッタ触媒を用いて重合されたものであることを特徴とする上記の深絞り容器が提供される。
(4)前記シート(C)には、さらに、核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、無機顔料、有機顔料、金属不活性剤、過酸化物又は充填剤から選ばれる少なくとも1種の添加剤が配合されることを特徴とする上記の深絞り容器が提供される。
(5)前記シート(C)は、単層シート又は多層シートであることを特徴とする上記の深絞り容器が提供される。
(6)前記深さ/口径が1.3倍以上であることを特徴とする上記の深絞り容器が提供される。
本発明の深絞り容器は、深さ/口径が1倍以上の容器であっても、成形性、剛性、透明性および光沢に優れたものである。そのため、深絞りの形状を要求され、内容物を確認できる飲料食品容器分野において、特に有用なものである。
本発明の深絞り容器は、特定のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)50〜90重量%と、特定のプロピレン系重合体(B)50〜10重量%とからなる、特定のシート(C)より得られることと、特定の物性を有することを特徴とするものである。以下、項目毎に、順次説明する。
1.エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)
(1)エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の製造方法
本発明の深絞り容器で用いるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、メタロセン触媒を使用して重合した共重合体である。
メタロセン触媒は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム等の周期律表第4〜6族遷移金属と、シクロペンタジエニル基あるいはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用した触媒である。
メタロセン触媒において、シクロペンタジエニル誘導体基としては、ペンタメチルシクロペンタジエニル等のアルキル置換体基、あるいは2以上の置換基が結合して飽和もしくは不飽和の環状置換基を構成した基を使用することができ、代表的にはインデニル基、フルオレニル基、アズレニル基、あるいはこれらの部分水素添加物を挙げることができる。また、複数のシクロペンタジエニル基がアルキレン基、シリレン基、ゲルミレン基等で結合したものも好ましく用いられる。
メタロセン錯体として、具体的には次の化合物を好ましく挙げることができる。
(1)メチレンビス(シクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(2)メチレン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(3)イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(4)エチレン(シクロペンタジエニル)(3,5−ジメチルペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(5)メチレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、(6)エチレンビス(2−メチルインデニル)ハフニウムジクロリド、(7)エチレン1,2−ビス(4−フェニルインデニル)ハフニウムジクロリド、(8)エチレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、(9)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(テトラメチルシクロペンタジエニル)ハフニウムジクロリド、(10)ジメチルシリレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、(11)ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジクロリド、(12)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド、(13)ジメチルシリレン(シクロペンタジエニル)(オクタヒドロフルオレニル)ハフニウムジクロリド、(14)メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾ(インデニル)]ハフニウムジクロリド、(15)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ハフニウムジクロリド、(16)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(17)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(18)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(19)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(20)ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(21)ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(フェニルインデニル))]ハフニウムジクロリド、(22)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(フェニルインデニル))]ハフニウムジクロリド、(23)ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ハフニウムジクロリド、(24)ジメチルゲルミレンビス(インデニル)ハフニウムジクロリド、(25)ジメチルゲルミレン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ハフニウムジクロリド。
また、チタニウム化合物、ジルコニウム化合物などの他の第4、5、6族遷移金属化合物についても、上記と同様の化合物が挙げられる。本発明の触媒成分および触媒については、これらの化合物を併用してもよい。
また、これらの化合物のクロリドの一方あるいは両方が臭素、ヨウ素、水素、メチルフェニル、ベンジル、アルコキシ、ジメチルアミド、ジエチルアミド、アルキル基等に代わった化合物も例示することができる。
さらに、上記のハフニウムの代わりに、チタン、ジルコニウム等に代わった化合物も、例示することができる。
その中でも溶融張力、透明性、成形性に優れたエチレン−プロピレンランダム共重合体が得られ、シートの肌荒れがおきにくい、ハフニウムを使用した触媒が本発明には好適である。
助触媒として、アルミニウムオキシ化合物、メタロセン化合物と反応してメタロセン化合物成分をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物もしくはルイス酸、固体酸、あるいは、イオン交換性層状珪酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の化合物が用いられる。
また、必要に応じて、これら化合物と共に、有機アルミニウム化合物を添加することができる。
アルミニウムオキシ化合物としては、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。また、トリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸との反応物を使用することもできる。例えば、トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物などである。
イオン交換性層状珪酸塩としては、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などの珪酸塩が用いられる。
これらの珪酸塩は、化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状珪酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。
具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
また、必要に応じてこれら化合物と共にトリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合物を使用してもよい。
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、上記メタロセン触媒の存在下、不活性溶媒を用いたスラリー法、実質的に溶媒を用いない気相法や溶液法、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等の一般的な重合方法により、エチレンとプロピレンとを共重合体させることにより得ることができる。
また、本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、プロピレンから誘導される構成単位(以下、「プロピレン単位」という)の好ましい割合は、全構成単位中90〜99.9重量%であり、エチレンから誘導される構成単位(以下、「エチレン単位」という)は、0.1〜10重量%であることが望ましい。
また、本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)には、本発明の効果を損なわない範囲で、他のα−オレフィンを併用することも可能である。例えば、ブテン−1、ペンテン−1、3−メチル−1−ブテン、ヘキセン−1、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、ヘプテン−1、オクテン−1、ノネン−1、デセン−1、ドデセン−1、テトラデセン−1、ヘキサデセン−1、オクタデセン−1、エイコセン−1等を例示でき、これらは、一種類でも二種類以上併用して用いてもよい。
なかでも、ブテン−1は好適であり、エチレン−プロピレンランダム共重合体において、プロピレン単位は、全構成単位中90〜99.9重量%であり、エチレンおよびα−オレフィンから誘導される構成単位(以下、「コモノマー単位」という)は0.1〜10重量%であるエチレン−ブテン−1−プロピレン3元ランダム共重合体が好ましい。
(2)エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の物性
本発明の深絞り容器に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、次の物性を有している。
(i)メルトフローレート(MFR)
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜7g/10分、好ましくは0.5〜5g/10分、さらに好ましくは0.8〜3g/10分である。MFRが7g/10分を超えると、シートのドローダウン性が悪化し、熱成形が困難になり、一方、MFRが0.5g/10分未満では、シートの透明性が悪化する。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠し、試験条件M:230℃、2.16kg荷重で測定される値である。
ポリマーのMFRを調整するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量などを適宜調節する方法、あるいは重合終了後に過酸化物の添加により調整する方法がある。
(ii)融点
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、示差走査熱量計(DSC:DifferentialScanning Calorimeter)により、測定された融解ピーク温度である融点が135〜150℃、好ましくは137〜145℃のものである。融点が135℃未満の場合は、容器の剛性および耐熱性が低下する。一方、融点が150℃を超える場合は、容器成形温度範囲が狭くなり、成形が難しくなる。
融点を調整するには、重合反応系へ供給するエチレンの量を制御することにより、容易に調整することができる。
なお、融点の具体的測定は、セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を融点とした(単位:℃)。
(iii)Mw/Mn比(以下、Q値という場合もある。)
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、Q値が、2.5〜4.0、好ましくは2.6を超え3.4以下、さらに好ましくは2.7〜3.3の範囲のものである。
Q値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC:Gel Permeation Chromatography)により、測定した重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)として求められる値であり、この値は、小さいほど分子量が均一で、分子量分布が狭いことを意味する。
本発明に用いられるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のQ値は、2.5未満では、シートの表面荒れが発生し、透明性および光沢が悪化する。一方、Q値が4.0を超えると、シートの光沢が悪化する。
エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のQ値を調整する方法は、上記メタロセン触媒の構造を制御する方法が有効である。また、2種以上のメタロセン触媒成分の併用した触媒系や2種以上のメタロセン錯体を併用した触媒系を用いて重合する、または重合時に2段以上の多段重合を行うことにより、Q値を広く制御することができる。逆にQ値を狭く調整するためには、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を重合後、有機過酸化物を使用し、溶融混練することにより調整することができる。
Q値の具体的測定は、以下の条件により、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比を測定して求める。
GPC装置:ウォーターズ社製ISOC−ALC/GPC
溶媒:O−ジクロルベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1ml/min
標準材:東ソー社製単分散ポリスチレン
2.プロピレン系重合体(B)
(1)プロピレン系重合体(B)の製造方法
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)の重合用触媒としては、チーグラーナッタ型触媒、メタロセン触媒等が挙げられ、特に限定はされないが、160℃以上の融点の重合体を得るためには、塩化マグネシウム担持チーグラーナッタ触媒が好ましい。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)の重合方法としては、スラリー法、バルク法、溶液法、気相法等の汎用プロセスが適用できる。これら重合反応は、単独反応器だけでなく、複数用いることができ、重合方法も、複数組み合わせて用いることもできる。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)としては、プロピレンの単独ホモ重合体、プロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体、プロピレンとα−オレフィンとの共重合ゴム成分を含むブロック共重合体等が挙げられ、一種類でも、二種類以上の混合物としても、用いることができる。
これら共重合体に用いるα−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチル−ペンテン−1、オクテン−1等が挙げられ、このα−オレフィンは、一種類でなく、二種類以上の多元系共重合体でもよい。
また、本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)は、融点の高いプロピレンホモ重合体が好ましく、例えば、日本ポリプロ社製「ノバテックPP」が挙げられる。
(2)プロピレン系重合体(B)の物性
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)のメルトフローレート(MFR)は、0.5〜10g/10分、好ましくは0.5〜8g/10分、さらに好ましくは0.5〜5g/10分である。
MFRが10g/10分を超えると、シートのドローダウン性が悪化し、熱成形が困難になり、一方、MFRが0.5g/10分未満では、シートの透明性が悪化する。
ここで、メルトフローレート(MFR)は、JIS K7210「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」に準拠し、試験条件M:230℃、2.16kg荷重で測定される値である。
本発明で用いられるプロピレン系重合体(B)の融点は、160℃以上であることが重要である。融点が160℃未満では、容器成形温度範囲が狭くなるとともに、容器の剛性が悪化する。
なお、融点の具体的測定は、セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を融点とした(単位:℃)。
3.シート(C)
(1)シート(C)の組成
本発明で用いられるシート(C)は、上記のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)が50〜90重量%と、上記のプロピレン系重合体(B)が50〜10重量%から構成される。エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)が90重量%を超えると、成形温度幅が狭くなり、一方、50重量%未満では、光沢が低下する。
(I)付加的成分
本発明で用いられるシート(C)には、上記エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)およびプロピレン系重合体(B)に加えて、他の付加的成分(任意成分)を、本発明の効果を著しく損なわない範囲で配合することもできる。
この付加的成分としては、通常のポリオレフィン樹脂用配合剤として使用される核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、分散剤、無機顔料、有機顔料、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、及び、本発明に使用する以外の樹脂、エチレン・プロピレン系ゴム、エチレン・ブテン系ゴム、エチレン・ヘキセン系ゴム、エチレン・オクテン系ゴム等を挙げることができるが、これら添加剤において、本発明の主用途である飲料食品容器分野における要求を満足させるものを選択することが好ましい。
(i)添加剤の具体例
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物(旭電化(株)製 商品名NA21)などを挙げることができる。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学(株)製)などを挙げることができる。
ヒンダードアミン系の安定剤の具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
アンチブロッキング剤の具体例としては、たとえば無機系としては、合成または天然のシリカ(二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム等が使用される。
滑剤の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸モノアマイドとして、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
置換アマイドの具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセパシン酸アマイド等が挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアマイドとして、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイド等が挙げられる。
芳香族系ビスアマイドとして、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイド等が挙げられる。
(ii)添加剤配合方法
上記添加剤成分の配合方法としては、重合で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体(A)およびプロピレン系重合体(B)のパウダーに、直接添加剤を予備混合して溶融混練混合する方法、また予め添加剤を高濃度にしたマスターバッチをブレンドする方法等で、配合物を得ることができる。
上記混合或いは溶融混練に用いられる混合機或いは混練機としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ブラベンダープラストグラフ、ロール、一軸スクリュー押出造粒機、二軸スクリュー押出造粒機等を挙げることができる。また、溶融混練温度は、一般に100〜300℃で行われる。
(2)シート(C)の物性
本発明で用いられるシート(C)は、メルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜5g/10分のものである。MFRが5g/10分を超えると、シートのドローダウン性が悪化し、熱成形が困難になり、一方、MFRが0.5g/10分未満では、シートの透明性が悪化する。
また、本発明で用いられるシート(C)は、溶融張力が3.0g以上のものである。溶融張力が3.0g未満では、シートのドローダウン性が悪化する。
尚、溶融張力(MT)は、東洋精機社製キャピログラフ1Bを用い、下記の条件で測定した値である。
加熱炉:長さ:350mm、試料挿入孔:9.55mmφ
ピストン:外径:9.474mm、先端:90°円錐
ダイ:長さ:8.0mm、内径:2.095mm
試験温度:230℃
予熱:230℃、5min
ピストン移動速度:1.0cm/min
引き取り速度:3.9m/min
また、本発明で用いられるシート(C)は、ヘイズ値が30%以下、グロス値が100%以上、曲げ弾性率が2000MPa以上のものである。
シート(C)のヘイズ値が30%を超える場合は、深さ/口径比1倍以上の深絞り成型容器の透明性は悪く、シートのグロス値100%未満の場合は、光沢は悪くなる。また、曲げ弾性率2000MPa未満のシート(C)を用いた場合では、深絞り成形をした場合の容器剛性が不足し、容器を強く握ったときに、容易に潰れてしまう等の実用性能に劣る。
尚、ヘイズ値は、JIS K7136(ISO 14782)の「プラスチック―透明材料のヘーズの求め方」に準拠して求めた値であり、また、グロス値は、JIS K7105の「プラスチックの光学的特性試験方法」に準拠して、60度鏡面光沢度を求めた値であり、さらに、弾性率は、JIS K7171(ISO 178)の「プラスチック−曲げ特性の試験方法」に準拠して、曲げ弾性率を求めた値である。
(3)シート(C)の成形方法
本発明で用いられるシート(C)は、前述の添加剤配合方法により得られた配合物を用いて、公知の成形方法、例えば、押出成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、注型成形法等により製造することができる。
中でも押出成形法が好ましく、具体的にはTダイ法、インフレーション法等を用いた押出法が挙げられる。
押出されたシート(C)は、ポリッシング法、エアーナイフ法、金属鏡面ベルト法、等の公知の方法で冷却固化される。
本発明で用いられるシート(C)は、単層に限らず多層シートであってもよい。
多層シ−トの場合は、プロピレン−エチレンランダム共重合体(A)、プロピレン系重合体(B)および必要に応じて配合される添加剤からなるシート(プロピレン系複合樹脂層という場合もある)を、ガスバリア性を付加すべくガスバリアー樹脂層の両面に配した積層シ−トを挙げることができる。
層構成として、例えば、プロピレン系複合樹脂層/接着樹脂層/ガスバリアー樹脂層/接着樹脂層/プロピレン系複合樹脂層の3種5層構成が好適な層構成として挙げられる。
多層シートの場合、各層を積層する方法は、前記した各層を形成する樹脂材料を溶融状態で積層する方法が層間接着性の点で好ましい。一般的には、各材料をそれぞれの押出機で溶融混練した後にダイス内で積層するマルチマニホールド方式や、ダイスに流入させる前に積層するフィードブロック方式(コンバイニングアダプター方式)等が好ましい。
また、本発明で用いられるシート(C)は、深さ/口径比1倍以上の深絞り成形可能温度幅が10℃以上であることが重要である。
成型可能温度幅が10℃未満では、成型条件の振れで深絞り容器の透明性や光沢に振れが発生し、成形品の歩留まりが悪化する。深絞り成形可能温度幅は、後述する非接触式放射温度計で測定することができる。
4.深絞り容器
(1)深絞り容器の成形方法
本発明の深絞り容器は、シート(C)を熱成形することにより得られる深さ/口径が1倍以上の深絞り容器である。好ましくは、深さ/口径が1.2倍以上、さらに好ましくは、深さ/口径が1.3倍以上の深絞り容器であることが望ましい。
具体的には、シート(C)を熱成形することにより、各種容器、カップ等に賦形される。
熱成形は、一般に、プラスチックシートを加熱軟化して、所望の型に押し当て、型と材料の間隙にある空気を排除し大気圧により型に密着させて成形する真空成形、及び、大気圧以上の圧縮エアーか、あるいは真空を併用して成形する圧空成形等が用いられ、その方法としては、真空あるいは圧空を用い、必要により、更にプラグを併せて用いて金型形状に成形する方法(ストレート法、ドレープ法、エアスリップ法、スナップバック法、プラグアシスト法、プラグアシストリバースドロー成形法、マッチモールド成形法など)があり、また、固相プレス成形、スタンピング成形が挙げられる。
これらの熱成形法の組み合わせ等による成形法であれば、特に限定されないが、本発明の深絞り容器には、プラグアシスト圧空成形が好適である。熱成形温度や真空度、圧空の圧力または成形速度等の各種条件は、プラグ形状や金型形状またはシート(C)の性質等により、適宜設定される。
(2)容器の物性
本発明の深絞り容器は、ヘイズ値が1.5%以下、グロス値が140%以上である、深さ/口径が1倍以上の深絞り容器である。
ヘイズ値が1.5%を超えると、内容物の視認性が低下する。また、グロス値が140%未満では、光沢感に欠けるため、商品価値が低下する。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の評価方法に従ったものである。
[評価方法]
1.メルトフローレート(MFR)
JIS K7210(ISO 1133)「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法の試験条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.00mm
2.融点(Tm)
セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を融点(Tm)とした(単位:℃)。
3.Mw/Mn(Q値)
本発明において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380,F288,F128,F80,F40,F20,F10,F4,F1,A5000,A2500,A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4 α=0.7
PE:K=3.92×10−4 α=0.733
PP:K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置:WATERS社製 GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製 MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料は、o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
4.溶融張力
キャピログラフ(東洋精機社製)を用い、以下の条件で測定した。
加熱炉:(長さ)350mm、(試料挿入孔)9.55mmφ
ピストン:(外径)9.474mm、(先端)90°円錐
ダイ:(長さ)8.0mm、(内径)2.095mm
試験温度:230℃
予熱:230℃、5min
ピストン移動速度:1.0cm/min
引き取り速度:3.9m/min
5.ヘイズ値
試験片の透明性を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K7136(ISO 14782)「プラスチック―透明材料のヘーズの求め方」と、JIS K7361−1(ISO 13468−1)「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」準拠
測定機:曇り度計NDH2000(日本電色工業株式会社製)
試験片厚み:200μm
試験片の作成方法: シートを50×50mmに切り出し
状態の調節:成形後に室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:曇り度(Haze)
6.グロス値
試験片の光沢を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」
測定機:スガ試験機製デジタル変角光沢性計 UGV−5K
試験片厚み:200μm
試験片の作成方法: シートを50×50mmに切り出し
状態の調節:成形後に室温23℃ 、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:60度鏡面光沢度
7.曲げ弾性率
以下の条件で評価した。
規格番号:JIS K7171(ISO 178)「プラスチック−曲げ特性の試験方法」準拠
試験機:精密万能試験機オートグラフAG−20kNG(島津製作所製)
試験片の採取方向:流れ方向
試験片の形状:厚み2.0mm、幅25.0mm、長さ40.0mm
試験片の作成方法:圧縮成形平板を上記寸法に打ち抜き
状態の調節:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間以上放置
試験室:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室
試験片の数:5
支点間距離:32.0mm
試験速度:1.0mm/分
評価項目:曲げ弾性率
8.容器のヘイズ値
容器の透明性を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K7136(ISO 14782)「プラスチック―透明材料のヘーズの求め方」と、JIS K7361−1(ISO 13468−1)「プラスチック−透明材料の全光線透過率の試験方法−第1部:シングルビーム法」準拠
測定機:曇り度計NDH2000(日本電色工業株式会社製)
試験片厚み:200μm
試験片の作成方法:容器から50×50mmの試験片を切り出し
状態の調節:成形後に室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:曇り度(Haze)
9.容器のグロス値
容器の光沢を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K7105「プラスチックの光学的特性試験方法」
測定機:スガ試験機製デジタル変角光沢性計 UGV−5K
試験片厚み:200μm
試験片の作成方法: 容器から50×50mmの試験片の切り出し
状態の調節:成形後に室温23℃ 、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:60度鏡面光沢度
10.深絞り成形可能温度幅
容器成形機中で加熱された容器成形直前のシートを、非接触式放射温度計で測定し、該シートが110℃に達した時に、圧空成形機RDM50K(イーリッヒ社製)を用いて口径95mmφ、深さ/口径が1.3倍の深絞り容器を成形し、該容器の光沢値と容器底コーナー部の曲率半径を測定する。これを110〜160℃の範囲において、1℃刻みで同様の測定を繰り返し実施し、下記T1とT2を求め、深絞り成形可能温度幅(T1−T2)を算出する。深絞り成形可能温度幅が広い程、成形性に優れ、成形温度が多少振れても問題なく成形ができることを意味する。
T1:得られた個々の深絞り容器の光沢値において、最も高い光沢値に対し、10%以上低い光沢値を示した深絞り容器を成形できた時の最高温度。
T2:得られた個々の深絞り容器の底コーナー部の曲率半径をラジアスゲージで測定した時、曲率半径が2mm以上を示した深絞り容器を成形できた時の最高温度。
[実施例1]
I.エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の作製
1.触媒の調製
(1)メタロセン化合物の合成
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11−240909号公報に記載の方法に準じて行った。
(2)化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,700gを投入し、98%硫酸500gを滴下した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:19.5μm)を300g添加後撹拌した。その後90℃で2時間反応させた。このスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、洗浄した。
回収したケーキに硫酸リチウム1水和物325gの水900mL水溶液を加え90℃で2時間反応させた。このスラリーを、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、pH>4まで洗浄した。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、270gの化学処理体を得た。その後、1Lフラスコに全量投入し、200℃にて2hr減圧乾燥を行った。
(3)固体触媒の調製
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.223kgと日石三菱社製ヘプタン(以下、ヘプタンという。)1.45リットルの混合物を導入し、さらにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)0.79リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを3.1リットルに調製した。
上記スラリーに、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.39M)を34.4ミリリットル加えて10分間攪拌した。さらに、予め(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム2.73gに、ヘプタン0.55リットルを添加した混合物を導入して、室温にて1時間反応させた後、ヘプタンを追加して5.6リットルに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを111.8g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M)のヘプタン溶液95mL添加した後に、40℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.688kgを得た。
2.重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液を470ml(0.12mol)、水素を2.3NL、さらにエチレン0.68kgを加え、30℃を維持した。その後、上記触媒成分1.87gをアルゴンで圧入し、40分かけて70℃まで昇温し、2時間重合を行った。
その後エタノール100mlを圧入して、反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のパウダーを20kg得た。得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、MFR=2.0g/10分、Tm=145℃、Q値=2.8であった。
II.プロピレン系重合体(B)
日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP EA8W(MFR=0.8g/10分、Tm=165℃)を使用した。
III.シート(C)
前記エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)パウダー80重量部と、プロピレン系重合体(B)20重量部との混合物100重量部に対して、フェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスチル−テトラキス[3−(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート](チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;イルガノックス1010)0.05重量部、トリス―(2,4―ジ―t―ブチルフエニル)フオスフアイト(チバスペシャルティケミカルズ(株)社製;イルガフォス168)0.1重量部、中和剤として、ハイドロタルサイト(協和化学工業(株)社製;DHT−4A)0.05重量部、核剤として、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−オキソ−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩(アデカ(株)製;マークNA21)0.2重量部を、スーパーミキサーに添加し、窒素シール後、3分間混合した。その後、スクリュー系40mmDの単軸押出機を用いホッパーを窒素シールしながら230℃で溶融混練し造粒(ペレット化)した。このペレット空気循環型乾燥機に入れ80℃、2hr乾燥した。このペレットは、MFR=1.7g/10分、溶融張力=5.0gであった。
得られたペレットを、口径40mmφの押出機から、樹脂温度240℃、幅400mmのシート状に、溶融押し出しした。次いで、前記溶融シートをポリシング法の冷却ロール(ロール温度:上50℃、中80℃、下50℃)に導いて冷却固化し、厚みが2.0mm、幅400mmのシート(C)を作製した。
このようにして得られたシート(C)は、ヘイズ値=25%、グロス値=110%、曲げ弾性率=2100MPaであった。
IV.深絞り容器
次いで、容器成形機中で加熱された容器成形直前のシート(C)を非接触式放射温度計で測定し、該シートが110℃に達した時に、圧空成形機RDM50K(イーリッヒ社製)を用いて、口径95mmφ、深さ/口径が1.3倍の深絞り容器を成形した。
これを110〜160℃の範囲において、1℃刻みで同様の測定を繰り返し実施し、各深絞り容器のヘイズ値とグロス値を求め、グロス値が最も大きい値を示した深絞り容器のヘイズ値とグロス値を求めたところ、ヘイズ値が1.0%、グロス値が155%であった。また、その成形可能温度幅は、13℃であった。
本発明の構成を有する深絞り容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器であることが解る。
[実施例2]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を3.2NLおよびエチレン供給量を0.68kgに調整し得た、表1記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用い、プロピレン系重合体(B)に日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP FY6H(MFR=2.0g/10分、Tm=165℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する深絞り容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器であることが解る。
[実施例3]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を1.4NLおよびエチレン供給量を0.68kgに調整し得た、表1記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する深絞り容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器であることが解る。
[実施例4]
実施例1のプロピレン系重合体(B)に日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP FY4(MFR=5.0g/10分、Tm=165℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する深絞り容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器であることが解る。
[実施例5]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を2.6NLおよびエチレン供給量を1.58kgに調整し得た、表1記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する深絞り容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器であることが解る。
[実施例6]
実施例1のプロピレン系重合体(B)に日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP EA7DAT(MFR=1.0g/10分、Tm=161℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する深絞り容器は、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器であることが解る。
[実施例7]
実施例1のエチレン−プロピレン重合体(A)とプロピレン系重合体(B)の比率を変えた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する深絞り容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器であることが解る。
[実施例8]
I.エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の作製
1.触媒の調製
(1)メタロセン化合物の合成
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムの合成は、特開平11−240909号公報に記載の方法に準じて行った。
(2)化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けたガラス製3Lセパラブルフラスコに、純水1,750gを投入し、続いて98%硫酸1160gをゆっくり添加した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:18.5μm)を400g添加後、撹拌した。その後90℃に昇温し、9時間その温度を維持した。所定時間反応後、40℃まで冷却し、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。
このケーキに純水を2リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、4.0超えるまで実施した。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、280gの化学処理体を得た。その後、1Lフラスコに全量投入し、200℃にて2hr減圧乾燥を行った。
(3)固体触媒の調製
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.223kgと日石三菱社製ヘプタン(以下、ヘプタンという。)1.45リットルの混合物を導入し、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.04M)13.94リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調製した。
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2.18g(3.00mmol)に、ヘプタンを0.86リットル加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を10.6ミリリットル加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、ヘプタンを追加して5.6リットルに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを111.8g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M)のヘプタン溶液84.6mL添加した後に、40℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.68kgを得た。
2.重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液を470ml(0.12mol)、水素2.0NLを、さらにエチレン0.23kgを加え、30℃を維持した。その後、上記触媒成分1.11gをアルゴンで圧入し、40分かけて70℃まで昇温し、2時間重合を行った。
その後、エタノール100mlを圧入して、反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のパウダー20kgを得た。
得られたエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)は、MFR=5.0g/10分、Tm=145℃、Q値=2.60であった。
上記エチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用い、プロピレン系重合体(B)に日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP FY6H(MFR=2.0g/10分、Tm=165℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表1に示す。
本発明の構成を有する深絞り容器は、剛性、透明性および光沢に優れた深絞り容器であることが解る。
Figure 0004857093
[比較例1]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を4.2NLおよびエチレン供給量を0.68kgに調整し得た、表2記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例1は、用いるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のMFRが本発明の範囲を超えているため、シート(C)が成形不能であった。押出されたシート(C)の断辺のMFRと溶融張力を測定したところ、いずれも本発明の範囲を外れるものであり、シートが得られていたとしても、深絞り成形性の劣るものであった。
[比較例2]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を4.2NLおよびエチレン供給量を7.0kgに調整し得た、表2記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例2は、用いるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の融点が本発明の範囲(下限)を超えているため、シート(C)の剛性が不足し、得られる深絞り容器は、剛性および耐熱性の劣るものであった。
[比較例3]
実施例1のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)重合時の水素供給量を2.1NLに調整し得た、表2記載の物性を有するエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例3は、用いるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の融点が本発明の範囲の上限を超えているため、得られる深絞り容器のグロスが不足し、また、深絞り成形可能温度幅も狭いものであった。
[比較例4]
実施例1のプロピレン系重合体(B)に、日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP MA3(MFR=11.0g/10分、Tm=165℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例4は、用いるプロピレン系重合体(B)のMFRが本発明の範囲の上限を超えているため、シート(C)が成形不能であった。押出されたシート(C)の断辺の溶融張力を測定したところ、本発明の範囲を外れるものであり、シート(C)が成形できたとしても、深絞り成形性が劣るものであった。
[比較例5]
実施例1のプロピレン系重合体(B)に、日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP EA7DBT(MFR=1.0g/10分、Tm=155℃)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例5は、用いるプロピレン系重合体(B)の融点が本発明の範囲を下回っているため、シート(C)の曲げ弾性率が不足し、得られる深絞り容器は、剛性の乏しいものであった。また、深絞り成形可能温度幅も狭いものであった。
[比較例6]
実施例1のエチレン−プロピレン重合体(A)とプロピレン系重合体(B)の比率を変えた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例6は、用いるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の配合割合が本発明の範囲の下限を下回っていたため、シート(C)のヘイズが不足し、得られる深絞り容器は、視認性の乏しいものであった。
[比較例7]
実施例1のプロピレン系重合体(B)を配合しなかった以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例7は、プロピレン系重合体(B)が配合されていないため、シート(C)の曲げ弾性率が不足し、深絞り成形可能温度幅の狭いものであった。
[比較例8]
実施例1のエチレン−プロピレン共重合体(A)に、日本ポリプロ(株)社製商品名ノバテックPP EG6F(MFR=2.0g/10分、Tm=145℃、Q値=3.5:チーグラー触媒仕様)を用いた以外は、実施例1と同様の方法で評価、成形を行った。その結果を表2に示す。
比較例8は、用いるエチレン−プロピレン共重合体(A)がメタロセン触媒によって得られたものではなかったため、得られる深絞り容器のヘイズが高く、グロスが不足し、透明性が悪く、光沢の乏しいものとなった。
Figure 0004857093
表1、2から明らかなように、本発明の例示である実施例1〜8の深絞り容器は、剛性、透明性および光沢に優れたものである。一方、比較例1〜8では、例えば、比較例1は、原料のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)のMFRが大き過ぎるため、シート(C)が成形不能であり、比較例2、3の深絞り容器は、原料のエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)の融点が本発明で規定した範囲を外れているため、比較例2ではシート(C)の剛性が不足し、比較例3では、深絞り容器のグロスが不足し、また、ヘイズも高い。同様に、比較例4〜8も、シート(C)が成形不能であるか、或いは、得られた深絞り容器は、剛性が乏しい、又はグロスが不足、若しくはヘイズが高いものとなっている。
本発明の深絞り容器は、成形性、剛性、透明性および光沢に優れたものであるため、食品容器、洗剤容器、医療用容器等の各種分野の容器に用いることができ、特に、内容物を確認できる飲料食品分野などにおいて、広く用いることができる。

Claims (3)

  1. メタロセン触媒を用いて得られたメルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜7g/10分、融点が135〜150℃およびMw/Mnが2.5〜4.0であるエチレン−プロピレンランダム共重合体(A)50〜90重量%と、メルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜10g/10分および融点が160℃以上であるプロピレン系重合体(B)50〜10重量%とからなる、メルトフローレート(MFR)(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.5〜5g/10分、溶融張力が3.0g以上、ヘイズ値が30%以下、グロス値が100%以上および曲げ弾性率が2000MPa以上であるシート(C)を、熱成形することにより得られ、且つ、ヘイズ値が1.5%以下及びグロス値が140%以上であることを特徴とする深さ/口径が1倍以上である深絞り容器。
  2. シート(C)の深絞り成形可能温度幅が10℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の深絞り容器。
  3. メタロセン触媒は、ハフニウムとシクロペンタジエニル基またはシクロペンタジエニル誘導体基との錯体を使用した触媒であることを特徴とする請求項1又は2に記載の深絞り容器。
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