JP2009096846A - プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体 - Google Patents

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正人 高山
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竹弘 寒河江
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Abstract

【課題】メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体を用いながら、透明性と剛性に優れたプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体を提供すること。
【解決手段】メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体(A)100重量部に対し、下記の一般式(1)で表される造核剤(B)0.01〜1重量部と、アミド系化合物(C)0.01〜0.5重量部とを配合することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物、およびそれを用いることを特徴とする厚みが0.1mm〜3mmである成形体により提供。
【化1】
Figure 2009096846

(式中、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜18のアルキル基またはハロゲン基を表す。)。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体に関し、さらに詳しくは、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体を用いながら、透明性と剛性に優れたプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体に関する。
プロピレン系重合体は、優れた成形性、機械的特性、耐熱性、化学的な安定性を兼ね備えた汎用樹脂である。その特徴を利用すべく押出し成形、射出成形などの方法で成形加工されて使用されている。
しかしながら、プロピレン系重合体は、その高い結晶性のために、特にポリスチレン、ポリ塩化ビニール等に比較して透明性が著しく劣ると言う欠点がある。
プロピレン系重合体の透明性を改良する方法として、例えば、プロピレンとα−オレフィンとの共重合を行って結晶性を低下させ透明性を改良する方法が使用される。
プロピレンとα−オレフィンとの共重合を行って透明性を改良する方法では、α−オレフィン量を多くするほど透明性が良くなるが、製品の剛性が著しく低下するためα−オレフィンは少量しか使用できず、透明性改良効果はおのずと制限されるという問題点がある。
そこで、プロピレン系重合体にジベンジリデンソルビトール系、有機カルボン酸、有機カルボン酸の金属塩、有機リン酸金属塩等の造核剤を添加配合して透明性を改良する方法が一般に用いられている。特にジベンジリデンソルビトール系の造核剤が最も効果があり、食品、日用品等の包装製品として広く使用されている(特許文献1参照)。
また、近年、従来のチーグラー・ナッタ触媒をメタロセン系触媒に代えて得たプロピレン系重合体を用いる方法が提案されているが、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体は、チーグラー・ナッタ触媒によって製造されたものに比べ、より均一な分子量分布や組成分布を得ることができる為に、可溶成分が少なく食品や医療、電子用途に優れたものが得られることが知られている(特許文献2参照)。
しかしながら、透明性を要求させる用途においては、そのままではとても使用できるレベルではないため、造核剤のような透明性を改良する添加剤を配合して透明性を向上させる必要がある。
一方、通常、チーグラー・ナッタ触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体に対して極めて効果的に作用するジベンジリデンソルビトール系造核剤は、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体に対しては、透明性を向上させる効果が極めて小さいことがわかった。そのため、メタロセン触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体の場合、剛性に優れているという利点があるにもかかわらず、充分な透明性を持たせることができないため、使用できる用途に限界があるという欠点を有していた。
このような状況下に、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体を用いながら、優れた透明性と剛性を兼備したプロピレン系重合体組成物とそれを用いてなる成形体の研究開発が求められている。
特開平4−339847号公報 特開平9−296084号公報
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体を用いながら、透明性と剛性に優れたプロピレン系重合体組成物およびそれを用いてなる成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体に対し、特定の造核剤と特定の添加剤とを併用して、それぞれを特定の割合で配合することにより、剛性を有しながら透明性に優れたプロピレン系重合体組成物およびそれを用いてなる成形体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体(A)100重量部に対し、下記の一般式(1)で表される造核剤(B)0.01〜1重量部と、アミド系化合物(C)0.01〜0.5重量部とを配合することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
Figure 2009096846
(式中、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜18のアルキル基またはハロゲン基を表す。)
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系重合体(A)が、プロピレン含量99.9〜90重量%のプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第2の発明において、α−オレフィンが、エチレンであることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、アミド系化合物(C)が、飽和又は不飽和の脂肪酸アミド、飽和又は不飽和の脂肪酸ビスアミド、あるいは高級脂肪酸アルカノールアミドから選ばれるいずれか一種、またはそれらの混合物であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、アミド化合物(C)の炭素数が8〜18であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、0.5mm厚シートのヘイズ値(HAZE値)が5以下であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明に係るプロピレン系樹脂組成物を用いることを特徴とする、厚みが0.1mm〜3mmである成形体が提供される。
また、本発明の第8の発明によれば、第7の発明において、押出しシート成形によって得られることを特徴とする成形体が提供される。
また、本発明の第9の発明によれば、第7の発明において、射出成形によって得られることを特徴とする成形体が提供される。
本発明のプロピレン系重合体組成物およびそれを用いてなる成形体は、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体を用いながら、剛性および透明性に極めて優れているので、食品、日用品等の包装製品に加え、医療、電子用途等に用いられる。
本発明は、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体100重量部に対し、下記一般式(1)で表される造核剤を0.01〜1重量部、アミド系化合物を0.01〜0.5重量部配合されることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体である。
Figure 2009096846
(式中、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜18のアルキル基またはハロゲン基を表す。)
以下、本発明の組成物を構成する構成成分やその製造方法、さらにはそれを用いた成形体の製造方法等について詳細に説明する。
[1][構成成分]
1.プロピレン系重合体(A)
本発明で用いられるプロピレン系重合体のMFRは、0.1〜100g/10分が好ましく、0.3〜60g/10分がさらに好ましく、0.4〜50/10分が特に好ましい。MFRが上記を下回ると成形加工時の表面が荒れて製品の外観が損なわれ、MFRが上記を上回ると製品の衝撃強度が低下する。
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、プロピレン単独重合体でも良いが、プロピレン含量が90〜99重量%のプロピレンとαーオレフィンとのランダム或いはブロック共重合体が好ましい。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、混合して使用しても差し支えない。
αーオレフィンとしては、エチレン、ブテンー1、ペンテンー1、ヘキセンー1、4ーメチルーペンテンー1等を用いることができる。中でもプロピレンとエチレンとのランダム共重合体が好ましい。プロピレンとエチレンとのランダム共重合体では、エチレン含量は、0.1〜10重量%が好ましく、0.2〜5重量%がさらに好ましく、0.4〜3.5重量%が特に好ましい。エチレン含量が0.1重量%を下回ると製品の衝撃強度が損なわれ、エチレン含量が10重量%を上回ると製品の剛性が低下する。
(プロピレン系重合体の製造方法)
本発明で用いられるプロピレン系重合体は、メタロセン系触媒を使用して製造されるものである。本発明で使用するメタロセン触媒としては、下記の成分(a)および(b)からなる触媒、又は、必要に応じて(a)、(b)に加えて、更に成分(c)を組み合わせて得られるものを例示することができる。
成分(a):下記の構造式(I)で表される遷移金属錯体化合物
成分(b):助触媒(遷移金属錯体化合物(a)と反応させることにより、該遷移金属錯体化合物(a)を活性化することのできる化合物)
成分(c):有機アルミニウム化合物
Figure 2009096846
(構造式(1)中、AおよびA’は共役五員環を含む配位子である。Aおよび/またはA’は共役五員環以外の副環を有していてもよく、好ましくはアズレニル基である。Qは架橋基であり、好ましくはアルキレン基、ジアルキルシリレン基、ジアルキルゲルミレン基、シラフルオレン基である。Mは周期律表4〜6族、好ましくは4族の遷移金属原子、さらに好ましくは、ジルコニウム、ハフニウムである。XおよびYは、ハロゲン原子若しくは炭化水素基などのσ性配位子である。)
成分(b)の助触媒は、遷移金属錯体化合物を活性化する成分であって、遷移金属錯体化合物の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させうる化合物である。
具体的には、下記(b−1)〜(b−4)の化合物が挙げられる。
(b−1)アルミニウムオキシ化合物
(b−2)遷移金属錯体化合物(a)と反応して遷移金属錯体化合物(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
(b−3)固体酸
(b−4)イオン交換性層状化合物
(b−1)アルミニウムオキシ化合物の具体的例示としては、公知のアルモキサン化合物を例示することができる。より具体的には、メチルアルモキサン、エチルアルモキサン、プロピルアルモキサン、ブチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルエチルアルモキサン、メチルブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン等が例示される。
(b−2)の化合物としては、公知のホウ素化合物が例示でき、より具体的には、トリアルキルアルミニウムとアルキルボロン酸との反応物、例えば、トリメチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1の反応物、トリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の2:1反応物、トリメチルアルミニウムとトリイソブチルアルミニウムとメチルボロン酸の1:1:1反応物、トリエチルアルミニウムとブチルボロン酸の2:1反応物等が例示される。(b−2)の他の例示としてはイオン性化合物が例示でき、より具体的には、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素等の有機ホウ素化合物との錯化物等が挙げられる。
(b−3)の固体酸としては、シリカとアルミナをいろいろな割合で混合したシリカ−アルミナ、シリカ−マグネシア、通常の酸を担体に付着させた固形化酸(例えば、シリカゲルやアルミナに硫酸、リン酸などを付着させたもの)、酸化アルミニウム、酸化バナジウムなどの無機化合物、ヘテロポリ酸やイソポリ酸などのポリ酸類が挙げられる。
(b−4)のイオン交換性層状化合物としては、モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライト等のスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などの珪酸酸塩が用いられる。これらのケイ酸塩は化学処理を施したものであることが好ましい。ここで化学処理とは、表面に付着している不純物を除去する表面処理と層状ケイ酸塩の結晶構造、化学組成に影響を与える処理のいずれをも用いることができる。具体的には、(イ)酸処理、(ロ)アルカリ処理、(ハ)塩類処理、(ニ)有機物処理等が挙げられる。これらの処理は、表面の不純物を取り除く、層間の陽イオンを交換する、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させ、その結果、イオン複合体、分子複合体、有機誘導体等を形成し、表面積や層間距離、固体酸性度等を変えることができる。これらの処理は単独で行ってもよいし、2つ以上の処理を組み合わせてもよい。
成分(c)は、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等の有機アルミニウム化合物が例示される。
これらの(a)〜(c)の組合せからなるメタロセン触媒の詳細な製造方法や各成分の具体的な例示は、例えば、特開平10−226712号公報、特開平11−240909号公報に開示がある。
<触媒の形成>
成分(a)、成分(b)ならびに必要に応じて用いられる成分(c)からなるメタロセン触媒は、重合槽内であるいは重合槽外で、重合させるべきモノマーの存在下あるいは不存在下に接触させることにより調製することができる。
また、上記触媒は、オレフィンの存在下で予備重合を行ったものであっても良い。予備重合に用いられるオレフィンとしては、プロピレン、エチレン、1−ブテン、3−メチルブテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン等が用いられる。
<重合>
本発明に用いられるプロピレン系重合体の重合は、メタロセン触媒と所要のモノマーとを混合接触させることにより行われる。反応系中の各モノマーの量比は、経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも便利であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、共重合反応比を考慮してモノマーのいずれかを分割添加することもできる。
重合様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式の方法を採用することができる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク法、溶液重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーを実質的にガス状に保つ気相法を採用することができる。
また、連続重合、回分式重合にも適用される。スラリー重合の場合には、重合溶媒としてヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族または芳香族炭化水素の単独あるいは混合物を用いることができる。
重合時条件としては、重合温度が−10〜160℃、好ましくは0〜150℃であり、そのときの分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。また、重合圧力は0〜9MPaG、好ましくは0〜6MPaG、特に好ましくは1〜5MPaGが適当である。
プロピレン系重合体は、上述の方法によって得られるもののほか市販品を使用することができる。市販品としては、例えば、日本ポリプロ社製ウインテック(商品名)シリーズを使用することができる。
2.造核剤(B)
本発明で使用される造核剤(B)は、下記の一般式(1)を有する化合物である。
Figure 2009096846
(式中、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜18のアルキル基またはハロゲン基を表す。)
これらの化合物としては、1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1・3−p−クロルベンジリデン−2・4−p−メチルべンジリデンソルビトール、1・3,2・4−ビス(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1・3,2・4−ビス(3・4−ジメチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系造核剤を挙げることができる。これらは、2種以上の混合物として用いても良い。
該ソルビトール系造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、新日本理化(株)社製ゲルオールMDやミリケン社製のミラード3988を挙げることができる。
3.アミド系化合物(C)
本発明で使用されるアミド系化合物(C)には、飽和または不飽和の脂肪酸アミド、脂肪酸ビスアミド、高級脂肪酸アルカノールアミドが好適であり、それらは混合して用いられても良い。従来使用されるチーグラー・ナッタ触媒によって製造されるプロピレン系重合体に優れた透明性を与えることのできる前記造核剤も、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体に対しては、充分な効果を与えることができなかったが、驚くべきことに、該アミド系化合物を併用することにより、チーグラー・ナッタ触媒によって製造されるプロピレン系重合体よりもさらに優れた透明性を与えることができることを見出した。
脂肪酸アミドとしては、飽和脂肪酸または不飽和脂肪酸のモノアミドもしくはビスアミドが好ましく、具体的には、ラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等のモノアミドまたはこれらの混合物などが挙げられる。また、脂肪酸アミドとして、N−オレイルパルチミン酸アミドの如き2級アミドを用いることもできる。中でも、炭素数8〜18の脂肪酸アミドが好ましい。炭素数が8未満では、熱安定性が不足し、炭素数18を越えると製品の表面にブリードした脂肪酸アミドが白化しやすく透明性阻害の原因となり望ましくない。
脂肪酸ビスアミドとしては、N,N−メチレンビスアミドまたはN、Nーエチレンビスアミドを主体とするもので、その中でラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のメチレンビスアミドまたはラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のエチレンビスアミド、およびこれらの混合物などが挙げられる。中でも、炭素数8〜18の脂肪酸アミドが好ましい。炭素数が8未満では、熱安定性が不足し、炭素数18を越えると製品の表面にブリードした脂肪酸ビスアミドが白化しやすく透明性阻害の原因となり望ましくない。
高級脂肪酸アルカノールアミドとしては、CからC18の脂肪酸アルカノールアミド、具体的にはステアリルジエタノールアミド、ラウリルジエタノールアミドなどが挙げられる。中でも、炭素数8〜18の脂肪酸アミドが好ましい。炭素数が8未満では、熱安定性が不足し、炭素数18を越えると製品の表面にブリードした高級脂肪酸アルカノールアミドが白化しやすく透明性阻害の原因となり望ましくない。
該アミド系化合物としては、市販のものを用いることができる。具体的には、脂肪酸アミドとしては日本化成社製ニュートロン、ニュートロン2等、脂肪酸アルカノールアミドとしてはミヨシ油脂社製ネオダスパーLA−2000P、花王社製エレクロトストリッパーHS12等を挙げることができる。
4.その他の添加剤
本発明では、これらの必須成分の他に付加的成分を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。それらの付加的成分としては、通常のポリプロピレンに用いられる酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、分子量調整剤(過酸化物)、核剤、着色剤、中和剤、各種フィラー等の各種助剤、プロピレン単独あるいは他のα−オレフィンとの共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン等の他の重合体、各種熱可塑性エラストマー、無機または有機充填剤等を挙げることができる。
5.各成分の配合割合
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体(A)、造核剤(B)およびアミド系化合物(C)の配合割合は、以下のとおりであることが必要である。
造核剤(B)の配合量は、プロピレン系重合体(A)100重量部(メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体以外の重合体が配合される場合は、それらを併せて100重量部とする。)に対し、0.01〜1重量部、好ましくは0.03〜0.7重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。該造核剤の配合量が、0.01重量部を下回ると得られる製品の透明性が充分でなく、1重量部を上回るとそれ以上の効果が期待できず経済的に不利となる。
また、アミド系化合物(C)の配合量は、プロピレン系重合体(A)100重量部(メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体以外の重合体が配合される場合は、それらを併せて100重量部とする。)に対し、0.01〜0.5重量部、好ましくは0.02〜0.3重量部、さらに好ましくは0.03〜0.2重量部である。アミド系化合物の配合量が0.01重量部を下回ると製品の透明性が充分でなく、0.5重量部を上回るとそれ以上の効果が期待できず経済的に不利となるばかりか成形体表面へのブリードアウトにより返って透明性が阻害される。
6.組成物とその製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物の製造方法は、上記成分の添加順序や用いる装置に特に限定されないが、一般に使用されるヘンシェルミキサー、Vブレンター、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー又は押出機の如き通常の混合機または混錬機を用いて所定時間混合し、通常の押出機にて粒状とする方法が好ましい。
又、本発明の組成物は、造核剤(B)およびアミド系化合物(C)を目的とする配合量よりあらかじめ多く配合しておき、成形体の製造前にプロピレン系重合体で目的量に希釈する所謂マスターバッチの方式を取ることもできる。
一方、本発明のプロピレン系樹脂組成物は、0.5mm厚シートのHAZE値が5以下であることが望ましい。HAZE値がこの範囲であると、透明性の必要とする食品日用品の包装や医療電子部品の分野に好適に利用できる。
6.成形体とその製造方法
本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いてなる成形体の厚みは、0.1〜3mmであることが好ましく、0.12〜2.5mmがさらに好ましく、0.15〜2mmが特に好ましい。
厚みが0.1mmを大きく下回る場合は、製品の剛性が損なわれ、厚みが3mmを大きく上回る場合は、成形体の透明性が充分ではなくなる。
本発明のプロピレン系樹脂組成物を用いてなる成形体は、押出しシート成形、カレンダー成形、中空成形、射出成形等の方法によって得られる。
押出しシート成形としては、単軸又は二軸のスクリュー押出機を通してコートハンダーダイからシート状に押出される。押出されたシートは(内部で冷却水や油が循環している)金属ロール表面にエアーナイフ、エアーチャンバー、硬質ゴムロール、スチールベルト、金属ロールにて押さえつけ冷却固化されてシートに製造される。又、シート両面をスチールベルトで挟んで冷却固化することもできる。
押出しシート成形は、単層の他に多層シートも使用できる。多層シートとは、本発明のプロピレン系樹脂組成物の押出機に加え、複数の押出機を用い、フィードブロックやマルチマニホールドを用いてガスバリア樹脂層、接着樹脂層、再生樹脂層、華燭樹脂層、等を重ねた多層シートとすることが出来る。
さらに、押出しシート成形、カレンダー成形されたシートは真空成形、真空圧空成形等の熱成形により各種成形体に加工することができる。
本発明のプロピレン系重合体組成物およびそれを用いてなる成形体は、剛性および透明性に極めて優れているので、ディスプレー効果の特に必要な食品、化粧品、日用品の包装製品や、ICチップや液晶パネルなど電子部品の梱包トレー、プラスチックダンボール、ディスプレー用の箱などの産業部材に最適である。
以下、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、各実施例および比較例で用いた物性値の測定方法、評価法は、以下のとおりである。
1)融点
融点の測定は、示差走査型熱量計を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度を測定することによって行われた。
2)MFR
MFRは、JISーK7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
3)引張弾性率
引張弾性率は、厚み0.5mmのシートに対して成形1日後にJIS−K7127に準拠して測定した。
4)ヘイズ値(HAZE値)
HAZEは、厚み0.5mmのシートに対して成形1日後にJISーK7136に準拠して測定した。具体的な測定手順としては、シートそのままで全HAZEを測定し、シート両面にニコン社のイマージョンオイルを塗り付けてスライドグラスで挟んだ後、内部HAZEを測定した。
5)エチレンの含量
エチレンの含量は、下記の条件の13C−NMR法によって計測された値である。
装置:日本電子社製 JEOL−GSX270
濃度:300mg/2mL
溶媒:オルソジクロロベンゼン
(実施例1)
(1)触媒の製造
攪拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,700gを投入し、98%硫酸500gを滴下した。そこへ、平均粒径18μmに造粒したモンモリロナイト(原料として水澤化学工業社製、ベンクレイSLを用いた)を300g添加後、攪拌した。その後90℃で2時間反応させた。このスラリーをろ過、洗浄した。回収したケーキに27%硫酸リチウム水溶液1,230gを加え、90℃で2時間反応させた。このスラリーをろ過し、さらに、ろ液のpHが4以上となるまで洗浄した。回収したケーキを100℃で予備乾燥した後に200℃で2時間乾燥した。その結果、275gの化学処理モンモリロナイトを得た。
1Lフラスコに、化学処理モンモリロナイト20gを加え、ヘプタン129mlとトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液71ml(50mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mlに調製した。さらに、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液3ml(1mmol)を加えて、10分間室温で攪拌した。
200mlフラスコ中で、(r)−ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム(300μmol)にヘプタン(50ml)を加えてスラリーとした後、上記1Lフラスコに加えて室温で60分間攪拌した。その後、ヘプタン181mlを加えて触媒スラリーを調製した。
(2)予備重合
窒素で十分置換を行った内容積1.0Lの撹拌式オートクレーブに、上記触媒スラリーを全量導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロプレンの供給を停止し、さらに1時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ、十分窒素置換を行った1Lフラスコにスラリーを抜き出した。このスラリーを減圧乾燥して予備重合触媒を63.4g回収した。
(3)重合
内容積200Lの誘導撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、十分に脱水処理した液化プロピレン45kgを導入し30℃に保持した。これに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液470ml(50g/l)を加えた。水素2.0NL、エチレンを0.9kg導入し、上記予備重合触媒1.7gをアルゴンで圧入した。温度65℃まで40分かけて昇温し、65℃で2時間反応させた。また、この間水素を0.12g/hrの定速で導入した。その後、エタノール100mlを圧入して、反応を停止させ、残ガスをパージした。その結果、18.4kgのプロピレン系重合体(A)が得られた。該重合体のMFRは、1.4g/10min、エチレン含量1.3重量%であった。
(4)組成物の製造
このようにして得られたプロピレン系重合体(A)100重量部に対し、酸化防止剤として〔テトラキス(3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート)〕メタン0.05重量部(商品名:チバスペシャリティケミカル(株)製イルガノックスRA1010)とトリス(ジブチルフェニル)フォスファイト(商品名:チバスペシャリティケミカル(株)製イルガフォス168)0.1重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウム0.05重量部、造核剤としてミリケン社製のミラード3988(1,3:2,4−ジ(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール)を0.2重量部、アミド系化合物としてオレイン酸アミド(商品名:日本化成社製ニュートロン)0.05重量部を添加してヘンシェルミキサーにて混合しプロピレン系樹脂組成物を得た後、260℃に加熱されたスクリュー径が50mmの押出機にて押出し粒状物とした。
(5)成形体の製造
上記粒状物を230℃に加熱されたスクリュー径35mmの押出シート成形機にて幅400mm、ダイリップ間隔0.8mmのコートハンガーダイから水平方向に押出し、40℃の水が内部で循環している鏡面加工された硬質クロムメッキの金属ロールで挟んで冷却固化し、厚み0.5mmのシートを製造した。得られたシート成形体の物性の測定結果を第1表に示す。
(実施例2〜5)
配合物およびその添加量を第1表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。その結果を第1表に示す。
(比較例1〜9)
配合物およびその添加量を第2表の通りに変更した以外は、実施例1と同様にして評価した。その結果を第2表に示す。
Figure 2009096846
プロピレン系重合体A:メタロセン系触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR=1.4g/10min,エチレン含量=1.3重量%)
プロピレン系重合体B:メタロセン系触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR=2.0g/10min,エチレン含量=3.2重量%、日本ポリプロ社製ウィンテック「WFX6」)
ゲルオールMD:1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール
ネオダスパーLA−2000P:ラウリルジエタノールアミド
Figure 2009096846
プロピレン系重合体A:メタロセン系触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR=1.4g/10min,エチレン含量=1.3重量%)
プロピレン系重合体C:チーグラーナッタ系触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体
(MFR=1.9g/10min,エチレン含量=3.1重量%、日本ポリプロ社製ノバテックPP「EG6D」)
プロピレン系重合体D:チーグラーナッタ系触媒で製造されたプロピレン単独重合体(MFR=1.4g/10min、日本ポリプロ社製ノバテックPP「EA7A」)
ゲルオールMD:1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(新日本理化社製)
アデカスタブNA11:造核剤 リン酸2,2’ーメチレンビス(4,6ージーt−ブチルフェニル)ナトリウム(ADEKA社製)
(実施例6)
(1)触媒の製造
攪拌翼と還流装置を取り付けた3Lセパラブルフラスコに、純水700gを投入し、98%硫酸500gを滴下した。そこへ、平均粒径18μmに造粒したモンモリロナイト(原料として水澤化学工業社製、ベンクレイSLを用いた)を300g添加後、攪拌した。その後90℃で8時間反応させた。このスラリーをろ液のpHが4以上となるまでろ過、洗浄した。回収したケーキを100℃で予備乾燥した後に200℃で2時間乾燥した。その結果、210gの化学処理モンモリロナイトを得た。
1Lフラスコに、化学処理モンモリロナイト20gを加え、ヘプタン73mlとトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液127ml(50mmol)を加え、室温で1時間攪拌した。その後ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mlに調製した。
200mlフラスコ中で、(r)−ジメチルシリレンビス[1,1’−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム(300μmol)にヘプタン85mlを加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液1ml(0.7mmol)を加えて、30分間室温で攪拌した。上記1Lフラスコに加えて室温で60分間攪拌した。その後、ヘプタン220mlを加えた。
(2)予備重合
窒素で十分置換を行った内容積1.0Lの撹拌式オートクレーブに、上記スラリーを全量導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロプレンの供給を停止し、さらに1時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ、十分窒素置換を行った1Lフラスコにスラリーを抜き出した。このスラリーを減圧乾燥して予備重合触媒を64.3g回収した。
(3)重合
内容積200Lの誘導撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで十分置換した後に、十分に脱水処理した液化プロピレン45kgを導入し30℃に保持した。これに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液470ml(50g/l)を加えた。水素1.5NL、エチレン0.45kgを導入し、上記予備重合触媒2.0gをアルゴンで圧入した。温度65℃まで40分かけて昇温し、65℃で2時間反応させた。また、この間水素を0.09g/hrの定速で導入した。その後、エタノールを100ml圧入して、反応を停止させ、残ガスをパージした。その結果、12.5kgのプロピレン系重合体Eが得られた。該重合体のMFRは7.6g/10min、エチレン含量0.8重量%であった。
(4)組成物の製造
このようにして得られたプロピレン系重合体E100重量部に対し、酸化防止剤として〔テトラキス(3,5−ジ−t−ブチルフェニルプロピオネート)〕メタン0.05重量部(商品名:チバスペシャリティケミカル(株)製イルガノックスRA1010)とトリス(ジブチルフェニル)フォスファイト(商品名:チバスペシャリティケミカル(株)製イルガフォス168)0.05重量部、中和剤としてステアリン酸カルシウム0.05重量部、造核剤としてゲルオールMD(新日本理化社製ソルビトール系造核剤:1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール)を0.2重量部、アミド系化合物としてオレイン酸アミド(商品名:日本化成社製ニュートロン)0.05重量部を添加してヘンシェルミキサーにて混合しプロピレン系樹脂組成物を得た後、220℃に加熱されたニ軸押出機(東芝機械社製 TEM−35)にて押出し粒状物とした。
(5)成形体の製造
上記粒状物を、射出成形機(東芝機械社製 EC−100)を用い、樹脂温度220℃の条件化で射出成形を行い、HAZEについては、長さ100mm×幅100mm×厚み1mmの平板の試験片を作成し、成形1日後に測定を行い、曲げ弾性率については、厚み4mmの試験片を作成し、成形1日後に、JIS K7203に準拠して測定した。その結果を第3表に示す。
比較例10〜12
配合物およびその添加量を第3表の通りに変更した以外は、実施例6と同様にして評価した。その結果を第3表に示す。
Figure 2009096846
プロピレン系重合体E:メタロセン系触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体(MFR=7.6g/10min,エチレン含量=0.8重量%)
プロピレン系重合体F:チーグラーナッタ系触媒で製造されたプロピレン−エチレンランダム共重合体
(MFR=8.0g/10min、エチレン含量=2.5重量% 日本ポリプロ社製ノバテックPP「MG3F」 )
これらの結果より明らかなように、実施例1〜5では、本願発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた成形体(シート)は、引張弾性率が高く(剛性が強く)、HAZE値が小さく(透明性に優れ)ものであることが解る。実施例2は、エチレン含量が高いプロピレン系重合体Bを用いていることから、得られるシートの融点と引張弾性率が低いが、HAZEに極めて優れており、剛性に対する透明性という観点から判断すると極めてバランスの良い材料と言える。実施例5からも解るように、プロピレン系重合体Aとプロピレン系重合体Bをブレンドすることにより、剛性と透明性との良好なバランスを保ったまま、所望の成形体を得ることが可能である。
これに対し、比較例1は、本願で特定する造核剤とアミド系化合物を配合しないプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、剛性を向上させることができず、透明性が極めて悪いものであった。
比較例2は、本願で特定するアミド系化合物を配合しないプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、透明性を充分に向上させることができないものであった。本願で特定する造核剤のみでは、優れた透明性を得ることはできない。
比較例3は、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体Cに対し、本願で特定する造核剤とアミド系化合物を配合しないプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、充分な剛性を得ることができず、透明性も極めて悪いものであった。
比較例4、5は、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体Cに対し、本願で特定するアミド系化合物を配合しないプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、本願で特定する造核剤を用いても充分な剛性を得ることができないものであった。チーグラーナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体は、メタロセン系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体に比べ、本願で特定する造核剤を用いることによる透明性の向上効果は優れているが、本願の成形体に比べると透明性が劣ることがわかる。
比較例6は、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン単独重合体Dを用いたプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、剛性が高いが透明性が極めて悪いものであった。
比較例7は、本願で特定する構造とは異なる造核剤を配合し、本願で特定するアミド系化合物を配合しないプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、本願で特定する造核剤を配合したもの(比較例2)に比べ、剛性と透明性が格段に向上しているが、本願の成形体に比べると透明性が劣ることがわかる。
比較例8は、本願で特定する構造とは異なる造核剤を配合したプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、剛性と透明性が格段に向上しているが、比較例7と比べても解るように、本願で特定するアミド系化合物の効果は全くみられず、本願の成形体に比べると透明性が劣るものであることがわかる。メタロセン系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体に対しては、この組み合わせは全く意味のないものであることが解る。
比較例9は、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体Cを用いたプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、充分な剛性と透明性が得られないものであった。比較例4と比べると明らかなように、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体には、本願で特定するアミド系化合物が全く効果を奏していないことが明らかである。
比較例10は、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体に対し、本願で特定する構造とは異なる造核剤を配合し、本願で特定するアミド系化合物を配合しないプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、充分な剛性と透明性を得ることができないものであった。
また、実施例6は、本願発明のプロピレン系樹脂組成物から得られた成形体(射出成形体)は、曲げ弾性率が高く(剛性が強く)、HAZE値が小さく(透明性に優れ)ものであることが解る。
これに対し、比較例11は、本願で特定するアミド系化合物を配合しないプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、剛性を向上させることができず、透明性が極めて悪いものであった。
比較例12は、本願で特定する造核剤とアミド系化合物を配合しないプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、比較例12に比べ、さらに剛性と透明性が悪化するものであった。
比較例13は、チーグラーナッタ系触媒を用いて製造したプロピレン系重合体Fを用いたプロピレン系樹脂組成物であり、これから得られる成形体は、充分な剛性と透明性が得られないものであった。
以上、説明したように、本発明のプロピレン系樹脂組成物およびそれを用いてなる成形体は、剛性と透明性にバランスよく優れている。また、用いるプロピレン系重合体のエチレン含量を調整したり、それらを組み合わせることによって、剛性と透明性との良好なバランスを保ったまま、剛性を高くしたり、透明性をさらに良くする方向に自由に調整ができるため、食品日用品の包装や医療電子部品の分野に好適に使用することができる。

Claims (9)

  1. メタロセン系触媒を使用して製造されたプロピレン系重合体(A)100重量部に対し、下記の一般式(1)で表される造核剤(B)0.01〜1重量部と、アミド系化合物(C)0.01〜0.5重量部とを配合することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    Figure 2009096846
    (式中、R、Rは、各々水素原子、炭素数1〜18のアルキル基またはハロゲン基を表す。)
  2. プロピレン系重合体(A)が、プロピレン含量99.9〜90重量%のプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. α−オレフィンが、エチレンであることを特徴とする請求項2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. アミド系化合物(C)が、飽和又は不飽和の脂肪酸アミド、飽和又は不飽和の脂肪酸ビスアミド、あるいは高級脂肪酸アルカノールアミドから選ばれるいずれか一種、またはそれらの混合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. アミド化合物(C)の炭素数が8〜18であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  6. 0.5mm厚シートのヘイズ値(HAZE値)が5以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロピレン系樹脂組成物を用いることを特徴とする、厚みが0.1mm〜3mmである成形体。
  8. 押出しシート成形によって得られることを特徴とする請求項7に記載の成形体。
  9. 射出成形によって得られることを特徴とする請求項7に記載の成形体。
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