JP2016145303A - プロピレン系ランダム共重合体組成物及びその成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
[1]
プロピレン系ランダム共重合体(a)及び水添ブロック共重合体(b)を含むプロピレン系ランダム共重合体組成物であって、
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)中のプロピレン単位の含有量が98質量%未満であり、
前記水添ブロック共重合体(b)が、少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA、及び、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを有し、
前記水添ブロック共重合体(b)中の全芳香族ビニル化合物単位の含有量が8〜25質量%であり、
前記重合体ブロックAが、前記水添ブロック共重合体(b)に含まれる全芳香族ビニル化合物単位中の91質量%以上を30連鎖以上のブロックとして有する重合体ブロックA1を含み、
前記水添ブロック共重合体(b)の全共役ジエン化合物単位中の水素添加前の1,2−結合量と3,4−結合量との合計が68〜95モル%であり、
前記水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位の80モル%以上が水素添加され、
前記水添ブロック共重合体(b)のメルトフローレートが0.1〜12g/10分であり、
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)の含有量と、水添ブロック共重合体(b)の含有量の質量比〔(a)/(b)〕が10/90〜95/5である、プロピレン系ランダム共重合体組成物。
[2]
前記水添ブロック共重合体(b)中の全芳香族ビニル化合物単位の含有量が10〜20質量%である、[1]に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[3]
前記重合体ブロックA1が、前記水添ブロック共重合体(b)に含まれる全芳香族ビニル化合物単位中の91質量%以上を40連鎖以上のブロックとして有する、[1]又は[2]に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[4]
前記水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位中の水素添加前の1,2−結合量と3,4−結合量との合計が70〜93%であり、
水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位の90%以上が水素添加されている、[1]〜[3]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[5]
前記水添ブロック共重合体(b)中の前記重合体ブロックAの分子量分布(Mw/Mn)が1.01〜1.50である、[1]〜[4]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[6]
前記水添ブロック共重合体(b)中の、前記重合体ブロックA1の含有量が3〜13質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[7]
前記水添ブロック共重合体(b)が、前記有機リチウム化合物を含む開始剤と、下記(c)と、下記(d)と、を共存させることにより共重合されたものであり、
前記(c)と前記有機リチウム化合物のモル比((c)/有機リチウム化合物)が0.2以上3.0未満であり、
前記(d)と前記有機リチウム化合物のモル比((d)/有機リチウム化合物)が0.01以上0.3以下である、[1]〜[6]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物:
(c)酸素原子を2個以上有するエーテル系化合物(c−1)又は、第3級アミン化合物(c−2);
(d)アルカリ金属アルコキシド。
[8]
前記水添ブロック共重合体(b)の重量平均分子量が130,000〜300,000である、[1]〜[7]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[9]
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)が、プロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体であり、
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)中のプロピレン単位の含有量が60質量%以上98質量%未満であり、
前記エチレン又はα−オレフィン単位の含有量が2質量%超40質量%未満である、[1]〜[8]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[10]
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体及びプロピレン−エチレン−1−ブテン三元ランダム共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、[1]〜[9]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[11]
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)のメルトフローレートが1〜30g/10分である、[1]〜[10]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[12]
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)が、メタロセン系触媒により重合されたものであり、かつ、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上3.5以下である、[1]〜[11]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[13]
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)の含有量と、前記水添ブロック共重合体(b)の含有量の質量比〔(a)/(b)〕が55/45〜95/5である、[1]〜[12]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[14]
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)の含有量と、前記水添ブロック共重合体(b)の含有量の質量比〔(a)/(b)〕が10/90〜45/55である、[1]〜[12]のいずれかに記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
[15]
[13]に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含む、成形体。
[16]
[14]に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含む、成形体。
[17]
[15]に記載の成形体を有する、シート。
[18]
[15]に記載の成形体を有する、フィルム。
[19]
[16]に記載の成形体を有する、チューブ。
以下、「単位」とは、対象の化合物が重合した結果生じる化合物一個当たりの単位である。
また、「ランダム」とは、プロピレンとプロピレン以外のモノマーを共重合したもので、プロピレン以外のモノマーがプロピレン連鎖中にランダムに取り込まれ、実質的にプロピレン以外のモノマーが連鎖しないものをいう。
本実施形態に用いる第1の成分であるプロピレン系ランダム共重合体(a)としては、プロピレン単位の含有量が98質量%未満であれば特に限定されない。プロピレン系ランダム共重合体(a)の好適な例としては、プロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体などが挙げられる。プロピレン系ランダム共重合体(a)としてプロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体を用いる場合、柔軟性、透明性、耐衝撃性及び耐キンク性がより良好となる傾向にある。上記α−オレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセンなどが挙げられる。好ましくは、炭素数2〜8のα−オレフィンであり、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。これらのα−オレフィンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、プロピレン系ランダム共重合体(a)も1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記プロピレン系ランダム共重合体(a)の中でも、得られるプロピレン系ランダム共重合体組成物及びそれを含むチューブ状成形体、シート状成形体の柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐キンク性の観点から、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体及びプロピレン−エチレン−1−ブテン三元ランダム共重合体からなる群より選択される少なくとも1つを用いることがより好ましい。
本実施形態に用いられる第2の成分である水添ブロック共重合体(b)は、少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA、及び、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを有する。すなわち、水添ブロック共重合体(b)は、少なくとも2個の重合体ブロックAと少なくとも1個の重合体ブロックBを有するブロック共重合体が水素添加された水添ブロック共重合体ということができる。
ここで、「主体とする」とは、対象の単量体単位を対象の重合体ブロック中に、91質量%以上含むことをいい、得られるポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを含むチューブ状成形体、シート状成形体の低べたつき性、引裂き強さ、耐衝撃性、耐キンク性、歪回復性の観点から、好ましくは92質量%以上、より好ましくは93質量%以上、更に好ましくは95質量%以上である。
また、ビニル芳香族単量体単位とは、ビニル芳香族化合物が重合した結果生じる、ビニル芳香族化合物1個当たりの単位である。共役ジエン化合物単位とは、共役ジエン化合物が重合した結果生じる、共役ジエン化合物1個当たりの単位である。
また、得られるプロピレン系ランダム共重合体組成物及びそれを含むチューブ状成形体、シート状成形体の柔軟性、透明性、低べたつき性、歪回復性の観点からは、後述する重合体ブロックA1の含有量が3〜13質量%であることが好ましく、4〜10質量%であることがより好ましく、5〜9質量%であることがさらに好ましい。
さらに、水添ブロック共重合体(b)中の、重合体ブロックBの含有量(重合体ブロックBの合計量)は75〜92質量%であることが好ましく、80〜90質量%であることがより好ましく、82〜90質量%であることがさらに好ましい。
重合体ブロックA及び重合体ブロックBの含有量は後述する実施例記載の方法で測定することができる。
重合体ブロックAの分子量分布は後述する水添ブロック共重合体(b)の製造方法によって制御することができ、後述する実施記載の方法で測定することができる。
本実施形態において、重合体ブロックAは、水添ブロック共重合体(b)に含まれる全芳香族ビニル化合物単位の91質量%以上を30連鎖以上のブロックとして有する重合体ブロックA1を含むものである。得られるポリプロピレン系樹脂組成物及びそれを含むチューブ状成形体、シート状成形体の低べたつき性、引裂き強さ、耐衝撃性、耐キンク性、歪回復性の観点から、30連鎖以上のブロックとして重合体ブロックA1に含有される芳香族ビニル化合物単位の割合は93%以上が好ましく、95%以上がより好ましく、97%以上が更に好ましい。
また、重合体ブロックA1における芳香族ビニル化合物単位の連鎖量は上記同様の観点から、35連鎖以上であることが好ましく、40連鎖以上がより好ましく、45連鎖以上が更に好ましい。
ここで、水添ブロック共重合体(b)における全芳香族ビニル化合物単位中の、重合体ブロックAに含有される芳香族ビニル化合物単位の割合(重合体ブロックAのブロック率)は紫外線分光光度とオスミウム分解法から測定できる。また、芳香族ビニル化合物単位の連鎖量は、オゾン分解法により測定できる。詳細は後述する実施例に記載する。なお、本実施形態において、芳香族ビニル化合物単位の連鎖の数を連鎖量とし、特定量の連鎖を構成する芳香族ビニル化合物単位の含有量を連鎖率とする。
水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位の水素添加率、すなわち共役ジエン化合物単位に由来する炭素−炭素二重結合の水素添加率は80%以上であり、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
水素添加率が80%以上の場合は、プロピレン系ランダム共重合(a)との溶解パラメータ値が近づき、分散が良好になるため、得られるプロピレン系ランダム共重合体組成物及びそれを含むチューブ状成形体、シート状成形体の柔軟性、透明性、低べたつき性、耐キンク性、歪回復性が向上する傾向にある。この水素添加率は、プロトン核磁気共鳴(H1−NMR)法により測定できる。詳細は後述する実施例に記載する。
また、水素添加率は、例えば、水素添加時の触媒量によって、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって、それぞれ制御することができる。
とりわけ、水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位中の水素添加前の1,2−結合量と3,4−結合量との合計が70〜93%であり、かつ、水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位の90%以上が水素添加されていることが好ましい。
重合体ブロックAは、1種の芳香族ビニル化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。
(A−B)n−A
(A−B)m
(A−B)m−X
特にA−B−A−Bの構造式で表される重合体であることが好ましく、さらに、当該重合体の末端にある重合体ブロックBが全体の1.5〜10質量%であることが加工性と機械物性の観点からより好ましい。
また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定される単一ピークの分子量分布は1.30以下であることが好ましく、より好ましくは1.20以下、さらに好ましくは1.15以下であり、よりさらに好ましくは1.10以下である。
本実施形態において水添ブロック共重合体(b)の製造方法は、いかなる方法でもよいが、一般的には、有機溶媒中で、有機アルカリ金属化合物を開始剤として重合を行い、製造することができる。重合の態様としては、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。特に分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得るにはバッチ重合方法が好ましい。リビング共重合し、その後水添反応をおこなうことにより得られる。重合温度は一般に0〜150℃であり、20〜120℃であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましい。重合時間は目的とする重合体によって異なるが、通常は24時間以内であり、0.1〜10時間であることが好ましい。特に分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得るには0.5〜3時間であることがより好ましい。また、重合系の雰囲気は窒素及び溶媒を液相に維持するのに十分な圧力の範囲であればよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内に開始剤及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガスなどが存在しないことが好ましい。
(c)/有機リチウム化合物が0.2以上3.0未満
(d)/有機リチウム化合物が0.01以上0.3以下
本実施形態のプロピレン系ランダム共重合体組成物は、上記プロピレン系ランダム共重合体(a)と、水添ブロック共重合体(b)とを含有し、プロピレン系ランダム共重合体(a)の含有量と、水添ブロック共重合体(b)の含有量の質量比〔(a)/(b)〕が10/90〜95/5の範囲内である。得られるプロピレン系ランダム共重合体組成物を含むチューブ状成形体、シート状成形体の低べたつき性及び引裂き強さの観点から、(a)の含有量に対する(b)の含有量は90以下であり、得られるプロピレン系ランダム共重合体組成物を含むチューブ状成形体、シート状成形体の柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐キンク性、歪回復性の観点から5以上である。
上記プロピレン系ランダム共重合体組成物は、例えば、プロピレン系ランダム共重合体(a)、水添ブロック共重合体(b)及び必要に応じて加えられる他の成分を、その各成分の組成比に応じてドライブレンドする方法、通常の高分子物質の混合に供される装置によって調整する方法等によって製造することができる。その際に用いられうる混合装置としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー、ラボプラストミル、単軸押出機、2軸押出機等の混練装置が挙げられ、押出機を用いた溶融混合法により製造することが生産性、良混練性の点から好ましい。混練時の溶融温度は、適宜設定することができるが、通常130〜300℃の範囲内であり、150〜250℃の範囲であることが好ましい。
本実施形態のチューブ状成形体(以下、「本実施形態のチューブ」ともいう)は、本実施形態のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含むものである。より詳細には、本実施形態のチューブは、本実施形態の第2の成形体を有するものである。本実施形態のチューブは、以下に述べる方法により所望の形状に成形することができる。本実施形態のチューブの製造方法としては、特に限定されないが、例えば、上記のようにして得られたプロピレン系ランダム共重合体組成物を押出機に投入して溶融し、これをダイに通して管状にし、水冷又は空冷して成形品であるチューブとすることができる。用いる押出機は単軸又は多軸の押出機を使用することができ、また複数台の押出機を使用して多層押出した多層チューブを成形することもできる。また、プロピレン系ランダム共重合体組成物製造時の押出機から直接チューブとして成形することもできる。上記の方法により得られる本実施形態のチューブの形状は、特に限定されないが、通常円形、楕円形等のチューブが使用される。チューブの太さは特に限定されないが、例えば、外径で1〜50mmのものが好ましく、2〜30mmのものがより好ましく、3〜20mmのものがさらに好ましい。また、チューブの厚みは0.3〜30mmのものが好ましく、0.4〜20mmのものがより好ましく、0.5〜10mmのものがさらに好ましい。
本実施形態のシート状成形体及びフィルム状成形体(以下、それぞれ「本実施形態のシート」、「本実施形態のフィルム」ともいう)は、本実施形態のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含むものである。より詳細には、本実施形態のシート及びフィルムは、本実施形態の第1の成形体を含むものである。本実施形態のシート及びフィルムは、以下に述べる方法により、所望の形状に成型される。本実施形態のシート及びフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、上記のようにして得られたプロピレン系ランダム共重合体組成物を押出機に投入して押出す成型法としてTダイ法、インフレーション法等を採用することができ、インフレーション成型として通常の空冷インフレーション成型、空冷2段インフレーション成型、高速インフレーション成型、水冷インフレーション成型などを採用できる。また、ダイレクトブロー、インジェクションブローなどのブロー成型法、プレス成型法を採用することもできる。用いる押出機は単軸又は多軸の押出機を使用することができ、また複数台の押出機を使用して多層押出した多層シートを成形することもできる。また、プロピレン系ランダム共重合体組成物製造時の押出機から直接シートとして成形することもできる。
1)プロピレン系ランダム共重合体(a)のプロピレン量、エチレン量、α−オレフィン量の含有量
各プロピレン系ランダム共重合体を用いて、カーボン核磁気共鳴(C13−NMR)法により測定した。測定機器はJEOL−ECS400(JEOL製)、溶媒に重水素化オルソジクロロベンゼンを用い、サンプル濃度は10w/v%、観測周波数は400MHz、化学シフト基準に重水素化オルソジクロロベンゼンを用い、スキャン回数10,000回、及び測定温度130℃で行った。プロピレン、エチレン、α−オレフィンに帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の13Cあたりの積分値を算出した後、プロピレン、エチレン、α−オレフィンとの比率から算出した。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定(東ソー製、HLC−8121GPC/HT)、カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT(7.8mmID×30cm、2本)、溶媒:オルトジクロロベンゼンにより、145℃にて測定し、得られた数平均分子量と重量平均分子量の比として求めた。
水素添加後の重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(H1−NMR)法により測定した。測定機器はJNM−LA400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。スチレン含有量は、スペクトルの6.2〜7.5ppmにおける総スチレン芳香族シグナルの積算値を用いて算出した。
水素添加後の重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(H1−NMR)法により測定した。測定条件及び測定データの処理方法は上記1)と同様とした。ビニル結合量は、1,4−結合及び1,2−結合に帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の1Hあたりの積分値を算出した後、1,4−結合と1,2−結合(ブタジエンの場合であって、イソプレンの場合ならば3,4−結合になる)との比率から算出した。
水素添加後の重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(H1−NMR)により測定した。なお、測定条件及び測定データの処理方法は上記1)と同様とした。水素添加率は、4.5〜5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素添加された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
水添ブロック共重合体(b)の数平均分子量及び重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定(島津製作所製、LC−10)、カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm、2本)、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)により、市販の標準ポリスチレンによるポリスチレン換算分子量として求めた。また、水添ブロック共重合体(b)の分子量分布は、得られた数平均分子量と重量平均分子量の比として求めた。
水素添加前のブロック共重合体(b)を、四酸化オスミウム触媒としてターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(酸化分解法:I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)を適用し、重合体ブロックA成分(但し平均重合度が約30未満の芳香族ビニル化合物単位成分は除かれている。)を分離し、当該重合体ブロックAの重量を測定し、下記の式により求めた。
重合体ブロックAのブロック率(質量%)=(ブロック共重合体(b)中の重合体ブロックAの質量/ブロック共重合体(b)中の全芳香族ビニル化合物単位の質量)×100
なお、ブロック共重合体(b)中の全芳香族ビニル化合物単位の質量は、紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
また、重合体ブロックAの分子量分布は分離された合体ブロックAを前記6)と同様のGPC測定によって得られた数平均分子量と重量平均分子量の比として求めた。
水素添加前のブロック共重合体(b)、及び、ブロック共重合体(b)の調整過程で得られたステップ毎にサンプリングしたポリマー0.1gをジクロロメタン100mLに溶解した溶液に、オゾン濃度1.5%の酸素を150mL/分で通過させて酸化分解し、得られたオゾニドを、水素化アルミニウムリチウムを混合したジエチルエーテル中に滴下して還元した。つぎに、純水を滴下して加水分解し、炭酸カリウムを添加し塩析、濾過を行うことにより芳香族ビニル化合物単位ブロック成分を得た。この芳香族ビニル化合物単位成分をGPCにより測定した。
ここで得られた水素添加前のブロック共重合体(b)のピークの面積比(30連鎖以上の芳香族ビニル化合物単位ブロック部分に相当するピーク面積(分子量3120以上の面積)/ピークの総面積)を算出することにより重合体中の30連鎖以上の芳香族ビニル化合物単位ブロック部分の含有量が得られた。また、40連鎖以上の芳香族ビニル化合物単位ブロック部分に相当するピーク面積(分子量4160以上の面積)/ピークの総面積)を算出することにより、重合体中の40連鎖以上の芳香族ビニル化合物単位ブロック部分の含有量が得られた。
なお、オゾン発生機は日本オゾン(株)製OT−31R−2型を用い、GPC測定は、ウォーターズ製の2487を用い、クロロホルムを溶媒とし、流量1.0mL/分、カラムオーブン35℃で、カラムはShodexカラム−K803Lを2本接続して測定を行った。
ポリプロピレン系樹脂(a)と水添ブロック共重合体(b)のMFRは、ISO 1133に準拠して、230℃、2.16Kg荷重で測定した。
実施例1〜8及び比較例1〜11で得られたシート状成形体を用いて、JIS K6251に準拠し、JIS 5号試験片に打ち抜き、引張試験機(ミネベア、Tg−5kN)により引張速度200mm/minで引張弾性率(MPa)を測定し、柔軟性の指標とした。得られた引張弾性率から、次の基準で評価した。
◎:引張弾性率が350MPa未満
○:引張弾性率が350MPa以上400MPa未満
△:引張弾性率が400MPa以上500MPa未満
×:引張弾性率が500MPa以上
実施例1〜8及び比較例1〜11で得られたシート状成形体を用いて、ヘイズメーター(日本電色工業製、NDH−1001DP)を用いてヘイズ値(%)を測定し、透明性の指標とした。得られたヘイズ値から、次の基準で評価した。
◎:ヘイズ値が5%未満
○:ヘイズ値が5%以上10%未満
△:ヘイズ値が10%以上17%未満
×:ヘイズ値が17%以上
実施例1〜8及び比較例1〜11で得られたシート状成形体を、5cm×8cm及び4cm×6cmの試験片に切り出した。得られた試験片を2枚重ね合わせた(上面:5cm×8cm、下面:4cm×5cm)後、その上面に500gの荷重(大きさ:6cm×10cm×1cm)を載せて、60秒間静止した後に、引張試験機(ミネベア、Tg−5kN)により100mm/分の速度で180°剥離させたときのタック強度(J)を測定し、低べたつき性の指標とした。得られたタック強度から、次の基準で評価した。
◎:タック強度が10N未満
○:タック強度が10N以上20N未満
△:タック強度が20N以上40N未満
×:タック強度が40N以上
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたシート状成形体を用いて、JIS K6252に準拠し、JIS アングル型(切込み無)で打ち抜き、引張試験機(ミネベア、Tg−5kN)により引張速度200mm/minで引裂き強さ(MPa)を測定した。得られた引裂き強さから、次の基準で評価した。
◎:引裂き強さが90N/mm以上
○:引裂き強さが80N/mm以上90N/mm未満
△:引裂き強さが70N/mm以上80N/mm未満
×:引裂き強さが70N/mm以下
実施例1〜4及び比較例1〜4で得られたシート状成形体を用いて、JIS K7124に準拠し、長さ約30cm、巾約30cmに裁断して、ダート衝撃試験を実施し、衝撃強さ(J)を測定し、耐衝撃性の指標とした。得られた衝撃強さから、次の基準で評価した。
◎:衝撃強さが35J以上
○:衝撃強さが32J以上35J未満
△:衝撃強さが28J以上32J未満
×:衝撃強さが28J未満
実施例5〜8及び比較例5〜11で得られたチューブ状成形体を用い、引張圧縮試験機によりチューブ屈曲時の応力を測定した。具体的には、長さ30cmのチューブを対象とし、チャック間距離を10cmにセットし、クロスヘッドスピード400mm/分で折り曲げ測定を行った。応力とチャック間距離との関係から得られる応力カーブの例を図1に示す。図1の例において、応力が最大になるときのチャック間距離(図1のX)をチューブがキンクする瞬間のチャック間距離(キンク位置)とし、このキンク位置に対応するチャック間距離の値が大きいものほど、キンク性が良好であるものとして、次の基準で評価した。
◎:キンク位置が60mm以上
〇:キンク位置が55mm以上60mm未満
△:キンク位置が50mm以上55mm未満
×:キンク位置が50mm未満
実施例5〜8及び比較例5〜11で得られたチューブ状成形体を用い、1cm幅の荷重1Kgを2本のチューブに載せて、23℃で22時間加圧保持した後に圧力を開放し、30分後の厚みを測定し、残留歪の大きさを評価した。得られた残留歪から、次の基準で評価した。
◎:残留歪が5%未満
〇:残留歪が5%以上20%未満
△:残留歪が20%以上40%未満
×:残留歪が40%以上
実施例及び比較例で用いたプロピレン系ランダム共重合(a)、水添ブロック共重合体(b)は次のとおりであった。
(a−1):プロピレン単独重合体
[「PL500A」(商品名)、サンアロマー社製、MFR=3.0g/10分]
特開2001−11128号公報に記載された、メタロセン触媒を用いた方法により、プロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体を分析したところ、エチレン含有量は3.5質量%で、MFRは8.0g/10分、分子量分布は2.7であった。
特開2001−11128号公報に記載された、メタロセン触媒を用いた方法により、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体を得た。得られたプロピレン−1−ブテンエチレンランダム共重合体を分析したところ、1−ブテン含有量は6.5質量%で、MFRは11.0g/10分、分子量分布は2.9であった。
特開2001−11128号公報に記載された、メタロセン触媒を用いた方法により、プロピレン−エチレン−1−ブテン三元ランダム共重合体を得た。得られたプロピレン・エチレン−1−ブテン三元ランダム共重合体を分析したところ、エチレン含有量は3.5質量%、1−ブテン含有量は2.5質量%で、MFRは7.0g/10分、分子量分布は2.8であった。
特開昭56−143207号公報に記載された、チーグラー・ナッタ触媒を用いた方法により、プロピレン−エチレンランダム共重合体を得た。得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体を分析したところ、エチレン含有量は1.0質量%で、MFRは12.5g/10分、分子量分布は5.4であった。
(水添触媒の調整)
水添ブロック共重合体(b)の水添反応に用いた水添触媒は、下記の方法で調整した。窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1Lを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
<水添ブロック共重合体(b−1)>
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。はじめに1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−ブチルリチウム(以下Bu−Liとする)を全モノマー100質量部に対して0.055質量部と、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAとする)をBu−Li1モルに対して1.5モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、NaOAmとする)をBu−Li1モルに対して0.05モル添加した。第1ステップとして、スチレン5.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。次に第2ステップとして、ブタジエン89質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を60分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は55℃にコントロールした。次に第3ステップとして、スチレン5.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
得られたブロック共重合体は、スチレン含有量11質量%、ブタジエンブロック部の水素添加前のビニル結合量78%、重量平均分子量212,000、分子量分布1.08であった。
次に、得られたブロック共重合体に、上記水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジーt−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体に対して0.3質量部添加した。得られた水添ブロック共重合体(b−1)の水添率は99%、MFRは2g/10分であった。得られた水添ブロック共重合体(b−1)の解析結果を表1に示す。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.065質量部とし、第1ステップ、第3ステップのスチレン量を6.5質量部とし、第2ステップのブタジエン量を82質量部とし、第4ステップを追加しブタジエン5質量部を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、(b−1)と同様の操作を行い、水添ブロック共重合体(b−2)を製造した。
得られた水添ブロック共重合体(b−2)は、スチレン含有量13質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量77%、重量平均分子量174,000、分子量分布1.09、水添率99%、MFR5g/10分であった。得られた水添ブロック共重合体(b−2)の解析結果を表1に示す。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.095質量部とし、第1ステップとして、スチレン12質量部を10分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。次に第2ステップとして、ブタジエン88質量部を60分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は55℃にコントロールした。次にジメチルジメトキシシランをBu−Li1モルに対して0.25モル添加しカップリング反応を行った。その後60℃で10分間撹拌し、ブロック共重合体を製造したこと以外は、(b−1)と同様の操作を行い、水添ブロック共重合体(b−3)を製造した。
得られた水添ブロック共重合体(b−3)は、スチレン含有量12質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量81%、重量平均分子量189,000、カップリング率55%、水添率98.5%、MFR2.5g/10分であった。得られた水添ブロック共重合体(b−3)の解析結果を表1に示す。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.095質量部とし、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.65モル添加し、NaOAmは添加せず、第1ステップ、第3ステップのスチレン量を9質量部とし、第2ステップのブタジエン量を82質量部とし、重合中の温度を67℃にコントロールし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、(b−1)と同様の操作を行い、水添ブロック共重合体(b−4)を製造した。
得られた水添ブロック共重合体(b−4)は、スチレン含有量18質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量55%、重量平均分子量121,000、分子量分布1.05、水添率99%、MFR4g/10分であった。得られた水添ブロック共重合体(b−4)の解析結果を表1に示す。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.080質量部とし、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.80モル添加し、NaOAmは添加せず、第1ステップ、第3ステップのスチレン量を6質量部とし、第2ステップのブタジエン量を88質量部とし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、(b−1)と同様の操作を行い、水添ブロック共重合体(b−5)を製造した。
得られた水添ブロック共重合体(b−5)は、スチレン含有量12質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量81%、重量平均分子量150,000、分子量分布1.18、水添率99%、MFR5g/10分であった。得られた水添ブロック共重合体(b−5)の解析結果を表1に示す。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.060質量部とし、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.80モル添加し、NaOAmは添加せず、第1ステップとして、スチレン5.5質量部を10分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。次に第2ステップとして、ブタジエン89質量部を120分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は45℃にコントロールした。次に第3ステップとして、スチレン5.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、(b−1)と同様の操作を行い、水添ブロック共重合体(b−6)を製造した。
得られた水添ブロック共重合体(b−6)は、スチレン含有量11質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量73%、重量平均分子量185,000、分子量分布1.27、水添率98.5%、MFR7g/10分であった。得られた水添ブロック共重合体(b−6)の解析結果を表1に示す。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.128質量部とし、第1ステップ、第3ステップのスチレン量を14質量部とし、第2ステップのブタジエン量を72質量部とし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、(b−1)と同様の操作を行い、水添ブロック共重合体(b−7)を製造した。
得られた水添ブロック共重合体(b−7)は、スチレン含有量28質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量69%、重量平均分子量80,000、分子量分布1.19、水添率98%、MFR3g/10分であった。得られた水添ブロック共重合体(b−6)の解析結果を表1に示す。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.065質量部とし、第1ステップ、第3ステップのスチレン量を6質量部とし、第2ステップのブタジエン量を88質量部とし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、(b−1)と同様の操作を行い、部分的に水添したブロック共重合体(b−8)を製造した。
得られた水添ブロック共重合体(b−8)は、スチレン含有量12質量%、ブタジエンブロック部のビニル結合量78%、重量平均分子量175,000、分子量分布1.07、水添率60%、MFR20g/10分であった。得られた水添ブロック共重合体(b−7)の解析結果を表1に示す。
実施例1〜4、比較例1〜4のポリプロピレン系樹脂(a)と水添ブロック共重合体(b)を表2に示した配合割合でドライブレンドし、二軸押出機(L/D=42、30mmΦ)で、200℃、150rpm、押出量5Kg/hで溶融混練して、樹脂組成物よりなるペレットを得た。これらのペレットを単軸押出機(40mmφ)、Tダイを用いて180〜210℃、押出量5Kg/h、Tダイスリット厚み0.4mm、Tダイのスリット巾400mm、圧延ローラ表面温度45℃で押出成型することにより厚さ約250μmのシート状成形体を作成した。厚さはスクリュー回転数、引き取り速度を変えることにより調整した。得られたシート状成形体の物性測定結果を表2に示した。
実施例5〜8、比較例5〜11のポリプロピレン系樹脂(a)と水添ブロック共重合体(b)を表3に示した配合割合でドライブレンドし、二軸押出機(L/D=42、30mmΦ)で、200℃、150rpm、押出量5Kg/hで溶融混練して、樹脂組成物よりなるペレットを得た。これらのペレットを単軸押出機(40mmφ)、チューブダイを用いて180〜210℃、押出速度10m/min、チューブダイの外径12mm、内径10mmで押出成型することにより外径7mm、内径5mmのチューブ状成形体を作成した。なお、外径、内径はスクリュー回転数、引き取り速度を変えることにより調整した。また、実施例1と同様の方法で、表2に示した配合の組成物から厚さ約250μmのシート状成形体を作成した。得られたチューブ状成形体及びシート状成形体の物性測定結果を表3に示した。
(1)ビニル結合量の低い水添ブロック共重合体(b−4)を用いた比較例1,5,6で得られたプロピレン系ランダム共重合体組成物は、柔軟性、透明性、耐キンク性、歪回復性に劣ることが分かる。
(2)重合体ブロックAのスチレン連鎖率が低い水添ブロック共重合体(b−5)を用いた比較例3で得られたプロピレン系ランダム共重合体組成物は、透明性、低べたつき性、引裂き強さ、耐衝撃性に劣ることが分かる。また、重合体ブロックAのスチレン連鎖率が低く、重合体ブロックAの分子量分布の広い水添ブロック共重合体(b−6)を用いた比較例7で得られたプロピレン系ランダム共重合体組成物は、低べたつき性、耐キンク性、歪回復性に劣ることが分かる。
(3)スチレン含有量の高い水添ブロック共重合体(b−7)を用いた比較例2、及び比較例8で得られたプロピレン系ランダム共重合体組成物は、柔軟性、透明性、引裂き強さ、耐衝撃性、耐キンク性、歪回復性に劣ることが分かる。
(4)水添率が低く、MFRの高い水添ブロック共重合体(b−8)を用いた比較例9で得られたプロピレン系ランダム共重合体組成物は、柔軟性、透明性、低べたつき性、耐キンク性、歪回復性に劣ることが分かる。
(5)プロピレン単独共重合体(a−1)を用いた比較例4及び比較例10で得られたプロピレン系ランダム共重合体組成物は、柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐キンク性、歪回復性に劣ることが分かる。
Claims (19)
- プロピレン系ランダム共重合体(a)及び水添ブロック共重合体(b)を含むプロピレン系ランダム共重合体組成物であって、
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)中のプロピレン単位の含有量が98質量%未満であり、
前記水添ブロック共重合体(b)が、少なくとも2個の、芳香族ビニル化合物単位を主体とする重合体ブロックA、及び、少なくとも1個の、共役ジエン化合物単位を主体とする重合体ブロックBを有し、
前記水添ブロック共重合体(b)中の全芳香族ビニル化合物単位の含有量が8〜25質量%であり、
前記重合体ブロックAが、前記水添ブロック共重合体(b)に含まれる全芳香族ビニル化合物単位中の91質量%以上を30連鎖以上のブロックとして有する重合体ブロックA1を含み、
前記水添ブロック共重合体(b)の全共役ジエン化合物単位中の水素添加前の1,2−結合量と3,4−結合量との合計が68〜95モル%であり、
前記水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位の80モル%以上が水素添加され、
前記水添ブロック共重合体(b)のメルトフローレートが0.1〜12g/10分であり、
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)の含有量と、水添ブロック共重合体(b)の含有量の質量比〔(a)/(b)〕が10/90〜95/5である、プロピレン系ランダム共重合体組成物。 - 前記水添ブロック共重合体(b)中の全芳香族ビニル化合物単位の含有量が10〜20質量%である、請求項1に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記重合体ブロックA1が、前記水添ブロック共重合体(b)に含まれる全芳香族ビニル化合物単位中の91質量%以上を40連鎖以上のブロックとして有する、請求項1又は2に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位中の水素添加前の1,2−結合量と3,4−結合量との合計が70〜93%であり、
水添ブロック共重合体(b)に含まれる全共役ジエン化合物単位の90%以上が水素添加されている、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。 - 前記水添ブロック共重合体(b)中の前記重合体ブロックAの分子量分布(Mw/Mn)が1.01〜1.50である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記水添ブロック共重合体(b)中の、前記重合体ブロックA1の含有量が3〜13質量%である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記水添ブロック共重合体(b)が、前記有機リチウム化合物を含む開始剤と、下記(c)と、下記(d)と、を共存させることにより共重合されたものであり、
前記(c)と前記有機リチウム化合物のモル比((c)/有機リチウム化合物)が0.2以上3.0未満であり、
前記(d)と前記有機リチウム化合物のモル比((d)/有機リチウム化合物)が0.01以上0.3以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物:
(c)酸素原子を2個以上有するエーテル系化合物(c−1)又は、第3級アミン化合物(c−2);
(d)アルカリ金属アルコキシド。 - 前記水添ブロック共重合体(b)の重量平均分子量が130,000〜300,000である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記プロピレン系ランダム共重合体(a)が、プロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体であり、
前記プロピレン系ランダム共重合体(a)中のプロピレン単位の含有量が60質量%以上98質量%未満であり、
前記エチレン又はα−オレフィン単位の含有量が2質量%超40質量%未満である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。 - 前記プロピレン系ランダム共重合体(a)が、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体及びプロピレン−エチレン−1−ブテン三元ランダム共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一つを含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記プロピレン系ランダム共重合体(a)のメルトフローレートが1〜30g/10分である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記プロピレン系ランダム共重合体(a)が、メタロセン系触媒により重合されたものであり、かつ、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上3.5以下である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記プロピレン系ランダム共重合体(a)の含有量と、前記水添ブロック共重合体(b)の含有量の質量比〔(a)/(b)〕が55/45〜95/5である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 前記プロピレン系ランダム共重合体(a)の含有量と、前記水添ブロック共重合体(b)の含有量の質量比〔(a)/(b)〕が10/90〜45/55である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物。
- 請求項13に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含む、成形体。
- 請求項14に記載のプロピレン系ランダム共重合体組成物を含む、成形体。
- 請求項15に記載の成形体を有する、シート。
- 請求項15に記載の成形体を有する、フィルム。
- 請求項16に記載の成形体を有する、チューブ。
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