JP2014037532A - 樹脂組成物、並びにこの樹脂組成物からなるフィルム及び容器 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記成分(X)及び成分(Y)を含む樹脂組成物。この樹脂組成物からなるフィルム又は容器。
成分(X):水素化ビニル芳香族重合体ブロックAと、イソブチレンを主体とする重合体のブロックBとを有する水素化ブロック共重合体
成分(Y):プロピレンを主成分とするポリオレフィン
【選択図】なし
Description
一方、特許文献2には、透明性、柔軟性に優れる樹脂組成物として、プロピレン系ブロック共重合体と特定の芳香族ビニル−水添共役ジエン系共重合体からなる樹脂組成物が開示されている。
成分(X):水素化ビニル芳香族重合体ブロックAと、イソブチレンを主体とする重合体のブロックBとを有する水素化ブロック共重合体
成分(Y):プロピレンを主成分とするポリオレフィン
成分(X):水素化ビニル芳香族重合体ブロックAと、イソブチレンを主体とする重合体のブロックBとを有する水素化ブロック共重合体(以下、「水素化ブロック共重合体(X)」と称す場合がある。)
成分(Y):プロピレンを主成分とするポリオレフィン(以下、「プロピレン系樹脂(Y)」と称す場合がある。)
本発明の樹脂組成物に含まれる成分(X)の水素化ブロック共重合体(X)は、水素化ビニル芳香族重合体ブロックAと、イソブチレンを主体とする重合体のブロックBとを有する水素化ブロック共重合体である。この水素化ブロック共重合体(X)は、水素化ビニル芳香族重合体ブロックAの2以上と、イソブチレンを主体とする重合体のブロックBとを有することが好ましい。即ち、水素化ブロック共重合体(X)は、ブロックAの2以上と少なくとも1つのブロックBを有する水素化ブロック共重合体であることが好ましい。また、その重量平均分子量は10000以上200000以下であることが好ましい。
ただし、水素化ブロック共重合体(X)中の他のブロックCの含有量が多過ぎると、水素化ビニル芳香族重合体ブロックAとイソブチレンを主体とする重合体のブロックBとを含有することによる水素化ブロック共重合体(X)の効果が損なわれるため、水素化ブロック共重合体(X)が他のブロックCを含有する場合、その含有量は、水素化ブロック共重合体(X)の全重量に対して40重量%以下、特に20重量%以下であることが好ましい。
本発明の樹脂組成物に含まれる成分(Y)は、プロピレンを主成分とするプロピレン系樹脂(Y)である。なお、「プロピレンを主成分とする」とは原料の単量体成分全体に対してプロピレンを50モル%より多く含むことを意味する。
本発明の樹脂組成物において、成分(X)の水素化ブロック共重合体(X)と成分(Y)のプロピレン系樹脂(Y)の含有割合は、成分(X)の水素化ブロック共重合体(X)が10〜90重量%で、成分(Y)のプロピレン系樹脂(Y)が90〜10重量%であることが好ましい。成分(X)の含有割合が上記下限値以上であると、成分(X)を配合することによる柔軟性とガスバリア性のバランスの改善効果を十分に得られるために好ましく、成分(X)の含有割合が上記上限値以下であると成分(Y)を配合することによる耐熱性の効果を十分に得ることができるために好ましい。これらの効果をより高める観点から、より好ましい含有割合は、成分(X)が20〜80重量%、成分(Y)が80〜20重量%で、特に好ましくは成分(X)が30〜70重量%、成分(Y)が70〜30重量%である。
本発明の樹脂組成物は、成分(X)と成分(Y)を含むものであればよく、必要に応じてこれらの成分以外の他の樹脂成分、各種添加剤などを含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物は、例えば上記の各成分を機械的に溶融混練する方法によって製造することができる。ここで用いることができる溶融混練機としては、例えば単軸押出機、二軸押出機、ブラベンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、ロールミル等を挙げることができる。混練温度の下限は、通常100℃以上、好ましくは145℃以上、より好ましくは160℃以上である。混練温度の上限は、通常350℃、好ましくは300℃、より好ましくは250℃である。混練に際しては、各成分を一括して混練しても、また任意の成分を混練した後、他の残りの成分を添加して混練する多段分割混練法を用いてもよい。
本発明の樹脂組成物は、例えば射出成形(インサート成形法、二色成形法、サンドイッチ成形法、ガスインジェクション成形法等)、押出成形法、インフレーション成形法、Tダイフィルム成形法、ラミネート成形法、ブロー成形法、中空成形法、圧縮成形法、カレンダー成形法等の成形法により種々の成形体に加工することができる。成形体の形状には特に制限はなく、シート、フィルム、板状、粒子状、塊状体、繊維、棒状、多孔体、発泡体等が挙げられ、好ましくはシート、フィルム、板状である。また、成形されたフィルムは一軸あるいは二軸延伸することも可能である。延伸法としては、ロール法、テンター法、チューブラー法等が挙げられる。さらに、通常工業的に利用されるコロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理、オゾン処理等の表面処理を施すこともできる。
本発明の樹脂組成物を成形してなる成形体の用途は特に限定されないが、一例として、下記のような用途を挙げることができる。すなわち、電気・電子部品分野における電線、コード類、ワイヤーハーネス等の被覆材料、絶縁シート、OA機器のディスプレイやタッチパネル、メンブレンスイッチ、写真カバー、リレー部品、コイルボビン、ICソケット、ヒューズケース、カメラ圧板、FDDコレット、フロッピーハブ、光学部品分野における光ディスク基板、光ディスク用ピックアップレンズ、光学レンズ、LCD基板、PDP基板、プロジェクションテレビ用テレビスクリーン、位相差フィルム、フォグランプレンズ、照光スイッチレンズ、センサースイッチレンズ、フルネルレンズ、保護メガネ、プロジェクションレンズ、カメラレンズ、サングラス、導光板、カメラストロボリフレクター、LEDリフレクター、自動車部品におけるヘッドランプレンズ、ウインカーランプレンズ、テールランプレンズ、樹脂窓ガラス、メーターカバー、外板、ドアハンドル、リアパネル、ホイールキャップ、バイザー、ルーフレール、サンルーフ、インパネ、パネル類、コントロールケーブル被覆材、エアーバッグ・カバー、マッドガード、バンパー、ブーツ、エアホース、ランプパッキン類、ガスケット類、ウィンドウモール等の各種モール、サイトシールド、ウェザーストリップ、グラスランチャンネル、グロメット類、制震・遮音部材、建材分野における目地材、手すり、窓、テーブルエッジ材、サッシ、浴槽、窓枠、看板、照明カバー、水槽、階段腰板、カーポート、高速道路遮音壁、マルチウォールシート、鋼線被覆材、照明灯グローブ、スイッチブレーカー、工作機械の保護カバー、工業用深絞り真空成形容器、ポンプハウジング、家電、弱電分野における各種パッキン類、グリップ類、ベルト類、足ゴム、ローラー、プロテクター、吸盤、冷蔵庫等のガスケット類、スイッチ類、コネクターカバー、ゲーム機カバー、パチンコ台、OAハウジング、ノートPCハウジング、HDDヘッド用トレー、計器類の窓、透明ハウジング、OA用ギア付きローラー、スイッチケーススライダー、ガスコックつまみ、時計枠、時計輪列中置、アンバーキャップ、OA機器用各種ロール類、ホース、チューブ等の管状成形体、異型押し出し品、レザー調物品、咬合具、ソフトな触感の人形類等の玩具類、ペングリップ、ストラップ、吸盤、時計、傘骨、化粧品ケース、ハブラシ柄等の一般雑貨類、ハウスウェア、タッパーウェア等の容器類、結束バンド、ブロー成形による輸液ボトル、食品用ボトル、ウォーターボトル、化粧品用等のパーソナルケア用のボトル等各種ボトル、医療用部品におけるカテーテル、シリンジ、シリンジガスケット、点滴筒、チューブ、ポート、キャップ、ゴム栓、ダイヤライザー、血液コネクター、義歯、ディスポーザブル容器等、が挙げられ、また、発泡成形による用途にも適用可能である。
本発明の樹脂組成物は、特にその優れた透明性とガスバリア性から、上記の各種用途のうち、フィルムの成形材料として有用である。
このようなフィルムは、後述の容器に加工成形するための原反フィルムとして、或いは、電子機器や携帯電話、スマートフォン等の表示面の保護フィルム等として有用であり、その優れた透明性によりフィルム下の表示面の視認性を損なうことがなく、また、その優れたガスバリア性から機器類の保護効果に優れたものとなる。
また、液晶パネルやバックライトに用いられる偏光シート、拡散板、プリズムシート、位相差フィルム、カラーフィルタ、ARシート、導光板、その他各種基盤等の保護フィルムや、電子機器や携帯電話、スマートフォン等の表示面の保護フィルム等として有用であり、その優れた透明性によりフィルム下の表示面等の視認性を損なうことがなく、また、その優れた水蒸気バリア性から機器類の保護効果に優れたものとなる。
特に、本発明の樹脂組成物からなる本発明のフィルムは、複屈折が小さく、光学特性、透明性に優れることから、液晶ディスプレイを代表とするフラットパネルディスプレイ装置に用いられるディスプレイ用の光学フィルムとして好適に用いることができ、その際、その優れた柔軟性により、携帯用ディスプレイなどの応力を受けやすいディスプレイ用光学フィルムとしても好適である。
本発明の樹脂組成物は、特にその優れた透明性とガスバリア性から、上記各種用途のうち、容器の成形材料として有用であり、その優れた透明性により内容物を容易に確認することができ、また、その優れたガスバリア性により、外気からの透過物、或いは内容物の気散による内容物の劣化や組成変化を防止して内容物を安定に保存することができる。 特に、プレフィルドシリンジやアンプル、輸液バッグ等の医薬品容器の接液部材、さらに、それらが多層で構成される積層体の場合は、その内層材、中間層材として最適である。
1)分子量:
水素化ブロック共重合体又はブロック共重合体の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用し、下記条件で標準ポリスチレン換算にて求めた。
装置:日本ウォーターズ(株)製Waters 2690
検出器(RI検出):日本ウォーターズ(株)製Waters 2410
カラム:昭和電工株式会社製Shodex KF−604・KF−603・
KF−602.50の各1本を3本直列に連結したものを用いた。
溶媒:テトラヒドロフラン
流速:0.7mL/min
温度:40℃
水素化ブロック共重合体の芳香環の水素化率(モル%)は、1H−NMRスペクトルを測定して算出した。
厚み0.2mmのフィルムまたは厚み2mmのシートを成形し、このフィルムまたはシートについて、JIS K7105に基づいて、全光線透過率および拡散透過率を測定し、ヘーズを以下の式で算出した。ヘーズの値が小さいものほど、全光線透過率が大きいものほど透明性に優れたものと評価される。
[ヘーズ]=〔[拡散透過率]/[全光線透過率]〕×100
厚み0.12mmまたは0.1mmのフィルムを用いて、JIS K7129 B法(MOCON法)に準拠した赤外線センサー法にて水蒸気透過度(g/m2・24h)を求めた。水蒸気透過度の値が小さいものほどガスバリア性に優れたものと評価される。
<水素化ブロック共重合体の製造(ブロック共重合体の水素化)>
攪拌装置を備えたステンレス鋼製オートクレーブに、ポリスチレンブロック含有量が30重量%で、Mw=111000、Mn=82100のスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体25重量部及びテトラヒドロフラン75重量部からなる溶液と、水素化触媒として5重量%パラジウム担持活性炭触媒4重量部を入れて混合した。反応器内部を水素ガスで置換し、さらに溶液を攪拌しながら水素ガスを供給し、温度170℃、圧力10MPaにて4.5時間水素化反応を行った。
上記で得られた水素化ブロック共重合体50重量部とプロピレン系樹脂(三菱化学社製「ZELAS(登録商標) 7025」、エチレン含有量7重量%(10モル%)のプロピレン−エチレン共重合体)50重量部とを、東洋精機製ラボプラストミル20C200型により200℃、回転数150rpmにて3分間溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。なお、「ZELAS(登録商標) 7025」は表−1中、「(Y−1)」と表記した。
上記で得られた樹脂組成物のペレットを、神藤金属工業所製NSF−100型単動圧縮成形機にて温度200℃で予備加熱2分、プレス5分、冷却プレス3分の条件で圧縮成形し、厚み0.2mm及び0.12mmのフィルムを成形した。
得られた厚み0.2mmのフィルムを用いて前記3)の評価を行った。また、厚み0.12mmのフィルムを用いて前記4)の評価を行った。これらの結果を表−1に示した。
実施例1−1において、スチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を水素化することなく、そのままプロピレン系樹脂と溶融混練したこと以外は同様にして樹脂組成物の調製とフィルム成形を行い、その評価結果を表−1に示した。なお、表−1において水素化していないスチレン−イソブチレン−スチレンブロック共重合体を「(Z−1)」と表記した。
<樹脂組成物の調製>
表−2の配合で各原料を用い、シリンダー径30mmの二軸押出機(池貝社製PCM30型)を用いて設定温度200℃にて溶融混練してペレットを得た。なお、表−2中の「(X−1)」は製造例1において製造した水素化ブロック共重合体であることを意味し、また、「(Y−2)」、「(Y−3)」は以下の材料であることを意味する。
(Y−2):日本ポリプロ社製 WINTEC(登録商標) WFX4(メタロセン系触媒を用いて得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体。エチレン含量3.4重量%。)
(Y−3):日本ポリプロ社製 ノバテック(登録商標)PP FW4B(プロピレン−エチレン−ブテンランダム共重合体。エチレン含量2.5重量%、ブテン含量1.3重量%。)
上記で得られた樹脂組成物のペレットを、型締め圧力130tの射出成形機(東芝機械製IS−130型)を用いて、ホッパー下温度175℃、シリンダー温度240℃、ノズル温度230℃、金型温度40℃にて、射出成形により厚み2mmのシートを得た。
上記で得られた樹脂組成物のペレットを、神藤金属工業所製NSF−100型単動圧縮成形機にて温度200℃で予備加熱2分、プレス5分、冷却プレス3分の条件で圧縮成形し、厚み0.1mmのフィルムを成形した。
射出成形により得られた厚み2mmのシートを用いて前記(3)の評価を行った。また、得られたフィルムを用いて(4)の評価を行った。これらの結果を表−2に示した。
Claims (10)
- 下記成分(X)及び成分(Y)を含む樹脂組成物。
成分(X):水素化ビニル芳香族重合体ブロックAと、イソブチレンを主体とする重合体のブロックBとを有する水素化ブロック共重合体
成分(Y):プロピレンを主成分とするポリオレフィン - 前記成分(X)の重量平均分子量が10000以上200000以下であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。
- 前記成分(X)が、水素化ビニル芳香族重合体ブロックAを2以上有することを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- 前記水素化ビニル芳香族重合体ブロックAが、芳香族環を水素化した水素化ポリスチレンブロックであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記水素化ビニル芳香族重合体ブロックAの芳香族環の水素化率が50モル%以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記イソブチレンを主体とする重合体のブロックBが、単量体成分として、イソブチレンを70重量%以上含有するものであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記成分(Y)が、プロピレンとエチレン及び/又は炭素数4から8のオレフィンとの共重合体であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 前記成分(X)の含有量が10〜90重量%で前記成分(Y)の含有量が90〜10重量%であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなるフィルム。
- 請求項1乃至8のいずれか1項に記載の樹脂組成物からなる容器。
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