JPH11189630A - イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法

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JPH11189630A
JPH11189630A JP29499898A JP29499898A JPH11189630A JP H11189630 A JPH11189630 A JP H11189630A JP 29499898 A JP29499898 A JP 29499898A JP 29499898 A JP29499898 A JP 29499898A JP H11189630 A JPH11189630 A JP H11189630A
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JP
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isobutylene
group
oxygen
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monomer
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JP29499898A
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Shinji Ozawa
伸二 小澤
Tomoki Hiiro
知樹 日色
Taizo Aoyama
泰三 青山
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブ
ロックとイソブチレンを単量体主成分としない重合体ブ
ロックからなるイソブチレン系ブロック共重合体を工業
的に極めて有利な条件で製造する方法を提供する。 【解決手段】 重合開始剤の存在下に、イソブチレンを
主成分とする単量体成分(a)とイソブチレンを主成分
としない単量体成分(b)とを反応させることよりなる
イソブチレン系ブロック共重合体の製造方法であって、
前記反応は、酸素含有金属化合物の存在下に行うもので
あることを特徴とするイソブチレン系ブロック共重合体
の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はイソブチレン系ブロ
ック共重合体の製造方法に関する。更に詳細には、イソ
ブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックとイソブ
チレンを単量体主成分としない重合体ブロックからなる
構造の制御されたイソブチレン系ブロック共重合体の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン重合法によりカチオン重合性単
量体の重合を行うと、一般に、成長炭素カチオンが不安
定なため、連鎖移動反応や停止反応等の副反応が起こり
やすく重合体の分子量及び分子量分布を制御することが
困難であり、また複数種のカチオン重合性単量体を順次
重合させて構造の制御されたブロック共重合体を製造す
ることは更に困難である。構造の制御されたイソブチレ
ン系ブロック共重合体を製造するためには、副反応生成
物が少なく分子量分布の狭いイソブチレン系重合体を前
駆体として用いることが望ましい。このためには重合系
に重合安定剤を若干量加える方法が有効であることが知
られている。例えば、米国特許第4946899号で
は、一定範囲のドナー数を有する電子供与体を重合系に
加えてイソブチレンの重合を行い、しかるのちにスチレ
ン等のビニル化合物を添加してブロック共重合体を製造
する方法が記載されている。また、特公平7−5960
1号には、安定剤としてのアミン存在下でカチオン重合
性単量体の重合を行うことにより、分子量及び分子量分
布の規制された重合体やブロック共重合体を製造する方
法が開示されている。
【0003】上記重合安定剤としては、置換/無置換の
ピリジン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキ
シド、四級アンモニウム塩などが有効とされている。し
かしながら、重合の安定化に効果のあるピリジン類、ジ
メチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等は一般に
塩基性度が高く、重合触媒のルイス酸と不溶性の錯体を
形成することが知られている。その結果、重合体溶液が
濁ったり、甚だしい場合には器壁に多量の沈殿が付着す
る。濁った重合体溶液から単離した重合体は、しばしば
好ましくない白濁を伴い、得られる製品の品質が損なわ
れる。一方、器壁に付着した沈殿は溶剤洗浄等の簡易な
洗浄では除去できず、ジャケットによる除熱を妨げるた
め工業生産を行う場合の大きな障害となる。
【0004】また、これら従来の安定剤(すなわち電子
供与体)は一般に水溶性が高い上に、毒性や臭気が強い
ものが多いため、重合体の精製工程においてこれら安定
剤が外部に漏出しないよう注意が求められる。更にその
上で作業者への悪影響を避けるための対策が欠かせな
い。即ち、重合が完了した重合体溶液を水やアルカリ水
で洗浄するに当たって、排水に溶出したこれらの化合物
を回収・除害することが求められるが、排水から水溶性
物質を回収することは容易ではなく、除害のためには大
がかりな装置が必要である等、かなりのコスト上昇を招
く。例えば、ピリジン系化合物の臭気は非常に強いた
め、わずかにピリジン類を含んだ排水も臭気を発した
り、また、四級アンモニウム塩では、洗浄水側に移動し
た当該物質が活性汚泥中の微生物に対して悪影響を及ぼ
すため排水処理が困難になる、等の問題を挙げることが
できる。
【0005】水に溶出する重合安定剤成分の除去は上記
のように問題が多いが、一方、重合安定剤成分が重合体
溶液に残存する場合も問題となる。即ち、処理排水量を
削減するために水洗を簡略化したり水洗回数を減らした
りすると、水への抽出が充分に行われず重合体溶液に重
合安定剤が残りがちである。更に、2,6−ジ−t−ブ
チルピリジンのようなヒンダードピリジン類は水への溶
解度が非常に低いために、水洗処理によるヒンダードピ
リジンの除去効率は極めて悪い。重合安定剤が回収溶剤
中に蓄積すると重合が著しく阻害されるため、重合体溶
液から溶剤を回収/再使用する際には重合安定剤を完全
に除去せねばならず装置上大きな負担となる。
【0006】本発明に関連する技術として次のような公
知技術が存在する。まず、向山らによってシリルジエノ
ールエーテルとアセタールの反応において、四塩化チタ
ンにチタン(IV)イソプロポキシドを組み合わせるこ
とによって四塩化チタンの活性を弱め、収率を飛躍的に
向上させる方法が見い出されている(向山光昭著、有機
合成反応、東京化学同人(1987年)、及びその中の
引用文献)。この方法はルイス酸性の制御という意味で
重要であるが、高分子合成に応用されることはなかっ
た。
【0007】また、Faustらは、ポリイソブチレン
とポリ(α−メチルスチレン)のブロック共重合体を合
成する試みの中で、まずイソブチレンを2,6−ジ−t
ert−ブチルピリジンの存在下で四塩化チタンを触媒
として重合し、次いでチタン(IV)イソプロポキシド
を四塩化チタンに対し、1.1モル当量と小過剰に加え
て四塩化チタンを失活させ、四臭化スズとα−メチルス
チレンを加える方法を報告した[マクロモレキュールズ
(Macromolecules)、28巻、4893
〜4898頁、1995年]。ここでは、チタン(I
V)イソプロポキシドは四塩化チタンの触媒能を奪うこ
とが示されているが、専らポリイソブチレンに対しα−
メチルスチレンを効率的にブロック化させるための前処
理としてとらえられている。このことは、重合により分
子量分布の揃ったポリイソブチレンを得る重合段階にお
いて、チタン(IV)イソプロポキシドを添加せずに、
2,6−ジ−tert−ブチルピリジンのみが使用され
ていることから明らかである。
【0008】従って、上述した種々の問題を有するピリ
ジン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド
等を一切添加することなく、構造の制御されたイソブチ
レン系ブロック共重合体を製造する方法は見出されてい
ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの諸
問題を解決するために、新規な重合安定剤である酸素含
有金属化合物を用いた、イソブチレンを単量体主成分と
する重合体ブロックとイソブチレンを単量体主成分とし
ない重合体ブロックからなる構造の制御されたイソブチ
レン系ブロック共重合体の製造方法を提供することを目
的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記一
般式(1)で表わされる重合開始剤の存在下に、イソブ
チレンを主成分とする単量体成分(a)と、イソブチレ
ンを主成分としない単量体成分(b)とを反応させるこ
とよりなるイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法
であって、上記反応は、酸素含有金属化合物の存在下に
行うものである、イソブチレン系ブロック共重合体の製
造方法に関する。
【0011】
【化2】
【0012】(式中、複数のR1 は、同一又は異なっ
て、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表
す。R2 は、1価若しくは多価芳香族炭化水素基又は1
価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Xは、ハロゲ
ン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数
1〜6のアシロキシル基を表す。nは、1〜6の整数を
表す。Xが複数存在するとき、それらは、同一であって
も異なっていてもよい。)以下に、本発明を詳述する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる酸素含有金属
化合物とは、その構成要素である単数又は複数の金属原
子が、酸素原子に直接結合して形成されている化合物の
ことをいう。
【0014】本発明で用いられる酸素含有金属化合物の
中心金属としては、任意の金属元素を用いることがで
き、チタン、ジルコニウム等の長周期周期律表4B族;
ホウ素、アルミニウム、ガリウム等の3A族;ケイ素、
ゲルマニウム、スズ、鉛等の4A族;リン、ヒ素、アン
チモン等の5A族;バナジウム、ニオブ、タンタル等の
5B族;鉄、コバルト、ニッケル等の8族を例示するこ
とができる。これらは2種以上組み合わせて使用しても
良い。好ましくは、チタン(III)、チタン(I
V)、アルミニウム、ホウ素、スズ(II)、スズ(I
V)、ジルコニウム、バナジウム、アンチモン及び鉄か
らなる群より選択される少なくとも1種である。
【0015】上記酸素含有金属化合物は、当該酸素原子
が更に炭素原子と結合していることが好ましい。より好
ましくは、当該酸素原子は、アルコキシル基又はアシロ
キシル基の酸素原子である。更に好ましくは、上記酸素
含有金属化合物は、下記一般式(2)に示す平均組成を
有するものである。 M(L1n (L2m (2) (式中、Mは金属原子を表す。L1 は、アルコキシル基
又はアシロキシル基を表す。L2 はハロゲン原子を表
す。mは、0以上の数を表す。nは、正の数を表す。m
とnの合計は、金属原子Mの価数に相当する整数であ
る。)
【0016】上記一般式(2)の化合物としては、具体
的には、金属ハロゲン化物をアルコールと完全に反応さ
せて得られる金属アルコキシド単量体、金属ハロゲン化
物をアルコールと部分的に反応させて得られる金属ハロ
ゲノアルコキシド単量体、金属ハロゲン化物とカルボン
酸から得られる金属アシル化物単量体、これら単量体の
アルコキシル基、アシロキシル基あるいはハロゲンの一
部が加水分解して縮合した多量体、及び、これらの混合
物等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。
【0017】ここで、金属原子上のアルコキシル基は炭
素数1〜10のものが好ましい。具体的には、メトキシ
基、エトキシ基、(n−、イソ−)プロポキシ基、(n
−、sec−、tert−)ブトキシ基、ペンチルオキ
シ基、ヘキシルオキシ基、フェニルオキシ基、2−エチ
ルヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキ
シ基等を挙げることができる。炭素数が更に大きいもの
も使用することができるが、後処理工程での加水分解に
より発生するアルコールの沸点が高くなったり水溶性が
低くなったりするため、アルコールの除去し易さ等を考
慮した場合には、上記のアルコキシル基を選択するのが
よい。工業的に生産され、本発明で好適に使用できるも
のは、炭素数が2〜4であるエトキシ基、プロポキシ
基、ブトキシ基等である。
【0018】金属原子上のアシロキシル基としては炭素
数1〜10のものが好ましく使用でき、具体的にはアセ
チルオキシ基、プロピオニルオキシ基等を挙げることが
できる。上記一般式(2)でL2 により表されるハロゲ
ン原子は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素から任意に選択
されるものである。
【0019】また、金属原子には酸素以外の原子が結合
していても差し支えない。酸素以外の原子の例としては
炭素原子を挙げることができる。具体的には、金属上に
メチル基、エチル基、フェニル基、ベンジル基等の有機
基がσ結合していても、あるいは(無置換−、置換−)
シクロペンタジエニル基等がπ結合していても構わな
い。
【0020】更に、金属原子と金属上の置換基(配位子
ともいう)の間にキレート結合がある化合物も使用する
ことができる。キレート配位しうる置換基の具体例とし
ては、ヘキサンジオール、オクタンジオール等のグリコ
ール類;アセチルアセトンのようなβ−ジケトン類;乳
酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸等のヒドロキシカル
ボン酸類;アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のケ
トエステル類;ジアセトンアルコール等のケトアルコー
ル等を挙げることができる。
【0021】これら金属上の置換基と中心金属の組み合
わせを全て例示することはできないが、チタン(II
I)メトキシド、チタン(III)エトキシド、チタン
(III)−n−プロポキシド、チタン(III)イソ
プロポキシド、チタン(III)−n−ブトキシド、チ
タン(III)−sec−ブトキシド、チタン(II
I)−tert−ブトキシド、チタン(IV)メトキシ
ド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)−n−
プロポキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタ
ン(IV)−n−ブトキシド、チタン(IV)−sec
−ブトキシド、チタン(IV)−tert−ブトキシド
等のチタンアルコキシド類;アルミニウムメトキシド、
アルミニウムエトキシド、アルミニウム−n−プロポキ
シド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウム−
n−ブトキシド、アルミニウム−sec−ブトキシド、
アルミニウム−tert−ブトキシド等のアルミニウム
アルコキシド類;ボランメトキシド、ボランエトキシ
ド、ボラン−n−プロポキシド、ボランイソプロポキシ
ド、ボラン−n−ブトキシド、ボラン−sec−ブトキ
シド、ボラン−tert−ブトキシド等のボランアルコ
キシド類;スズメトキシド、スズエトキシド、スズ−n
−プロポキシド、スズイソプロポキシド、スズ−n−ブ
トキシド、スズ−sec−ブトキシド、スズ−tert
−ブトキシド等のスズアルコキシド類等の金属アルコキ
シド類が、工業的な入手の容易さの観点から好適に使用
できる。特に好ましいのはチタン(IV)アルコキシド
である。
【0022】これらの金属アルコキシドが加水分解され
ると、金属原子同士がエーテル結合を介して結合し多量
体化するが、このような多量体も本発明の酸素含有金属
化合物として使用することができる。多量体の金属は単
一でも良いし、二種以上の金属が含まれていても差し支
えない。特に二種の金属から構成されるアルコキシド
は、ダブルメタル型アルコキシドと称されるもので、種
々の反応に使用される触媒や接着性付与剤として多くの
組み合わせが考案されている。多量体化の際に脱離する
アルコールやハロゲン化水素はカチオン重合系に混入す
ることは好ましくないので、これら低分子成分が多量に
含まれる場合には、本発明で使用する前に蒸留等の操作
で除去しておくことが望ましい。本発明で用いられる酸
素含有金属化合物の製造方法は何ら限定されるものでは
ないが、例えば、金属ハロゲン化物から誘導することに
より製造することができる。
【0023】本発明の製造方法は、必要に応じてルイス
酸を更に共存させて行うことができる。このようなルイ
ス酸としてはカチオン重合に使用できるものであれば良
く、TiCl4 、TiBr4 、BCl3 、BF3 、BF
3 ・ OEt2 、SnCl4 、SbCl5 、SbF5
WCl6 、TaCl5 、VCl5 、FeCl3 、ZnB
2 、AlCl3 、AlBr3 等の金属ハロゲン化物;
Et2 AlCl、EtAlCl2 等の有機金属ハロゲン
化物を使用することができる。中でも触媒としての能
力、工業的な入手の容易さの点からは、TiCl4 、B
Cl3 、SnCl4が好ましい。ルイス酸触媒の中心金
属は、上記酸素含有金属化合物の中心金属と同一でもよ
いし異なっていてもよいが、同一金属原子であることが
重合後処理の面で好ましい。従って、酸素含有金属化合
物として、チタン(IV)アルコキシドを用い、ルイス
酸として、四塩化チタンを用いるのが特に好ましい。
【0024】本発明で使用する下記一般式(1)で表わ
される重合開始剤は、反応系中でカルボカチオンを生成
し、カチオン重合の開始点になると考えられる。
【0025】
【化3】
【0026】(式中、複数のR1 は、同一又は異なっ
て、水素原子又は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表
す。R2 は、1価若しくは多価芳香族炭化水素基又は1
価若しくは多価脂肪族炭化水素基を表す。Xは、ハロゲ
ン原子、炭素数1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数
1〜6のアシロキシル基を表す。nは、1〜6の整数を
表す。Xが複数存在するとき、それらは、同一であって
も異なっていてもよい。)
【0027】上記ハロゲン原子としては、塩素、フッ
素、臭素、ヨウ素等が挙げられる。上記炭素数1〜6の
アルコキシル基としては特に限定されず、例えば、メト
キシ基、エトキシ基、(n−又はイソ−)プロポキシ基
等が挙げられる。上記炭素数1〜6のアシロキシル基と
しては特に限定されず、例えば、アセチルオキシ基、プ
ロピオニルオキシ基等が挙げられる。
【0028】R1 により表される炭素数1〜6の1価の
炭化水素基としては特に限定されず、例えば、メチル
基、エチル基、n−又はイソプロピル基等が挙げられ
る。nは、1〜6の整数を表すが、R2 により表される
1価若しくは多価芳香族炭化水素基又は1価若しくは多
価脂肪族炭化水素基の価数と等しい整数である。
【0029】本発明で用いられる一般式(1)で表わさ
れる重合開始剤として、好ましくは、次のような化合物
等が挙げられる。 (1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン:C65
C(CH32 Cl、 1,4−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼ
ン:1,4−Cl(CH32 CC64 C(CH3
2 Cl、 1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼ
ン:1,3−Cl(CH32 CC64 C(CH3
2 Cl、 1,3,5−トリス(1−クロル−1−メチルエチル)
ベンゼン:1,3,5−(ClC(CH3236
3 、 1,3−ビス(1−クロル−1−メチルエチル)−5−
(tert−ブチル)ベンゼン:1,3−(C(CH
32 Cl)2-5−(C(CH33 )C63
【0030】これらの中でもより好ましいのは、1−ク
ロル−1−メチルエチルベンゼン[C 65 C(CH
32 Cl]、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)
ベンゼン[C64 (C(CH32 Cl)2 ]、トリ
ス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン[(Cl
C(CH32363 ]である。[なお、1−ク
ロル−1−メチルエチルベンゼンは、α−クロロイソプ
ロピルベンゼン、2−クロロ−2−プロピルベンゼンあ
るいはクミルクロライドとも呼ばれ、ビス(1−クロル
−1−メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α−クロロイ
ソプロピル)ベンゼン、ビス(2−クロロ−2−プロピ
ル)ベンゼンあるいはジクミルクロライドとも呼ばれ、
トリス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼンは、
トリス(α−クロロイソプロピル)ベンゼン、トリス
(2−クロロ−2−プロピル)ベンゼンあるいはトリク
ミルクロライドとも呼ばれる]。なかでも更に好ましい
ものは、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼ
ンである。
【0031】本発明のイソブチレンを主成分としない単
量体成分(b)とは、イソブチレンの含有量が30重量
%以下である単量体成分を示す。イソブチレンを主成分
としない単量体成分(b)中のイソブチレンの含有量は
10重量%以下であることが好ましく、3重量%以下で
あることがより好ましい。
【0032】本発明のイソブチレンを主成分としない単
量体成分(b)中の、イソブチレン以外の単量体は、カ
チオン重合可能な単量体成分であれば特に限定されない
が、脂肪族オレフィン類、芳香族ビニル類、ジエン類、
ビニルエーテル類、シラン類、ビニルカルバゾール、β
−ピネン、アセナフチレン等の単量体が例示できる。こ
れらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。
【0033】上記脂肪族オレフィン系単量体としては、
プロピレン、1−ブテン、2−メチル−1−ブテン、3
−メチル−1−ブテン、ペンテン、ヘキセン、シクロヘ
キセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキ
セン、オクテン、ノルボルネン等が挙げられる。これら
は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用い
てもよい。
【0034】上記芳香族ビニル系単量体としては、スチ
レン、o−、m−又はp−メチルスチレン、α−メチル
スチレン、β−メチルスチレン、2,6−ジメチルスチ
レン、2,4−ジメチルスチレン、α−メチル−o−メ
チルスチレン、α−メチル−m−メチルスチレン、α−
メチル−p−メチルスチレン、β−メチル−o−メチル
スチレン、β−メチル−m−メチルスチレン、β−メチ
ル−p−メチルスチレン、2,4,6−トリメチルスチ
レン、α−メチル−2,6−ジメチルスチレン、α−メ
チル−2,4−ジメチルスチレン、β−メチル−2,6
−ジメチルスチレン、β−メチル−2,4−ジメチルス
チレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、2,6−
ジクロロスチレン、2,4−ジクロロスチレン、α−ク
ロロ−o−クロロスチレン、α−クロロ−m−クロロス
チレン、α−クロロ−p−クロロスチレン、β−クロロ
−o−クロロスチレン、β−クロロ−m−クロロスチレ
ン、β−クロロ−p−クロロスチレン、2,4,6−ト
リクロロスチレン、α−クロロ−2,6−ジクロロスチ
レン、α−クロロ−2,4−ジクロロスチレン、β−ク
ロロ−2,6−ジクロロスチレン、β−クロロ−2,4
−ジクロロスチレン、o−、m−又はp−t−ブチルス
チレン、o−、m−又はp−メトキシスチレン、o−、
m−又はp−クロロメチルスチレン、o−、m−又はp
−ブロモメチルスチレン、シリル基で置換されたスチレ
ン誘導体、インデン、ビニルナフタレン等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。
【0035】上記ジエン系単量体としては、ブタジエ
ン、イソプレン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジ
エン、ジシクロペンタジエン、ジビニルベンゼン、エチ
リデンノルボルネン等が挙げられる。これらは単独で用
いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0036】上記ビニルエーテル系単量体としては、メ
チルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、(n−、
イソ)プロピルビニルエーテル、(n−、sec−、t
ert−、イソ)ブチルビニルエーテル、メチルプロペ
ニルエーテル、エチルプロペニルエーテル等が挙げられ
る。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。
【0037】上記シラン系単量体としては、ビニルトリ
クロロシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニルジ
メチルクロロシラン、ビニルジメチルメトキシシラン、
ビニルトリメチルシラン、ジビニルジクロロシラン、ジ
ビニルジメトキシシラン、ジビニルジメチルシラン、
1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシ
ロキサン、トリビニルメチルシラン、γ−メタクリロイ
ルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロ
イルオキシプロピルメチルジメトキシシラン等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよいし、2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0038】本発明のイソブチレンを主成分としない単
量体成分(b)は、重合特性等の面から、芳香族ビニル
系単量体を主成分とする単量体成分であることが好まし
い。ここで、芳香族ビニル系単量体を主成分とする単量
体成分とは、芳香族ビニル系単量体の含有量が60重量
%以上、好ましくは80重量%以上である単量体成分を
示す。芳香族ビニル系単量体としては、上で例示したも
のを用いることができるが、スチレン、α−メチルスチ
レン、p−メチルスチレン、インデンからなる群より選
択される少なくとも1種の単量体を使用することが好ま
しく、コストの面から、スチレン、α−メチルスチレ
ン、あるいはこれらの混合物を用いることが特に好まし
い。
【0039】また、本発明のイソブチレンを主成分とす
る単量体成分(a)は、イソブチレン以外の単量体を含
んでいても含んでいなくても良く、イソブチレンを60
重量%以上、好ましくは80重量%以上含有する単量体
成分である。イソブチレン以外の単量体としては、カチ
オン重合可能な単量体であれば特に制限はないが、例え
ば上記の単量体等が挙げられる。
【0040】本発明の製造方法によって製造されうるイ
ソブチレン系ブロック共重合体は、イソブチレンを単量
体主成分とする重合体ブロック及びイソブチレンを単量
体主成分としない重合体ブロックを有しているものであ
れば特に制限はなく、例えば、直鎖状、分岐状、星状等
の構造を有するブロック共重合体、ジブロック共重合
体、トリブロック共重合体、マルチブロック共重合体等
のいずれも選択可能である。好ましいブロック共重合体
としては、例えば、芳香族ビニル系単量体を主成分とす
る重合体ブロック−イソブチレンを主成分とする重合体
ブロック−芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体
ブロックから形成されるトリブロック共重合体、イソブ
チレンを主成分とする重合体ブロック−芳香族ビニル系
単量体を主成分とする重合体ブロック−イソブチレンを
主成分とする重合体ブロックから形成されるトリブロッ
ク共重合体、及び、芳香族ビニル系単量体を主成分とす
る重合体ブロック−イソブチレンを主成分とする重合体
ブロックから形成されるジブロック共重合体からなる群
より選択される少なくとも1種である。
【0041】本発明によりイソブチレン系ブロック共重
合体を製造する場合、一般式(1)で表される重合開始
剤、酸素含有金属化合物、単量体成分等の添加方法及び
添加順序等は特に限定されるものではないが、好ましい
方法としては、例えば、(A)一般式(1)で表される
重合開始剤、酸素含有金属化合物及びルイス酸の存在下
に、イソブチレンを主成分とする単量体成分(a)の重
合を行う工程、並びに、(B)イソブチレンを主成分と
しない単量体成分(b)を反応系に添加して、引き続き
重合を行う工程からなる方法が挙げられる。
【0042】この方法では、工程(A)でイソブチレン
を主成分とする単量体成分(a)の重合が実質的に終了
してから、イソブチレンを主成分としない単量体成分
(b)を添加するのが一般的であるが、イソブチレンを
主成分としない単量体成分(b)中にイソブチレンより
もカチオン重合活性の低い単量体が存在する場合には、
工程(A)でイソブチレンを主成分とする単量体成分
(a)の重合が実質的に終了する前にイソブチレンを主
成分としない単量体成分(b)を添加してもブロック共
重合体の合成が可能である。
【0043】また、イソブチレンを主成分としない単量
体成分(b)として、イソブチレンとほぼ同等のカチオ
ン重合活性を有しかつ共重合可能な単量体を使用する場
合には、工程(A)でイソブチレンを主成分とする単量
体成分(a)の重合が実質的に終了する前に上記イソブ
チレンを主成分としない単量体成分(b)を添加すれ
ば、分子鎖の一部にランダム性のあるブロックを有する
ブロック共重合体等が製造可能である。
【0044】別の好ましい方法としては、(A)一般式
(1)で表される重合開始剤、酸素含有金属化合物及び
ルイス酸の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量
体成分(a)の重合を行う工程、並びに、(B)イソブ
チレンを主成分としない単量体成分(b)及び酸素含有
金属化合物を反応系に添加して、上記イソブチレンを主
成分としない単量体成分(b)の重合を引き続き行う工
程からなる方法が挙げられる。
【0045】この場合、工程(B)で、酸素含有金属化
合物を追加添加するので、イソブチレンを主成分とする
単量体成分(a)とイソブチレンを主成分としない単量
体成分(b)の重合活性が異っていても、重合安定化効
果及び重合速度を容易に調整できる。
【0046】各成分の使用量は目的とする重合体の構造
及び性質によって適宜設計することが可能である。イソ
ブチレンを主成分とする単量体成分(a)とイソブチレ
ンを主成分としない単量体成分(b)の使用割合によっ
て、得られるイソブチレン系ブロック共重合体中の、イ
ソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックとイソ
ブチレンを単量体主成分としない重合体ブロックの割合
が決定される。成分(a)と成分(b)の使用割合につ
いては特に限定されず、通常、イソブチレンを単量体主
成分とする重合体ブロックが98から40重量%、イソ
ブチレンを単量体主成分としない重合体ブロックが2か
ら60重量%となるように設定されることが好ましく、
イソブチレンを単量体主成分とする重合体ブロックが9
5から50重量%、イソブチレンを単量体主成分としな
い重合体ブロックが5から50重量%となるように設定
されることが特に好ましい。
【0047】また、イソブチレンを主成分とする単量体
成分(a)及びイソブチレンを主成分としない単量体成
分(b)の合計量と、一般式(1)で表わされる重合開
始剤のモル当量関係によって、得られる重合体の分子量
が決定できる。通常、得られるブロック共重合体の数平
均分子量が10000〜500000程度になるように
設定される。
【0048】次に、酸素含有金属化合物の使用量は、重
合反応による発熱の抑制や望ましくない連鎖移動反応の
抑制といった重合安定化効果と、重合速度のバランスを
考慮して決定することができる。該酸素含有金属化合物
の化学構造によって最適な使用量は異なるが、酸素含有
金属化合物が単量体である場合には、一般式(1)で表
わされる重合開始剤に対して0.001〜30モル当量
程度の範囲で使用することが好ましい。酸素含有金属化
合物が多量体である場合、縮合の度合いによって好適な
使用量は若干変化するが、金属含有量に基づいて大略計
算し、最終的には実験により決定することができる。該
酸素含有金属化合物のモル当量が大きすぎると重合を阻
害するためモノマーの転化率が低くなり、逆に小さすぎ
ると充分な重合安定化効果が得られない。
【0049】本発明で使用されるルイス酸は酸素含有金
属化合物と事前に混合しておくこともできるし、他の原
料を仕込んだ反応容器に最後に投入することもできる。
ルイス酸と酸素含有金属化合物のモル当量はルイス酸触
媒の活性や所望の重合速度を考慮して決定されるが、一
般的には(ルイス酸)/(酸素含有金属化合物)が0.
01〜200、好ましくは0.2〜100、より好まし
くは1〜80の範囲である。
【0050】本発明の製造方法においては、上記酸素含
有金属化合物が、重合触媒として機能し得る程度の強い
ルイス酸性を示す場合には、単独で重合開始剤と反応し
て重合反応を開始させることができる。上記酸素含有金
属化合物は、従来のカチオン重合で重合触媒として用い
られるルイス酸よりはルイス酸性が低いため、カチオン
重合反応を安定化して、構造が制御されたイソブチレン
系ブロック共重合体を極めて有利な条件で得ることがで
きる。
【0051】一方、上記酸素含有金属化合物のルイス酸
性が低く、単独では重合触媒として作用しない場合に
は、上記ルイス酸を共存させる必要がある。この場合、
上記酸素含有金属化合物は、上記ルイス酸の触媒活性を
弱める働きをするので、重合安定剤として機能するもの
である。従って、本発明の製造方法では、重合反応を制
御して分子量分布の小さいイソブチレン系ブロック共重
合体を得ることができるように重合触媒のルイス酸性の
程度を考慮して、上記金属化合物の種類、上記ルイス酸
を用いるか否か、用いる場合の上記ルイス酸の種類、上
記ルイス酸の割合等を設定する必要がある。
【0052】本発明の製造方法は必要に応じて溶剤中で
行うことができ、このような溶剤としてはカチオン重合
を本質的に阻害しなければ特に制約なく従来公知のもの
全てを使用することができる。具体的には、塩化メチ
ル、ジクロロメタン、クロロホルム、塩化エチル、ジク
ロロエタン、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロ
ライド、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素;ベン
ゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピル
ベンゼン、ブチルベンゼン等のアルキルベンゼン類;エ
タン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタ
ン、オクタン、ノナン、デカン等の直鎖式脂肪族炭化水
素類;2−メチルプロパン、2−メチルブタン、2,
3,3−トリメチルペンタン、2,2,5−トリメチル
ヘキサン等の分岐式脂肪族炭化水素類;シクロヘキサ
ン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の
環式脂肪族炭化水素類;石油留分を水添精製したパラフ
ィン油等を挙げることができる。これらの溶剤は、ブロ
ック共重合体を構成する単量体の重合特性及び生成する
重合体の溶解性等のバランスを考慮して、単独又は2種
以上を組み合わせて使用される。上記溶媒の使用量は、
得られる重合体溶液の粘度や除熱の容易さを考慮して、
重合体の濃度が1〜50wt%、好ましくは5〜35w
t%となるような量が好ましい。
【0053】実際の重合を行うに当たっては、通常、−
100℃以上0℃未満の温度で各成分を混合する。エネ
ルギーコストと重合の安定性を釣り合わせるために特に
好ましい温度範囲は、−30℃〜−80℃である。上記
重合反応は、バッチ式(回分式又は半回分式)で行って
もよいし、重合反応に必要な各成分を連続的に重合容器
内に加える連続式で行ってもよい。
【0054】本発明で用いられる酸素含有金属化合物
は、重合触媒の失活、水洗時に分解して、アルコールや
カルボン酸と無機塩を与える。無機塩は触媒の失活、水
洗による除去と同時に除去され、大部分のアルコールや
カルボン酸は水洗により取り除かれる。微量に残ったア
ルコールやカルボン酸は溶剤留去とともに重合体から除
かれ、回収溶剤に含まれることになるが、重合溶剤の沸
点と生成するアルコールの沸点とのバランスを考慮して
アルコキシル基等の炭素数を選択したものを用いること
によって蒸留により簡単に除去できる。アルコキシル基
の選択例としては、例えば、主たる溶剤がトルエン(沸
点110℃)の場合は、メトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基のいずれかを選ぶことにより、回収溶剤に混入
してくる低沸点成分を除去する蒸留時にアルコールも同
時に除去でき、工程に新たな負担を与えない。尚、ここ
でいう蒸留は上記目的が果たせるものであればバッチ式
/連続式を問わない。
【0055】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に具体的に
説明する。尚、本発明はこれらの実施例によって何ら限
定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲にお
いて適宜変更実施可能である。
【0056】実施例1 500mLのセパラブルフラスコの重合容器内を窒素置
換した後、注射器を用いて、n−ヘキサン(モレキュラ
ーシーブスで乾燥したもの)120mL及び塩化メチレ
ン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)80mL、
p−ジクミルクロライド(以下p−DCCと略す)0.
0876g(0.38mmol)を加えた。重合容器を
−70℃のドライアイス/メタノールバス中につけて冷
却した後、チタン(IV)テトライソプロポキシド0.
110g(0.39mmol)を加えた。次に、イソブ
チレンモノマー33.9mL(419.9mmol)が
入っている三方コック付耐圧ガラス製液化採取管にテフ
ロン製の送液チューブを接続し、重合容器内にイソブチ
レンモノマーを窒素圧により送液した。更に四塩化チタ
ン1.50mL(13.7mmol)を加えて重合を開
始した。重合開始から1時間同じ温度で撹拌を行った
後、重合溶液からサンプリング用として重合溶液約1m
Lを抜き取った。続いて、あらかじめ−70℃に冷却し
ておいたスチレンモノマー12.15g(116.7m
mol)、n−ヘキサン12mL及び塩化メチレン8m
Lの混合溶液を重合容器内に添加した。該混合溶液を添
加してから10分後に約10mLのメタノールを加えて
反応を終了させた。
【0057】反応溶液から溶剤等を留去した後、トルエ
ンに溶解し2回水洗を行った。更に、トルエン溶液を多
量のメタノールに加えて重合体を沈殿させ、得られた重
合体を60℃で24時間真空乾燥することにより目的の
イソブチレン系ブロック共重合体を得た。反応中、重合
溶液は常に透明であり、重合容器の内壁に付着物はほと
んど認められなかった。得られた重合体のGPC分析を
行ったところ、スチレン添加前のイソブチレン重合体の
数平均分子量Mnが61000、分子量分布Mw/Mn
が1.17であり、スチレン重合後のブロック共重合体
の数平均分子量Mnが91000、分子量分布Mw/M
nが1.25であった。数平均分子量はWaters社
製510型GPCシステム(溶媒としてクロロホルムを
使用し、流量は1mL/分とした)により測定し、ポリ
スチレン換算の値を示した。
【0058】実施例2 チタン(IV)テトライソプロポキシドの使用量を0.
537g(1.89mmol)とした以外は実施例1と
同様にしてイソブチレン系ブロック共重合体を得た。反
応中、重合溶液は常に透明であり、酸素含有金属化合物
を増量しても重合容器の内壁に付着物はほとんど認めら
れなかった。
【0059】上記実施例1、2から、本発明の方法によ
れば分子量分布の狭い構造の制御されたイソブチレン系
ブロック共重合体の製造が可能である。具体的には酸素
含有金属化合物を重合系に添加することにより、生長炭
素カチオンの安定化が起こり、望ましくない副反応が抑
えることができる。更に、重合系が透明で濁りや不溶性
の沈殿が生成しない。
【0060】比較例1 チタン(IV)テトライソプロポキシドを添加しない以
外は実施例1と同様にしてイソブチレン系ブロック共重
合体を得た。得られた重合体のGPC分析を行ったとこ
ろ、スチレン添加前のイソブチレン重合体の数平均分子
量Mnが50000、分子量分布Mw/Mnが3.20
であり、スチレン重合後のブロック共重合体の数平均分
子量Mnが73000、分子量分布Mw/Mnが4.2
9であった。本発明の酸素含有金属化合物を全く添加し
ない場合には、重合の制御ができないため、スチレンを
添加する前のポリイソブチレンの分子量分布は大きくな
る。その結果、引き続きスチレンを添加して重合を行う
と、更に分子量分布は大きくなり、分子量の揃った(構
造が制御された)イソブチレン系ブロック共重合体を得
ることができない。
【0061】比較例2 チタン(IV)テトライソプロポキシド0.110g
(0.39mmol)を添加する代わりに、α−ピコリ
ン0.071g(0.76mmol)を添加した以外は
実施例1と同様にしてイソブチレン系ブロック共重合体
を得た。反応中、重合溶液には濁りが生じており、重合
容器内壁には黄色あるいは赤色の付着物が認められた。
得られた重合体のGPC分析を行ったところ、スチレン
添加前のイソブチレン重合体の数平均分子量Mnが71
000、分子量分布Mw/Mnが1.09であり、スチ
レン重合後のブロック共重合体の数平均分子量Mnが1
04000、分子量分布Mw/Mnが1.20であっ
た。
【0062】本発明の酸素含有金属化合物の代わりに、
アミン系の重合安定剤であるα−ピコリンを添加した場
合には、実施例と同程度の重合制御が可能ではあるが、
重合溶液に濁りや不溶性の付着物が発生した。重合系の
濁りは製品の品質上大きな問題となり、更に、重合容器
への付着物発生はジャケットからの除熱効率を著しく低
減させることになるので工業的に不利である。
【0063】
【発明の効果】本発明によれば、イソブチレン系ブロッ
ク共重合体を製造する際に、酸素含有金属化合物を重合
系に共存させることにより、連鎖移動反応や停止反応等
の望ましくない副反応を最小限に抑えることができるた
め、分子量が制御されて分子量分布の狭いイソブチレン
系ブロック共重合体を製造することが可能である。ま
た、本発明の酸素含有金属化合物を使用すると、製品の
品質に悪影響を及ぼす重合系の濁りや、ジャケットから
の除熱効率を下げる重合容器への不溶性固体の付着とい
った問題がない。このことは、重合活性の高い単量体の
重合を制御するために重合安定剤を増量する場合や、工
業生産等のスケールの大きな重合を実施する場合に、特
に有益である。更に、本発明の酸素含有金属化合物は、
アミン類等のように毒性や臭気に対して充分な対策を施
す必要性は低い。従って、本発明によれば工業的にも極
めて有利なイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法
が提供される。

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表わされる重合開始
    剤の存在下に、イソブチレンを主成分とする単量体成分
    (a)と、イソブチレンを主成分としない単量体成分
    (b)とを反応させることよりなるイソブチレン系ブロ
    ック共重合体の製造方法であって、前記反応は、酸素含
    有金属化合物の存在下に行うものであることを特徴とす
    るイソブチレン系ブロック共重合体の製造方法。 【化1】 (式中、複数のR1 は、同一又は異なって、水素原子又
    は炭素数1〜6の1価の炭化水素基を表す。R2 は、1
    価若しくは多価芳香族炭化水素基又は1価若しくは多価
    脂肪族炭化水素基を表す。Xは、ハロゲン原子、炭素数
    1〜6のアルコキシル基、又は、炭素数1〜6のアシロ
    キシル基を表す。nは、1〜6の整数を表す。Xが複数
    存在するとき、それらは、同一であっても異なっていて
    もよい。)
  2. 【請求項2】 酸素含有金属化合物における金属原子
    は、長周期周期律表4B族、3A族、4A族、5A族、
    5B族及び8族の金属からなる群より選択される少なく
    とも1種である請求項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 酸素含有金属化合物における金属原子
    は、チタン(III)、チタン(IV)、アルミニウ
    ム、ほう素、スズ(II)、スズ(IV)、ジルコニウ
    ム、バナジウム、アンチモン及び鉄からなる群より選択
    される少なくとも1種である請求項2記載の製造方法。
  4. 【請求項4】 酸素含有金属化合物における酸素原子
    は、アルコキシル基の酸素原子である請求項1記載の製
    造方法。
  5. 【請求項5】 酸素含有金属化合物における酸素原子
    は、アシロキシル基の酸素原子である請求項1記載の製
    造方法。
  6. 【請求項6】 酸素含有金属化合物は、下記一般式
    (2)で表される平均組成を有するものである請求項4
    又は5記載の製造方法。 M(L1n (L2m (2) (式中、Mは金属原子を表す。L1 は、アルコキシル基
    又はアシロキシル基を表す。L2 はハロゲン原子を表
    す。mは、0以上の数を表す。nは、正の数を表す。m
    とnの合計は、金属原子Mの価数に相当する整数であ
    る。)
  7. 【請求項7】 反応は、ルイス酸を更に共存させて行う
    ものである請求項1、2、3、4、5又は6記載の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 酸素含有金属化合物として、チタン(I
    V)アルコキシドを用いるとともに、ルイス酸として、
    四塩化チタンを用いる請求項7記載の製造方法。
  9. 【請求項9】 一般式(1)で表わされる重合開始剤
    は、ビス(1−クロル−1−メチルエチル)ベンゼン
    [C64 (C(CH32 Cl)2]である請求項1、
    2、3、4、5、6、7又は8記載の製造方法。
  10. 【請求項10】 イソブチレンを主成分としない単量体
    成分(b)は、芳香族ビニル系単量体を主成分とする単
    量体成分である請求項1、2、3、4、5、6、7、8
    又は9記載の製造方法。
  11. 【請求項11】 芳香族ビニル系単量体は、スチレン、
    p−メチルスチレン、α−メチルスチレン及びインデン
    からなる群より選択される少なくとも1種である請求項
    10記載の製造方法。
  12. 【請求項12】 イソブチレン系ブロック共重合体は、
    芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体ブロック−
    イソブチレンを主成分とする重合体ブロック−芳香族ビ
    ニル系単量体を主成分とする重合体ブロックから形成さ
    れるトリブロック共重合体、イソブチレンを主成分とす
    る重合体ブロック−芳香族ビニル系単量体を主成分とす
    る重合体ブロック−イソブチレンを主成分とする重合体
    ブロックから形成されるトリブロック共重合体、及び、
    芳香族ビニル系単量体を主成分とする重合体ブロック−
    イソブチレンを主成分とする重合体ブロックから形成さ
    れるジブロック共重合体からなる群より選択される少な
    くとも1種である請求項10又は11記載の製造方法。
  13. 【請求項13】 (A)一般式(1)で表される重合開
    始剤、酸素含有金属化合物及びルイス酸の存在下に、イ
    ソブチレンを主成分とする単量体成分(a)の重合を行
    う工程、並びに、(B)イソブチレンを主成分としない
    単量体成分(b)を反応系に添加して、引き続き重合を
    行う工程からなる請求項7記載の製造方法。
  14. 【請求項14】 (A)一般式(1)で表される重合開
    始剤、酸素含有金属化合物及びルイス酸の存在下に、イ
    ソブチレンを主成分とする単量体成分(a)の重合を行
    う工程、並びに、(B)イソブチレンを主成分としない
    単量体成分(b)及び酸素含有金属化合物を反応系に添
    加して、前記イソブチレンを主成分としない単量体成分
    (b)の重合を引き続き行う工程からなる請求項7記載
    の製造方法。
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