JP2017197611A - フィルム - Google Patents
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Abstract
【課題】柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、などの特性バランスに優れたフィルムを提供する。
【解決手段】少なくとも二つの層を有し、ポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、前記(a)が分子中に、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)とを含み、(B)は、重合体ブロック(B1)及び(B2)を含み、(a)中、(C)の含有量が1〜20質量%、(B)の含有量が73〜97質量%、(S)の含有量が1〜15質量%であり、(C)の水素化前のビニル結合量が1〜25mol%、(B1)の水素化前のビニル結合量が40mоl%以上60mol%以下、(B2)の水素化前のビニル結合量が60mоl%超100mol%以下で、水素化率が80mol%以上のフィルム。
【選択図】図2
【解決手段】少なくとも二つの層を有し、ポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、前記(a)が分子中に、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)とを含み、(B)は、重合体ブロック(B1)及び(B2)を含み、(a)中、(C)の含有量が1〜20質量%、(B)の含有量が73〜97質量%、(S)の含有量が1〜15質量%であり、(C)の水素化前のビニル結合量が1〜25mol%、(B1)の水素化前のビニル結合量が40mоl%以上60mol%以下、(B2)の水素化前のビニル結合量が60mоl%超100mol%以下で、水素化率が80mol%以上のフィルム。
【選択図】図2
Description
本発明は、フィルムに関する。
ポリプロピレン系樹脂組成物は、一般的に耐薬品性、機械的特性に優れているため、包装材料、機械部品、自動車部品など広範囲に使用されている。
また、最近、環境問題に対する必要性から非ハロゲン系の透明高分子材料の開発が進んでおり、特にフィルム分野においては、ポリプロピレン系樹脂が使用され、用途に合わせてポリプロピレン系樹脂を軟質化、透明化等させる要求が出ている。
また、最近、環境問題に対する必要性から非ハロゲン系の透明高分子材料の開発が進んでおり、特にフィルム分野においては、ポリプロピレン系樹脂が使用され、用途に合わせてポリプロピレン系樹脂を軟質化、透明化等させる要求が出ている。
下記特許文献1においては、(イ)ポリプロピレン、(ロ)1,4結合含量が70%以上のポリブタジエンブロックセグメント(A)と、共役ジエン化合物、あるいは共役ジエン化合物を70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエン化合物とのランダム共重合体であって、共役ジエン化合物部分のビニル結合含量が60%以上であるブロックセグメント(B)からなるブロック共重合体であり、共役ジエン部分の二重結合の少なくとも80%が飽和された水添ジエン系重合体(ハ)エチレンを主体とするオレフィン系重合体 0〜98重量%〔ただし、(イ)+(ロ)+(ハ)=100重量%〕からなる医療用軟質成形品が開示されている。
また、特許文献2においては、基層(I)の少なくとも一方の面上に表層(II)が設けられた多層積層体において、該基層(I)が下記(イ)/(ロ)=100〜20/0〜80重量%からなり、表層(II)が下記(イ)/(ハ)=95〜50/5〜50重量%からなる多層積層体。((イ)ポリオレフィン系樹脂、(ロ)共役ジエン系重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70万である水添ジエン系共重合体、(ハ)1,2−ビニル結合を有するブタジエン含有量が25%以下であるポリブタジエン重合体が水素添加されたブロックを末端少なくとも片末端に有する水添ジエン系共重合体。)が開示されている。
また、特許文献2においては、基層(I)の少なくとも一方の面上に表層(II)が設けられた多層積層体において、該基層(I)が下記(イ)/(ロ)=100〜20/0〜80重量%からなり、表層(II)が下記(イ)/(ハ)=95〜50/5〜50重量%からなる多層積層体。((イ)ポリオレフィン系樹脂、(ロ)共役ジエン系重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70万である水添ジエン系共重合体、(ハ)1,2−ビニル結合を有するブタジエン含有量が25%以下であるポリブタジエン重合体が水素添加されたブロックを末端少なくとも片末端に有する水添ジエン系共重合体。)が開示されている。
食品用包装分野、衣料用包装分野、並びに医療分野に用いられるポリプロピレン系樹脂組成物の成形体には、透明性、柔軟性、低ベタつき性が求められ、さらには耐衝撃性にも優れ、かつこれらの特性バランスが良好であることが求められる。
しかしながら、特許文献1に記載されているような成形品や、特許文献2に開示されている多層積層体においては、いずれも柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、及びこれらの特性バランスにおいて未だ改善の余地を有している。
しかしながら、特許文献1に記載されているような成形品や、特許文献2に開示されている多層積層体においては、いずれも柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、及びこれらの特性バランスにおいて未だ改善の余地を有している。
そこで本発明においては、上述した従来技術が有する課題に鑑み、特定の構造を有する水素化ブロック共重合体(a)を含み、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性及びこれらの特性バランスに優れたフィルムを提供することを目的とする。
すなわち本発明は以下のとおりである。
すなわち本発明は以下のとおりである。
〔1〕
少なくとも二つの層を有するフィルムであって、
少なくとも一つの層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、分子中に、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)と、
を、含み、
前記重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(B1)及び(B2)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)中、前記重合体ブロック(C)の含有量が1〜20質量%であり、前記重合体ブロック(B)の含有量が73〜97質量%であり、前記重合体ブロック(S)の含有量が1〜15質量%であり、
前記重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量が1〜25mol%であり、前記重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量が40mоl%以上60mol%以下であり、前記重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量が60mоl%超100mol%以下であり、
水素化率が80mol%以上である、
フィルム。
〔2〕
前記水素化ブロック共重合体(a)100質量%中における、前記重合体ブロック(C)と、前記重合体ブロック(S)の含有量の合計が3〜27質量%である、前記〔1〕に記載のフィルム。
〔3〕
前記水素化ブロック共重合体(a)100質量%中における、前記重合体ブロック(B1)の含有量が10〜60質量%であり、前記重合体ブロック(B2)の含有量が30〜80質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のフィルム。
〔4〕
少なくとも二つの層を有するフィルムであって、
少なくとも一つの層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、分子中に、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)の芳香族ビニル化合物単位の含有量が、1〜15質量%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)の水素化率が80mol%以上であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)中の共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対して、ブチレン量及び/又はプロピレン量が42〜80mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、−20〜80℃に結晶化のピークを有し、結晶化熱量が0.1〜10J/gであり、前記水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度が15〜60であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)を、熱勾配相互作用クロマトグラフィー(TGIC)で測定した溶出量ピークが0℃以上150℃以下の範囲にあり、溶出量ピークの半値幅が20〜40℃の範囲である、フィルム。
〔5〕
少なくとも外層、中間層、内層の三つの層を有し、
前記外層が、ポリプロピレン樹脂(b)を含み、
前記中間層が、ポリプロピレン樹脂(b)、及び前記水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記内層が、ポリプロピレン樹脂(b)を含む、
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔6〕
前記外層の厚みが5〜50μm、
前記中間層の厚みが100〜200μm、
前記内層の厚みが5〜50μmである、
前記〔5〕に記載のフィルム。
〔7〕
前記水素化ブロック共重合体(a)の固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において観察される、前記水素化ブロック共重合体のガラス転移を示すtanδピーク(Tg1)が、−45℃を超えて−30℃以下の範囲にあり、
かつ前記水素化ブロック共重合体(a)をホモポリプロピレンに30質量%添加した場合に観察されるtanδピーク(Tg2)との差ΔTg(Tg1−Tg2)が、3〜12℃である、
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔8〕
13C−NMRで測定した29.4〜30.0ppmの積分値と、9.0〜14.0ppmの積分値との比(29.4〜30.0ppmの積分値/9.0〜14.0ppmの積分値)が、
下記式(1)で求められる積分値の比から下記式(2)で求められる積分値の範囲にあり、
ブチレン量が50〜80mol%である、
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のフィルム。
積分値の比=((1.23+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(1)
積分値の比=((12.28+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(2)
〔9〕
前記外層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)が、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)と、
を、含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の含有量が0〜15質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の含有量が75〜97質量%であり、
前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)の含有量が3〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上であり、
前記外層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が60〜100質量%であり、
前記外層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が0〜40質量%である、
前記〔5〕乃至〔8〕に記載のフィルム。
〔10〕
前記内層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)が、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)と、
を、含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の含有量が0〜15質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の含有量が75〜97質量%であり、
前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)の含有量が3〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mоlmol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上であり
前記内層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が50〜95質量%であり、
前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が5〜50質量%である、
前記〔5〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔11〕
前記重合体ブロック(B)は、前記水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B3)をさらに含み、
前記重合体ブロック(B3)の含有量が、前記水素化ブロック共重合体(a)中の1〜10質量%である、
前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔12〕
水素化ブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)が10万〜30万である、
前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔13〕
水素化ブロック共重合体(a)のミクロ相分離構造が球構造(スフィアー構造)を形成している、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔14〕
クロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した−20℃以下の積分溶出量が全容量の0.1%以上75%未満であり、−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の5%以上80%未満であり、60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の20%以上95%未満である、前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のフィルム。
少なくとも二つの層を有するフィルムであって、
少なくとも一つの層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、分子中に、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)と、
を、含み、
前記重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(B1)及び(B2)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)中、前記重合体ブロック(C)の含有量が1〜20質量%であり、前記重合体ブロック(B)の含有量が73〜97質量%であり、前記重合体ブロック(S)の含有量が1〜15質量%であり、
前記重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量が1〜25mol%であり、前記重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量が40mоl%以上60mol%以下であり、前記重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量が60mоl%超100mol%以下であり、
水素化率が80mol%以上である、
フィルム。
〔2〕
前記水素化ブロック共重合体(a)100質量%中における、前記重合体ブロック(C)と、前記重合体ブロック(S)の含有量の合計が3〜27質量%である、前記〔1〕に記載のフィルム。
〔3〕
前記水素化ブロック共重合体(a)100質量%中における、前記重合体ブロック(B1)の含有量が10〜60質量%であり、前記重合体ブロック(B2)の含有量が30〜80質量%である、前記〔1〕又は〔2〕に記載のフィルム。
〔4〕
少なくとも二つの層を有するフィルムであって、
少なくとも一つの層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、分子中に、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)の芳香族ビニル化合物単位の含有量が、1〜15質量%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)の水素化率が80mol%以上であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)中の共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対して、ブチレン量及び/又はプロピレン量が42〜80mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、−20〜80℃に結晶化のピークを有し、結晶化熱量が0.1〜10J/gであり、前記水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度が15〜60であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)を、熱勾配相互作用クロマトグラフィー(TGIC)で測定した溶出量ピークが0℃以上150℃以下の範囲にあり、溶出量ピークの半値幅が20〜40℃の範囲である、フィルム。
〔5〕
少なくとも外層、中間層、内層の三つの層を有し、
前記外層が、ポリプロピレン樹脂(b)を含み、
前記中間層が、ポリプロピレン樹脂(b)、及び前記水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記内層が、ポリプロピレン樹脂(b)を含む、
前記〔1〕乃至〔4〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔6〕
前記外層の厚みが5〜50μm、
前記中間層の厚みが100〜200μm、
前記内層の厚みが5〜50μmである、
前記〔5〕に記載のフィルム。
〔7〕
前記水素化ブロック共重合体(a)の固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において観察される、前記水素化ブロック共重合体のガラス転移を示すtanδピーク(Tg1)が、−45℃を超えて−30℃以下の範囲にあり、
かつ前記水素化ブロック共重合体(a)をホモポリプロピレンに30質量%添加した場合に観察されるtanδピーク(Tg2)との差ΔTg(Tg1−Tg2)が、3〜12℃である、
前記〔1〕乃至〔6〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔8〕
13C−NMRで測定した29.4〜30.0ppmの積分値と、9.0〜14.0ppmの積分値との比(29.4〜30.0ppmの積分値/9.0〜14.0ppmの積分値)が、
下記式(1)で求められる積分値の比から下記式(2)で求められる積分値の範囲にあり、
ブチレン量が50〜80mol%である、
前記〔1〕乃至〔7〕のいずれか一に記載のフィルム。
積分値の比=((1.23+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(1)
積分値の比=((12.28+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(2)
〔9〕
前記外層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)が、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)と、
を、含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の含有量が0〜15質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の含有量が75〜97質量%であり、
前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)の含有量が3〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上であり、
前記外層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が60〜100質量%であり、
前記外層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が0〜40質量%である、
前記〔5〕乃至〔8〕に記載のフィルム。
〔10〕
前記内層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)が、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)と、
を、含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の含有量が0〜15質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の含有量が75〜97質量%であり、
前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)の含有量が3〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mоlmol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上であり
前記内層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が50〜95質量%であり、
前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が5〜50質量%である、
前記〔5〕乃至〔9〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔11〕
前記重合体ブロック(B)は、前記水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B3)をさらに含み、
前記重合体ブロック(B3)の含有量が、前記水素化ブロック共重合体(a)中の1〜10質量%である、
前記〔1〕乃至〔10〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔12〕
水素化ブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)が10万〜30万である、
前記〔1〕乃至〔11〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔13〕
水素化ブロック共重合体(a)のミクロ相分離構造が球構造(スフィアー構造)を形成している、前記〔1〕乃至〔12〕のいずれか一に記載のフィルム。
〔14〕
クロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した−20℃以下の積分溶出量が全容量の0.1%以上75%未満であり、−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の5%以上80%未満であり、60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の20%以上95%未満である、前記〔1〕乃至〔13〕のいずれか一に記載のフィルム。
本発明によれば、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムを提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜変形して実施できる。
〔フィルム〕
本実施形態のフィルムは、少なくとも二つの層を有する。
本実施形態のフィルムは、少なくとも一つの層が、ポリプロピレン樹脂(b)及び後述する水素化ブロック共重合体(a)を含む。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
本実施形態のフィルムは、少なくとも二つの層を有する。
本実施形態のフィルムは、少なくとも一つの層が、ポリプロピレン樹脂(b)及び後述する水素化ブロック共重合体(a)を含む。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
(水素化ブロック共重合体(a))
本実施形態のフィルムに含まれる水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)とを含む。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(B1)及び(B2)を含む。
前記水素化ブロック共重合体(a)中、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の含有量が1〜20質量%であり、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の含有量が73〜97質量%であり、前記芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)の含有量が1〜15質量%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量が1mоl%以上25mol%以下であり、前記重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量が40mol%以上60mol%以下であり、前記重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量が60mol%超100mol%以下である。
水素化ブロック共重合体(a)は、水素化率が80mol%以上である。
本実施形態のフィルムに含まれる水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)とを含む。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(B1)及び(B2)を含む。
前記水素化ブロック共重合体(a)中、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の含有量が1〜20質量%であり、前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の含有量が73〜97質量%であり、前記芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)の含有量が1〜15質量%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量が1mоl%以上25mol%以下であり、前記重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量が40mol%以上60mol%以下であり、前記重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量が60mol%超100mol%以下である。
水素化ブロック共重合体(a)は、水素化率が80mol%以上である。
また、上述した水素化ブロック共重合体(a)は、次のように特定することもできる。
すなわち、水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含み、前記芳香族ビニル化合物単位の含有量が、1〜15質量%であり、前記水素化ブロック共重合体(a)の水素化率が80mol%以上であり、前記共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対して、ブチレン量及び/又はプロピレン量が42〜80mol%であり、前記水素化ブロック共重合体(a)が−20〜80℃に結晶化のピークを有し、結晶化熱量が0.1〜10J/gであり、前記水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度が15〜60であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)を、熱勾配相互作用クロマトグラフィー(以下、「TGIC」という。)で測定した溶出量ピークが0℃以上150℃以下の範囲にあり、溶出ピークの半値幅が20〜40℃の範囲である。
上記のように構成されているため、本実施形態のフィルムは、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、及びこれらの特性バランスに優れたものとなる。
すなわち、水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含み、前記芳香族ビニル化合物単位の含有量が、1〜15質量%であり、前記水素化ブロック共重合体(a)の水素化率が80mol%以上であり、前記共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対して、ブチレン量及び/又はプロピレン量が42〜80mol%であり、前記水素化ブロック共重合体(a)が−20〜80℃に結晶化のピークを有し、結晶化熱量が0.1〜10J/gであり、前記水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度が15〜60であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)を、熱勾配相互作用クロマトグラフィー(以下、「TGIC」という。)で測定した溶出量ピークが0℃以上150℃以下の範囲にあり、溶出ピークの半値幅が20〜40℃の範囲である。
上記のように構成されているため、本実施形態のフィルムは、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性、及びこれらの特性バランスに優れたものとなる。
本実施形態のフィルムに含まれる水素化ブロック共重合体(a)は、分子中に、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)(以下、単に「重合体ブロック(C)」とも表記する。)と、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)(以下、単に「重合体ブロック(B)」とも表記する。)と、芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)(以下、単に「重合体ブロック(S)」とも表記する。)と、を含む。
ここで、「主体とする」とは、対象の単量体単位を、対象の重合体ブロック中に、60質量%以上含むことをいう。
本実施形態のフィルムの柔軟性、透明性及び耐衝撃性の観点から、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)及び重合体ブロック(B)における共役ジエン化合物の含有量は、それぞれ独立して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
また、水素化ブロック共重合体及び本実施形態のフィルムの低ベタツキ性の観点から、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)におけるビニル芳香族化合物の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
共役ジエン化合物の含有量及びビニル芳香族化合物の含有量は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)によって測定できる。
なお、共役ジエン化合物単位とは、水素化ブロック共重合体(a)を構成する単位であって、共役ジエン化合物の単量体に由来する構成単位をいう。また、芳香族ビニル化合物単位とは、水素化ブロック共重合体(a)を構成する単位であって、芳香族ビニル化合物の単量体に由来する構成単位をいう。
ここで、「主体とする」とは、対象の単量体単位を、対象の重合体ブロック中に、60質量%以上含むことをいう。
本実施形態のフィルムの柔軟性、透明性及び耐衝撃性の観点から、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)及び重合体ブロック(B)における共役ジエン化合物の含有量は、それぞれ独立して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
また、水素化ブロック共重合体及び本実施形態のフィルムの低ベタツキ性の観点から、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S)におけるビニル芳香族化合物の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは90質量%以上である。
共役ジエン化合物の含有量及びビニル芳香族化合物の含有量は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)によって測定できる。
なお、共役ジエン化合物単位とは、水素化ブロック共重合体(a)を構成する単位であって、共役ジエン化合物の単量体に由来する構成単位をいう。また、芳香族ビニル化合物単位とは、水素化ブロック共重合体(a)を構成する単位であって、芳香族ビニル化合物の単量体に由来する構成単位をいう。
重合体ブロック(C)、(B)における「水素化前のビニル結合量」とは、水素添加前の共役ジエンの1,2−結合、3,4−結合及び1,4−結合の結合様式で組み込まれているうちの、1,2−結合及び3,4−結合で組み込まれているものの割合(mol%)を意味する。
ビニル結合量は核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)によって測定できる。
ビニル結合量は核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)によって測定できる。
本実施形態のフィルムにおいて、水素化ブロック共重合体(a)中の重合体ブロック(C)及び(B)に使用される共役ジエンは、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。
ジオレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル―1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル―1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル―1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及びファルネセンが挙げられる。
特に一般的なジオレフィンとしては、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
なお、本実施形態のフィルムの透明性、柔軟性、耐衝撃性の観点から、重合体ブロック(C)がブタジエンからなり、前記重合体ブロック(B)がブタジエン又はイソプレンからなるものであることが好ましい。
ジオレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、1,3−ブタジエン、2−メチル―1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル―1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル―1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及びファルネセンが挙げられる。
特に一般的なジオレフィンとしては、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
なお、本実施形態のフィルムの透明性、柔軟性、耐衝撃性の観点から、重合体ブロック(C)がブタジエンからなり、前記重合体ブロック(B)がブタジエン又はイソプレンからなるものであることが好ましい。
本実施形態において、水素化ブロック共重合体(a)中の重合体ブロック(S)に使用される芳香族ビニル化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等の芳香族ビニル化合物が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましく用いられる。特に好ましくはスチレンである。
重合体ブロック(S)は、1種の芳香族ビニル化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α−メチルスチレン、4−メチルスチレンが好ましく用いられる。特に好ましくはスチレンである。
重合体ブロック(S)は、1種の芳香族ビニル化合物単位で構成されていてもよいし、2種以上から構成されていてもよい。
水素化ブロック共重合体(a)中の、重合体ブロック(C)の含有量は、本実施形態のフィルムの柔軟性及び透明性の観点から、1〜20質量%である。同様の観点から、水素化ブロック共重合体(a)中の重合体ブロック(C)の含有量は、好ましくは2〜15質量%であり、より好ましくは3〜10質量%である。重合体ブロック(C)の含有量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量(以下、単に「ビニル量」ともいう。)は、ポリプロピレン樹脂への分散性の観点並びに水素化ブロック共重合体(a)自体及び本実施形態のフィルムの低ベタツキ性の観点から、1mоl%以上25mоl以下%である。
同様の観点から、重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量は、好ましくは3〜22mol%であり、より好ましくは5〜20mol%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
また、前記ビニル結合量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用により制御することができる。
同様の観点から、重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量は、好ましくは3〜22mol%であり、より好ましくは5〜20mol%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
また、前記ビニル結合量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用により制御することができる。
水素化ブロック共重合体(a)中の、重合体ブロック(B)の含有量は、本実施形態のフィルムの柔軟性、透明性及び耐衝撃性の観点から、73〜97質量%である。
同様の観点から、重合体ブロック(B)の含有量は、好ましくは75〜95質量%であり、より好ましくは82〜93質量%である。重合体ブロック(B)の含有量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
同様の観点から、重合体ブロック(B)の含有量は、好ましくは75〜95質量%であり、より好ましくは82〜93質量%である。重合体ブロック(B)の含有量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
本実施形態において、重合体ブロック(B)の水素化前のビニル結合量としては、当該ブロックに含まれる重合体ブロック(B1)と重合体ブロック(B2)のそれぞれについて特定される。
すなわち、重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量は、本実施形態のフィルムの耐衝撃性及び水素化ブロック共重合体自体の低ベタツキ性の観点から、40mol%以上60mоl%以下である。同様の観点から、重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量は、好ましくは42〜58mol%であり、より好ましくは45〜55mol%である。
また、重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量は、本実施形態のフィルムの透明性、柔軟性の観点から、60mol%超100mоl%以下である。同様の観点から、重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量は、好ましくは65〜95mol%であり、より好ましくは70〜90mol%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の水素化前のビニル結合量は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
また、前記ビニル結合量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用により制御することができる。
すなわち、重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量は、本実施形態のフィルムの耐衝撃性及び水素化ブロック共重合体自体の低ベタツキ性の観点から、40mol%以上60mоl%以下である。同様の観点から、重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量は、好ましくは42〜58mol%であり、より好ましくは45〜55mol%である。
また、重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量は、本実施形態のフィルムの透明性、柔軟性の観点から、60mol%超100mоl%以下である。同様の観点から、重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量は、好ましくは65〜95mol%であり、より好ましくは70〜90mol%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の水素化前のビニル結合量は、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
また、前記ビニル結合量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用により制御することができる。
上記のとおり、水素化ブロック共重合体(a)は、重合体ブロック(C)と重合体ブロック(B)とを有することにより、ビニル量が異なる重合体ブロックを少なくとも3つ含むものである。
すなわち、1〜25mol%とビニル量が低く低ベタツキ性に寄与する重合体ブロック(C);40mol%以上60mol%以下とビニル量が中程度であり耐衝撃性に寄与する重合体ブロック(B1);並びに60mol%超100mol%以下とビニル量が高く柔軟性と透明性に寄与する重合体ブロック(B2)を有することにより、各重合体ブロックの特性が相俟って、柔軟性、透明性、低ベタツキ性及び耐衝撃性のバランスに特に優れるものとなる。
すなわち、本実施形態のフィルムが水素化ブロック共重合体(a)を含有することにより、従来トレードオフの関係にあると考えられていた耐衝撃性、低ベタツキ性と、柔軟性、透明性とのバランスを、とりわけ良好なものとすることができる。
すなわち、1〜25mol%とビニル量が低く低ベタツキ性に寄与する重合体ブロック(C);40mol%以上60mol%以下とビニル量が中程度であり耐衝撃性に寄与する重合体ブロック(B1);並びに60mol%超100mol%以下とビニル量が高く柔軟性と透明性に寄与する重合体ブロック(B2)を有することにより、各重合体ブロックの特性が相俟って、柔軟性、透明性、低ベタツキ性及び耐衝撃性のバランスに特に優れるものとなる。
すなわち、本実施形態のフィルムが水素化ブロック共重合体(a)を含有することにより、従来トレードオフの関係にあると考えられていた耐衝撃性、低ベタツキ性と、柔軟性、透明性とのバランスを、とりわけ良好なものとすることができる。
本実施形態のフィルムにおいて、柔軟性、透明性、低ベタツキ性及び耐衝撃性の性能バランスの観点から、水素化重合体ブロック共重合体(a)100質量%中における重合体ブロック(B1)の含有量は、10〜60質量%であることが好ましく、前記重合体ブロック(B2)の含有量が30〜80質量%であることが好ましい。
同様の観点から、重合体ブロック(B1)の含有量は、15〜55質量%であることがより好ましく、前記重合体ブロック(B2)の含有量が40〜75質量%であることがより好ましい。また、重合体ブロック(B1)の含有量は、20〜50質量%であることがさらに好ましく、前記重合体ブロック(B2)の含有量が50〜70質量%であることがさらに好ましい。これらの含有量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
同様の観点から、重合体ブロック(B1)の含有量は、15〜55質量%であることがより好ましく、前記重合体ブロック(B2)の含有量が40〜75質量%であることがより好ましい。また、重合体ブロック(B1)の含有量は、20〜50質量%であることがさらに好ましく、前記重合体ブロック(B2)の含有量が50〜70質量%であることがさらに好ましい。これらの含有量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
水素化ブロック共重合体(a)又は本実施形態のフィルムのソックスレー抽出物乾燥試料を熱勾配相互作用クロマトグラフィー(以下、「TGIC」という。)で測定した溶出量ピークが0℃以上150℃以下の範囲にあり、溶出量ピークの半値幅が20〜40℃の範囲である。
なお、前記半値幅は、水素化ブロック共重合体(a)の構造に起因するものであり、測定条件が同じであれば、水素化ブロック共重合体(a)を測定試料に用いた場合と、水素化ブロック共重合体(a)を含むフィルム(成形条件は問わない)を測定試料に用いた場合で溶出量ピークの半値幅は変わらない。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性のバランスに優れたフィルムが得られる。
同様の観点から、上記0℃以上150℃以下の範囲にある溶出ピークの半値幅は21〜37℃であることがより好ましく、さらに好ましくは22〜34℃である。
また、上記TGIC溶出量ピーク半値幅は、例えば、前記重合体ブロック(C)、(B1)、(B2)の比率を上記範囲にすることにより制御することができ、上記TGIC溶出量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
なお、前記半値幅は、水素化ブロック共重合体(a)の構造に起因するものであり、測定条件が同じであれば、水素化ブロック共重合体(a)を測定試料に用いた場合と水素化ブロック共重合体を含むフィルムを測定試料に用いた場合で溶出量ピークの半値幅は変わらない。
なお、前記半値幅は、水素化ブロック共重合体(a)の構造に起因するものであり、測定条件が同じであれば、水素化ブロック共重合体(a)を測定試料に用いた場合と、水素化ブロック共重合体(a)を含むフィルム(成形条件は問わない)を測定試料に用いた場合で溶出量ピークの半値幅は変わらない。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性のバランスに優れたフィルムが得られる。
同様の観点から、上記0℃以上150℃以下の範囲にある溶出ピークの半値幅は21〜37℃であることがより好ましく、さらに好ましくは22〜34℃である。
また、上記TGIC溶出量ピーク半値幅は、例えば、前記重合体ブロック(C)、(B1)、(B2)の比率を上記範囲にすることにより制御することができ、上記TGIC溶出量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
なお、前記半値幅は、水素化ブロック共重合体(a)の構造に起因するものであり、測定条件が同じであれば、水素化ブロック共重合体(a)を測定試料に用いた場合と水素化ブロック共重合体を含むフィルムを測定試料に用いた場合で溶出量ピークの半値幅は変わらない。
水素化ブロック共重合体(a)中の重合体ブロック(S)の含有量は、フィルムの透明性、柔軟性の観点から、1〜15質量%である。
同様の観点から、重合体ブロック(S)の含有量は、好ましくは2〜12質量%であり、より好ましくは3〜9質量%である。
また、同様の観点から、水素化ブロック共重合体(a)中の芳香族ビニル化合物単位の含有量は、1〜15質量%であり、好ましくは2〜12質量%であり、より好ましくは3〜9質量%である。
水素化ブロック共重合体中の重合体ブロック(S)の含有量及び芳香族ビニル化合物単位の含有量は、それぞれ、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
同様の観点から、重合体ブロック(S)の含有量は、好ましくは2〜12質量%であり、より好ましくは3〜9質量%である。
また、同様の観点から、水素化ブロック共重合体(a)中の芳香族ビニル化合物単位の含有量は、1〜15質量%であり、好ましくは2〜12質量%であり、より好ましくは3〜9質量%である。
水素化ブロック共重合体中の重合体ブロック(S)の含有量及び芳香族ビニル化合物単位の含有量は、それぞれ、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
水素化ブロック共重合体(a)において、共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対して、ブチレン量及び/又はプロピレン量は、柔軟性及び透明性のバランスの観点から、42〜80mol%であり、好ましくは45〜80mol%であり、より好ましくは55〜70mol%である。
上記のブチレン量及び/又はプロピレン量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
なお、上記のブチレン量及び/又はプロピレン量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用、及び、水素化率により制御することができる。
上記のブチレン量及び/又はプロピレン量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
なお、上記のブチレン量及び/又はプロピレン量は、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用、及び、水素化率により制御することができる。
本実施形態のフィルムにおいて、柔軟性、透明性、低ベタツキ性の観点から、水素化ブロック共重合体(a)中の重合体ブロック(C)と重合体ブロック(S)の含有量の合計は、3〜27質量%であることが好ましく、より好ましくは5〜25質量%であり、さらに好ましくは7〜18質量%である。
本実施形態のフィルムに含まれる水素化ブロック共重合体(a)の構造は、特に限定されないが、例えば、下記式により表されるような構造を有するものが挙げられる。
(C−B)n−S
(C−B)n−S−(B3)
(C−B−S)n
(C−B−S)n−(B3)
(C−B−S−(B3))n
(C−B−S)m−X
(C−B−S−(B3))m−X
上式において、C、B、S、B3は、それぞれ、重合体ブロック(C)、(B)、(S)、及び後述する(B3)を表す。
複数存在する場合は異なっていても同じでもよく、1つのBは少なくとも1つの重合体ブロック(B1)か重合体ブロック(B2)であり、複数の重合体ブロック(B1)と重合体ブロック(B2)からなるものであってもよい。
式中、Bが1つしか存在しない場合は、Bは少なくとも1つの重合体ブロック(B1)と少なくとも1つの重合体ブロック(B2)からなるものである。
nは1以上で、好ましくは1〜3の整数である。mは2以上を示し、好ましくは2〜6の整数である。
Xはカップリング剤残基又は多官能開始剤残基を示す。
特にC−B−S、C−B−S−(B3)の構造式で表される重合体であることが好ましい。
(C−B)n−S
(C−B)n−S−(B3)
(C−B−S)n
(C−B−S)n−(B3)
(C−B−S−(B3))n
(C−B−S)m−X
(C−B−S−(B3))m−X
上式において、C、B、S、B3は、それぞれ、重合体ブロック(C)、(B)、(S)、及び後述する(B3)を表す。
複数存在する場合は異なっていても同じでもよく、1つのBは少なくとも1つの重合体ブロック(B1)か重合体ブロック(B2)であり、複数の重合体ブロック(B1)と重合体ブロック(B2)からなるものであってもよい。
式中、Bが1つしか存在しない場合は、Bは少なくとも1つの重合体ブロック(B1)と少なくとも1つの重合体ブロック(B2)からなるものである。
nは1以上で、好ましくは1〜3の整数である。mは2以上を示し、好ましくは2〜6の整数である。
Xはカップリング剤残基又は多官能開始剤残基を示す。
特にC−B−S、C−B−S−(B3)の構造式で表される重合体であることが好ましい。
本実施形態のフィルムにおいては、柔軟性及び透明性の観点から、共役ジエンを主体とする重合体ブロック重合体ブロック(B)が前記水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B3)をさらに含み、水素化ブロック共重合体(a)中、重合体ブロック(B3)の含有量が1〜10質量%であることが好ましい。
同様の観点から、重合体ブロック(B3)の含有量は、水素化ブロック共重合体(a)中、1.5〜7質量%であることがより好ましく、2〜5質量%であることがさらに好ましい。
水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B3)の含有量は、重合モノマーのフィード組成により制御することができる。
同様の観点から、重合体ブロック(B3)の含有量は、水素化ブロック共重合体(a)中、1.5〜7質量%であることがより好ましく、2〜5質量%であることがさらに好ましい。
水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B3)の含有量は、重合モノマーのフィード組成により制御することができる。
水素化ブロック共重合体(a)の水素化率、すなわち、水素化ブロック共重合体(a)中に含まれる全共役ジエン化合物単位の水素化率は、80mol%以上であり、好ましくは85mol%以上であり、より好ましくは90mol%以上、さらに好ましくは95mol%以上である。
水素化ブロック共重合体(a)の共役ジエン単量体単位中に含まれる全不飽和基単位の水素化率は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定でき、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
水素化ブロック共重合体(a)の共役ジエン単量体単位中に含まれる全不飽和基単位の水素化率は、核磁気共鳴スペクトル解析(NMR)により測定でき、具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
水素化率を80mol%以上とすることで、重合体ブロック(C)の結晶化が高まり、本実施形態のフィルムの低ベタツキ性が良好となる。
また、水素化ブロック共重合体(a)をポリプロピレン樹脂と混合した樹脂組成物をフィルムの材料とする場合には、重合体ブロック(B)とポリプロピレン系樹脂との溶解パラメータ値が近づき、水素化ブロック共重合体(a)の分散性が良好になることから、得られるフィルムの柔軟性、透明性が良好となる。
また、水素化ブロック共重合体(a)をポリプロピレン樹脂と混合した樹脂組成物をフィルムの材料とする場合には、重合体ブロック(B)とポリプロピレン系樹脂との溶解パラメータ値が近づき、水素化ブロック共重合体(a)の分散性が良好になることから、得られるフィルムの柔軟性、透明性が良好となる。
水素化率は、例えば、水素添加時の触媒量によって制御することができ、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって制御することができる。
水素化ブロック共重合体(a)は、本実施形態のフィルムの柔軟性、透明性、低ベタツキ性の観点から、−20〜80℃に結晶化ピークを有し、結晶化熱量が0.1〜10J/gである。
同様の観点から、上記結晶化ピークがある温度範囲は、−10〜70℃であることが好ましく、0〜60℃であることがより好ましい。また、上記結晶化熱量は、1.0〜7.5J/gであることが好ましく、1.5〜5.0J/gであることがより好ましい。
結晶化ピークがある温度範囲、及び結晶化熱量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
水素化ブロック共重合体(a)の結晶化ピーク温度範囲、結晶化熱量は、重合体ブロック(C)の含有量、及び、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用、水素化率により制御することができる。
同様の観点から、上記結晶化ピークがある温度範囲は、−10〜70℃であることが好ましく、0〜60℃であることがより好ましい。また、上記結晶化熱量は、1.0〜7.5J/gであることが好ましく、1.5〜5.0J/gであることがより好ましい。
結晶化ピークがある温度範囲、及び結晶化熱量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
水素化ブロック共重合体(a)の結晶化ピーク温度範囲、結晶化熱量は、重合体ブロック(C)の含有量、及び、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤の使用、水素化率により制御することができる。
水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度は15〜60の範囲であることが好ましい。ショアA硬度が15〜60であることにより、本実施形態のフィルムの柔軟性及び耐衝撃性の向上効果が得られる。
ショアA硬度の範囲は、25〜55であることが好ましく、30〜50であることがより好ましい。
前記水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度は、水素化前のビニル結合量1〜25mol%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを有しているものとすること、これらの重合体ブロックの含有量を調整すること、さらには、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤を使用することや、水素化率を調整することにより制御することができる。
ここで、ショアA硬度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
ショアA硬度の範囲は、25〜55であることが好ましく、30〜50であることがより好ましい。
前記水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度は、水素化前のビニル結合量1〜25mol%である共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロックとビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックを有しているものとすること、これらの重合体ブロックの含有量を調整すること、さらには、極性化合物等、ルイス塩基、エーテル、アミン等のビニル化剤を使用することや、水素化率を調整することにより制御することができる。
ここで、ショアA硬度は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態のフィルムにおいては、柔軟性、透明性及び低ベタつき性の観点から、フィルムに含まれる水素化ブロック共重合体(a)のミクロ相分離構造が、球構造(スフィアー構造)を含むものであることが好ましい。
スフィアー構造は、水素化ブロック共重合体(a)において、重合体ブロック(S)の含有量が所定の範囲内にある、または、片末端に存在する場合に観測される特有の構造であり、後述する実施例に記載の方法により確認することができる。
スフィアー構造は、水素化ブロック共重合体(a)において、重合体ブロック(S)の含有量が所定の範囲内にある、または、片末端に存在する場合に観測される特有の構造であり、後述する実施例に記載の方法により確認することができる。
本実施形態において、前記水素化ブロック共重合体(a)のメルトフローレート(MFR;ISO 1133に準拠)は、本実施形態のフィルムの、加工性、柔軟性、透明性、低ベタつき性等の観点から、0.5〜10g/10分であることが好ましく、1〜8g/10分以下であることがより好ましく、1.5〜6g/10分以下であることがさらに好ましい。
メルトフローレートは、水素化ブロック共重合体(a)の分子量、ビニル芳香族単量体単位の含有量、共役ジエン部のビニル結合量、水素化率、水素化ブロック共重合体(a)のブロック構造等を調整することにより、制御することができる。
なお、メルトフローレートは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
メルトフローレートは、水素化ブロック共重合体(a)の分子量、ビニル芳香族単量体単位の含有量、共役ジエン部のビニル結合量、水素化率、水素化ブロック共重合体(a)のブロック構造等を調整することにより、制御することができる。
なお、メルトフローレートは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
本実施形態において、フィルムの柔軟性、透明性、耐衝撃性及び低ベタツキ性のバランスの観点から、固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において観察される、前記水素化ブロック共重合体(a)のガラス転移を示すtanδピーク(Tg1)は−45℃を超えて―30℃以下の範囲にあることが好ましく、かつ、前記水素化ブロック共重合体(a)を特定のホモポリプロピレン(プロピレン単位の含有量99%以上かつMFR=1〜10g/10分、230℃、ISO1133に準拠)に30質量%添加した場合に観察されるtanδピーク(Tg2)の差ΔTg(Tg1−Tg2)が3〜12℃の範囲であることが好ましい。
同様の観点から、4〜10℃であることがより好ましく、5〜9℃であることがさらに好ましい。
上記ΔTgは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、上記ΔTgは、前記重合体ブロック(B1)及び(B2)の比率及び水添前のビニル量により制御することができる。
同様の観点から、4〜10℃であることがより好ましく、5〜9℃であることがさらに好ましい。
上記ΔTgは、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
また、上記ΔTgは、前記重合体ブロック(B1)及び(B2)の比率及び水添前のビニル量により制御することができる。
水素化ブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)(以下、「Mw」ともいう。)は、水素化ブロック共重合体(a)の低ブロッキング性の観点、本実施形態のフィルムの透明性、柔軟性、加工性、低ベタツキ性、及びこれらの物性バランスの観点から、10万〜30万であることが好ましく、13万〜27万であることがより好ましく、15万〜25万であることがさらに好ましい。
前記水素化ブロック共重合体(a)のMwは、重合開始剤量により制御することができる。
前記水素化ブロック共重合体(a)のMwは、重合開始剤量により制御することができる。
水素化ブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)は、GPCによる測定で得られるクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)に基づいて求めた重量平均分子量(Mw)である。
具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
水素化ブロック共重合体の分子量分布及び高分子量成分の含有率と、低分子量成分の含有率の合計も、同様にGPCによる測定から求めることができ、分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率であり、後述する高分子量成分の含有率と、低分子量成分の含有率の合計は、高分子量成分と、低分子量成分の合計ピーク面積をピークの総面積で割った値で求められる。
具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
水素化ブロック共重合体の分子量分布及び高分子量成分の含有率と、低分子量成分の含有率の合計も、同様にGPCによる測定から求めることができ、分子量分布は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率であり、後述する高分子量成分の含有率と、低分子量成分の含有率の合計は、高分子量成分と、低分子量成分の合計ピーク面積をピークの総面積で割った値で求められる。
水素化ブロック共重合体(a)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」ともいう。)で測定される単一ピークの分子量分布は1.30以下であることが好ましく、より好ましくは1.20以下、さらに好ましくは1.15以下であり、よりさらに好ましくは1.10以下である。
上述した水素化ブロック共重合体(a)又は本実施形態のフィルムのソックスレー抽出物乾燥試料を13C−NMRで測定した場合、29.4〜30.0ppmの積分値と9.0〜14.0ppmの積分値との比(29.4〜30.0ppmの積分値/9.0〜14.0ppmの積分値)が、下記式(1)で求められる積分値の比から下記式(2)で求められる積分値の比の範囲にあり、ブチレン量が50〜80mol%であることが好ましい。
積分値の比=((1.23+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(1)
積分値の比=((12.28+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(2)
上記範囲にすることにより、柔軟性、透明性、低ベタツキ性、耐衝撃性の特性バランスに優れたフィルムが得られる。
同様の観点から、ブチレン量は52〜76mol%であることが好ましく、より好ましくは55〜70mol%である。
また、上記積分値の比を表す式において、下記式(3)から下記式(4)の範囲にあることが好ましく、下記式(5)から下記式(6)の範囲にあることがさらに好ましい。
積分値の比=((1.84+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(3)
積分値の比=((11.05+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(4)
積分値の比=((2.46+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(5)
積分値の比=((9.21+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(6)
また、上記積分値の比は、前記重合体ブロック(C)、(B1)、(B2)、(S)の量、及びブチレン量を上述の範囲にすることにより制御することができる。
なお、上記積分値の比は、水素化ブロック共重合体(a)の構造に起因するものであり、測定条件が同じであれば、水素化ブロック共重合体(a)を測定試料に用いた場合と当該水素化ブロック共重合体(a)を含むフィルムを測定試料に用いた場合で積分値は変わらない。
水素化ブロック共重合体のブチレン量と、当該ブチレン量と上記の式(1)〜(6)から算出される積分値の比(29.4〜30.0ppmの積分値/9.0〜14.0ppmの積分値)との関係を図1に示す。
積分値の比=((1.23+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(1)
積分値の比=((12.28+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(2)
上記範囲にすることにより、柔軟性、透明性、低ベタツキ性、耐衝撃性の特性バランスに優れたフィルムが得られる。
同様の観点から、ブチレン量は52〜76mol%であることが好ましく、より好ましくは55〜70mol%である。
また、上記積分値の比を表す式において、下記式(3)から下記式(4)の範囲にあることが好ましく、下記式(5)から下記式(6)の範囲にあることがさらに好ましい。
積分値の比=((1.84+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(3)
積分値の比=((11.05+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(4)
積分値の比=((2.46+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(5)
積分値の比=((9.21+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97) 3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(6)
また、上記積分値の比は、前記重合体ブロック(C)、(B1)、(B2)、(S)の量、及びブチレン量を上述の範囲にすることにより制御することができる。
なお、上記積分値の比は、水素化ブロック共重合体(a)の構造に起因するものであり、測定条件が同じであれば、水素化ブロック共重合体(a)を測定試料に用いた場合と当該水素化ブロック共重合体(a)を含むフィルムを測定試料に用いた場合で積分値は変わらない。
水素化ブロック共重合体のブチレン量と、当該ブチレン量と上記の式(1)〜(6)から算出される積分値の比(29.4〜30.0ppmの積分値/9.0〜14.0ppmの積分値)との関係を図1に示す。
〔水素化ブロック共重合体(a)の製造方法〕
水素化ブロック共重合体(a)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、有機溶媒中で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合を行い、ブロック共重合体を得た後、水素化反応を行うことにより製造することができる。
重合の態様としては、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得る観点からは、バッチ重合方法が好ましい。
水素化ブロック共重合体(a)の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、有機溶媒中で、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として重合を行い、ブロック共重合体を得た後、水素化反応を行うことにより製造することができる。
重合の態様としては、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得る観点からは、バッチ重合方法が好ましい。
重合温度は一般に0〜150℃であり、20〜120℃であることが好ましく、40〜100℃であることがより好ましく、55〜65℃であることがさらに好ましい。
重合時間は目的とする重合体によって異なるが、通常は24時間以内であり、0.1〜10時間であることが好ましい。
分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得る観点からは、0.5〜3時間であることがより好ましい。
重合系の雰囲気は、窒素及び溶媒を液相に維持するのに十分な圧力の範囲であればよく、特に限定されるものではない。
重合系内に、重合開始剤及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガスなどが存在しないことが好ましい。
重合時間は目的とする重合体によって異なるが、通常は24時間以内であり、0.1〜10時間であることが好ましい。
分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を得る観点からは、0.5〜3時間であることがより好ましい。
重合系の雰囲気は、窒素及び溶媒を液相に維持するのに十分な圧力の範囲であればよく、特に限定されるものではない。
重合系内に、重合開始剤及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガスなどが存在しないことが好ましい。
有機溶媒としては、以下に限定されるものではないが、例えば、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロへプタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、キシレン、トルエン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素が挙げられる。
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物としては、有機リチウム化合物が好ましい。有機リチウム化合物としては、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物、有機ポリリチウム化合物が用いられる。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルリチウム、及びイソプロペニルジリチウムなどが挙げられる。
これらの中でも、重合活性の点でn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。
有機リチウム化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、フェニルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルリチウム、及びイソプロペニルジリチウムなどが挙げられる。
これらの中でも、重合活性の点でn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウムが好ましい。
重合開始剤である有機アルカリ金属化合物の使用量は、目的とするブロック共重合体の分子量によるが、一般的には0.01〜0.5phm(単量体100質量部当たりに対する質量部)の範囲であることが好ましく、0.03〜0.3phmの範囲であることがより好ましく、0.05〜0.15phmの範囲であることがさらに好ましい。
水素化ブロック共重合体(a)に含まれている重合体ブロック(B1)、(B2)及び重合体部位ロック(C)のビニル結合量は、ルイス塩基、例えばエーテル、アミンなどの化合物をビニル化剤として使用することで調節できる。
ビニル化剤の使用量は、目的とするビニル結合量によって調整することができる。
また、ビニル化剤及び後述する金属アルコキシドを2以上の条件に分けて添加することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック中に、ビニル結合量の異なる重合体ブロックを製造することができる。
ビニル化剤の使用量は、目的とするビニル結合量によって調整することができる。
また、ビニル化剤及び後述する金属アルコキシドを2以上の条件に分けて添加することにより、共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック中に、ビニル結合量の異なる重合体ブロックを製造することができる。
ビニル化剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、エーテル化合物、酸素原子を2個以上有するエーテル系化合物、及び第3級アミン系化合物等が挙げられる。
第3級アミン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピリジン、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン、トリブチルアミン、テトラメチルプロパンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、ビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
第3級アミン化合物としては、アミンを2個有する化合物が好ましい。さらに、それらの中でも、分子内で対称性を示す構造を有するものがより好ましく、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンやビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテルや1,2−ジピペリジノエタンがさらに好ましい。
第3級アミン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ピリジン、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン、トリブチルアミン、テトラメチルプロパンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、ビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテル等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
これらは、一種のみを単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
第3級アミン化合物としては、アミンを2個有する化合物が好ましい。さらに、それらの中でも、分子内で対称性を示す構造を有するものがより好ましく、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミンやビス[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]エーテルや1,2−ジピペリジノエタンがさらに好ましい。
本実施形態においては、上述したビニル化剤、有機リチウム化合物、及びアルカリ金属アルコキシドの共存下、水素化ブロック共重合体の共重合を行ってもよい。ここで、アルカリ金属アルコキシドとは、一般式MOR(式中、Mはアルカリ金属、Rはアルキル基である)で表される化合物である。
アルカリ金属アルコキシドのアルカリ金属としては、高いビニル結合量、狭い分子量分布、高い重合速度、及び高いブロック率の観点から、ナトリウム又はカリウムであることが好ましい。
アルカリ金属アルコキシドとしては、以下に限定されるものではないが、好ましくは、炭素数2〜12のアルキル基を有するナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシドであり、より好ましくは、炭素数3〜6のアルキル基を有するナトリウムアルコキシドやカリウムアルコキシドであり、さらに好ましくは、ナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ペントキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ペントキシドである。
これらの中でも、ナトリウムアルコキシドであるナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ペントキシドがよりさらに好ましい。
アルカリ金属アルコキシドとしては、以下に限定されるものではないが、好ましくは、炭素数2〜12のアルキル基を有するナトリウムアルコキシド、リチウムアルコキシド、カリウムアルコキシドであり、より好ましくは、炭素数3〜6のアルキル基を有するナトリウムアルコキシドやカリウムアルコキシドであり、さらに好ましくは、ナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ペントキシド、カリウム−t−ブトキシド、カリウム−t−ペントキシドである。
これらの中でも、ナトリウムアルコキシドであるナトリウム−t−ブトキシド、ナトリウム−t−ペントキシドがよりさらに好ましい。
水素化ブロック共重合体(a)の重合工程において、ビニル化剤、有機リチウム化合物、及びアルカリ金属アルコキシドの共存下、重合を行う場合、ビニル化剤と有機リチウム化合物とのモル比(ビニル化剤/有機リチウム化合物)、及びアルカリ金属アルコキシドと有機リチウム化合物とのモル比(アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物)を、下記モル比で共存させることが好ましい。
ビニル化剤/有機リチウム化合物が0.2〜3.0
アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物が0.01〜0.3
ビニル化剤/有機リチウム化合物が0.2〜3.0
アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物が0.01〜0.3
ビニル化剤/有機リチウム化合物のモル比は、高いビニル結合量、高い重合速度の観点から0.2以上とし、狭い分子量分布、かつ高い水素化活性を得る観点から3.0未満とすることが好ましい。また、アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物のモル比は、高いビニル結合量、高い重合速度、及び高いブロック率の観点から0.01以上とし、狭い分子量分布、かつ高い水素化活性を得る観点から0.3以下とすることが好ましい。これにより、重合速度の向上が図られ、目的とする水素化ブロック共重合体のビニル結合量を高くできるとともに分子量分布を狭くでき、さらにはブロック率が向上する傾向にある。その結果、ポリプロピレン系樹脂組成物に付与する性能、すなわち、低異方性、柔軟性、透明性、平滑性、低ベタつき性、キンク性、歪回復性、がより良好となる傾向にある。
重合工程における、ビニル化剤/有機リチウム化合物のモル比は、高いビニル結合量及び高い重合速度の観点から、0.8以上が好ましく、狭い分子量分布及び高い水素化活性の観点から、2.5以下が好ましく、1.0以上2.0以下の範囲がより好ましい。
また、アルカリ金属アルコキシド/有機リチウム化合物のモル比は、高いビニル結合量、高い重合速度及び高いブロック率の観点から0.02以上が好ましく、狭い分子量分布や高い水素化活性の観点から0.2以下が好ましく、0.03以上0.1以下がより好ましく、0.03以上0.08以下がさらに好ましい。
さらに、アルカリ金属アルコキシド/ビニル化剤のモル比は、高いビニル結合量、高い重合速度及び高いブロック率の観点から、0.010以上であることが好ましく、狭い分子量分布を実現し、かつ高い水素化活性を得る観点から0.100以下が好ましく、0.012以上0.080以下がより好ましく、0.015以上0.06以下がさらに好ましく、0.015以上0.05以下がよりさらに好ましい。
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック中のビニル結合量の異なるブロックを製造する手法として、ビニル化剤に対する失活剤を用いることもできる。
失活剤としては、アルキル金属化合物が挙げられ、一つのアルキル置換基あたり1〜20個の炭素原子をもつアルキルアルミニウム、亜鉛及びマグネシウム、ならびにこれらの混合物から選択される。
失活剤としては、アルキル金属化合物が挙げられ、一つのアルキル置換基あたり1〜20個の炭素原子をもつアルキルアルミニウム、亜鉛及びマグネシウム、ならびにこれらの混合物から選択される。
水素化ブロック共重合体(a)を製造する際の水素化の方法は特に限定されないが、例えば、上記で得られたブロック共重合体に対し、水素化触媒の存在下に、水素を供給し、水素添加することにより、共役ジエン化合物単位の二重結合残基が水素添加された水素化ブロック共重合体を得ることができる。
水素化率は、例えば、水素添加時の触媒量によって制御することができ、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって制御することができる。
水素化率は、例えば、水素添加時の触媒量によって制御することができ、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって制御することができる。
水素化ブロック共重合体(a)をペレット化することにより、水素化ブロック共重合体(a)のペレットを製造することができる。
ペレット化の方法としては、例えば、一軸又は二軸押出機から水素化ブロック共重合体をストランド状に押出して、ダイ部前面に設置された回転刃により、水中で切断する方法;一軸又は二軸押出機から水素化ブロック共重合体をストランド状に押出して、水冷又は空冷した後、ストランドカッターにより切断する方法;オープンロール、バンバリーミキサーにより溶融混合した後、ロールによりシート状に成型し、更に該シートを短冊状にカットした後に、ペレタイザーにより立方状ペレットに切断する方法などが挙げられる。
なお、水素化ブロック共重合体(a)のペレット成形体の大きさ、形状は特に限定されない。
ペレット化の方法としては、例えば、一軸又は二軸押出機から水素化ブロック共重合体をストランド状に押出して、ダイ部前面に設置された回転刃により、水中で切断する方法;一軸又は二軸押出機から水素化ブロック共重合体をストランド状に押出して、水冷又は空冷した後、ストランドカッターにより切断する方法;オープンロール、バンバリーミキサーにより溶融混合した後、ロールによりシート状に成型し、更に該シートを短冊状にカットした後に、ペレタイザーにより立方状ペレットに切断する方法などが挙げられる。
なお、水素化ブロック共重合体(a)のペレット成形体の大きさ、形状は特に限定されない。
水素化ブロック共重合体(a)は必要に応じて好ましくはそのペレットに、ペレットブロッキングの防止を目的としてペレットブロッキング防止剤を配合することができる。
ペレットブロッキング防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビスステアリルアミド、タルク、アモルファスシリカ等が挙げられる。
本実施形態のフィルムの透明性の観点から、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン、及びポリプロピレンが好ましい。
好ましい量としては、水素化ブロック共重合体(a)に対して500〜6000ppmである。より好ましい量としては、水素化ブロック共重合体(a)に対して1000〜5000ppmである。ペレットブロッキング防止剤は、ペレット表面に付着した状態で配合されていることが好ましいが、ペレット内部にある程度含むこともできる。
ペレットブロッキング防止剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビスステアリルアミド、タルク、アモルファスシリカ等が挙げられる。
本実施形態のフィルムの透明性の観点から、ステアリン酸カルシウム、ポリエチレン、及びポリプロピレンが好ましい。
好ましい量としては、水素化ブロック共重合体(a)に対して500〜6000ppmである。より好ましい量としては、水素化ブロック共重合体(a)に対して1000〜5000ppmである。ペレットブロッキング防止剤は、ペレット表面に付着した状態で配合されていることが好ましいが、ペレット内部にある程度含むこともできる。
本実施形態のフィルムは、少なくとも二つの層を有するフィルムであり、少なくとも一つの層が、水素化ブロック共重合体(a)と、ポリプロピレン樹脂(b)を含有する。
本実施形態のフィルムは、水素化ブロック共重合体(a)の含有量が10〜70質量%であることが好ましく、ポリプロピレン樹脂(b)の含有量が30〜90質量%であることが好ましい。
上記範囲の含有量とすることにより、透明性、柔軟性、低ベタつき性、耐衝撃性及びこれらの特性バランスが良好なフィルムが得られる。
上記観点から、本実施形態のフィルムにおいては、水素化ブロック共重合体(a)の含有量がより好ましくは15〜65質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。また、ポリプロピレン樹脂(b)の含有量は、より好ましくは35〜85質量%であり、さらに好ましくは40〜80質量%である。
本実施形態のフィルムは、水素化ブロック共重合体(a)の含有量が10〜70質量%であることが好ましく、ポリプロピレン樹脂(b)の含有量が30〜90質量%であることが好ましい。
上記範囲の含有量とすることにより、透明性、柔軟性、低ベタつき性、耐衝撃性及びこれらの特性バランスが良好なフィルムが得られる。
上記観点から、本実施形態のフィルムにおいては、水素化ブロック共重合体(a)の含有量がより好ましくは15〜65質量%、さらに好ましくは20〜60質量%である。また、ポリプロピレン樹脂(b)の含有量は、より好ましくは35〜85質量%であり、さらに好ましくは40〜80質量%である。
(ポリプロピレン樹脂(b))
ポリプロピレン樹脂(b)としては、ランダムポリプロピレン樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂(b)は、柔軟性及び透明性の観点から、ランダムポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(b)としては、ランダムポリプロピレン樹脂、ホモポリプロピレン樹脂、ブロックポリプロピレン樹脂が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂(b)は、柔軟性及び透明性の観点から、ランダムポリプロピレン樹脂であることが好ましい。
ここで、ランダムポリプロピレンにおける「ランダム」とは、プロピレンとプロピレン以外のモノマーを共重合したもので、プロピレン以外のモノマーがプロピレン連鎖中にランダムに取り込まれ、実質的にプロピレン以外のモノマーが連鎖しないものをいう。
ランダムポリプロピレンとしては、プロピレン単位の含有量が99.5質量%未満であれば特に限定されない。ランダムポリプロピレンの好適な例としては、プロピレンとエチレンのランダム共重合体、又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体等が挙げられる。
ランダムポリプロピレンとしてプロピレンとエチレンのランダム共重合体、又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体を用いる場合、柔軟性、透明性、耐衝撃性がより良好となる傾向にある。
ランダムポリプロピレンとしてプロピレンとエチレンのランダム共重合体、又はプロピレンと炭素数4〜20のα−オレフィンのランダム共重合体を用いる場合、柔軟性、透明性、耐衝撃性がより良好となる傾向にある。
α−オレフィンとしては、以下に限定されないが、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1−オクタデセン、1−エイコセン等が挙げられる。好ましくは、炭素数2〜8のα−オレフィンであり、具体的には、エチレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテンが挙げられる。
これらのα−オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ランダムポリプロピレンも1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのα−オレフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ランダムポリプロピレンも1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ランダムポリプロピレンの中でも、本実施形態のフィルムの柔軟性、透明性、機械的強度の観点から、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−1−ブテンランダム共重合体及びプロピレン−エチレン−1−ブテン三元ランダム共重合体からなる群より選択される少なくとも1つを用いることがより好ましい。
柔軟性、透明性、及びこれらの特性バランスの観点から、ランダムポリプロピレンがプロピレンとエチレンのランダム共重合体又はプロピレンと炭素数4〜12のα−オレフィンのランダム共重合体であり、ランダムポリプロピレン中の、エチレン又はα−オレフィン単位の含有量は0.5質量%超40質量%未満が好ましく、プロピレン単位の含有量が60質量%以上99.5質量%未満であることが好ましい。
上記同様の観点から、エチレン又はα−オレフィン単位の含有量は1質量%超30質量%未満がより好ましく、1.5質量%以上25質量%未満が更に好ましく、2質量%以上20質量%未満がより更に好ましい。
また、プロピレン単位の含有量は70質量%以上99質量%未満がより好ましく、75質量%以上98.5質量%未満が更に好ましく、80質量%以上98質量%未満がより更に好ましい。
ランダムポリプロピレン中のプロピレン単位の含有量、エチレン単位の含有量、α−オレフィン単位の含有量は、カーボン核磁気共鳴(13C−NMR)法より測定できる。
上記同様の観点から、エチレン又はα−オレフィン単位の含有量は1質量%超30質量%未満がより好ましく、1.5質量%以上25質量%未満が更に好ましく、2質量%以上20質量%未満がより更に好ましい。
また、プロピレン単位の含有量は70質量%以上99質量%未満がより好ましく、75質量%以上98.5質量%未満が更に好ましく、80質量%以上98質量%未満がより更に好ましい。
ランダムポリプロピレン中のプロピレン単位の含有量、エチレン単位の含有量、α−オレフィン単位の含有量は、カーボン核磁気共鳴(13C−NMR)法より測定できる。
ランダムポリプロピレンのメルトフローレート(MFR;230℃、ISO 1133に準拠)は、得られるフィルムの加工性と低ベタつき性の観点から、1〜30g/10分が好ましく、1〜25g/10分がより好ましく、2〜20g/10分が更に好ましく、3〜15g/10分がより更に好ましい。
ランダムポリプロピレンを製造するに際して使用される触媒については特に限定されないが、例えば、立体規則性触媒を使用する重合法が好ましい。
立体規則性触媒としては、以下に限定されないが、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。これら触媒の中でも、本実施形態のフィルムの透明性、柔軟性、機械的強度の観点から、メタロセン触媒が好ましい。
立体規則性触媒としては、以下に限定されないが、例えば、チーグラー触媒やメタロセン触媒などが挙げられる。これら触媒の中でも、本実施形態のフィルムの透明性、柔軟性、機械的強度の観点から、メタロセン触媒が好ましい。
本実施形態のフィルムの透明性、柔軟性、機械的強度の観点から、ランダムポリプロピレンの分子量分布(Mw/Mn)は3.5以下であることが好ましい。
Mw/Mnは3.0以下であることがより好ましく、2.8以下であることがさらに好ましい。
Mw/Mnの下限値は特に限定されないが1.5以上が好ましい。とりわけ、ランダムポリプロピレンが、メタロセン系触媒により重合されたものであり、かつ、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上3.5以下であることが好ましい。なお、ランダムポリプロピレンの分子量分布は、GPCによる測定で得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率から求められる。
Mw/Mnは3.0以下であることがより好ましく、2.8以下であることがさらに好ましい。
Mw/Mnの下限値は特に限定されないが1.5以上が好ましい。とりわけ、ランダムポリプロピレンが、メタロセン系触媒により重合されたものであり、かつ、分子量分布(Mw/Mn)が1.5以上3.5以下であることが好ましい。なお、ランダムポリプロピレンの分子量分布は、GPCによる測定で得られる重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比率から求められる。
(添加剤)
本実施形態のフィルムには、要求性能に応じて、その他の添加剤を併用してもよい。
添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、難燃剤、安定剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、流れ増強剤、ステアリン酸金属塩といった離型剤、シリコーンオイル、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤、銅害防止剤、架橋剤、核剤等が挙げられる。
本実施形態のフィルムには、要求性能に応じて、その他の添加剤を併用してもよい。
添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、難燃剤、安定剤、着色剤、顔料、酸化防止剤、帯電防止剤、分散剤、流れ増強剤、ステアリン酸金属塩といった離型剤、シリコーンオイル、鉱物油系軟化剤、合成樹脂系軟化剤、銅害防止剤、架橋剤、核剤等が挙げられる。
(水素化ブロック共重合体(b1))
本実施形態のフィルムは、少なくとも1つの層に、水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は、前記水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体である。)を含んでいてもよい。
前記水素化ブロック共重合体(b1)は、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)(以下、重合体ブロック(B−1)と記載する。)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)(以下、重合体ブロック(S−1)と記載する)と、
を含む。
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の含有量が0〜15質量%であり、
前記重合体ブロック(B−1)の含有量が75〜97質量%であり、
前記重合体ブロック(S−1)の含有量が3〜25質量%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%であり、
前記重合体ブロック(B−1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mоl%である。
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上である。
なお、水素化ブロック共重合体(b1)において、「主体とする」の定義や、共役ジエン化合物、ビニル芳香族化合物の各材料、ビニル結合量、水素化率については、上述した水素化ブロック共重合体(a)と同様に定義できる。
本実施形態のフィルムは、少なくとも1つの層に、水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は、前記水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体である。)を含んでいてもよい。
前記水素化ブロック共重合体(b1)は、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)(以下、重合体ブロック(B−1)と記載する。)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)(以下、重合体ブロック(S−1)と記載する)と、
を含む。
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の含有量が0〜15質量%であり、
前記重合体ブロック(B−1)の含有量が75〜97質量%であり、
前記重合体ブロック(S−1)の含有量が3〜25質量%である。
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%であり、
前記重合体ブロック(B−1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mоl%である。
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上である。
なお、水素化ブロック共重合体(b1)において、「主体とする」の定義や、共役ジエン化合物、ビニル芳香族化合物の各材料、ビニル結合量、水素化率については、上述した水素化ブロック共重合体(a)と同様に定義できる。
(水素化ブロック共重合体(b1)の製造方法)
水素化ブロック共重合体(b1)は、上述した水素化ブロック共重合体(a)と同様の方法により製造することができる。
すなわち、同様の単量体を用い、同様の条件により各重合体ブロックの含有量、ビニル結合量、水素化率等を制御することができる。
水素化ブロック共重合体(b1)は、上述した水素化ブロック共重合体(a)と同様の方法により製造することができる。
すなわち、同様の単量体を用い、同様の条件により各重合体ブロックの含有量、ビニル結合量、水素化率等を制御することができる。
(水素化ブロック共重合体(b1)の構造例)
上述した水素化ブロック共重合体(b1)としては、例えば、下記一般式により表されるような構造を有するものが挙げられる。
((C−1)−(B−1))n−(S−1)
((C−1)−(B−1))n−(S−1)−(B3)
((C−1)−(B−1)−(S−1))n
((C−1)−(B−1)−(S−1))n−(B3)
((C−1)−(B−1)−(S−1)−(B3))n
((C−1)−(B−1)−(S−1))m−X
((C−1)−(B−1)−(S−1)−(B3))m−X
((S−1)−(B−1))n−(S−1)
((S−1)−(B−1))n−(S−1)−(B3)
((S−1)−(B−1)−(S−1))n
((S−1)−(B−1)−(S−1))n−(B3)
((S−1)−(B−1)−(S−1)−(B3))n
((S−1)−(B−1)−(S−1))m−X
上式において、(C−1)、(B−1)、(S−1)、(B3)はそれぞれ、重合体ブロック(C−1)、(B−1)、(S−1)及び前記水素化ブロック共重合体(a)と同様の(B3)を表す。複数存在する場合は異なっていても同じでもよい。各ブロックの境界線は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
また、nは1以上で、好ましくは1〜3の整数である。
mは2以上を示し、好ましくは2〜6の整数である。Xはカップリング剤残基又は多官能開始剤残基を示す。
特に、(C−1)−(B−1)−(S−1)、(C−1)−(B−1)−(S−1)−(B3)、(S−1)−(B−1)−(S−1)、(S−1)−(B−1)−(S−1)−(B3)の構造式で表される重合体であることが好ましい。
上述した水素化ブロック共重合体(b1)としては、例えば、下記一般式により表されるような構造を有するものが挙げられる。
((C−1)−(B−1))n−(S−1)
((C−1)−(B−1))n−(S−1)−(B3)
((C−1)−(B−1)−(S−1))n
((C−1)−(B−1)−(S−1))n−(B3)
((C−1)−(B−1)−(S−1)−(B3))n
((C−1)−(B−1)−(S−1))m−X
((C−1)−(B−1)−(S−1)−(B3))m−X
((S−1)−(B−1))n−(S−1)
((S−1)−(B−1))n−(S−1)−(B3)
((S−1)−(B−1)−(S−1))n
((S−1)−(B−1)−(S−1))n−(B3)
((S−1)−(B−1)−(S−1)−(B3))n
((S−1)−(B−1)−(S−1))m−X
上式において、(C−1)、(B−1)、(S−1)、(B3)はそれぞれ、重合体ブロック(C−1)、(B−1)、(S−1)及び前記水素化ブロック共重合体(a)と同様の(B3)を表す。複数存在する場合は異なっていても同じでもよい。各ブロックの境界線は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
また、nは1以上で、好ましくは1〜3の整数である。
mは2以上を示し、好ましくは2〜6の整数である。Xはカップリング剤残基又は多官能開始剤残基を示す。
特に、(C−1)−(B−1)−(S−1)、(C−1)−(B−1)−(S−1)−(B3)、(S−1)−(B−1)−(S−1)、(S−1)−(B−1)−(S−1)−(B3)の構造式で表される重合体であることが好ましい。
ここで、カップリング残基とは、共役ジエン化合物単量体単位とビニル芳香族炭化水素化合物単量体単位との共重合体の複数を、結合させるために用いられるカップリング剤の結合後の残基を意味する。
カップリング剤としては、2官能カップリング剤や多官能カップリング剤が挙げられる。
2官能基カップリング剤として、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
3官能基以上の多官能カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物;式R1(4-n)SiXn(ここで、R1は炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3又は4の整数を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、及びハロゲン化錫化合物が挙げられる。
ハロゲン化珪素化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物等が挙げられる。
ハロゲン化錫化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物等が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用可能である。
カップリング剤としては、2官能カップリング剤や多官能カップリング剤が挙げられる。
2官能基カップリング剤として、以下に限定されるものではないが、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
3官能基以上の多官能カップリング剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物;式R1(4-n)SiXn(ここで、R1は炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3又は4の整数を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、及びハロゲン化錫化合物が挙げられる。
ハロゲン化珪素化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物等が挙げられる。
ハロゲン化錫化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物等が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用可能である。
上記一般式において、重合体ブロック(C−1)、(B−1)、(S−1)中のビニル芳香族化合物単量体単位は均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよい。
また、重合体ブロック(C−1)、(B−1)、(S−1)がビニル芳香族化合物単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位の共重合体ブロックである場合には、該共重合体ブロック中のビニル芳香族化合物単量体単位は均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、上記共重合体ブロック部分には、ビニル芳香族化合物単量体単位の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
また、重合体ブロック(C−1)、(B−1)、(S−1)がビニル芳香族化合物単量体単位と共役ジエン化合物単量体単位の共重合体ブロックである場合には、該共重合体ブロック中のビニル芳香族化合物単量体単位は均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、上記共重合体ブロック部分には、ビニル芳香族化合物単量体単位の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
(フィルムの構成)
本実施形態のフィルムは、前記外層と前記内層との間に所定の中間層を有する構成としてもよい。
この場合、外層がポリプロピレン樹脂(b)を含み、中間層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、内層がポリプロピレン樹脂(b)を含むことが好ましい。
また、外層の厚みは5〜50μmが好ましく、中間層の厚みは100〜200μmが好ましく、内層の厚みは5〜50μmが好ましい。
上記構成を有することにより、透明性、柔軟性、低ベタつき性、耐衝撃性に優れたフィルムが得られる。
また、外層の厚みは、10〜40μmがより好ましく、15〜35μmがさらに好ましい。
中間層の厚みは、110〜190μmがより好ましく、120〜180μmがさらに好ましい。
内層の厚みは、10〜45μmがより好ましく、15〜40μmがさらに好ましい。
本実施形態のフィルムは、前記外層と前記内層との間に所定の中間層を有する構成としてもよい。
この場合、外層がポリプロピレン樹脂(b)を含み、中間層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、内層がポリプロピレン樹脂(b)を含むことが好ましい。
また、外層の厚みは5〜50μmが好ましく、中間層の厚みは100〜200μmが好ましく、内層の厚みは5〜50μmが好ましい。
上記構成を有することにより、透明性、柔軟性、低ベタつき性、耐衝撃性に優れたフィルムが得られる。
また、外層の厚みは、10〜40μmがより好ましく、15〜35μmがさらに好ましい。
中間層の厚みは、110〜190μmがより好ましく、120〜180μmがさらに好ましい。
内層の厚みは、10〜45μmがより好ましく、15〜40μmがさらに好ましい。
本実施形態のフィルムは、上述したように、少なくとも外層、中間層、内層を有するものとすることができる。
本実施形態のフィルムが、少なくとも外層、中間層、内層の三つの層を有する場合、外層がポリプロピレン樹脂(b)を含み、中間層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、内層がポリプロピレン樹脂(b)を含むことが好ましい。
前記外層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は60〜100質量%が好ましく、65〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。
前記外層中には、水素化ブロック共重合体(a)が含まれていてもよく、この場合、外層中の水素化ブロック共重合体(a)の含有量は0〜40質量%が好ましく、0〜35質量%がより好ましく、0〜30質量%がさらに好ましい。
前記中間層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は30〜90質量%が好ましく、35〜85質量%がより好ましく、40〜80質量%がさらに好ましい。
前記中間層中の水素化ブロック共重合体(a)の含有量は10〜70質量%が好ましく、15〜65質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。
前記内層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は50〜95質量%が好ましく、55〜90質量%がより好ましく、60〜85質量%がさらに好ましい。
前記内層中には、水素化ブロック共重合体(a)が含まれていてもよく、この場合、内層中の水素化ブロック共重合体(a)の含有量は5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、15〜40質量%がさらに好ましい。
上記組成とすることにより、透明性、柔軟性、低ベタつき性、耐衝撃性及びこれらの特性バランスが良好なフィルムが得られる。
本実施形態のフィルムが、少なくとも外層、中間層、内層の三つの層を有する場合、外層がポリプロピレン樹脂(b)を含み、中間層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、内層がポリプロピレン樹脂(b)を含むことが好ましい。
前記外層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は60〜100質量%が好ましく、65〜100質量%がより好ましく、70〜100質量%がさらに好ましい。
前記外層中には、水素化ブロック共重合体(a)が含まれていてもよく、この場合、外層中の水素化ブロック共重合体(a)の含有量は0〜40質量%が好ましく、0〜35質量%がより好ましく、0〜30質量%がさらに好ましい。
前記中間層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は30〜90質量%が好ましく、35〜85質量%がより好ましく、40〜80質量%がさらに好ましい。
前記中間層中の水素化ブロック共重合体(a)の含有量は10〜70質量%が好ましく、15〜65質量%がより好ましく、20〜60質量%がさらに好ましい。
前記内層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は50〜95質量%が好ましく、55〜90質量%がより好ましく、60〜85質量%がさらに好ましい。
前記内層中には、水素化ブロック共重合体(a)が含まれていてもよく、この場合、内層中の水素化ブロック共重合体(a)の含有量は5〜50質量%が好ましく、10〜45質量%がより好ましく、15〜40質量%がさらに好ましい。
上記組成とすることにより、透明性、柔軟性、低ベタつき性、耐衝撃性及びこれらの特性バランスが良好なフィルムが得られる。
また、本実施形態のフィルムは、前記外層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体。)を含むものであってもよく、前記外層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が60〜100質量%であり、前記外層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が0〜40質量%であることが好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、耐衝撃性、低ベタつき性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
上記観点から、外層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は、65〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることがさらに好ましい。
また、前記外層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は前記水素化ブロック共重合体(b1)の含有量は、0〜35質量%であることがより好ましく、0〜30質量%であることがさらに好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、耐衝撃性、低ベタつき性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
上記観点から、外層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は、65〜100質量%であることがより好ましく、70〜100質量%であることがさらに好ましい。
また、前記外層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は前記水素化ブロック共重合体(b1)の含有量は、0〜35質量%であることがより好ましく、0〜30質量%であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のフィルムは、前記中間層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体)を含むものであってもよく、前記中間層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が30〜90質量%であり、前記中間層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が10〜70質量%であることが好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、耐衝撃性、低ベタつき性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
上記観点から、中間層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は、35〜85質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることがさらに好ましい。また、前記中間層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は前記水素化ブロック共重合体(b1)の含有量は、15〜65質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、耐衝撃性、低ベタつき性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
上記観点から、中間層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は、35〜85質量%であることがより好ましく、40〜80質量%であることがさらに好ましい。また、前記中間層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は前記水素化ブロック共重合体(b1)の含有量は、15〜65質量%であることがより好ましく、20〜60質量%であることがさらに好ましい。
また、本実施形態のフィルムは、前記内層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体)を含むものであってもよく、前記内層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が50〜95質量%であり、前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が5〜50質量%であることが好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、耐衝撃性、低ベタつき性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
上記観点から、内層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は、55〜95質量%であることがより好ましく、60〜85質量%であることがさらに好ましい。また、前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は前記水素化ブロック共重合体(b1)の含有量は、10〜45質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることがさらに好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、耐衝撃性、低ベタつき性、及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
上記観点から、内層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量は、55〜95質量%であることがより好ましく、60〜85質量%であることがさらに好ましい。また、前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は前記水素化ブロック共重合体(b1)の含有量は、10〜45質量%であることがより好ましく、15〜40質量%であることがさらに好ましい。
本実施形態のフィルムをクロス分別クロマトグラフィー(以下、「CFC」という。)で測定した−20℃以下の積分溶出量が全容量の0.1%以上75%未満であり、−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の5%以上80%未満であり、60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の20%以上95%未満であることが好ましい。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
同様の観点から、上記−20℃以下の積分溶出量が全容量の2%以上70%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは3%以上65%未満である。
また、上記−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の10%以上75%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは15%以上70%未満である。
また、上記60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の25%以上90%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは30%以上85%未満である。
また、上記CFC溶出量は、例えば、前記重合体ブロック(C)、(B1)、(B2)の比率及び、水素化ブロック共重合体(a)の配合比と、ポリプロピレン樹脂(b)の種類により制御することができ、上記CFC溶出量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
上記構成を有することにより、柔軟性、透明性、低ベタつき性、耐衝撃性及びこれらの特性バランスに優れたフィルムが得られる。
同様の観点から、上記−20℃以下の積分溶出量が全容量の2%以上70%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは3%以上65%未満である。
また、上記−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の10%以上75%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは15%以上70%未満である。
また、上記60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の25%以上90%未満であることがより好ましく、さらに好ましくは30%以上85%未満である。
また、上記CFC溶出量は、例えば、前記重合体ブロック(C)、(B1)、(B2)の比率及び、水素化ブロック共重合体(a)の配合比と、ポリプロピレン樹脂(b)の種類により制御することができ、上記CFC溶出量は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
(フィルムの各層を構成する材料の製造方法)
本実施形態のフィルムの各層を構成する樹脂材料は、例えば、水素化ブロック共重合体(a)、ポリプロピレン樹脂(b)、水素化ブロック共重合体(b1)、及び必要に応じて加えられる他の成分を、適宜選択し、これらをドライブレンドする方法、通常の高分子物質の混合に供される装置によって調整する方法等によって製造することができる。
本実施形態のフィルムの各層を構成する樹脂材料は、例えば、水素化ブロック共重合体(a)、ポリプロピレン樹脂(b)、水素化ブロック共重合体(b1)、及び必要に応じて加えられる他の成分を、適宜選択し、これらをドライブレンドする方法、通常の高分子物質の混合に供される装置によって調整する方法等によって製造することができる。
混合装置としては、特に限定されないが、例えば、バンバリーミキサー、ニーダー、ラボプラストミル、単軸押出機、2軸押出機等の混練装置が挙げられ、押出機を用いた溶融混合法により製造することが生産性、良混練性の点から好ましい。
混練時の溶融温度は、適宜設定することができるが、通常130〜300℃の範囲内であり、150〜250℃の範囲であることが好ましい。
混練時の溶融温度は、適宜設定することができるが、通常130〜300℃の範囲内であり、150〜250℃の範囲であることが好ましい。
(フィルムの成形方法)
本実施形態のフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を押出機に投入して押出す成型法として、Tダイ法、インフレーション法等を採用することができる。
インフレーション成型としては、通常の空冷インフレーション成型、空冷2段インフレーション成型、高速インフレーション成型、水冷インフレーション成型等を採用できる。
また、ダイレクトブロー、インジェクションブロー等のブロー成型法、プレス成型法を採用することもできる。
用いる押出機としては、単軸又は多軸の押出機を使用することができ、また複数台の押出機を使用して多層押出した多層フィルムを成形することもできる。
また、樹脂組成物を製造する際の押出機から直接フィルムとして成形することもできる。
本実施形態のフィルムの製造方法は、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を押出機に投入して押出す成型法として、Tダイ法、インフレーション法等を採用することができる。
インフレーション成型としては、通常の空冷インフレーション成型、空冷2段インフレーション成型、高速インフレーション成型、水冷インフレーション成型等を採用できる。
また、ダイレクトブロー、インジェクションブロー等のブロー成型法、プレス成型法を採用することもできる。
用いる押出機としては、単軸又は多軸の押出機を使用することができ、また複数台の押出機を使用して多層押出した多層フィルムを成形することもできる。
また、樹脂組成物を製造する際の押出機から直接フィルムとして成形することもできる。
本実施形態のフィルムは、後述の実施例で示すとおり、透明性、柔軟性、低ベタつき性、及び耐衝撃性、さらにはこれらの特性バランスに優れている。
上記特性を活かして、本実施形態のフィルムは、各種衣料類の包装、各種食品の包装、日用雑貨包装、工業資材包装、各種ゴム製品、樹脂製品、皮革製品等のラミネート、紙おむつ等に用いられる伸縮テープ、ダイシングフィルム等の工業用品、建材や鋼板の保護に用いられるプロテクトフィルム、粘着フィルムの基材、食肉鮮魚用トレー、青果物パック、冷凍食品容器等のシート用品、テレビ、ステレオ、掃除機等の家電用品用途、バンパー部品、ボディーパネル、サイドシール等の自動車内外装部品用途、道路舗装材、防水、遮水シート、土木パッキン、日用品、レジャー用品、玩具、工業用品、ファニチャー用品、筆記用具、透明ポケット、ホルダー、ファイル背表紙等の文具、輸液バック等の医療用具等として用いることができる。
特に医療用フィルム、並びに包装材、例えば食品包装材、及び衣料包装材等として好適に用いることができる。
上記特性を活かして、本実施形態のフィルムは、各種衣料類の包装、各種食品の包装、日用雑貨包装、工業資材包装、各種ゴム製品、樹脂製品、皮革製品等のラミネート、紙おむつ等に用いられる伸縮テープ、ダイシングフィルム等の工業用品、建材や鋼板の保護に用いられるプロテクトフィルム、粘着フィルムの基材、食肉鮮魚用トレー、青果物パック、冷凍食品容器等のシート用品、テレビ、ステレオ、掃除機等の家電用品用途、バンパー部品、ボディーパネル、サイドシール等の自動車内外装部品用途、道路舗装材、防水、遮水シート、土木パッキン、日用品、レジャー用品、玩具、工業用品、ファニチャー用品、筆記用具、透明ポケット、ホルダー、ファイル背表紙等の文具、輸液バック等の医療用具等として用いることができる。
特に医療用フィルム、並びに包装材、例えば食品包装材、及び衣料包装材等として好適に用いることができる。
以下、実施例によって本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、以下に説明する方法によって水素化ブロック共重合体の調製を行い、フィルムを製造し、物性の比較を行った。
その際、水素化ブロック共重合体の特性やフィルムの物性は次のように測定した。
実施例及び比較例においては、以下に説明する方法によって水素化ブロック共重合体の調製を行い、フィルムを製造し、物性の比較を行った。
その際、水素化ブロック共重合体の特性やフィルムの物性は次のように測定した。
〔水素化ブロック共重合体の評価方法〕
((1)水素化ブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの含有量)
水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー溶液を、内部標準としてn−プロビルベンゼン0.50mLと、約20mLのトルエンを密封した100mLのボトルに約20mL注入して、サンプルを作製した。
アピエゾングリースを担持させたバックドカラムを装着したガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC−14B)でこのサンプルを測定し、事前に得ていたブタジエンモノマーとスチレンモノマーの検量線からポリマー溶液中の残留モノマー量を求め、ブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの重合率が100%であることを確認し、下記式より、各重合体ブロックの含有量を計算した。
なお、ブタジエンの重合率は90℃一定の条件で測定し、スチレンの重合率は90℃(10分ホールド)〜150℃昇温(10℃/分)の条件で測定した。
各重合体ブロックの含有量=(各ステップでフィードしたモノマー合計量)/(全モノマー量)×100質量%
((1)水素化ブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの含有量)
水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー溶液を、内部標準としてn−プロビルベンゼン0.50mLと、約20mLのトルエンを密封した100mLのボトルに約20mL注入して、サンプルを作製した。
アピエゾングリースを担持させたバックドカラムを装着したガスクロマトグラフィー(島津製作所製:GC−14B)でこのサンプルを測定し、事前に得ていたブタジエンモノマーとスチレンモノマーの検量線からポリマー溶液中の残留モノマー量を求め、ブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの重合率が100%であることを確認し、下記式より、各重合体ブロックの含有量を計算した。
なお、ブタジエンの重合率は90℃一定の条件で測定し、スチレンの重合率は90℃(10分ホールド)〜150℃昇温(10℃/分)の条件で測定した。
各重合体ブロックの含有量=(各ステップでフィードしたモノマー合計量)/(全モノマー量)×100質量%
((2)水素化ブロック共重合体を構成する各重合体ブロックの水素化前のビニル結合量)
水素添加前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマーを、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により測定した。
測定機器はJNM−LA400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。
ビニル結合量は、1,4−結合及び1,2−結合に帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の1Hあたりの積分値を算出した後、1,4−結合と1,2−結合との比率から算出した。
また、水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー毎にビニル結合量を算出することで、各重合体ブロックのビニル結合量を算出した。
水素添加前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマーを、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により測定した。
測定機器はJNM−LA400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。
ビニル結合量は、1,4−結合及び1,2−結合に帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の1Hあたりの積分値を算出した後、1,4−結合と1,2−結合との比率から算出した。
また、水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー毎にビニル結合量を算出することで、各重合体ブロックのビニル結合量を算出した。
((3)水素化ブロック共重合体の共役ジエン化合物単位に基づく不飽和結合の水素添加率)
水素添加後の水素化ブロック共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は上記(2)と同様とした。
水素添加率は、4.5〜5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素添加された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
水素添加後の水素化ブロック共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は上記(2)と同様とした。
水素添加率は、4.5〜5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素添加された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
((4)水素化ブロック共重合体のビニル芳香族化合物単位の含有量(以下、「スチレン含有量」とも表記する。))
水素添加後の重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により測定した。
測定機器はJNM−LA400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。
スチレン含有量は、スペクトルの6.2〜7.5ppmにおける総スチレン芳香族シグナルの積算値を用いて算出した。
また、水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー毎にビニル芳香族化合物単位の含有量を算出することで、全ビニル芳香族化合物の含有量を算出した。
水素添加後の重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)法により測定した。
測定機器はJNM−LA400(JEOL製)、溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。
スチレン含有量は、スペクトルの6.2〜7.5ppmにおける総スチレン芳香族シグナルの積算値を用いて算出した。
また、水素化前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマー毎にビニル芳香族化合物単位の含有量を算出することで、全ビニル芳香族化合物の含有量を算出した。
((5)共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対する、ブチレン量及び/又はプロピレン量)
水素添加後の水素化ブロック共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は、上記(2)及び(3)と同様とした。
ブチレン含有量は、スペクトルの0〜2.0ppmにおけるブチレン(水素化された1,2−結合)に帰属されるシグナルの積分値を算出し、その比率から算出した。
水素添加後の水素化ブロック共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(1H−NMR)により測定した。
測定条件及び測定データの処理方法は、上記(2)及び(3)と同様とした。
ブチレン含有量は、スペクトルの0〜2.0ppmにおけるブチレン(水素化された1,2−結合)に帰属されるシグナルの積分値を算出し、その比率から算出した。
((6)DSC測定)
アルミニウム製パンに水素化ブロック共重合体10mgをそれぞれ精秤し、示差走査熱量計(DSC)(ティー・エイ・インスツルメント株式会社製、Q2000)を用いて、窒素雰囲気(流量は50mL/分)にて、初期温度−50℃、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、5分間150℃保持し、その後10℃/分で−50℃まで降温させ測定を行った。
描かれるDSC曲線の降温過程であらわれる結晶化ピークを結晶化温度(℃)とし、結晶化ピーク面積が示す熱量を結晶化熱量(J/g)とした。
アルミニウム製パンに水素化ブロック共重合体10mgをそれぞれ精秤し、示差走査熱量計(DSC)(ティー・エイ・インスツルメント株式会社製、Q2000)を用いて、窒素雰囲気(流量は50mL/分)にて、初期温度−50℃、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温し、5分間150℃保持し、その後10℃/分で−50℃まで降温させ測定を行った。
描かれるDSC曲線の降温過程であらわれる結晶化ピークを結晶化温度(℃)とし、結晶化ピーク面積が示す熱量を結晶化熱量(J/g)とした。
((7)水素化ブロック共重合体の固体粘弾性(1Hz)により得られる温度−損失正接(tanδ)測定)
固体粘弾性(1Hz)により得られる温度−損失正接(tanδ)スペクトルを下記の方法により測定し、tanδのピーク温度及び最大値、最小値を得た。
装置ARES(ティー・エイ・インスツルメント株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーに測定用試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、測定範囲:−100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件により次の資料を測定した。
試料1:水素化ブロック共重合体(a)単体を200℃、5分で厚さ2mmのシートにプレス成形した後に幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、測定用試料とし、tanδピーク(Tg1)を求めた。
試料2:水素化ブロック共重合体(a)/ホモポリプロピレン(サンアロマー製、PL500A)=30/70の組成物を200℃、5分で厚さ2mmのシートにプレス成形した後に幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、測定用試料とし、低温側のtanδピーク(Tg2)を求めた。
上記試料1及び試料2からΔTg(Tg1−Tg2)の値を求めた。
固体粘弾性(1Hz)により得られる温度−損失正接(tanδ)スペクトルを下記の方法により測定し、tanδのピーク温度及び最大値、最小値を得た。
装置ARES(ティー・エイ・インスツルメント株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーに測定用試料をセットし、実効測定長さは25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、測定範囲:−100℃から100℃まで、昇温速度3℃/分の条件により次の資料を測定した。
試料1:水素化ブロック共重合体(a)単体を200℃、5分で厚さ2mmのシートにプレス成形した後に幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、測定用試料とし、tanδピーク(Tg1)を求めた。
試料2:水素化ブロック共重合体(a)/ホモポリプロピレン(サンアロマー製、PL500A)=30/70の組成物を200℃、5分で厚さ2mmのシートにプレス成形した後に幅10mm、長さ35mmのサイズにカットし、測定用試料とし、低温側のtanδピーク(Tg2)を求めた。
上記試料1及び試料2からΔTg(Tg1−Tg2)の値を求めた。
((8)水素化ブロック共重合体の重量平均分子量)
水素化ブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定(島津製作所製、LC−10)、カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm、2本)、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)により、市販の標準ポリスチレンによるポリスチレン換算分子量として求めた。
水素化ブロック共重合体の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)測定(島津製作所製、LC−10)、カラム:TSKgelGMHXL(4.6mmID×30cm、2本)、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)により、市販の標準ポリスチレンによるポリスチレン換算分子量として求めた。
((9)水素化ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR))
水素化ブロック共重合体とプロピレン系樹脂のMFRは、ISO 1133に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。
水素化ブロック共重合体とプロピレン系樹脂のMFRは、ISO 1133に準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定した。
((10)水素化ブロック共重合体のミクロ相分離構造)
製造例で得られた水素化ブロック共重合体のペレットを、200℃で熱プレス成型した厚さ2mmのシートを液体窒素で凍結後、MD方向と垂直方向にミクロトームで超薄肉片を切り出し、オスミウム酸で重合体ブロック(S)相を染色、水洗、乾燥した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で5万倍に拡大して観察した。
画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング社製、A像くん)を使用して、TEM画像中に存在する黒色に染色されたブロック共重合体(S)のミクロ相分離構造の形態と、長径および短径の平均値を算出し、長径と短径の平均値として平均粒子径を算出し、下記基準により評価した。
○:重合体ブロック(S)がミクロ相分離を形成し、その平均粒子径が5〜20nmの球構造(スフィア構造)である。
×:重合体ブロック(S)が、上記「○」以外のミクロ相分離構造を形成している。もしくは、ミクロ相分離構造を形成しない。
図2に前記評価「○」である場合のTEM画像を示し、図3に前記評価「×」である場合のTEM画像を示す。
製造例で得られた水素化ブロック共重合体のペレットを、200℃で熱プレス成型した厚さ2mmのシートを液体窒素で凍結後、MD方向と垂直方向にミクロトームで超薄肉片を切り出し、オスミウム酸で重合体ブロック(S)相を染色、水洗、乾燥した後、透過型電子顕微鏡(TEM)で5万倍に拡大して観察した。
画像解析ソフト(旭化成エンジニアリング社製、A像くん)を使用して、TEM画像中に存在する黒色に染色されたブロック共重合体(S)のミクロ相分離構造の形態と、長径および短径の平均値を算出し、長径と短径の平均値として平均粒子径を算出し、下記基準により評価した。
○:重合体ブロック(S)がミクロ相分離を形成し、その平均粒子径が5〜20nmの球構造(スフィア構造)である。
×:重合体ブロック(S)が、上記「○」以外のミクロ相分離構造を形成している。もしくは、ミクロ相分離構造を形成しない。
図2に前記評価「○」である場合のTEM画像を示し、図3に前記評価「×」である場合のTEM画像を示す。
((11)水素化ブロック共重合体のTGIC測定溶出量ピーク半値幅)
水素添加後の水素化ブロック共重合体、及び実施例及び比較例で得られたフィルムをソックスレー抽出(クロロホルム溶媒90℃×8hr)した抽出物乾燥試料をオルトジクロロベンゼンに溶解し、以下のように、その溶液試料をグラファイトカーボンカラムに注入し、その試料の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)を算出した。
その値より得られた溶出温度−溶出量曲線から、各温度での溶出量を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを95℃に昇温し、水素化ブロック共重合体をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液0.2mLを導入して、カラムの温度を、降温速度2℃/分で−20℃まで降温した。その後、カラムの温度を昇温速度2℃/分で165℃まで昇温し、移動相流量を0.5mL/分とし、各温度で溶出した試料の濃度を検出した。そして、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量を求めた。
・装置:ハイスループット組成分析装置(Polymer Char社製)
・検出器:IR5型赤外分光光度計(Polymer Char社製)
・検出波長:濃度センサー CH2 v3.42μm(2920cm-1)、メチルセンサー CH3 v3.38μm(2960cm-1)
・カラム:多孔性グラファイトカーボンカラム、Hypercarb高温対応型(Polymer Char社製)、内径4.6mm、長さ150mm、粒子径5μm
・移動相:オルトジクロロベンゼン、BHT添加
・試料濃度:8mg/8mL
・溶解条件:150℃、60分間(窒素雰囲気下)
・注入量:0.2mL
・降温条件:95℃から−20℃(2℃/分)、流量0.0mL/分
・昇温条件:−20℃から−165℃(2℃/分)、流量0.5mL/分
得られた溶出温度−溶出量曲線より、0℃以上150℃以下の範囲の溶出ピークの半値幅を求めた。
水素添加後の水素化ブロック共重合体、及び実施例及び比較例で得られたフィルムをソックスレー抽出(クロロホルム溶媒90℃×8hr)した抽出物乾燥試料をオルトジクロロベンゼンに溶解し、以下のように、その溶液試料をグラファイトカーボンカラムに注入し、その試料の溶出量(質量%)とその時のカラム内温度(℃)を算出した。
その値より得られた溶出温度−溶出量曲線から、各温度での溶出量を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを95℃に昇温し、水素化ブロック共重合体をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液0.2mLを導入して、カラムの温度を、降温速度2℃/分で−20℃まで降温した。その後、カラムの温度を昇温速度2℃/分で165℃まで昇温し、移動相流量を0.5mL/分とし、各温度で溶出した試料の濃度を検出した。そして、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量を求めた。
・装置:ハイスループット組成分析装置(Polymer Char社製)
・検出器:IR5型赤外分光光度計(Polymer Char社製)
・検出波長:濃度センサー CH2 v3.42μm(2920cm-1)、メチルセンサー CH3 v3.38μm(2960cm-1)
・カラム:多孔性グラファイトカーボンカラム、Hypercarb高温対応型(Polymer Char社製)、内径4.6mm、長さ150mm、粒子径5μm
・移動相:オルトジクロロベンゼン、BHT添加
・試料濃度:8mg/8mL
・溶解条件:150℃、60分間(窒素雰囲気下)
・注入量:0.2mL
・降温条件:95℃から−20℃(2℃/分)、流量0.0mL/分
・昇温条件:−20℃から−165℃(2℃/分)、流量0.5mL/分
得られた溶出温度−溶出量曲線より、0℃以上150℃以下の範囲の溶出ピークの半値幅を求めた。
((12)水素化ブロック共重合体のショアA硬度)
水素化ブロック共重合体のショアA硬度(ASTM D−2240準拠)を、当該水素化ブロック共重合体を圧縮成形し、200℃、5分で厚み2mmのシートをプレス成型し、当該シートを4枚重ねて、デュロメータタイプAで瞬間の値を測定した。
水素化ブロック共重合体のショアA硬度(ASTM D−2240準拠)を、当該水素化ブロック共重合体を圧縮成形し、200℃、5分で厚み2mmのシートをプレス成型し、当該シートを4枚重ねて、デュロメータタイプAで瞬間の値を測定した。
((13)13C−NMRの測定、及び29.4〜30.0ppmの積分値と9.0〜14.0ppmの積分値との比の算出)
水素化ブロック共重合体、及び実施例及び比較例で得られたフィルムをソックスレー抽出(クロロホルム溶媒90℃×8hr)した抽出物乾燥試料を重水素化クロロホルムに、濃度10wt/vol%となるよう溶解し、以下の条件で、溶液試料の13C−NMRを測定し、29.4〜30.0ppmの積分値と9.0〜14.0ppmの積分値の比(29.4〜30.0ppmの積分値/9.0〜14.0ppmの積分値)を算出した。
・装置:Bruker Biospin Avance600
・サンプル管:5mmΦ
・0ppmの化学シフト基準:TMS
・観測核:13C
・観測周波数:150.91MHz
・パルスプログラム:zgig30(定量測定法)
・パルス幅:30°
・待ち時間:10sec
・積算回数:5000回
また、下記式(1)、(2)により、各々の積分値の比を算出した。
積分値の比=((1.23+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(1)
積分値の比=((12.28+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(2)
水素化ブロック共重合体、及び実施例及び比較例で得られたフィルムをソックスレー抽出(クロロホルム溶媒90℃×8hr)した抽出物乾燥試料を重水素化クロロホルムに、濃度10wt/vol%となるよう溶解し、以下の条件で、溶液試料の13C−NMRを測定し、29.4〜30.0ppmの積分値と9.0〜14.0ppmの積分値の比(29.4〜30.0ppmの積分値/9.0〜14.0ppmの積分値)を算出した。
・装置:Bruker Biospin Avance600
・サンプル管:5mmΦ
・0ppmの化学シフト基準:TMS
・観測核:13C
・観測周波数:150.91MHz
・パルスプログラム:zgig30(定量測定法)
・パルス幅:30°
・待ち時間:10sec
・積算回数:5000回
また、下記式(1)、(2)により、各々の積分値の比を算出した。
積分値の比=((1.23+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(1)
積分値の比=((12.28+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(2)
〔フィルムの特性評価方法〕
((1)柔軟性)
実施例及び比較例で得られたフィルムをJIS5号試験片で打ち抜き、測定用サンプルとし、当該測定用サンプルの樹脂の流れ方向(MD方向)に対し、JIS K7127に準拠して、引張速度200mm/minの条件で測定した。
評価基準を以下に示す。
◎:引張弾性率が400MPa未満
○:引張弾性率が400MPa以上500MPa未満
△:引張弾性率が500MPa以上600MPa未満
×:引張弾性率が600MPa以上
((1)柔軟性)
実施例及び比較例で得られたフィルムをJIS5号試験片で打ち抜き、測定用サンプルとし、当該測定用サンプルの樹脂の流れ方向(MD方向)に対し、JIS K7127に準拠して、引張速度200mm/minの条件で測定した。
評価基準を以下に示す。
◎:引張弾性率が400MPa未満
○:引張弾性率が400MPa以上500MPa未満
△:引張弾性率が500MPa以上600MPa未満
×:引張弾性率が600MPa以上
(2)透明性
実施例及び比較例で得られたフィルムに対し、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH−1001DP)を用いて、ヘイズを測定し、透明性を評価した。
評価基準を以下に示す。
◎:ヘイズ値が12未満
○:ヘイズ値が12以上15未満
△:ヘイズ値が15以上20未満
×:ヘイズ値が20以上
実施例及び比較例で得られたフィルムに対し、ヘイズメーター(日本電色工業社製、NDH−1001DP)を用いて、ヘイズを測定し、透明性を評価した。
評価基準を以下に示す。
◎:ヘイズ値が12未満
○:ヘイズ値が12以上15未満
△:ヘイズ値が15以上20未満
×:ヘイズ値が20以上
((3)低ベタつき性)
実施例及び比較例で得られたフィルムを試験片として、摩擦感テスター(KES−SE,カトーテック(株)製)を用いて低ベタつき性を評価した。
2cm長のフィルムを切り出しセンサー部に取り付け、10cmのフィルムを試料台に固定し、センサー部のフィルムと試料台のフィルムが接するように設置した。
試験条件は、掃引速度は、1mm/秒、荷重は、5gとした。得られた摩擦係数μ(無次元)を次の基準で評価した。
◎:摩擦係数が0.9未満
○:摩擦係数が0.9以上1.8未満
△:摩擦係数が1.8以上2.7未満
×:摩擦係数が2.7以上
実施例及び比較例で得られたフィルムを試験片として、摩擦感テスター(KES−SE,カトーテック(株)製)を用いて低ベタつき性を評価した。
2cm長のフィルムを切り出しセンサー部に取り付け、10cmのフィルムを試料台に固定し、センサー部のフィルムと試料台のフィルムが接するように設置した。
試験条件は、掃引速度は、1mm/秒、荷重は、5gとした。得られた摩擦係数μ(無次元)を次の基準で評価した。
◎:摩擦係数が0.9未満
○:摩擦係数が0.9以上1.8未満
△:摩擦係数が1.8以上2.7未満
×:摩擦係数が2.7以上
((4)フィルムのCFC測定溶出量)
実施例及び比較例で得られたフィルムを試験試料として、昇温溶離分別による溶出温度−溶出量曲線を以下のように測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを145℃に昇温し、水素化ブロック共重合体をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液を導入して、140℃で30分間保持した。
次に、カラムの温度を、降温速度1℃/分で−20℃まで降温した後、60分間保持し、試料を充填剤表面に析出させた。
その後、カラムの温度を、昇温速度40℃/分で5℃間隔で順次昇温し、各温度で溶出した試料の濃度を検出した。そして、試料の溶出量(%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量を求めた。
・装置:CFC型クロス分別クロマトグラフ(Polymer Char社製)
・検出器:IR型赤外分光光度計(Polymer Char社製)
・検出波長:3.42μm
・カラム:Shodex HT−806M×3本(昭和電工社製)
・カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
・分子量校正法:標品較正法(ポリスチレン換算)
・溶離液:オルトジクロロベンゼン
・流量:1.0mL/分
・試料濃度:120mg/30mL
・注入量:0.5mL
得られた溶出温度−溶出量曲線より、−20℃以下の全容量中の積分溶出量(%)、−20℃を超え60℃未満の範囲の全容量中の積分溶出量(%)、60℃以上150℃以下の範囲の全容量中の積分溶出量(%)を求め、これらを、表3及び4中、「CFC面積%」として表した。
実施例及び比較例で得られたフィルムを試験試料として、昇温溶離分別による溶出温度−溶出量曲線を以下のように測定し、各温度での溶出量、及び溶出積分量を求めた。
まず、充填剤を含有したカラムを145℃に昇温し、水素化ブロック共重合体をオルトジクロロベンゼンに溶かした試料溶液を導入して、140℃で30分間保持した。
次に、カラムの温度を、降温速度1℃/分で−20℃まで降温した後、60分間保持し、試料を充填剤表面に析出させた。
その後、カラムの温度を、昇温速度40℃/分で5℃間隔で順次昇温し、各温度で溶出した試料の濃度を検出した。そして、試料の溶出量(%)とその時のカラム内温度(℃)との値より、溶出温度−溶出量曲線を測定し、各温度での溶出量を求めた。
・装置:CFC型クロス分別クロマトグラフ(Polymer Char社製)
・検出器:IR型赤外分光光度計(Polymer Char社製)
・検出波長:3.42μm
・カラム:Shodex HT−806M×3本(昭和電工社製)
・カラム校正:単分散ポリスチレン(東ソー社製)
・分子量校正法:標品較正法(ポリスチレン換算)
・溶離液:オルトジクロロベンゼン
・流量:1.0mL/分
・試料濃度:120mg/30mL
・注入量:0.5mL
得られた溶出温度−溶出量曲線より、−20℃以下の全容量中の積分溶出量(%)、−20℃を超え60℃未満の範囲の全容量中の積分溶出量(%)、60℃以上150℃以下の範囲の全容量中の積分溶出量(%)を求め、これらを、表3及び4中、「CFC面積%」として表した。
((5)耐衝撃性)
フィルムを、20cm×13cmの試験片に切り出し、試験片を2枚重ね合わせた後、3辺を145℃で2秒間ヒートシールし、袋を作製した。
その袋に500mLの水を入れ、さらに残りの1辺を同様の条件でヒートシールして、水入りバックを作製した。
さらに、前記水入りバックを蒸気滅菌し、その後、4℃の冷蔵室に24時間放置した後、1.8mの高さから、各々10袋を落下させたときのバックの破袋率を測定し、耐衝撃性の指標とした。
得られた破袋率から、次の基準で評価した。
◎:非破袋率が100%
○:非破袋率が70%以上100%未満
△:非破袋率が50%以上70%未満
×:非破袋率が50%未満
フィルムを、20cm×13cmの試験片に切り出し、試験片を2枚重ね合わせた後、3辺を145℃で2秒間ヒートシールし、袋を作製した。
その袋に500mLの水を入れ、さらに残りの1辺を同様の条件でヒートシールして、水入りバックを作製した。
さらに、前記水入りバックを蒸気滅菌し、その後、4℃の冷蔵室に24時間放置した後、1.8mの高さから、各々10袋を落下させたときのバックの破袋率を測定し、耐衝撃性の指標とした。
得られた破袋率から、次の基準で評価した。
◎:非破袋率が100%
○:非破袋率が70%以上100%未満
△:非破袋率が50%以上70%未満
×:非破袋率が50%未満
〔水素化ブロック共重合体の製造方法〕
(水素化触媒の調製)
水素化ブロック共重合体の水素化反応に用いた水素化触媒を、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
(水素化触媒の調製)
水素化ブロック共重合体の水素化反応に用いた水素化触媒を、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1Lを入れ、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
(製造例1:水素化ブロック共重合体(a−1))
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用して、バッチ重合を行った。反応器内に1Lのシクロヘキサンを入れ、その後n−ブチルリチウム(以下「Bu−Li」ともいう。)を全モノマー100質量部に対して0.045質量部と、ビニル化剤としてのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」ともいう。)をBu−Li1モルに対して0.05モル添加した。
第1ステップとして、ブタジエン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度20質量%)を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。第1ステップの重合中、温度は65℃にコントロールした。
第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.45モル添加し、ブタジエン34質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度20質量%)を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。第2ステップの重合中、温度は65℃にコントロールした。
第3ステップとして、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.10モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、「NaOAm」ともいう。)をBu−Li1モルに対して0.05モル添加し、ブタジエン51質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度20質量%)を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。第3ステップの重合中、温度は60℃にコントロールした。
第4ステップとして、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度20質量%)を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。第4ステップの重合中、温度は65℃にコントロールした。
ブロック共重合体の重合過程におけるステップ毎にポリマーをサンプリングした。
得られたブロック共重合体に、上記水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添化反応を行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてのオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体に対して0.25質量部添加した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−1)の水添率は99%、MFRは2.5g/10分、重量均分子量(Mw)260,000、分子量分布(Mw/Mn)1.08であった。
内容積10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用して、バッチ重合を行った。反応器内に1Lのシクロヘキサンを入れ、その後n−ブチルリチウム(以下「Bu−Li」ともいう。)を全モノマー100質量部に対して0.045質量部と、ビニル化剤としてのN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、「TMEDA」ともいう。)をBu−Li1モルに対して0.05モル添加した。
第1ステップとして、ブタジエン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度20質量%)を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。第1ステップの重合中、温度は65℃にコントロールした。
第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.45モル添加し、ブタジエン34質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度20質量%)を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。第2ステップの重合中、温度は65℃にコントロールした。
第3ステップとして、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.10モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、「NaOAm」ともいう。)をBu−Li1モルに対して0.05モル添加し、ブタジエン51質量部を含むシクロヘキサン溶液(ブタジエン濃度20質量%)を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。第3ステップの重合中、温度は60℃にコントロールした。
第4ステップとして、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(スチレン濃度20質量%)を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合した。第4ステップの重合中、温度は65℃にコントロールした。
ブロック共重合体の重合過程におけるステップ毎にポリマーをサンプリングした。
得られたブロック共重合体に、上記水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たりにチタン換算濃度100ppmとなるように添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添化反応を行った。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてのオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、ブロック共重合体に対して0.25質量部添加した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−1)の水添率は99%、MFRは2.5g/10分、重量均分子量(Mw)260,000、分子量分布(Mw/Mn)1.08であった。
(製造例2:水素化ブロック共重合体(a−2))
第2ステップにおいて、ブタジエン32質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン48質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン7質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第5ステップとして、ブタジエン3質量部を5分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−2)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−2)は、水添率99%、MFR3.5g/10分、重量均分子量(Mw)264,000、分子量分布1.09であった。
第2ステップにおいて、ブタジエン32質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン48質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン7質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第5ステップとして、ブタジエン3質量部を5分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−2)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−2)は、水添率99%、MFR3.5g/10分、重量均分子量(Mw)264,000、分子量分布1.09であった。
(製造例3:水素化ブロック共重合体(a−3))
第1ステップとして、ブタジエン15質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン31質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン47質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン7質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−3)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−3)は、水添率99%、MFR2.3g/10分、重量均分子量(Mw)261,000、分子量分布1.08であった。
第1ステップとして、ブタジエン15質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン31質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン47質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン7質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−3)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−3)は、水添率99%、MFR2.3g/10分、重量均分子量(Mw)261,000、分子量分布1.08であった。
(製造例4:水素化ブロック共重合体(a−4))
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.071質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン3質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン12質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−4)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−4)は、水添率99%、MFR2.3g/10分、重量均分子量(Mw)167,000、分子量分布1.09であった。
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.071質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン3質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン12質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−4)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−4)は、水添率99%、MFR2.3g/10分、重量均分子量(Mw)167,000、分子量分布1.09であった。
(製造例5:水素化ブロック共重合体(a−5))
第1ステップとして、ブタジエン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン13.5質量部を15分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.90モル添加し、ブタジエン76.5質量部を45分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−5)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−5)は、水添率99%、MFR4.3g/10分、重量均分子量(Mw)265,000、分子量分布1.09であった。
第1ステップとして、ブタジエン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン13.5質量部を15分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.90モル添加し、ブタジエン76.5質量部を45分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−5)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−5)は、水添率99%、MFR4.3g/10分、重量均分子量(Mw)265,000、分子量分布1.09であった。
(製造例6:水素化ブロック共重合体(a−6))
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.047質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.55モル添加し、ブタジエン55質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.00モル添加し、ブタジエン37質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン3質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−6)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−6)は、水添率99%、MFR2.8g/10分、重量均分子量(Mw)250,000、分子量分布1.07であった。
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.047質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.55モル添加し、ブタジエン55質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.00モル添加し、ブタジエン37質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン3質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−6)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−6)は、水添率99%、MFR2.8g/10分、重量均分子量(Mw)250,000、分子量分布1.07であった。
(製造例7:水素化ブロック共重合体(a−7))
第1ステップとして、ブタジエン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.40モル添加し、ブタジエン45質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン45質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−7)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−7)は、水添率99%、MFR1.8g/10分、重量均分子量(Mw)262,000、分子量分布1.07であった。
第1ステップとして、ブタジエン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.40モル添加し、ブタジエン45質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン45質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−7)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−7)は、水添率99%、MFR1.8g/10分、重量均分子量(Mw)262,000、分子量分布1.07であった。
(製造例8:水素化ブロック共重合体(a−8))
第1ステップを行わず、第2ステップにおいて、ブタジエン38質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン57質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−8)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−8)は、水添率99%、MFR18.6g/10分、重量均分子量(Mw)253,000、分子量分布1.11であった。
第1ステップを行わず、第2ステップにおいて、ブタジエン38質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン57質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−8)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−8)は、水添率99%、MFR18.6g/10分、重量均分子量(Mw)253,000、分子量分布1.11であった。
(製造例9:水素化ブロック共重合体(a−9))
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.054質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン25質量部を10分間かけて投入し、その後更に5分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン35質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン35質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−9)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−9)は、水添率99%、MFR1.1g/10分、重量均分子量(Mw)226,000、分子量分布1.08であった。
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.054質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン25質量部を10分間かけて投入し、その後更に5分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン35質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン35質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−9)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−9)は、水添率99%、MFR1.1g/10分、重量均分子量(Mw)226,000、分子量分布1.08であった。
(製造例10:水素化ブロック共重合体(a−10))
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.105質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン15質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン30質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン30質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン25質量部を15分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−10)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−10)は、水添率99%、MFR3.1g/10分、重量均分子量(Mw)100,000、分子量分布1.09であった。
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.105質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン15質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン30質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン30質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン25質量部を15分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−10)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−10)は、水添率99%、MFR3.1g/10分、重量均分子量(Mw)100,000、分子量分布1.09であった。
(製造例11:水素化ブロック共重合体(a−11))
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.040質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン15質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン34質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン50.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン0.5質量部を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−11)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−11)は、水添率99%、MFR25.5g/10分、重量均分子量(Mw)308,000、分子量分布1.07であった。
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.040質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン15質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、ブタジエン34質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン50.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン0.5質量部を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−11)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−11)は、水添率99%、MFR25.5g/10分、重量均分子量(Mw)308,000、分子量分布1.07であった。
(製造例12:水素化ブロック共重合体(a−12))
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.050質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップを行わずに、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.60モル添加し、ブタジエン90質量部を60分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−12)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−12)は、水添率99%、MFR3.2g/10分、重量均分子量(Mw)241,000、分子量分布1.06であった。
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.050質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップを行わずに、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.60モル添加し、ブタジエン90質量部を60分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップとして、スチレン5質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−12)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−12)は、水添率99%、MFR3.2g/10分、重量均分子量(Mw)241,000、分子量分布1.06であった。
(製造例13:水素化ブロック共重合体(a−13))
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.064質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン17質量部を10分間かけて投入し、その後更に5分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.30モル添加し、ブタジエン62質量部を45分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.25モル添加し、ブタジエン16質量部を15分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−13)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−13)は、水添率99%、MFR1.2g/10分、重量均分子量(Mw)189,000、分子量分布1.08であった。
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.064質量部添加し、第1ステップとして、ブタジエン17質量部を10分間かけて投入し、その後更に5分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.30モル添加し、ブタジエン62質量部を45分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して1.25モル添加し、ブタジエン16質量部を15分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−13)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−13)は、水添率99%、MFR1.2g/10分、重量均分子量(Mw)189,000、分子量分布1.08であった。
(製造例14:水素化ブロック共重合体(a−14))
第1ステップとして、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.35モル添加し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.15モル添加し、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−14)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−14)は、水添率99%、MFR11.8g/10分、重量均分子量(Mw)258,000、分子量分布1.06であった。
第1ステップとして、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.35モル添加し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.15モル添加し、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−14)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−14)は、水添率99%、MFR11.8g/10分、重量均分子量(Mw)258,000、分子量分布1.06であった。
(製造例15:水素化ブロック共重合体(a−15))
第1ステップとして、ブタジエン15質量部を10分間かけて投入し、その後更に5分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.60モル添加し、ブタジエン50質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.75モル添加し、ブタジエン30質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−15)を製造した。
得られ水素化ブロック共重合体(a−15)は、水添率99%、MFR3.2g/10分、重量均分子量(Mw)262,000、分子量分布1.09であった。
第1ステップとして、ブタジエン15質量部を10分間かけて投入し、その後更に5分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.60モル添加し、ブタジエン50質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.75モル添加し、ブタジエン30質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−15)を製造した。
得られ水素化ブロック共重合体(a−15)は、水添率99%、MFR3.2g/10分、重量均分子量(Mw)262,000、分子量分布1.09であった。
(製造例16:水素化ブロック共重合体(a−16))
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.064質量部添加し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.40モル添加し、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.15モル添加し、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−16)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−16)は、水添率99%、MFR2.0g/10分、重量均分子量(Mw)184,000、分子量分布1.05であった。
第1ステップ前にBu−Liを全モノマー100質量部に対して0.064質量部添加し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.40モル添加し、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.15モル添加し、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−16)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−16)は、水添率99%、MFR2.0g/10分、重量均分子量(Mw)184,000、分子量分布1.05であった。
(製造例17:水素化ブロック共重合体(a−17))
第2ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、その後の水素添加反応を途中で中断したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−17)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−17)は、水添率60%、MFR38.8g/10分、重量均分子量(Mw)265,000、分子量分布1.05であった。
第2ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、ブタジエン42.5質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、その後の水素添加反応を途中で中断したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−17)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−17)は、水添率60%、MFR38.8g/10分、重量均分子量(Mw)265,000、分子量分布1.05であった。
(製造例18:水素化ブロック共重合体(a−18))
第1ステップ前に、Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.065質量部添加し、第1ステップにおいて、スチレン8質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.55モル添加し、ブタジエン42質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.80モル添加し、ブタジエン42質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップにおいて、スチレン8質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−18)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−18)は、水添率99%、MFR4.4g/10分、重量均分子量(Mw)184,000、分子量分布1.07であった。
第1ステップ前に、Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.065質量部添加し、第1ステップにおいて、スチレン8質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第2ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.55モル添加し、ブタジエン42質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第3ステップにおいて、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.80モル添加し、ブタジエン42質量部を30分間かけて投入し、その後更に10分間重合し、第4ステップにおいて、スチレン8質量部を10分間かけて投入し、その後更に10分間重合したこと以外は、(a−1)と同様にして、水素化ブロック共重合体(a−18)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(a−18)は、水添率99%、MFR4.4g/10分、重量均分子量(Mw)184,000、分子量分布1.07であった。
上述のようにして得られた水素化ブロック共重合体(a−1)〜(a−18)の解析結果を下記表1に示す。
〔水素化ブロック共重合体((b1):b1−1〜b1−4)の製造方法〕
(水素化ブロック共重合体(b1−1))
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。
はじめに1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−ブチルリチウム(以下Bu−Liとする)を全モノマー100質量部に対して0.065質量部と、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAとする)をBu−Liを1モルに対して0.05モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、NaOAmとする)をBu−Liを1モルに対して0.05モル添加した。
第1ステップとして、スチレン7質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
次に第2ステップとして、ブタジエン85質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を60分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は55℃にコントロールした。
次に第3ステップとして、スチレン8質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
得られたブロック共重合体は、スチレン含有量15質量%、ブタジエンブロック部の水素添加前のビニル結合量78%、重量平均分子量178,000、分子量分布1.12であった。
次に、得られたブロック共重合体に、上記水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体に対して0.3質量部添加した。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−1)の水添率は99.2%、MFRは4.8g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−1)の解析結果を表2に示す。
(水素化ブロック共重合体(b1−1))
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。
はじめに1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後n−ブチルリチウム(以下Bu−Liとする)を全モノマー100質量部に対して0.065質量部と、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAとする)をBu−Liを1モルに対して0.05モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、NaOAmとする)をBu−Liを1モルに対して0.05モル添加した。
第1ステップとして、スチレン7質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
次に第2ステップとして、ブタジエン85質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を60分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は55℃にコントロールした。
次に第3ステップとして、スチレン8質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
得られたブロック共重合体は、スチレン含有量15質量%、ブタジエンブロック部の水素添加前のビニル結合量78%、重量平均分子量178,000、分子量分布1.12であった。
次に、得られたブロック共重合体に、上記水添触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体に対して0.3質量部添加した。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−1)の水添率は99.2%、MFRは4.8g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−1)の解析結果を表2に示す。
(水素化ブロック共重合体(b1−2))
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.095質量部とし、TMEDAをBu−Liを1モルに対して0.65モル添加し、NaOAmは添加せず、第1ステップ、第3ステップのスチレン量を9質量部とし、第2ステップのブタジエン量を82質量部とし、重合中の温度を67℃にコントロールし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、上述した水素化ブロック共重合体(b1−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(b1−2)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−2)は、スチレン含有量18質量%、ブタジ
エンブロック部のビニル結合量55%、重量平均分子量121,000、分子量分布1.
05、水添率99.0%、MFR4.0g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−2)の解析結果を表2に示す。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.095質量部とし、TMEDAをBu−Liを1モルに対して0.65モル添加し、NaOAmは添加せず、第1ステップ、第3ステップのスチレン量を9質量部とし、第2ステップのブタジエン量を82質量部とし、重合中の温度を67℃にコントロールし、ブロック共重合体を製造したこと以外は、上述した水素化ブロック共重合体(b1−1)と同様の操作を行い、水素化ブロック共重合体(b1−2)を製造した。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−2)は、スチレン含有量18質量%、ブタジ
エンブロック部のビニル結合量55%、重量平均分子量121,000、分子量分布1.
05、水添率99.0%、MFR4.0g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−2)の解析結果を表2に示す。
(水素化ブロック共重合体(b1−3))
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.055質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン10質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン85質量部とし、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.65モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、「NaOAm」ともいう)添加せず、第3ステップとして、スチレン5質量部としたこと以外は、(a−12)と同様にして、水素化ブロック共重合体(b1−3)を製造した。なお、ブロック共重合体の重合過程におけるステップ毎にポリマーをサンプリングした。
得られた(b1−3)水素化ブロック共重合体の水添率は99.4%、スチレン含有量5質量%、MFRは2.9g/10分、重量平均分子量(Mw)は239,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。
Bu−Liを全モノマー100質量部に対して0.055質量部とし、第1ステップとして、ブタジエン10質量部とし、第2ステップとして、ブタジエン85質量部とし、TMEDAをBu−Li1モルに対して0.65モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、「NaOAm」ともいう)添加せず、第3ステップとして、スチレン5質量部としたこと以外は、(a−12)と同様にして、水素化ブロック共重合体(b1−3)を製造した。なお、ブロック共重合体の重合過程におけるステップ毎にポリマーをサンプリングした。
得られた(b1−3)水素化ブロック共重合体の水添率は99.4%、スチレン含有量5質量%、MFRは2.9g/10分、重量平均分子量(Mw)は239,000、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。
(水素化ブロック共重合体(b1−4))
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。
はじめに1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後、n−ブチルリチウム(以下Bu−Liとする)を全モノマー100質量部に対して0.065質量部と、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAとする)をBu−Liを1モルに対して1.5モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、NaOAmとする)をBu−Liを1モルに対して0.05モル添加した。
第1ステップとして、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後、更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
次に第2ステップとして、ブタジエン82質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を60分間かけて投入し、その後、更に5分間重合した。なお重合中、温度は55℃にコントロールした。
次に第3ステップとして、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後、更に5分間重合した。
次に第4ステップを追加し、ブタジエン5質量部を5分間かけて投入し、その後、更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
得られたブロック共重合体は、スチレン含有量13質量%、重合体ブロック(B−1)に相当するブタジエンブロック部のビニル結合量77%、重合体ブロック(B3)に相当するブタジエンブロック部のビニル結合量76%、重量平均分子量174,000、分子量分布1.09であった。
次に、得られたブロック共重合体に、上記水素化触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体に対して0.3質量部添加した。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−4)の水添率は99.0%、MFRは5.0g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−4)の解析結果を表2に示す。
内容積が10Lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を使用してバッチ重合を行った。
はじめに1Lのシクロヘキサンを仕込み、その後、n−ブチルリチウム(以下Bu−Liとする)を全モノマー100質量部に対して0.065質量部と、N,N,N´,N´−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAとする)をBu−Liを1モルに対して1.5モルと、ナトリウムt−ペントキシド(以下、NaOAmとする)をBu−Liを1モルに対して0.05モル添加した。
第1ステップとして、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後、更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
次に第2ステップとして、ブタジエン82質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を60分間かけて投入し、その後、更に5分間重合した。なお重合中、温度は55℃にコントロールした。
次に第3ステップとして、スチレン6.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を5分間かけて投入し、その後、更に5分間重合した。
次に第4ステップを追加し、ブタジエン5質量部を5分間かけて投入し、その後、更に5分間重合した。なお重合中、温度は60℃にコントロールした。
得られたブロック共重合体は、スチレン含有量13質量%、重合体ブロック(B−1)に相当するブタジエンブロック部のビニル結合量77%、重合体ブロック(B3)に相当するブタジエンブロック部のビニル結合量76%、重量平均分子量174,000、分子量分布1.09であった。
次に、得られたブロック共重合体に、上記水素化触媒をブロック共重合体100質量部当たりチタンとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度70℃で水添反応を行った。
その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートをブロック共重合体に対して0.3質量部添加した。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−4)の水添率は99.0%、MFRは5.0g/10分であった。
得られた水素化ブロック共重合体(b1−4)の解析結果を表2に示す。
〔ポリプロピレン〕
PP−1:エチレン・プロピレンランダム共重合体
ノバテックMF3FQ(日本ポリプロ社製、MFR:8g/10分、エチレン含
有量:2.5wt%)
PP−2:エチレン・プロピレンランダム共重合体
ノバテックEG6D(日本ポリプロ社製、MFR:1.9g/10分、エチレン
含有量:1.3wt%)
PP−1:エチレン・プロピレンランダム共重合体
ノバテックMF3FQ(日本ポリプロ社製、MFR:8g/10分、エチレン含
有量:2.5wt%)
PP−2:エチレン・プロピレンランダム共重合体
ノバテックEG6D(日本ポリプロ社製、MFR:1.9g/10分、エチレン
含有量:1.3wt%)
〔実施例1〜7〕、〔比較例1〜11〕
<二層フィルム状成形体>
表3に示す各層を、表中に示す材料を用い、表3に記載した順(層1、層2)で積層されるように、多層押出機((株)プラスチック工学研究所製、PLABOR)を用いて、押出温度230℃、ダイ温度250℃の条件で共押出成形し、厚み0.17mmの二層フィルムを得た。
<二層フィルム状成形体>
表3に示す各層を、表中に示す材料を用い、表3に記載した順(層1、層2)で積層されるように、多層押出機((株)プラスチック工学研究所製、PLABOR)を用いて、押出温度230℃、ダイ温度250℃の条件で共押出成形し、厚み0.17mmの二層フィルムを得た。
表3の結果より、実施例1〜7で得られた二層フィルム状成形体は、柔軟性、透明性、低ベタつき性、及び耐衝撃性のいずれにおいても実用上良好であり、特性バランスが良好であることが分かった。
〔実施例8〜14〕
<三層フィルム状成形体>
表4に示す各層を、表中に示す材料を用い、表4に記載した順(外層、中間層、内層)で積層されるように、多層押出機((株)プラスチック工学研究所製、PLABOR)を用いて、押出温度230℃、ダイ温度250℃の条件で共押出成形し、厚み0.17mmの三層フィルムを得た。
<三層フィルム状成形体>
表4に示す各層を、表中に示す材料を用い、表4に記載した順(外層、中間層、内層)で積層されるように、多層押出機((株)プラスチック工学研究所製、PLABOR)を用いて、押出温度230℃、ダイ温度250℃の条件で共押出成形し、厚み0.17mmの三層フィルムを得た。
表4の結果より、実施例8〜14で得られた三層フィルム状成形体は、柔軟性、透明性、低ベタつき性、及び耐衝撃性のいずれにおいても実用上良好であり、特性バランスが良好であることが分かった。
本実施形態のフィルムは、各種衣料類の包装、各種食品の包装、日用雑貨包装、工業資材包装、各種ゴム製品、樹脂製品、皮革製品等のラミネート、紙おむつ等に用いられる伸縮テープ、ダイシングフィルム等の工業用品、建材や鋼板の保護に用いられるプロテクトフィルム、粘着フィルムの基材、食肉鮮魚用トレー、青果物パック、冷凍食品容器等のシート用品、テレビ、ステレオ、掃除機等の家電用品用途、バンパー部品、ボディーパネル、サイドシールなどの自動車内外装部品用途、道路舗装材、防水、遮水シート、土木パッキン、日用品、レジャー用品、玩具、工業用品、ファニチャー用品、筆記用具、透明ポケット、ホルダー、ファイル背表紙等の文具、輸液バック等の医療用具等として産業上の利用可能性を有している。特に医療用フィルム、並びに包装材、例えば食品包装材、及び衣料包装材等として、産業上の利用可能性を有している。
Claims (14)
- 少なくとも二つの層を有するフィルムであって、
少なくとも一つの層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、分子中に、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)と、
芳香族ビニル化合物を主体とする重合体ブロック(S)と、
を、含み、
前記重合体ブロック(B)は、重合体ブロック(B1)及び(B2)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)中、前記重合体ブロック(C)の含有量が1〜20質量%であり、前記重合体ブロック(B)の含有量が73〜97質量%であり、前記重合体ブロック(S)の含有量が1〜15質量%であり、
前記重合体ブロック(C)の水素化前のビニル結合量が1〜25mol%であり、前記重合体ブロック(B1)の水素化前のビニル結合量が40mоl%以上60mol%以下であり、前記重合体ブロック(B2)の水素化前のビニル結合量が60mоl%超100mol%以下であり、
水素化率が80mol%以上である、
フィルム。 - 前記水素化ブロック共重合体(a)100質量%中における、前記重合体ブロック(C)と、前記重合体ブロック(S)の含有量の合計が3〜27質量%である、請求項1に記載のフィルム。
- 前記水素化ブロック共重合体(a)100質量%中における、前記重合体ブロック(B1)の含有量が10〜60質量%であり、前記重合体ブロック(B2)の含有量が30〜80質量%である、請求項1又は2に記載のフィルム。
- 少なくとも二つの層を有するフィルムであって、
少なくとも一つの層がポリプロピレン樹脂(b)及び水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、分子中に、芳香族ビニル化合物単位及び共役ジエン化合物単位を含み、
前記水素化ブロック共重合体(a)の芳香族ビニル化合物単位の含有量が、1〜15質量%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)の水素化率が80mol%以上であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)中の共役ジエン化合物単位の合計100mol%に対して、ブチレン量及び/又はプロピレン量が42〜80mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)が、−20〜80℃に結晶化のピークを有し、結晶化熱量が0.1〜10J/gであり、前記水素化ブロック共重合体(a)のショアA硬度が15〜60であり、
前記水素化ブロック共重合体(a)を、熱勾配相互作用クロマトグラフィー(TGIC)で測定した溶出量ピークが0℃以上150℃以下の範囲にあり、溶出量ピークの半値幅が20〜40℃の範囲である、フィルム。 - 少なくとも外層、中間層、内層の三つの層を有し、
前記外層が、ポリプロピレン樹脂(b)を含み、
前記中間層が、ポリプロピレン樹脂(b)、及び前記水素化ブロック共重合体(a)を含み、
前記内層が、ポリプロピレン樹脂(b)を含む、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載のフィルム。 - 前記外層の厚みが5〜50μm、
前記中間層の厚みが100〜200μm、
前記内層の厚みが5〜50μmである、
請求項5に記載のフィルム。 - 前記水素化ブロック共重合体(a)の固体粘弾性測定により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において観察される、前記水素化ブロック共重合体のガラス転移を示すtanδピーク(Tg1)が、−45℃を超えて−30℃以下の範囲にあり、
かつ前記水素化ブロック共重合体(a)をホモポリプロピレンに30質量%添加した場合に観察されるtanδピーク(Tg2)との差ΔTg(Tg1−Tg2)が、3〜12℃である、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載のフィルム。 - 13C−NMRで測定した29.4〜30.0ppmの積分値と、9.0〜14.0ppmの積分値との比(29.4〜30.0ppmの積分値/9.0〜14.0ppmの積分値)が、
下記式(1)で求められる積分値の比から下記式(2)で求められる積分値の範囲にあり、
ブチレン量が50〜80mol%である、
請求項1乃至7のいずれか一項に記載のフィルム。
積分値の比=((1.23+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(1)
積分値の比=((12.28+((100-ブチレン量×0.97-0.3)÷0.97)3÷10000×0.97)÷0.97)÷(ブチレン量÷4)・・・式(2) - 前記外層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)が、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)と、
を、含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の含有量が0〜15質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の含有量が75〜97質量%であり、
前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)の含有量が3〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上であり、
前記外層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が60〜100質量%であり、
前記外層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が0〜40質量%である、
請求項5乃至8に記載のフィルム。 - 前記内層が、前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)(但し、水素化ブロック共重合体(b1)は水素化ブロック共重合体(a)以外の水素化ブロック共重合体)を含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)が、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)と、
共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)と、
ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)と、
を、含み、
前記水素化ブロック共重合体(b1)中の、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の含有量が0〜15質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の含有量が75〜97質量%であり、
前記ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(S−1)の含有量が3〜25質量%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(C−1)の水素化前のビニル結合量が1〜25mоl%であり、
前記共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B−1)の水素化前のビニル結合量が40〜100mоlmol%であり、
前記水素化ブロック共重合体(b1)の水素化率が80mol%以上であり
前記内層中のポリプロピレン樹脂(b)の含有量が50〜95質量%であり、
前記内層中の前記水素化ブロック共重合体(a)及び/又は水素化ブロック共重合体(b1)の含有量が5〜50質量%である、
請求項5乃至9のいずれか一項に記載のフィルム。 - 前記重合体ブロック(B)は、前記水素化ブロック共重合体(a)の末端に存在する重合体ブロック(B3)をさらに含み、
前記重合体ブロック(B3)の含有量が、前記水素化ブロック共重合体(a)中の1〜10質量%である、
請求項1乃至10のいずれか一項に記載のフィルム。 - 水素化ブロック共重合体(a)の重量平均分子量(Mw)が10万〜30万である、
請求項1乃至11のいずれか一項に記載のフィルム。 - 水素化ブロック共重合体(a)のミクロ相分離構造が球構造(スフィアー構造)を形成している請求項1乃至12のいずれか一項に記載のフィルム。
- クロス分別クロマトグラフィー(CFC)で測定した−20℃以下の積分溶出量が全容量の0.1%以上75%未満であり、−20℃を超え60℃未満の範囲の積分溶出量が全容量の5%以上80%未満であり、60℃以上150℃以下の範囲の積分溶出量が全容量の20%以上95%未満である、請求項1乃至13のいずれか一項に記載のフィルム。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022201741A1 (ja) * | 2021-03-25 | 2022-09-29 | 住友化学株式会社 | オレフィン系重合体組成物、および、フィルム |
-
2016
- 2016-04-25 JP JP2016087394A patent/JP2017197611A/ja active Pending
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WO2022201741A1 (ja) * | 2021-03-25 | 2022-09-29 | 住友化学株式会社 | オレフィン系重合体組成物、および、フィルム |
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