JP2022166805A - ブロック共重合体、該ブロック共重合体を含有するエラストマー組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】超低温条件下での優れた耐衝撃性を有するブロック共重合体等を提供する。【解決手段】ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)、を有し、条件(i)~(iv)を満たす、ブロック共重合体。条件(i):ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、1.0~30質量%である。条件(ii):重合体ブロック(B)における、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量が、1.0~55%である。条件(iii):重合体ブロック(B)における、アルケニル単量体単位(a1)及びアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量が、5.0~55%である。条件(iv):Ti、Ni、Li、及びCoの合計含有量が、90ppm以下である。【選択図】なし
Description
本発明は、ブロック共重合体、該ブロック共重合体を含有するエラストマー組成物及び成形体に関する。
ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂を主成分とする組成物は、一般に機械的特性に優れているため、機械部品、自動車部品等の工業用品、家庭用品、各種容器等で広範に使用されている。しかしながら、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする組成物は、衝撃強度が不足しているため、使用目的が限定されている。
そこで、衝撃強度を改良する目的でゴム成分をポリオレフィン系樹脂に添加した組成物の提案が数多くなされている。
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン樹脂の低温条件下における耐衝撃性を高めるため、改質剤であるエラストマーとして、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックからなり、共役ジエン重合体の32%が水素添加されており、芳香族化合物重合体ブロックの量が重合体ブロック合計量に対して30質量%であるブロック共重合体を用いた樹脂組成物等が開示されている。
例えば、特許文献1には、ポリプロピレン樹脂の低温条件下における耐衝撃性を高めるため、改質剤であるエラストマーとして、ビニル芳香族化合物重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックからなり、共役ジエン重合体の32%が水素添加されており、芳香族化合物重合体ブロックの量が重合体ブロック合計量に対して30質量%であるブロック共重合体を用いた樹脂組成物等が開示されている。
近年、ポリオレフィン系樹脂からなる製品の多種多様な用途への応用や、使用地域の広がり、安全志向の向上に伴い、ポリオレフィン系樹脂からなる製品において、耐衝撃性を高めること、特に耐衝撃性が低下しやすい低温領域における耐衝撃性を高めることが求められている。
例えば、エアバックカバー用材料において、寒冷地等の使用地域の広がり及び安全志向の向上に伴い、例えば-50℃以下の超低温下、特に高温下で長時間ばく露された後の超低温下での実用上十分な破壊強度、耐衝撃性等を維持することが求められている。
例えば、エアバックカバー用材料において、寒冷地等の使用地域の広がり及び安全志向の向上に伴い、例えば-50℃以下の超低温下、特に高温下で長時間ばく露された後の超低温下での実用上十分な破壊強度、耐衝撃性等を維持することが求められている。
また、昨今注目されるワクチンの製造、保管及び輸送においても、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする成形体の容器等を-50~-70℃以下に保持、保管する工程が必要とされることもあり、低温特性に優れた成形体へのニーズが高まっている。ワクチンのような液体が収容される筒状の容器は、温度変化による伸縮が非対称である場合もあり、特に高い耐衝撃性が要求される。そのような温度条件下での輸送時等では、衝撃を受けた際に内容物に悪影響を与えないようにするため、高い耐衝撃性が求められる。
しかしながら、特許文献1に開示されているような従来の樹脂組成物は、-50℃以下のような超低温条件下においては、耐衝撃性に未だ改善の余地がある。
超低温条件下における耐衝撃性等の物性向上を図るためには、改質剤であるエラストマーのtanδピーク温度が、使用温度よりも低温側に存在し、超低温条件下でも低剛性であることが好ましい。ここで、特許文献1に開示されている樹脂組成物に含まれるエラストマーのtanδピーク温度は使用温度よりも低温側に存在する。しかし、本発明者らの検討によると、このエラストマーは、剛性が高いため、超低温条件下での耐衝撃性を付与する性能に改善の余地があることが分かった。
超低温条件下における耐衝撃性等の物性向上を図るためには、改質剤であるエラストマーのtanδピーク温度が、使用温度よりも低温側に存在し、超低温条件下でも低剛性であることが好ましい。ここで、特許文献1に開示されている樹脂組成物に含まれるエラストマーのtanδピーク温度は使用温度よりも低温側に存在する。しかし、本発明者らの検討によると、このエラストマーは、剛性が高いため、超低温条件下での耐衝撃性を付与する性能に改善の余地があることが分かった。
以上より、本発明は、超低温条件下での優れた耐衝撃性を有するブロック共重合体、該ブロック共重合体を含有するエラストマー組成物等を提供することを目的とする。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討した結果、所定の構造及び物性を有するブロック共重合体が超低温下での優れた耐衝撃性、及び優れた耐熱老化性を発現可能であることを見出し、該ブロック共重合体と、所定のポリオレフィン系樹脂とを、所定の質量比で含むエラストマー組成物が、超低温下での優れた耐衝撃性、及び優れた耐熱老化性を発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)、を有し、
下記条件(i)~(iv)を満たす、ブロック共重合体。
条件(i):前記ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、1.0~30質量%である。
条件(ii):前記重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)、並びに共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)を含み、かつ、前記単位(a)の含有量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~55%である。
条件(iii):前記重合体ブロック(B)が、前記単位(a)の水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)、及び前記単位(b)の水素添加されたアルケニル単量体単位(b1)を含み、かつ、前記アルケニル単量体単位(a1)の含有量及び前記アルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、5.0~55%である。
条件(iv):前記ブロック共重合体中のTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、該金属原子換算で90ppm以下である。
[2]
下記条件(v)をさらに満たす、[1]に記載のブロック共重合体。
条件(v):前記アルケニル単量体単位(a1)の含有量が、前記単位(a)の総量に対して、80%以上である。
[3]
下記条件(vi)をさらに満たす、[2]に記載のブロック共重合体。
<条件(vi)>
幅10mm、長さ40mm、厚み2mmの短冊状試験片状に成形された前記ブロック共重合体について、ひずみ0.5%、周波数1Hzでの粘弾性測定を行った時に得られるtanδピーク温度が-55℃以下であり、-60℃での貯蔵弾性率が1.5×108Pa以下である。
[4]
下記条件(vii)をさらに満たす、[1]~[3]のいずれか1つに記載のブロック共重合体。
条件(vii):分子量分布が、1.40以下である。
[5]
下記条件(viii)をさらに満たす、[1]~[4]のいずれか1つに記載のブロック共重合体。
<条件(viii)>
前記単位(a)の含有量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~30%である。
[6]
下記条件(ix)をさらに満たす、[1]~[5]のいずれか1つに記載のブロック共重合体。
<条件(ix)>
前記ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、1.0~15質量%である。
[7]
成分(I):[1]~[6]のいずれか1つに記載のブロック共重合体と、
成分(II):前記成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂と、
を、含み、
前記成分(I)と前記成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))が、1/99~70/30である、エラストマー組成物。
[8]
前記成分(II)が、ポリプロピレン系樹脂である、[7]に記載のエラストマー組成物。
[9]
前記成分(I)及び前記成分(II)以外の成分(III):オレフィン系エラストマーをさらに含む、[7]又は[8]に記載のエラストマー組成物。
[10]
前記成分(I)と前記成分(III)の質量比(成分(I)/成分(III))が、1/99~70/30である[9]に記載のエラストマー組成物。
[11]
前記成分(III)が、エチレン及び/又はプロピレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であって、前記α-オレフィンに由来する単位の含有量が前記成分(III)の総量に対して、30質量%以上である共重合体である、[9]又は[10]に記載のエラストマー組成物。
[12]
[7]~[11]のいずれか1つに記載のエラストマー組成物を含む、成形体。
[13]
容器である、[12]に記載の成形体。
[14]
筒状容器である、[13]に記載の成形体。
[15]
筐体である、[12]に記載の成形体。
[16]
エアバッグカバーである、[12]に記載の成形体。
[1]
ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)、を有し、
下記条件(i)~(iv)を満たす、ブロック共重合体。
条件(i):前記ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、1.0~30質量%である。
条件(ii):前記重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)、並びに共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)を含み、かつ、前記単位(a)の含有量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~55%である。
条件(iii):前記重合体ブロック(B)が、前記単位(a)の水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)、及び前記単位(b)の水素添加されたアルケニル単量体単位(b1)を含み、かつ、前記アルケニル単量体単位(a1)の含有量及び前記アルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、5.0~55%である。
条件(iv):前記ブロック共重合体中のTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、該金属原子換算で90ppm以下である。
[2]
下記条件(v)をさらに満たす、[1]に記載のブロック共重合体。
条件(v):前記アルケニル単量体単位(a1)の含有量が、前記単位(a)の総量に対して、80%以上である。
[3]
下記条件(vi)をさらに満たす、[2]に記載のブロック共重合体。
<条件(vi)>
幅10mm、長さ40mm、厚み2mmの短冊状試験片状に成形された前記ブロック共重合体について、ひずみ0.5%、周波数1Hzでの粘弾性測定を行った時に得られるtanδピーク温度が-55℃以下であり、-60℃での貯蔵弾性率が1.5×108Pa以下である。
[4]
下記条件(vii)をさらに満たす、[1]~[3]のいずれか1つに記載のブロック共重合体。
条件(vii):分子量分布が、1.40以下である。
[5]
下記条件(viii)をさらに満たす、[1]~[4]のいずれか1つに記載のブロック共重合体。
<条件(viii)>
前記単位(a)の含有量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~30%である。
[6]
下記条件(ix)をさらに満たす、[1]~[5]のいずれか1つに記載のブロック共重合体。
<条件(ix)>
前記ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、1.0~15質量%である。
[7]
成分(I):[1]~[6]のいずれか1つに記載のブロック共重合体と、
成分(II):前記成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂と、
を、含み、
前記成分(I)と前記成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))が、1/99~70/30である、エラストマー組成物。
[8]
前記成分(II)が、ポリプロピレン系樹脂である、[7]に記載のエラストマー組成物。
[9]
前記成分(I)及び前記成分(II)以外の成分(III):オレフィン系エラストマーをさらに含む、[7]又は[8]に記載のエラストマー組成物。
[10]
前記成分(I)と前記成分(III)の質量比(成分(I)/成分(III))が、1/99~70/30である[9]に記載のエラストマー組成物。
[11]
前記成分(III)が、エチレン及び/又はプロピレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であって、前記α-オレフィンに由来する単位の含有量が前記成分(III)の総量に対して、30質量%以上である共重合体である、[9]又は[10]に記載のエラストマー組成物。
[12]
[7]~[11]のいずれか1つに記載のエラストマー組成物を含む、成形体。
[13]
容器である、[12]に記載の成形体。
[14]
筒状容器である、[13]に記載の成形体。
[15]
筐体である、[12]に記載の成形体。
[16]
エアバッグカバーである、[12]に記載の成形体。
本発明によれば、超低温条件下での優れた耐衝撃性及び優れた耐熱老化性を有するブロック共重合体、該ブロック共重合体を含有するエラストマー組成物等が得られる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではなく、本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。また、本明細書中に記載のパラメータは、例示される数値範囲、及び好ましい等として記載される数値範囲(より好ましい数値範囲等も含む。)の下限値及び上限値のいずれかを任意に組み合わせて得られる数値範囲とすることができる。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではなく、本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。また、本明細書中に記載のパラメータは、例示される数値範囲、及び好ましい等として記載される数値範囲(より好ましい数値範囲等も含む。)の下限値及び上限値のいずれかを任意に組み合わせて得られる数値範囲とすることができる。
[1]ブロック共重合体
本実施形態のブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)を有し、下記条件(i)~(iv)を満たす。
条件(i):ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、1.0~30質量%である。
条件(ii):重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(以下、単に「単位(a)」ともいう。)、並びに共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(以下、単に「単位(b)」ともいう。)を含み、かつ、単位(a)の含有量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~55%である。
条件(iii):重合体ブロック(B)が、単位(a)の水素添加されたアルケニル単量体単位(以下、「アルケニル単量体単位(a1)」ともいう。)、及び単位(b)の水素添加されたアルケニル単量体単位(以下、「アルケニル単量体単位(b1)」ともいう。)を含み、かつ、アルケニル単量体単位(a1)の含有量及びアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、5.0~55%である。
条件(iv):ブロック共重合体中のTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、該金属原子換算で90ppm以下である。
本実施形態のブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)を有し、下記条件(i)~(iv)を満たす。
条件(i):ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、1.0~30質量%である。
条件(ii):重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(以下、単に「単位(a)」ともいう。)、並びに共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(以下、単に「単位(b)」ともいう。)を含み、かつ、単位(a)の含有量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~55%である。
条件(iii):重合体ブロック(B)が、単位(a)の水素添加されたアルケニル単量体単位(以下、「アルケニル単量体単位(a1)」ともいう。)、及び単位(b)の水素添加されたアルケニル単量体単位(以下、「アルケニル単量体単位(b1)」ともいう。)を含み、かつ、アルケニル単量体単位(a1)の含有量及びアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、5.0~55%である。
条件(iv):ブロック共重合体中のTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、該金属原子換算で90ppm以下である。
共役ジエン化合物は、1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは1,3-ブタジエン、イソプレンであり、より好ましくは1,3-ブタジエンである。
1,3-ブタジエン及びイソプレンは、汎用されており入手が容易である他、コストの点でも有利であり、ビニル芳香族化合物として汎用されるスチレンとの共重合も容易である。また、1,3-ブタジエンは、ブロック共重合体のtanδピークを超低温以下(例えば、-55℃以下、好ましくは-60℃以下)に調整することが最も容易である。
共役ジエン化合物は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書における共役ジエン化合物に由来する単位とは、共役ジエン化合物が重合して生成する重合体中の当該共役ジエン化合物に由来する構成単位を指す。
本明細書における共役ジエン化合物に由来する単位とは、共役ジエン化合物が重合して生成する重合体中の当該共役ジエン化合物に由来する構成単位を指す。
ビニル芳香族化合物は、ビニル結合を有する芳香族化合物である。ビニル芳香族化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等が挙げられる。これらの中でも、好ましくはスチレンである。
ビニル芳香族化合物は一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本明細書におけるビニル芳香族化合物に由来する単位とは、ビニル芳香族化合物が重合して生成する重合体中の当該ビニル芳香族化合物に由来する構成単位を指す。
本明細書におけるビニル芳香族化合物に由来する単位とは、ビニル芳香族化合物が重合して生成する重合体中の当該ビニル芳香族化合物に由来する構成単位を指す。
本実施形態のブロック共重合体は、後述する条件(iii)から明らかであるように、ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)を有するブロック共重合体の水添物である。なお、本明細書中、水素添加、水添、及び水素化は同義であり、それぞれの用語は、ブロック共重合体において、水添前に有していたエチレン性二重結合の少なくとも一部が水素化されていることを意味する。
本明細書における「重合体ブロック(A)がビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする」などとの記載について、「主体とする」とは、ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、重合体ブロック(A)の総量に対して、70質量%以上であることを意味する。
重合体ブロック(A)におけるビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量は、重合体ブロック(A)の総量に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%(他のモノマーは、意図的に添加されていない)である。
重合体ブロック(A)におけるビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量は、重合体ブロック(A)の総量に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%(他のモノマーは、意図的に添加されていない)である。
本明細書における「重合体ブロック(B)が共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする」などとの記載について、「主体とする」とは、共役ジエン化合物に由来する単位の含有量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、70質量%以上であることを意味する。
重合体ブロック(B)における共役ジエン化合物に由来する単位の含有量は、重合体ブロック(B)の総量に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%(他のモノマーは、意図的に添加されていない)である。
重合体ブロック(B)における共役ジエン化合物に由来する単位の含有量は、重合体ブロック(B)の総量に対して、好ましくは80質量%以上であり、より好ましくは90質量%以上であり、さらに好ましくは100質量%(他のモノマーは、意図的に添加されていない)である。
ブロック共重合体中の重合体ブロック(A)の含有量は、例えば、四酸化オスミウムを触媒として水素添加前の共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により得たビニル芳香族炭化水素のブロック成分の質量(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求めることができる。
重合体ブロック(A)の含有量(質量%)=(水素添加前のブロック共重合体中のビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とするブロックの質量/水素添加前のブロック共重合体の質量)×100
重合体ブロック(A)の含有量(質量%)=(水素添加前のブロック共重合体中のビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とするブロックの質量/水素添加前のブロック共重合体の質量)×100
ブロック共重合体中の重合体ブロック(B)の含有量は、ブロック共重合体が重合体ブロック(A)及び(B)からのみなる場合には、ブロック共重合体の総量から重合体ブロック(A)の含有量を減ずればよく、上述した重合体(A)の含有量を求める方法に準じる公知の方法で求めてもよい。
ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)を基本骨格とし、これら基本骨格が繰り返し構造を有するブロック共重合体であってもよい。
ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)からなるものであってもよいし、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)の他に、ビニル芳香族化合物に由来する単位と共役ジエン化合物に由来する単位とを含むランダム共重合体ブロックを含むものであってもよい。本実施形態の好ましい一態様において、ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)からなるものである。
以下、上記条件(i)~(iv)について詳述する。
ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)からなるものであってもよいし、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)の他に、ビニル芳香族化合物に由来する単位と共役ジエン化合物に由来する単位とを含むランダム共重合体ブロックを含むものであってもよい。本実施形態の好ましい一態様において、ブロック共重合体は、重合体ブロック(A)及び重合体ブロック(B)からなるものである。
以下、上記条件(i)~(iv)について詳述する。
<条件(i)>:
ブロック共重合体に対する条件(i)は、ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、1.0~30質量%であることである。
ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が30質量%以下であることにより、ブロック共重合体及びこれを含むエラストマー組成物が超低温条件下でゴム状態かつ低剛性なものとなり、耐衝撃性に優れたものとなる。より低温における剛性及び耐衝撃性を改善する観点で、上記含有量は、28質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましく、23質量%以下、又は20質量%以下であることが特に好ましく、とりわけ好ましくは15質量%以下である。
ブロック共重合体に対する条件(i)は、ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、1.0~30質量%であることである。
ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が30質量%以下であることにより、ブロック共重合体及びこれを含むエラストマー組成物が超低温条件下でゴム状態かつ低剛性なものとなり、耐衝撃性に優れたものとなる。より低温における剛性及び耐衝撃性を改善する観点で、上記含有量は、28質量%以下であることが好ましく、27質量%以下であることがより好ましく、25質量%以下であることがさらに好ましく、23質量%以下、又は20質量%以下であることが特に好ましく、とりわけ好ましくは15質量%以下である。
ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量は、より小さい方が超低温下での耐衝撃性の観点から好ましいものの、ブロック共重合体の保管及び/又は輸送中のべたつきを低減する観点から、5.0質量%以上であることが好ましく、7.0質量%以上であることがより好ましい。
ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量は、3.0~28質量%(特に言及される場合を除き両端値を含む。本明細書中、「~」で表される数値範囲について同様である。)であることが好ましく、5.0~27質量%であることがより好ましく、7.0~25質量%であることがさらに好ましく、10~23質量%であることが特に好ましい。
ブロック共重合体中のビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量は、単量体の添加量、添加のタイミング、重合温度等の重合条件を調整することにより、上記数値範囲に制御することができ、実施例記載の方法で算出できる。
<条件(ii)>
ブロック共重合体に対する条件(ii)は、重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)、並びに共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)を含み、かつ、当該単位(a)の含有量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~55%であることである。単位(a)の含有量が55%以下であることにより、ブロック共重合体のtanδ曲線の主分散ピーク温度を-55℃以下とすることができる傾向にあり、すなわち超低温条件下での優れた耐衝撃性を向上させることができる。また、加工性の観点から、単位(a)の含有量は1.0%以上である。なお、上記単位(a)の含有量は数量比(重合体ブロック(B)に含まれる単量体単位の総数量に対する比)であり、すなわち、mol%を意味する。本明細書において同様である。
単位(a)の含有量は、好ましくは5.0~50%であり、より好ましくは10~45%であり、さらに好ましくは15~40%、特に好ましくは15~30%である。
ブロック共重合体に対する条件(ii)は、重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)、並びに共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)を含み、かつ、当該単位(a)の含有量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~55%であることである。単位(a)の含有量が55%以下であることにより、ブロック共重合体のtanδ曲線の主分散ピーク温度を-55℃以下とすることができる傾向にあり、すなわち超低温条件下での優れた耐衝撃性を向上させることができる。また、加工性の観点から、単位(a)の含有量は1.0%以上である。なお、上記単位(a)の含有量は数量比(重合体ブロック(B)に含まれる単量体単位の総数量に対する比)であり、すなわち、mol%を意味する。本明細書において同様である。
単位(a)の含有量は、好ましくは5.0~50%であり、より好ましくは10~45%であり、さらに好ましくは15~40%、特に好ましくは15~30%である。
単位(a)の含有量は、重合時に極性化合物等の調整剤を添加することにより制御でき、実施例に記載の方法で算出できる。このような調整剤としては、例えば、第3級アミン化合物又はエーテル化合物を添加することができ、第3級アミン化合物を用いることが好ましい。
第3級アミン化合物は、一般式R1R2R3N(ただしR1、R2、R3は炭素数1から20の炭化水素基又は第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物である。
第3級アミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジン、N-メチルピロリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’-ジオクチル-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。
第3級アミン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジン、N-メチルピロリジン、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラエチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”-ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’-ジオクチル-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。
上述の調整剤の使用量は、後述する重合開始剤1molに対して2mol以下であることが好ましく、より好ましくは1.5mol以下であり、さらに好ましくは1.0mol以下である。
なお、単位(a)の含有量は、ブロック共重合体中における、1,2結合により取り込まれた共役ジエン化合物に由来する単位及び3,4結合により取り込まれた共役ジエン化合物に由来する単位の含有量の合計を意味するが、ブロック共重合体が1,2結合により取り込まれた共役ジエン化合物に由来する単位及び3,4結合により取り込まれた共役ジエン化合物に由来する単位のいずれかのみしか有しない場合は、その単位の含有量を意味する。また、上述及び後述のように、本実施形態のブロック共重合体は水素添加されたものであるため、共役ジエン化合物に由来する単位の少なくとも一部は水素化されている。単位(a)は、水素化されていない共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位のみならず、水素化された共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位も含むものとする。
<条件(iii)>
ブロック共重合体に対する条件(iii)は、重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(a1)、及び共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(b1)を含み、アルケニル単量体単位(a1)の含有量及びアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、5.0~55%であることである。
アルケニル単量体単位(a1)の含有量及びアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量とは、重合体ブロック(B)の総量のうち、単位(a)及び(b)がそれぞれ水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(a1)及びアルケニル単量体単位(b1)が、どの程度の割合を占めるかを意味する値である。当該含有量の合計量は、本明細書中において「水素添加率(%)」とも表す。なお、上記水素添加率は数量比(重合体ブロック(B)に含まれる単量体単位の総数量に対する比)であり、すなわち、mol%を意味する。本明細書において同様である。
ブロック共重合体に対する条件(iii)は、重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(a1)、及び共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(b1)を含み、アルケニル単量体単位(a1)の含有量及びアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量が、重合体ブロック(B)の総量に対して、5.0~55%であることである。
アルケニル単量体単位(a1)の含有量及びアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量とは、重合体ブロック(B)の総量のうち、単位(a)及び(b)がそれぞれ水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(a1)及びアルケニル単量体単位(b1)が、どの程度の割合を占めるかを意味する値である。当該含有量の合計量は、本明細書中において「水素添加率(%)」とも表す。なお、上記水素添加率は数量比(重合体ブロック(B)に含まれる単量体単位の総数量に対する比)であり、すなわち、mol%を意味する。本明細書において同様である。
上記合計量が55%以下であることにより、ブロック共重合体のtanδ曲線の主分散ピーク温度を-55℃以下とすることができる傾向にあり、すなわち超低温条件下での優れた耐衝撃性を向上させることができる。一般に、単位(a)の含有量や上記合計量が多いとき、tanδピーク温度は高くなり、超低温下での耐衝撃性が低下する傾向にあるため、条件(ii)における単位(a)の含有量が55%であり、上記合計量が55%以下であることによって、tanδピークを後述の好ましい範囲に制御できる傾向にある。
また、上記合計量が5.0%以上であることにより、優れた熱安定性により、優れた耐熱老化性が得られる。
また、上記合計量が5.0%以上であることにより、優れた熱安定性により、優れた耐熱老化性が得られる。
上記合計量は、好ましくは5.0~50%であり、より好ましくは10~45%であり、さらに好ましくは15~40%である。
後述の水素添加方法における、反応温度、反応時間、水素供給量、触媒量等を適時調整することにより、上記合計量を上記数値範囲に制御することができ、実施例記載の方法で算出できる。
<条件(iv)>
ブロック共重合体に対する条件(iv)は、ブロック共重合体中のTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、該金属原子換算で90ppm以下であることである。当該含有量は質量比であり、すなわち質量ppmを意味する。本明細書において同様である。
後述するようなブロック共重合体の製造方法では、ブロック共重合体をアニオンリビング重合で製造する際の重合開始剤、後述の水素添加反応における水添触媒に含まれる金属原子を含む化合物、及び/又は重合の脱溶剤工程等で空気中の水分等と金属原子とが反応すること等により生成する化合物等が、ブロック共重合体中に残存する場合がある。上記条件(iv)はそのような化合物、特にTi、Ni、Li、及び/又はCoを含む化合物の含有量の上限値を定めるものである。
ブロック共重合体に対する条件(iv)は、ブロック共重合体中のTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、該金属原子換算で90ppm以下であることである。当該含有量は質量比であり、すなわち質量ppmを意味する。本明細書において同様である。
後述するようなブロック共重合体の製造方法では、ブロック共重合体をアニオンリビング重合で製造する際の重合開始剤、後述の水素添加反応における水添触媒に含まれる金属原子を含む化合物、及び/又は重合の脱溶剤工程等で空気中の水分等と金属原子とが反応すること等により生成する化合物等が、ブロック共重合体中に残存する場合がある。上記条件(iv)はそのような化合物、特にTi、Ni、Li、及び/又はCoを含む化合物の含有量の上限値を定めるものである。
そのようなTi、Ni、Li、Coを含む化合物としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、非晶性酸化チタン、オルトチタン酸やメタチタン酸、水酸化チタン、水酸化ニッケル、一酸化ニッケル、酸化リチウム、水酸化リチウム、酸化コバルト、水酸化コバルト等の各原子の酸化物、チタン酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸ニッケル、ニッケル・鉄酸化物等の各原子と異種金属との複合酸化物等が挙げられる。
ここで、金属原子換算とは、一般に、上述の金属原子を含む化合物のブロック共重合体中の残存重量を、当該化合物の分子量を用いて金属原子当りの質量に換算した値である。なお、上記の金属原子を含む化合物が特定できる場合であれば上記の方法で算出してもよいが、多くの場合にはそのような特定は困難である。そのような場合は、ブロック共重合体の総量に対するTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量の金属原子換算値は、実施例記載の方法で測定すればよい。すなわち、条件(iv)において、Ti、Ni、Li、及びCoの合計含有量の金属原子換算値は、ブロック共重合体をICP元素分析したときの当該金属原子の測定値の合計であってよい。
ここで、金属原子換算とは、一般に、上述の金属原子を含む化合物のブロック共重合体中の残存重量を、当該化合物の分子量を用いて金属原子当りの質量に換算した値である。なお、上記の金属原子を含む化合物が特定できる場合であれば上記の方法で算出してもよいが、多くの場合にはそのような特定は困難である。そのような場合は、ブロック共重合体の総量に対するTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量の金属原子換算値は、実施例記載の方法で測定すればよい。すなわち、条件(iv)において、Ti、Ni、Li、及びCoの合計含有量の金属原子換算値は、ブロック共重合体をICP元素分析したときの当該金属原子の測定値の合計であってよい。
Ti、Ni、Li、Coのブロック共重合体に残存する量を金属原子換算で90ppm以下にすることで、ブロック共重合体の熱安定性を維持し、ブロック共重合体を含むエラストマー組成物の耐熱老化性の低下を抑制することができる。該現象の詳細なメカニズムは不明であり、以下に限定されるものではないが、例えば以下のことが推察される。一般的にポリマーが高温下にさらされると炭素ラジカルが生成し、空気中の酸素とそれが反応することでヒドロペルオキシドが生成することが知られている。上述の金属化合物の存在下では、上記の状況において、レドックス反応によるフリーラジカルへの分解が促進され、及び/又は、水添ブロック共重合体自体と上述の金属化合物が反応し、フリーラジカルが生成する。また、上述の金属化合物由来の金属イオンと空気中の酸素間で電荷移動錯体及び/又は活性酸素を生成し、該活性種が水添ブロック共重合体と反応することで、炭素ラジカルが生成する。上述の金属量が多い場合、上述の反応機構に限定されるものではないが、上述の反応機構等により、水添ブロック共重合体中に炭素ラジカル及び/又はヒドロペルオキシド等の活性種が生成しやすくなる。そのような活性種が多く発生すると、水添ブロック共重合体同士の結合が生じやすくなると考えられ、ブロック共重合体の超低温下での剛性が大きくなり、超低温下での耐衝撃性が低下する傾向にあると考えられる。さらに、水添ブロック共重合体が分解すること、及び/又はブロック共重合体が後述の成分(II)、成分(III)や成分(IV)と結合することで、ブロック共重合体を含むエラストマー組成物中において、水添ブロック共重合体の分散性が変化し、及び/又はブロック共重合体のtanδピーク温度が高温化すると考えられる。以上のようにして、上述の金属量が多い場合、超低温下での耐衝撃性及び/又は強度が低下すると推察される。
上記合計含有量は、好ましくは85ppm以下であり、より好ましくは80ppm以下であり、さらに好ましくは70ppm以下であり、特に好ましくは60ppm以下である。
上記合計含有量を90ppm以下とする方法としては、従来公知のものを適用でき、特に限定されるものではないが、ブロック共重合体の水素添加反応後に水と炭酸ガスを添加し、水素添加触媒残渣を中和する方法、及び水、炭酸ガスに加えて酸を添加し、水素添加触媒残渣を中和する方法が用いられるが、より具体的には国際公開第2014/112411号(特願2014-557427号)に記載の方法が挙げられる。これら除去方法を使用しても、該金属化合物の水酸化物を含んだ水が水添ブロック共重合体の脱溶剤工程に混入し、金属が1~15ppm程度含まれることが一般的である。したがって、本実施形態のブロック共重合体は、製造時において、添加金属量を、好ましくは20%除去し、より好ましくは30%除去し、さらに好ましくは40%除去し、特に好ましくは50%除去し、より特に好ましくは60%除去する。また、添加する重合開始剤及び水素添加触媒量を低減することでも可能であるが、重合開始剤量の低減を行うとブロック共重合体の分子量が高くなり、後述する好ましい分子量範囲外となることで、加工性が低下する傾向にある。また、水素添加反応における触媒量を低減すると、前述の好ましい水素添加率の範囲内とするために必要な水素添加反応時間が長時間化し、及び/又は水素添加反応温度の高温化が生じるため、生産性が著しく低下する傾向にある。
<条件(v)>
本実施形態のブロック共重合体は、下記条件(v)をさらに満たしてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(v)は、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)の含有量(以下、「ビニル水素添加率」ともいう。)が、単位(a)の総量に対して、80%以上であることである。ビニル水素添加率は、単位(a)(すなわち、1,2結合により取り込まれた共役ジエン化合物に由来する単位及び/又は3,4結合により取り込まれた共役ジエン化合物に由来する単位)のうち、水素添加されている形態である単位(a1)の割合を示す値である。ビニル水素添加率は、数量比、すなわちmol%で表される値である。
本実施形態のブロック共重合体は、下記条件(v)をさらに満たしてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(v)は、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)の含有量(以下、「ビニル水素添加率」ともいう。)が、単位(a)の総量に対して、80%以上であることである。ビニル水素添加率は、単位(a)(すなわち、1,2結合により取り込まれた共役ジエン化合物に由来する単位及び/又は3,4結合により取り込まれた共役ジエン化合物に由来する単位)のうち、水素添加されている形態である単位(a1)の割合を示す値である。ビニル水素添加率は、数量比、すなわちmol%で表される値である。
ブロック共重合体は、重合後、脱溶剤する過程において、及び後述する本実施形態のエラストマー組成物に含まれるポリオレフィン樹脂(II)と溶融下で混錬する場合には当該工程において、高温下で溶融され、せん断を受ける。ブロック共重合体においてビニル水素添加率を高くする場合、高温下での架橋のような副反応が発生することを抑制することができる傾向にある。すなわち、ビニル水素添加率が上記の範囲内にある場合、高温下にさらされた際の架橋等の副反応による高剛性化や後述するtanδピーク温度の高温化が一層生じにくい傾向にある。特に、ブロック共重合体の単位(a)は、側鎖に二重結合を持つため、単位(b)に比べて上記の副反応を起こしやすいと考えられ、ビニル水素添加率を制御することで、本実施形態のブロック共重合体及びこれを含むエラストマー組成物の耐熱老化性を一層向上させることができる傾向にある。また、ビニル水素添加率が高いとtanδピーク温度が低温化する傾向にあるため、ビニル水素添加率を制御することで、tanδピーク温度の高温化の抑制を図ることができる傾向にある。
したがって、後述の成分(V)としてフィラー等が高配合量添加されている場合や成形体が大きい場合等、あるいは従来のエラストマー組成物よりも高温での溶融混練及び/若しくは成形が必要となる場合には、ビニル水素添加率を好ましくは83%以上、より好ましくは85%以上とするのがよい。この態様によれば、上記副反応による高剛性化や、tanδピーク温度の高温化を抑制し、本実施形態のブロック共重合体及びこれを含むエラストマー組成物の耐熱老化性を向上できる傾向にある。
なお、アルケニル単位(a1)の含有量及びアルケニル単位(b1)の含有量の合計量が、1,4-結合に由来する単位(b)の含有量以下である場合、上記合計量に対して、アルケニル単位(b1)の含有量が、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。この態様によれば、上記副反応による高剛性化や、tanδピーク温度の高温化が一層抑制され、十分に超低温条件下での耐衝撃性を発現する傾向にあり、本実施形態のブロック共重合体及びこれを含むエラストマー組成物の耐熱老化性が向上する傾向にある。
なお、アルケニル単位(a1)の含有量及びアルケニル単位(b1)の含有量の合計量が、1,4-結合に由来する単位(b)の含有量以下である場合、上記合計量に対して、アルケニル単位(b1)の含有量が、好ましくは80%以上であり、より好ましくは85%以上であり、さらに好ましくは90%以上である。この態様によれば、上記副反応による高剛性化や、tanδピーク温度の高温化が一層抑制され、十分に超低温条件下での耐衝撃性を発現する傾向にあり、本実施形態のブロック共重合体及びこれを含むエラストマー組成物の耐熱老化性が向上する傾向にある。
ブロック共重合体のビニル水素添加率を80%以上とするためには、後述の水添触媒を使用することが好ましい。また、ビニル水素添加率を80%以上とする観点において、水素添加反応時の温度は、好ましくは55~200℃であり、より好ましくは60~170℃であり、さらに好ましくは65℃~160℃であり、特に好ましくは70℃~150℃である。水素添加温度が55℃以上であることで、ビニル水素添加率が80%以上になる傾向にあり、水素添加温度が200℃以下であることにより、上述の副反応が抑制され、tanδピークが低温となる傾向にある。
また、水添反応に使用される水素の圧力は、通常0.1~15MPaであり、好ましくは0.2~10MPa、より好ましくは0.3~5MPaである。水素の圧力は、0.5~2MPaの範囲としてもよい。
また、水添反応時間は通常3分~10時間であり、好ましくは10分~5時間である。
水添反応としては、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいずれも用いることができる。
また、水添反応に使用される水素の圧力は、通常0.1~15MPaであり、好ましくは0.2~10MPa、より好ましくは0.3~5MPaである。水素の圧力は、0.5~2MPaの範囲としてもよい。
また、水添反応時間は通常3分~10時間であり、好ましくは10分~5時間である。
水添反応としては、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいずれも用いることができる。
<条件(vi)>
本実施形態のブロック共重合体は、条件(vi)をさらに満たしていてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(vi)は、幅10mm、長さ40mm、厚み2mmの短冊状試験片状に成形されたブロック共重合体について、ひずみ0.5%、周波数1Hzでの粘弾性測定を行った時に得られるtanδピーク温度が-55℃以下であり、-60℃での貯蔵弾性率が1.5×108Pa以下であることである。
本実施形態のブロック共重合体は、条件(vi)をさらに満たしていてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(vi)は、幅10mm、長さ40mm、厚み2mmの短冊状試験片状に成形されたブロック共重合体について、ひずみ0.5%、周波数1Hzでの粘弾性測定を行った時に得られるtanδピーク温度が-55℃以下であり、-60℃での貯蔵弾性率が1.5×108Pa以下であることである。
一般に、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂に対して、所定のエラストマーを分散させることによる耐衝撃性の付与は、以下の機構によると考えられている。すなわち、所定のエラストマーを含む樹脂組成物に対して衝撃や延伸を加えると、樹脂と分散したエラストマー粒子成分の界面あるいはエラストマー粒子自体にボイドが生じ、エラストマー粒子を起点としてマトリックス樹脂がせん断降伏することにより、応力緩和が生じる。
この際、エラストマー粒子の剛性はマトリックス樹脂と比較して小さい方が界面に応力集中する。よって、超低温条件下でも高い改質効果を発現するブロック共重合体を得るためには、超低温条件下において低剛性化することが求められる。すなわち、超低温条件下で高い耐衝撃性を発現させるには、ブロック共重合体(エラストマー)がその温度で低剛性なゴム状態であることが重要である。
この際、エラストマー粒子の剛性はマトリックス樹脂と比較して小さい方が界面に応力集中する。よって、超低温条件下でも高い改質効果を発現するブロック共重合体を得るためには、超低温条件下において低剛性化することが求められる。すなわち、超低温条件下で高い耐衝撃性を発現させるには、ブロック共重合体(エラストマー)がその温度で低剛性なゴム状態であることが重要である。
ある温度条件下でエラストマーがゴム状態であるかどうかは、その主鎖のミクロブラウン運動(主分散)が生じる温度、すなわち粘弾性スペクトルにおけるtanδ曲線の主分散ピーク温度によって近似的に判別できる。具体的には、主分散ピーク温度より高い温度では、エラストマーがゴム状態を示すと判別することができる。エラストマーが共役ジエン系重合体である場合、そのビニル結合量及び/又は水添率がtanδに影響し、また低温での剛性はビニル芳香族量に依存する傾向にある。したがって、エラストマーの特性、特に超低温条件下における剛性を設計するに当たっては、必要な性能に応じてビニル結合量、水素添加率及びビニル芳香族量を設定すればよい。
本実施形態のブロック共重合体が上記条件(vi)を満たす場合、tanδピーク温度が-55℃以下であるため、例えば-50℃付近の超低温条件下においてもゴム状態を維持することができる傾向にある。これにより、本実施形態のブロック共重合体を含むエラストマー組成物は、超低温条件下において一層耐衝撃性が向上する傾向にある。
本明細書中、「tanδピーク温度」とは、粘弾性スペクトルにおけるtanδ曲線の主分散ピークが位置する温度を意味する。また、「tanδ曲線の主分散ピーク」とは、分子構造における主鎖の運動で、溶融前のtanδ曲線の最大値を指す。
本明細書中、「tanδピーク温度」とは、粘弾性スペクトルにおけるtanδ曲線の主分散ピークが位置する温度を意味する。また、「tanδ曲線の主分散ピーク」とは、分子構造における主鎖の運動で、溶融前のtanδ曲線の最大値を指す。
粘弾性スペクトルにおけるtanδ曲線は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。上記tanδピーク温度は、より好ましくは-60℃以下、さらに好ましくは-65℃以下、特に好ましくは-70℃以下に存在する。あるいは、本実施形態のブロック共重合体は、少なくとも1つのtanδピーク(特に重合体ブロック(B)に起因するtanδピーク)が-55℃以下に存在することが好ましい。より好ましくは-60℃以下、さらに好ましくは-65℃以下、特に好ましくは-70℃以下に、少なくとも1つのtanδピーク(特に重合体ブロック(B)に起因するtanδピーク)が存在する。また、上記tanδピーク温度の下限値は特に限定されず、より小さい値に存在することが好ましいが、通常-150℃以上、又は-100℃以上に存在するとしてもよい。
上記tanδピーク温度は、主に共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の結合状態及び水素添加量により定まる傾向にある。
上記tanδピーク温度は、主に共役ジエン化合物を主体とする重合体ブロック(B)の結合状態及び水素添加量により定まる傾向にある。
また、上述の通り、ブロック共重合体は、超低温条件下でゴム状態かつ低剛性であることが重要である。
本実施形態のブロック共重合体が上記条件(vi)を満たす場合、-60℃での貯蔵弾性率が1.5×108Pa以下であるため、例えば-50℃以下の超低温条件下における低剛性を確実に実現することができる傾向にある。-60℃での貯蔵弾性率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
本実施形態のブロック共重合体が上記条件(vi)を満たす場合、-60℃での貯蔵弾性率が1.5×108Pa以下であるため、例えば-50℃以下の超低温条件下における低剛性を確実に実現することができる傾向にある。-60℃での貯蔵弾性率は、後述する実施例に記載の方法によって測定することができる。
-60℃での貯蔵弾性率は、好ましくは1.5×108Pa以下、より好ましくは1.4×108Pa以下、さらに好ましくは1.3×108Pa以下、特に好ましくは1.0×108Pa以下である。-60℃での貯蔵弾性率の下限値は特に限定されない。例えば-60℃での貯蔵弾性率は、1.0×106Pa以上、5.0×106Pa以上、又は1.0×107Pa以上としてもよい。
-60℃での貯蔵弾性率は、例えばビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量を小さくすることで、低い値に制御することができる。
-60℃での貯蔵弾性率は、例えばビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量を小さくすることで、低い値に制御することができる。
<条件(vii)>
本実施形態のブロック共重合体は、条件(vii)をさらに満たしてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(vii)は、ブロック共重合体の分子量分布が1.40以下であることである。
ブロック共重合体の分子量分布が1.40以下であることにより、ポリオレフィン系樹脂に添加した際、組成物の剛性の低下を抑制できる傾向にある。超低温下で優れた耐衝撃性とポリオレフィン系樹脂の剛性を維持する観点から、ブロック共重合体の分子量分布は、好ましくは1.40以下、より好ましくは1.30以下、さらに好ましくは1.20以下である。
ブロック共重合体の分子量分布を1.40以下にする方法としては、ブロック共重合体の重合工程における失活量を低減する方法があり、そのために、重合温度を180℃以下にすることが好ましく、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。また、重合に使用する溶媒や、モノマーの精製及び重合容器内の酸素等の不活性物質の低減を図ってもよい。
ブロック共重合体の分子量分布の下限値は特に限定されない。分子量分布は、例えば1.00以上、又は1.05以上であってよい。
本実施形態のブロック共重合体は、条件(vii)をさらに満たしてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(vii)は、ブロック共重合体の分子量分布が1.40以下であることである。
ブロック共重合体の分子量分布が1.40以下であることにより、ポリオレフィン系樹脂に添加した際、組成物の剛性の低下を抑制できる傾向にある。超低温下で優れた耐衝撃性とポリオレフィン系樹脂の剛性を維持する観点から、ブロック共重合体の分子量分布は、好ましくは1.40以下、より好ましくは1.30以下、さらに好ましくは1.20以下である。
ブロック共重合体の分子量分布を1.40以下にする方法としては、ブロック共重合体の重合工程における失活量を低減する方法があり、そのために、重合温度を180℃以下にすることが好ましく、より好ましくは150℃以下、さらに好ましくは130℃以下である。また、重合に使用する溶媒や、モノマーの精製及び重合容器内の酸素等の不活性物質の低減を図ってもよい。
ブロック共重合体の分子量分布の下限値は特に限定されない。分子量分布は、例えば1.00以上、又は1.05以上であってよい。
ブロック共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5.0×103~1.0×106であり、より好ましくは1.0×104~5.0×105、さらに好ましくは3.0×104~3.0×105、特に好ましくは5.0×104~2.0×105である。
ブロック共重合体の重量平均分子量が5.0×103以上であると、水添ブロック共重合体のべたつきが低減されるため、生産する上での取り扱いが容易となる傾向にある。また、重量平均分子量が1.0×106以下であると、成形加工性に優れる傾向にある。
ブロック共重合体の重量平均分子量が5.0×103以上であると、水添ブロック共重合体のべたつきが低減されるため、生産する上での取り扱いが容易となる傾向にある。また、重量平均分子量が1.0×106以下であると、成形加工性に優れる傾向にある。
<条件(viii)>
本実施形態のブロック共重合体は、条件(viii)をさらに満たしてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(viii)は、ブロック共重合体の重合体ブロック(B)の総量に対して、単位(a)の含有量が1.0~30%以下であることである。
上記単位(a)の含有量を30%以下とすることで上述のtanδピーク温度が低温化する傾向にあり、かつ-60℃での貯蔵弾性率を低下できる傾向にある。これにより、超低温下での耐衝撃性及び靭性を一層向上できる傾向にある。
単位(a)の定義、測定方法、制御方法等は、上述のとおりである。
本実施形態のブロック共重合体は、条件(viii)をさらに満たしてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(viii)は、ブロック共重合体の重合体ブロック(B)の総量に対して、単位(a)の含有量が1.0~30%以下であることである。
上記単位(a)の含有量を30%以下とすることで上述のtanδピーク温度が低温化する傾向にあり、かつ-60℃での貯蔵弾性率を低下できる傾向にある。これにより、超低温下での耐衝撃性及び靭性を一層向上できる傾向にある。
単位(a)の定義、測定方法、制御方法等は、上述のとおりである。
<条件(ix)>
本実施形態のブロック共重合体は、条件(ix)をさらに満たしてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(ix)は、ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、1.0~15質量%以下であることである。
ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量を15質量%以下とすることで-60℃での貯蔵弾性率を低下できる傾向にある。これにより超低温下での耐衝撃性及び靭性を一層向上できる傾向にある。
上記含有量の測定方法、制御方法等は、上述のとおりである。
本実施形態のブロック共重合体は、条件(ix)をさらに満たしてもよい。
ブロック共重合体に対する条件(ix)は、ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、ブロック共重合体の総量に対して、1.0~15質量%以下であることである。
ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量を15質量%以下とすることで-60℃での貯蔵弾性率を低下できる傾向にある。これにより超低温下での耐衝撃性及び靭性を一層向上できる傾向にある。
上記含有量の測定方法、制御方法等は、上述のとおりである。
[2]ブロック共重合体の製造方法
本実施形態のブロック共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
本実施形態のブロック共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。
炭化水素溶媒としては、例えば、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素等が挙げられる。
重合開始剤としては、一般的に共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等の有機アルカリ金属化合物が挙げられる。アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、炭素数1~20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物が挙げられ、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。
有機アルカリ金属化合物としては、具体的には、n-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec-ブチルリチウムの反応生成物、ジビニルベンゼンとsec-ブチルリチウムと少量の1,3-ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。さらに、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1-(t-ブトキシ)プロピルリチウム、及びその溶解性改善のために1~数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物;英国特許2,241,239号明細書に開示されている1-(t-ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム;米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウム及びヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
重合開始剤として有機アルカリ金属化合物を用いて、ビニル芳香族化合物及び共役ジエン重合体を重合する方法としては、従来公知の方法を適用できる。
有機アルカリ金属化合物としては、例えば、炭素数1~20の脂肪族及び芳香族炭化水素リチウム化合物が挙げられ、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。
有機アルカリ金属化合物としては、具体的には、n-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec-ブチルリチウムの反応生成物、ジビニルベンゼンとsec-ブチルリチウムと少量の1,3-ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。さらに、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1-(t-ブトキシ)プロピルリチウム、及びその溶解性改善のために1~数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物;英国特許2,241,239号明細書に開示されている1-(t-ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム;米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウム及びヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
重合開始剤として有機アルカリ金属化合物を用いて、ビニル芳香族化合物及び共役ジエン重合体を重合する方法としては、従来公知の方法を適用できる。
重合の方法としては、例えば、バッチ重合、連続重合、あるいはこれらの組み合わせのいずれを用いてもよい。特に、耐熱性に優れた共重合体を得るためにはバッチ重合が好適である。重合温度は、0℃~180℃が好ましく、30℃~150℃がより好ましい。あるいは上述した範囲内であってもよい。重合時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、好ましくは0.1~10時間である。あるいは上述した範囲内であってもよい。
また、重合系の雰囲気としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気が好ましい。重合圧力は、上記温度範囲においてモノマー及び溶媒を液相に維持することができる圧力範囲に設定すればよく、特に限定されるものではない。水素の圧力は、上述した範囲内としてもよい。さらに、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意する必要がある。
また、重合系の雰囲気としては、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気が好ましい。重合圧力は、上記温度範囲においてモノマー及び溶媒を液相に維持することができる圧力範囲に設定すればよく、特に限定されるものではない。水素の圧力は、上述した範囲内としてもよい。さらに、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば、水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意する必要がある。
また、上記重合工程の終了時に、上述の条件(vii)を満たす範囲で2官能以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行ってもよいが、カップリング率は、例えば60%以下、好ましくは55%以下、より好ましくは40%以下、さらに好ましくは30%以下、さらにより好ましくは20%以下である。なお、カップリング剤を用いないことが特に好ましい。
2官能カップリング剤としては、従来公知のものを適用でき、特に限定されるものではない。
2官能カップリング剤としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリクロロエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
また、3官能以上の多官能カップリング剤としては、従来公知のものを適用でき、特に限定されるものではない。3官能以上の多官能カップリング剤としては、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA、1,3-ビス(N-N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の多価エポキシ化合物、一般式R4-nSiXn(ここで、Rは炭素数1~20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3~4の整数を示す)で表されるハロゲン化珪素化合物、例えば、メチルシリルトリクロリド、t-ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素及びこれらの臭素化物等、一般式R4-nSnXn(ここで、Rは炭素数1~20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3~4の整数を示す)で表されるハロゲン化錫化合物、例えば、メチル錫トリクロリド、t-ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等を使用してもよい。
2官能カップリング剤としては、例えば、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジクロロジメトキシシラン、ジクロロジエトキシシラン、トリクロロメトキシシラン、トリクロロエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、ジクロロエタン、ジブロモエタン、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
また、3官能以上の多官能カップリング剤としては、従来公知のものを適用でき、特に限定されるものではない。3官能以上の多官能カップリング剤としては、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA、1,3-ビス(N-N’-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の多価エポキシ化合物、一般式R4-nSiXn(ここで、Rは炭素数1~20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3~4の整数を示す)で表されるハロゲン化珪素化合物、例えば、メチルシリルトリクロリド、t-ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素及びこれらの臭素化物等、一般式R4-nSnXn(ここで、Rは炭素数1~20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3~4の整数を示す)で表されるハロゲン化錫化合物、例えば、メチル錫トリクロリド、t-ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等を使用してもよい。
上記のようにして得られたブロック共重合体の溶液から必要に応じて触媒残査を除去した後、当該溶液からブロック共重合体を分離することができる。溶媒の分離の方法としては、例えば水添後の反応液にアセトン又はアルコール等のブロック共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、又は直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。なお、水添後のブロック共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加してもよい。
本実施形態におけるブロック共重合体は、超低温下での耐衝撃性を損なわない範囲で極性基を有していてもよい。「極性基」は、以下に限定されるものではないが、例えば、水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、ボロン酸基、ホウ素含有基、ボロン酸塩基、アルコキシスズ基、及びフェニルスズ基等からなる群より選ばれる官能基を少なくとも1種含有する原子団が挙げられる。
上記「極性基」は、変性剤を用いて形成できる。
変性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、4-メトキシベンゾフェノン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、N-メチルピロリドン、マレイン酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリル酸エステル、クロトン酸等が挙げられる。
変性剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、4-メトキシベンゾフェノン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、N,N’-ジメチルプロピレンウレア、N-メチルピロリドン、マレイン酸、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、フマル酸、イタコン酸、アクリル酸、メタクリル酸、グリシジルメタクリル酸エステル、クロトン酸等が挙げられる。
「極性基」を形成する方法としては、公知の方法が適用でき、特に限定されるものではない。例えば、溶融混練方法や、各成分を溶媒等に溶解又は分散混合して反応させる方法等が挙げられる。また、アニオンリビング重合により、官能基を有する重合開始剤や官能基を有する不飽和単量体を用いて重合する方法、リビング末端に官能基を形成若しくは含有する変性剤を付加反応させたりすることによって変性を行う方法、ブロック共重合体に有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、有機アルカリ金属が付加したブロック共重合体に官能基を有する変性剤を付加反応させる方法も挙げられる。
ブロック共重合体を水素添加する方法としては、特に制限されず、従来から公知の方法を適用できるが、例えば水添触媒を用いた方法が挙げられる。
水添触媒としては、例えば、以下のいずれか又は組み合わせ:(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒、が用いられる。
水添触媒としては、具体的には、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報等に記載された水添触媒を使用することができる。
水添触媒としては、例えば、以下のいずれか又は組み合わせ:(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒、が用いられる。
水添触媒としては、具体的には、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報等に記載された水添触媒を使用することができる。
好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8-109219号公報に記載された化合物が使用できる。チタノセン化合物としては、例えば、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格、又はフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物が挙げられる。チタノセン化合物は、上記の骨格を1種単独又は2種組み合わせて含んでいてもよい。好ましいチタノセン化合物としてはビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリドが挙げられる。
還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、及び有機亜鉛化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
チタノセン化合物としては、特開平8-109219号公報に記載された化合物が使用できる。チタノセン化合物としては、例えば、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格、又はフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物が挙げられる。チタノセン化合物は、上記の骨格を1種単独又は2種組み合わせて含んでいてもよい。好ましいチタノセン化合物としてはビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリドが挙げられる。
還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、及び有機亜鉛化合物等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上述のとおり、本実施形態のブロック共重合体を製造する方法は、上記各工程により得たブロック共重合体からTi、Ni、Li、及びCoを取り除く工程を含んでいることが好ましい。そのような工程は、脱灰操作、脱灰工程等と呼ばれ、詳細は上述及び実施例に記載のとおりである。
[3]エラストマー組成物
本実施形態のエラストマー組成物は、上述の本実施形態のブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(I)」又は「成分(I)」ともいう。)と、成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂(以下、「ポリオレフィン系樹脂(II)」又は「成分(II)」ともいう。)とを含む。
また、成分(I)と成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))は、1/99~70/30である。
本実施形態のエラストマー組成物は、上述の本実施形態のブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(I)」又は「成分(I)」ともいう。)と、成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂(以下、「ポリオレフィン系樹脂(II)」又は「成分(II)」ともいう。)とを含む。
また、成分(I)と成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))は、1/99~70/30である。
(1)成分(I):ブロック共重合体(I)
ブロック共重合体(I)は、上述した本実施形態のブロック共重合体である。本実施形態のエラストマー組成物は、上述した本実施形態のブロック共重合体の態様のうち、好ましい態様等のみならず、いずれの態様を含んでいてよい。エラストマー組成物は、1種又は2種以上の本実施形態のブロック共重合体を含んでいてよい。
ブロック共重合体(I)は、上述した本実施形態のブロック共重合体である。本実施形態のエラストマー組成物は、上述した本実施形態のブロック共重合体の態様のうち、好ましい態様等のみならず、いずれの態様を含んでいてよい。エラストマー組成物は、1種又は2種以上の本実施形態のブロック共重合体を含んでいてよい。
(2)成分(II):ポリオレフィン系樹脂(II)
本実施形態のエラストマー組成物は、成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂(II)を含む。ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が挙げられる。ポリエチレン樹脂としては低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体等が挙げられる。エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体の場合、共重合体中のα-オレフィンとしてはプロピレン、ブテン-1、イソブテン、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1等が挙げられる。
本実施形態のエラストマー組成物は、成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂(II)を含む。ポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂が挙げられる。ポリエチレン樹脂としては低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体等が挙げられる。エチレンと炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体の場合、共重合体中のα-オレフィンとしてはプロピレン、ブテン-1、イソブテン、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1等が挙げられる。
ポリプロピレン樹脂としては、プロピレン単独重合体及びプロピレンと炭素数2~8のα-オレフィンとの共重合体が挙げられる(以下、「プロピレン系樹脂」ともいう。)。プロピレンと炭素数2~8のα-オレフィンとの共重合体の場合、共重合体中のα-オレフィンとしてはエチレン、ブテン-1、イソブテン、ペンテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1等があげられる。
これらのプロピレン系樹脂は、従来公知の方法で合成することができ、プロピレン系樹脂としては、例えばチーグラー・ナッタ型触媒を用いて合成されるプロピレン単独重合体、及びランダムあるいはブロックのプロピレンとα-オレフィンとの共重合体が挙げられる。α-オレフィンの割合は、成分(II)の総量に対して、30質量%以下であり、好ましくは35質量%以下である。
耐熱性(耐熱老化性)及び成形性に優れるエラストマー組成物を得るためには、ポリオレフィン系樹脂(II)として、ポリプロピレン系樹脂を用いることが好ましい。
これらのポリオレフィン系樹脂のMFR(メルトフローレート)は、通常5.0~100g/10分、好ましくは10~60g/10分である。MFRが5.0g/10分以上であることにより、エラストマー組成物の溶融粘度の増加を抑制し、エラストマー組成物の成形加工性(流動性)が向上する傾向にある。また成形品の外観悪化(フローマークの発生)を抑制する傾向にある。また、MFRが100g/10分以下であることにより、エラストマー組成物の強度、耐熱性が一層向上する傾向にある。
これらのポリオレフィン系樹脂のMFR(メルトフローレート)は、通常5.0~100g/10分、好ましくは10~60g/10分である。MFRが5.0g/10分以上であることにより、エラストマー組成物の溶融粘度の増加を抑制し、エラストマー組成物の成形加工性(流動性)が向上する傾向にある。また成形品の外観悪化(フローマークの発生)を抑制する傾向にある。また、MFRが100g/10分以下であることにより、エラストマー組成物の強度、耐熱性が一層向上する傾向にある。
成分(II)は、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態のエラストマー組成物において、成分(I)と成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))は、1/99~70/30である。
上記質量比が上記数値範囲内にあることにより、高強度かつ超低温下での十分な耐衝撃性を発現するエラストマー組成物が得られる。
上記質量比の下限値(すなわち、成分(II)に対する成分(I)の比の下限値)は、好ましくは3/97、より好ましくは5/95、さらに好ましくは10/90である。上記質量比の上限値(すなわち、成分(II)に対する成分(I)の比の上限値)は、好ましくは70/30、より好ましくは65/35、さらに好ましくは60/40、特に好ましくは55/45である。
上記質量比が上記数値範囲内にあることにより、高強度かつ超低温下での十分な耐衝撃性を発現するエラストマー組成物が得られる。
上記質量比の下限値(すなわち、成分(II)に対する成分(I)の比の下限値)は、好ましくは3/97、より好ましくは5/95、さらに好ましくは10/90である。上記質量比の上限値(すなわち、成分(II)に対する成分(I)の比の上限値)は、好ましくは70/30、より好ましくは65/35、さらに好ましくは60/40、特に好ましくは55/45である。
(3)成分(III):オレフィン系エラストマー(III)
本実施形態のエラストマー組成物は、用途に応じて任意の硬さ及び/又は流動性を得るために、成分(I)及び成分(II)以外のオレフィン系エラストマー(以下、「オレフィン系エラストマー(III)」又は「成分(III)」ともいう。)をさらに含んでもよい。
本実施形態におけるオレフィン系エラストマーとは、例えば、上述の成分(II)に挙げられるエチレン及び/若しくはプロピレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であり、α-オレフィンの割合が成分(II)の好ましい割合以上のものである。具体的には、オレフィン系エラストマー(III)において、α-オレフィンの割合は成分(III)の総量に対して、30質量%以上であり、好ましくは30質量%超であり、さらに好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。α-オレフィンの割合が上記範囲内にあることでオレフィン系エラストマーが低剛性となり、上述の各成分間の界面に応力を集中させることができる傾向にある。これにより、超低温下での耐衝撃性及び靭性を一層向上できる傾向にある。
本実施形態のエラストマー組成物は、用途に応じて任意の硬さ及び/又は流動性を得るために、成分(I)及び成分(II)以外のオレフィン系エラストマー(以下、「オレフィン系エラストマー(III)」又は「成分(III)」ともいう。)をさらに含んでもよい。
本実施形態におけるオレフィン系エラストマーとは、例えば、上述の成分(II)に挙げられるエチレン及び/若しくはプロピレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であり、α-オレフィンの割合が成分(II)の好ましい割合以上のものである。具体的には、オレフィン系エラストマー(III)において、α-オレフィンの割合は成分(III)の総量に対して、30質量%以上であり、好ましくは30質量%超であり、さらに好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。α-オレフィンの割合が上記範囲内にあることでオレフィン系エラストマーが低剛性となり、上述の各成分間の界面に応力を集中させることができる傾向にある。これにより、超低温下での耐衝撃性及び靭性を一層向上できる傾向にある。
本実施形態のエラストマー組成物の一態様において、エラストマー組成物は、上記の成分(I)と、成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂であって、炭素数3~8のα-オレフィンの含有量が30質量%以下であるポリオレフィン系樹脂(II)と、成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂であって、炭素数3~8のα-オレフィンの含有量が30質量%超(好ましくは35質量%以上)であるオレフィン系エラストマー(III)と、を含み、成分(I)と成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))が1/99~70/30である。
エラストマー組成物は、1種又は2種以上の成分(III)を含んでいてよい。
エラストマー組成物は、1種又は2種以上の成分(III)を含んでいてよい。
(4)成分(IV)
本実施形態のエラストマー組成物は、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、さらに成分(IV)として、成分(I)以外の、ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(IV)」、又は「成分(IV)」ともいう。)をさらに含んでもよい。成分(IV)は、上述の条件(i)~(iv)のいずれか1つ以上を満たさないブロック共重合体である。
エラストマー組成物は、1種又は2種以上の成分(IV)を含んでいてよい。
本実施形態のエラストマー組成物は、本実施形態の効果を阻害しない範囲で、さらに成分(IV)として、成分(I)以外の、ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)と共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)とを有するブロック共重合体(以下、「ブロック共重合体(IV)」、又は「成分(IV)」ともいう。)をさらに含んでもよい。成分(IV)は、上述の条件(i)~(iv)のいずれか1つ以上を満たさないブロック共重合体である。
エラストマー組成物は、1種又は2種以上の成分(IV)を含んでいてよい。
(5)成分(V)
本実施形態のエラストマー組成物は、さらに成分(V)として、フィラー、難燃剤、又はその他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
成分(V)は、エラストマー組成物の配合に一般的に用いられる物であれば特に限定されるものではない。
本実施形態のエラストマー組成物は、さらに成分(V)として、フィラー、難燃剤、又はその他の添加剤をさらに含んでいてもよい。
成分(V)は、エラストマー組成物の配合に一般的に用いられる物であれば特に限定されるものではない。
フィラーとしては、以下に限定されるものではないが、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、グラファイト、酸化チタン、チタン酸カリウムウイスカー、炭素繊維、アルミナ、カオリンクレー、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、石英、マイカ、タルク、クレー、ジルコニア、チタン酸カリウム、アルミナ、金属粒子等の無機充填剤;木製チップ、木製パウダー、パルプ、セルロースナノファイバー等の有機フィラーを挙げることができる。
フィラーは単独又は複数を組み合わせて使用することが可能である。
これらフィラーの形状としては、鱗片状、球状、粒状、粉体、不定形状等のいずれでもよく、特に制限は無い。
フィラーは単独又は複数を組み合わせて使用することが可能である。
これらフィラーの形状としては、鱗片状、球状、粒状、粉体、不定形状等のいずれでもよく、特に制限は無い。
難燃剤としては、例えば、臭素化合物等のハロゲン系難燃剤、芳香族化合物等のリン系難燃剤、金属水酸化物が主な無機難燃剤等が挙げられる。環境負荷軽減の観点から、無機難燃剤が好ましい。
無機難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;硼酸亜鉛、硼酸バリウム等の金属酸化物;炭酸カルシウム;クレー;塩基性炭酸マグネシウム;ハイドロタルサイト等の含水金属化合物;等が挙げられる。本実施形態においては、上記難燃剤のうち、難燃性向上の点から水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が好ましい。上記難燃剤の中には、それ自身の難燃性発現効果は低いが、他の難燃剤と併用することで相乗的により優れた効果を発揮する、いわゆる難燃助剤も含まれる。
フィラー、難燃剤は、シランカップリング剤等の表面処理剤であらかじめ表面処理を行ったタイプを使用することもできる。
無機難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;硼酸亜鉛、硼酸バリウム等の金属酸化物;炭酸カルシウム;クレー;塩基性炭酸マグネシウム;ハイドロタルサイト等の含水金属化合物;等が挙げられる。本実施形態においては、上記難燃剤のうち、難燃性向上の点から水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が好ましい。上記難燃剤の中には、それ自身の難燃性発現効果は低いが、他の難燃剤と併用することで相乗的により優れた効果を発揮する、いわゆる難燃助剤も含まれる。
フィラー、難燃剤は、シランカップリング剤等の表面処理剤であらかじめ表面処理を行ったタイプを使用することもできる。
その他の添加剤としては、熱可塑性樹脂の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。当該その他の添加剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、カーボンブラック、酸化チタン等の顔料及び/又は着色剤;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;有機ポリシロキサン、フタル酸エステル系やアジピン酸エステル化合物、アゼライン酸エステル化合物等の脂肪酸エステル系、ミネラルオイル等の可塑剤;ヒンダードフェノール系、リン系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;帯電防止剤;有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
エラストマー組成物は、1種又は2種以上の成分(V)を含んでいてよい。
エラストマー組成物は成分(I)及び(II)を上記の割合で含んでいればよく、成分(III)~(V)の少なくとも1種を任意選択的に含んでいてもよい。
成分(III)~(V)の含有量の合計は、エラストマー組成物の総量に対して、例えば0.0~60質量%であってよい。成分(III)~(V)の含有量の合計は、上記範囲内において、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
成分(III)~(V)の含有量の合計は、エラストマー組成物の総量に対して、例えば0.0~60質量%であってよい。成分(III)~(V)の含有量の合計は、上記範囲内において、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下である。
一態様において、エラストマー組成物中の成分(I)と成分(III)との質量比(成分(I)/成分(III))は、1/99~70/30である。上記質量比の下限値(すなわち、成分(III)に対する成分(I)の比の下限値)は、3/97、5/95、又は10/90であってよい。上記質量比の上限値(すなわち、成分(III)に対する成分(I)の比の上限値)は、70/30、65/35、60/40、又は55/45であってよい。
[4]エラストマー組成物の製造方法
本実施形態のエラストマー組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。
本実施形態のエラストマー組成物の製造方法としては、例えば、公知の各樹脂成分を均一に混合し得る混錬装置を用いてエラストマー組成物を製造する方法が挙げられる。
上記混錬装置としては特に制限なく使用することができる。上記混錬装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を挙げることができる。
溶融混練の温度としては、好ましくは100~400℃であり、より好ましくは150~350℃である。
例えば、各種ミキサーでのドライブレンドを行うことも可能であり、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、ニーダー、多軸スクリュー押出機、ロール等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
本実施形態のエラストマー組成物の製造においては押出機による溶融混合法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
得られるエラストマー組成物の形状に特に制限はないが、例えば、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等を挙げることができる。また、溶融混練後、直接成形品とすることもできる。
本実施形態のエラストマー組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。
本実施形態のエラストマー組成物の製造方法としては、例えば、公知の各樹脂成分を均一に混合し得る混錬装置を用いてエラストマー組成物を製造する方法が挙げられる。
上記混錬装置としては特に制限なく使用することができる。上記混錬装置としては、例えば、単軸押出機、二軸押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロール等を挙げることができる。
溶融混練の温度としては、好ましくは100~400℃であり、より好ましくは150~350℃である。
例えば、各種ミキサーでのドライブレンドを行うことも可能であり、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、ニーダー、多軸スクリュー押出機、ロール等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。
本実施形態のエラストマー組成物の製造においては押出機による溶融混合法が生産性、良混練性の観点から好ましい。
得られるエラストマー組成物の形状に特に制限はないが、例えば、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等を挙げることができる。また、溶融混練後、直接成形品とすることもできる。
[5]成形体
本実施形態の成形体は、上述した本実施形態のエラストマー組成物を含む。本実施形態のエラストマーを加工及び/又は成形することによって、超低温条件下で使用するシート、フィルム、容器(例えば筒状容器)、筐体等、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成形品、真空成形品、押出成形品、プレス成形品等、多種多様の成形体を得ることができる。
本実施形態の成形体は、上述した本実施形態のエラストマー組成物を含む。本実施形態のエラストマーを加工及び/又は成形することによって、超低温条件下で使用するシート、フィルム、容器(例えば筒状容器)、筐体等、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成形品、真空成形品、押出成形品、プレス成形品等、多種多様の成形体を得ることができる。
特に、本実施形態の成形体は、寒冷地等の使用地域の広がり及び安全志向の向上に伴い、超低温下、特に-50℃以下での実用上十分な破壊強度、耐衝撃性等が常に求められ、特に高温下で長時間ばく露された後もそのような破壊強度、耐衝撃性等を維持することが求められるエアバッグカバーであることが好適である。
本実施形態のエラストマー組成物をエアバッグカバーに成形する方法としては射出成形が好適に用いられる。エアバッグ装置の収納カバーの金型を備えた射出成形機に供給し、射出成形することにより短時間でエアバッグ装置の収納カバーを得ることができる。また、本実施形態のエラストマーは熱安定性に優れるため、スプルー部及びランナー部のリサイクル使用が可能であるという長所を有する。エアバッグ装置の収納カバーが確実に展開し、エアバッグを瞬間的に放出するためには、該カバーにはあらかじめ設計されたティアラインを設けることが望ましい。ティアラインは乗客の位置、エアバッグ装置の設置位置、バッグの放出方向、該カバーの形状等を考慮し、H字状,U字状等に設計される。またティアラインは破断予定部分に沿ってV字状溝、U字状溝等、他の部分より肉厚を薄くすることにより設けることができる。
本実施形態のエアバッグカバーは射出成形法により単層成形することが経済的に有利であるが、取り付け部の補強や、成形品の剛性を高める目的で、他のプラスチックと複合して使用することも出来る。複合する場合には、射出複層成形法や接着剤を用いて接着する方法を用いることができる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態について具体的に説明するが、本実施形態は、以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例に用いたブロック共重合体(成分(I))の構造の同定及び物性の測定は、次のようにして行った。
なお、以下の実施例及び比較例に用いたブロック共重合体(成分(I))の構造の同定及び物性の測定は、次のようにして行った。
〔ブロック共重合体の構造の同定及び物性の測定方法〕
(1)ビニル芳香族化合物の含有量
水添前のブロック共重合体のビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量(質量%)を、紫外分光光度計(島津製作所社製「UV-2450」)を用いて測定した。具体的にはフェニル基に由来する紫外線(254nm付近)の吸光量から、ビニル芳香族化合物の含有量を算出した。
(1)ビニル芳香族化合物の含有量
水添前のブロック共重合体のビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量(質量%)を、紫外分光光度計(島津製作所社製「UV-2450」)を用いて測定した。具体的にはフェニル基に由来する紫外線(254nm付近)の吸光量から、ビニル芳香族化合物の含有量を算出した。
(2)ビニル結合量
ビニル結合量は、水添前のブロック共重合体における、重合体ブロック(B)の総量に対する、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量である。水添前のブロック共重合体のビニル結合量(%)は、赤外分光光度計(日本分光社製「FT/IR-230」)を用いて測定した。ビニル結合量はハンプトン法により算出した。
ビニル結合量は、水添前のブロック共重合体における、重合体ブロック(B)の総量に対する、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量である。水添前のブロック共重合体のビニル結合量(%)は、赤外分光光度計(日本分光社製「FT/IR-230」)を用いて測定した。ビニル結合量はハンプトン法により算出した。
(3)分子量分布
水添前のブロック共重合体の分子量分布を、下記のとおりGPC〔装置:LC-10(島津製作所社製商品名)、カラム:TSKgelGMHXL(島津製作所社製商品名、4.6mm×30cm)〕により求めた。
GPCにおいて、溶媒はテトラヒドロフランを用いた。測定条件は、温度35℃であった。ブロック共重合体の分子量は、クロマトグラムのピークの分子量について、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)に基づいて求めた重量平均分子量(Mw)とした。なお、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量とした。
また、ブロック共重合体の分子量分布は、上記と同様にして求めた数平均分子量(Mn)と上記Mwとの比(Mw/Mn)とした。
水添前のブロック共重合体の分子量分布を、下記のとおりGPC〔装置:LC-10(島津製作所社製商品名)、カラム:TSKgelGMHXL(島津製作所社製商品名、4.6mm×30cm)〕により求めた。
GPCにおいて、溶媒はテトラヒドロフランを用いた。測定条件は、温度35℃であった。ブロック共重合体の分子量は、クロマトグラムのピークの分子量について、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)に基づいて求めた重量平均分子量(Mw)とした。なお、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量とした。
また、ブロック共重合体の分子量分布は、上記と同様にして求めた数平均分子量(Mn)と上記Mwとの比(Mw/Mn)とした。
なお、上記(1)~(3)で測定した値は、水添前のブロック共重合体を試料として測定されているものの、後述する実施例や比較例における水素添加の操作によって、それらの値が変更されるものではない。
(4)水素添加率、ビニル水素添加率
水素添加率は、重合体ブロック(B)の総量に対する、上記単位(a)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(a1)の含有量、及び共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量である。水素添加後のブロック共重合体の水素添加率(%)を、核磁気共鳴装置(BRUKER社製「DPX-400」)を用いて測定した。
また、ビニル水素添加率(%)を、単位(a)に対する単位(a1)の割合(ビニル水素添加率:(a1)/(a))として算出した。
水素添加率は、重合体ブロック(B)の総量に対する、上記単位(a)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(a1)の含有量、及び共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)の水素添加された形態であるアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量である。水素添加後のブロック共重合体の水素添加率(%)を、核磁気共鳴装置(BRUKER社製「DPX-400」)を用いて測定した。
また、ビニル水素添加率(%)を、単位(a)に対する単位(a1)の割合(ビニル水素添加率:(a1)/(a))として算出した。
(5)tanδピーク温度
水添ブロック共重合体のtanδピーク温度を、下記のとおり求めた。
まず、水添後のブロック共重合体を試料とし、これらの試料を、幅10mm、長さ40mm、厚さ2mmのサイズのシート状の成形体にカットして測定用サンプルとした。
次に、この測定用サンプルを、装置ARES(ティーエイインスツルメントー社製商品名)の捻りタイプのジオメトリーにセットし、実効測定長さ25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件下で動的粘弾性測定を行った。走査温度範囲は-100~100℃とした。
tanδピーク温度は、RSI Orchestrator(ティーエイインスツルメントー社製商品名)の自動測定より検出されるピークから求めた値とした。
水添ブロック共重合体のtanδピーク温度を、下記のとおり求めた。
まず、水添後のブロック共重合体を試料とし、これらの試料を、幅10mm、長さ40mm、厚さ2mmのサイズのシート状の成形体にカットして測定用サンプルとした。
次に、この測定用サンプルを、装置ARES(ティーエイインスツルメントー社製商品名)の捻りタイプのジオメトリーにセットし、実効測定長さ25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件下で動的粘弾性測定を行った。走査温度範囲は-100~100℃とした。
tanδピーク温度は、RSI Orchestrator(ティーエイインスツルメントー社製商品名)の自動測定より検出されるピークから求めた値とした。
(6)金属量
ブロック共重合体中の金属量(すなわち、Ti、Ni、Li、及びCoの合計含有量)を、誘導結合プラズマ(Inductivitycoupled plasm(ICP)、島津製作所社製「ICPS-7510」)を用いた元素分析で測定した。
ブロック共重合体中の金属量(すなわち、Ti、Ni、Li、及びCoの合計含有量)を、誘導結合プラズマ(Inductivitycoupled plasm(ICP)、島津製作所社製「ICPS-7510」)を用いた元素分析で測定した。
(7)-60℃貯蔵弾性率
水添後の水添ブロック共重合体を、幅10mm、長さ40mm、厚さ2mmの短冊状試験片状に成形して測定用サンプルとした。
次に、この測定用サンプルを、装置ARES(ティーエイインスツルメントー社製商品名)の捻りタイプのジオメトリーにセットし、実効測定長さ25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件下で動的粘弾性測定を行った。走査温度範囲は-100~100℃とし、-60℃の貯蔵弾性率の値を読み取った。
水添後の水添ブロック共重合体を、幅10mm、長さ40mm、厚さ2mmの短冊状試験片状に成形して測定用サンプルとした。
次に、この測定用サンプルを、装置ARES(ティーエイインスツルメントー社製商品名)の捻りタイプのジオメトリーにセットし、実効測定長さ25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、昇温速度3℃/分の条件下で動的粘弾性測定を行った。走査温度範囲は-100~100℃とし、-60℃の貯蔵弾性率の値を読み取った。
〔水添触媒の調製〕
後述する実施例及び比較例において、水添ブロック共重合体を作製する際に用いる水添触媒を、下記の方法により調製した。
攪拌装置を具備する反応容器を窒素置換しておき、これに、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込んだ。
次に、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加した。これを十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。これにより水添触媒を得た。
後述する実施例及び比較例において、水添ブロック共重合体を作製する際に用いる水添触媒を、下記の方法により調製した。
攪拌装置を具備する反応容器を窒素置換しておき、これに、乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込んだ。
次に、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加した。これを十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。これにより水添触媒を得た。
〔水添ブロック共重合体の製造〕
ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水添物:水添ブロック共重合体(1)~(16)を、下記のようにして製造した。
ビニル芳香族化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水添物:水添ブロック共重合体(1)~(16)を、下記のようにして製造した。
〔実施例A-1〕(水添ブロック共重合体(1))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.2mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン85質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体(1)を得た。
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.2mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン85質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体(1)を得た。
得られたブロック共重合体(1)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))は22%、重量平均分子量10.8×104、分子量分布1.10であった。
得られたブロック共重合体(1)に、上記のようにして調製した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で水素添加反応を約0.75時間行い、水添ブロック共重合体の溶液を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(1)を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(1)を得た。
得られた水添ブロック共重合体(1)の、重合体ブロック(B)の総含有量を100%としたときの、上記単位(a)の水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)の含有量、及び1,4-結合に由来する単位(b)の水素添加されたアルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量(水素添加率:((a1)+(b1))/(B))は32%、単位(a)に対する単位(a1)の率(ビニル水素添加率:(a1)/(a))は93%であった。
〔実施例A-2〕(水添ブロック共重合体(2))
TMEDAの添加量を、n-ブチルリチウム1mоlに対して、0.2mоlから0.4mоlに変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(2)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量44%、重量平均分子量10.1×104、分子量分布1.09であり、水添ブロック共重合体(2)は、水素添加率39%、ビニル水素添加率81%であった。
TMEDAの添加量を、n-ブチルリチウム1mоlに対して、0.2mоlから0.4mоlに変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(2)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量44%、重量平均分子量10.1×104、分子量分布1.09であり、水添ブロック共重合体(2)は、水素添加率39%、ビニル水素添加率81%であった。
〔実施例A-3〕(水添ブロック共重合体(3))
水素添加反応時間を約0.75時間から1.25時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(3)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量21%、重量平均分子量10.0×104、分子量分布1.10であり、水添ブロック共重合体(3)は、水素添加率50%、ビニル水素添加率98%であった。
水素添加反応時間を約0.75時間から1.25時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(3)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量21%、重量平均分子量10.0×104、分子量分布1.10であり、水添ブロック共重合体(3)は、水素添加率50%、ビニル水素添加率98%であった。
〔実施例A-4〕(水添ブロック共重合体(4))
TMEDAの添加量を、n-ブチルリチウム1mоlに対して、0.2mоlから0.1mоlに変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(4)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量12%、重量平均分子量10.3×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(4)は、水素添加率34%、ビニル水素添加率98%であった。
TMEDAの添加量を、n-ブチルリチウム1mоlに対して、0.2mоlから0.1mоlに変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(4)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量12%、重量平均分子量10.3×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(4)は、水素添加率34%、ビニル水素添加率98%であった。
〔実施例A-5〕(水添ブロック共重合体(5))
水素添加反応時間を約0.75時間から0.5時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(5)は、スチレン含有量15質量%、ビニル結合量は23%、重量平均分子量10.2×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(4)は、水素添加率26%、ビニル水素添加率88%であった。
水素添加反応時間を約0.75時間から0.5時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(5)は、スチレン含有量15質量%、ビニル結合量は23%、重量平均分子量10.2×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(4)は、水素添加率26%、ビニル水素添加率88%であった。
〔実施例A-6〕(水添ブロック共重合体(6))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.2mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン75質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体(6)を得た。
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.2mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン75質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体(6)を得た。
得られたブロック共重合体(6)は、ビニル芳香族化合物の含有量25質量%、1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)の含有量(ビニル結合量:単位(a)/ブロック(B))23%、重量平均分子量10.5×104、分子量分布1.10であった。
得られたブロック共重合体(6)に、上記のようにして調製した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で水素添加反応を約0.75時間行い、水添ブロック共重合体の溶液を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(6)を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(6)を得た。
得られた水添ブロック共重合体(6)は、水素添加率30%、ビニル水素添加率90%であった。
〔実施例A-7〕(水添ブロック共重合体(7))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.25mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体(7)を得た。
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.25mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体(7)を得た。
上記のようにして得られたブロック共重合体(7)は、スチレン含有量20質量%、ビニル結合量34%、重量平均分子量10.5×104、分子量分布1.10であった。
得られたブロック共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で水素添加反応を約1.00時間行い、水添ブロック共重合体の溶液を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(7)を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(7)を得た。
得られた水添ブロック共重合体(7)は、水素添加率45%、ビニル水素添加率80%であった。
〔実施例A-8〕(水添ブロック共重合体(8))
n-ブチルリチウムの添加量を、0.11質量部から0.09質量部に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(8)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量23%、重量平均分子量12.2×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(8)は、水素添加率33%、ビニル水素添加率93%であった。
n-ブチルリチウムの添加量を、0.11質量部から0.09質量部に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(8)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量23%、重量平均分子量12.2×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(8)は、水素添加率33%、ビニル水素添加率93%であった。
〔実施例A-9〕(水添ブロック共重合体(9))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.2mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、安息香酸エチルをn-ブチルリチウム1mоlに対して0.27mol添加し、70℃で20分間反応させ、ブロック共重合体(9)を得た。
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン20質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.2mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン80質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、安息香酸エチルをn-ブチルリチウム1mоlに対して0.27mol添加し、70℃で20分間反応させ、ブロック共重合体(9)を得た。
得られたブロック共重合体(9)は、カップリング率54%、非カップリング共重合体の重量平均分子量10.5×104であった。また、カップリング共重合体も含むブロック共重合体において、ビニル芳香族化合物の含有量20質量%、ビニル結合量20%、分子量分布は1.50であった。
得られたブロック共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で水素添加反応を約0.75時間行い、水添ブロック共重合体の溶液を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(9)を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(9)を得た。
得られた水添ブロック共重合体(9)は、水素添加率35%、ビニル水素添加率92%であった。
〔実施例A-10〕(水添ブロック共重合体(10))
水素添加触媒量をブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加から150ppm添加に変更し、水素添加反応を約0.75時間から0.5時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(10)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量は22%、重量平均分子量10.1×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(10)は、水素添加率34%、ビニル水素添加率98%であった。
水素添加触媒量をブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加から150ppm添加に変更し、水素添加反応を約0.75時間から0.5時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(10)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量は22%、重量平均分子量10.1×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(10)は、水素添加率34%、ビニル水素添加率98%であった。
〔実施例A-11〕(水添ブロック共重合体(11))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.25mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン90質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体(11)を得た。
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.25mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン90質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体(11)を得た。
得られたブロック共重合体(11)は、ビニル芳香族化合物の含有量10質量%、ビニル結合量25%、重量平均分子量10.5×104、分子量分布1.09であった。
得られたブロック共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で水素添加反応を約0.75時間行い、水添ブロック共重合体の溶液を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(11)を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(11)を得た。
得られた水添ブロック共重合体(11)は、水素添加率34%、ビニル水素添加率98%であった。
〔実施例A-12〕(水添ブロック共重合体(12))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.25mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン75質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.25mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン75質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン12.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物の含有量25質量%、ビニル結合量26%、重量平均分子量10.3×104、分子量分布1.10であった。
さらに得られたブロック共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で水素添加反応を約0.75時間行い、水添ブロック共重合体の溶液を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液を大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(12)を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液を大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(12)を得た。
得られた水添ブロック共重合体(12)は、水素添加率33%、ビニル水素添加率97%であった。
〔実施例A-13〕(水添ブロック共重合体(13))
水素添加反応温度を80℃から60℃に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(2)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(13)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量44%、重量平均分子量10.1×104、分子量分布1.10であり、水添ブロック共重合体(13)は、水素添加率35%、ビニル水素添加率77%であった。
水素添加反応温度を80℃から60℃に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(2)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(13)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量44%、重量平均分子量10.1×104、分子量分布1.10であり、水添ブロック共重合体(13)は、水素添加率35%、ビニル水素添加率77%であった。
〔比較例A-1〕(水添ブロック共重合体(14))
水添後の脱灰工程を実施しなかった以外は、上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(14)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量23%、重量平均分子量10.1×104、分子量分布1.10であり、水添ブロック共重合体(14)は、水素添加率34%、ビニル水素添加率97%であった。
水添後の脱灰工程を実施しなかった以外は、上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(14)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量23%、重量平均分子量10.1×104、分子量分布1.10であり、水添ブロック共重合体(14)は、水素添加率34%、ビニル水素添加率97%であった。
〔比較例A-2〕(水添ブロック共重合体(15))
TMEDAの添加量を、n-ブチルリチウム1mоlに対して、0.2mоlから1mоlに変更し、水素添加反応を約0.75時間から1.25時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(15)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量65%、重量平均分子量10.6×104、分子量分布1.10であり、水添ブロック共重合体(15)は、水素添加率53%、ビニル水素添加率77%であった。
TMEDAの添加量を、n-ブチルリチウム1mоlに対して、0.2mоlから1mоlに変更し、水素添加反応を約0.75時間から1.25時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(15)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量65%、重量平均分子量10.6×104、分子量分布1.10であり、水添ブロック共重合体(15)は、水素添加率53%、ビニル水素添加率77%であった。
〔比較例A-3〕(水添ブロック共重合体(16))
水素添加反応を約0.75時間から1.75時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(16)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量23%、重量平均分子量10.4×104、分子量分布1.09であり、水添ブロック共重合体(16)は、水素添加率65%、ビニル水素添加率99%であった。
水素添加反応を約0.75時間から1.75時間に変更した以外は上述の水添ブロック共重合体(1)と同様の操作を行い、重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られたブロック共重合体(16)は、ビニル芳香族化合物の含有量15質量%、ビニル結合量23%、重量平均分子量10.4×104、分子量分布1.09であり、水添ブロック共重合体(16)は、水素添加率65%、ビニル水素添加率99%であった。
〔比較例A-4〕(水添ブロック共重合体(17))
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン17.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.25mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン65質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン17.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
攪拌装置とジャケットとを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用してバッチ重合を行った。
まず、スチレン17.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、全モノマー100質量部に対して、n-ブチルリチウム0.11質量部と、n-ブチルリチウム1モルに対して、テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)0.25mоlとを添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン65質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて70℃で45分間重合した。
次に、スチレン17.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。その後メタノールを添加し、重合反応を停止し、ブロック共重合体を得た。
得られたブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物の含有量35質量%、ビニル結合量23%、重量平均分子量10.6×104、分子量分布1.09であった。
さらに得られたブロック共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、ブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で水素添加反応を約0.75時間行い、水添ブロック共重合体の溶液を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(17)を得た。
得られた水添ブロック共重合体の溶液を以下に示す脱灰操作を行うことで開始剤及び水添触媒起因の金属量低減を図った。すなわち、水添ブロック共重合体100質量部に対して30質量部の水/硫酸の混合溶液を添加した。なお、硫酸の添加量は、後工程でデカンターにより除去される水のpHが7.0になるように調整した。デカンターにより水の量が3質量部になるまで、該溶液の大部分の水を除去し、炭酸ガスを開始剤の金属1molに対し、0.4mol添加し混合した。その後、安定剤としてオクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを0.3質量部添加した。該溶液を特公平05-54845号公報に記載のスチームストリッピング法(90~98℃の水中で溶媒の大部分を除去した後、クラム濃度が約5重量%の水分散スラリーを二軸押出機に投入することで脱溶剤する方法)で処理することにより、水添ブロック共重合体(17)を得た。
得られた水添ブロック共重合体(17)は、水素添加率33%、ビニル水素添加率92%であった。
〔比較例A-5〕(水添ブロック共重合体(18))
水添触媒量をブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加から100ppm添加に変更し、水素添加反応時間を約1.00時間から0.5時間に変更し、水添後の脱灰工程を実施しなかった以外は上述の水添ブロック共重合体(7)と同様の操作で重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物の含有量20質量%、ビニル結合量34%、重量平均分子量10.2×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(15)は、水素添加率44%、ビニル水素添加率81%であった。
水添触媒量をブロック共重合体100質量部当たり、Ti基準で90ppm添加から100ppm添加に変更し、水素添加反応時間を約1.00時間から0.5時間に変更し、水添後の脱灰工程を実施しなかった以外は上述の水添ブロック共重合体(7)と同様の操作で重合反応及び水素添加反応を行った。
上記のようにして得られた水添ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物の含有量20質量%、ビニル結合量34%、重量平均分子量10.2×104、分子量分布1.11であり、水添ブロック共重合体(15)は、水素添加率44%、ビニル水素添加率81%であった。
得られた各ブロック共重合体(水添ブロック共重合体)の構造、特性、金属原子換算での金属量(Ti、Ni、Li、Coの総量)を下記表1に示す。
〔実施例1~26〕、〔比較例1~16〕
エラストマー組成物は、得られた水添ブロック共重合体(1)~(18)(成分(I))と、下記成分(II)、成分(III)、及び成分(IV)とを用いて、以下の調製方法にしたがって調製した。
各例における成分比及び評価結果を、下記表2~表3に示す。なお、表中、各成分の含有量は質量%にて示されている。
<成分(II):ポリオレフィン系樹脂>
以下の市販品を使用した。
ホモポリプロピレン樹脂:
PM801A(サンアロマー社製、表中「801A」と略記する。)
エチレン・プロピレン(=9/91)ブロック共重合体:
ノバテック BC03B(日本ポリプロ社製、表中「BC03B」と略記する。)
<成分(III):ポリオレフィン系エラストマー>
エチレン・1-オクテン共重合体:
Engage EG8150(ダウ・ケミカル社製、表中「EG8150」と略記する。)
<成分(IV):ビニル芳香族化合物と共役ジエンからなる共重合体>
タフテックH1062(旭化成製、表中「H1062」と略記する。)
エラストマー組成物は、得られた水添ブロック共重合体(1)~(18)(成分(I))と、下記成分(II)、成分(III)、及び成分(IV)とを用いて、以下の調製方法にしたがって調製した。
各例における成分比及び評価結果を、下記表2~表3に示す。なお、表中、各成分の含有量は質量%にて示されている。
<成分(II):ポリオレフィン系樹脂>
以下の市販品を使用した。
ホモポリプロピレン樹脂:
PM801A(サンアロマー社製、表中「801A」と略記する。)
エチレン・プロピレン(=9/91)ブロック共重合体:
ノバテック BC03B(日本ポリプロ社製、表中「BC03B」と略記する。)
<成分(III):ポリオレフィン系エラストマー>
エチレン・1-オクテン共重合体:
Engage EG8150(ダウ・ケミカル社製、表中「EG8150」と略記する。)
<成分(IV):ビニル芳香族化合物と共役ジエンからなる共重合体>
タフテックH1062(旭化成製、表中「H1062」と略記する。)
<エラストマー組成物の調製方法>
押出機の長さ全域の温度設定を180~220℃として、二軸押出機で成分(I)及び成分(II)と、必要に応じて成分(III)及び/又は成分(IV)とをコンパウンドした。
スクリュー回転速度は約250rpmであり、押出量は5kg/hであった。
成分(I)、成分(II)、成分(III)、成分(IV)は、概して押出機のスロートから供給した。
押出機から吐出したストランドをペレット化し、約60℃で3時間乾燥させた。乾燥させたペレットを物性測定用のISO短冊状試験片(長さ80mm、幅約10mm、厚約4mm)へと射出成形した。
押出機の長さ全域の温度設定を180~220℃として、二軸押出機で成分(I)及び成分(II)と、必要に応じて成分(III)及び/又は成分(IV)とをコンパウンドした。
スクリュー回転速度は約250rpmであり、押出量は5kg/hであった。
成分(I)、成分(II)、成分(III)、成分(IV)は、概して押出機のスロートから供給した。
押出機から吐出したストランドをペレット化し、約60℃で3時間乾燥させた。乾燥させたペレットを物性測定用のISO短冊状試験片(長さ80mm、幅約10mm、厚約4mm)へと射出成形した。
<エラストマー組成物の評価方法>
(1)耐衝撃性
JIS K 7111-1に準じてノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定し、耐衝撃性を評価した。試験片としては上述の短冊状試験片を用い、ノッチ形状をA、打撃方向をエッジワイズとした。測定温度は-50℃及び-70℃とした。単位はkJ/m2である。シャルピー衝撃強さの値が大きいほど、耐衝撃性に優れることを示す。
(1)耐衝撃性
JIS K 7111-1に準じてノッチ付きシャルピー衝撃強さを測定し、耐衝撃性を評価した。試験片としては上述の短冊状試験片を用い、ノッチ形状をA、打撃方向をエッジワイズとした。測定温度は-50℃及び-70℃とした。単位はkJ/m2である。シャルピー衝撃強さの値が大きいほど、耐衝撃性に優れることを示す。
(2)耐熱老化性
上述のノッチ付きシャルピー衝撃強さ測定用のノッチ付き短冊状試験片を110℃で1000hばく露した。その後、上述と同様の条件でシャルピー衝撃性試験を行い、ばく露前後のシャルピー衝撃値の減少率を算出した。その減少率から、以下の基準で耐熱老化性を評価した。
○:30%未満
△:50%未満
×:50%以上
上述のノッチ付きシャルピー衝撃強さ測定用のノッチ付き短冊状試験片を110℃で1000hばく露した。その後、上述と同様の条件でシャルピー衝撃性試験を行い、ばく露前後のシャルピー衝撃値の減少率を算出した。その減少率から、以下の基準で耐熱老化性を評価した。
○:30%未満
△:50%未満
×:50%以上
(3)曲げ弾性率
JIS K 7074に準じてひずみ-応力曲線を測定し、曲げ弾性率を評価した。試験片は上述の短冊状試験片を作製し、三点曲げ試験で得られたひずみ-応力曲線から割線法に基づいて曲げ弾性率を算出した。この値が大きいほど、曲げ弾性率に優れることを示す。
JIS K 7074に準じてひずみ-応力曲線を測定し、曲げ弾性率を評価した。試験片は上述の短冊状試験片を作製し、三点曲げ試験で得られたひずみ-応力曲線から割線法に基づいて曲げ弾性率を算出した。この値が大きいほど、曲げ弾性率に優れることを示す。
本実施形態に係るエラストマー組成物は、超低温下で使用される又は使用時に超低温下に曝されることのある成形体、容器、筐体の材料として産業上の利用可能性を有している。
特に、寒冷地等の使用地域の広がり及び安全志向の向上に伴い、超低温下での耐衝撃性及び耐熱老化性が求められているエアバックカバー用材料において利用可能性を有している。
特に、寒冷地等の使用地域の広がり及び安全志向の向上に伴い、超低温下での耐衝撃性及び耐熱老化性が求められているエアバックカバー用材料において利用可能性を有している。
Claims (16)
- ビニル芳香族化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(A)及び共役ジエン化合物に由来する単位を主体とする重合体ブロック(B)、を有し、
下記条件(i)~(iv)を満たす、ブロック共重合体。
条件(i):前記ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、1.0~30質量%である。
条件(ii):前記重合体ブロック(B)が、共役ジエン化合物の1,2-結合及び/又は3,4-結合に由来する単位(a)、並びに共役ジエン化合物の1,4-結合に由来する単位(b)を含み、かつ、前記単位(a)の含有量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~55%である。
条件(iii):前記重合体ブロック(B)が、前記単位(a)の水素添加されたアルケニル単量体単位(a1)、及び前記単位(b)の水素添加されたアルケニル単量体単位(b1)を含み、かつ、前記アルケニル単量体単位(a1)の含有量及び前記アルケニル単量体単位(b1)の含有量の合計量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、5.0~55%である。
条件(iv):前記ブロック共重合体中のTi、Ni、Li、及びCoの合計含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、該金属原子換算で90ppm以下である。 - 下記条件(v)をさらに満たす、請求項1に記載のブロック共重合体。
条件(v):前記アルケニル単量体単位(a1)の含有量が、前記単位(a)の総量に対して、80%以上である。 - 下記条件(vi)をさらに満たす、請求項2に記載のブロック共重合体。
<条件(vi)>
幅10mm、長さ40mm、厚み2mmの短冊状試験片状に成形された前記ブロック共重合体について、ひずみ0.5%、周波数1Hzでの粘弾性測定を行った時に得られるtanδピーク温度が-55℃以下であり、-60℃での貯蔵弾性率が1.5×108Pa以下である。 - 下記条件(vii)をさらに満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
条件(vii):分子量分布が、1.40以下である。 - 下記条件(viii)をさらに満たす、請求項1~4のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
<条件(viii)>
前記単位(a)の含有量が、前記重合体ブロック(B)の総量に対して、1.0~30%である。 - 下記条件(ix)をさらに満たす、請求項1~5のいずれか一項に記載のブロック共重合体。
<条件(ix)>
前記ビニル芳香族化合物に由来する単位の含有量が、前記ブロック共重合体の総量に対して、1.0~15質量%である。 - 成分(I):請求項1~6のいずれか一項に記載のブロック共重合体と、
成分(II):前記成分(I)以外のポリオレフィン系樹脂と、
を、含み、
前記成分(I)と前記成分(II)との質量比(成分(I)/成分(II))が、1/99~70/30である、エラストマー組成物。 - 前記成分(II)が、ポリプロピレン系樹脂である、請求項7に記載のエラストマー組成物。
- 前記成分(I)及び前記成分(II)以外の成分(III):オレフィン系エラストマーをさらに含む、請求項7又は8に記載のエラストマー組成物。
- 前記成分(I)と前記成分(III)の質量比(成分(I)/成分(III))が、1/99~70/30である請求項9に記載のエラストマー組成物。
- 前記成分(III)が、エチレン及び/又はプロピレンと、炭素数3~8のα-オレフィンとの共重合体であって、前記α-オレフィンに由来する単位の含有量が前記成分(III)の総量に対して、30質量%以上である共重合体である、請求項9又は10に記載のエラストマー組成物。
- 請求項7~11のいずれか一項に記載のエラストマー組成物を含む、成形体。
- 容器である、請求項12に記載の成形体。
- 筒状容器である、請求項13に記載の成形体。
- 筐体である、請求項12に記載の成形体。
- エアバッグカバーである、請求項12に記載の成形体。
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JP2021072071 | 2021-04-21 | ||
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