JP4079942B2 - 水添共重合体及びその組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水添共重合体に関する。さらに詳しくは、本発明は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む非水添共重合体を水添して得られる水添共重合体であって、該水添共重合体は、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位からなるビニル結合量が特定の範囲にある非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック(C)とからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体ブロック、及び、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなり、ただし、該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体は少なくとも2つの重合体ブロック(A)を有する水添共重合体であって、該ビニル芳香族単量体単位の含有量、該重合体ブロック(A)の含有量、重量平均分子量、該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が特定の範囲にあり、該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが−10〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在し、そして、該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことを特徴とする水添共重合体に関する。本発明の水添共重合体は、柔軟性、引張強度、耐磨耗性、耐打痕性に優れ、且つ架橋性が良好である。
【0002】
本発明はまた、上記水添共重合体を変性して得られる一次変性水添共重合体、該一次変性水添共重合体を変性して得られる二次変性水添共重合体に関する。上記一次変性水添共重合体及び上記二次変性水添共重合体は柔軟性、引張強度、耐磨耗性、耐打痕性、接着性に優れ、且つ架橋性が良好である。
本発明はまた、上記水添共重合体と、熱可塑性樹脂及びゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(以下、しばしば成分(b)と称する)とを包含する水添共重合体組成物;上記一次変性水添共重合体と上記成分(b)とを包含する一次変性水添共重合体組成物;及び上記二次変性水添共重合体と上記成分(b)とを包含する二次変性水添共重合体組成物に関する。
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物、及び二次変性水添共重合体組成物は、発泡体、建築材料、制振・防音材料、電線被覆材料などとして有利に用いることができるし、また、架橋剤の存在下で架橋することによって耐磨耗性、耐熱性等に優れた架橋物を得ることができる。さらに、本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体及び二次変性水添共重合体は、粘接着性組成物、アスファルト組成物などに有利に用いることができる。
【0003】
【従来の技術】
共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とからなるブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素の含有量が比較的少ない場合、加硫をしなくても加硫された天然ゴムや合成ゴムと同様の弾性を常温にて有し、しかも高温では熱可塑性樹脂と同様の加工性を有することから、履物、プラスチック改質、アスファルト改質、粘接着材等の分野で広く利用されている。一方、ビニル芳香族炭化水素の含有量が比較的多い場合には、透明で耐衝撃性に優れた熱可塑性樹脂となることから、食品包装容器、家庭用製品、家電・工業部品等の包装材料、玩具などに利用されている。更に、上記のブロック共重合体の水添物は、耐候性、耐熱性に優れることから、上記の用途分野以外に、自動車部品や医療器具等にも幅広く用いられている。
【0004】
しかしながら、上記のブロック共重合体は、ビニル芳香族炭化水素の含有量が比較的少ない場合、柔軟性は良好であるものの耐磨耗性に劣るという欠点があり、その用途を更に拡大する上で制約となっている。一方、ビニル芳香族炭化水素の含有量が比較的多い場合には、柔軟性に劣るという欠点があり、軟質材料として用いるには不適当である。
そこで、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのランダム共重合体に柔軟性を発現させる試みがなされている。例えば、日本国特開平2−158643号公報(米国特許第5,109,069号に対応)には、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのランダム共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素含有量が3〜50重量%であり、分子量分布(ただし、分子量分布とは、重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比(Mw/Mn)を表す)が10以下であり、共重合体中の共役ジエン部分のビニル結合量が10〜90%であるランダム共重合体を水素添加することによって得られる水添ジエン系共重合体とポリプロピレン樹脂とを包含する組成物が開示されている。また、日本国特開平6−287365号公報には、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とのランダム共重合体であって、ビニル芳香族炭化水素含有量が5〜60重量%であり、かつ共重合体中の共役ジエン部分のビニル結合量が60%以上であるランダム共重合体を水素添加することによって得られる水添ジエン系共重合体とポリプロピレン樹脂とを包含する組成物が開示されている。
【0005】
上記のような水添ジエン系共重合体は、軟質塩化ビニル樹脂が従来用いられているような用途に用いることが試みられている。軟質塩化ビニル樹脂には、燃焼時におけるハロゲンガスの発生、可塑剤の使用による環境ホルモンの発生といった環境問題があるため、軟質塩化ビニル樹脂の代替材料の開発が急務である。しかし、上記のような水添ジエン系共重合体は、軟質塩化ビニル樹脂が従来用いられているような用途に用いるには、耐磨耗性や耐打痕性といった特性が不十分である。
近年、比較的ビニル芳香族炭化水素含有量が多い、共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とを含んでなるブロック共重合体において、柔軟性を発現させる試みがなされている。
たとえば、日本国特表平10−501833号公報(米国特許第6,031,053号に対応)では、共役ジエン重合体ブロック、及び共役ジエンとビニル芳香族炭化水素とを含む共重合体ブロックを包含するブロック共重合体が開示されている。しかし、このブロック共重合体は耐磨耗性が十分でない。
【0006】
また、日本国特開平2−300250号公報には、共役ジエン重合体ブロックとビニル芳香族炭化水素重合体ブロックとを包含するブロック共重合体であって、該共役ジエン重合体ブロックがイソプレンのみ、またはイソプレンとブタジエンとの混合物から成り、且つ3,4ビニル結合及び1,2ビニル結合の合計含有量が40%以上であり、該ブロック共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが0℃以上の範囲に少なくとも1つ存在することを特徴とするブロック共重合体が開示されている。しかし、このブロック共重合体は耐磨耗性が十分でない。
【0007】
更に、WO98/12240(GB0927210に対応)には、スチレンを主体とする重合体ブロックとブタジエン/スチレンを主体とする共重合体ブロックとを包含するブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体を主成分とする成形材料が開示されている。また、日本国特開平3−185058号公報には、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、及びビニル芳香族−共役ジエンランダム共重合体の水素添加物を包含する樹脂組成物が開示されており、上記ビニル芳香族−共役ジエンランダム共重合体の水素添加物としてはWO98/12240におけると同様の水添共重合体が使用されている。しかしながら、上記公報に開示されている水添共重合体はいずれも柔軟性に乏しく、軟質塩化ビニル樹脂が使用されている用途には不適であった。
上記のように、様々な環境上の問題がある軟質塩化ビニル樹脂の代替材料の開発が急務であるにも関わらず、軟質塩化ビニル樹脂に匹敵する特性(柔軟性や耐磨耗性等)の材料が得られていないのが現実であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況下、本発明者らは、上記の問題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者らは、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む非水添共重合体を水添して得られる水添共重合体であって、該水添共重合体は、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位からなるビニル結合量が特定の範囲にある非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック(C)とからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体ブロック、及び、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなり、ただし、該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体は少なくとも2つの重合体ブロック(A)を有する水添共重合体であって、該ビニル芳香族単量体単位の含有量、該重合体ブロック(A)の含有量、重量平均分子量、該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が特定の範囲にあり、該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが−10〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在し、そして、該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことを特徴とする水添共重合体によって、上記問題が解決できることを意外にも知見した。この知見に基づいて本発明を完成した。
【0009】
したがって、本発明の1つの目的は、柔軟性、引張強度、耐磨耗性、耐打痕性に優れ、且つ架橋性が良好な水添共重合体を提供することにある。
本発明の他の目的の1つは、上記水添共重合体を変性して得られる一次変性水添共重合体、該一次変性水添共重合体を変性して得られる二次変性水添共重合体を提供することであって、上記一次変性水添共重合体及び上記二次変性水添共重合体は柔軟性、引張強度、耐磨耗性、耐打痕性、接着性に優れ、且つ架橋性が良好である。
本発明のさらなる1つの目的は、上記水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体と、熱可塑性樹脂及びゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体(以下、しばしば成分(b)と称する)とを包含する組成物を提供することにある。
本発明の上記及びその他の諸目的、諸特徴ならびに諸利益は、以下の詳細な説明及び請求の範囲の記載から明らかになる。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の1つの態様によれば、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む非水添共重合体を水添して得られる水添共重合体であって、該水添共重合体が、
ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位からなる非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック(C)とからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体ブロック、ただし、共役ジエン単量体単位からなる該非水添重合体ブロックのビニル結合量は30%未満である、及び
共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなり、水添共重合体ブロック(B)中の共役ジエン単量体単位の重量比が10〜45重量%である非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)
を包含してなり、
ただし、該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体は少なくとも2つの重合体ブロック(A)を有し、
次の特性(1)〜(6)を有することを特徴とする水添共重合体が提供される。
【0011】
(1)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が該水添共重合体の重量に対して40重量%を越え、95重量%未満であり、
(2)該重合体ブロック(A)の含有量が該水添共重合体の重量に対して0〜60重量%であり、
(3)重量平均分子量が3万〜100万であり、
(4)該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が75%以上であり、
(5)該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが−10〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在し、そして
(6)該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない。
【0012】
本発明の理解を容易にするために、本発明の基本的特徴及び好ましい態様を列挙する。
1.共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む非水添共重合体を水添して得られる水添共重合体であって、該水添共重合体が、
ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位からなる非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック(C)とからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体ブロック、ただし、共役ジエン単量体単位からなる該非水添重合体ブロックのビニル結合量は30%未満である、及び
共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなり、水添共重合体ブロック(B)中の共役ジエン単量体単位の重量比が10〜45重量%である非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)
を包含してなり、
ただし、該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体は少なくとも2つの重合体ブロック(A)を有し、
次の特性(1)〜(6)を有することを特徴とする水添共重合体。
【0013】
(1)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が該水添共重合体の重量に対して40重量%を越え、95重量%未満であり、
(2)該重合体ブロック(A)の含有量が該水添共重合体の重量に対して0〜60重量%であり、
(3)重量平均分子量が3万〜100万であり、
(4)該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が75%以上であり、
(5)該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが−10〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在し、そして
(6)該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範
囲に該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない。
【0014】
2.少なくとも1つの水添重合体ブロック(C)、少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)、及び場合によっては少なくとも1つの重合体ブロック(A)を包含してなり、
次の特性(7)及び(8)を更に有することを特徴とする前項1に記載の水添共重合体。
(7)該水添共重合体の重量に対して、該少なくとも1つの水添重合体ブロック(C)の含有量が10〜50重量%であり、該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)の含有量が30〜90重量%であり、そして該重合体ブロック(A)の含有量が0〜40重量%であり、
(8)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が該水添共重合体の重量に対して40重量%を越え、90重量%未満である。
【0015】
3.該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことを特徴とする前項2に記載の水添共重合体。
4.少なくとも2つの重合体ブロック(A)及び少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなり、
次の特性(9)及び(10)を更に有することを特徴とする前項1に記載の水添共重合体。
(9)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が該水添共重合体の重量に対して50重量%を越え、95重量%未満であり、
(10)該少なくとも2つの重合体ブロック(A)の含有量が該水添共重合体の重量に対して5〜60重量%である。
【0016】
5.発泡体であることを特徴とする前項1に記載の水添共重合体。
6.建築材料、制振・防音材料又は電線被覆材料であることを特徴とする前項1に記載の水添共重合体。
7.前項1に記載の水添共重合体を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋水添共重合体。
8.前項1に記載の水添共重合体である成分(a−0)を、成分(a−0)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と
該水添共重合体(a−0)以外の熱可塑性樹脂及び該水添共重合体(a−0)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−0)と成分(b)との合計100重量部に対して99〜1重量部
を包含する水添共重合体組成物。
【0017】
9.発泡体であることを特徴とする前項8に記載の水添共重合体組成物。
10.建築材料、制振・防音材料又は電線被覆材料であることを特徴とする前項8に記載の水添共重合体組成物。
11.前項8に記載の水添重合体組成物を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋水添共重合体組成物。
12.前項1に記載の水添共重合体(a−0)100重量部、及び
粘着付与剤(n)20〜400重量部
を包含する粘接着性組成物。
13.前項1に記載の水添共重合体(a−0)0.5〜50重量部、及び
アスファルト(o)100重量部
を包含するアスファルト組成物。
【0018】
14.前項1に記載の水添共重合体と、該水添共重合体に結合した官能基含有一次変性剤基とを包含する一次変性水添共重合体。
15.該一次変性剤基が、水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有することを特徴とする前項14に記載の一次変性水添共重合体。
【0019】
16.該一次変性剤基が下記式(1)〜(14)からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする前項15に記載の一次変性水添共重合体。
【化2】
Figure 0004079942
【0020】
上記式(1)〜(14)において、Nは窒素原子、Siは珪素原子、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子を表し、 R1 、R 2 は各々独立に水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表し、且つ、該炭化水素基は、所望により、各々独立に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基及び炭素数1〜24のアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有してもよく、各R5 は各々独立に炭素数1〜48の炭化水素基を表し、且つ、所望により、各々独立に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基及び炭素数1〜24のアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有してもよく、各R6 は各々独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
【0021】
17.発泡体であることを特徴とする前項14に記載の一次変性水添共重合体。
18.前項14に記載の一次変性水添共重合体を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋一次変性水添共重合体。
19.前項14に記載の一次変性水添共重合体である成分(a−1)を、成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と、
該一次変性水添共重合体(a−1)以外の熱可塑性樹脂及び該一次変性水添共重合体(a−1)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して(b)99〜1重量部
を包含する一次変性水添共重合体組成物。
【0022】
20.発泡体であることを特徴とする前項19に記載の一次変性水添共重合体組成物。
21.前項19に記載の一次変性水添共重合体組成物を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋一次変性水添共重合体組成物。
22.前項14に記載の一次変性水添共重合体(a−1)100重量部、及び
粘着付与剤(n)20〜400重量部
を包含する粘接着性組成物。
23.前項14に記載の一次変性水添共重合体(a−1)0.5〜50重量部、及び
アスファルト(o)100重量部
を包含するアスファルト組成物。
24.二次変性剤を前項14に記載の一次変性水添共重合体と反応させることによって得られる二次変性水添共重合体であって、該二次変性剤は該一次変性水添共重合体の一次変性剤基の官能基と反応性を有する官能基を有することを特徴とする二次変性水添共重合体。
【0023】
25.該二次変性剤の該官能基が、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基、エポキシ基、シラノール基及びアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする前項24に記載の二次変性水添共重合体。
26.発泡体であることを特徴とする前項24に記載の二次変性水添共重合体。
27.前項24に記載の二次変性水添共重合体を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋二次変性水添共重合体。
28.前項24に記載の二次変性水添共重合体である成分(a−2)を、成分(a−2)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と
該二次変性水添共重合体(a−2)以外の熱可塑性樹脂及び該二次変性水添共重合体(a−2)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−2)と成分(b)との合計100重量部に対して99〜1重量部を包含する二次変性水添共重合体組成物。
【0024】
29.発泡体であることを特徴とする前項28に記載の二次変性水添共重合体組成物。
30.前項28に記載の二次変性水添共重合体組成物を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋二次変性水添共重合体組成物。
31.前項24に記載の二次変性水添共重合体(a−2)100重量部、及び
粘着付与剤(n)20〜400重量部
を包含する粘接着性組成物。
32.前項24に記載の二次変性水添共重合体(a−2)0.5〜50重量部、及び
アスファルト(o)100重量部
を包含するアスファルト組成物。
【0025】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、重合体を構成する各単量体単位の命名は、該単量体単位が由来する単量体の命名に従っている。例えば、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。また、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエンを重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。
【0026】
本発明の水添共重合体は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む非水添共重合体(以下、しばしば「ベース非水添共重合体」と称する)を水添して得られるものである。本発明の水添共重合体は、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位からなる非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック(C)とからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体ブロック、及び、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなる。ただし、共役ジエン単量体単位からなる該非水添重合体ブロックのビニル結合量は30%未満である。
【0027】
上記重合体ブロック(A)及び水添重合体ブロック(C)は、物理架橋点のような役割を果たすので、「拘束相」と称する。これに対して、上記水添共重合体ブロック(B)は、「非拘束相」と称する。
本発明の水添共重合体は、拘束相である重合体ブロックを2個以上有することが好ましい。また、本発明の水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合、水添共重合体は重合体ブロック(A)を少なくとも2個有することが必要である。本発明の水添共重合体が拘束相である重合体ブロックを2個以上有する場合、本発明の水添共重合体は引張破断伸びが大きく、例えば引張速度200mm/minの条件下で引張破断伸びが通常100%以上、好ましくは200%以上、更に好ましくは300%以上である。
また、本発明の水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有する場合、架橋性が良好である。
【0028】
本発明の水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことが必要である。ここで、「−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない」とは、この温度範囲において水添共重合体ブロック(B)の結晶化に起因するピークが現れないか、または、結晶化に起因するピークが認められるが、その結晶化による結晶化ピーク熱量が3J/g未満、好ましくは2J/g未満、更に好ましくは1J/g未満、特に好ましくは結晶化ピーク熱量が無いことを意味する。
本発明の水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有する場合には、上記示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B
)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことは必要とされない。しかし、水添重合体ブロック(C)を有する場合においても、上記示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことが好ましい。
【0029】
示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて−20〜80℃の範囲に水添重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない水添共重合体は、柔軟性が良好であり、軟質な塩化ビニル樹脂が使用されている用途への展開に好適である。上記のような−20〜80℃の範囲に水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない水添共重合体は、後述するようなビニル結合量調整剤や、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するための、後述するような調整剤を用いて後述するような条件下で重合反応を行うことによって得られる非水添共重合体を水添することによって得られる。
【0030】
水添重合体ブロック(C)を有する場合、示差走査熱量測定(DSC)チャートにおける、水添重合体ブロック(C)に起因する結晶化ピークに関しては、結晶化ピーク温度が30℃以上、好ましくは45〜100℃、更に好ましくは50〜90℃の温度範囲に結晶化ピークを有することが好ましい。また、この結晶化ピーク熱量は好ましくは3J/g以上、好ましくは6J/g以上、更に好ましくは10J/g以上である。
結晶化ピーク温度及び結晶化ピーク熱量は、示差走査熱量測定装置を用いて測定することができる。
【0031】
本発明の水添共重合体におけるビニル芳香族単量体単位の含有量は、水添共重合体に対して40重量%を越え、95重量%未満である。本発明の水添共重合体は、ビニル芳香族単量体単位の含有量が上記の範囲にあるので、柔軟性、耐磨耗性、耐打痕性に優れる。柔軟性、耐磨耗性、耐打痕性の点からは、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、好ましくは44重量%以上で90重量%未満、更に好ましくは48〜88重量%である。特に、水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、好ましくは50重量%を越え、95重量%未満、より好ましくは55重量%を超え、92重量%未満、更に好ましくは60重量%を超え、88重量%未満、とりわけ好ましくは62〜85重量%である。また、水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有する場合、ビニル芳香族単量体単位の含有量は、好ましくは40重量%を越え、90重量%未満、より好ましくは44〜85重量%、更に好ましくは48〜80重量%、とりわけ好ましくは50〜70重量%である。
【0032】
ビニル芳香族単量体単位の水添共重合体に対する含有率は、ビニル芳香族単量体単位のベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、ビニル芳香族単量体単位の水添共重合体に対する含有率は、ベース非水添共重合体に対する含有率として求める。ビニル芳香族単量体単位の水添共重合体に対する含有率は、ベース非水添共重合体を検体として、紫外分光光度計を用いて測定する。
本発明の水添共重合体において、重合体ブロック(A)の含有量は水添共重合体に対して0〜60重量%である。本発明の水添共重合体は、重合体ブロック(A)の含有量が上記範囲にあるので、柔軟性に優れる。耐熱性の点からは、重合体ブロック(A)の含有量は、好ましくは5〜60重量%、更に好ましくは8〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%、とりわけ好ましくは12〜35重量%である。また、柔軟性と取り扱い性(耐ブロッキング性)の点からは、重合体ブロック(A)の含有量は、好ましくは0〜40重量%、更に好ましくは1〜40重量%、更に好ましくは5〜35重量%、とりわけ好ましくは10〜30重量%である。なお、「耐ブロッキング性」とは、樹脂成形品を積み重ねたり、樹脂フィルムを巻いたりして、そのまま長時間放置した際に、接触面が接着し、簡単にはがれなくなる固着現象(ブロッキング)に対する耐性のことである。更に、架橋性の点からは、重合体ブロック(A)の含有量は、好ましくは5重量%未満、更に好ましくは2重量%未満である。
【0033】
本発明において、重合体ブロック(A)の水添共重合体に対する含有率は、重合体ブロック(A)のベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、重合体ブロック(A)の水添共重合体に対する含有率は、重合体ブロック(A)のベース非水添共重合体に対する含有率として求める。具体的には、四酸化オスミウムを触媒としてベース非水添共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、しばしば「四酸化オスミウム分解法」と称する)で求めたビニル芳香族重合体ブロック成分の重量(但し、平均重合度が約30以下のビニル芳香族重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求める。
【0034】
ビニル芳香族重合体ブロック(A)の含有量(重量%)=(ベース非水添共重合体中のビニル芳香族重合体ブロック(A)の重量/ベース非水添共重合体の重量)×100。
なお、重合体ブロック(A)の水添共重合体に対する含有率を直接測定する場合には、水添共重合体を検体として、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて行うことができる(Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981)に記載の方法;以後、「NMR法」と称する)。
なお、上記四酸化オスミウム分解法によって求めた重合体ブロック(A)の含有率(「Os値」と称する)と、上記NMR法によって求めた重合体ブロック(A)の含有率(「Ns値」と称する)には、相関関係がある。本発明者らが種々の共重合体を用いて検討した結果、その関係は次の式で表されることが分かった。
Os 値=−0.012(Ns値)2+1.8(Ns値)−13.0
【0035】
従って、本発明においてNMR法によって重合体ブロック(A)の水添共重合体に対する含有率(Ns値)を求めた場合には、上記式に基づいてNs値をOs値に換算する。
本発明の水添共重合体における水添共重合体ブロック(B)の含有量に関しては、特に限定はない。しかし、本発明の水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、耐傷付き性の点から、水添共重合体ブロック(B)の含有量は、水添共重合体に対して好ましくは30〜95重量%、更に好ましくは40〜92重量%、特に好ましくは50〜90重量%である。一方、本発明の水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有する場合には、水添共重合体ブロック(B)の含有量は、好ましくは30〜90重量%、更に好ましくは40〜88重量%、とりわけ好ましくは50〜86重量%である。
【0036】
上記のように、水添共重合体ブロック(B)は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる。水添共重合体ブロック(B)の含有量は、上記非水添ランダム共重合体ブロックを製造する際の共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体単位の添加量から求められる。なお、水添共重合体ブロック(B)の水添共重合体に対する含有率は、上記非水添ランダム共重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、水添共重合体ブロック(B)の水添共重合体に対する含有率は、上記非水添ランダム共重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率として求める。
【0037】
本発明の水添共重合体における水添重合体ブロック(C)の含有量に関しては、特に限定はない。しかし、柔軟性と耐磨耗性の点から、水添重合体ブロック(C)の含有量は、水添共重合体に対して好ましくは0〜50重量%、更に好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは12〜45重量%、とりわけ好ましくは15〜40重量%である。
上記のように、水添重合体ブロック(C)は共役ジエン単量体単位からなる非水添重合体ブロックを水添して得られる。水添重合体ブロック(C)の含有量は、上記非水添重合体ブロックを製造する際の共役ジエン単量体の添加量から求められる。なお、水添重合体ブロック(C)の水添共重合体に対する含有率は、上記非水添重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、水添重合体ブロック(C)の水添共重合体に対する含有率は、上記非水添重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率として求める。
【0038】
本発明の水添共重合体の重量平均分子量は、3万〜100万である。本発明の水添共重合体は、重量平均分子量が上記範囲にあることにより、機械的強度や耐傷付き性と成形加工性とのバランスに優れる。機械的強度や耐傷付き性と成形加工性とのバランスの点からは、本発明の水添共重合体の重量平均分子量は、好ましくは5万〜80万、更に好ましくは10万〜50万、とりわけ好ましくは15万〜40万である。特に、本発明の水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有する場合、成形加工性の点から、好ましくは10万を越え、100万以下、更に好ましくは12万〜80万、とりわけ好ましくは14万〜50万である。
【0039】
本発明において、分子量分布(Mw/Mn)(重量平均分子量(Mw)の数平均分子量(Mn)に対する比)は、好ましくは10以下、さらに好ましくは1.05〜8、特に好ましくは1.1〜5である。成形加工性を重視する場合、好ましくは1.3〜5、さらに好ましくは1.5〜5、さらに好ましくは1.6〜4.5、特に好ましくは1.8〜4である。
水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量とほぼ等しいので、水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量として求める。ベース非水添共重合体の重量平均分子量は、分子量が既知の市販の標準単分散ポリスチレンに関して得た検量線を使用して、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求める。水添共重合体の数平均分子量も同様にして求める。分子量分布は、重量平均分子量の数平均分子量に対する比として、計算で求める。
【0040】
上記のように、本発明の水添共重合体は共役ジエン単量体単位とビニル芳香族化合物単量体単位とを含む非水添共重合体(即ち、ベース非水添共重合体)を水添して得られる。本発明の水添共重合体の該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率は、75〜100%である。本発明の水添共重合体は、共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が上記の範囲にあるので、耐磨耗性、取り扱い性(耐ブロッキング性)に優れる。水添率は、耐磨耗性、取り扱い性(耐ブロッキング性)の点から、好ましくは80〜100%、更に好ましくは85〜100%、特に好ましくは90〜100%である。
なお、水添共重合体におけるビニル芳香族単量体単位の二重結合の水添率に関しては特に限定はないが、水添率は好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。
水添共重合体における上記水添率は、核磁気共鳴装置を用いて測定することができる。
【0041】
本発明の水添共重合体は、該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが−10〜80℃、好ましくは0〜70℃、更に好ましくは5〜50℃の範囲に少なくとも1つ存在する。−10〜80℃の範囲に存在する損失正接のピークは、水添共重合体ブロック(B)(共役ジエン単量体単位とビニル芳香族化合物と単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック)に起因するピークである。損失正接のピークが−10〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在することは、水添共重合体の耐磨耗性と柔軟性とのバランスの点で必要である。なお、本発明において、重合体ブロック(A)に起因する損失正接のピークの存在に関しては特に限定はないが、重合体ブロック(A)に起因する損失正接のピークは、通常、80℃を超え、150℃以下の温度範囲内に存在する。
【0042】
動的粘弾性スペクトルにおける損失正接(tanδ)のピークは、粘弾性測定解析装置を用い、周波数を10Hzとして測定される。
上記のように、水添共重合体ブロック(B)は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる。上記非水添ランダム共重合体ブロックにおける共役ジエン単量体単位/ビニル芳香族単量体単位重量比に関しては、特に限定はない。しかし、上記のように、損失正接のピークが−10〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在する必要があることを考慮すると、共役ジエン単量体単位/ビニル芳香族単量体単位重量比は、好ましくは45/55〜10/90、更に好ましくは40/60〜13/87、特に好ましくは35/65〜16/84である。
【0043】
上記のように、水添共重合体ブロック(B)は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる。上記非水添ランダム共重合体ブロックにおける共役ジエン単量体単位のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができる。共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量は、好ましくは5〜50%、さらに好ましくは10〜40%である。共役ジエンとしてイソプレンを使用した場合又は1,3−ブタジエンとイソプレンとを併用した場合には、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合との合計量は好ましくは3〜75%、さらに好ましくは5〜60%である。なお、本発明においては、耐磨耗性の点からは、ビニル結合量は、好ましくは5〜35%、さらに好ましくは8〜25%、特に更に好ましくは10〜20%である。
以下、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合との合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)を単にビニル結合量と称する。
【0044】
上記のように、水添重合体ブロック(C)は、共役ジエン単量体単位からなるビニル結合量が30%未満の非水添重合体ブロックを水添して得られる。上記非水添重合体ブロックのビニル結合量は、耐磨耗性と架橋性、取り扱い性(耐ブロッキング)の点から、好ましくは8〜25%、更に好ましくは10〜25%、とりわけ好ましくは12〜20%である。
上記のビニル結合量は、ベース非水添共重合体を検体として赤外分光光度計を用いて測定される。
上記のように、本発明の水添共重合体は、拘束相としての少なくとも1つの重合体ブロックと、非拘束相としての少なくとも1つの共重合体ブロックとを包含する。本発明の水添共重合体が拘束相としての重合体ブロックを少なくとも2個有する場合、該水添共重合体は引張残留歪率が小さい。引張残留歪率は、好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下、とりわけ好ましくは20%以下である。ここで引張残留歪率とは、引張破断試験において試験片を破断するまで引っ張り、破断して24時間後の残留伸びを破断伸びで除した値(%)である。
【0045】
本発明の水添共重合体の構造に関しては特に限定はなく、いかなる構造のものでも使用できる。本発明の水添共重合体の一態様として、少なくとも1個の水添重合体ブロック(C)、少なくとも1個の水添共重合体ブロック(B)、及び場合によっては少なくとも1個の重合体ブロック(A)を包含する水添共重合体が挙げられるが、このような水添共重合体の例として、下記式で表されるような構造を有するものが挙げられる。
(C−B)n、 C−(B−C)n、 B−(C−B)n、[(C−B)nm−X、[(B−C)n−B]m−X、[(C−B)n−C]m−X、C−(B−A)n
C−(A−B)n、C−(A−B−A)n、C−(B−A−B)n
A−C−(B−A)n、A−C−(A−B)n、A−C−(B−A)n−B、
[(A−B−C)nm−X、[A−(B−C)nm−X、
[(A−B)n−C]m−X、[(A−B−A)n−C]m−X、
[(B−A−B)n−C]m−X、[(C−B−A)nm−X、
[C−(B−A)nm−X、[C−(A−B−A)nm−X、
[C−(B−A−B)nm−X
【0046】
また、本発明の水添共重合体の別の一態様として、少なくとも2個の重合体ブロック(A)と、少なくとも1個の水添共重合体ブロック(B)とを包含する水添共重合体が挙げられるが、このような水添共重合体の例として、下記式で表されるような構造を有するものが挙げられる。
(A−B)n+1、A−(B−A)n、B−(A−B)n+1、[(A−B)nm−X、[(B−A)n−B]m−X、[(A−B)n−A]m−X
上記式において、各Aはそれぞれ独立してビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックを表す。各Bはそれぞれ独立して共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体を水添して得られる水添共重合体ブロックを表す。各Cはそれぞれ独立して、共役ジエン単量体単位からなるビニル結合量が30%未満である非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロックを表す。各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別されていなくてもよい。非水添ランダム共重合体を水添して得られる水添共重合体ブロックB中のビニル芳香族単量体単位は、均一に分布していてもよいし、テーパー状に分布していてもよい。
【0047】
また水添共重合体ブロックBには、ビニル芳香族単量体単位が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。また水添共重合体ブロックBには、ビニル芳香族単量体単位含有量が異なるセグメントが複数個存在していてもよい。各nはそれぞれ独立して1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。各mはそれぞれ独立して2以上の整数、好ましくは2〜11の整数である。各Xはそれぞれ独立してカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を表す。カップリング剤としては、後述の2官能以上のカップリング剤を用いることができる。多官能開始剤としては、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムとの反応生成物、ジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物などを用いることができる。
本発明の水添共重合体は、上記式で表される構造を有するものの任意の混合物であってもよい。また、水添共重合体は、上記式で表される構造を有する水添共重合体と、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体、A−B構造を有する共重合体、及びB−A−B構造を有する共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体との混合物であってもよい。
【0048】
上記のように、本発明の水添共重合体は、該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが−10〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在することが必要であり、上記範囲に存在する損失正接のピークは、水添共重合体ブロック(B)(共役ジエン単量体単位とビニル芳香族化合物と単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる水添共重合体ブロック)に起因するピークである。上記範囲以外においては、損失正接(tanδ)のピークが存在しても存在しなくてもよい。たとえば、本発明の水添共重合体は、上記範囲以外にピークを有する重合体ブロックを含んでいてもよい。そのような重合体ブロックの例として、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添共重合体ブロック(ただし、共役ジエン単量体単位を45重量%以上含有する)を水添して得られる水添共重合体ブロック、及び、ビニル結合量が30%以上である共役ジエン単量体単位からなる非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロックが挙げられる。但し、水添共重合体がこれらの重合体ブロックを含有するとき、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃、好ましくは−50〜100℃の範囲に結晶化ピークが実質的に存在しないことが推奨される。
【0049】
本発明において、共役ジエンは1対の共役二重結合を有するジオレフィンである。共役ジエンの例として、1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(即ちイソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンが挙げられる。これらのうち特に好ましいのは1,3−ブタジエン及びイソプレンである。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
また、ビニル芳香族化合物の例として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンがあげられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
【0050】
上記のように、本発明の水添共重合体は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む非水添共重合体を水添して得られる。該非水添共重合体の製造方法については特に限定はなく、公知の方法を用いることができる。例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いてアニオンリビング重合により製造することができる。炭化水素溶媒の例として、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンなどの脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンなどの脂環式炭化水素類;及びベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素が挙げられる。
【0051】
重合開始剤の例としては、共役ジエン及びビニル芳香族化合物に対してアニオン重合活性を有する脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウムが挙げられる。好適な有機アルカリ金属化合物の例としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に少なくとも1個のリチウムを含む化合物(モノリチウム化合物、ジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物など)が挙げられる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムとの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンとの反応生成物等が挙げられる。さらに、米国特許第5,708,092号、英国特許第2,241,239号、米国特許第5,527,753号等に開示されている有機アルカリ金属化合物も使用することができる。
【0052】
本発明において、有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを共重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエン単量体単位に起因するビニル結合(1,2ビニル結合または3,4ビニル結合)の量の調整や共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。
第3級アミン化合物の例として、式R123N(ただし、R1、R2、R3はそれぞれ独立して炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)で表される化合物が挙げられる。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
【0053】
エーテル化合物の例としては、直鎖状エーテル化合物および環状エーテル化合物が挙げられる。直鎖状エーテル化合物の例としては、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等の、エチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等の、ジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。また、環状エーテル化合物の例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテルが挙げられる。
【0054】
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とを共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であってもよく、それらの組み合わせであってもよい。特に成形加工性の点で分子量分布を好ましい範囲に調整する上では、連続重合が推奨される。重合温度は、通常0〜180℃、好ましくは30〜150℃である。重合に要する時間は他の条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、好ましくは0.1〜10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲で単量体及び溶媒を液相に維持するのに充分な圧力の範囲であれば特に限定はない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物(水、酸素、炭酸ガスなど)が混入しないように留意する必要がある。
【0055】
本発明において、前記の重合が終了した時点で2官能以上のカップリング剤を用いてカップリング反応を行うこともできる。2官能以上のカップリング剤には特に限定はなく、公知のものを用いることができる。2官能性のカップリング剤の例として、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物;安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類が挙げられる。3官能以上の多官能カップリング剤の例として、3価以上のポリアルコール類;エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物;式R4-nSiXn(ただし、各Rはそれぞれ独立して炭素数1から20の炭化水素基を表し、各Xはそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、nは3または4を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物;式R4-nSnXn(ただし、各Rはそれぞれ独立して炭素数1から20の炭化水素基を表し、各Xはそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、nは3または4を表す)で表されるハロゲン化錫化合物、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も多官能カップリング剤として使用できる。
【0056】
上記の方法で製造した非水添共重合体を水添することにより、本発明の水添共重合体が得られる。水添触媒に特に限定はなく、公知の水添触媒を用いることができる。水添触媒の例として次のものが挙げられる。
(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持した担持型不均一系水添触媒、
(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩を有機アルミニウム等の還元剤とともに用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、及び
(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒。
【0057】
具体的な水添触媒としては、日本国特公昭42−8704号公報、日本国特公昭43−6636号公報、日本国特公昭63−4841号公報(米国特許第4,501,857号に対応)、日本国特公平1−37970号公報(米国特許第4,673,714号に対応)、日本国特公平1−53851号公報、日本国特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒の例としては、チタノセン化合物、及びチタノセン化合物と還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、日本国特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できる。具体的には、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上有する化合物が挙げられる。また、還元性有機金属化合物の例としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物が挙げられる。
【0058】
本発明の水添共重合体を製造するための水添反応は、通常0〜200℃、好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施する。水添反応に使用される水素の圧力は、通常0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、更に好ましくは0.3〜5MPaである。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、それらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
上記の水添反応により、水添共重合体の溶液が得られる。水添共重合体の溶液から必要に応じて触媒残査を除去し、水添共重合体を溶液から分離する。溶媒を分離する方法の例としては、水添後の反応液にアセトンまたはアルコール等の水添共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法;反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法;及び重合体溶液を直接加熱して溶媒を留去する方法、が挙げられる。
なお、本発明の水添共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
【0059】
次に、本発明の一次変性水添共重合体について説明する。本発明の一次変性水添共重合体は、本発明の水添共重合体と、該水添共重合体に結合した官能基含有一次変性剤基とを包含する。該官能基含有一次変性剤基は、水添共重合体の少なくとも1つの重合体鎖末端に結合している。
官能基含有一次変性剤基の例として、水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有するものが挙げられる。上記の官能基のうち、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシラン基が好ましい。
水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基及びアルコキシシラン基からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有する一次変性剤基の好ましい例として、下記式(1)〜(14)からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の官能基を有するものが挙げられる。
【0060】
【化3】
Figure 0004079942
【0061】
上記式(1)〜(14)において、Nは窒素原子、Siは珪素原子、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子を表し、R1〜R4は各々独立に水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表し、且つ、該炭化水素基は、所望により、各々独立に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基及び炭素数1〜24のアルコキシシラン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有してもよく、各R5は各々独立に炭素数1〜48の炭化水素基を表し、且つ、所望により、各々独立に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基及び炭素数1〜24のアルコキシシラン基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基を有してもよく、各R6は各々独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
【0062】
本発明において、上記の一次変性剤基を形成するために用いることができる変性剤としては、上記の官能基を有する、及び/又は形成し得る公知の化合物を用いることができる。例えば日本国特公平4−39495号公報(米国特許第5,115,035号に対応)に記載された末端変性処理剤を用いることができる、具体的には、下記のものが挙げられる。
上記式(1)〜(6)の官能基を有する変性剤の例としては、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、N−(1,3−ジブチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、4−ジ(β−トリメトキシシリルエチル)アミノスチレン、4−ジ(β−トリエトキシシリルエチル)アミノスチレン、4−ジ(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミノスチレン、4−ジ(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミノスチレンが挙げられる。
【0063】
上記式(7)の官能基を有する変性剤の例としては、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、ブチロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状ラクトンが挙げられる。
上記式(8)の官能基を有する変性剤の例としては、4−メトキシベンゾフェノン、4−エトキシベンゾフェノン、4,4’−ビス(メトキシ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エトキシ)ベンゾフェノン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
上記式(9)及び(10)の官能基を有する変性剤の例としては、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシランが挙げられる。
【0064】
また、上記式(9)及び(10)の官能基を有する変性剤の更なる例として、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシランが挙げられる。
また、上記式(9)及び(10)の官能基を有する変性剤の更なる例として、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシランが挙げられる。
【0065】
また、上記式(9)及び(10)の官能基を有する変性剤の更なる例として、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシラン、トリス(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリエトキシシランが挙げられる。
また、上記式(9)及び(10)の官能基を有する変性剤の更なる例として、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジブトキシシランが挙げられる。
【0066】
また、上記式(9)及び(10)の官能基を有する変性剤の更なる例として、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジイソプロペンオキシシランが挙げられる。
【0067】
上記式(11)の官能基を有する変性剤の例としては、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。
上記式(12)の官能基を有する変性剤の例としては、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
また、上記式(13)及び(14)の官能基を有する一次変性剤基を有する一次変性水添共重合体は、それぞれ、上記式(11)及び(12)の官能基を有する一次変性剤基を用いて得られる非水添変性共重合体を水添することによって得られる。
本発明の一次変性水添共重合体は、本発明の水添共重合体を変性することによっても製造できるし、また、ベース非水添共重合体を変性してから水添することによっても製造できる。
【0068】
たとえば、ベース非水添共重合体を変性してから水添する場合、有機リチウム化合物を重合触媒として上述のような方法で得たベース非水添共重合体のリビング末端に、上記一次変性剤と反応させることにより一次変性非水添共重合体を得、得られた一次変性非水添共重合体を水添することにより、本発明の一次変性水添共重合体が得られる。
また、リビング末端を有さないベース非水添共重合体に有機リチウム化合物等の有機アルカリ金属化合物を反応(メタレーション反応)させ、有機アルカリ金属化合物が末端に付加した共重合体を得、これに上記一次変性剤を付加反応させる方法が挙げられる。この場合、共重合体の水添物を得た後にメタレーション反応させ、上記の一次変性剤を反応させて一次変性水添共重合体を得ることもできる。
【0069】
なお、変性剤の種類により、一次変性剤を反応させた段階で水酸基やアミノ基等は有機金属塩となっていることもあるが、その場合には水やアルコールなどの活性水素を有する化合物で処理することにより、水酸基やアミノ基等にすることができる。
本発明においては、上記のいずれの変性方法においても、反応温度は、好ましくは0〜150℃、より好ましくは20〜120℃である。変性反応に要する時間は他の条件によって異なるが、好ましくは24時間以内であり、特に好適には0.1〜10時間である。
本発明においては、ベース非水添共重合体のリビング末端に一次変性剤を反応させた後に、変性されていない共重合体が変性共重合体に混在していてもよい。一次変性水添共重合体に混在する未変性の重合体の量は、一次変性水添共重合体の重量に対して好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。
【0070】
次に、本発明の二次変性水添共重合体について説明する。本発明の二次変性水添共重合体は、二次変性剤を本発明の一次変性水添共重合体と反応させることによって得られるものであって、該二次変性剤は該一次変性水添共重合体の一次変性剤基の官能基と反応性を有する官能基を有するものである。
二次変性剤の官能基の好ましい例として、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基、エポキシ基、シラノール基及びアルコキシシラン基から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。二次変性剤は上記の官能基を少なくとも2種有することが特に好ましい。但し、官能基が酸無水物基である場合は、酸無水物基を1個のみ有する二次変性剤も特に好ましい。一次変性水添共重合体に二次変性剤を反応させる場合の二次変性剤の量は、一次変性水添共重合体に結合されている一次変性剤の官能基1当量あたり、通常0.3〜10モル、好ましくは0.4〜5モル、更に好ましくは0.5〜4モルである。
【0071】
一次変性水添共重合体に二次変性剤を反応させる方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば、後述する溶融混練方法や各成分を溶媒等に溶解又は分散混合して反応させる方法が挙げられる。各成分を溶媒等に溶解又は分散混合して反応させる方法において、溶媒としては各成分を溶解又は分散するものであれば特に限定はなく、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素などの炭化水素溶媒の他、含ハロゲン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒などが使用できる。かかる方法において一次変性水添共重合体に二次変性剤を反応させる温度は、通常−10〜150℃、好ましくは30〜120℃である。反応に要する時間は他の条件によって異なるが、通常3時間以内であり、好ましくは数秒〜1時間である。特に好ましい方法は、製造した一次変性水添共重合体の溶液中に二次変性剤を添加して反応させることにより二次変性水添共重合体を得る方法である。この場合、一次変性水添共重合体の溶液を中和処理してから二次変性剤と反応させてもよい。
【0072】
二次変性剤の具体例について説明する。カルボキシル基を有する二次変性剤の例としては、マレイン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、カルバリル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸が挙げられる。
酸無水物基を有する二次変性剤の例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、シス−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキシテトラヒドロキシフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物が挙げられる。
【0073】
イソシアネート基を有する二次変性剤の例としては、トルイレンジイソシアナート、ジフェニルメタンジイソシアナート、多官能芳香族イソシアナートが挙げられる。
エポキシ基を有する二次変性剤の例としてはテトラグリジジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、ジグリシジルアニリン、エチレングリコールジグリシジル、プロピレングリコールジグリシジル、テレフタル酸ジグリシジルエステルアクリレートが挙げられる。さらに、一次変性水添共重合体を得るために使用される一次変性剤として記載した上記のエポキシ化合物が挙げられる。
シラノール基を有する二次変性剤の例としては、一次変性水添共重合体を得るために使用される一次変性剤として記載した上記のアルコキシシラン化合物の加水分解物が挙げられる。
【0074】
アルコキシシラン基を有する二次変性剤の例としては、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)−テトラスルファン、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)−ジスルファン、エトキシシロキサンオリゴマーが挙げられる。さらに、一次変性水添共重合体を得るために使用される一次変性剤として記載した上記のシラン化合物が挙げられる。
本発明において特に好ましい二次変性剤の例として、カルボキシル基を2個以上有するカルボン酸又はその酸無水物、及び、酸無水物基、イソシアネート基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基を2個以上有する架橋剤が挙げられる。具体例として、無水マレイン酸、無水ピロメリット酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、トルイレンジイソシアナート、テトラグリジジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)−テトラスルファンが挙げられる。
【0075】
本発明の水添共重合体(未変性の水添共重合体)は、α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物でグラフト変性することができる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物が挙げられる。
α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の添加量は、水添共重合体100重量部当たり、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
グラフト変性する場合の反応温度は、好ましくは100〜300℃、より好ましくは120〜280℃である。
グラフト変性する方法の詳細については、例えば、日本国特開昭62−79211号公報を参照できる。
【0076】
本発明の一次変性水添共重合体や二次変性水添共重合体を一次変性剤や二次変性剤の官能基と反応性を有する官能性オリゴマーと反応させることにより、オリゴマー変性水添共重合体を得ることができる。官能性オリゴマーの官能基は、一次変性水添共重合体や二次変性水添共重合体に結合している官能基と反応性を有する官能基であれば、特に限定はない。官能性オリゴマーの好ましい例として、水酸基、アミノ基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも一種の官能基を有する官能性オリゴマーが挙げられる。これらの官能性オリゴマーの数平均分子量は、通常300以上で3,0000未満、好ましくは500以上で15,000未満、更に好ましくは1,000以上で20,000未満である。これらの官能性オリゴマーの製造方法については特に限定はなく、公知のいかなる方法でも用いることができる。例えばアニオン重合法、カチオン重合法、ラジカル重合法、縮重合法、重付加反応などで製造できる。
【0077】
官能性オリゴマーの具体例としては、上記官能基を少なくとも1個有するブタジエンオリゴマーまたはその水添物、上記官能基を少なくとも1個有するイソプレンオリゴマーまたはその水添物、上記官能基を少なくとも1個有するエチレンオリゴマー、上記官能基を少なくとも1個有するプロピレンオリゴマー、エチレンオキサイドオリゴマー、プロピレンオキサイドオリゴマー、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合オリゴマー、エチレン−酢酸ビニル共重合オリゴマーのケン化物、上記官能基を少なくとも1個有する官能性ビニル単量体と、それと共重合し得る他のビニル単量体との共重合オリゴマーなどが挙げられる。
【0078】
本発明の水添共重合体(以下、しばしば「成分(a−0)」と称する)、一次変性共重合体(以下、しばしば「成分(a−1)」と称する)または二次変性共重合体(以下、しばしば「成分(a−2)」と称する)を他の重合体と組み合わせることにより、各種成形材料に適した組成物を得ることができる。以下、このような組成物について説明する(以下、本発明の水添共重合体、一次変性共重合体及び二次変性共重合体を総称して、しばしば「成分(a)」と称する)。
本発明の水添共重合体組成物は、本発明の水添共重合体である成分(a−0)を、成分(a−0)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と、該水添共重合体(a−0)以外の熱可塑性樹脂及び該水添共重合体(a−0)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−0)と成分(b)との合計100重量部に対して99〜1重量部、を包含する。
【0079】
本発明の一次変性水添共重合体組成物は、本発明の一次変性水添共重合体である成分(a−1)を、成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と、該一次変性水添共重合体(a−1)以外の熱可塑性樹脂及び該一次変性水添共重合体(a−1)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して(b)99〜1重量部、を包含する。
本発明の二次変性水添共重合体組成物は、本発明の二次変性水添共重合体である成分(a−2)を、成分(a−2)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と、該二次変性水添共重合体(a−2)以外の熱可塑性樹脂及び該二次変性水添共重合体(a−2)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−2)と成分(b)との合計100重量部に対して99〜1重量部、を包含する。
【0080】
上記の水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物のいずれの場合においても、成分(a)/成分(b)重量比は、好ましくは2/98〜90/10、更に好ましくは5/95〜70/30である。
成分(b)が熱可塑性樹脂である場合、上記の水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物は、機械特性や耐磨耗性に優れる。また、成分(b)がゴム状重合体である場合、上記の水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物は、引張強度、伸び特性、耐磨耗性に優れる。
【0081】
成分(b)としての熱可塑性樹脂の例としては、共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とのブロック共重合樹脂、及びその水添物(但し、本発明の水添共重合体とは異なる);前記のビニル芳香族単量体の重合体;前記のビニル芳香族単量体と他のビニル単量体(例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸、アクリルメチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等)との共重合樹脂;ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS);アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS);メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS)が挙げられる。
【0082】
成分(b)としての熱可塑性樹脂のさらなる例としては、ポリエチレン;エチレンを50重量%以上含有するエチレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物;エチレン−アクリル酸アイオノマーや塩素化ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂;ポリプロピレン;プロピレンを50重量%以上含有する、プロピレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体や塩素化ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂;エチレン−ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂;ポリブテン系樹脂;ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂及びその加水分解物などが挙げられる。
【0083】
成分(b)としての熱可塑性樹脂のさらなる例として、アクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体;ポリアクリレート系樹脂;アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルの重合体;アクリロニトリル系単量体と他の共重合可能な単量体とからなる、アクリロニトリル系単量体単位の含有量が50重量%以上の共重合体であるニトリル樹脂;ナイロン−46、ナイロン−6、ナイロン−66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6ナイロン−12共重合体などのポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;熱可塑性ポリウレタン系樹脂;ポリ−4,4’−ジオキシジフェニル−2,2’−プロパンカーボネートなどのポリカーボネート系重合体;ポリエーテルスルホンやポリアリルスルホンなどの熱可塑性ポリスルホン;ポリオキシメチレン系樹脂;ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルなどのポリフェニレンエーテル系樹脂;ポリフェニレンスルフィド、ポリ4,4’−ジフェニレンスルフィドなどのポリフェニレンスルフィド系樹脂;ポリアリレート系樹脂;ポリエーテルケトン重合体又は共重合体;ポリケトン系樹脂;フッ素系樹脂;ポリオキシベンゾイル系重合体;ポリイミド系樹脂;1,2−ポリブタジエン、トランスポリブタジエンなどのポリブタジエン系樹脂が挙げられる。
【0084】
成分(b)としての上記熱可塑性樹脂のうち、特に好ましいのは、ポリスチレン、ゴム変性スチレン系樹脂等のスチレン系樹脂;ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ブチレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル系共重合体、エチレン−アクリル酸エステル系共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル系共重合体等のポリエチレン系重合体;ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体等のポリプロピレン系樹脂;ポリアミド系樹脂;ポリエステル系樹脂;及びポリカーボネート系樹脂である。
成分(b)としての上記の熱可塑性樹脂の数平均分子量は、通常1,000以上、好ましくは5,000〜500万、更に好ましくは1万〜100万である。上記の熱可塑性樹脂の数平均分子量はGPCによって測定できる。
【0085】
成分(b)としてのゴム状重合体の例としては、ブタジエンゴム及びその水添物;スチレン−ブタジエンゴム及びその水添物(但し本発明の水添共重合体とは異なる);イソプレンゴム;アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びその水素添加物;1,2−ポリブタジエン、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチエン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマー;ブチルゴム;アクリルゴム;フッ素ゴム;シリコーンゴム;塩素化ポリエチレンゴムが挙げられる。
成分(b)としてのゴム状重合体のさらなる例としては、エピクロルヒドリンゴム;α,β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム;ウレタンゴム;多硫化ゴム;スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水添物;スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水添物等のスチレン系エラストマー;天然ゴムが挙げられる。
【0086】
成分(b)としての上記ゴム状重合体のうち、好ましいのは、スチレン−ブタジエンブロック共重合体及びその水添物;スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水添物等のスチレン系エラストマー;1,2−ポリブタジエン、エチレン−ブテンゴム、エチレン−オクテンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)等のオレフィン系エラストマー;及びブチルゴムである。
上記ゴム状重合体は、官能基(カルボキシル基、カルボニル基、酸無水物基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノ−ル基、アルコキシシラン基等)を付与した変性ゴムであってもよい。
上記のゴム状重合体の数平均分子量は、好ましくは1万以上、より好ましくは2万〜100万、更に好ましくは3万〜80万である。上記の熱可塑性樹脂の数平均分子量はGPCによって測定できる。
成分(b)は、2種以上を併用してもよい。併用する場合は、熱可塑性樹脂同士を用いてもよいし、ゴム状重合体同士を用いてもよいし、熱可塑性樹脂とゴム状重合体とを併用してもよい。
【0087】
更に、本発明においては、成分(a)が一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体である場合、成分(b)として官能基含有熱可塑性樹脂及び官能基含有ゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体をとると、成分(a)と成分(b)との相溶性が著しく改善される。官能基含有熱可塑性樹脂及び官能基含有ゴム状重合体としては、上記の中から選択できるが、本発明において好適なものとしては官能基含有ポリエチレン系重合体、官能基含有ポリプロピレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリウレタン系樹脂等が挙げられる。
【0088】
なお、上記の一次変性水添共重合体(成分(a−1))、上記成分(b)、及び上記二次変性剤を包含する組成物として、成分(a−1)を成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量%、好ましくは2〜90重量%、更に好ましくは5〜70重量%、上記成分(b)を成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して99〜1重量%、好ましくは98〜10重量%、更に好ましくは95〜30重量%、及び、上記二次変性剤を成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して0.01〜20重量部、好ましくは0.02〜10重量部、更に好ましくは0.05〜7重量部、包含する組成物を得ることもできる。
【0089】
成分(b)が熱可塑性樹脂である場合、成分(a−1)/成分(b)重量比は、好ましくは2/98〜90/10、さらに好ましくは5/95〜60/40、特に好ましくは10/90〜40/60である。
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物は、望むならば、添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に配合されるものであれば特に限定はない。
【0090】
添加剤の例として、「ゴム・プラスチック配合薬品」(日本国ラバーダイジェスト社編)などに記載された添加剤が挙げ混合物等が挙げられる。具体例として、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、けい酸(ホワイトカーボン)、酸化チタン等の無機充填剤;カーボンブラック、酸化鉄等の顔料;ステアリン酸、ベヘニン酸、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、エチレンビスステアロアミド等の滑剤;離型剤;有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の可塑剤;ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤;ヒンダードアミン系光安定剤;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;難燃剤;帯電防止剤、有機繊維、ガラス繊維、炭素繊維、金属ウィスカ等の補強剤;着色剤などである。これらの添加剤は、2種以上を混合して用いてもよい。
【0091】
本発明の水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物のいずれについても、その製造方法には特に限定はなく、公知の方法が利用できる。例えば、バンバリーミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、コニーダ、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等を用いることができる。生産性、良混練性の点から、本発明においては押出機による溶融混合法が好ましい。得られる水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物の形状に特に限定はないが、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等を挙げることができる。また、溶融混練後、直接成形品とすることもできる。
【0092】
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物は、様々な用途に用いることができる。たとえば、本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物は、(i) 補強性充填剤配合物、(ii)架橋物、(iii) 発泡体、(iv)多層フィルム及び多層シートなどの成形品、(v) 建築材料、(vi)制振・防音材料、(vii) 電線被覆材料、(viii)粘接着性組成物、(ix)アスファルト組成物に好適に用いることができ、特に(ii)架橋物、(iii) 発泡体、(v) 建築材料、(vi)制振・防音材料、(vii) 電線被覆材料として有利に用いることができる。以下、これらの具体的態様に関して以下に説明する。(上記のように、水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体を「成分(a)」と総称する。また、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物及び二次変性水添共重合体組成物を、以下しばしば「成分(A)」と総称する。)
【0093】
(i)補強性充填剤配合物
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物に、シリカ系無機充填剤、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸化物、カーボンブラックからなる群より選ばれる少なくとも1種の補強性充填剤(以下、しばしばこれらを成分(c)と称する)を配合して補強性充填剤配合物を調製することができる。補強性充填剤配合物における成分(c)の配合量は、成分(a)または(A)の100重量部に対して0.5〜100重量部、好ましくは5〜100重量部、更に好ましくは20〜80重量部である。補強性充填剤配合物における成分(b)の量は、成分(a)100重量部に対して、好ましくは0〜500重量部、さらに好ましくは5〜300重量部、特に好ましくは10〜200重量部である。
【0094】
補強性充填剤として用いるシリカ系無機充填剤は、化学式SiO2を構成単位の主成分
とする固体粒子であり、例えば、シリカ、クレイ、タルク、カオリン、マイカ、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質などが挙げられる。また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤や、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も使用できる。シリカ系無機充填剤としてはシリカ及びガラス繊維が好ましい。シリカとしては、乾式法ホワイトカーボン、湿式法ホワイトカーボン、合成ケイ酸塩系ホワイトカーボン、コロイダルシリカと呼ばれているもの等が使用できる。平均粒径は0.01〜150μmのものが好ましく、シリカが組成物中に分散し、その添加効果を十分に発揮するためには、平均分散粒子径は好ましくは0.05〜1μm、より好ましくは0.05〜0.5μmである。
【0095】
補強性充填剤として用いる金属酸化物は、化学式Mxy(Mは金属原子、x、yはそれぞれ独立して1〜6の整数)を構成単位の主成分とする固体粒子であり、例えばアルミナ、酸化チタン、酸化マグネシウム、酸化亜鉛等である。また、金属酸化物と金属酸化物以外の無機充填剤の混合物を使用してもよい。
補強性充填剤として用いる金属水酸化物は、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化ジルコニウム、水和珪酸アルミニウム、水和珪酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、酸化錫の水和物、硼砂等の無機金属化合物の水和物等の水和系無機充填材であり、中でも水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウムが好ましい。
補強性充填剤として用いる金属炭酸化物としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムなどが挙げられる。
【0096】
また、補強性充填剤として、FT、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラックが使用でき、窒素吸着比表面積が50mg/g以上、DBP(フタル酸ジブチル)吸油量が80ml/100gのカーボンブラックが好ましい。
上記の補強性充填剤配合物においては、シランカップリング剤(以下、しばしばこれを成分(d)と称する)を使用してもよい。シランカップリング剤は、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体と補強性充填剤との相互作用を緊密にするためのものであり、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体と補強性充填剤とのうちの一方又は両方に対して親和性あるいは結合性の基を有している化合物である。好ましいシランカップリング剤は、シラノール基又はアルコキシシランと共にメルカプト基及び/又は硫黄が2個以上連結したポリスルフィド結合を有するものであり、具体的にはビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−テトラスルフィド、ビス−[3−(トリエトキシシリル)−プロピル]−ジスルフィド、ビス−[2−(トリエトキシシリル)−エチル]−テトラスルフィド、3−メルカプトプロピル−トリメトキシシラン、3−トリエトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルチオカルバモイルテトラスルフィド、3−トリエトキシシリルプロピルベンゾチアゾールテトラスルフィドなどが挙げられる。目的とする作用効果を得る観点から、シランカップリング剤の配合量は、補強性充填剤に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、更に好ましくは1〜15重量%である。
【0097】
上記成分(a)または(A)と補強性充填剤とを包含する補強性充填剤配合物は、架橋剤で架橋して架橋組成物としてもよい。架橋剤としては、有機過酸化物及びアゾ化合物などのラジカル発生剤、オキシム化合物、ニトロソ化合物、ポリアミン化合物、硫黄、硫黄化合物(一塩化硫黄、二塩化硫黄、ジスルフィド化合物、高分子多硫化合物など)を用いることができる。架橋剤の使用量は、通常は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対し0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部の割合である。
【0098】
架橋剤として用いる有機過酸化物(以下、しばしばこれを成分(e)と称する)としては、臭気性やスコーチ安定性(各成分の混合時の条件下では架橋しないが、架橋反応条件にした時には速やかに架橋する特性)の点で、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ−(tert−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3,1,3−ビス(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(tert−ブチルペルオキシ)バレレート、ジ−ter−ブチルパーオキサイドが好ましい。上記以外には、ジクミルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、p−クロロベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルオキシベンゾエート、tert−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert−ブチルクミルペルオキシドなども用いることができる。
【0099】
また架橋する際には、架橋促進剤(以下、しばしばこれを成分(f)と称する)として、スルフェンアミド系、グアニジン系、チウラム系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、チオ尿素系、ジチオカルバメート系の化合物などを必要に応じた量で使用してもよい。また、架橋助剤として、亜鉛華、ステアリン酸などを必要に応じた量で使用することもできる。
また上記の有機過酸化物を使用して補強性充填剤配合物を架橋する際には、特に架橋促進剤として硫黄;p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、N−メチル−N−4−ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン−N,N’−m−フェニレンジマレイミド等のペルオキシ架橋用助剤(以下、しばしば成分(g)と称する);ジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレート等の多官能性メタクリレート単量体;ビニルブチラート、ビニルステアレート等の多官能性ビニル単量体(以下、しばしばこれを成分(h)と称する)などを有機過酸化物と併用することもできる。このような架橋促進剤は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対し通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部の割合で用いられる。
【0100】
架橋剤で補強性充填剤配合物を架橋する方法は、通常実施される方法で行うことができる。例えば、120〜200℃、好ましくは140〜180℃の温度で架橋する。架橋した補強性充填剤配合物は、架橋物の状態で耐熱性、耐屈曲性や耐油性を発揮する。
補強性充填剤配合物の加工性を改良するために、ゴム用軟化剤(以下、しばしば成分(i)と称する)を配合してもよい。ゴム用軟化剤には、鉱物油や、液状もしくは低分子量の合成軟化剤が適している。中でも、一般にゴムの軟化、増容、加工性向上に用いる、ナフテン系及び/又はパラフィン系のプロセスオイル又はエクステンダーオイルが好ましい。鉱物油系ゴム用軟化剤は、芳香族環、ナフテン環及びパラフィン鎖の混合物である。ここで、パラフィン鎖の炭素数が全炭素の50%以上を占めるものがパラフィン系と呼ばれ、ナフテン環の炭素数が30〜45%のものがナフテン系、また芳香族炭素数が30%を超えるものが芳香族系と呼ばれる。補強性充填剤配合物には合成軟化剤を用いてもよく、ポリブテン、低分子量ポリブタジエン、流動パラフィン等が使用可能である。しかし、上記の鉱物油系ゴム用軟化剤が好ましい。補強性充填剤配合物におけるゴム用軟化剤の配合量は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対して0〜100重量部、好ましくは10〜90重量部、更に好ましくは30〜90重量部である。ゴム用軟化剤の量が100重量部を超える場合、ブリードアウトを生じやすく、組成物表面にベタツキを生ずる恐れがある。
上記成分(a)または(A)と補強性充填剤とを包含する補強性充填剤配合物は、建築材料、電線被覆材や制振材料などとして用いることができる。また、その架橋組成物は、その特徴を生かしてタイヤ用途や防振ゴム、ベルト、工業用品、履物、発泡体などに適用することができる。
【0101】
(ii)架橋物
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物を、架橋剤の存在下で架橋して、架橋物(即ち、それぞれ、架橋水添共重合体、架橋一次変性水添共重合体、架橋二次変性水添共重合体、架橋水添共重合体組成物、架橋一次変性水添共重合体組成物、架橋二次変性水添共重合体組成物)とすることができる。架橋することにより、耐熱性[高温C−Set(compression set)]や耐屈曲性を向上することができる。上記架橋物において、成分(a)(即ち、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体)の成分(b)に対する重量比、即ち成分(a)/成分(b)重量比は、通常10/90〜100/0、好ましくは20/80〜90/10、更に好ましくは30/70〜80/20である。
【0102】
本発明において、架橋の方法には特に限定はないが、所謂「動的架橋」を行うことが好ましい。動的架橋とは、各種配合物を溶融状態において、架橋剤が反応する温度条件下で混練させることにより、分散と架橋とを同時に起こさせる手法であり、A. Y. Coranらの文献(Rub. Chem. and Technol. vol. 53. 141-(1980))に詳細に記されている。動的架橋は、通常、バンバリーミキサーや加圧式ニーダーのような密閉式混練機、又は一軸もしくは二軸押出機等を用いて行われる。混練温度は通常130〜300℃、好ましくは150〜250℃であり、混練時間は通常1〜30分である。動的架橋に用いる架橋剤としては、有機過酸化物やフェノール樹脂架橋剤が挙げられ、その使用量は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対し、通常0.01〜15重量部、好ましくは0.04〜10重量部である。
架橋剤として使用する有機過酸化物としては、前述の成分(e)が挙げられる。有機過酸化物を使用して架橋する際には、架橋促進剤として前述の成分(f)を使用することができ、また前述の成分(g)や成分(h)などを併用することもできる。これらの架橋促進剤の使用量は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対し、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部である。
【0103】
本発明の架橋物は、その目的を損なわない範囲内で、望むならば、軟化剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、充填剤、着色剤、滑剤等の添加物を含んでいてよい。最終的な製品の硬さや流動性を調節する為に用いる軟化剤としては、前述の成分(i)が挙げられる。軟化剤は各成分を混練する時に添加してもよいし、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体を製造したときに予め該共重合体の中に含ませて(即ち、油展ゴムを調製して)おいてもよい。軟化剤の添加量は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対し、通常0〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、更に好ましくは20〜100重量部である。また、充填剤としては、前述の成分(c)を用いることができる。充填剤の添加量は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対し、通常0〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、更に好ましくは20〜100重量部である。
本発明の架橋物は、補強性充填剤配合物の架橋組成物と同様に、タイヤ用途や防振ゴム、ベルト、工業用品、はきもの、発泡体などに適用でき、更には医療用器具材料や食品包装材料としても用いることができる。
【0104】
(iii)発泡体
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物は、発泡体としても用いることができる。この場合、通常、本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物に充填剤(以下、これを成分(j)と称する)を配合した組成物を調製し、これを発泡させることにより発泡体を得ることができる。上記発泡体において、成分(b)の量は、成分(a)に対して通常5〜95重量%、好ましくは5〜90重量%、更に好ましくは5〜80重量%である。
【0105】
また、充填剤(j)の配合量は、発泡体を構成する組成物全体に対して通常5〜95重量%であり、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜70重量%である。
本発明の発泡体に用いる充填剤(j)としては、前述の補強性充填剤(成分(c))や硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン酸カリウムウイスカー、マイカ、グラファイト、カーボンファイバー等の無機充填剤;木製チップ、木製パウダー、パルプ等の有機充填剤が挙げられる。充填剤の形状に特に限定はなく、鱗片状、球状、粒状、粉体、不定形状等のものを用いることができる。これらの充填剤は望むならば2種以上を併用してもよい。充填剤は、前述のシランカップリング剤(成分(d))等であらかじめ表面処理を行ったものを使用することもできる。
本発明の発泡体を得るための発泡方法には、化学的方法や物理的方法がある。いずれの方法においても、無機系発泡剤や有機系発泡剤等の化学的発泡剤、或いは物理発泡剤(以下、両者をしばしば成分(k)と称する)を添加することにより、組成物内部に気泡を分布させる。
【0106】
組成物を発泡材料とすることにより、軽量化、柔軟性の向上、意匠性の向上等を図ることができる。無機系発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウム、金属粉等が挙げられる。有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド等が挙げられる。物理的発泡剤としては、ペンタン、ブタン、ヘキサン等の炭化水素;塩化メチル、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素;窒素、空気等のガス;トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ハイドロフルオロカーボン等のフッ素化炭化水素等が挙げられる。これらの発泡剤は組み合わせて使用してもよい。発泡剤の配合量は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対して通常0.1〜8重量部、好ましくは0.3〜6重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
【0107】
本発明の発泡体には、望むならば添加剤を配合することができる。添加剤は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体に一般的に配合されているものであれば特に限定はない。例えば、前述の「ゴム・プラスチック配合薬品」(日本国ラバーダイジェスト社編)などに記載された各種添加剤が使用できる。
また、本発明の発泡体は、望むならば架橋することもできる。架橋の方法は、過酸化物、イオウ等の架橋剤及び必要に応じて共架橋剤等の添加による化学的方法、電子線、放射線等による物理的架橋法を例示することができる。架橋プロセスの例としては、放射線架橋等のような静的な方法(混練しないで架橋する方法)や、動的架橋法が挙げられる。架橋した発泡体を得るための具体的な方法の例としては、ポリマーと発泡剤や架橋剤との混合物を用いてシートを作成し、このシートを160℃くらいに加熱することにより、発泡と同時に架橋反応を起こし、これにより架橋した発泡体を得るという方法が挙げられる。架橋剤としては、前述の成分(e)である有機過酸化物や成分(f)の架橋促進剤を使用することができ、また前述の成分(g)や成分(h)などを併用することができる。これらの架橋促進剤の使用量は、上記成分(a)または(A)の100重量部に対し、通常0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜15重量部である。
【0108】
本発明の発泡体は、シートやフィルムやその他各種成形品に活用することができる。特に柔軟性が必要とされる果実や卵の包装材、ミートトレイ、弁当箱当の食品包装・容器等に好適である。食品包装・容器の素材の例としては、PP等のオレフィン系樹脂/PS等のビニル芳香族化合物重合体やHIPS等のゴム変性スチレン系樹脂/上記成分(a)(/必要に応じて共役ジエン単量体とビニル芳香族単量体とからなるブロック共重合体又はその水添物(但し、本発明の水添共重合体とは異なるもの))からなる組成物を発泡させた発泡体が挙げられる。
また本発明の発泡体は、日本国特開平6−234133号公報に開示されているようなインサート・型空隙拡大法などの方法による射出成形によって、硬質樹脂成形品と組み合わせたクッション性複合成形品を得ることもできる。
【0109】
(iv)多層フィルム及び多層シート
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物は、多層フィルム又はシートとして使用することもできる。本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物からなるフィルムは、その耐熱性、収縮性、ヒートシール性、透明性、防曇性を維持した状態で、各種機能を付与するための他の樹脂層を積層することが可能である。従って、上記の多層フィルムやシートを用いて、さらに耐ブロッキング性や耐引き裂き伝播性、突き刺し強度、破断伸び等の機械的強度、延伸性、結束性、弾性回復性、耐突き破れ性、耐引き裂き性、変形回復性、ガスバリアー性に優れた種々の多層フィルムを得ることができる。
【0110】
上記多層フィルム又はシートにおいて、成分(a)(即ち、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体)の成分(b)に対する重量比、即ち成分(a)/成分(b)重量比は、通常100/0〜5/95、好ましくは100/0〜20/80、更に好ましくは100/0〜40/60である。
上記の多層フィルム又はシートの具体的用途に関しては特に限定はなく、包装用フィルム、バッグ、パウチ等に使用することができる。ストレッチ性を有する多層フィルムの場合は、特に食品包装用ストレッチフィルム、パレットストレッチフィルム、保護フィルム等に好適に使用することができる。バリアー性フィルムの場合は、食品、飲料、精密機器、医薬品等の包装用に使用することができる。熱収縮性フィルムの場合は、シュリンク包装、シュリンクラベル等に使用することができる。
【0111】
(v)建築材料
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物は、建築材料として使用することもできる。この場合、本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物に充填剤及び/又は難燃剤を配合することが好ましい。このような建築材料は、耐磨耗性、耐傷付き性、引張特性等の優れた特性を持ち、特に、床材、壁材、天井材、シーリング材として好適である。また、本発明の建築材料は、発泡体構造を有する成形品としても利用できる。
【0112】
上記建築材料において、成分(a)(即ち、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体)の成分(b)に対する重量比、即ち成分(a)/成分(b)重量比は、通常100/0〜5/95、好ましくは95/5〜10/90、更に好ましくは95/5〜20/80である。
本発明の建築材料に用いる充填剤としては、「発泡体」の項で例示した充填材(成分(j))を使用することができる。
本発明の建築材料に用いる難燃剤(以下、しばしば成分(l)と称する)としては、主として臭素含有化合物などのハロゲン系難燃剤、主として芳香族系リン含有化合物などのリン系難燃剤、主として金属水酸化物などの無機系難燃剤等が挙げられる。
【0113】
ハロゲン系難燃剤の例としては、テトラブロモエタン、オクタブロモジフェニルオキサイド、デカブロモジフェニルオキサイド、ヘキサブロモシクロドデカン、トリブロモネオペンチルアルコール、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエタン、トリス(トリブロモフェノキシ)Sトリアジン、トリス(2,3−ジブロモプロピル)イソシアヌレート、ビス(トリブロモフェノキシ)エタン、エチレンビス(テトラブロモフタルイミド)、ヘキサブロモベンゼン、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAカーボネートオリゴマー、テトラブロモビスフェノールA・ビスフェノールAオリゴマー、テトラブロモビスフェノールS、塩素化ポリエチレン、テトラブロム無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸等が挙げられる。
【0114】
しかし、本発明で用いる難燃剤としては、実質的にハロゲンを含まない難燃剤が好ましい。具体的には、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、レゾルシノール−ビス−(ジフェニルホスフェート)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ジメチルメチルホスフェート、トリアリルホスフェート等及びその縮合体、リン酸アンモニウム及びその縮合体、ジエチルN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチルホスホネート等のリン系難燃剤や、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硼酸亜鉛、硼酸バリウム、カオリン・クレー、炭酸カルシウム、明ばん石、塩基性炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、赤リン、グアニジン化合物、メラミン化合物、3酸化アンチモン、5酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム、シリコーン樹脂等が挙げられる。
【0115】
近年環境問題等により、無機難燃剤が難燃剤の主流となっている。無機難燃剤としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、硼酸亜鉛、硼酸バリウム等の金属酸化物、その他炭酸カルシウム、クレー、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等、主に含水金属化合物等が好適である。本発明の建築材料においては、上記無機難燃剤のうち、難燃性向上の点から水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が好ましい。なお、上記難燃剤の中には、それ自身の難燃性発現効果は低いが、他の難燃剤と併用することで相乗的により優れた効果を発揮する、いわゆる難燃助剤も含まれる。
充填剤及び/又は難燃剤の添加量としては、上記成分(a)または(A)の重量に対して、通常5〜95重量%であり、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜70重量%である。充填剤と難燃剤とは必要に応じて2種以上を併用してもよい。充填剤同士を用いてもよいし、難燃剤同士を用いてもよいし、充填剤と難燃剤とを併用してもよい。充填剤と難燃剤とを併用する場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
【0116】
更に本発明の建築材料は、発泡成形体に加工して使用することもできる。本発明の建築材料を発泡成形体とすることにより、軽量化、柔軟性向上、意匠性向上等を図ることができる。本発明の建築材料を発泡する方法には、無機系発泡剤、有機系発泡剤等の化学的発泡剤を用いる化学的方法や、物理発泡剤等を用いる物理的方法等がある。いずれの方法においても、発泡剤の添加等により材料内部に気泡を分布させる。発泡剤としては、上記の「発泡体」の項で例示した発泡剤(成分(k))を使用することができる。発泡剤の配合量は、成分(a)または(A)の100重量部に対して、通常0.1〜8重量部、好ましくは0.3〜6重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
【0117】
本発明の建築材料は、シートやフィルムなどの各種成形品として活用できる。また、本発明の建築材料からなる成形品の外観性、耐摩耗性、耐候性、耐傷つき性等の向上を目的として、成形品の表面に印刷、塗装、シボ等の加飾等を行うことができる。
本発明の建築材料の使用形態に特に限定はない。床材、壁材や天井材として用いる場合には、コンクリート、金属、木材等の構造材料を被覆するための、最外層部分の被覆材料として使用することが可能である。本発明の建築材料を床材、壁材、天井材の製造に用いる際には、シート、フィルム、タイル、ボード等の形状で提供され、接着剤、粘着材、釘、ねじ等の手法により構造材等の基材に接合される。また本発明の建築材料は、シーリング材として、密閉性を向上させるためのガスケット等に用いることもできる。具体的な用途としては、一般住宅、オフィスビル、商業施設、公共施設等において、タイル等の床材、内壁材、天井内壁材、窓枠ガスケット等が挙げられる。
【0118】
(vi)制振・防音材料
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物は、制振・防音材料として用いることもできる。この場合、本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物に、充填剤及び/又は難燃剤を配合することが好ましい。本発明の制振・防音材料は、柔軟性に富み、優れた制振性、防音性、耐磨耗性、耐傷付き性、強度等の特性を有する。
【0119】
上記制振・防音材料において、成分(a)(即ち、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体)の成分(b)に対する重量比、即ち成分(a)/成分(b)重量比は、通常100/0〜5/95、好ましくは95/5〜10/90、更に好ましくは95/5〜20/80である。
本発明の制振・防音材料に用いる充填剤としては、「発泡体」の項で例示した充填材(成分(j))が挙げられる。また、難燃剤としては、「建築材料」の項で例示した難燃剤(成分(l))を使用することができる。好ましい難燃剤も建築材料の場合と同様である。
充填剤及び/又は難燃剤の添加量としては、成分(a)または(A)の重量に対して、通常5〜95重量%であり、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜70重量%である。充填剤と難燃剤とは必要に応じ2種以上を併用しても良い。2種以上の充填剤を用いてもよいし、2種以上の難燃剤を用いてもよいし、充填剤と難燃剤とを併用してもよい。充填剤と難燃剤とを併用する場合には、その合計量が上記範囲内であることが好ましい。
【0120】
更に本発明の制振・防音材料は、発泡成形体に加工して使用することもできる。本発明の制振・防音材料を発泡成形体とすることにより、軽量化、柔軟性向上、意匠性向上等を図ることができる。本発明の制振・防音材料を発泡させる方法には、無機系発泡剤、有機系発泡剤等の化学的発泡剤を用いる化学的方法や、物理発泡剤等を用いる物理的方法等がある。いずれの方法においても発泡剤の添加等により材料内部に気泡を分布させる。発泡剤としては、上記の「発泡体」の項で例示した発泡剤(成分(k))を使用することができる。発泡剤の配合量は、成分(a)または(A)の100重量部に対して、通常0.1〜8重量部、好ましくは0.3〜6重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。
本発明の制振・防音材料は、シート、フィルムなどの各種成形方法による成形品として活用できる。また、本発明の制振・防音材料からなる成形品の外観性、耐摩耗性、耐候性、耐傷つき性等の向上を目的として、成形品の表面に印刷、塗装、シボ等の加飾等を行うことができる。
【0121】
(vii )電線被覆材料
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物は、電線被覆材料として用いることもできる。この場合、本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物に、充填剤及び/又は難燃剤を配合することが好ましい。本発明の電線被覆材料は、電気絶縁性、可とう性、皮むき性に優れるので、電線、電力ケーブル、通信ケーブル、送電用ケーブルなどの被覆用材料として好適である。
【0122】
上記電線被覆材料において、成分(a)(即ち、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体)の成分(b)に対する重量比、即ち成分(a)/成分(b)重量比は、通常100/0〜5/95、好ましくは95/5〜10/90、更に好ましくは95/5〜20/80である。
本発明の電線被覆材料に用いる充填剤としては、「発泡体」の項で例示した充填材(成分(j))を使用することができる。また、難燃剤としては、「建築材料」の項で例示した難燃剤(成分(l))を使用することができる。好ましい難燃剤も建築材料と同様である。
【0123】
(viii)粘接着性組成物
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物に粘着付与剤(以下、しばしば成分(n)と称する)を配合し、粘接着性組成物を調製することができる。このような粘接着性組成物は粘着力等の粘着特性のバランス性能や高温加熱下における溶融粘度安定性に優れるので、例えば、粘着性テープ、粘着性シート又はフィルム、粘着性ラベル表面保護シート又はフィルムの粘着層や、接着剤に活用することができる。
粘着付与剤の量は、成分(a)または(A)の100重量部に対して、20〜400重量部、好ましくは50〜350重量部の範囲である。粘着付与剤の量が20重量部未満である場合は、粘接着性組成物の粘着性を付与しにくい。また、粘着付与剤の量が400重量部を超える場合は、粘接着性組成物の軟化点の低下を起こす。したがって、粘着付与剤の量が20重量部未満である場合も400重量部を超える場合も、粘接着性特性を損ねる傾向がある。
【0124】
上記粘着性組成物において、成分(a)(即ち、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体)の成分(b)に対する重量比、即ち成分(a)/成分(b)重量比は、通常50/50〜97/3、好ましくは60/40〜95/5、更に好ましくは70/30〜90/10である。
粘接着性組成物に用いる粘着付与剤に特に限定はなく、ポリテルペン系樹脂、水添ロジン系テルペン系樹脂、テルペン−フェノール系樹脂、脂肪族系環状炭化水素樹脂などの公知の粘着付与性樹脂を用いることができる。これらの粘着付与剤は2種類以上混合して使用して良い。粘着付与剤の具体例としては、「ゴム・プラスチック配合薬品」(日本国ラバーダイジェスト社編)に記載されたもの、例えば、ポリテルペン系樹脂であるクリアロンP105やP125、脂肪族系環状炭化水素樹脂であるアルコンP−90やP−115等が使用できる。
【0125】
また、粘接着性組成物には、公知のナフテン系、パラフィン系のプロセスオイル及びこれらの混合オイルを軟化剤として添加してもよい。具体的な軟化剤としては、補強性充填剤配合物の項で例示したゴム用軟化剤(成分(i))が挙げられる。軟化剤を添加することにより粘接着性組成物の粘度が低下するので、加工性が向上するとともに、粘着性が向上する。軟化剤の使用量は、成分(a)または(A)の100重量部に対して、好ましくは0〜200重量部、更に好ましくは0〜150重量部である。200重量部を超える場合、粘接着性組成物の保持力を著しく損ねる傾向がある。
【0126】
更に、粘接着性組成物においては、必要に応じて前述の「ゴム・プラスチック配合薬品」(日本国ラバーダイジェスト社編)に記載された酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤などの安定剤を添加することもできる。更に、上記の安定剤以外には、ベンガラ、二酸化チタンなどの顔料;パラフィンワックス、マイクロクリスタンワックス、低分子量ポリエチレンワックスなどのワックス類;無定形ポリオレフィン、エチレンーエチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン系又は低分子量のビニル芳香族系熱可塑性樹脂;天然ゴム;ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、ポリペンテナマーゴム、及びスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体及びこれらの水添ブロック共重合体などの合成ゴムを粘接着性組成物に添加しても良い。
【0127】
粘接着性組成物の製造方法に特に限定はなく、公知の混合機、ニーダーなどを用いて加熱下で均一混合する方法で調製することができる。
粘接着性組成物は、良好な溶融粘度、粘着力を示し、また溶融粘度変化率も小さく、粘接着特性において優れたバランス性能を有する。これらの特徴を生かして各種粘着テープ・ラベル類、感圧性薄板、感圧性シート、表面保護シート・フィルム、各種軽量プラスチック成型品固定用裏糊、カーペット固定用裏糊、タイル固定用裏糊、接着剤などに利用でき、特に粘着性テープ用、粘着性シート・フィルム用、粘着性ラベル用、表面保護シート・フィルム用、接着剤用として有用である。
【0128】
(ix)アスファルト組成物
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体にアスファルト(以下、しばしば成分(o)と称する)を配合することにより、アスファルト組成物を調製することができる。このようなアスファルト組成物は、伸度、高温貯蔵安定性等のアスファルト特性のバランスが良好であり、このような特性を生かして、例えば、道路舗装用アスファルト組成物、ルーフィング・防水シート用アスファルト組成物及びシーラント用アスファルト組成物として活用することができる。
【0129】
アスファルト組成物に用いるアスファルトは、石油を精製した際の副産物(石油アスファルト)や、天然の産出物(天然アスファルト)として得られるもの、もしくはこれらと石油類を混合したものなどが挙げられる。これらはいずれも、主成分として瀝青(ビチューメン)を含んでいる。アスファルトの具体例として、ストレートアスファルト、セミブローンアスファルト、ブローンアスファルト、タール、ピッチ、オイルを添加したカットバックアスファルト、アスファルト乳剤が挙げられる。これらは2種以上を混合して使用しても良い。
アスファルト組成物に用いる好ましいアスファルトは、JIS−K−2207に準じて測定した針入度が30〜300、好ましくは40〜200、更に好ましくは45〜150のストレートアスファルトである。
【0130】
上記アスファルト組成物において、成分(a)(即ち、水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体)の量は、アスファルト100重量部に対して0.5〜50重量部、好ましくは1〜30重量部、更に好ましくは3〜20重量部である。
アスファルト組成物には、必要に応じて種々の添加剤を配合することができる。例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、タルク、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ガラス繊維、ガラスビーズ等の無機充填剤;有機繊維、クマロンインデン樹脂等の有機補強剤;有機パーオキサイド、無機パーオキサイド等の架橋剤;チタン白、カーボンブラック、酸化鉄等の顔料;染料;難燃剤;酸化防止剤;紫外線吸収剤;帯電防止剤;滑剤;パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン、ミネラルオイル等の軟化剤;可塑剤;クマロンインデン樹脂、テルペン樹脂などの粘着付与樹脂などを添加剤として加えてもよい。
【0131】
また、アタクチックポリプロピレン、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン系樹脂、低分子量のビニル芳香族系熱可塑性樹脂、天然ゴム、ポリイソプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、クロロプレンゴム、アクリルゴム、イソプレン−イソブチレンゴム、及び本発明の水添共重合体以外のスチレン−ブタジエン系ブロック共重合体又はその水添物、スチレン−イソプレン系ブロック共重合体又はその水添物等の合成ゴム、イオウ等の加硫剤、加硫助剤、その他の増量剤あるいはこれらの混合物も添加剤として用いることができる。特に、アスファルト組成物を道路舗装用として用いる場合には、通常、鉱物質の砕石、砂、スラグなどの骨材と混合して使用する。
【0132】
上記のように、本発明本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体、二次変性水添共重合体、水添共重合体組成物、一次変性水添共重合体組成物または二次変性水添共重合体組成物は、様々な用途に使用できる。成形品として使用する場合、成形方法としては、押出成形、射出成形、中空成形、圧空成形、真空成形、発泡成形、複層押出成形、複層射出成形、高周波融着成形、スラッシュ成形及びカレンダー成形などを用いることができる。成形品の例としては、シート、フィルム、チューブや、不織布や繊維状の成形品、合成皮革等が挙げられる。本発明の水添共重合体等及び水添共重合体組成物からなる成形品は、食品包装材料、医療用器具材料、家電製品及びその部品、電子デバイス及びその部品、自動車部品、工業部品、家庭用品、玩具等の素材、履物用素材、繊維素材、粘・接着剤用素材、アスファルト改質剤などに利用できる。自動車部品の具体例としては、サイドモール、グロメット、ノブ、ウェザーストリップ、窓枠とそのシーリング材、アームレスト、ドアグリップ、ハンドルグリップ、コンソールボックス、ベッドレスト、インストルメントパネル、バンパー、スポイラー、エアバック装置の収納カバー等が挙げられる。医療用具の具体例としては、血液バッグ、血小板保存バック、輸液(薬液)バック、人工透析用バック、医療用チューブ、カテーテル等が挙げられる。その他、粘接着テープ・シート・フィルム基材、表面保護フィルム基材及び該フィルム用粘接着剤、カーペット用粘接着剤、ストレッチ包装用フィルム、熱収縮性フィルム、被覆鋼管用被覆材、シーラントなどに用いることができる。
【0133】
【発明を実施するための最良の形態】
以下、参考例、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
実施例及び比較例においては、非水添共重合体を水添して水添共重合体を得る。上記のように、この非水添共重合体を、しばしば「ベース非水添共重合体」と称する。
重合体の特性や物性の測定は次の方法で行った。
【0134】
I.各種の水添共重合体
I−1)スチレン含有量
スチレン単量体単位の水添共重合体に対する含有率は、ベース非水添共重合体を検体として、紫外分光光度計(UV−2450;日本国島津製作所製)を用いて測定した。スチレン単量体単位の水添共重合体に対する含有率は、スチレン単量体単位のベース非水添共重合体に対する含有率として求めた。
なお、水添共重合体を検体とする場合は、核磁気共鳴装置(ドイツ国BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。
【0135】
I−2)スチレン重合体ブロック含有量(Os値)
非水添共重合体のスチレン重合体ブロック含有量は、I.M.Kolthoff,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法で測定した。非水添共重合体の分解にはオスミウム酸の0.1g/125ml第3級ブタノール溶液を用いた。ここで得られるスチレン重合体ブロック含有量を「Os値」と称する。
なお、水添共重合体のスチレン重合体ブロック含有量を測定する場合は、核磁気共鳴装置(JMN−270WB;日本国日本電子社製)を使用して、Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981)に記載の方法に準じて測定した。具体的には、水添共重合体の30mgを1gの重クロロホルムに溶解したものを試料とし、1H−NMRを測定した。NMR測定によって得られる水添共重合体のスチレン重合体ブロック含有量(Ns値)は、全積算値、化学シフト6.9〜6.3ppmの積算値、及び化学シフト7.5〜6.9ppmの積算値から求め、Ns値をOs値に換算する。計算方法を下記に示す。
【0136】
ブロックスチレン(St)強度=(6.9〜6.3ppm)積算値/2
ランダムスチレン(St)強度
=(7.5〜6.9ppm)積算値−3(ブロックSt強度)
エチレン・ブチレン(EB)強度
=全積算値−3{(ブロックSt強度)+(ランダムSt強度)}/8
NMR測定によって得られるスチレン重合体ブロック含有量(Ns値)
=104(ブロックSt強度)/[104{(ブロックSt強度)+(ランダムSt強度)}+56(EB強度)]
Os値=−0.012(Ns値)2+1.8(Ns値)−13.0
【0137】
I−3)非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる水添共重合体ブロック(B)の含有量
水添共重合体ブロック(B)の含有量は、非水添ランダム共重合体ブロックを製造する際の共役ジエン単量体及びビニル芳香族単量体単位の添加量から求める。水添共重合体ブロック(B)の水添共重合体に対する含有率は、上記非水添ランダム共重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率として求める。
【0138】
I−4)非水添共役ジエン重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック(C)の含有量
水添重合体ブロック(C)の含有量は、非水添共役ジエン重合体ブロックを製造する際の共役ジエン単量体の添加量から求められる。水添重合体ブロック(C)の水添共重合体に対する含有率は、上記非水添重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率として求める。
【0139】
I−5)ビニル結合量
ベース非水添共重合体における重合体ブロックのビニル結合量は、赤外分光光度計(FT/IR−230;日本国日本分光社製)を用いて測定した。単独重合体ブロックである共役ジエン重合体ブロックのビニル結合量はモレロ法により算出した。また、共重合体ブロックである共役ジエン/スチレン共重合体ブロックのビニル結合量はハンプトン法により算出した。
なお、水添共重合体を使用してビニル結合量を測定する場合、核磁気共鳴装置(DPX−400;ドイツ国BRUKER社製)を用いて測定した。
【0140】
I−6)重量平均分子量及び分子量分布
水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量とほぼ等しいので、水添共重合体の重量平均分子量はベース非水添共重合体の重量平均分子量として求める。ベース非水添共重合体の重量平均分子量は、GPCにより測定した(米国ウォーターズ社製の装置を用いた)。溶媒としてテトラヒドロフランを用い、温度35℃で測定した。分子量が既知の市販の標準単分散ポリスチレン系ゲルを用いて作成した検量線を使用し、GPCクロマトグラムから重量平均分子量を求めた。
また、上記GPCクロマトグラムから数平均分子量を求めた。
分子量分布は、得られた重量平均分子量(Mw)の得られた数平均分子量(Mn)に対する比として求める。
【0141】
I−7)変性率
変性共重合体は、シリカ系ゲルカラムには吸着するが、ポリスチレン系ゲルカラムには吸着しないという特性がある。この特性を利用して、変性率を次のように測定する。試料(変性後の共重合体)及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液に関して、上記のI−6)に記載したのと同じ標準ポリスチレン系ゲルカラム(Shodex;日本国昭和電工製)カラムのGPCと、シリカ系ゲルカラム(Zorbax;米国デュポン社製)のGPCとを行って両クロマトグラムを測定する。それらの差分よりシリカカラムへの吸着量を測定し、変性率を求める。
【0142】
I−8)共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率
水添率は、核磁気共鳴装置(DPX−400;ドイツ国BRUKER社製)を用いて測定した。
I−9)損失正接(tanδ)のピーク温度
粘弾性測定解析装置(型式DVE−V4;日本国(株)レオロジ社製)を用い、粘弾性スペクトルを測定することにより求めた。測定周波数は、10Hzである。
【0143】
I−10)結晶化ピーク及び結晶化ピーク熱量
水添共重合体の結晶化ピーク及び結晶化ピーク熱量は、DSC装置(DSC3200S;日本国マックサイエンス社製)を用いて測定した。室温から30℃/分の昇温速度で150℃まで昇温し、その後10℃/分の降温速度で−100℃まで降温して結晶化カーブを測定して結晶化ピークの有無を確認した。また、結晶化ピークがある場合、そのピークが出る温度を結晶化ピーク温度とし、結晶化ピーク熱量を測定した。
【0144】
I−11)引張強度、柔軟性、引張残留歪率
JIS−K−6251に準拠して引張強度と100%延伸時の応力(以下、「100%モジュラス」と称する)とを測定した。引張速度は500mm/min、測定温度は23℃であった。100%モジュラスは柔軟性の尺度である。100%モジュラスが小さいほど柔軟性が良好である。100%モジュラスは120kg/cm2以下が好ましい。
また、水添共重合体の引張残留歪率は、JIS−K−6262に準拠した引張強度の測定において、試験片を破断するまで引っ張り、破断して24時間後の残留伸びを測定した。引張残留歪率(%)は次の式で定義される。なお、引張速度は200mm/min、測定温度は23℃であった。
引張残留歪率=(L2/L1)×100
ここで、L1は破断時の標線間の長さを表し、L2は破断して24時間後の標線間の長さを表す。
【0145】
I−12)耐磨耗性
磨耗試験器(AB−301型;日本国テスター産業株式会社製)を用いて、組成物から得られる成形シートの表面(皮シボ加工面)を、摩擦布カナキン3号綿、荷重500gで10,000回摩擦し、摩擦後の体積減少量を測定した。耐磨耗性は以下の基準で判定した。
◎;摩擦回数10,000回後の体積減少量が0.01ml以下
○;摩擦回数10,000回後の体積減少量が0.01mlを越え、0.05ml以下
△;摩擦回数10,000回後の体積減少量が0.05mlを越え、0.10ml以下
×;摩擦回数10,000回後の体積減少量が0.10mlを越える
【0146】
I−13)耐打痕性
水添共重合体からなる厚さ2mmの圧縮試験片(シート)に対し、先端が長さ10mm、幅1mmの長方形で、重さが500gのくさびをシートの上方10cmの地点から落下した。表面粗さ形状測定器(日本国(株)東京精密社製)を用い、レーザー光で走査して、シート上の傷の深さ(単位μm)を測定した。傷の深さが40μm以下のものは耐打痕性が非常に良好である。なお、表1及び表4に記載した数値は傷の深さ(単位μm)を表す。
【0147】
I−14)接着性
T型剥離試験によって接着強さを測定した。接着強さは接着性の尺度である。接着強さが大きい程、接着性が優れる。接着条件及び剥離試験条件は下記の通りである。
接着条件:160℃、5分間予熱、5分間加圧(1kg荷重/cm2
剥離試験条件:剥離速度が200mm/min
なお、被着体として、アルミニウム板(100μ)とPETフィルム(50μ)とを用いた。
【0148】
実施例及び比較例において非変性共重合体及び変性共重合体の水添反応に用いる水添触媒I及びIIは、次のように製造した。
参考例1(水添触媒Iの調製)
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加した。反応容器内の混合物を十分に攪拌しながら、トリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、チタンを含む水添触媒Iを得た。
【0149】
参考例2(水添触媒IIの調製)
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン2リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジ−(p−トリル)40ミリモルと分子量が約1,000の1,2−ポリブタジエン(1,2−ビニル結合量約85%)150グラムとを溶解した後、n−ブチルリチウム60ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を添加して、室温で5分反応させ、直ちにn−ブタノール40ミリモルを添加して攪拌することにより、水添触媒IIを得た。
【0150】
(実施例1)
内容積が10lの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を2基(第1反応器及び第2反応器)使用して、連続重合を以下の方法で行った。
ブタジエン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を2.06l/hrの供給速度で、またn−ブチルリチウムを全モノマー(第1反応器及び第2反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.110重量%になるような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を1.3l/hrの供給速度で、更にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA)のシクロヘキサン溶液をn−ブチルリチウム1モルに対して0.08モルになるような供給速度で、それぞれ第1反応器の底部に供給し、70℃で連続重合した。反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は約69℃、反応器の上部付近の温度は約70℃であった。重合反応器における平均滞留時間は約145分であり、ブタジエンの転化率はほぼ100%であった。得られたポリマーをサンプリングし分析したところ、ブタジエン部分のビニル結合量は、16%であった。
【0151】
第1反応器から出たポリマー溶液を第2反応器の底部へ供給し、それと同時に、ブタジエン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を3.03L/hrの供給速度で、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を7.68L/hrの供給速度で、更にTMEDAのシクロヘキサン溶液を、TMEDAの量が第1反応器に供給したn−ブチルリチウム1モルに対して0.30モルになるような供給速度で、それぞれ第2反応器の反応器の底部に供給し、90℃で連続重合することにより、非水添共重合体を得た。第2反応器の出口でのブタジエンの転化率はほぼ100%、スチレンの転化率は98%であった。
連続重合で得られた非水添共重合体を分析したところ、スチレン含有量は63重量%、スチレン重合体ブロック含有量は0重量%、ブタジエン部分のビニル結合量は14.8重量%であった(なお、計算により、ランダム共重合体ブロック中のブタジエン部分のビニル結合量は14%であった)。
また、重量平均分子量は17.0万、分子量分布は1.8であった。
【0152】
次に、連続重合で得られた非水添共重合体に、上記水添触媒Iを非水添共重合体の重量に対しチタンとして100重量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100重量部に対して0.3重量部添加し、水添共重合体(以下、「ポリマー1」と称する)を得た。
ポリマー1の水添率は98%であった。また、ポリマー1を検体として核磁気共鳴装置を用いてスチレン含有量を測定すると、63重量%という結果が得られた。即ち、スチレン単量体単位の水添共重合体(ポリマー1)に対する含有率は、スチレン単量体単位のベース非水添共重合体に対する含有率と一致していた。
ポリマー1の特性を表1に示す。
【0153】
(実施例2)
第1反応器に供給するブタジエンの供給量を4.13L/hrに変え、n−ブチルリチウムの供給量を1.60L/hrに変え、TMEDAの供給量を0.10モルに変え、また第2反応器に供給するブタジエンの供給量を2.61L/hrに変え、スチレンの供給量を6.21L/hrに変え、TMEDAの供給量を0.30モルに変えること以外は、実施例1と同様の方法で連続重合を行い、非水添共重合体を得た。
次に、実施例1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー2」と称する)を得た。ポリマー2の特性を表1に示す。
【0154】
(実施例3)
実施例1で使用した第1反応器を用い、バッチ重合を以下の方法で行った。
ブタジエン20重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を反応器に投入した。次いでn−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.08重量%とTMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.12モル添加し、70℃で1時間重合した。この時点でサンプリングしたポリマーのビニル結合量を測定したところ、20%であった。次に、ブタジエン25重量部とスチレン55重量部とを含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を反応器に投入して70℃で1時間重合し、非水添共重合体を得た。得られた非水添共重合体は、スチレン含有量が55重量%、スチレン重合体ブロック含有量が0重量%、ブタジエン部分のビニル結合量が20重量%、重量平均分子量15万、分子量分布が1.1であった。
次に、実施例1と同様に水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー3」と称する)を得た。ポリマー3の水添率は99%であった。ポリマー3の特性を表1に示す。
【0155】
(実施例4)
実施例1で使用した第1反応器を用い、バッチ重合を以下の方法で行った。
ブタジエン15重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を反応器に投入した。次にn−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.09重量%とTMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.10モル添加し、70℃で1時間重合した。その後、ブタジエン20重量部とスチレン50重量部とを含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を加えて70℃で1時間重合した。さらに、スチレン15重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を加えて70℃で1時間重合し、非水添共重合体を得た。
得られた非水添共重合体は、スチレン含有量が65重量%、スチレン重合体ブロック含有量が15重量%、ブタジエン部分のビニル結合量が18重量%、重量平均分子量が14.5万、分子量分布が1.1であった。
次に、実施例1と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー4」と称する)を得た。ポリマー4の特性を表1に示す。
【0156】
(実施例5)
実施例2と同様の方法で連続重合を行い、非水添共重合体を得た。連続重合が終了した時点で、リビングポリマーに変性剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンを連続重合に使用したn−ブチルリチウムに対して当モル反応させることにより、変性共重合体を得た。得られた変性共重合体の変性率は75%であった。
次に、水添触媒IIを用いて、実施例1と同様の方法で水添反応を行い、変性水添共重合体(以下、「ポリマー5」と称する)を得た。ポリマー5は、ポリマー2と同様に優れた柔軟性、耐磨耗性、耐打痕性を示した。また、ポリマー5の接着強さを測定したところ、70gf/cm(対アルミニウム板)、40gf/cm(対PETフィルム)と優れた接着性を有していた。
【0157】
(比較例1)
実施例1で用いた第1反応器及び第2反応器反応器を使用し、共重合体の連続重合を以下の方法で行った。
ブタジエン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を4.51l/hrで、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を2.06L/hrで、全モノマー(第1反応器及び第2反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対するn−ブチルリチウムの量が0.077重量%となるような濃度に調整したn−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液を2.0l/hrで、第1反応器の底部にそれぞれ供給し、更にTMEDAの量がn−ブチルリチウム1モルに対して0.44モルとなる供給速度で供給し、90℃で連続重合した。反応温度はジャケット温度で調整した。
【0158】
第1反応器から出たポリマー溶液を第2反応器の底部へ供給し、それと同時に、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を1.37l/hrの供給速度で第2反応器の底部に供給し、90℃で連続重合して非水添共重合体を得た。
得られた非水添共重合体を分析したところ、スチレン含有量は45重量%、スチレン重合体ブロック含有量が18重量%、ブタジエン部分のビニル結合量が15重量%、重量平均分子量が20.2万、分子量分布は1.9であった。
次に、実施例1と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー6」と称する)を得た。ポリマー6の特性を表1に示す。
【0159】
(比較例2)
実施例1で使用した第1反応器を用い、バッチ重合を以下の方法で行った。
ブタジエン20重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を反応器に投入した。次に、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.07重量%とTMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.20モル添加し、70℃で1時間重合した。この時点でサンプリングしたポリマーのビニル結合量を測定したところ、25%であった。その後、ブタジエン50重量部とスチレン30重量部とを含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)とTMEDAの0.70モルとを反応器に投入して70℃で1時間重合し、非水添共重合体を得た。得られた非水添共重合体は、スチレン含有量が30重量%、スチレン重合体ブロック含有量が0重量%、ブタジエン部分のビニル結合量が37重量%、重量平均分子量が19.0万、分子量分布が1.1であった。
次に、実施例1と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー7」と称する)を得た。ポリマー7の特性を表1に示す。
【0160】
(比較例3)
実施例1で使用した第1反応器を用い、バッチ重合を以下の方法で行った。
ブタジエン20重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を反応器に投入した。n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.08重量%とTMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.10モル添加し、70℃で1時間重合した。この時点でサンプリングしたポリマーのビニル結合量を測定したところ、18%であった。その後、ブタジエン55重量部とスチレン20重量部とを含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)とTMEDAを0.30モル加えて70℃で1時間重合した。次にスチレン5重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を加えて70℃で1時間重合し、非水添共重合体を得た。
得られた非水添共重合体は、スチレン含有量が25重量%、スチレン重合体ブロック含有量が5重量%、ブタジエン部分のビニル結合量が22重量%、重量平均分子量が16.5万、分子量分布が1.1であった。
次に、実施例1と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー8」と称する)を得た。ポリマー8の特性を表1に示す。
【0161】
(比較例4)
軟質塩化ビニル樹脂(スミフレックスK580CF1:日本国住友ベークライト株式会社製)を用いて諸物性を測定した。結果を表1に示す。
【0162】
II.各種の水添共重合体組成物
II−1)引張特性
上記項目I−11)に記載の方法と同じ方法で測定した。ただし、引張速度は500mm/minである。
II−2)耐磨耗性
上記項目I−12)に記載の方法と同じ方法で測定した。
【0163】
実施例6〜9において、共重合体組成物を製造した。使用した成分と評価方法を下記に示す。
*熱可塑性樹脂
PP−1<ホモポリプロピレン>(PM801A:日本国サンアロマー製)
PP−2<ランダムポリプロピレン>(PC630A:日本国サンアロマー製)
*ゴム状重合体
SEBS<スチレン−ブタジエンブロック共重合体を水添して得られる水添ブロック共重合体>(タフテックH1221:日本国旭化成(株)製)
【0164】
(実施例6〜9)
水添共重合体、熱可塑性樹脂、ゴム状重合体を表2に示す組成で混合し、二軸押出機(PCM30;日本国池貝鉄工社)で混練し、ペレット化することにより水添共重合体組成物を得た。押出条件は、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数300rpmであった。得られた水添共重合体組成物を圧縮成形して2mm厚のシートを作成し、このシートを用いて物性を測定した。結果を表2に示す。
【0165】
III .動架橋水添共重合体の物性
実施例10、11において、動架橋共重合体を製造した。
使用した成分と評価方法を下記に示す。
*熱可塑性樹脂
PP−2(上記のPC630A)
*ゴム状重合体
SEBS(上記のタフテックH1221)
III −1)引張強さ、伸び
上記項目II−1)に記載の方法と同じ方法で測定した。
III −2)耐磨耗性
上記項目II−2)に記載の方法と同じ方法で測定した。
III −3)圧縮永久ひずみ
JIS−K−6262に準拠し、圧縮永久ひずみ試験を行った。測定条件は、温度70℃、時間22時間である。数値が小さい程、耐熱性に優れる。
【0166】
(実施例10、11)
水添共重合体、熱可塑性樹脂、ゴム状重合体、有機過酸化物<パーヘキサ25B(日本国日本油脂(株)製)>を表3に示す組成で混合後、上記の二軸押出機にて溶融混練し(実施例10:シリンダー温度210℃、スクリュー回転数250rpm;実施例11:シリンダー温度230℃、スクリュー回転数250rpm)、ペレット化することにより組成物を得た。得られた組成物を、油圧成型機(日本国ショージ社製;出力36トン)を用いて圧縮成形して2mm厚のシートを作成し、このシートを用いて物性を測定した。結果を表3に示す。
【0167】
実施例12〜18、比較例5においてスチレン重合体ブロックを2個以上有する共重合体、変性共重合体等を製造した。なお、物性の測定は上記項目Iにおけると同じ方法で行った。
(実施例12)
実施例1で用いた第1反応器を用いて、共重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.072重量%、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、その後モノマーとしてスチレン10重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
【0168】
次に、ブタジエン35重量部とスチレン45重量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
その後、更にモノマーとしてスチレン10重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させ、共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は65重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は20重量%であった。
【0169】
次に、得られた共重合体に、上記水添触媒Iを共重合体の重量に対してチタンとして100重量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体の重量に対して0.3重量%添加し、水添共重合体(以下、「ポリマー9」と称する)を得た。ポリマー9の水添率は97%であった。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。ポリマー9の特性を表4に示した。
70重量部のポリマー9、30重量部のポリプロピレン樹脂(上記PC630A)、25重量部の炭酸カルシウム、0.4重量部のマイクロクリスタリンワックスをヘンシェルミキサーで混合後、上記の二軸押出機にて温度230℃、スクリュー回転数250rpmの条件で溶融混練することにより、組成物を得た。
【0170】
(実施例13)
実施例1で用いた第1反応器を用いて、共重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.25重量%、TMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.7モル添加し、その後モノマーとしてスチレン22重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約3分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
【0171】
次に、ブタジエン34重量部とスチレン44重量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給し、共重合体のリビングポリマーを得た。この間、反応器内温は約70℃になるように調整した。
次に、得られた共重合体のリビングポリマーにカップリング剤として四塩化珪素を重合に使用したn−ブチルリチウムに対して1/4モル反応させて共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は66重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は22重量%であった。
【0172】
次に、実施例12と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー10」と称する)を得た。ポリマー10の水添率は98%であった。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。ポリマー10の特性を表4に示す。
30重量部のポリマー10、35重量部のポリプロピレン樹脂(上記のPC630A)、35重量部のスチレン・ブタジエンブロック共重合体の水添物(上記のタフテックH1221)、50重量部の炭酸カルシウム、0.5重量部のエルカ酸アミドをヘンシェルミキサーで混合後、上記の二軸押出機にてシリンダー温度230℃、スクリュー回転数250rpmの条件で溶融混練することにより、組成物を得た。
【0173】
(比較例5)
実施例1で用いた第1反応器を使用し、共重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、全モノマー(第1反応器及び第2反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)100重量部に対して、カリウム−tert−ブトキシド0.0041重量部とn−ブチルリチウム0.07重量部(n−ブチルリチウム/カリウム−tert−ブトキシドのモル比で30)との混合物を添加し、その後モノマーとしてブタジエンとスチレンとの混合物(ブタジエン/スチレン重量比=20/80)70重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を供給し、反応器内温を約70℃に調整しながら3時間反応させた。
【0174】
次に、ブタジエンとスチレンとの混合物(ブタジエン/スチレン重量比=70/30)30重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を供給し、反応器内温を約70℃に調整しながら3時間反応させ、共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は65重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は8重量%であった。
次に、実施例12と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー11」と称する)を得た。
ポリマー11の水添率は97%であった。また、DSC測定の結果、35℃に4.7J/gの熱量を有する結晶化ピークが認められた。ポリマー11の特性を表4に示す。
【0175】
(実施例14)
実施例1で用いた第1反応器及び第2反応器を使用して、以下の方法で連続重合を行った。
第1反応器の底部に、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を2.38L/hrの供給速度で、またn−ブチルリチウムを全モノマー(第1反応器及び第2反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.15重量%になるような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を2.0L/hrの供給速度で、更にTMEDAのシクロヘキサン溶液をn−ブチルリチウム1モルに対して0.44モルになるような供給速度でそれぞれ供給し、70℃で連続重合した。
【0176】
第1反応器から出たポリマー溶液を第2反応器の底部に供給、それと同時に、ブタジエン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を4.51L/hrの供給速度で、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を5.97L/hrの供給速度で、それぞれ第2反応器の底部に供給し、リビングポリマー溶液を得た。反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は約88℃、反応器の上部付近の温度は約90℃であった。その後、得られたリビングポリマー溶液に、安息香酸エチルを使用したn−ブチルリチウムに対して当モル添加してカップリング反応を行い、共重合体を得た。
次に、実施例13と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー12」と称する)を得た。
【0177】
ポリマー12は、スチレン含有量が67重量%であった。また、スチレン重合体ブロック含有量については、水添前の共重合体を検体とした四酸化オスミウム分解法で求めたOs値が20重量%であり、水添後の共重合体を検体としたNMR法で求めたNs値から上記式を用いて算出したOs値としても20重量%であった。ブタジエン部分のビニル結合量は14重量%であり、水添前の共重合体を検体とした測定値と水添後の共重合体を検体とした測定値とは同一であった。水添率は96%であり、粘弾性測定におけるtanδのピークは8℃にスチレンとブタジエンとのランダム共重合ブロックに起因するピークとして存在していた。また、DSC法による結晶化温度及び結晶化ピーク熱量の測定において、ポリマー12は−50〜100℃の温度範囲において結晶化ピークが現れず、結晶化ピーク熱量もゼロであった。
ポリマー12は、柔軟性、引張強度、耐磨耗性が優れ、引張残留歪率の少ない水添共重合体であった。
【0178】
(実施例15)
実施例1で用いた第1反応器を用いて、以下の方法で重合を行った。
スチレンを135g含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度24重量%)、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入したブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.065重量%含有するシクロヘキサン溶液及びTMEDAをn−ブチルリチウム1モルに対して0.75モル含有するシクロヘキサン溶液を仕込んだ後、約70℃で30分反応させた。次に、反応器内の温度を90℃に昇温した後、スチレン990gとブタジエン240gとを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度24重量%)を一定の速度で連続的に1時間かけて反応器に仕込んで反応させた。この間、反応器内の温度は90±3℃の範囲に調整した。その後、スチレンを135g含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度24重量%)を一定の速度で連続的に5分かけて反応器に仕込んで約90℃で反応させ、共重合体を得た。
【0179】
次に、実施例13と同様の方法で水添反応を行い、水添共重合体(以下、「ポリマー13」と称する)を得た。ポリマー13は、スチレン含有量が84重量%、スチレン重合体ブロック含有量が18重量%、ブタジエン部分のビニル結合量が11%、水素率が98%であった。粘弾性測定におけるtanδのピークは、45℃にスチレンとブタジエンとのランダム共重合体ブロックに起因するピークとして存在していた。また、DSC法による結晶化温度及び結晶化ピーク熱量の測定において、ポリマー13は−50〜100℃の温度範囲において結晶化ピークが現れず、結晶化ピーク熱量もゼロであった。
ポリマー13は、柔軟性、引張強度、耐磨耗性が優れ、引張残留歪率の少ない水添共重合体であった。
【0180】
(実施例16)
実施例14の連続重合において、第2反応器から出たリビングポリマーに変性剤としてテトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(以後、「一次変性剤M1」と称する)を重合に使用したn−ブチルリチウム1モルに対して0.5モル用いたこと、及び、水添反応において水添触媒IIを使用したこと以外は、実施例14と同様の操作を行い、一次変性水添共重合体(以下、「ポリマー14」と称する)を得た。ポリマー14の変性率は約75%であった。
次に、ポリマー14の溶液に、該ポリマーに結合する一次変性剤M1の官能基1当量あたり1モルの無水マレイン酸(以下、「二次変性剤D1」と称する)を添加して約60℃で反応させ、二次変性水添共重合体(以下、「ポリマー15」と称する)を得た。
ポリマー15は、柔軟性、引張強度、耐磨耗性が優れ、引張残留歪率の少ない二次変性水添共重合体であった。
【0181】
(実施例17)
実施例15における重合において、得られたリビングポリマーに変性剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以下、「一次変性剤M2」と称する)を重合に使用したn−ブチルリチウムに対して当モル反応させ、水添反応において水添触媒IIを使用すること以外は、実施例15と同様の操作を行い、一次変性水添共重合体(以下、「ポリマー16」と称する)を得た。ポリマー16の変性率は約80%で、約20重量%の未変性の重合体が混在していた。
次に、ポリマー16に、該ポリマーに結合する一次変性剤M2の官能基1当量あたり2.1モルの二次変性剤D1を配合して、上記の二軸押出機で210℃、スクリュー回転数100rpmで溶融混練し、二次変性水添共重合体(以下、「ポリマー17」と称する)を得た。
ポリマー17は、柔軟性、引張強度、耐磨耗性に優れ、引張残留歪率が少ない変性水添共重合体であった。
【0182】
(実施例18)
一次変性剤としてγ−グリシドキシプロピルトリエトキシシランを使用すること以外は実施例17と同様の操作を行って一次変性水添共重合体(以下、「ポリマー18」と称する)を得た後、実施例17と同様の操作を行って二次変性水添共重合体(以下、「ポリマー19」と称する)を得た。
ポリマー19は、柔軟性、引張強度、耐磨耗性が優れ、引張残留歪率の少ない変性水添共重合体であった。
【0183】
実施例19、20において、スチレン重合体ブロック(A)を2個以上有する水添共重合体の組成物を製造した。
なお、組成物で使用した熱可塑性樹脂、ゴム状重合体と評価方法は上記項目IIにおけると同じである。
(実施例19、20)
水添共重合体、熱可塑性樹脂、ゴム状重合体を表5に示す組成で混合し、上記二軸押出機を用いて混練し、ペレット化することにより共重合体組成物を得た。押出条件は、シリンダー温度230℃、スクリュー回転数300rpmであった。得られた組成物を圧縮成形して2mm厚のシートを作成し、このシートを用いて物性を測定した。結果を表5に示す。
【0184】
(実施例21、22)
表6に示した配合組成に従って、水添共重合体組成物である発泡体を製造した。得られた発泡体はいずれも本発明が目的とする特性を有する良好な発泡体であった。
(実施例23〜28)
表7に示した配合組成に従って、各種の水添共重合体組成物を製造した。製造した各種の水添共重合体組成物はいずれも本発明が目的とする特性を有する良好な組成物であった。
【0185】
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2002年6月27日出願の日本国特願2002−187325、2002年6月28日出願の日本国特願2002−189562、及び2003年3月27日出願の日本国特願2003−87488に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
【0186】
【表1】
Figure 0004079942
【0187】
【表2】
Figure 0004079942
【0188】
【表3】
Figure 0004079942
【0189】
【表4】
Figure 0004079942
【0190】
【表5】
Figure 0004079942
【0191】
【表6】
Figure 0004079942
【0192】
【表7】
Figure 0004079942
【0193】
【表8】
Figure 0004079942
【0194】
【表9】
Figure 0004079942
【0195】
【産業上の利用可能性】
本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体及び二次変性水添共重合体は、柔軟性、引張強度、耐磨耗性、耐打痕性に優れ、且つ架橋性が良好である。また、本発明の水添共重合体、一次変性水添共重合体または二次変性水添共重合体水と他の熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体とを包含する組成物、あるいはこれら重合体や組成物の架橋物は、機械的特性、耐磨耗性等に優れる。これらの特徴を生かして、上記の重合体、組成物及びこれらの架橋物は、補強性充填剤配合物、発泡体、多層フィルム・シート、建築材料、制振・防音材料、複層成形品、複層射出成形品、電線被覆材料、高周波融着性組成物、スラッシュ成形材料、粘接着性組成物、アスファルト組成物などに有利に使用できる。また、上記の重合体、組成物、上記の材料を射出成形、押出成形などによって得られる各種形状の成形品は、自動車部品(自動車内装材料、自動車外装材料)、食品包装容器などの各種容器、家電用品、医療機器部品、工業部品、玩具等に有利に用いることができる。

Claims (37)

  1. 共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とを含む非水添共重合体を水添して得られる水添共重合体であって、該水添共重合体が、
    ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロック(A)と、共役ジエン単量体単位からなる非水添重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロック(C)とからなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体ブロック、ただし、共役ジエン単量体単位からなる該非水添重合体ブロックのビニル結合量は30%未満である、及び
    共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなり、水添共重合体ブロック(B)中の共役ジエン単量体単位の重量比が10〜45重量%である非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)
    を包含してなり、
    ただし、該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体は少なくとも2つの重合体ブロック(A)を有し、
    次の特性(1)〜(6)を有することを特徴とする水添共重合体。
    (1)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が該水添共重合体の重量に対して40重量%を越え、95重量%未満であり、
    (2)該重合体ブロック(A)の含有量が該水添共重合体の重量に対して0〜60重量%であり、
    (3)重量平均分子量が3万〜100万であり、
    (4)該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が75%以上であり、
    (5)該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが−10〜80℃の範囲に少なくとも1つ存在し、そして
    (6)該水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有しない場合には、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない。
  2. 少なくとも1つの水添重合体ブロック(C)、少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)、及び場合によっては少なくとも1つの重合体ブロック(A)を包含してなり、
    次の特性(7)及び(8)を更に有することを特徴とする請求項1に記載の水添共重合体。
    (7)該水添共重合体の重量に対して、該少なくとも1つの水添重合体ブロック(C)の含有量が10〜50重量%であり、該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)の含有量が30〜90重量%であり、そして該重合体ブロック(A)の含有量が0〜40重量%であり、
    (8)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が該水添共重合体の重量に対して40重量%を越え、90重量%未満である。
  3. 該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に該少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことを特徴とする請求項2に記載の水添共重合体。
  4. 少なくとも2つの重合体ブロック(A)及び少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を包含してなり、
    次の特性(9)及び(10)を更に有することを特徴とする請求項1に記載の水添共重合体。
    (9)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が該水添共重合体の重量に対して50重量%を越え、95重量%未満であり、
    (10)該少なくとも2つの重合体ブロック(A)の含有量が該水添共重合体の重量に対して5〜60重量%である。
  5. 請求項1に記載の水添共重合体からなることを特徴とする発泡体。
  6. 請求項1に記載の水添共重合体からなることを特徴とする建築材料
  7. 請求項1に記載の水添共重合体からなることを特徴とする制振材料。
  8. 請求項1に記載の水添共重合体からなることを特徴とする防音材料。
  9. 請求項1に記載の水添共重合体からなることを特徴とする電線被覆材料。
  10. 請求項1に記載の水添共重合体を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋水添共重合体。
  11. 請求項1に記載の水添共重合体である成分(a−0)を、成分(a−0)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と
    該水添共重合体(a−0)以外の熱可塑性樹脂及び該水添共重合体(a−0)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−0)と成分(b)との合計100重量部に対して99〜1重量部
    を包含する水添共重合体組成物。
  12. 請求項11に記載の水添共重合体組成物からなることを特徴とする発泡体。
  13. 請求項11に記載の水添共重合体組成物からなることを特徴とする建築材料
  14. 請求項11に記載の水添共重合体組成物からなることを特徴とする制振材料
  15. 請求項11に記載の水添共重合体組成物からなることを特徴とする防音材料
  16. 請求項11に記載の水添共重合体組成物からなることを特徴とする電線被覆材料
  17. 請求項11に記載の水添重合体組成物を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋水添共重合体組成物。
  18. 請求項1に記載の水添共重合体(a−0)100重量部、及び
    粘着付与剤(n)20〜400重量部
    を包含する粘接着性組成物。
  19. 請求項1に記載の水添共重合体(a−0)0.5〜50重量部、及び
    アスファルト(o)100重量部
    を包含するアスファルト組成物。
  20. 請求項1に記載の水添共重合体と、該水添共重合体の少なくとも1つの重合体鎖末端に結合した、水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、シアノ基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシシラン基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基からなる群より選ばれる少なくとも1つの官能基を有する一次変性剤基とを包含する一次変性水添共重合体。
  21. 該一次変性剤基が下記式(1)〜(14)からなる群より選ばれる式で表される少なくとも1種の官能基を有することを特徴とする請求項20に記載の一次変性水添共重合体。
    Figure 0004079942
    上記式(1)〜(14)において、
    Nは窒素原子、Siは珪素原子、Oは酸素原子、Cは炭素原子、Hは水素原子を表し、
    1 、R 2 は各々独立に水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を表し、且つ、該炭化水素基は、所望により、各々独立に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基及び炭素数1〜24のアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有してもよく、
    各R5 は各々独立に炭素数1〜48の炭化水素基を表し、且つ、所望により、各々独立に、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基及び炭素数1〜24のアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種の官能基を有してもよく、
    各R6 は各々独立に水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
  22. 請求項20に記載の一次変性水添共重合体からなることを特徴とする発泡体。
  23. 請求項20に記載の一次変性水添共重合体を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋一次変性水添共重合体。
  24. 請求項20に記載の一次変性水添共重合体である成分(a−1)を、成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と、
    該一次変性水添共重合体(a−1)以外の熱可塑性樹脂及び該一次変性水添共重合体(a−1)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−1)と成分(b)との合計100重量部に対して(b)99〜1重量部
    を包含する一次変性水添共重合体組成物。
  25. 請求項24に記載の一次変性水添共重合体組成物からなることを特徴とする発泡体
  26. 請求項24に記載の一次変性水添共重合体組成物を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋一次変性水添共重合体組成物。
  27. 請求項20に記載の一次変性水添共重合体(a−1)100重量部、及び
    粘着付与剤(n)20〜400重量部
    を包含する粘接着性組成物。
  28. 請求項20に記載の一次変性水添共重合体(a−1)0.5〜50重量部、及び
    アスファルト(o)100重量部
    を包含するアスファルト組成物。
  29. 二次変性剤を請求項20に記載の一次変性水添共重合体と反応させることによって得られる二次変性水添共重合体であって、該二次変性剤は該一次変性水添共重合体の一次変性剤基の官能基と反応性を有する官能基を有することを特徴とする二次変性水添共重合体。
  30. 該二次変性剤の該官能基が、水酸基、カルボキシル基、酸無水物基、イソシアネート基、エポキシ基、シラノール基及びアルコキシシラン基からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項29に記載の二次変性水添共重合体。
  31. 請求項29に記載の二次変性水添共重合体からなることを特徴とする発泡体
  32. 請求項29に記載の二次変性水添共重合体を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋二次変性水添共重合体。
  33. 請求項29に記載の二次変性水添共重合体である成分(a−2)を、成分(a−2)と成分(b)との合計100重量部に対して1〜99重量部と
    該二次変性水添共重合体(a−2)以外の熱可塑性樹脂及び該二次変性水添共重合体(a−2)以外のゴム状重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種の重合体である成分(b)を、成分(a−2)と成分(b)との合計100重量部に対して99〜1重量部を包含する二次変性水添共重合体組成物。
  34. 請求項33に記載の二次変性水添共重合体組成物からなることを特徴とする発泡体
  35. 請求項33に記載の二次変性水添共重合体組成物を、架橋剤の存在下で架橋することにより得られる架橋二次変性水添共重合体組成物。
  36. 請求項29に記載の二次変性水添共重合体(a−2)100重量部、及び
    粘着付与剤(n)20〜400重量部
    を包含する粘接着性組成物。
  37. 請求項29に記載の二次変性水添共重合体(a−2)0.5〜50重量部、及び
    アスファルト(o)100重量部
    を包含するアスファルト組成物。
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