JP3450443B2 - 正弦波発振回路 - Google Patents

正弦波発振回路

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JP3450443B2 JP17000194A JP17000194A JP3450443B2 JP 3450443 B2 JP3450443 B2 JP 3450443B2 JP 17000194 A JP17000194 A JP 17000194A JP 17000194 A JP17000194 A JP 17000194A JP 3450443 B2 JP3450443 B2 JP 3450443B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、LC共振を利用して所
定周波数の正弦波信号を得る正弦波発振回路に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、通信等各種分野において正弦
波が使われており、この正弦波を得る発振回路も種々の
ものが知られている。例えば、高周波の正弦波を得るこ
とができる代表的な回路として、コルピッツ型やハート
レー型等の各種LC発振回路が知られている。
【0003】これらの各種LC発振回路は、いずれも原
理的にはトランジスタ等の増幅器とLC回路を組み合わ
せて構成されており、所望の発振周波数の正弦波を得る
ために各素子定数を決定する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来の正弦
波発振回路は、LC回路を構成するインダクタとキャパ
シタとを個別に用意して組み合わせていたため、設計の
自由度が増す反面、設計者等が決定する素子定数が多く
て設計が複雑になる。特に、正弦波を使用する装置によ
っては、より少ない種類の部品を組み合わせるだけで簡
単に所望の発振周波数を有することができれば便利であ
る。
【0005】また、LC回路を構成するインダクタはコ
アやボビンに巻線を施すものが多く、一般には集積化に
不向きである。LC回路を含む正弦波発振回路の全体を
IC化しようとした場合であっても、インダクタのみは
外付けしなければならないという不都合があり、回路全
体を半導体基板上に一体形成することができないという
問題があった。
【0006】本発明は、このような点に鑑みて創作され
たものであり、その目的はより少ない種類の部品を組み
合わせて簡単に正弦波を発生させることができる正弦波
発振回路を提供することにある。
【0007】また、本発明の他の目的は、LC回路を含
めて半導体基板上に一体形成可能な正弦波発振回路を提
供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上述した課題を解決する
ために、請求項1の正弦波発振回路は、入力信号を増幅
するとともに位相反転を行う反転増幅器と、入力信号の
位相をほぼ180度ずらす移相器と、半導体基板上にほ
ぼ並行して形成された2本のインダクタ導体を有し、こ
れら2本のインダクタ導体による2本のインダクタとそ
れらの間のキャパシタとが分布定数的に形成されたLC
素子と、を備え、前記反転増幅器の出力を前記LC素子
の2本のインダクタ導体のいずれか一方を介して入力側
に帰還させるとともに、前記反転増幅器の出力の位相を
前記移相器によってずらした後に前記2本のインダクタ
導体の他方の一方端近傍に入力することにより正弦波発
振を行うことを特徴とする。
【0009】また、請求項2の正弦波発振回路は、請求
項1の正弦波発振回路において、前記反転増幅器あるい
は前記移相器の少なくとも一方をインバータ論理回路に
より構成することを特徴とする。
【0010】請求項3の正弦波発振回路は、半導体基板
上にほぼ並行して形成された2本のインダクタ導体を有
し、これら2本のインダクタ導体による2本のインダク
タとそれらの間のキャパシタとが分布定数的に形成され
たLC素子と、入力端および出力端のそれぞれが、前記
LC素子の一方のインダクタ導体の一方端近傍および他
方端近傍に接続された第1のインバータ論理回路と、入
力端が前記第1のインバータ論理回路の出力端に接続さ
れているとともに、出力端が前記LC素子の他方のイン
ダクタ導体の一方端近傍に接続された第2のインバータ
論理回路と、を備え、前記第2のインバータ論理回路か
ら正弦波信号を得ることを特徴とする。
【0011】請求項4の正弦波発振回路は、請求項1〜
3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素子
は、同一平面内でほぼ同心状で隣接して配置されてお
り、前記2本のインダクタ導体として機能する渦巻き形
状の2つの電極と、前記半導体基板の表面近傍であって
前記2つの電極に沿った位置に形成され、これら2つの
電極のいずれか一方にp領域が、他方にn領域が電気的
に接続されており、逆バイアス電圧を印加することによ
り前記キャパシタとして動作する渦巻き形状のpn接合
層と、を備えることを特徴とする。
【0012】請求項5の正弦波発振回路は、請求項1〜
3のいずれかの正弦波発振回路において、前記LC素子
は、同一平面内でほぼ平行に隣接して配置されており、
前記2本のインダクタ導体として機能する蛇行形状の2
つの電極と、前記半導体基板の表面近傍であって前記2
つの電極に沿った位置に形成され、これら2つの電極の
いずれか一方にp領域が、他方にn領域が電気的に接続
されており、逆バイアス電圧を印加することにより前記
キャパシタとして動作する蛇行形状のpn接合層と、を
備えることを特徴とする。
【0013】請求項6の正弦波発振回路は、請求項4ま
たは5の正弦波発振回路において、渦巻き形状あるいは
蛇行形状を有する前記2つの電極のいずれか一方の長さ
を他方に比べて短く形成することを特徴とする。
【0014】請求項7の正弦波発振回路は、請求項4〜
6のいずれかの正弦波発振回路において、前記移相器が
接続された側の前記インダクタ導体に相当する前記2つ
の電極の一方を複数に分割し、あるいはこの電極ととも
に対応する前記pn接合層を複数に分割し、分割された
前記電極の各分割片の一方端近傍を前記移相器に接続す
ることを特徴とする。
【0015】請求項8の正弦波発振回路は、請求項4〜
7のいずれかの正弦波発振回路において、前記pn接合
層に印加する逆バイアス電圧を変更することにより、前
記LC素子内に分布定数的に形成されるキャパシタの容
量値を変えることを特徴とする。
【0016】
【作用】請求項1の発明による正弦波発振回路は、反転
増幅器の出力を半導体基板上に形成されたLC素子の一
方のインダクタ導体を介して入力側に帰還させるととも
に、反転増幅器の出力を移相器を介した後にLC素子の
他方のインダクタ導体の一方端近傍に入力するように構
成されている。この反転増幅器の入出力間にLC素子の
一方のインダクタ導体が挿入されているため、ほぼイン
バータ論理回路のしきい値近傍で入出力信号の電圧レベ
ルの平衡が保たれている。このような状態で、反転増幅
器の出力の位相をほぼ180度ずらした信号をLC素子
のキャパシタを介して入力することにより、LC素子に
おける共振が生じて正弦波発振が行われる。
【0017】このように請求項1の発明によれば、反転
増幅器と移相器およびLC素子を接続して正弦波発振が
行われており、より少ない部品を組み合わせるだけで簡
単に正弦波を発生させることができる。
【0018】また、上述したLC素子は半導体基板上に
形成されているため、反転増幅器や移相器を含む全ての
部品を半導体基板上に形成することが可能であり、半導
体製造技術を利用した大量生産や回路の小型化が可能と
なる。特に、これら各部品は1つの半導体基板上に形成
することもでき、この場合は回路全体を半導体基板上に
一体形成することになるため、大量生産や回路の小型化
がさらに容易になる。
【0019】また、請求項2の発明では、上述した反転
増幅器あるいは移相器の少なくとも一方をインバータ論
理回路により構成している。すなわち、インバータ論理
回路はしきい値近傍の電圧レベルを有する信号を入力し
た場合には、入力信号の論理を反転させて出力すると同
時に入力信号の電圧レベルを増幅する反転増幅器として
動作させることができるとともに、入力信号の位相を反
転、すなわち位相を180度ずらす移相器として動作さ
せることができる。したがって、このような構造が単純
なインバータ論理回路とLC素子とを組み合わせるだけ
で、簡単に正弦波を発生させることができる。特に、上
述したインバータ論理回路は一般には半導体基板上に形
成されるものであり、LC素子とともに一体形成する場
合にさらに好都合となる。
【0020】また、請求項3の発明は、さらに具体的な
構成を示したものであり、2つのインバータ論理回路と
LC素子とを接続することにより、LC素子によるLC
共振を利用した正弦波発振を行っている。すなわち、第
1のインバータ論理回路の入出力間をLC素子の一方の
インダクタ導体を介して接続することによりこの第1の
インダクタ論理回路をアナログ素子的に使用し、第2の
インバータ論理回路の出力をLC素子の他方のインダク
タ導体を介してキャパシタに入力することによりLC素
子によるLC共振現象を生じさせている。このLC素子
に共振現象が生じると、その出力である正弦波信号が第
1のインバータ論理回路に入力され増幅されて取り出さ
れる。このように、2つのインバータ論理回路とLC素
子とにより回路が構成されるため、回路全体が簡略化さ
れているとともに、半導体基板を利用した一体形成が可
能となる。
【0021】請求項4の発明は、上述した請求項1〜3
で用いたLC素子の具体的構成を示した第1の例を示し
たものである。
【0022】請求項4の発明によれば、半導体基板上で
あって同心状に隣接して配置された2つの電極と、これ
ら2つの電極に沿って形成された渦巻き形状のpn接合
層とにより上述したLC素子が形成されている。このp
n接合層に逆バイアス電圧を印加することにより、渦巻
き形状のキャパシタが形成される。したがって、2つの
電極のそれぞれにより形成されるインダクタとこのキャ
パシタとが半導体基板上に分布定数的に形成されること
になる。特に、このLC素子は、半導体製造技術を用い
て半導体基板に形成されるため、反転増幅器等のそれ以
外の部品とともに半導体基板上に一体形成する際に好都
合となる。
【0023】また、請求項5の発明によれば、請求項4
の電極を渦巻き形状から蛇行形状に置き換えることによ
りLC素子が形成されている。一般には、導体を渦巻き
形状に形成することによりインダクタとして機能させる
ことができるが、使用する周波数帯域によっては導体を
蛇行形状とした場合でもインダクタとして機能させるこ
とができる。すなわち、電極を蛇行形状に形成した場合
には、各凹凸部の1つ1つが約1/2ターンのコイルと
なってこれらが直列に接続されるため、電極全体が所定
のインダクタンスを有するインダクタとして機能する。
特に、使用する信号の周波数が高周波領域に達するよう
な場合には小さなインダクタンスで足りるため、蛇行形
状のインダクタで足りる場合がある。
【0024】特に、電極を蛇行形状に形成した場合に
は、電極の一方端あるいは両端に配線を施す場合に、こ
の配線を電極の一部と交差させずに引き出せる利点があ
り、正弦波発振回路全体の製造工程の簡略化が可能とな
る。
【0025】また、請求項6の発明によれば、2つの電
極のいずれか一方を短く形成することにより、インダク
タ導体が部分的に対向したLC素子が形成されている。
一般に、正弦波発振回路全体の発振周波数は、分布定数
的に形成されたインダクタンスとキャパシタンスとによ
り決定されるため、一方の電極を短く形成することによ
りキャパシタンスを小さくすれば、それに伴って発振周
波数も変更されることになる。したがって、部分対向さ
せる電極の割合等を変えることにより発振周波数をある
範囲で調整することができ、正弦波発振回路の設計の自
由度が増すことにもなる。
【0026】また、請求項7の発明によれば、2つの電
極のいずれか一方を複数に分割、あるいはこの電極の分
割とともに対応するpn接合層を複数に分割することに
より、分割されたインダクタ導体による影響が少ないL
C素子が形成されている。すなわち、各分割電極片の自
己インダクタンスは小さくなるため、分割されない電極
が有するインダクタンスと分布定数的に形成されたキャ
パシタンスとによりLC素子の特性がほぼ決定されるこ
とになる。したがって、電極の分割状態を変えることに
より発振周波数をある範囲で調整することができ、正弦
波発振回路の設計の自由度が増すことにもなる。
【0027】また、請求項8の発明によれば、pn接合
層に印加する逆バイアス電圧を変更することにより、分
布定数的に形成されるキャパシタの容量値が変更可能な
LC素子が形成されている。一般に、pn接合層は可変
の逆バイアス電圧を印加することによりバリキャップと
して動作する。したがって、印加する逆バイアス電圧を
可変に制御して渦巻き形状あるいは蛇行形状を有するp
n接合層の全域をバリキャップとして動作させることに
より、ある範囲で周波数特性を変更可能なLC素子とす
ることができ、電圧制御型の正弦波発振回路を容易に実
現することができる。
【0028】
【実施例】以下、本発明を適用した一実施例の正弦波発
振回路について、図面を参照しながら具体的に説明す
る。
【0029】図1は、本発明を適用した一実施例の正弦
波発振回路1の詳細な構成を示す図である。
【0030】同図に示すように、第1実施例の正弦波発
振回路1は、反転増幅器として機能するインバータ論理
回路10と、インダクタ成分とキャパシタ成分とが分布
定数的に形成されたLC素子12と、移相器として機能
するインバータ論理回路14とを含んで構成されてい
る。これらの各構成は共通の半導体基板上に一体成形さ
れている。
【0031】インバータ論理回路10は、入力信号の論
理を反転、すなわち位相を180度ずらして出力すると
ともに、増幅器として動作する。このインバータ論理回
路10は、TTLロジック等任意のロジックを用いて実
現することができるが、入力インピーダンスが高くて回
路設計が容易なCMOSロジック、その中でも周波数が
高い正弦波を発振させる場合には高速タイプである74
HCシリーズ等のCMOSロジックが適している。
【0032】また、インバータ論理回路14も同様であ
り、入力信号の位相を180度ずらして出力する。
【0033】LC素子12は、半導体基板上にインダク
タ成分とキャパシタ成分とが分布定数的に形成されたも
のである。以下、このLC素子12の具体例を説明す
る。
【0034】図2は、半導体基板上に渦巻き形状のスパ
イラル電極を形成することによりLC素子を構成した場
合の平面図である。また、図3は図2に示したA−A線
拡大断面図である。
【0035】本実施例のLC素子12は、半導体基板で
あるp型シリコン基板(p−Si基板)34の表面付近
に形成された渦巻き形状のn+ 領域32と、さらにその
一部に形成された渦巻き形状のp+ 領域30とを含んで
おり、これらのn+ 領域32とp+ 領域30とがpn接
合層36を形成している。また、上述したp−Si基板
34に比べて、n+ 領域32およびp+ 領域30のそれ
ぞれは不純物濃度が高めに設定されており、このp−S
i基板34とn+ 領域32との間に逆バイアス電圧を印
加することにより、このp−Si基板34が良好なアイ
ソレーション領域として機能するようになっている。実
際は、p−Si基板34と後述するキャパシタ連結用電
極28とを同電位とすることにより、p−Si基板34
とn+ 領域32との間に確実に逆バイアス電圧を印加す
ればよい。
【0036】また、本実施例のLC素子12は、上述し
たn+ 領域32の表面側であって、このn+ 領域32に
沿った位置に渦巻き形状の第1のスパイラル電極20が
形成されている。同様に、p+ 領域30の表面側であっ
て、p+ 領域30に沿った位置に第2のスパイラル電極
22が形成されている。そして、第1のスパイラル電極
20の両端には2つの入出力電極24,26が接続され
ている。第2のスパイラル電極22の一方端(例えば外
周側)にはキャパシタ連結用電極28が設けられてい
る。このように、第1および第2のスパイラル電極2
0,22に対する入出力電極24,26あるいはキャパ
シタ連結用電極28の取り付けは、図2に示すように薄
いn+ 領域32あるいはp+ 領域30を傷つけないよう
に能動領域の外側で行われる。
【0037】このような構造を有する本実施例のLC素
子12は、渦巻き形状を有している第1および第2のス
パイラル電極20,22のそれぞれがインダクタ導体と
して機能することになる。また、第1および第2のスパ
イラル電極20,22のそれぞれに電気的に接続された
pn接合層36が逆バイアスの状態で使用されると渦巻
き形状のキャパシタとして機能する。したがって、第1
および第2のスパイラル電極20,22により形成され
るインダクタとpn接合層36によって形成されるキャ
パシタとが分布定数的に存在するLC素子12が形成さ
れる。
【0038】図4は、本実施例のLC素子12の等価回
路を示す図である。同図(A)に示すように、第1のス
パイラル電極20がインダクタンスL1を有するインダ
クタとして機能し、一方の入出力電極24から入力され
た信号がこの第1のスパイラル電極20を介して伝搬さ
れ他方の入出力電極26から出力される。
【0039】このような等価回路を有するLC素子12
において、入出力電極24あるいは26に印加される電
圧をキャパシタ連結用電極28の電圧レベルよりも高く
設定した場合には、n+ 領域32とp+ 領域30とから
なるpn接合層36に逆バイアス電圧がかかるため、こ
のpn接合層36がキャパシタンスCを有するキャパシ
タとして機能する。また、このキャパシタは第1のスパ
イラル電極20と第2のスパイラル電極22の全長にわ
たって分布定数的に形成されている。
【0040】図4(B)は、上述した逆バイアスを印加
するための構成である。具体的には、入出力電極24と
キャパシタ連結用電極28との間に所定の逆バイアス電
圧を印加するためのバイアス用電源38を接続する。
【0041】また、同図(C)に示すように、このバイ
アス用電源38の代わりに、逆バイアスの電圧レベルを
任意に変更することができる可変バイアス用電源44を
接続することにより、渦巻き形状に形成されたpn接合
層36のキャパシタンスCを任意に変化させることもで
きる。
【0042】一般に、pn接合層36に印加される逆バ
イアス電圧の大小に応じてpn接合面に生じる空乏層の
幅が変化するため、これに伴いキャパシタンスCの値も
変動する。したがって、2つの入出力電極24、26を
介してpn接合層36に印加される逆バイアス電圧を変
えることにより、分布定数的に形成されるキャパシタン
スCを任意に変化させ、LC素子12全体としての周波
数特性を変更することができる。
【0043】また、図5は図1に示した正弦波発振回路
1内において実際にLC素子12に逆バイアスを印加す
るための具体的構成を示す図であり、一例として逆バイ
アス電圧を任意に変更可能な可変バイアス用電源44を
接続した場合が示されている。
【0044】本実施例の正弦波発振回路1では、図5
(A)に示すように可変バイアス用電源44を用いると
ともにキャパシタ16をインバータ論理回路14の出力
側とLC素子12との間に挿入することにより、LC素
子12に可変の逆バイアス電圧を印加することができ
る。ここで、キャパシタ16は、インバータ論理回路1
4の出力側とLC素子12のキャパシタ連結用電極28
とを交流的に接続するとともに直流的に分離するための
ものであり、所定の周波数領域において位相のずれを生
じないような大きなキャパシタンスを有する。
【0045】また、この可変バイアス用電源44は、実
際に回路の一部として組み込む場合には、同図(B)に
示すように可変抵抗52と充分に大きな抵抗54とを組
み合わせて構成することができる。すなわち、可変抵抗
52により正あるいは負の所定の逆バイアス電圧(実際
には、可変抵抗52により設定される電位とインバータ
論理回路10の入出力端の電位との差が逆バイアスとな
る)を作りだし、この逆バイアス電圧を充分大きな抵抗
54を介してLC素子12のキャパシタ用連結電極28
に印加することにより、信号の交流成分に影響を与えな
い逆バイアス電圧の印加が可能となる。
【0046】図6は、本実施例のLC素子12の製造工
程を示す図である。図2のB−B線断面の各製造工程毎
の状態が示されている。
【0047】(1)エピタキシャル層の成長:まず最初
に、p−Si基板34(ウエハ)表面の酸化膜を除去し
た後に、p−Si基板34の表面全体にn+ 型エピタキ
シャル層35を成長させる(同図(A))。
【0048】(2)アイソレーション領域の形成:次
に、図2に示したn+ 領域32およびp+ 領域30を除
く領域をアイソレーション領域とするために、p型不純
物の拡散あるいはイオン注入を行う。
【0049】具体的には、まずエピタキシャル層35の
表面を熱酸化して酸化膜40を形成する。そして、フォ
トリソグラフィによってp領域を形成すべき位置の酸化
膜40を除去した後に、p型不純物を熱拡散あるいはイ
オン注入により選択的に添加することにより、p領域が
選択的に形成される。このようにして形成されたp領域
は、p−Si基板34の一部となってアイソレーション
領域を形成する(同図(B))。
【0050】このようにしてアイソレーション領域の形
成が行われた結果、残されたエピタキシャル層35によ
って渦巻き形状のn+ 領域32が形成される。
【0051】(3)pn接合層の形成:次に、渦巻き形
状に形成されたn+ 領域32の一部にp型不純物を熱拡
散あるいはイオン注入により導入することにより、渦巻
き形状のp+ 領域30を形成する(同図(D))。
【0052】具体的には、まずn+ 領域32を含むp−
Si基板34の表面を熱酸化して酸化膜42を形成す
る。そして、フォトリソグラフィによってp+ 領域30
を形成すべき位置の酸化膜42を除去した後に、p型不
純物を熱拡散あるいはイオン注入により選択的に添加す
ることにより、p+ 領域30が選択的に形成される。
【0053】このp+ 領域30は、先に形成されたn+
領域32中に形成する必要があるため、既に導入されて
いるn型不純物の量以上のp型不純物を添加することに
より、p+ 領域30が形成される。
【0054】このようにして、n+ 領域32とp+ 領域
30とからなる渦巻き形状のpn接合層36が形成され
る。
【0055】(4)スパイラル電極の形成:次に、熱酸
化により表面に酸化膜43を形成した後にフォトリソグ
ラフィによってn+ 領域32とp+ 領域30のそれぞれ
の表面に渦巻き形状の孔あけを行い、その後この渦巻き
形状に孔あけされた部分に、例えばアルミニウムを蒸着
することにより第1および第2のスパイラル電極20,
22を形成する(同図(D))。また、その後2つの入
出力電極24,26およびキャパシタ連結用電極28の
それぞれをアルミニウムの蒸着により形成する。
【0056】本実施例のLC素子12を製造する工程
は、基本的には通常のバイポーラトランジスタあるいは
ダイオードを製造する工程と類似しており、pn接合層
36やその間のアイソレーション領域の形状等が異なる
ものである。したがって、一般のバイポーラトランジス
タを製造する工程においてフォトマスクの形状を変更す
ることにより対応することができ、製造が容易になると
ともに小型化にも適している。
【0057】なお、上述した本実施例のLC素子12の
製造工程においては、最初にエピタキシャル成長により
+ 領域を表面全体に形成した後にアイソレーションを
行う場合を例にとり説明したが、p−Si基板34の表
面に酸化膜を形成した後にフォトリソグラフィにより渦
巻き形状のn+ 領域32に対応する孔あけを行い、この
部分に熱拡散あるいはイオン注入によりn型不純物を導
入することによりn+領域32を形成した後に、同様の
方法により直接的にp+ 領域30を形成してもよい。ま
た、pn接合層を形成する方法については、一般的な半
導体製造技術を用いることができる。
【0058】このように、本実施例のLC素子12は、
第1および第2のスパイラル電極20,22のそれぞれ
がインダクタを形成するとともに、これらの電極間に形
成された渦巻き形状のpn接合層36が逆バイアスで使
用されることによりキャパシタとして機能する。しか
も、第1および第2のスパイラル電極20,22の全長
にわたってpn接合層36が形成されているため、第1
および第2のスパイラル電極20,22に形成されるイ
ンダクタンスL1,L2とpn接合層36によって形成
されるキャパシタンスCとが分布定数的に存在してい
る。
【0059】本実施例の正弦波発振回路1は、このよう
な構造を有するLC素子12の第1のスパイラル電極2
0の一方端に設けられた入出力電極24をインバータ論
理回路10の入力側に接続するとともに、他方端に設け
られた入出力電極26をインバータ論理回路10の出力
側に接続している。したがって、インバータ論理回路1
0の入出力間にLC素子12の第1のスパイラル電極2
0が挿入されて、インバータ論理回路10がほぼしきい
値近傍でアナログ素子的に動作する。
【0060】また、上述したインバータ論理回路10の
出力はインバータ論理回路14を介してLC素子12の
第2のスパイラル電極22の一方端に設けられたキャパ
シタ連結用電極28に入力されている。
【0061】したがって、インバータ論理回路10から
出力された信号は、LC素子12の第1のスパイラル電
極20を介してその入力側に帰還されるとともに、イン
バータ論理回路14を介して位相をほぼ180度ずらし
た後に第2のスパイラル電極22に入力される。このた
め、例えばインバータ論理回路10の出力に微小振幅が
現れると、この出力信号はLC素子12のインダクタ部
分およびキャパシタ部分に直接あるいは位相を変えて入
力され、LC素子12のインダクタンスおよびキャパシ
タンスに基づいた特定周波数のみが選択され、再度イン
バータ論理回路10で増幅されるためLC共振が生じ、
特定周波数の正弦波発振となる。
【0062】すなわち、本実施例の正弦波発振回路1で
は、インバータ論理回路10のインダクタンスおよびキ
ャパシタンスによって決定される特定周波数の正弦波発
振が行われる。
【0063】実際に、一般に出回っている分布定数型の
LC素子を用いて図1に示した正弦波発振回路1を構成
してインバータ論理回路14の出力波形を観察したとこ
ろ、共振に基づく歪みが少ない正弦波信号が観察され
た。
【0064】また、この実験回路において、インダクタ
論理回路10,14の動作電源電圧を変えても発振周波
数に変化はないことが確かめられており、この結果から
も図1に示した正弦波発振回路1はLC素子のキャパシ
タ成分による充放電を利用して発振しているのではな
く、インダクタ成分とキャパシタ成分とによるLC共振
によって発振していることが立証されている。
【0065】なお、上述した実験回路に使用したLC素
子は、両端近傍に入出力リードが取り付けられている帯
状導電体と、一端近傍にキャパシタ連結用リードが取り
付けられている帯状導電体とを誘電体シートを挟んで積
層した後に巻き回すことにより形成されたLC素子(例
えば、特開平2−26114号公報に開示された「3端
子型ノイズフィルタ」)を用いたものである。したがっ
て、実際に図2等に示した微細構造を半導体基板上に形
成したLC素子を用いた場合には、上述した実験回路よ
りも発振周波数が高周波側にシフトすることが考えられ
るが、基本原理そのものに変わりはない。
【0066】このように、本実施例の正弦波発振回路1
は、基本的には2つのインバータ論理回路10,14と
1つのLC素子12といった少ない種類の部品を組み合
わせるだけで、簡単に正弦波を発生させることができ
る。LC素子12は、LC直列共振回路やLC並列共振
回路等と異なり、1つの素子内にインダクタとキャパシ
タとが分布定数的に形成されたものであるため、発振回
路を構成する際にインダクタとキャパシタとを別々に用
意して接続する手間がなくなる。
【0067】特に、本実施例の正弦波発振回路1は、イ
ンダクタ成分を有するLC素子12が半導体基板(p−
Si基板34)上に形成されている点に大きな特徴があ
る。しかも、当然ながら図1に示したインバータ論理回
路10,14も同一の半導体基板上に形成することがで
きるため、正弦波発振回路1の全体を1つの半導体基板
上に一体形成することができ、回路全体の大量生産や小
型化が可能になる。また、この半導体基板上への回路の
一体形成は、現在の半導体製造技術を用い、フォトマス
クの形状の変更等を行うだけで容易に行うことができる
ので、大量生産や小型化に伴う大幅なコストダウンも可
能になる。
【0068】また、図2および図3に構造を示したLC
素子12,14は、pn接合層36に印加する逆バイア
ス電圧の値を変更するだけで、分布定数的に形成される
キャパシタンスCの値を変更することができ、その変更
の度合いに応じて共振特性(周波数特性)を変えること
ができる。このように、本実施例の正弦波発振回路1
は、LC素子12のpn接合層36に印加する逆バイア
ス電圧を変えることにより、容易に電圧制御型の発振回
路とすることができる。しかも、このような電圧制御型
の発振回路とした場合であっても、周波数変更用の素子
を追加する必要もなく、正弦波発振回路1の構成部品を
最小限に押さえることができる。
【0069】図7は、上述したLC素子12の変形例を
示す図である。図2および図3に構造を示したLC素子
12は、第1および第2のスパイラル電極20,22が
ほぼ全長にわたって平行に、すなわちほぼ同一の長さに
形成されたものであるが、図7に示したLC素子12a
は、図2および図3に示した第2のスパイラル電極22
を所定のターン数(例えば約1ターン)短くするととも
に、これに対応するpn接合層36も所定のターン数分
短くした点に特徴がある。
【0070】図7に示すように、第2のスパイラル電極
22および対応するpn接合層36を部分的に省略した
場合であっても、短くなった第2のスパイラル電極22
およびこれに隣接する第1のスパイラル電極20により
形成されるインダクタと、短くなったpn接合層36に
より形成されるキャパシタとが分布定数的に形成される
ため、基本的には図2および図3に示したLC素子12
と同様の特性を有することになる。
【0071】図8は、図7に示したLC素子の等価回路
を示す図である。同図(A)に示すように、第2のスパ
イラル電極22のターン数が少なくなった分だけインダ
クタンスL3も小さくなり、これに対応して分布定数的
に形成されるキャパシタンスC1も小さくなる。
【0072】また、同図(B),(C)には短くなった
pn接合層36に固定あるいは可変の逆バイアス電圧を
印加するための構成が示されている。図4(B),
(C)と同様に、入出力電極24とキャパシタ連結用電
極28との間に固定あるいは可変の逆バイアス電圧を印
加するためのバイアス用電源38あるいは可変バイアス
用電源44を接続すればよい。
【0073】このように、各LC素子12aの第1およ
び第2のスパイラル電極20,22を部分的に対向させ
るとともにそれらの電極間に形成されたpn接合層36
を短く形成した場合には、このpn接合層36により分
布定数的に形成されるキャパシタンスC1が図2および
図3に示したLC素子の場合に比べて小さくなるため周
波数特性も変化する。換言すれば、この部分的に対向す
る第1および第2のスパイラル電極20,22の長さを
調整するとともに、その間に形成されるpn接合層36
を所定の長さとすることにより、所望の周波数特性が得
られることになり、本実施例の正弦波発振回路1等にお
ける発振周波数を任意に設定することができる。これに
より、正弦波発振回路の設計の自由度が増すことにもな
る。
【0074】図9は、上述したLC素子12の他の変形
例を示す図である。同図に示すLC素子12bは、第2
のスパイラル電極22側を複数に分割(例えば2分割)
するとともに、第1および第2のスパイラル電極20,
22間に形成されるpn接合層36も複数に分割した点
に特徴がある。すなわち、同図に示すLC素子12b,
14bは、第2のスパイラル電極22が2つの分割電極
片22−1,22−2から構成されており、これら各分
割電極片22−1,22−2に接するp+ 領域30も分
割されている。分割された各p+ 領域30のそれぞれと
+ 領域32とにより2組のpn接合層36が形成され
ている。さらに、2つの分割電極片22−1,22−2
の各一方端(最外周側と最内周側)にはキャパシタ連結
用電極28が設けられている。
【0075】図10は、図9に示したLC素子の等価回
路を示す図である。同図(A)に示すように、第1のス
パイラル電極20の全体がインダクタンスL1を有する
インダクタとして機能するとともに、各分割電極片22
−1,22−2のそれぞれがインダクタンスL4,L5
を有するインダクタとして機能する。そして、第1のス
パイラル電極20と各分割電極片22−1,22−2の
それぞれの間に形成されたpn接合層36がキャパシタ
ンスC2,C3を有するキャパシタとして機能し、しか
もこれらのキャパシタが分布定数的に形成される。
【0076】また、図10(B)および(C)には、分
割されたpn接合層36に固定あるいは可変の逆バイア
ス電圧を印加するための構成が示されている。図4
(B),(C)と同様に、入出力電極24とキャパシタ
連結用電極28との間に固定あるいは可変の逆バイアス
電圧を印加するためのバイアス用電源38あるいは可変
バイアス用電源44を接続すればよい。また、このよう
な電源を実際の回路内で実現する場合には、図5(B)
に示すような可変抵抗52(バイアス電圧が固定の場合
はこれに代えて2つの抵抗からなる分圧回路)と充分大
きな抵抗54を用いればよい。
【0077】このように、LC素子12bの第2のスパ
イラル電極22およびこれに対応するpn接合層36を
分割した場合には、各分割電極片22−1,22−2の
自己インダクタンスL4,L5が小さくなる。したがっ
て、これらの自己インダクタンスによるLC素子全体の
特性への影響は小さくなり、第1のスパイラル電極20
が有するインダクタンスL1と分布定数的に形成される
キャパシタC2,C3とによってLC素子12の特性が
ほぼ決定されることになる。このため、図7に示したL
C素子12aと同様に、第2のスパイラル電極22の分
割状態や、ほぼ特性を決定する第1のスパイラル電極2
0の形状等を検討することにより、所望の周波数特性を
有するLC素子とすることができ、設計の自由度が増す
ことになる。
【0078】図11は、LC素子12の他の例を示す図
である。同図に示すLC素子12cは、図2に示したL
C素子12の第1および第2のスパイラル電極20,2
2の形状を変更した点に特徴がある。具体的には、図1
1に示すLC素子12cは、図2において渦巻き形状を
有する第1および第2のスパイラル電極20,22に代
えて蛇行形状を有する第1および第2の電極150,1
52を有しており、これら2つの電極150,152に
沿うように蛇行形状を有するpn接合層154が形成さ
れている。
【0079】図12は、蛇行形状を有する第1および第
2の電極150,152によって形成されるインダクタ
の原理を示す図である。同図に示すように、凹凸状に屈
曲した蛇行形状を有する電極150あるいは152に一
方向の電流を流した場合には、隣接する凹凸部分で向き
が反対となるような磁束が交互に発生し、あたかも1/
2ターンのコイルが直列に接続された状態になる。した
がって、第1および第2の電極150,152のそれぞ
れは所定のインダクタンスを有するインダクタとして機
能し、等価回路については図4に示したものをそのまま
適用することができる。
【0080】また、渦巻き形状の電極とした場合には電
極の両端部のいずれか一方が中心部に位置し、他方が周
辺部に位置するのに対し、蛇行形状の電極150,15
2ではその両端が周辺部に位置することになるので、入
出力電極24,26およびキャパシタ連結用電極28を
外部に引き出す際に好都合となる。
【0081】また、このような構造を有するLC素子1
2cにおいて、第2の電極152側を短く形成したり、
複数に分割するようにしてもよい。
【0082】図13は、図11に示した第2の電極15
2側の長さを約半分にしたLC素子12dを示してお
り、図7に対応している。また、図14は、この第2の
電極152側を複数に分割(例えば2分割)したLC素
子12eを示しており、図9に対応している。
【0083】このように、蛇行形状を有する第1および
第2の電極150,152を部分的に対向させた場合、
あるいは第2の電極152側を複数に分割した場合であ
っても、基本的な動作は図11に示したLC素子12c
と同じようにインダクタとキャパシタとが分布定数的に
形成されており、図1に示した正弦波発振回路1に適用
することができる。
【0084】なお、本発明は上記実施例に限定されるも
のではなく、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が
可能である。
【0085】例えば、上述した各LC素子は、インダク
タ導体として機能する電極やチャネルを渦巻き形状ある
いは蛇行形状に形成したが、この渦巻き形状には周回数
がほぼ1周あるいは1周未満のものも含まれ、蛇行形状
には波形や凹凸数が1あるいは2程度の非直線形状のも
のも含まれており、インダクタンスの大きさ等に応じ
て、使用するLC素子の電極形状を適宜選択することが
できる。
【0086】また、上述した実施例のLC素子は、主に
p−Si基板を利用して形成したが、同様にn型半導体
基板(n−Si基板)を利用して形成するようにしても
よい。また、半導体基板はゲルマニウム等のシリコン以
外の材料、あるいは非晶質材料であるアモルファスシリ
コン等を用いるようにしてもよい。
【0087】また、上述した実施例では、pn接合層3
6(pn接合層154も同様)をp−Si基板34より
も不純物濃度を高めたp+ 領域30およびn+ 領域32
により構成したが、これら各領域の不純物についてはp
n接合層36が形成されしかも分布定数的に形成された
キャパシタとして機能する範囲で任意に設定することが
できる。
【0088】
【発明の効果】上述したように、請求項1の発明によれ
ば、反転増幅器と移相器およびLC素子を接続して正弦
波発振が行われており、より少ない部品を組み合わせる
だけで簡単に正弦波を発生させることができる。また、
上述したLC素子は半導体基板上に形成されているた
め、反転増幅器や移相器を含む全ての部品を半導体基板
上に形成することが可能であり、半導体製造技術を利用
した大量生産や回路の小型化が可能となる。特に、これ
ら各部品は1つの半導体基板上に形成することもでき、
この場合は回路全体を半導体基板上に一体形成すること
になるため、大量生産や回路の小型化がさらに容易にな
る。
【0089】また、請求項2の発明によれば、上述した
反転増幅器あるいは移相器の少なくとも一方をインバー
タ論理回路により構成しており、このような構造が単純
なインバータ論理回路とLC素子とを組み合わせるだけ
で、簡単に正弦波を発生させることができる。特に、上
述したインバータ論理回路は一般には半導体基板上に形
成されるものであり、LC素子とともに一体形成する場
合にさらに好都合となる。
【0090】また、請求項3の発明によれば、2つのイ
ンバータ論理回路とLC素子とにより回路が構成される
ため、回路全体が簡略化されているとともに、半導体基
板を利用した一体形成が可能となる。
【0091】請求項4の発明によれば、半導体基板上で
あって同心状に隣接して配置された2つの電極と、これ
ら2つの電極に沿って形成された渦巻き形状のpn接合
層とにより上述したLC素子が形成されており、このL
C素子が半導体製造技術を用いて半導体基板に形成され
るため、反転増幅器等のそれ以外の部品とともに半導体
基板上に一体形成する際に好都合となる。
【0092】また、請求項5の発明によれば、請求項4
のLC素子の電極を渦巻き形状から蛇行形状に置き換え
ることによりLC素子が形成されており、請求項4の発
明と同様にこのLC素子が半導体製造技術を用いて半導
体基板に形成されるため、反転増幅器等のそれ以外の部
品とともに半導体基板上に一体形成する際に好都合とな
る。特に、電極を蛇行形状に形成した場合には、電極の
一方端あるいは両端に配線を施す場合に、この配線を電
極の一部と交差させずに引き出せる利点があり、正弦波
発振回路全体の製造工程の簡略化が可能となる。
【0093】また、請求項6の発明によれば、2つの電
極のいずれか一方を短く形成することにより、インダク
タ導体が部分的に対向したLC素子が形成されており、
部分対向させる電極の割合等を変えることにより発振周
波数をある範囲で調整することができ、正弦波発振回路
の設計の自由度が増す。
【0094】また、請求項7の発明によれば、2つの電
極のいずれか一方を複数に分割、あるいはこの電極の分
割とともに対応するpn接合層を複数に分割することに
より、分割されたインダクタ導体による影響が少ないL
C素子が形成されており、電極の分割状態を変えること
により発振周波数をある範囲で調整することができ、正
弦波発振回路の設計の自由度が増す。
【0095】また、請求項8の発明によれば、pn接合
層に印加する逆バイアス電圧を変更することにより、分
布定数的に形成されるキャパシタの容量値が変更可能な
LC素子が形成されており、印加する逆バイアス電圧を
可変に制御して渦巻き形状あるいは蛇行形状を有するp
n接合層の全域をバリキャップとして動作させることに
より、ある範囲で周波数特性を変更可能なLC素子とす
ることができ、電圧制御型の正弦波発振回路を容易に実
現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した一実施例の正弦波発振回路の
構成を示す図である。
【図2】LC素子の一例を示す図である。
【図3】図2のA−A線拡大断面図である。
【図4】図2に示したLC素子の等価回路を示す図であ
る。
【図5】正弦波発振回路内においてLC素子にバイアス
電圧を印加するための具体的構成を示す図である。
【図6】図2に示したLC素子の製造工程を示す図であ
る。
【図7】図2に示したLC素子の変形例を示す図であ
る。
【図8】図7に示したLC素子の等価回路を示す図であ
る。
【図9】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図10】図9に示したLC素子の等価回路を示す図で
ある。
【図11】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図12】蛇行形状を有するインダクタ導体の動作を説
明するための図である。
【図13】LC素子の他の変形例を示す図である。
【図14】LC素子の他の変形例を示す図である。
【符号の説明】
1 正弦波発振回路 10,14 インバータ論理回路 12 LC素子 20 第1のスパイラル電極 22 第2のスパイラル電極 24,26 入出力電極 28 キャパシタ連結用電極 34 p−Si基板(p型シリコン基板) 36 pn接合層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−65920(JP,A) 特開 昭57−38022(JP,A) 特開 昭55−133107(JP,A) 特開 昭61−251211(JP,A) 特開 平6−104674(JP,A) 特開 平6−77711(JP,A) 特開 平6−21533(JP,A) 実開 昭51−852(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H03B 5/00 - 5/28

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入力信号を増幅するとともに位相反転を
    行う反転増幅器と、 入力信号の位相をほぼ180度ずらす移相器と、 半導体基板上にほぼ並行して形成された2本のインダク
    タ導体を有し、これら2本のインダクタ導体による2本
    のインダクタとそれらの間のキャパシタとが分布定数的
    に形成されたLC素子と、 を備え、前記反転増幅器の出力を前記LC素子の2本の
    インダクタ導体のいずれか一方を介して入力側に帰還さ
    せるとともに、前記反転増幅器の出力の位相を前記移相
    器によってずらした後に前記2本のインダクタ導体の他
    方の一方端近傍に入力することにより正弦波発振を行う
    ことを特徴とする正弦波発振回路。
  2. 【請求項2】 請求項1において、 前記反転増幅器あるいは前記移相器の少なくとも一方を
    インバータ論理回路により構成することを特徴とする正
    弦波発振回路。
  3. 【請求項3】 半導体基板上にほぼ並行して形成された
    2本のインダクタ導体を有し、これら2本のインダクタ
    導体による2本のインダクタとそれらの間のキャパシタ
    とが分布定数的に形成されたLC素子と、 入力端および出力端のそれぞれが、前記LC素子の一方
    のインダクタ導体の一方端近傍および他方端近傍に接続
    された第1のインバータ論理回路と、 入力端が前記第1のインバータ論理回路の出力端に接続
    されているとともに、出力端が前記LC素子の他方のイ
    ンダクタ導体の一方端近傍に接続された第2のインバー
    タ論理回路と、 を備え、前記第2のインバータ論理回路から正弦波信号
    を得ることを特徴とする正弦波発振回路。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 同一平面内でほぼ同心状で隣接して配置されており、前
    記2本のインダクタ導体として機能する渦巻き形状の2
    つの電極と、 前記半導体基板の表面近傍であって前記2つの電極に沿
    った位置に形成され、これら2つの電極のいずれか一方
    にp領域が、他方にn領域が電気的に接続されており、
    逆バイアス電圧を印加することにより前記キャパシタと
    して動作する渦巻き形状のpn接合層と、 を備えることを特徴とする正弦波発振回路。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれかにおいて、 前記LC素子は、 同一平面内でほぼ平行に隣接して配置されており、前記
    2本のインダクタ導体として機能する蛇行形状の2つの
    電極と、 前記半導体基板の表面近傍であって前記2つの電極に沿
    った位置に形成され、これら2つの電極のいずれか一方
    にp領域が、他方にn領域が電気的に接続されており、
    逆バイアス電圧を印加することにより前記キャパシタと
    して動作する蛇行形状のpn接合層と、 を備えることを特徴とする正弦波発振回路。
  6. 【請求項6】 請求項4または5において、 渦巻き形状あるいは蛇行形状を有する前記2つの電極の
    いずれか一方の長さを他方に比べて短く形成することを
    特徴とする正弦波発振回路。
  7. 【請求項7】 請求項4〜6のいずれかにおいて、 前記移相器が接続された側の前記インダクタ導体に相当
    する前記2つの電極の一方を複数に分割し、あるいはこ
    の電極とともに対応する前記pn接合層を複数に分割
    し、分割された前記電極の各分割片の一方端近傍を前記
    移相器に接続することを特徴とする正弦波発振回路。
  8. 【請求項8】 請求項4〜7のいずれかにおいて、 前記pn接合層に印加する逆バイアス電圧を変更するこ
    とにより、前記LC素子内に分布定数的に形成されるキ
    ャパシタの容量値を変えることを特徴とする正弦波発振
    回路。
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