JP5078251B2 - 制振性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
しかし、特に温度、振動等において厳しい使用環境となる車載用のCDプレーヤー,DVDプレーヤー,DVDビデオ,DVDナビゲーション等向けディスクチェンジャー用トレーに対しては、より優れた耐熱性、寸法精度、制振・制音性能が要求されるようになってきており、特に制振・制音性能については、走行時の振動によるストッカートレー同士やストッカートレーとストッカートレーを収納するボックス(マガジン)との接触等により発生するノイズの低減が課題として上げられ、これまでの材料においては、この課題に対応する事は難しかった。
また、従来、住宅等の建築材料分野、自動車,船舶,航空機等の輸送分野、機械分野等では種々の制振材,防音材が用いられている。これらの制振、防音材料は主にアスファルト系,合成ゴム系,合成樹脂系からなる物である。アスファルト系はアスファルトにゴムや熱可塑性エラストマーを配合したものが主であるが、粘着性が高いことや、耐熱性、アスファルト中にゴムや熱可塑性エラストマーを均一に分散させることが難しい等の問題がある。また、合成ゴム系は複雑な配合や加硫工程を有するため加工性に問題がある。
すなわち、本発明は、
[1]ポリフェニレンエーテル系樹脂(a)、またはポリフェニレンエーテル系樹脂(a)とスチレン系樹脂(b)とからなる樹脂成分 30〜95重量部、
(c)水添共重合体 5〜50重量部、
(d)リン系難燃剤 0〜40重量部からなり、
成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)=100重量部である樹脂組成物であり、水添共重合体(c)が、下記一般式(1)に示されるカップリング構造を有する、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添共重合体であって、且つ共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる(非水添)ランダム共重合体ブロックを水素添加して得られる水添ランダム共重合体ブロックを有する水添共重合体からなり下記(1)〜(7)を満足する水添共重合体(c)である樹脂組成物であって、前記樹脂組成物が、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2次共振ピークの損失係数(η)が0.02以上であることを特徴とする樹脂組成物。
(1)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が、該水添共重合体の重量に対して50〜80重量%。(2)該重合体ブロック(A)の含有量が、該水添共重合体の重量に対して8〜40重量%。(3)重量平均分子量が、3万〜100万。
(4)該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が、75%以上。
(5)該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが5℃以上、35℃未満の範囲に少なくとも1つ存在する。
(6)分子末端にビニル芳香族重合体ブロック(A)を有する構造。
(7)水添ランダム共重合体ブロック(B)の水素添加前のランダム共重合体ブロックにおいて、共役ジエン単量体単位のビニル結合量が8〜20%である。
[(A−B)n]m−X・・・(1)
(式中、Aはビニル芳香族単量体重合体ブロックを表し、Bは共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロックを水素添加して得られる少なくとも1つの水添ランダム共重合体ブロックを表し、nは1〜5の整数を示し、mは2〜11の整数を示し、Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を表す。
[2]前記樹脂組成物が、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2次共振ピークの損失係数(η)が0.04以上であることを特徴とする[1]に記載の樹脂組成物、
[3](d)リン系難燃剤として、ホスファゼン化合物を1〜40重量部含有する樹脂組成物であって、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2次共振ピークの損失係数(η)が0.04以上であることを特徴とする[1]又は[2]に記載の樹脂組成物、
[4](d)リン系難燃剤として、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される縮合リン酸エステルを1〜40重量部含有する樹脂組成物であって、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2次共振ピークの損失係数(η)が0.04以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の樹脂組成物、
[5]共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる、成分(c)の水添共重合体とは異なる構造の水添ブロック共重合体(e)を、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)=100重量部に対し、1〜30重量部含有することを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂組成物、
[6]ポリオレフィン系重合体(f)を、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)+成分(f)=100重量部に対し、1〜40重量部含有することを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂組成物、
[7]無機充填剤(g)を、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)+成分(f)+成分(g)=100重量部に対し、2〜50重量部含有することを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の樹脂組成物、
である。
<ポリフェニレンエーテル系樹脂(成分(a))>
本発明において、成分(a)のポリフェニレンエーテル系樹脂としては公知のものが使用できる。すなわち、ポリフェニレンエーテル系樹脂とは、下記一般式(3)で示される重合体の総称であって、一般式(3)で示される重合体の1種単独であっても、2種以上が組合わされた共重合体であってもよい。
R1、R2、R3およびR4の具体例としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、メチル、エチル、プロピル、アリル、フェニル、ベンジル、メチルベンジル、クロロメチル、ブロモメチル、シアノエチル、シアノ、メトキシ、エトキシ、フェノキシ、ニトロなどの基が挙げられる。
本発明において好ましいポリフェニレンエーテル系樹脂は、上記一般式(3)におけるR1およびR2 がアルキル基、特に炭素原子数1〜4のアルキル基であり、R3、R4は、水素原子もしくは炭素原子数1〜4のアルキル基であるポリマーである。nは通常50以上が好ましい。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂は、極性基を有する化合物により変性されていてもかまわない。該化合物としては、酸ハライド、カルボニル基、酸無水物、酸アミド、カルボン酸エステル、酸アジド、スルフォン基、ニトリル基、シアノ基、イソシアン酸エステル、アミノ基、イミド基、水酸基、エポキシ基、オキサゾリン基、チオール基を有する化合物などが挙げられる。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂の分子量は、数平均分子量1000〜100000が好ましく、特に各種の物性のバランスを考慮すると6000〜60000の範囲のものが更に好ましい。
本発明での成分(b)スチレン系重合体は、通常のラジカル重合にて製造されるスチレン系重合体、およびシンジオタクチック構造を有するスチレン系重合体のどちらを用いてもよい。また、ゴム変性スチレン系樹脂も好適に用いられる。
通常のラジカル重合にて製造されるスチレン系重合体としては、スチレン化合物の単独重合物、あるいはスチレン化合物と共重合可能な単量体を含有したものが挙げられる。上記スチレン化合物の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、α−エチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン、o−クロルスチレン、m−クロルスチレン、p−クロルスチレン、p−ブロモスチレン、ジクロルスチレン、ジブロモスチレン、トリクロルスチレン、トリブロモスチレンなどのハロゲン化スチレンなどが挙げられるが、これらの中ではスチレン、α−メチルスチレンが好ましい。また、スチレン化合物と共重合可能な単量体の例としては、たとえばアクリロニトリル、メタクリロニトリル、フマロニトリル、マレオニトリルなどのシアン化ビニルや、メタクリル酸メチル、アクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸などが挙げられるが、これらの中では、アクリロニトリルが好ましい。
本発明での成分(c)水添共重合体は、カップリング構造を有する共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位からなるブロック共重合体を水素添加(以下、水添とも言う。)して得られる水添共重合体であって、且つ共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる(非水添)ランダム共重合体ブロックを水素添加して得られる水添ランダム共重合体ブロックを有する水添共重合体である。ここで、「ビニル芳香族単量体単位」とは、単量体であるビニル芳香族化合物を重合した結果生ずる重合体の構成単位を意味し、その構造は、置換ビニル基に由来する置換エチレン基の二つの炭素が結合部位となっている分子構造であり、「共役ジエン単量体単位」とは、単量体である共役ジエン化合物を重合した結果生ずる、重合体の構成単位を意味し、その構造は、共役ジエン単量体に由来するオレフィンの二つの炭素が結合部位となっている分子構造である。また、本発明で言うブロック共重合体のカップリング構造とは、一般に呼ばれているラジアルテレブロック構造、星形構造、放射型ブロック構造などの呼び方で表わされている構造を含むものであり、3次元構造、網目構造、かご型構造等の化学反応を介した架橋構造は本発明には含まれない。
本発明での成分(c)の水添共重合体は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる共重合体(以下、しばしば「ベース非水添共重合体」と称する)を水添して得られるものである。
上記重合体ブロック(A)及び水添重合体ブロック(C)は、物理架橋点のような役割を果たすので「拘束相」と称する。これに対して、上記水添ランダム共重合体ブロック(B)は、「非拘束相」と称する。
本発明での成分(c)水添共重合体が、水添重合体ブロック(C)を有しない場合、該水添共重合体に関して得られた示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて、−20〜80℃の範囲に水添ランダム共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しないことが好ましい。ここで、「−20〜80℃の範囲に水添ランダム共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない」とは、この温度範囲において水添共重合体ブロック(B)の結晶化に起因するピークが現れないか、または、結晶化に起因するピークが認められるが、その結晶化による結晶化ピーク熱量が好ましくは3J/g未満、より好ましくは2J/g未満、更に好ましくは1J/g未満、特に好ましくは結晶化ピーク熱量が無いことを意味する。
示差走査熱量測定(DSC)チャートにおいて−20〜80℃の範囲に水添ランダム重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない成分(c)の水添共重合体は、柔軟性が良好であり、本発明においては好ましい。上記のような−20〜80℃の範囲に水添ランダム共重合体ブロック(B)に起因する結晶化ピークが実質的に存在しない成分(c)水添共重合体は、後述するようなビニル結合量調整剤や、共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するための、後述するような調整剤を用いて後述するような条件下で重合反応を行うことによって得られる(非水添)ブロック共重合体を水添することによって得られる。
結晶化ピーク温度及び結晶化ピーク熱量は、示差走査熱量測定装置を用いて測定することができる。
本発明での成分(c)水添共重合体におけるビニル芳香族単量体単位の含有量は、水添重合体ブロック(C)を有しない場合、ポリフェニレンエーテル系樹脂との相溶性、得られた樹脂組成物の制振性と機械強度のバランスの観点から、成分(c)の水添共重合体に対して40〜90重量%であることが好ましい。本発明の成分(c)水添共重合体のビニル芳香族単量体単位の含有量は、更に好ましくは45〜85重量%、とりわけ好ましくは50〜80重量%、最も好ましくは55〜75重量%である。
ビニル芳香族単量体単位の成分(c)水添共重合体に対する含有率は、ビニル芳香族単量体単位のベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、ビニル芳香族単量体単位の成分(c)水添共重合体に対する含有率は、ベース非水添共重合体に対する含有率として求める。ビニル芳香族単量体単位の成分(c)水添共重合体に対する含有率は、ベース非水添共重合体を検体として、紫外分光光度計を用いて測定する。
本発明において、重合体ブロック(A)の成分(c)水添共重合体に対する含有率は、重合体ブロック(A)のベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、重合体ブロック(A)の成分(c)水添共重合体に対する含有率は、重合体ブロック(A)のベース非水添共重合体に対する含有率として求める。具体的には、四酸化オスミウムを触媒としてベース非水添共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法、以下、しばしば「四酸化オスミウム分解法」と称する。)で求めたビニル芳香族重合体ブロック成分の重量(但し、平均重合度が約30以下のビニル芳香族重合体成分は除かれている。)を用いて、次の式から求める。
なお、重合体ブロック(A)の成分(c)水添共重合体に対する含有率を直接測定する場合には、成分(c)の水添共重合体を検体として、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて行うことができる(Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981)に記載の方法;以後、「NMR法」と称する)。
Os値=−0.012(Ns値)2+1.8(Ns値)−13.0
従って、本発明においてNMR法によって重合体ブロック(A)の成分(c)水添共重合体に対する含有率(Ns値)を求めた場合には、上記式に基づいてNs値をOs値に換算する。
一方、本発明の成分(c)の水添共重合体が水添重合体ブロック(C)を有する場合には、水添ランダム共重合体ブロック(B)の含有量は、成分(c)の水添共重合体に対して好ましくは40〜90重量%、更に好ましくは45〜88重量%、とりわけ好ましくは50〜85重量%である。
上記のように、水添重合体ブロック(C)は共役ジエン単量体単位からなる(非水添)重合体ブロックを水添して得られる。水添重合体ブロック(C)の含有量は、上記共役ジエン単量体単位からなる(非水添)重合体ブロックを製造する際の共役ジエン単量体の添加量から求められる。なお、水添重合体ブロック(C)の成分(c)水添共重合体に対する含有率は、上記(非水添)重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率とほぼ等しいので、水添重合体ブロック(C)の成分(c)水添共重合体に対する含有率は、上記(非水添)重合体ブロックのベース非水添共重合体に対する含有率として求める。
なお、成分(c)水添共重合体におけるビニル芳香族単量体単位の二重結合の水添率に関しては特に限定はないが、水添率は好ましくは50%以下、更に好ましくは30%以下、特に好ましくは20%以下である。
本発明の成分(c)の水添共重合体は、該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて損失正接(tanδ)のピークが、好ましくは0℃以上40℃未満、より好ましくは5℃以上35℃未満、更に好ましくは5℃以上30℃未満の範囲に少なくとも1つ存在することが好ましい。0℃以上40℃未満の範囲に存在する損失正接のピークは、水添ランダム共重合体ブロック(B)(共役ジエン単量体単位とビニル芳香族化合物と単量体単位とからなる(非水添)ランダム共重合体ブロックを水添して得られる水添ランダム重合体ブロック)に起因するピークである。損失正接のピークが0℃以上40℃未満の範囲に少なくとも1つ存在することは、成分(c)水添共重合体の制振性、柔軟性、耐磨耗性、耐傷付き性、引っ張り強度等の機械特性のバランスの点でも好ましい。なお、本発明において、重合体ブロック(A)に起因する損失正接のピークの存在に関しては特に限定はないが、重合体ブロック(A)に起因する損失正接のピークは、通常、80℃を超え、150℃以下の温度範囲内に存在する。
上記のように、水添ランダム共重合体ブロック(B)は、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる非水添ランダム共重合体ブロックを水添して得られる。上記非水添ランダム共重合体における共役ジエン単量体単位/ビニル芳香族単量体単位重量比に関しては、特に限定はない。しかし、上記のように、損失正接のピークが0℃以上、40℃未満の範囲に少なくとも1つ存在することを考慮すると、共役ジエン単量体単位/ビニル芳香族単量体単位重量比は、好ましくは55/45〜15/85、更に好ましくは50/50〜20/80、特に好ましくは45/55〜25/75であることが推奨される。
上記のビニル結合量は、ベース非水添共重合体を検体として赤外分光光度計を用いて測定される。
本発明での成分(c)の水添共重合体は、カップリング構造を有することが必須である。
[(A−B−C)n]m−X、
[A−(B−C)n]m−X、[(A−B)n−C]m−X、
[(A−B−A)n−C]m−X、
[(B−A−B)n−C]m−X、[(C−B−A)n]m−X、
[C−(B−A)n]m−X、
[C−(A−B−A)n]m−X、
[C−(B−A−B)n]m−X
また、本発明の成分(c)水添共重合体として、少なくとも2個の重合体ブロック(A)と、少なくとも1個の水添ランダム共重合体ブロック(B)とからなる、カップリング構造を有する水添共重合体も好ましく用いられる。このような水添共重合体の例として、下記式で表されるような構造を有するものが挙げられる。
[(A−B)n]m−X、 [(B−A)n−B]m−X、
[(A−B)n−A]m−X、 [(B−A)n+1]m−X
また、本発明においては、カップリング構造を有する水添共重合体(c)と、カップリングしていない構造の水添共重合体を併用することができ、上記式で表される構造を有する成分(c)水添共重合体と、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体、A−B構造を有する共重合体、B−A−B構造を有する共重合体、及び下記式で表されるような構造を有する共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1つの重合体との混合物であってもよい。この場合、カップリングしていない構造の水添共重合体の混合割合は、カップリング構造を有する水添共重合体(c)とカップリングしていない構造の水添共重合体の合計量に対して40%以下、好ましくは5〜30%、より好ましくは5〜20%である。カップリングしていない構造の水添共重合体を併用することにより、低温衝撃性が改善され、混合割合が40%以下の場合に制振性が優れる。
C−(B−A)n 、C−(A−B)n、
C−(A−B−A)n、C−(B−A−B)n 、
A−C−(B−A)n、A−C−(A−B)n 、A−C−(B−A)n −B、
(A−B)n+1 、A−(B−A)n、B−(A−B)n+1 、
上記式において、各Aはそれぞれ独立してビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックを表す。各Bはそれぞれ独立して共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる(非水添)ランダム共重合体ブロックを水添して得られる水添ランダム共重合体ブロックを表す。各Cはそれぞれ独立して、共役ジエン単量体単位からなる(非水添)重合体ブロックを水添して得られる水添重合体ブロックを表す。各ブロックの境界は必ずしも明瞭に区別されていなくてもよい。(非水添)ランダム共重合体を水添して得られる水添共重合体ブロックB中のビニル芳香族単量体単位は、均一に分布していてもよいし、テーパー状に分布していてもよい。また水添共重合体ブロックBには、ビニル芳香族単量体単位が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。また水添共重合体ブロックBには、ビニル芳香族単量体単位含有量が異なるセグメントが複数個存在していてもよい。各nはそれぞれ独立して1以上の整数、好ましくは1〜5の整数である。
また、ビニル芳香族化合物の例として、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
(1)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が、該水添共重合体の重量に対して40〜90重量%。
(2)該重合体ブロック(A)の含有量が、該水添共重合体の重量に対して5〜50重量%。
(3)重量平均分子量が、3万〜100万。
(4)該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が、75%以上。
(5)該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが0℃以上、40℃未満の範囲に少なくとも1つ存在する。
(6)分子末端にビニル芳香族重合体ブロック(A)を有する構造。
水添共重合体(c)が、少なくとも2つの重合体ブロック(A)及び少なくとも1つの水添共重合体ブロック(B)を有し、かつ下記の特性(7)、(8)及び(9)を更に有する水添共重合体(c)である。
(7)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が該水添共重合体の重量に対して50〜80重量%。
(8)該少なくとも2つの重合体ブロック(A)の含有量が該水添共重合体の重量に対して8〜40重量%である。
(9)水添ランダム共重合体ブロック(B)の水素添加前のランダム共重合体ブロックにおいて、共役ジエン単量体単位のビニル結合量が8〜20%である。
第3級アミン化合物の例として、式R1 R2 R3 N(ただし、R1、R2、R3はそれぞれ独立して炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)で表される化合物が挙げられる。具体的には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等が挙げられる。
3官能以上の多官能カップリング剤の例として、3価以上のポリアルコール類;エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物;式R4-n SiXn (ただし、各Rはそれぞれ独立して炭素数1から20の炭化水素基を表し、各Xはそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、nは3または4を表す。)で表されるハロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリド、t−ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物;式R4-nSnXn (ただし、各Rはそれぞれ独立して炭素数1から20の炭化水素基を表し、各Xはそれぞれ独立してハロゲン原子を表し、nは3または4を表す。)で表されるハロゲン化錫化合物、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も多官能カップリング剤として使用できる。この中で、ハロゲン化珪素化合物が好ましく用いられる。
(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持した担持型不均一系水添触媒、
(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩を有機アルミニウム等の還元剤とともに用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、及び
(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できる。具体的には、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上有する化合物が挙げられる。また、還元性有機金属化合物の例としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物が挙げられる。
上記の水添反応により、水添共重合体の溶液が得られる。水添共重合体の溶液から必要に応じて触媒残渣を除去し、水添共重合体を溶液から分離する。溶媒を分離する方法の例としては、水添後の反応液にアセトンまたはアルコール等の水添共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法;反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法;及び重合体溶液を直接加熱して溶媒を留去する方法、が挙げられる。
本発明での成分(c)水添共重合体は、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)=100重量部に対して、5〜50重量部、好ましくは5〜45重量部、更に好ましくは10〜45重量部配合する。成分(c)の配合量は、制振性の観点から5重量部以上であり、難燃性および機械的特性の観点から50重量部以下である。また、成分(c)の配合量が10重量部以上であると、柔軟性、耐傷付性及び耐摩耗性が良好であり、好ましい。
本発明での成分(d)リン系難燃剤としては、赤リン、有機リン酸エステル化合物、ホスファゼン化合物、ホスホルアミド化合物等が挙げられる。
有機リン酸エステル化合物の具体例としては、トリフェニルフォスフェート、フェニルビスドデシルホスフェート、フェニルビスネオペンチルホスフェート、フェニル−ビス(3,5,5′−トリ−メチル−ヘキシルホスフェート)、エチルジフェニルホスフェート、2−エチル−ヘキシルジ(p−トリル)ホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)p−トリルホスフェート、トリトリルホスフェート、ビス−(2−エチルヘキシル)フェニルホスフェート、トリ−(ノニルフェニル)ホスフェート、ジ(ドデシル)p−トリルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ジブチルフェニルホスフェート、2−クロロエチルジフェニルホスフェート、p−トリルビス(2,5,5′−トリメチルヘキシル)ホスフェート、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジフェニルホスフェート)、ジフェニル−(3−ヒドロキシフェニル)ホスフェート、ビスフェノールA・ビス(ジクレジルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシン・ビス(ジキシレニルホスフェート)、2−ナフチルジフェニルフォスフェート、1−ナフチルジフェニルフォスフェート、ジ(2−ナフチル)フェニルフォスフェート等が挙げられる。
この中で、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される芳香族系縮合リン酸エステル化合物が好ましい。
ホスファゼン化合物は、下記一般式(4)で示される環状および直鎖状の構造を有するものであるが、環状構造化合物が好ましく、n=3および4の6員環および8員環のフェノキシホスファゼン化合物が特に好ましい。
さらに、これらの化合物は、フェニレン基、ビフェニレン基および下記一般式(5)でに示される基からなる群より選ばれる架橋基によって架橋されていても良い。
本発明での成分(d)リン系難燃剤は、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)=100重量部に対して、0〜40重量部、好ましくは1〜40重量部、より好ましくは2〜30重量部、更に好ましくは3〜25重量部配合する。成分(d)の配合量が、樹脂組成物100重量部中、3重量部以上であると、難燃性が特に良好である。また、機械強度及び耐加熱変形性等の観点から40重量部以下である。
本発明の樹脂組成物においては、耐寒性を向上させる目的で、成分(c)の水添共重合体と、成分(c)とは異なるランダム共重合体ブロックを有しない水添ブロック共重合体(e)とを併用することが好ましい。
水添ブロック共重合体(e)とは、少なくとも1個、好ましくは2個以上のビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン単量体単位を主体とする重合体ブロックとを有するブロック共重合体の水素添加物であり、旭化成ケミカルズ(株)製の登録商標タフテック、クレイトン社の登録商標クレイトン、クラレ社の登録商標セプトン、JSR社のダイナロン等が市販されている。共役ジエン単量体としては、ブタジエン、イソプレン等が好ましい。ビニル芳香族単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−ターシャルブチルスチレン等のアルキルスチレン、パラメトキシスチレン、ビニルナフタレン等のうちから1種、または2種以上が選ばれ、中でもスチレンが好ましい。
水添ブロック共重合体(e)の配合量は、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)=100重量部に対し1〜30重量部、好ましくは5〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部である。(c)と(e)との合計量に対して50重量%以下、より好ましくは30重量%以下であり、10重量%以上併用することで効果が得られる。
本発明の樹脂組成物においては、さらに、成分(f)ポリオレフィン系重合体を添加することができる。結晶性のポリオレフィン樹脂は、耐油性や摺動性を向上させるのに有効であり、またポリオレフィン系エラストマーは、柔軟性や耐油性を向上させるのに有効である。
結晶性のポリオレフィン樹脂の例としては、エチレン、プロピレン、その他のオレフィン系炭化水素の単独重合体、およびそれらの共重合体が挙げられる。ポリオレフィン系エラストマーとしては、エチレンと各種α−オレフィンとの共重合体、エチレンとアクリル酸エステルとの共重合体やエチレンとメタクリル酸エステルとの共重合体などがが挙げられる。
ポリオレフィン系重合体(f)の配合量は、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)+成分(f)=100重量部に対し、1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部であり、10重量%でも有効である。
本発明の樹脂組成物においては、さらに、成分(g)無機充填剤を添加することができる。無機充填剤の具体例としては、ガラス繊維、ガラスフレーク、(スゾライト、クラライト)マイカ、ウォラストナイト、タルク、焼成クレーなどが挙げられるが、より好ましいのはガラスフレーク、マイカ、タルク等の板状の無機充填剤であり、特に好ましいのはマイカである。
上記無機充填剤は1種用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、本発明の目的を損なわない範囲で、所望に応じシラン系カップリング剤による表面処理や、集束剤による集束処理が施されたものも用いることができる。
本発明の樹脂組成物は、制振特性の尺度として、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2次共振ピークの損失係数(η)が0.02以上、好ましくは0.04以上が好ましい。損失係数(η)は最大で0.3程度である。
本発明では、特に、ポリテトラフルオロエ チレン(PTFE)などに代表されるポリフェニレンエーテル系樹脂中でフィブリル構造を形成するものがドリップの抑制効果が高いので好適である。このようなドリップ防止剤が含まれる樹脂組成物は特に難燃性に優れている。このようなポリテトラフルオロエチレン(PTFE)の中でも、分散性に優れたもの、たとえば水などの溶液にPTFEを乳化分散させたもの、またアクリル酸エステル系樹脂、メタクリル酸エステル系樹脂、スチレン−アクリロニトリル共重合体樹脂等でPTFEをカプセル化処理したものは、変性PPE樹脂からなる成形体に、よい表面外観を与えるので好ましい。
また、このようなポリテトラフルオロエチレンは、公知の方法によって製造することもできる(米国特許第2393967号明細書参照)。具体的には、ペルオキシ二硫酸ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムなどの遊離基触媒を使用して、水性の溶媒中において、0.7〜7MPaの圧力下で、0〜200℃、好ましくは20〜100℃の温度条件のもと、テトラフルオロエチレンを重合させることによって、ポリテトラフルオロエチレンを白色の固体として得ることができる。
本発明の樹脂組成物においては、必要に応じて周知の熱可塑性樹脂をさらにブレンドしてもよい。熱可塑性樹脂としては、共役ジエンとビニル芳香族とのブロック共重合樹脂及びその水添物(但し、本発明の成分(c)および(e)とは異なる。)、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂等が挙げられる。
本発明の制振性に優れた樹脂組成物は、制振性、制音性が要求される用途、電子・電気機器、機械設備の振動部や騒音部、住宅や乗り物などの床材、壁材、天井材など、制振性と剛性のバランスが要求される用途に好適に用いることができる。具体例としては、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−R、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、MD等光ディスクドライブ用機構部品、プロジェクションTV、液晶プロジェクターのファンやギヤなどの駆動部周辺部品、車載用のCDプレーヤー,DVDプレーヤー,DVDビデオ,DVDナビゲーション等向けディスクチェンジャー用トレー、スピーカーボックス、スピーカーグリルその他の各種音響機器部品等に好適である。
の例によって何ら限定されるものではない。
(1)成分(a):ポリフェニレンエーテル系樹脂
(PPE−1):ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フエニレンエーテル(旭化成ケミカルズ(株)製、S202A)
(2)成分(b):スチレン系重合体
(PS−1):ハイインパクトポリスチレン(PSジャパン(株)製、ポリスチレンH9302)
(PS−2):ホモポリスチレン(PSジャパン(株)製、ポリスチレン685)
(3)成分(c):水添共重合体
水添反応に用いる水添触媒は、次のように製造した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン2リットルを仕込み、ビス(η−シクロペンタジエニル)−ジ−p−トリルチタニウム40ミリモルと分子量が約1,000の1,2−ポリブタジエン(1,2−ビニル結合量約85%)150グラムとを溶解した後、n−ブチルリチウム60ミリモルを含むシクロヘキサン溶液を添加して、室温で5分反応させ、直ちにn−ブタノール40ミリモルを添加して攪拌することにより、水添触媒を得た。
内容積が10リットルの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、共重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.076重量%、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと称する。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.4モル添加し、その後モノマーとしてスチレン15重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約6分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
次に、ブタジエン35重量部とスチレン50重量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。この間、反応器内温は約75℃になるように調整し、共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は65重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は15重量%、ブタジエン部のビニル結合量は22重量%、重量平均分子量は18万、分子量分布は1.2であった。次に、得られた共重合体に、上記水添触媒を共重合体の重量に対してチタンとして100重量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体の重量に対して0.3重量%添加し、水添ブロック共重合体を得た。水添率は99%、tanδ(損失正接)のピーク温度は15℃であった。また、示差走査熱量測定(DSC測定)の結果、結晶化ピークは無かった。
内容積が10リットルの攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を用いて、共重合を以下の方法で行った。
シクロヘキサン10重量部を反応器に仕込んで温度70℃に調整した後、n−ブチルリチウムを全モノマー(反応器に投入するブタジエンモノマー及びスチレンモノマーの総量)の重量に対して0.076重量%、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(以下、TMEDAと称する。)をn−ブチルリチウム1モルに対して0.4モル添加し、その後モノマーとしてスチレン7重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を約6分間かけて添加し、反応器内温を約70℃に調整しながら30分間反応させた。
次に、ブタジエン35重量部とスチレン50重量部とを含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を60分間かけて一定速度で連続的に反応器に供給した。この間、反応器内温は約75℃になるように調整した。
その後、更にスチレン8重量部を含有するシクロヘキサン溶液(モノマー濃度22重量%)を3分間かけて添加し、反応温度を約70℃に調整しながら30分間反応させ、共重合体を得た。得られた共重合体のスチレン含有量は65重量%であり、スチレン重合体ブロックの含有量は15重量%、ブタジエン部のビニル結合量は23重量%、重量平均分子量は15万、分子量分布は1.2であった。次に、得られた共重合体に、上記水添触媒を共重合体の重量に対してチタンとして100重量ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。反応終了後にメタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体の重量に対して0.3重量%添加し、水添共重合体を得た。水添率は99%、tanδ(損失正接)のピーク温度は10℃であった。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
ポリマー1において、反応器に供給するモノマー量を変え、反応器内温度を約80℃に保ち、ジブロック構造のブロック共重合体を得た後、使用したn−ブチルリチウム1モルに対してジメチルジクロロシラン0.6モル添加し10分間カップリング反応した。更に、同様にして水添反応を行い、カップリング構造の水添共重合体、ポリマー3を得た。得られたポリマーの結果を表1に示す。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
<ポリマー4>
ポリマー3において、最初にブタジエンとスチレンとのランダム共重合を行い、その後にスチレンを供給してジブロック構造のブロック共重合体を得た後、ポリマー3と同様の操作によりカップリング反応した。更に、同様にして水添反応を行い、カップリング構造の水添共重合体、ポリマー4を得た。得られたポリマーの結果を表1に示す。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
ポリマー3において、反応器に供給するモノマー量を変え、反応器内温度を約80℃に保ち、ジブロック構造のブロック共重合体を得た後、四塩化珪素をn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加し10分間カップリング反応した。更に、同様にして水添反応を行い、カップリング構造の水添共重合体、ポリマー5を得た。得られたポリマーの結果を表1に示す。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
<ポリマー6>
ポリマー3において、反応器に供給するモノマー量を変え最後にブタジエンを供給し、反応器内温度を約65℃に保ち、各ブロック重合体(A)/(B)/(C)=10/85/5(重量比)のトリブロック構造のブロック共重合体を得た後、四塩化珪素をn−ブチルリチウム1モルに対して0.3モル添加し10分間カップリング反応した。更に、同様にして水添反応を行い、カップリング構造の水添共重合体、ポリマー6を得た。得られたポリマーの結果を表1に示す。また、DSC測定の結果、結晶化ピークは無かった。
成分(c)水添共重合体とは異なるランダム構造を有しない成分(e)として、以下の(ポリスチレンブロック)−(ポリブタジエンブロック)−(ポリスチレンブロック)の水添ブロック共重合体を用いた。
(e−1):タフテック(登録商標)H1272(旭化成ケミカルズ(株)製)
(e−2):クレイトンG1650(クレートンポリマー(株)製)
また、制振性に優れるエラストマーとして市販されている、(ポリスチレンブロック)−(ポリイソプレンブロック)−(ポリスチレンブロック)の水添ブロック共重合体(e−3)を比較として用いた。
(e−3):ハイブラー7125(クラレ(株)製:スチレン含量20%)
(FR−1):ビスフェノールA−ビス(ジフェニルホスフェート)を主成分とするリン酸エステル化合物(大八化学(株)製、CR741)
(FR−2):6員環および8員環のクロロホスファゼン混合物とナトリウムフェノラートを反応して得られたフェノキシホスファゼン((株)伏見製作所製、FP−100)
(5)成分(f)ポリオレフィン
(f−1):ポリプロピレン樹脂:チッソポリプロXF1932(チッソ(株)製)
(6)成分(g)無機充填剤
(g−1):板状無機充填剤:ガラスフレーク
マイクログラスフレカREFG−302(日本板硝子(株)製)
(g−2):板状無機充填剤:タルク
ハイトロンA(竹内化学工業(株)製)
(g−3):板状無機充填剤:マイカ
スゾライト・マイカ200HK(クラレ(株)製)
(g−4):繊維状無機充填剤:ガラス繊維
RES03−TPO30(日本板硝子(株)製)
表2、3、4および5に示す組成で、25mmφ2軸押出機(Werner & Pfleiderer Co
rporation製、ZSK25)を用い、加熱筒設定最高温度300℃、回転数300rpmにて溶融混合して、ペレットを作成した。この際、無機充填剤は押出機バレル途中からサイドフィードし、難燃剤FR−1は押出機バレル途中から液状でフィードした。このペレツトを用いて、射出成形して試験片を作成し、以下の特性を測定した。結果を表2、3、4および5に示す。
(1)アイゾッド衝撃強度
ASTM−D−256に従い、測定温度23℃、ノッチ付きで試験し、アイゾッド衝撃強度を測定した。
(2)曲げ強度、曲げ弾性率
ASTM−D−790に従い、測定温度23℃、曲げ速度3mm/分で試験し、曲げ強度と曲げ弾性率を測定した。
(3)荷重撓み温度
ASTM−D−648に準じて、1.82MPa下で測定した。
(4)難燃性
UL−94に準じて、1.6mm厚みの燃焼性試験を行った。
(5)制振特性:損失係数η
常温(23℃)にて損失係数測定装置(松下インターテクノ社製)を用い、片端固定定常加振法により試験片を電磁加振させ、その応答速度を読み伝達関数を得た。次にその2次共振ピークの絶対値から3dB下がった点での周波数を読み、半値幅法から損失係数ηを求めた。尚、試験片は、127×12.7×3.2mmの短冊試験片を用いた。
(6)ガス、MD(成形性)
射出成形時に樹脂をパージした際のガスの発生程度およど金型表面の汚れ(MD)を目視判断した。ガス及びMD共に非常に少ないものから非常に多いものまで、◎、○、△、×でランク分け表示した。
Claims (8)
- ポリフェニレンエーテル系樹脂(a)、またはポリフェニレンエーテル系樹脂(a)とスチレン系樹脂(b)とからなる樹脂成分 30〜95重量部、
(c)水添共重合体 5〜50重量部、
(d)リン系難燃剤 0〜40重量部からなり、
成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)=100重量部である樹脂組成物であり、水添共重合体(c)が、下記一般式(1)に示されるカップリング構造を有する、共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる水添共重合体であって、且つ共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなる(非水添)ランダム共重合体ブロックを水素添加して得られる水添ランダム共重合体ブロックを有する水添共重合体からなり下記(1)〜(7)を満足する水添共重合体(c)である樹脂組成物であって、前記樹脂組成物が、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2次共振ピークの損失係数(η)が0.02以上であることを特徴とする樹脂組成物。
(1)該ビニル芳香族単量体単位の含有量が、該水添共重合体の重量に対して50〜80重量%。(2)該重合体ブロック(A)の含有量が、該水添共重合体の重量に対して8〜40重量%。(3)重量平均分子量が、3万〜100万。
(4)該共役ジエン単量体単位の二重結合の水添率が、75%以上。
(5)該水添共重合体に関して得られた動的粘弾性スペクトルにおいて、損失正接(tanδ)のピークが5℃以上、35℃未満の範囲に少なくとも1つ存在する。
(6)分子末端にビニル芳香族重合体ブロック(A)を有する構造。
(7)水添ランダム共重合体ブロック(B)の水素添加前のランダム共重合体ブロックにおいて、共役ジエン単量体単位のビニル結合量が8〜20%である。
[(A−B)n]m−X・・・(1)
(式中、Aはビニル芳香族単量体重合体ブロックを表し、Bは共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるランダム共重合体ブロックを水素添加して得られる少なくとも1つの水添ランダム共重合体ブロックを表し、nは1〜5の整数を示し、mは2〜11の整数を示し、Xはカップリング剤の残基又は多官能開始剤の残基を表す。 - 前記樹脂組成物が、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2
次共振ピークの損失係数(η)が0.04以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂組成物。 - (d)リン系難燃剤として、ホスファゼン化合物を1〜40重量部含有する樹脂組成物であって、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2次共振ピークの損失係数(η)が0.04以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
- (d)リン系難燃剤として、下記一般式(1)または下記一般式(2)で示される縮合リン酸エステルを1〜40重量部含有する樹脂組成物であって、室温中、片端固定定常加振法において、半値幅法により測定した2次共振ピークの損失係数(η)が0.04以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 共役ジエン単量体単位とビニル芳香族単量体単位とからなるブロック共重合体を水素添加して得られる、成分(c)の水添共重合体とは異なる構造の水添ブロック共重合体(e)を、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)=100重量部に対し、1〜30重量部含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- ポリオレフィン系重合体(f)を、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)
+成分(e)+成分(f)=100重量部に対し、1〜40重量部含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の樹脂組成物。 - 無機充填剤(g)を、成分(a)+成分(b)+成分(c)+成分(d)+成分(e)+成分(f)+成分(g)=100重量部に対し、2〜50重量部含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
- 無機充填剤(g)が、ガラスフレーク、マイカ、タルクから選択される1種または2種以上である請求項7に記載の樹脂組成物。
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