JP3916479B2 - 制振、防音材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柔軟性にとみ、優れた制振性、防音性、耐磨耗性、耐傷付き性、強度等の物理特性を持ち、高濃度で充填剤もしくは難燃剤を含んでも透明性や前述した物理特性を維持できる制振、防音材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、住宅等の建築材料分野、自動車,船舶,航空機等の輸送分野、機械,電気,電子分野等では種々の制振材,防音材が用いられている。これらの制振、防音材料は主にアスファルト系,合成ゴム系,合成樹脂系からなる物である。
アスファルト系はアスファルトにゴムや熱可塑性エラストマーを配合したものが主であるが、粘着性が高いことや、耐熱性、アスファルト中にゴムや熱可塑性エラストマーを均一に分散させることが難しい等の問題がある。また、合成ゴム系は複雑な配合や加硫工程を有するため加工性に問題がある。
【0003】
これらのうち合成樹脂系としては塩化ビニル樹脂が広く使用されてきた。塩化ビニル樹脂は、可塑剤、充填剤の添加量を調整することにより硬度、力学的物性を広範に設定可能であり、柔軟性、制振性、耐磨耗性、耐傷付き性に優れた材料を提供することができる。しかし材料の軽量化や、近年、該樹脂の焼却、分解時の環境に対する負荷が高いとする懸念等から、ポリ塩化ビニル系材料を他の材料で代替する要求が高まってきた。この様な代替材料の候補として、オレフィン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン系ブロック共重合体等を例示することができる。
【0004】
これらのうち、エチレン−α−オレフィン系共重合体等のオレフィン系樹脂は、その分子構造が非極性であるため表面に印刷、塗装を行うことが困難であるという問題を有していた。また、充填剤を添加する場合、充填可能な割合の上限値が低く、また充填剤の分散性が不十分となる場合があった。またエチレン−酢酸ビニル共重合体は、耐熱性が低く、また酢酸ビニルモノマーが製品中に残留した場合、特有の不快臭をもち、更に残留する酢酸ビニルモノマーの分解に起因するアセトアルデヒド発生の可能性がある等の問題点を有していた。スチレン系ブロック共重合体やその組成物は、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体が代表的であるが、これらは分子内に二重結合を有し、耐薬品性、耐候性が低いという欠点を有する。またこれらブロック共重合体には水素添加タイプもあるが、生産コストが高く、工業的な応用分野が限定される。また、いずれの重合体もポリ塩化ビニル樹脂の弾性率、制振性、耐磨耗性、耐傷付き性等の物理的な特性とは大きな違いがあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の問題を解決し、強度、耐磨耗性、耐傷付き性、制振性等に優れ、ポリ塩化ビニル樹脂独特の弾性率、感触等を発現し、さらに高濃度で充填剤もしくは難燃剤を含んでも透明性や前述した物理特性を維持できる制振、防音材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、特定のビニル芳香族化合物含有量を有し、しかもビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量が特定の範囲にある共役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体の水素添加物を用いることにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
即ち本発明は、
[1] 共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体に、水素を添加してなる水添共重合体であって、且つ
(a)水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量が50重量%を越え、90重量%以下、
(b)水添共重合体中のビニル芳香族化合物のブロック含有量が40重量%以下、
(c)水添共重合体の重量平均分子量が5万〜100万、
(d)水添共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上が水添されている水添共重合体を含むことを特徴とする制振材、
[2] 水添共重合体中のビニル芳香族化合物のブロック含有量が10重量%未満であることを特徴とする[1]に記載の制振材、
[3] 水添共重合体中のビニル芳香族化合物重合体のブロック含有量が10〜40重量%であることを特徴とする[1]に記載の制振材、
[4] 水添共重合体が下記一般式から選ばれる少なくとも一つの構造を有する共重合体の水素添加物であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の制振材、
1. S
2. S−H
3. S−H−S
4. (S−H)m−X
5. (S−H)n−X−(H)p
(ここで、Sは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Hはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpは1以上の整数である。Xはカップリング剤残基を示す。)
【0007】
[5] [1]から[4]のいずれかに記載の水添共重合体5重量部〜95重量部と熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする制振材、
[6] [1]から[4]のいずれかに記載の水添共重合体5重量部〜95重量部と充填剤及び/または難燃剤成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする制振材、
[7] (1)[1]から[4]のいずれかに記載の水添共重合体5重量%〜95重量%と(2)熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体成分5重量%〜95重量%からなる成分(1)+成分(2)の合計量5重量部〜95重量部に対し、(3)充填剤及び/または難燃剤成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする制振材、
[8] 制振材が、住宅用の床材、壁材、天井材またはシーリング材であることを特徴とする[1]から[7]のいずれかに記載の制振材、
[9] 制振材が、自動車、船舶、航空機用の床材、壁材、天井材またはシーリング材であることを特徴とする[1]から[7]のいずれかに記載の制振材、
[10] 制振材が、電子、電気機器、機械設備の振動部、騒音部に使用される部材であることを特徴とする[1]から[7]のいずれかに記載の制振材、
[11] 制振材が、発泡体構造を有することを特徴とする[1]から[10]のいずれかに記載の制振材、
【0008】
[12] 共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体に、水素を添加してなる水添共重合体であって、且つ
(a)水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量が50重量%を越え、90重量%以下、
(b)水添共重合体中のビニル芳香族化合物のブロック含有量が40重量%以下、
(c)水添共重合体の重量平均分子量が5万〜100万、
(d)水添共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上が水添されている水添共重合体を含むことを特徴とする防音材、
[13] 水添共重合体中のビニル芳香族化合物のブロック含有量が10重量%未満であることを特徴とする[12]に記載の防音材。
[14] 水添共重合体中のビニル芳香族化合物重合体のブロック含有量が10〜40重量%であることを特徴とする[12]に記載の防音材、
[15] 水添共重合体が下記一般式から選ばれる少なくとも一つの構造を有する共重合体の水素添加物であることを特徴とする[12]〜[14]のいずれかに記載の防音材、
1. S
2. S−H
3. S−H−S
4. (S−H)m−X
5. (S−H)n−X−(H)p
(ここで、Sは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Hはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpは1以上の整数である。Xはカップリング剤残基を示す。)
【0009】
[16] [12]から[15]のいずれかに記載の水添共重合体5重量部〜95重量部と熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする防音材、
[17] [12]から[15]のいずれかに記載の水添共重合体5重量部〜95重量部と充填剤及び/または難燃剤成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする防音材、
[18] (1)[12]から[15]のいずれかに記載の水添共重合体5重量%〜95重量%と(2)熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体成分5重量%〜95重量%からなる成分(1)+成分(2)の合計量5重量部〜95重量部に対し、(3)充填剤及び/または難燃剤成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする防音材、
[19] 防音材が、住宅用の床材、壁材、天井材またはシーリング材であることを特徴とする[12]から[18]のいずれかに記載の防音材、
[20] 防音材が、自動車、船舶、航空機用の床材、壁材、天井材またはシーリング材であることを特徴とする[12]から[18]のいずれかに記載の防音材、
[21] 防音材が、電子、電気機器、機械設備の振動部、騒音部に使用される部材であることを特徴とする[12]から[18]のいずれかに記載の防音材、
[22] 防音材が、発泡体構造を有することを特徴とする[12]から[21]のいずれかに記載の防音材、を提供するものである。
【0010】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の成分(1)の水添共重合体は、共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物である。
本発明において、水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量は50重量%を越え、90重量%以下、好ましくは60重量%を越え、88重量%以下、更に好ましくは62〜86重量%である。ビニル芳香族化合物の含有量が本発明で規定する範囲のものを使用することは制振性、耐磨耗性、耐傷付き性等に優れた制振、防音材料を得るために必要である。なお本発明において、水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量は、水素添加前の共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量で把握しても良い。
【0011】
本発明で使用する水添共重合体において、ビニル芳香族化合物のブロック含有量は40重量%以下、好ましくは3〜40重量%、更に好ましくは5〜35重量%である。
本発明の建築材料を得る上で、より柔軟性に優れたものが好ましい場合、ビニル芳香族化合物のブロック含有量は10重量%未満、好ましくは8重量%未満、更に好ましくは5重量%未満であることが推奨される。また、本発明の制振、防音材料を得る上で、水添共重合体として耐ブロッキング性に優れた物が好ましい場合、ビニル芳香族化合物のブロック含有量は10〜40重量%、好ましくは13〜37重量%、更に好ましくは15〜35重量%であることが推奨される。ビニル芳香族化合物のブロック含有量が40重量%を超える場合は耐傷付き性や制振性が劣るため好ましくない。ビニル芳香族化合物のブロック含有量の測定は、例えば四酸化オスミウムを触媒として水素添加前の共重合体をターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)により得たビニル芳香族炭化水素のブロック成分の重量(但し平均重合度が約30以下のビニル芳香族炭化水素重合体成分は除かれている)を用いて、次の式から求めることができる。
ビニル芳香族炭化水素のブロック含有量(重量%)
=(水素添加前の共重合体中のビニル芳香族炭化水素のブロック
重量/水素添加前の共重合体の重量)×100
なお、本発明において水添共重合体におけるビニル芳香族化合物のブロック率(ブロック率とは、該共重合体中の全ビニル芳香族化合物量に対するビニル芳香族化合物のブロック含有量の割合をいう)は、好ましくは50重量%未満、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは18重量%以下であることが、より柔軟性の良好な組成物を得る上で推奨される。
【0012】
本発明で使用する水添共重合体の重量平均分子量は5〜100万、好ましくは10〜80万、更に好ましくは13〜50万である。ビニル芳香族化合物のブロック率が10〜40重量%の水添共重合体を使用する場合、その重量平均分子量は10万を越え50万未満、好ましくは13万〜40万、更に好ましくは15万〜30万であることが推奨される。重量平均分子量が5万未満の場合は機械的強度や耐熱性に劣り、また100万を超える場合は成形加工性に劣るため好ましくない。本発明において、水添共重合体の分子量分布は、成形加工性の点で,1.5〜5.0が好ましく、より好ましくは1.6〜4.5、更に好ましくは1.8〜4であることが推奨される。
本発明で使用する水添共重合体は共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体の水素添加物であり、共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上、好ましくは85%以上、更に好ましくは90%以上、特に好ましくは92%以上が水添されている。水添率が75%未満の場合は、耐候性や熱安定性が劣る。
【0013】
本発明において、水添共重合体の構造は特に制限はなく、いかなる構造のものでも使用できるが、特に推奨されるものは、下記▲1▼〜▲5▼の一般式から選ばれる少なくとも一つの構造を有する共重合体の水素添加物である。本発明で使用する水添共重合体は、下記一般式で表される構造を有する共重合体の水素添加物からなる任意の混合物でもよい。また、水添共重合体にビニル芳香族化合物重合体が混合されていても良い。
▲1▼ S
▲2▼ S−H
▲3▼ S−H−S
▲4▼ (S−H)m −X
▲5▼ (S−H)n −X−(H)p
(ここで、Sは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Hはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpは1以上の整数である。Xはカップリング剤残基を示す。)
【0014】
一般式において、ランダム共重合体ブロックS中のビニル芳香族炭化水素は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。また該共重合体ブロックSには、ビニル芳香族炭化水素が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。また、mは2以上、好ましくは2〜10の整数であり、n及びpは1以上、好ましくは1〜10の整数である。
【0015】
また、本発明において、水素添加前の共重合体鎖中におけるビニル結合含量の最大値と最小値との差が10%未満、好ましくは8%以下、更に好ましくは6%以下であることが推奨される。共重合体鎖中のビニル結合は、均一に分布していてもテーパー状に分布していても良い。ここで、ビニル結合含量の最大値と最小値との差とは、重合条件、すなわちビニル量調整剤の種類,量及び重合温度で決定されるビニル結合含量の最大値と最小値との差である。共役ジエン重合体鎖中のビニル結合含量の最大値と最小値との差は、例えば共役ジエンの重合時又は共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合時の重合温度によって制御することができる。第3級アミン化合物またはエーテル化合物のようなビニル量調整剤の種類と量が一定の場合、重合中のポリマ−鎖に組み込まれるビニル結合含量は、重合温度によって決まる。従って、等温で重合した重合体はビニル結合が均一に分布した重合体となる。これに対し、昇温で重合した重合体は,初期(低温で重合)が高ビニル結合含量、後半(高温で重合)が低ビニル結合含量といった具合にビニル結合含量に差のある重合体となる。かかる構造を有する共重合体に、水素を添加することにより特異構造の水添共重合体が得られる。
【0016】
本発明において、ビニル芳香族化合物の含有量は、紫外分光光度計,赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。また、ビニル芳香族化合物重合体ブロックの含有量は、前述したKOLTHOFFの方法等で知ることができる。水素添加前の共重合体中の共役ジエンに基づくビニル結合含量は、赤外分光光度計(例えば、ハンプトン法)や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。また、水添共重合体の水添率は、赤外分光光度計や核磁気共鳴装置(NMR)等を用いて知ることができる。また、本発明において、水添共重合体の分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。水添共重合体の分子量分布は、同様にGPCによる測定から求めることができる。
【0017】
本発明において共役ジエンは1対の共役二重結合を有するジオレフィンであり、例えば1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどであるが、特に一般的なものとしては1,3−ブタジエン、イソプレンが挙げられる。これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。また、ビニル芳香族化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルエチレン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン等があげられ、これらは一種のみならず二種以上を使用してもよい。
【0018】
本発明において、水素添加前の共重合体において共役ジエン部分のミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により任意に変えることができ、特に制限はない。一般的に共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合は5〜80%、好ましくは10〜60%、共役ジエンとしてイソプレンを使用した場合又は1,3−ブタジエンとイソプレンを併用した場合には、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量は一般に3〜75%、好ましくは5〜60%であることが推奨される。なお、本発明においては、1,2−ビニル結合と3,4−ビニル結合の合計量(但し、共役ジエンとして1,3−ブタジエンを使用した場合には、1,2−ビニル結合量)を以後ビニル結合と呼ぶ。
【0019】
本発明において、水素添加前の共重合体は、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の開始剤を用いてアニオンリビング重合により得られる。炭化水素溶媒としては、例えばn−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタンの如き脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンの如き脂環式炭化水素類、また、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンの如き芳香族炭化水素である。
【0020】
また、開始剤としては、一般的に共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、有機アミノアルカリ金属化合物等が含まれ、アルカリ金属としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等である。好適な有機アルカリ金属化合物としては、炭素数1から20の脂肪族および芳香族炭化水素リチウム化合物であり、1分子中に1個のリチウムを含む化合物、1分子中に複数のリチウムを含むジリチウム化合物、トリリチウム化合物、テトラリチウム化合物が含まれる。具体的にはn−プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ペンチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec−ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec−ブチルリチウムと少量の1,3−ブタジエンの反応生成物等があげられる。さらに、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1−(t−ブトキシ)プロピルリチウムおよびその溶解性改善のために1〜数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許2,241,239号明細書に開示されている1−(t−ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウムおよびヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も使用することができる。
【0021】
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する際に、重合体に組み込まれる共役ジエン化合物に起因するビニル結合(1,2または3,4結合)の含有量の調整や共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、調整剤として第3級アミン化合物またはエーテル化合物を添加することができる。第3級アミン化合物としては一般式R1 R2 R3 N(ただしR1 、R2 、R3 は炭素数1から20の炭化水素基または第3級アミノ基を有する炭化水素基である)の化合物である。たとえば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エチルピペリジン、N−メチルピロリジン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラエチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルエチレントリアミン、N,N’−ジオクチル−p−フェニレンジアミン等である。
【0022】
またエーテル化合物としては、直鎖上エーテル化合物および環状エーテル化合物から選ばれ、直鎖上エーテル化合物としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物類が挙げられる。また、環状エーテル化合物としてはテトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5−ジメチルオキソラン、2,2,5,5−テトラメチルオキソラン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
【0023】
本発明において有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する方法は、バッチ重合であっても連続重合であっても、或いはそれらの組み合わせであってもよい。特に分子量分布を好ましい適正範囲に調整する上で連続重合方法が推奨される。重合温度は、一般に0℃乃至180℃、好ましくは30℃乃至150℃である。重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、特に好適には0.1乃至10時間である。又、重合系の雰囲気は窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。更に、重合系内は触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガスなどが混入しないように留意する必要がある。
【0024】
本発明において、前記重合終了時に2官能以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行うことができる。2官能カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
【0025】
また、3官能以上の多官能カップリング剤としては公知のものいずれでも良く、特に限定されない。例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA、1,3−ビス(N,N’−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等の多価エポキシ化合物、一般式R4-n SiXn (ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化珪素化合物、例えばメチルシリルトリクロリド、tー ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素およびこれらの臭素化物等、一般式R4-n SnXn (ただし、Rは炭素数1から20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3から4の整数を示す)で示されるハロゲン化錫化合物、例えばメチル錫トリクロリド、t−ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物が挙げられる。炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用できる。
【0026】
本発明において、共重合体として重合体の少なくとも1つの重合体鎖末端に極性基含有原子団が結合した末端変性共重合体を使用することができる。極性基含有原子団としては、例えば水酸基、カルボキシル基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボン酸基、チオカルボン酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基、フェニルスズ基等から選ばれる極性基を少なくとも1種含有する原子団が挙げられる。末端変性共重合体は、共重合体の重合終了時にこれらの極性基含有原子団を有する化合物を反応させることにより得られる。極性基含有原子団を有する化合物としては、具体的には、特公平4-39495 号公報に記載された末端変性処理剤を使用できる。
【0027】
上記で得られた共重合体を水素添加することにより、本発明で使用する水添共重合体が得られる。水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系水添触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩などの遷移金属塩と有機アルミニュウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー型水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等のいわゆる有機金属錯体等の均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を使用することができる。好ましい水添触媒としてはチタノセン化合物および/または還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
【0028】
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物がしようできるが、具体例としては、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1つ以上もつ化合物があげられる。また、還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物あるいは有機亜鉛化合物等があげられる。
【0029】
本発明において、水添反応は一般的に0〜200℃、より好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1から15MPa、好ましくは0.2から10MPa、更に好ましくは0.3から5MPaが推奨される。また、水添反応時間は通常3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、或いはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
【0030】
上記のようにして得られた水添共重合体の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、水添共重合体を溶液から分離することができる。溶媒の分離の方法としては、例えば水添後の反応液にアセトンまたはアルコール等の水添共重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を加えて重合体を沈澱させて回収する方法、反応液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、または直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等を挙げることができる。尚、本発明の水添共重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
【0031】
本発明で使用する水添共重合体は、α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物で変性されていても良い。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量は、水添重合体100重量部当たり、一般に0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0032】
次に本発明における成分(2)の熱可塑性樹脂やゴム状重合体は特に制限はないが以下のものが例として挙げられる。
成分(2)の熱可塑性樹脂としては、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのブロック共重合樹脂及びその水素添加物、前記のビニル芳香族化合物の重合体、前記のビニル芳香族化合物と他のビニルモノマー、例えばエチレン、プロピレン、ブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、酢酸ビニル、アクリル酸及びアクリルメチル等のアクリル酸エステル、メタクリル酸及びメタクリル酸メチル等のメタクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等との共重合樹脂、ゴム変性スチレン系樹脂(HIPS)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(ABS)、メタクリル酸エステル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂(MBS)、ポリエチレン、エチレンを50重量%以上含有するエチレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブチレン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物、エチレン−アクリル酸アイオノマーや塩素化ポリエチレンなどのポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン、プロピレンを50重量%以上含有するプロピレンとこれと共重合可能な他のモノマーとの共重合体、例えば、プロピレン−エチレン共重合体、プロピレン−アクリル酸エチル共重合体や塩素化ポリプロピレンなどのポリプロピレン系樹脂、エチレン−ノルボルネン樹脂等の環状オレフィン系樹脂,ポリブテン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂及びその加水分解物、アクリル酸及びそのエステルやアミドの重合体、ポリアクリレート系樹脂、アクリロニトリル及び/又はメタクリロニトリルの重合体、これらのアクリロニトリル系モノマーを50重量%以上含有する他の共重合可能なモノマーとの共重合体であるニトリル樹脂、ナイロン−46、ナイロン−6、ナイロン-66、ナイロン−610、ナイロン−11、ナイロン−12、ナイロン−6ナイロン−12共重合体などのポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、熱可塑性ポリウレタン系樹脂、ポリ−4,4’−ジオキシジフェニル−2,2’−プロパンカーボネートなどのポリカーボネート系重合体、ポリエーテルスルホンやポリアリルスルホンなどの熱可塑性ポリスルホン、ポリオキシメチレン系樹脂、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルなどのポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリ4,4’−ジフェニレンスルフィドなどのポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリアリレート系樹脂、ポリエーテルケトン重合体又は共重合体、ポリケトン系樹脂、フッ素系樹脂、ポリオキシベンゾイル系重合体、ポリイミド系樹脂、1,2−ポリブタジエン、トランスポリブタジエンなどのポリブタジエン系樹脂などである。これらの熱可塑性樹脂の数平均分子量は一般に1000以上、好ましくは5000〜500万、更に好ましくは1万〜100万である。
【0033】
成分(2)の熱可塑性樹脂として特に好ましいものは、スチレン系樹脂、エチレン系やプロピレン系の共重合体である。成分(2)の熱可塑性樹脂の配合量としては成分(1)の水添共重合体に対して5〜95重量%、好ましくは5〜90重量%、更に好ましくは5〜80重量%である。目的の組成物の剛性や硬度にもよるが、成分(2)の配合量が95重量%を越えると得られた組成物の柔軟性や耐衝撃性、制振性等が低下し好ましくない。成分(2)のゴム状重合体としては、ブタジエンゴム及びその水素添加物、スチレン−ブタジエンゴム及びその水素添加物(但し本発明の水添共重合体とは異なる)、イソプレンゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム及びその水素添加物、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンゴム、エチレン−ブテン−ジエンゴム、エチレン−ブテンゴム、エチエン−ヘキセンゴム、エチレン−オクテンゴム等のオレフィン系エラストマ−、ブチルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、エピクロルヒドリンゴム、α、β−不飽和ニトリル−アクリル酸エステル−共役ジエン共重合ゴム、ウレタンゴム、多硫化ゴム、スチレンーブタジエンブロック共重合体及びその水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体及びその水素添加物等のスチレン系エラストマ−、天然ゴムなどが挙げられる。これらのゴム状重合体は、官能基を付与した変性ゴムであっても良い。
【0034】
成分(2)のゴム状重合体として特に好ましいものは、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマーである。成分(2)のゴム状重合体の配合量としては成分(1)の水添共重合体に対して5〜95重量%、好ましくは5〜90重量%、更に好ましくは5〜80重量%である。成分(2)の配合量が95重量%を越えると得られた組成物の耐磨耗性や耐傷つき性等が低下し好ましくない。
また、これらの熱可塑性樹脂及びゴム状重合体は必要に応じ2種以上を併用しても良い。併用する場合は特に限定される物ではなく、熱可塑性樹脂成分同志でもゴム状重合体成分同志でも、あるいは熱可塑性樹脂とゴム状重合体の併用でもかまわない。
【0035】
次に本発明の成分(3)の充填材及び難燃剤は、熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられる物であれば特に制限はない。
成分(3)の充填剤としては例えば、シリカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、カーボンブラック、ガラス繊維、ガラスビーズ、ガラスバルーン、ガラスフレーク、グラファイト、酸化チタン、チタン酸カリウムウイスカー、カーボンファイバー、アルミナ、カオリンクレー、ケイ酸、ケイ酸カルシウム、石英、マイカ、タルク、クレー、ジルコニア、チタン酸カリウム、アルミナ、金属粒子等の無機充填剤、木製チップ、木製パウダー、パルプ等の有機充填剤を例示することができる。形状としては、鱗片状、球状、粒状、粉体、不定形状等特に制限は無い。これらは単独または複数を組み合わせて使用することが可能である。
次に難燃剤としては、臭素化合物が主なハロゲン系、芳香族化合物が主なリン系、金属水酸化物が主な無機系等の難燃剤があげられるが、近年環境問題等により無機難燃剤が主流となっており好ましい。
【0036】
無機難燃剤としては例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物、硼酸亜鉛、硼酸バリウム等の金属酸化物、その他炭酸カルシウム、クレー、塩基性炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイト等、主に含水金属化合物等を例示することができる。本発明においては、上記難燃剤のうち、難燃性向上の点から水酸化マグネシウム等の金属水酸化物が好ましい。なお、上記難燃剤の中には、それ自身の難燃性発現効果は低いが、他の難燃剤と併用することで相乗的により優れた効果を発揮する、いわゆる難燃助剤も含まれる。成分(3)の充填剤、難燃剤は、シランカップリング剤等の表面処理剤であらかじめ表面処理を行ったタイプを使用することもできる。
【0037】
成分(3)の充填剤、難燃剤の添加量としては、組成物全体に対して5〜95重量%であり、好ましくは10〜80重量%、更に好ましくは20〜70重量%である。
成分(3)の配合量が95重量%を越えると得られた組成物の加工性、機械的強度等が低下し好ましくない。
また、これらの充填剤、難燃剤は必要に応じ2種以上を併用しても良い。併用する場合は特に限定される物ではなく、充填剤成分同志でも難燃剤成分同志でも、あるいは充填剤と難燃剤の併用でもかまわない。
【0038】
本発明の制振、防音材料には,必要に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は,熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。例えば、カ−ボンブラック,酸化チタン等の顔料や着色剤、ステアリン酸,ベヘニン酸,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,エチレンビスステアロアミド等の滑剤、離型剤、有機ポリシロキサン,フタル酸エステル系やアジピン酸エステル化合物、アゼライン酸エステル化合物等の脂肪酸エステル系、ミネラルオイル等の可塑剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤、ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤,帯電防止剤,有機繊維,ガラス繊維,炭素繊維,金属ウィスカ等の補強剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
【0039】
本発明の制振、防音材料は、必要に応じて、架橋することができる。架橋の方法は、過酸化物、イオウ等の架橋剤及び必要に応じて共架橋剤等の添加による化学的方法、放射線架橋等を例示することができる。架橋プロセスとしては、静的な方法、動的加硫法等を例示することができる。
架橋剤としては、有機過酸化物、硫黄、フェノール系、イソシアネート系、チウラム系、モルフォリンジスルフィド等を挙げることができ、これらはステアリン酸、オレイン酸、ステアリン酸亜鉛、酸化亜鉛等の架橋助剤、共架橋剤、加硫促進剤等を併用することができる。有機過酸化物架橋剤としては、ヒドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ケトンパーオキサイド等を例示することができる。また電子線、放射線等による物理的架橋法も使用可能である。
【0040】
本発明の制振、防音材料または制振、防音材料を構成する組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば、各種ミキサーでのドライブレンドを行うことも可能であり、バンバリーミキサー,単軸スクリュー押出機,2軸スクリュー押出機,ニーダ,多軸スクリュー押出機、ロール等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法、各成分を溶解又は分散混合後、溶剤を加熱除去する方法等が用いられる。本発明においては押出機による溶融混合法が生産性、良混練性の点から好ましい。得られる制振、防音材料または制振、防音材料を構成する組成物の形状に特に制限はないが、ペレット状、シート状、ストランド状、チップ状等を挙げることができる。また、溶融混練後、直接成形品とすることもできる。
【0041】
本発明の制振、防音材料は、シート、フィルム、各種形状の射出成形品、中空成形品、圧空成型品、真空成形品、押出成形品等多種多様の成形品として活用できる。
更に本発明の制振、防音材料として発泡成形体を得る場合、本発明に適用可能な方法は、化学的方法、物理的方法等があり、各々、無機系発泡剤、有機系発泡剤等の化学的発泡剤、物理発泡剤等の発泡剤の添加等により材料内部に気泡を分布させることができる。発泡材料とすることにより、軽量化、柔軟性向上、意匠性向上等を図ることができる。無機系発泡剤としては、重炭酸ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム、アジド化合物、ホウ水素化ナトリウム、金属粉等を例示することができる。
【0042】
有機系発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、アゾビスホルムアミド、アゾビスイソブチロニトリル、アゾジカルボン酸バリウム、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジニトロソ−N,N’−ジメチルテレフタルアミド、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド等を例示することができる。
物理的発泡剤としては、ペンタン、ブタン、ヘキサン等の炭化水素、塩化メチル、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素、窒素、空気等のガス、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロトリフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ハイドロフルオロカーボン等のフッ素化炭化水素等を例示することができる。
【0043】
本発明の制振、防音材料は、成形品の表面に必要に応じて外観性向上、耐摩耗性、耐候性、耐傷つき性等向上等を目的として、印刷、塗装、シボ等の加飾等を行うことができる。
本発明の制振、防音材料は、オレフィン系モノマーのみからなる樹脂に比べ、本来優れた印刷性、塗装性を有するが、更に印刷性、塗装性等を向上させる目的で表面処理を行うことが可能である。表面処理の方法としては、特に制限は無く、物理的方法、化学的方法等を使用可能であり、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、火炎処理、酸・アルカリ処理等を挙げることができる。これらのうち、コロナ放電処理が実施の容易さ、コスト、連続処理が可能等の点から好ましい。
【0044】
本発明の制振、防音材料は、床材、壁材、天井材等のように、フィルム、シート、タイル、ボード等の平面構造を有する場合、単層構造、多層構造何れも可能である。他の形状についても必要に応じ多層構造とすることができる。多層構造の場合には、組成、組成分布、分子量、分子量分布等の異なる本発明の水添共重合体、充填剤、難燃剤の種類、含有量の異なる本発明の組成物、他の樹脂成分、材料等を各層に使用することができる。互いに異なる複数の共重合体を積層することにより、広い温度範囲での制振、防音性能を発揮することができる。
【0045】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例において、重合体の構造ならびに物性の測定は、次のようにして行った。
1)スチレン含有量
水添共重合体を用い、紫外分光光度計(島津製作所製、UV−2450)を使用して測定した。
2)スチレンのブロック含有量
水添前の共重合体を用い、I.M .Kolthoff,etal.,J.Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法で測定した。
3)ビニル結合含量及び水添率
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX−400)を用いて測定した。なお、以下の実施例におけるビニル結合含量は、水添前の重合体のビニル結合含量である。
【0046】
4)分子量及び分子量分布
GPC〔装置は、ウォーターズ製〕で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた重量平均分子量である。尚、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。また,分子量分布は,得られた重量平均分子量と数平均分子量の比である。
【0047】
5)硬さ
JIS K6253に従い、デュロメータタイプAで10秒後の値を測定した。
6)引張応力(100〜300%応力(Kg/cm2))、引張強度(引張強さ(Kg/cm2))、切断時伸び(%)
JIS K6251に従い、3号ダンベル、クロスヘッドスピード500mm/分で測定した。
7)ダンロップ反撥弾性
BS903に従い、23℃で測定した。
【0048】
8)耐傷つき性
学振型摩擦試験器(テスター産業株式会社製、AB−301型)を用い、成形シート表面(光沢鏡面)を、摩擦布カナキン3号綿、荷重500gで100回摩擦し、摩擦前後の光沢度変化を、光沢度計にて測定し、以下の基準で判定した。
◎;光沢度変化が0〜−5以内
○;光沢度変化が−5を越し−10以内
△;光沢度変化が−10を越し−50以内
×;光沢度変化が−50を越したもの
【0049】
9)耐磨耗性
学振型摩擦試験器(テスター産業株式会社製、AB−301型)を用い、成形シート表面(皮シボ加工面)を、摩擦布カナキン3号綿、荷重500gで摩擦し、摩擦後の体積減少量によって、以下の基準で判定した。
◎;摩擦回数10,000回後に、体積減少量が0.01ml以下
○;摩擦回数10,000回後に、体積減少量が0.01を越し0.05ml以下
△;摩擦回数10,000回後に、体積減少量が0.05を越し0.10ml以下
×;摩擦回数10,000回後に、体積減少量が0.1mlを越したもの
【0050】
また、配合した各成分は以下のとおりである。
<成分(1)−1>
水添共重合体は以下の方法で調製した。なお、下記の実施例において、水添反応に用いた水添触媒は、下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に乾燥、精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5−シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn−ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させた。
【0051】
内容積が10L、L/D=4の攪拌装置及びジャケット付き槽型反応器を2基使用して連続重合を行った。1基目の反応器の底部から、ブタジエン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を4.51L/hrの供給速度で、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を5.97L/hrの供給速度で、またn−ブチルリチウムをモノマ−100gに対して0.077gになるような濃度に調整したシクロヘキサン溶液を2.0L/hrの供給速度で、更にN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液をn−ブチルリチウム1モルに対して0.44モルになるような供給速度でそれぞれ供給し、90℃で連続重合した。反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の底部付近の温度は約88℃、反応器の上部付近の温度は約90℃であった。重合反応器における平均滞留時間は、約45分であり、ブタジエンの転化率はほぼ100%、スチレンの転化率は99%であった。
1基目から出たポリマ−溶液を2基目の底部から供給、また同時に、スチレン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液を2.38L/hrの供給速度で2基目の底部に供給し、90℃で連続重合した。2基目出口でのスチレンの転化率は98%であった。
【0052】
次に、連続重合で得られたポリマーに、上記水添触媒をポリマー100重量部当たりTiとして100ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度65℃で水添反応を行った。
得られた水添共重合体は、分子量200,000、分子量分布1.9、スチレン含有量67重量%、スチレンのブロック含有量20重量%、ブタジエン部のビニル結合含量14重量%、水素添加率99%であった。スチレン含有量とスチレンのブロック含有量の分析値より、スチレンのブロック率は30%であった。
【0053】
<成分(1)−2>
1基目と2基目に供給するスチレンの供給量を変える以外は、成分(1)−1と同様の方法で連続重合を行い、その後成分(1)−1と同様に水添反応を行った。得られた水添重合体を分析したところ、分子量200,000、分子量分布1.9、スチレン含有量45重量%、スチレンのブロック含有量18重量%、ブタジエン部のビニル結合含量15重量%、水素添加率98%であった。スチレン含有量とスチレンのブロック含有量の分析値より、スチレンのブロック率は33%であった。
【0054】
<成分(1)−3>
実施例1で使用したのと同じ反応器を一基用い、スチレン6.5重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を投入した。次いでn−ブチルリチウムとテトラメチルエチレンジアミンを添加し、50℃で1時間重合した後、ブタジエン87重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を加えて50℃で1時間重合し、さらに、スチレン6.5重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度24重量%)を加えて50℃で1時間重合した。次に、得られたポリマーを実施例1と同様の方法で水添反応を行った。
得られた水添共重合体は、分子量210,000,分子量分布1.1、スチレン含有量13重量%、スチレンのブロック含有量13重量%、ブタジエン部のビニル結合含量73重量%、水素添加率99%であった。スチレン含有量とスチレンのブロック含有量の分析値より、スチレンのブロック率は100%であった。
【0055】
<成分(1)−4>
実施例1で使用したのと同じ反応器を一基用い、ブタジエン濃度が24重量%のシクロヘキサン溶液、n−ブチルリチウムのシクロヘキサン溶液及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンのシクロヘキサン溶液をそれぞれ連続的に反応器に供給して、連続重合を行った。反応温度はジャケット温度で調整し、反応器の上部付近の温度は約90℃であった。重合反応器における平均滞留時間は約45分であり、ブタジエンの転化率はほぼ100%であった。次に、連続重合で得られたポリマーを実施例1と同様の方法で水添反応を行った。
得られた水添共重合体は、分子量180,000、分子量分布1.9、スチレン含有量0重量%、ブタジエン部のビニル結合含量22重量%であった。
【0056】
<成分(1)−5>
ポリ塩化ビニルエラストマー、スミフレックスK580CF1(住友ベークライト株式会社製)。
<成分(2)−1>
ポリプロピレン樹脂、PM801A(サンアロマー製)、MFR(230℃、2.16kg);13g/分。
<成分(2)−2>
ポリフェニレンエーテル樹脂として、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、還元粘度;0.54を使用した。
<成分(3)>
水酸化マグネシウム、キスマ5A(協和化学工業株式会社製)
【0057】
【実施例1】
水添共重合体として成分(1)−1を用い、3.5インチロールにて200℃でロールだしを行い、その後油圧プレスにて200℃,100kg/cm2 でプレス成形を行い、2mm厚の成形シートを作成した。その物性を表−1に示す。
【比較例1及び7】
水添共重合体として成分(1)−2、ポリ塩化ビニルエラストマーとして成分(1)−5を用い、実施例1と同様の方法で、2mm厚の成形シートを作成した。その物性を表−1に示す。
【実施例2〜5】
水添共重合体として成分(1)−1を用い、表−1に示す各成分をヘンシェルミキサーで混合後、30mm径の二軸押出機にて230℃(実施例2,4,5)と270℃(実施例3)の条件で溶融混練し、組成物のペレットを得た。この組成物を用いて実施例1と同様の方法で、2mm厚の成形シートを作成した。その物性を表−1に示す。また、実施例5の組成物の動的粘弾性スペクトルを図1に示す。
【0058】
【比較例2〜6】
水添共重合体として成分(1)−2、成分(1)−3、成分(1)−4を用い、表−1に示す各成分をヘンシェルミキサーで混合後、30mm径の二軸押出機にて230℃の条件で溶融混練し、組成物のペレットを得た。この組成物を用いて実施例1と同様の方法で、2mm厚の成形シートを作成した。その物性を表−1に示す。
この結果から、本発明の制振、防音材料は反撥弾性が極めて低いことから制振性,防音性に優れ、強度、耐傷つき性、耐磨耗性も優れることが判明した。また、充填剤を配合した場合でもブリードせず透明性と物性を維持する事が判明した。さらに、同硬度のポリ塩化ビニルエラストマーの引っ張り応力とほぼ同じ挙動を示し、ポリ塩化ビニルエラストマーに極めて近い感触を持ち、その代替にも有効であることが判明した。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】
本発明によれば、制振性、防音性、強度、耐磨耗性、耐傷付き性等に優れ、ポリ塩化ビニル樹脂独特の弾性率、感触等を発現し、さらに高濃度で充填剤もしくは難燃剤を含んでも透明性や前述した物理特性を維持できる制振、防音材料用組成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例5の組成物の動的粘弾性スペクトルを示した図である。
Claims (22)
- 共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体に、水素を添加してなる水添共重合体であって、且つ
(a)水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量が50重量%を越え、90重量%以下、
(b)水添共重合体中のビニル芳香族化合物のブロック含有量が40重量%以下、
(c)水添共重合体の重量平均分子量が5万〜100万、
(d)水添共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上が水添されている水添共重合体を含むことを特徴とする制振材。 - 水添共重合体中のビニル芳香族化合物のブロック含有量が10重量%未満であることを特徴とする請求項1に記載の制振材。
- 水添共重合体中のビニル芳香族化合物重合体のブロック含有量が10〜40重量%であることを特徴とする請求項1に記載の制振材。
- 水添共重合体が下記一般式から選ばれる少なくとも一つの構造を有する共重合体の水素添加物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の制振材。
1. S
2. S−H
3. S−H−S
4. (S−H)m−X
5. (S−H)n−X−(H)p
(ここで、Sは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Hはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpは1以上の整数である。Xはカップリング剤残基を示す。) - 請求項1から4のいずれかに記載の水添共重合体5重量部〜95重量部と熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする制振材。
- 請求項1から4のいずれかに記載の水添共重合体5重量部〜95重量部と充填剤及び/または難燃剤成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする制振材。
- (1)請求項1から4のいずれかに記載の水添共重合体5重量%〜95重量%と(2)熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体成分5重量%〜95重量%からなる成分(1)+成分(2)の合計量5重量部〜95重量部に対し、(3)充填剤及び/または難燃剤成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする制振材。
- 制振材が、住宅用の床材、壁材、天井材またはシーリング材であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の制振材。
- 制振材が、自動車、船舶、航空機用の床材、壁材、天井材またはシーリング材であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の制振材。
- 制振材が、電子、電気機器、機械設備の振動部、騒音部に使用される部材であることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の制振材。
- 制振材が、発泡体構造を有することを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の制振材。
- 共役ジエンとビニル芳香族化合物からなる共重合体に、水素を添加してなる水添共重合体であって、且つ
(a)水添共重合体中のビニル芳香族化合物の含有量が50重量%を越え、90重量%以下、
(b)水添共重合体中のビニル芳香族化合物のブロック含有量が40重量%以下、
(c)水添共重合体の重量平均分子量が5万〜100万、
(d)水添共重合体中の共役ジエン化合物に基づく二重結合の75%以上が水添されている水添共重合体を含むことを特徴とする防音材。 - 水添共重合体中のビニル芳香族化合物のブロック含有量が10重量%未満であることを特徴とする請求項12に記載の防音材。
- 水添共重合体中のビニル芳香族化合物重合体のブロック含有量が10〜40重量%であることを特徴とする請求項12に記載の防音材。
- 水添共重合体が下記一般式から選ばれる少なくとも一つの構造を有する共重合体の水素添加物であることを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の防音材。
1. S
2. S−H
3. S−H−S
4. (S−H)m−X
5. (S−H)n−X−(H)p
(ここで、Sは共役ジエンとビニル芳香族化合物とのランダム共重合体ブロックであり、Hはビニル芳香族化合物重合体ブロックである。mは2以上の整数であり、n及びpは1以上の整数である。Xはカップリング剤残基を示す。) - 請求項12〜15のいずれかに記載の水添共重合体5重量部〜95重量部と熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする防音材。
- 請求項12〜15のいずれかに記載の水添共重合体5重量部〜95重量部と充填剤及び/または難燃剤成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする防音材。
- (1)請求項12〜15のいずれかに記載の水添共重合体5重量%〜95重量%と(2)熱可塑性樹脂及び/またはゴム状重合体成分5重量%〜95重量%からなる成分(1)+成分(2)の合計量5重量部〜95重量部に対し、(3)充填剤及び/または難燃剤成分5重量部〜95重量部で構成される組成物を含むことを特徴とする防音材。
- 防音材が、住宅用の床材、壁材、天井材またはシーリング材であることを特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載の防音材。
- 防音材が、自動車、船舶、航空機用の床材、壁材、天井材またはシーリング材であることを特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載の防音材。
- 防音材が、電子、電気機器、機械設備の振動部、騒音部に使用される部材であることを特徴とする請求項12〜18のいずれかに記載の防音材。
- 防音材が、発泡体構造を有することを特徴とする請求項12〜21のいずれかに記載の防音材。
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