JP4544918B2 - 脂肪族ポリエステル系樹脂組成物成形体 - Google Patents

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本発明は、耐衝撃性に優れた脂肪族ポリエステル系樹脂組成物成形体に関する。
最近、環境への問題意識の高まりから、自然界に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分とエチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなるポリエチレンサクシネートやポリブチレンアジペート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルが知られている。
その中でもポリ乳酸は、実用化に向けて多くの検討がなされてきている。しかし、ポリ乳酸を含めて脂肪族ポリエステルは、一般的に脆く耐衝撃性が低い、結晶化が遅く実用的な成形方法で成形した場合に耐衝撃性を発現することが困難という問題点を有していた。生分解性ポリマーが普及、特に成型品としての利用が広がるためには、耐衝撃性の改良が重要な課題となっている。
従来ポリ乳酸の耐衝撃性の発現には、低いガラス転移温度を有するポリカプロラクトンや、グリコールと脂肪族二塩基酸に由来する脂肪族ポリエステル等のブレンドが多く検討されてきた。これらのブレンド物はポリ乳酸の特徴の1つである生分解性の保つことと、柔軟性を付与することを目的としているが、耐衝撃性の改良は十分ではない。
一般に熱可塑性樹脂等の耐衝撃性の向上のために共役ジエン系重合体をブレンドすることが知られている。ポリ乳酸に対するこのような共役ジエン共重合体のブレンドは、例えばポリ乳酸とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体の樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、これらの技術では耐衝撃性を上げるためにポリ乳酸系樹脂に多量の軟質成分をブレンドする必要があるため、更に有効な耐衝撃性を付与する技術の開発が求められている。また、ポリ乳酸に、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)を混合する系も開示されている(例えば、特許文献2参照)。この系は、ポリ乳酸にEPDMを単純に混合、またはラジカル反応開始剤で架橋反応を実施したものであるが、衝撃性の向上は不十分である。
特開2000−219803号公報 特開2002−37987号公報
本発明は、脂肪族ポリエステル系樹脂に耐衝撃性が付与された新しい成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために、脂肪族ポリエステルと弾性重合体よりなる成形体の検討をすすめ、弾性重合体を含みかつ、脂肪族ポリエステルの非晶部分を形成する分子鎖の運動が拘束されている場合に、耐衝撃性が発現することを見出し本発明を完成するに至った。一般に知られているように、例えばポリ乳酸のような硬質樹脂は、それをマトリックスとして、例えば弾性重合体のような軟質成分が分散することにより、分散相への応力集中が起き、分散相間に発生するせん断降伏あるいはクレーズにより衝撃強度が発現される。また、クレーズが形成される応力がせん断降伏応力に比較して高い場合には、せん断降伏が優先的におこりより衝撃強度が発現されやすい。本発明者らは、分子鎖の絡み合いのみにより十分なクレーズ形成応力が得られない場合、分子鎖の結晶化を十分に行うと結晶ラメラが物理架橋点となり、よりクレーズ形成応力が向上し衝撃強度が発現されると考え、さらに、結晶ラメラ間をつなぐタイ分子を多く存在させることによって、物理架橋点としての結晶ラメラの機能が効率的に発揮され衝撃強度が向上すると考えた。結晶ラメラの量は、示差走査型熱量測定(DSC)における結晶融解熱量、広角X線解析等により決定することができ、タイ分子数は動的粘弾性測定により、非晶分子鎖の運動性を測定することにより判断することができる。すなわち、Tanδの測定によりTanδピークの高温側成分が多い場合に、タイ分子数が多いと判断することができる。本発明者らは、タイ分子数、つまりTanδピークの高温側成分が多い場合に成形体の耐衝撃性が改良されることを明らかにし本発明を完成させた。
すなわち本発明は、
1、 脂肪族ポリエステル(a)および弾性重合体(b)よりなる組成物の成形体であり、80℃におけるTanδと65℃におけるTanδの関係が以下の式を満たすことを特徴とする成形体、
Tanδ(80)/Tanδ(65)> 1.00
Tanδ(80):成形体の80℃におけるTanδ
Tanδ(65):成形体の65℃におけるTanδ
2、(b)成分が、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基を持つ化合物で変性されている弾性重合体であることを特徴とする上記1に記載の成形体、
3、(b)成分が、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基を持つ化合物で、その末端が変性されている弾性重合体であることを特徴とする上記1〜2のいずれかに記載の成形体、
4、極性基が、アミノ基および/又はイミノ基である上記1〜3のいずれかに記載の成形体、
5、(b)成分が、イミダゾリジノン骨格を有する変性剤で変性された変性重合体である上記1〜4のいずれかに記載の成形体、
6、(b)成分が、有機リチウム化合物を重合開始剤として重合した共役ジエン系重合体のリビング末端に、官能基を有する原子団が結合している変性剤、あるいは官能基を保護した原子団が結合している変性剤を反応させた弾性重合体であるか、更に他の官能基を有する二次変性剤で最初の官能基と反応させて変性した弾性重合体であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の成形体、
7、(b)成分が、共役ジエンの単独重合体および/または共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体が変性されている弾性重合体である上記1〜6のいずれかに記載の成形体、
8、(b)成分が、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主とするブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主とするブロックよりなる共重合体が変性されている弾性重合体であることを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の成形体、
9、(b)成分が、水素添加された重合体が変性されている弾性重合体であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の成形体、
10、該組成物が(a)成分60〜99.9重量部および(b)成分0.1〜40重量部よりなる組成であることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の成形体、
11、該組成物が、更に結晶核剤(c)成分を含むことを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の成形体、
12、該組成物が、(a)成分と(b)成分併せて100重量部に対し、(c)成分を1〜50重量部含むことを特徴とする上記11に記載の成形体、
13、該成形体が、射出成形されたことを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の成形体、
14、(a)成分が、ポリ乳酸系樹脂であることを特徴とする上記1〜13のいずれかに記載の成形体、
である。
本発明により、耐衝撃性に優れた脂肪族ポリエステル樹脂組成物成形体が得られ、種々の成型品への脂肪族ポリエステル系樹脂の利用範囲を拡大する。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の脂肪族ポリエステル(a)としては、特に限定されるものではなく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。具体的には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、単独ないし2種以上を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でもヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、特にポリ乳酸系樹脂が好ましく使用される。これらの(a)成分は1種以上を用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂(1)は、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分を0.1〜99.9重量%含んでいてもよい。かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。本発明におけるポリ乳酸系樹脂は乳酸、すなわちL−乳酸、D−乳酸を主とする重合体である。ポリ乳酸系樹脂において、L−乳酸単位とD−乳酸単位の構成モル比は、L−体とD−体あわせて100%に対し、L体ないしD体いずれかが85%以上が好ましく、更に好ましくは一方が90%以上であり、更に好ましくは一方が94%以上の重合体である。結晶性を高め、耐熱性を必要とする場合には、光学純度を上げることが好ましく、一方が98%以上であることが好ましい。また、L−乳酸単位を主体とするポリL乳酸とD−乳酸単位を主体とするポリD乳酸より形成されるステレオコンプレックスも結晶性を高めるために好ましく用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂は、L体ないしD体以外の乳酸モノマーまたはラクチドと共重合可能な他成分を共重合していてもよく、このような成分としてはジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が例示される。ポリ乳酸系樹脂は、直接脱水縮合、ラクチドの開環重合等公知の重合法で重合することが出来る。また必要に応じてポリイソシアネート等の結合剤を用いて、高分子量化することも出来る。
ポリ乳酸系樹脂(1)の好ましい重量平均分子量範囲は、30,000〜1,000,000、更に好ましくは50,000〜500,000、最も好ましくは100,000〜280,000である。重量平均分子量は組成物の機械的性質を考慮すると30,000以上が好ましく、また溶融粘度の上昇による加工性を考慮すると1,000,000以下が好ましい。
本発明の脂肪族ポリエステル系樹脂組成物における脂肪族ポリエステル(a)は好ましくは99.9〜60重量%、より好ましくは99.8〜70重量%、さらに好ましくは99〜80重量%、とりわけ好ましくは98〜85重量%、であり、弾性重合体(b)は好ましくは0.1〜40重量%、より好ましくは0.2〜30重量%、さらに好ましくは1〜20重量%、とりわけ好ましくは2〜15重量%である。(a)は、耐衝撃性の向上を考慮すると99.9重量%以下が好ましく99.8重量%以下がより好ましく、また成型品用途としての観点から弾性率、耐熱性を考慮すると60重量%以上であることが好ましく70重量%以上であることがより好ましい。
本発明で使用する弾性重合体(b)の一つの例は、オレフィン系重合体であり、LDPEやLLDPE等のエチレンの単独重合体や、エチレン・α−オレフィン共重合体が例示され、特にエチレン・α−オレフィン共重合体からなるポリオレフィン系エラストマーが好ましい。
エチレン・α−オレフィン共重合体は、エチレンと、炭素数が3〜20のα−オレフィン、例えばプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどからなる共重合体である。これらのα−オレフィンは単独で用いても良いし、二種以上組み合わせても良い。また、1,3−ブタジエン、イソプレン等の共役ジエン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、シクロオクタジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネンなどの非共役ジエンを共重合しても良い。
これらのオレフィン系重合体は、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基持つ化合物で変性されているオレフィン系重合体であると耐衝撃性の点で好ましい。特に好ましい極性基はアミノ基、イミノ基である。このような極性を有する原子団を結合することにより、ポリ乳酸系樹脂の耐衝撃性改良の効果が顕著となる。これらのオレフィン系重合体にアミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基を持つ化合物で変性する方法としては、極性基を有する不飽和化合物をラジカル開始剤等を用いて重合体鎖に化合物を付加させる方法や、極性基を有する単量体をエチレン等と共重合させる等の公知の方法を用いることができる。
弾性重合体(b)の他の例である共役ジエン系重合体とは、共役ジエンの単独重合体または共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体、またはそれらの水素添加物である。重合体の共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等の中から1種又は2種以上が使用でき、一般的には1,3−ブタジエン、イソプレンまたはこれらの組み合わせが好ましい。
またビニル芳香族化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の中から1種又は2種以上が使用でき、一般的にはスチレンが好ましい。共重合体中のビニル芳香族化合物の含量は50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下であり、最も好ましくは25重量%以下である。耐衝撃性付与の効果を考慮すると50重量%以下であることが好ましい。両単位はランダム共重合していてもブロック状に共重合していても、更にランダム共重合したブロックを含む共重合体でも構わないが、好ましくは例えばビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体、又はその水素添加物である。更に好ましくはビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体である。
本発明で使用するビニル芳香族化合物系エラストマー(2)の製造方法としては、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特公昭51−49567号公報、特開昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報などに記載された方法が挙げられる。これらの方法で得られるブロック共重合体は、例えば下記一般式で表されるような構造(水素添加物については、水素添加前のポリマー構造)を有する。
(A−B)n、(B−A)n、A−(B−A)n、 B−(A−B)n、
[(B−A)n]m−X、[(A−B)n]m−X、
[(B−A)n−B]m−X、[(A−B)n−A]m−X
(上式において、Aはビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。Xはカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。また、nは1以上の整数、一般には1〜5の整数であり、mは2以上の整数、一般には2〜10の整数である。)
なお、上記において、ビニル芳香族炭化水素を主体とする重合体ブロックAとは、ビニル芳香族化合物を好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエンの共重合体ブロック、又は/及びビニル芳香族化合物単独重合体ブロックを示し、また共役ジエンを主体とする重合体ブロックBとは、共役ジエンを好ましくは50重量%を超える量で、より好ましくは60重量%以上含有する共役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体ブロック、又は/及び共役ジエン単独重合体ブロックを示す。共重合体ブロック中のビニル芳香族化合物は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。また該共重合体ブロックには、ビニル芳香族化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。
本発明において、共役ジエン系重合体の水素添加物は、共役ジエン系重合体(ブロック共重合体においては、上記で得られたブロック共重合体)を水素添加することにより得られる。水素添加する場合に用いる水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー系水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等の、いわゆる有機金属錯体等の、均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を用いることができる。好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物、及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
本発明に使用する共役ジエン系重合体の水素添加物において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は目的に合わせて任意に選択でき、特に限定されない。熱安定性及び耐候性の良好なビニル芳香族炭化水素系エラストマーの水素添加物を得る場合、重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の70%を超える、好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が水素添加されていることが推奨される。なお、共重合体中のビニル芳香族炭化水素に基づく芳香族二重結合の水素添加率については特に制限はない。
本発明で用いる共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、組成物の耐衝撃強度改良効果の点から3万以上、加工性の点から100万以下が好ましく、より好ましくは6万〜80万、更に好ましくは7万〜60万である。重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
共役ジエン系重合体がブロック共重合体の場合、ビニル芳香族化合物単独重合体ブロックの含有量は、四酸化オスミウムを触媒としてジターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946))により、水添前の変性ブロック共重合体を分解して得たビニル芳香族炭化水素単独重合体ブロック成分(ただし重合度30以下の成分は除去されている)の量を紫外分光光度計等を用いて求めることができる。
本発明で使用する共役ジエン系重合体は、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基持つ化合物で変性されている共役ジエン系重合体(以下、変性共役ジエン系重合体と呼ぶ)である。
これらの中でも、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1個または2種以上の極性基を持つ化合物でポリマー末端が変性されていることを特徴とする共役ジエン系重合体が耐衝撃性の点から好ましい。
本発明においては、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1個または2種以上の極性基を持つ化合物でポリマー末端が変性されている共役ジエンの単独重合体、共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体、またはそれらの水素添加物を好ましく用いることができ、併用しても構わない。
また特に好ましい極性基はアミノ基、イミノ基である。本発明において、アミノ基とは、1級アミンのみならず、2級アミン、3級アミンを特徴づけている各極性基を意味する。
また、本発明においてイミノ基とは、窒素原子が同一の炭素原子と2重結合で結合している基、すなわち=NHを意味する。
このような極性を有する原子団を結合することにより、ポリ乳酸系樹脂の耐衝撃性改良の効果が顕著となる。
変性共役ジエン系重合体の製造方法としては、オレフィン系重合体と同様にして極性基を有する化合物をラジカル開始剤を用いて付加させる方法や、アニオン重合活性末端を、極性基を有する化合物で封止する等の公知の方法を用いて得ることができる。これらは、例えば特開平8−3250、特開平10−182925,特開2002−201333,特開2002−317024、特開2003−113202号公報等の記載、およびその引用文献に準じて製造が可能である。
極性基を有する化合物で封止する方法には、共役ジエン系重合体のリビング末端に、官能基を有する原子団が結合している変性剤、あるいは官能基を公知の方法で保護した原子団が結合している変性剤を反応させる方法が挙げられる。また変性剤の種類によっては、変性剤を反応させた段階で水酸基やアミノ基が有機金属塩になっていることもあるが、その場合には水やアルコール等活性水素を有する化合物で処理することにより水酸基やアミノ基に変換することができる。
変性共役ジエン系重合体は、極性基を有する化合物が、少なくとも1個、重合体鎖1本中に結合していることが好ましい。例えば、重合体鎖1本中の末端に極性基を有する化合物が結合している変性共役ジエン系重合体などが挙げられる。変性共役ジエン系重合体には、未変性共役ジエン重合体が混在していても良い。
本発明においては、共役ジエン重合体のリビング末端に変性剤を反応させた後、変性されていない共役ジエン系重合体が一部混在してもよい。変性共役ジエン系重合体に混在する未変性の共役ジエン系重合体の割合は、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。
本発明で使用するアミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基を持つ化合物で変性されていることを特徴とする弾性重合体(b)における、極性基の量は0.00001重量%以上30重量%以下であることが好ましく、0.00001重量%以上5重量%未満であることがさらに好ましく、0.00001重量%以上1重量%以下であることがとりわけ好ましい。
本発明において、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基および後述するカルボキシル基、酸無水物基で変性されている共役ジエン共重合体を得るために用いることが可能な、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団として、下記一般式から選ばれる原子団が挙げられる。
Figure 0004544918
(上式で、R、及びR12〜R14は、水素又は炭素数1〜24の炭化水素基、あるいは水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる官能基を有する炭素数1〜24の炭化水素基。R10は炭素数1〜30の炭化水素鎖、あるいは水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる官能基を有する炭素数1〜30の炭化水素鎖。なおR、及びR12〜R14の炭化水素基、及びR10の炭化水素鎖中には、水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン以外の結合様式で、酸素、窒素、シリコン等の元素が結合していても良い。R11は水素又は炭素数1〜8のアルキル基。)
本発明において、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、および後述するカルボキシル基、酸無水物基で変性されている共役ジエン共重合体を得るために用いることが可能な、水酸基、エポキシ基、アミノ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が少なくとも1個結合している共役ジエン重合体を得るために使用する変性剤としては、例えば、下記のものが上げられる。
例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシランが挙げられる。
また、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシランが挙げられる。
また、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルメシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシランが挙げられる。
また、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシラン、トリス(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシランが挙げられる。
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルエチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジブトキシシランが挙げられる。
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジエチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジイソプロペンオキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等が上げられ、この中でも特に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンのような、イミダゾリジノン骨格を有する変性剤が好ましい。
上記の変性剤を反応させることにより、共役ジエン系重合体(ブロック共重合体においては重合体ブロックA及び/又は重合体ブロックB)に水酸基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる官能基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性剤の残基が少なくとも1個結合している共役ジエン系重合体又はその水素添加物が得られる。変性ブロック共重合体に変性剤の残基が結合している位置は特に制限されないが、高温時における物性に優れた組成物を得るには重合体ブロックAに結合していることが好ましい。
本発明において、カルボキシル基、酸無水物基で修飾されている共役ジエン系重合体を得る方法は、前述の水酸基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる極性基を少なくとも1個有する原子団が少なくとも1個結合している共役ジエン系重合体に、カルボキシル基を有する変性剤や酸無水物基を有する変性剤を反応させる方法が挙げられる。
カルボキシル基を有する変性剤の具体例としては、マレイン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、カルバリル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。
酸無水物基を有する変性剤の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、シス−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキシテトラヒドロキシフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
また、カルボキシル基、酸無水物基で変性されている共役ジエン系重合体を得る他の方法としては、共役ジエン重合体をα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物でグラフト変性する方法が挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド−シス−ビシクロ〔2.2.1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。α,β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量は、共役ジエン系重合体100重量部当たり、一般に0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明の成形体においては、80℃におけるTanδと65℃におけるTanδの関係が以下の式を満たさなければならない。
Tanδ(80)/Tanδ(65)> 1.00
Tanδ(80):成形体の80℃におけるTanδ
Tanδ(65):成形体の65℃におけるTanδ
Tanδ(80)/Tanδ(65)の値が1.00以上ではタイ分子の数が充分にあるために十分な耐衝撃性が得られる。好ましい範囲は、Tanδ(80)/Tanδ(65)の値が1.70以上、さらに好ましい範囲は1.80以上、とりわけ好ましい範囲は、2.00以上である。Tanδの値は動的粘弾性測定装置を用い測定することができる。Tanδ(80)/Tanδ(65)の値を本発明の範囲にするには、成形する際に速い速度で固化させることが重要である。速い速度で固化させないとタイ分子が多く形成されずらい。速い速度で固化させるためには、例えばポリ乳酸系樹脂の光学純度を向上させる、結晶核剤を導入する、ポリ乳酸ステレオコンプレックスの導入などの手法を用いることができる。また、金型温度を比較的低く設定し、固化速度を早めることも可能であるが、この場合は十分な結晶化度が金型内保持時間を長くする、後結晶化などの手法により達成されることが耐衝撃性の点で重要である。本発明においては、成形体における脂肪族ポリエステル(a)の結晶融解カーブにおいて、融解エンタルピーΔHの値は耐衝撃性の点から20J/gを越えることが望ましく、好ましい範囲は、ΔH≧25J/gであり、さらに好ましい範囲はΔH≧30J/gである。成形体のΔHの値は、示差走査型熱量測定(DSC)により決定することができる。
本発明においては、更に結晶核剤(c)を加えることにより、(b)成分の耐衝撃性付与効果を更に高めることが可能となる。結晶核剤(c)の形状は、特に制限されず、粒子状、板状、ウィスカー形状いずれでも用いることが出来る。好ましい結晶核剤としては一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。(a)成分と(b)成分併せて100重量部に対し、(c)成分を1〜50重量部含むことが耐衝撃性の点から好ましい。1重量部以上であると結晶化起こるために耐衝撃性が向上して好ましく、50重量部以下では耐衝撃性の低下がなく好ましい。
無機系結晶核剤の具体例としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などを挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために有機物で修飾されていることが好ましい。
また、有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミドが挙げられる。
また、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸などのポリマー、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー)、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩、および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどを挙げることができる。
本発明で使用する結晶核剤としては、上記に例示したもののなかでも、特にタルク、カオリンまたは炭酸カルシウム、および有機カルボン酸金属塩から選択された少なくとも1種が好ましい。本発明で使用する結晶核剤は、1種のみでもよくまた2種以上の併用を行ってもよい。
本発明で使用する可塑剤としては、一般によく知られているものを使用することができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤などをあげることができる。ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。
これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネートなどを挙げることができる。多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシルなどのアジピン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸エステルなどを挙げることができる。
リン酸エステル系可塑剤の具体例としては、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシルおよびリン酸トリクレシルなどを挙げることができる。ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロックおよび/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、および末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などを挙げることができる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイル、およびパラフィン類などを挙げることができる。
本発明で使用する可塑剤としては、上記に例示したもののなかでも、特にポリエステル系可塑剤およびポリアルキレングリコール系可塑剤から選択した少なくとも1種が好ましい。本発明に使用する可塑剤は、1種のみでもよくまた2種以上の併用を行ってもよい。また、可塑剤の配合量は、(a)成分、(b)成分の合計100重量部に対して、0.01〜30重量部の範囲が好ましく、0.1〜20重量部の範囲がより好ましく、0.5〜10重量部の範囲がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で強化材(ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、天然繊維、有機繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラストナイト、タルク、クレー、マイカ(天然、合成)、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトまたは白土など)、安定剤(ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤、離形剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(ニグロシンなど)および顔料(硫化カドミウム、フタロシアニンなど)を含む着色剤、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、難燃剤(赤燐、燐酸エステル、ブロム化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、水酸化マグネシウム、メラミンおよびシアヌール酸またはその塩など)、導電剤あるいは着色剤(カーボンブラックなど)、摺動性改良剤(グラファイト、フッ素樹脂など)、帯電防止剤などの1種または2種以上を添加することができる。
また、本発明における組成物には(a)成分および(b)成分以外の重合体を、本発明の目的を損なわない範囲で混合することができる。(a)成分、(b)成分以外の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂、およびフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などの少なくとも1種以上をさらに添加することができる。
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は,熱可塑性樹脂や弾性重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。無機充填剤,酸化鉄等の顔料,ステアリン酸,ベヘニン酸,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,エチレンビスステアロアミド等の滑剤,離型剤,パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン,ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤,ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤,ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤,難燃剤,帯電防止剤,有機繊維,ガラス繊維,炭素繊維,金属ウィスカ等の補強剤,着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
本発明における組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて製造することができる。なお、脂肪族ポリエステル(a)と、弾性重合体(b)よりなる組成物とは、(a)、(b)成分の溶融を経ない混合物も含む。本発明においては、押出機による溶融混合法が生産性の点から好ましい。結晶核剤(c)を用いる場合には、(a)、(b)、(c)成分を一括して溶融混練しても良いし、例えば、(b)成分と(c)成分を予備混練してから(a)成分と溶融混練するような分割した混練方法も可能である。分割混練する場合も、(b)成分と(c)成分をまず混練し、(a)をサイドフィードするなど、連続的に混練することが生産性の観点より好ましいが、例えば(b)成分への(c)成分の分散性を高めるために両者を溶媒中での混合方法をとることも可能であり、また加熱ロール等で充分混練した後、(a)成分と押出機で混練することも可能である。また、成分(a)の一部と成分(b)とを予備混練した後、さらに成分(a)と必要に応じて成分(c)を加えて所望の組成物を得ることも可能である。
また本発明の成形体は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、押し出し成形、発泡成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
本願発明および実施例で用いた評価法をまず説明する。
樹脂組成物成形品の特性評価は以下に従った。
(1)アイゾット衝撃強度(ノッチ付)
ASDM D256(ノッチ付き、1/8インチ厚)に従い試験を行った。
(2)分子量
GPC[東ソー製GPC−8020、検出RI,カラム昭和電工製Shodex K−805,801連結]を用い、溶媒はクロロホルム、測定温度40℃で、市販標準ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
(3)光学純度、L体/D体構成比
光学異性体分離カラム装着のHPLC[島津製作所製LC−10A−VP 紫外線(254nm)検出]を用いて、1N−NaOH水溶液で加水分解し、HClで中和した水溶液を試料にして、L体とD体の比を求めた。
(4)Tanδ
動的粘弾性測定装置(レオスペクトラー社製DVE−V4)を用い、射出成形された試験片のTanδを周波数10Hz、昇温速度3℃/minの条件で測定した。
(5)融点、ガラス転移温度
DSC[パーキンエルマー製Pyris 1]を用い、窒素雰囲気下、20℃/分の温度変化で、融点およびガラス転移温度を求めた。
共役ジエン重合体として用いたブロック共重合体の特性は以下に従って評価した。
(6)スチレン含有量
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
(7)1,2結合量、及び水素添加率
核磁気共鳴装置(BRUCKER社製DPX−400)を用いて測定した。
(8)スチレン単独重合体ブロックの数平均分子量
四酸化オスミウムを触媒としてジターシャリーブチルハイドロパーオキサイドによりブロック共重合体を酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Sci.1,429(1946))により、水添前のブロック共重合体からスチレン単独重合体ブロック成分を得(ただし重合度30以下の成分は除去されている)、その成分のGPC測定により求めた。
(9)スチレン単独重合体ブロックの含有率(ブロック率)
上記の酸化分解により得たスチレン単独重合体ブロックの紫外線分光光度計による分析を行い、下記式を用いて算出した。
ブロック率(%)=(水添ブロック共重合体中のスチレン単独重合体ブロックの重量%)/(水添ブロック共重合体中の全スチレン重量%)×100
以下の実施例に使用したポリ乳酸系樹脂は、公知の例えば辻秀人著「Polylactide」in Biopolymers Vol.4 (Wiley−VCH 2002年刊)P129−178や、特表H05−504731号公報に従って錫系触媒を用いたラクチドの開環重合法によりポリ乳酸系樹脂(A−1)を準備した。
(A−1)の重量平均分子量、D体含有率、融点はそれぞれ、17万、1.6%、164℃であった。
更に以下の実施例に用いた共役ジエン系重合体の製造例を記す。
(製造例1)共役ジエン系重合体(B−1)
攪拌機及びジャケット付きのオ−トクレ−ブを洗浄,乾燥,窒素置換し,予め精製したブタジエン85重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度15重量%)を投入し、次いでテトラヒドロフランを使用するn−ブチルリチウム1モルに対して1.5モル添加した後反応器内温を50℃に保持した。重合開始剤としてn−ブチルリチウムを全使用モノマー100重量部に対して0.1重量部添加した。反応開始後、重合による発熱で反応器内温は徐々に上昇した。反応終了後、予め精製したスチレン15重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度15重量%)を投入して重合を継続し、最終的な反応器内温は約70℃に達した。
次に、上記で得られたリビングポリマーに、変性剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以後、変性剤M1と呼ぶ)を重合に使用したn−ブチルリチウムに対して当モル添加して反応を完結させた。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100重量部に対して0.3重量部添加した。
得られた変性ブロック共重合体(B−1)は、スチレン含有量が15重量%、ブロックスチレン量が14重量%、ビニル結合量が14%、重量平均分子量が12.9万であった。
実施例に用いた結晶核剤(C−1)を以下に示す。
C−1;日本タルク社製 微粉タルク P−3
[実施例1]
表1に記載の配合の組成物を25mmの2軸押出機(Werner & Pfleiderer社製 ZSK25)を用いて190℃で溶融混練した。得られたペレットを射出成型機を用いて、シリンダー温度190℃、金型温度30℃、金型内保持時間30秒で試験片に成型した。得られた試験片を120℃の熱風下30分熱処理し、評価を実施した。結果を表1に記す。
[実施例2]
表1に記載の配合の組成物を25mmの2軸押出機(Werner & Pfleiderer社製 ZSK25)を用いて190℃で溶融混練した。得られたペレットを射出成型機を用いて、シリンダー温度190℃、金型温度100℃、金型内保持時間160秒で試験片に成型し、評価を実施した。結果を表1に記す。
[実施例3]
金型温度を110℃にする以外は実施例2と同様に評価を実施した。結果を表1に記す。
[実施例4]
金型温度を116℃にする以外は実施例2と同様に評価を実施した。結果を表1に記す。
[比較例1]
表1に記載の配合の組成物を25mmの2軸押出機(Werner & Pfleiderer社製 ZSK25)を用いて190℃で溶融混練した。得られたペレットを射出成型機を用いて、シリンダー温度190℃、金型温度30℃、金型内保持時間30秒で試験片に成型し評価を実施した。結果を表1に記す。
Figure 0004544918
本発明の成形体は、優れた耐衝撃性を備えた成形体である。本成形体は、各種方法により各種形状に成形することができ、フィルム、シート、射出成形体、ブロー成形体、押出成形体、真空圧空成形体、積層構造体、容器、発泡体、繊維、織物、不織布として、自動車分野、電気・電子分野、包装分野、農業分野、漁業分野、医療分野、その他一般雑貨等に利用できる。自動車分野では、バンパー、ラジエーターグリル、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールカバー、エアロパーツ、インストルメントパネル、ドアトリム、シートファブリック、ドアハンドル、フロアマットなどの内外装部品に利用することができる。家電・電子用途では、携帯電話、パソコンなどの電子機器、家電機器の筐体、LCDフロントカバーに有用に用いることができ、包装分野では、フィルム、シートとして、各種包装が可能で、また、医療分野では、医療用材料として利用できる。
実施例1、4のTanδの概略図である。

Claims (9)

  1. ポリ乳酸系樹脂である脂肪族ポリエステル(a)および弾性重合体(b)よりなる脂肪族ポリエステル樹脂組成物を成型してなる成形体であり、80℃におけるTandと65℃におけるTandの関係が以下の式を満たすことを特徴とする成形体であって、
    前記(b)成分が共役ジエンの単独重合体および/または共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体が変性されている弾性重合体であり、
    前記(b)成分がアミノ基および/又はイミノ基を持つ化合物で変性されている弾性重合体であることを特徴とする成形体。
    Tand(80)/Tand(65)> 1.00
    Tand(80):成形体の80℃におけるTand
    Tand(65):成形体の65℃におけるTand
  2. (b)成分が、イミダゾリジノン骨格を有する変性剤で変性された変性重合体である請求項1に記載の成形体。
  3. (b)成分が、有機リチウム化合物を重合開始剤として重合した共役ジエン系重合体のリビング末端に、官能基を有する原子団が結合している変性剤、あるいは官能基を保護した原子団が結合している変性剤を反応させた弾性重合体であるか、更に他の官能基を有する二次変性剤で最初の官能基と反応させて変性した弾性重合体であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形体。
  4. (b)成分が、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主とするブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主とするブロックよりなる共重合体が変性されている弾性重合体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
  5. (b)成分が、水素添加された重合体が変性されている弾性重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形体。
  6. 該組成物が(a)成分60〜99.9重量部および(b)成分0.1〜40重量部よりなる組成であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体。
  7. 該組成物が、更に結晶核剤(c)成分を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の成形体。
  8. 該組成物が、(a)成分と(b)成分併せて100重量部に対し、(c)成分を1〜50重量部含むことを特徴とする請求項7に記載の成形体。
  9. 該成形体が、射出成形されたことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の成形体。
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