JP2005226057A - 脂肪族ポリエステル系樹脂組成物成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐熱性、耐衝撃性に優れた生分解性を有する成形体を提供する。
【解決手段】 脂肪族ポリエステル(a)とゴム状重合体(b)よりなる樹脂組成物の成形体の脂肪族ポリエステル(a)に基ずく結晶融解挙動におけるピーク温度T1以上の温度における融解エンタルピーΔH1と全体の融解エンタルピーΔHの関係が、以下の式を満たす成形体。ΔH1/ΔH<0.40。
【選択図】選択図なし

Description

本発明は、耐衝撃性、耐熱性に優れた脂肪族ポリエステル系樹脂組成物成形体に関する。
最近、環境への問題意識の高まりから、自然界に存在する微生物の作用により自然環境下で分解される生分解性ポリマーが注目され、様々な生分解性ポリマーが開発されている。これらのうち溶融成形が可能な生分解性ポリマーとして、例えば、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、コハク酸やアジピン酸などの脂肪族ジカルボン酸成分とエチレングリコールやブタンジオールなどのグリコール成分とからなるポリエチレンサクシネートやポリブチレンアジペート、ポリ乳酸などの脂肪族ポリエステルが知られている。
その中でもポリ乳酸は、実用化に向けて多くの検討がなされてきている。しかし、ポリ乳酸を含めて脂肪族ポリエステルは、一般的に脆く耐衝撃性が低い、結晶化が遅く実用的な成形方法で成形した場合に耐熱性を発現することが困難という問題点を有していた。生分解性ポリマーが普及、特に、成型品としての利用が広がるためには、耐衝撃性、耐熱性の改良が重要な課題となっている。
従来ポリ乳酸の耐衝撃性の発現には、低いガラス転移温度を有するポリカブロラクトンや、グリコールと脂肪族二塩基酸に由来する脂肪族ポリエステル等のブレンドが多く検討されてきた。これらのブレンド物はポリ乳酸の特徴の1つである生分解性の保つことと、柔軟性を付与することを目的としているが、耐衝撃性の改良は十分ではない。
一般に熱可塑性樹脂等の耐衝撃性の向上のために共役ジエン系重合体をブレンドすることが知られている。ポリ乳酸に対するこのような共役ジエン共重合体のブレンドは、例えばポリ乳酸とエポキシ化ジエン系ブロック共重合体の樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、これらの技術では耐衝撃性を上げるためにポリ乳酸系樹脂に多量の軟質成分をブレンドする必要があり、更に有効な耐衝撃性を付与する技術の開発が求められている。
また、ポリ乳酸の耐熱性の発現には、結晶化度を向上させることが必要であることが知られている。たとえば結晶性無機粉末をポリ乳酸に混合し結晶化させながら成形する方法(例えば、特許文献2参照。)や、ワックスをポリ乳酸に混合する方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。しかしながら、これらの方法では、結晶化度は向上するが、耐熱性の向上の点ではまだ不十分であった。また、結晶化度の指標として、結晶融解熱量がある程度以上であると耐熱性が改良されるとの提案がある(特許文献4参照)。しかし、この方法においても、結晶化度は向上されているが、まだ満足のいくレベルの耐熱性ではなかった。
特開2000−219803号公報 特開平8−193165号公報 特開平11−106628号公報 特開2002−3709号公報
本発明は、耐熱性と耐衝撃性に優れる成形体を提供することを目的とする。さらに詳しくは、ある特定の結晶融解挙動を有する、脂肪族ポリエステル(A)と、ゴム状重合体(B)よりな耐熱性と耐衝撃性に優れる成形体に関する。
本発明者らは、上記課題を解決するために、驚くべきことに結晶化度は同一であっても、結晶融解エンタルピーがある特定条件を満たすように調整された成形体が、耐衝撃性、耐熱性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は
1.脂肪族ポリエステル(a)およびゴム状重合体(b)よりなる樹脂組成物から得られる成形体、
2.該樹脂組成物が、(a)成分60〜99.9重量部および(b)成分0.1〜40重量部よりなる組成であることを特徴とする上記1に記載の成形体、
3.該成形体の脂肪族ポリエステル(a)に基く結晶融解挙動において、ピーク温度T1以上の温度における融解エンタルピーΔH1と全体の融解エンタルピーΔHが、以下の式を満たすことを特徴とする上記1または2に記載の成形体、
ΔH1/ΔH<0.40
4.該成形体が、以下の式を満たすことを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の成形体、
ΔH>20J/g
5.(b)成分が、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基を持つ化合物で変性されている変性重合体であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の成形体、
6.(b)成分が、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基を持つ化合物で、その末端が変性されている変性重合体であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の成形体。
7.極性基が、アミノ基および/又はイミノ基である上記1〜6のいずれかに記載の成形体、
8.(b)成分が、イミダゾリジノン骨格を有する変性剤で変性された変性重合体である上記1〜7のいずれかに記載の成形体。
9.(b)成分が、共役ジエンの単独重合体および/または共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体が変性されている変性重合体である上記1〜8のいずれかに記載の成形体、
10.(b)成分が、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主とするブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主とするブロックよりなる共重合体が変性されている変性重合体であることを特徴とする上記1〜9のいずれかに記載の成形体、
11.(b)成分が、水素添加された重合体が変性されている変性重合体であることを特徴とする上記1〜10のいずれかに記載の成形体、
12.該樹脂組成物が、更に結晶核剤(c)成分を含むことを特徴とする上記1〜11のいずれかに記載の成形体、
13.該樹脂組成物が、(a)成分と(b)成分併せて100重量部に対し、(c)成分を1〜50重量部含むことを特徴とする上記1〜12のいずれかに記載の成形体、
14.(c)成分が、タルク、カオリンまたは炭酸カルシウムから選ばれる1種以上であることを特徴とする上記12または13に記載の成形体、
15.該成形体が、射出成形されたことを特徴とする上記1〜14のいずれかに記載の成形体、
16.(a)成分が、ポリ乳酸であることを特徴とする上記1〜15のいずれかに記載の成形体、
である。
本発明により、脂肪族ポリエステルの欠点であった耐衝撃性、耐熱性が改良され、生分解性プラスチック成形体の普及が可能になる。
以下、本発明について具体的に説明する。
本発明の(a)脂肪族ポリエステルとしては、特に限定されるものではなく、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体などが挙げられる。具体的には、脂肪族ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体としては、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ酪酸、ポリ4−ヒドロキシ吉草酸、ポリ3−ヒドロキシヘキサン酸またはポリカプロラクトンなどが挙げられ、脂肪族多価カルボン酸と脂肪族多価アルコールを主たる構成成分とする重合体としては、ポリエチレンアジペート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペートまたはポリブチレンサクシネートなどが挙げられる。これらの脂肪族ポリエステルは、単独ないし2種以上を用いることができる。これらの脂肪族ポリエステルの中でも、ヒドロキシカルボン酸を主たる構成成分とする重合体が好ましく、特にポリ乳酸系樹脂が好ましく使用される。これらの(a)成分は1種以上を用いることができる。
ポリ乳酸系樹脂としては、L−乳酸および/またはD−乳酸を主たる構成成分とする重合体であるが、本発明の目的を損なわない範囲で、乳酸以外の他の共重合成分0.1〜99.9重量%を含んでいてもよい。かかる他の共重合成分単位としては、例えば、多価カルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトンなどが挙げられ、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、フマル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘプタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオ−ル、デカンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ビスフェノ−ルA、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどの多価アルコール類、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシカルボン酸類、グリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、δ−バレロラクトンなどのラクトン類などを使用することができる。これらの共重合成分は、単独ないし2種以上を用いることができる。
(a)脂肪族ポリエステルの製造方法としては、既知の重合方法を用いることができ、特にポリ乳酸系樹脂については、乳酸からの直接重合法、ラクチドを介する開環重合法などを採用することができる。本発明におけるポリ乳酸(a)は乳酸、すなわちL−乳酸、D−乳酸を主とする重合体である。ポリ乳酸系樹脂において、L−乳酸単位と、D−乳酸単位の構成モル比は、L−体とD−体あわせて100%に対し、L体ないしD体いずれかが85%以上が好ましく、更に好ましくは一方が90%以上であり、更に好ましくは一方が94%以上の重合体である。結晶性を高め、耐熱性を必要とする場合には、光学純度を上げることが好ましく、一方が98%以上であることが好ましい。
ポリ乳酸系樹脂は、L体ないしD体以外の乳酸モノマーまたは、ラクチドと共重合可能な他成分を共重合していてもよく、このような成分としてはジカルボン酸、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン等が例示される。ポリ乳酸系樹脂は、直接脱水縮合、ラクチドの開環重合等公知の重合法で重合することが出来る。また必要に応じてポリイソシアネート等の結合剤を用いて、高分子量化することも出来る。
ポリ乳酸系樹脂の好ましい重量平均分子量範囲は、30,000〜1000,000、更に好ましくは50,000〜500,000、最も好ましくは100,000〜280,000である。重量平均分子量が30,000以下では組成物の機械的性質が劣り、また1000,000以上では溶融粘度が高くなり、加工性が悪くなる。
本発明においては脂肪族ポリエステル(a)の組成物における割合(重量部)の範囲は弾性率、耐熱性の点から50以上、また耐衝撃性の点から99.9以下であることが好ましく、60〜99.8であることがさらに好ましく、65〜99.7であることがとりわけ好ましい。また、ゴム状重合体(b)の組成物における割合(重量部)の範囲が、0.1〜50であることが好ましく、0.2〜60であることがさらに好ましく、0.3〜65であることがとりわけ好ましい。
本発明におけるゴム状重合体(b)には、エチレン、炭素数3〜12のα−オレフィン、例えば、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、4−メチル−1−ペンテン等から1種以上選ばれる単量体を重合して得られるポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−ブテン−1共重合体等のオレフィン系重合体、1,3‐ブタジエン、2‐メチル‐1,3‐ブタジエン(イソプレン)、2,3‐ジメチル‐1,3‐ブタジエン、1,3‐ペンタジエン、1,3‐ヘキサジエン等の共役ジエンの単独重合体または共役ジエンとスチレン、o‐メチルスチレン、p‐メチルスチレン、p‐tert‐ブチルスチレン、1,3‐ジメチルスチレン、α‐メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等のビニル芳香族炭化水素との共重合体、またはそれらの水素添加物、天然ゴム、チオコールゴム、多硫化ゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム、エピクロロヒドリンゴム、ポリエステル系エラストマー、およびポリアミド系エラストマー、シリコンゴム、コア層とそれを覆う1以上のシェル層から構成され、また隣接し合った層が異種の重合体から構成されるいわゆるコアシェル型と呼ばれる多層構造重合体などが挙げられる。
これらの重合体を、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基等の極性基を持つ化合物で変性したものも含まれる。極性基を持つ化合物で変性する方法としては、極性基を有する不飽和化合物をラジカル開始剤等を用いて、重合体鎖に化合物を不可させる方法や、極性基を有する単量体を共重合させる等の公知の方法を用いることができる。
これらの中でも、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1個または2種以上の極性基を持つ化合物でポリマー末端が変性されていることを特徴とする共役ジエン系重合体が耐衝撃性の点から好ましい。
本発明で使用するアミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1個または2種以上の極性基を持つ化合物でポリマー末端が変性されていることを特徴とする共役ジエン系重合体は、共役ジエン単独、または共役ジエンおよび共役ジエンと共重合可能な化合物よりなる重合体のポリマー末端がアミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1個または2種以上の極性基を持つ化合物で変性されたものであり、
共役ジエンとしては1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン(イソプレン)、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン等があげられ、中から1種又は2種以上が使用でき、一般的には1,3−ブタジエン、イソプレンまたはこれらの組み合わせが好ましく用いられる。また共役ジエンと共重合可能な化合物として好ましいものとしてはビニル芳香族化合物があげられる。
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等の中から1種又は2種以上が使用でき、一般的にはスチレンが好ましい。共重合体中の芳香族ビニル化合物の含量は耐衝撃性付与の効果の観点から50重量%以下、好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下であることが好ましい。
本発明においては、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1個または2種以上の極性基を持つ化合物でポリマー末端が変性されている共役ジエンの単独重合体、共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体、またはそれらの水素添加物を好ましく用いることができ、併用しても構わない。共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体を用いる場合、共役ジエンとビニル芳香族化合物の両単位は、ランダム共重合していても、ブロック状に共重合していても、更にランダム共重合したブロックを含む共重合体でも構わないが、好ましい形態としては例えばビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体、又はその水素添加物があげられる。更に好ましくはビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも1個の重合体ブロックAと、共役ジエンを主体とする1個の重合体ブロックBからなるブロック共重合体である。
本発明で使用する共役ジエン系重合体の共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体の製造方法としては、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭46−32415号公報、特公昭49−36957号公報、特公昭48−2423号公報、特公昭48−4106号公報、特公昭56−28925号公報、特公昭51−49567号公報、特改昭59−166518号公報、特開昭60−186577号公報などに記載された方法が挙げられる。これらの方法で得られるブロック共重合体は、例えば下記一般式で表されるような構造(水素添加物については、水素添加前のポリマー構造)を有する。
(A−B)n、(B−A)n、A−(B−A)n、 B−(A−B)n
[(B−A)nm−X、[(A−B)nm−X、
[(B−A)n −B]m−X、[(A−B)n −A]m−X
(上式において、Aはビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。Xはカップリング剤の残基または多官能有機リチウム化合物等の開始剤の残基を示す。また、nは1以上の整数、一般には1〜5の整数であり、mは2以上の整数、一般には2〜10の整数である。)
なお、上記において、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックAとはビニル芳香族化合物を好ましくは50重量%以上、より好ましくは70重量%以上含有するビニル芳香族化合物と共役ジエンの共重合体ブロック、又は/及びビニル芳香族化合物単独重合体ブロックを示し、共役ジエンを主体とする重合体ブロックBとは共役ジエンを好ましくは50重量%を超える量で、より好ましくは60重量%以上含有する共役ジエンとビニル芳香族化合物との共重合体ブロック、又は/及び共役ジエン単独重合体ブロックを示す。共重合体ブロック中のビニル芳香族化合物は均一に分布していても、またはテーパー状に分布していてもよい。また該共重合体ブロックには、ビニル芳香族化合物が均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個共存していてもよい。
本発明において、ビニル芳香族化合物系エラストマーの製造に用いられる溶媒としては、例えばブタン、ペンタン、ヘキサン、イソペンタン、へプタン、オクタン、イソオクタン等の脂肪族化合物、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式化合物、あるいはベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン等の芳香族化合物等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上を混合して使用してもよい。
また本発明において、ビニル芳香族化合物系エラストマーの製造に重合開始剤として用いられる有機リチウム化合物は、分子中に1個以上のリチウム原子を結合した化合物であり、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、ヘキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウム等が使用できる。これらは1種のみならず2種以上を混合して使用してもよい。また有機リチウム化合物は、ブロック共重合体の製造において重合途中で1回以上分割添加してもよい。
本発明において、ビニル芳香族化合物系エラストマー製造時の重合速度の制御、重合した共役ジエン部分のミクロ構造の制御、ビニル芳香族化合物と共役ジエンの反応性比の制御等の目的で、極性化合物やランダム化剤を使用することができる。極性化合物やランダム化剤としては、エーテル類、アミン類、チオエーテル類、ホスフィン、ホスホルアミド、アルキルベンゼンスルホン酸のカリウム塩又はナトリウム塩、カリウム又はナトリウムのアルコキシド等が挙げられる。
具体的な例としては、エーテル類としてはジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテルが挙げられる。アミン類としては第3級アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、その他環状第3級アミン等が挙げられる。ホスフィン及びホスホルアミドとしては、トリフェニルホスフィン、ヘキサメチルホスホルアミド等が挙げられる。
本発明において、ビニル芳香族化合物系エラストマーを製造する際の重合温度は、好ましくは10〜150℃、より好ましくは30〜120℃である。
重合時間は条件によって異なるが、好ましくは48時間以内であり、特に0.5〜10時間が好ましい。また重合系の雰囲気は窒素ガス等の不活性ガス雰囲気にすることが好ましい。重合圧力は、上記重合温度範囲内でモノマー及び溶媒を液相に維持するに十分な範囲の圧力であればよく、特に限定されるものではない。さらに重合系内は、触媒及びリビングポリマーを不活性化させるような不純物、例えば水、酸素、炭酸ガス等が混入しないように留意することが好ましい。
本発明で使用する共役ジエン系重合体は、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基、酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1個または2種以上の極性基を持つ化合物でポリマー末端が変性されていることを特徴とする共役ジエン系重合体(以下、変性共役ジエン系重合体と呼ぶ)である。特に好ましい極性基はアミノ基、イミノ基である。このような官能を有する原子団で末端を修飾することにより、ポリ乳酸系樹脂の耐衝撃性改良の効果が非常に顕著となる。
変性共役ジエン系重合体としては、共役ジエンの重合体にかかる極性基を有する原子団が末端に結合している重合体、または重合体ブロックA及び/又は重合体ブロックBにかかる極性基を有する原子団が末端に結合している前述のブロック共重合体(以下、変性ブロック共重合体と呼ぶ)が特に好ましい。変性ブロック共重合体の構造は、例えば下記一般式で示される。
(A−B)n −Y、(B−A)n −Y、
A−(B−A)n −Y、 B−(A−B)n −Y、
Y−(A−B)n −Y、 Y−A−(B−A)n −Y、
Y−B−(A−B)n −Y、
[(B−A)nm −Y、[(A−B)nm −Y、
[(B−A)n −B]m −Y、[(A−B)n −A]m −Y
(上式において、Aはビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロックであり、Bは共役ジエンを主体とする重合体ブロックである。またnは1以上の整数、一般には1〜5の整数であり、mは2以上の整数、一般には2〜10の整数である。Yは、後述の極性基を有する原子団が結合している変性剤残基である。)
本発明で使用する変性ブロック共重合体は、上記一般式で表される変性ブロック共重合体の任意の混合物でもよい。
変性共役ジエン系重合体を得る方法は、共役ジエン系重合体のリビング末端に極性基を有する原子団が結合している変性剤、あるいは極性基を公知の方法で保護した原子団が結合している変性剤を反応させる方法が挙げられる。さらに、他の極性基を有する二次変性剤で最初の極性基と反応させて変性し、本発明の変性重合体とすることもできる。
また変性剤の種類によっては、変性剤を反応させた段階で水酸基やアミノ基が有機金属塩になっていることもあるが、その場合には水やアルコール等活性水素を有する化合物で処理することにより、水酸基やアミノ基に変換することができる。なお本発明においては、共役ジエン重合体のリビング末端に変性剤を反応させた後、変性されていない共役ジエン系重合体が一部混在してもよい。変性共役ジエン系重合体に混在する未変性の共役ジエン系重合体の割合は、好ましくは70重量%以下、より好ましくは60重量%以下、更に好ましくは50重量%以下である。
本発明において、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基および後述するカルボキシル基、酸無水物基で修飾されている共役ジエン共重合体を得るために用いることが可能な、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる極性基を少なくとも1個有する原子団として、下記一般式から選ばれる原子団が挙げられる。
Figure 2005226057
(上式で、R、及びR12〜R14は、水素又は炭素数1〜24の炭化水素基、あるいは水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる極性基を有する炭素数1〜24の炭化水素基。R10は炭素数1〜30の炭化水素鎖、あるいは水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる極性基を有する炭素数1〜30の炭化水素鎖。なおR、及びR12〜R14の炭化水素基及びR10の炭化水素鎖中には、水酸基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシラン以外の結合様式で、酸素、窒素、シリコン等の元素が結合していても良い。R11は水素又は炭素数1〜8のアルキル基。)
本発明において、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、および後述するカルボキシル基、酸無水物基で修飾されている共役ジエン共重合体を得るために用いることが可能な、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる極性基を少なくとも1個有する原子団が少なくとも1個結合している共役ジエン重合体を得るために使用する変性剤としては、例えば、下記のものが上げられる。
例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−p−フェニレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、ジグリシジルアニリン、ジグリシジルオルソトルイジン、γ−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシランが挙げられる。
また、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシランが挙げられる。
また、γ−グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジエチルメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジイソプロペンオキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジメトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジエトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)ジフェノキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルメシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルエトキシシランが挙げられる。
また、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルブトキシシラン、ビス(γ−グリシドキシプロピル)メチルフェノキシシラン、トリス(γ−グリシドキシプロピル)メトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシメチルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシエチルトリエトキシシラン、ビス(γ−メタクリロキシプロピル)ジメトキシシラン、トリス(γ−メタクリロキシプロピル)メトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリエトキシシランが挙げられる。
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−トリフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピル−トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−エチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジブトキシシランが挙げられる。
また、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジメチルフェノキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−ジエチルメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル−メチルジイソプロペンオキシシラン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノン、N,N’−ジメチルプロピレンウレア、N−メチルピロリドン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン等が上げられ、この中でも特に1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジエチル−2−イミダゾリジノンのような、イミダゾリジノン骨格を有する変性剤が好ましい。
上記の変性剤を反応させることにより、共役ジエン系重合体(ブロック共重合体においては重合体ブロックA及び/又は重合体ブロックB)に水酸基、エポキシ基、アミノ基、イミノ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる極性基を少なくとも1個有する原子団が結合している変性剤の残基が少なくとも1個結合している共役ジエン系重合体又はその水素添加物が得られる。変性ブロック共重合体に変性剤の残基が結合している位置は特に制限されないが、高温時における物性に優れた組成物を得るには重合体ブロックAに結合していることが好ましい。
本発明において、共役ジエン系重合体の水素添加物は、共役ジエン系重合体(ブロック共重合体においては、上記で得られたブロック共重合体)を水素添加することにより得られる。水素添加する場合に用いる水添触媒としては、特に制限されず、従来から公知である(1)Ni、Pt、Pd、Ru等の金属をカーボン、シリカ、アルミナ、ケイソウ土等に担持させた担持型不均一系触媒、(2)Ni、Co、Fe、Cr等の有機酸塩又はアセチルアセトン塩等の遷移金属塩と有機アルミニウム等の還元剤とを用いる、いわゆるチーグラー系水添触媒、(3)Ti、Ru、Rh、Zr等の有機金属化合物等の、いわゆる有機金属錯体等の、均一系水添触媒が用いられる。具体的な水添触媒としては、例えば特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特公昭63−4841号公報、特公平1−37970号公報、特公平1−53851号公報、特公平2−9041号公報に記載された水添触媒を用いることができる。好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物、及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
チタノセン化合物としては、特開平8−109219号公報に記載された化合物が使用できるが、具体例としてはビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル骨格、インデニル骨格、あるいはフルオレニル骨格を有する配位子を少なくとも1個以上有する化合物が挙げられる。また還元性有機金属化合物としては、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、あるいは有機亜鉛化合物等が挙げられる。
水添反応は一般的に0〜200℃、好ましくは30〜150℃の温度範囲で実施される。水添反応に使用される水素の圧力は0.1〜15MPa、好ましくは0.2〜10MPa、より好ましくは0.3〜5MPaである。また水添反応時間は3分〜10時間、好ましくは10分〜5時間である。水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいずれを用いてもよい。
本発明に使用する共役ジエン系重合体の水素添加物において、共役ジエンに基づく不飽和二重結合の水素添加率は目的に合わせて任意に選択できる。熱安定性及び耐候性の良好なビニル芳香族化合物系エラストマーの水素添加物を得る場合、重合体中の共役ジエン化合物に基づく不飽和二重結合の70%を超える、好ましくは75%以上、更に好ましくは85%以上、特に好ましくは90%以上が水素添加されていることが推奨される。また、共役ジエンの1,2ビニル結合のうち、80%が水素添加されているものは、溶融混練や射出成形時の熱劣化を抑える働きがあり、最終的に得られる成形体の耐衝撃性を優れたものにすることができ好ましい。なお、共重合体中のビニル芳香族化合物に基づく芳香族二重結合の水素添加率については特に制限はなく、水素添加されていても構わない。水素添加率は、核磁気共鳴装置(NMR)により知ることができる。
本発明で用いる共役ジエン系重合体(以下、成分(b)ということがある。)の重量平均分子量は、組成物の耐衝撃強度改良効果の点から3万以上、加工性の点から100万以下が好ましく、より好ましくは6万〜80万、更に好ましくは7〜60万である。重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定を行い、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
共役ジエン重合体がブロック共重合体の場合、ビニル芳香族化合物単独重合体ブロックの含有量は、四酸化オスミウムを触媒としてジ・ターシャリーブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et−al.,J.Polym.Sci.1,429(1946))により、水添前の変性ブロック共重合体を分解して得たビニル芳香族化合物単独重合体ブロック成分(ただし重合度30以下の成分は除去されている)の量を紫外分光光度計等を用いて求めることができる。
上記のようにして得られた共役ジエン重合体又はその水素添加物の溶液は、必要に応じて触媒残査を除去し、共役ジエン重合体又はその水素添加物を溶液から分離することができる。溶媒を分離する方法としては、例えば重合体溶液にアセトン又はアルコール等の重合体に対する貧溶媒となる極性溶媒を添加し、重合体を沈殿させて回収する方法、重合体溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、又は直接重合体溶液を加熱して溶媒を留去する方法等が挙げられる。
なお本発明で用いる共役ジエン重合体には、各種フェノール系安定剤、リン系安定剤、イオウ系安定剤、アミン系安定剤等の安定剤を添加することができる。
本発明において、カルボキシル基、酸無水物基で修飾されている共役ジエン系重合体を得る方法は、前述の水酸基、アミノ基、イミノ基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシランから選ばれる極性基を少なくとも1個有する原子団が少なくとも1個結合している共役ジエン系重合体に、カルボキシル基を有する変性剤や酸無水物基を有する変性剤を反応させる方法が挙げられる。
カルボキシル基を有する変性剤の具体例としては、マレイン酸、シュウ酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、カルバリル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、シクロペンタンジカルボン酸等の脂肪族カルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルトフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、トリメシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等の芳香族カルボン酸等が挙げられる。
酸無水物基を有する変性剤の具体例としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水ピロメリット酸、シス−4−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、5−(2,5−ジオキシテトラヒドロキシフリル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン−ジカルボン酸無水物等が挙げられる。
また、カルボキシル基、酸無水物基で変性されている共役ジエン系重合体を得る他の方法としては、共役ジエン重合体をα、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体、例えばその無水物、エステル化物、アミド化物、イミド化物でグラフト変性する方法が挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の具体例としては、無水マレイン酸、無水マレイン酸イミド、アクリル酸又はそのエステル、メタアクリル酸又はそのエステル、エンド−シス−ビシクロ〔2,2,1〕−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸又はその無水物などが挙げられる。α、β−不飽和カルボン酸又はその誘導体の付加量は、ビニル芳香族化合物系エラストマー100重量部当たり、一般に0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
なお、脂肪族ポリエステル(a)とゴム状重合体(b)よりなる樹脂組成物とは、(a)および(b)成分の混合物、(a)成分と(b)成分とを溶融混練して得られた樹脂組成物も含む。
本発明においては、更に結晶核剤(c)を加えることにより、(b)成分の耐衝撃性付与効果を更に高めることが可能となる。結晶核剤(c)の形状は、特に制限されず、粒子状、板状、ウィスカー形状いずれでも用いることが出来る。好ましい結晶核剤としては一般にポリマーの結晶核剤として用いられるものを特に制限なく用いることができ、無機系結晶核剤および有機系結晶核剤のいずれをも使用することができる。
無機系結晶核剤の具体例としては、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、合成マイカ、クレー、ゼオライト、シリカ、グラファイト、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化チタン、硫化カルシウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化ネオジウムおよびフェニルホスホネートの金属塩などを挙げることができる。これらの無機系結晶核剤は、組成物中での分散性を高めるために、有機物で修飾されていることが好ましい。
また、有機系結晶核剤の具体例としては、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸カルシウム、安息香酸マグネシウム、安息香酸バリウム、テレフタル酸リチウム、テレフタル酸ナトリウム、テレフタル酸カリウム、シュウ酸カルシウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸カルシウム、オクタコサン酸ナトリウム、オクタコサン酸カルシウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム、モンタン酸ナトリウム、モンタン酸カルシウム、トルイル酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、サリチル酸カリウム、サリチル酸亜鉛、アルミニウムジベンゾエート、カリウムジベンゾエート、リチウムジベンゾエート、ナトリウムβ−ナフタレート、ナトリウムシクロヘキサンカルボキシレートなどの有機カルボン酸金属塩、p−トルエンスルホン酸ナトリウム、スルホイソフタル酸ナトリウムなどの有機スルホン酸塩、ステアリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、パルチミン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド、エルカ酸アミド、トリメシン酸トリス(t−ブチルアミド)などのカルボン酸アミドが挙げられる。
また、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソプロピレン、ポリブテン、ポリ−4−メチルペンテン、ポリ−3−メチルブテン−1、ポリビニルシクロアルカン、ポリビニルトリアルキルシラン、高融点ポリ乳酸などのポリマー、エチレン−アクリル酸またはメタクリル酸コポリマーのナトリウム塩、スチレン−無水マレイン酸コポリマーのナトリウム塩などのカルボキシル基を有する重合体のナトリウム塩またはカリウム塩(いわゆるアイオノマー)、ベンジリデンソルビトールおよびその誘導体、ナトリウム−2,2’−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートなどのリン化合物金属塩、および2,2−メチルビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウムなどを挙げることができる。
本発明で使用する結晶核剤としては、上記に例示したもののなかでも、特にタタルク、カオリンまたは炭酸カルシウム、および有機カルボン酸金属塩から選択された少なくとも1種が好ましい。本発明で使用する結晶核剤は、1種のみでもよくまた2種以上の併用を行ってもよい。好ましい添加量は(a)成分と(b)成分併せて100重量部に対して(c)成分1〜50重量部であり、更に好ましくは2〜20重量部である。
本発明で使用する可塑剤としては、一般によく知られているものを使用することができ、例えばポリエステル系可塑剤、グリセリン系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、ポリアルキレングリコール系可塑剤およびエポキシ系可塑剤などをあげることができる。ポリエステル系可塑剤の具体例としては、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸などの酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルなどを挙げることができる。
これらのポリエステルは単官能カルボン酸もしくは単官能アルコールで末端封鎖されていてもよく、またエポキシ化合物などで末端封鎖されていてもよい。グリセリン系可塑剤の具体例としては、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリンモノアセトモノステアレート、グリセリンジアセトモノオレートおよびグリセリンモノアセトモノモンタネートなどを挙げることができる。多価カルボン酸エステル系可塑剤の具体例としては、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジベンジル、フタル酸ブチルベンジルなどのフタル酸エステル、トリメリット酸トリブチル、トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリヘキシルなどのトリメリット酸エステル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸n−オクチル−n−デシルアジピン酸エステルなどのセバシン酸エステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルなどのクエン酸エステル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのアゼライン酸エステル、セバシン酸ジブチル、およびセバシン酸ジ−2−エチルヘキシルなどのセバシン酸エステルなどを挙げることができる。
リン酸エステル系可塑剤の具体例としては、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシルおよびリン酸トリクレシルなどを挙げることができる。ポリアルキレングリコール系可塑剤の具体例としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロックおよび/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール類のエチレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のプロピレンオキシド付加重合体、ビスフェノール類のテトラヒドロフラン付加重合体などのポリアルキレングリコールあるいはその末端エポキシ変性化合物、末端エステル変性化合物、および末端エーテル変性化合物などの末端封鎖化合物などを挙げることができる。
エポキシ系可塑剤とは、一般にはエポキシステアリン酸アルキルと大豆油とからなるエポキシトリグリセリドなどを指すが、その他にも、主にビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料とするような、いわゆるエポキシ樹脂も使用することができる。その他の可塑剤の具体例としては、ネオペンチルグリコールジベンゾエート、ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチレートなどの脂肪族ポリオールの安息香酸エステル、ステアリン酸アミドなどの脂肪酸アミド、オレイン酸ブチルなどの脂肪族カルボン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチルなどのオキシ酸エステル、ペンタエリスリトール、各種ソルビトール、ポリアクリル酸エステル、シリコーンオイル、およびパラフィン類などを挙げることができる。
本発明で使用する可塑剤としては、上記に例示したもののなかでも、特にポリエステル系可塑剤およびポリアルキレングリコール系可塑剤から選択した少なくとも1種が好ましい。本発明に使用する可塑剤は、1種のみでもよくまた2種以上の併用を行ってもよい。また、可塑剤の配合量は、(a)成分、(b)成分の合計100重量部に対して、0.01〜30重量部の範囲が好ましく、0.1〜20重量部の範囲がより好ましく、0.5〜10重量部の範囲がさらに好ましい。
本発明の樹脂組成物に対して、本発明の目的を損なわない範囲で強化材(ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、天然繊維、有機繊維、ガラスフレーク、ガラスビーズ、セラミックスファイバー、セラミックビーズ、アスベスト、ワラステナイト、タルク、クレー、マイカ(天然、合成)、セリサイト、ゼオライト、ベントナイト、モンモリロナイト、ドロマイト、カオリン、微粉ケイ酸、長石粉、チタン酸カリウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、酸化ケイ素、石膏、ノバキュライト、ドーソナイトまたは白土など)、安定剤(ヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類およびこれらの置換体、レゾルシノール、サリシレート、ベンゾトリアゾール、ベンゾフェノンなど)、滑剤、離形剤(モンタン酸およびその塩、そのエステル、そのハーフエステル、ステアリルアルコール、ステアラミドおよびポリエチレンワックスなど)、染料(ニグロシンなど)および顔料(硫化カドミウム、フタロシアニンなど)を含む着色剤、着色防止剤(亜リン酸塩、次亜リン酸塩など)、難燃剤(赤燐、燐酸エステル、ブロム化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ポリカーボネート、水酸化マグネシウム、メラミンおよびシアヌール酸またはその塩など)、導電剤あるいは着色剤(カーボンブラックなど)、摺動性改良剤(グラファイト、フッ素樹脂など)、帯電防止剤などの1種または2種以上を添加することができる。
また、本発明における組成物には(a)成分および(b)成分以外の重合体を、本発明の目的を損なわない範囲で混合することができる。(a)成分、(b)成分以外の重合体としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリアセタール等の熱可塑性樹脂、およびフェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂などの少なくとも1種以上をさらに添加することができる。
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、各種目的に応じて任意の添加剤を配合することができる。添加剤の種類は,熱可塑性樹脂やゴム状重合体の配合に一般的に用いられるものであれば特に制限はない。無機充填剤,酸化鉄等の顔料,ステアリン酸,ベヘニン酸,ステアリン酸亜鉛,ステアリン酸カルシウム,ステアリン酸マグネシウム,エチレンビスステアロアミド等の滑剤,離型剤,パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、パラフィン、有機ポリシロキサン,ミネラルオイル等の軟化剤・可塑剤,ヒンダードフェノール系酸化防止剤、りん系熱安定剤等の酸化防止剤,ヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤,難燃剤,帯電防止剤,有機繊維,ガラス繊維,炭素繊維,金属ウィスカ等の補強剤,着色剤、その他添加剤或いはこれらの混合物等が挙げられる。
本発明における組成物の製造方法は、特に制限されるものではなく、公知の方法が利用できる。例えば単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ブラベンダー、各種ニーダー等の溶融混練機を用いて製造することができる。なお、脂肪族ポリエステル(a)と、ゴム状重合体(b)よりなる組成物とは、(a)、(b)成分の溶融を経ない混合物も含む。本発明においては、押出機による溶融混合法が生産性の点から好ましい。無機粉末(c)を用いる場合には、(a)、(b)、(c)成分を一括して溶融混練しても良いし、例えば、(b)成分と(c)成分を予備混練してから(a)成分と溶融混練するような分割した混練方法も可能である。分割混練する場合も、(b)成分と(c)成分をまず混練し、(a)をサイドフィードするなど、連続的に混練することが生産性の観点より好ましいが、例えば(b)成分への(c)成分の分散性を高めるために両者を溶媒中での混合方法をとることも可能であり、また加熱ロール等で充分混練した後、(a)成分と押出機で混練することも可能である。また、成分(a)の一部と成分(b)とを予備混練した後、さらに成分(a)と必要に応じて成分(c)を加えて所望の組成物を得ることも可能である。
また本発明の成形体は、射出成形、シート成形、ブロー成形、インジェクションブロー成形、インフレーション成形、押し出し成形、発泡成形等、公知の方法で成形することが可能であり、圧空成形、真空成形等の二次加工成形法も用いることができる。
本発明においては、脂肪族ポリエステル(a)と、ゴム状重合体(b)よりなる組成物の成形体における脂肪族ポリエステル(a)の結晶融解カーブにおいてピーク温度T1以上の温度における融解エンタルピーΔH1と全体の融解エンタルピーΔHの関係が、以下の式を満たさなければならない。
ΔH1/ΔH<0.40
ΔH1/ΔHの値は耐衝撃性、耐熱性の点から0.40未満であり、好ましい範囲はΔH1/ΔH≦0.38であり、さらに好ましくはΔH1/ΔH≦0.36であり、とりわけ好ましくは0.33以下である。
また、ΔHは以下の式を満たす事が好ましい。
ΔH>20J/g
ΔHの値は耐衝撃性、耐熱性の点から20J/gを越えることが望ましく、好ましい範囲は、ΔH≧25J/gであり、さらに好ましい範囲はΔH≧30J/gであり、とりわけ好ましい範囲はΔH≧35J/gである。
成形体のΔH1、ΔHの値は、示差走査型熱量測定(DSC)により決定することができる。ΔH1/ΔHおよびΔHの値を満たした本発明の成形体を得る方法としては、例えば射出成形においては、本発明における樹脂組成物を成分(a)の融点以上の温度に設定されたシリンダー内に供給、溶融後、成分(a)のガラス転移温度以上、融点未満の温度に設定された金型内で保持して加熱処理する方法が挙げられる。また金型から取り出した成形体を、成分(a)のガラス転移温度以上、融点未満の温度の雰囲気下に所定時間保持することにより、本発明の成形体を得ることができる。
加熱処理させる温度は、融点以下ガラス転移点以上の温度、60〜160℃、好ましくは70〜130℃、より好ましくは80〜120℃である。
その他の成形方法においても、同様に熱処理温度、熱処理時間を材料に応じて最適化することにより、本発明の成形体を得ることができる。
次に実施例によって本発明を説明する。
本願発明および実施例で用いた評価法をまず説明する。
A 樹脂組成物成形品の特性評価。
(1)シャルピー衝撃強さ(ノッチ付):ISO179規格に従い、80mmx10mmx4mmの試験片を用いて測定した。
(2)荷重たわみ温度(HDT):ISO75−2規格に従い、80mmx10mmx4mm試験片で、試験片に加える曲げ応力が0.45MPaの条件で測定した。
ポリ乳酸系樹脂の特性は以下に従って評価した。
(3)分子量
GPC[東ソー製HLC−8120GPC、検出RI,カラムはTSK gel GMHHR−M]を用い、溶媒はテトラヒドロフラン、測定温度40℃で、市販標準ポリスチレン換算で重量平均分子量を求めた。
(4)光学純度、L体/D体構成比
光学異性体分離カラム装着のHPLC[島津製作所製LC−10A−VP 紫外線(254nm)検出]を用いて、1N−NaOH水溶液で加水分解し、HClで中和した水溶液を試料にして、L体とD体の比を求めた。
(5)ΔH、ΔH1、融点およびガラス転移温度
パ−キンエルマ−社製示差走査型熱量分析計(DSC)Pyris 1を用い、成型物から切り出したサンプル約10mgを、窒素雰囲気下、30℃から200℃の範囲で、20℃/分の温度走査で昇温した際の、(a)成分の結晶融解に由来するピ−クから求めた融解エンタルピ−を、組成に応じて(a)成分100%に換算して求めた。なお、融解ピ−クの前に、結晶化ピ−クが現れる場合には、ΔHは融解のエンタルピ−から結晶化のエンタルピ−を差し引いた値を結晶融解エンタルピ−とした。ΔH1/ΔHの値は結晶融解カーブにおける面積から求めた。
共役ジエン重合体として用いたブロック共重合体の特性は以下に従って評価した。
(6)スチレン含有量
紫外線分光光度計(日立UV200)を用いて、262nmの吸収強度より算出した。
(7)1,2結合量は核磁器共鳴装置(BRUCKER社製DPX−400)を用いて測定した。
(8)重量平均分子量
GPC〔島津製作所製LC10、カラムは島津製作所製ShimpacGPC805+GPC804+GPC804+GPC803〕で測定し、溶媒にはテトラヒドロフランを用い、測定条件は、温度35℃で行った。重量平均分子量は、クロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めた。尚、クロマトグラム中にピークが複数有る場合の分子量は、各ピークの分子量と各ピークの組成比(クロマトグラムのそれぞれのピークの面積比より求める)から求めた平均分子量をいう。
B 用いた原材料など
(1)ポリ乳酸
以下の実施例に使用した(a)成分の脂肪族ポリエステルであるポリ乳酸系樹脂は、公知の例えば辻秀人著「Polylactide」in Biopolymers Vol.4 (Wiley−VCH 2002年刊)PP129−178や、特表H05−504731号公報に従って錫系触媒を用いたラクチドの開環重合法により(A−1)のポリ乳酸を準備した。
(A−1)の重量平均分子量、D体含有率、ガラス転移温度、融点はそれぞれ、18万、1.5%、57℃、165℃であった。更に以下の実施例に用いた共役ジエン系重合体の製造例を記す。
(2)ゴム状重合体
(製造例1)(b)成分 ゴム状重合体(共役ジエン系重合体);B−1
攪拌機及びジャケット付きのオートクレーブを洗浄,乾燥,窒素置換し,予め精製したブタジエン85重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度15重量%)を投入し、次いでテトラヒドロフランを使用するn−ブチルリチウム1モルに対して1.5モル添加した後反応器内温を50℃に保持した。重合開始剤としてn−ブチルリチウムを全使用モノマー100重量部に対して0.1重量部添加した。反応開始後、重合による発熱で反応器内温は徐々に上昇した。反応終了後、予め精製したスチレン15重量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度15重量%)を投入して重合を継続し、最終的な反応器内温は約70℃に達した。
次に、上記で得られたリビングポリマーに、変性剤として1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン(以後、変性剤M1と呼ぶ)を重合に使用したn−ブチルリチウムに対して当モル添加して反応を完結させた。その後メタノールを添加し、次に安定剤としてオクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートを重合体100重量部に対して0.3重量部添加した。
得られた変性ブロック共重合体(B−1)は、スチレン含有量が15重量%、ブロックスチレン量が14重量%、1,2ビニル結合量が14%、重量平均分子量が12.9万であった。
(3)結晶核剤
実施例に用いた(c)成分結晶核剤を以下に示す。
C−1;日本タルク社製 微粉タルク P−3
(4)射出成形機
日本製鋼所(株)製、J100SS2A
[実施例1および比較例1]
表1に示した組成物を30mmの2軸押出機を用いて180℃で溶融混練した。得られたペレットを射出成型機を用いて、190℃、金型温度30℃、冷却時間25秒で試験片に成型した。得られた試験片を120℃の温風乾燥機で30分加熱した後に評価した。結果を表1に示す。また、実施例1で得られた成形体のDSC測定結果を図1に示した。
[比較例2]
表1に示した組成物を30mmの2軸押出機を用いて180℃で溶融混練した。得られたペレットを射出成型機を用いて、190℃、金型温度30℃、冷却時間25秒で試験片に成型した。得られた試験片を評価した。結果を表1に示す。加熱処理されていない比較例2は、ΔH1/ΔHが0.4を越え物性値が劣ることが明らかである。
[実施例2]
表1に示す組成で実施例1と同様に溶融混練したが、射出成型は金型温度を110℃に設定し、金型内に900秒保持した後、試験片を取り出した。試験片の評価結果を表1に示す。
[比較例3]
表1に示す組成で実施例1と同様に溶融混練したが、射出成型は金型温度を110℃に設定し、金型内に120秒保持した後、試験片を取り出した。試験片の評価結果を表1に示す。また、比較例3で得られた成形体のDSC測定結果を図2に示した。加熱処理されていない比較例3は、ΔH1/ΔHが0.4を越え物性値が劣ることが明らかである。
Figure 2005226057
本発明の成形体は、生分解性でかつ優れた耐衝撃性及び耐熱性を兼ね備えた成形体である。本成形体は、各種方法により各種形状に成形することができ、フィルム、シート、射出成形体、ブロー成形体、押出成形体、真空圧空成形体、積層構造体、容器、発泡体、繊維、織物、不織布として、自動車分野、電気・電子分野、包装分野、農業分野、漁業分野、医療分野、その他一般雑貨等に利用できる。自動車分野では、バンパー、ラジエーターグリル、サイドモール、ガーニッシュ、ホイールカバー、エアロパーツ、インストルメントパネル、ドアトリム、シートファブリック、ドアハンドル、フロアマットなどの内外装部品に利用することができる。
家電・電子用途では、パソコンなどの電子機器、家電機器の筐体、LCDフロントカバーに有用に用いることができ、包装分野では、フィルム、シートとして、各種包装が可能で、また、医療分野では、医療用材料、生理用品などの衛生材料として利用できる。
実施例1のDSCカーブの概略図である。 比較例3のDSCカーブの概略図である。

Claims (16)

  1. 脂肪族ポリエステル(a)およびゴム状重合体(b)よりなる樹脂組成物から得られる成形体。
  2. 該樹脂組成物が、(a)成分60〜99.9重量部および(b)成分0.1〜40重量部よりなる組成であることを特徴とする請求項1に記載の成形体。
  3. 該成形体の脂肪族ポリエステル(a)に基く結晶融解挙動において、ピーク温度T1以上の温度における融解エンタルピーΔH1と全体の融解エンタルピーΔHが、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載の成形体。
    ΔH1/ΔH<0.40
  4. 該成形体が、以下の式を満たすことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の成形体。
    ΔH>20J/g
  5. (b)成分が、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基を持つ化合物で変性されている変性重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の成形体。
  6. (b)成分が、アミノ基、イミノ基、水酸基、エポキシ基、カルボキシル基および酸無水物基から選ばれる基の少なくとも1種以上の極性基を持つ化合物で、その末端が変性されている変性重合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の成形体。
  7. 極性基が、アミノ基および/又はイミノ基である請求項1〜6のいずれかに記載の成形体。
  8. (b)成分が、イミダゾリジノン骨格を有する変性剤で変性された変性重合体である請求項1〜7のいずれかに記載の成形体。
  9. (b)成分が、共役ジエンの単独重合体および/または共役ジエンとビニル芳香族化合物の共重合体が変性されている変性重合体である請求項1〜8のいずれかに記載の成形体。
  10. (b)成分が、少なくとも1個のビニル芳香族化合物を主とするブロックと少なくとも1個の共役ジエンを主とするブロックよりなる共重合体が変性されている変性重合体であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の成形体。
  11. (b)成分が、水素添加された重合体が変性されている変性重合体であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の成形体
  12. 該樹脂組成物が、更に結晶核剤(c)成分を含むことを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の成形体。
  13. 該樹脂組成物が、(a)成分と(b)成分併せて100重量部に対し、(c)成分を1〜50重量部含むことを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の成形体。
  14. (c)成分が、タルク、カオリンまたは炭酸カルシウムから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項12または13に記載の成形体。
  15. 該成形体が、射出成形されたことを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の成形体。
  16. (a)成分が、ポリ乳酸であることを特徴とする請求項1〜15のいずれかに記載の成形体。
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