JP7092273B1 - 熱可塑性組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面光沢、発色性、耐面衝撃性、剛性に優れると共に、打音の発生が抑制された成形品を提供する。【解決手段】ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を含む樹脂成分(A)97~80質量部と、打音低減材(B)3~20質量部とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、該打音低減材(B)は、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を主体とするブロック部(I)と、芳香族ビニル系化合物及びブタジエンに由来する構造単位を主体とするランダム部(II)からなる共重合体を水素添加してなる水添共重合体であって、該共重合体全体を100質量%としたとき、ブロック部(I)とランダム部(II)に含まれる芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位の含有率が55~80質量%であり、0℃以上にtanδの主分散のピークを有する水添共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、表面光沢、発色性、耐面衝撃性、剛性に優れると共に、打音の発生が抑制された成形品を提供し得る熱可塑性樹脂組成物と、この熱可塑性樹脂組成物を成形してなる成形品に関する。
ABS樹脂などのゴム強化樹脂は、その優れた機械的性質、耐熱性、成形性により自動車内装部品等の車両部品の成形材料として広範囲に使用されている。
樹脂で車両部品を成形する場合、一定以上の機械的強度を充足するだけでなく、車両室内での居住性の関係から、部品から発生する騒音を低下させ、車両の静粛性を向上させることが求められる。
従来、ゴム成分としてエチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体を用いたゴム強化樹脂で自動車内装部品を成形することで、機械的強度を一定水準に維持しつつ、部品同士が接触することにより発生する軋み音を防止することは既に行われている(特許文献1)が、「ラトル(rattle)」と呼ばれる打音のような騒音を抑制することについては未解決であった。
また、難燃性ゴム強化樹脂にエラストマー性ブロック重合体を配合して、25℃での2次共振周波数における損失係数を0.02以上とすることにより、振動を抑え制振性に優れた難燃性樹脂組成物を得ることが提案されている(特許文献2~4)が、打音のような騒音を抑制することについては何ら検討していない。
この問題を解決し、打音の発生が抑制され、好ましくは成形品の光沢が良好に維持され、さらに好ましくは軋み音の発生も抑制された成形品を提供し得る熱可塑性樹脂組成物として、打音低減材として機能する特定の熱可塑性エラストマーをゴム質部分として含有するゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)から少なくとも構成される熱可塑性樹脂組成物であって、20~12,400Hzの周波数域の損失係数(η)が特定の値以上を示す熱可塑性樹脂組成物が本出願人より提案されている(特許文献5)。
特開2013-112812号公報 特開2001-158841号公報 特開平3-45646号公報 特開平8-3249号公報 特開2020-139028号公報
しかし、特許文献5の熱可塑性樹脂組成物は、表面光沢、発色性といった成形品外観において十分に満足し得るものではなく、また、樹脂成分の配合組成によっては耐面衝撃性についても劣る場合があった。
なお、特許文献5には、打音低減材として機能する特定の熱可塑性エラストマーとして、「芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を備えたブロック(I)と、イソプレン又はイソプレン及びブタジエンに由来する構造単位を備え、0℃以上にtanδの主分散のピークを有するブロック(II)とを含むブロック共重合体又はその水素添加物が使用される。」との記載がなされているが、ブロック(I)とブロック(II)の割合についての検討はなされておらず、また、水添ブロック共重合体の具体的な記載もない。特許文献6の実施例では、打音低減材として機能する特定の熱可塑性エラストマーとして、「スチレン-イソプレン-スチレン(SIS)ブロック共重合体「ハイブラー5127」(商品名、クラレ社製、スチレン含量20%、ガラス転移温度(Tg)8℃、tanδの主分散のピーク温度25℃、3,4結合及び1,2結合含有量95%)」が用いられており、具体的に水添ブロック共重合体を用いた実施例は挙げられていない。また、スチレン含量は20%で、ブロック(I)/ブロック(II)=20/80とブロック(I)の割合がかなり少ないものである。
従って、本発明の目的は、特許文献6における打音低減効果を維持した上で、発色性や光沢等の成形品外観と、耐面衝撃性を改善し、表面光沢、発色性、耐面衝撃性、剛性に優れると共に、打音の発生が抑制された成形品を提供し得る熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、打音低減材として特定の水添共重合体を用いることによって、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を含む樹脂成分(A)97~80質量部と、打音低減材(B)3~20質量部とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
該打音低減材(B)は、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を主体とするブロック部(I)と、芳香族ビニル系化合物及びブタジエンに由来する構造単位を主体とするランダム部(II)からなる共重合体を水素添加してなる水添共重合体であって、該共重合体全体を100質量%としたとき、ブロック部(I)とランダム部(II)に含まれる芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位の含有率が55~80質量%であり、0℃以上にtanδの主分散のピークを有する水添共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
[2] 前記樹脂成分(A)が、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)と、スチレン系樹脂(A2)とを含む[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[3] 前記樹脂成分(A)100質量%中にゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)0.1~99質量%とスチレン系樹脂(A2)1~99.9質量%を含む[2]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[4] 前記樹脂成分(A)が、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)とスチレン系樹脂(A2)と芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)とを含む[1]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[5] 前記樹脂成分(A)100質量%中にゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)0.1~89質量%とスチレン系樹脂(A2)1~89.9質量%と芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)10~98.9質量%を含むことを特徴とする[4]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[6] 下記の条件(1)で測定した場合に、20~12,400Hzの周波数域の損失係数(η)の最小値が0.015以上である[1]~[5]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
<測定条件(1)>
射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形した厚さ2mmの平板を、長さ250mm、幅10mm、厚さ2mmに切削することで作成した試験片を用い、JIS K7391の規定に従う中央加振法により23℃の温度で測定。
[7] 下記の条件(2)で測定した場合に、20~20,000Hzの周波数域の音圧の最大値が70dB以下である[1]~[6]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
<測定条件(2)>
射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた、縦120mm、横60mm、厚さ3mmの短冊状本体の上端に上底20mm、下底40mm、高さ8mm、厚さ1.5mmの台形状の突起を備えた形状の一体成形品を、縦60mm、横60mm、厚さ3mmの形状となるようユニバーサルカッターを用いて切削し、切削した成形品の上辺から5mm且つ左辺から5mmの位置、及び上辺から5mm且つ右辺から5mmの位置にそれぞれ直径1mmの孔を開けた試験片の前記孔2か所にタコ糸を通して吊り下げた状態で、該試験片の一方の面の中央をステンレス製のハンマーで40±5Nの力で叩いた時の響きを、該面に対して垂直方向に10cm離して設置した音圧マイクロフォンで集音して求めた音圧の周波数スペクトルに基づいて測定する。
[8] 前記音圧の最大値を与える周波数が20~9,000Hz又は14,000~19,000Hzの範囲に存在する[7]に記載の熱可塑性樹脂組成物。
[9] ジグラー(ZIEGLER)社製スティックスリップ測定装置SSP-02を使用して測定される異音リスク値が、以下の測定条件(3)において3以下である[1]~[8]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
<測定条件(3)>
射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片と、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片とを用意し、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で荷重5N、40N、速度1mm/秒、10mm/秒の4条件にて振幅20mmで3回、前者の試験片の板面と後者の試験片の板面とを擦り合わせて測定。
[10] 該熱可塑性樹脂組成物100質量部にカーボンブラック0.8質量部を混合して得られた黒色熱可塑性樹脂組成物を射出成形機を用いて成形した長さ100mm、幅100mm、厚さ3mmの板状の試験片について、下記の条件(4)で測定した明度L*が18以下であり、下記の条件(5)で測定した光沢が90%以上である[1]~[9]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
<測定条件(4)>
分光測色計(コニカミノルタオプティプス社製「CM-3500d」)を用いて、SCE方式にて明度L*を測定。
<測定条件(5)>
スガ試験機株式会社製「デジタル変角光沢計UGV-5D」を用い、JIS K7105に準拠して、入射角60°、反射角60°における試験片の表面の反射率(%)を測定。
[11] ゴム含量が5~60質量%である[1]~[10]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物。
[12] [1]~[11]のいずれかに記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
本発明によれば、表面光沢、発色性、耐面衝撃性、剛性に優れると共に、打音の発生が抑制された成形品を提供することができる。
実施例において音圧の測定に使用した試験片を示す斜視図である。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明において、「(共)重合」とは、単独重合及び/又は共重合を意味し、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。
また、JIS K 7121-1987に準じて測定した融点(本明細書において、「Tm」と表記することもある)は、DSC(示差走査熱量計)を用い、1分間に20℃の一定昇温速度で吸熱変化を測定し、得られた吸熱パターンのピーク温度を読みとった値である。
〔熱可塑性樹脂組成物〕
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を含む樹脂成分(A)97~80質量部と、打音低減材(B)3~20質量部とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、該打音低減材(B)は、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を主体とするブロック部(I)と、芳香族ビニル系化合物及びブタジエンに由来する構造単位を主体とするランダム部(II)からなる共重合体を水素添加してなる水添共重合体であって、該共重合体全体を100質量%としたとき、ブロック部(I)とランダム部(II)に含まれる芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位の含有率が55~80質量%であり、0℃以上にtanδの主分散のピークを有する水添共重合体(以下、単に「水添共重合体」と称す場合がある。)であることを特徴とする。
[メカニズム]
本発明において、打音低減材(B)として用いる水添共重合体は、水素添加されているために熱安定性が良好であり、成形時の溶融加熱条件下に架橋反応を起こし難い。このため得られる成形品は表面光沢に優れたものとなる。これに対して、特許文献6で打音低減材として用いている熱可塑性エラストマーは、水添されていないために成形時に熱可塑性エラストマーが架橋反応を起こし、架橋部/非架橋部の間で成形収縮率が異なるドメインが生じ、成形品の面内で不均一な成形収縮が生じる結果、得られる成形品は光沢に劣るものとなる。
また、本発明で用いる水添共重合体は、芳香族ビニル系化合物由来の構造単位の含有率が55~80質量%と、スチレン成分が多く、打音低減材(B)を配合する樹脂成分(A)のゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)等との相溶性に優れ、水添共重合体がマトリックス樹脂中に微分散したモルフォロジーを形成することができる結果、得られる成形品は高発色かつ高耐面衝撃性となる。
これに対して、特許文献5で用いている熱可塑性エラストマーはスチレン含量20%とスチレン成分が少ないため、マトリックス樹脂への分散性が劣り、発色性、耐面衝撃性も劣るものとなる。
なお、水添共重合体のtanδの主分散のピーク温度は、室温環境下で打音低減効果を得るために、0℃以上であることが必要とされる。
[打音低減材(B)]
本発明で打音低減材(B)として用いる水添共重合体は、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を主体とするブロック部(I)と、芳香族ビニル系化合物及びブタジエンに由来する構造単位を主体とするランダム部(II)からなる共重合体を水素添加してなる水添共重合体であって、該共重合体全体を100質量%としたとき、ブロック部(I)とランダム部(II)に含まれる芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位の含有率が55~80質量%であり、0℃以上にtanδの主分散のピークを有する水添共重合体である。
この水添共重合体は、シランカップリング剤等のカップリング剤で表面処理して用いてもよい。
ブロック(I)を構成する芳香族ビニル系化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、o-メチルスチレン、p-メチルスチレン、β-メチルスチレン、エチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン等が挙げられる。これらの化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらのうち、スチレン及びα-メチルスチレンが好ましい。
ブロック(I)は芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を主体として50質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは80~100質量%である。
ブロック(I)が芳香族ビニル系化合物以外の他の化合物に由来する構造単位を含む場合、他の化合物としては、以下のランダム部(II)を構成するイソプレンやブタジエン、その他アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等が挙げられる。
ランダム部(II)は、芳香族ビニル系化合物及びブタジエンに由来する構造単位を主体とするものである。
ランダム部(II)は、芳香族ビニル系化合物及びブタジエンに由来する構造単位を主体として50質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは80~100質量%である。
ランダム部(II)は、芳香族ビニル系化合物及びブタジエン以外の他の化合物に由来する構造単位を含む場合、他の化合物としては、上述のブロック(I)を構成する芳香族ビニル系化合物、その他アクリロニトリル等のシアン化ビニル化合物等が挙げられる。
水添共重合体のtanδの主分散のピークは、0℃以上であることが必要であるが、好ましくは5℃以上であり、より好ましくは10℃以上である。tanδの主分散のピークは、粘弾性測定装置〔東洋ボールドウイン(株)製、DDV III EP〕を用い、周波数11Hz、測定温度-110℃~+100℃、昇温速度2℃/minで測定して求めることができる。
水添共重合体の全体の重量平均分子量は好ましくは30,000~400,000であり、より好ましくは40,000~370,000であり、さらにより好ましくは50,000~300,000であり、二峰性の分子量分布を有するものであってもよい。
ここで、数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した値である。
本発明で用いる水添共重合体は、ブロック部(I)とランダム部(II)に含まれる芳香族ビニル系化合物由来の構造単位の含有率が、共重合体全体を100質量%としたとき55~80質量%であることを特徴とする。
ブロック部(I)とランダム部(II)に含まれる芳香族ビニル系化合物由来の構造単位の含有率は、共重合体全体を100質量%としたとき好ましくは58~80質量%であり、より好ましくは60~80質量%である。この範囲においては表面外観(発色性、光沢)及び耐面衝撃性が更に良好である。
本発明で打音低減材(B)として用いる水添共重合体は、上記のようなブロック部(I)とランダム部(II)からなる共重合体の水素添加物であるが、該水添共重合体の水添率は好ましくは50%以上であり、より好ましくは80~100%である。
[樹脂成分(A)]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、樹脂成分(A)として少なくともゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を含むものであり、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)と共に、さらにスチレン系樹脂(A2)或いはスチレン系樹脂(A2)と芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)とを含むことが好ましい。なお、本発明に係る樹脂成分(A)には、上述の打音低減材(B)の水添共重合体は含まれない。
<ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)>
ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)は、ゴム質重合体(g)の存在下に、芳香族ビニル化合物或いは芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体(a1)を重合してなるものである。
ゴム質重合体(g)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体等の共役ジエン系ゴム、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、エチレン・ブテン-1共重合体、エチレン・ブテン-1・非共役ジエン共重合体等のオレフィン系ゴム;アクリル系ゴム;シリコーンゴム;ポリウレタン系ゴム;シリコーン・アクリル系IPNゴム;天然ゴム;共役ジエン系ブロック共重合体;水素添加共役ジエン系ブロック共重合体;等が挙げられる。
上記オレフィン系ゴムは特に限定されないが、例えば、エチレンと、炭素数が3以上のα-オレフィンとを含むエチレン・α-オレフィン系ゴムが挙げられる。エチレンの含有量は、上記エチレン・α-オレフィン系ゴムを構成する単量体の全量を100質量%とし
た場合、好ましくは5~95質量%、より好ましくは50~90質量%、さらに好ましくは60~88質量%である。
炭素数が3以上のα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、イソブテン、1-ペンテン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン、3-メチルブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ウンデセン等が挙げられる。これらのα-オレフィンは、1種が単独で含まれていてもよいし、2種以上の組み合わせで含まれていてもよい。上記α-オレフィンのうち、プロピレン、1-ブテンが好ましい。
上記α-オレフィンの含有量は、エチレン・α-オレフィン系ゴムを構成する単量体の全量を100質量%とした場合、好ましくは95~5質量%、より好ましくは50~10質量%、特に好ましくは40~12質量%である。
エチレン・α-オレフィン系ゴムは、エチレン及びα-オレフィンから構成される二元共重合体であってもよいし、これらと、さらに他の化合物とから構成される重合体(三元共重合体、四元共重合体等)であってもよい。他の化合物としては、非共役ジエン化合物が挙げられる。
オレフィン系ゴムに使用される非共役ジエン化合物としては、アルケニルノルボルネン類、環状ジエン類、脂肪族ジエン類などが挙げられ、好ましくは、ジシクロペンタジエン及び5-エチリデン-2-ノルボルネンである。これらの非共役ジエン化合物は単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。エチレン・α-オレフィン系ゴム中の非共役ジエン化合物単位の含有量は、通常30質量%未満、好ましくは15質量%未満である。
上記アクリル系ゴムは特に限定されないが、アルキル基の炭素数が1~8個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物の(共)重合体、あるいはこの(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物と、これと共重合可能なビニル系単量体との共重合体が好ましい。
ここで使用されるアルキル基の炭素数が1~8個のアクリル酸アルキルエステル化合物の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート、i-ブチルアクリレート、アミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等が挙げられる。メタクリル酸アルキルエステル化合物の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、i-ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。これらの化合物のうち、n-ブチルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレートが好ましい。また、これらは、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、上記(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物と共重合可能なビニル系単量体としては、例えば、多官能性ビニル化合物、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物等が挙げられる。
多官能性ビニル化合物とは、単量体1分子中に2個以上のビニル基を有する単量体をいい、(メタ)アクリル系ゴムを架橋する機能及びグラフト重合時の反応起点の役割を果たすものである。多官能性ビニル単量体の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン等の多官能性芳香族ビニル化合物;(ポリ)エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸エステル;ジアリルマレート、ジアリルフマレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ジアリルフタレート、メタクリル酸アリル等が挙げられる。これらの多官能性ビニル化合物は、1種を単独で又は2種以上を組
み合わせて使用することができる。
芳香族ビニル化合物及びシアン化ビニル化合物としては、後述するものが全て使用できる。さらに、他の共重合可能な単量体として、アクリルアミド、メタクリルアミド、塩化ビニリデン、アルキル基の炭素数が1~6のアルキルビニルエーテル、アルキル基の炭素数が9個以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用される。
上記アクリル系ゴムの好ましい単量体組成は、アルキル基の炭素数が1~8個の(メタ)アクリル酸アルキルエステル化合物単位80~99.99質量%、より好ましくは90~99.95質量%、多官能性ビニル化合物単位0.01~5質量%、より好ましくは0.05~2.5質量%、及びこれと共重合可能な他のビニル単量体単位0~20質量%、より好ましくは0~10質量%である。ただし、単量体組成は、合計100質量%とする。
アクリル系ゴムの体積平均粒子径は、50~1000nmであることが好ましく、さらに好ましくは40~700nm、特に好ましくは50~500nmである。
共役ジエン系ブロック共重合体としては、具体的には少なくとも1個の下記ブロックA又は下記ブロックCと、少なくとも1個の下記ブロックB又は下記ブロックA/Bとを含んでなる共重合体、又はブロックBもしくはA/Bによる重合体である。これらは、公知のアニオン重合法、例えば、特公昭47-28915号公報、特公昭47-3252号公報、特公昭48-2423号公報、特公昭48-20038号公報などに開示されている方法で製造することができる。
共役ジエン系ブロック共重合体の具体的構造は、
A;芳香族ビニル化合物重合体ブロック、
B;共役ジエン重合体ブロック、
A/B;芳香族ビニル化合物/共役ジエンのランダム共重合対ブロック、
C;共役ジエンと芳香族ビニル化合物の共重合体からなり、かつ芳香族ビニル化合物が漸増するテーパーブロック、
とそれぞれ定義すると、次のような構造のものが挙げられる。
A-B (1)
A-B-A (2)
A-B-C (3)
A-B1-B2 (4)
(ここで、B1は共役ジエン重合体ブロック又は共役ジエンと芳香族ビニル化合物との
共重合体ブロックであり、共役ジエン部分のビニル結合量は好ましくは20%以上、B2は共役ジエン重合体ブロック又は共役ジエンと芳香族ビニル化合物の共重合体ブロックであり、共役ジエン部分のビニル結合含有量は好ましくは20%未満である。)
A-A/B (5)
A-A/B-C (6)
A-A/B-B (7)
A-A/B-A (8)
B2-B1-B2 (9)
(ここで、B1、B2は上記と同じ。)
C-B (10)
C-B-C (11)
C-A/B-C (12)
C-A-B (13)
また、これらの基本骨格を繰り返し有する共重合体を挙げることができ、さらにそれをカップリングして得られる共役ジエン系ブロック共重合体であってもよい。上記式(4)の構造のものについては、特開平2-133406号公報、上記式(5)及び上記式(6)の構造のものについては、特開平2-305814号公報、特開平3-72512号公報に示されている。
ここで使用される共役ジエンとしては、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、4,5-ジエチル-1,3-オクタジエン、3-ブチル-1,3-オクタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、また物性の優れた共役ジエン系ブロック共重合体を得るには、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエンが好ましく、より好ましくは1,3-ブタジエンである。
また、ここで使用される芳香族ビニル化合物としては、スチレン、t-ブチルスチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルキシレン、モノクロルスチレン、ジクロルスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、p-t-ブチルスチレン、エチルスチレン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられ、スチレン、α-メチルスチレンが好ましく、特に好ましくはスチレンである。
共役ジエンブロック系共重合体中の芳香族ビニル化合物/共役ジエンの割合は、質量比で0~70/100~30、好ましくは0~60/100~40、さらに好ましくは0~50/100~50であり、芳香族ビニル化合物を必須とする場合、好ましくは10~70/90~30である。ここで、芳香族ビニル化合物の含有量が70質量%を超えると樹脂状となり、ゴム成分としての効果が劣り好ましくない。
さらに、共役ジエンブロック中の共役ジエン部分のビニル結合量は、通常5~80%の範囲である。
共役ジエン系ブロック共重合体の数平均分子量は、通常10,000~1,000,000、好ましくは20,000~500,000、さらに好ましくは20,000~200,000である。これらのうち、上記構造式のA部の数平均分子量は3,000~150,000、B部の数平均分子量は5,000~200,000の範囲であることが好ましい。
ここで、数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定された値である。
共役ジエン化合物のビニル結合量の調節は、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジアゾシクロ(2,2,2)オクタ
アミン等のアミン類、テトラヒドロフラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のエーテル類、チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸塩、カリウムやナトリウムのアルコキシド等を使用して行うことができる。
本発明で使用されるカップリング剤としては、アジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩化珪素、ブチルトリクロロ珪素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロ珪素、テトラクロロゲルマニウム、1,2-ジブロモエタン、1,4-クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4-ベンゼントリイソシアネート等が挙げられる。
水素添加共役ジエン系ブロック共重合体は、上記共役ジエン系ブロック共重合体の共役ジエン部分の炭素-炭素二重結合の少なくとも30%以上、好ましくは50%以上が水素添加された部分水素添加物又は完全水素添加物であり、さらに好ましくは90%以上が水素添加された水素添加物である。
共役ジエン系ブロック共重合体の水素添加反応は、公知の方法で行うことができる。また、公知の方法で水素添加率を調節することにより、目的の水素添加共役ジエン系ブロック共重合体を得ることができる。具体的な方法としては、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公昭63-5401号公報、特開平2-133406号公報、特開平1-297413号公報等に開示されている方法がある。
本発明で使用されるゴム質重合体(g)は、ゲル含有率が70質量%以下であることが、発泡成形用熱可塑性樹脂組成物の発泡性の観点から好ましく、ゲル含有率はより好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
ここで、ゲル含有率は、以下に示す方法により求めることができる。
ゴム質重合体(g)1gをトルエン100mlに投入し、室温で48時間静置する。その後、100メッシュの金網(質量をW1グラムとする)で濾過したトルエン不溶分と金網を、温度80℃で6時間真空乾燥して秤量(質量W2グラムとする)する。W1及びW2を、下記式(14)に代入して、ゲル含有率を得る。なお、エチレン・プロピレン系ゴム質重合体においては、エチレン結晶を有するものがあり、このようなゴム質重合体を用いる場合は、80℃の温度で溶解しゲル含有率を求める。
ゲル含有率=〔〔W2(g)-W1(g)〕/1(g)〕×100 (14)
ゲル含有率は、ゴム質重合体(g)の製造時に、架橋性単量体の種類及びその使用量、分子量調節剤の種類及びその使用量、重合時間、重合温度、重合転化率等を適宜設定することにより調整できる。
本発明で使用されるゴム質重合体(g)として好ましいものは、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリル系ゴム、シリコーンゴム、共役ジエン系ブロック共重合体、水素添加共役ジエン系ブロック共重合体であり、さらに好ましくは、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、アクリル系ゴム、共役ジエン系ブロック共重合体、水素添加共役ジエン系ブロック共重合体であり、特に好ましいものは、アクリル系ゴム、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、共役ジエン系ブロック共重合体及び水素添加共役ジエン系ブロック共重合体であり、最も好ましいものは、ゲル含有率が10質量%以下で、体積平均粒子径が50~500nm、特に50~300nmのアクリル系ゴムである。
ゴム質重合体(g)は、公知の方法である乳化重合、溶液重合、塊状重合、懸濁重合等の方法で得ることができる。これらの中で、アクリル系ゴムは乳化重合により製造されたものが好ましく、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・プロピレン・非共役ジエン共重合体、共役ジエン系ブロック共重合体及び水素添加共役ジエン系ブロック共重合体は溶液重合、ポリブタジエン及びブタジエン・スチレン共重合体は溶液重合で製造されたものが好ましい。
ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)は、上記ゴム質重合体(g)の存在下に、芳香族ビニル化合物或いは芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合体可能な他のビニル単量体(a1)を重合して得られる。すなわち、ビニル単量体(a1)は、芳香族ビニル化合物単独でもよいし、芳香族ビニル化合物と、該芳香族ビニル化合物と共重合体可能な他のビニル単量体との混合物でもよい。
また、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)は、上記ゴム質重合体(g)3~80質量部の存在下に、芳香族ビニル化合物或いは芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合体可能な他のビニル単量体(a1)20~97質量部を重合して得られるものであることが好ましい(ただし、ゴム質重合体(g)とビニル単量体(a1)との合計で100質量部とする。)。この割合は、より好ましくはゴム質重合体(g)7~65質量部、ビニル単量体(a1)35~93質量部である。
ここで使用される芳香族ビニル化合物としては、上記ゴム質重合体(g)で記載したものが全て使用できる。特に好ましくはスチレン、α-メチルスチレンであり、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル化合物、マレイミド化合物、その他の各種官能基含有不飽和化合物などが挙げられる。その他の各種官能基含有不飽和化合物としては、不飽和酸化合物、エポキシ基含有不飽和化合物、水酸基含有不飽和化合物、酸無水物基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、置換又は非置換のアミノ基含有不飽和化合物などが挙げられる。これらの他のビニル単量体は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。シアン化ビニル化合物を使用することにより耐薬品性が付与される。シアン化ビニル化合物の使用量は、ビニル単量体(a1)全体量中の割合として、通常0~60質量%、好ましくは5~50質量%である。
(メタ)アクリル酸エステル化合物としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。(メタ)アクリル酸エステル化合物を使用することにより表面硬度が向上する。(メタ)アクリル酸エステル化合物の使用量は、ビニル単量体(a1)全体量中の割合として、通常0~80質量%である。
マレイミド化合物としては、マレイミド、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。また、マレイミド単位を導入するために、無水マレイン酸を共重合させた後にイミド化してもよい。マレイミド化合物を使用することにより耐熱性が付与される。マレイミド化合物の使用量は、ビニル単量体(a1)全体量中の割合として、通常1~60質量%である。
不飽和酸化合物としては、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
エポキシ基含有不飽和化合物としては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
水酸基含有不飽和化合物としては、3-ヒドロキシ-1-プロペン、4-ヒドロキシ-1-ブテン、シス-4-ヒドロキシ-2-ブテン、トランス-4-ヒドロキシ-2-ブテン、3-ヒドロキシ-3-メチル-1-プロペン、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、N-(4-ヒドロキシフェニル)マレイミド等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
オキサゾリン基含有不飽和化合物としては、ビニルオキサゾリン等が挙げられ、これらは、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸無水物基含有不飽和化合物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
置換又は非置換のアミノ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸アミノエチル、アクリル酸プロピルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸フェニルアミノエチル、N-ビニルジエチルアミン、N-アセチルビニルアミン、アクリルアミン、N-メチルアクリルアミン、アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、p-アミノスチレン等が挙げられ、これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
上記その他の各種官能基含有不飽和化合物を使用した場合、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)をスチレン系樹脂(A2)及び芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)とブレンドした際、これらの両者の相溶性が向上する場合がある。上記その他の各種官能基含有不飽和化合物の使用量は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)とスチレン系樹脂(A2)の合計中に対して、当該官能基含有不飽和化合物の合計量として、通常0.1~20質量%、好ましくは0.1~10質量%である。
ビニル単量体(a1)中の芳香族ビニル化合物以外の単量体の使用量は、ビニル単量体(a1)の合計を100質量%とした場合、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
ビニル単量体(a1)を構成する単量体のより好ましい組み合わせは、スチレン単独、スチレン/アクリロニトリル、スチレン/メタクリル酸メチル、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル、スチレン/アクリロニトリル/グリシジルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル/2-ヒドロキシエチルメタクリレート、スチレン/アクリロニトリル/(メタ)アクリル酸、スチレン/N-フェニルマレイミド、スチレン/メタクリル酸メチル/シクロヘキシルマレミド等であり、さらに好ましくは、スチレン単独、スチレン/アクリロニトリル=65/45~90/10(質量比)、スチレン/メタクリル酸メチル=80/20~20/80(質量比)、スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチルの組み合わせで、スチレン量が20~80質量%、アクリロニトリル及びメタクリル酸メチルの合計が20~80質量%の範囲で任意のものである。
ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)は、公知の重合法、例えば乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた重合法で製造することができる。上記重合法は、ゴム質重合体(g)が乳化重合で得られたものはゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)の製造においては同じく乳化重合で製造することができる。さらにゴム質重合体(g)が溶液重合で得られたものである場合は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)は塊状重合、溶液重合及び懸濁重合で製造することが一般的で好ましい。ただし、溶液重合で製造されたゴム質重合体(g)であっても、該ゴム質重合体(g)を公知の方法で乳化させれば、乳化重合でゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を製造することができる。また、乳化重合で製造したゴム質重合体(g)であっても、凝固して単離した後、塊状重合、溶液重合及び懸濁重合でゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を製造することができる。
乳化重合で製造する場合、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などが使用されるが、これらは公知のものが全て使用できる。
重合開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、p-メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、tert-ブチルハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル等が挙げられる。また、重合開始助剤として、各種還元剤、含糖ピロリン酸鉄処方、スルホキシレート処方等のレドックス系を使用することが好ましい。
連鎖移動剤としては、オクチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-ヘキシルメルカプタン、ターピノーレン類などが挙げられる。
乳化剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、ラウリル酸カリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、パルミチン酸カリウム等の高級脂肪酸塩、ロジン酸カリウム等のロジン酸塩などを使用することができる。
なお、乳化重合において、ゴム質重合体(g)及びビニル単量体(a1)の使用方法は、ゴム質重合体(g)全量の存在下にビニル単量体(a1)を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、ゴム質重合体(g)の一部を重合途中で添加してもよい。
乳化重合後、得られたラテックスは、通常、凝固剤により凝固させられる。その後、水洗、乾燥することにより、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)の粉末を得る。この際、乳化重合で得た2種以上のゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)のラテックスを適宜ブレンドした後、凝固してもよく、また、さらにスチレン系樹脂(A2)のラテックスを適宜ブレンドした後、凝固してもよい。凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、硫酸、酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの酸を使用することができる。また、ラテックスを噴霧乾燥することによりゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)の粉末を得ることもできる。
溶液重合によりゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を製造する場合に使用することのできる溶剤は、通常のラジカル重合で使用される不活性重合溶媒であり、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素、メチルエチルケトン、アセトン等のケトン類、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
重合温度は、通常80~140℃、好ましくは85~120℃の範囲である。重合に際し、重合開始剤を使用してもよいし、重合開始剤を使用せずに、熱重合で重合してもよい。
重合開始剤としては、ケトンパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、ハイドロパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド等の有機過酸化物などが好適に使用される。また、連鎖移動剤を使用する場合、例えば、メルカプタン類、ターピンーレン類、α-メチルスチレンダイマー等を使用することができる。
また、塊状重合、懸濁重合でゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を製造する場合、溶液重合において説明した重合開始剤、連鎖移動剤などを使用することができる。
上記各重合法によって得られるゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)中の残存する単量体量は、通常10,000ppm以下、好ましくは5,000ppm以下である。
ゴム質重合体(g)の存在下にビニル単量体(a1)を重合して得られるゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)には、ビニル単量体(a1)がゴム質重合体(g)にグラフト共重合した共重合体と、ゴム質重合体(g)にグラフトしていない未グラフト成分(ビニル単量体(a1)の(共)重合体)が含まれる。
ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)のグラフト率は、通常5~100質量%、好ましくは10~90質量%、さらに好ましくは15~85質量%、特に好ましくは20~80質量%に調整することが好ましい。グラフト率は、重合開始剤の種類、使用量、連鎖移動剤の種類、使用量、重合方法、重合時のビニル単量体(a1)とゴム質重合体(g)の接触時間、ゴム質重合体(g)種、重合温度等の各種要因で変えることができる。
なお、グラフト率は以下の式(15)により求めることができる。
グラフト率(質量%)={(T-S)/S}×100 (15)
上記式(15)中、Tはゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)1gをアセトン20mlに投入し、振とう機により2時間振とうした後、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Sはゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)1gに含まれるゴム質重合体(g)の質量(g)である。
なお、ビニル単量体(a1)として芳香族ビニル化合物のみを用いた場合は、アセトンの代わりにメチルエチルケトンを用いて測定する。
また、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)のアセトン可溶分の極限粘度〔η〕(溶媒としてメチルエチルケトンを使用し、30℃で測定)は、通常0.15~1.2dl/g、好ましくは0.2~1.0dl/g、さらに好ましくは0.2~0.8dl/gである。
ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)中に分散するグラフト化ゴム質重合体粒子の平均粒子径は、通常50~3,000nm、好ましくは40~2,5000nm、特に好ましくは50~2,000nmである。ゴム粒子径が50nm未満では耐衝撃性が劣る傾向にあり、3,000nmを超えると成形品表面外観が劣る傾向にある。
また、使用するゴム質重合体(g)とビニル単量体(a1)の共重合体の屈折率を実質的に合わせること及び/又は分散するゴム質重合体(g)の粒子径を実質的に可視光の波長以下(通常1,500nm以下)にすることで透明性を有するゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を得ることができるが、これらの透明性樹脂も本発明のゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)として用いることができる。
ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)は、1種を単独で用いてもよく、共重合組成や物性等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
[スチレン系樹脂(A2)]
スチレン系樹脂(A2)としては、芳香族ビニル化合物、或いは芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体(a2)とを重合してなる(共)重合体である。すなわち、ビニル単量体(a2)は、芳香族ビニル化合物単独でもよいし、芳香族ビニル化合物及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体との混合物でもよい。ここで使用される芳香族ビニル化合物、及び芳香族ビニル化合物と共重合可能な他のビニル単量体としては、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)におけるビニル単量体(a1)として記載したものが全て使用できる。また、ビニル単量体(a2)は、上記ビニル単量体(a1)と同一であってもよいし、異なっていてもよい。
ビニル単量体(a2)中の芳香族ビニル化合物以外の単量体の含有率は、ビニル単量体(a2)の合計を100質量%とした場合、通常80質量%以下、好ましくは60質量%以下、さらに好ましくは50質量%以下である。
好ましいスチレン系樹脂(A2)としては、スチレンの単独重合体、スチレン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・アクリロニトリル・メタクリル酸メチル共重合体、スチレン・マレイミド化合物共重合体及びこれらと前述の官能基含有不飽和化合物との共重合体が挙げられる。
スチレン系樹脂(A2)は、上記したゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)の製造法で記載した公知の重合法である乳化重合、塊状重合、溶液重合、懸濁重合及びこれらを組み合わせた方法で製造することができる。
スチレン系樹脂(A2)は、1種を単独で用いてもよく、共重合組成や物性等の異なるものの2種以上を混合して用いてもよい。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)]
芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)は、ジヒドロキシアリール化合物とホスゲンとの界面重縮合法、ジヒドロキシアリール化合物とジフェニルカーボネート等のカーボネート化合物とのエステル交換反応(溶融重縮合)によって得られるもの等、公知の重合法によって得られるものが全て使用できる。
上記ジヒドロキシアリール化合物としては、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-t-ブチルフェニル)プロパン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4,4’-ジヒドロキシフェニルエーテル、4、4’-ジヒドロキシフェニルスルフィド、4,4’-ジヒドロキシフェニルスルホン、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン、ヒドロキノン、レゾルシン等が挙げられる。さらに、ヒドロキシアリールオキシ末端化されたポリオルガノシロキサン(例えば、米国特許第3,419,634号明細書参照)等がある。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの中では、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニルプロパン(ビスフェノールA)が好ましい。
芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)の粘度平均分子量は、好ましくは12,000~40,000、さらに好ましくは15,000~35,000、特に好ましくは18,000~30,000である。分子量が高い方が得られる成形品の機械的強度が高くなるが、流動性の低下で成形品の外観が低下する傾向となる。芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)として分子量の異なる2種以上の芳香族ポリカーボネート系樹脂を用いることもできる。
ここで、芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)の粘度平均分子量は、通常、塩化メチレンを溶媒として、20℃、濃度〔0.7g/100ml(塩化メチレン)〕で測定した比粘度(ηsp)を以下の式に挿入して算出できる。
粘度平均分子量=(〔η〕×8130)1.205
ここで、〔η〕=〔(ηsp×1.12+1)1/2-1〕/0.56Cである。なお、Cは濃度を示す。
[ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)、及びスチレン系樹脂(A2)の含有量]
本発明に係る樹脂成分(A)が、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)及びスチレン系樹脂(A2)を含有する場合、樹脂成分(A)100質量%中のゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)とスチレン系樹脂(A2)の含有量は、それぞれ0.1~99質量%、1~99.9質量%であることが好ましい。
上記範囲であれば耐熱性、流動性が良好である。
ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)とスチレン系樹脂(A2)の含有割合は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)1~80質量%、スチレン系樹脂(A2)20~99質量%であることがより好ましく、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)5~60質量%、スチレン系樹脂(A2)40~95質量%であることがさらに好ましい。
[ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)、スチレン系樹脂(A2)及び芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)の含有量]
本発明に係る樹脂成分(A)が、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)、スチレン系樹脂(A2)及び芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)を含有する場合樹脂成分(A)100質量%中のゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)、スチレン系樹脂(A2)及び芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)の含有量は、それぞれ0.1~89質量%、1~89.9質量%、10~98.9質量%であることが好ましい。
上記範囲であれば耐熱性、流動性が更に良好である。
ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)、スチレン系樹脂(A2)及び芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)の含有割合は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)1~60質量%、スチレン系樹脂(A2)5~64質量%、芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)35~94質量%であることがより好ましく、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)5~50質量%、スチレン系樹脂(A2)10~55質量%、芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)40~85質量%であることがさらに好ましい。
[その他の樹脂]
本発明に係る樹脂成分(A)は、本発明の目的を損なわない範囲でゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)、スチレン系樹脂(A2)及び芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)以外のその他の樹脂を含有するものであってもよい。
その他の樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアセタール系樹脂、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアリーレンスルフィド系樹脂等が挙げられ、これらの熱可塑性樹脂は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物がこれらのその他の樹脂を含有する場合、その含有量は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)、スチレン系樹脂(A2)、芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)及びその他の樹脂を含む樹脂成分(A)100質量%中に50質量%以下、特に30質量%以下とすることが好ましい。
[その他の成分]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、前記樹脂成分(A)及び打音低減材(B)以外のその他の成分を、本発明の目的を損なわない範囲で含有していてもよい。
<摺動性付与剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、摺動性付与剤を含んでもよい。摺動性付与剤は、熱可塑性樹脂組成物に摺動性を付与して、本発明の熱可塑性樹脂組成物から得られた成形品からなる物品の組み立てを容易にするだけでなく、使用時にかかる成形品からなる物品から軋み音等の異音が発生するのを抑制する効果を付与することができる。
摺動性付与剤の代表例としては、特開2011-137066号公報に記載されるような低分子量酸化ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレンや、低分子量(例えば、数平均分子量10,000以下)ポリオレフィンワックス、シリコーンオイルなどが挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、融点が0~120℃に存在するポリエチレンワックス等が好ましい。また、このような融点を有するポリオレフィンワックスや、融点が0~120℃に存在するその他の添加剤を本発明の熱可塑性樹脂組成物に添加した場合、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)のゴム質部分が融点(Tm)を備えていなくても、軋み音等の異音の発生抑制効果を得ることができる。これらの摺動性付与剤は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物に摺動性付与剤を配合する場合、その配合量は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)100質量部に対して、0.1~10質量部とすることが好ましい。
<熱老化防止剤>
軋み音の発生が抑制され、表面の光沢の高い成形品を得るために、本発明の熱可塑性樹脂組成物には、熱老化防止剤を添加することができる。熱老化防止剤としては、ゴム等に配合されている熱老化防止剤であれば特に限定されないが、フェノール系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤が好ましい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、下記一般式(I)で表されるようにオルト位にt-ブチル基を有するフェノール基を備えたフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
Figure 0007092273000002
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表し、t-Buはt-ブチル基を表す。)
上記一般式(I)において、置換基R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、t-ブチル基又はメチル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましく、とりわけ、Rが水素原子である場合が特に好ましい。具体的には、本発明で使用するフェノール系酸化防止剤は、上記一般式(I)で示される基を1又は複数備える化合物であることが好ましく、下記式(C1)、(C2)及び(C3)の何れか1つで表される化合物であることがさらに好ましい。
Figure 0007092273000003
リン系酸化防止剤としては、例えば、下記一般式(II)で表される化合物が挙げられる。
Figure 0007092273000004
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~8のアルキル基を表す。特に好ましくは、R及びRは、t-C基である。)
本発明の熱可塑性樹脂組成物に熱老化防止剤を配合する場合、その配合量は、本発明の熱可塑性樹脂組成物を100質量部とした場合、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.02~3質量部、さらに好ましくは0.03~2質量部、特に好ましくは0.03~1質量部であり、最も好ましい範囲としては、0.02~0.6質量部、0.02~0.2質量部、0.03~0.6質量部、又は、0.03~0.2質量部が挙げられる。熱老化防止剤の配合量が上記範囲にあると、成形品の光沢が優れ、良好な外観が得られる。
<その他の添加剤>
本発明の熱可塑性樹脂組成物に配合し得る他の添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐候剤、充填剤、帯電防止剤、難燃性付与剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、防かび剤、粘着付与剤、可塑剤、着色剤、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、顔料(例えば、赤外線吸収、反射能力等の機能性を付与した顔料も含む。)等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらのその他の添加剤の配合量は、樹脂成分(A)100質量部に対して、通常0.1~30質量部である。
[熱可塑性樹脂組成物の製造方法]
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各成分を所定の配合比で、タンブラーミキサーやヘンシェルミキサーなどで混合した後、一軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等の混練機を用いて適当な条件下で溶融混練して製造することができる。好ましい混練機は、二軸押出機である。さらに、各々の成分を混練するに際しては、それらの成分を一括して混練しても、多段、分割配合して混練してもよい。なお、バンバリーミキサー、ニーダー等で混練した後、押出機によりペレット化することもできる。溶融混練温度は、通常180~240℃、好ましくは190~230℃である。
[好適物性等]
以下に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の好適物性等を説明する。以下に記載する本発明の熱可塑性樹脂組成物の物性等は具体的には、後掲の実施例の項に記載の方法で測定される。
<損失係数(η)>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、打音の抑制の観点から、下記の条件(1)で測定した場合に、20~12,400Hzの周波数域の損失係数(η)の最小値が0.015以上であることが好ましく、この値は、より好ましくは0.018以上である。
<測定条件(1)>
射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形した厚さ2mmの平板を、長さ250mm、幅10mm、厚さ2mmに切削することで作成した試験片を用い、JIS K7391の規定に従う中央加振法により23℃の温度で測定。
<音圧の最大値>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、打音の抑制の観点から、下記の条件(2)で測定した場合に、20~20,000Hzの周波数域の音圧の最大値が70dB以下であることが好ましい。
また、この音圧の最大値を与える周波数は20~9,000Hz又は14,000~19,000Hzの範囲に存在することが好ましい。
音圧の最大値が上記範囲内の低い周波数側にシフトするほど、打音の強度が抑制されると考えられる。
<測定条件(2)>
射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた、縦120mm、横60mm、厚さ3mmの短冊状本体の上端に上底20mm、下底40mm、高さ8mm、厚さ1.5mmの台形状の突起を備えた形状の一体成形品を、縦60mm、横60mm、厚さ3mmの形状となるようユニバーサルカッターを用いて切削し、切削した成形品の上辺から5mm且つ左辺から5mmの位置、及び上辺から5mm且つ右辺から5mmの位置にそれぞれ直径1mmの孔を開けた試験片の前記孔2か所にタコ糸を通して吊り下げた状態で、該試験片の一方の面の中央をステンレス製のハンマーで40±5Nの力で叩いた時の響きを、該面に対して垂直方向に10cm離して設置した音圧マイクロフォンで集音して求めた音圧の周波数スペクトルに基づいて測定する。
<異音リスク値>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、ジグラー(ZIEGLER)社製スティックスリップ測定装置SSP-02を使用して測定される異音リスク値が、以下の測定条件(3)において3以下であることが好ましい。
<測定条件(3)>
射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片と、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片とを用意し、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で荷重5N、40N、速度1mm/秒、10mm/秒の4条件にて振幅20mmで3回、前者の試験片の板面と後者の試験片の板面とを擦り合わせて測定。
異音リスク値は、ドイツ自動車工業会(VDA)規格準拠の仕様にて、同一の材質で接触部材を作製した時のスティックスリップ異音発生リスクを10段階の指数で示したものであり、上記異音レベルが3以下なら合格とされている。
<ゴム含量・融点>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、耐衝撃性等の機械的特性、及び、打音やきしみ音等の音響特性の観点から、熱可塑性樹脂組成物全体を100質量%とした場合に、ゴム含量が5~60質量%であることが好ましい。
また、熱可塑性樹脂組成物が結晶性を有すると、又は、結晶性を有する成分を含有すると、きしみ音の発生を抑制する効果がさらに優れ、好ましい。具体的には、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、JIS K7121-1987に準じて測定した融点が0~120℃の範囲にあることが好ましく、10~90℃の範囲がより好ましく、20~80℃の範囲がさらにより好ましい。なお、上記のように、融点(Tm)は、JIS K7121-1987に準じて得られるが、0~120℃の範囲における吸熱パターンのピークの数は、一つに限定されず、二つ以上でもよい。また、0~120℃の範囲に見られるTm(融点)は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)、特にゴム質部分に由来するものであってよく、又は、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)に関連して前述の他の成分、例えば、数平均分子量が10,000以下といった低分子量のポリオレフィンワックス等の摺動性付与剤に由来するものであってもよい。
<機械的物性・耐熱性>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、高い機械的強度を保持していることが好ましく、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、曲げモジュラスが1,600MPa以上であることが好ましく、荷重たわみ温度(1.8MPa)が70℃以上であることが好ましく、ロックウェル硬さが90以上であることが好ましく、引張強度が35MPa以上であることが好ましく、曲げ強度が45MPa以上であることが好ましい。
<流動性>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、樹脂成分(A)として芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)を含有しない場合、そのMFRは10g/10min.以上であることが好ましく、芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)を含有する場合、そのMFRは14g/10min.以上であることが好ましい。
<耐面衝撃性>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、高い面衝撃性を保持していることが好ましく、本発明の熱可塑性樹脂組成物は、下記の条件(6)で評価したときの試験片の破壊形態が、延性破壊であることが好ましい。
<測定条件(6)>
射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形することにより得た縦55mm、横80mm、厚さ2.5mmの試験片を、島津製作所社製高速パンクチャー衝撃試験機「ハイドロショットHITS-P10」を用い、ポンチ直径12.7mm、サンプル受け台穴径43.0mm、打ち抜き試験速度6.7m/sec、温度23℃にて打ち抜いて測定する。
<明度L*・光沢>
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、該熱可塑性樹脂組成物100質量部にカーボンブラック0.8質量部を混合して得られた黒色熱可塑性樹脂組成物を射出成形機を用いて成形した長さ100mm、幅100mm、厚さ3mmの板状の試験片について、下記の条件(4)で測定した明度L*が発色性の観点から18以下、特に16以下であり、下記の条件(5)で測定した光沢が90%以上、特に95%以上であることが好ましい。
<測定条件(4)>
分光測色計(コニカミノルタオプティプス社製「CM-3500d」)を用いて、SCE方式にて明度L*を測定。
<測定条件(5)>
スガ試験機株式会社製「デジタル変角光沢計UGV-5D」を用い、JIS K7105に準拠して、入射角60°、反射角60°における試験片の表面の反射率(%)を測定。
〔成形品〕
本発明の成形品は、熱可塑性樹脂組成物を射出成形、ガスインジェクション成形、プレス成形、シート押出成形、真空成形、異形押出成形、発泡成形、材料押出堆積法、粉末焼結積層造形等の公知の成形法により成形することで製造することができる。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記のような優れた性質を有するので、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形してなる本発明の成形品は、車両内装品、外装品に使用することができる。例えば、シートベルトのバックル、アッパーボックス、カップホルダー、ドアトリム、ドアノブ、ドアポケット、ドアライニング、ピラーガーニッシュ、コンソール、コンソールボックス、ルームミラー、サンバイザー、センターパネル、ベンチレータ、エアコン、エアコンパネル、ヒーターコンパネル、板状羽根、バルブシャッター、ルーバー等、ダクト、メーターパネル、メーターケース、メーターバイザー、インパネアッパーガーニッシュ、インパネロアガーニッシュ、A/T インジケーター、“オンオフスイッチ類(スライド部、スライドプレート)、スイッチベゼル、グリルフロントデフロスター、グリルサイドデフロスター、リッドクラスター、カバーインストロアーなどのマスク類(マスクスイッチ、マスクラジオなど)、ポケット類(ポケットデッキ、ポケットカードなど)、ステアリングホイールホーンパッド、カップホルダー、スイッチ部品、スイッチボックス、アシストグリップ等のグリップ、ハンドル、グラブハンドルカーナビゲーション用外装部品、カメラカバー、カメラモニタリングシステム、ヘッドアップディスプレイ、リアエンターテイメントシステム、グローブボックス、グローブボックスラチェット、小物入れ、小物入れなどの蓋にあるラチェット、ルームミラー、ルームランプ、アームレスト、スピーカーグリル、ナビパネル、オーバーヘッドコンソール、クロックインジケーター、SOSスイッチ等の車両内装品、フロントグリル、ホイールキャップ、バンパー、フェンダー、スポイラー、ガーニッシュ、ドアミラー、ラジエターグリル、リアコンビネーションランプ、ヘッドランプ、ターンランプ、アウトサイドドアハンドルのグリップ等の車両外装品、事務機器、家庭用家電製品のケース、ハウジング等の外装部品、内装部品、スイッチまわりの部品、可動部の部品、デスク用ロック部品、デスク引き出し、複写機の用紙トレイ、直管型LEDランプ、電球型LEDランプ、電球型蛍光灯、シーリングライトのパネル、カバー、コネクタなどの照明器具、携帯電話、タブレット端末、炊飯器、冷蔵庫、電子レンジ、ガスコンロ、掃除機、食器洗浄機、空気清浄機、エアコン、ヒーター、TV、レコーダーなどの家電器具、プリンター、FAX、コピー機、パソコン、プロジェクター等のOA機器、オーディオ器具、オルガン、電子ピアノ等の音響機器、化粧容器のキャップ、電池セル筐体等として使用することができ、特に車両内装品として好ましく使用することができる。
本発明の成形品は、1つの部品から構成されたものであっても、2つ以上の部品から構成されたものであってもよいが、互いに接触する可能性のある2つの部品を少なくとも備え、両部品が互いに接触した時に打音を発生する危険性がある物品の部品として好適に用いることができる。本発明によれば、例えば、互いに接触する可能性のある2つの部品を少なくとも備え、前記2つの部品の少なくとも一方の部品と接触する可能性のある他方の部品の部分の少なくとも一部を本発明の熱可塑性樹脂組成物で形成した物品を提供することができる。換言すれば、本発明によれば、互いに接触する可能性のある第一の部品と第二の部品とを少なくとも備え、前記第一の部品は、前記第二の部品と接触する可能性のある部分の少なくとも一部が、本発明の熱可塑性樹脂組成物で形成されている物品を提供することができる。この場合、前記第一の部品は、その全体又は前記第二の部品と接触する部分の一部若しくは全部が、本発明の熱可塑性樹脂組成物で形成されていることが好ましい。
なお、前記第一の部品が接触する第二の部品は、本発明の熱可塑性樹脂組成物で成形された部品であってもよく、また、本発明の熱可塑性樹脂組成物以外の樹脂で成形された部品や金属のような他の材料でできた部品であってもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物以外の樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ABS樹脂等のゴム強化芳香族ビニル系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリカーボネート/ABSアロイ、ナイロン樹脂、ナイロン/ABSアロイ、PET樹脂、PET/ABSアロイ、PBT/ABSアロイ、熱可塑性エラストマー、熱硬化性エラストマー等が挙げられる。
互いに接触する可能性のある第一の部品と第二の部品とを少なくとも備えた上記物品としては、前記第一及び第二の部品が上記のように互いに接触する可能性のあるものであれば特に限定されないが、例えば、前記第一及び第二の部品が隙間をおいて隣接しているが振動、開閉操作等の外力により間欠的に接触する物品、より具体的には、両部品が互いに遊嵌すなわち緩く嵌合している物品が挙げられる。両部品の嵌合の方式は、両部品が緩く嵌合している限り特に限定されず、例えば、スナップフィット、螺合、係合であってもよい。このような物品としては、例えば、プッシュラッチやマグネットラッチを用いてプッシュオープン式に構成された開閉部(例えば、蓋、扉)を備えた物品が挙げられ、より具体的には、車両内装部品ではサングラストレーなどの開閉部品が挙げられる。
以下、実施例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。以下において、「部」及び「%」は特に断らない限り質量基準である。
〔原材料〕
以下の実施例及び比較例において、熱可塑性樹脂組成物の製造には、原材料は、以下の方法により製造した樹脂成分や、以下の市販品を用いた。
[ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)]
<ABS樹脂(A-1)の製造>
撹拌機付き重合容器に、水280部及びジエン系ゴム質重合体として、重量平均粒子径0.26μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.3部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t-ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌を続けた後、重合を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は98%であった。その後、得られたラテックスに、2,2’-メチレン-ビス(4-エチレン-6-t-ブチルフェノール)0.2部を添加し、塩化カルシウムを添加して凝固し、洗浄、濾過及び乾燥工程を経てパウダー状のABS樹脂(A1-1)を得た。得られたABS樹脂(A1-1)のグラフト率は40%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.38dl/gであった。
<AES樹脂(A1-2)の製造>
リボン型撹拌機翼、助剤連続添加装置、温度計などを装備した容積20Lのステンレス製オートクレーブに、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体として、エチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)20、融点(Tm)は40℃、ガラス転移温度(Tg)は-50℃)22部、スチレン55部、アクリロニトリル23部、t-ドデシルメルカプタン0.5部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間撹拌して均一溶液とした。その後、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温をさらに昇温して、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、撹拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながらさらに2時間反応を行って重合反応を終了した。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)-プロピオネート0.2部、ジメチルシリコーンオイル;KF-96-100cSt(商品名:信越シリコーン株式会社製)0.02部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、さらに40mmφベント付き押出機(シリンダー温度220℃、真空度760mmHg)を用いて揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたAES樹脂(A1-2)のグラフト率は70%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.47dl/gであった。
[スチレン系樹脂(A2)]
<AS樹脂(A2-1)>
AS樹脂(A2-1)として、アクリロニトリル単位及びスチレン単位の割合が、それぞれ、27%及び73%であり、極限粘度[η](メチルエチルケトン中、30℃)が0.47dl/g、ガラス転移温度(Tg)が103℃であるアクリロニトリル・スチレン共重合体を用いた。
<耐熱性AS樹脂(A2-2)の製造>
撹拌機付き重合容器に、水250部及びパルミチン酸ナトリウム1.0部を投入し、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら70℃まで加熱した。さらにナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート0.4部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み後、α-メチルスチレン70部、アクリロニトリル25部、スチレン5部、t-ドデシルメルカプタン0.5部、クメンハイドロパーオキサイド0.2部から成る単量体混合物を、重合温度70℃で連続的に7時間かけて滴下した。滴下終了後、重合温度を75℃にし、1時間撹拌を続けて重合を終了させ、共重合体のラテックスを得た。重合転化率は99%であった。その後、得られたラテックスを塩化カルシウムを添加して凝固し、洗浄、濾過及び乾燥工程を経てパウダー状の耐熱AS樹脂(A2-2)を得た。得られた耐熱AS樹脂(A2-2)のアセトン可溶分の極限粘度[η]は0.40dl/gであった。
[芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)]
<PC樹脂(A3-1)>
PC樹脂(A3-1)として、三菱エンジニアリングプラスチック社製芳香族ポリカーボネート樹脂「NOVAREX 7022J(商品名)」を用いた。
[打音低減材(B)]
打音低減材(B)としてはそれぞれ以下の市販品を用いた。
<打音低減材(B-1)>
旭化成社製スチレン・ブタジエン共重合体の水素添加物「S1605」(スチレン含量66%、ガラス転移温度(Tg)18℃、tanδの主分散のピーク温度17℃、水添率95%)
<打音低減材(B-2)>
クラレ社製スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体「VERSUS」(スチレン含量20%、ガラス転移温度(Tg)8℃、tanδの主分散のピーク温度19℃)
<打音低減材(B-3)>
旭化成社製スチレン・・ブタジエン共重合体の水素添加物「S1606」(スチレン含量50%、ガラス転移温度(Tg)9℃、水添率95%)
〔実施例1~8、比較例1~9〕
[熱可塑性樹脂組成物の製造]
表1又は表2に示す原料を同表に示す配合割合で混合した。その後、二軸押出機(型式名「TEX44、日本製鋼所」)を用いて、250℃で溶融混練してペレット化した。得られた樹脂組成物を用い、下記の測定及び評価を行った。結果を下記表1及び表2に示す。
[評価方法]
<曲げモジュラス(剛性)>
ISO178に従って測定した。
<荷重たわみ温度>
ISO75に従って、1.8MPa荷重条件で測定した。
<ロックウェル硬さ>
ISO2039に従って測定した。
<引張強度>
ISO527に従って測定した。
<曲げ強度>
ISO178に従って測定した。
<打音の音圧>
各熱可塑性樹脂組成物を用い、縦120mm、横60mm、厚さ3mmの短冊状本体の上端に上底20mm、下底40mm、高さ8mm、厚さ1.5mmの台形状の突起を備えた形状の一体成形品を、FANUC製ROBOSHOTα-150iA射出成形機によりシリンダ温度240℃、射出圧力150MPa、金型温度60℃にて射出成形した。そして、得られた成形品を縦60mm、横60mm、厚さ3mmの形状となるようユニバーサルカッターを用いて切削し、切削した成形品の上辺から5mm且つ左辺から5mmの位置、及び上辺から5mm且つ右辺から5mmの位置に、それぞれボール盤を用いて直径1mmの孔を開け、図1に示すような試験片を作製した。そして、前記試験片の孔2か所に1本のタコ糸を通し、H型スタンド、クランプ、ムッフを用いて前記試験片を吊り下げた。なお、この時クランプは実験台から28cmの高さになるよう設置した。また、試験片面の中央が実験台から18cmの高さになるように設置した。この時、試験片を吊り下げるクランプから試験片上辺までの距離は7cmとなる。また、吊り下げた試験片の面中央の位置から、試験片面に対して垂直方向に10cm離した位置に、試験片面に向けてPCBピエゾトロニクス社製の音圧マイクロフォン(商品名;378B02)をH型スタンド、クランプ、ムッフを用いて設置した。また、前記音圧マイクロフォンは実験台から18cmの高さになるよう設置した。そして、前記マイクロフォンを設置した反対側の試験片面の中央を、打撃力を測定できるPCBピエゾトロにクス社製のインパクトハンマー(商品名;086E80)を用いて40±5Nで叩いたときの響きを、前記音圧マイクロフォンで集音して、オロス社製のフーリエ変換アナライザー(商品名;マルチJOB
FFTアナライザ OR34J-4)にて音圧の周波数スペクトルに変換した。得られた周波数スペクトル中の音圧(dB)の最大値とその周波数(Hz)を測定値として用いた。なお、測定は室温23℃の部屋で行った。
<打音の減衰>
前記打音の音圧測定と同様の操作を行い、オロス社製のフーリエ変換アナライザー(商品名:マルチJOB FFTアナライザ OR34J-4)にて音圧の時間変化を測定した。音の発生から、音圧が最大音圧の1/4の音圧に静まるまでに要する時間を打音の減衰時間として用いた。打音の減衰は、0.038秒よりも短いことが好ましく、0.035秒よりも短いことがより好ましい。
<損失係数>
射出成形機を用いて成形した厚さ2mmの平板を、長さ250mm、幅10mm、厚さ2mmに切削することで作成した試験片を用い、 JIS K7391の規定に従う中央加振法により23℃の温度で測定し、20~12,400Hzの周波数域の損失係数(η)の最小値を損失係数とした。
<MFR>
ISO1133に準じて、温度240℃及び荷重98Nの条件で、メルトマスフローレートを測定した。
<軋み音評価(異音リスク値)>
各熱可塑性樹脂組成物を東芝機械製IS-170FA射出成形機によりシリンダ温度250℃、射出圧力50MPa、金型温度60℃にて射出成形し、縦150mm、横100mm、厚さ4mmの射出成形プレートを得た。このプレートから、縦60mm、横100mm、厚さ4mm及び縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片をディスクソーで切り出し、番手#100のサンドペーパーで端部を面取りした後、細かなバリをカッターナイフで除去し、大小2枚のプレートを試験片として用いた。
2枚の試験片を80℃±5℃に調整したオーブンで300時間エージングし、25℃で24時間冷却後、大きな試験片と小さな試験片をジグラー(ZIEGLER)社製スティックスリップ試験機SSP-02に固定し、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で荷重5N、40N、速度1mm/秒、10mm/秒の4条件にて振幅20mmで3回擦り合わせたときの異音リスク値を測定した。そして、異音リスク値が最も大きい条件の数値を抽出して測定値とした。異音リスク値が大きいほど軋み音の発生リスクは高くなり、異音リスク値が3以下であれば良好である。
<耐面衝撃性>
射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形することにより得た縦55mm、横80mm、厚さ2.5mmの試験片を、島津製作所社製高速パンクチャー衝撃試験機「ハイドロショットHITS-P10」を用い、ポンチ直径12.7mm、サンプル受け台穴径43.0mm、打ち抜き試験速度6.7m/sec、温度23℃にて打ち抜いて測定したときの試験片の破壊形態が、延性破壊であれば面衝撃性は良好である。
<明度L*・光沢>
各熱可塑性樹脂組成物のペレット100部とカーボンブラック0.8部とをヘンシェルミキサーを用いて混合し、この混合物を240℃に加熱した押出機に供給し、混練して黒色ペレットを得た。黒色ペレットをシリンダー温度240℃、金型温度60℃、射出率20g/秒の条件で射出成形して、長さ100mm、幅100mm、厚み3mmの板状の成形体を得た。
(明度L*)
この成形体について、分光測色計(コニカミノルタオプティプス社製「CM-3500d」)を用いて、SCE方式にて明度L*を測定した。測定されたL*を「L*(ma)」とする。L*が低いほど黒色となり、発色性が良好と判定した。
「明度L*」とは、JIS Z 8729において採用されているL*a*b*表色系における色彩値のうちの明度の値(L*)を意味する。
「SCE方式」とは、JIS Z 8722に準拠した分光測色計を用い、光トラップによって正反射光を除去して色を測る方法を意味する。
(表面光沢)
スガ試験機株式会社製の「デジタル変角光沢計UGV-5D」を用い、JIS K 7105に準拠して、入射角60°、反射角60°における成形体の表面の反射率(%)を測定した。反射率が高いほど表面外観に優れることを意味する。
Figure 0007092273000005
Figure 0007092273000006
表1,2より、本発明に係る水添共重合体を打音低減材(B)として配合した実施例1~8の熱可塑性樹脂組成物は、打音の減衰効果に優れる上に、発色性、光沢も、打音低減材(B)を含まない比較例1,5と同等で良好な外観を呈することが分かる。
また、表2より、実施例5~8の熱可塑性樹脂組成物は、耐面衝撃性においても打音低減材(B)を含まない比較例5と同等或いは、その低下度合いが少ないことが分かる。
これに対して、水添共重合体ではない打音低減材(B-2)を配合した比較例2,6,7は、L*値が大きく発色性に劣り、また、光沢も低い。耐面衝撃性についても、打音低減材(B-2)の配合量を多くした比較例7は大きく低下している。
水添共重合体であっても、tanδの主分散のピークが0℃未満の打音低減材(B-3)を用いた比較例3,4,8,9では、打音の減衰効果において、打音低減材(B)を含まない比較例1,5と同等であり、打音低減材(B)の効果は得られない。

Claims (9)

  1. ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)を含む樹脂成分(A)97~80質量部と、打音低減材(B)3~20質量部とを含む熱可塑性樹脂組成物であって、
    該樹脂成分(A)が、ゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)とスチレン系樹脂(A2)と芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)とを含み、
    該打音低減材(B)は、芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位を主体とするブロック部(I)と、芳香族ビニル系化合物及びブタジエンに由来する構造単位を主体とするランダム部(II)からなる共重合体を水素添加してなる水添共重合体であって、該共重合体全体を100質量%としたとき、ブロック部(I)とランダム部(II)に含まれる芳香族ビニル系化合物に由来する構造単位の含有率が55~80質量%であり、0℃以上にtanδの主分散のピークを有する水添共重合体であることを特徴とする熱可塑性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂成分(A)100質量%中にゴム強化スチレン系熱可塑性樹脂(A1)0.1~89質量%とスチレン系樹脂(A2)1~89.9質量%と芳香族ポリカーボネート樹脂(A3)10~98.9質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  3. 下記の条件(1)で測定した場合に、20~12,400Hzの周波数域の損失係数(η)の最小値が0.015以上である請求項1又は2に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    <測定条件(1)>
    射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形した厚さ2mmの平板を、長さ250mm、幅10mm、厚さ2mmに切削することで作成した試験片を用い、JIS K7391の規定に従う中央加振法により23℃の温度で測定。
  4. 下記の条件(2)で測定した場合に、20~20,000Hzの周波数域の音圧の最大値が70dB以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    <測定条件(2)>
    射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形して得られた、縦120mm、横60mm、厚さ3mmの短冊状本体の上端に上底20mm、下底40mm、高さ8mm、厚さ1.5mmの台形状の突起を備えた形状の一体成形品を、縦60mm、横60mm、厚さ3mmの形状となるようユニバーサルカッターを用いて切削し、切削した成形品の上辺から5mm且つ左辺から5mmの位置、及び上辺から5mm且つ右辺から5mmの位置にそれぞれ直径1mmの孔を開けた試験片の前記孔2か所にタコ糸を通して吊り下げた状態で、該試験片の一方の面の中央をステンレス製のハンマーで40±5Nの力で叩いた時の響きを、該面に対して垂直方向に10cm離して設置した音圧マイクロフォンで集音して求めた音圧の周波数スペクトルに基づいて測定する。
  5. 前記音圧の最大値を与える周波数が20~9,000Hz又は14,000~19,000Hzの範囲に存在する請求項4に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  6. ジグラー(ZIEGLER)社製スティックスリップ測定装置SSP-02を使用して測定される異音リスク値が、以下の測定条件(3)において3以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    <測定条件(3)>
    射出成形機を用いて該熱可塑性樹脂組成物を成形することにより、縦60mm、横100mm、厚さ4mmの試験片と、縦50mm、横25mm、厚さ4mmの試験片とを用意し、温度23℃、湿度50%RHの雰囲気下で荷重5N、40N、速度1mm/秒、10mm/秒の4条件にて振幅20mmで3回、前者の試験片の板面と後者の試験片の板面とを擦り合わせて測定。
  7. 該熱可塑性樹脂組成物100質量部にカーボンブラック0.8質量部を混合して得られた黒色熱可塑性樹脂組成物を射出成形機を用いて成形した長さ100mm、幅100mm、厚さ3mmの板状の試験片について、下記の条件(4)で測定した明度L*が18以下であり、下記の条件(5)で測定した光沢が90%以上である請求項1~6のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
    <測定条件(4)>
    分光測色計(コニカミノルタオプティプス社製「CM-3500d」)を用いて、SCE方式にて明度L*を測定。
    <測定条件(5)>
    スガ試験機株式会社製「デジタル変角光沢計UGV-5D」を用い、JIS K7105に準拠して、入射角60°、反射角60°における試験片の表面の反射率(%)を測定。
  8. ゴム含量が5~60質量%である請求項1~7のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物からなる成形品。
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