JP7241895B2 - 樹脂組成物の製造方法及び成形品の製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2019年9月10日に、日本に出願された特願2019-164260号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
しかし、特許文献1の組成物は、湿熱老化試験による物性(耐衝撃性、引張伸び、破壊形態等)の劣化を抑制する効果(耐湿熱老化性)が必ずしも充分ではない。
脂肪族カルボン酸である有機酸(D)の含有量が、前記樹脂組成物100質量%に対し、0.18質量%未満である樹脂組成物。
〔2〕前記有機酸(D)の含有量が、前記樹脂組成物100質量%に対し、0.16質量%未満である前記〔1〕の樹脂組成物。
〔3〕前記ポリカーボネート系樹脂(A)が、芳香族ポリカーボネート及び芳香族ポリエステルカーボネートからなる群から選ばれる少なくとも1種である前記〔1〕又は〔2〕の樹脂組成物。
〔4〕前記〔1〕~〔3〕のいずれかの樹脂組成物を含む成形品。
本明細書において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルを意味し、「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステルを意味し、「(共)重合体」は、単独重合体及び共重合体を意味する。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本発明の樹脂組成物は、ポリカーボネート系樹脂(A)と、ゴム変性グラフト重合体(B)と、ビニル系重合体(C)とを含む。
本発明の樹脂組成物は、有機酸(D)をさらに含んでいてもよい。
本発明の樹脂組成物は、必要に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂や添加剤をさらに含んでいてもよい。
ポリカーボネート系樹脂(A)は、主鎖にカーボネート結合を有する樹脂である。
ポリカーボネート系樹脂(A)としては、特に限定されず、芳香族ポリカーボネート、脂肪族ポリカーボネート、脂肪族-芳香族ポリカーボネート、芳香族ポリエステルカーボネート等が挙げられる。これらのポリカーボネート系樹脂は、末端がR-CO-基又はR’-O-CO-基(R及びR’は、いずれも有機基を示す。)に変性されたものであってもよい。これらのポリカーボネート系樹脂は、1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。
2つのベンゼン環の間に炭化水素基を有する化合物としては、ビスフェノールA、2,2-ビス(3,5-ジブロモ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル-3-メチルフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3、5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、1,1-ビス(p-ヒドロキシフェニル)エタン、2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)ブタン等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中では、ビスフェノールAが特に好ましい。
芳香族ポリエステルカーボネートとしては、ポリ-4,4’-イソプロピリデンジフェニルカーボネート等が挙げられる。
ポリカーボネート系樹脂(A)のMvは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計で温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式(η=1.23×10-4Mv0.83)から算出される。
ゴム変性グラフト重合体(B)は、ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体成分を重合(グラフト重合)して得られたものであり、ゴム質重合体とビニル系重合体とを含む。 ビニル系単量体成分は、1種以上のビニル系単量体からなる。ビニル系重合体は、ビニル系単量体成分の重合体であり、ビニル系単量体に基づく構成単位を含む。
ゴム質重合体としては、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体、ジエン系ゴム質重合体、アクリル系ゴム質重合体等が挙げられる。これらは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム質重合体としては、耐衝撃性の観点から、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体及びジエン系ゴム質重合体からなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましく、成形品同士が互いに接触したときの軋み音を低減する観点から、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体がより好ましい。
エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体とジエン系ゴム質重合体とを併用してもよい。この場合、樹脂組成物の成形品が、例えば-30℃といった非常に低温の環境下においても、衝撃破壊時に延性破壊するようになるため、樹脂組成物が、安全性が要求される成形品(自動車用部品等)の成形品の成形材料として好適なものとなる。
α-オレフィンとしては、例えば、炭素数3~20のα-オレフィンが挙げられ、具体的には、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-デセン、1-ドデセン、1-ヘキサデセン、1-エイコセン等が挙げられる。これらのα-オレフィンは、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
α-オレフィンの炭素数は、好ましくは3~20、より好ましくは3~12、さらに好ましくは3~8である。炭素数が20以下であれば、エチレンとの共重合性が良好で、樹脂組成物の成形品の表面外観がより優れる。
非共役ジエンとしては、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエン等が挙げられる。
エチレンに基づく構成単位とα-オレフィンに基づく構成単位との合計質量に対する非共役ジエンに基づく構成単位の割合は、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましく、0質量%が特に好ましい。すなわち、非共役ジエンに基づく構成単位を含まないことが特に好ましい。
エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ムーニー粘度は、JIS K 6300に規定された方法に従って測定した値である。
エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体がTmを持つことは、このゴム質重合体が結晶性部分を有することを意味している。ゴム質重合体中に結晶性部分が存在すると、スティックスリップ現象の発生が抑制される為、軋み音の発生が抑制されるものと考えられる。
Tmは、示差走査熱量計(DSC)を用い、1分間に20℃の一定昇温速度で吸熱変化を測定し、得られた吸熱パターンのピーク温度を読みとった値であり、詳細は、JIS K 7121:1987に規定されている。なお、DSCの測定において、吸熱変化のピークを明瞭に示さないものは、実質的に結晶性がないものであり、Tmを持たないものと判断する。
Tgは、Tmの測定と同様に、DSCを用い、JIS K 7121:1987に規定された方法に従って測定することができる。
上記重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定される標準ポリスチレン換算の値である。
ジエン系ゴム質重合体は、架橋重合体であってよいし、未架橋重合体であってもよい。
ジエン系ゴム質重合体は、共役ジエン系化合物よりなる単位を含む(共)重合体を水素添加してなる(共)重合体であってもよい。このジエン系ゴム質重合体に対する水素添加率は、典型的には95%以上、好ましくは98%以上である。
ジエン系ゴム質重合体は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ゴム変性グラフト重合体(B)を構成するビニル系単量体成分(以下、「ビニル系単量体成分(b)」とも記す。)としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、これらの化合物と共重合可能な他のビニル系単量体が挙げられる。他のビニル系単量体としては、マレイミド系化合物、不飽和酸無水物、カルボキシ基含有不飽和化合物、ヒドロキシ基含有不飽和化合物、オキサゾリン基含有不飽和化合物、エポキシ基含有不飽和化合物等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル系単量体成分(b)の総質量に対する芳香族ビニル化合物の割合は、40質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましい。この割合は100質量%であってもよい。
なお、ビニル系単量体成分(b)の総質量に対する芳香族ビニル化合物の割合は、ゴム変性グラフト重合体(B)においてビニル系重合体を構成する全ての構成単位の合計質量に対する芳香族ビニル化合物に基づく構成単位の割合とみなすことができる。シアン化ビニル化合物の割合も同様である。
ゴム変性グラフト重合体(B)は、ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体成分(b)を重合することにより得られる。
重合方法としては、乳化重合法、溶液重合法、塊状重合法、懸濁重合法等が挙げられる。
ゴム質重合体のラテックスは、公知の方法により製造できる。ラテックスを製造する方法としては、溶融状態のゴム質重合体を水中で攪拌剪断力によって、均質化処理(ホモジナイズ)する方法や、乳化剤の存在下で、重合性モノマーを乳化重合する方法等が知られている(特公平4-30970号公報、特許第3403828号、特開平11-269206号公報等参照)。
重合温度は、特に限定されないが、例えば50~90℃である。重合時間は、重合温度によっても異なるが、例えば1~8時間である。
重合には、重合開始剤、連鎖移動剤(分子量調節剤)、乳化剤等を用いることができる。
重合開始剤の使用量は、単量体成分全量100質量部に対し、好ましくは0.1~1.5質量部、より好ましくは0.2~0.7質量部である。
連鎖移動剤の使用量は、ビニル系単量体成分(b)の全量100質量部に対し、好ましくは5質量部以下、より好ましくは3質量部である。
アニオン系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪族スルホン酸塩、脂肪族カルボン酸塩等が挙げられる。アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば炭素数2~18のアルキル基を有するもの(ドデシルベンゼンスルホン酸塩等)が挙げられる。脂肪族スルホン酸塩としては、例えば、炭素数2~12の高級アルコールの硫酸エステル塩(ラウリル硫酸エステル塩等)が挙げられる。脂肪族カルボン酸塩としては、例えば、炭素数2~18の脂肪酸塩、炭素数2~6の脂肪族ジカルボン酸塩(アルケニルコハク酸塩等)が挙げられる。塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩等が挙げられる。
ノニオン系界面活性剤としては、ポリエチレングリコールのアルキルエステル型化合物、アルキルエーテル化合物等が挙げられる。
乳化剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
乳化剤の使用量は、ビニル系単量体成分(b)の100質量部に対し、例えば0.3~5質量部である。
乳化重合の後、得られたラテックスからゴム変性グラフト重合体(B)を回収する。回収方法としては、例えば、ラテックス中のゴム変性グラフト重合体(B)を凝固し、凝固したゴム変性グラフト重合体(B)を回収する方法が挙げられる。なお、この際、必要に応じて、ラテックスに予め各種酸化防止剤、各種安定剤を添加してもよく、さらにこれらを乳化して添加してもよい。必要に応じて、回収したゴム変性グラフト重合体(B)を洗浄し、乾燥する。
乳化剤としてアニオン系界面活性剤を用いて乳化重合を行った場合、乳化剤に由来する有機酸(D)を低減しやすい点で、ラテックス中のゴム変性グラフト重合体(B)をメタノールにより凝固して回収し、回収したゴム変性グラフト重合体(B)を洗浄することが好ましい。
凝固剤としては、例えば、酸、無機塩が挙げられる。酸としては、例えば、硫酸、リン酸、硝酸等の無機酸;酢酸、乳酸等の有機酸が挙げられる。無機塩としては、例えば、硫酸マグネシウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムが挙げられる。これらの凝固剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
凝固剤による凝固方法としては、特に制限されない。例えば、ラテックスを凝固剤水溶液に投入して凝固してもよく、凝固剤水溶液をラテックスに投入して凝固してもよい。ラテックス(又は凝固剤水溶液)を凝固剤水溶液(又はラテックス)に投入した後、低温から高温に温度勾配をつけ二段階以上に分けて凝固してもよく、弱酸性から強酸性に又は強酸性から弱酸性に酸性度勾配をつけて二段階以上に分けて凝固してもよい。ラテックスに凝固剤水溶液を混合してペーストとした後、細孔から温水中へ押出して凝固してもよい。これらの方法から二種類以上を選択して組み合わせてもよい。
回収したゴム変性グラフト重合体(B)の洗浄方法としては、例えば、遠心脱水、吸引濾過が挙げられる。洗浄に用いる洗浄液としては、例えば、純水、アルカリ水、酸性水、アルコール溶液が挙げられる。ゴム変性グラフト重合体(B)を洗浄する際の温度は、例えば、10~80℃である。
グラフト率(質量%)={(S-T)/T}×100 ・・・(1)
上記式中、Sは、ゴム変性グラフト重合体(B)1gをアセトン20mLに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分とを分離して得られる不溶分の質量(g)であり、Tは、ゴム変性グラフト重合体(B)1gに含まれるゴム質重合体の質量(g)である。このゴム質重合体の質量は、重合処方及び重合転化率から算出する方法、赤外線吸収スペクトル(IR)、熱分解ガスクロマトグラフィー、CHN元素分析等の方法により得ることができる。
まず、ゴム変性グラフト重合体(B)のアセトン可溶分をメチルエチルケトンに溶解させ、濃度の異なる測定用試料5点を作製する。次に、ウベローデ粘度管を用い、30℃における各濃度の測定用試料の還元粘度を測定した結果から、極限粘度[η]を求める。単位は、dL/gである。アセトン可溶分は、ゴム変性グラフト重合体(B)の1gをアセトン20mLに投入し、25℃の温度条件下で、振とう機により2時間振とうした後、5℃の温度条件下で、遠心分離機(回転数;23,000rpm)で60分間遠心分離し、不溶分と可溶分(アセトン可溶分のアセトン溶液)とを分離し、可溶分を乾燥(アセトンを除去)して得られる。
ビニル系重合体(C)は、ビニル系単量体成分が重合された重合体である。
ビニル系重合体(C)を構成するビニル系単量体成分(以下、「ビニル系単量体成分(c)」とも記す。)としては、ビニル系単量体成分(b)と同様のものが挙げられる。ビニル系単量体成分(c)は1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ビニル系単量体成分(c)の総質量に対する芳香族ビニル化合物の割合は、40質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましい。この割合は100質量%であってもよい。
なお、ビニル系単量体成分(c)の総質量に対する芳香族ビニル化合物の割合は、ビニル系重合体(C)を構成する全ての構成単位の合計質量に対する芳香族ビニル化合物に基づく構成単位の割合とみなすことができる。シアン化ビニル化合物の割合も同様である。
有機酸(D)は、脂肪族カルボン酸である。
有機酸(D)の具体例としては、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸等の脂肪酸が挙げられる。
有機酸(D)は、典型的には、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びロジン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
他の熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂、ポリブチレンテレフタレート(PBT)樹脂等のポリエステル樹脂、ポリウレタン(PU)樹脂が挙げられる。これらの熱可塑性樹脂は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
他の添加剤としては、紫外線吸収剤、耐候剤、充填剤、酸化防止剤、老化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、防曇剤、滑剤、抗菌剤、粘着付与剤、可塑剤、着色剤、無機充填剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ポリカーボネート系樹脂(A)とゴム変性グラフト重合体(B)とビニル系重合体(C)との合計質量に対するポリカーボネート系樹脂(A)の割合は、30~80質量%が好ましく、40~75質量%がより好ましく、50~75質量%がさらに好ましい。この割合は、さらに、50~70質量%であってもよい。ポリカーボネート系樹脂(A)の割合が上記下限値以上であれば、耐衝撃性、耐熱性がより優れる。ポリカーボネート系樹脂(A)の割合が上記上限値以下であれば、機械的強度、成形性がより優れる。
有機酸(D)の含有量は0質量%であってもよい。すなわち、樹脂組成物は有機酸(D)を含まないものであってもよい。有機酸(D)の含有量は0質量%を超えていてもよい。
有機酸(D)の含有量は、典型的には、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びロジン酸の合計量である。
有機酸(D)の含有量は、ガスクロマトグラフィーにより測定される。詳しい測定方法は以下のとおりである。
樹脂組成物0.5gを10mLの溶媒(1,4-ジオキサン又はテトラヒドロフラン)に溶解する。得られた溶液に、ジアゾメタンを3分間吹き込むか、又は、トリメチルシリルジアゾメタン4mLとメタノール溶媒4mLを添加し3時間反応させることで、溶液中の遊離脂肪酸をメチルエステル化する。その後、得られた溶液を、内部標準物質(アラキジン酸メチル)を含む溶媒に溶解し、得られた試料を、水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラムに注入し、ガスクロマトグラム測定を行う。ガスクロマトグラム測定により得られたスペクトルより遊離脂肪酸である有機酸(D)を定量し、樹脂組成物100質量%に対する有機酸(D)の含有量(質量%)を求める。
MFRは、ISO 1133に規定された方法に従って測定した値である。
各成分の混合順序は特に制限されず、一部の成分を混合した後、残部を混合してもよく、全成分を一括に混合してもよい。各成分を混練するに際して、各成分を一括して混練してもよく、多段、分割配合して混練してもよい。充填材のうち繊維状のものは、混練中での切断を防止するためにサイドフィーダーにより押出機の途中から供給する方が好ましい。溶融混練温度は、通常200~300℃、好ましくは220~280℃である。
「MFRの上昇率」は、以下の式により求められる。
MFRの上昇率(%)={湿熱処理後の樹脂組成物のMFR(g/10分)-湿熱処理前の樹脂組成物のMFR(g/10分)}/湿熱処理前の樹脂組成物のMFR×100
「シャルピー衝撃強度の保持率」は、以下の式により求められる。
シャルピー衝撃強度の保持率(%)=湿熱処理後の試験片Aのシャルピー衝撃強度(kJ/m2)/湿熱処理前の試験片Aのシャルピー衝撃強度(kJ/m2)×100
ここで、「試験片A」は、本発明の樹脂組成物を射出成形により、ISO3167に規定されたタイプA1の試験片を長さ80mm、厚み4mm、幅10mmに切削し、ノッチ先端半径0.25mmにノッチ加工した成形品である。「シャルピー衝撃強度」は、ISO 179-1に規定された方法に従って、23℃において測定される値である。
「引張伸びの保持率」は、以下の式により求められる。
引張伸びの保持率(%)=湿熱処理後の試験片Bの引張伸び(%)/湿熱処理前の試験片Bの引張伸び(%)×100
ここで、「試験片B」は、本発明の樹脂組成物を射出成形により、ISO3167に規定されたタイプA1の試験片とした成形品である。「引張伸び」は、ISO 527に規定された方法に従って、23℃において測定される値である。
本発明の成形品は、本発明の樹脂組成物を含む。
本発明の成形品は、例えば、本発明の樹脂組成物を成形することにより製造できる。 成形方法としては、特に制限はなく、例えば、射出成形法、射出圧縮成形法、ガスアシスト成形法、プレス成形法、ブロー成形法、異形押出成形法、カレンダー成形法、Tダイ押出成形法等の公知の方法が挙げられる。
具体的な用途としては、例えば、シートベルトのバックル、アッパーボックス、カップホルダー、ドアトリム、ドアノブ、ドアポケット、ドアライニング、ピラーガーニッシュ、コンソール、コンソールボックス、ルームミラー、サンバイザー、センターパネル、ベンチレータ、エアコン、エアコンパネル、ヒーターコンパネル、板状羽根、バルブシャッター、ルーバー等、ダクト、メーターパネル、メーターケース、メーターバイザー、インパネアッパーガーニッシュ、インパネロアガーニッシュ、A/Tインジケーター、オンオフスイッチ類(スライド部、スライドプレート)、スイッチベゼル、グリルフロントデフロスター、グリルサイドデフロスター、リッドクラスター、カバーインストロアー等のマスク類(マスクスイッチ、マスクラジオ等)、ポケット類(ポケットデッキ、ポケットカード等)、ステアリングホイールホーンパッド、カップホルダー、スイッチ部品、スイッチボックス、アシストグリップ等のグリップ、ハンドル、グラブハンドルカーナビゲーション用外装部品、カメラカバー、カメラモニタリングシステム、ヘッドアップディスプレイ、リアエンターテイメントシステム、グローブボックス、グローブボックスラチェット、小物入れ、小物入れ等の蓋にあるラチェット、ルームミラー、ルームランプ、アームレスト、スピーカーグリル、ナビパネル、オーバーヘッドコンソール、クロックインジケーター、SOSスイッチ等の車両内装品、フロントグリル、ホイールキャップ、バンパー、フェンダー、スポイラー、ガーニッシュ、ドアミラー、ラジエターグリル、リアコンビネーションランプ、ヘッドランプ、ターンランプ、アウトサイドドアハンドルのグリップ等の車両外装品、事務機器、家庭用家電製品のケース、ハウジング等の外装部品、内装部品、スイッチまわりの部品、可動部の部品、デスク用ロック部品、デスク引き出し、複写機の用紙トレイ、直管型LEDランプ、電球型LEDランプ、電球型蛍光灯、シーリングライトのパネル、カバー、コネクタ等の照明器具、携帯電話、タブレット端末、炊飯器、冷蔵庫、電子レンジ、ガスコンロ、掃除機、食器洗浄機、空気清浄機、エアコン、ヒーター、TV、レコーダー等の家電器具、プリンター、FAX、コピー機、パソコン、プロジェクター等のOA機器、オーディオ器具、オルガン、電子ピアノ等の音響機器、化粧容器のキャップ、電池セル筐体等として使用することができ、特に車両内装品として好ましく使用することができる。
<有機酸(D)の含有量>
樹脂組成物のペレット0.5gを10mLのテトラヒドロフランに溶解し、得られた溶液に、トリメチルシリルジアゾメタン4mLとメタノール溶媒4mLを添加し3時間反応させることで、溶液中の遊離脂肪酸をメチルエステル化した。その後、得られた溶液を、内部標準物質(アラキジン酸メチル)を含む溶媒に溶解し、得られた試料を、水素炎イオン化検出器を備えたガスクロマトグラムに注入し、ガスクロマトグラム測定を行った。ガスクロマトグラム測定により得られたスペクトルより遊離脂肪酸である有機酸(D)を定量し、樹脂組成物100%に対する有機酸(D)の含有量(%)を求めた。本実施例において有機酸(D)の含有量は、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びロジン酸の合計量である。
樹脂組成物のペレットについて、ISO 1133に規定された方法に従って、温度240℃及び荷重98Nの条件でMFRを測定した。
樹脂組成物のペレットを、射出成形機((株)日本製鋼所社製「J110AD-180H」)を用い、シリンダー温度240℃の条件で射出成形して試験片A(成形品)を得た。得られた試験片Aについて、ISO 179-1に規定された方法に従って、23℃におけるIMPを測定した。
樹脂組成物のペレットを、射出成形機((株)日本製鋼所社製「J110AD-180H」)を用い、シリンダー温度240℃の条件で射出成形して試験片B(成形品)を得た。得られた試験片Bについて、ISO 527に規定された方法に従って、23℃におけるTEを測定した。
樹脂組成物のペレットを、射出成形機((株)日本製鋼所社製「J35AD-30H」)を用い、シリンダー温度240℃の条件で射出成形して2.4mm厚の試験片C(成形品)を得た。得られた試験片Cについて、高速衝撃試験機((株)島津製作所社製「HITS-P10」)を用いて成形品の面衝撃強度を測定し、成形品の破壊形態(延性破壊又は脆性破壊)を目視にて確認した。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
三菱エンジニアリングプラスチックス社製「ノバレックス7022PJ-LH1」(Mv18,700(カタログ値)の芳香族ポリカーボネート)を使用した。
(製造例1:ゴム変性グラフト重合体(B-1)の製造)
リボン型攪拌機翼、助剤連続添加装置、温度計等を装備した容積20リットルのステンレス製オートクレーブに、エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体として、エチレン・プロピレン共重合体(エチレン/プロピレン=78/22(%)、ムーニー粘度(ML1+4,100℃)20、融点(Tm)は40℃、ガラス転移温度(Tg)は-50℃)22部、スチレン55部、アクリロニトリル23部、t-ドデシルメルカプタン0.5部、トルエン110部を仕込み、内温を75℃に昇温して、オートクレーブ内容物を1時間攪拌して均一溶液とした。その後、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート0.45部を添加し、内温を更に昇温して、100℃に達した後は、この温度を保持しながら、攪拌回転数100rpmとして重合反応を行った。重合反応開始後4時間目から、内温を120℃に昇温し、この温度を保持しながら更に2時間反応を行って重合反応を終了した。その後、内温を100℃まで冷却し、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)-プロピオネート0.2部、ジメチルシリコーンオイル;KF-96-100cSt(商品名:信越シリコーン株式会社製)0.02部を添加した後、反応混合物をオートクレーブより抜き出し、水蒸気蒸留により未反応物と溶媒を留去し、さらに40mmφベント付き押出機(シリンダー温度220℃、真空度760mmHg)を用いて揮発分を実質的に脱気させ、ペレット化した。得られたエチレン・α-オレフィン系ゴム強化ビニル系樹脂(B-1)のグラフト率は70%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.47dL/gであった。
「オレフィン樹脂水性分散体の調製」
エチレン・プロピレン共重合体100部と、酸変性オレフィン重合体として無水マレイン酸変性ポリエチレン(三井化学社製、「三井ハイワックス 2203A」、質量平均分子量:2,700、酸価:30mg/g)20部と、アニオン系乳化剤として牛脂脂肪酸カリウム(オレイン酸カリウム、ステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウムの混合物)5部とを混合した。
この混合物を2軸スクリュー押出機(池貝社製、「PCM30」、L/D=40)のホッパーから4kg/Hrで供給し、この2軸スクリュー押出機のベント部に設けた供給口より、水酸化カリウム0.5部とイオン交換水2.4部を混合した水溶液を連続的に供給しながら、220℃に加熱して溶融混練して押出した。溶融混練物を2軸スクリュー押出機の先端に取り付けた冷却装置に連続的に供給し、90℃まで冷却した。そして、2軸スクリュー押出機先端より吐出させた固体を、80℃の温水中に投入し、連続的に分散させて、固形分濃度40質量%付近まで希釈して、オレフィン樹脂水性分散体を得た。
撹拌機付きステンレス重合槽に、オレフィン樹脂水性分散体(エチレン・プロピレン共重合体の固形分として60部)を入れ、オレフィン樹脂水性分散体に固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部、フラクトース0.35部及び牛脂脂肪酸カリウム(オレイン酸カリウム,ステアリン酸カリウム、パルミチン酸カリウムの混合物)1.0部を仕込み、温度を80℃とした。スチレン30部、アクリロニトリル10部及びクメンヒドロペルオキシド1.0部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行い、ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体を得た。ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、脱水、洗浄、乾燥の工程を経て、粉状のゴム変性グラフト共重合体(B-3)を得た。ゴム変性グラフト重合体(B-2)のグラフト率を測定したところ40%であった。
ゴム変性グラフト重合体(B-2)と同様の手順により、ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体を得た。ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行った後、水性分散体に水酸化カリウムを添加しpH7に調整し15分間撹拌によるエージングを行った。エージング終了後、脱水、洗浄、乾燥の工程を経て、粉状のゴム変性グラフト共重合体(B-3)を得た。ゴム変性グラフト重合体(B-3)のグラフト率を測定したところ40%であった。
ゴム変性グラフト重合体(B-2)と同様の手順により、ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体を得た。ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行った後、水性分散体に水酸化カリウムを添加しpH9に調整し15分間撹拌によるエージングを行った。エージング終了後、脱水、洗浄、乾燥の工程を経て、粉状のゴム変性グラフト重合体(B-4)を得た。ゴム変性グラフト重合体(B-4)のグラフト率を測定したところ40%であった。
ゴム変性グラフト重合体(B-2)と同様の手順により、ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体を得た。ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行った後、水性分散体に水酸化カリウムを添加しpH11に調整し15分間撹拌によるエージングを行った。エージング終了後、脱水、洗浄、乾燥の工程を経て、粉状のゴム変性グラフト重合体(B-5)を得た。ゴム変性グラフト重合体(B-5)のグラフト率を測定したところ40%であった。
ゴム変性グラフト重合体(B-2)と同様の手順により、ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体を得た。ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行った後、水性分散体に水酸化カリウムを添加しpH11に調整し15分間撹拌によるエージングを行った。エージング終了後、脱水、洗浄を行い、得られた粉状のグラフト共重合体を再度水中に分散させ、水性分散体に硫酸を加えることでゴム変性グラフト重合体を酸洗浄した。その後脱水、水による洗浄、乾燥の工程を経て、粉状のゴム変性グラフト重合体(B-6)を得た。ゴム変性グラフト重合体(B-6)のグラフト率を測定したところ39%であった。
ゴム変性グラフト重合体(B-2)と同様の手順により、ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体を得た。ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行った。脱水、洗浄、乾燥の工程の後得られた粉状のゴム変性グラフト重合体を、洗浄を目的としてメタノール水溶液中に添加し、メタノール水溶液によるゴム変性グラフト重合体の洗浄を行った。その後再度脱水し、水による洗浄、乾燥の工程を行うことで、粉状のゴム変性グラフト重合体(B-7)を得た。ゴム変性グラフト重合体(B-7)のグラフト率を測定したところ39%であった。
ゴム変性グラフト重合体(B-2)と同様の手順により、オレフィン樹脂水性分散体を得た。撹拌機付きステンレス重合槽に、オレフィン樹脂水性分散体(エチレン・プロピレン共重合体の固形分として60部)を入れ、オレフィン樹脂水性分散体に固形分濃度が30%になるようにイオン交換水を加え、硫酸第一鉄0.006部、ピロリン酸ナトリウム0.3部、及びフラクトース0.35部を仕込み、温度を80℃とした。スチレン30部、アクリロニトリル10部及びクメンヒドロペルオキシド1.0部を150分間連続的に添加し、重合温度を80℃に保ち乳化重合を行い、ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体を得た。ゴム変性グラフト重合体を含む水性分散体に酸化防止剤を添加し、硫酸にて固形分の析出を行い、脱水、洗浄、乾燥の工程を経て、粉状のゴム変性グラフト共重合体(B-8)を得た。ゴム変性グラフト重合体(B-8)のグラフト率を測定したところ39%であった。
攪拌機付き重合容器に、水280部及びジエン系ゴム質重合体として、重量平均粒子径0.26μm、ゲル分率90%のポリブタジエンラテックス60部(固形分換算)、ロジン酸カリウム0.6部、硫酸第一鉄0.0025部、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム0.01部を仕込み、脱酸素後、窒素気流中で撹拌しながら60℃に加熱した後、アクリロニトリル10部、スチレン30部、t-ドデシルメルカプタン0.2部、クメンハイドロパーオキサイド0.3部からなる単量体混合物を60℃で5時間かけて連続的に滴下した。滴下終了後、重合温度を65℃にし、1時間撹拌を続けた後、重合を終了させ、グラフト共重合体のラテックスを得た。重合転化率は98%であった。その後、得られたラテックスに、2,2’-メチレン-ビス(4-エチレン-6-t-ブチルフェノール)0.2部を添加し、硫酸を添加して凝固し、洗浄、濾過及び乾燥工程を経てパウダー状の樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物のグラフト率は40%、アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.38dL/gであった。
(製造例10:ビニル系重合体(C1))
アクリロニトリル及びスチレンを公知の懸濁重合法で重合しアクリロニトリル-スチレン共重合体を得た。これをビニル共重合体(C)とした。アクリロニトリル/スチレンの組成比(質量比)は25/75であった。アセトン可溶分の極限粘度[η]では0.35dL/gであった。
(製造例11:ビニル系重合体(C2))
アクリロニトリル、スチレン及びα-メチルスチレンを公知の懸濁重合法で重合しアクリロニトリル-スチレン-α-メチルスチレン共重合体を得た。これをビニル共重合体(C2)とした。アクリロニトリル/スチレン/α-メチルスチレンの組成比(質量比)は25/50/25であった。アセトン可溶分の極限粘度[η]は0.30dL/gであった。
表1、表2記載の成分を表1、表2に記載の配合割合(部)でヘンシェルミキサーにより混合した後、ベント付き二軸押出機(日本製鋼所社製、TEX44、バレル設定温度260℃)を用いて溶融混練し、樹脂組成物のペレットを得た。得られたペレットについて、前記した方法によりMFR及び有機酸(D)の含有量を測定した。また、前記した方法により試験片を成形してIMP、TE及び破壊形態を測定した。
MFRの上昇率(%)={湿熱処理後のMFR-初期のMFR}/初期のMFR×100
IMPの保持率(%)=湿熱処理後のIMP/初期のIMP×100
TEの保持率(%)=湿熱処理後のTE/初期のTE×100
Claims (5)
- エチレン・α-オレフィン系ゴム質重合体、酸変性オレフィン重合体、並びにパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸及びロジン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の脂肪族カルボン酸である有機酸(D)の塩である乳化剤を溶融混練し、得られた溶融混練物を水に分散させてオレフィン樹脂水性分散体を得る工程と、
前記オレフィン樹脂水性分散体にビニル系単量体成分を加えて乳化重合し、ゴム変性グラフト重合体(B1)を得る工程と、
ジエン系ゴム質重合体の存在下にビニル系単量体成分を乳化重合し、ゴム変性グラフト重合体(B2)を得る工程と、
芳香族ポリカーボネートであるポリカーボネート系樹脂(A)と、前記ゴム変性グラフト重合体(B1)及び前記ゴム変性グラフト重合体(B2)を含むゴム変性グラフト重合体(B)と、ビニル系重合体(C)とを溶融混練して樹脂組成物を得る工程と、を含み、
前記ゴム変性グラフト重合体(B1)を得る工程において、前記オレフィン樹脂水性分散体に、前記乳化剤を、前記ビニル系単量体成分100質量部に対して0.3~5質量部加えて乳化重合し、その後、前記ゴム変性グラフト重合体(B1)をアルコール溶液で洗浄する工程をさらに含むか、又は、前記ゴム変性グラフト重合体(B1)を得る工程において、前記オレフィン樹脂水性分散体に前記乳化剤を加えずに乳化重合することで、前記有機酸(D)の含有量を、前記樹脂組成物100質量%に対し、0.17質量%以下とし、
前記ポリカーボネート系樹脂(A)と前記ゴム変性グラフト重合体(B)と前記ビニル系重合体(C)との合計質量に対し、前記ポリカーボネート系樹脂(A)の割合が60~75質量%、前記ゴム変性グラフト重合体(B)の割合が10~25質量%、前記ビニル系重合体(C)の割合が9~30質量%であり、
前記溶融混練により得られた樹脂組成物の温度240℃、荷重98Nにおけるメルトマスフローレートが25g/10分以下であり、前記樹脂組成物を射出成形によりISO 3167に規定されたタイプA1の試験片とした成形品の23℃における引張伸びが55%以上であることを特徴とする、樹脂組成物の製造方法。 - 前記溶融混練により得られた樹脂組成物の温度240℃、荷重98Nにおけるメルトマスフローレートが17g/10分以下であり、前記樹脂組成物を射出成形によりISO 3167に規定されたタイプA1の試験片とした成形品の23℃における引張伸びが80%以上である請求項1に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記ビニル系重合体(C)が、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物及び(メタ)アクリル酸エステルからなる群から選ばれる少なくとも1種とを含むビニル系単量体成分が重合された重合体である請求項1又は2に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 前記有機酸(D)の含有量が、前記樹脂組成物100質量%に対し、0.16質量%未満である請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法。
- 請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂組成物の製造方法により樹脂組成物を製造し、得られた樹脂組成物を成形する成形品の製造方法。
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