JP4359517B2 - プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の樹脂組成物に関し、詳しくは、極めて透明性に優れ、柔軟性と耐熱性のバランスがよく、製品のベタツキが無くてブリードアウトも抑制された、新規なプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体と透明化核剤からなる樹脂組成物に係わるものである。
オレフィン系の熱可塑性エラストマーやプラストマーは、適度な柔軟性と強度を持ち、リサイクルや焼却廃棄などの環境問題適合性が高く、また成形性や経済性などにも優れることから、フィルムやシート、繊維や不織布、各種容器などの成型品、あるいは被覆剤などとして重用されている。
これら熱可塑性エラストマーのうち、特にエチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーやプラストマーは、成形材料ないしは成形品における透明性や柔軟性及び強度などに、特に低温での耐衝撃性に優れることから重要な産業資材であるが、透明性や柔軟性をさらに向上させるために結晶性を低下させると顕著な耐熱性の悪化を示すという欠点を有している。
この欠点の改良のために高結晶性成分を配合したり、結晶性分布を広げたりする提案もなされているが、その効果は十分とはいえない。
一方、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーのうち、第1工程で結晶性ポリプロピレンを第2工程でプロピレン−エチレン共重合体エラストマーを製造する、いわゆるブロックタイプのリアクターTPOと称されるものは、経済性が高く、柔軟性や耐熱性及び強度などに優れるが、第1工程で製造される結晶性ポリプロピレンと第2工程で製造されるプロピレン−エチレン共重合体エラストマーとの相溶性が悪くて、相分離し透明性が著しく劣るという不可避な欠点を有している。
そこで、最近では、透明性を悪化させないために、第2工程で製造されるエチレン−プロピレンランダム共重合体が相分離を起こさない範囲にエチレン含量を抑制するという提案もなされている。
しかし、第1工程でエチレン含量の少ないプロピレン−エチレン共重合体を、第2工程でエチレン含量が第1工程より多いものの比較的少ないプロピレン−エチレン共重合体エラストマーを、チーグラー・ナッタ系触媒を用いて連続重合するという手法(特許文献1,2を参照)では、チーグラー・ナッタ系触媒には活性点の種類が複数あるために、プロピレン−エチレン共重合体の結晶性および分子量分布が広くなり透明性が十分でなく、さらに、低結晶かつ低分子量の成分を多く生成することで、製品のベタツキやブリードアウトが強く見られ、ブロッキングや外観不良などの問題も発生しやすいという欠点も避けられない。
さらに最近では、これらチーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造されたリアクターTPOに対し、メタロセン系触媒によるリアクターTPOが開発されて、第1工程でポリプロピレンを、第2工程でプロピレンとエチレン及び/又はC4〜C18のα−オレフィンを重合することで、温度昇温溶離分別法(TREF)による昇温分別において特定の溶出パターンを示すプロピレン系共重合体を得るという手法が開示されており、分子量分布と結晶性分布が狭いことからベタツキが無いことを特徴としている(特許文献3,4を参照)。
しかし、かかる手法においては、第2工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体が、相分離による透明性の悪化を起こさないように、比較的少ないエチレン含量に抑制されており、透明性と柔軟性が向上されているが、透明性においては未だ充分とはいえず、柔軟性や耐熱性とのバランスもよいとはいえない。
このように、新しい観点からのメタロセン系触媒によるリアクターTPOに代表される、ポリオレフィン系エラストマー材料においては、透明性や柔軟性あるいは耐熱性などをバランスよく充分に向上させる改良技術は、未だ見出されていない。
また、オレフィン系材料などにおいては、包装材料などとしてのフィルムやシートあるいは積層材料や容器などの成型品への利用に際しては、各機能のなかでヘイズ(Haze)値として評価される透明性が特に要求される状況もあって、ポリオレフィン系樹脂に対し、ソルビトール系化合物などのいわゆる造核剤(核剤や透明化核剤ともいわれている)を配合することで透明性を改良する技術が従来から広く用いられ、ポリマーによってはかなりの透明性の向上がなされている(非特許文献1を参照)。
しかし、造核剤は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーに対しては一般に透明性改良効果は低く、特に耐熱性を維持しながら透明性を充分に改良することは達成されているとはいえない(特許文献5を参照)。もっとも、ポリプロピレン系樹脂に対しては、透明性改良効果は大きいものの、同時に剛性の上昇が過度となってしまい、柔軟性が損なわれるという問題が生じている。
特開昭63−159412号公報(特許請求の範囲,第2頁右下欄) 特開昭63−168414号公報(特許請求の範囲,第2頁右下欄) 特開2000−239462号公報(要約) 特開2001−64335号公報(要約) 特開平11−92619号公報(要約、特許請求の範囲) エドワード・P・ムーア・Jr編著(保田哲男他訳)「ポリプロピレンハンドブック」工業調査会(1998)p.222−223
段落0002〜0006に前述したように、ポリオレフィン系エラストマー材料においては、成形材料ないしは成形品における透明性を特に高め、併せて、柔軟性あるいは耐熱性などをバランスよく向上させる必要性及び重要性が非常に高いが、このような必要性などに充分に応える改良技術は未だ見出せない状況なので、かかる背景技術を踏まえて、本発明は、高分子材料として産業上非常に有用なプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体エラストマーの優れた特性を利用して、極めて透明性に優れ、柔軟性と耐熱性のバランスがよく、製品のベタツキが無くてブリードアウトも抑制された、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体材料を実現することを、発明が解決しようとする課題とするものである。
本発明者らは、ポリオレフィン系エラストマー材料、特に、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体材料における、透明性を格別に高め、併せて、柔軟性あるいは耐熱性などをバランスよく向上させる必要性に応えるべく、上記の発明の課題の解決を目指して、ポリオレフィン系エラストマー材料における代表的なプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体において、先行技術を参酌しつつ、その諸性質全般について検討しながら、重合材料や重合触媒あるいは重合条件や重合体の性能特定さらには共重合体組成などにわたり多角的な考察と実験的検索を積み重ね、それらの総合的な検討の過程において、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の重合反応における重合材料の配合や触媒の条件さらにはその共重合体の組成や性能などが特定された新規なプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を採用し、透明化核剤を特定量配合することが、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体に非常に高い透明性を与え、柔軟性と耐熱性のバランスをも向上させるという、格別な新しい知見を得ることができ、この認識をもって新規な組成物としての本発明の創作に至った。
この組成物においては、上記の卓越した性能に併せて、製品におけるベタツキも無くてブリードアウトも抑制され、プロピレン−エチレンブロック共重合体エラストマーとして産業資材上において画期的なものというべきものである。
詳細には、本発明においては、重合材料や重合触媒あるいは重合条件や重合体の性能特定さらには共重合体組成などにわたる、多角的な考察と実験的検索の積み重ねの結果として、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の重合反応における重合材料の配合や触媒の条件さらにはその共重合体の組成や性能の規定された新規なプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を使用するものであり、具体的な特徴として、当ブロック共重合体の分子量分布を狭くして透明性に寄与するためにメタロセン系触媒による逐次重合法を採用し、成形材料ないしは成形品における透明性を格別に高めて、併せて、柔軟性あるいは耐熱性などをバランスよく向上させるために、重合の第1工程と第2工程による共重合体成分を、特定のエチレン含量を有す特定量の重合体組成に規定し、共重合体中の高結晶性成分を、結晶性分布が狭く結晶性を低下させた共重合体とし、また、透明性を左右する共重合体における相分離構造を回避するために、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線におけるtanδ曲線のピークを特定化して、その様な新規な特別の共重合体にソルビトール系化合物やロジン金属塩などの通常の透明化核剤を特定量配合するものである。
本発明の樹脂組成物におけるこのような特別な構成の規定の有意性ないしは合理性は、後述する実施例と比較例の各データにより実証されている。
より具体的には、本発明におけるプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物は、メタロセン系触媒を使用して逐次重合によって製造され、7wt%以下のエチレン含量とそれにより制御される結晶性を有する成分(A1)と、成分(A1)よりも5〜20wt%多くのエチレン含量を有し、エチレン含量の増加に伴い低下した結晶性あるいは非晶性の成分(A2)が各々30〜70wt%の特定割合で製造されてなるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)100重量部に対し、透明化核剤(B)を0.01〜2重量部配合してなり、固体粘弾性におけるピークの規定によって特定される成分(A1)と(A2)が相分離構造を取ることがない樹脂組成物である。
さらに、成分(A)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による重量平均分子量Mw、温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線における各ピーク温度特性と溶出量特性及び23℃キシレン可溶成分の固有粘度[η]cxsによっても特定化することができる。
なお、段落0006において前述したように、従来においては、ポリオレフィン系樹脂に対し、ソルビトール系化合物などのいわゆる造核剤を配合することで透明性を改良する技術が広く用いられており、ポリマーによってはかなりの透明性の向上がなされているが、造核剤は、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーに対しては一般に透明性改良効果は低く、特に柔軟性や耐熱性のバランスを維持しながら透明性を充分に改良することは達成されているとはいえず、本発明における特定のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体において造核剤すなわち透明化核剤を特定量で配合することによって、従来では実現できなかった、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の成形材料や成形品における、透明性の特別の高揚、及び柔軟性あるいは耐熱性などのバランスのとれた向上を達成することができた。
以上において、本発明の創作の経緯と、発明の構成の特徴及び先行技術との相違などについて、概括的に記述したので、ここで本発明全体を俯瞰するために、本発明全体の構成を明確に記載すると、本発明は次の発明単位群から成るものであって、[1]に記載のものが基本発明であり、[2]以下の発明は基本発明に付随的な要件を加え、あるいは実施態様化するものである。(なお、発明群全体をまとめて「本発明」と称している。)
[1]メタロセン系触媒を用いて、第1工程でエチレン含量7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜70wt%、第2工程で(A1)よりも5〜20wt%多くのエチレンを含む低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜30wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)100重量部に対し、透明化核剤(B)0.01〜2重量部を配合してなる樹脂組成物であり、成分(A)についての固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することを特徴とする、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
[2]成分(A)が以下の条件(i)を満たすことを特徴とする、[1]におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
(i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる、ブロック共重合体の重量平均分子量Mwが100,000〜400,000の範囲にあり、重量平均分子量が5,000以下の成分量W(Mw≦5,000)が成分(A)中の0.8wt%以下であること
[3]成分(A)が以下の条件(ii)を満たすことを特徴とする、[1]又は[2]におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
(ii)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピークT(A1)が65℃〜96℃の範囲にあり、低温側に観測されるピークT(A2)が45℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されず、全プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が98℃以下であること
[4]成分(A)が以下の条件(iii)を満たすことを特徴とする、[1]〜[3]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
(iii)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピークT(A1)が65℃〜88℃の範囲にあり、低温側に観測されるピークT(A2)が45℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されず、全プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が90℃以下であること
[5]成分(A)が以下の条件(iv)を満たすことを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
(iv)23℃キシレン可溶成分の、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]cxsが1〜2(dl/g)の範囲にあること
[6]成分(A)が以下の条件(v)を満たすことを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
(v)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、ピークT(A1)とT(A2)(成分A2がピークを示さない場合にはT(A2)は測定温度下限である−15℃とする)の中間の温度T(A3)における溶出量H(A3)と、T(A1)における溶出量H(A1)の比H(A3)/H(A1)が0.1以下であること
[7]成分(A)が以下の条件(vi)を満たすことを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
(vi)TREF溶出曲線において、溶出ピークから溶出終了温度までの温度差ΔT(T(A4)−T(A1))が5℃以下であること
[8][1]〜[7]のいずれかにおけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物により成形された、フィルム、シート、積層体あるいは容器からなる成形品。
本発明におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の樹脂組成物は、極めて透明性に優れ、柔軟性と耐熱性のバランスがよく、さらに製品のベタツキが無くてブリードアウト(低分子量成分や添加剤などの滲出)が抑制されるものである。
そして、フィルムやシート及び積層体あるいは各種の容器や被覆剤などとして産業上有益な高分子エラストマー材料である。
以下においては、本発明について詳細に説明するために、本発明の実施の形態を、組成物を構成する成分(A)、(B)の各々の構成要件を中心に具体的に詳しく記述する。
1.組成物の構成について
本発明の基本構成は、(A)プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(成分(A)と称している)100重量部に対し、(B)透明化核剤0.01〜2重量部を配合してなる樹脂組成物である。
本発明の成分(A)のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体は、ブロック共重合体の分子量分布を狭くして透明性に寄与するためにメタロセン系触媒による逐次重合法を採用し、成形材料ないしは成形品における透明性を格別に高めて、併せて、柔軟性あるいは耐熱性などをバランスよく向上させるために、重合の第1工程と第2工程による共重合体成分を、特定のエチレン含量を有す特定量の重合体組成に規定し、共重合体中の高結晶性成分を、結晶性分布が狭く結晶性を低下させた共重合体とし、また、透明性を左右する共重合体における相分離構造を回避するために、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線におけるtanδ曲線のピークを特定化した、新規な特別の共重合体であり、その共重合体自体も透明性、柔軟性及び耐熱性などに優れたものであるが、透明化核剤との樹脂組成物にすることにより、極めて透明性を高揚させることができ、併せて柔軟性や耐熱性とのバランスも向上することができるものである。
2.プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)について
(1)成分(A)の基本規定
本発明におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)は、メタロセン系触媒を用いて、第1工程でエチレン含量7wt%以下のプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜70wt%、第2工程で第1工程よりも5〜20wt%多くのエチレンを含むプロピレンエチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜30wt%逐次重合することで得られるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体である。
なお、本発明における、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体は、第1工程と第2工程からの共重合体の混合物である、通常のいわゆるプロピレン系ブロック共重合体と称されているものであって、各共重合体がさらに重合結合したものではない。
(2)成分(A1)
(2−1) 成分(A1)中のエチレン含量E(A1)
第1工程で製造される成分(A1)は、ベタツキを抑制し、耐熱性を発現するために、融点が比較的高い、エチレン含量が7wt%以下のプロピレン−エチレンランダム共重合体でなくてはならない。エチレン含量が7wt%以上の場合には融点が低くなりすぎ耐熱性を悪化させるために不適当であり、エチレン含量は7wt%以下、好ましくは6wt%以下である。
一方、成分(A1)がプロピレン単独重合体の場合には、柔軟性を向上させるためにより多くの成分(A2)を必要とすることで耐熱性の悪化を招くだけでなく、透明化核剤を加えた場合に剛性が高くなり過ぎ柔軟性を損なうため、エチレンユニットによって結晶性を適度に低下させたプロピレン−エチレンランダム共重合体であることが必要である。
透明化核剤を加えた場合に柔軟性を損なわれる原因は明確ではないが、次のように推察される。
プロピレン−エチレンランダム共重合体において、エチレンユニットは結晶ラメラから排斥されるため、エチレン含量の増加に対して融点及び結晶化度は低下する。ここで、透明化核剤をプロピレン−エチレンランダム共重合体に添加しても、結晶化度はエチレンユニットによってほぼ決定されており、透明化核剤の作用は核生成頻度を増加させ球晶サイズを小さくすることで透明性を向上させるだけである。
一方、プロピレン単独重合体では、融点及び結晶化度は冷却時の過冷却度によって変化し、透明化核剤を加えた場合には、核生成速度及び頻度が増加することで過冷却度は小さくなり融点及び結晶化度に顕著な上昇が見られる。
その結果、本発明のようなブロック共重合体に透明化核剤を加えた場合においても、成分(A1)がプロピレン単独重合体の場合には成分(A1)の結晶化度が上昇してしまうため、柔軟性が悪化するものと推察される。
したがって、本発明における成分(A1)はプロピレン−エチレンランダム共重合体であることが必要であり、エチレン含量が0.5wt%以上、好ましくは1.0wt%以上、より好ましくは1.5wt%以上含まれる。
(2−2) 成分(A)中に占める成分(A1)の割合
ブロック共重合体成分(A)中に占める成分(A1)の割合が多すぎると成分(A)の透明性及び柔軟性が悪化し、それに伴い組成物全体の透明性と柔軟性が阻害される。そこで成分(A1)の割合は70wt%以下、好ましくは60wt%以下である。
一方、成分(A1)の割合が少なくなりすぎるとベタツキが増加して、耐熱性が顕著に悪化するといった問題を生じるため、成分(A1)の割合は30wt%以上、好ましくは40wt%必要である。
(3)成分(A2)
(3−1)成分(A2)中のエチレン含量E(A2)
第2工程で製造されるプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は、ブロック共重合体の柔軟性と透明性及び強度を向上させるのに必要な成分である。
ここで、成分(A2)は上記効果を十分発揮するために特定範囲のエチレン含量であることが必要である。
すなわち、本発明のブロック共重合体成分(A)において、成分(A1)に対し成分(A2)の結晶性は低い方が、柔軟性の改良効果が大きく、結晶性はプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量で制御されるため、成分(A2)中のエチレン含量E(A2)は、成分(A1)中のエチレン含量E(A1)よりも5wt%以上多くないとその効果は十分でなく、好ましくは6wt%以上、より好ましくは8wt%、成分(A1)よりも多くのエチレンを含む必要がある。
ここで、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差をE(gap)(=E(A2)−E(A1))と定義すると、E(gap)は5wt%以上、好ましくは6wt%以上、より好ましくは8wt%以上である。
一方、成分(A2)の結晶性を下げるためにエチレン含量を増加させ過ぎると、成分(A1)と成分(A2)のエチレン含量の差E(gap)が大きくなり、マトリクスとドメインに分かれた相分離構造を取ってしまう。これは、元来ポリプロピレンはポリエチレンとの相溶性が低く、プロピレン−エチレンランダム共重合体においても、エチレン含量が異なるものの相互の相溶性はエチレン含量の違いが大きくなると低下するためである。
E(gap)の上限については、段落0041に後述する固体粘弾性測定によりtanδ曲線のピークが単一になる範囲にあればよいが、そのためにはE(gap)は20wt%以下、好ましくは、18wt%以下、より好ましくは16wt%以下の範囲にある必要がある。
(3−2)成分(A)中に占める成分(A2)の割合
ブロック共重合体成分(A)中に占める成分(A2)の割合は、(A1)との関連で、70〜30wt%と規定される。
(A1)についてと同様に、(A2)が70wt%より多すぎると成分(A)のベタツキが増大し、30wt%より少な過ぎると柔軟性が不足する。
(4)成分(A1)と(A2)の各成分のエチレン含量E(A1)とE(A2)及び各成分量W(A1)とW(A2)の特定方法
成分(A1)と(A2)の各エチレン含量及び各成分量は、製造時の物質収支(マテリアルバランス)によって特定することも可能であるが、より正確にこれらを特定するためには、以下の分析法を用いることが望ましい。
(4−1)温度昇温溶離分別(TREF)による各成分量W(A1)とW(A2)の特定
プロピレン−エチレンランダム共重合体の結晶性分布をTREFにより評価する手法は、当業者によく知られるものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Po
lym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,
8,1639−1654(1995)
本発明におけるプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体(A)は、成分(A1)と(A2)各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン触媒を用いて製造されることで各々の結晶性分布が狭くなっていることから双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより精度良く分別することが可能である。
TREF溶出曲線(温度に対する溶出量のプロット)において、成分(A1)と(A2)は結晶性の違いにより各々高温側にT(A1)と低温側にT(A2)にその溶出ピークを示し、その差は十分大きいため、中間の温度T(A3)(={T(A1)+T(A2)}/2)においてほぼ分離が可能である。
なお、TREF溶出曲線の実例(実施例における重合体製造例−A1の溶出曲線)が図1に例示されており、温度T℃に対する溶出量H及び積算溶出量Wがグラフ化されている。
また、TREF測定温度の下限は、本測定に用いた装置では−15℃であるが、成分(A2)の結晶性が非常に低いあるいは非晶性成分の場合には本測定方法において、測定温度範囲内にピークを示さない場合がある。(このとき測定温度下限(すなわち−15℃)において溶媒に溶解した成分(A2)の濃度は検出される。)
この場合には、T(A2)は測定温度下限以下に存在するものと考えられるが、その値を測定することができないため、このような場合にはT(A2)を測定温度下限である−15℃と定義する。
ここで、T(A3)までに溶出する成分の積算量をW(A2)wt%、T(A3)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)wt%と定義すると、W(A2)は結晶性が低いあるいは非晶性の成分(A2)の量とほとんど対応しており、T(A3)以上で溶出する成分の積算量W(A1)は結晶性が比較的高い成分(A1)の量とほぼ対応している。
(4−2)TREF測定方法
本発明においては、具体的には以下のように測定を行う。試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLBHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
(4−3)各成分中のエチレン含量E(A1)とE(A2)の特定
イ.成分(A1)と(A2)の分離
先のTREF測定により求めたT(A3)を基に、分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により、T(A3)における可溶成分の成分(A2)と、T(A3)における不溶成分の成分(A1)とに分別し、NMRにより各成分のエチレン含量を求める。
昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecukes 21 314〜319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、本発明において以下の方法を用いた。
ロ.分別条件
直径50mm、高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(A3)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(A3)に保持したまま、T(A3)のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(A3)で可溶な成分を溶出させ回収する。
さらに、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、T(A3)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮された後、5倍量のメタノール中に析出される。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
ハ.13C−NMRによるエチレン含量の測定
上記の分別により得られた成分(A1)と(A2)のそれぞれについてのエチレン含有量は、プロトン完全デカップリング法により以下の条件に従って測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求める。
機種: 日本電子(株)製 GSX−400または同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒: o−ジクロルベンゼン:重ベンゼン=4:1(体積比)
濃度: 100mg/mL
温度: 130℃
パルス角: 90°
パルス間隔:15秒
積算回数: 5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17 1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は下表の通りである。表中Sαα等の記号は、Carmanら(Macromolecules 10 536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 0004359517
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEE、およびEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度と、スペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) (1)
[PPE]=k×I(Tβδ) (2)
[EPE]=k×I(Tδδ) (3)
[PEP]=k×I(Sββ) (4)
[PEE]=k×I(Sβδ) (5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} (6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。したがって、
[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 (7)
である。また、k は定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりエチレン含有量が求まる。
エチレン含有量(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、本発明のプロピレンランダム共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合及び/又は1,3−結合)が含まれ、それにより、以下の微小なピークを生じる。
Figure 0004359517
正確なエチレン含有量を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、本発明のエチレン含有量は実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ系触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
エチレン含有量のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う
エチレン含有量(重量%)=(28×X/100)/{28×X/100+42×(1−X/100)}×100
なお、Xはモル%表示でのエチレン含有量である。
ここで、ブロック共重合体全体のエチレン含量E(W)は、上記より測定された成分(A1)と(A2)それぞれのエチレン含量E(A1)とE(A2)及びTREFより算出される各成分の重量比率W(A1)とW(A2)wt%から以下の式により算出される。
E(W)={E(A1)×W(A1)+E(A2)×W(A2)}/100 (wt%)
(5)TREF溶出曲線による結晶性分布の付加的要件
各成分の量を特定するために用いたTREF溶出曲線を用いることで、本発明の成分(A)の結晶性分布において付加的な特徴を見出すことができる。
(5−1)溶出ピーク温度T(A1)
TREF溶出曲線における成分(A1)の溶出ピーク温度T(A1)が高いほど、成分(A1)は結晶性が高くなるが、このとき、成分(A1)の結晶性が高くなるとブロック共重合体(A)の柔軟性と透明性を改良するために必要な成分(A2)を多くしなくてはならない。
一方で、成分(A2)の割合が多くなりすぎるとベタツキや耐熱性の悪化が生じるため、柔軟性、透明性とのバランスを向上させるためには、T(A1)は高過ぎないほうがよい。さらにT(A1)が高すぎると、ブロック共重合体の結晶融解温度が高くなり、特にカレンダー成形などの低温での成形性が悪化する。
ここで、本発明において成分(A1)はエチレンを含むランダム共重合体であり、T(A1)はエチレン含量の増加により低下させることが出来るが、十分な柔軟性と透明性、耐熱性のバランスを発揮するためには、T(A1)は96℃以下であることが好ましく、最も好ましい範囲は88℃以下である。
一方、ピーク温度T(A1)が65℃未満である場合には、成分(A1)の結晶が融解する温度は低く、ブロック共重合体が十分な耐熱性を発揮することができないため、本発明においては、ピーク温度T(A1)は65℃以上であることが好ましく、より好ましくは、70℃以上である。
(5−2)溶出終了温度T(A4)
T(A1)が低くとも高結晶側に結晶性分布を持つ場合には透明性の悪化が生じる。この原因は定かではないが、高結晶側に結晶性分布があると結晶構造の密度が増加し非晶部との密度差が増大する、あるいは、核生成頻度が低下し球晶サイズが増大するためと推察される。
そこで、TREF溶出曲線において高温側への結晶性の広がりは抑制されることが好ましい。この高結晶側へ結晶性の広がりはTREF測定により評価可能であり、ピーク温度T(A1)に対し、成分(A)全体の溶出終了温度T(A4)(但し、TREF測定における誤差を考えると全て溶出する温度を定義することは困難であるので、本発明においては全体の99wt%が溶出する温度を溶出終了温度T(A4)と定義する)は高くないほうが好ましく、高温側に溶出成分があるとその成分の結晶化度が増加してしまうので、本発明の好ましい要件としてT(A4)は98℃以下、より好ましくは90℃以下である。
さらに、溶出ピークから終了までの温度差ΔT(T(A4)−T(A1))は好ましくは5℃以下、より好ましくは4℃以下、さらに好ましくは3℃以下の範囲にあればよい。
(5−3)溶出ピーク温度T(A2)
成分(A2)の結晶性が十分に低下していないとブロック共重合体成分(A)の柔軟性と透明性を確保することができないため、T(A2)は好ましくは45℃以下、より好ましくは40℃以下である。
(5−4)溶出量の比H(A3)/H(A1)
成分(A1)と(A2)の中間的な結晶性を持つ成分が多いと、双方が共結晶化することで耐熱性の悪化を示す場合があるため、両者の中間的な成分は少ない方がよい。
ここで、双方の中間的な成分の割合は、T(A1)とT(A2)の中間の温度T(A3)における溶出量H(A3)dwt%/dTと、T(A1)における溶出量H(A1)dwt%/dTの比H(A3)/H(A1)によって評価可能であり、本発明においてはH(A3)/H(A1)は0.1以下であることが好ましい。
(6)固体粘弾性測定
(6−1)tanδ曲線のピークによる規定
本発明においては、透明性を発揮するために、固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することが必要である。
成分(A)が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは複数となる。この場合には、透明性が顕著に悪化するという問題が生じる。
相分離構造を取っているかどうかは、固体粘弾性測定における温度−損失正接(tanδ)曲線において判別可能であり、成形品の透明性を左右する相分離構造の回避は、tanδ曲線が0℃以下に単一のピークを有することによりもたらされる。
なお、tanδ曲線のピークのこれらの実例が図2〜図3に、実施例−1と比
較例−6における例として示されている。
(6−2)測定法
固体粘弾性測定とは、具体的には、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。ここでは周波数は1Hzを用い測定温度は−60℃から段階状に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。また、歪みの大きさは0.1〜0.5%程度が推奨される。得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率と損失弾性率を求め、これの比で定義される損失正接(=損失弾性率G’’/貯蔵弾性率G’)を温度に対してプロットすると0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。
なお、一般に、0℃以下でのtanδ曲線のピークは非晶部のガラス転移を観測するものであり、ここでは本ピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)として定義する。
(7)分子量
(7−1)分子量の規定
本発明におけるブロック共重合体成分(A)は、低分子量成分が少ないことを付加的な特徴とする。低分子量成分、特に、その分子量が絡み合い点間分子量に満たない成分は、成形体の表面にブリードアウトし、ベタツキ性や透明性などを悪化させると考えられる。
ポリプロピレンの絡み合い点間分子量は、Journal of Polymer Science:Part B:Polyer Physics;37 1023−1033(1999)に記載されるように、約5,000である。
したがって、本発明におけるブロック共重合体は、低分子量成分が少なく、重量平均分子量が5,000以下の成分量は、好ましくは0.8wt%以下、より好ましくは0.5wt%以下であることを特徴とする。
重量平均分子量の下限は、特にないが、Mw≦5,000の成分が0.8wt%を超えない範囲において、あまり分子量を低くしすぎると、成形性の問題や強度の低下が生じるため、100,000以上の範囲にあることが好ましい。上限は400,000であり、これ以上では成形性などが低下する。
(7−2)分子量測定
本発明においては、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定したものをいう。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。
較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する、粘度式の[η]=K×Mα は以下の数値を用いる。
PS : K=1.38×10−4 α=0.7
PE : K=3.92×10−4 α=0.733
PP : K=1.03×10−4 α=0.78
なお、GPCの測定条件は以下の通りである。
装置 : WATERS社製 GPC(ALC/GPC 150C)
検出器 : FOXBORO社製 MIRAN 1A IR検出器(測定波長 :3.42μm)
カラム : 昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒: o−ジクロロベンゼン
測定温度: 140℃
流速 : 1.0ml/分
注入量 : 0.2ml
試料の調製 試料はo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
GPC測定により得られた分子量に対する溶出割合のプロットから、分子量5,000以下の成分量も求めることができる。
(8)固有粘度[η]cxs
ブロック共重合体成分(A)において、ベタツキやブリードアウトが特に問題となるのは、常温のキシレンに可溶な成分(CXS成分)であるため、固有粘度[η](dl/g)の測定は、CXS成分に対して行うことが好ましい。
ここで、CXS成分は、ブロック共重合体をp−キシレンに130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置し、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させることにより得られ、得られたCXS成分の固有粘度[η]cxsを、デカリンを溶媒として用い、温度135℃でウベローデ型粘度計を用いて測定することができる。
このとき、本発明のブロック共重合体は、ブリードアウトしやすい分子量5,000以下の成分の生成を増加させることが無いため、従来のチーグラー・ナッタ系触媒では、製造上の問題やブロッキングなどの悪化により実用上問題のあった、CXS成分の固有粘度[η]cxsが2以下の領域であっても、格別な物性の悪化を引き起こすことなく、製造し利用することができる。
このようなCXS成分の固有粘度を下げながら分子量5,000以下の成分を増加させないブロック共重合体は、引張破断伸びが大きく、引張破断強度が高いという物性面での特徴を持ち、さらに、ブツやフィッシュアイと称される外観不良の発生が少ないという効果を示す。
3.プロピレン−エチレンランダムブロック重合体成分(A)の製造方法につい

(1)メタロセン系触媒による重合
本発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)を製造する方法は、メタロセン系触媒の使用を必須とするものである。
プロピレン−エチレンランダム共重合体において分子量及び結晶性分布が広いとベタツキやブリードアウトが悪化することは当業者に広く知られるところであるが、本発明に用いられるブロック共重合体成分(A)においても、ベタツキ及びブリードアウトを抑制するために、分子量及び結晶性分布の狭いメタロセン系触媒を用いて重合されることが必要であり、チ−グラー・ナッタ系触媒では本発明の優れたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体が得られないのは、後述の実施例と比較例との対比からも明らかである。
チーグラー・ナッタ系触媒では、チーグラー・ナッタ系触媒は活性点の種類が複数あるため、生成したプロピレン−エチレン共重合体の結晶性及び分子量分布が広く、低結晶・低分子量成分を多く生成することで、製品のベタツキやブリードアウトが強く見られ、ブロッキングや外観不良などの問題が発生しやすいという欠点を有しており、また、分子量を増加させても低結晶性成分の生成は抑制され難いため、透明性が充分でなく、エラストマーの分子量が高いことでブツやフィッシュアイなどと称される外観不良が発生しやすくなり、押出成形性が悪化するため造粒工程で有機過酸化物を用いなくてはならないなどの多くの問題を有している。
(2)メタロセン系触媒
メタロセン系触媒の種類は、本発明の性能を有する共重合体を生成できる限りは、特に限定はされるものではないが、本発明の要件を満たすために、例えば、下記に示すような成分(a)と(b)及び必要に応じて使用する成分(c)からなるメタロセン系触媒を用いることが好ましい。
成分(a):一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物
成分(b):下記(b−1)〜(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成

(b−1)有機アルミオキシ化合物が担持された微粒子状担体、
(b−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能
なイオン性化合物またはルイス酸が担持された微粒子状担体
(b−3)固体酸微粒子
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
成分(c):有機アルミニウム化合物。
(2−1)成分(a)
成分(a)としては、下記一般式(1)で表される遷移金属化合物から選ばれる少なくとも1種のメタロセン遷移金属化合物を使用することができる。
Q(C−aR)(C−bR)MeXY (1)
[ここで、Qは2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を示し、Meはチタン、ジルコニウム、ハフニウムから選ばれる金属原子を示し、XおよびYは水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示し、XおよびYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていても良い。R、Rは水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基を示す。a 及びb は置換基の数である。]
詳しくは、Qは2つの共役五員環配位子を架橋する2価の結合性基を表し、例えば、2価の炭化水素基、シリレン基ないしオリゴシリレン基、炭化水素基を置換基として有するシリレン基あるいはオリゴシリレン基、又は炭化水素基を置換基として有するゲルミレン基などが例示される。この中でも好ましいものは2価の炭化水素基と炭化水素基を置換基として有するシリレン基である。
XおよびYは、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、アルコキシ基、アミノ基、窒素含有炭化水素基、リン含有炭化水素基またはケイ素含有炭化水素基を示し、このうちで好ましいものとしては、水素、塩素、メチル、イソブチル、フェニル、ジメチルアミド、ジエチルアミド基などを例示することができる。X及びYは、それぞれ独立に、すなわち同一でも異なっていても良い。
とRは、水素、炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基を表す。炭化水素基としては、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、フェニル基、ナフチル基、ブテニル基、ブタジエニル基などが例示される。また、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、または、リン含有炭化水素基としては、メトキシ基、エトキシ基、フェノキシ基、トリメチルシリル基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ピラゾリル基、インドリル基、ジメチルフォスフィノ基、ジフェニルフォスフィノ基、ジフェニルホウ素基、ジメトキシホウ素基などを典型的な例として例示できる。これらの中で、炭素数1〜20の炭化水素基であることが好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基であることが特に好ましい。
ところで、隣接したRとRは、結合して環を形成してもよく、この環上に炭化水素基、ハロゲン化炭化水素基、ケイ素含有炭化水素基、窒素含有炭化水素基、酸素含有炭化水素基、ホウ素含有炭化水素基、又は、リン含有炭化水素基からなる置換基を有していてもよい。
Meは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの中から選ばれる金属原子であり、好ましくはジルコニウム、ハフニウムである。
以上において記載した成分(a)の中で、本発明のプロピレン系重合体の製造に好ましいものは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基あるいはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物であり、特に好ましくは、炭化水素置換基を有するシリレン基、あるいはゲルミレン基で架橋された2,4−位置換インデニル基、2,4−位置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物である。
非限定的な具体例としては、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチルベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−イソプロピル−4−(3,5−ジイソプロピルフェニル)インデニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−プロピル−4−フェナントリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−エチル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(2−イソプロピル−4−フェニルアズレニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロビフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−t−ブチル−3−クロロフェニル)アズレニル}ジルコニウムジクロリドなどがあげられる。これらの具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、ジルコニウムをハフニウムに置き換えた化合物も好適な化合物として例示される。なお、触媒成分は本発明の重要要素ではないので、煩雑な列記を避け、代表的な例示に限定しているが、これにより本発明の有効範囲が制限されることが無いのは自明のことである。
(2−2)成分(b)
成分(b)としては、上述した成分(b−1)〜成分(b−4)から選ばれる少なくとも1種の固体成分を使用する。これらの各成分は公知のものであり、公知技術の中から適宜選択して使用することができる。その具体的な例示や製造方法については、特開2002−284808公報、特開2002−53609号公報、特開2002−69116号公報、特開2003−105015号公報などに詳細な例示がある。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)に用いられる微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
また、成分(B)の非限定的な具体例としては、成分(b−1)として、メチルアルモキサン、イソブチルアルモキサン、メチルイソブチルアルモキサン、ブチルボロン酸アルミニウムテトライソブチルなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−2)として、トリフェニルボラン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボラン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、トリフェニルカルボニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが担持された微粒子状担体を、成分(b−3)として、アルミナ、シリカアルミナ、塩化マグネシウムなどを、成分(b−4)として、モンモリロナイト、ザコウナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト、ベントナイト、テニオライトなどのスメクタイト族、バーミキュライト族、雲母族などが挙げられる。これらは、混合層を形成しているものでもよい。
上記成分(b)の中で特に好ましいものは、成分(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩であり、さらに好ましい物は、酸処理、アルカリ処理、塩処理、有機物処理などの化学処理が施されたイオン交換性層状珪酸塩である。
(2−3)成分(c)
必要に応じて成分(c)として用いられる有機アルミニウム化合物の例は、
一般式 AlR3−a
(式中、Rは、炭素数1から20の炭化水素基、Xは水素、ハロゲン、アルコキシ基、aは0<a≦3の数)で示されるトリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウムまたはジエチルアルミニウムモノクロライド、ジエチルアルミニウムモノメトキシドなどのハロゲンもしくはアルコキシ含有アルキルアルミニウムである。またこの他に、メチルアルミノキサンなどのアルミノキサン類なども使用できる。これらのうち特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。
(2−4)触媒の形成
成分(a)と成分(b)及び必要に応じて成分(c)を接触させて触媒とする。その接触方法は特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時又はオレフィンの重合時に行ってもよい。
1)成分(a)と成分(b)を接触させる
2)成分(a)と成分(b)を接触させた後に成分(c)を添加する
3)成分(a)と成分(c)を接触させた後に成分(b)を添加する
4)成分(b)と成分(c)を接触させた後に成分(a)を添加する
その他、三成分を同時に接触させてもよい。
本発明で使用する成分(a)と(b)及び(c)の使用量は任意である。例えば、成分(b)に対する成分(a)の使用量は、成分(b)1gに対して、好ましくは0.1μmol〜1,000μmol、特に好ましくは0.5μmol〜500μmolの範囲である。成分(b)に対する成分(c)の使用量は、成分(c)1gに対し、好ましくは遷移金属の量が0.001〜100μmol、特に好ましくは0.005〜50μmolの範囲である。したがって、成分(a)に対する成分(c)の量は、遷移金属のモル比で、好ましくは10−5〜50、特に好ましくは10−4〜5の範囲内である。
本発明の触媒は、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すことが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用することが好ましい。オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。予備重合温度と時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(b)に対し、好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行うことも可能である。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
(3)重合方法
(3−1) 逐次重合
本発明の成分(A)を製造実施するに際しては、結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)と低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を逐次重合することが必要である。
ここで、成分(A)が単にプロピレンにエチレンを共重合させたランダム共重合体のときには、エチレン含量が少ない場合には柔軟性と透明性が十分でなく、柔軟性と透明性を向上させるためにエチレン含量を増加させると耐熱性が悪化し、これらの全てを満たすことは困難である。
そして、結晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)と、低結晶性あるいは非晶性のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)を、別々に製造して機械的に混合する従来の方法では、本発明の目指す良好なブロック共重合体の性能が得られないので、本発明のブロック共重合体の製造では逐次重合法に、とりわけ逐次多段重合法に特定される。
そこで、本発明において成分(A)は、第1工程と第2工程でエチレン含量が異なる成分を逐次重合したブロック共重合体であることが、透明性と柔軟性及び耐熱性全てをバランスさせるために必要である。
また、本発明は成分(A2)として分子量が低く単独ではべたつきやすい共重合体を用いる場合があるので、反応器への付着などの問題を防止する為に、成分(A1)を重合した後で成分(A2)を重合する方法を用いることが必要である。
逐次重合を行う際には、バッチ法と連続法のいずれを用いることも可能であるが、一般的には生産性の観点から連続法を用いることが望ましい。
バッチ法の場合には時間と伴に重合条件を変化させることにより単一の反応器を用いて成分(A1)と成分(A2)を個別に重合することが可能である。本発明の効果を阻害しない限り、複数の反応器を並列に接続して用いてもよい。
連続法の場合には成分(A1)と成分(A2)を個別に重合する必要から2個以上の反応器を直列に接続した製造設備を用いる必要があるが、本発明の効果を阻害しない限り成分(A1)と成分(A2)のそれぞれについて複数の反応器を直列及び/又は並列に接続して用いてもよい。
(3−2)重合プロセス
重合プロセス(重合方法)としては、スラリー法、バルク法、気相法など任意の重合方法を用いることができる。バルク法と気相法の中間的な条件として超臨界条件を用いることも可能であるが、実質的には気相法と同等であるため、特に区別することなく気相法に含める。
低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)は炭化水素などの有機溶媒や液化プロピレンに溶けやすいため、成分(A2)の製造に際しては気相法を用いることが望ましい。
結晶性プロピレン-エチレンランダム共重合体成分(A1)の製造に対してはどのプロセスを用いても特に問題はないが、比較的結晶性の低い成分(A1)を製造する場合には、付着などの問題を避けるために気相法を用いることが望ましい。
したがって、連続法を用いて、まず結晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)をバルク法もしくは気相法にて重合し、引き続き低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体エラストマー成分(A2)を気相法にて重合することが最も望ましい。
(3−3)その他の重合条件
重合温度は通常用いられている温度範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0℃〜200℃、より好ましくは40℃〜100℃の範囲を用いることができる。
重合圧力は選択するプロセスによって差異が生じるが、通常用いられている圧力範囲であれば特に問題なく用いることができる。具体的には、0より大きく200MPaまで、より好ましくは0.1MPa〜50MPaの範囲を用いることができる。この際、窒素などの不活性ガスを共存させることもできる。
第一工程で成分(A1)、第二工程で成分(A2)の逐次重合を行う場合、第二工程にて系中に重合抑制剤を添加することが望ましい。プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する場合には、第二工程のエチレン−プロピレンランダム共重合を行う反応器に重合抑制剤を添加すると、得られるパウダーの粒子性状(流動性など)やゲルなどの製品品質を改良することができる。この手法については各種技術検討がなされており、一例として特公昭63−54296号、特開平7−25960号、特開2003−2939号などを例示することができる。本発明にも当該手法を適用することが望ましい。
4.成分(A)の構成要素の制御方法について
本発明の樹脂組成物において用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体成分(A)の各要素は以下のように制御され、本発明の成分(A)に必要とされる構成要件を満たすよう製造することができる。
(1)成分(A1)
結晶性プロピレン-エチレンランダム共重合体成分(A1)については、エチレン含量E(A1)とT(A1)を制御する必要がある。
本発明では、E(A1)を所定の範囲に制御するためには、第1工程における重合槽に供給するプロピレンとエチレンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン−エチレンランダム共重合体中のエチレン含量の関係は、用いるメタロセン触媒の種類によって異なるが、供給比率の調整により必要とするエチレン含量E(A1)を有する成分(A1)を製造することができる。例えば、E(A1)を0〜7wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0〜0.3の範囲、好ましくは0〜0.2の範囲とすれば良い。
このとき、成分(A1)は結晶性分布が狭く、T(A1)はE(A1)の増加に伴い低下する。
そこで、T(A1)が本発明の範囲を満たすようにするためには、E(A1)とこれらの関係を把握し、目標とする範囲を取るよう調整する。
(2)成分(A2)
低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)については、エチレン含量E(A2)とT(A2)と[η]cxsを制御する必要がある。
本発明では、E(A2)を所定の範囲に制御するためには、E(A1)と同様に、第二工程におけるプロピレンに対するエチレンの供給量比を制御すれば良い。例えば、E(A2)を5〜20wt%に制御する場合には、プロピレンに対するエチレンの供給重量比を0.01〜5の範囲、好ましくは0.05〜2の範囲とすれば良い。このとき、成分(A2)もエチレン含量の増加に伴い若干結晶性分布の増加が見られるものの、成分(A1)と同様に、T(A2)はE(A2)の増加に伴い低下する。
そこで、T(A2)が本発明の範囲を満たすようにするためには、E(A2)とT(A2)との関係を把握し、E(A2)を所定の範囲になるように制御すればよい。
(3)W(A1)とW(A2)
成分(A1)の量W(A1)と成分(A2)の量W(A2)は、成分(A1)を製造する第一工程の製造量と成分(A2)の製造量の比を変化させることにより制御することができる。例えば、W(A1)を増やしてW(A2)を減らすためには、第一工程の製造量を維持したまま第二工程の製造量を減らせばよく、それは、第二工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより容易に制御することができる。その逆も又同様である。
実際に条件を設定する際には、活性減衰を考慮する必要がある。すなわち、本発明にて実施するエチレン含有量E(A1)及びE(A2)の範囲においては、一般にエチレン含有量を高くするためにプロピレンに対するエチレン供給量比を高くすると重合活性が高くなり、同時に活性減衰が大きくなる傾向にある。したがって、第二工程の活性を維持するために第一工程の重合活性を抑制する必要があり、具体的には、 第一工程にてエチレン含有量E(A1)を下げ、生産量W(A1)を下げ、必要に応じて、重合温度を下げる及び/又は重合時間(滞留時間)を短くする、あるいは第二工程にてエチレン含有量E(A2)を上げ、生産量W(A2)を上げ、必要に応じて、重合温度を上げる及び/又は重合時間(滞留時間)を長くするような方法で条件を設定すればよい。
(4)ガラス転移温度Tg
本発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)では、段落0042において記述したガラス転移温度Tgは、単一のピークを持つ必要がある。Tgが単一のピークを持つためには、成分(A1)中のエチレン含有量E(A1)と成分(A2) 中のエチレン含有量E(A2)の差の[E]gap(=E(A2)−E(A1))を20wt%以下、好ましくは18wt%、より好ましくは16wt%以下にし、実際の測定においてTgが単一のピークとなる範囲までE(gap)を小さくすればよい。
結晶性の共重合体成分(A1)のエチレン含有量E(A1)に応じて、低結晶性あるいは非晶性の共重合体成分(A2)のエチレン含量E(A2)を適正範囲に入るよう、成分(A2)の重合時のプロピレンに対するエチレンの供給重量比を設定することで、所定の[E]gapを有する重合体を得ることが可能となる。
また、本発明のような相分離構造を取らないブロック共重合体のTgは、成分(A1)中のエチレン含有量E(A1)と成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)、及び両成分の量比の影響を受ける。本発明においては、成分(A2)の量は30〜70wt%であるが、この範囲においてTgは成分(A2)中のエチレン含有量E(A2)の影響をより強く受ける。
すなわち、Tgは非晶部のガラス転移を反映するものであるが、本発明のブロック共重合体成分(A)において成分(A1)は結晶性を持ち比較的非晶部が少ないのに対し、成分(A2)は低結晶性あるいは非晶性であり、その殆どが非晶部であるためである。
したがって、Tgの値は、ほぼE(A2)によって制御され、E(A2)の制御法は段落0061に前述したとおりである。
(5)分子量Mw
本発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体では、透明性を維持する必要上、結晶性の共重合体成分(A1)と低結晶性あるいは非晶性の共重合体エラストマー成分(A2)の相溶性をある程度高くしているために、成分(A1)の粘度[η]A1、成分(A2)の粘度[η]A2、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)全体の粘度[η]Wの間には、見かけ上の粘度の混合則が概ね成立する。すなわち、
Log[η]W={W(A1)×Log[η]A1+W(A2)×Log[η]A2}/100
が概ね成立する。一般にMwと[η]の間には一定の相関があるから、最初に柔軟性や耐熱性などの観点から、[η]A2、W(A1)、W(A2)を設定しておけば、上記の式に従って[η]A1を変化させることによって、Mwを自在に制御することができる。
(6)H(A3)とT(A4)について
H(A3)とT(A4)は、共に結晶性分布を示す指標である。成分(A1)の結晶性分布が狭いほどT(A4)はT(A1)に近くなり(低くなり)、成分(A1)と成分(A2)の結晶性分布が共に狭く、両成分の結晶性の違いが大きいほどH(A3)は小さな値を取る。つまりH(A3)を小さく、T(A4)を低く制御することは、成分(A1)と成分(A2)の結晶性分布を狭く制御することに他ならない。
一般的には、メタロセン系触媒を用いることにより、チーグラー・ナッタ系触媒を用いる場合より、結晶性分布の狭いポリマーを得ることができるが、本発明のような逐次重合を行う系においては、結晶性分布を狭くするためにはメタロセン系触媒を用いるだけでは必要十分ではない。
最終的なプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を望ましい物性を持ったものに調整するためには、成分(A1)と成分(A2)はそれぞれ異なった特定のポリマー組成を有する必要がある。つまり、第一工程と第二工程ではそれぞれのポリマー組成に対応する重合条件、特にモノマーガス組成をそれぞれ異なる特定の値に保つ必要がある。したがって、採用するプロセスにおいて成分(A2)の結晶性分布が広い場合は、第一工程から、第一工程に対応する特定のモノマーガス混合物を第二工程に持ち込まないように、移送工程を調整するなどの工夫も必要である。具体的には、移送工程に於けるパージ量を増加し、あるいは窒素などの不活性ガスで希釈もしくは置換することにより、成分(A2)の結晶性分布を狭くすることができる。すなわち、移送工程を調整することにより、H(A3)を小さく制御することができる。
(7)W(Mw≦5,000)
W(Mw≦5,000)を小さく制御する方法も上記と同様の方法を用いることにより可能となる。一般的に、メタロセン系触媒を用いることによりチーグラー・ナッタ系触媒の場合より分子量分布の狭いポリマーを得ることができる。しかし、本発明のような逐次重合を行う系においては、分子量分布を狭くするためにはメタロセン系触媒を用いるだけでは必ずしも十分ではない。特に、低分子量成分の生成を防ぐためには、第一工程から第二工程へ移送する時間を短くしたり、移送工程に於いて第一工程に対応するモノマーガス混合物を窒素などの不活性ガスで完全に置換したりすることにより、重合条件とは独立に、W(Mw≦5,000)を小さく制御することができる。
(8)固有粘度[η]cxs
[η]cxsについては、本発明のブロック共重合体成分(A)はメタロセン触媒を用いることで、成分(A1)中にほとんどCXS成分を含まないため、成分(A2)の分子量を変化させることにより制御することができる。
[η]cxsを制御するためには、常法通り第二工程におけるモノマーに対する水素の供給量比を制御すればよい。また、一般にメタロセン触媒は重合温度が高いほど得られるポリマーの分子量が低くなる傾向があるため、重合温度を変化させることによっても[η]cxsを制御することが可能である。また、水素供給量比と重合温度の両方を組み合わせて[η]cxsを制御することもできる。
5.透明化核剤(B)について
本発明の樹脂組成物で用いる透明化核剤は、樹脂組成物の必須成分となる重要な構成要素である。
透明化核剤は、造核剤や核剤ともいわれ、段落0006に前述したように、ポリマーの透明性を向上させるために従来から広く用いられているが、透明性の向上がなされても、柔軟性などの他の性質が損なわれたりして、必ずしも良好な機能が果たされてはいない。ポリプロピレン系樹脂に対しては、透明性改良効果は大きいものの、同時に剛性の上昇が過度となってしまい、柔軟性が損なわれるし、エチレン−α−オレフィン共重合体エラストマーに対しては一般に透明性改良効果は低く、特に耐熱性を維持しながら透明性を充分に改良することは達成されているとはいえない。本発明においては、特定のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体と透明化造核剤とを組み合わせることにより、柔軟性や耐熱性を維持しながら透明性を充分に改良することが達成された。
透明化核剤は各種のものが市販されており、代表的なものは融解型のソルビトール系化合物と、非融解型の安息香酸塩などである。
本発明の樹脂組成物においては、(A)プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体100重量部に対し、(B)透明化核剤0.01〜2重量部を配合される。
0.01重量部未満では透明化の効果が不足し、2重量部を超えると核生成頻度の増加による透明改良効果よりも核剤自体が光を遮断あるいは散乱することで透明性を悪化させるだけでなく、核剤の凝集によりブツが生じたり、においを悪化させるという問題が生じる。
本発明の樹脂組成物で用いる透明化核剤の具体例としては、2,2´−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3,2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d ,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルモニウム塩(旭電化 商品名NA21)、ロジンの金属塩などを挙げることができる。
これらの中でも1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d ,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルモニウム塩、ロジンのナトリウム塩が好ましい。
これらのうち、ロジンの金属塩はロジン類と金属化合物との反応により製造された反応混合物である。
上記のロジン類としては、生松ヤニを水蒸気蒸留してテレピン油を除いたガムロジン、トール油ロジンあるいは松の根株や松材を溶剤で抽出するか時にはアルカリ液で抽出し酸性にして得たウッドロジンなどの天然ロジンあるいはこれらを変性した、不均化ロジン、水素化ロジン、脱水素化ロジン、重合ロジン、α,β−エチレン不飽和カルボン酸変性ロジンなどの各種変性ロジンあるいはこれらを精製した精製ロジンを挙げることができる。
上記のロジン類は、ピマル酸、サンダラコピマル酸、パラストリン酸、イソピマル酸、アビエチン酸、デヒドロアビエチン酸、ネオアビエチン酸、ジヒドロピマル酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラヒドロアビエチン酸などから選ばれる樹脂酸を複数含んでいる。具体的には、一般にアビエチン酸30〜40重量%、ネオアビエチン酸10〜20重量%、ジヒドロアビエチン酸14重量%、デヒドロアビエチン酸14重量%、d−ピマル酸8重量%、イソ−d−ピマル酸8重量%、テトラヒドロアビエチン酸5重量%、レボピマル酸0.1重量%からなる樹脂酸成分80〜97重量%と不鹸化物とその他少量とから構成されるものである。
上記のロジン類は不飽和結合が存在し、熱安定性が不十分なため、これを防止する目的で、水素により還元した飽和型ロジン(水素化ロジン)とすることもできる。
上記のロジン類と金属塩を形成する金属としては、1〜3価の金属イオンであり、具体的にはアルカリ金属、アルカリ土類金属、アルミニウムなどの金属を挙げることができる。中でも好適な金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウムなどの1価の金属イオン、べリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、亜鉛などの2価の金属イオン、アルミニウムなどの3価の金属イオンを挙げることができる。これらの中でもリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウムを用いることが好ましい。
上記のロジン類と金属とから形成される金属塩としては、上記ナトリウム、カリウム、マグネシウムなどの1〜3価の金属元素を有し、かつ前記ロジン類と造塩する化合物であり、具体的には、1〜3価の金属の塩化物、硝酸塩、酢酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酸化物などを挙げることができる。これらロジン類の金属塩の中でもナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩から選ばれる少なくとも一種のロジン類の金属塩を用いることが好ましく、さらに水素化ロジンの金属塩、不均化ロジンの金属塩、脱水素化ロジンの金属塩から選ばれる少なくとも一種のロジン類の金属塩を用いることが好ましい。上記のロジン類と1〜3価の金属とは、通常、40〜150℃程度、好ましくは50〜120℃の温度において溶媒中で混合することにより反応が進行して、ロジン類の金属塩を含む反応混合物が得られる。上記のロジン類と1〜3価の金属との反応率は、50%以下のものが配合量見合いで効果が高く、好ましい。上記のロジン類の金属塩としては、例えば、ロジンのナトリウム塩として荒川化学工業社製「パインクリスタル KM1300」として市販されている。
6.付加的成分(添加剤)について
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物においては、上記成分(A)と(B)に加えて、付加的成分(任意成分)を本発明の効果を著しく損なわない範囲内で配合することもできる。
この付加的成分としては、従来公知のポリオレフィン樹脂用配合剤として使用されるフェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤といった各種添加剤を加えることができる。
これら添加剤の配合量は、一般に0.0001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
上記のフェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
上記の燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
上記の硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
上記の中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学(株)製)などを挙げることができる。
上記のヒンダードアミン系の安定剤の具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
上記の滑剤の具体例としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスステアロイドなどの高級脂肪酸アミド、シリコンオイル、高級脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
上記の帯電防止剤としては、高級脂肪酸グリセリンエステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミド脂肪酸モノエステルなどを挙げることができる。
これらの付加的成分は、重合により得られた本発明の各成分中に直接添加し溶融混練して使用することも可能であるし、溶融混練中に添加してもよい。さらには溶融混練後に直接添加、あるいは、本発明の効果を著しく損なわない範囲においてマスターバッチとして添加することも可能である。また、これらの複合的な手法により添加してもよい。
一般的には、酸化防止剤や中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の樹脂、あるいは、その他の付加的成分(マスターバッチを含む)を添加し使用することも可能である。
上記の混合、溶融、混練は、従来公知のあらゆる方法を用いることができるが、通常、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の混練押出機にて実施することができる。これらの中でも一軸又は二軸の混練押出機により混合あるいは溶融混練を行うことが好ましい。
7.本発明の用途及び成形法について
(1)用途
本発明のプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体は、極めて透明性が高く、柔軟性と耐熱性のバランスに優れ、さらに耐熱性を有しながら比較的低い温度での成形加工が可能であり、ベタツキやブリードが抑制されるという特徴を持つため、フィルム、シート、各種容器、各種成型品、各種被覆材に好適である。
特に、フィルムやシートにおいてはブリードが抑制され、ベタツキ感が顕著に低減されることでブロッキングが発生しにくく、外観がよいため好適である。
また、各種包装材や容器として用いられる場合には、内容物が極めて鮮明に目視することが出来、沸騰状態での殺菌にも耐え、さらに、ブリードによる内容物汚染が小さく、食品や医療及び産業用の各分野に好適である。成型品としても、同様に好適に用いることができる。
(2)成形法
これらの各種製品の成形方法としては、公知の成形法を制限なく用いることができる。フィルムやシートの成形法の例としては、空冷インフレーション成形、水冷インフレーション成形、Tダイによる無延伸成形、一軸延伸成形、二軸延伸成形、カレンダー成形などを用いることができる。
また、これらフィルムやシートとして使用する場合に、多層構成中の層としての使用も可能である。すなわち、その柔軟性を生かし中間層に使用することも可能であるし、ベタツキやブリードアウトが無く強度に優れ低温での成形が可能である点を生かし表面層としての使用も可能である。
容器成形としては、熱板成形、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、ブロー成形、延伸ブロー成形、射出成形などを用いることができる。成型品は通常の射出成型はもちろん、インサート成型、サンドイッチ成型、ガスアシスト成型などを行うことができるし、プレス成形、スタンピングモールド、回転成型などを行うこともできる。これらの成形体は、耐熱性を有するため、熱水による殺菌や比較的高い温度での使用に好適であり、単に変形を生じないだけでなく、熱を加えた際にブリードアウトによる透明性の悪化が生じないという特徴を有する。
本発明をさらに具体的に説明するために、以下に実施例及び比較例を掲げて説明するが、本発明をより明確にするために好適な実施の例などを記述するものであって、本発明はこれらの実施例によりいかなる限定も受けないことは当然のことである。
以下の製造例において得られた成分(A)の諸物性の測定方法は、次のとおりである。
1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210 A法 条件M に従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
公称加重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mm
2)TREF
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒であるo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
[装置]
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ × 150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃
温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1ml
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42 μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm 窓形状2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
[測定条件]
溶媒:o−オルトジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.1mL
溶媒流速 :1mL/分
3)DSC
セイコー社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度をTmとした(単位:℃)。
昇温時の吸熱曲線の面積からdHmを求めた。
4)GPC
重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定した。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
なお、測定法は、段落0044において詳述した方法による。
5)常温キシレン可溶成分(CXS)
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、23℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥しCXSを回収して、秤量する。
6)極限粘度(固有粘度も同義)
ウベローデ型粘度計を用いてデカリンを溶媒として用い温度135℃で測定した。
7)エチレン含有量の算出
段落0032〜0036において詳述した方法による。
成分(A)の製造例:
製造例PP−1
[重合製造例A−1]
予備重合触媒の調製
(珪酸塩の化学処理)10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径:25μm 粒度分布:10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(珪酸塩の乾燥)先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。仕様、乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状 内径50mm 加温帯550mm(電気炉) かき上げ翼付き回転数:2rpm 傾斜角:20/520 珪酸塩の供給速度:2.5g/分 ガス流速:窒素 96リットル/時間 向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(触媒の調製)内容積1リットルの攪拌翼のついたガラス製反応器に乾燥珪酸塩20gを導入し、混合ヘプタン116ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)84mlを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを200mlに調製した。次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)0.96mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、〔(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕218mg(0.3mM)と混合ヘプタン87mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)3.31mlを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して500mlに調製した。
(予備重合/洗浄)続いて、窒素で十分置換を行った内容積1.0リットルの攪拌式オートクレーブに、先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを240mlデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液0.95ml、さらに混合ヘプタンを560ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを560ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液17.0ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。
(以上の触媒の調製は、特開2002−284808号公報の実施例1に記載された方法により行った。)
この予備重合触媒を用いて、以下の手順に従ってプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の製造を行った。
第一工程
撹拌および温度制御装置を有する内容積3Lのオートクレーブをプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、エチレン38g、水素80ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、45℃に昇温しその温度を維持した。上記の予備重合触媒をn−ヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)35mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を45℃に維持して75分重合を継続した。その後、常圧まで残モノマーをパージし、さらに精製した窒素で完全に置換した。生成したポリマーを一部サンプリングして分析したところ、エチレン含有量3.7wt%、MFR16.3g/10分であった。
第二工程
別途、撹拌および温度制御装置を有する内容積20Lのオートクレーブを用いて、第二工程で使用する混合ガスを調製した。調製温度は80℃、混合ガス組成はエチレン32.95vol%、プロピレン66.90vol%、水素1500volppmであった。第一工程にてポリマーを一部サンプリングした後、この混合ガスを3Lのオートクレーブに供給し第二工程の重合を開始した。重合温度は80℃、圧力2.5MPaにて29分重合を継続した。その後、エタノールを10ml導入して重合を停止した。回収したポリマーはオーブンで充分に乾燥した。収量は331g、活性は9.5kg/g−触媒、エチレン含有量8.7wt%、MFR16.6g/10分であった。
[分析]
得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体PP−1の、TREF、エチレン含量、DSC、GPC、CXSの[η]の測定を行った。
測定により得られた各パラメータを表4に示す。
得られた測定結果からPP−1は成分(A)として全ての要件を満たすといえる。
ここで、TREF測定結果について、各パラメータの位置づけを示すために、図1に重合製造例A−1における溶出曲線を例示する。
製造例PP−2
[重合製造例A−2]
第一工程
第一工程では、内容積0.4mの攪拌装置付き液相重合槽を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合を実施した。液化プロピレンと液化エチレン、トリイソブチルアルミニウムをそれぞれ90kg/時、3.0kg/時、21.2g/時で連続的に供給した。水素は気相部の濃度が、それぞれ600volppmになるように連続的に供給した。
さらに、重合製造例A−1で用いた予備重合触媒を、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)、7.1g/時となるように供給した。また、重合温度が65℃となるように重合槽を冷却した。
第一工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合を分析したところ、BD(嵩密度)は0.47g/cc、MFRは16.3g/10分、エチレン含有量は2.2wt%であった。
第二工程
第二工程では、内容積0.5mの攪拌式気相重合槽を用いてプロピレン−エチレンランダム共重合を実施した。第一工程の液相重合槽より重合体粒子を含んだスラリーを連続的に抜き出し、液化プロピレンをフラッシングした後、窒素で昇圧して気相重合槽へ連続的に供給した。
重合槽は温度が80℃、プロピレンとエチレンと水素の分圧の合計が1.5MPaとなるように制御した。その際にプロピレンとエチレンと水素の分圧の合計に占めるプロピレンとエチレン及び水素の濃度は、それぞれ70.93vol%、28.98vol%、900volppmとなるように制御した。
さらに、活性抑制剤としてエタノールを気相重合槽に供給した。エタノールの供給量は、気相重合槽に供給される重合体粒子に随伴して供給されるTIBA中のアルミニウムに対して、0.5mol/molとなるようにした。
こうして得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を分析したところ、活性は16.3kg/g−触媒、BDは0.40g/cc、MFRは16.6g/10分、エチレン含有量は7.2wt%であった。
重合製造例A−2で得られたブロック共重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
製造例PP−3
[重合製造例A−3]
重合製造例A−1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を製造した。重合条件および重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
製造例PP−4
[重合製造例A−4]
重合製造例A−1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を製造した。重合条件および重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
製造例PP−5
[重合製造例A−5]
重合製造例A−1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を製造した。重合条件および重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
製造例PP−6
[重合製造例A−6]
重合製造例A−1で用いた予備重合触媒を用いて、プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造を行った。
撹拌および温度制御装置を有する内容積3Lのオートクレーブをプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、エチレン38g、水素80ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、45℃に昇温しその温度を維持した。上記の予備重合触媒をn−ヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)45mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を45℃に維持して75分重合を継続した。その後、エタノールを10ml導入して重合を停止し、常圧まで残モノマーをパージし、さらに精製した窒素で完全に置換した。回収したポリマーはオーブンで充分に乾燥した。収量は209g、活性は4.6kg/g−触媒、エチレン含有量3.7wt%、MFR16.3g/10分であった。
得られた重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
製造例PP−7
[重合製造例A−7]
製造例−PP1で用いた予備重合触媒を用いて、プロピレン−エチレンランダム共重合体の製造を行った。
撹拌および温度制御装置を有する内容積3Lのオートクレーブをプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、エチレン27g、水素250ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、70℃に昇温しその温度を維持した。上記の予備重合触媒をn−ヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)25mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を70℃に維持して20分重合を継続した。その後、エタノールを10ml導入して重合を停止し、常圧まで残モノマーをパージし、更に精製した窒素で完全に置換した。回収したポリマーはオーブンで充分に乾燥した。収量は238g、活性は9.5kg/g−触媒、エチレン含量2.6wt%、MFR16.2g/10分であった。
得られた重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
製造例PP−8
[重合製造例A−8]
重合製造例A−1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を製造した。重合条件および重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
製造例PP−9
[重合製造例A−9]
重合製造例A−1と同様にして重合条件を変化させプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体を製造した。重合条件および重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
製造例PP−10
[重合製造例A−10]
充分に窒素置換したフラスコに、脱水および脱酸素したn−ヘプタン2,000ミリリットルを導入し、次いでMgCl2 を2.6モル、Ti(O−n−C49 4 を5.2モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、次いでメチルヒドロポリシロキサン(20センチストークスのもの)を320ミリリットル導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに、上記と同様に精製したn−ヘプタンを4,000ミリリットル導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で1.46モル導入した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにSiCl4 2.62モルを混合して30℃において30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでn−ヘプタン25ミリリットルにフタル酸クロライド0.15モルを混合して、70℃において30分間でフラスコへ導入し、90℃で1時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。次いでTiCl4 11.4molを導入して110℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄して固体成分(A1)を得た。この固体成分のチタン含有量は2.0wt%であった。
次いで、充分に窒素置換したフラスコに上記と同様に精製したn−ヘプタンを200ミリリットル導入して上記で合成した固体成分(A1)を4グラム導入し、SiCl4 0.035molを導入して90℃で2時間反応させた。反応終了後、さらに(CH2 =CH)Si(CH33 0.006mol、(t−C4 9 )(CH3 )Si(OCH3 2 0.003mol及びAl(C2 5 3 0.016molを順次導入して30℃で2時間接触させた。接触終了後、n−ヘプタンで充分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分(A)を得た。このもののチタン含有量は、1.8wt%であった。
(以上の触媒調製は、特開平11−80235号公報の実施例1に記載された方法によった。)
この固体触媒成分(A)を用い、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液の代わりにトリエチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液(4.82mmol)を用いた以外は全て重合製造例A−1と同様にしてプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の製造を行った。重合条件および重合結果を表3に示す。
得られた重合体パウダーの各種分析結果を表4に示す。
[実施例−1]
成分(A)としてPP−1の100重量部を使用し、成分(B)としてビス(2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−ヒドロキシ−12H−ジベンゾ〔d,g〕〔1,3,2〕ジオキサホスホシン−6−オキシド)水酸化アルミニウム塩(旭電化 商品名NA21)(表中B−1とする)を0.2重量部配合し、スーパーミキサーを用いて十分に撹拌、混合した。
<造粒>
上記成分(A)、(B)の混合物を、以下の条件により溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を、冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することで樹脂組成物原料ペレットを得た。
押出機:テクノベル社製KZW−15−45−MG2軸押出機
スクリュー:口径15mm L/D45
押出機設定温度:ホッパ下から 40,80,160,200,220、220(ダイ)℃
スクリュー回転数:400rpm
吐出量:スクリューフィーダーにて1.5kg/時 に調整
ダイ:口径3mmストランドダイ 穴数2個
<成型>
得られた組成物ペレットを、以下の条件により射出成型し、物性評価用平板試験片を得た。
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東洋機械金属社製TU−15射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80,80,160,200,200,200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
射出圧力:800kgf/cm
保持圧力:800kgf/cm
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅30mm 長さ90mm)
<物性評価>
固体粘弾性測定
試料は下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から段階状に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
また、固体粘弾性測定結果について、各パラメータの位置づけを示すために、図2に温度に対する貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’と損失正接tanδの変化を例示する。
透明性
得られたブロック共重合体の透明性を、以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K−7136(ISO 14782) JIS K−7361−1準拠
測定機:曇り度計NDH2000(日本電色工業株式会社製)
試験片厚み:2mm
試験片の作成方法:射出成形平板
状態の調節:成形後に室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間放置
試験片の数:3
評価項目:曇り度(Haze)
曲げ特性試験
得られたブロック共重合体の曲げ特性を以下の条件により評価した。
規格番号:JIS K−7171(ISO178)準拠
試験機:精密万能試験機オートグラフAG−20kNG(島津製作所製)
試験片の採取方向:流れ方向
試験片の形状:厚み2.0mm 幅25.0mm 長さ40.0mm
試験片の作成方法:射出成形平板を上記寸法に打ち抜き
状態の調節:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間以上放置
試験室:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室
試験片の数:5
支点間距離:32.0mm
試験速度:1.0mm/分
評価項目:曲げ弾性率
衝撃試験
得られたブロック共重合体を高速で衝撃的に引張り、そのときの引張挙動から耐衝撃性を評価した。評価条件を以下に示す。
試験機:サーボパルサ高速衝撃試験機 EHF−2H−20L形−恒温槽付き(島津製作所製)
試験片の採取方向:流れ方向
試験片の形状:JIS K7162−5A形
試験片の作成方法:射出成形平板を上記形状に打ち抜き
状態の調節:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間以上放置
試験片の数:5
引張速度:2m/秒
測定温度:23℃、及び−30℃(−30℃の場合は、恒温槽を−30℃に設定し、試料をセットして恒温槽の温度が設定温度±1℃に維持された状態で10分以上保持してから測定を行う)
評価項目:衝撃強度=破断点までの吸収エネルギ(伸び−張力線図の面積)
ビカット軟化点
得られたブロック共重合体の耐熱性を、以下の条件で評価した。
規格番号:JIS K7206(荷重を250gとした以外は50法に準拠)
測定機:全自動HDT測定機(東洋精機製)
試験片の形状:厚さ2mm 25mm×25mm平板を2枚重ね
試験片の作成方法:射出成形平板を上記形状に打ち抜き
状態の調節:室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内に24時間以上放置(アニール無し)
試験加重:250g
昇温速度:50℃/時
試験片の数:3
ベタツキの評価
得られたブロック共重合体のベタツキを以下の方法で評価した。
室温23℃、湿度50%に調節された恒温室内で、射出成形平板を2枚重ねて鉄板の間に挟み、鉄板に1kgの加重をかけ10分放置した後、鉄板の間から取り出し、そのときの試験片のくっつき具合でベタツキを評価した。
表中の記号は以下の状態を示す。
○:サンプルはくっつかず、取り出してすぐに剥がれた
△:サンプルはくっついていたが、手ではがすと簡単に剥がれた
但し、フィルムなどでの利用においては問題を生じることが予想される
×:サンプルは密着しており、剥がすのに相当な力を要した
ブリードアウトの評価
得られたブロック共重合体のブリードアウトを以下の方法で評価した。
射出成型により得られた厚み2mmの試験片の表面を、成型後24時間以内に一度布できれいにふき取ってから40℃の恒温槽内に24時間放置し、そのときの試験片の表面状態によりブリードアウトを評価した。
表中の記号は以下の状態を示す。
○:サンプルにはブリードアウトが無く、放置前と状態に変化はなかった
△:サンプルには若干のブリードアウトが見られるが、顕著ではない
但し、フィルムなどでの利用においては問題を生じることが予想される
×:サンプルには多くのブリードアウトが見られ、表面に顕著な白化が生じた
上記物性の評価結果を表5に示す。
[実施例−2]
成分(B)として1,3,2,4−(ジ−p−メチルベンジリデンソルビトール)(表中B−2とする)を用いた以外は実施例−1と同様に造粒、成型、評価を行った。結果を表5に示す。
[実施例−3]
成分(B)としてロジンのナトリウム塩(荒川化学(株)製、KM1300)(表中B−3とする)を用いた以外は実施例−1と同様に造粒、成型、評価を行った。結果を表5に示す。
[実施例−4〜6]
成分(A)としてPP−2を用い、実施例−1〜3と同様に成分(B)としてB−1〜B−3を用い実施例−1と同様に造粒、成型、評価を行った。結果を表5に示す。
[参考例−1〜3]
成分(A)としてPP−3を用い、実施例−1〜3と同様に成分(B)としてB−1〜B−3を用い実施例−1と同様に造粒、成型、評価を行った。結果を表5に示す。
[比較例−1〜3]
実施例−1〜9で用いた成分(A)PP−1〜PP−3に対し、透明化核剤成分(B)を添加せずに、実施例−1と同様の条件で造粒、成型、評価を行った。結果を表6に示す。
[比較例−4]
成分(A)としてPP−4を用い、実施例−1と同様に成分(B)としてB−1を用い実施例−1と同様に造粒、成型、評価を行った。結果を表6に示す。
[比較例−5]
比較例−4で用いた成分(A)PP−4に対し、透明化核剤成分(B)を添加せずに、実施例−1と同様の条件で造粒、成型、評価を行った。結果を表6に示す。
[比較例−6〜11]
成分(A)としてPP−5〜10を用い、実施例−1と同様に成分(B)としてB−1を用い実施例−1と同様に造粒、成型、評価を行った。結果を表6に示す。
比較例−6は固体粘弾性測定においてTgは単一なピークを持たなかった。この場合の固体粘弾性測定結果について、各パラメータの位置づけを示すために、図3に温度に対する貯蔵弾性率G’、損失弾性率G’’と損失正接tanδの変化を例示する。
Figure 0004359517
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[実施例と比較例との対照による考察]
以上の各実施例と各比較例とを対照して考察すれば、本発明の構成における各規定を満たす、本発明の新規なプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物においては、Hazeによって評価される透明性が極めて優れ、曲げ弾性率で表わされている柔軟性が非常に優れ、低加重ビカット軟化点温度で表されている耐熱性が比較的高く、強度試験において高い耐衝撃性を有し、さらに、製品のベタツキ性が無く、ブリードアウトが抑制されていることが明白であり、また、本発明の成分(A)及び成分(B)各々の要件などの本発明の構成要件の各規定が合理的で実験データにより実証されていることが理解される。
具体的には、比較例−1〜3には、透明化核剤成分(B)を添加することなく、成分(A)単独での評価を示した。これらはそれ自体高い透明性を有しているが、成分(A)を用いた各実施例においては、成分(B)によってその透明性は極めて顕著に改良されている。したがって、成分(A)を透明化核剤との組成物とした本発明の有意性と有効性が実証されている。また、このときに柔軟性の変化は少なく、透明化核剤が透明性を改良しながらも柔軟性を損なっていないという効果が明らかである。
比較例−4〜11には、成分(A)が本発明の構成要件を満たさない場合の評価結果を示した。この結果より、本発明の構成要件の妥当性は明白である。
すなわち、比較例−4では、成分(A)としてPP−4を用い、成分(A)中の結晶性成分(A1)がプロピレン単独重合体の場合の評価を行った。この場合には、同じ成分(A2)量とE(gap)において柔軟性が十分ではない。
また、比較例−5にPP−4単独での評価を行った結果を示すが、このときに透明化核剤を加えた場合に曲げ弾性率に顕著な上昇が見られ、成分(A1)がプロピレン単独重合体の場合には、透明化核剤成分(B)によって透明性は改良されるものの柔軟性が阻害されエラストマーとしての適性が劣ることが示めされている。
比較例−6では、成分(A)のガラス転移温度Tgが単一のピークを持たない場合を示した。この場合には透明性が顕著に悪化する。
比較例−7〜8では、成分(A)中の成分(A2)が少ない、ここではまったく製造していない、場合を示した。この場合には柔軟性が不足している。
比較例−9〜10では成分(A)中の成分(A1)の割合が少なすぎる場合を示した。この場合には耐熱性に顕著な悪化が生じる。
比較例−11ではチーグラー・ナッタ系触媒を用いて成分(A)を製造した場合を示した。このときにはベタツキやブリードアウトが顕著で、また透明性も不十分である。
以上、各比較例の組成物は、透明性や柔軟性などの諸性質がおしなべて優れている本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体組成物に比して、高分子材料として見劣りがし本発明の共重合体の特徴を際立たせている。
重合製造例A−1における溶出量曲線と溶出量積算を示すグラフ図である。 実施例−1における固体粘弾性測定を示すグラフ図である。 比較例−6における固体粘弾性測定を示すグラフ図である。

Claims (8)

  1. メタロセン系触媒を用いて、第1工程でエチレン含量1〜7wt%のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A1)を30〜70wt%、第2工程で(A1)よりも5〜20wt%多くのエチレンを含む低結晶性あるいは非晶性プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A2)を70〜30wt%逐次重合することで得られたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体成分(A)100重量部に対し、透明化核剤(B)0.01〜2重量部を配合してなる樹脂組成物であり、成分(A)についての固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、tanδ曲線が単一のピークを0℃以下に有し、成分(A)が以下の条件(iii)を満たすことを特徴とする、プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
    (iii)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、高温側に観測されるピークT(A1)が65℃〜88℃の範囲にあり、低温側に観測されるピークT(A2)が40℃以下にあり、あるいはピークT(A2)が観測されず、全プロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の99wt%が溶出する温度T(A4)が90℃以下であること
  2. 成分(A)が以下の条件(i)を満たすことを特徴とする、請求項1に記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
    (i)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により得られる、ブロック共重合体の重量平均分子量Mwが100,000〜400,000の範囲にあり、重量平均分子量が5,000以下の成分量W(Mw≦5,000)が成分(A)中の0.8wt%以下であること
  3. 成分(A)が以下の条件(iv)を満たすことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
    (iv)23℃キシレン可溶成分の、135℃デカリン中で測定される固有粘度[η]cxsが1〜2(dl/g)の範囲にあること
  4. 成分(A)が以下の条件(v)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
    (v)o−ジクロロベンゼン溶媒を用いた−15℃〜140℃の温度範囲での温度昇温溶離分別法(TREF)による温度に対する溶出量(dWt%/dT)のプロットとして得られるTREF溶出曲線において、ピークT(A1)とT(A2)(成分A2がピークを示さない場合にはT(A2)は測定温度下限である−15℃とする)の中間の温度T(A3)における溶出量H(A3)と、T(A1)における溶出量H(A1)の比H(A3)/H(A1)が0.1以下であること
  5. 成分(A)が以下の条件(vi)を満たすことを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物。
    (vi)TREF溶出曲線において、溶出ピークから溶出終了温度までの温度差ΔT(T(A4)−T(A1))が5℃以下であること
  6. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物により成形された、フィルム又はシートからなる成形品。
  7. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物により成形された、積層体からなる成形品。
  8. 請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体樹脂組成物により成形された、容器からなる成形品。
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