JP2020055240A - ポリオレフィン系樹脂フィルムおよびそれを用いた加熱処理用包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】柔軟性、透明性、耐熱性、耐衝撃性、特に低温下(例えば5℃)での耐衝撃性に優れ、かつ、121℃のような高温加熱処理を施しても、各層の界面強度を保持し、プロピレン樹脂層とエチレン樹脂層の剥離を抑制出来るポリオレフィン系樹脂フィルムを提供すること。【解決手段】第一の層、第二の層および第三の層の順で少なくとも3層が積層され、第一の層は、第一のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む第一のエチレン樹脂組成物を含み、第二の層は、第二のプロピレン樹脂と第二のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む第二のプロピレン樹脂組成物を含み、第三の層は、第三のプロピレン樹脂を含む第三のプロピレン樹脂組成物を含む、ポリオレフィン系樹脂フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂フィルムおよびそれを用いた加熱処理用包装体に関し、詳しくは、加圧蒸気処理または加圧熱水処理などの加圧下での加熱処理を行なっても、変形を起こし難い、優れた耐熱性を有しながら、良好な透明性、柔軟性、耐衝撃性を併せ持ったポリオレフィン系樹脂フィルムおよびそれを用いた加熱処理用包装体に関する。
レトルト用包装体や薬液等の輸液バッグなど加圧処理を行って殺菌、滅菌が必要な包装袋に求められる性能として、内容物を確認可能なための透明性、空気孔を開けずとも排液可能にするための柔軟性、極寒地(例えば−20℃といった環境)での運搬時に乱雑に取り扱っても破袋しないための耐低温衝撃性、121℃の滅菌、殺菌処理でも変形、融着しないための耐熱性等が挙げられる。
とりわけ輸液バッグに関しては、かつては上述の性能を満たす材料として塩化ビニル樹脂が使用されていたが、可塑剤の溶出、廃棄処理に難があること、近年の地球環境への配慮等の問題があることから、ポリオレフィン系樹脂に代替されてきている。
ポリエチレンを主構成とする輸液バッグは柔軟性、耐衝撃性に優れるものの、耐熱性に乏しく、オーバーキル条件である121℃の滅菌温度では変形等の外観不良が発生し、輸液バッグとしての性能を満たすことはできない(例えば特許文献1参照)。一方、ポリプロピレンを主構成とする輸液バッグは良好な耐熱性を有しているが、輸液バッグ材料としては硬く、低温での耐衝撃性が不足しているため、こちらも上述の性能を満たすことはできない(例えば特許文献2参照)。
そこで、ポリプロピレンにエラストマー成分を添加し、柔軟性・耐衝撃性を付与した技術が開示されている(例えば特許文献3参照)。しかし、ポリプロピレンの耐熱性が犠牲となり、また滅菌後の低分子量成分がブリードアウトし、透明性も悪化する問題がある。エラストマー成分としてスチレン系エラストマーを添加する技術の開示(例えば特許文献4参照)もあり、性能面での向上が見られるが、スチレン系エラストマーはオレフィン系エラストマーに比較して高価であり、スチレン系エラストマー成分量が多過ぎる為に、コスト的に課題が残る。
それとは別に、メタロセン系触媒を用いて重合されるプロピレン−エチレンブロック共重合体にメタロセン系触媒を用いて重合されるエチレン系エラストマーをブレンドして得られるフィルムが提案されており、ブリードアウト性が改善され、柔軟性、耐熱性、低温耐衝撃性に優れることが示されている(例えば特許文献5参照)が、プロピレン系樹脂の耐衝撃性付与成分として、低密度なエチレン系樹脂を多量にブレンドする事により、透明性が損なわれる為、医療用フィルムとしては不十分なものであった。
一方で、耐熱性、透明性の優れるポリプロピレン系樹脂と、柔軟性、低温耐衝撃性に優れるポリエチレン系樹脂との積層フィルムの提案もなされている。一般的にポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の積層体は界面強度が低いことが良く知られている(例えば特許文献6参照)が、メタロセン系触媒を用いて重合されるポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂の積層体は界面強度が大幅に向上する(例えば特許文献7〜9参照)。特許文献7で示される層構成では、各層の界面強度向上は見られるが、プロピレン系樹脂単独層の剛性が高すぎる為に、柔軟性が不十分であり、医療用フィルムとしては不十分であった。また、特許文献8に示される層構成では、柔軟性、低温衝撃性に優れるが、外層がポリエチレン系樹脂である為に、115℃滅菌までしか耐熱性が持たず、一般的に世界基準として必要な121℃滅菌には耐熱性が不十分である。さらに特許文献9の試料11にはチーグラー系触媒を用いて重合された高融点のプロピレン−エチレンブロック共重合体と耐熱性に優れるメタロセン系ポリエチレン樹脂の積層体が開示されている。プロピレン系樹脂の優れた耐熱性とブロック共重合体成分によるプロピレン樹脂の柔軟性、またメタロセン系ポリエチレン樹脂の柔軟性と低温衝撃性を併せ持つ材料が示されているが、121℃滅菌を行うことで、プロピレン樹脂層とエチレン樹脂層の界面強度は大幅に低下し、特にチーグラー系触媒で重合されるブロック共重合体成分は121℃滅菌によって界面強度の低下が著しく、プロピレン樹脂層とエチレン樹脂層が剥離し易い為、実用には性能が不十分であった。
特開平9−308682号公報 特開平9−99036号公報 特開平9−75444号公報 特開2006−27653号公報 特開2011−68116号公報 特開2007−253993号公報 特開2007−245453号公報 特開2014−180326号公報 特開2007−245490号公報
したがって、本発明の目的は、上記課題を鑑み、柔軟性、透明性、耐熱性、耐衝撃性、特に低温下(例えば5℃)での耐衝撃性に優れるポリオレフィン系フィルムであり、かつ、121℃のような高温加熱処理を施しても、各層の界面強度を保持し、プロピレン樹脂層とエチレン樹脂層の剥離を抑制出来るポリオレフィン系樹脂フィルムおよびそれを用いた加熱処理用包装体を提供することにある。
本発明者らは、上記問題点の解決のために多様な検討、解析を実施し、複数の層が積層されてなるポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて、特定のプロピレン系樹脂と特定のエチレン系樹脂、それらの中間層に特定のメタロセン触媒で得られるプロピレン系ブロック共重合体を用いて構成されることにより、上記問題点をバランス良く解決できることを見出し、以上の樹脂組成により上記課題を解決するフィルムが得られるとの知見を得て、本発明に至った。
本発明は、以下のポリオレフィン系樹脂フィルムおよびそれを用いた加熱処理用包装体を提供する。
[1]
第一の層、第二の層および第三の層の順で少なくとも3層が積層され、
第一の層は、第一のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む第一のエチレン樹脂組成物を含み、
第一のエチレン−α−オレフィン共重合体は、密度が0.899〜0.935g/cmの範囲であり、メルトフローレート(190℃、2.16kg)が1〜10g/10分の範囲である;
第二の層は、第二のプロピレン樹脂と第二のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む第二のプロピレン樹脂組成物を含み、
第二のプロピレン樹脂は、第二のプロピレン樹脂100重量%に基づいて、DSC測定における融解ピーク温度が120〜170℃のプロピレン重合体を30〜70重量%、α−オレフィン含有率が7〜30重量%のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を70〜30重量%含み、メルトフローレート(230℃、2.16kg)が0.5〜20g/10分の範囲であり、
第二のエチレン−α−オレフィン共重合体はメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体であり、密度が0.880〜0.920g/cmの範囲であり、第二のプロピレン樹脂組成物100重量%中に第二のエチレン−α−オレフィン共重合体を10〜40重量%含む;
第三の層は、第三のプロピレン樹脂を含む第三のプロピレン樹脂組成物を含み、
第三のプロピレン樹脂は、DSC測定における融解ピーク温度が150〜170℃の範囲であり、メルトフローレート(230℃、2.16kg)が2〜20g/10分の範囲である;
ポリオレフィン系樹脂フィルム。
[2]
第二のプロピレン樹脂組成物に含まれる第二のプロピレン樹脂が、メタロセン系プロピレン樹脂であることを特徴とする[1]に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
[3]
第一のエチレン樹脂組成物に含まれる第一のエチレン−α−オレフィン共重合体が、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする[2]に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
[4]
第一から第三の全層に含まれるプロピレンまたはエチレン樹脂組成物の合計100重量%中にスチレン系エラストマーを0〜3.0重量%含むことを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
[5]
[1]〜[4]のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルムを含む、加熱処理用包装体。
[6]
121℃滅菌が可能な輸液バッグである、[5]に記載の加熱処理用包装体。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムによれば、積層されている各層に特定のプロピレン樹脂組成物、特定のメタロセン触媒を用いて重合されるプロピレン系ブロック共重合体、特定のエチレン樹脂組成物を用いることで、柔軟性、透明性、耐熱性、耐衝撃性、特に低温下(例えば5℃)での耐衝撃性に優れるオレフィン系樹脂フィルムであり、かつ、121℃のような高温加熱処理を施しても、各層の界面強度を保持出来るポリオレフィン系樹脂フィルムおよびそれを用いた加熱処理用包装体を提供することができる。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、第一の層、第二の層および第三の層の順で少なくとも3層が積層されている多層フィルムであり、各々の層が、以下に詳細に説明する条件を満たすプロピレン樹脂組成物、メタロセン触媒を用いて重合されるプロピレン系ブロック共重合体、エチレン樹脂組成物を含む。ただし、本発明の加熱処理用包装体は、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを含むものである。以下、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムおよびその各構成成分、ポリオレフィン系樹脂フィルムおよび各構成成分の製造方法、ならびに本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを用いた加熱処理用包装体について、詳細に説明する。
<<第一の層>>
第一の層(以下、「最内層」または「内層」ということもある)は、フィルムのヒートシール性を制御するために、または低温シール性や易剥離性、または包装体落下時の破袋を防ぐ、耐落袋性の付与のために設けられる層である。第一の層は、第一のエチレン樹脂組成物(以下、「エチレン樹脂組成物(Z)」ということもある)を含む。
<エチレン樹脂組成物(Z)>
内層に使用するエチレン樹脂組成物(Z)は、第一のエチレン−α−オレフィン共重合体(以下、「エチレン−α−オレフィン共重合体(G)」または「成分(G)」ということもある)を含む。成分について、以下説明する。なお、エチレン樹脂組成物(Z)に第一のプロピレン樹脂を含むことは、本発明の効果を損なわない限り可能であるが、好ましい配合量は0〜50重量%であり、より好ましくは0〜25重量%であり、特に好ましくは0〜10重量%である。
(1)第一のエチレン−α−オレフィン共重合体(成分(G))
エチレン樹脂組成物(Z)の一成分として用いられる成分(G)は、以下の条件(G−i)および(G−ii)を満たすエチレンとα−オレフィンとの共重合体である。
(G−i)密度が0.899〜0.935g/cmの範囲である。
(G−ii)メルトフローレート(190℃、2.16kg)が1〜10g/10分の範囲である。
[(G−i)成分(G)の密度]
成分(G)は、密度が0.899〜0.935g/cmの範囲である。密度をこの範囲とすることで、医療用輸液バッグに求められるような耐熱性、耐低温衝撃性、柔軟性、透明性を良好にすることができる。特に耐熱性を良好なものに保つ点から、成分(G)の密度は、好ましくは0.905g/cm以上であり、より好ましくは0.915g/cm以上である。また、必要に応じて成分(G)の密度は、高密度ポリエチレン樹脂と混合することで上記の範囲に調整し、耐熱性を保持する事が出来る。ここで、各成分の密度は、JIS K7112に基づき、ピクノメーター法で求められる値である。
[(G−ii)成分(G)のメルトフローレート]
成分(G)のメルトフローレート(190℃、2.16kg)(以下、「MFR(G)」ということもある)は、1〜10g/10分の範囲である。MFR(G)が1g/10分以上であるとき、界面荒れ、表面荒れが発生せず、外観良好なフィルムが得られやすい。MFR(G)が10g/10分以下であるとき、厚み変動が起こりにくく、成形性が良好となる。MFR(G)は、好ましくは1.5〜5.0g/10分、より好ましくは1.5〜3.5g/10分の範囲である。MFR(G)の測定は、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Dに基づく方法により、行われる。
・成分(G)の製造方法
成分(G)は、透明性の観点から、適切な密度範囲に抑制し、且つベタツキやブリードアウトを抑制するためには分子量分布が狭いことが好ましい。そこで、成分(G)の製造には分子量分布を狭くすることができるメタロセン触媒を用いることが好ましい。メタロセン触媒としては、エチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられる公知の各種触媒を用いることができる。具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35006号、特開平3−163088号の各公報などに記載されているメタロセン触媒が例示される。成分(G)を製造するための具体的な重合方法としては、触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、または圧力が200kg/cm(19.6MPa)以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法などが挙げられる。好ましい製造方法としては高圧バルク重合法が挙げられる。
成分(G)は、エチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、上記条件(G−i)および(G−ii)を満たす限り、エチレンとα−オレフィンの配合比は特に制限されず、任意の配合比、好ましくはエチレンを主成分とする共重合体を用いることができる。α−オレフィンの種類も特に制限されないが、好ましくは、炭素数3〜20のα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、炭素数3〜20のもの、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどを好ましく例示でき、エチレン−α−オレフィン共重合体の市販品としては、デュポンダウ社製商品名アフィニティー(AFFINITY)およびエンゲージ(ENGAGE)、日本ポリエチレン(株)製商品名カーネル(KERNEL)、エクソンモービル社製商品名エグザクト(EXACT)などが挙げられる。
<<第二の層>>
第二の層(以下、「中間層」ということもある)は、ポリオレフィン系樹脂フィルムにおいて第一の層および第三の層の間に配される層である。第二の層は、第二のプロピレン樹脂組成物(以下、「プロピレン樹脂組成物(X)」ということもある)を含む層である。
<プロピレン樹脂組成物(X)>
中間層に使用するプロピレン樹脂組成物(X)は、第二のプロピレン樹脂(以下、「プロピレン樹脂(A)」または「成分(A)」ということもある)を含む。成分について、以下説明する。
(1)第二のプロピレン樹脂(成分(A))
プロピレン樹脂組成物(X)の成分として用いられる成分(A)は、プロピレン重合体およびプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を含む樹脂である。成分(A)には耐熱性、透明性、柔軟性が高いことが求められる。これらの要求を高い水準で満たすために、成分(A)は、以下の条件(A−i)および(A−ii)を満たす。
(A−i)DSC測定における融解ピーク温度が120〜170℃のプロピレン重合体(A1)を30〜70重量%、α−オレフィン含有率が7〜30重量%のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)を70〜30重量%含有する。
(A−ii)メルトフローレート(230℃、2.16kg)が0.5〜20g/10分の範囲である。
[(A−i)プロピレン重合体(A1)およびプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)]
[プロピレン重合体(A1)の融解ピーク温度]
成分(A)に含まれるプロピレン重合体(A1)(以下、「成分(A1)」ということもある)は、成分(A)において結晶性を決定し、耐熱性、柔軟性、透明性などに影響を与える成分である。成分(A)の耐熱性を向上させるためには、成分(A1)の融解ピーク温度Tm(A1)が高いことが好ましい。柔軟性や透明性を高く保ちつつ、耐熱性を損なうことなく、ヒートシール時の薄肉化を抑制することができる点から、Tm(A1)は120〜170℃の範囲である。Tm(A1)は、好ましくは120〜150℃の範囲であり、より好ましくは125〜145℃の範囲であり、さらに好ましくは125〜140℃の範囲である。
[成分(A)中に占める成分(A1)の割合]
成分(A)中に占める成分(A1)の割合W(A1)は、成分(A)の耐熱性に影響を与える要素である。柔軟性や透明性および耐衝撃性を充分に発揮するため、W(A1)は、70重量%以下である。一方、耐熱性を保ち、滅菌、殺菌工程において変形してしまう恐れをなくすため、W(A1)は30重量%以上である。W(A1)は、好ましくは35〜65重量%の範囲である。
プロピレン重合体(A1)の製法は、成分(A1)が上記条件を満たすものが得られる限り特に制限されず、プロピレンホモポリマーまたはコポリマーの製造において当業者に公知の方法を使用することができる。
プロピレン重合体(A1)は、プロピレン単独重合体でもよく、主成分であるプロピレンと少なくとも1種のコモノマーとの共重合体、例えばプロピレン−エチレン共重合体であってもよい。成分(A1)がプロピレン以外のコモノマーを含む共重合体である場合、コモノマーの含有率は、成分(A1)全体の重量に対して10重量%以下であることが好ましい。成分(A1)に使用されるコモノマーは、好ましくはα−オレフィンである。α−オレフィンは、好ましくは炭素数が2または4〜20、より好ましくは炭素数2または4〜8のα−オレフィンである。コモノマーは、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、3−メチル−1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどのプロピレン以外のα−オレフィン、スチレン、ビニルシクロペンテン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルナンなどのビニル化合物などから選択される。これらのコモノマーは、二種以上共重合されていてもよい。好ましいコモノマーは、エチレン、1−ブテンまたは1−ヘキセンである。
[プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)]
成分(A)に含まれるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体(A2)(以下、「成分(A2)」ということもある)は、成分(A)の柔軟性と耐衝撃性および透明性を向上させるために配合される。成分(A2)に用いられるα−オレフィンは、成分(A1)に使用されるコモノマーとして先に述べたα−オレフィンと同じものを用いることができる。成分(A2)は、メタロセン触媒を用いた共重合により得られることが好ましい。
[成分(A2)中のα−オレフィン含有率]
一般に、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体においてα−オレフィン含有率が増加することで結晶性は低下し、柔軟性向上効果は大きくなる。このため、成分(A2)中のα−オレフィン含有率(以下、α[A2]ということもある)は、7重量%以上である。α[A2]は、より好ましくは8重量%以上であり、さらに好ましくは10重量%以上である。一方、成分(A2)の結晶性を低下させつつ透明性を保つために、α[A2]は30重量%以下である。α[A2]は、好ましくは25重量%以下であり、より好ましくは20重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下、特に好ましくは14重量%以下である。
[成分(A)中に占める成分(A2)の割合]
成分(A)中に占める成分(A2)の割合W(A2)は、ポリオレフィン系樹脂フィルムに高い耐熱性を与えるため、70重量%以下である。また、ポリオレフィン系樹脂フィルムに柔軟性と耐衝撃性を与えるため、W(A2)は、30重量%以上である。W(A2)は、好ましくは65〜30重量%の範囲である。
ここで、W(A1)およびW(A2)は、温度昇温溶離分別法(TREF)により求められる値であり、α[A2]は、NMRにより求められる値である。また、成分(A1)がα−オレフィンとの共重合体である場合の成分(A1)のα−オレフィン含有率(以下、「α[A1]」ということもある)は、α[A2]と同様にして求められる。各々の値は、具体的には、次の方法により求められる。
・温度昇温溶離分別法(TREF)によるW(A1)およびW(A2)の特定
プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体などの結晶性分布を温度昇温溶離分別法(TREF)により評価する手法は、当業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などで詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
成分(A1)と成分(A2)との結晶性には大きな違いがあり、また、両成分ともメタロセン触媒を用いて製造されると結晶性分布が狭くなることから、成分(A)中に成分(A1)と成分(A2)の中間的な成分は極めて少なく、両成分をTREFにより精度良く分別することが可能である。
TREF測定は、具体的には次のようにして行う。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mL ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mL BHT入り)を1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
得られた溶出曲線において、成分(A1)と成分(A2)は結晶性の違いにより各々異なる温度T(A1)とT(A2)にその溶出ピークを示し、その差は充分大きいため、中間の温度T(A3)(={T(A1)+T(A2)}/2)においてほぼ分離が可能である。ここで、T(A3)までに溶出する成分の積算量をW(A2)重量%、T(A3)以上で溶出する部分の積算量をW(A1)重量%と定義すると、W(A2)は、成分(A2)の量と対応しており、積算量W(A1)は、結晶性が比較的高い成分(A1)の量と対応している。
測定に用いられる装置、仕様の一例を以下に示す。
(TREF部)
TREFカラム:4.3mmφ×150mmステンレスカラム
カラム充填材:100μm 表面不活性処理ガラスビーズ
加熱方式:アルミヒートブロック
冷却方式:ペルチェ素子(ペルチェ素子の冷却は水冷)
温度分布:±0.5℃
温調器:(株)チノー製デジタルプログラム調節計KP1000(バルブオーブン)
加熱方式:空気浴式オーブン
測定時温度:140℃ 温度分布:±1℃
バルブ:6方バルブ 4方バルブ
(試料注入部)
注入方式:ループ注入方式
注入量:ループサイズ 0.1mL
注入口加熱方式:アルミヒートブロック
測定時温度:140℃
(検出部)
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
検出波長:3.42μm
高温フローセル:LC−IR用ミクロフローセル 光路長1.5mm
窓形状:2φ×4mm長丸 合成サファイア窓板
測定時温度:140℃
(ポンプ部)
送液ポンプ:センシュウ科学社製 SSC−3461ポンプ
〔測定条件〕
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.5mg/mLのBHTを含む)
試料濃度:5mg/mL 試料注入量:0.1mL 溶媒流:1mL/分
・α[A1]またはα[A2]の特定
分取型分別装置を用い昇温カラム分別法により各成分を分離した後、NMRにより、各成分のα−オレフィン含有率α[A1]またはα[A2]が特定される。昇温カラム分別法とは、例えば、Macromolecules 21 314−319(1988)に開示されたような測定方法をいう。具体的には、以下に例示されるような方法を用いてα[A1]またはα[A2]を特定する。
・昇温カラム分別
直径50mmで高さ500mmの円筒状カラムにガラスビーズ担体(80〜100メッシュ)を充填し、140℃に保持する。次に、140℃で溶解したサンプルのo−ジクロロベンゼン溶液(10mg/mL)200mLを前記カラムに導入する。その後、該カラムの温度を0℃まで10℃/時間の降温速度で冷却する。0℃で1時間保持後、10℃/時間の昇温速度でカラム温度をT(A3)(TREF測定により得られる)まで加熱し、1時間保持する。なお、一連の操作を通じてのカラムの温度制御精度は±1℃とする。
次いで、カラム温度をT(A3)に保持したまま、温度T(A3)のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、カラム内に存在するT(A3)で可溶な成分を溶出させ回収する。
次に、10℃/分の昇温速度で当該カラム温度を140℃まで上げ、140℃で1時間静置後、140℃の溶媒のo−ジクロロベンゼンを20mL/分の流速で800mL流すことにより、温度T(A3)で不溶な成分を溶出させ回収する。
分別によって得られたポリマーを含む溶液は、エバポレーターを用いて20mLまで濃縮した後、5倍量のメタノール中でポリマーを析出する。析出ポリマーを濾過して回収後、真空乾燥器により一晩乾燥する。
13C−NMRによるα−オレフィン含有率の測定
上記分別により得られた成分のα−オレフィン含有率α[A1]またはα[A2]は、プロトン完全デカップリング法により測定した13C−NMRスペクトルを解析することにより求められる。測定に用いられる装置、仕様の一例を以下に示す。
機種:日本電子(株)製 GSX−400または同等の装置
(炭素核共鳴周波数100MHz以上)
溶媒:o−ジクロロベンゼン/重ベンゼン=4/1(体積比)
濃度:100mg/mL 温度:130℃
パルス角:90° パルス間隔:15秒
積算回数:5,000回以上
スペクトルの帰属は、例えばMacromolecules 17 1950 (1984)などを参考に行えばよい。上記条件により測定されたスペクトルの帰属は表1の通りである。表中Sααなどの記号はCarmanら(Macromolecules 10 536(1977))の表記法に従い、Pはメチル炭素、Sはメチレン炭素、Tはメチン炭素をそれぞれ表わす。
Figure 2020055240
以下、「P」を共重合体連鎖中のプロピレン単位、「E」をエチレン単位とすると、連鎖中にはPPP、PPE、EPE、PEP、PEEおよびEEEの6種類のトリアッドが存在し得る。Macromolecules 15 1150 (1982)などに記されているように、これらトリアッドの濃度とスペクトルのピーク強度とは、以下の(1)〜(6)の関係式で結び付けられる。
[PPP]=k×I(Tββ) …(1)
[PPE]=k×I(Tβδ) …(2)
[EPE]=k×I(Tδδ) …(3)
[PEP]=k×I(Sββ) …(4)
[PEE]=k×I(Sβδ) …(5)
[EEE]=k×{I(Sδδ)/2+I(Sγδ)/4} …(6)
ここで[ ]はトリアッドの分率を示し、例えば[PPP]は全トリアッド中のPPPトリアッドの分率である。
従って、[PPP]+[PPE]+[EPE]+[PEP]+[PEE]+[EEE]=1 …(7)
である。また、kは定数であり、Iはスペクトル強度を示し、例えばI(Tββ)はTββに帰属される28.7ppmのピークの強度を意味する。
上記(1)〜(7)の関係式を用いることにより、各トリアッドの分率が求まり、さらに下式によりα−オレフィン含有率が求まる。
α−オレフィン含有率(モル%)=([PEP]+[PEE]+[EEE])×100
なお、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体には少量のプロピレン異種結合(2,1−結合および/または1,3−結合)が含まれ、それにより、表2に示す微小なピークを生じる。
Figure 2020055240
正確なα−オレフィン(エチレン)含有率を求めるにはこれら異種結合に由来するピークも考慮して計算に含める必要があるが、異種結合由来のピークの完全な分離・同定が困難であり、また異種結合量が少量であることから、α−オレフィン含有率は実質的に異種結合を含まないチーグラー・ナッタ触媒で製造された共重合体の解析と同じく(1)〜(7)の関係式を用いて求めることとする。
α−オレフィン含有率のモル%から重量%への換算は以下の式を用いて行う。
α−オレフィン含有率(重量%)
=(MW×X/100)/{MW×X/100+42×(1−X/100)}×100
(ここで、MWはα−オレフィンの分子量、Xはモル%表示でのα−オレフィン含有率である。)
[(A−ii)成分(A)のメルトフローレート]
成分(A)は、そのメルトフローレート(230℃、2.16kg)(以下、MFR(A)ということもある)が0.5〜20g/10分の範囲である。成形機スクリュの回転への抵抗を小さくしてモータ負荷や先端圧力を抑制することができる点や、フィルム表面の荒れを抑制し外観を良好なものに保つことができるため、MFR(A)は0.5g/10分以上であり、好ましくは1.0g/10分以上である。一方、安定な成形を可能にし、均一なフィルムを得ることができるため、MFR(A)は20g/10分以下であり、好ましくは10g/10分以下である。
MFR(A)は、成分(A1)および成分(A2)に対応する各々のMFR(以下、各々MFR(A1)およびMFR(A2)ということもある)と、成分(A1)および(A2)の配合比率に基づき決定される。成分(A)においては、MFR(A)が0.5〜20g/10分の範囲にあれば、MFR(A1)およびMFR(A2)の値は、本発明の目的を損なわない範囲で各々制限されない。ただし、外観不良などが生じる恐れを小さくするため、MFR(A1)およびMFR(A2)の差は小さいことが好ましい。MFR(A1)およびMFR(A2)は、好ましくは共に0.5〜20g/10分の範囲であり、より好ましくは、共に1.0〜10g/10分の範囲である。ここで、各MFRの値は、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定する値である。
また、成分(A)は、上記条件(A−i)および(A−ii)に加えて、下記条件(A−iii)を満たすことが好ましい。
(A−iii)射出成形法にて成形した200μm厚のシートで測定した固体粘弾性測定(DMA)により得られる温度−損失正接(tanδ)曲線において、−60℃〜20℃の範囲に観測されるガラス転移を表すtanδ曲線のピークが0℃以下に単一ピークを示す。
成分(A)が相分離構造を取る場合には、成分(A1)に含まれる非晶部のガラス転移温度と成分(A2)に含まれる非晶部のガラス転移温度が各々異なるため、ピークは単一ではなくなる。この場合にはフィルムとしての透明性が悪化しやすいという問題が生じる。よって、ガラス転移温度が成分(A1)と(A2)とでほぼ等しい、即ちDMAにおいてガラス転移を表すピークが一つであることが好ましい。
固体粘弾性測定(DMA)は、具体的には、短冊状の試料片に特定周波数の正弦歪みを与え、発生する応力を検知することで行う。周波数は1Hzを用い、測定温度は−60℃から20℃までは3℃/30秒の速度で昇温し、20℃以上は3℃/40秒の速度で段階的に昇温し、サンプルが融解して測定不能になるまで行う。また、歪みの大きさは0.1〜0.5%程度が推奨される。得られた応力から、公知の方法によって貯蔵弾性率G’と損失弾性率G”を求め、これらの比で定義される損失正接(=損失弾性率/貯蔵弾性率)を温度に対してプロットすると、0℃以下の温度領域で鋭いピークを示す。一般に0℃以下でのtanδ曲線のピークは非晶部のガラス転移を観測するものであり、本発明では、本ピーク温度をガラス転移温度Tg(℃)として定義する。
なお、DMA測定用の試料片は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から20℃までは3℃/30秒の速度で昇温し、20℃以上は3℃/40秒の速度で段階的に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
〔試験片の作成〕
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東芝機械製EC−20射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80、80、160、200、200、200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
保持圧力:20MPa
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅40mm 長さ80mm)
・成分(A)の構成要素の制御方法
成分(A)の各要素は、以下のように制御され、成分(A)に必要とされる構成要件を満たすように、成分(A)を製造することができる。
Tm(A1)の制御は、例えば、重合槽に供給するプロピレンとコモノマーとしてのα−オレフィンの量比を、適宜調整することなどにより可能である。Tm(A1)を、例えば120℃〜170℃に制御するためには、使用する触媒の種類にも依存するが、成分(A1)のα−オレフィン含有率(α[A1])が概ね0〜10重量%程度の範囲となるように調整することで、所望のTm(A1)を有する成分(A1)を製造することができる。α[A1]の測定方法は、先に述べたとおりである。
また、α[A2]を所定の範囲に制御するためには、成分(A2)の製造が逐次重合(多段重合)法による場合は、第2工程における重合槽に供給するプロピレンとα−オレフィンの量比を、適宜調整すればよい。供給比率と得られるプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体中のα−オレフィン含有率の関係は、メタロセン触媒を用いる場合、その種類によって異なるが、供給比率の調整により必要とするα[A2]を有する成分(A2)を製造することができる。
W(A1)およびW(A2)は、逐次重合法の場合は、成分(A1)を製造する第1工程の製造量と第2工程での成分(A2)の製造量の比を変化させることにより制御することができる。成分(A)のメルトフローレートの調整は前述したとおり、MFR(A1)およびMFR(A2)の配合比率により調整することができる。
・成分(A)の製造方法
本発明に用いられる成分(A)は、好ましくは、メタロセン触媒を用いて、第1工程で成分(A1)を30〜70重量%、第2工程で成分(A2)を70〜30重量%、逐次重合することで得られる。逐次重合法の具体的方法は、例えば特開2005−132979号公報に記載の方法を用いることができ、ここで言及したことで同公報の全内容が本明細書に取り込まれたものとする。また、成分(A)は、逐次重合品(多段重合体)でなくても、成分(A1)と成分(A2)とのブレンド物であってもよい。
<第二のエチレン−α−オレフィン共重合体(G)>
中間層に使用するプロピレン樹脂組成物(X)は、第二のエチレン−α−オレフィン共重合体(以下、「エチレン−α−オレフィン共重合体(G)」または「成分(G)」ということもある)を含む。成分について、以下説明する。
(1)第二のエチレン−α−オレフィン共重合体(成分(G))
第二のプロピレン樹脂の一成分として用いられる成分(G)は、以下の条件(G−I)〜(G−III)を満たすエチレンとα−オレフィンとの共重合体である。
(G−I)メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体である。
(G−II)密度が0.880〜0.920g/cmの範囲である。
(G−III)第二のプロピレン樹脂組成物100重量%中に第二のエチレン−α−オレフィン共重合体を10〜40重量%含み、メルトフローレート(190℃、2.16kg)が好ましくは1〜10g/10分の範囲である。
[(G−1)メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体]
メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体は透明性、界面強度の観点から、ベタツキやブリードアウトを抑制するために分子量分布が狭いことが好ましいため、分子量分布を狭くすることができるメタロセン触媒を用いる。メタロセン触媒としては、エチレン−α−オレフィン共重合体の製造に用いられる公知の各種触媒を用いることができる。具体的には、特開昭58−19309号、特開昭59−95292号、特開昭60−35006号、特開平3−163088号の各公報などに記載されているメタロセン触媒が例示される。成分(G)を製造するための具体的な重合方法としては、触媒の存在下でのスラリー法、気相流動床法や溶液法、または圧力が200kg/cm(19.6MPa)以上、重合温度が100℃以上での高圧バルク重合法などが挙げられる。好ましい製造方法としては高圧バルク重合法が挙げられる。
メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体はエチレンとα−オレフィンとの共重合体であり、上記条件(G−II)および(G−III)を満たす限り、エチレンとα−オレフィンの配合比は特に制限されず、任意の配合比、好ましくはエチレンを主成分とする共重合体を用いることができる。α−オレフィンの種類も特に制限されないが、好ましくは、炭素数3〜20のα−オレフィンである。α−オレフィンとしては、炭素数3〜20のもの、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテンなどを好ましく例示できる。
[(G−II)成分(G)の密度]
成分(G)は、密度が0.880〜0.920g/cmの範囲である。密度をこの範囲とすることで、医療用輸液バッグに求められるような、柔軟性、透明性を良好にすることができる。特に透明性を良好なものに保つ点から、成分(G)の密度は、好ましくは0.910g/cm以下であり、より好ましくは0.900g/cm以下である。ここで、各成分の密度は、JIS K7112に基づき、ピクノメーター法で求められる値である。
[(G−III):成分(G)の含有量]
成分(G)の含有量は、プロピレン樹脂組成物(X)100重量%に対して10〜40重量%、好ましくは15〜30重量%である。
10重量%以上であるとき、医療用輸液バッグに求められるような柔軟性が発現し、40重量%以下であるとき、耐熱性が向上すると共に、滅菌処理後の第3の層との界面強度が向上し易く、滅菌前後でも高いヒートシール強度を保持する。
[成分(G)のメルトフローレート]
成分(G)のメルトフローレート(190℃、2.16kg)(以下、「MFR(G)」ということもある)は、好ましくは1〜10g/10分の範囲である。MFR(G)が1g/10分以上であるとき、界面荒れ、表面荒れが発生せず、外観良好なフィルムが得られやすい。MFR(G)が10g/10分以下であるとき、厚み変動が起こりにくく、成形性が良好となる。MFR(G)は、より好ましくは1.5〜5.0g/10分、さらに好ましくは1.5〜3.5g/10分の範囲である。MFR(G)の測定は、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Dに基づく方法により、行われる。
・成分(G)の製造方法、α−オレフィンの種類、組成について
成分(G)の製造方法や、α−オレフィンの種類、エチレンとの組成については第一のエチレン樹脂に含まれる第一のエチレン−α−オレフィン共重合体と同様であり、発明の効果を損なわない範囲であれば、任意に選択が出来る。
<<第三の層>>
第三の層(以下、「外層」ということもある)は、ポリオレフィン系樹脂フィルムを包装体としたときに、包装体の外側に配される層である。外層の材料は、ポリオレフィン系樹脂フィルムの耐熱性、透明性を損なわなければ、特にポリプロピレン樹脂だけに限定されるものではなく、例えばポリエステル系樹脂、環状オレフィン系樹脂、プロピレン樹脂、第三のエチレン‐α−オレフィン共重合体などとブレンドする事ができる。その中でも、スチレン系エラストマー(以下、「スチレン系エラストマー(S)」または「成分(S)」ということもある)を含むプロピレン樹脂組成物(Y)から形成されることが好ましい。
ポリオレフィン系樹脂フィルムの外層として好ましく用いられるプロピレン樹脂組成物(Y)は、透明性および耐熱性が優れていることが重要である。フィルムとしての透明性を得るには、中間層だけではなく外層も透明化しなければならない。加えて、殺菌、滅菌などの加熱処理でも変形しないこと、二次加工であるヒートシールにおいてヒートシールバーに付着しないことが好ましい。
これらの要求を高い水準で満たすために、外層に好ましく使用するプロピレン樹脂組成物(Y)は、下記条件(E−i)および(E−ii)を満たす第三のプロピレン樹脂(以下、「プロピレン樹脂(E)」または「成分(E)」ということもある)を含む。
(E−i)DSC測定における融解ピーク温度が150〜170℃の範囲である。
(E−ii)メルトフローレート(230℃、2.16kg)が2〜20g/10分の範囲である。
[(E−i)成分(E)の融解ピーク温度]
成分(E)の融解ピーク温度Tm(E)は、150〜170℃の範囲である。Tm(E)が150℃以上であれば、十分な耐熱性が得られ、ヒートシール時にポリプロピレン系樹脂フィルムがヒートシールバーに融着しにくくなる。Tm(E)が170℃以下であれば、工業的に製造することが容易である。Tm(E)は、好ましくは155〜170℃の範囲であり、より好ましくは158〜168℃の範囲である。
[(E−ii)成分(E)のメルトフローレート]
成分(E)は、積層時の界面荒れ、表面荒れが発生せず、また厚み変動などを起こさない易成形性を得るために適度な流動性を有することが重要であり、流動性の尺度である成分(E)のメルトフローレート(230℃、2.16kg)(以下、MFR(E)ということもある)は、2〜20g/10分の範囲である。MFR(E)が2g/10分以上であれば界面荒れ、表面荒れが発生せず、外観良好なフィルムが得られる。一方、MFR(E)が20g/10分以下であれば、厚み変動を起こさず、成形性を保つことができる。MFR(E)は、好ましくは2〜15g/10分の範囲にあり、より好ましくは4〜15g/10分の範囲である。ここで、MFRは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに準拠して、230℃、2.16kg荷重で測定する値である。
プロピレン樹脂(E)は、上記条件(E−i)および(E−ii)を満足すればプロピレンホモポリマーであってもよく、他のα−オレフィンとのランダム共重合体、または他のα−オレフィンとのブロック共重合体であってもよい。α−オレフィンの例としては、先に成分(A)の項で挙げたものと同様である。
成分(E)は、上記条件(E−i)および(E−ii)を満足するものが得られる限り、いかなる方法で製造してもよい。プロピレン樹脂(E)がプロピレン重合体(E1)とプロピレン−エチレンランダム共重合体(E2)からなる組成物であってもよく、当該組成物を製造する場合には、別々に製造されたプロピレン重合体(E1)とプロピレン−エチレンランダム共重合体(E2)を、混合装置を用いて混合することにより製造してもよく、逐次重合(多段重合)法によりプロピレン重合体(E1)を製造し、引き続きプロピレン重合体(E1)の存在下にプロピレン−エチレンランダム共重合体(E2)を製造して、プロピレン樹脂(E)を連続的に製造してもよい。
成分(E)は、市販されているものの中から適宜選択し、使用することもできる。市販品としては、日本ポリプロ(株)製商品名ノバテックPP(NOVATEC PP)などが挙げられる。使用において条件(E−i)および(E−ii)を満足するグレードを適宜選択すればよい。
・改質材(S)
プロピレン樹脂組成物(Y)には、さらに耐低温衝撃性を付与するために、エラストマー成分(S)を添加してもよい。ポリオレフィン系樹脂フィルムの外層に配合することのできるエラストマー成分としては、例えばスチレン系エラストマーが挙げられる。スチレン系エラストマーのスチレン含量は1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。スチレン含量が多すぎるとポリプロピレンとの相溶性が低下し、透明性が悪化するため、より好ましくは3〜15重量%の範囲である。
スチレン系エラストマーは市販されているものの中から適宜選択して使用することが出来る。例えばスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物としてクレイトンポリマージャパン(株)より「クレイトンG」の商品名として、また、旭化成工業(株)より「タフテック」の商品名で、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物として(株)クラレより「セプトン」の商品名で、スチレン−ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物として(株)クラレより「ハイブラー」の商品名で、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物としてJSR(株)より「ダイナロン」の商品名で販売されており、これらの使用においては、透明性、ベタツキ、ブリードアウトなどの問題を起こさないよう適宜密度とMFRを選定すればよい。また、プロピレン樹脂組成物(Y)には、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、さらに他の成分を含有させてもよい。
・プロピレン樹脂組成物(Y)中の各成分の割合
プロピレン樹脂組成物(Y)が成分(S)を含む場合、成分(E)の外層中に占める割合は、外層の全重量に対して70〜99重量%の範囲であることが好ましく、成分(S)の外層中に占める割合は外層の全重量に対して1〜30重量%の範囲であることが好ましい。より好ましくは成分(E)の含有量が75〜95重量%の範囲であり、成分(S)の含有量が5〜25重量%の範囲である。成分(E)の含有量が70重量%以上、即ち成分(S)の含有量が30重量%以下であると、十分な耐熱性を得ることができ、加熱処理工程において変形が生じる恐れが小さくなる。成分(E)の含有量が99重量%以下、即ち成分(S)の含有量が1重量%以上であると、耐低温衝撃性付与効果が得られる。
<付加的成分(添加剤)>
ポリオレフィン系樹脂フィルムにおける中間層、外層、内層に用いられる各プロピレン樹脂組成物(X)、プロピレン樹脂組成物(Y)およびエチレン樹脂組成物(Z)は、フィルムとして好適に用いるために、ブリードアウトの発生など本発明の効果を著しく損なわない範囲で、任意の添加剤を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤などを挙げることができる。各種添加剤について以下に詳しく述べる。さらに本発明の効果を著しく損なわない範囲で、柔軟性を付与する成分としてエラストマーを配合することができる。
(イ)酸化防止剤
酸化防止剤として、当業者に公知の酸化防止剤を用いることができ、例えば、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレートなどを挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノおよびジノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
これら酸化防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の配合量は、各々の樹脂組成物100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。配合量を上記範囲内とすることで、熱安定性の効果が得られ、かつ樹脂を製造する際に劣化が起こりヤケとなる、酸化防止剤自体が異物となるなどのフィッシュアイの原因を除去することができる。
(ロ)アンチブロッキング剤
アンチブロッキング剤としては、無機系および有機系のアンチブロッキング剤のいずれをも使用することができる。
アンチブロッキング剤の具体例としては、例えば無機系としては、合成または天然のシリカ(二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウムなどが挙げられる。また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシルセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド樹脂、尿素樹脂(ユリア樹脂)、フェノール樹脂などが挙げられる。特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが、分散性、透明性、耐ブロッキング性、耐傷つき性のバランスから好適である。
また、アンチブロッキング剤は表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などの有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッ素樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダなどの縮合リン酸塩などを用いることができ、特に有機酸処理、なかでもクエン酸処理されたものが好適である。処理方法は特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬など公知の方法を採用することができる。
アンチブロッキング剤の粒子はいかなる形状であってもよく、球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状など任意の形状とすることができる。
アンチブロッキング剤の粒子の大きさは、平均粒子径で1〜7μm、好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは1〜4μmである。平均粒子径を1μm以上とすることで、得られるフィルムの滑り性、開口性を良好に保つことができる。一方、7μm以下とすることで、透明性、耐傷つき性を保つことができる。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値であり、角状、柱状、針状または板状であるときの平均粒子径の規定方法は、当業者に公知である。
これらアンチブロッキング剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤を配合する場合の配合量は、各々の樹脂組成物100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.7重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。配合量を0.01重量部以上とすることで、フィルムのアンチブロッキング性、滑り性、開口性が良好になりやすい。配合量を1.0重量部以下とすることで、フィルムの透明性を保ち、また、それ自体が異物となるなどのフィッシュアイの原因を除去することができる。
(ハ)スリップ剤
スリップ剤としては、モノアマイド類、置換アマイド類、ビスアマイド類などが挙げられ、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルミチン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸モノアマイドとしては、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイドなどが挙げられる。
置換アマイド類の具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルミチン酸アマイドなどが挙げられる。
ビスアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセバシン酸アマイドなどが挙げられる。不飽和脂肪酸ビスアマイドとしては、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アマイドなどが挙げられる。芳香族系ビスアマイドとしては、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
これらの中では、特に、脂肪酸アマイドのうち、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
スリップ剤を配合する場合の配合量としては、各々の樹脂組成物100重量部に対して、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.7重量部、より好ましくは0.1〜0.4重量部である。0.01重量部以上とすることで、開口性や滑り性がより良好になりやすい。1.0重量部以下とすることで、過剰なスリップ剤の浮き出しを防ぎ、フィルム表面にブリードすることでの透明性の悪化を招きにくくなる。
(ニ)核剤
核剤の具体例としては、ナトリウム−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェート、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸)アルミニウム、アルミニウムヒドロオキシ−2,2’−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フォスフェートと炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物((株)ADEKA製、商品名NA21)などが挙げられる。
上記核剤を配合する場合の配合量としては、各々の樹脂組成物100重量部に対して、0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.05重量部である。0.0005重量部以上とすることで、核剤としての効果が十分に得られる。0.5重量部以下とすることで、それ自体が異物となるなどのフィッシュアイの原因を除去することができる。
(ホ)中和剤
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学工業(株)製)などを挙げることができる。
中和剤を配合する場合の配合量は、各々の樹脂組成物100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。配合量を上記範囲内とすることで、中和剤としての効果が十分に得られ、押出機内部の劣化樹脂を掻き出すことや、それ自体が異物となるなどのフィッシュアイの原因を除去することができる。
(ヘ)光安定剤
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が好適に使用され、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合している全ての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられる。
具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
これらのヒンダードアミン系安定剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系安定剤を配合する場合の配合量は、各々の樹脂組成物100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部である。ヒンダードアミン系安定剤の配合量を0.005重量部以上とすることで、耐熱性、耐老化性などの安定性の向上効果が得られ、2重量部以下とすることで、それ自体が異物となるなどのフィッシュアイの原因を除去することができる。
(ト)帯電防止剤
帯電防止剤としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として公知のものであれば特に限定されることなく使用することができ、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸またはロジン酸セッケン、N−アシルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミン塩などのカルボン酸塩;スルホコハク酸塩、エステルスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩などのスルホン酸塩;硫酸化油、硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸エーテル塩、硫酸アミド塩などの硫酸エステル塩;リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸エーテル塩、リン酸アミド塩などのリン酸エステル塩などが挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩などのアミン塩;アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、テトラアルキルアンモニウム塩、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム塩、N−アルキルアルカンアミドアンモニウムの塩などの第4級アンモニウム塩;1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−1−アルキル−2−アルキル−2−イミダゾリンなどのアルキルイミダゾリン誘導体;イミダゾリニウム塩、ピリジニウム塩、イソキノリニウム塩などが挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、p−アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテルなどのエーテル形;脂肪酸ソルビタンポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ソルビトールポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸グリセリンポリオキシエチレンエーテルなどのエーテルエステル形;脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、2価アルコールエステル、ホウ酸エステルなどのエステル形;ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、脂肪酸アルカノールアミド、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミド、アルカノールアミンエステル、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミン、アミンオキシド、アルキルポリエチレンイミンなどの含窒素形のものなどが挙げられる。
両性界面活性剤としては、モノアミノカルボン酸、ポリアミノカルボン酸などのアミノ酸形;N−アルキルアミノプロピオン酸塩、N,N−ジ(カルボキシエチル)アルキルアミン塩などのN−アルキル−β−アラニン形;N−アルキルベタイン、N−アルキルアミドベタイン、N−アルキルスルホベタイン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタインなどのベタイン形;1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシ−1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−スルホエチル−2−アルキル−2−イミダゾリンなどのアルキルイミダゾリン誘導体などが挙げられる。
これらの中では、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、中でもモノグリセリド、ジグリセリド、ホウ酸エステル、ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、アミドなどのエステル形または含窒素形の非イオン性界面活性剤;ベタイン形の両性界面活性剤が好ましい。
なお、帯電防止剤としては、市販品を使用することができ、例えば、エレクトロストリッパーTS5(花王(株)製、商標、グリセリンモノステアレート)、エレクトロストリッパーTS6(花王(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA(花王(株)製、商標、ラウリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA−7(花王(株)製、商標、ポリオキシエチレンラウリルアミンカプリルエステル)、デノン331P(丸菱油化(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート)、デノン310(丸菱油化(株)製、商標、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル)、レジスタットPE−139(第一工業製薬(株)製、商標、ステアリン酸モノ&ジグリセリドホウ酸エステル)、ケミスタット4700(三洋化成(株)製、商標、アルキルジメチルベタイン)、レオスタットS(ライオン(株)製、商標、アルキルジエタノールアミド)などが挙げられる。
帯電防止剤を配合する場合の配合量は、各々の樹脂組成物100重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部、より好ましくは0.1〜0.8重量部、さらに好ましくは0.2〜0.5重量部である。これら帯電防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。帯電防止剤の配合量を0.01重量部以上とすることで、表面固有抵抗を減らして帯電による障害を防止することができる。2重量部以下とすることで、フィルム表面にブリードによる粉吹きが発生しにくくなる。
<<その他の層>>
ポリオレフィン系樹脂フィルムを構成する第一、第二および第三の層は、これらの層が順番に積層されているが、各層の間に接着層などの任意の層を追加して設けることもできるが、コスト面から第一の層と第二の層は隣接することが好ましい。接着層に用いられる材料としては、本発明の効果を損なわない限り、当業者に公知の任意の材料を用いることができ、当業者に公知の方法により、フィルムの所望の位置に設けられる。
<ポリオレフィン系樹脂フィルムの各層を構成する樹脂組成物の製造方法>
ポリオレフィン系樹脂フィルムにおける中間層を構成するプロピレン樹脂組成物(X)は、上述したプロピレン樹脂(A)、エチレン−α−オレフィン共重合体(G)、その他の付加的成分を、ヘンシェルミキサー、Vブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーブレンダーなどで混合し、必要に応じて、単軸押出機、多軸押出機、ニーダー、バンバリミキサーなどの混練機により混練する方法により得られる。ポリオレフィン系樹脂フィルムにおける外層または内層を構成するプロピレン樹脂組成物(Y)およびエチレン樹脂組成物(Z)についても、上述した各成分を、上記方法により混合、混練することにより得られる。各成分は同時に混合してもよいし、一部をマスターバッチとした上で、混合、混練してもよい。
<<<ポリオレフィン系樹脂フィルム>>>
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、厚みが0.01mm〜1.0mmの範囲であることが好ましい。また、フィルム全体の厚みを100としたときの中間層の厚みの割合は、好ましくは50〜96の範囲であり、より好ましくは60〜90の範囲である。中間層の厚みの割合を50以上とすることで、柔軟性、耐衝撃性が良好になりやすくなり、96以下とすることで、耐熱性が良好になりやすくなる。
ポリオレフィン系樹脂フィルムの外層の厚みの割合は、フィルム全体の厚みを100としたときに、好ましくは2〜48の範囲であり、より好ましくは5〜30の範囲である。
ポリオレフィン系樹脂フィルムの内層の厚みの割合は、フィルム全体の厚みを100としたときに、好ましくは2〜48の範囲であり、より好ましくは5〜30の範囲である。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、加熱処理後も優れた柔軟性を有していることを特徴としており、柔軟性の尺度である引張弾性率が300MPa以下であることが好ましい。引張弾性率が300MPa以下、より好ましくは260MPa以下、さらに好ましくは240MPa以下であると、ごわごわ感がなくなるため、触感が良く、例えば輸液バッグとして用いる場合、排液性に優れるなどの利点がある。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、透明性の尺度である内部ヘイズ(Haze)が加熱処理後で好ましくは8%以下、より好ましくは7%以下、さらに好ましくは6%以下である。内部ヘイズを上記範囲とすることで、内容物を明瞭に見ることができ、内容物に異物が入っていないかどうか確認可能であるという点で非常に優れている。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、耐衝撃性、とりわけ、例えば5℃などの低温での耐衝撃性に優れており、耐低温衝撃性の尺度である5℃における落袋試験において2m高さから連続10回落袋させても破袋しないという優れた耐衝撃性を有し、運搬工程、保存工程などで万が一落としても破袋せず、製品として使用可能であるという点で優れている。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、121℃前後の加熱処理を行っても変形を起こさないという優れた耐熱性を有している。変形したものは外観が悪く、製品価値が下がってしまい、製品として用いることはできない。また、本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは優れたクリーン性を有しており、フィルムの大部分を構成する第二の層に使用する材料は汚染する可能性がある低分子量成分、低規則性成分が極めて少ない。また、121℃の加熱処理を行っても積層体の層間強度に優れており、滅菌前後を比較して、強度低下が極めて小さいことを特徴とする。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、公知のフィルムの製造方法で製造することができる。例えば、Tダイ、サーキュラーダイを用いた押出成形などであり、より詳しくはTダイキャスト法、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法などの公知の技術によって製造することができる。なかでも、押出機で溶融混練された樹脂がサーキュラーダイから押し出され、水などの冷媒に接触させられることにより冷却されてフィルムを製造する水冷インフレーション法や水冷デフレーション法が、透明性が良いフィルムを製造することができる。このような方法はフィルムにとって好ましい製造方法である。
水冷インフレーション法は、具体的には、以下の工程を含む方法である:
(1)各層用のオレフィン樹脂組成物(X)、(Y)および(Z)をそれぞれ各押出機中で溶融すること;
(2)各押出機が接続した環状の共押出多層サーキュラーダイから、各層用の溶融したプロピレン樹脂組成物(X)、プロピレン樹脂組成物(Y)およびエチレン樹脂組成物(Z)を積層した状態で押し出すこと;
(3)チューブ状に溶融し、押し出された樹脂をエアーによりブローして膨張させ、エアーリングで徐冷すること;および
(4)樹脂を冷却水に接触させることにより急冷し、ポリオレフィン系樹脂フィルムを得ること。
サーキュラーダイの溶融押出部のクリアランス(リップ幅)は、好ましくは0.5〜3.0mmの範囲であり、より好ましくは0.7〜2.0mmの範囲である。成形温度は180〜280℃、好ましくは190〜230℃である。ブロー比は0.5〜2.0の範囲、好ましくは0.7〜1.5の範囲である。製膜速度は5〜50m/分、好ましくは7〜30m/分である。水冷には、例えばサイジングリンクまたは水槽式の水冷リングが用いられる。冷却水の水温は、10〜60℃、好ましくは、10〜40℃である。本発明は、上記工程を含む水冷インフレーション法によるポリオレフィン樹脂フィルムの製造方法を包含する。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、上述のように柔軟性、透明性、耐衝撃性、耐熱性、クリーン性に優れ、厚みムラ、界面荒れなどの外観不良による透明性悪化を抑制することができ、耐低温衝撃性に優れ、さらに殺菌や滅菌などの加熱処理工程においてもプレピレン樹脂層とエチレン樹脂層の層間剥離がし難い為、加熱処理用包装体として好適である。本発明の加熱処理用包装体は、前記ポリオレフィン系樹脂フィルムからなる袋状の収容部を含む。また、包装体は、包装体の内容物を注出可能なように該収容部と融着された、スパウト、排出ポート・注入ポートなどの射出部品を有してもよい。さらに、包装体の用途に応じて、例えば、周辺部に点滴などの際に吊り下げるための穴部、開封のための切り込みなどを設けてもよい。本発明の加熱処理用包装体の収容部は、例えば、筒状に成形したフィルムの両端を熱圧着した、または2枚のポリオレフィン系樹脂フィルムを内層同士が接触するように重ねて周囲を熱圧着して得られる。この際、内容物の注出口となる射出部品は、前記収容部の成形時に同時にヒートシールして形成させてもよいし、収容部の形成と射出部品の形成を別工程で行うことも可能である。
加熱処理包装体の例としては、レトルト包装体のほか、血液バッグ、人工透析用バッグのような医療用容器としての輸液バッグなどが挙げられる。本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムを含む加熱処理用包装体、例えば輸液バッグもまた、本発明の一態様である。
以下において、本発明をより具体的にかつ明確に説明するために、本発明を実施例および比較例との対照において説明し、本発明の構成の要件の合理性と有意性を実証するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例、比較例で用いた物性測定法、特性評価法、樹脂材料は以下の通りである。
1.樹脂物性の測定方法
(イ)メルトフローレート:
プロピレン樹脂組成物またはスチレン系エラストマーのメルトフローレートは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Mに従い、試験温度:230℃、公称荷重:2.16kg、ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mmで測定した。
エチレン−α−オレフィン共重合体のメルトフローレートは、JIS K7210:1999の附属書A表1、条件Dに従い、試験温度:190℃、公称荷重:2.16kg、ダイ形状:直径2.095mm 長さ8.00mmで測定した。
(ロ)密度:
JIS K7112 に準拠してピクノメーター法で測定した。
(ハ)融解ピーク温度:
TAインスツルメント社製DSCを用い、試料5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温速度で結晶化させ、さらに10℃/分の昇温速度で融解させたときの融解ピーク温度を測定した。
(ニ)tanδピーク温度測定
試料は、下記条件により射出成形した厚さ2mmのシートから、10mm幅×18mm長×2mm厚の短冊状に切り出したものを用いた。装置はレオメトリック・サイエンティフィック社製のARESを用いた。周波数は1Hzである。測定温度は−60℃から20℃までは3℃/30秒の速度で昇温し、20℃以上は3℃/40秒の速度で段階的に昇温し、試料が融解して測定不能になるまで測定を行った。歪みは0.1〜0.5%の範囲で行った。
〔試験片の作成〕
規格番号:JIS−7152(ISO294−1)
成形機:東芝機械製EC−20射出成形機
成形機設定温度:ホッパ下から 80、80、160、200、200、200℃
金型温度:40℃
射出速度:200mm/秒(金型キャビティー内の速度)
保持圧力:20MPa
保圧時間:40秒
金型形状:平板(厚さ2mm 幅40mm 長さ80mm)
(ホ)W(A1)、W(A2)、α[A1]およびα[A2]は、前述の方法で測定した。
2.フィルムの評価方法
(1)耐熱性
円筒状になっている積層フィルムを流れ方向に210mmの大きさに切り出し、切り出した一方を、インパルスシーラーを用いてヒートシールして袋状にした。ついでその中に水を250ml充填し、もう一辺をインパルスシーラーを用いてヒートシールして密封した。ヒートシールとヒートシールの間の距離は200mmとなるようにシールした。このようにして得られたサンプル袋を、高温高圧調理殺菌試験機(日阪製作所製、RCS−40RTGN型)の中に入れた後、加圧し、121℃まで雰囲気温度を上昇させて、その温度を30分間保持した。その後、約40℃まで冷却し、該サンプル袋を試験機から取り出した。(以下、この殺菌処理をしたフィルム(サンプル袋)を加熱処理後積層フィルムということもある。)
加熱処理後フィルムの耐熱性評価は以下の基準で行った。
×:変形、しわ、内面融着を起こしており、使用不可
○:変形、しわ、内面融着を起こしていないか、ごく僅かであり使用可能なレベル
なお、結果の項目欄においては、滅菌後外観と表記した。
(2)透明性(内部HAZE):
加熱処理後積層フィルムの両面を流動パラフィンによりスライドグラスで密着させ、JIS K7136−2000に準拠し、ヘイズメータで測定した。得られた値が小さいほど透明性がよいことを意味し、この値が8%以下であると内容物を確認しやすく、例えば医療用途では安全性に優れており、7%以下が好ましく、6%以下が特に好ましい。
(3)引張弾性率:
JIS K−7127−1989に準拠し、下記の条件にて、加熱処理後積層フィルムの流れ方向(MD)についての引張弾性率を測定した。得られた値が小さいほど柔軟性に優れていることを意味し、この値が300MPa以下であると触感のよい手触りで高級感を得る点で優れており、260MPa以下が好ましく、240MPa以下が特に好ましい。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:15mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:1mm/min
(4)ヒートシール後の剥離強度測定:
(i)ヒートシール条件
得られた積層フィルムを円筒状になっている流れ方向に100mmの大きさに切り出し、切り出した一方を積層体の内層面同士をヒートシール(ヒートシール条件:圧力3.4kgf/cm(0.33MPa)、時間1.5秒、シール温度はサンプル毎に100℃〜160℃の範囲で5℃刻みでヒートシール実施)し、23℃、50%RH雰囲気下で24時間状態調整する積層フィルムと、耐熱性評価と同様に水を入れて加熱処理した積層フィルムを作製した。
(ii)剥離試験
ヒートシール後のフィルムを流れ方向に10mm幅の短冊状に切り取って試験用サンプルとし、シール部を中央にして180度に開いてその両端を万能型試験機(テンシロン万能試験機、オリエンテック社製)の両つかみに取り付け、剥離速度500mm/minでシール部または基材フィルムが破断するまで引っ張り、その間の最大荷重を求めた。
得られたこの数値が高い程、フィルムが強固に接着しており、高強度ヒートシール可能なフィルムであることを示す。この数値が30N/10mm以上であると重量物包装用途に充分に使用可能である。
また、ヒートシール強度に関わらず、剥離試験時に界面剥離有無を確認し、滅菌前後についての変化も評価した。界面剥離が発生すると内容物が漏えいする可能性があり、中へ異物が混入して製品の安全性が低下する事が考えられる。
(5)2次加工後の外観:
前記ヒートシール後の積層フィルムがヒートシールバーと接触した部分を目視し、外観良し悪しの判断を行った。外観が悪いものはヒートシールにより、積層フィルムの薄膜化、肉細りが発生している事が考えられ、薄肉部より積層フィルムが破損し、内容物の漏えいや中への異物混入の危険性があると考えられる。
○:ヒートシールバー接触部が平滑で表面が荒れていない状態
×:ヒートシールバー接触部が凸凹していて表面が荒れている状態
(6)落袋衝撃試験:
前記積層フィルム製造途中で得られる筒状成形体の片方を折り幅92mm、長さ210mmで切り出し、前記ヒートシール条件における最高ヒートシール強度到達のヒートシール温度条件でヒートシールを行い、袋状に成形した後、その中に水250mlを詰め、その後、もう一方の口をインパルスシーラーで仮封止した後、さらに前記ヒートシール条件でヒートシールを行ない、水を封じた水入り袋を成形した。水入り袋は5℃の雰囲気下で7日間状態調整した後、得られた水入り袋を2mの高さから10回連続で落下させ、N=5で評価して破袋しない袋の生存率を評価した。
3.使用樹脂
(I)プロピレン系重合体
(1)プロピレン樹脂組成物(X)
中間層の成分(X)として、下記の製造例(A−1)により逐次重合法で得られたプロピレン樹脂PP(A−1)を用いた。
[製造例(A−1):PP(A−1)の製造]
(i)予備重合触媒の調製
(珪酸塩の化学処理)
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75L、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製商品名「ベンクレイSL」、平均粒径=25μm、粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。
(珪酸塩の乾燥)
先に化学処理した珪酸塩は、キルン乾燥機により乾燥を実施した。乾燥機の仕様および乾燥条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状 内径50mm 加温帯550mm(電気炉)
かき上げ翼付き回転数:2rpm 傾斜角:20/520
珪酸塩の供給速度:2.5g/分
ガス流速:窒素 96L/時間
向流乾燥温度:200℃(粉体温度)
(触媒の調製)
撹拌および温度制御装置を有する内容積16リットルのオートクレーブを窒素で充分置換した。乾燥珪酸塩200gを導入し、混合ヘプタン1160mL、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)840mLを加え、室温で攪拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを2,000mLに調製した。次に、先に調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)9.6mLを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、(R)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2,180mg(0.3mM)と混合ヘプタン870mLに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)33.1mLを加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、混合ヘプタンを追加して5,000mLに調製した。
(予備重合/洗浄)
続いて、槽内温度を40℃に昇温し、温度が安定したところでプロピレンを100g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。
予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを2,400mLデカントした。続いてトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)9.5mL、さらに混合ヘプタン5,600mLを添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを5,600mL除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23mM、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を170mL添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。触媒1g当たりポリプロピレンを2.0g含む予備重合触媒が得られた。この予備重合触媒を用いて、以下の手順に従ってプロピレン樹脂組成物の製造を行った。
(ii)第一重合工程
攪拌羽根を有する横型反応器(L/D=6、内容積100L)を十分に乾燥し、内部を窒素ガスで十分に置換した。ポリプロピレン粉体床の存在下、回転数30rpmで攪拌しながら、反応器の上流部に上記の方法で調製した予備重合触媒を(予備重合パウダーを除いた固体触媒量として)0.568g/時間、トリイソブチルアルミニウムを15.0mmol/時間で連続的に供給した。反応器の温度を65℃、圧力を2.1MPaGに保ち、かつ反応器内気相部のエチレン/プロピレンモル比が0.07、水素濃度が100ppmになるように、モノマー混合ガスを連続的に反応器内に流通させ、気相重合を行った。反応によって生じた重合体パウダーは、反応器内の粉体床量が一定になるように、反応器下流部より連続的に抜き出した。この時、定常状態になった際の重合体抜き出し量は10.0kg/時間であった。
第一重合工程で得られたプロピレン−エチレンランダム共重合体を分析したところ、MFRは6.0g/10分、エチレン含有率は2.2wt%であった。
(iii)第二重合工程
攪拌羽根を有する横型反応器(L/D=6、内容積100L)に、第一工程より抜き出したプロピレン−エチレン共重合体を連続的に供給した。回転数25rpmで攪拌しながら、反応器の温度を70℃、圧力を2.0MPaGに保ち、かつ反応器内気相部のエチレン/プロピレンモル比が0.453、水素濃度が330ppmになるように、モノマー混合ガスを連続的に反応器内に流通させ、気相重合を行った。反応によって生じた重合体パウダーは、反応器内の粉体床量が一定になるように、反応器下流部より連続的に抜き出した。この時、重合体抜き出し量が17.9kg/時間になるように活性抑制剤として酸素を供給し、第二重合工程での重合反応量を制御した。活性は31.429kg/g−触媒であった。
こうして得られたプロピレン樹脂PP(A−1)の物性の各種分析結果を、下記の表3に示す。
Figure 2020055240
造粒
さらに、得られたプロピレン樹脂PP(A−1)100重量部に対し、酸化防止剤1としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(BASFジャパン株式会社製商品名「イルガノックス1010」)を0.05重量部、酸化防止剤2としてトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(BASFジャパン株式会社製商品名「イルガホス168」)を0.05重量部添加し、充分に撹拌混合し、スクリュ口径30mmの池貝製作所製PCM二軸押出機にて、スクリュ回転数200rpm、吐出量10kg/時間、押出機温度200℃で溶融混練し、ストランドダイから押し出された溶融樹脂を冷却水槽で冷却固化させながら引き取り、ストランドカッターを用いてストランドを直径約2mm、長さ約3mmに切断することでプロピレン樹脂PP(A−1)のペレットを得た。
(2)(H−1)(チーグラー触媒で重合したプロピレン単独重合体) : 日本ポリプロ(株) 製商品名ノバテックPP MA3(融解ピーク温度Tm:163℃、MFR:11g/10分)
(3)(H−2)チーグラー触媒で重合したプロピレン単独重合体) : 日本ポリプロ(株) 製商品名ノバテックPP FY4(融解ピーク温度Tm:162℃、MFR:5g/10分)
(4)(Z−1)(チーグラー触媒で重合したプロピレン系ブロック共重合体) : 三菱化学(株) 製商品名Zelas7023(融解ピーク温度Tm:163℃、MFR:1.5g/10分)
(5)(R−1)(チーグラー触媒で重合したプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体) : 日本ポリプロ(株) 製商品名ノバテックPP EG7C(融解ピーク温度Tm:143℃、MFR:1.7g/10分)
(6)(W−1)(メタロセン触媒で重合したプロピレン−α−オレフィンランダム共重合) : 日本ポリプロ(株) 製商品名ウィンテックWFW4(融解ピーク温度Tm:135℃、MFR:7g/10分)
(II)エチレン系重合体
(7)(G−1)(メタロセン触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体):日本ポリエチレン(株)製商品名カーネルKM340T(融解ピーク温度Tm:65℃、MFR:3.5g/10分、密度:0.880g/cm
(8)(G−2)(メタロセン触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体):日本ポリエチレン(株)製商品名カーネルKF360T(融解ピーク温度Tm:90℃、MFR:3.5g/10分、密度:0.898g/cm
(9)(G−3)(メタロセン触媒で重合したエチレン−α−オレフィン共重合体):日本ポリエチレン(株)製商品名カーネルKF283(融解ピーク温度Tm:108℃、MFR:2.5g/10分、密度:0.921g/cm
(III)スチレン系エラストマー
(10)スチレン系エラストマー(S−1):クレイトン(株)製商品名クレイトンG1645(MFR:2〜4.5g/10分、スチレン含量:11.5〜13.5重量%)
(実施例1〜4)(比較例1〜8)
下記表4に記載された各層用の原料ペレットにおいて、中間層用樹脂組成物(X)、外層用樹脂組成物(Y)、内層用樹脂組成物(Z)を表に記載の比率にて配合し、ドライブレンドを行った後、二軸押出機(テクノベル社製KZW−25)にて溶融混練しペレットを得た。
用意したペレットは中間層用押出機として、口径30mmの単軸押出機、外層用および内層用押出機として、口径18mmの単軸押出機を用い、マンドレル口径50mm、リップ幅1.0mmのサーキュラーダイから設定温度200℃にて押出し、10℃に調整した水冷リングにて水冷して、3m/分の速度で、折り幅90mmとなるように、水冷インフレーション成形を行い、表4に記載の層構成からなり総厚み200μmの筒状成形体を得た。
次に、得られた積層フィルムからなる筒状成形体を前述の方法で加熱処理を行った後に、23℃、50%RHの雰囲気下において24時間以上保持した後、積層フィルムの物性を評価した。評価結果を以下の表4に示す。
Figure 2020055240
比較例1〜8では本発明の規定範囲を超える為、耐熱性や透明性、柔軟性、滅菌後の界面強度と性能が不十分である。これは透明性についてはプロピレン系樹脂とエチレン系樹脂(エチレン−α−オレフィン共重合体)のブレンドにより、屈折率の異なる異樹脂間で光の散乱が起きた為と考えられ、特許文献5(特開2011−68116号公報)の実施例に示される比較例8は透明性が低いことが本検討で示された。耐熱性については第一のエチレン−α−オレフィン共重合体の密度が低いと外観不良が発生すると考えられ、成分A−1を配合しない場合は柔軟性が不足することが考えられる。特に本発明の範囲を超える場合は滅菌後の界面強度が著しく低下することが示されており、特許文献9(特開2007−245490号公報)の実施例に示される比較例7は界面強度が著しく低下し、121℃滅菌後に界面剥離が発生することが明らかとなった。
一方、表4から、本発明の規定の範囲内での配合、構成である実施例1〜4のポリオレフィン系樹脂フィルムは透明性、柔軟性、耐熱性、耐低温衝撃性に優れつつ、滅菌前後でも高いヒートシール強度を保持する、層間強度に優れているフィルムであることが示された。
本発明のポリオレフィン系樹脂フィルムは、柔軟性、透明性、耐熱性、耐衝撃性、特に低温下(例えば5℃)での耐衝撃性に優れ、かつ、121℃のような高温加熱処理を施しても、各層の界面強度を保持出来るものであり、それを用いた加熱処理用包装体は、輸液バッグやレトルト包装体用途に極めて有用である。


Claims (6)

  1. 第一の層、第二の層および第三の層の順で少なくとも3層が積層され、
    第一の層は、第一のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む第一のエチレン樹脂組成物を含み、
    第一のエチレン−α−オレフィン共重合体は、密度が0.899〜0.935g/cmの範囲であり、メルトフローレート(190℃、2.16kg)が1〜10g/10分の範囲である;
    第二の層は、第二のプロピレン樹脂と第二のエチレン−α−オレフィン共重合体を含む第二のプロピレン樹脂組成物を含み、
    第二のプロピレン樹脂は、第二のプロピレン樹脂100重量%に基づいて、DSC測定における融解ピーク温度が120〜170℃のプロピレン重合体を30〜70重量%、α−オレフィン含有率が7〜30重量%のプロピレン−α−オレフィンランダム共重合体を70〜30重量%含み、メルトフローレート(230℃、2.16kg)が0.5〜20g/10分の範囲であり、
    第二のエチレン−α−オレフィン共重合体はメタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体であり、密度が0.880〜0.920g/cmの範囲であり、第二のプロピレン樹脂組成物100重量%中に第二のエチレン−α−オレフィン共重合体を10〜40重量%含む;
    第三の層は、第三のプロピレン樹脂を含む第三のプロピレン樹脂組成物を含み、
    第三のプロピレン樹脂は、DSC測定における融解ピーク温度が150〜170℃の範囲であり、メルトフローレート(230℃、2.16kg)が2〜20g/10分の範囲である;
    ポリオレフィン系樹脂フィルム。
  2. 第二のプロピレン樹脂組成物に含まれる第二のプロピレン樹脂が、メタロセン系プロピレン樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
  3. 第一のエチレン樹脂組成物に含まれる第一のエチレン−α−オレフィン共重合体が、メタロセン系エチレン−α−オレフィン共重合体であることを特徴とする請求項2に記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
  4. 第一から第三の全層に含まれるプロピレンまたはエチレン樹脂組成物の合計100重量%中にスチレン系エラストマーを0〜3.0重量%含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルム。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂フィルムを含む、加熱処理用包装体。
  6. 121℃滅菌が可能な輸液バッグである、請求項5に記載の加熱処理用包装体。
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