JP5198098B2 - ポリプロピレン系フィルム - Google Patents
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Description
フィルムの製造方法には、Tダイ成形法、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法等があり、経済性、フィルムの要求性能等を勘案し、適宜選択されている。
このうち、空冷インフレーション法は、設備が簡単な上、ブロー比の調整だけでフィルムの幅替えが容易にできるので、作業性が良く、また、比較的低温にて成形できるので、低臭性も優れる特徴を有する。
しかしながら、空冷インフレーション法は、ポリエチレン系樹脂には広く用いられてきたが、ポリプロピレン系樹脂ではあまり使用されない。その理由として、Tダイ成形法、水冷インフレーション法では、透明なフィルムが得られるプロピレン系樹脂材料であっても、空冷インフレーション法では、全く透明性が得られない、といった問題があった。
例えば、特許文献1では、(A)メタロセン触媒を用いて重合され、MFRが1〜20g/分、融解ピーク温度(Tm)が110℃〜135℃、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5であるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体95〜99.9重量%、及び(B)造核剤0.1〜5重量%を含有するポリプロピレン樹脂組成物からなり、HAZEが5%以下であることを特徴とする空冷インフレーション成形ポリプロピレンフィルムが開示されている。
また、特許文献2では、メタロセン触媒を用いて重合され、MFRが1〜20g/分、融解ピーク温度(Tm)が110℃〜135℃、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5であるアイソタクチックプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体からなり、HAZEが10%以下であることを特徴とする空冷インフレーション成形ポリプロピレンフィルムが開示されている。
しかしながら、これらの方法で得られたポリプロピレンフィルムは、透明性については向上したものの、耐衝撃性に劣るため、適用できる用途範囲が限定されていた。
しかしながら、特許文献3に開示のポリプロピレンフィルムは、耐衝撃性は改良されているものの、縦方向の引裂強度が不足し、更には、透明性が悪化しやすく、適用できる用途範囲が限られていた。
したがって、空冷インフレーション法にて、Tダイ法や水冷インフレーション法で得られるフィルムなみの高透明であり、衝撃強度と引裂強度が良好なポリプロピレン系フィルムが強く望まれている。
(A1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜10g/10分である。
(A2)融解ピーク温度が110〜140℃である。
(B1)エチレンと少なくとも一種類以上の炭素数8以上のα−オレフィンとの共重合体である。
(B2)メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜10g/10分である。
(B3)密度が0.86〜0.89g/cm3である。
(A3)メタロセン触媒により重合されたものである。
(A4)プロピレンとエチレンとのランダム共重合体である。
(1)第1の発明において、ヘーズ値が5%以下であることを特徴とするポリプロピレン系フィルム。
(2)第1又は2の発明において、流れ(MD)方向の引裂強度が10N/mm以上であることを特徴とするポリプロピレン系フィルム。
(3)第1又は2の発明において、打ち抜き衝撃強度が700J/mm以上であることを特徴とするポリプロピレン系フィルム。
(A1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜10g/10分である。
(A2)融解ピーク温度が110〜140℃である。
(A3)メタロセン触媒により重合されたものである。
(A4)プロピレンとエチレンとのランダム共重合体である。
(B1)エチレンと少なくとも一種類以上の炭素数8以上のα−オレフィンとの共重合体である。
(B2)メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜10g/10分である。
(B3)密度が0.86〜0.90g/cm3である。
1.樹脂組成物の構成成分
(1)プロピレン系ランダム共重合体(A)
本発明の空冷インフレーション法により成形されてなるポリプロピレン系フィルムに用いられる樹脂組成物を構成する(A)成分は、下記特性(A1)〜(A2)、好ましくはさらに、特性(A3)〜(A4)を有するプロピレン系ランダム共重合体である。
(A1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜10g/10分である。
(A2)融解ピーク温度が110〜140℃である。
(A3)メタロセン触媒により重合されたものである。
(A4)プロピレンとエチレンとのランダム共重合体である。
また、ポリマーのMFRを調節するには、例えば、重合温度、触媒量、分子量調節剤としての水素の供給量などを適宜調節する方法がとられる。
なお、MFRの測定は、JIS K6921−2:1997付属書(230℃、2.16kg荷重)に準拠して行う。
また、融解ピーク温度(Tm)は、α−オレフィン含量やその種類およびプロピレン構成単位のレジオ規則性などの影響を受けうる。α−オレフィンがエチレンの場合には、その含有量は1〜5重量%程度であり、α−オレフィンが1−ブテンの場合には、その含有量は3〜15重量%程度である。さらに、Tmの調節は、共重合させるα−オレフィンの種類と量を制御することにより、適宜調整することができる。
なお、Tmの測定は、例えば、セイコー社製DSCを用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させた後に1分間保持し、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tm)で評価する。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO2、Al2O3、シリカアルミナ、MgO、ZrO2、TiO2、B2O3、CaO、ZnO、BaO、ThO2、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体(A)を得る方法としては、例えば、重合温度やコモノマー量を調節して、分子量および結晶性の分布を適宜制御することにより、所望のポリマーを得ることができる。
コモノマーとして用いられるα−オレフィンとしては、エチレン、または炭素数4〜18のα−オレフィンを挙げることができ、炭素数4〜18のα−オレフィンの具体例として、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテンなどを例示でき、これらの一種もしくは二種以上を用いることができる。中でも、エチレンおよび/又はブテン1(1−ブテン)が好ましく、エチレン系共重合体(B)との相容性の観点から、エチレンであることがより好ましい。
さらに、本発明に係るプロピレン系ランダム共重合体(A)としては、具体的な市販品として、日本ポリプロ社製「ノバテックPP」や「WINTECシリーズ」などを例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の空冷インフレーション法により成形されてなるポリプロピレン系フィルムに用いる樹脂組成物を構成する(B)成分は、下記特性(B1)〜(B3)を有するエチレン系共重合体である。
(B1)エチレンと少なくとも一種類以上の炭素数8以上のα−オレフィンとの共重合体である。
(B2)メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜10g/10分である。
(B3)密度が0.86〜0.90g/cm3である。
前記特許文献3(特開2004−315624号公報)では、実施例として、炭素数6までの共重合体を用いて耐衝撃性の改良効果を発現させているが、耐引裂性を改良するためには、少なくとも一種類以上の炭素数8以上のα−オレフィンとの共重合体であることが必要である。
尚、エチレンとの共重合体成分としては、一種類以上の炭素数8以上のα−オレフィンを使用すれば良く、例えば第三の共重合体成分として、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、デセン−1、ドデセン−1等が共重合されたものを排除するものではない。
なお、MFRの測定は、JIS K6921−2:1997付属書(190℃、2.16kg荷重)に準拠して行う。
なお、密度は、JIS K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して、測定する。
本発明に係るエチレン系共重合体(B)としては、具体的な市販品として、ダウ製ダウレックスシリーズ、エンゲージシリーズ、アフィニティシリーズなどが例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明の空冷インフレーション法により成形されてなるポリプロピレン系フィルムに用いられる樹脂組成物において、上記プロピレン系ランダム共重合体(A)とエチレン系共重合体(B)の配合量割合は、(A)成分が50〜90重量%、(B)成分が10〜50重量%であり、好ましくは(A)成分が60〜90重量%、(B)成分が10〜40重量%であり、より好ましくは(A)成分が70〜85重量%、(B)成分が15〜30重量%である。プロピレン系ランダム共重合体(A)の配合量が90重量%を超えると、耐引裂性が悪化する。一方、プロピレン系ランダム共重合体(A)の配合量が50重量%未満であると、透明性が悪化する。
本発明の空冷インフレーション法により成形されてなるポリプロピレン系フィルムに用いられる樹脂組成物には、上記の(A)成分と(B)成分以外に、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、C8未満のコモノマーを使用したエチレン・α−オレフィン共重合体やオレフィン系エラストマー、高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン、スチレン系エラストマー、エチレン・酢酸ビニル共重合体等を、付加的成分として、添加することができる。
また、上記オレフィン系エラストマーとしては、三井化学(株)製タフマーシリーズを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
また、上記スチレン系エラストマーとしては、JSR(株)製ダイナロンシリーズ、旭化成(株)製タフテックシリーズ、クレイトンポリマー(株)製クレイトンシリーズなどを例示することができるが、これらに限定されるものではない。
さらに、上記エチレン・酢酸ビニル共重合体としては、日本ポリエチレン(株)製ノバテックEVAを例示することができるるが、これらに限定されるものではない。
本発明の空冷インフレーション法により成形されてなるポリプロピレン系フィルムに用いられる樹脂組成物には、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、他の付加的任意成分を配合することができる。このような任意成分としては、通常のポリオレフィン樹脂材料に使用される酸化防止剤、結晶核剤、透明化剤、滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、中和剤、金属不活性剤、着色剤、分散剤、過酸化物、充填剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
上記各種添加剤について、以下に詳細に述べる。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
さらに、硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
これら酸化防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤としては、平均粒子径が1〜7μmであり、好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは1〜4μmである。平均粒子径が1μm未満では、得られるフィルムの滑り性、開口性が劣り好ましくない。一方、7μmを超えると、透明性、傷つき性が著しく劣り好ましくない。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ホリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。
特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが分散性、透明性、耐ブロッキング性、傷つき性のバランスから好適である。
また、アンチブロッキング剤は、表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッソ樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩等を用いることができ、特に有機酸処理、なかでもクエン酸処理されたものが好適である。処理方法は、特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。
アンチブロッキング剤は、いかなる形状であってもよく球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
これらアンチブロッキング剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
スリップ剤としては、モノアマイド類、置換アマイド類、ビスアマイド類等が挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて、使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸モノアマイドとしては、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
また、置換アマイド類の具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
さらに、ビスアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
また、不飽和脂肪酸ビスアマイドとしては、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
さらに、芳香族系ビスアマイドとしては、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
これらの中では、特に、脂肪酸アマイドのうち、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物((株)ADEKA製、商品名NA21)等が挙げられる。
上記核剤を配合する場合の配合量としては、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.05重量部である。上記範囲未満では、核剤としての効果が得られない。上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学工業(株)製)などを挙げることができる。
中和剤を配合する場合の配合量は、前記(A)成分と(B)成分からなる樹脂組成物100重量部に対し、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。配合量が上記範囲未満では、中和剤としての効果が得られず、押出機内部の劣化樹脂を掻き出してフィッシュアイの原因となる。また、上記範囲を超えると、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が好適に使用され、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられるが、具体的には、以下のような化合物が用いられる。
具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
これらのヒンダードアミン系安定剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系安定剤の含有量は、0.005重量部未満であると、耐熱性、耐老化性等の安定性の向上効果がなく、2重量部より多いと、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。
帯電防止剤としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として使用されている公知のものであれば、特に限定されることなく使用でき、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
粘着性付与剤としては、例えば、脂肪族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5系石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、タッキファイヤー等が挙げられ、これらは、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、紫外線吸収剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合することができ、その配合割合は適宜量である。
一般的には、酸化防止剤や中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲で他樹脂、或いは、その他の付加的成分(マスターバッチを含む)を添加し使用することも可能である。
本発明の空冷インフレーション法により成形されてなるポリプロピレン系フィルムに用いられる樹脂組成物の調製方法としては、従来公知のあらゆる方法を用いることができるが、通常、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の混練押出機にて、実施することができる。
本発明のポリプロピレン系フィルムは、空冷インフレーション成形法により得られるものをいい、前記フィルム成形用樹脂組成物を環状ダイ付きの押出機により溶融させてチューブ状にして押出し、ブロアーなどから供給される空気を空冷リングから溶融チューブに吹き付けて冷却固化させた後、ガイドロールやガイド板を経て、ピンチロールにて折り畳み、引き取り機にて引き取る方法である。
この成形方法で使用できる成形機、冷却リング、ブロアー、ガイドロール、ガイド板、ピンチロール、及びフィルムの引取機などは、広く市場にて使用されている装置を用いれば良く、特別なものは必要としない。
なお、本発明におけるフィルムのヘーズは、JIS K7136:2000(ISO14782:1999)の「プラスチック−透明材料のヘーズの求め方」に準拠して測定する。
さらに、本発明のポリプロピレン系フィルムの打ち抜き衝撃強度は、700J/mm以上が好ましく、より好ましくは1000J/mm以上、更に好ましくは1500J/mm以上、最も好ましくは2000J/mm以上である。打ち抜き衝撃強度が700J/mmに満たないと、包装時に破れが生じるおそれがあるため、商品価値に劣り、好ましくない。
尚、引裂強度の測定は、JIS K7128−2:1998の「プラスチック−フィルム及びシートの引裂強さ試験方法−第2部:エルメンドルフ引裂法」に準拠して、また、打ち抜き衝撃強度の測定は、JIS P8134:1998の「板紙−衝撃あな開け強さ試験方法」に準拠して、行う。
また、フィルムは単層でも、積層フィルムでも良いが、本発明のポリプロピレン系フィルムよりなる層の厚みが全厚みの50%以上となる必要がある。本発明のポリプロピレン系フィルムよりなる層の厚みが全厚みの50%未満であると、透明性、剛性、引裂強度の何れかが劣るものになりやすい。
更に、本発明のポリプロピレン系フィルムに対し、通常工業的に採用されている方法によって、コロナ放電処理、あるいは火炎処理などの表面処理を施すこともできる。
本発明の空冷インフレーション法により成形されてなるポリプロピレン系フィルムは、従来の技術で得られる空冷インフレーション法により成形されるポリプロピレン系フィルムに比べ、白味がなく、すっきりした透明感があり、且つ改良されたフィルムの流れ方向の引裂強度を有するため、包装材料としては、極めて商品価値の高いものである。用途としては、特に限定されないが、食品、衣料、医薬、文具、雑貨などの包装用途に好適に用いられる。
(1)メルトフローレート(MFR)[単位:g/10min]:
プロピレン系樹脂は、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)及びメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定し、エチレン・α−オレフィン共重合体は、JIS K6922−2:1997付属書に準拠し、190℃、荷重2.16kgで測定した。
(2)融解ピーク温度(Tm):
示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tm)を測定した。
(3)密度:
JIS K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定した。
(4)ヘーズ[単位:%]:
フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下にて24時間状態調整した後、JIS K7136:2000に準拠して、ヘーズメーターで測定した。得られた値が小さいほど透明性がよい。
(5)引張弾性率[単位:MPa]:
JIS K7127:1999(ISO527−3:1995)「プラスチック−引張特性の試験方法−第3部:フィルム及びシートの試験条件」に記載の方法に準拠し、下記の条件にて、フィルムの流れ方向(MD)および直角方向(TD)についての引張弾性率を測定した。得られた数値が高い方がフィルムの剛性が高く、フィルムとして取り扱いやすい。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:10mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:25mm/min
JIS Z8741に準拠して、得られたフィルムをグロスメーターにて測定した(単位:%)。この値が大きいほど光沢が優れている。
(7)引裂強度:
得られたフィルムの成形時の引取方向をタテ方向(MD)、引取方向と垂直の方向をヨコ方向(TD)として、JIS K7128−2:1998に準拠し、エレメンドルフ引裂法にて測定した(単位:N/mm)。この値が大きいほど引裂強度が優れる。
(8)打ち抜き衝撃強度:
JIS P8134に準拠して、東洋精機製フィルムインパクトテスターを用い、単位フィルム厚み当たりの貫通破壊に要した仕事量を測定した。具体的には、得られたフィルムを23℃の雰囲気下にて24時間以上放置し、状態調整を行った後、試験フィルムを直径50mmのホルダーに固定し、25.4mmφの半球型の金属貫通部を打撃させ、貫通破壊に要した仕事量(J)から、そのフィルムの衝撃に対する脆さを測定した。
衝撃強度(J/mm)=仕事量/試験片厚み
この値が大きいほど耐衝撃性に優れる。
実施例、比較例に用いたプロピレン系ランダム共重合体Aとエチレン系共重合体BとをPP1〜PP4、PE1〜PE6の略号を用いて示す。
(1)プロピレン系ランダム共重合体A:
PP1:メタロセン触媒により重合されたプロピレン・エチレンランダム共重合体、ウィンテックWFX4TA(日本ポリプロ(株)製、MFR7g/10min、融解ピーク温度125℃)
PP2:メタロセン触媒により重合されたプロピレン・エチレンランダム共重合体、ウィンテックWFX6(日本ポリプロ(株)製、MFR2g/10min、融解ピーク温度125℃)
PP3:メタロセン触媒により重合されたプロピレン・エチレンランダム共重合体、ウィンテックWFW4(日本ポリプロ(株)製、MFR7g/10min、融解ピーク温度135℃)
PP4:チーグラーナッタ触媒により重合されたプロピレン・エチレンランダム共重合体、ノバテックPP FG4(日本ポリプロ(株)製、MFR7g/10min、融解ピーク温度142℃)
PE1:エチレン・プロピレン・1−ヘキセン共重合体、カーネルKF360T(日本ポリエチレン(株)製、MFR3.5g/10min、密度0.898g/cm3)
PE2:エチレン・プロピレン・1−ヘキセン共重合体、カーネルKS340T(日本ポリエチレン(株)製、MFR3.5g/10min、密度0.88g/cm3)
PE3:エチレン・プロピレン共重合体、タフマーP0280(三井化学(株)製、MFR2.8g/10min、密度0.87g/cm3)
PE4:エチレン・1−ブテン共重合体、タフマーA4085(三井化学(株)製、MFR3.6g/10min、密度0.88g/cm3)
PE5:エチレン・1−オクテン共重合体、アフィニティEG8200G(ダウケミカルジャパン(株)製、MFR5g/10min、密度0.87g/cm3)
PE6:エチレン・1−オクテン共重合体、エンゲージ8100(ダウケミカルジャパン(株)製、MFR1g/10min、密度0.87g/cm3)
プロピレン系ランダム共重合体AとしてPP1ペレット80重量%と、エチレン系共重合体BとしてPE5ペレット20重量%を、小型バッチミキサーにて良くブレンドし、口径50mmの押出機に装着した直径200mm、リップ幅3mmの環状ダイより180℃にて溶融押出し、ブロー比=2、引取速度16m/分にて、空冷インフレーション成形を行い、厚み30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
実施例1において、プロピレン系ランダム共重合体AをPP1ペレットからPP2ペレットに変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表1に示す。
プロピレン系ランダム共重合体AとしてPP2ペレット80重量%と、エチレン系共重合体BとしてPE6ペレット20重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製ノバテックHD HJ490)1重量部を加え、小型バッチミキサーにて、よくブレンドし、実施例1と同じ方法でフィルム成形を行った。得られたフィルムの物性を表1に示す。
実施例1において、PP1ペレットを80重量%から70重量%に、PE5ペレットを20重量%から30重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表1に示す。
実施例1において、PP1ペレットを80重量%から85重量%に、PE5ペレットを20重量%から15重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表1に示す。
実施例4において、PP1ペレットをPP3ペレットに変更した以外は、実施例4と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表1に示す。
プロピレン系ランダム共重合体AとしてPP1ペレット80重量%と、エチレン系共重合体BとしてPE5ペレット15重量%と、付加成分としてPE2ペレット5重量%を小型バッチミキサーにて、よくブレンドし、口径50mmの押出機に装着した直径200mm、リップ幅3mmの環状ダイより180℃にて溶融押出し、ブロー比=2、引取速度16m/分にて空冷インフレーション成形を行い、厚み30μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性を表1に示す。
実施例1において、PP1ペレットを80重量%から95重量%に、PE5ペレットをPE1ペレットに変更し、更に添加量を20重量%から5重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
実施例1において、PE5ペレットをPE1ペレットに変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
実施例1において、PP1ペレットを80重量%から95重量%に、PE5ペレットをPE2ペレットに変更し、更に添加量を20重量%から5重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
実施例1において、PE5ペレットをPE2ペレットに変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
実施例1において、PP1ペレットを80重量%から95重量%に、PE5ペレットをPE3ペレットに変更し、更に添加量を20重量%から5重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
実施例1において、PE5ペレットをPE3ペレットに変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
比較例4において、PP1ペレットをPP3ペレットに変更した以外は、比較例4と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
プロピレン系ランダム共重合体AとしてPP1ペレット80重量%と、エチレン系共重合体BとしてPE2ペレット20重量%からなる樹脂組成物100重量部に対し、高密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製ノバテックHD HJ490)1重量部を加え、小型バッチミキサーにて、よくブレンドし、実施例1と同じ方法でフィルム成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
実施例1において、PE5ペレットをPE4ペレットに変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
実施例1において、PP1ペレットからPP4ペレットに変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
実施例1において、PP1ペレットを80重量%から95重量%に、PE5ペレットを20重量%から5重量%に変更した以外は、実施例1と同じ方法で成形を行った。得られたフィルムの物性を表2に示す。
また、エチレン系共重合体の添加量が本発明の範囲より少ないものについては、タテ方向への引裂強度が劣る(比較例1、3、5、11参照。)。
更に、プロピレン系ランダム共重合体の融解ピーク温度が本発明の範囲より高いものを用いた場合、透明性及びタテ方向への引裂強度が劣る(比較例10参照。)。
上記の実施例と比較例との対比から、従来技術、例えば特許文献3(特開2004−315624号公報)記載の技術、に比べ、格段に優れた性能を有することは明らかである。
Claims (2)
- 下記特性(A1)〜(A2)を有するプロピレン系ランダム共重合体(A)50〜90重量%と、下記特性(B1)〜(B3)を有するエチレン系共重合体(B)10〜50重量%とを必須成分とする樹脂組成物を用いて、空冷インフレーション法により成形されてなる、ヘーズ値が10%以下であることを特徴とするポリプロピレン系フィルム。
(A1)メルトフローレート(230℃、2.16kg荷重)が1〜10g/10分である。
(A2)融解ピーク温度が110〜140℃である。
(B1)エチレンと少なくとも一種類以上の炭素数8以上のα−オレフィンとの共重合体である。
(B2)メルトフローレート(190℃、2.16kg荷重)が0.5〜10g/10分である。
(B3)密度が0.86〜0.89g/cm3である。 - 前記プロピレン系ランダム共重合体(A)は、さらに、下記特性(A3)〜(A4)を有することを特徴とする請求項1に記載のポリプロピレン系フィルム。
(A3)メタロセン触媒により重合されたものである。
(A4)プロピレンとエチレンとのランダム共重合体である。
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