JP2010042667A - プロピレン系表面保護用フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロピレン系樹脂からなる基材層の一方の面に粘着層が形成され、他方の面に剥離処理層が形成された表面保護用フィルムにおいて、基材層がメタロセン触媒を用いて重合され、特定のMFR、融解ピーク温度、分子量分布、TREF値を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のプロピレン系樹脂であり、粘着層が特定のMFR、酢酸ビニル含量を有するエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂であり、剥離処理層が層表面の中心面平均粗さ(SRa)が0.2〜1.5μmの範囲内であることを特徴とする表面保護用フィルム。
【選択図】なし
Description
また、ポリエチレンの耐熱性や耐傷つき性、剛性の問題点を鑑み、かつ、塩素イオンの影響による金属薄膜層の点状欠陥を改良した塩素含有量が5重量ppm以下であるポリプロピレンからなることを特徴とするプロピレン系樹脂を主成分にした表面保護フィルムも提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、該特許文献に記載のプロピレン系樹脂においても、ポリエチレンのようなゲル化は起こらないものの、分子量分布が広く、つまり分子量の小さい低分子量のものと、分子量の大きい高分子量のものとが混在しているため、高分子量成分が、フィルムを成形する際に、未溶融の微細なかたまりがフィッシュアイとなってフィルム中に存在してしまい、被保護物に凹みが生じる結果となる。
(A)プロピレン系樹脂
(a1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分
(a2)示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5
(a4)昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下
(B)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂
(b1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が2〜200g/10分
(b2)酢酸ビニルの含有量が10〜40重量%
剥離処理層測定条件
(c1)触針先端曲率半径が5μm
(c2)カットオフ波長が0.80mm
(c3)カットオフ種別が2CR(位相補償)
(c4)測定速度が0.3mm/秒
(c5)測定方向がフィルムのMD方向
(c6)測定長さが2mm
(a5)昇温溶離分別(TREF)法により20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)が30℃以下
以下、本発明の表面保護用フィルムの各層の構成成分、表面保護用フィルムの製造法について詳細に説明する。
本発明の表面保護用フィルムにおける基材層は、プロピレン系樹脂(A)から構成される。プロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、またはプロピレンとα−オレフィンとの共重合体のプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を使用することができる。ここで、共重合成分のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
本発明で用いるプロピレン系樹脂のメルトフローレート(MFR)は、1〜50g/10分であり、好ましくは2〜30g/10分であり、より好ましくは5〜20g/10分であり、最も好ましくは7〜15g/10分である。
MFRが1g/10分未満では押出特性が悪化し、生産性が低下するため好ましくなく、また、MFRが50g/10分を超えるとフィルム成形時の厚み精度が悪化しやすくなるため好ましくない。
MFRは、重合時の水素の量で調整することができる。例えば、水素の量を増やすとMFRは高くなる。
なお、本発明において採用しているメルトフローレート(MFR:単位g/10分)は、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定する値である。
本発明で用いるプロピレン系樹脂の融解ピーク温度(Tmp)は、120〜170℃であり、好ましくは120〜165℃であり、さらに好ましくは120〜160℃であり、最も好ましくは120℃〜150℃である。
融解ピーク温度が120℃未満では、耐熱性が劣り、熱をかけて表面保護用フィルムを被保護物に貼り付ける加工工程時に表面保護用フィルムが変形し易くなる。融解ピーク温度が170℃より高いと、衝撃強度が劣り、表面保護用フィルムを被保護物に貼り付ける際に裂けが生じる恐れがある。
融解ピーク温度(Tmp)は、用いるα−オレフィンの量で調整することができる。例えば、α−オレフィンの量が増えれば融解ピーク温度(Tmp)は低下する。
なお、本発明において採用している融解ピーク温度(Tmp:単位℃)は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tmp)を測定する値である。
本発明で用いるプロピレン系樹脂の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、1.5〜3.5であり、好ましくは1.7〜3.2であり、さらに好ましくは2.0〜3.0であり、最も好ましくは、2.3〜2.8である。(Mw/Mn)が1.5未満であると、溶融樹脂粘度が高くなって溶融流動性が悪くなり、押出成形が困難となる。一方、(Mw/Mn)が3.5を超えると、分子量の小さい分子および分子量の大きい分子の存在比率が高くなり、高分子量分はフィルム成形時に未溶融のフィッシュアイとなり、被保護物に貼付けた後、そのままの状態で段積み保管すると、被保護物に凹みを生じることになる。
(Mw/Mn)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒の種類を変更することによって、調整することができる。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンはα=0.707、logK=−3.616である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
粘度式:log[η]=logK+α×logM
本発明で用いるプロピレン系樹脂の昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)は、10重量%以下であり、好ましくは8重量%以下であり、さらに好ましくは6重量%以下であり、最も好ましくは4重量%以下である。
昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%より多いと低結晶成分のベタツキ成分により被保護物が汚染されるという問題点がある。また、ポリマーを製造する過程において、低結晶成分のベタツキにより重合槽等でポリマー付着が発生し、滞留によるポリマーの劣化が起こり、結果としてポリマー劣化物由来のフィッシュアイとなってフィルム中に存在してしまう。
40℃以下の可溶分(S40)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒およびα−オレフィンの種類と量、組成を変更することによって調整することができる。
本発明で用いるプロピレン系樹脂の昇温溶離分別(TREF)法により20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)は、30℃以下が好ましく、より好ましくは25℃以下、さらに好ましくは20℃以下、最も好ましくは15℃以下である。(T100−T20)が30℃を超えると、プロピレン系樹脂の中に結晶性の高い成分と結晶性の低い成分とが同時に存在することになり、結晶成分の大きさや質が不均一となって、溶融樹脂粘度にムラが存在し、未溶融の微細なかたまりがフィッシュアイとなってフィルム中に存在してしまう。
昇温溶離分別による(T100−T20)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒およびα−オレフィンの種類と量、組成を変更することによって調整することができる。
すなわち、試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
上記条件に従って得た溶出曲線から40℃で溶出する成分の全量に対する割合(重量%)を算出する。また、20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)を算出する。用いるカラム、溶媒、温度等の条件は以下の通りである。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.2mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
測定波長:3.42μm
一方、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とするいわゆるチーグラーナッタ触媒などのメタロセン触媒以外の触媒により重合されたプロピレン単独重合体、またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いると、分子量分布が広く、高分子量成分が多く含まれるため、しかも、結晶分布も広く、低結晶成分が多い上、さらに、結晶性分布が不均一なため、フィルム中に未溶融の微細なかたまりが発生し、フィッシュアイとなって存在しやすくなる。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。特にアズレニル基を有するメタロセン化合物と粘土鉱物を組み合わせた触媒で得られる重合体は、製膜性、低フィッシュアイのバランスに優れている。
かかるポリプロピレンは、メタロセン系ポリプロピレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、日本ポリプロ社製「ウィンテック」等を挙げることができる。
なお、本発明のプロピレン系樹脂は、前記特性を満足する限り一種類もしくは二種類以上の組み合わせからなっても良い。
本発明の表面保護用フィルムは、上記プロピレン系樹脂(A)よりなる基材層の一方の面に粘着層が形成され、粘着剤としては、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(B)が用いられる。
本発明で用いるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(B)は、下記の特性(b1)〜(b2)を有する。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂のメルトフローレート(MFR)は、2〜200g/10分であり、好ましくは3〜100g/10分、さらに好ましくは3〜50g/10分である。
メルトフローレート(MFR)が2g/10分未満であると溶融粘度が高すぎフィルム化が難しくなり、200g/10分を超えると溶融粘度が低すぎフィルム化の過程で穴明き等の不具合が生じる。
本発明で用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の酢酸ビニル含有量は、10〜40wt%であり、好ましくは10〜30wt%である。
酢酸ビニル含有量が10wt%未満であると必要な粘着力が発現されず、40wt%を超えると粘着力が強くなりすぎ被着体に糊残りが発生することとなる。酢酸ビニルの含有量は、糊残りと粘着力のバランスから10〜40wt%が好ましい。
また、酢酸ビニルの含有量は、赤外分析法により1740cm−1と1460cm−1のピークに基づいて測定する。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂の市販品としては、日本ポリエチレン(株)製のノバテックEVAシリーズ、三井デュポン社製のエバフレックスシリーズなどが好適に用いられる。
本発明の表面保護フィルムは、上記プロピレン系樹脂よりなる基材層の一方に形成される粘着層の他方の面に剥離処理層が形成される。剥離処理層としては、フィルムの剥離処理層側表面を荒らして凹凸を形成し剥離性を向上させた層を挙げることができる。剥離処理層表面を荒らすことは、粘着層と剥離処理層の両方が固体状態で接するロール巻状態から、ロールを解くときにはスムースにはがれ、使用時には繰り出し性が向上するという特性を有する表面保護用フィルムとすることができる。
(c1)触針先端曲率半径が5μm
(c2)カットオフ波長が0.80mm
(c3)カットオフ種別が2CR(位相補償)
(c4)測定速度が0.3mm/秒
(c5)測定方向がフィルムのMD方向
(c6)測定長さが2mm
ここで、中心面平均粗さ(SRa)の測定法は、測定方法や測定条件によって得られる値が異なるので、本発明では、JIS−B−0651(2001)で規定されている触針式表面粗さ測定器で測定する。測定器の測定条件は、触針先端曲率半径を5μm、カットオフ波長を0.80mm、カットオフ種別を2CR(位相補償)、測定速度を0.3mm/秒、測定方向をフィルムMD方向、測定長さを2mmとし、得られた値で表面粗度の範囲を規定した。測定方向であるMD方向とは、プロピレン−エチレンブロック共重合体を主成分とする樹脂組成物を押出し成形するときのフィルムの送り方向、すなわちフィルムの長手方向と平行な方向をいう。
プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体は、一般的にチーグラー触媒、メタロセン触媒等の触媒を使用して、それら触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等の重合法で製造される。また、共重合成分のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。α−オレフィンは単独で使用してもよいが2種類以上を併用して使用してもかまわない。
高密度ポリエチレンは、一般的にチーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等の触媒を使用して、気相法、溶液法、高圧法、スラリー法等のプロセスで、エチレンまたはエチレンと少量のプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンとを(共)重合させて製造される。
高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンは、パーオキサイドなどのラジカル発生剤を重合開始剤として、高圧ラジカル重合法等のプロセスで、エチレン又はエチレンと少量のプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンとを(共)重合させて製造される。
直鎖状低密度ポリエチレンは、一般的にチーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等の触媒を使用して、気相法、溶液法、高圧法、スラリー法等のプロセスでエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンとを共重合させて製造される。α−オレフィンは単独で使用してもよいが2種類以上を併用して使用してもかまわない。
低密度ポリエチレンは、成形性の点から高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンを使用することが好ましい。
また、プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体からなるプロピレン系樹脂同士の組み合わせでは、好ましくは、プロピレン単独重合体95〜0重量%、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体5〜100重量%、より好ましくは、プロピレン単独重合体95〜50重量%、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体5〜50重量%を含む樹脂組成物である。また、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体95〜0重量%、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体5〜100重量%、より好ましくは、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体95〜50重量%、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体5〜50重量%を含む樹脂組成物である。
ここで、D硬度は、JIS K7215に準拠して測定する値である。
本発明においては、D硬度が50以上を満たす範囲内で、他の性能(成形性、中間層との層間強度等)を勘案しつつ選ぶことが好ましい。
成形加工性の点から高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレン5〜100重量%、高密度ポリエチレン0〜95%を含む樹脂組成物であることが好ましい。成形性が優れる高圧ラジカル重合法低密度ポリエチレンと高いD硬度の高密度ポリエチレンとのブレンドにより、成形性が良好な硬度の高い外層とすることができる。その他の好ましい態様としては、密度が0.925g/cm3以上の直鎖状低密度ポリエチレンが挙げられる。その利点はフィルム強度が強くなることである。
例えば、縮合反応型シリコーン系離型剤としては、例えば、分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンに、セロルース誘導体やアルキッド樹脂を配合したシリコーン系離型剤が挙げられる。ここで分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとしては、側鎖の官能基としてメチル基やエチル基等のアルキル基やフェニル基が導入されたポリシロキサン(例えば、ジメチル・ジフェニルポリシロキサン)を使用することが好ましく、これにより、セルロース誘導体やアルキッド樹脂との相溶性が良好となり、剥離特性が安定した離型剤を得ることができる。またこの分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンには、アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン等の架橋剤や、ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、ジブヂルすずジオクテート、オクチル酸亜鉛等の触媒を適宜配合してもよい。また必要に応じて第三成分としてアクリル樹脂等の樹脂も適宜配合できる。シリコーン系離型剤中、上記架橋剤は、好ましくは4〜20重量%、触媒は、好ましくは5〜10重量%、第3成分としての樹脂は好ましくは5〜26重量%配合される。
例えば、日東電工株式会社製BPタイプ、アシオ産業株式会社製アシオレジン、一方社油脂株式会社製ピーロイルなどを用いることができる。
剥離処理層に塗布する方法としては、剥離処理層の面に対し、トルエン溶液等の有機溶剤に溶かしたシリコーン系又は長鎖アルキル系等の剥離処理剤をロールコーター等により塗布後、乾燥して剥離処理剤を硬化させて剥離処理層を形成する方法を挙げることができる。その際、親和力を向上させるため、剥離処理層の面に、従来公知のコロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー処理などが施されていてもよい。
また、剥離処理層にあらかじめ配合する方法としては、押出機により、剥離処理層樹脂にシリコーン系又は長鎖アルキル系等の剥離処理剤を配合して加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に、基材層の片面に積層する方法、あるいは、押出機により加熱溶融させて、基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出しする方法などを挙げることができる。
また、剥離処理剤を剥離処理層樹脂に配合し、押出機より加熱溶融させてなる剥離処理層を形成する方法の場合、剥離処理剤の配合量は、剥離処理層樹脂および剥離処理剤の合計を100重量%としたとき、剥離処理層樹脂の含有量が90〜99.95重量%であり、剥離処理剤の含有量が10〜0.05重量%である。好ましくは、剥離処理層樹脂の含有量が95〜99.9重量%であり、剥離処理剤の含有量が5〜0.1重量%である。
本発明におけるプロピレン系樹脂よりなる基材層、粘着層および必要に応じて用いられる剥離処理層には、フィルムの製膜安定性、2次加工時の取り扱い及び表面保護用フィルムとしての品質維持から、本発明の目的が損なわれない範囲で、公知の樹脂配合剤として使用される各種添加剤、例えば、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、核剤、中和剤、光安定剤、帯電防止剤、粘着付与剤等を含有していてもよい。各種添加剤について以下に詳しく述べる。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
これら酸化防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤の平均粒子径は、1〜7μm、好ましくは1〜5μm、さらに好ましくは、1〜4μmである。平均粒子径が1μm未満では、得られるフィルムの滑り性、開口性が劣り好ましくない。一方、7μmを越えると、透明性、傷つき性が著しく劣り好ましくない。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ホリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。
特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが分散性、透明性、耐ブロッキング性、傷つき性のバランスから好適である。
また、アンチブロッキング剤は表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッソ樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩等を用いることができ、特に有機酸処理なかでもクエン酸処理されたものが好適である。処理方法は特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。
アンチブロッキング剤はいかなる形状であってもよく球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
これらアンチブロッキング剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
スリップ剤としては、モノアマイド類、ビスアマイド類等が挙げられ、これらは置換されたものであってもよい。1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
不飽和脂肪酸モノアマイドとしては、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
モノアマイドのうち置換アマイド類の具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
ビスアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N’−ジステアリルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアマイドとしては、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N’−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
芳香族系ビスアマイドとしては、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
これらの中では、特に、脂肪酸アマイドのうち、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
ビスアマイドのうち置換アマイド類の具体例としては、N,N−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物((株)ADEKA製、商品名NA21)等が挙げられる。
上記核剤の配合量としては、基材層、粘着層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.05重量部である。核剤の配合量が前記範囲内では結晶化速度が速くなり、透明性が向上する。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学工業(株)製)などを挙げることができる。
中和剤の配合量は、基材層、粘着層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。中和剤の配合量が前記範囲内では内部滑剤としての効果が向上し、押出機内部の劣化物の掻き出しを抑制する。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が好適に使用され、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられるが、具体的には以下のような化合物が用いられる。
具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
これらのヒンダードアミン系安定剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系安定剤の含有量が、前記範囲内では耐熱性、耐老化性等の安定性が向上する。
帯電防止剤としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として使用されている公知のものであれば特に限定されることなく使用でき、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などが挙げられる。
粘着性付与剤としては、例えば、脂肪族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂、C5系石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、タッキファイヤー等が挙げられ、これらは、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、前記に例示した粘着性付与剤以外の粘着性付与剤としては、エチレン・α−オレフィン共重合体、水添スチレン系エラストマーなど、公知の粘着性付与剤が挙げられる。エチレン・α−オレフィン共重合体としては、日本ポリエチレン(株)製「カーネル」シリーズや「ハーモレックス」シリーズ、ダウ・ケミカル日本(株)製「アフィニティ」シリーズや「エンゲージ」シリーズ等が例示でき、また、水添スチレン系エラストマーとしてはJSR(株)製「ダイナロン」シリーズ等が例示できるが、これらに限定されるものではない。
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、柔軟性を付与する成分としてエラストマーを配合したり、紫外線吸収剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合することができ、その配合割合は適宜量である。
一般的には、酸化防止剤や中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲で他樹脂、或いは、その他の付加的成分(マスターバッチを含む)を添加し使用することも可能である。
本発明の表面保護用フィルムは、公知の積層フィルムの製造方法で製造することができる。
例えば、Tダイキャスト法、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法等の公知の技術によって製造する。
なかでも、押出機で溶融混練された樹脂がTダイから押し出され、水等の冷媒を通したロールに接触させられることにより冷却されてフィルムを製造するTダイキャスト法が、一般に透明性が良く、厚み精度の良いフィルムを製造することができる。この様な方法はフィルムにとって好ましい製造方法である。
また、粘着層を積層により得る方法として、押出機により、粘着剤を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に押し出し、基材層の片面に積層する方法、あるいは、押出機により、基材層及び粘着剤を加熱溶融させて、基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出しする方法などを挙げることができる。
本発明では、粘着層を基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出し形成する方法を採用すると、汚染性の問題、経済上の点で有利である。
剥離処理層を塗布により得る方法としては、基材層の片面に対し、トルエン溶液等の有機溶剤に溶かした剥離処理剤をロールコーター等により塗布後、乾燥して剥離処理剤を硬化させて剥離処理層を形成する方法を挙げることができる。その際、基材層と剥離処理層との親和力を向上させるため、基材層の片面(剥離処理層との接着面)に、従来公知のコロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー処理などが施されていてもよい。
また、剥離処理層を積層により得る方法としては、押出機により、剥離処理剤を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に、基材層の片面に積層する方法、あるいは、押出機により、基材層及び剥離処理層を加熱溶融させて、基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出しする方法などを挙げることができる。
本発明では、剥離処理層の表面を荒らして凹凸を形成し、剥離性を付与する方法を採用すると、汚染性の問題、経済上の点で有利であるため、該剥離処理層の製造に適した、Tダイにより共押出し、積層する方法が好ましい。
(1)MFR:プロピレン系樹脂は、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定した。
(2)密度:JIS K−6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定した。
(3)融解ピーク温度:示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tmp)を測定した。
(4)重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn):上述の方法で測定した。
(5)昇温溶離分別法:上述の方法で測定した。
(6)n−デカン可溶分量:サンプル5gにn−デカン200mlを加え、撹拌しながら加熱して試料を完全に溶解させた。約3時間かけて、20℃まで冷却させ、30分間放置した。その後、析出物をろ別した。ろ液を1000mlのアセトン中に入れ、n−デカン中に溶解していた成分を析出させた。析出物とアセトンをろ別し、析出物を乾燥した。なお、ろ液側を濃縮乾固しても残渣は認められなかった。n−デカン可溶分量は、以下の式によって求めた。
n−デカン可溶分量(重量%)=[析出物重量/サンプル重量]×100
(7)ヘイズ:フィルムを23℃、50%RHの雰囲気下にて24時間状態調整した後、JIS−K7136−2000に準拠してヘイズメーターで測定した。
得られた値が小さいほど透明性がよい。
(8)引張弾性率:フィルムをISO527に準拠し、下記の条件にて、フィルムの流れ方向(MD)についての引張弾性率を測定した。
得られた数値が高い方がフィルムの剛性が高く、表面保護用のフィルムとして取り扱いやすい。
サンプル長さ:150mm
サンプル幅:10mm
チャック間距離:100mm
クロスヘッド速度:25mm/min
(9)フィッシュアイ:フィッシュアイ:フィルムを20cm×15cmのサイズに切り出し、目視にて評価した。フィッシュアイが非常に少ないもの○、やや散見されるものを△、多いものを×とした。
フィッシュアイが少ない方が、表面保護フィルムを被保護物に貼付けて段積み保管しても、被保護物に凹みが生じることがなく表面保護フィルムとして良好である。
(10)粘着性:フィルムのタテ方向を長手方向にとり、幅25mm、長さ20cmに切断し、予め60℃に加温したアクリル樹脂板(鏡面状のアクリル板(三菱レイヨン(株)製『アクリライトL001』3mm板)に貼りつけた。貼りつけたフィルムを温度23℃湿度50%の中で12時間エージングした後、JIS Z0237に準拠して引張速度300mm/min、引きはがし角度180℃にて25mm幅あたりの粘着強度を測定した。
数値が高ければ粘着強度が高い。粘着強度は被着体により目標の強度は異なるが、一般的には1〜400g/25mmの範囲で使用される。粘着強度低すぎると、被着体への貼りあわせができない。また、粘着強度が高すぎると被着体から容易に剥離することができない。
(11)剥離処理層−粘着層間剥離性:通常表面保護フィルムは、剥離処理層と粘着層が接した形で紙管に巻き取られ、繰り出されて製品に接着して使用される。繰り出し性の評価として、成形したフィルムを3インチの紙管に剥離処理層と粘着層が接した形で巻き取り、繰り出し機に取り付け20m/分で繰り出した際にシワ、たるみ等入らずに滑らかに繰り出せるかを目視で確認し、滑らかに繰り出せるものを○、滑らかに繰り出せないものを×とした。
(12)被着体耐汚染性:前記粘着性評価に於いて、アクリル板からフィルムを剥がした際、剥離痕が残らないものを○、剥離痕や、粘着層樹脂がアクリル板に残るものを×とした。
(13)表面粗さSRa:株式会社東京精密製表面粗さ形状測定機「サーフコム1500DX」を用いて前記条件にて測定した。
(1)基材層樹脂
基材層のプロピレン系樹脂として、メタロセン触媒による製造例1〜4で得られたプロピレン系樹脂(PP−1〜4)、メタロセン触媒によるプロピレン・エチレンランダム共重合体ウィンテックWFX4(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWFW4(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWFX6(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWSX02(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体ノバテックPP FX4G(日本ポリプロ(株)製)、ノバテックPP FW4B(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン・エチレンランダム共重合体(ノバテックPP FX3A(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン単独重合体ノバテックPP FB3C(日本ポリプロ(株)製)を用いた。表1に物性を示す。
(i)メタロセン化合物の合成
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11−240909号公報に記載の方法に準じて行った。
(ii)化学処理イオン交換性層状珪酸塩の調製
10リットルの攪拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は、705gの化学処理珪酸塩を得た。
先に化学処理した珪酸塩を、キルン乾燥機によりさらに乾燥した。乾燥機の仕様、条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状、内径50mm、加湿帯550mm(電気炉)、かき上げ翼付き
回転数:2rpm、傾斜角;20/520、珪酸塩の供給速度;2.5g/分、ガス流速;窒素、96リットル/時間、向流
乾燥温度:200℃(粉体温度)
(iii)固体触媒の調製
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.20kgと日石三菱社製ヘプタン(以下、ヘプタンという。)0.74リットルの混合物を導入し、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.04M)1.26リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調製した。
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム2.44g(3.30mmol)にヘプタンを0.80リットル加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ミリリットル加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、ヘプタンを追加して5.0リットルに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを100g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.17L添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.60kgを得た。
(iv)重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム24g、水素0.4gを加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温した。その後上記予備重合触媒を1.6gをアルゴンで圧入し、40分かけて75℃まで昇温し、3時間重合を行った。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン単独重合体(PP1パウダー)を得た。
(v)プロピレン系樹脂
得られたプロピレン単独重合体(PP1パウダー)100重量部に対し、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガノックス1010)を0.05重量部、トリス−(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガフォス168)を0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサーにて750rpm、1分間混合後、50mmφ単軸押出機を用い、押出温度230℃にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−1)を得た。物性を表1に示す。
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を0.8NLを加え、エチレンを1.94kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒2.8gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。その後、エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥し、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP2パウダー)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP2パウダー)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−2)を得た。物性を表1に示す。
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を8.0NLを加え、エチレンを1.92kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒1.6gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。また、この間水素を0.48g/hrの定速で導入した。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥し、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP3パウダー)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP3パウダー)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−3)を得た。物性を表1に示す。
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を2.3NLを加え、エチレンを1.94kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒2.2gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥し、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP4パウダー)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP4パウダー)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−4)を得た。物性を表1に示す。
粘着層のエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂として、三井デュポン社製のエバフレックス EV450(EVA−1)、三井デュポン社製のエバフレックス EV220(EVA−2)、日本ポリプロピレン社製ノバテックEVA LV244(EVA−3)を用いた。物性を表2に示す。
剥離処理層樹脂としてポリオレフィン系樹脂を使用した。プロピレン系樹脂として、プロピレン・エチレンランダム共重合体(日本ポリプロ(株)製、銘柄名;ウィンテックWFW4)、プロピレン・エチレンブロック共重合体(日本ポリプロ(株)製、銘柄名;ノバテックBC3HF)、低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製、銘柄名;ノバテックLD LC600A、MFR:7.0g/10分、密度:0.918g/cm3、 Mw/Mn:7.9)
基材層として、メタロセン触媒を用いて重合したプロピレン系樹脂のWFX4を、粘着層としてEVA−1を、剥離処理層としてLC600Aを用いた。
剥離剤層の押出機20mmφ、基材層の押出機35mmφ、粘着層の押出機20mmφを有する多層Tダイ成形機を使用して成形温度230℃で剥離処理層厚み20μm、基材層厚み20μm、粘着層厚み10μmの多層Tダイフィルムからなる表面保護フィルムを作製した。得られた表面保護フィルムの評価結果を表3に示す。
実施例1において用いた基材層樹脂WFX4を、WFW4に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表3に示す。
実施例2において用いた粘着層樹脂EVA−1を、EVA−2に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表3に示す。
実施例2において用いた剥離処理剤を、BC3HFに代えた以外は実施例2と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1において用いた基材層WFX4を、PP−1に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1において用いた基材層WFX4を、WFX6に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1において用いた基材層WFX4を、WSX02に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表3に示す。
実施例1において用いた基材層樹脂WFX4を、FX4Gに代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1において用いた基材層樹脂WFX4を、FX3Aに代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1において用いた基材層樹脂WFX4を、FW4Bに代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1において用いた基材層樹脂WFX4を、FB3Cに代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1において用いた基材層樹脂WFX4を、PP−2に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1において用いた基材層樹脂WFX4を、PP−3に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1において用いた基材層樹脂WFX4を、PP−4に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1において用いた粘着層樹脂EVA−1を、EVA−3に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
実施例1において用いた剥離処理層樹脂LC600Aを、WFW4に代えた以外は実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果を表4に示す。
Claims (4)
- 基材層の一方の面に粘着層が形成され、他方の面に剥離処理層が形成された表面保護用フィルムにおいて、基材層がメタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(a1)〜(a4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体のプロピレン系樹脂(A)で形成され、粘着層が下記(b1)〜(b2)の特性を有するエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂(B)で形成され、剥離処理層が剥離処理層表面の中心面平均粗さ(SRa)が下記の測定条件(c1)〜(c6)において0.2〜1.5μmの範囲内であることを特徴とする表面保護用フィルム。
(A)プロピレン系樹脂
(a1)メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分
(a2)示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃
(a3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5
(a4)昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下
(B)エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂
(b1)メルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)が2〜200g/10分
(b2)酢酸ビニルの含有量が10〜40重量%
剥離処理層測定条件
(c1)触針先端曲率半径が5μm
(c2)カットオフ波長が0.80mm
(c3)カットオフ種別が2CR(位相補償)
(c4)測定速度が0.3mm/秒
(c5)測定方向がフィルムのMD方向
(c6)測定長さが2mm - プロピレン系樹脂(A)が、さらに下記(a5)の特性を有することを特徴とする請求項1に記載の表面保護用フィルム。
(a5)昇温溶離分別(TREF)法により20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)が30℃以下 - 合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材の表面保護用に使用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護用フィルム。
- 偏光板や位相差板などの液晶表示の構成部材の表面保護に使用されることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護用フィルム。
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