JP5342845B2 - 表面保護用フィルムおよびその製造方法 - Google Patents
表面保護用フィルムおよびその製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5342845B2 JP5342845B2 JP2008265481A JP2008265481A JP5342845B2 JP 5342845 B2 JP5342845 B2 JP 5342845B2 JP 2008265481 A JP2008265481 A JP 2008265481A JP 2008265481 A JP2008265481 A JP 2008265481A JP 5342845 B2 JP5342845 B2 JP 5342845B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- propylene
- film
- weight
- resin
- die
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Extrusion Moulding Of Plastics Or The Like (AREA)
- Adhesive Tapes (AREA)
Description
たとえば、特許文献1には、特定のエチレン系樹脂からなる基材フィルムの片面に粘着材層が形成された表面保護フィルムが開示されており、その表面保護フィルムは、フィッシュアイが発生せず、偏向板や位相差板をなどの液晶表示の構成部材に好適であるということも記載されている。
たとえば、特許文献3には、MFRと塩素含有量が特定の範囲にあるポリプロピレン、特に、重合後、ポリプロピレンパウダーをイソプロパノールとヘプタンの混合溶媒で洗浄した、塩素含有量が5重量ppm以下のポリプロピレンを基材に用いた表面保護フィルムが開示されており、そこには、このようなポリプロピレンを用いると、ポリエチレンの有する弱点である耐熱性、耐傷付き性および剛性を克服でき、かつ薄型表示パネルに使用されている金属薄膜層を付与した樹脂フィルムを用いた透明電極や電磁波遮断フィルムにポリプロピレン製保護フィルムを使用した場合、塩素イオンの影響により金属薄膜層に点状欠陥が発生するのを効果的に防止できるということが開示されている。
こうした状況下に、これまでのポリプロピレン系樹脂を用いた表面保護用フィルムの問題点を解消し、フィッシュアイの極めて少ない表面保護用フィルムの早期開発が望まれていた。
前記基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体よりなるプロピレン系樹脂(A)を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出すことによって形成されることを特徴とする表面保護用フィルムが提供される。
(A1):メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分である
(A2):示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃である
(A3):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である
(A4):昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下である
前記基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体よりなるプロピレン系樹脂(A)を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出して形成されることを特徴とする第1〜8のいずれかの発明に係る表面保護用フィルムの製造方法が提供される。
(A1):メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分である
(A2):示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃である
(A3):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である
(A4):昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下である
本発明の表面保護用フィルムにおける基材層は、以下に詳記するようなプロピレン系樹脂(A)から構成される。
プロピレン系樹脂(A)としては、プロピレン単独重合体、あるいはプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体を使用することができる。ここで、ランダム共重合成分となるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)は、メルトフローレート値(以下、MFRと言う。)が、1〜50g/10分、好ましくは2〜30g/10分、より好ましくは5〜20g/10分、もっとも好ましくは7〜15g/10分である。
MFRが、1g/10分未満では押出特性が悪化し、生産性が低下するため好ましくなく、また、MFRが50g/10分を超えるとフィルム成形時の厚み精度が悪化しやすくなるため好ましくない。
本発明において採用しているMFR(単位:g/10分)の測定は、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定した。
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)は、融解ピーク温度(以下、Tmpと言う場合もある。)が、120℃〜170℃、好ましくは120℃〜165℃、さらに好ましくは120℃〜160℃、もっとも好ましくは120℃〜150℃である。
融解ピーク温度が120℃未満では、耐熱性が劣り、熱をかけて表面保護フィルムを非着体に貼り付ける加工工程時に表面保護用フィルムが変形し易くなる。融解ピーク温度が170℃より高いと、衝撃強度が劣り、表面保護用フィルムを被保護物に貼り付ける際に裂けが生じることがある。
融解ピーク温度(Tmp)は、用いるα−オレフィンの量で調整することができる。例えば、α−オレフィンの量が増えれば融解ピーク温度(Tmp)は低下する。
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(以下、(Mw)/(Mn)と言う。)の値が1.5〜3.5、好ましくは1.7〜3.2、さらに好ましくは、2.0〜3.0、もっとも好ましくは、2.3〜2.8である。(Mw)/(Mn)の値が1.5未満であると、溶融樹脂粘度が高くなって溶融流動性が悪くなり、押出成形が困難となる。一方、(Mw)/(Mn)の値が3.5を越えると、分子量の小さい分子および分子量の大きい分子の存在比率が高くなり、高分子量分は表面保護用フイルム成形時に未溶融のフィッシュアイとなり、被保護物に貼付けた後、そのままの状態で段積み保管すると、被保護物に凹みを生じることになる。
(Mw/Mn)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒の種類を変更することによって、調整することができる。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンはα=0.707、logK=−3.616である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
粘度式
log[η]=logK+α×logM
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)は、昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下、好ましくは8重量%以下、さらに好ましくは6重量%以下、もっとも好ましくは4重量%以下である。
昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%より多いと低結晶成分のベタツキ成分により被保護物が汚染されるという問題点がある。また、ポリマーを製造する過程において、低結晶成分のベタツキにより重合槽等でポリマー付着が発生し、滞留によるポリマーの劣化が起こり、結果としてポリマー劣化物由来のフィッシュアイとなってフィルム中に存在してしまう。
40℃以下の可溶分(S40)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒およびα−オレフィンの種類と量、組成を変更することによって調整することができる。
本発明で用いるプロピレン系樹脂(A)の昇温溶離分別(TREF)法により20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)は、30℃以下が好ましく、より好ましくは25℃以下、さらに好ましくは20℃以下、最も好ましくは15℃以下である。(T100−T20)が30℃を超えると、プロピレン系樹脂の中に結晶性の高い成分と結晶性の低い成分とが同時に存在することになり、結晶成分の大きさや質が不均一となって、溶融樹脂粘度にムラが存在し、未溶融の微細なかたまりがフィッシュアイとなってフィルム中に存在してしまう。
昇温溶離分別による(T100−T20)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒およびα−オレフィンの種類と量、組成を変更することによって調整することができる。
すなわち、試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
上記条件に従って得た溶出曲線から40℃で溶出する成分の全量に対する割合(重量%)を算出する。また、20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)を算出する。用いるカラム、溶媒、温度等の条件は以下の通りである。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.2mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
測定波長:3.42μm
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)の触媒残渣は、50ppm以下が好ましく、40ppm以下がより好ましく、30ppm以下がさらに好ましく、20ppm以下が特に好ましい。触媒残渣とは、プロピレン系樹脂(A)の残留触媒主成分であり、アルミニウム(Al)残渣、チタン(Ti)残渣、塩素(Cl)残渣、マグネシウム(Mg)残渣、珪素(Si)残渣の総和を言う。触媒残渣が60ppmを超えると、フィルターで目処まりを起こし、急激な樹脂圧上昇になり、場合によってはフィルターの破損につながる。
なお、触媒残渣とは、あくまでも重合に使用した触媒由来の残渣であり、添加剤を加えた場合、該添加剤由来のアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、塩素(Cl)、マグネシウム(Mg)、珪素(Si)を本発明で規定する触媒残渣に含めないことは言うまでもない。したがって、プロピレン系樹脂から分析する場合、添加剤由来の残渣は除することは言うまでもない。
プロピレン系樹脂(A)粉末試料約2gを、温度190℃、圧力50kg/cm2Gで、金型を用いてプレスし、厚さ=1.5(mm)のプレス片を作成した。なお、プレスにあたっては、予熱時間を30秒、プレス時間を30秒とした。得られたプレス片を、蛍光X線分光分析装置を用いて分析し、試料中の触媒残渣を定量した。なお、蛍光X線分光分析装置の較正は、別途用意した各成分(アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、塩素(Cl)、マグネシウム(Mg)、珪素(Si))の標準試料を用いて行った。
メタロセン触媒により重合されたプロピレン単独重合体、またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、結晶性分布、及び分子量分布が狭いため、前記記述どおり、フィッシュアイになる成分が少ないものとなる。
一方、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とするいわゆるチーグラーナッタ触媒などのメタロセン触媒以外の触媒により重合されたプロピレン単独重合体、またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いると、分子量分布が広く、高分子量成分が多く含まれるため、しかも、結晶分布も広く、低結晶成分が多い上、さらに、結晶性分布が不均一なため、フィルム中に未溶融の微細なかたまりが発生し、フィッシュアイとなって存在しやすくなる。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。特にアズレニル基を有するメタロセン化合物と粘土鉱物を組み合わせた触媒で得られる重合体は、製膜性、低フィッシュアイのバランスに優れている。
かかるポリプロピレンは、メタロセン系ポリプロピレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、日本ポリプロ社製「ウィンテック」等を挙げることができる。
なお、本発明のプロピレン系樹脂は、前記特性を満足する限り一種類もしくは二種類以上の組み合わせからなっても良い。
本発明の表面保護用フィルムにおいては、上記プロピレン系樹脂(A)よりなる基材層の一方の面に粘着剤層が形成される。
粘着層としては、公知のものであれば、特に限定されず、具体的には、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、軟質ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン重合体(エチレン・アクリル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体以外)などが好適に使用される。粘着剤は、その組成などに何ら限定されるものではない。以下に各粘着剤について詳しく説明する。
ゴム系粘着剤としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、天然ゴム系粘着剤、または、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体等の合成ゴム系粘着剤等があげられる。本発明の粘着剤層で用いる天然ゴムとしては、市販品の商品名:SMR(加商株式会社製)等が挙げられる。また、本発明の粘着剤層で用いる熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体としては、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物であり、下記(b1)の特性を有する。
熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体のスチレン含量[St]は、特に限定されるものではないが、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。スチレン含量が前記範囲内では、透明性が良好であり、また、プロピレン樹脂との親和性がよく分散性が良好で柔軟性の低下が少ない。
アクリル系粘着剤としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、官能基として水酸基を含む(メタ)アクリル系ポリマーおよびイソシアネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤等があげられる。透明性、凝集性、剥離特性のバランスから、官能基として水酸基を含む(メタ)アクリル系ポリマーおよびイソシアネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤が用いられる。
なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
軟質ポリプロピレン樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、結晶性の軟質ポリプロピレン樹脂でも、非晶性の軟質ポリプロピレン樹脂でもよい。メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)は2〜30g/分、密度は0.85〜0.89g/cm3、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.5〜3であるプロピレン単独重合体、またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。
メルトフローレート(MFR)が2g/分未満であると溶融粘度が高すぎフィルム化が難しくなり、30g/分を超えると溶融粘度が低すぎフィルム化の過程で穴明き等の不具合が生じる。密度は0.85g/cm3未満であると粘着力が強くなりすぎ被着体に糊残りが発生することとなり、0.89g/cm3を超えると粘着層として必要な粘着力が発現されない。密度は、糊残りと粘着力のバランスから0.86〜0.88g/cm3が好ましい。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5未満であると粘着層として積層する際に安定した厚みが確保できない。3を超えるとブリードアウトによる粉吹きの問題発生し、被着体が汚染されるという問題点がある。
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、酢酸ビニル含有量(VAC)が10%〜47%、より好ましくは15〜20%である。10%より低いVACのEVAでは、初期の粘着力が低すぎ、被保護物に粘着しない。また、47%より高いVACのEVAでは加熱処理を施した後に粘着力が上昇してしまい剥離が困難になる。
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は7〜20g/10分、より好ましくは4〜15g/10分である。MFRが小さくなり過ぎると、十分な初期接着力が得られず、逆に大きくなり過ぎると、表面保護フィルムを加熱処理した際に、粘着剤層が溶融して基材と被着体との間から流れ出して、保護フィルムを剥離した後も被着体表面に残ったり、さらに、粘着剤の流動性が大きくなって押出成形が困難になる。なお、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)のメルトフローレートは、JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)の市販品としては、日本ポリエチレン(株)製のノバテックEVAシリーズ、住友化学(株)製エバテートシリーズなどが例示できる。
エチレン重合体としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体などが好適に用いられ、エチレンと共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、特に、プロピレン、ブテン−1、もしくはヘキセン−1が好ましい。また、エチレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも2種類以上でもよい。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体中のエチレン含量は、50重量%以上が好ましい。エチレン含量が50重量%未満のものは粘着力が弱すぎるため粘着剤層としての効果が劣る。α−オレフィンの含有量は求められる密度に応じ適宜調整される。
エチレン重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、0.1〜50g/10分であり、好ましくは1〜30g/10分であり、より好ましくは2〜15g/10分である。0.1g/10分未満のものは、押出特性が悪化しやすく、本発明のプロピレン系樹脂製の基材フィルムとの界面荒れが発生し問題がある。50g/10分を超えるものは厚みムラの原因になる。なお、メルトフローレートは、JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
エチレン重合体の密度は、粘着力の強弱により調整するため、特に限定はしないが、0.860〜0.918g/cm3好ましく、さらに好ましくは0.865〜0.905g/cm3であり、より好ましくは0.870〜0.898g/cm3である。密度が0.860g/cm3未満のものは、粘着力が高くなりすぎて、基材フィルムから剥離し被保護物に跡が残る問題がある。また、密度が0.918g/cm3を超えるのものは、粘着力が弱くなり過ぎて粘着層としての効果が得られない。なお、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定する。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体は、チーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等の触媒を使用して気相法、溶液法、高圧法、スラリー法等のプロセスでエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンとを共重合させて製造することができるが、特にメタロセン触媒を用いて高圧法、もしくは溶液法で製造されたものが分子量分布、結晶性分布とも狭いため好ましい。
エチレン重合体の市販品としては、日本ポリエチレン(株)製のノバテックLLシリー
ズやハーモレックスシリーズ、カーネルシリーズ、三井化学(株)製のタフマーPシリー
ズやタフマーAシリーズ、(株)プライムポリマー製のエボリューシリーズ、住友化学(
株)製のスミカセンE、EPシリーズ、エクセレンGMH、エクセレンFXシリーズなどが例示できる。
また、粘着剤層は、基材層と粘着剤層との密着性を考慮し、本発明に用いられるプロピレン系樹脂に上記粘着剤を配合したものを使用することもできる。本発明に用いられるプロピレン系樹脂に上記粘着剤を配合して使用する場合、本発明に用いられるプロピレン系樹脂および粘着剤の合計を100重量%としたとき、プロピレン系樹脂の含有量が1〜99重量%であり、粘着剤の含有量が99〜1重量%である。好ましくは、プロピレン系樹脂の含有量が5〜75重量%であり、粘着剤の含有量が95〜25重量%である。さらに好ましくは、プロピレン系樹脂の含有量が10〜50重量%であり、粘着剤の含有量が50〜90重量%である。
本発明の表面保護用フィルムにおいては、必要に応じて、上記プロピレン系樹脂よりなる基材層の一方に形成される粘着層の他方の面に剥離処理層が形成される。剥離処理層としては、公知のものであれば、特に限定されず、たとえばシリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤にて形成した層や、フィルム表面を荒らして凹凸を形成し剥離性を向上させた層、あるいは両者を組み合わせた層を挙げることができるが、透明性の点からシリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤にて形成した層であることが好ましい。
シリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤にて形成した層に用いられるシリコーン系剥離処理剤としては、ジメチルポリシロキサンを主体とする通常用いられるシリコーン系剥離処理剤も使用可能である。上記シリコーン系剥離処理剤に3次元化オルガノポリシロキサンを含有させたものも使用可能である。具体的には、オルガノポリシロキサンを主成分とし、これにメチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース誘導体やアルキッド樹脂等を配合したシリコーン系離型剤が好適に使用される。セルロース誘導体やアルキッド樹脂等を配合することにより、シリコーン系離型剤の離型性をコントロールすることができる。セルロース誘導体やアルキッド樹脂は、シリコーン系離型剤中、好ましくは5〜50重量%配合される。オルガノポリシロキサンの硬化反応(架橋反応)の形式により、縮合反応型と付加反応型に大別されるが、本発明においては、いずれの反応型であってもよい。
上記のシリコーン系離型剤は、市販されているものの中から適宜選択して使用することができ、例えば、縮合反応型シリコーン系離型剤としては、信越化学工業(株)から入手できる、KS−723A/B(ジメチル・ジフェニルポリシロキサン、メトキシシリコーンおよびエチルセルロースからなる)が、付加反応型シリコーン離型剤としては、信越化学工業(株)から入手できる、X−62−9201A/Bを使用することができる。
例えば、日東電工株式会社製BPタイプ、アシオ産業株式会社製アシオレジン、一方社油脂株式会社製ピーロイルなどを用いることができる。
フィルム表面を荒らして凹凸を形成し剥離性を向上させた層を有するフィルムを得るために用いる樹脂として、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体単独、あるいは本発明に用いられるプロピレン系樹脂にプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体を配合させるもの、あるいは低密度ポリエチレン単独、高密度ポリエチレン単独、あるいは本発明に用いられるプロピレン系樹脂に低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを配合させるもの、あるいはプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体に低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンを配合したもの、あるいは本発明に用いられるプロピレン系樹脂にプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを2種以上配合したもの、あるいは本発明に用いられるプロピレン系樹脂に相溶性の異なる熱可塑性樹脂などを配合したものが挙げられる。
フィルム表面を荒らして凹凸を形成し剥離性を向上させるには、フィルム表面の凹凸は、中心面平均粗さ(Ra)で0.1〜1.5μmである。好ましくは0.3〜1.2μm、さらに好ましくは0.5〜1.0μm、もっとも好ましくは0.8〜1.0μmである。
また、剥離処理層は、基材層との密着性を考慮し、本発明に用いられるプロピレン系樹脂に剥離処理剤を配合し剥離処理層として使用することができる。本発明に用いられるプロピレン系樹脂に上記剥離処理剤を配合して使用する場合、本発明に用いられるプロピレン系樹脂および剥離処理剤の合計を100重量%としたとき、プロピレン系樹脂の含有量が1〜99重量%であり、剥離処理剤の含有量が99〜1重量%である。
本発明におけるプロピレン系樹脂よりなる基材層、粘着剤層および必要に応じて用いられる剥離処理剤層には、フィルムの製膜安定性、2次加工時の取り扱い及び表面保護用フィルムとしての品質維持から、本発明の目的が損なわれない範囲で、公知の樹脂配合剤として使用される各種添加剤、例えば、以下に述べるような、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、核剤、中和剤、光安定剤、帯電防止剤、粘着付与剤等を配合、含有していてもよい。
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
そして、これら酸化防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤の平均粒子径は、0.5〜10μm、好ましくは1〜7μm、さらに好ましくは、1〜5μm、もっとも好ましくは1〜3μmである。平均粒子径が0.5μm未満では、得られるフィルムの滑り性、開口性が劣り好ましくない。一方、10μmを越えると、透明性、傷つき性が著しく劣り好ましくない。また、フィルターで目詰まりを起こし樹脂圧上昇や焼結フィルターが破損する。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ホリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。
特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが分散性、透明性、耐ブロッキング性、傷つき性のバランスから好適である。
アンチブロッキング剤はいかなる形状であってもよく球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
これらアンチブロッキング剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
スリップ剤としては、モノアマイド類、置換アマイド類、ビスアマイド類等が挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸モノアマイドとして、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
置換アマイド類の具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアマイドとして、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N´−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
芳香族系ビスアマイドとして、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N´−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
特に、上記の脂肪酸アマイドのうち、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物(旭電化(株)製、商品名NA21)などが挙げられる。
上記核剤の配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.05重量部である。核剤の配合量が前記範囲内では結晶化速度が速くなり、透明性が向上する。
核剤として使用される高密度ポリエチレンの配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。高密度ポリエチレンの配合量が前記範囲内では結晶化速度が速くなり、透明性が向上する。また、共押出成形の場合、スイーパーロールの転写がなくなる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学(株)製)などを挙げることができる。
中和剤の配合量は、本発明に用いられるプロピレン系樹脂(A)、粘着剤、剥離処理剤の各々100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。中和剤の配合量が前記範囲内では内部滑剤としての効果が向上し、押出機内部の劣化物の掻き出しを抑制する。
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が好適に使用され、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられるが、具体的には以下のような化合物が用いられる。
具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
ヒンダードアミン系安定剤の配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが望ましい。ヒンダードアミン系安定剤の含有量が、前記範囲内では耐熱性、耐老化性等の安定性が向上する。
帯電防止剤としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として使用されているものが特に限定されることなく使用でき、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などがあげられる。
なお、帯電防止剤としては、市販品を使用することもでき、例えばエレクトロストリッパーTS5(花王(株)製、商標、グリセリンモノステアレート)、エレクトロストリッパーTS6(花王(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA(花王(株)製、商標、ラウリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA−7(花王(株)製、商標、ポリオキシエチレンラウリルアミンカプリルエステル)、デノン331P(丸菱油化(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート)、デノン310(丸菱油化(株)製、商標、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル)、レジスタットPE−139(第一工業製薬(株)製、商標、ステアリン酸モノ&ジグリセリドホウ酸エステル)、ケミスタット4700(三洋化成(株)製、商標、アルキルジメチルベタイン)、レオスタットS(ライオン(株)製、商標、アルキルジエタノールアミド)などがあげられる。
粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、芳香族系石
油樹脂、C5系石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、ロ
ジン樹脂、タッキファイヤー等が挙げられ、これらは、本発明の効果を著しく損なわない
範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
いが、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.0001〜200重量部である。好ましくは0.01〜150重量部、さらに好ましくは1〜150重量部、もっとも好ましくは10〜100重量部である。粘着性付与樹脂の含有量が前記範囲内では粘着力が向上する。
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、柔軟性を付与する成分としてエラストマーを配合したり、紫外線吸収剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合することができ、その配合割合は適宜量である。
上記の各添加剤を配合させる方法としては、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂に、添加剤を直接配合し溶融混練して使用することも可能であるし、溶融混練中に添加してもよい。さらには、溶融混練後に直接配合、或いは、本発明の効果を著しく損なわない範囲においてマスターバッチとして添加することも可能である。また、これらの複合的な手法により配合してもよい。
一般的には、酸化防止剤や中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲で他樹脂、或いは、その他の付加的成分(マスターバッチを含む)を添加し使用することも可能である。
上記の混合、溶融、混練は、従来公知のあらゆる方法を用いることができるが、通常、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の混練押出機にて実施することができる。これらの中でも一軸又は二軸の混練押出機により混合或いは溶融混練を行なうことが好ましい。
本発明の表面保護用フィルムは、公知の積層フィルムの製造方法で製造することができる。
本発明に用いられる表面保護用フィルムの基材層は、プロピレン系樹脂を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出することによって得られたものである。
ここで、表面保護用フィルムの厚みは特に限定されないが、プロピレン系樹脂からなる基材層の厚みは、通常は10〜500μm、好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜100μm、もっとも好ましくは40〜80μmである。
粘着剤層を基材層の片面に設ける手段としては、塗布、硬化、積層などの公知の方法を挙げることができる。
粘着剤層を積層により得る方法としては、押出機により、粘着剤を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に、基材層と共に共押出しする方法、押出機により、粘着剤を練り込んだプロピレン系樹脂を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に押出した後、基材層の片面に積層する方法、押出機により、粘着剤を練り込んだプロピレン系樹脂を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に、基材層と共に共押出しする方法などを挙げることができる。それらの場合、必要に応じて溶融された粘着剤をろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、積層する製造方法によって得ることができる。
本発明では、粘着剤層を基材層と共に共押出しする方法を採用すると、被着体への粘着剤残りの点で有利である。
剥離処理層を溶液塗工法等で塗布により得る方法としては、基材層の片面に対し、トルエン溶液等の有機溶剤に溶かした剥離処理剤をロールコーター等により塗布後、乾燥して剥離処理剤を硬化させて剥離処理層を形成する方法を挙げることができる。その際、基材層と剥離処理層との親和力を向上させるため、基材層の片面(剥離処理層との接着面)に、従来公知のコロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー処理などが施されていてもよい。
本発明では、剥離処理層を基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出しする方法を採用すると、汚染性の問題、経済上の点で有利であるため、該剥離処理層の製造に適した、Tダイにより共押出し、積層する方法が好ましい。
上記剥離処理層の厚さは、特に限定されないが、通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは5〜30μm、最も好ましくは10〜20μmである。
本発明で用いるフィルターのろ過径は1〜60μmの範囲のものであり、好ましくは5〜50(μm)、さらに好ましくは10〜40(μm)、もっとも好ましくは10〜20(μm)である。ろ過径とは、JIS−B8356の方法によりフィルターを透過する捕集効率95%のコンタミナント粒径のことを言う。ろ過径が小さすぎるとフィルム製膜時に目詰まりを起こし、押出機の負荷が過大となる傾向があり、ろ過径が大きすぎるとろ過効果が不足してフィッシュアイを抑制しにくくなる傾向がある。
げられる。
表面保護用フィルムに、フィッシュアイが10個/m2を越えると、液晶表示材として使用される偏光板や位相差板に、該表面保護用フィルムを貼付けて段積み保管した時、フィッシュアイによって被保護物が凹みを生じる恐れがある。
(1)樹脂圧
フィルターろ過前の樹脂圧とフィルターろ過後の樹脂圧をそれぞれの場所に設置された樹脂圧計から読み取り、差圧(ΔP)を求めた。この差圧の値が小さいほど押出負荷が小さく好ましいことを示す。
得られたフィルムの面積1m2よりフィッシュアイの個数を数えた。得られたフィッシュアイを光学顕微鏡により長径サイズで100μm以上(≧100μm)、100μmより小さく50μm以上(<100μm〜≧50μm)、50μmより小さく30μm以上(<50μm〜≧30μm)、30μmより小さい(<30μm)の各サイズに分類し個数を分けた(単位:個/m2)。フィッシュアイの数が少ない方が、表面保護用フィルムを被保護物に貼付けて段積み保管しても、被保護物に凹みが生じることがなく表面保護用のフィルムとして良好である。
(1)基材層樹脂
基材層のプロピレン系樹脂として、メタロセン触媒による製造例1〜4で得られたプロピレン系樹脂(PP−1〜4)、メタロセン触媒によるプロピレン・エチレンランダム共重合体(ウィンテックWFX4(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWFW4(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWFX6(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWSX02(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体(ノバテックPP FX4G(日本ポリプロ(株)製)、ノバテックPP FW4B(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン・エチレンランダム共重合体(ノバテックPP FX3A(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン単独重合体(ノバテックPP FB3C(日本ポリプロ(株)製))を用いた。表1に物性を示す。
(i)メタロセン化合物の合成
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11−240909号公報に記載の方法に準じて行った。
10リットルの攪拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は、705gの化学処理珪酸塩を得た。
先に化学処理した珪酸塩を、キルン乾燥機によりさらに乾燥した。乾燥機の仕様、条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状、内径50mm、加湿帯550mm(電気炉)、かき上げ翼付き
回転数:2rpm、傾斜角;20/520、珪酸塩の供給速度;2.5g/分、ガス流速;窒素、96リットル/時間、向流
乾燥温度:200℃(粉体温度)
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.20kgと日石三菱社製ヘプタン(以下、ヘプタンという。)0.74リットルの混合物を導入し、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.04M)1.26リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調製した。
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム2.44g(3.30mmol)にヘプタンを0.80リットル加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ミリリットル加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、ヘプタンを追加して5.0リットルに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを100g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.17L添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.60kgを得た。
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム24g、水素0.4gを加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温した。その後上記予備重合触媒を1.6gをアルゴンで圧入し、40分かけて75℃まで昇温し、3時間重合を行った。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン単独重合体(PP1)を得た。
得られたプロピレン単独重合体(PP1)100重量部に対し、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガノックス1010)を0.05重量部、トリス−(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガフォス168)を0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサーにて750rpm、1分間混合後、50mmφ単軸押出機を用い、押出温度230℃にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−1)を得た。
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を0.8NLを加え、エチレンを1.94kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒2.8gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。その後、エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP2)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP2)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−2)を得た。
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を8.0NLを加え、エチレンを1.92kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒1.6gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。また、この間水素を0.48g/hrの定速で導入した。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP3)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP3)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−3)を得た。
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を2.3NLを加え、エチレンを1.94kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒2.2gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP4)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP4)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−4)を得た。
粘着剤層樹脂としては、メタロセン触媒による製造例5で得られたエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(PE−1)、ゴム系粘着剤として、天然ゴム系粘着剤のSMR(加商株式会社製)、合成ゴム系粘着剤のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物であるクレイトンG1657(クレイトンポリマージャパン株式会社製、スチレン含量:13重量%)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物であるダイナロン1321P(JSR株式会社製、スチレン含量:10重量%)を用いた。
触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が72重量%となるように40kg/時の割合で連続的に供給した。また、重合温度が122℃を維持するように触媒供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.1kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量が18重量%、MFRが2.4g/10分、密度が0.88g/cm3、分子量分布(Mw/Mn)が2.3のエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE1)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE1)を、50mmφ単軸押出機を用い、押出温度230℃にてペレット化し、粘着剤樹脂(PE−1)を得た。
剥離処理層としては、シリコーン系剥離剤として、X−62−2378(信越化学株式会社製)、3次元化オルガノポリシロキサンとして、X−92−140(信越化学株式会社製)、長鎖アルキル系剥離処理剤として、ピーロイル101(一方社油脂株式会社製)、チーグラー触媒によるプロピレン・エチレン・ブロック共重合体(ノバテックPP BC3HF(日本ポリプロ(株)製)を用いた。
メタロセン触媒を用いて重合したプロピレン系樹脂のWFX4を原料とし、口径35mmφの押出機、幅330mmTダイス、エアーナイフおよび冷却ロールを具備したTダイ法フィルム製造装置を用いて、押出機とダイスの間に長瀬産業(株)製のリーフディスクフィルター(デナラボ504(直径:5インチ、フィルター枚数:5枚、ろ過径:10μm))を設置し、リーフディスクフィルターの通過前(押出機とリーフディスクフィルターの間)及びリーフディスクフィルターの通過後(リーフディスクフィルターとダイスの間)にそれぞれ樹脂圧計を設置して樹脂圧計の指示値を読み取った。Tダイのリップクリアランスを0.8mm、押出機のシリンダーの設定温度、ダイスの設定温度、リーフディスクフィルターの設定温度を220℃、押出量を10kg/時間、冷却ロール温度を35℃の条件において、製膜引取速度10m/minで成形。フィルム厚さ40μmのフィルムを得た。得られたフィルムからフィッシュアイを評価した。結果を表2に示す。
ついで、一旦製膜を停止し、リーフディスクフィルターを取り外した後、再度同様の条件にてフィルムを得た。得られたフィルムのフィッシュアイを評価した。結果を表2に示す。
実施例1のWFX4を、WFW4に変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、PP−1ペレットに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、WFX6に変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、WSX02に変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のリーフディスクフィルターを、ろ過径20μmに変えた以外は、実施例と1同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のリーフディスクフィルターを、ろ過径40μmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、FX4Gに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、FX3Aに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、FW4Bに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、FB3Cを変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、PP−2を変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、PP−3を変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のWFX4を、PP−4を変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1のリーフディスクフィルターを、ろ過径80μmに変えた以外は、実施例と1同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
実施例1で得られた単層フィルムの基材層に、剥離処理層として付加型のシリコーン系剥離剤としてX−62−2378(信越化学株式会社製)のトルエン溶液(固形分30%)に3次元化オルガノポリシロキサンとしてX−92−140(信越化学株式会社製)のトルエン/キシレン溶液(固形分30%)を、3次元化オルガノポリシロキサン含有量が30%となるように混合した溶液を、0.38g/m2となるように基材層の一方の面に塗布した後、120℃×1分間加熱処理して剥離処理層を形成した。
さらに、ゴム系粘着剤として、天然ゴム(商品名:SMR、加商株式会社製)100重量%、脂環族系石油樹脂(商品名:アルコンP100、荒川化学株式会社製)50重量部、テルペンフェノール樹脂(商品名:PR−12603N、住友化学株式会社製)10重量部、酸化防止剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製 商品名:イルガノックス1010)1重量部をトルエン中で混合し、固形分濃度20%のゴム系粘着剤を作製し、基材層に剥離処理層が形成されたフィルムの剥離処理層と反対の面にリバースコーターにてこのゴム系粘着剤を塗布し、乾燥オーブン中で100℃で2分間乾燥させて、厚さ10μmのゴム系粘着剤層を形成した表面保護フィルムを作製した。得られた表面保護フィルムの評価結果を表3に示す。
基材層として、メタロセン触媒を用いて重合したプロピレン系樹脂のWFX4を、粘着剤層としてPE−1を、剥離処理層として付加型のシリコーン系剥離剤としてX−62−2378(信越化学株式会社製)のトルエン溶液(固形分30%)に3次元化オルガノポリシロキサンとしてX−92−140(信越化学株式会社製)のトルエン/キシレン溶液(固形分30%)を、3次元化オルガノポリシロキサン含有量が30%となるように混合した溶液を用いた。
基材層の口径35mmφの押出機、粘着剤層の口径20mmφの押出機、エアーナイフおよび冷却ロールを有する2層Tダイ法フィルム製造装置を用いて、各押出機とダイスの間に長瀬産業(株)製のリーフディスクフィルター(デナラボ504(直径:5インチ、フィルター枚数:5枚、ろ過径:10μm))を設置し、Tダイのリップクリアランスを0.8mm、押出機のシリンダーの設定温度、ダイスの設定温度、リーフディスクフィルターの設定温度を220℃、押出量を10kg/時間、冷却ロール温度を35℃、製膜引取速度10m/minの製膜条件にて、基材層厚み40μm、粘着剤層厚み10μmの2層Tダイフィルムからなる共押2層フィルムを作製した。
得られた2層フィルムの基材層の粘着剤層は他方の表面に、付加型のシリコーン系剥離剤としてX−62−2378(信越化学株式会社製)のトルエン溶液(固形分30%)に3次元化オルガノポリシロキサンとしてX−92−140(信越化学株式会社製)のトルエン/キシレン溶液(固形分30%)を、3次元化オルガノポリシロキサン含有量が30%となるように混合した溶液を、0.38g/m2となるように塗布した後、120℃×1分間加熱処理して剥離処理層を形成した表面保護フィルムを作製した。得られた表面保護フィルムのフィッシュアイ評価結果を表3に示す。
実施例9において、基材層の口径35mmφの押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを、ろ過径40μmに変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
実施例9において、粘着層の口径20mmφの押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを、ろ過径40μmに変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
実施例9において、基材層、粘着層の各押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを、ろ過径40μmに変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
実施例9において、粘着層樹脂のPE−1を、クレイトンG1657に変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
実施例9において、粘着層樹脂のPE−1を、ダイナロン1321Pに変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
実施例9において、粘着層樹脂のPE−1を、WFX4(50重量%)とダイナロン1321P(50重量%)としたペレット混合物に変えた以外、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
基材層として、WFX4を、粘着剤層としてクレイトンG1657を、剥離処理層としてBC3HFを用いた。
基材層の口径35mmφの押出機、粘着剤層の口径20mmφの押出機、剥離処理層の口径20mmφの押出機、エアーナイフおよび冷却ロールを有する3層Tダイ法フィルム製造装置を用いて、各押出機とダイスの間に長瀬産業(株)製のリーフディスクフィルター(デナラボ504(直径:5インチ、フィルター枚数:5枚、ろ過径:10μm))を設置し、Tダイのリップクリアランスを0.8mm、押出機のシリンダーの設定温度、ダイスの設定温度、リーフディスクフィルターの設定温度を220℃、押出量を10kg/時間、冷却ロール温度を35℃、製膜引取速度10m/minの製膜条件にて、基材層厚み30μm、粘着剤層厚み10μmの2層Tダイフィルムからなる共押3層フィルムを作製した。得られた表面保護フィルムのフィッシュアイ評価結果を表3に示す。
実施例9において、粘着層の口径20mmφの押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを使用しなかった以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
<比較例9>
実施例16において、基材層の口径35mmφの押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを、ろ過径80μmに変えた以外は、実施例16と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
Claims (9)
- 基材層上に、粘着層が積層されている表面保護用フィルムであって、
前記基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体よりなるプロピレン系樹脂(A)を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出すことによって形成されることを特徴とする表面保護用フィルム。
(A1):メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分である
(A2):示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃である
(A3):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である
(A4):昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下である - プロピレン系樹脂(A)が、昇温溶離分別(TREF)法により20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)が30℃以下の特性を有する請求項1に記載の表面保護用フィルム。
- 前記基材層上の粘着層とは反対側に、剥離処理層が積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護用フィルム。
- 前記粘着層は、粘着剤を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出することによって形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
- 前記剥離処理層は、剥離処理剤を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出することによって形成されることを特徴とする請求項3に記載の表面保護用フィルム。
- フィッシュアイが、10個/m2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
- 建築部材の表面保護用に使用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
- 液晶表示の構成部材の表面保護用に使用されることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
- 基材層上に、粘着層が積層されている表面保護用フィルムの製造方法であって、
前記基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体よりなるプロピレン系樹脂(A)を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出して形成されることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の表面保護用フィルムの製造方法。
(A1):メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分である
(A2):示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃である
(A3):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である
(A4):昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下である
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008265481A JP5342845B2 (ja) | 2007-10-16 | 2008-10-14 | 表面保護用フィルムおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2007268787 | 2007-10-16 | ||
JP2007268787 | 2007-10-16 | ||
JP2008265481A JP5342845B2 (ja) | 2007-10-16 | 2008-10-14 | 表面保護用フィルムおよびその製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009113481A JP2009113481A (ja) | 2009-05-28 |
JP5342845B2 true JP5342845B2 (ja) | 2013-11-13 |
Family
ID=40781142
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2008265481A Active JP5342845B2 (ja) | 2007-10-16 | 2008-10-14 | 表面保護用フィルムおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5342845B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101553815B1 (ko) * | 2014-12-31 | 2015-09-18 | 주식회사 유상 | 자기 점착성 보호필름 |
KR101553814B1 (ko) * | 2014-12-31 | 2015-09-18 | 주식회사 유상 | 자기 점착성 보호필름 |
Families Citing this family (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5264576B2 (ja) * | 2008-03-17 | 2013-08-14 | 日本ポリプロ株式会社 | プロピレン系表面保護用フィルム |
JP5198349B2 (ja) * | 2008-05-12 | 2013-05-15 | 日本ポリプロ株式会社 | プロピレン系表面保護用フィルム |
JP5297995B2 (ja) * | 2009-12-18 | 2013-09-25 | 日本ポリプロ株式会社 | 表面保護用フィルム |
JP2013194225A (ja) * | 2012-03-22 | 2013-09-30 | Sumitomo Chemical Co Ltd | 液晶ポリエステルフィルムの製造方法及び液晶ポリエステルフィルム |
WO2014054701A1 (ja) * | 2012-10-05 | 2014-04-10 | 東洋紡株式会社 | 自己粘着性表面保護フィルム |
CN104685017B (zh) * | 2012-10-05 | 2021-08-03 | 东洋纺株式会社 | 自粘合性表面保护膜 |
JP6848387B2 (ja) * | 2016-11-21 | 2021-03-24 | 三菱ケミカル株式会社 | 偏光子保護フィルム |
JP2018031024A (ja) * | 2017-11-17 | 2018-03-01 | 王子ホールディングス株式会社 | 二軸延伸ポリプロピレンフィルム |
JP6988981B2 (ja) * | 2020-07-20 | 2022-01-05 | 王子ホールディングス株式会社 | 二軸延伸ポリプロピレンフィルム |
Family Cites Families (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS57203552A (en) * | 1981-06-09 | 1982-12-13 | Toppan Printing Co Ltd | Surface protective film |
JPH02223406A (ja) * | 1989-02-23 | 1990-09-05 | Mitsubishi Kasei Corp | ゲル成分の低減されたポリオレフィン樹脂成形材料 |
JPH08207117A (ja) * | 1995-01-31 | 1996-08-13 | Fuji Photo Film Co Ltd | 写真印画紙用支持体の製造方法及び装置 |
JPH09314642A (ja) * | 1996-05-28 | 1997-12-09 | Sekisui Chem Co Ltd | 表面保護フィルムの製造方法 |
JP4030659B2 (ja) * | 1998-07-01 | 2008-01-09 | 日本ポリプロ株式会社 | 二軸延伸ポリプロピレンフィルム |
JP2000230086A (ja) * | 1999-02-09 | 2000-08-22 | Chisso Corp | ポリプロピレンシート |
JP4694061B2 (ja) * | 2001-08-02 | 2011-06-01 | 日東電工株式会社 | 表面保護シートおよびその製造方法 |
JP2004066767A (ja) * | 2002-08-09 | 2004-03-04 | Daicel Chem Ind Ltd | プラスチック成形体の製造方法 |
JP4392859B2 (ja) * | 2002-12-26 | 2010-01-06 | 日本ポリプロ株式会社 | 積層フィルム及びその製造方法 |
JP2005179452A (ja) * | 2003-12-18 | 2005-07-07 | Toyobo Co Ltd | ヒートシール性線状低密度ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 |
JP2005178250A (ja) * | 2003-12-22 | 2005-07-07 | Toyobo Co Ltd | ヒートシール性ポリプロピレン系フィルムおよびその製造方法 |
JP4928741B2 (ja) * | 2005-04-29 | 2012-05-09 | 日本ポリプロ株式会社 | プロピレン系樹脂フィルム及びプロピレン系樹脂積層フィルム並びにそれらの用途 |
JP2006328156A (ja) * | 2005-05-24 | 2006-12-07 | Okamoto Ind Inc | プロテクトフィルム及びその製造方法 |
-
2008
- 2008-10-14 JP JP2008265481A patent/JP5342845B2/ja active Active
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101553815B1 (ko) * | 2014-12-31 | 2015-09-18 | 주식회사 유상 | 자기 점착성 보호필름 |
KR101553814B1 (ko) * | 2014-12-31 | 2015-09-18 | 주식회사 유상 | 자기 점착성 보호필름 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2009113481A (ja) | 2009-05-28 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5342845B2 (ja) | 表面保護用フィルムおよびその製造方法 | |
JP5244429B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP4929213B2 (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP5537790B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP5264576B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP5484028B2 (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP5222773B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP4920049B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP2008265302A (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP5183458B2 (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP5244425B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP5581015B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP5264571B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP2009196334A (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP2008265309A (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP5484031B2 (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP5484032B2 (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP5484022B2 (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP2011122039A (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP5198349B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP2009255525A (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP5484033B2 (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP2009274231A (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム | |
JP5297995B2 (ja) | 表面保護用フィルム | |
JP5322760B2 (ja) | プロピレン系表面保護用フィルム |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20111005 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20120921 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20121009 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20121205 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20130723 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20130812 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 5342845 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |