JP5342845B2 - 表面保護用フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、表面保護用フィルムおよびその製造方法に関し、さらに詳しくは、フィッシアイが少なく、さらに微細なサイズのフィッシュアイも非常に少ないという特性から、合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材の表面保護用、あるいは偏光板や位相差板などの液晶表示の構成部材の表面保護用に好適なプロピレン系樹脂製の表面保護用フィルム、およびそれを製造する方法に関する。
近年では、合成樹脂板等の建築部材や、光学機器部材の液晶表示部等は、加工時や輸送運搬時等の表面の傷つきや汚れ防止の観点から、表面保護フィルムが貼り付けられ、加工後又は輸送運搬後に係る表面保護フィルムを剥がして使用することが一般的である。
従来、表面保護用フィルムとして、エチレン系樹脂を主成分とした表面保護用フィルムがある。
たとえば、特許文献1には、特定のエチレン系樹脂からなる基材フィルムの片面に粘着材層が形成された表面保護フィルムが開示されており、その表面保護フィルムは、フィッシュアイが発生せず、偏向板や位相差板をなどの液晶表示の構成部材に好適であるということも記載されている。
また、特許文献2には、特定の低密度ポリエチレン50〜90重量%と、特定の分子量及び分布を有する高密度ポリエチレン10〜50重量%とからなるポリエチレン系樹脂層と、エチレン−不飽和エステル共重合体からなる接着性樹脂層とを共押出しした積層フィルムが開示されており、その積層フィルムは、金属板に貼付してその表面を汚れや外傷から保護し、更に打ち抜き加工時の打ち抜き性に優れるということが記載されている。
しかしながら、ポリエチレンを主成分とする樹脂により得られる表面保護用フィルムは、長時間に渡りフィルム製膜を継続していると、押出機やダイス等内部のデッドスペースに、溶融したポリエチレン系樹脂による滞留が生じ、それが劣化し架橋することによりゲル化が起こり、フィルム中に未溶融の微細な塊(以下、フィッシュアイという。)が多数発生するため、このようなフィルムを被保護物に貼付けた後、そのままの状態で段積み保管した場合、フィッシュアイの存在により、被保護物に凹みが生じる。これにより、たとえば、液晶表示材に使用される偏光板や位相差板を被保護物とし、それに上記表面保護用フィルムを利用すると、該被保護物に凹みができてしまい、画像に歪みが生じ、不適用となる問題が起こっている。
これに対し、架橋劣化によるゲル化が起こり難い点から、表面保護用フィルムの素材としてポリエチレン系樹脂に代えてプロピレン系樹脂を用いることが検討されている。
たとえば、特許文献3には、MFRと塩素含有量が特定の範囲にあるポリプロピレン、特に、重合後、ポリプロピレンパウダーをイソプロパノールとヘプタンの混合溶媒で洗浄した、塩素含有量が5重量ppm以下のポリプロピレンを基材に用いた表面保護フィルムが開示されており、そこには、このようなポリプロピレンを用いると、ポリエチレンの有する弱点である耐熱性、耐傷付き性および剛性を克服でき、かつ薄型表示パネルに使用されている金属薄膜層を付与した樹脂フィルムを用いた透明電極や電磁波遮断フィルムにポリプロピレン製保護フィルムを使用した場合、塩素イオンの影響により金属薄膜層に点状欠陥が発生するのを効果的に防止できるということが開示されている。
確かに、プロピレン系樹脂を用いると、架橋劣化によるゲル化が起こり難い点から、ポリエチレン系樹脂よりも、発生するフィッシュアイを低減させることができる。しかし、単に、MFRと塩素含有量を調整した程度では、偏光板や位相差板などの液晶表示の構成部材用途に必要な、10個/m2以下のフィッシュアイというハイスペックな表面保護用フィルムを到底得ることができないのが現状であった。
溶融樹脂内に混在するゲル状物や異物を、焼結フィルターによって除去する方法も知られている。確かに、この方法を用いることにより、ゲル状物や異物を容易に除去することが可能である。しかし、微細なフィッシュアイまでも除去しようとすると、ろ過径の小さい焼結フィルターを用いる必要があるが、溶融樹脂によるフィルターの通過抵抗、すなわち圧力損失が極めて大きくなり、フィルムの製造が困難になることが多かった。
このような問題を解決する方法として、特許文献4には、ゲル状物や異物を含むポリエチレン樹脂を、ギヤーポンプにより、焼結体フィルターに圧送し通過させて、ゲル状物や異物を除去する方法が開示されている。しかしながら、ギヤーポンプを用いた場合には、ギヤーポンプ内で樹脂が滞留して劣化してしまうことが多かった。
そこで、ギヤーポンプを用いることなく、このような問題を解決する方法として、特許文献5には、特定のエチレン−α−オレフィン共重合体も用いることにより、樹脂圧力を低減させ、ギヤーポンプを使用することなく焼結フィルターを通し、フィッシュアイの少ないフィルムを製造する方法が記載されている。しかし、用いている樹脂が、エチレン系共重合体であるため、フィルムに要求される耐熱性、耐傷付き性および剛性の面で充分とは言えず、フィッシュアイの発生の抑制にも満足できるものではなかった。
こうした状況下に、これまでのポリプロピレン系樹脂を用いた表面保護用フィルムの問題点を解消し、フィッシュアイの極めて少ない表面保護用フィルムの早期開発が望まれていた。
特開平9−111208号公報 特開昭54−133578号公報 特開2006−282761号公報 特開平8−103952号公報 特開2005−271420号公報
本発明の目的は、従来技術の問題点に鑑み、フィッシアイが少なく、さらに微細なサイズのフィッシュアイも非常に少ないという特性から、合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材の表面保護用、あるいは偏光板や位相差板などの液晶表示の構成部材の表面保護用に好適なプロピレン系樹脂製の表面保護用フィルム、およびそれを製造する方法を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の物性を有するプロピレン系樹脂を押出機にて溶融混練した後、特定のろ過径のフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出すことによって形成された基材層上に、粘着層が積層されている表面保護用フィルムを調製したところ、未溶融樹脂に起因するフィッシアイが極端に少ないことから、表面保護用フィルム、特に、少数のフィッシュアイでも、液晶表示材として使用される偏光板や位相差板としては極めて不都合を生じる表面保護用フィルムに対して好適であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、基材層上に、粘着層が積層されている表面保護用フィルムであって、
前記基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体よりなるプロピレン系樹脂(A)を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出すことによって形成されることを特徴とする表面保護用フィルムが提供される。
(A1):メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分である
(A2):示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃である
(A3):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である
(A4):昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下である
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、プロピレン系樹脂(A)が、昇温溶離分別(TREF)法により20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)が30℃以下の特性を有する表面保護用フィルムが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1又は2の発明において、前記基材層上の粘着層とは反対側に、剥離処理層が積層されていることを特徴とする表面保護用フィルムが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、前記粘着層は、粘着剤を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出することによって形成されることを特徴とする表面保護用フィルムが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第の発明において、前記剥離処理層は、剥離処理剤を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出することによって形成されることを特徴とする表面保護用フィルムが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、フィッシュアイが、10個/m以下であることを特徴とする表面保護用フィルムが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、建築部材の表面保護用に使用されることを特徴とする表面保護用フィルムが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1〜のいずれかの発明において、液晶表示の構成部材の表面保護用に使用されることを特徴とする表面保護用フィルムが提供される。
また、本発明の第の発明によれば、基材層上に、粘着層が積層されている表面保護用フィルムの製造方法であって、
前記基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体よりなるプロピレン系樹脂(A)を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出して形成されることを特徴とする第1〜のいずれかの発明に係る表面保護用フィルムの製造方法が提供される。
(A1):メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分である
(A2):示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃である
(A3):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である
(A4):昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下である
本発明の表面保護用フィルムは、特定のプロピレン系樹脂(A)をろ過径1〜60μmのフィルターを通して得た基材層を有しているため、ギヤーポンプを用いることなく製造することができ、未溶融樹脂に起因するフィッシアイが極端に少ないことから、表面保護用フィルム、特に、少数のフィッシュアイでも、液晶表示材として使用される偏光板や位相差板としては、極めて不都合(表面保護用フィルムを被保護物に貼付けて段積み保管した時、フィッシュアイによって被保護物が凹む)を生じる表面保護用フィルムに対して好適なものであり、さらには、広く、合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材にも、優れた性能を有する表面保護用のフィルムとしても利用できる。
本発明は、基材層と基材層の一方の面に粘着剤層が形成され、さらに必要に応じて、粘着剤層と他方の面に剥離処理層を有する表面保護用フィルムであって、該基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、特性(A1)〜(A4)、必要に応じて、さらに特性(A5)〜(A6)を有するプロピレン単独重合体、または、プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体であるプロピレン系樹脂(A)からなる表面保護用フィルムである。以下、本発明の表面保護用フィルムの各層の構成成分、表面保護用フィルムの製造法等について詳細に説明する。
1.基材層
本発明の表面保護用フィルムにおける基材層は、以下に詳記するようなプロピレン系樹脂(A)から構成される。
プロピレン系樹脂(A)としては、プロピレン単独重合体、あるいはプロピレンとα−オレフィンとのランダム共重合体を使用することができる。ここで、ランダム共重合成分となるα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。
本発明で用いるプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。好ましくは、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。更に好ましくはプロピレン・エチレンランダム共重合体が挙げられる。
本発明で用いるプロピレン系樹脂(A)は、下記の特性(A1)〜(A4)を有し、必要に応じて、さらに特性(A5)〜(A6)を有する。
(A1)メルトフローレート
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)は、メルトフローレート値(以下、MFRと言う。)が、1〜50g/10分、好ましくは2〜30g/10分、より好ましくは5〜20g/10分、もっとも好ましくは7〜15g/10分である。
MFRが、1g/10分未満では押出特性が悪化し、生産性が低下するため好ましくなく、また、MFRが50g/10分を超えるとフィルム成形時の厚み精度が悪化しやすくなるため好ましくない。
本発明において採用しているMFR(単位:g/10分)の測定は、JIS K−7210−1995に準拠し、230℃、荷重21.18N荷重で測定した。
(A2)融解ピーク温度
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)は、融解ピーク温度(以下、Tmpと言う場合もある。)が、120℃〜170℃、好ましくは120℃〜165℃、さらに好ましくは120℃〜160℃、もっとも好ましくは120℃〜150℃である。
融解ピーク温度が120℃未満では、耐熱性が劣り、熱をかけて表面保護フィルムを非着体に貼り付ける加工工程時に表面保護用フィルムが変形し易くなる。融解ピーク温度が170℃より高いと、衝撃強度が劣り、表面保護用フィルムを被保護物に貼り付ける際に裂けが生じることがある。
融解ピーク温度(Tmp)は、用いるα−オレフィンの量で調整することができる。例えば、α−オレフィンの量が増えれば融解ピーク温度(Tmp)は低下する。
なお、本発明において採用している融解ピーク温度(Tmp:単位℃)測定は、示差走査型熱量計(セイコー社製DSC)を用い、サンプル量5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/分の降温スピードで結晶化させ、さらに10℃/分の昇温スピードで融解させたときの融解ピーク温度(Tmp)を測定した。
(A3)重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)は、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)(以下、(Mw)/(Mn)と言う。)の値が1.5〜3.5、好ましくは1.7〜3.2、さらに好ましくは、2.0〜3.0、もっとも好ましくは、2.3〜2.8である。(Mw)/(Mn)の値が1.5未満であると、溶融樹脂粘度が高くなって溶融流動性が悪くなり、押出成形が困難となる。一方、(Mw)/(Mn)の値が3.5を越えると、分子量の小さい分子および分子量の大きい分子の存在比率が高くなり、高分子量分は表面保護用フイルム成形時に未溶融のフィッシュアイとなり、被保護物に貼付けた後、そのままの状態で段積み保管すると、被保護物に凹みを生じることになる。
(Mw/Mn)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒の種類を変更することによって、調整することができる。
なお、本発明において採用している(Mw)/(Mn)の測定は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で行った。測定条件は次の通りである。
装置:ウオーターズ社製GPC 150C型
検出器:MIRAN社製 1A赤外分光光度計(測定波長、3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S 3本(カラムの較正は東ソー製単分散ポリスチレン(A500,A2500,F1,F2,F4,F10,F20,F40,F288の各0.5mg/ml溶液)の測定を行い、溶出体積と分子量の対数値を2次式で近似した。また、試料の分子量はポリスチレンとポリプロピレンの粘度式を用いてポリプロピレンに換算した。ここでポリスチレンの粘度式の係数はα=0.723、logK=−3.967であり、ポリプロピレンはα=0.707、logK=−3.616である。)
測定温度:140℃
濃度:20mg/10mL
注入量:0.2ml
溶媒:オルソジクロロベンゼン
流速:1.0ml/分
粘度式
log[η]=logK+α×logM
(A4)昇温溶離分別(TREF)法による40℃以下の可溶分(S40
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)は、昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下、好ましくは8重量%以下、さらに好ましくは6重量%以下、もっとも好ましくは4重量%以下である。
昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%より多いと低結晶成分のベタツキ成分により被保護物が汚染されるという問題点がある。また、ポリマーを製造する過程において、低結晶成分のベタツキにより重合槽等でポリマー付着が発生し、滞留によるポリマーの劣化が起こり、結果としてポリマー劣化物由来のフィッシュアイとなってフィルム中に存在してしまう。
40℃以下の可溶分(S40)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒およびα−オレフィンの種類と量、組成を変更することによって調整することができる。
(A5)昇温溶離分別による(T100−T20
本発明で用いるプロピレン系樹脂(A)の昇温溶離分別(TREF)法により20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)は、30℃以下が好ましく、より好ましくは25℃以下、さらに好ましくは20℃以下、最も好ましくは15℃以下である。(T100−T20)が30℃を超えると、プロピレン系樹脂の中に結晶性の高い成分と結晶性の低い成分とが同時に存在することになり、結晶成分の大きさや質が不均一となって、溶融樹脂粘度にムラが存在し、未溶融の微細なかたまりがフィッシュアイとなってフィルム中に存在してしまう。
昇温溶離分別による(T100−T20)は、製造時の重合条件(重合温度、重合圧力)、用いる触媒およびα−オレフィンの種類と量、組成を変更することによって調整することができる。
なお、本発明において採用している温溶離分別(TREF)法とは、以下に示す方法である。
すなわち、試料を140℃でオルトジクロロベンゼンに溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で40℃まで冷却後、10分間保持する。その後、溶媒であるオルトジクロロベンゼンを1mL/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で40℃のオルトジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る。
上記条件に従って得た溶出曲線から40℃で溶出する成分の全量に対する割合(重量%)を算出する。また、20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)を算出する。用いるカラム、溶媒、温度等の条件は以下の通りである。
カラムサイズ:4.3mmφ×150mm
カラム充填材:100μm表面不活性処理ガラスビーズ
溶媒:オルトジクロロベンゼン
試料濃度:5mg/mL
試料注入量:0.2mL
溶媒流速:1mL/分
検出器:波長固定型赤外検出器 FOXBORO社製 MIRAN 1A
測定波長:3.42μm
(A6)触媒残渣
本発明において用いられるプロピレン系樹脂(A)の触媒残渣は、50ppm以下が好ましく、40ppm以下がより好ましく、30ppm以下がさらに好ましく、20ppm以下が特に好ましい。触媒残渣とは、プロピレン系樹脂(A)の残留触媒主成分であり、アルミニウム(Al)残渣、チタン(Ti)残渣、塩素(Cl)残渣、マグネシウム(Mg)残渣、珪素(Si)残渣の総和を言う。触媒残渣が60ppmを超えると、フィルターで目処まりを起こし、急激な樹脂圧上昇になり、場合によってはフィルターの破損につながる。
なお、触媒残渣とは、あくまでも重合に使用した触媒由来の残渣であり、添加剤を加えた場合、該添加剤由来のアルミニウム(Al)、チタン(Ti)、塩素(Cl)、マグネシウム(Mg)、珪素(Si)を本発明で規定する触媒残渣に含めないことは言うまでもない。したがって、プロピレン系樹脂から分析する場合、添加剤由来の残渣は除することは言うまでもない。
本発明において採用している触媒残渣は、次の方法により測定した。
プロピレン系樹脂(A)粉末試料約2gを、温度190℃、圧力50kg/cmGで、金型を用いてプレスし、厚さ=1.5(mm)のプレス片を作成した。なお、プレスにあたっては、予熱時間を30秒、プレス時間を30秒とした。得られたプレス片を、蛍光X線分光分析装置を用いて分析し、試料中の触媒残渣を定量した。なお、蛍光X線分光分析装置の較正は、別途用意した各成分(アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、塩素(Cl)、マグネシウム(Mg)、珪素(Si))の標準試料を用いて行った。
このようなプロピレン系樹脂は、メタロセン触媒を用いて重合されたものであることを必須条件とする。
メタロセン触媒により重合されたプロピレン単独重合体、またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体は、結晶性分布、及び分子量分布が狭いため、前記記述どおり、フィッシュアイになる成分が少ないものとなる。
一方、マグネシウム、チタン、ハロゲン、電子供与体を必須成分とするいわゆるチーグラーナッタ触媒などのメタロセン触媒以外の触媒により重合されたプロピレン単独重合体、またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体を用いると、分子量分布が広く、高分子量成分が多く含まれるため、しかも、結晶分布も広く、低結晶成分が多い上、さらに、結晶性分布が不均一なため、フィルム中に未溶融の微細なかたまりが発生し、フィッシュアイとなって存在しやすくなる。
本発明で用いられるメタロセン触媒とは、(i)シクロペンタジエニル骨格を有する配位子を含む周期表第4族の遷移金属化合物(いわゆるメタロセン化合物)と、(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒と、必要により、(iii)有機アルミニウム化合物とからなる触媒であり、公知の触媒はいずれも使用できる。メタロセン化合物は、好ましくはプロピレンの立体規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物であり、より好ましくはプロピレンのアイソ規則性重合が可能な架橋型のメタロセン化合物である。各成分について説明する。
(i)メタロセン化合物としては、例えば、特開昭60−35007号、特開昭61−130314号、特開昭63−295607号、特開平1−275609号、特開平2−41303号、特開平2−131488号、特開平2−76887号、特開平3−163088号、特開平4−300887号、特開平4−211694号、特開平5−43616号、特開平5−209013号、特開平6−239914号、特表平7−504934号、特開平8−85708号の各公報に開示されている。
更に、具体的には、メチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレンビス(2−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、エチレン1,2−(4−フェニルインデニル)(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル)(フルオレニル)ジルコニウムジクロリド、イソプロピリデン(4−メチルシクロペンタジエニル)(3−t−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−t−ブチル−シクロペンタジエニル)(3’−t−ブチル−5’−メチル−シクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[4−(1−フェニル−3−メチルインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン(フルオレニル)t−ブチルアミドジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4,(1−ナフチル)−インデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−ナフチル−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス[1−(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−(2−エチル−4−(3−フルオロビフェニリル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル)]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)]ジルコニウムジクロリドなどのジルコニウム化合物が例示できる。上記において、ジルコニウムをチタニウム、ハフニウムに置き換えた化合物も同様に使用できる。場合によっては、ジルコニウム化合物とハフニウム化合物等の混合物を使用することもできる。また、クロリドは他のハロゲン化合物、メチル、イソブチル、ベンジル等の炭化水素基、ジメチルアミド、ジエチルアミド等のアミド基、メトキシ基、フェノキシ基等のアルコキシド基、ヒドリド基等に置き換えることが出来る。
これらの内、インデニル基あるいはアズレニル基を珪素あるいはゲルミル基で架橋したメタロセン化合物が好ましい。特にアズレニル基を有するメタロセン化合物と粘土鉱物を組み合わせた触媒で得られる重合体は、製膜性、低フィッシュアイのバランスに優れている。
また、メタロセン化合物は、無機または有機化合物の担体に担持して使用してもよい。該担体としては、無機または有機化合物の多孔質化合物が好ましく、具体的には、イオン交換性層状珪酸塩、ゼオライト、SiO、Al、シリカアルミナ、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、等の無機化合物、多孔質のポリオレフィン、スチレン・ジビニルベンゼン共重合体、オレフィン・アクリル酸共重合体等からなる有機化合物、またはこれらの混合物が挙げられる。
(ii)メタロセン化合物と反応して安定なイオン状態に活性化しうる助触媒としては、有機アルミニウムオキシ化合物(たとえば、アルミノキサン化合物)、イオン交換性層状珪酸塩、ルイス酸、ホウ素含有化合物、イオン性化合物、フッ素含有有機化合物等が挙げられる。
(iii)有機アルミニウム化合物としては、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、ジアルキルアルミニウムハライド、アルキルアルミニウムセスキハライド、アルキルアルミニウムジハライド、アルキルアルミニウムハイドライド、有機アルミニウムアルコキサイド等が挙げられる。
重合法としては、上記触媒の存在下に、不活性溶媒を用いたスラリー法、溶液法、実質的に溶媒を用いない気相法や、あるいは重合モノマーを溶媒とするバルク重合法等が挙げられる。本発明で用いるプロピレンを得る方法としては、例えば、重合温度やコモノマー量を調節して、分子量および結晶性の分布を適宜制御することにより、所望のポリマーを得ることができる。
かかるポリプロピレンは、メタロセン系ポリプロピレンとして市販されているものの中から適宜選択し使用することもできる。市販品としては、日本ポリプロ社製「ウィンテック」等を挙げることができる。
なお、本発明のプロピレン系樹脂は、前記特性を満足する限り一種類もしくは二種類以上の組み合わせからなっても良い。
2.粘着層
本発明の表面保護用フィルムにおいては、上記プロピレン系樹脂(A)よりなる基材層の一方の面に粘着剤層が形成される。
粘着層としては、公知のものであれば、特に限定されず、具体的には、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、軟質ポリプロピレン樹脂、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン重合体(エチレン・アクリル系共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体以外)などが好適に使用される。粘着剤は、その組成などに何ら限定されるものではない。以下に各粘着剤について詳しく説明する。
(1)ゴム系粘着剤
ゴム系粘着剤としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、天然ゴム系粘着剤、または、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体等の合成ゴム系粘着剤等があげられる。本発明の粘着剤層で用いる天然ゴムとしては、市販品の商品名:SMR(加商株式会社製)等が挙げられる。また、本発明の粘着剤層で用いる熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体としては、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物であり、下記(b1)の特性を有する。
(b1)スチレン含量[St]
熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体のスチレン含量[St]は、特に限定されるものではないが、5〜60重量%、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは20〜40重量%である。スチレン含量が前記範囲内では、透明性が良好であり、また、プロピレン樹脂との親和性がよく分散性が良好で柔軟性の低下が少ない。
熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物とは、熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体を水添したものである。熱可塑性スチレン−ジオレフィン共重合体水素添加物は、ブロック共重合体であっても、ランダム共重合体であってもよい。好ましくはブロック共重合体である。
上記熱可塑性スチレン−ジオレフィンブロック共重合体水素添加物においては、スチレンブロックをSTY、ジオレフィンブロック水素添加物をDENと表すと、STY−DEN、STY−DEN−STY、DEN−STY−DEN−STY、STY−DEN−STY−DEN−STYなどの構造を有する共重合体が挙げられる。
ジオレフィンの水素添加物ブロックを構成する単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ビニル化ポリイソプレンの水素添加物等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
スチレンブロックとジオレフィンブロックとのブロック共重合体の水素添加物の具体例としては、例えば、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物、スチレン−ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物が挙げられる。これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物は、クレイトンポリマージャパン(株)より「クレイトンG」として、また、旭化成工業(株)より「タフテック」の商品名で販売されている。スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加物は、(株)クラレより「セプトン」の商品名で販売されている。スチレン−ビニル化ポリイソプレンブロック共重合体の水素添加物は、(株)クラレより「ハイブラー」の商品名で販売されている。これらの商品群より適宜選択して用いてもよい。
上記熱可塑性スチレン−ジオレフィンランダム共重合体の水素添加物において、ジオレフィンの水素添加物ブロックを構成する単量体としては、ブタジエン、イソプレン、ビニル化ポリイソプレン等が挙げられ、これらは単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
スチレンとジオレフィンとのランダム共重合体の水素添加物の具体例としては、スチレンブタジエンランダム共重合体の水素添加物、スチレン−イソプレンランダム共重合体の水素添加物、スチレン−ビニル化ポリイソプレンランダム共重合の水素添加物が挙げられ、これらは、単独で、または2種以上を混合して使用することができる。
スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物は、JSR(株)より「ダイナロン」の商品名で販売されている。
さらに、熱可塑性スチレン−ジオレフィンブロック共重合体の水素添加物と熱可塑性スチレン−ジオレフィンランダム共重合体の水素添加物を混合して使用することもできる。
なお、これら粘着剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、粘着層は、押出機にて共押出成形して積層する場合、基材層との密着性を考慮し、本発明の基材層に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体に粘着剤を配合し粘着層として使用することができる。本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体に上記粘着剤を配合して使用する場合、本発明に用いられるプロピレン−エチレンブロック共重合体および粘着剤の合計を100重量%としたとき、プロピレン−エチレンブロック共重合体の含有量が1〜99重量%であり、粘着剤の含有量が99〜1重量%である。好ましくはプロピレン−エチレンブロック共重合体の含有量が5〜75重量%であり、粘着剤の含有量が95〜25重量%、より好ましくは、プロピレン−エチレンブロック共重合体の含有量が10〜50重量%であり、粘着剤の含有量が50〜90重量%である。
(2)アクリル系粘着剤
アクリル系粘着剤としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、官能基として水酸基を含む(メタ)アクリル系ポリマーおよびイソシアネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤等があげられる。透明性、凝集性、剥離特性のバランスから、官能基として水酸基を含む(メタ)アクリル系ポリマーおよびイソシアネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤が用いられる。
本発明における(メタ)アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸アルキルおよび水酸基含有モノマーをモノマー単位として含有する。水酸基の導入する手法は、特に制限されないが、たとえば、水酸基含有モノマーを共重合する手法が容易におこなうことができる。
なお、本発明における(メタ)アクリル系ポリマーとは、アクリル系ポリマーおよび/またはメタクリル系ポリマーをいい、また(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、また(メタ)アクリル酸アルキルは、アクリル酸アルキルおよび/またはメタクリル酸アルキルをいう。
(メタ)アクリル酸アルキルとしては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルなどをなどがあげられる。これらの化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記水酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。これらのモノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記水酸基含有モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、1〜10重量部であることが好ましく、2〜6重量部であることがより好ましい。水酸基含有モノマーを共重合することにより、架橋などによる反応点が付与されることとなる。
本発明に用いられる(メタ)アクリル系ポリマーは、重量平均分子量が30万〜250万程度であることが望ましい。重量平均分子量が30万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。重量平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
また、粘着性能のバランスが取りやすい理由から、前記(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)が0℃以下(通常−100℃以上)、好ましくは−10℃以下であることが望ましい。ガラス転移温度が0℃より高い場合、ポリマーが流動しにくく偏光板への濡れが不十分となり、偏光板と粘着シート類の粘着剤組成物層との間に発生するフクレの原因となる傾向がある。
なお、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、用いるモノマー成分や組成比を適宜変えることにより前記範囲内に調整することができる。
また、前記モノマー以外のその他の重合性モノマーは、(メタ)アクリル系ポリマーのガラス転移点や剥離性を調整するための重合性モノマーなどを、本発明の効果を損なわない範囲で使用することができる。
(メタ)アクリル系ポリマーにおいて用いられるその他の重合性モノマーとしては、たとえば、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、酸無水物基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマーなどの接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を適宜用いることができる。これらのモノマー化合物は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
前記スルホン酸基含有モノマーとしては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などがあげられる。
前記リン酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートがあげられる。
前記シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられる。
前記ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
前記芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレンなどがあげられる。
前記酸無水物基含有モノマーとしては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などがあげられる。
前記アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどがあげられる。
前記アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステルなどがあげられる。
前記エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
前記ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
本発明において、その他の重合性モノマーは、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対して、0〜300重量部であることが好ましく、0〜150重量部であることがより好ましい。
なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重合法は特に制限されず、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、UV重合などの公知の重合法を採用できる。また、得られる共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体など何れでもよい。
本発明の粘着剤組成物は、上記のような(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとするものである。
本発明において、架橋剤としてはイソシアネート系架橋剤および、またはエポキシ系架橋剤を用いる。イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤は基材層との密着性および凝集性を付与するため用いられる。
イソシアネート系架橋剤としては、多官能イソシアネート化合物が用いられ、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する種々の化合物が含まれる。
イソシアネート化合物としては、たとえば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロへキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4−トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートL、日本ポリウレタン工業社製)、トリメチロールプロパン/へキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(商品名コロネートHL、日本ポリウレタン工業社製)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などのイソシアネート付加物などがあげられる。なかでも、イソシアヌレート環を有するものが特に好ましく、たとえば、長鎖アルキレンジオール変性のイソシアヌレート環を有するポリイソシアネート(大日本インキ化学工業社製、バーノックDN−995)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(商品名コロネートHX、日本ポリウレタン工業社製)などがあげられる。これらの化合物は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。
本発明に用いられる架橋剤の含有量は、粘着物性に影響を及ぼさない程度で配合すればよいが、通常(メタ)アクリル系ポリマー100重量部に対し、0.2〜10重量部含有され、0.5〜8重量部含有されていることが好ましく、1〜6重量部含有されていることがより好ましい。
エポキシ系架橋剤としては、多官能性エポキシ化合物が用いられ、分子中に2個以上のエポキシ基を有する種々の化合物が含まれる。その代表的な例として、例えば、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、トリメチロールプロパングリシジルエーテル、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、トリグリシジル−p−アミノフエノールなどがあげられる。エポキシ系架橋剤の市販品としては、テトラッドC(三菱ガス化学(株)製)等があげなられる。
エポキシ系架橋剤の配合部数は、アクリル系ポリマーへの酸導入量やエポキシ系架橋剤の構造にもよるが、一般的にはアクリル系ポリマー100重量部に対し、1〜8重量部含有され、1〜6重量部含有されるのが好ましい。
なお、アクリル系粘着剤には、前記例示した以外の架橋剤(ポリアミン化合物、メラミン樹脂、アジリジン誘導体、尿素樹脂)等も適宜に使用することもできる。これらの成分は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
アクリル系粘着剤の市販品としては、綜研化学社製、商品名:AG105、日本ポリエチレン(株)製のレクスパールシリーズ、住友化学(株)製のアクリフトシリーズなどが例示できる。等があげられる。
(3)軟質ポリプロピレン樹脂
軟質ポリプロピレン樹脂としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、結晶性の軟質ポリプロピレン樹脂でも、非晶性の軟質ポリプロピレン樹脂でもよい。メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)は2〜30g/分、密度は0.85〜0.89g/cm3、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は1.5〜3であるプロピレン単独重合体、またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体が好ましい。
共重合成分のα−オレフィンとしては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどが挙げられる。プロピレン・α−オレフィンランダム共重合体の具体例としては、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・1−ヘキセンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。好ましくは、プロピレン・エチレンランダム共重合体、プロピレン・1−ブテンランダム共重合体、プロピレン・エチレン・1−ブテン共重合体等が挙げられる。粘着力と糊残りのバランスから、もっとも好ましくはプロピレン・エチレンランダム共重合体が挙げられる。
メルトフローレート(MFR)が2g/分未満であると溶融粘度が高すぎフィルム化が難しくなり、30g/分を超えると溶融粘度が低すぎフィルム化の過程で穴明き等の不具合が生じる。密度は0.85g/cm未満であると粘着力が強くなりすぎ被着体に糊残りが発生することとなり、0.89g/cmを超えると粘着層として必要な粘着力が発現されない。密度は、糊残りと粘着力のバランスから0.86〜0.88g/cmが好ましい。重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5未満であると粘着層として積層する際に安定した厚みが確保できない。3を超えるとブリードアウトによる粉吹きの問題発生し、被着体が汚染されるという問題点がある。
なお、メルトフローレート(MFR:単位g/10分)は、JIS K−7210−1995(230℃、21.18N荷重)に準拠し測定する値、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定する値、Mw/Mnは前記基材層に使用するプロピレン系樹脂のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)と同じ条件で測定する値である。
軟質ポリプロピレン樹脂としては、市販品として住友化学(株)製のタフセレンシリーズ、エクソンモービルケミカル社製のVISTAMAXXシリーズ、ザ・ダウ・ケミカル・カンパニー製のVERSIFYシリーズ、三井化学(株)製のノティオ、タフマーシリーズなどが好適に用いられる。
(4)エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、酢酸ビニル含有量(VAC)が10%〜47%、より好ましくは15〜20%である。10%より低いVACのEVAでは、初期の粘着力が低すぎ、被保護物に粘着しない。また、47%より高いVACのEVAでは加熱処理を施した後に粘着力が上昇してしまい剥離が困難になる。
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は7〜20g/10分、より好ましくは4〜15g/10分である。MFRが小さくなり過ぎると、十分な初期接着力が得られず、逆に大きくなり過ぎると、表面保護フィルムを加熱処理した際に、粘着剤層が溶融して基材と被着体との間から流れ出して、保護フィルムを剥離した後も被着体表面に残ったり、さらに、粘着剤の流動性が大きくなって押出成形が困難になる。なお、前記エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)のメルトフローレートは、JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)の市販品としては、日本ポリエチレン(株)製のノバテックEVAシリーズ、住友化学(株)製エバテートシリーズなどが例示できる。
(5)エチレン重合体
エチレン重合体としては、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではないが、エチレン・α−オレフィンランダム共重合体などが好適に用いられ、エチレンと共重合されるα−オレフィンとしては、炭素数3〜20のα−オレフィンが好ましく、例えば、プロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等が挙げられ、特に、プロピレン、ブテン−1、もしくはヘキセン−1が好ましい。また、エチレンと共重合されるα−オレフィンは一種類でも2種類以上でもよい。
エチレン・α−オレフィンランダム共重合体中のエチレン含量は、50重量%以上が好ましい。エチレン含量が50重量%未満のものは粘着力が弱すぎるため粘着剤層としての効果が劣る。α−オレフィンの含有量は求められる密度に応じ適宜調整される。
エチレン重合体のメルトフローレート(MFR:190℃、21.18N荷重)は、0.1〜50g/10分であり、好ましくは1〜30g/10分であり、より好ましくは2〜15g/10分である。0.1g/10分未満のものは、押出特性が悪化しやすく、本発明のプロピレン系樹脂製の基材フィルムとの界面荒れが発生し問題がある。50g/10分を超えるものは厚みムラの原因になる。なお、メルトフローレートは、JIS−K6922−2:1997付属書(190℃、21.18N荷重)に準拠して測定する。
エチレン重合体の密度は、粘着力の強弱により調整するため、特に限定はしないが、0.860〜0.918g/cm好ましく、さらに好ましくは0.865〜0.905g/cmであり、より好ましくは0.870〜0.898g/cmである。密度が0.860g/cm未満のものは、粘着力が高くなりすぎて、基材フィルムから剥離し被保護物に跡が残る問題がある。また、密度が0.918g/cmを超えるのものは、粘着力が弱くなり過ぎて粘着層としての効果が得られない。なお、密度は、JIS−K6922−2:1997付属書(23℃)に準拠して測定する。
また、上記エチレン・α−オレフィン共重合体の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)は、特に限定はしないが、3.5以下が好ましく、より好ましくは1.5〜3.0であり、特に好ましくは2.0〜2.5である。上記範囲であれば、べたつきの発生もなく被着体への汚染の観点から好ましい。
上記エチレン・α−オレフィン共重合体は、チーグラー触媒、フィリップス触媒、メタロセン触媒等の触媒を使用して気相法、溶液法、高圧法、スラリー法等のプロセスでエチレンとプロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン等のα−オレフィンとを共重合させて製造することができるが、特にメタロセン触媒を用いて高圧法、もしくは溶液法で製造されたものが分子量分布、結晶性分布とも狭いため好ましい。
エチレン重合体の市販品としては、日本ポリエチレン(株)製のノバテックLLシリー
ズやハーモレックスシリーズ、カーネルシリーズ、三井化学(株)製のタフマーPシリー
ズやタフマーAシリーズ、(株)プライムポリマー製のエボリューシリーズ、住友化学(
株)製のスミカセンE、EPシリーズ、エクセレンGMH、エクセレンFXシリーズなどが例示できる。
これら粘着剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
また、粘着剤層は、基材層と粘着剤層との密着性を考慮し、本発明に用いられるプロピレン系樹脂に上記粘着剤を配合したものを使用することもできる。本発明に用いられるプロピレン系樹脂に上記粘着剤を配合して使用する場合、本発明に用いられるプロピレン系樹脂および粘着剤の合計を100重量%としたとき、プロピレン系樹脂の含有量が1〜99重量%であり、粘着剤の含有量が99〜1重量%である。好ましくは、プロピレン系樹脂の含有量が5〜75重量%であり、粘着剤の含有量が95〜25重量%である。さらに好ましくは、プロピレン系樹脂の含有量が10〜50重量%であり、粘着剤の含有量が50〜90重量%である。
上記粘着剤層の厚さは、用途により粘着強度が異なることから、特に限定されないが、通常0.1〜100μm、好ましくは0.5〜80μm、さらに好ましくは1〜60μm、もっとも好ましくは2〜50μmである。
3.剥離処理層
本発明の表面保護用フィルムにおいては、必要に応じて、上記プロピレン系樹脂よりなる基材層の一方に形成される粘着層の他方の面に剥離処理層が形成される。剥離処理層としては、公知のものであれば、特に限定されず、たとえばシリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤にて形成した層や、フィルム表面を荒らして凹凸を形成し剥離性を向上させた層、あるいは両者を組み合わせた層を挙げることができるが、透明性の点からシリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤にて形成した層であることが好ましい。
(1)シリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤
シリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤にて形成した層に用いられるシリコーン系剥離処理剤としては、ジメチルポリシロキサンを主体とする通常用いられるシリコーン系剥離処理剤も使用可能である。上記シリコーン系剥離処理剤に3次元化オルガノポリシロキサンを含有させたものも使用可能である。具体的には、オルガノポリシロキサンを主成分とし、これにメチルセルロース、エチルセルロース、アセチルセルロース等のセルロース誘導体やアルキッド樹脂等を配合したシリコーン系離型剤が好適に使用される。セルロース誘導体やアルキッド樹脂等を配合することにより、シリコーン系離型剤の離型性をコントロールすることができる。セルロース誘導体やアルキッド樹脂は、シリコーン系離型剤中、好ましくは5〜50重量%配合される。オルガノポリシロキサンの硬化反応(架橋反応)の形式により、縮合反応型と付加反応型に大別されるが、本発明においては、いずれの反応型であってもよい。
例えば、縮合反応型シリコーン系離型剤としては、例えば、分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンに、セロルース誘導体やアルキッド樹脂を配合したシリコーン系離型剤が挙げられる。ここで分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンとしては、側鎖の官能基としてメチル基やエチル基等のアルキル基やフェニル基が導入されたポリシロキサン(例えば、ジメチル・ジフェニルポリシロキサン)を使用することが好ましく、これにより、セルロース誘導体やアルキッド樹脂との相溶性が良好となり、剥離特性が安定した離型剤を得ることができる。またこの分子末端にシラノール基を有するオルガノポリシロキサンには、アルコキシ基含有オルガノポリシロキサン等の架橋剤や、ジブチルすずジラウレート、ジブチルすずジアセテート、ジブヂルすずジオクテート、オクチル酸亜鉛等の触媒を適宜配合してもよい。また必要に応じて第三成分としてアクリル樹脂等の樹脂も適宜配合できる。シリコーン系離型剤中、上記架橋剤は4〜20重量%、触媒は5〜10重量%、第3成分としての樹脂は5〜26重量%配合されることが好ましい。
付加反応型シリコーン系離型剤としては、例えば、1分子中にケイ素原子に結合したビニル基等のアルケニル基を少なくとも2個有するオルガノポリシロキサンに、セロルース誘導体やアルキッド樹脂を配合したシリコーン系離型剤が挙げられる。ここで上記のオルガノポリシロキサンとしては、側鎖の官能基として、メチル基やエチル基等のアルキル基やフェニル基が導入されたオルガノポリシロキサンを使用することが好ましく、これにより、セルロース誘導体やアルキッド樹脂との相溶性が良好となり、剥離特性が安定した離型剤を得ることができる。また上記オルガノポリシロキサンには、オルガノハイドロジエンポリシロキサン等の架橋剤や、塩化第一白金酸等の白金系化合物等の触媒を適宜配合してもよい。
上記のシリコーン系離型剤は、市販されているものの中から適宜選択して使用することができ、例えば、縮合反応型シリコーン系離型剤としては、信越化学工業(株)から入手できる、KS−723A/B(ジメチル・ジフェニルポリシロキサン、メトキシシリコーンおよびエチルセルロースからなる)が、付加反応型シリコーン離型剤としては、信越化学工業(株)から入手できる、X−62−9201A/Bを使用することができる。
また、長鎖アルキル系剥離処理剤としては、炭素数12以上の長鎖アルキルアクリレートの重合物や、長鎖アルキルアクリレートと他のビニルモノマーとの共重合物、あるいはポリビニルアルコールに長鎖アルキルイソシアネートなどの長鎖アルキル成分を反応させて得られる反応物等から得られる剥離処理剤が挙げられる。
例えば、日東電工株式会社製BPタイプ、アシオ産業株式会社製アシオレジン、一方社油脂株式会社製ピーロイルなどを用いることができる。
(2)フィルム表面粗面化
フィルム表面を荒らして凹凸を形成し剥離性を向上させた層を有するフィルムを得るために用いる樹脂として、プロピレン・α−オレフィンブロック共重合体単独、あるいは本発明に用いられるプロピレン系樹脂にプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体を配合させるもの、あるいは低密度ポリエチレン単独、高密度ポリエチレン単独、あるいは本発明に用いられるプロピレン系樹脂に低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを配合させるもの、あるいはプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体に低密度ポリエチレン、または高密度ポリエチレンを配合したもの、あるいは本発明に用いられるプロピレン系樹脂にプロピレン・α−オレフィンブロック共重合体、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを2種以上配合したもの、あるいは本発明に用いられるプロピレン系樹脂に相溶性の異なる熱可塑性樹脂などを配合したものが挙げられる。
フィルム表面を荒らして凹凸を形成し剥離性を向上させるには、フィルム表面の凹凸は、中心面平均粗さ(Ra)で0.1〜1.5μmである。好ましくは0.3〜1.2μm、さらに好ましくは0.5〜1.0μm、もっとも好ましくは0.8〜1.0μmである。
ここで、中心面平均粗さ(Ra)の測定法は、測定方法や測定条件によって得られる値が異なるので、本発明では、JIS−B−0651(1976)で規定されている触針式表面粗さ測定器で測定する。測定器の測定条件は、触針先端曲率半径を5μm、カットオフ波長を0.25mm、カットオフ種別を2CR(位相補償)、測定速度を0.3mm/秒、測定方向をフィルムMD方向、測定長さを2mmとし、得られた値で表面粗度の範囲を規定した。測定方向であるMD方向とは、上述の樹脂組成物を押出し成形するときのフィルムの送り方向、すなわちフィルムの長手方向と平行な方向をいう。
さらに、シリコーン系又は長鎖アルキル系剥離処理剤などの剥離処理剤とフィルム表面を荒らし凹凸を形成して剥離性を付与する手法を組み合わせた方法も有効である。
また、剥離処理層は、基材層との密着性を考慮し、本発明に用いられるプロピレン系樹脂に剥離処理剤を配合し剥離処理層として使用することができる。本発明に用いられるプロピレン系樹脂に上記剥離処理剤を配合して使用する場合、本発明に用いられるプロピレン系樹脂および剥離処理剤の合計を100重量%としたとき、プロピレン系樹脂の含有量が1〜99重量%であり、剥離処理剤の含有量が99〜1重量%である。
4.各層で用いることのできる樹脂配合剤
本発明におけるプロピレン系樹脂よりなる基材層、粘着剤層および必要に応じて用いられる剥離処理剤層には、フィルムの製膜安定性、2次加工時の取り扱い及び表面保護用フィルムとしての品質維持から、本発明の目的が損なわれない範囲で、公知の樹脂配合剤として使用される各種添加剤、例えば、以下に述べるような、酸化防止剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、核剤、中和剤、光安定剤、帯電防止剤、粘着付与剤等を配合、含有していてもよい。
(1)酸化防止剤
酸化防止剤として、フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸などを挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイトなどを挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)などを挙げることができる。
そして、これら酸化防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
酸化防止剤の配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。酸化防止剤の配合量が前記範囲内では熱安定性が向上し、フィッシュアイの原因となる樹脂の劣化が抑制される。
(2)アンチブロッキング剤
アンチブロッキング剤の平均粒子径は、0.5〜10μm、好ましくは1〜7μm、さらに好ましくは、1〜5μm、もっとも好ましくは1〜3μmである。平均粒子径が0.5μm未満では、得られるフィルムの滑り性、開口性が劣り好ましくない。一方、10μmを越えると、透明性、傷つき性が著しく劣り好ましくない。また、フィルターで目詰まりを起こし樹脂圧上昇や焼結フィルターが破損する。ここで平均粒子径は、コールターカウンター計測による値である。
アンチブロッキング剤の具体例としては、たとえば無機系としては、合成または天然のシリカ(二酸化珪素)、ケイ酸マグネシウム、アルミノシリケート、タルク、ゼオライト、硼酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、燐酸カルシウム等が使用される。
また、有機系としては、ポリメチルメタクリレート、ホリメチルシリルトセスキオキサン(シリコーン)、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ベンゾグアナミン・ホルムアルデヒド(ユリア樹脂)、フェノール樹脂等を用いることができる。
特に合成シリカ、ポリメチルメタクリレートが分散性、透明性、耐ブロッキング性、傷つき性のバランスから好適である。
また、アンチブロッキング剤は表面処理されたものを用いてもよく、表面処理剤としては、界面活性剤、金属石鹸、アクリル酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、フッソ樹脂、シランカップリング剤、ヘキサメタリン酸ソーダ、ピロリン酸ソーダ、トリポリリン酸ソーダ、トリメタリン酸ソーダ等の縮合リン酸塩等を用いることができ、特に有機酸処理なかでもクエン酸処理されたものが好適である。処理方法は特に限定されるものではなく、表面噴霧、浸漬等公知の方法を採用することができる。
アンチブロッキング剤はいかなる形状であってもよく球状、角状、柱状、針状、板状、不定形状等任意の形状とすることができる。
これらアンチブロッキング剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
アンチブロッキング剤の配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.7重量部、より好ましくは0.1〜0.5重量部である。アンチブロッキング剤の配合量が前記範囲内ではブロッキング性が向上し、繰り出し性が向上する。
(3)スリップ剤
スリップ剤としては、モノアマイド類、置換アマイド類、ビスアマイド類等が挙げられ、1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
モノアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸モノアマイドとして、ラウリン酸アマイド、パルチミン酸アマイド、ステアリン酸アマイド、ベヘニン酸アマイド、ヒドロキシステアリン酸アマイド等が挙げられる。
また、不飽和脂肪酸モノアマイドとして、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、リシノール酸アマイド等が挙げられる。
置換アマイド類の具体例としては、N−ステアリルステアリン酸アマイド、N−オレイルオレイン酸アマイド、N−ステアリルオレイン酸アマイド、N−オレイルステアリン酸アマイド、N−ステアリルエルカ酸アマイド、N−オレイルパルチミン酸アマイド等が挙げられる。
ビスアマイド類の具体例としては、飽和脂肪酸ビスアマイドとして、メチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスカプリン酸アマイド、エチレンビスラウリン酸アマイド、エチレンビスステアリン酸アマイド、エチレンビスイソステアリン酸アマイド、エチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、エチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アマイド、ヘキサメチレンビスベヘニン酸アマイド、ヘキサメチレンビスヒドロキシステアリン酸アマイド、N,N´−ジステアリルアジピン酸アマイド、N,N´−ジステアリルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
不飽和脂肪酸ビスアマイドとして、エチレンビスオレイン酸アマイド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アマイド、N,N´−ジオレイルアジピン酸アマイド、N,N´−ジオレイルセパシン酸アマイドなどが挙げられる。
芳香族系ビスアマイドとして、m−キシリレンビスステアリン酸アマイド、N,N´−ジステアリルイソフタル酸アマイドなどが挙げられる。
特に、上記の脂肪酸アマイドのうち、オレイン酸アマイド、エルカ酸アマイド、ベヘニン酸アマイドが好適に使用される。
スリップ剤の配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.01〜1.0重量部、好ましくは0.05〜0.7重量部、より好ましくは0.1〜0.4重量部である。スリップ剤の配合量が前記範囲内では滑り性が向上し、繰り出し性が向上する。
(4)核剤
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトールなどのソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物(旭電化(株)製、商品名NA21)などが挙げられる。
上記核剤の配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.0005〜0.5重量部、好ましくは0.001〜0.1重量部、より好ましくは0.005〜0.05重量部である。核剤の配合量が前記範囲内では結晶化速度が速くなり、透明性が向上する。
また、上記以外の核剤として高密度ポリエチレン樹脂などを挙げることができる。高密度ポリエチレン樹脂としては、密度が、0.94〜0.98g/cm、好ましくは、0.95〜0.97g/10cmである。密度がこの範囲を外れると透明性改良効果が得られない。当ポリエチレン系樹脂の190℃メルトフローレイト(MFR)が、5g/10min以上、好ましくは7〜500g/10min、さらに好ましくは、10〜100g/10minである。MFRが5g/10分より小さいときは高密度ポリエチレン樹脂の分散径が充分に小さくならず、それ自体が異物となってフィッシュアイの原因となり好ましくない。また、高密度ポリエチレン樹脂が微分散するためには好ましくは高密度ポリエチレン樹脂のMFRが本発明に用いられるプロピレン系樹脂のMFRより大きい方がよい。
核剤として使用される高密度ポリエチレン樹脂の製造は、目的の物性を有する重合体を製造し得る限りその重合方法や触媒について特に制限はない。触媒については、チーグラー型触媒(すなわち、担持または非担持ハロゲン含有チタン化合物と有機アルミニウム化合物の組み合わせに基づくもの)、カミンスキー型触媒(すなわち、担持または非担持メタロセン化合物と有機アルミニウム化合物、特にアルモキサンの組み合わせに基づくもの)が挙げられる。高密度ポリエチレン系樹脂の形状については制限がなく、ペレット状であってもよく、また、粉末状であってもよい。
核剤として使用される高密度ポリエチレンの配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.01〜5重量部、好ましくは0.05〜3重量部、より好ましくは0.1〜1重量部である。高密度ポリエチレンの配合量が前記範囲内では結晶化速度が速くなり、透明性が向上する。また、共押出成形の場合、スイーパーロールの転写がなくなる。
(5)中和剤
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学(株)製)などを挙げることができる。
中和剤の配合量は、本発明に用いられるプロピレン系樹脂(A)、粘着剤、剥離処理剤の各々100重量部に対して0.01〜1.0重量部、好ましくは0.02〜0.5重量部、より好ましくは0.05〜0.1重量部である。中和剤の配合量が前記範囲内では内部滑剤としての効果が向上し、押出機内部の劣化物の掻き出しを抑制する。
(6)光安定剤
光安定剤としては、ヒンダードアミン系安定剤が好適に使用され、従来公知のピペリジンの2位および6位の炭素に結合しているすべての水素がメチル基で置換された構造を有する化合物が特に限定されることなく用いられるが、具体的には以下のような化合物が用いられる。
具体例としては、琥珀酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]などを挙げることができる。
これらのヒンダードアミン系安定剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
ヒンダードアミン系安定剤の配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して0.005〜2重量部、好ましくは0.01〜1重量部、さらに好ましくは0.05〜0.5重量部とするのが望ましい。ヒンダードアミン系安定剤の含有量が、前記範囲内では耐熱性、耐老化性等の安定性が向上する。
(7)帯電防止剤
帯電防止剤としては、従来から静電防止剤または帯電防止剤として使用されているものが特に限定されることなく使用でき、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤などがあげられる。
上記アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸またはロジン酸セッケン、N−アシルカルボン酸塩、エーテルカルボン酸塩、脂肪酸アミン塩等のカルボン酸塩;スルホコハク酸塩、エステルスルホン酸塩、N−アシルスルホン酸塩等のスルホン酸塩;硫酸化油、硫酸エステル塩、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、硫酸エーテル塩、硫酸アミド塩等の硫酸エステル塩;リン酸アルキル塩、リン酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸エーテル塩、リン酸アミド塩等のリン酸エステル塩などがあげられる。
前記カチオン性界面活性剤としては、アルキルアミン塩等のアミン塩;アルキルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド、アルキルジヒドロキシエチルメチルアンモニウムクロリド、ジアルキルジメチルアンモニウムクロリド、テトラアルキルアンモニウム塩、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)ジアルキルアンモニウム塩、N−アルキルアルカンアミドアンモニウムの塩等の第4級アンモニウム塩;1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−ヒドロキシエチル−1−アルキル−2−アルキル−2−イミダゾリン等のアルキルイミダゾリン誘導体;イミダゾリニウム塩、ピリジニウム塩、イソキノリニウム塩などがあげられる。
前記非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、p−アルキルフェニルポリオキシエチレンエーテル等のエーテル形;脂肪酸ソルビタンポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸ソルビトールポリオキシエチレンエーテル、脂肪酸グリセリンポリオキシエチレンエーテル等のエーテルエステル形;脂肪酸ポリオキシエチレンエステル、モノグリセリド、ジグリセリド、ソルビタンエステル、ショ糖エステル、2価アルコールエステル、ホウ酸エステル等のエステル形;ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、脂肪酸アルカノールアミド、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミド、アルカノールアミンエステル、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルカンアミン、アミンオキシド、アルキルポリエチレンイミン等の含窒素形などがあげられる。
前記両性界面活性剤としては、モノアミノカルボン酸、ポリアミノカルボン酸等のアミノ酸形;N−アルキルアミノプロピオン酸塩、N,N−ジ(カルボキシエチル)アルキルアミン塩等のN−アルキル−β−アラニン形;N−アルキルベタイン、N−アルキルアミドベタイン、N−アルキルスルホベタイン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)アルキルベタイン、イミダゾリニウムベタイン等のベタイン形;1−カルボキシメチル−1−ヒドロキシ−1−ヒドロキシエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン、1−スルホエチル−2−アルキル−2−イミダゾリン等のアルキルイミダゾリン誘導体などがあげられる。
上記界面活性剤としては、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤が好ましく、中でもモノグリセリド、ジグリセリド、ホウ酸エステル、ジアルコールアルキルアミン、ジアルコールアルキルアミンエステル、アミド等のエステル形または含窒素形の非イオン性界面活性剤;ベタイン形の両性界面活性剤が好ましい。
なお、帯電防止剤としては、市販品を使用することもでき、例えばエレクトロストリッパーTS5(花王(株)製、商標、グリセリンモノステアレート)、エレクトロストリッパーTS6(花王(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA(花王(株)製、商標、ラウリルジエタノールアミン)、エレクトロストリッパーEA−7(花王(株)製、商標、ポリオキシエチレンラウリルアミンカプリルエステル)、デノン331P(丸菱油化(株)製、商標、ステアリルジエタノールアミンモノステアレート)、デノン310(丸菱油化(株)製、商標、アルキルジエタノールアミン脂肪酸モノエステル)、レジスタットPE−139(第一工業製薬(株)製、商標、ステアリン酸モノ&ジグリセリドホウ酸エステル)、ケミスタット4700(三洋化成(株)製、商標、アルキルジメチルベタイン)、レオスタットS(ライオン(株)製、商標、アルキルジエタノールアミド)などがあげられる。
帯電防止剤の配合量は、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して0.01〜2重量部、好ましくは0.05〜1重量部、さらに好ましくは0.1〜0.8重量部、もっとも好ましくは0.2〜0.5重量部である。これら静電防止剤は、本目的の効果を損なわない範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。帯電防止剤の含有量が、前記範囲内では帯電を防止し埃等の付着物を抑制することができる。
(8)粘着性付与剤
粘着付与剤としては、例えば、脂肪族系石油樹脂、脂環族系水添石油樹脂、芳香族系石
油樹脂、C5系石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン・インデン樹脂、フェノール樹脂、ロ
ジン樹脂、タッキファイヤー等が挙げられ、これらは、本発明の効果を著しく損なわない
範囲で、1種または2種以上組み合わせて使用することができる。
粘着性付与樹脂の配合量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されるものではな
いが、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂100重量部に対して、0.0001〜200重量部である。好ましくは0.01〜150重量部、さらに好ましくは1〜150重量部、もっとも好ましくは10〜100重量部である。粘着性付与樹脂の含有量が前記範囲内では粘着力が向上する。
(9)その他
さらに、本発明の効果を著しく損なわない範囲内で、柔軟性を付与する成分としてエラストマーを配合したり、紫外線吸収剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤、防曇剤、難燃剤、着色剤、顔料、天然油、合成油、ワックスなどを配合することができ、その配合割合は適宜量である。
5.各成分の配合、混合
上記の各添加剤を配合させる方法としては、基材層、粘着剤層および剥離処理層の各層に用いられる各々の樹脂に、添加剤を直接配合し溶融混練して使用することも可能であるし、溶融混練中に添加してもよい。さらには、溶融混練後に直接配合、或いは、本発明の効果を著しく損なわない範囲においてマスターバッチとして添加することも可能である。また、これらの複合的な手法により配合してもよい。
一般的には、酸化防止剤や中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲で他樹脂、或いは、その他の付加的成分(マスターバッチを含む)を添加し使用することも可能である。
上記の混合、溶融、混練は、従来公知のあらゆる方法を用いることができるが、通常、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の混練押出機にて実施することができる。これらの中でも一軸又は二軸の混練押出機により混合或いは溶融混練を行なうことが好ましい。
6.表面保護用フィルムの製造方法
本発明の表面保護用フィルムは、公知の積層フィルムの製造方法で製造することができる。
本発明に用いられる表面保護用フィルムの基材層は、プロピレン系樹脂を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出することによって得られたものである。
ここで、表面保護用フィルムの厚みは特に限定されないが、プロピレン系樹脂からなる基材層の厚みは、通常は10〜500μm、好ましくは20〜200μm、さらに好ましくは30〜100μm、もっとも好ましくは40〜80μmである。
粘着剤層を基材層の片面に設ける手段としては、塗布、硬化、積層などの公知の方法を挙げることができる。
粘着剤層を溶液塗工法等で塗布により得る方法として、基材層の片面に対し、トルエン溶液等の有機溶剤に溶かした粘着剤をロールコーター等により塗布後、乾燥して粘着層を形成する方法を挙げることができる。その際、基材層と粘着剤層との親和力を向上させるため、基材層の片面(粘着層との接着面)に、従来公知のコロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー処理などが施されていてもよい。
粘着剤層を積層により得る方法としては、押出機により、粘着剤を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に、基材層と共に共押出しする方法、押出機により、粘着剤を練り込んだプロピレン系樹脂を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に押出した後、基材層の片面に積層する方法、押出機により、粘着剤を練り込んだプロピレン系樹脂を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に、基材層と共に共押出しする方法などを挙げることができる。それらの場合、必要に応じて溶融された粘着剤をろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、積層する製造方法によって得ることができる。
本発明では、粘着剤層を基材層と共に共押出しする方法を採用すると、被着体への粘着剤残りの点で有利である。
粘着剤層の厚さは、用途により粘着強度が異なることから、特に限定されないが、通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは5〜30μm、最も好ましくは10〜20μmである。
本発明の表面保護フィルムの粘着剤層とは反対の面に設ける剥離処理層の形成手段としては、塗布、硬化、積層などの公知の方法を挙げることができる。
剥離処理層を溶液塗工法等で塗布により得る方法としては、基材層の片面に対し、トルエン溶液等の有機溶剤に溶かした剥離処理剤をロールコーター等により塗布後、乾燥して剥離処理剤を硬化させて剥離処理層を形成する方法を挙げることができる。その際、基材層と剥離処理層との親和力を向上させるため、基材層の片面(剥離処理層との接着面)に、従来公知のコロナ放電処理、プラズマ放電処理、プライマー処理などが施されていてもよい。
後工程で剥離処理層を塗布する方法の場合、剥離処理剤の塗布量は、通常、シリコーン系の場合、0.01〜10g/m、好ましくは0.1〜3g/mである。また長鎖アルキル系の場合、0.005〜10g/m、好ましくは0.02〜0.3g/m、特に好ましくは0.01〜0.1g/mが好ましい。
また、剥離処理層を積層により得る方法としては、押出機により、剥離処理剤を加熱溶融させて、Tダイよりフィルム状に、基材層の片面に積層する方法、あるいは、押出機により、基材層及び剥離処理層を加熱溶融させて、基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出しする方法などを挙げることができる。その場合、必要に応じて溶融された粘着剤をろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、積層する製造方法によって得ることができる。
本発明では、剥離処理層を基材層と共にTダイよりフィルム状に共押出しする方法を採用すると、汚染性の問題、経済上の点で有利であるため、該剥離処理層の製造に適した、Tダイにより共押出し、積層する方法が好ましい。
上記剥離処理層の厚さは、特に限定されないが、通常0.1〜100μm、好ましくは1〜50μm、さらに好ましくは5〜30μm、最も好ましくは10〜20μmである。
このような方法で表面保護用フィルムを製造することにより、フィッシュアイの少ないものを連続的に生産することができる。本発明において用いられる押出機やダイは、通常のフィルム成形において用いられる装置を使用することができる。押出機としては単軸スクリュ押出機や二軸スクリュ押出機が例示され、ダイとしてはTダイやサーキュラーダイが例示される。具体的には、フィルム(未延伸フィルム)をキャスト法、水冷インフレーション法、空冷インフレーション法等の公知の技術によって製造することができる。特に生産性の観点からは、キャスト法であることが好ましく、フィルム(未延伸フィルム)等の押出成形体を製造するキャスト法としては、押出機で溶融混練された樹脂がTダイから押し出され、水等の冷媒を通したロールに接触させられることにより冷却されて、一般に透明性が良く、厚み精度の良い表面保護用フィルムを製造することができる。この様な方法は表面保護用フィルムにとって好ましい製造方法である。
プロピレン系樹脂、粘着剤、および必要に応じて剥離処理剤を溶融混錬する温度、およびダイから押出す温度は特に制限はないが、サーキュラーダイ(インフレーション成形)の場合は通常160〜240℃であり、成形加工安定性とフィッシュアイの発生をより抑制するためには160〜200℃であることが好ましい。Tダイの場合は通常180〜260℃であり、成形加工安定性とフィッシュアイの発生をより抑制するためには180〜220℃であることが好ましい。
本発明で用いるフィルターとは、公知のものであれば特に限定されるものではないが、繊維状の金属(一般にステンレス鋼製)を焼結してマット状に加工したものが好適に用いられる。
本発明で用いるフィルターのろ過径は1〜60μmの範囲のものであり、好ましくは5〜50(μm)、さらに好ましくは10〜40(μm)、もっとも好ましくは10〜20(μm)である。ろ過径とは、JIS−B8356の方法によりフィルターを透過する捕集効率95%のコンタミナント粒径のことを言う。ろ過径が小さすぎるとフィルム製膜時に目詰まりを起こし、押出機の負荷が過大となる傾向があり、ろ過径が大きすぎるとろ過効果が不足してフィッシュアイを抑制しにくくなる傾向がある。
該フィルターは、フィルム加工装置である押出機とダイスとの間の任意の部位に設置可能である。一般に、金網メッシュが取り付けられる部位(ブレーカープレート)にはめ込む方法が簡便であるが、専用のケーシング(例えば公知のキャンドルフィルター、リーフディスクフィルター(ポリマーフィルター))を用いて設置することが好ましい。具体的には長瀬産業(株)製のデナフィルター、富士フィルター工業(株)製のプリーツ円筒型フィルムター等が挙
げられる。
本発明の表面保護用フィルムは、フィッシュアイが10個/m以下のであることが好ましく、5個/m以下がより好ましく、3個/m以下がさらに好ましく、2個/m以下が特に好ましい。
表面保護用フィルムに、フィッシュアイが10個/mを越えると、液晶表示材として使用される偏光板や位相差板に、該表面保護用フィルムを貼付けて段積み保管した時、フィッシュアイによって被保護物が凹みを生じる恐れがある。
本発明の表面保護用フィルムは、特定のプロピレン系樹脂をろ過径1〜60μmのフィルターを通して得た基材層を有しているため、ギヤーポンプを用いることなく製造することができ、未溶融樹脂に起因するフィッシアイが極端に少ないことから、表面保護用フィルム、特に、少数のフィッシュアイでも、液晶表示材として使用される偏光板や位相差板としては、極めて不都合(表面保護用フィルムを被保護物に貼付けて段積み保管した時、フィッシュアイによって被保護物が凹む)を生じる表面保護用フィルムに対して好適なものであり、さらには、広く、合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材にも、優れた性能を有する表面保護用のフィルムとしても利用できる。
以下、本発明の実施例を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、各実施例および比較例に示すフィルムの特性値の測定方法、評価法は、以下のとおりである。
1.物性測定法、特性評価法
(1)樹脂圧
フィルターろ過前の樹脂圧とフィルターろ過後の樹脂圧をそれぞれの場所に設置された樹脂圧計から読み取り、差圧(ΔP)を求めた。この差圧の値が小さいほど押出負荷が小さく好ましいことを示す。
(2)フィッシュアイ
得られたフィルムの面積1mよりフィッシュアイの個数を数えた。得られたフィッシュアイを光学顕微鏡により長径サイズで100μm以上(≧100μm)、100μmより小さく50μm以上(<100μm〜≧50μm)、50μmより小さく30μm以上(<50μm〜≧30μm)、30μmより小さい(<30μm)の各サイズに分類し個数を分けた(単位:個/m)。フィッシュアイの数が少ない方が、表面保護用フィルムを被保護物に貼付けて段積み保管しても、被保護物に凹みが生じることがなく表面保護用のフィルムとして良好である。
2.樹脂材料
(1)基材層樹脂
基材層のプロピレン系樹脂として、メタロセン触媒による製造例1〜4で得られたプロピレン系樹脂(PP−1〜4)、メタロセン触媒によるプロピレン・エチレンランダム共重合体(ウィンテックWFX4(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWFW4(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWFX6(日本ポリプロ(株)製)、ウィンテックWSX02(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン・エチレン・ブテンランダム共重合体(ノバテックPP FX4G(日本ポリプロ(株)製)、ノバテックPP FW4B(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン・エチレンランダム共重合体(ノバテックPP FX3A(日本ポリプロ(株)製))、チーグラー触媒によるプロピレン単独重合体(ノバテックPP FB3C(日本ポリプロ(株)製))を用いた。表1に物性を示す。
(製造例1)
(i)メタロセン化合物の合成
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムの合成は、特開平11−240909号公報に記載の方法に準じて行った。
(ii)化学処理イオン交換性層状珪酸塩の調製
10リットルの攪拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧ろ過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、ろ過した。この洗浄操作を、洗浄液(ろ液)のpHが、3.5を超えるまで実施した。
回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は、705gの化学処理珪酸塩を得た。
先に化学処理した珪酸塩を、キルン乾燥機によりさらに乾燥した。乾燥機の仕様、条件は以下の通りである。
回転筒:円筒状、内径50mm、加湿帯550mm(電気炉)、かき上げ翼付き
回転数:2rpm、傾斜角;20/520、珪酸塩の供給速度;2.5g/分、ガス流速;窒素、96リットル/時間、向流
乾燥温度:200℃(粉体温度)
(iii)固体触媒の調製
内容積13リットルの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.20kgと日石三菱社製ヘプタン(以下、ヘプタンという。)0.74リットルの混合物を導入し、さらにトリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.04M)1.26リットルを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0リットルに調製した。
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム2.44g(3.30mmol)にヘプタンを0.80リットル加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を33.1ミリリットル加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後、ヘプタンを追加して5.0リットルに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを100g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合した。
予備重合終了後、残モノマーをパージした後、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液0.17L添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.60kgを得た。
(iv)重合
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム24g、水素0.4gを加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温した。その後上記予備重合触媒を1.6gをアルゴンで圧入し、40分かけて75℃まで昇温し、3時間重合を行った。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン単独重合体(PP1)を得た。
(vi)プロピレン系樹脂
得られたプロピレン単独重合体(PP1)100重量部に対し、酸化防止剤としてテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガノックス1010)を0.05重量部、トリス−(2,4−ジ−t―ブチルフェニル)ホスファイト(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製、商品名イルガフォス168)を0.05重量部配合し、ヘンシェルミキサーにて750rpm、1分間混合後、50mmφ単軸押出機を用い、押出温度230℃にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−1)を得た。
(製造例2)
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を0.8NLを加え、エチレンを1.94kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒2.8gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。その後、エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP2)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP2)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−2)を得た。
(製造例3)
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を8.0NLを加え、エチレンを1.92kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒1.6gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。また、この間水素を0.48g/hrの定速で導入した。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP3)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP3)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−3)を得た。
(製造例4)
内容積200リットルの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘキサン溶液を500ml(0.12mol)、水素を2.3NLを加え、エチレンを1.94kg加え、これに十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。40℃に昇温し、製造例1で調製した予備重合触媒2.2gをアルゴンで圧入した。40分間かけて62℃まで昇温し、本条件で2時間重合を行った。その後エタノール100mlを圧入して反応を停止し、残ガスをパージし、生成物を乾燥して、プロピレン・エチレンランダム共重合体(PP4)を得た。得られたプロピレン・エチレンランダム共重合体(PP4)を製造例1と同様の添加剤配合および方法にてペレット化し、プロピレン系樹脂(PP−4)を得た。
Figure 0005342845
(2)粘着剤層樹脂
粘着剤層樹脂としては、メタロセン触媒による製造例5で得られたエチレン・α−オレフィンランダム共重合体(PE−1)、ゴム系粘着剤として、天然ゴム系粘着剤のSMR(加商株式会社製)、合成ゴム系粘着剤のスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体水添物であるクレイトンG1657(クレイトンポリマージャパン株式会社製、スチレン含量:13重量%)、スチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物であるダイナロン1321P(JSR株式会社製、スチレン含量:10重量%)を用いた。
(製造例5)
触媒の調製は、特表平7−508545号公報に記載された方法で実施した。即ち、錯体ジメチルシリレンビス(4,5,6,7−テトラヒドロインデニル)ハフニウムジメチル2.0ミリモルに、トリペンタフルオロフェニルホウ素を上記錯体に対して等倍モル加え、トルエンで10リットルに希釈して触媒溶液を調製した。
内容積1.5リットルの撹拌式オートクレーブ型連続反応器を反応器内の圧力を130MPaに保ち、エチレンと1−ヘキセンとの混合物を1−ヘキセンの組成が72重量%となるように40kg/時の割合で連続的に供給した。また、重合温度が122℃を維持するように触媒供給量を調整した。1時間あたりのポリマー生産量は約2.1kgであった。反応終了後、1−ヘキセン含有量が18重量%、MFRが2.4g/10分、密度が0.88g/cm3、分子量分布(Mw/Mn)が2.3のエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE1)を得た。得られたエチレン・1−ヘキセン共重合体(PE1)を、50mmφ単軸押出機を用い、押出温度230℃にてペレット化し、粘着剤樹脂(PE−1)を得た。
(3)剥離処理層
剥離処理層としては、シリコーン系剥離剤として、X−62−2378(信越化学株式会社製)、3次元化オルガノポリシロキサンとして、X−92−140(信越化学株式会社製)、長鎖アルキル系剥離処理剤として、ピーロイル101(一方社油脂株式会社製)、チーグラー触媒によるプロピレン・エチレン・ブロック共重合体(ノバテックPP BC3HF(日本ポリプロ(株)製)を用いた。
<実施例1>
メタロセン触媒を用いて重合したプロピレン系樹脂のWFX4を原料とし、口径35mmφの押出機、幅330mmTダイス、エアーナイフおよび冷却ロールを具備したTダイ法フィルム製造装置を用いて、押出機とダイスの間に長瀬産業(株)製のリーフディスクフィルター(デナラボ504(直径:5インチ、フィルター枚数:5枚、ろ過径:10μm))を設置し、リーフディスクフィルターの通過前(押出機とリーフディスクフィルターの間)及びリーフディスクフィルターの通過後(リーフディスクフィルターとダイスの間)にそれぞれ樹脂圧計を設置して樹脂圧計の指示値を読み取った。Tダイのリップクリアランスを0.8mm、押出機のシリンダーの設定温度、ダイスの設定温度、リーフディスクフィルターの設定温度を220℃、押出量を10kg/時間、冷却ロール温度を35℃の条件において、製膜引取速度10m/minで成形。フィルム厚さ40μmのフィルムを得た。得られたフィルムからフィッシュアイを評価した。結果を表2に示す。
ついで、一旦製膜を停止し、リーフディスクフィルターを取り外した後、再度同様の条件にてフィルムを得た。得られたフィルムのフィッシュアイを評価した。結果を表2に示す。
<実施例2>
実施例1のWFX4を、WFW4に変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<実施例3>
実施例1のWFX4を、PP−1ペレットに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<実施例4>
実施例1のWFX4を、WFX6に変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<実施例5>
実施例1のWFX4を、WSX02に変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<実施例6>
実施例1のリーフディスクフィルターを、ろ過径20μmに変えた以外は、実施例と1同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<実施例7>
実施例1のリーフディスクフィルターを、ろ過径40μmに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<比較例1>
実施例1のWFX4を、FX4Gに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<比較例2>
実施例1のWFX4を、FX3Aに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<比較例3>
実施例1のWFX4を、FW4Bに変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<比較例4>
実施例1のWFX4を、FB3Cを変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<比較例5>
実施例1のWFX4を、PP−2を変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<比較例6>
実施例1のWFX4を、PP−3を変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<比較例7>
実施例1のWFX4を、PP−4を変えた以外は、実施例1と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
<比較例8>
実施例1のリーフディスクフィルターを、ろ過径80μmに変えた以外は、実施例と1同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表2に示す。
Figure 0005342845
<実施例8>
実施例1で得られた単層フィルムの基材層に、剥離処理層として付加型のシリコーン系剥離剤としてX−62−2378(信越化学株式会社製)のトルエン溶液(固形分30%)に3次元化オルガノポリシロキサンとしてX−92−140(信越化学株式会社製)のトルエン/キシレン溶液(固形分30%)を、3次元化オルガノポリシロキサン含有量が30%となるように混合した溶液を、0.38g/mとなるように基材層の一方の面に塗布した後、120℃×1分間加熱処理して剥離処理層を形成した。
さらに、ゴム系粘着剤として、天然ゴム(商品名:SMR、加商株式会社製)100重量%、脂環族系石油樹脂(商品名:アルコンP100、荒川化学株式会社製)50重量部、テルペンフェノール樹脂(商品名:PR−12603N、住友化学株式会社製)10重量部、酸化防止剤(チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製 商品名:イルガノックス1010)1重量部をトルエン中で混合し、固形分濃度20%のゴム系粘着剤を作製し、基材層に剥離処理層が形成されたフィルムの剥離処理層と反対の面にリバースコーターにてこのゴム系粘着剤を塗布し、乾燥オーブン中で100℃で2分間乾燥させて、厚さ10μmのゴム系粘着剤層を形成した表面保護フィルムを作製した。得られた表面保護フィルムの評価結果を表3に示す。
<実施例9>
基材層として、メタロセン触媒を用いて重合したプロピレン系樹脂のWFX4を、粘着剤層としてPE−1を、剥離処理層として付加型のシリコーン系剥離剤としてX−62−2378(信越化学株式会社製)のトルエン溶液(固形分30%)に3次元化オルガノポリシロキサンとしてX−92−140(信越化学株式会社製)のトルエン/キシレン溶液(固形分30%)を、3次元化オルガノポリシロキサン含有量が30%となるように混合した溶液を用いた。
基材層の口径35mmφの押出機、粘着剤層の口径20mmφの押出機、エアーナイフおよび冷却ロールを有する2層Tダイ法フィルム製造装置を用いて、各押出機とダイスの間に長瀬産業(株)製のリーフディスクフィルター(デナラボ504(直径:5インチ、フィルター枚数:5枚、ろ過径:10μm))を設置し、Tダイのリップクリアランスを0.8mm、押出機のシリンダーの設定温度、ダイスの設定温度、リーフディスクフィルターの設定温度を220℃、押出量を10kg/時間、冷却ロール温度を35℃、製膜引取速度10m/minの製膜条件にて、基材層厚み40μm、粘着剤層厚み10μmの2層Tダイフィルムからなる共押2層フィルムを作製した。
得られた2層フィルムの基材層の粘着剤層は他方の表面に、付加型のシリコーン系剥離剤としてX−62−2378(信越化学株式会社製)のトルエン溶液(固形分30%)に3次元化オルガノポリシロキサンとしてX−92−140(信越化学株式会社製)のトルエン/キシレン溶液(固形分30%)を、3次元化オルガノポリシロキサン含有量が30%となるように混合した溶液を、0.38g/mとなるように塗布した後、120℃×1分間加熱処理して剥離処理層を形成した表面保護フィルムを作製した。得られた表面保護フィルムのフィッシュアイ評価結果を表3に示す。
<実施例10>
実施例9において、基材層の口径35mmφの押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを、ろ過径40μmに変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
<実施例11>
実施例9において、粘着層の口径20mmφの押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを、ろ過径40μmに変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
<実施例12>
実施例9において、基材層、粘着層の各押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを、ろ過径40μmに変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
<実施例13>
実施例9において、粘着層樹脂のPE−1を、クレイトンG1657に変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
<実施例14>
実施例9において、粘着層樹脂のPE−1を、ダイナロン1321Pに変えた以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
<実施例15>
実施例9において、粘着層樹脂のPE−1を、WFX4(50重量%)とダイナロン1321P(50重量%)としたペレット混合物に変えた以外、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
<実施例16>
基材層として、WFX4を、粘着剤層としてクレイトンG1657を、剥離処理層としてBC3HFを用いた。
基材層の口径35mmφの押出機、粘着剤層の口径20mmφの押出機、剥離処理層の口径20mmφの押出機、エアーナイフおよび冷却ロールを有する3層Tダイ法フィルム製造装置を用いて、各押出機とダイスの間に長瀬産業(株)製のリーフディスクフィルター(デナラボ504(直径:5インチ、フィルター枚数:5枚、ろ過径:10μm))を設置し、Tダイのリップクリアランスを0.8mm、押出機のシリンダーの設定温度、ダイスの設定温度、リーフディスクフィルターの設定温度を220℃、押出量を10kg/時間、冷却ロール温度を35℃、製膜引取速度10m/minの製膜条件にて、基材層厚み30μm、粘着剤層厚み10μmの2層Tダイフィルムからなる共押3層フィルムを作製した。得られた表面保護フィルムのフィッシュアイ評価結果を表3に示す。
<参考例1>
実施例9において、粘着層の口径20mmφの押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを使用しなかった以外は、実施例9と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
<比較例9>
実施例16において、基材層の口径35mmφの押出機とダイス間のリーフディスクフィルターを、ろ過径80μmに変えた以外は、実施例16と同じ方法で製膜し評価を行った。結果は表3に示す。
Figure 0005342845
表1、2、3の結果より明らかなように、本発明の要件を満たす実施例1〜16では、得られたフィルムは、未溶融樹脂に起因するフィッシアイが極端に少ないのに対して、本発明の要件の全部または一部を満たさない比較例1〜9では、フィッシュアイが多く、表面保護用フィルムに適さないことがわかる。
以上、説明したように、本発明の表面保護用フィルムは、未溶融樹脂に起因するフィッシアイが極端に少ないことから、特に、液晶表示材として使用される偏光板や位相差板に対する表面保護用フィルムとして好適であるだけでなく、広く、合成樹脂板、化粧板、金属板、ガラス板などの建築部材に対する表面保護用フィルムとしても利用できる。

Claims (9)

  1. 基材層上に、粘着層が積層されている表面保護用フィルムであって、
    前記基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体よりなるプロピレン系樹脂(A)を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出すことによって形成されることを特徴とする表面保護用フィルム。
    (A1):メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分である
    (A2):示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃である
    (A3):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である
    (A4):昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下である
  2. プロピレン系樹脂(A)が、昇温溶離分別(TREF)法により20重量%溶出したときの温度(T20)から100重量%溶出終了したときの温度(T100)の幅(T100−T20)が30℃以下の特性を有する請求項1に記載の表面保護用フィルム。
  3. 前記基材層上の粘着層とは反対側に、剥離処理層が積層されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の表面保護用フィルム。
  4. 前記粘着層は、粘着剤を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出することによって形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
  5. 前記剥離処理層は、剥離処理剤を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出することによって形成されることを特徴とする請求項に記載の表面保護用フィルム。
  6. フィッシュアイが、10個/m以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
  7. 建築部材の表面保護用に使用されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
  8. 液晶表示の構成部材の表面保護用に使用されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表面保護用フィルム。
  9. 基材層上に、粘着層が積層されている表面保護用フィルムの製造方法であって、
    前記基材層は、メタロセン触媒を用いて重合され、かつ下記(A1)〜(A4)の特性を有するプロピレン単独重合体またはプロピレン・α−オレフィンランダム共重合体よりなるプロピレン系樹脂(A)を押出機にて溶融混練した後、ろ過径1〜60μmのフィルターを通してダイへ供給し、該ダイから押出して形成されることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の表面保護用フィルムの製造方法。
    (A1):メルトフローレート(MFR:230℃、21.18N荷重)が1〜50g/10分である
    (A2):示差熱走査熱量計(DSC)による融解ピーク温度(Tmp)が120〜170℃である
    (A3):ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求めた重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が1.5〜3.5である
    (A4):昇温溶離分別(TREF)法で測定した40℃以下の可溶分(S40)が10重量%以下である
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