JP2014089441A - コンタクトレンズ用材料、コンタクトレンズ成形用型、コンタクトレンズケース、コンタクトレンズの製造方法及びコンタクトレンズ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プロピレン単独重合体またはエチレン含有量が1重量%未満のプロピレン−エチレンランダム共重合体を含有し、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが5〜80g/10分、JIS K7162に準拠して測定される引張弾性率が1300〜2300MPa及びJIS K7121に準拠した示差走査型熱量計により得られる融解温度(ピーク値:融点)が140℃以上であることを特徴とするコンタクトレンズ用材料など。
【選択図】なし
Description
切削研磨法は、板状や棒状等のレンズ材料を旋盤によって切り出し、切削、研磨工程を経て、所望とするコンタクトレンズを製造する方法である。この切削研磨法は、異なる多種類の規格の製品が必要とされるコンタクトレンズを製造するのに適した方法として、特にそのような多種類の規格品が必要とされるハードコンタクトレンズの製造に有利に採用されている。しかしながら、切削研磨法は、工程数が多く、製造に時間を要したり、切削屑として多くのレンズ材料を廃棄したりすることから、その製造コストの高騰が免れないといった問題がある。
前者のキャストモールド製法は、所望するレンズ形状に対応するキャビティを有する成形用型内に、モノマー組成物を充填し、同モノマー組成物を熱や光(UV)を与え重合して目的とするコンタクトレンズを製造する方法である。
一方、後者のスピンキャスト法は、モノマー組成物を回転する成形用型の中に流し込み、その遠心力によりモノマー組成物を拡げてレンズ形状となし、それに熱や光(UV)を与え重合することによってコンタクトレンズを製造する方法である。
しかし、ソフトコンタクトレンズを製造するに際しては、該ソフトコンタクトレンズが柔軟で、装用者の角膜の形状に応じてフィッティングされ、1〜2種類のベースカーブ規格で殆どの装用者に対して適用されることから、必要とされる成形用型の種類は少なく、従って、これらの方法が好適に適用され得る。
また、近年、使い捨てソフトコンタクトレンズの中では、カラーコンタクトレンズが数を伸ばしている。
しかし、コンタクトレンズ成形用型を成形する際、この添加剤が金型を汚染する問題があり、頻繁な金型の清掃が必要であった。また、成形の際、適切な成形性がないと、熱重合の際に、残留応力等により変形したり、寸法精度が悪く、不良が発生することが懸念される。さらに、重合する際も、添加剤の影響をうけることがあり、添加剤は、最小限であることが求められている。
また、熱重合でコンタクトレンズを重合する場合、熱と応力により、型の合わせ目が変形し、不良が発生する問題もあった。
一方、コンタクトレンズケースにおいても、成形する際、金型汚染の問題や、高圧蒸気滅菌時に変形する問題、或いは、保存液中に添加剤等が溶出する問題があった。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記ポリプロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体は、メタロセン触媒で重合され、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜6.0であることを特徴とするコンタクトレンズ用材料が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、コンタクトレンズケース用材料であることを特徴とするコンタクトレンズ用材料が提供される。
さらに、本発明の第7の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明または第5の発明に係るコンタクトレンズ用材料を用いることを特徴とするコンタクトレンズケースが提供される。
さらに、本発明の第9の発明によれば、第8の発明に係るコンタクトレンズの製造方法により得られることを特徴とするコンタクトレンズが提供される。
従って、本発明により、耐熱性に優れ、キャストモールド製法の特に熱重合にて用いられるコンタクトレンズ成形用型材、および溶出の少ないコンタクトレンズケース材として、最適な材料を提供することができる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
プロピレン−エチレンランダム共重合体は、さらに、エチレン以外のα−オレフィン、例えばブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等の共重合を排除するものではないが、その場合、エチレン以外のα−オレフィンの含有量は、好ましくは1重量%未満であり、エチレンとの合計で1重量%未満であることがより好ましい。
ここで、アイソタクチックペンタッド分率は、13C−NMRを用いたプロトンデカップリング法で測定する値である。
メルトフローレート(MFR)の調整方法は、周知であり、重合時の温度や圧力を調節したり、水素等の連鎖移動剤を重合時に添加する水素添加量の制御により、容易に調整を行なうことができる。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、加熱温度230℃、荷重2.16kgで測定する値である。
特に、メタロセン触媒を用いて重合された、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜6.0であるプロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体は、成形性が安定しており、低分子成分が少なく、金型汚染が殆どないので好ましい。メタロセン触媒を用いた場合のMw/Mnは、より好ましくは1.5〜5.0であり、更に好ましくは1.5〜3.5であり、特に好ましくは1.5〜3.0である。
特に好ましいメタロセン化合物としては、(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム等が挙げられる。
例えば、スラリー重合法の場合には、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン等の不活性炭化水素又は液状モノマー中で行うことができる。
重合温度は、通常−80〜150℃であり、好ましくは40〜120℃である。重合圧力は、1〜60気圧が好ましい。また、得られるプロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体の分子量の調節は、水素または他の公知の分子量調整剤で行うことができる。
重合は、連続式又はバッチ式反応で行い、その条件は、通常用いられている条件でよい。さらに重合反応は、一段で行ってもよく、多段で行ってもよい。
造核剤としては、低溶出性やコンタクトレンズの重合に影響の少ない下記一般式(1)若しくは(2)で表わされる造核剤、又はトリアミノベンゼン誘導体からなる造核剤を用いることが好ましい。
このような造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、(株)ADEKA製商品名「NA−11」等を挙げることができる。
このような造核剤としては、市販のものを用いることができる。具体的には、(株)ADEKA製商品名「NA−21」を挙げることができる。
また、トリアミノベンゼン誘導体からなる造核剤の配合量は、プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体100重量部に対し、0.01〜0.3重量部の範囲で使用できるが、0.01〜0.05重量部が好ましく、さらに好ましくは0.01〜0.03重量部である。0.01重量部以上であれば、十分な効果を期待することができる。また、0.3重量部以下であれば、それを超える量を配合せずともその効果を維持することができるが、トリアミノベンゼン誘導体からなる造核剤の種類によっては、増量することで、造核剤効果を失う場合もある。
中和剤の含有量は、プロピレン単独重合体又はプロピレン−エチレンランダム共重合体100重量部に対して、好ましくは0.01〜0.15重量部、より好ましくは0.02〜0.1重量部である。また、更に好ましくはメタロセン触媒による重合品を用いた中和剤を添加しないものが挙げられる。
引張弾性率をこのような範囲に調整するには、使用する触媒の選択、エチレン含有量の調整や、造核剤を添加することにより可能である。エチレン含有量が増えると、引張弾性率は低くなり、造核剤を添加すると、引張弾性率は高くなる。
融点を140℃以上とするには、使用する触媒の選択やエチレン含有量を調整することにより可能である。例えば、エチレン含有量を増やすと融点は低くなる。
コンタクトレンズ製造用の成形原料を、成形用型のメス型キャビティに注入し、オス型で蓋をした後、熱を加え重合して、コンタクトレンズを成形することができる。
重合の際の温度は、80℃〜130℃程度、重合時間は、一般的には数時間程度であるが、数十分間もあれば、数日間の場合もある。
本用途では、低溶出であることが好ましく、その指標である微粒子や日本薬局方の紫外吸収スペクトル及びpHの値が優れており、また、低分子成分が少ない方が好ましい。具体的に微粒子は、第16改正日本薬局方一般試験法製医薬品容器試験 微粒子試験法を参考にした方法(実施例記載)で、粒径5μm〜10μmの微粒子数が50個以下であり、好ましくは25個以下であり、更に好ましくは、10個以下のものである。微粒子は、主に造核剤や中和剤として用いられるステアリン酸カルシウムの様な添加剤の影響が大きい。微粒子が多い材料を用いると、例えば、ケースとして使用した場合、保存液中に微粒子が発生する懸念がある。また、日本薬局方一般試験法 7.02 プラスチック製医薬品容器試験の溶出試験 紫外吸収スペクトル(220〜240nm)、及びpH試験も日本薬局方の規格内であることが好ましい。特に眼は、pHの影響を受けやすいので、規格は△1.5以内であるが、△1.0以内が良く、更に△0.5以内であることが好ましい。金型汚染や溶出性の点で、低分子成分も少ない方が良いが、実施例記載のアウトガス測定方法で、脂肪族飽和直鎖炭化水素の炭素数が≧20のものについて、50μg/g以下が良く、更に25μg/gが良く、より好ましくは、10μg/g以下が良い。
実施例及び比較例に使用するプロピレン単独重合体又はプロピレン−エチレンランダム共重合体として、以下の製造例1〜3によって製造された重合体A〜C、また後記した重合体D〜Fを使用した。
(1)固体触媒成分(a)の製造
十分に窒素置換した内容積50リットル(L)の攪拌機付槽に、脱水及び脱酸素したn−ヘプタン20Lを導入し、次いで塩化マグネシウム(MgCl2)を10モル、テトラブトキシチタン〔Ti(o−n−C4H9)4〕を20モル導入し、95℃で2時間反応させた。反応終了後、40℃に温度を下げ、メチルヒドロポリシロキサン〔20センチストークス(cSt)のもの〕を12L導入し、3時間反応させた。生成した固体成分をn−ヘプタンで洗浄した。
続いて、前記攪拌機付槽を用いて該槽に、上記と同様に精製したn−ヘプタンを5L導入し、上記で合成した固体成分をMg原子換算で3モル導入した。次いでn−ヘプタン2.5Lにテトラクロロシラン(SiCl4)5モルを混合して30℃、30分間でフラスコへ導入し、70℃で3時間反応させた。反応終了後、n−ヘプタンで洗浄した。
接触終了後、n−ヘプタンで十分に洗浄し、塩化マグネシウムを主体とする固体触媒成分(a)390gを得た。この固体触媒成分(a)のチタン含量は、1.8重量%であった。
内容積230Lの流動床式反応器を連続反応装置として用いて重合を行った。反応器が、重合温度85℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.010となるように、連続的に供給した。さらに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hr、固体触媒成分(a)として上記記載の触媒をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体を製造した。
反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量を60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン単独重合体Aを得た。
このプロピレン単独重合体AのMFRは11g/10分、融点(Tm)は160℃、Mw/Mnは4.8であった。
内容積230Lの流動床式反応器を連続反応装置として用いて重合を行った。反応器が、重合温度85℃、プロピレン分圧1.8MPa(絶対圧)、分子量制御剤としての水素を、水素/プロピレンのモル比で0.024となるように連続的に供給した。さらに、トリエチルアルミニウムを5.25g/hr、固体触媒成分(a)をポリマー重合速度が20kg/hrになるように供給し、結晶性プロピレン重合体を製造した。
反応器で重合したパウダーは、反応器内のパウダー保有量が60kgとなるように連続的にベッセルに抜き出した。水分を含んだ窒素ガスを供給して反応を停止させ、プロピレン単独重合体Bを得た。
このプロピレン重合体BのMFRは40g/10分、融点(Tm)は167℃、Mw/Mnは5.8であった。
(1)触媒の調製
(i)メタロセン化合物
メタロセン化合物として、(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムを用いた。
撹拌翼と還流装置を取り付けたガラス製3Lセパラブルフラスコに、純水1,750gを投入し、続いて98%硫酸1160gをゆっくり添加した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト〔水澤化学工業(株)製、ベンクレイSL、平均粒子径:18.5μm〕を400g添加後、撹拌した。その後90℃に昇温し、9時間その温度を維持して反応させた。反応後40℃まで冷却し、ヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに純水を2L加えて再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、4.0超えるまで実施した。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、280gの化学処理体を得た。その後、1Lフラスコに全量投入し、200℃にて2hr減圧乾燥を行った。
内容積13Lの攪拌機の付いた金属製反応器に、上記で得た乾燥珪酸塩0.223kgとn−ヘプタン1.45Lの混合物を導入し、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.04M)13.94Lを加え、系内温度を25℃に維持した。1時間の反応後、ヘプタンにて十分に洗浄し、珪酸塩スラリーを2.0Lに調製した。
(r)−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム2.18g(3.00mmol)にヘプタンを0.86L加え、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を10.6mL加えて、室温にて1時間反応させて混合物を調製した。この混合物を前記珪酸塩スラリーに加え、1時間攪拌後ヘプタンを追加して5.6Lに調整した。
続いて、温度40℃にて、プロピレンを111.8g/時間の速度で供給し、4時間予備重合を行った。さらに1時間、後重合を行った。予備重合終了後、残モノマーをパージし、触媒をヘプタンにて十分に洗浄した。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M)のヘプタン溶液を84.6mL添加した後に、40℃で減圧乾燥を実施した。この操作により、乾燥した予備重合触媒0.68kgを得た。
内容積200Lの撹拌式オートクレーブ内をプロピレンで十分に置換した後、十分に脱水した液化プロピレン45kgを導入した。これに、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液を470mL(0.12mol)、水素を5.0NLを、さらにエチレンを0.50kg加え、30℃に維持した。その後、上記固体触媒1.59gをアルゴンで圧入し、35分かけて68℃まで昇温し、2時間重合を行った。
得られたプロピレン−エチレン共重合体Cは、MFR=30g/10分、融点(Tm)=142℃、Mw/Mn=3.0であった。
・プロピレン−エチレン共重合体D:
チーグラ・ナッタ触媒
エチレン含有量4.2wt%
MFR=25g/10分
融点(Tm)=148℃
Mw/Mn=6.2
・プロピレン−エチレン共重合体E:
メタロセン触媒
エチレン含有量2.0wt%
MFR=6g/10分
融点(Tm)=135℃
Mw/Mn=3.0
・ポリプロピレン単独重合体F
エクソンモービル社製商品名「Achieve 1605」
メタロセン触媒で生産されたポリプロピレン単独重合体
・酸化防止剤1
IR1010(BASFジャパン社製、商品名):テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン
・酸化防止剤2
IR1076(BASFジャパン社製、商品名):n−オクタデシル−β−(4’ヒドロキシ3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート
・酸化防止剤3
IF168(BASFジャパン社製、商品名):トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
CAST(堺化学工業社製、商品名):ステアリン酸カルシウム
・中和剤2
DHT4A(協和化学工業社製、商品名):マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート
ゲルオールMD(新日本理化社製、商品名):ジメチルベンジリデンソルビトール系透明化核剤
・造核剤2
NA11(ADEKA社製、商品名):リン酸2,2’−エチリデン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)ナトリウム
・造核剤3
IRGACLEAR XT386(BASF社製、商品名):トリアミノベンゼン系造核剤
表1に記載のプロピレン重合体又はプロピレン−エチレン共重合体(重合体A〜F)を用いて、表1に記載の添加剤を所定量配合し、スーパーミキサーでドライブレンドした後、35ミリ径の2軸押出機を用いて、溶融混練した。ダイ出口部温度250℃でダイから押し出し、ペレット化した。
得られたペレットを用い、射出成形法により試験片を作製し、メルトフローレート(MFR)、引張弾性率、収縮率、融点(DSC)、ヘイズ、分子量分布(GPC)、金型汚染性、日本薬局方、微粒子試験、アウトガス(低分子量)を、以下の方法で評価した。
評価結果を表1に示した。
JIS K7210(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した。
2.引張弾性率
JIS K7162に準拠して測定した。
3.収縮率
60cm×60cm×2mmの試験片を成形温度:200℃、金型温度:20℃で射出成形し、成形1週間後のMDとTDの収縮率を測定した。
4.融点
JIS K7121に準拠した示差走査型熱量計(DSC)により得られる融解温度(ピーク値)を測定した。
5.ヘイズ
JIS K7136に準拠して、t=1mmのヘイズを測定した。
6.分子量分布(Mw/Mn)(GPC法)
分子量分布=(重量平均分子量)/(数平均分子量)
ここで、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定して得られる値であり、具体的には次のようにして求める。
保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である、F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000を用い、各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する粘度式[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
なお、GPCの測定条件は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC 150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN 1A IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製:試料はODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して溶解させる。
射出成形機にて、10cm×10cm×1mmの試験片を約70%のショートショット成形にて成形し、成形後の流動末端部付近の金型付着物を目視で確認し、以下の評価基準で判定した。
◎:付着物を認められない。
○:殆ど付着物がない。
×:付着物が認められる。
第15改正日本薬局方 一般試験法 7.02 プラスチック製医薬品容器試験の溶出試験 紫外吸収スペクトル(220〜240nm)、及びpH試験を実施した。なお、検体は、0.5mm厚の試験片を用い、被検面積は1200cm2となる様にし、121℃で1時間の溶出条件にて行った。
9.微粒子試験
試験は、第16改正日本薬局方 一般試験法 製医薬品容器試験 微粒子試験法を参考に以下の通り行った。
(1)試験液の調製
肉厚2mmの射出試験片を幅約25〜30mmの3片に切断し、それぞれ微粒子試験用水(以下、水という)でよく洗った後、検体10gに対し水100mlの割合で、検体及び水を清浄な容器に入れ、密栓する。
高圧蒸気滅菌器を用いて、121℃で25分間加熱し、2時間放冷した後に取り出し、常温で約24時間静置した。容器の外部を清浄にした後、密栓をはずし、緩やかに振り混ぜ、試験液とした。
(2)試験液の微粒子数測定
以下の条件で、粒子径5〜10μmの粒子数を5回測定し、初めの測定値を除いた4回の平均粒子数から試験液1ml中の粒子数を求める。
光遮蔽型自動微粒子測定装置使用。以下に条件記す。
機種:リオン(株)KL−04
吸引流量:25ml/分
測定容量:10ml
空測定回数:1回
測定回数:4回
単位体積:1ml
希釈率:1
試料200(±10)mgを精秤して加熱追出し管(GERSTEL社製 TDS管)に充填し、その両端に約10mgの石英ウール(GL Sciences社製、Cat.No.3001−12404)を詰めた。このTDS管を40℃の加熱抽出装置(GERSTEL社製 TDS−A)に挿入した後、管内をヘリウムで置換し60℃/min.の速度で100℃まで昇温して30分間熱抽出(Direct Thermal Extraction:DTE)した。この熱抽出の間、石英ウールを充填したGC注入口(GERSTEL社製 CIS4)を−150℃に冷却することにより、試料より発生した揮発成分を捕集した。
ここで、試料を充填していない空のTDS管を同様に処理しブランクとした。GC注入口で冷却捕集した成分は、捕集部分を320℃まで急速に加熱することにより気化させてGCカラムに導入しGC/MS測定を行った。
n−ヘプタン(和光純薬工業社製、試薬特級)を溶媒として、濃度が約1,000μg/mLの炭素数10から32まで炭素数2毎の脂肪族直鎖飽和炭化水素(いずれも試薬グレード)の混合標準溶液を調製した。また、n−ヘプタンを溶媒として、濃度が約250、500および1,000μg/mLのn−エイコサン(和光純薬工業社製、試薬特級)の標準溶液を調製した。
これらの溶液の1μLを石英ウールに充填したTDS管に取り、300℃で5分間のDTEサンプリング(CIS4捕集温度:−50℃)を行ったのち、試料と同条件でGC/MS測定を行った。
また、実施例2と5は、添加剤として本発明において好ましい造核剤を使用した場合であり、金型汚染性が少なく、特に実施例2は、実施例1より、耐熱性の指標となる融点と引張弾性率が更に高く、より熱重合に向いているコンタクトレンズ成形用型材であり、また、高圧蒸気滅菌されるコンタクトレンズケース材にも、適していることが判る。カラーコンタクトレンズの場合、レンズに模様等があり、コンタクトレンズケースが透明であることが望まれているが、実施例2と5は、カラーコンタクトレンズのケース材として要求のある透明性についても、優れていることが判る。
また、実施例3は、メタロセン触媒によるプロピレン単独重合体(ホモPP)で、分子量分布が狭く、使用している添加剤も少ないため、特に金型汚染性が良く、コンタクトレンズ型材やケース材として適していることが判る。
なお、ケース材や製造型材に使用する場合は、溶出性が重要であり、実施例4と実施例5、および比較例1の微粒子試験、日本薬局方の紫外吸収スペクトルやpH、アウトガスにおいて、実施例4と実施例5が優れていることが判る。これは、添加剤やポリマー中の不純物が少ないことによる結果と考える。なお、実施例4と実施例5の微粒子は、10μmを超えるものは確認されなかった。
また、比較例2は、メタロセン触媒で製造したプロピレン−エチレン共重合体(ランダムPP)を用いて、金型汚染性は良好であるが、引張弾性率が低く、更に融点も低いため、コンタクトレンズを熱重合する時に、変形することが懸念される。また、ケース材として使用した際も、高圧蒸気滅菌時に変形することが懸念される。
Claims (9)
- プロピレン単独重合体またはエチレン含有量が1重量%未満のプロピレン−エチレンランダム共重合体を含有し、230℃、2.16kg荷重におけるメルトフローレートが5〜80g/10分、JIS K7162に準拠して測定される引張弾性率が1300〜2300MPa及びJIS K7121に準拠した示差走査型熱量計により得られる融解温度(ピーク値:融点)が140℃以上であることを特徴とするコンタクトレンズ用材料。
- 前記ポリプロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体は、メタロセン触媒で重合され、分子量分布(Mw/Mn)が1.5〜6.0であることを特徴とする請求項1に記載のコンタクトレンズ用材料。
- 前記プロピレン単独重合体またはプロピレン−エチレンランダム共重合体100重量部に対し、さらに、下記一般式(1)若しくは(2)で表わされる造核剤またはトリアミノベンゼン誘導体からなる造核剤0.01〜0.3重量部を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のコンタクトレンズ用材料。
- キャストモールド製法の熱重合用であって、コンタクトレンズ成形用型材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用材料。
- コンタクトレンズケース用材料であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用材料。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ用材料を用いることを特徴とするコンタクトレンズ成形用型。
- 請求項1〜3のいずれか1項または請求項5に記載のコンタクトレンズ用材料を用いることを特徴とするコンタクトレンズケース。
- 請求項6に記載のコンタクトレンズ成形用型を用いることを特徴とするコンタクトレンズの製造方法。
- 請求項8に記載のコンタクトレンズの製造方法により得られることを特徴とするコンタクトレンズ。
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