JP2008184498A - プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン系ブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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博之 中野
Jun Shinozaki
潤 篠崎
Masato Nakano
正人 中野
Yoshiyuki Murase
美幸 村瀬
Tsutomu Shioda
勉 潮田
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Abstract

【課題】べたつきやブリードアウトが抑制されたプロピレン系ブロック共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】
担持メタロセン触媒を用いてプロピレン系重合体成分(A)を第1工程で、次いでプロピレン系重合体成分(A)よりもαオレフィン含量が大きいプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)を第2工程で、逐次重合し、且つ、下記(i)〜(iv)を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法などを提供した。
(i)第2工程開始時のポリマー粒子の平均粒径が700μm以上であること、
(ii)共重合体全量に対する共重合体成分(B)の割合[W(B)]が3〜95質量%であること、
(iii)共重合体成分(B)のαオレフィン含量[E(B)]が3〜90質量%であること、
(iv)プロピレン系重合体成分(A)の融点[Tm(A)]が143℃未満であること。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系ブロック共重合体の製造方法に関し、より詳しくは、柔軟で、且つべたつきやブリードアウトが抑制された優れたプロピレン系ブロック共重合体の製造方法に関する。
多段重合によるプロピレン系ブロック共重合体は、機械的な混合により得られるエラストマーに比べて、広範囲な組成のものとして調製し得ることから、包装材料、自動車材料、建築材料等に供するため、工業的に生産されている。
多段重合によるプロピレン系ブロック共重合体は、一般に、チーグラー・ナッタ系触媒を用いて製造されるが(例えば、特許文献1〜3参照。)、得られるプロピレン系ブロック共重合体は、分子量と結晶性の分布が広く、べたつきやブリードアウト(低結晶性成分などの表面滲出)が生じるのを免れないという問題を有している。
最近、メタロセン系触媒を用いたプロピレン系ブロック共重合体の製造法が提案され(例えば、特許文献4参照。)、この製法で得られる共重合体は、分子量分布、組成分布が狭いため、べたつき成分となる低分子量ポリマー、高αオレフィン含量ポリマーの副生が少なく、べたつきやブリードアウトが抑制されるとされている。
しかし、工業的な安定生産のためには、重合時におけるパウダーの凝集が大きな問題となっていた。また反応器内の壁や配管中での付着、パウダー移送時の凝集、閉塞、パウダー流動の不良による反応器内部の除熱不足、等も大きな問題である。これらの問題は、付加価値の高い軟質材料、すなわち低融点の材料を製造する場合や高い割合で非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分を含む共重合体を製造する場合に顕著となる。その理由として、低融点であるほど、パウダーが熱により柔らかくなりやすいため、粒子同士が接着凝集しやすくなることや、非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分を高含有率で含むほど、この非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分がパウダー中からパウダー表面にブリードアウトしやすくなるためである。
パウダー凝集等を改良するにはパウダーの粒径を大きくすることが好ましいことは知られている(例えば特許文献5参照。)。これは、第2工程で製造する非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分がパウダー表面に出てくるまでの経路を長くすることでブリードアウトを抑制するという思想である。パウダー粒径を大きくするには、第1工程での活性を上げることが考えられ、この観点からは、モノマー濃度が高い液体プロピレン中で重合するバルク重合が優れている。しかしながら、メタロセン触媒は、従来のチーグラーナッタ触媒とは異なり、第1工程に比べて第2工程での活性が著しく低い。しかも、第2工程では、非晶成分を重合するため気相重合などのモノマー濃度が低い重合方法しか取ることができないため、単に第1工程で活性が上がる条件を選択するだけでは、相対的に第2工程の重合割合が低下し、非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分の含有量を高くすることができない。また、非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分の含有量を高くするために、第2工程での触媒の滞留時間を長くするということも考えられるが、この手法を適用するには、第2工程の反応器を大きくするなどの大改造が必要であり、従来のプラント設備をそのまま使用することはできないという欠点がある。
また、低融点のプロピレン系重合体を製造するには、第1工程で気相重合する方法が適している。その理由は、液体が存在するスラリー重合やバルク重合を用いた場合、ポリマーが液体に溶出しやすくなるとともに、パウダー自身も液体による膨潤がおこり、両者の効果でパウダーが非常に凝集しやすくなるためである。しかし、気相重合においては、モノマー濃度がバルク重合ほどは高くないため重合活性が低下するという問題がある。しかも低重合活性であるとパウダー粒径が小さくなり、第2工程でのパウダー凝集が増大するという問題も同時に起こる。
また、パウダー粒子を大きくする手法として、触媒担体の粒径を大きくすることも考えられる。しかしながら、従来の技術においては、単に粒径を大きくしようとした場合、粒子強度が弱く微粉発生が起こり、安定的に重合することが難しかった。
このように従来の技術では、柔軟でかつ高含有量の非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分を含むべたつきの少ないパウダーを製造することはできなかった。
特開平6−93061号公報 特開平9−324022号公報 特開2000−63420号公報 特開2005−314621号公報 特願2006−200952号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、低融点で、かつ非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分を高含有率で含む高付加価値の共重合体パウダーを、べたつきやブリードアウトなく、製造することにある。
本発明者等は、上記課題を解決するため、鋭意研究を重ねた結果、従来見られないほどの触媒の高活性化を達成し、さらに、新たに粒子形状、粒径分布に優れ、しかも、高い粒子強度を持つ担体を、メタロセン触媒用に開発し、これらを組み合わせることによって、高性能触媒を得ることができた。この高性能触媒によって、第1工程で大粒径のパウダー粒子を製造することができるようになり、これをマトリックスとして、第2工程の非晶性プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分を重合することにより、パウダーのべたつきを抑制することに成功し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、担持メタロセン触媒を用いてプロピレン系重合体成分(A)を第1工程で、次いでプロピレン系重合体成分(A)よりもαオレフィン含量が大きいプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)を第2工程で、逐次重合することにより得られ、且つ、下記(i)〜(iv)を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
(i)第2工程開始時のポリマー粒子の平均粒径が700μm以上であること、
(ii)共重合体全量に対する共重合体成分(B)の割合[W(B)]が3〜95質量%であること、
(iii)共重合体成分(B)のαオレフィン含量[E(B)]が3〜90質量%であること、
(iv)プロピレン系重合体成分(A)の融点[Tm(A)]が143℃未満であること。
また、本発明の第2の発明によれば、担持メタロセン触媒を用いてプロピレン系重合体成分(A)を第1工程で、次いでプロピレン系重合体成分(A)よりもαオレフィン含量が大きいプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)を第2工程で逐次重合することにより得られ、且つ、下記(i)〜(iii)及び(v)を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
(i)第2工程開始時のポリマー粒子の平均粒径が700μm以上であること、
(ii)共重合体全量に対する共重合体成分(B)の割合[W(B)]が3〜95質量%であること、
(iii)共重合体成分(B)のαオレフィン含量[E(B)]が3〜90質量%であること、
(v)プロピレン系重合体成分(A)のαオレフィン含量[E(A)]が0.2〜15質量%のものであること。
本発明の第3の発明によれば、第1または2の発明において、共重合体成分(B)のαオレフィン含量[E(B)]が30〜90質量%であることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、共重合体全量に対する共重合体成分(B)の割合[W(B)]が15〜70質量%であることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、担持メタロセン触媒は、担体として、イオン交換性層状珪酸塩を用いることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、担持メタロセン触媒は、アズレン系メタロセン錯体を有するものであることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明において、さらに、下記(vi)を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
(vi)プロピレン系重合体成分(A)の昇温溶出分別法(TREF)による−15℃可溶分[S(A)]が2.0質量%以下である。
さらに、本発明の第8の発明によれば、第1〜7のいずれかの発明において、担持メタロセン触媒の担体が46μm以上の平均粒径を有することを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
本発明の第9の発明によれば、第1〜8のいずれかの発明において、第1工程における重合温度がプロピレン系重合体成分(A)の融点[Tm(A)]より50℃以上低いことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
また、本発明の第10の発明によれば、第1〜9のいずれかの発明において、第2工程が気相重合であることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
さらに、本発明の第11の発明によれば、第1〜10のいずれかの発明において、第1工程が気相重合であることを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法が提供される。
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法は、生産性よく、低コストで、下記の特性を有するプロピレン系ブロック共重合体を製造し得るものである。
そして、本発明の製造方法により得られたプロピレン系ブロック共重合体は、べたつきやブリードアウトが抑制され、かつ柔軟性に優れているので、フィルム、シート、各種容器、各種成形品、各種被覆材などとして好適に用いられ、特に、冷凍状態での保存に耐え、さらに、ブリードアウトによる内容物汚染が非常に小さいことから、食品や医療分野に有利に用いられる。また、成型加工時において、高い溶融粘度が求められるシート等の押出成形分野に、好適に用いられる。
また、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体は、融点が低いので、空冷インフレーション成形、水冷インフレーション成形、Tダイによる無延伸成形、一軸延伸成形、二軸延伸成形、カレンダー成形、熱板成形、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、ブロー成形、延伸ブロー成形、射出成形、インサート成形等を、通常より低い温度で行うことができる。
さらに、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体は、フィルムやシートとして使用する場合、優れた柔軟性を持つ中間層として供与し得るものであり、また、表面層として供与すると、べたつきやブリードアウトが抑制されるなど、多面的に適所に用いられる。
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法、及びその製造方法により得られたプロピレン系ブロック共重合体について、項目毎に詳細に説明する。
1.プロピレン系ブロック共重合体
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法で得られたプロピレン系ブロック共重合体(以下、本共重合体ともいう。)は、αオレフィン含量の比較的小さい(すなわち結晶性の)プロピレン系重合体成分(A)(以下、単に重合体成分(A)と称することがある)と、αオレフィン含量の比較的大きい(すなわち低結晶性又は非晶性の)プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)(以下、単に重合体成分(B)又は共重合体成分(B)と称することがある)を、逐次重合(通常は多段重合、中でも二段重合)することより、得られるブロック共重合体である。
本発明に係る共重合体は、逐次製造される共重合体の混合物であるが、各重合体を別々の反応器で、各重合体を共存させずに重合してから、後で機械的に混合した組成物よりは、ミクロな相分離構造、或いは、共連続構造をとるものである。
本発明に用いられる重合体成分(A)のαオレフィン含量と、重合体成分(B)のαオレフィン含量とを比較すると、重合体成分(A)の方が小さい。なお、αオレフィン含量が小さいとは、別の見方をすれば結晶性が高いことを意味している。
ここで重合体成分(A)の結晶性とは、共重合体において立体規則性が高く、比較的αオレフィン含量が少ないことで、ラメラを形成することができることを意味し、一方、共重合体成分(B)の低結晶性又は非晶性とは、昇温溶出分別法(Temperature Rising Elution Fractionation)(以下、TREFともいう。)等の結晶性を評価する各種の手法において、重合体成分(A)に比べ結晶性が低いか、或いは結晶性が観測できないことを意味し、また、各重合段階で製造されるプロピレン系重合体またはプロピレン−αオレフィンランダム共重合体は、各々αオレフィン含量が異なる、プロピレンとαオレフィンがランダムに共重合されたポリマーになっている。
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体の各構成成分について、詳述する。
(1)第1工程で得られるプロピレン系重合体成分(A)
プロピレン系重合体成分(A)は、プロピレンホモポリマー、またはプロピレン−αオレフィン共重合体であり、所謂結晶性のものであって、耐熱性を発揮させ、べたつきやブリードアウトを抑制するための成分である。
また、上記プロピレン系重合体成分(A)は、TREFによる−15℃可溶分が2.0質量%以下、好ましくは0.8質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下であることが望ましい。この可溶分が多すぎると、べたつきやブリードアウトが発現しやすくなり、製品の品質に悪影響を与えるし、また、粒子凝集や反応器付着により粒子性状や粒子の流れ性が悪化し、ポリマーが生産できなくなる。
本発明において、TREF測定方法について、具体的には、以下のようにして行われる。
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)に溶解し、溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持する。その後に、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)を、1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を、10分間溶出させ、TREFによる−15℃可溶分を測定し、次に、昇温速度100℃/時間にて、カラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得る(昇温溶出工程)。すなわち、−15℃まで冷却し、ポリマー成分を結晶化させ、保持し、次に、TREFカラム温度をリニアに昇温すると、まず、低温で結晶化度の低い成分が溶出して検出器に到達し、高温になるにつれ、結晶化度の高い成分が順番に溶出して行き、結晶化度の大小による分離が行われることになる。
本発明におけるαオレフィンとは、炭素数4〜20のα−オレフィンならびにエチレンである。この中ではエチレン、1−ブテン、1−ヘキセンが好ましく、エチレンが特に好ましい。
また、上記プロピレン系重合体成分(A)は、プロピレンホモポリマーまたはプロピレン−αオレフィン共重合体であるが、αオレフィンを含む場合に、その含有量[E(A)]としては、通常0.1〜20質量%、好ましくは0.2〜15質量%、より好ましくは1.5〜12質量%、特に好ましくは3質量%より高く10質量%以下(3〜10質量%)であるのがよい。
αオレフィン含有量[E(A)]が上記範囲の上限を超した場合には、耐熱性が低下し、べたつきやブリードアウトを抑制しにくくなるし、また、第1工程の途中で、粒子性状が悪化し重合できなくなる。一方、αオレフィン含有量が少なすぎると、ポリマー融点が高すぎ、また柔軟性に劣るとともに、耐衝撃性が低下する。また、αオレフィン含量を増加させると、耐衝撃性が向上するとともに、製造時の重合活性が著しく増加し生産コストが低下する。
さらに、特殊なメタロセン錯体(アズレンを配位子に含む錯体)を使用して、αオレフィンとしてエチレンを用いて重合する場合、分子量も向上し、通常、メタロセン触媒では製造できない高分子量体も製造が可能になる。
αオレフィン含有量[E(A)]は、第1工程終了時に、少量の共重合体を抜き出し、これを分析することで求めることができる。
分析は、プロトン完全デカップリング法による13C−NMRスペクトルを測定する。スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17 1950 (1984)などを参考に行えばよい。また、予め数種類のαオレフィン含量が異なる共重合体の標準サンプルを用意し、この13C−NMRスペクトル、赤外吸収スペクトルを測定し、それからαオレフィン含量を求める検量線を作成しておき、これを用いて換算してもよい。また、同様にCFC−IR(クロス分別装置とフーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析を組み合わせたもの)における検量線を作成しておき、これを用いてもよい。
プロピレン系重合体成分(A)は、結晶性の尺度である示差走査型熱量計(DSC)による融解ピーク温度(融点)Tm(A)については、本発明の場合、143℃未満である。好ましくは140℃以下、さらに好ましくは136℃以下、特に好ましくは130℃以下、より好ましくは125℃以下、きわめて好ましくは120℃以下である。
この融解ピーク温度Tm(A)の下限温度は、好ましくは100℃、より好ましくは110℃、特に好ましくは115℃である。
Tm(A)は、第1工程終了後に、少量サンプリングした重合体成分(A)に対し、常法で、示差走査型熱量計(DSC)により得られる融解ピーク温度として測定される。
Tm(A)が低くなりすぎると、耐熱性が悪化し、結晶化も遅くなって、射出成形では、成形サイクルが長くなり、また、シートやフィルム成形ではロールへ取られやすくなるなどの問題を生じる。逆に高くなりすぎると製品の剛性が高すぎるという欠点が現れる。
(2)第2工程で得られるプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)
プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)は、プロピレン系重合体成分(A)よりもαオレフィン含量が大きい、即ちE(A)<E(B)であり、所謂、低結晶性あるいは非晶性のものであって、本共重合体の柔軟性と耐衝撃性に寄与する成分である。
重合体成分(B)は、そのαオレフィン含有量[E(B)]が3〜90質量%、好ましくは15〜80質量%、より好ましくは20〜70質量%、特に好ましくは40〜60質量%であるものである。
αオレフィン含有量[E(B)]が上記範囲の上限を超した場合には、プロピレン系ブロック共重合体の耐衝撃性が低下し、特に低温時の耐衝撃性が低下する。また、E(B)が上記範囲の下限未満の場合にも、耐衝撃性が低下する。
また、重合体成分(B)については、ブロック共重合体全量中に占める割合W(B)が3〜95質量%である。W(B)の下限は、好ましくは10質量%、より好ましくは15質量%、さらに好ましくは20質量%、特に好ましくは30質量%であり、一方、W(B)の上限は、好ましくは70質量%、より好ましくは65質量%、特に好ましくは60質量%である。
割合W(B)が上記範囲の上限を超した場合には、ポリマー粒子の凝集が増大し、ブロック共重合体の耐熱性が低下し、べたつきやブリードアウトを抑制しにくくなるし、また、割合W(B)が上記範囲の下限未満の場合には、柔軟性と耐衝撃性に寄与する共重合体成分(B)の量が不十分となり、柔軟性や耐衝撃性が低下する。
重合体成分(B)の共重合体全量に対する割合W(B)は、第2工程における重合量を共重合体全体の重合量で除すことで得られる。具体的には、第2工程における重合量は、モノマー消費量、反応熱、反応器自体の増加重量、などから算出できるので、これを共重合体全体の重合量で割ればよい。また、反応器を直列に繋いだ連続重合の場合は、第1、第2工程における時間あたりの生産量から計算できる。
また簡便な方法として、第1工程で得られた重合体と第2工程で得られた重合体とを溶媒分別(例えば冷キシレン可溶分分別法)で分別し、それぞれの重量から計算することもできる。さらに、TREFやCFC(クロス分別)−IR等の機器分析によって、第1工程で得られた重合体と第2工程で得られた重合体の重量比を求めることもできる。
プロピレン−αオレフィンランダム共重合体、特にプロピレンーエチレンランダム共重合体の結晶性分布を温度昇温溶離分別法(昇温溶出分別法)(TREF)により評価する手法は、当業者によく知られているものであり、例えば、次の文献などに詳細な測定法が示されている。
G.Glockner,J.Appl.Polym.Sci.:Appl.Polym.Symp.;45,1−24(1990)
L.Wild,Adv.Polym.Sci.;98,1−47(1990)
J.B.P.Soares,A.E.Hamielec,Polymer;36,8,1639−1654(1995)
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体は、重合体成分(A)と(B)各々の結晶性に大きな違いがあり、また、メタロセン触媒を用いて製造されることで、各々の結晶性分布が狭くなっていることから、双方の中間的な成分は極めて少なく、双方をTREFにより、精度良く分別することが可能である。
W(B)は、重合体成分(A)を製造する第一工程の製造量と、重合体成分(B)を製造する第二工程の製造量の比を変化させることにより、制御することができる。例えば、W(A)を増やしてW(B)を減らすためには、第一工程の製造量を維持したまま第二工程の製造量を減らせばよく、それは、第二工程の滞留時間を短くしたり、重合温度を下げたり、重合抑制剤の量を増やしたりすることにより制御することができる。逆にW(B)を増やす場合は、第一工程の製造量を減らす方法があるが、これらを通常用いられるプラントで実現することはそれほど容易ではない。まず第1工程の製造量を減らそうとして重合抑制剤を第1工程に導入すると、第二工程の製造量も減ってしまうため、W(B)は増えない。また、第1工程の温度を下げたり圧力(モノマー濃度)を下げたり滞留時間を短くする方法で、第1工程の製造量を減らす方法もあるが、特にバルク重合の場合は、これらはプラント運転上の制約であまり変化させることができない。またW(B)を増やすもう一つの方法として、第二工程の製造量を増やす方法がある。このためには重合温度を上げる手法もあるが、軟質材料の製造においては高温になるほどべたつきが増大するためあまり温度を上げることはできない。また圧力を上げる方法も、プラントの上限があり、難しい。さらに重合抑制剤、いわゆるキラー化合物を減らす方法もあるが、減らしすぎるとパウダーのべたつきや製品中にゲル、輝点が生じる問題がある。
一番望ましいのは、触媒の活性を増加させ、第二工程の製造量を増やす方法があり、本発明の実現においては、重要なポイントである。また触媒の活性を増加させると、重合抑制剤の量を増やすことも可能になり、よりべたつきの少ない、またより輝点やゲルの少ない優れたポリマーを製造できるため、これが一番好ましい。さらに、高活性触媒を用いると、製造量が維持しつつ重合温度を下げることができるので、よりべたつきが少ない重合環境を提供でき、よりべたつきやすいポリマー(例えばW(B)の大きなポリマーやよりべたつきやすいE(B)領域のポリマー)を製造することが可能となる。
プロピレン系ブロック共重合体全体のαオレフィン含量[E(AB)]は、プロトン完全デカップリング法による13C−NMRスペクトルから求めることができる。スペクトルの帰属は、例えば、Macromolecules 17 1950 (1984)などを参考に行えばよい。また、予め数種類のαオレフィン含量が異なる共重合体の標準サンプルを用意し、その13C−NMRスペクトル、赤外吸収スペクトルを測定し、それからαオレフィン含量を求める検量線を作成しておき、これを用いて換算してもよい。また、CFC−IR(クロス分別装置とフーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析を組み合わせたもの)における検量線を作成しておき、これを用いてもよい。
第2工程のプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)中のαオレフィン含有量[E(B)]は、共重合体全体のαオレフィン含量[E(AB)]と上述のE(A)、割合W(B)から下記(式2)にて計算できる。
(式2):E(B)=[E(AB)−E(A)×(1−E(B))]/W(B)
ブロック共重合体のMFR(試験条件:230℃、2.16kg荷重)は、0.0001g/10分以上1000g/10分未満であるのが望ましい。下限のMFRを下回ると、製品のブロック共重合体の溶融時の粘度が高すぎて、成形性が悪化するので好ましくない。また、上限のMFRを上回ると、溶融時の溶融張力が低下して、成形性が悪化するため、好ましくない。この範囲の好ましい下限は、0.1g/10分、より好ましい下限は1g/10分である。この範囲の好ましい上限は、500g/10分、より好ましい上限は100g/10分である。
また、ブロック共重合体中の重合体成分(B)の重量平均分子量は、10,000以上5,000,000以下であるのが好ましい。下限以下の重量分子量では、ブロック共重合体を成形した製品の耐衝撃性が低下するため、好ましくない。また、上限以上の分子量の場合、溶融混練しても、共重合体中で成分Bがうまく分散せず、塊状になって存在し、製品の外観が悪化するため、好ましくない。この範囲の好ましい下限は50,000、より好ましい下限は100,000である。この範囲の好ましい上限は3,000,000、より好ましい上限は1,000,000である。測定は、CFC−IRによる。
2.プロピレン系ブロック共重合体の製造方法
(1)重合触媒
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体を製造するに当っては、担持型のメタロセン系触媒が用いられる。
旧来のチーグラー・ナッタ系触媒では、触媒反応の活性点の種類が複数あるため、生成したプロピレン系ブロック共重合体の結晶性及び分子量分布が広く、低結晶・低分子量成分を多く生成することで、製品のべたつきやブリードアウトが強く見られ、ブリードアウトや外観不良などの問題が発生しやすいという欠点を有しており、また、分子量を増加させても、低結晶性成分の生成は、抑制され難いため、べたつきやブリードアウトの低減が未だに不充分であって、エラストマーの分子量が高いことで、ブツやフィッシュアイなどと称される外観不良が発生しやすくなり、押出成形性が悪化するため、造粒工程で有機過酸化物を用いなくては、ならないなどの多くの問題を有している。
一方、メタロセン触媒などのシングルサイト触媒は、チーグラー系触媒に比して、触媒活性が高く、生成重合体の分子量分布が狭く、共重合体では組成分布が均一となるなど、プロピレン系ブロック共重合体を製造するには、チーグラー系触媒より、優れた触媒である。したがって、本発明では、チーグラー・ナッタ系触媒による上記の諸欠点を解消するために、シングルサイト触媒としてのメタロセン系触媒による重合方法を選択するのが好ましい。
また、メタロセン触媒を担持型とすることによって、得られるポリマーが粒子状となり、反応器への付着やポリマー同士での融着が無くなるとともに、重合後の気力移送が可能となるという効果が得られる。また気相重合が可能となる。
(2)重合方法
本共重合体の製造に当っては、第1工程として、プロピレンホモポリマーまたは比較的αオレフィン含量の小さい(結晶性の)プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(A)を製造し、次いで、第2工程として、第1工程で得られた重合反応混合物の存在下、(A)よりもαオレフィン含量の大きい(低結晶性または非結晶性の)プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)の製造を、連続して行う。
これに対し、結晶性のプロピレンホモポリマーまたはプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(A)と、低結晶性或いは非晶性のプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)を、別々に製造して機械的に混合する場合には、重合体成分(B)の割合が比較的多い領域において、重合体成分(B)が充分に分散せず、大きな連続相を形成することで、製品の表面に現れやすく、さらに溶融混練時には、重合体成分(B)が先に溶融し、マトリクスを形成する場合が多いため、べたつきやブリードアウトが発現しやすいばかりでなく、耐熱性が低下する。
重合方法としては、溶液重合、スラリー重合、気相重合、バルク重合が可能である。
第1工程の重合は、重合体成分(A)の重合であり、通常、スラリー重合法、または実質的に液体溶媒を用いず、各モノマーをガス状に保つ気相重合法が採用される。また、第1工程の重合の様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、不活性溶媒を実質的に用いず、プロピレンを溶媒として用いるバルク重合も採用できる。
重合方法には、特に制限はないが、好ましいのは気相重合である。好ましい気相重合様式は、媒質を使わずにガス状の単量体中で重合を行なう方法、たとえば生成ポリマー粒子をモノマー気流で流動させて、流動床を形成させる方式或いは生成ポリマー粒子を撹拌機により反応槽において撹拌する方式である。気相重合が好ましいのは、系内に液体が存在しないため、ポリマー粒子の溶解、融着による凝集が生じにくいからである。
第2工程の重合工程は、第1工程の重合で得られる触媒含有の重合体成分(A)の存在下で、αオレフィン含量の高いプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)を重合する工程である。
重合方法に、特に制限はないが、好ましいのは気相重合である。気相重合が好ましいのは、プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)のαオレフィン含量が高いため、気相プロセス以外の重合プロセスでは、重合系内に存在する液体(溶媒もしくは液体プロピレン)に、プロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)が溶解しやすくなり、ポリマー粒子間のべたつきを生じやすくなるからである。これは、さらに本共重合体におけるプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)の含量割合W(B)が高い場合、より一層助長される。
したがって、連続法を用いて、まず重合体成分(A)を、バルク法もしくは気相法にて重合し、引き続き重合体成分(B)を、気相法にて重合するのが特に好ましい。
(3)重合条件
(I)重合温度
重合温度は、通常0〜150℃であり、その下限は、好ましくは40℃、より好ましくは50℃、特に好ましくは60℃であり、その上限は、好ましくは100℃、より好ましくは80℃である。下限未満の温度では、重合活性が低下し、反応熱の除熱効率が悪化するという問題が生じるし、また、上限を超える温度では、生成するポリマーがべたつくという問題が生じる。この上限温度は、重合体成分(A)の融点Tm(A)にも関係し、Tm(A)−50℃の温度以下が好ましく、中でもTm(A)−55℃の温度以下、特にTm(A)−60℃の温度以下であるのが好ましい。
(II)重合圧力
重合圧力は、一般に、0kg/cmGより大きく、2,000kg/cmG好ましくは60kg/cmG以下である。圧力の下限は、好ましくは5kg/cmG、より好ましくは10kg/cmG、特に好ましくは15kg/cmGである。好ましい下限以下であると、重合活性が低下し、あるいは分子量が低下するなどの問題が生じる。
気相重合は、プロピレン又はプロピレンとαオレフィンとの混合モノマーを導入して、気相状態を維持できる温度、圧力条件下で行われる。バルク重合は、プロピレン又はプロピレンとαオレフィンの混合モノマーを液状に保ちうる温度及び圧力条件下で行うのが好ましい。
重合時間は、通常、5分〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
(III)モノマーの比率
連続共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は、経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも便利であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。また、生成ポリマーの分子量調節剤として、補助的に水素を用いることができる。
第1工程の重合において、プロピレン−αオレフィン共重合体を製造する場合に、反応系内のプロピレン/αオレフィンのモル比[以下、モノマーモル比(A)ともいう]が99.9/0.1〜40/60にて、共重合を行うのが望ましい。下限モル比の40/60を下回ると、剛性が低下するため、好ましくない。逆に、上限のモル比99/1を超えると、耐衝撃性が低下するという不都合が生じる。モノマーモル比(A)の下限は、好ましくは50/50、より好ましくは60/40、特に好ましくは70/30であり、また、モノマーモル比(A)の上限は、好ましくは95/5、より好ましくは90/10、特に好ましくは85/15である。これらの値は、ガスクロマトグラフで測定される。
第2工程の重合における反応系内のプロピレン/αオレフィンのモル比[以下、モノマーモル比(B)ともいう]が5/95〜95/5にて、共重合を行うのが望ましい。下限モル比の5/95を下回ると、耐衝撃性が低下するため好ましくない。逆に上限のモル比95/5を超えても、同様の不都合が生じる。モノマーモル比(B)の下限は、好ましくは15/85、より好ましくは20/80、特に好ましくは30/70であり、また、モノマーモル比(B)の上限は、好ましくは80/20、より好ましくは70/30、特に好ましくは60/40である。これらの値は、ガスクロマトグラフで測定される。
また、重合系内に窒素、プロパン、イソブタンなどの不活性ガスを共存させることもできるが、大量に存在させると、モノマー分圧が低下して、低活性となるため好ましくない。これら不活性ガスの割合は、20モル%以下、好ましくは10モル%以下とするのがよい。ただしイソブタン等のように液体として重合槽に導入し、系内では気化して気体として存在する方法であれば、系内の冷却を補助できるため、共存させることは好ましい。
(IV)多段重合
第1工程、第2工程は、それぞれを数段階に分けて行ってもよい。具体的には、複数の反応器を直列に繋いで各工程を数段階に分けて実施する方法、一つの反応器を用いて各工程を複数回のバッチで実施する方法が挙げられる。
重合反応は、多段重合で行うのが好ましい。多段重合の例の一つとしては、直列につないだ複数の反応器の最上流の反応器に触媒を連続的に供給しポリマーを連続的に抜き出しつつ後段の重合槽に移送する様式がある。また、別の例としては、一つの重合槽に触媒を連続的に供給して第一段の重合を行った後でモノマーをパージし、当該重合槽内に存在する触媒を失活させることなく、第二段目の重合をおこなう方法も例示できる。いずれにおいても、前の工程、前の重合から持ち込むモノマー、水素などが次の工程に与える影響を少なくするため、工程を移す前にモノマー等のパージ量を増やしたり、窒素などの不活性ガスで希釈もしくは置換することも可能であり、むしろそうするのが好ましい。
本発明における第2工程の重合反応とは、少なくとも1つの条件の重合反応後に行う重合反応を指し、例えば、重合体成分(A)の重合を多工程で行った後に行う重合体成分(B)の重合も含まれる。重合体成分(B)の重合は、多工程に分けて行ってもよい。
(V)キラー化合物
多段の連続重合においては、キラー化合物をいずれかの重合反応器に供給してもよい。好ましくは第2工程を行う反応器に供給する。第2工程を複数の反応器で実施する場合は、最上流の反応器に供給するのが好ましい。
キラー化合物とは、重合触媒の活性(特に第2工程の活性)を低下、失活させる化合物である。キラー化合物は、正常な触媒粒子よりも、小さいショートパス粒子を選択的に捕捉し失活させる。これにより、重合体成分(B)の含量割合[W(B)]が過剰である粒子の生成を抑制する。W(B)が過剰である粒子が存在すると、共重合体の溶融、成形時に、重合体成分(B)の成形体中への分散が不充分となり、輝点、ゲル等の発生による外観不良を生じるとともに、共重合体の耐衝撃性の低下を招く。また、反応器内のポリマー粒子の表面に多くのキラー化合物が作用することから、表面の活性点だけが選択的に失活し、表面のべたつき成分の量が減少し粒子間のべたつき、反応器壁への付着も抑制される。さらに、キラー化合物の添加は、第2工程の重合活性の制御の手段としても、用いられる。これにより、共重合体全量に対する共重合体成分Bの量[W(B)]が制御可能となる。
キラー化合物として、通常は酸素、エタノール、アセトン等の極性を持った化合物が使用される。また、メタロセン触媒を使用する場合は、アルミニウム化合物(スカベンジャー)と反応、相互作用する活性水素を持たず、一方、メタロセン触媒のシングルサイト活性点へは相互作用する極性基を持っている化合物であってもよい。このような化合物としては、ハロゲン化アルキルやエーテル、ビニルエーテル類が挙げられる。
(VI)第1工程終了後のポリマー粒子の粒径
本発明においては、第1工程終了後に第2工程を実施するが、αオレフィン含量が高く、べたつきやすい重合体成分(B)を、第2工程において、いかに安定的に生産するかがポイントとなる。安定生産のためには、べたつきやすいポリマー粒子の付着を防止することが必要である。
そのためには、第1工程終了後のポリマー粒子粒径、すなわち第2工程開始前のポリマー粒子粒径を大きくすることが重要である。ポリマー粒子の粒径が大きいと、上述のとおりキラー化合物の効果が発揮されやすくなるとともに、ポリマー粒子の比表面積が小さくなるため、単位重量あたりのポリマー粒子の接触面積が小さくなるとともに、べたつきやすい重合体成分(B)が表面にブリードアウトする(ポリマー粒子表面へ移動する)速度を遅くできる。この点が本発明の重要なポイントである。
本発明における第1工程終了後のポリマー粒子の平均粒径は、重量平均で700μm以上である。これの測定には、通常の篩分け法(例えば目開き100μm、150μm,212μm、350μm、500μm、710μm、850μm、1000μm、1180μm、1400μm、1700μm、2000μm、2800μm、3000μmの篩を振とう機で10分以上振動分級して測定し結果を対数正規確率紙上にプロットし、50%粒子径を平均粒径として求める方法)やこれらを自動で行うロボットシフターなどを用いても良い。また画像処理を用いるカムサイザーを利用することも好ましい。本発明の実施例のパウダーを種々の測定方法で測定して得られた平均粒径の結果、いずれも数値も同じであった。
バッチ気相重合の場合、分散媒として種ポリマーを存在させて重合する場合があり、この場合は種ポリマーを除去してから平均粒径を測定する必要がある。除去方法には比重で分ける方法や粒径差で分ける方法がある。粒径差で分ける方法とは重合ポリマーよりも著しく小さい粒径の粒子だけを選別した種ポリマーを分散媒に使用し、重合ポリマーとの混合物から著しく小さい種ポリマーだけを篩い分け分離する方法であり、簡便であり好ましい。この方法の場合は種ポリマーの粒径が、重合ポリマーの粒径測定に影響しない領域であることが必要である。つまり重合ポリマーの粒径分布を考慮して、実質上重合ポリマーが存在しない粒径領域(重合ポリマーの存在率が3wt%以下である粒径)の粒径を持つ種ポリマーを使用することが必要である。
第1工程終了時及び第2工程開始時のポリマーの平均粒径の好ましい範囲の下限は、800μm、さらに好ましくは1000μm、より好ましくは1100μm、さらに好ましくは1200μm、さらに一層好ましくは1300μm、きわめて好ましくは1400μm、特に好ましくは1500μm、中でも1600μmである。
(VII)第1工程終了後のポリマー粒子の微粉量
ポリマー粒子の微粉も、また運転安定性に影響する。この量が多いと、反応器壁への付着、移送配管での詰まり、ガス配管への飛散、フィルターの詰まり、など運転安定性に悪影響が出てくる。
微粉の量は、粒径分布測定における粒径212μm以下の量で表され、目開き212μmの篩で、ポリマー粒子を篩い、これを通過した割合で定量できる。微粉量は、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下、中でも0.1質量%以下である。
3.プロピレン系ブロック共重合体の製造に用いる成分
(1)メタロセン系触媒
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体を製造するには、担時型のメタロセン系触媒を使用する。
プロピレン系ブロック共重合体において、分子量及び結晶性分布が広いと、べたつきやブリードアウトが悪化することは、当業者に広く知られるところであるが、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体についても、べたつき及びブリードアウトを抑制するために、分子量及び結晶性分布を狭くできるメタロセン系触媒を用いて、重合させて製造するのが望ましい。
従来のチーグラー・ナッタ系触媒では、べたつきおよびブリードアウト成分となり得る、TREFにおける−15℃可溶分が0.8質量%以下を満たすような、本発明に係る優れたプロピレン系ブロック共重合体が得られないのは、後記の実施例と比較例1,2との対比からも明らかである。
メタロセン系触媒は、一般に、(a)共役五員環配位子を有する周期律表(短周期型)第4〜6族の遷移金属化合物からなるメタロセン錯体と、それを活性化させる(b)助触媒、並びに必要に応じて使用される(c)有機アルミニウム化合物から構成される。
助触媒が固体粒子で無い場合は、メタロセン触媒を担持型とするため、上記成分に加えて(d)担体を構成要素とする。
(a)メタロセン錯体
本発明において用いられるメタロセン錯体としては、代表的なものとして共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物のメタロセン架橋錯体が挙げられ、これらのうち、下記一般式で表されるもの、中でもアズレン系を含むものが好ましい。
Figure 2008184498
(式中、Mは、ZrまたはHfである。XおよびYは、補助配位子であり、成分(b)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させるものである。AおよびA’は、置換基を有していてもよいインデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基である。Qは、AとA’を架橋する基である。AおよびA´は、さらに副環上に置換基を有していてもよい。)
AおよびA´としては、インデニル基またはアズレニル基、特にアズレニル基が好ましい。
Qは、二つの共役五員環などの配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を表し、具体的にはアルキレン基、シリレン基或いはゲルミレン基であるのが好ましい。
Mは、周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどである。特にジルコニウムまたはハフニウムが好ましい。
XおよびYは、補助配位子であり、成分(b)の助触媒と反応して、オレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX,Yは、配位子の種類が制限されるものではなく、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、或いはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基などが例示できる。これらのうち好ましいものは炭素数1〜10の炭化水素基、或いはハロゲン原子である。
メタロセン錯体(a)の具体的化合物として、以下のものを例示することができる。
置換基が環を構成しているシクロペンタジエニル配位子を2個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体において、アズレン系のものとしては、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−イソプロピル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ハフニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ハフニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4―(3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル−4H−アズレニル)}ハフニウムジクロリド、などが挙げられる。
アズレン系であって他の共役多員環配位子が異なるものとしては、ジメチルシリレ2ン[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}][1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル}]ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレン{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ハフニウムジクロリドなどが挙げられる。
インデニル配位子を2個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体としては、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ハフニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ハフニウムジクロリド、などが挙げられる。
これら具体例の化合物のシリレン基をゲルミレン基に、またはその逆に置き換えた化合物も、好適なものとして例示される。ハフニウムをジルコニウムに置き換えた化合物も、使用できる。所望の共重合体の分子量が高い場合はハフニウム化合物が好ましい。
上記成分(a)として好ましいのは、炭化水素置換基を有するシリレン基、ゲルミレン基或いはアルキレン基で架橋された置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換フルオレニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなる遷移金属化合物、中でも炭化水素置換基を有するシリレン基、或いはゲルミレン基で架橋されたものや、また置換インデニル基、置換アズレニル基を有する配位子からなるものが好ましく、特に2位または4位、若しくは2位および4位に置換基を有するものが好ましい。
(b)助触媒(活性化剤成分)
助触媒は、メタロセン錯体を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させ得る化合物であり、具体的には、下記(b−1)〜(b−4)のものが挙げられる。特に好ましいのは(b−4)のイオン交換性層状珪酸塩である。
(b−1)アルミニウムオキシ化合物
(b−2)成分(a)と反応して、成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸
(b−3)固体酸
(b−4)イオン交換性層状珪酸塩
(b−1)のアルミニウムオキシ化合物がメタロセン錯体を活性化できることは、周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の各一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2008184498
上記の各一般式中、Rは、水素原子または炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、中でも炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
上記一般式のうち、一番目及び二番目の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
上記一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式:RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。
一般式中、R及びRは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
(b−2)の化合物は、成分(a)と反応して、成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物などが挙げられる。また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えば、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。或いは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(a)と反応して、成分(a)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
ここで、成分(b−1)、成分(b−2)を担持する微粒子状担体としては、シリカ、アルミナ、マグネシア、シリカアルミナ、シリカマグネシアなどの無機酸化物、塩化マグネシウム、オキシ塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化ランタンなどの無機ハロゲン化物、さらには、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、スチレンジビニルベンセン共重合体、アクリル酸系共重合体などの多孔質の有機担体を挙げることができる。
(b−3)の固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどが挙げられる。
(b−4)のイオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は、各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
(I)2:1型鉱物類:
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族;バーミキュライトなどのバーミキュライト族;雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族;パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト−タルク族;Mg緑泥石などの緑泥石族
(II)2:1リボン型鉱物類:
セピオライト、パリゴルスカイトなど
珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であるのが好ましく、スメクタイト族であることがより好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。珪酸塩については、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すのが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常、吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。なおこれらの化学処理の程度によってはイオン交換性が小さくなっている場合があるが、化学処理前の原料がイオン交換性層状珪酸塩であれば、特に問題ない。
(c)有機アルミニウム化合物
メタロセン触媒系に、必用に応じて使用される有機アルミニウム化合物としては、ハロゲンを含有しないものが使用され、具体的には一般式:
AlR3−i
(式中、Rは、C1〜20の炭化水素基、Xは、水素、アルコキシ基、iは、0≦i≦3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0≦i<3とする。)
で示される化合物が使用される。
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、またはジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルコキシ含有アルキルアルミニウム、さらにはジエチルアルミニウムハライドなどのハライド含有アルキルアルミニウムが挙げられる。
これらのうち、特にトリアルキルアルミニウム、中でもトリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムが好ましい。
(d)担体
メタロセン触媒系において、必要に応じ適宜用いられる担体としては、各種公知の無機或いは有機の微粒子状固体を挙げることができる。担体の平均粒径は、通常5〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは46〜100μm、特に好ましくは50〜100μmである。
また、担体の比表面積は、通常50〜1,000m/g、好ましくは100〜500m/gであり、担体の細孔容積は、通常0.1〜2.5cm/g、好ましくは0.2〜0.5cm/gである。
無機固体の例示としては、多孔質酸化物が挙げられ、必要に応じて100〜1,000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。
具体的には、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど、またはこれらの混合物、たとえばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgOなどが挙げられる。これらのうち、SiOまたはAlを主成分とするものが好ましい。
また、上記(b)助触媒のうち固体のものであれば、担体兼助触媒として使用することが可能であり、かつ好ましい。具体例としては、(b−3)固体酸や(b−4)イオン交換性層状珪酸塩などが挙げられる。特に(b−4)イオン交換性層状珪酸塩を担体兼助触媒として使用するのが好ましい。ブロック共重合体の粒子性状を向上させるためには、各種公知の造粒を行うのが好ましい。
有機固体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体或いはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体の固体を例示することができる。
[触媒成分の接触]
成分(a)と成分(b)、及び必要に応じて成分(c)を接触させて触媒とする。その接触方法は、特に限定されないが、以下のような順序で接触させることができる。また、この接触は、触媒調製時だけでなく、オレフィンによる予備重合時またはオレフィンの重合時に行ってもよい。
(I)成分(a)と成分(b)を接触させる。
(II)成分(a)と成分(b)を接触させた後に、成分(c)を添加する。
(III)成分(a)と成分(c)を接触させた後に、成分(b)を添加する。
(IV)成分(b)と成分(c)を接触させた後に、成分(a)を添加する。
(V)その他、三成分を同時に接触させてもよい。
好ましい接触方法は、成分(b)と成分(c)を接触させた後、未反応の成分(c)を洗浄等で除去し、その後、再度必要最小限の成分(c)を成分(b)に接触させ、その後成分(a)を接触させる方法である。この場合のAl/遷移金属のモル比は、0.1〜1,000、好ましくは2〜10、より好ましくは4〜6の範囲である。
成分(a)と成分(c)を接触させる(その場合成分(b)が存在していてもよい)温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜80℃、特に好ましくは30〜60℃である。この温度範囲より低い場合は、反応が遅くなるし、また、高い場合は、成分(a)の分解反応が進行する。
また、成分(a)と成分(c)を接触させる(その場合成分(b)が存在していてもよい)場合には、有機溶媒を溶媒として存在させるのが好ましい。この場合の成分(a)の有機溶媒中での濃度は、高い方が良く、好ましくは3mM以上,より好ましくは4mM以上、特に好ましくは6mM以上である。
上記の触媒成分のうち成分(a)と成分(b)の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
成分(b)がアルミニウムオキシ化合物の場合は、Al/遷移金属のモル比は、通常10以上100,000以下、さらに100以上20,000以下、特に100以上10,000以下の範囲が適する。一方、成分(b)としてイオン性化合物或いはルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は、0.1〜1,000、好ましくは1〜100、より好ましくは2〜10の範囲である。
成分(b)として、固体酸或いはイオン交換性層状珪酸塩を用いる場合は、成分(b)1gにつき、遷移金属錯体0.001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲である。また、その場合成分(b)は、酸点を持つのが好ましい。酸点の量の下限については、成分(b)1gにつきpKa<−8.2以下の強酸点において、好ましくは30μモル、より好ましくは50μモル、特に好ましくは100μモルである。酸点の量は、特開2000−158707号公報の記載に従い、測定される。
(2)予備重合
本発明に用いられる触媒は、粒子性の改良のために、予めオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付すのが好ましい。
使用するオレフィンは、特に限定はないが、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどを使用することが可能であり、特にプロピレンを使用するのが好ましい。
オレフィンの供給方法は、オレフィンを反応槽に定速的に或いは定圧状態になるように維持する供給方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせるなど、任意の方法が可能である。
予備重合時間は、特に限定されないが、5分〜24時間の範囲であるのが好ましい。また、予備重合量は、予備重合ポリマー量が成分(b)1質量部(成分(b)の助触媒が固体粒子で無い場合は、担体(d))に対し、好ましくは0.01〜100質量部、より好ましくは0.1〜50質量部である。予備重合を終了した後に、触媒の使用形態に応じ、そのまま使用することが可能であるが、必要ならば乾燥を行ってもよい。
予備重合温度は、特に制限されないが、通常0℃〜100℃、好ましくは10〜70℃、より好ましくは20〜60℃、特に好ましくは30〜50℃である。この範囲を下回ると反応速度が低下したり、活性化反応が進行しないという弊害が生じる可能性があり、上回ると予備重合ポリマーが溶解したり、予備重合速度が速すぎて粒子性状が悪化したり、副反応のため活性点が失活するという弊害が生じる可能性がある。
予備重合時には、有機溶媒等の液体中で実施することもでき、むしろそうするのが好ましい。予備重合時の固体触媒の濃度は、特に制限されないが、好ましくは50g/L以上、より好ましくは60g/L以上、特に好ましくは70g/L以上である。濃度が高い方がメタロセンの活性化が進行し、高活性触媒となる。
本発明におけるような高分子量かつ高活性触媒を実現する方法としては、特に制限は無いが、下記の事項を満たすことが好ましい。
(I)成分(b)1gあたりのpKa<−8.2の酸量が30μmol/g以上となるように化学処理されていること。
(II)成分(b)と成分(c)を接触させた後に、成分(a)を添加すること。
(III)成分(a)としてハフニウム含有メタロセン錯体を使用すること。
(IV)成分(a)を成分(c)と接触する工程におけるAl/Hfのモル比が4〜6であること。
(V)成分(a)と成分(b)と成分(c)を接触する反応温度が30〜60℃であること。
(VI)成分(a)と成分(b)と成分(c)を接触する反応時、成分(a)の有機溶媒中の濃度が3.7M以上であること。
本発明では、これらの組合せにより触媒の活性を飛躍的に増大させ、プロピレン−αオレフィン共重合体を大粒径パウダーとして、したがって、べたつき無く良好な流動性で製造することができたものである。
さらに、上記各成分の接触の際、もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどの重合体やシリカ、チタニアなどの無機酸化物固体を共存させることも可能である。
4.付加的成分
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体においては、必要に応じ、付加的成分(任意成分)を本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することもできる。
この付加的成分としては、従来ポリオレフィン樹脂用配合剤として通常用いられている添加剤、例えば核剤、フェノール系酸化防止剤、燐系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、過酸化物、充填剤、抗菌防黴剤、蛍光増白剤等を挙げることができる。
これら添加剤の配合量は、一般に0.0001〜3質量%、好ましくは0.001〜1質量%である。
核剤の具体例としては、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸ナトリウム、タルク、1,3,2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール等のソルビトール系化合物、ヒドロキシ−ジ(t−ブチル安息香酸アルミニウム)、2,2−メチレン−ビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)燐酸と炭素数8〜20の脂肪族モノカルボン酸リチウム塩混合物(旭電化社製商品名NA21)等を挙げることができる。
フェノール系酸化防止剤の具体例としては、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌル酸等を挙げることができる。
燐系酸化防止剤の具体例としては、トリス(ミックスド、モノ及びジノニルフェニルホスファイト)、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、4,4´−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニル−ジ−トリデシル)ホスファイト、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ジ−トリデシルホスファイト−5−t−ブチルフェニル)ブタン、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェニル)−4,4´−ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト等を挙げることができる。
硫黄系酸化防止剤の具体例としては、ジ−ステアリル−チオ−ジ−プロピオネート、ジ−ミリスチル−チオ−ジ−プロピオネート、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリル−チオ−プロピオネート)等を挙げることができる。
中和剤の具体例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ハイドロタルサイト、ミズカラック(水沢化学(株)製)等を挙げることができる。
ヒンダードアミン系の安定剤の具体例としては、コハク酸ジメチルと1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの重縮合物、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、N,N−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス[N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ]−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル}イミノ]、ポリ[(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル)[(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ]ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]等を挙げることができる。
滑剤の具体例としては、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘン酸アミド、エチレンビスステアロイド等の高級脂肪酸アミド、シリコーンオイル、高級脂肪酸エステル等を挙げることができる。
帯電防止剤としては、高級脂肪酸グリセリンエステル、アルキルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、アルキルジエタノールアミド脂肪酸モノエステル等を挙げることができる。
また、本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体には、必要に応じ、他の樹脂、例えばエチレン−プロピレン系ゴム、エチレン−ブテン系ゴム、エチレン−ヘキセン系ゴム、エチレン−オクテン系ゴム等を、本発明の目的を損なわない範囲で適宜配合することもできる。本共重合体以外の樹脂は、本共重合体に対し最大30質量%、好ましくは20質量%まで配合することができる。
これらの付加的成分は、本共重合体に、直接添加し溶融混練して使用することも可能であるし、溶融混練中に添加してもよい。さらには、溶融混練後に直接添加、或いは、本発明の目的を損なわない範囲で適宜マスターバッチとして添加することも可能である。また、これらの複合的な手法により添加してもよい。
一般的には、酸化防止剤や中和剤などの添加剤を配合して、混合、溶融、混練された後、製品に成形され使用される。成形時に本発明の効果を著しく損なわない範囲内で他の樹脂、或いは、その他の付加的成分を添加し使用することも可能である。
混合、溶融、混練は、従来公知のあらゆる方法を用いることができるが、通常、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、Vブレンダー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー、バンバリーミキサー、ニーダーブレンダー、一軸又は二軸の混練押出機にて実施することができる。これらの中でも一軸又は二軸の混練押出機により混合或いは溶融混練を行うのが好ましい。
5.プロピレン系ブロック共重合体の用途及び成形方法
(1)用途
本発明に係るプロピレン系ブロック共重合体は、柔軟性に優れ、製品が耐熱性と耐寒性を有するため、広い温度での使用が可能であり、さらに、耐熱性を有しながら比較的低い温度での成形加工が可能であり、べたつきやブリードアウトが抑制されるという特徴を持つため、フィルム、シート、各種容器、各種成形品、各種被覆材などに好適である。
特に、シートにおいては、成形性が優れるとともにブリードアウトが抑制され、べたつき感が顕著に低減されることでブリードアウトが発生しにくいため好適である。
また、各種包装材や容器として用いられる場合には、冷凍状態での保存から沸騰状態での殺菌にも耐え、特に、冷凍保存用に適している。さらに、ブリードアウトによる内容物汚染が非常に小さく、食品や医療及び産業用の各分野に好適である。
成形品としても、同様に使用温度範囲が広く、ブリードアウトによる経時の外観悪化がなく、好適に用いることができる。特に、ヒンジ部を持つキャップや各種の蓋材としての使用は、繰り返しの曲げによる白化や、そこからの疲労破壊の発生が抑制され極めて好適に使用できる。
(2)成形方法
これらの各種製品の成形方法としては、公知の成形法を制限なく用いることができる。
フィルムやシートの成形法の例としては、空冷インフレーション成形、水冷インフレーション成形、Tダイによる無延伸成形、一軸延伸成形、二軸延伸成形、カレンダー成形などを用いることができる。
また、フィルムやシートとして使用する場合に、多層構成中の層としての使用も可能である。その柔軟性を生かし中間層に使用することも可能であるし、べたつきやブリードアウトが抑制され、強度に優れ低温での成形が可能である点を生かし表面層としての使用も可能である。
容器などの成形としては、熱板成形、圧空成形、真空成形、真空圧空成形、ブロー成形、延伸ブロー成形、射出成形、インサート成形等を用いることができる。
次に実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
(1)第1工程のプロピレン系重合体成分(A)中のエチレン含有量E(A)の算出
特開2003−73426号公報に記載の13C−NMRによるエチレン含量測定法により算出した標準サンプルのエチレン含量を元に、赤外吸収スペクトルでの700−760cm−1の範囲のピークの高さI[absorbance]とエチレン含量E(A)[質量%]との関係式(下記式[1])を算出し、これを用いて算出した。
第1工程終了時にあらかじめ5gの重合体成分(A)抜き出しておき、190℃プレス成形にて、これの0.5mmのシートを作成し、これの赤外吸収スペクトルを測定した。下記式[1]中のD[mm]は、シート厚みであり、10μm単位まで正確に測定した数値を用いた。
式[1]: E(A)=5×I/D + 0.0613
(2)プロピレン−エチレン系ブロック共重合体中のゴム(第2工程のエチレン−プロピレン共重合体:EPR)含量(=W(B))、EPR中のエチレン含量(E(B))及びEPRの重量平均分子量(MwEPR)の測定方法。
クロス分別装置(ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100)、フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析(FT−IR パーキンエルマー社製1760X)、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を、特開2005−220235号公報と同様の方法で組合せ(これをCFC−IRと略す)、同様に測定、解析した。CFC−IRの40℃可溶分の量からW(B)を、CFC−IRの40℃可溶分中のエチレン含量からE(B)を求めた。
なお、上記手法で第1工程と第2工程の共重合体が分離できない場合のαオレフィン含有量は、JEOL GSX−400を用い、13C−NMRを用い下記条件で測定して決定した。
溶媒:オルトジクロロベンゼン(Dロック溶媒として重ベンゼン20%添加)
サンプル管:直径10mm
試料:300mg
パルス角:90℃
積算回数:5000回以上
(3)加熱時のパウダー付着性測定法
水平な台の上に置いた高さ72mm、内径52mm、外径60mmのステンレス製円筒の中に、高さ30mm、直径50mmのステンレス製円柱を入れ、円柱の上部空間に測定パウダーをすり切り一杯になるまで満たした。その後60℃で30分静置させたあと円筒を上に引き抜き残存するパウダーの高さ(円柱の上面からパウダーの山の頂点までの垂直距離を測定した。尚、この値が小さい程、重合パウダーの付着性が小さく流動性が良好であることを意味する。
(4)加熱時のパウダー圧密性測定
水平な台の上に置いた高さ72mm、内径52mm、外径60mmのステンレス製円筒の中に、測定パウダーをすり切り一杯になるまで満たした。この上に高さ30mm、直径50mmのステンレス製円柱を置き、その後80℃で30分、23℃で30分静置し圧密させたあと円柱を取り去りさらに円筒を上に引き抜き、円筒状に残存する圧密パウダーの塊が崩壊するまでの時間を測定した。尚、この値が小さい程、重合パウダーの圧密性が小さく流動性が良好であることを意味する。
(5)融解ピーク温度Tm(A)の測定
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(A)を190℃でプレスしてシートを作成し、これを5mgとなるように秤量した。これをアルミパンにいれふたをしてからDSC測定装置(セイコー電子工業製DSC−6200)にセットした。室温から200℃まで100℃/分の速度で昇温し、そのまま5分間保持し、230℃から40℃まで5℃/分の速度での降温によって結晶化温度を求めた。さらに融点は、40℃から200℃まで10℃/分の速度での昇温によって求めた。
(6)TREFによる測定
試料を140℃でo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)に溶解し溶液とする。これを140℃のTREFカラムに導入した後に、8℃/分の降温速度で100℃まで冷却し、引き続き4℃/分の降温速度で−15℃まで冷却し、60分間保持した。その後に、溶媒である−15℃のo−ジクロロベンゼン(0.5mg/mlBHT入り)を1ml/分の流速でカラムに流し、TREFカラム中で−15℃のo−ジクロロベンゼンに溶解している成分を10分間溶出させ、次に昇温速度100℃/時間にてカラムを140℃までリニアに昇温し、溶出曲線を得た。
(7)担体の水分含量の測定
ダイヤインスツルメンツ社製CA−07および水分気化装置ダイヤインスツルメンツ社製VA−21を用い、電気炉温度400℃、液滴終点0.4μg/sの条件で測定した。
(8)粒径分布の測定
堀場製作所社製レーザー回折・散乱式粒子径分布測定装置LA−920を用い、分散溶媒をエタノール、屈折率1.0、形状係数1.0の条件で測定した。
(9)ポリマー粒子の平均粒径の測定
レッチェテクノロジー社製、粒度分布測定装置カムサイザーを使用してサンプルポリマー粒子約15−20gの粒子径を求めた。DIN66141のQ3(0.5)(質量基準による累積分布Q3(x)のX=0.5の値)の粒子径を平均粒径とした。
(10)ポリマー嵩密度(BD)の測定
ASTM D1895−69に準拠し測定した。
(11)MFR(メルトマスフローレート)の測定
測定する時間を10分間にした以外は、JIS K7210A法 条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃
荷重:2.16kg
ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.00mm
[実施例1]
(1)触媒合成
(a)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた3Lセパラブルフラスコに、純水2250gを投入し、98%硫酸665gを滴下し、内部温度を90℃にした。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:47.1μm)を400g添加後撹拌した。その後90℃で3時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、2Lの純水で5回洗浄した。
このようにして回収されたケーキを、5Lビーカー内において硫酸亜鉛7水和物423gを純水1523mlに溶解させた水溶液に加えて室温で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、2Lの純水で5回洗浄してケーキを回収し、これを120℃で終夜乾燥して296gの化学処理モンモリロナイトを得た。これを目開き74μmの篩にて篩い分けし篩上分を除去したところ、篩通過分は全体の重量の92%であった。
(b)乾燥工程
上記(a)で得た化学処理モンモリロナイトを容積1Lのフラスコに入れ、200℃で3時間減圧乾燥させたところガスの発生が収まった。その後さらに2時間減圧乾燥して被処理モンモリロナイトを得た。その水分含量を測定したところ、水分値は1.14質量%であった。
(c)被処理モンモリロナイトの有機アルミニウム処理
内容積1Lのフラスコに上記b.で得た被処理モンモリロナイト19.9gを秤量し、ヘプタン72ml、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液128.0ml(50.1mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄したのち、溶媒量が100ml量に調整されたスラリーを得た。
(d)プロピレンによる予備重合
上記(c)で得たスラリーに、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液6.13ml(2400μmol)を加えた。ここに、別のフラスコ(容積200ml)中で、(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム439mg(600.7μmol)にヘプタン(60ml)を加えたスラリーを加えて、60℃で60分間撹拌した。
このようにして得られたスラリーに、さらにヘプタン340mlを追加して全量を500mlに調整し、十分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入した。オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間40℃を維持した。
その後、残存モノマーをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を400ml抜き出した。続いてトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液16.72ml(12.01mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥して固体触媒を62.60g回収した。
予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.06であった。
(2)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
内容積3Lの撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/ml)2.86mlを加え、水素を標準状態の体積で70ml、エチレン25g、続いて液体プロピレン750gを導入し、65℃に昇温した。上記(2)で得られた予備重合触媒をヘプタンにスラリー化し、固体触媒として10mg(予備重合ポリマーを除く正味の固体触媒の量;以下同様)をヘプタン3mlと共に圧入して重合を開始した。
触媒投入後10分間槽内温度を65℃に維持した。残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン(登録商標)管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。抜き出し量は15.7gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを76:24のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後90分間、内温を65℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンを57:43のモル割合で供給し気相共重合を実施した。重合終了後、回収したポリマーは、75℃、減圧下で60分間乾燥した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.428g/ccであり、良好な流れ性を示した。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例2]
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
水素の量を標準状態の体積で45ml、エチレン量を12.5g、固体触媒量を15mg、重合時間を20分とした以外は、実施例1の第1工程と同様に実施した。
第1工程終了後のポリマー抜き出し量は13.7gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを89:11のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後90分間、内温を65℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンを89:11のモル割合で供給し気相共重合を実施した。重合終了後、回収したポリマーは、75℃、減圧下で60分間乾燥した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.399g/ccであり、良好な流れ性を示した。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例3]
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
実施例2の第1工程と同様に実施した。
第1工程終了後のポリマー抜き出し量は16.2gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
エチレンとプロピレンの比を72:28のモル比に変えた以外は、実施例2の第2工程と同様に実施した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.499g/ccであり、良好な流れ性を示した。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例4]
(1)触媒合成
内容積1Lのフラスコに、実施例1の(1)触媒合成の(a)、(b)と同様にして合成、乾燥したモンモリロナイト39.37gを秤量し、ヘプタン261ml、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液139.2ml(99.9mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を50mlに調製した。
これに、トリトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液6.68ml(4796μmol)を加えた。ここに、別のフラスコ(容積200ml)中で、(r)ジクロロ[1,1´−シラフルオレニルビス{2−エチル−4−(4−トリメチルシリル−3,5−ジクロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム1427mg(1213μmol)にヘプタン(30ml)を加えたスラリーを加えて、60℃で60分間撹拌した。
次に、上記スラリーに、さらにヘプタン414mlを追加して全量を500mlに調整し、充分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入した。オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを40g/時間の速度で供給し、温度を維持した。2時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間40℃を維持した。
その後、残存モノマーをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を285ml抜き出した。
続いてトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液33.44ml(24.02mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥して固体触媒を128.8g回収した。
予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.11であった。
(2)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
水素の量を標準状態の体積で150ml、エチレン量を24g、固体触媒量を10mg、重合時間を30分、重合温度を65℃とした以外は実施例1の第1工程と同様に実施した。
第1工程終了後のポリマー抜き出し量は18.8gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを71:29のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後60分間、内温を70℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンと水素を50:50:0.0077のモル割合で供給し、気相共重合を実施した。重合終了後、回収したポリマーは、75℃、減圧下で60分間乾燥した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.443g/ccであり、良好な流れ性を示した。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例5]
(1)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)の気相重合法による製造
内容積3Lの撹拌機付オートクレーブ内に、種ポリマー(あらかじめ粒径200μm以下ならびに600μm以上のものを篩い分けにて除去したTm135℃のプロピレンーエチレンランダム共重合体)を入れ、90℃で1時間窒素を流しながら乾燥した。内温を65℃にした後、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/ml)2.86mlを加え、実施例1の予備重合触媒(固体触媒重量で10mg)を導入した。別途14Lの撹拌機付オートクレーブ内に90℃でエチレンとプロピレンを23:77のモル比で2.0MPaGとなるように昇圧しさらに水素を標準状態の体積で100ml入れた。これを上記3Lのオートクレーブに導入し、2.0MPaになるように昇圧し内温70℃で15分重合した。その後残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン(登録商標)管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを73:27のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後45分間、内温を70℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンと水素を50:50:0.003のモル割合で供給し、気相共重合を実施した。
重合終了後、回収したポリマーは、75℃、減圧下で60分間乾燥した。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例6]
(1)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)の気相重合法による製造
内容積3Lの撹拌機付オートクレーブ内に、種ポリマー(あらかじめ粒径200μm以下ならびに600μm以上のものを篩い分けにて除去したTm135℃のプロピレンーエチレンランダム共重合体)を入れ、90℃で1時間窒素を流しながら乾燥した。内温を53℃にした後、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/ml)2.86mlを加え、実施例4の予備重合触媒(固体触媒重量で20mg)を導入した。別途14Lの撹拌機付オートクレーブ内に90℃でエチレンとプロピレンを27:73のモル比で2.0MPaGとなるように昇圧しさらに水素を標準状態の体積で300ml入れた。これを上記3Lのオートクレーブに導入し、2.0MPaになるように昇圧し内温55℃で60分重合した。その後残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン(登録商標)管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを75:25のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後90分間、内温を70℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンと水素を80:77:0.059のモル割合で供給し気相共重合を実施した。重合終了後、回収したポリマーは、75℃、減圧下で60分間乾燥した。
表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例7]
(1)触媒合成
(a)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた3Lセパラブルフラスコに、純水2250gを投入し、98%硫酸670gを滴下し、内部温度を90℃にした。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:51.0μm)を400g添加後、撹拌した。その後、90℃で3.5時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、2Lの純水で5回洗浄した。
このようにして回収されたケーキは、5Lビーカー内において硫酸亜鉛7水和物423gを純水1500mlに溶解させた水溶液に加えて室温で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて濾過し、2Lの純水で5回洗浄してケーキを回収し、これを120℃で終夜乾燥して300gの化学処理モンモリロナイトを得た。これを目開き74μmの篩にて篩い分けし篩上分を除去したところ、篩通過分は全体の重量の92%であった。これの平均粒径をレーザー回折・散乱式で測定したところ48μmであった。
(b)乾燥工程
上記(a)で得た化学処理モンモリロナイトを容積1Lのフラスコに入れ、200℃で3時間減圧乾燥させたところ、ガスの発生が収まった。その後さらに2.5時間減圧乾燥して被処理モンモリロナイトを得た。その水分含量を測定したところ、水分値は1.1質量%であった。
(c)被処理モンモリロナイトの有機アルミニウム処理
内容積1Lのフラスコに、上記(b)で得た被処理モンモリロナイト19.9gを秤量し、ヘプタン72ml、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液128.0ml(50.1mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄したのち、100ml量に調整されたスラリーを得た。
(d)プロピレンによる予備重合
上記(c)で得たスラリーに、トリノルマルオクチルアルミニウムのヘプタン溶液6.13ml(2400μmol)を加えた。ここに、別のフラスコ(容積200ml)中で、(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ハフニウム490mg(602.7μmol)にヘプタン(60ml)を加えたスラリーを加えて、60℃で60分間撹拌した。
このようにして得られたスラリーに、さらにヘプタン340mlを追加して全量を500mlに調整し、十分に窒素置換を行った内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入した。オートクレーブ内の温度が40℃に安定したところでプロピレンを20g/時間の速度で供給し、温度を維持した。2時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間40℃を維持した。
その後、残存モノマーをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を370ml抜き出した。続いてトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液16.72ml(12.01mmol)を室温にて加え、その後、減圧乾燥して固体触媒を65.0g回収した。
予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は、2.16であった。
(2)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
内容積3Lの撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/ml)2.86mlを加え、水素を標準状態の体積で70ml、エチレン36g、続いて液体プロピレン750gを導入し、60℃に昇温した。上記(1)で得られた予備重合触媒をヘプタンにスラリー化し、固体触媒として10mg(予備重合ポリマーを除く正味の固体触媒の量;以下同様)をヘプタン5mlと共に圧入して重合を開始した。
触媒投入後、10分間槽内温度を60℃に維持した。残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン(登録商標)管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。抜き出し量は18.4gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを71:29のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後90分間、内温を65℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンを50:58のモル割合で供給し、気相共重合を実施した。重合終了後、回収したポリマーを75℃、減圧下で60分間乾燥した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.419g/ccであり、良好な流れ性を示した。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例8]
(1)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
水素の量を標準状態の体積で70ml、エチレン量を48g、固体触媒量を10mg、重合時間を10分とした以外は、実施例7の第1工程と同様に実施した。第1工程終了後のポリマー抜き出し量は16.7gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを92:8のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後90分間、内温を65℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンを94:18のモル割合で供給し、気相共重合を実施した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.395g/ccであり、良好な流れ性を示した。ポリマーのMFRは、0.055dg/min、エチレン含量は12.9質量%であった。ガスの消費量から算出したW(B)は12.8質量%であった。また、第1工程終了後のポリマー抜き出し品を分析した結果、MFR(A)は0.074dg/min、Tm(A)は116.7℃、、E(A)は4.49質量%、であった。これらから計算したE(B)の値は70.1質量%であった。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例9]
(1)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
エチレン量を60g、重合温度を50℃、重合時間を5分とした以外は、実施例7の第1工程と同様に実施した。第1工程終了後のポリマー抜き出し量は14.6gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを80:20のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後60分間、内温を70℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンと水素の比を50:50:0.01のモル割合で供給し、気相共重合を実施した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.417g/ccであり、良好な流れ性を示した。ポリマーのMFRは0.037dg/min、エチレン含量は13.3質量%であった。ガスの消費量から算出したW(B)は15.4質量%であった。また、第1工程終了後のポリマー抜き出し品を分析した結果、MFR(A)は0.058dg/min、Tm(A)は106.5℃、E(A)は5.49質量%、であった。これらから計算したE(B)の値は56.2質量%であった。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[比較例1]
(1)固体触媒成分の調製
室温で、精製したトルエン(2L)、Mg(OEt)(200g)、TiCl(1L)を窒素置換した10Lのオートクレーブに導入した。温度を90℃に上げて、フタル酸ジ−n−ブチルを50ml導入した。その後、温度を110℃に上げて3時間反応を行い、その後トルエンで洗浄した。トルエンで全体の液量を2Lに調整した後、室温でTiClを1L添加し、温度を110℃に上げて2時間反応を行った。反応生成物を精製したトルエンで充分に洗浄した。更に、精製したn−ヘプタンを用いて、トルエンをn−ヘプタンで置換し、固体触媒成分のスラリーを得た。
(2)予備重合
上記固体触媒成分のスラリーに精製したn−ヘキサンを導入して、固体触媒成分の濃度を20g/Lとした。スラリーを室温で、AlEt(10g)、iPrSi(Me)(2.3g)を添加し、200gのプロピレンを4時間かけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30分反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、固体触媒を得た。
(3)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
3Lオートクレーブに上記固体触媒を2mg、トリイソブチルアルミニウムの代わりにトリエチルアルミニウムを91mg、シクロヘキシルメチルジメトキシシランを30mg、水素を標準状態体積で6000ml、エチレンを18g入れたこと以外は、実施例1と同様に第1工程の重合を実施した。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンと水素を35:73:2のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後30分間、内温を65℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンと水素を43:55:2のモル割合で供給し気相共重合を実施した。重合終了後、回収したポリマーは75℃減圧下で60分間乾燥した。
ポリマー物性は、表1にまとめた。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のとおり粒子同士は凝集が起こりやすいものであり、好ましくないことが分かる。
[比較例2]
3Lオートクレーブに、比較例1の固体触媒を2mg、トリイソブチルアルミニウムの代わりにトリエチルアルミニウムを91mg、シクロヘキシルメチルジメトキシシランを30mg、水素を標準状態体積で6000ml、エチレンを10g入れたこと以外は、実施例1と同様に第1工程の重合を実施した。残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン(登録商標)管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出そうとしたが、抜き出せなかった。
そのため重合をこの段階で中断し、オートクレーブを開放したところ、ポリマー粒子が凝集していた。また重合層内の器壁にはべたつき成分が付着していた。ポリマー粒子の嵩密度(BD)は測定不能であり、ポリマー粒子の流れ性は不良であった。Tm(A)は133.2℃、E(A)は5.5質量%であった。ポリマー物性は、表1にまとめた。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のとおり、粒子同士は凝集が起こりやすいものであり、好ましくないことが分かる。
[実施例10]
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
水素の量を標準状態の体積で150ml、エチレン量を19g、固体触媒量を12mg、重合時間を15分とした以外は実施例1の第1工程と同様に実施した。
第1工程終了後のポリマー抜き出し量は16.7gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを64:116のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後44分間、内温を65℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンと水素を65:245:0.2のモル割合で供給し、気相共重合を実施した。重合終了後、回収したポリマーは75℃減圧下で60分間乾燥した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.426g/ccであり、良好な流れ性を示した。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[比較例3]
(1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
10リットルの撹拌翼の付いたガラス製セパラブルフラスコに、蒸留水3.75リットル、続いて濃硫酸(96%)2.5kgをゆっくりと添加した。50℃で、さらにモンモリロナイト(水澤化学社製ベンクレイSL;平均粒径=25μm、粒度分布=10〜60μm)を1kg分散させ、90℃に昇温し、6.5時間その温度を維持した。50℃まで冷却後、このスラリーを減圧濾過し、ケーキを回収した。このケーキに蒸留水を7リットル加え再スラリー化後、濾過した。この洗浄操作を、洗浄液(濾液)のpHが、3.5を越えるまで実施した。回収したケーキを窒素雰囲気下110℃で終夜乾燥した。乾燥後の重量は707gであった。化学処理した珪酸塩は、ルン乾燥機により乾燥を実施した。
(2)触媒の調製
内容積1リットルの撹拌翼のついたガラス製反応器に上記で得た乾燥珪酸塩20gを導入し、混合ヘプタン116ml、さらにトリエチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.60M)84mlを加え、室温で撹拌した。1時間後、混合ヘプタンにて洗浄し、珪酸塩スラリーを200mlに調製した。次に、調製した珪酸塩スラリーにトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M/L)0.96mlを添加し、25℃で1時間反応させた。平行して、〔(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウム〕218mg(0.3mmol)と混合ヘプタン87mlに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(0.71M)を3.31ml加えて、室温にて1時間反応させた混合物を、珪酸塩スラリーに加え、1時間撹拌後、混合ヘプタンを追加して500mlに調製した。
(3)予備重合
窒素で十分置換を行った内容積1.0リットルの撹拌式オートクレーブに、先に調製した珪酸塩/メタロセン錯体スラリーを導入した。温度が40℃に安定したところでプロピレンを10g/時間の速度で供給し、温度を維持した。4時間後プロピレンの供給を停止し、さらに2時間維持した。予備重合終了後、残モノマーをパージし、撹拌を停止させ約10分間静置後、上澄みを240mlデカントした。
続いてトリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液0.95ml、さらに混合ヘプタンを560ml添加し、40℃で30分間撹拌し、10分間静置した後に、上澄みを560ml除いた。さらにこの操作を3回繰り返した。
最後の上澄み液の成分分析を実施したところ有機アルミニウム成分の濃度は、1.23ミリモル/L、Zr濃度は8.6×10−6g/Lであり、仕込み量に対する上澄み液中の存在量は0.016%であった。続いて、トリイソブチルアルミニウム(0.71M/L)のヘプタン溶液17.0ml添加した後に、45℃で減圧乾燥を実施した。この操作により触媒1g当たりポリプロピレンが2.0gを含む予備重合触媒が得られた。
この予備重合触媒を用いて、以下の手順に従ってプロピレン−エチレンランダムブロック共重合体の製造を行った。
(4)第1工程:
撹拌および温度制御装置を有する内容積3Lのオートクレーブをプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウム・n−ヘプタン溶液2.76ml(2.02mmol)を加え、エチレン27g、水素250ml、続いて液体プロピレン750gを導入し、70℃に昇温しその温度を維持した。上記の予備重合触媒をn−ヘプタンでスラリー化し、触媒として(予備重合ポリマーの重量は除く)15mgを圧入し重合を開始した。槽内温度を70℃に維持して20分重合を継続した。その後、常圧まで残モノマーをパージし、さらに精製した窒素で完全に置換した。生成したポリマーを一部サンプリングして分析したところ、エチレン含量2.6wt%、MFR16.2g/10分、DSC融解ピーク温度Tm(A)131℃であった。
(5)第2工程:
別途、撹拌および温度制御装置を有する内容積20Lのオートクレーブを用いて、第2工程で使用する混合ガスを調製した。調製温度は80℃、混合ガス組成はエチレン25.96vol%、プロピレン73.89vol%、水素1500volppmであった。第1工程にてポリマーを一部サンプリングした後、この混合ガスを3Lのオートクレーブに供給し第2工程の重合を開始した。重合温度は80℃、圧力2.5MPaGにて97分重合を継続した。その後、エタノールを10ml導入して重合を停止した。
回収したポリマーは、オーブンで充分に乾燥した。収量は313g、活性は20.9kg/g−触媒、エチレン含量7.6wt%、MFR16.2g/10分であった。ポリマー物性は、表1にまとめた。得られたポリマーのパウダー粒径が小さいため、嵩密度(BD)は、0.473g/ccであり、高い数値であり室温においては良好な流れ性を示すが、表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のとおり、粒子同士は凝集が起こりやすいものであり、好ましくないことが分かる。
[実施例11]
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)のバルク重合法による製造
実施例1の第1工程と同様に、実施した。
第1工程終了後のポリマー抜き出し量は19.6gであった。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを188:12のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後44分間、内温を65℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンを86:14のモル割合で供給し、気相共重合を実施した。重合終了後、回収したポリマーは75℃減圧下で60分間乾燥した。
得られたポリマーの嵩密度(BD)は、0.359g/ccであり、良好な流れ性を示した。ポリマー物性は、表1にまとめた。
[実施例12]
(1)重合
第1工程:プロピレン系重合体(プロピレン−エチレンランダム共重合体)成分(A)の気相重合法による製造
内容積3Lの撹拌機付オートクレーブ内に、種ポリマー(あらかじめ粒径200μm以下ならびに600μm以上のものを篩い分けにて除去したTm135℃のプロピレンーエチレンランダム共重合体)を入れ、90℃で1時間窒素を流しながら乾燥した。内温を65℃にした後、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/ml)2.86mlを加え、実施例1の予備重合触媒(固体触媒重量で10mg)を導入した。その後、エチレンとプロピレンと水素を19:81:0.02のモル比で2.2MPaGとなるように昇圧し内温70℃で30分重合した。その後残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン(登録商標)管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。
第2工程:プロピレン−エチレンランダム共重合体成分(B)の気相重合法による製造
重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを20:80のモル比で圧力2.0MPaまで供給した。その後60分間、内温を70℃に保持し、圧力を2.0MPaに保つようにエチレンとプロピレンを51:49のモル割合で供給し、気相共重合を実施した。
重合終了後、回収したポリマーは、75℃、減圧下で60分間乾燥した。表1に示した加熱時のパウダー圧密性測定の数値のように、粒子性状も良好であることが示された。ポリマー物性は、表1にまとめた。
Figure 2008184498
表1に示すように、比較例1、2と実施例を比較すると、担持メタロセン触媒を用いることで、べたつきの無い粒子性状の良い軟質材料であるプロピレン−αオレフィン共重合体の製造方法が提供できることが分かる。また、比較例3と実施例を比較すると、単に担持メタロセン触媒を用いるだけでは不充分であり、高活性かつ大粒径の担持メタロセン触媒を用い第2工程開始時のポリマー粒子の平均粒径が700μm以上であるような重合方法を採用ことで、はじめて粒子性状のよい粒子性状の良い軟質材料であるプロピレン−αオレフィン共重合体の製造方法が提供できることが分かる。
本発明のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法は、高品質の高付加価値の軟質材料を生産性良く製造できる方法を提供し、産業上、利用可能性が高いものである。

Claims (11)

  1. 担持メタロセン触媒を用いてプロピレン系重合体成分(A)を第1工程で、次いでプロピレン系重合体成分(A)よりもαオレフィン含量が大きいプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)を第2工程で、逐次重合することにより得られ、且つ、
    下記(i)〜(iv)を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
    (i)第2工程開始時のポリマー粒子の平均粒径が700μm以上であること、
    (ii)共重合体全量に対する共重合体成分(B)の割合[W(B)]が3〜95質量%であること、
    (iii)共重合体成分(B)のαオレフィン含量[E(B)]が3〜90質量%であること、
    (iv)プロピレン系重合体成分(A)の融点[Tm(A)]が143℃未満であること。
  2. 担持メタロセン触媒を用いてプロピレン系重合体成分(A)を第1工程で、次いでプロピレン系重合体成分(A)よりもαオレフィン含量が大きいプロピレン−αオレフィンランダム共重合体成分(B)を第2工程で逐次重合することにより得られ、且つ、
    下記(i)〜(iii)及び(v)を満たすことを特徴とするプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
    (i)第2工程開始時のポリマー粒子の平均粒径が700μm以上であること、
    (ii)共重合体全量に対する共重合体成分(B)の割合[W(B)]が3〜95質量%であること、
    (iii)共重合体成分(B)のαオレフィン含量[E(B)]が3〜90質量%であること、
    (v)プロピレン系重合体成分(A)のαオレフィン含量[E(A)]が0.2〜15質量%のものであること。
  3. 共重合体成分(B)のαオレフィン含量[E(B)]が30〜90質量%であることを特徴とする請求項1または2に記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  4. 共重合体全量に対する共重合体成分(B)の割合[W(B)]が15〜70質量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  5. 担持メタロセン触媒は、担体として、イオン交換性層状珪酸塩を用いることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  6. 担持メタロセン触媒は、アズレン系メタロセン錯体を有するものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  7. さらに、下記(vi)を満たすことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
    (vi)プロピレン系重合体成分(A)の昇温溶出分別法(TREF)による−15℃可溶分[S(A)]が2.0質量%以下であること。
  8. 担持メタロセン触媒の担体が46μm以上の平均粒径を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  9. 第1工程における重合温度がプロピレン系重合体成分(A)の融点[Tm(A)]より50℃以上低いことを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  10. 第2工程が気相重合であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
  11. 第1工程が気相重合であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載のプロピレン系ブロック共重合体の製造方法。
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