JP2009275144A - プロピレン系樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】25℃でp−キシレンに不溶となる特定の成分(A)と、25℃でp−キシレンに溶解する特定の成分(B)から構成され、特定の歪硬化度(λmax)等を有するプロピレン系重合体(イ)60〜99重量%と、無機フィラー(ロ)1〜40重量%と、熱可塑性エラストマー(ハ)0〜39重量%とからなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物により達成した。
【選択図】なし
Description
このうち、プロピレン系重合体に関しては、重合段階で結晶性プロピレン系重合体成分とゴム成分をブレンドするブロック共重合体とする方法がよく用いられている。
しかしながら、このブレンド物は、一般にプロピレン系ブロック共重合体と呼ばれるが、厳密な意味で結晶性プロピレン系重合体成分とゴム成分が化学結合しているブロック共重合体ではない。そのため、結晶性プロピレン系重合体成分中で、ゴム成分が粗大に相分離してしまい、衝撃性などの性能を改良する方法としては限界があった。
そのようなブロック共重合体を製造する方法としては、共重合可能なビニル基を末端にもつプロピレン系マクロマーとプロピレン等と共重合する方法が考えられるが、一般的なZigler−Natta触媒といったPP重合用触媒を用いた場合、末端構造は、主に水素で連鎖移動したことにより生成する飽和アルキル末端となり、共重合可能なマクロマーとはならない。また、副生する不飽和アルキル末端としても、共重合不可能なビニリデン末端として生成してしまい、その結果、真に結晶性プロピレン系重合体成分とゴム成分が化学結合したブロック共重合体を製造することは、不可能であった。
しかしながら、特許文献2、非特許文献4に開示される化合物は、分岐構造を有するものの、結晶性プロピレン系重合体成分とゴム成分で構成されていないため、耐衝撃性といった機械物性は良くなっていない。また、特許文献2に開示される化合物の側鎖分子量は、高々Mnで13000(Mw25000程度)と、十分大きくないために溶融物性改良の効果も十分ではない。また、機械物性を向上させるという改質の効果も、十分なものではない。
また、特許文献3、非特許文献2に示される化合物は、非結晶性部位としてアタクチックポリプロピレン(アタクチックPP)を用いているため、結晶性プロピレン系重合体が構成するマトリックス自体の構造を変質してしまい、剛性等の機械的物性を悪化させてしまうという問題点がある。また、特許文献3に開示される化合物の側鎖分子量も、高々Mnが15,700(Mw30,000程度)であり、側鎖の分子量は十分ではなく、溶融物性改良の効果は、十分ではない。また、機械物性を向上させるという改質の効果も、十分なものではない。
しかしながら、これらのプロピレン系共重合体では、分岐鎖の長さが不十分なため、溶融物性を改良する効果も不十分である。
更に、上記欠点を改良するために高分子量化したEPRマクロマーを共重合した化合物および製造方法が開示されているが(特許文献6等参照)、側鎖分子量は、高々Mnが14900(Mw25200程度)で、まだ高分子量化は十分ではなく、その結果、溶融物性を改良する効果も十分ではない。
また、これらの方法では、末端がビニル構造であるマクロマーを効率的に生成させるために、比較的高温かつ低圧でスラリー重合を用いなければならず、生産効率、環境負荷という観点から、好ましいものではない。
しかしながら、α,ω−ジエンを使用した場合は、架橋反応が共重合と同時に進行してしまい、結果的にゲル化してしまうという問題がある。また、そのような方法で製造した共重合体中に、α,ω−ジエンの未反応物が残存してしまい、組成物や成形品にしても臭気が残ってしまう等の問題がある。
更にまた、エチレンプロピレンジエンメチレンゴム(以下、EPDMと称する)のジエン部分に、アイソタクチックPPをグラフトさせる技術が開示されているが(特許文献9、非特許文献6等参照。)、主鎖の非結晶性エチレン含有セグメントの分子量が3万程度と不十分であり、溶融物性を改良する効果は、十分ではない。
また、メタロセン系触媒を用いたプロピレン系重合体に、エラストマーや無機フィラーを添加して剛性と衝撃強度のバランスを向上する手法が用いられる(例えば、特許文献11参照)。
こうした状況下に、従来技術における問題点を解消し、高い剛性を維持したまま、優れた衝撃強度や引張り破断強度などの機械的物性バランスに優れ、また、溶融流動性が改良され、成形加工性、成形外観に優れたプロピレン系樹脂組成物に対する早期開発が求められている。
成分(A):次の(A1)〜(A5)に規定する要件を有する25℃でp−キシレンに不溶となる成分(CXIS)。
(A1)重合体全量に対して20重量%〜95重量%未満である、
(A2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(A3)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が93%以上である、
(A4)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上である、
(A5)プロピレン単位と、エチレン単位またはα−オレフィン単位を含有する。
成分(B):次の(B1)〜(B4)に規定する要件を有する25℃でp−キシレンに溶解する成分(CXS)。
(B1)重合体全量に対して5重量%〜80重量%未満である、
(B2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(B3)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0未満である、
(B4)プロピレン単位と、エチレン単位および/またはα−オレフィン単位を含有する。
(1)GPCで測定したQ値(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)が7以下、特に6以下であることを特徴とする上記のプロピレン系重合体。
(2)GPCで曲線における積分値が90%になる分子量M(90)が2,000,000以下であることを特徴とする上記のプロピレン系重合体。
(3)さらに、(iii)MFR(試験条件:230℃、2.16kg荷重)が0.1〜300g/10分であり、(iv)溶融張力(MT)が10〜100gであり、(v)ME(メモリーエフェクト)が1.4〜3.4であることを特徴とする上記のプロピレン系重合体。
以下、本発明のプロピレン系樹脂組成物の各成分、プロピレン系樹脂組成物の製造、成形等について詳細に説明する。
I−1.プロピレン系重合体(イ)
本発明で用いられる、プロピレン系重合体(イ)(共重合体含む)は、25℃でp−キシレンに不溶となる成分(A)と、25℃でp−キシレンに溶解する成分(B)から構成され、且つ、(i)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万であり、(ii)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上である特性・性状を有する。以下、項目毎に、順次説明する。
重量平均分子量(Mw)とは、後述するGPC測定装置及び条件で測定されるものであり、本発明では、Mwが10万〜100万の範囲であることが必要である。
このMwが10万より小さいと、溶融加工性に劣るとともに、機械的強度が不十分であり、一方、Mwが100万を超えると、溶融粘度が高く、溶融加工性が低下する。溶融加工性と機械的強度のバランスから上記の範囲であり、好ましくはMwが15万〜90万、さらに好ましくは20万〜80万の範囲である。
重量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られるものであるが、その測定法、測定機器の詳細は、以下の通りである。
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm
)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図1のように行う。
また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。
分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
したがって、GPCで測定したQ値(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)としては、8以下が好ましく、より好ましくは7以下、さらに好ましくは6以下である。
ここでM(90)とは、前述したGPC測定装置及び条件で測定されるGPCで曲線における積分値が90%になる分子量であり、本発明では、M(90)が2,000,000以下であることが特徴である。このM(90)が2,000,000を超えると、高分子量成分が多くなりすぎ、ゲルが発生したり、溶融加工性を低下させしまう。その為、M(90)は、2,000,000以下であり、また好ましくは1,500,000以下であり、さらに好ましくは1,000,000である。
歪硬化度(λmax)は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと溶融張力が向上したり、成形加工時の成形冷却過程における結晶化の促進作用を大きくすると考えられる。その結果、例えば、射出成形時などの成形外観が向上したり、ブロー成形の時に偏肉がおきにくくなったり、発泡成形を行ったときに、独立気泡率を高くできる。また、剛性を中心とした物性バランスの向上も行えると考えられる。
したがって、この歪硬化度は、1.1以上が必要であり、好ましくは2.0以上、より好ましくは3.0以上である。
また、この歪硬化度は、伸長粘度の非線形性を表す指標であり、通常、分子の絡み合いが多いほど、この値が大きくなると言われている。分子の絡み合いは、分岐の量、分岐鎖の長さに影響を受ける。したがって、分岐の量、分岐の長さが長いほど、歪硬化度は、大きくなる。
装置:Rheometorics社製 Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
装置:東洋精機社製、Melten Rheometer
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:東洋精機社製キャピログラフを用い、180℃で内径3mmのオリフィスを用いて、速度10〜50mm/minで押し出しストランドを作成する。
歪み速度:0.1/secの場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪量が4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの近似直線上の粘度をηlinとする。
図2は、伸長粘度のプロット図の一例である。ηmax/ηlinを、λmaxと定義し、歪硬化度の指標とする。
但し、測定方法2は、分子量が比較的低いもの(すなわち、MFR>2の場合)を測定する場合、測定サンプルが垂れ下がってしまい、測定精度が落ちてしまうという測定上の制約があり、また、測定方法1は、分子量の比較的高いもの(MFR<1)を測定する場合、測定サンプルが不均一に収縮変形してしまい、測定時に歪むらができてしまうことにより、歪硬化が線形部と平均化されてしまい、歪硬化度を小さく見積もってしまうという測定精度の問題がある。
したがって、分子量の低いものは測定方法1で、分子量の高いものは測定方法2を用いることが、便宜上好ましい。
また、分岐の構造に関しては、側鎖、主鎖とも結晶性セグメントである分岐化合物のほかに、本発明においては、結晶性セグメントを側鎖として有し、非結晶性セグメントを主鎖に有する分岐化合物を含むことことにより、高い歪硬化度を示す。
本発明で用いられる、プロピレン系重合体(イ)は、前述したように、成分(A)(以下、結晶性成分(A)ともいう)と成分(B)(以下、非結晶性成分(B)ともいう)で構成されており、それぞれ下記(A1)〜(A5)、(B1)〜(B4)の各要件を満たす。
ここで、非結晶性成分(B)とは、25℃でp−キシレンに溶解する成分(CXS)であり、結晶性成分(A)とは、25℃でp−キシレンに不溶となる成分(CXIS)であり、下記の分別操作により、分離抽出する。
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含む)に、130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で48時間放置する。その後、析出ポリマーと濾液とに濾別する。
濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥し、25℃でキシレンに溶解する成分(CXS)を回収する。また、析出ポリマーは、同様にして残存するp−キシレンを十分に除去し、25℃でキシレンに不溶な成分(CXIS)とする。
(I)特性(A1):結晶性成分と非結晶性成分の合計(即ち重合体全量)に対して20重量%〜95重量%未満である。
結晶性セグメントの含量は、化合物全体の機械的物性に寄与する。そこで含量が20重量%より小さいと、剛性といった機械的物性や耐熱性が悪くなり、95重量%より大きくなると、耐衝撃強度や引張り破断伸びが悪くなってしまう。したがって、好ましくは30〜90重量%であり、更に好ましくは40〜85重量%である。
ここで重量平均分子量(Mw)とは、前述したGPC測定装置及び条件で測定されるものであり、本発明では、Mwが10万〜100万の範囲であることが必要である。このMwが10万より小さいと、溶融加工性に劣るとともに、機械的強度が不十分であり、一方、100万を超えると、溶融粘度が高く、溶融加工性が低下する。溶融加工性と機械的強度のバランスから上記の範囲であり、好ましくは15万〜90万、さらに好ましくは20万〜80万の範囲である。
本発明で用いられる、プロピレン系重合体(イ)の結晶性成分(A)は、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が93%以上の立体規則性を有するものである。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクティックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。
結晶性成分(A)のmm分率が、この値より小さいと、製品の弾性率が低下するなど機械的物性が低下してしまう。従って、mm分率は、好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは96%以上である。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定した。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
スペクトルの帰属は、Macromolecules,(1975年)8卷,687頁やPolymer, 30巻 1350頁(1989年)を参考に行った。
プロピレン単位を中心として頭尾結合した3連鎖の中心プロピレンのメチル基に由来するピークは、その立体配置に応じて、3つの領域に生じる。
mm:約24.3〜約21.1ppm
mr:約21.2〜約20.5ppm
rr:約20.5〜約19.8ppm
各領域の化学シフト範囲は、分子量や、共重合体組成により若干シフトするが、上記3領域の識別は、容易である。
ここで、mm、mrおよびrrは、それぞれ下記の構造で表される。
mm分率=mm領域のピーク面積/(mm領域のピーク面積+mr領域のピーク面積+rr領域のピーク面積)×100 [%] (I)
従って、式(I)においてmm分率を算出する場合には、それぞれmr領域のピーク面積、rr領域のピーク面積から、頭−尾結合した3連鎖に基づかないピークでmr及びrr領域に現れる炭素A、A’、A”、B、B’に基づくピーク面積を減ずる必要がある。
炭素A’に基づくピーク面積は、位置不規則部分構造[構造(ii)及び構造(iii)]の炭素H及びI(34.7ppm付近及び35.0ppm付近で共鳴)と炭素J(34.1ppm付近で共鳴)のピーク面積の和の2/5と炭素K(33.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和により評価できる。
炭素A”に基づくピーク面積は、炭素L(27.7ppm付近で共鳴)のピーク面積の和により評価できる。
炭素Bに基づくピーク面積は、炭素Jにより評価できる。また、炭素B’に基づくピーク面積は、炭素Kにより評価できる。
なお、炭素Cピーク及び炭素C’ピークの位置は、注目するmm、mr、rr領域と全く関与しないので考慮する必要はない。
以上により、mm、mrおよびrrのピーク面積を評価することができるので、上記数式(I)に従って、プロピレン単位を中心として頭−尾結合からなる3連鎖部のmm分率を求めることができる。
歪硬化度は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、例えばブロー成形の際に、偏肉がおきにくく、また、発泡成形を行ったときに、独立気泡率を高くでき、また、成形加工時の成形冷却過程における結晶化の促進作用を大きくし、その結果剛性を中心とした物性バランスの向上も行えると考えられる。したがって、この歪硬化度は、2.0以上が必要であり、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上である。
また、この歪硬化度は、伸長粘度の非線形性を表す指標であり、通常分子の絡み合いが多いほど、この値が大きくなると言われている。分子の絡み合いは、分岐の量、分岐鎖の長さに影響をうける。したがって、分岐の量、分岐の長さが長いほど、歪硬化度は大きくなる。
この分岐の長さは、ポリプロピレンの絡みあい分子量7,000以上が好ましい。この分子量は、厳密にはGPCで測定される重量平均分子量(Mw)とは異なるものである。そこで、好ましくはGPCで測定される重量平均分子量(Mw)の値で15,000以上、さらに好ましくは30,000以上である。
また、分岐の構造に関しては、側鎖、主鎖とも結晶性セグメントである分岐化合物のほかに、本発明においては、結晶性セグメントを側鎖として有し、非結晶性セグメントを主鎖に有する分岐化合物を含むことことにより高い歪硬化度を示す。
結晶性成分(A)を構成する単位としては、プロピレンがアイソタクチックに配列して結晶性を持つことが必要である。また、結晶性が発現する範囲において、エチレンまたはαオレフィンをコモノマーの単位として含有してもよい。α、ω−ジエン単位が存在すると、架橋によるゲル化が懸念されることから、α、ω−ジエン単位を含まないことが必要である。
コモノマーの種類としては、エチレンもしくは直鎖状のα−オレフィンが好ましく、さらに好ましくは、エチレンである。
コモノマー含量に関しては、結晶性が発現する範囲で任意の量を含有することができる。
また、そのようなプロピレン単位を主成分とする結晶性成分に、プロピレン単位のほかにエチレン単位もしくはα−オレフィン単位から構成される非結晶性成分が化学的に結合した成分を含有することができる。
エチレンを含有する場合、結晶性成分のエチレン含量としては、上記を満たす範囲で任意であるが、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.2〜7重量%、さらに好ましくは0.3〜5重量%である。
エチレン単位の測定は、13C−NMRを用い、Macromolecules 1982 1150に記載の方法に従って測定する。
本発明で用いられる、プロピレン系重合体(イ)は、以下(B1)〜(B4)の特性をもつ非結晶性成分(B)を有することを特徴とする。
プロピレン系重合体(イ)中の非結晶性成分(B)の含量がプロピレン系樹脂組成物全体の機械的物性に寄与する。そこで含量が5重量%より小さいと、耐衝撃強度や引っ張り破断強度などの機械的物性が悪くなり、一方、80重量%より大きくなると、剛性や耐熱性が悪くなってしまう。したがって、好ましくは10〜70重量%であり、更に好ましくは15〜60重量%である。
ここで重量平均分子量(Mw)とは、前述したGPC測定装置及び条件で測定されるものであり、本発明では、Mwが10万〜100万の範囲であることが必要である。このMwが10万より小さいと、溶融加工性に劣るとともに、機械的強度が不十分であり、一方、Mwが100万を超えると、溶融粘度が高く、溶融加工性が低下する。溶融加工性と機械的強度のバランスから上記の範囲であり、好ましくは12万〜90万、さらに好ましくは15万〜80万の範囲である。
歪硬化度は、溶融時強度を表す指標であり、この値が小さいと、例えば射出成形を行う際に、成形体にウェルドラインが発生し難く、成形外観に好影響を与える。したがって、この特性(B3)の歪硬化度は、2.0未満であることが必要であり、さらに好ましくは1.5以下である。
非結晶性成分(B)を構成する単位としては、プロピレンと、エチレンまたはαオレフィンが共重合している必要がある。また、α、ω−ジエン単位が存在すると架橋によるゲル化が懸念されることから、α、ω−ジエン単位を含まないことが必要である。
また、コモノマーの種類として、エチレンもしくは直鎖状のα−オレフィンが好ましく、さらに好ましくはエチレンであり、その場合、エチレン含量として10〜60重量%、好ましくは40〜60重量%である。
エチレン単位の測定は、13C−NMRを用い、Macromolecules 1982 1150に記載の方法に従って測定する。
本発明で用いられる、プロピレン系重合体(イ)を製造する方法については、前記(i)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万であり、(ii)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であることに加えて、(A1)〜(A5)の結晶性成分(A)と(B1)〜(B4)の非結晶性成分(B)から構成されることを満たすプロピレン系重合体が得られる方法であればよく、特に制限はないが、下記の触媒成分(a)、(b)及び(c)を接触させてなる重合用触媒を用いて、(i)プロピレン単独、又は、プロピレンとエチレン若しくはα−オレフィンを重合し、エチレンまたはα−オレフィンを全モノマー成分に対して0〜10重量%重合させる第一工程、及び(ii)プロピレンと、エチレンまたはα−オレフィンを重合し、エチレンまたはα−オレフィンを全モノマー成分に対して10〜90重量%重合させる第二工程、を有する工程により、本発明のプロピレン系重合体を生産性よく製造することができる。
本発明に用いられる触媒成分(a)は、下記一般式(1)で表されるハフニウムを中心金属とするメタロセン化合物である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、R11およびR12として、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、R11およびR12は、互いに同一である場合が好ましい。
R13およびR14としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−tブチルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジtブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−tブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、2つのR2が互いに同一である場合が好ましい。
上記の炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、等のアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基、ベンジル等のアリールアルキル基、trans−スチリル等のアリールアルケニル基、フェニル、トリル、1−ナフチル、2−ナフチル等のアリール基が挙げられる。
上記の炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のアルコキシ基、フェノキシ、ナフトキシ等のアリロキシ基、フェニルメトキシ等のアリールアルコキシ基、フリル基などの酸素含有複素環基などが挙げられる。
上記の炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基の具体例としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ等のアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ等のアリールアミノ基、(メチル)(フェニル)アミノ等の(アルキル)(アリール)アミノ基、ピラゾリル、インドリル等の窒素含有複素環基などが挙げられる。
上記の炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基の具体例としては、トリメチルシリルメチル、トリエチルシリルメチル等のトリアルキルシリルメチル基、ジメチルフェニルシリルメチル、ジエチルフェニルシリルメチル、ジメチルトリルシリルメチル等のジ(アルキル)(アリール)シリルメチル基などが挙げられる。
上記のQ11の具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−トリメチルシリル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−フェニル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(4,5−ジメチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジフェニルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル−2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル2−−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−t−ブチル2−−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル){2−(5−メチル−2−チエニル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
また、特に好ましいのは、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−インデニル}]ハフニウム、などを挙げることができる。
次に、本発明に用いられる触媒成分(b)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(I)イオン交換性層状珪酸塩の種類
本発明において、イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出され、水中に分散/膨潤させ、沈降速度等の違いにより精製することが一般的であるが、完全に除去することが困難であることがあり、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)を含んでいることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、触媒成分(b)に含まれる。
尚、本発明の原料とは、後述する本発明の化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、本発明で使用する珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1988年)等に記載される1:1型構造や2:1型構造をもつ層状珪酸塩が挙げられる。
1:1型構造とは、前記「粘土鉱物学」等に記載されているような1層の四面体シートと1層の八面体シートが組み合わさっている1:1層構造の積み重なりを基本とする構造を示し、2:1型構造とは、2層の四面体シートが1層の八面体シートを挟み込んでいる2:1層構造の積み重なりを基本とする構造を示す。
前記イオン交換性層状珪酸塩は、乾燥状態で用いてもよく、液体にスラリー化した状態で用いてもよい。また、イオン交換性層状珪酸塩の形状については、特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよい。このうち造粒されたイオン交換性層状珪酸塩を用いると、該イオン交換性層状珪酸塩を触媒成分として用いた場合に、良好なポリマー粒子性状を与えるため特に好ましい。
本発明に係る触媒成分(b)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を行なうことが望ましく、イオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、酸類、塩類、アルカリ類、有機物等とイオン交換性層状珪酸塩とを接触させることをいう。
酸処理は、表面の不純物を除く、あるいは層間に存在する陽イオンの交換を行うほか、結晶構造の中に取り込まれているAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、などが挙げられる。中でも無機酸が好ましく、硫酸、塩酸、硝酸が好ましく、さらに好ましくは硫酸である。
塩類としては、有機陽イオン、無機陽イオン、金属イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、有機陰イオン、無機陰イオン、ハロゲン化物イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期律表第1〜14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。
これらのなかで好ましくは、陰イオンが無機ブレンステッド酸やハロゲンからなり、陽
イオンがLi、Mg、Znからなる化合物である。
そのような塩類で特に好ましい化合物は、具体的にはLiCl、Li2SO4、MgCl2、MgSO4、ZnCl2、ZnSO4、Zn(NO3)2、Zn3(PO4)2がある。
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)2、Ca(OH)2、Sr(OH)2、Ba(OH)2などが例示される。
上述した各種処理剤は、適当な溶剤に溶解させて処理剤溶液として用いてもよいし、処理剤自身を溶媒として用いてもよい。使用できる溶剤としては、特に制限はないが、水、アルコール類が一般的であり、特に水が好ましい。例えば、化学処理として酸処理を行う場合、酸処理剤濃度、イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率、処理時間、処理温度等の酸処理条件を制御することによって、イオン層状珪酸塩化合物を所定の組成、構造へと変化させ制御することが可能である。
N≧1.0
ここで示す酸濃度Nは、酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:モル/リットル)と定義する。ただし、塩を共存させたときには、塩化合物に含まれる結晶水量は考慮するが、塩による体積変化は考慮しないものとする。なお、酸水溶液の比重は、化学便覧の基礎編IIp6(日本化学会編集,丸善発行,改訂3版)を引用した。なお、上限は取り扱い上の安全性、容易性、設備面の観点から、酸濃度Nが、20以下、特に15以下であることが好ましい。
また、酸処理温度は、室温〜処理剤溶液の沸点の範囲が好ましく、処理時間は5分〜24時間の条件を選択し、イオン交換性層状珪酸塩を構成している物質の少なくとも一部が除去又は交換される条件で行うことが好ましい。酸処理条件は、特には制限されないが、上記化学処理として硫酸を用いた場合、処理温度は80℃から、処理剤溶媒沸点以下で、処理時間は0.5時間以上5時間未満にすることが好ましい。
上記化学処理を実施した後に、過剰の処理剤及び処理により溶出したイオンの除去をすることが可能であり、好ましい。この際、一般的には、水や有機溶媒などの液体を使用する。脱水後は、乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は、100〜800℃、好ましくは150〜600℃で実施可能である。800℃を超えると、珪酸塩の構造破壊を生じるおそれがあるので好ましくない。
化学処理されたイオン交換性層状珪酸塩を、本発明に係る触媒成分(b)としては、Al/Siの原子比として、0.01〜0.25、好ましくは0.03〜0.24のもの、さらには0.05〜0.23の範囲のものがよい。Al/Si原子比は、粘土部分の酸処理強度の指標となるものとみられる。また、上記の範囲にAl/Si原子比を制御する方法としては、化学処理前のイオン交換性層状珪酸塩として、モンモリロナイトを使用し、上記(III)に記載の化学処理をおこなう方法が挙げられる。
イオン交換性層状珪酸塩中のアルミニウム及びケイ素は、JIS法による化学分析による方法で検量線を作成し、蛍光X線で定量するという方法で測定される。
本発明に用いられる触媒成分(c)は、有機アルミニウム化合物であり、好ましくは、一般式(AlRnX3−n)mで表される有機アルミニウム化合物が使用される。式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の、mは1〜2の整数を各々表す。有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記触媒成分(a)、(b)及び(c)を含む。これらは、重合槽内で、あるいは重合槽外で接触させオレフィンの存在下で予備重合を行ってもよい。
オレフィンとは、炭素間二重結合を少なくとも1個含む炭化水素をいい、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチルブテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン等が例示されるが、特に種類に制限はなく、これらと他のオレフィンとの混合物を用いてもよい。好ましくは炭素数3以上のオレフィンがよい。
そのようなメタロセン化合物としては、下記一般式(2)で示される触媒成分(a−2)が挙げられる。
また、Meは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
さらに、X21およびY21は、補助配位子であり、成分[b]の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X21とY21は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
また、R23およびR24は、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、好ましくは炭素数6〜24の、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロビフェニリル)、4−(2−クロロビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
例えば、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムなどが挙げられる。
本発明に係る触媒は、前記のように、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付されることが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、前記のように、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、触媒成分(b)に対する予備重合ポリマーの重量比が好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に触媒成分(c)を添加、又は追加することもできる。
上記各成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いても良いし2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし静置させてもよい。
重合形態は、前記触媒成分(a)、触媒成分(b)及び触媒成分(c)からなるオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相重合法などが採用できる。
また、重合方式は、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
また、重合段数は、本発明の物質を製造できるのであればとくに制限はないが、バルク重合2段、バルク重合後気相重合、気相重合2段といった様式も可能であり、さらにはそれ以上の重合段数で製造することが可能である。
しかしながら、本発明に開示する物質を製造するためには、第一工程で高ビニル末端含有の結晶性のプロピレンマクロマーを製造し、第二工程でプロピレンと、エチレンまたはαオレフィンを用いて共重合することが好ましく、そうすることによって、第一工程で製造したマクロマーが第二工程で共重合されることにより、側鎖が結晶性セグメントを有し主鎖が非結晶性セグメントを有するグラフト共重合体を含有する本発明の重合体を製造することができる。
また、本発明に開示する化合物を得るためには、第一工程をバルク重合で行い、第二工程を気相重合で行うか、もしくは、第一工程、第二工程共に気相重合で行うことが好ましい。その理由としては、実質的に溶媒を用いないことによる環境負荷が削減できる点、また、製造工程が簡略化できるという点が挙げられる。
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は、0〜150℃であり、また分子量調節剤として、補助的に水素を用いることができる。重合圧力は、0〜3MPaG、好ましくは0〜2MPaGが適当である。
バルク重合法の場合は、重合温度は、0〜80℃であり、好ましくは60〜80℃であり、さらに好ましくは65〜75℃である。重合圧力は、0〜5MPaG、好ましくは0〜4MPaGが適当である。
気相重合の場合は、重合温度は、0〜200℃であり、好ましくは60〜120℃であり、さらに好ましくは70〜100℃である。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは0〜3MPaGが適当である。
また、分子量調整剤としての水素は、水素による連鎖移動を抑制して末端ビニル含量を増大させるために使用しないことが好ましい。
気相重合の場合は、重合温度は、20〜90℃であり、好ましくは30〜80℃であり、さらに好ましくは50〜80℃である。また、分子量調節剤として、補助的に水素を用いることができる。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは0〜3MPaGが適当である。
ここで、生成するプロピレン−エチレン(またはαオレフィン)共重合体は、ビニル末端含有率が低いものの一部は共重合して、主鎖と側鎖ともに(非結晶性)プロピレン−エチレンランダム共重合セグメントを有する分岐構造を有する重合体が生成すると考えられる。この場合、非結晶性のプロピレン―エチレンランダム共重合体中のエチレン含量が低い方が、ビニル末端含有率が高くなる。すなわち非結晶性のプロピレン―エチレンランダム共重合体中のエチレン含量を高くすることで、本発明のプロピレン系重合体(イ)のCXS成分のλmaxを小さくすることが可能である。その為、CXS成分のλmaxを好ましい範囲とするためには、エチレン含量が40重量%〜60重量%とすることが好ましく、また、エチレンをコモノマーとして用いる場合には、目的の組成の重合体を製造するためには、気相のエチレンガス組成を50mol%以上にに制御することが必要である、好ましくは60mol%以上、さらにこのましくは65mol%以上である。また上限値に関しては90mol%以下であり、好ましくは87mol%以下、さらに好ましくは85mol%以下である。
そのような分岐した重合体の種類としては、結晶性セグメントが側鎖として非結晶性セグメントにグラフトした共重合体である。また、特にそのようなグラフト共重合体は、CXIS成分(A)、またはCXIS成分(A)とCXS成分(B)に、存在する。そのようなグラフト共重合体として、結晶性セグメントを側鎖に有し、非結晶性セグメントが主鎖となることは、1段目で結晶性成分のマクロマーを製造し、2段目で非結晶性成分に共重合されるという重合機構から考えて、当然のことである。
また、溶融張力(MT)が10g未満であると、溶融張力が不足し成形加工性が悪くなり、MTが100gを超えると、延展性が悪くなり成形加工性が悪くなってしまう。MTの範囲で更に好ましくは10〜50gである。
さらに、ME(メモリーエフェクト)が1.4未満であると、射出成形時にフローマークが発生し外観不良となり、一方、MEが3.4を超えると、ウェルドが発生し易くなり外観不良となり、好ましくない。更に好ましくは1.5〜2.4である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物におけるプロピレン系重合体(イ)の配合割合は、60〜99重量%、好ましくは60〜94重量%、特に好ましくは60〜90重量%である。成分(イ)の配合割合が、60重量%未満であると、プロピレン系樹脂組成物の衝撃強度が低下し、99重量%を超えると、剛性が低下する。
なお、プロピレン系重合体(イ)は、前述の特性の範囲内であれば、二種以上併用してもよい。
本発明で用いられる、無機フィラー(ロ)は、タルク、ワラストナイト、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、膠質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、マイカ、ガラス繊維、ガラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カリウムウィスカー、ホウ酸アルミニウムウィスカー、カーボンファイバー、クレイ、有機化クレイ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などが例として挙げられ、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体の剛性を中心とした物性バランスの向上、寸法特性などを発現させる目的で用いられる。これらの無機フィラーは、表面処理されたものでもよく、また、二種以上併用してもよい。
該タルクは、例えばタルク原石を衝撃式粉砕機やミクロンミル型粉砕機で粉砕して製造したり、更にジェットミルなどで粉砕した後、サイクロンやミクロンセパレータ等で分級調整する等の方法で製造する。
該タルクは、平均アスペクト比が4以上、特に5以上のものがより好ましい。該タルクのアスペクト比の測定は、顕微鏡等により測定された値より求められる。
本発明で必要に応じ用いられる、熱可塑性エラストマー(ハ)は、エチレン・α−オレフィン系エラストマーもしくはスチレン系エラストマーなどであり、プロピレン系樹脂組成物衝撃強度を中心とした物性バランスを向上しつつ、かつ良好な成形性、寸法特性などを発現させる目的で用いられる。
なお、エチレン・α−オレフィン系エラストマーもしくはスチレン系エラストマーなどのうち、どちらかと言えば、成形性や経済性などの点でエチレン・α−オレフィン系エラストマーを用いるのが好ましい。
このエチレン・α−オレフィン系エラストマーは、CFC分析装置による測定における溶出成分が、40℃以下において98重量%以上認められるものを用いるのが好ましい。
共重合されるα−オレフィンとして、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−ドデセン、4−メチル−1−ペンテンなどが挙げられ、なかでも、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンが好ましい。
エチレン・α−オレフィン系エラストマー中のα−オレフィンの含量は、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは20〜50重量%、同じくその密度は、好ましくは0.80〜0.90g/cm3、より好ましくは0.86〜0.88g/cm3である。
これらのエラストマーは、二種以上併用してもよい。
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、上記成分(イ)、(ロ)、および(ハE)以外に、さらに必要に応じ、本発明の効果を著しく損なわない範囲で、たとえば発明効果をさらに向上させたり、他の効果を付与するなどのため、他の成分(ニ)を配合することが出来る。
具体的には、非イオン系などの帯電防止剤、ヒンダードアミン系などの光安定剤、ベンゾトリアゾール系などの紫外線吸収剤、ソルビトール系などの造核剤、物理発泡剤などの発泡剤、有機金属塩系などの分散剤、顔料などの着色剤、フェノール系などの酸化防止剤、無機化合物などの中和剤、脂肪酸アミド系などの滑剤、窒素化合物などの金属不活性剤、非イオン系などの界面活性剤、チアゾール系などの抗菌・防黴剤、ハロゲン化合物などの難燃剤、蛍光増白剤、気泡防止(消泡)剤、架橋剤、過酸化物、プロセスオイル(配合油)、ブロッキング防止剤、可塑剤、上記成分(イ)〜(ハ)以外のポリオレフィン、ポリアミドやポリエステルなどの熱可塑性樹脂、無機(有機)フィラー、エラストマー(ゴム)などを挙げることが出来る。これらの成分は、組成物に添加しても良いし、各成分に添加されていても良く、それぞれの成分において二種以上併用しても良い。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、上記成分(イ)、成分(ロ)、必要に応じ成分(ハ)、さらに必要に応じ、他の成分(ニ)を、上記配合割合で配合して単軸押出機、二軸押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー、ブラベンダ−プラストグラフ、ニーダーなど通常の混練機を用いて混練・造粒することによって製造する。
この場合、各成分の分散を良好にすることが出来る混練・造粒方法を選択することが望ましく、通常は二軸押出機を用いて混練・造粒する。この混練・造粒の際には、上記成分(イ)、成分(ロ)、必要に応じ、成分(ハ)、さらに必要に応じ、他の成分(ニ)の配合物を同時に混練しても良く、また性能向上を図るべく各成分を分割、例えば先ず成分(イ)と成分(ロ)の一部または全部を混練し、その後に残りの成分を混練・造粒することも出来る。
この場合、上記射出成形関連技術と、いわゆる発泡成形技術や膨張成形技術との組合せで所望の成形体を得ることも出来る。
また、必要に応じて、中空成形、押出成形、圧縮(プレス)成形、発泡(膨張)成形、シート成形、カレンダー成形、フィルム成形、熱成形、スタンピング成形、粉末成形など種々の成形方法にて、各成形体を得ることも出来る。
なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の方法に従ったものであり、また使用材料として下記のものが用いられた。
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210に準拠して、上記本明細書記載の方法で、測定した。
(2)分子量及び分子量分布(Mw、Mn、Q値)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、上記本明細書記載の方法で、測定した。
(3)mm分率
日本電子社製、GSX−400、FT−NMRを用い、上記本明細書記載の方法で測定した。
(4)伸長粘度
レオメータを用いて、上記本明細書記載の方法で測定した。
(5)組成分析
JIS法による化学分析により検量線を作成し、蛍光X線により測定した。
(6)曲げ弾性率:JIS K7171(ISO178)に準拠して、下記要領で測定した。
試験機;精密万能試験機オートグラフAG−20KNG(島津製作所製)
試験片;長さ80mm、厚さ4mm、幅10mm(射出成形)
試験温度;23℃、支点間距離;32.0mm、試験速度;1.0mm/分
(7)IZOD衝撃強度:JIS K7110に準拠して、下記要領で測定した。
試験機;デジタル衝撃試験機(東洋精機製)
試験片;長さ80mm、厚さ10mm、幅4mm、ノッチ付き(切欠深さ2.00mm、先端半径0.25mm、角度45°)、射出成形
試験温度;−30℃
2−1.プロピレン系重合体(イ)
[製造例1]:(イ)−1
(1−1)〔rac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムの合成〕:
(1−1−a)ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}シランの合成:
特開2004−124044号公報の実施例1に記載の方法にしたがって、合成を行った。
100mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}シラン5.3g(8.8ミリモル)、ジエチルエーテル150mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.50モル/リットルのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液12ml(18ミリモル)を滴下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液の溶媒を20ml程度まで減圧濃縮し、トルエン200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム2.8g(8.7ミリモル)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら3日間攪拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウムのラセミ体(純度99%以上)を黄橙色結晶として2.9g(収率39%)得た。
[1H−NMR(CDCl3)同定結果]
ラセミ体:δ1.12(s,6H),δ2.42(s,6H),δ6.06(d,2H),δ6.24(d,2H),δ6.78(dd,2H),δ6.97(d,2H),δ6.96(s,2H),δ7.25〜δ7.64(m,12H)。
(2−a)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
セパラブルフラスコ中で蒸留水3456gに96%硫酸(1044g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)600gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水2400g加えた後にろ過したところケーキ状固体1230gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム648g、蒸留水1800gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ上固体を全量投入し、更に蒸留水522gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水1980g加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH3まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体1150gを得た。
得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に215℃、窒素気流下、滞留時間10分の条件でロータリーキルン乾燥することにより、化学処理スメクタイト340gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:7.81重量%、Si:36.63重量%、Mg:1.27重量%、Fe:1.82重量%、Li:0.20重量%であり、Al/Si=0.222[mol/mol]であった。
3つ口フラスコ(容積1L)中に、(2−a)で得られた化学処理スメクタイト10gを入れ、ヘプタン(66mL)を加えてスラリーとし、これにトリイソブチルアルミニウム(24mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を34mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで1/100まで洗浄し、全容量を100mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、上記で合成したrac−ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−(5−メチル−2−フリル)−4−フェニル−インデニル}]ハフニウム(0.135mmol)をトルエン(38mL)に溶解した(錯体溶液1)。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、上記で合成したrac−ジクロロ(1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル))ハフニウム(0.015mmol)をトルエン(5mL)に溶解した(錯体溶液2)。
オートクレーブの内部温度を40℃にした後、プロピレンを10g/時の速度でフィードし、2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で0.5時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を8.5mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒26.1gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.84であった。
第一工程の重合:
3Lオートクレーブを、加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを加え、水素を300Nml、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、上記で調整した予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で150mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより、第一工程の重合を停止した。
窒素置換したオートクレーブからテフロン(登録商標)チューブを用いて、第一工程後の重合体30gを回収し、分析をおこなった。
上記の窒素置換したオートクレーブを70℃、大気圧で保持した後、プロピレンを分圧で0.6MPa、次いでエチレンを分圧で1.4MPaまで、すばやく加えて第二工程の重合を開始した。重合中は、組成が一定になるように予め調整しておいたエチレン/プロピレンの混合ガスを導入して全圧2.0MPaに保ち、70℃を保持した。
この第二工程の重合の平均ガス組成は、C2:70.0mol%であった。60分後、未反応のエチレン/プロピレンの混合ガスをパージして重合を停止した。そうしたところ420gの重合体が得られた。
用い下記条件で溶融混練した。
重合体:42g(チバガイギー社製 IRGASTAB FS210FF 1.0部、
ハイドロタルサイト 0.5部を添加)
温度:170℃
回転数:70rpm
時間:3分
得られたサンプルを用いて測定方法1で伸長粘度の測定を行った。
(1)〔重合〕:
第一工程の重合:
3Lオートクレーブを、加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを加え、水素を350Nml、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、上記で調整した予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で100mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより、第一工程の重合を停止した。
窒素置換したオートクレーブからテフロン(登録商標)チューブを用いて、第一工程後の重合体30gを回収し、分析をおこなった。
上記の窒素置換したオートクレーブを70℃、大気圧で保持した後、プロピレンを分圧で0.6MPa、次いでエチレンを分圧で1.4MPaまで、すばやく加えて第二工程の重合を開始した。重合中は、組成が一定になるように予め調整しておいたエチレン/プロピレンの混合ガスを導入して全圧2.0MPaに保ち、70℃を保持した。
この第二工程の重合の平均ガス組成は、C2:68.0mol%であった。40分後、未反応のエチレン/プロピレンの混合ガスをパージして重合を停止した。そうしたところ385gの重合体が得られた。
(1)〔触媒の合成〕:
固体触媒成分(Z)の合成
撹拌装置を備えた容量10Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、精製したn−ヘプタン2Lを導入した。更に、MgCl2を250g、Ti(O−n−Bu)4を1.8L添加して、95℃で2hr反応を行った。反応生成物を40℃に冷却し、メチルハイドロジェンポリシロキサン(20センチストークスのもの)を500ml添加した。40℃で5hr反応を行った後、析出した固体生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。
次いで、精製したn−ヘプタンを導入して、上記固体生成物の濃度が200g/Lとなる様に調整した。ここに、SiCl4を300ml添加して、90℃で3hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、反応生成物の濃度が100g/Lとなる様に精製したn−ヘプタンを導入した。フタル酸ジクロライド30mlを精製したn−ヘプタン270mlに混合した液を事前に調製しておき、その混合液をオートクレーブへ添加し、90℃で1hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、反応生成物の濃度が200g/Lとなる様に精製したn−ヘプタンを導入した。ここへ、TiCl4を1L添加し、95℃で3hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、固体成分(ZA1)のスラリーを得た。このスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分(ZA1)のTi含量は2.5重量%であった。
次に、撹拌装置を備えた容量20Lのオートクレーブを充分に窒素で置換し、上記固体成分(ZA1)のスラリーを固体成分(ZA1)として100g導入した。精製したn−ヘプタンを導入して液レベルを4Lに調整した。ここに、成分(ZA2)としてトリメチルビニルシランを25ml、成分(ZA3)としてt−Bu(Me)Si(OMe)2を20ml、成分(ZA4)としてEt3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして40g添加し、40℃で2hr反応を行った。反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄し、得られたスラリーの一部をサンプリングして乾燥した。分析したところ、固体成分にはTiが1.8重量%、t−Bu(Me)Si(OMe)2が4.5重量%含まれていた。
上記で得られた固体成分を用いて、以下の手順により予備重合を行った。上記のスラリーに精製したn−ヘプタンを導入して、固体成分の濃度が20g/Lとなる様に調整した。スラリーを10℃に冷却した後、Et3Alのn−ヘプタン希釈液をEt3Alとして10g添加し、240gのプロピレンを4hrかけて供給した。プロピレンの供給が終わった後、更に30分反応を継続した。次いで、気相部を窒素で充分に置換し、反応生成物を精製したn−ヘプタンで充分に洗浄した。得られたスラリーをオートクレーブから抜き出し、真空乾燥を行って固体触媒成分(Z)を得た。この固体触媒成分(Z)は、固体成分1gあたり2.1gのポリプロピレンを含んでいた。分析したところ、この固体触媒成分(A)のポリプロピレンを除いた部分には、Tiが1.6重量%、t−Bu(Me)Si(OMe)2が4.3重量%含まれていた。
第一工程の重合:
[プロピレンの重合]
撹拌及び温度制御装置を有する内容積3.0リットルのステンレス鋼製オートクレーブを窒素流通下で加熱乾燥し、室温まで冷却してプロピレン置換した後、トリエチルアルミニウム400ミリグラム、及び水素を7500ミリリットル導入し、次いで液体プロピレンを750グラム導入して、内部温度を70℃に合わせた後に、上記の固体触媒成分を10ミリグラム圧入して、プロピレンを重合させた。1時間後に未反応のプロピレンをすばやくパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより第一工程の重合を停止した。
窒素置換したオートクレーブからテフロン(登録商標)チューブを用いて第一工程後の重合体30gを回収し分析をおこなった。
上記の窒素置換したオートクレーブを80℃で大気圧で保持した後、水素を800Nml加えた後、プロピレンを分圧で0.9.1MPa、次いでエチレンを分圧で0.6MPa、まですばやく加え、第二工程の重合を開始した。重合中は、組成が一定になるように予め調整しておいたエチレン/プロピレンの混合ガスを導入して全圧1.5MPaに保ち、80℃を保持した。
30分後、未反応のエチレン/プロピレンの混合ガスをパージして重合を停止した。そうしたところ410gの重合体が得られた。
製造例3の第二工程の重合:において、
プロピレンを分圧で0.8.1MPa、次いでエチレンを分圧で0.7MPa、まですばやく加え、第二工程の重合を開始し、15分後に未反応のエチレン/プロピレンの混合ガスをパージして重合を停止すること以外は同様の重合をおこなった。そうしたところ360gの重合体が得られた。
下記のものを用いた。
タルク−1;平均粒径=5.9μm、平均アスペクト比=6の微粉タルク
下記のものを用いた。
エラストマー−1;MFR=5.9g/10分、密度=0.864g/cm3、ブテン含量=32重量%のエチレン−1ブテンゴム状ランダム共重合体
プロピレン系重合体(イ)、無機フィラー(ロ)、および熱可塑性エラストマー(ハ)を表2に示す割合で配合し、下記の条件で造粒し、成形したものについて性能評価を行った。評価結果を表3に示す。
(1)酸化防止剤:テトラキス{メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン500ppm、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト500ppm
(2)中和剤:ステアリン酸カルシウム500ppm
(1)押出機:テクノベル社製KZW−15−45MG2軸押出機
(2)スクリュー:口径15mm L/D=45
(3)押出機設定温度:(ホッパ下から)40,80,160,200,200,200(ダイ℃)
(4)スクリュー回転数:400rpm
(5)吐出量:スクリューフィーダーにて約1.5kg/hrに調整
(6)ダイ:口径3mm ストランドダイ 穴数2個
得られた原料ペレットを、以下の条件により射出成形し、物性評価用平板試験片を得た。
(1)規格番号:JIS K−7152(ISO 294−1)
(2)成形機:東芝機械社製EC20P射出成形機
(3)成形機設定温度:(ホッパ下から)80,210,210,200,200℃
(4)金型温度:40℃
(5)射出速度:52mm/s(スクリューの速度)
(6)保持圧力:30MPa
(7)保圧時間:8秒
(8)金型形状:平板(厚さ4mm 幅10mm 長さ80mm)2個取り
プロピレン系重合体(イ)、無機フィラー(ロ)、および熱可塑性エラストマー(ハ)を表2に示す割合で配合し、実施例1と同様に評価を行なった。評価結果を表3に示す。
例えば、比較例1においては、実施例1に比し、曲げ弾性率とIZOD衝撃強度のバランスに大きな差異が生じた。これは、比較例1におけるプロピレン系重合体(イ)のエラストマー的成分であるキシレン可溶成分(B)の分散状態と衝撃吸収機能が、実施例1におけるそれに比し、劣っているためと考えられる。
また、比較例4においては、実施例4に比し、曲げ弾性率とIZOD衝撃強度のバランスに大きな差異が生じた。この理由も上記と同様と考えられる。
Claims (6)
- 下記の25℃でp−キシレンに不溶となる成分(A)と25℃でp−キシレンに溶解する成分(B)から構成され、且つ、(i)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万であり、(ii)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上のプロピレン系重合体(イ)60〜99重量%と、無機フィラー(ロ)1〜40重量%と、熱可塑性エラストマー(ハ)0〜39重量%とからなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
成分(A):次の(A1)〜(A5)に規定する要件を有する25℃でp−キシレンに不溶となる成分(CXIS)。
(A1)重合体全量に対して20重量%〜95重量%未満である、
(A2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(A3)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が93%以上である、
(A4)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上である、
(A5)プロピレン単位と、エチレン単位またはα−オレフィン単位を含有する。
成分(B):次の(B1)〜(B4)に規定する要件を有する25℃でp−キシレンに溶解する成分(CXS)。
(B1)重合体全量に対して5重量%〜80重量%未満である、
(B2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(B3)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0未満である、
(B4)プロピレン単位と、エチレン単位および/またはα−オレフィン単位を含有する。 - 前記プロピレン系重合体(イ)は、結晶性プロピレン重合セグメントを側鎖に有し、非結晶性プロピレン共重合セグメントを主鎖に有する分岐構造を有することを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 前記成分(A)は、結晶性プロピレン重合セグメントを側鎖に有し、非結晶性プロピレン共重合セグメントを主鎖に有する分岐構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 前記成分(A)は、エチレン単位を含むものであって、エチレン含量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 前記成分(B)は、エチレン単位を含むものであって、エチレン含量が40〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
- 熱可塑性エラストマー(ハ)は、エチレン系エラストマーから選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
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