JP2005220235A - プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法 - Google Patents

プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 ポリプロピレン材料において、高剛性などの本来の優れた性質を損なわずに、耐衝撃性を大幅に向上させ、併せて、ショートパス粒子に起因する、成形品におけるゲルによる外観不良などの問題の解消をなして、粒子性をも改良させる。
【解決手段】 メタロセン触媒の存在下に、第1段階においてプロピレンの単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体を製造し、第2段階においてプロピレンと他のα−オレフィンとを共重合させてプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を連続的に製造する方法において、第2段階の共重合に際し、下記の条件に規定する特定の有機化合物を添加する。
条件(I) 活性水素を有さないこと 極性基を有すること
条件(II)特定の有機化合物の添加モル数が、遷移金属原子のモル数に対し、0より大きく3以下であること

Description

本発明は、高剛性と高衝撃強度の両機能を備えたプロピレンブロック共重合体を製造する方法に関するものであり、詳しくは、メタロセン触媒を用いて、第1段階においてプロピレンの結晶性単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体を製造し、第2段階において第1段階で得られた結晶性単独重合体または共重合体の存在下に、プロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)とを共重合させてプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を連続的に製造する方法に係わるものである。
高分子材料分野において、優れた物性と経済性および易成形性と環境問題適応性などを備えたプロピレン重合体は、最近では特に高く評価され、多数の産業分野において実用性の非常に高いポリマー材料として汎用されているが、改良されるべき物性として耐衝撃性においてその性能が充分とはいえず、プロピレン重合体が非常に重要なポリマー材料であるがゆえに、最近では、耐衝撃性の向上が強く期待されている。
耐衝撃性の改良方法として注目されているのが、プロピレン重合体をエチレンなどの他のα−オレフィンと共重合してブロック共重合体とする方法であり、共重合部分のゴム成分によるエラストマー性能が発揮されて、立体規則性プロピレン重合体が有する高剛性などの本来の優れた性質を損なわずに、耐衝撃性を向上させることが可能となる。ここでゴム成分とは後段工程で生成されるプロピレン−α−オレフィン共重合体のことである。コモノマーであるα−オレフィンがエチレンの場合は、通常、ゴム成分はEPRと称される。
プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の工業的規模での製造は、経済的観点からチーグラー・ナッタ触媒を使用して連続法で行われる。例えば、第1段階を第1の反応槽、第2段階を第2反応槽として直列につなぎ、第1段階でプロピレンの重合を、第2段階でプロピレンとエチレンなどの他のα−オレフィンとの共重合を行う場合が多い。なお、ここで得られるポリプロピレン系製品は、各段階で製造される重合体あるいは共重合体の混合物であるが、一般にプロピレンブロック共重合体と称されている。
しかし、この連続重合法で製造した重合体においては溶融成形するときにEPRが立体規則性プロピレン単独重合体成分に充分に分散せず、成形体にゲルやフィッシュアイが発生し、外観の悪化や衝撃強度の低下などの問題が発生することが知られている。
この問題の原因は連続重合に由来するものであり、各段の重合反応槽における触媒あるいは触媒を含む重合体の滞留時間に分布が生じるためである。その結果、ポリプロピレン成分部分(プロピレンを大量に含む部分)とゴム成分部分(プロピレン−エチレン共重合体のゴム;EPRなど)の含有比率に分布を有する重合体粒子の集合となる。すなわち、第1反応槽で滞留時間の短い触媒粒子(以下、「ショートパス粒子」という場合がある。)が第2反応槽に導入された場合は、EPRなどのゴム成分量が極端に高い粒子が生成することとなり、このような粒子は、ゴムの塊に近い状態であるため上述したように溶融時にプロピレン単独重合体成分に分散せず、成形品の外観や材料物性に悪影響を及ぼすのである。
チーグラー・ナッタ触媒を使用する連続重合法におけるこのような問題点を効率的に克服するために、ショートパス粒子への対策として、いわゆる「キラー技術」が開発されている。キラー技術とは、ショートパス粒子だけを選択的に不活性化させ、EPR成分比の極端に高い粒子の生成を抑制するキラー化合物を重合反応槽に添加する技術であり、キラー化合物として作用する化合物の具体的な構造については数多くの検討がなされ開示されている(例えば、特許文献1〜3を参照)。
三塩化チタン型触媒を用いた重合系に使用するキラー技術として、特許文献1において、有機アルミニウムと錯化することを特徴とした電子供与性化合物(エーテル、チオエーテル、ケトン、カルボン酸エステル、アミン、カルボン酸アミド、ポリシロキサンなど)、特許文献2において、有機アルミニウムと反応することを特徴としたハロゲン含有化合物が、それぞれ開示されている。また、マグネシウム担持型触媒を用いた重合系に使用するキラー技術として、特許文献3において、特定の脂肪族エーテル化合物が開示されている。
また、特許文献4では、チーグラーナッタ系触媒による重合において、キラー化合物としてではなく、副生成物量の低減と重合体粒子付着の低減および成形性向上の目的で、α位に極性基を有するオレフィン性化合物を追加することも開示されている。
ところで、チーグラー・ナッタ触媒を使用する連続多段重合法により、ポリプロピレン材料における耐衝撃性の向上を図る場合の、ショートパス粒子による成形品の外観や物性の劣化の問題は、キラー技術などの採用により、かなりの程度に解消され、耐衝撃性も相当に向上されている。なお、ベタツキの解消など粒子性状の向上もまたプロピレンブロック共重合体を経済的に製造するための大きな課題であるが、そのためにもキラー化合物などが用いられている。
しかし、マルチサイト型の触媒であるチーグラー・ナッタ触媒は、一般的に、触媒活性が充分に高いとはいえず、生成重合体の分子量分布が広くなり、共重合体では組成分布が不均一となるなどの問題を有しているので、チーグラー・ナッタ触媒に比べて、触媒活性が充分に高く、生成重合体の分子量分布が狭くなり、共重合体では組成分布も均一となり、それにより粒子性状を悪化させる低分子量成分やべたつきやすい組成の共重合体成分が少ない利点があり、さらに、分子鎖の長さも均一となって、高級α−オレフィンとの共重合も可能なシングルサイト型のメタロセン触媒を、プロピレン共重合体の連続多段重合法に採用して、ポリプロピレン材料の耐衝撃性を充分に向上させ、その際に、ショートパス粒子の問題をキラー技術により解消させる技術の開発が、望まれることとなる。
最近では、メタロセン触媒を使用して、前段でプロピレンを単独重合もしくはプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)を共重合しプロピレン(共)重合体を製造後、該(共)重合体の存在下に、後段でプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)を気相共重合させて、プロピレンブロック共重合体を製造することも行われており(特許文献5を参照)、それにより耐衝撃性の向上が図られているが、耐衝撃性を充分に向上させて耐衝撃性と本来の高剛性との格別に優れたバランスを実現するには至っていない。
そして、メタロセン触媒を使用して連続重合を行った例は極めて少なく、他に、メタロセン触媒を使用してプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を製造する技術を開示した文献は散見されるが、その殆どはラボスケールでのバッチ重合の検討に関するものであり、工業的な連続重合に関するものではなく、メタロセン触媒を使用して連続重合を行った場合に、どのような課題が発生するのかについて知見が得られ難く、ショートパス粒子による影響も実質的に認識されていない。
メタロセン触媒を使用してプロピレンの連続重合を行った場合に、ショートパス粒子への対策としてキラー技術を採用する文献は、本発明者らが知る限りでは、唯一の文献として、本願の出願人に係わる特許文献6が挙げられる。
この文献は、従来のチーグラー・ナッタ触媒の系で使用されてきたキラー化合物である、活性水素含有化合物などの電子供与性化合物について、メタロセン触媒を使用したプロピレンの連続重合において、その添加量の特定の最適範囲を開示して、ポリマーのべたつき性などの粒子性の改良をなしているのであり、メタロセン触媒を使用するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合における新しいキラー化合物を求めて、そのキラー化合物が、どのような構造を有して、いかなるキラー高性能を有するのかについての記載はもとよりその示唆もなされていない。
そして、従来のチーグラー・ナッタ触媒の連続重合で使用されてきた上記のキラー化合物では、フィッシュアイやゲルなどを削減するためには大量に添加する必要があり、第2段階の共重合活性が著しく低下するという問題も生じ、逆に添加量を少なくすると、粒子性が劣り、重合が安定に運転できないという問題があった。
以上に詳述したように、メタロセン触媒などのシングルサイト触媒は、チーグラー系触媒に比して、触媒活性が高く、生成重合体の分子量分布が狭く、共重合体では組成分布が均一となるなど、チーグラー系触媒より優れた触媒であるといえるけれども、メタロセン触媒においても、プロピレン重合体をエチレンなどの他のα−オレフィンと共重合してブロック共重合体とする方法によって、共重合部分のゴム成分によるエラストマー性能を充分に発揮させ、プロピレンン重合体における剛性などの本来の優れた性質を損なわずに、耐衝撃性を向上させ、粒子性の改良も行い、併せて、ショートパス粒子による問題の充分な解消をなすことは、未だ実現されていない。
特開昭57−174310号公報(特許請求の範囲(1)、第3頁左上欄、第4頁左上欄) 特開昭57−174311号公報(特許請求の範囲(1)、第3頁左上欄) 特開2000−63420号公報(要約、特許請求の範囲) 特開平4−136011号公報(特許請求の範囲、実施例7) 特開2001−316438号公報(特許請求の範囲の請求項1、段落0070) 特開2003−2939号公報(要約、段落0015、段落0069)
段落0004〜0009において前述した従来技術の状況を鑑みて、ポリプロピレン材料の高剛性などの本来の優れた性質を損なわずに、耐衝撃性を大幅に向上させ、併せて、成形品の外観や粒子性をも改良させるために、プロピレン重合体をエチレンなどの他のα−オレフィンと共重合してブロック共重合体とする連続多段重合方法において、チーグラー系触媒に比して、触媒活性が高く、生成重合体の分子量分布が狭く、共重合体では組成分布が均一となり、それにより粒子性状を悪化させる低分子量成分やべたつきやすい組成の共重合体成分が少ない利点があり、さらに、分子鎖の長さも均一となって、高級α−オレフィンとの共重合も可能であるなど、チーグラー系触媒より優れた触媒であるといえる、シングルサイト型のメタロセン触媒を使用して、共重合部分のゴム成分によるエラストマー性能を充分に発揮させ、プロピレン本来の優れた性質の高剛性を損なうことなくプロピレンン重合体における耐衝撃性を大幅に向上させ、ベタツキなどの粒子性の改良も行い、併せて、ショートパス粒子による、成形品におけるゲルによる外観不良などの問題の充分な解消をなすことを、本発明は、発明が解決すべき課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、段落0004〜0009において詳述した従来技術の状況を背景に、プロピレン重合体をエチレンなどの他のα−オレフィンと共重合してブロック共重合体とする連続多段重合方法において、チーグラー系触媒に比して、触媒活性が高く、生成重合体の分子量分布が狭く、共重合体では組成分布が均一となり、それにより粒子性状を悪化させる低分子量成分やべたつきやすい組成の共重合体成分が少ない利点があり、さらに、分子鎖の長さも均一となって、高級α−オレフィンとの共重合も可能であるなど、チーグラー系触媒より優れた触媒であるといえる、シングルサイト型のメタロセン触媒を使用する手法を採用することとした。
その際に、段落0008において前記したところの、特許文献6に係わる、メタロセン触媒を使用したブロック共重合体の連続多段重合方法において、ショートパス粒子への対策としてキラー技術を採用する先行技術を踏まえて、この先行技術では、従来のチーグラー・ナッタ触媒の連続重合で使用されてきたキラー化合物を使用しており、フィッシュアイやゲルなどを削減するためには大量に添加する必要があり、第2段階の共重合活性が著しく低下するという問題も生じ、逆に添加量を少なくすると、粒子性が劣り、重合が安定に運転できないという問題があったので、メタロセン触媒を使用するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合の連続多段重合方法に適した、新しいキラー化合物を求めて、そのキラー化合物の種類や構造あるいはキラー性能やキラー化合物の供給量などについて、全般的な考察と検索を巡らし、多角的な検討と実験的試行とを重ねた。
そして、従来のチーグラー・ナッタ触媒においては、オレフィン重合能を発現させるための助触媒として有機アルミニウムが必須の成分であり、またこの有機アルミニウムは、通常重合系内に清浄剤(スカベンジャー)としても添加されており、従来のキラー技術の多くは、キラー化合物と反応させて、この有機アルミニウムを不活性化させることで目的を達成し、そのため、キラー化合物としては有機アルミニウムとの反応性が高いものが選択されてきた。本発明者らは、シングルサイト型のメタロセン触媒では有機アルミニウムは必須成分ではなく、通常に添加されている有機アルミニウムは主に重合系内の不純物を捕捉する清浄剤(スカベンジャー)としての役割であることに鑑みて、シングルサイト触媒のオレフィン重合能を発現させる機構について検討を重ねた結果、このような触媒系においては、キラー化合物は有機アルミニウム化合物を失活させても本来の目的を達成することができないことに思い至った。そこで、有機アルミニウム化合物と反応せず、シングルサイト錯体のカチオン化物と反応しうる構造を有する化合物が、高性能キラーになるのではないかと認識することとなった。
それらの検討や認識の積み重ねの過程において、シングルサイト型のメタロセン触媒を使用するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合の連続多段重合方法に適した、新しいキラー化合物であるためには、有機アルミニウム化合物(スカベンジャー)との絡みでの活性水素の関与がなく、メタロセン触媒のシングルサイト活性点への影響で極性基が関与し、メタロセン触媒の錯体の遷移金属との関係でキラーの供給量が関与することを知見することができ、メタロセン触媒を使用するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合の連続多段重合方法に適した、新しいキラー化合物とその供給量の最適量範囲を見い出すことができ、その結果として、メタロセン触媒を用いた連続重合における第2段階の共重合時に、メタロセン触媒に相応しい特定の新しいキラー化合物を特定の量にて供給することにより、耐衝撃性が大幅に向上しゲルの生成も抑えたプロピレン−αオレフィンブロック共重合体を製造することができることを実現して、本発明を創作するに到った。
本発明の基本的な特徴は、キラー化合物の種類と供給量であって、その要素は、−OH基や−NH基などに代表される活性水素を有さず、ハロゲン原子やビニルエーテル基などに代表される極性基を有する有機化合物を新キラー化合物として採用し、この特定の有機化合物の添加モル数が、シングルサイト型のメタロセン触媒に含まれる遷移金属錯体における遷移金属原子のモル数に対し、0より大きく3以下である条件にて、エチレンなどのα−オレフィンが共重合される第2段階に供給されることである。
このような構成の採用により、(1)チーグラー系触媒に比して、触媒活性が高く、生成重合体の分子量分布が狭く、共重合体では組成分布が均一となり、それにより粒子性状を悪化させる低分子量成分やべたつきやすい組成の共重合体成分が少ない利点があり、さらに、分子鎖の長さも均一となって、高級α−オレフィンとの共重合も可能であるなど、チーグラー系触媒より優れた触媒であるといえる、シングルサイト型のメタロセン触媒を連続多段重合に使用することができ、(2)共重合部分のゴム成分によるエラストマー性能を充分に発揮させ、プロピレン本来の優れた性質の高剛性を損なうことなくプロピレンン重合体における耐衝撃性を大幅に向上させて、剛性と耐衝撃性バランスが極めて良好となり、ベタツキなどの粒子性の改良も行い、さらに、ショートパス粒子による成形品におけるゲルによる外観不良などの問題の充分な解消をなすことができ、ゲル生成量を低下させることにより、表面性状や加工性の優れた共重合体を生産性良く製造することも可能となり、第2段階の重合活性も合理的に制御でき、併せて、(3)メタロセン触媒を使用したブロック共重合体の連続多段重合方法に対する、ショートパス粒子への対策として、チーグラー・ナッタ触媒の連続重合で使用されてきた従来のキラー化合物を使用した場合における、フィッシュアイやゲルなどを削減するための、キラーの大量添加の必要性、それによる第2段階の共重合活性の著しい低下、さらには粒子性の改良不足などの問題も解消することとなり、このような複合的で改良項目が多大な結果は、プロピレン共重合体材料において必ず注目されるであろう。
ところで、段落0005に記載した特許文献4において、副生成物量の低減と重合体粒子付着の低減および成形性向上の目的でα位に極性基を有するオレフィン性化合物を追加することが開示されている。しかしこの発明の解決課題は、いわゆるチーグラー・ナッタ触媒を使用する重合系で触媒活性を高めることにあり、メタロセン触媒を使用する重合系に適用した場合に、連続重合におけるショートパス粒子を選択的失活させ製品のゲルを低減させるという本発明の技術的思想を開示示唆するものではない。さらに特許文献4の効果である副生成物量の低減と重合体粒子付着の低減および成形性向上を与える上記化合物の使用量について、「使用量は重合プロセスによって好適範囲が異なり、スラリー重合の場合は、気相重合に比較して、少ない量比に好適範囲が存在する傾向にある」と記載されている(明細書7頁の左上欄)。つまり気相重合においては、当該化合物の添加量が多いことを要すると示唆している。これは当該化合物を効率よく拡散させるための溶媒が存在しないためであると考えられる。
また、段落0008において前記したところの、特許文献6に係わる先行技術は、メタロセン触媒を使用したブロック共重合体の連続多段重合方法において、ショートパス粒子への対策として、従来のチーグラー・ナッタ触媒の連続重合で使用されてきたキラー化合物である、活性水素含有化合物などの電子供与性化合物を使用し、有機アルミニウム化合物に対する添加量の特定の最適範囲を開示して、ポリマーのべたつき性などの粒子性の改良を図る技術であって、メタロセン触媒を使用するプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の多段連続重合に適した新しいキラー化合物を求めて、そのキラー化合物が、どのような構造を有して、いかなるキラー高性能を有するのかについての開示はもとよりその示唆もなされていない。そして、フィッシュアイやゲルなどを削減するためにはキラー化合物を大量に添加する必要があり、それにより第2段階の共重合活性が低下するという問題も生じ、逆に添加量を少なくすると、粒子性が劣り、重合が安定に運転できないという問題も起こりうる発明である。
一方、本発明においては、段落0014〜0015において詳しく記載したように、その基本的な特徴は、メタロセン触媒による多段連続重合における新規なキラー化合物の種類と供給量であって、−OH基や−NH基などに代表される活性水素を有さず、ハロゲン原子やビニルエーテル基などに代表される極性基を有す有機化合物を新キラー化合物として採用し、この特定の有機化合物の添加モル数が、シングルサイト型のメタロセン触媒に含まれる遷移金属錯体における遷移金属原子のモル数に対し、0より大きく3以下である条件にて、エチレンなどのα−オレフィンが共重合される第2段階に供給されることであり、このような構成の採用により、共重合部分のゴム成分によるエラストマー性能を充分に発揮させ、プロピレン本来の優れた性質の高剛性を損なうことなくプロピレン重合体における耐衝撃性を大幅に向上させて、剛性と耐衝撃性バランスが極めて良好となり、ベタツキなどの粒子性の改良もなしえ、さらに、ショートパス粒子による成形品におけるゲルによる外観不良などの問題の充分な解消をなすことができ、ゲル生成量を低下させることにより、表面性状や加工性の優れた共重合体を生産性良く製造することも可能となり、第2段階の重合活性も合理的に制御でき、併せて、メタロセン触媒を使用したブロック共重合体の連続多段重合方法に対する、ショートパス粒子への対策として、チーグラー・ナッタ触媒の連続重合で使用されてきた従来のキラー化合物を使用した場合における、フィッシュアイやゲルなどを削減するための、キラーの大量添加の必要性、それによる第2段階の共重合活性の著しい低下、さらには粒子性の改良不足などの問題も解消することとなる、発明であって、表現上形式的には、本発明の新規キラー化合物と、先行技術の発明の電子供与性化合物の一部において重なるものもあるが、本発明と先行発明は、それらの課題や構成並びに奏される効果などの本質において実質的に全く異なるものであることは明白である。
したがって、上述の先行技術が本発明を示唆する発明ではないことは明らかであるといえる。
本発明の創作される経緯および発明の本質的な特徴並びに発明の構成および機能などを、以上において詳述したので、構成及び機能において格別の特徴を有す本発明を総括的に記載すると、次の発明群から構成される。(全ての発明群を包含して、「本発明」と総称している。)
次の[1]における発明が基本的な発明であり、[2]以下の発明は基本的な発明における実施の態様としての発明群である。
[1]メタロセン触媒の存在下に、第1段階においてプロピレンの結晶性単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体を製造し、第2段階において第1段階で得られた結晶性単独重合体または共重合体の存在下に、プロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)とを共重合させてプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を連続的に製造する方法において、第2段階の共重合に際し、下記の条件(I)に規定する特定の有機化合物を下記の条件(II)に規定する量比で添加することを特徴とする、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
条件(I)
(イ)活性水素を有さないこと
(ロ)極性基を有すること
条件(II)
特定の有機化合物の添加モル数が、メタロセン触媒に含まれる遷移金属錯体における遷移金属原子のモル数に対し、0より大きく3以下であること
[2]メタロセン触媒が、(A)共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物からなるメタロセン錯体と、それを活性化させる(B)助触媒、並びに必要に応じて使用される(C)有機アルミニウム化合物および(D)担体から構成されるものであることを特徴とする、[1]におけるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
[3]第2段階を気相重合で行うことを特徴とする、[1]または[2]におけるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
[4]以下の式を満たす量の液状の不活性炭化水素を第2段階の重合反応器に添加することを特徴とする[1]〜[3]のいずれかにおけるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
V/P≦2.0
(Pは第2段階の重合の反応器内に添加する時間あたりの重合体の量[g/h]、Vは当該反応器内に添加する時間あたりの上記の炭化水素化合物の量[mL/h]である)。
[5]遷移金属錯体が、下記一般式(1)で表される架橋型メタロセン錯体であることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかにおけるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
Figure 2005220235
(1)
(式中、Mは、Ti、ZrまたはHfである。XおよびYは、成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる、補助配位子である。AおよびA’は、置換基を有していてもよいインデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基である。Qは、AとA’を架橋する基である。)
[6]条件(I)(ロ)に規定された極性基のうち、少なくとも1つの極性基がハロゲン原子あるいはビニルエーテル基のいずれかであることを特徴とする、[1]〜[5]のいずれかにおけるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
[7]条件(II)において、特定の有機化合物の添加モル数が、メタロセン触媒に含まれる遷移金属錯体における遷移金属原子のモル数に対し、1未満であることを特徴とする、[1]〜[6]のいずれかにおけるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
[8]共重合モノマーのα−オレフィンがエチレンであることを特徴とする、[1]〜[7]のいずれかに記載されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
[9]重合が多段重合で行われることを特徴とする、[1]〜[8]のいずれかにおけるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
(1)チーグラー系触媒に比して、触媒活性が高く、生成重合体の分子量分布が狭く、共重合体では組成分布が均一となり、それにより粒子性状を悪化させる低分子量成分やべたつきやすい組成の共重合体成分が少ない利点があり、さらに、分子鎖の長さも均一となって、高級α−オレフィンとの共重合も可能であるなど、チーグラー系触媒より優れた触媒であるといえる、シングルサイト型のメタロセン触媒を連続多段重合に使用することがでる。
(2)プロピレン共重合における、共重合部分のゴム成分によるエラストマー性能を充分に発揮させ、プロピレン本来の優れた性質の高剛性を損なうことなくプロピレンン重合体における耐衝撃性を大幅に向上させて、剛性と耐衝撃性バランスが極めて良好となり、ベタツキなどの粒子性の改良も行え、さらに、ショートパス粒子による成形品におけるゲルによる外観不良などの問題の充分な解消をなすことができ、ゲル生成量を低下させることにより、表面性状や加工性の優れた共重合体を生産性良く製造することも可能となり、第2段階の重合活性も合理的に制御できる。
(3)メタロセン触媒を使用したブロック共重合体の連続多段重合方法に対する、ショートパス粒子への対策として、チーグラー・ナッタ触媒の連続重合で使用されてきた従来のキラー化合物を使用した場合における、フィッシュアイやゲルなどを削減するための、キラーの大量添加の必要性、それによる第2段階の共重合活性の著しい低下、さらには粒子性の改良不足などの問題も解消する。
以下において、本発明における各発明群を詳細に説明するために、本発明を発明の実施の最良の形態として具体的に詳述する。
1.メタロセン触媒について
本発明で使用するシングルサイト触媒の代表的なものはメタロセン触媒である。メタロセン触媒は、従来に使用されている公知の種々ものが特に制限無く利用できるが、プロピレン単独重合を行う際に結晶性の高いポリマーを与えるメタロセン錯体を使用することが好ましい。
(1)触媒成分
メタロセン触媒は一般に、(A)共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物からなるメタロセン錯体と、それを活性化させる(B)助触媒、並びに必要に応じて使用される(C)有機アルミニウム化合物から構成される。オレフィン重合プロセスの特性によっては、粒子化が必須とされるため、さらには(D)担体を構成要素とする場合がある。
(なお、本明細書の記載においては、元素の周期律表として短周期型のものを使用している。)
(A)メタロセン錯体
本発明において用いられるメタロセン錯体としては、代表的なものとして共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物のメタロセン架橋錯体が挙げられ、これらのうち、下記一般式で表されるものが好ましい。
Figure 2005220235

(式中、Mは、Ti、ZrまたはHfである。XおよびYは、補助配位子であり、成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させるものである。AおよびA’は、置換基を有していてもよいインデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基である。Qは、AとA’を架橋する基である。)
AおよびA´は、さらに副環上に置換基を有していてもよい。これらの中で好ましいものは、インデニル基またはアズレニル基である。
Qは、二つの共役五員環などの配位子間を任意の位置で架橋する結合性基を表し、具体的にはアルキレン基、シリレン基あるいはゲルミレン基であることが好ましい。
Mは、周期律表第4〜6族から選ばれる遷移金属の金属原子、好ましくは、チタン、ジルコニウム、ハフニウムなどである。特にジルコニウムまたはハフニウムが好ましい。
XおよびYは、補助配位子であり、成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限りX,Yは配位子の種類が制限されるものではなく、各々水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、あるいはヘテロ原子を有していてもよい炭化水素基などが例示できる。これらのうち好ましいものは炭素数1〜10の炭化水素基、あるいはハロゲン原子である。
メタロセン錯体の具体的化合物として、以下のものを例示することができる。
置換基が環を構成しているシクロペンタジエニル配位子を2個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体において、アズレニル系のものとして、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−イソプロピル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(4−フルオロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(3−クロロフェニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス[1−{2−メチル−4−(2,6−ジメチルフェニル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,6−ジイソプロピル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(1−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(2−アントラセニル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−エチル−4−(9−フェナンスリル)−4H−アズレニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジメチルメチレンビス[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
アズレニル系であって他の共役多員環配位子が異なるものとして、ジメチルシリレン[1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}][1−{2−メチル−4−(4−ビフェニリル)インデニル}]ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレン{1−(2−エチル−4−フェニル−4H−アズレニル)}{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
インデニル配位子を2個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体として、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−メチル−4,5−ベンゾインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス〔1−{2−メチル−4−(1−ナフチル)インデニル}〕ジルコニウムジクロリド、ジフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルフェニルシリレンビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルシリレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、ジメチルゲルミレンビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、メチルアルミニウムビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、フェニルホスフィノビス{1−(2−エチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリド、フェニルアミノビス{1−(2−メチル−4−フェニルインデニル)}ジルコニウムジクロリドなどが挙げられる。
置換フルオレニル配位子を1個、置換シクロペンタジエニル基を1個有し、それらが架橋されている構造のメタロセン錯体として、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル−2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、イソプロピリデン(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルメチレン(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジメチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジエチルシランジイルビス(テトラヒドロインデニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジエチルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)チタニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ジルコニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジメチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシランジイル(シクロペンタジエニル2,7−ジ−t−ブチル−9−フルオレニル)ハフニウムジクロライドなどのジクロル体および上記4族遷移金属化合物のジメチル体、ジエチル体、ジヒドロ体、ジフェニル体、ジベンジル体などを例示することができる。
(B)助触媒(活性化剤成分)
助触媒は、メタロセン錯体を活性化する成分で、メタロセン錯体の補助配位子と反応して当該錯体を、オレフィン重合能を有する活性種に変換させうる化合物であり、具体的には下記(B−1)〜(B−4)のものが挙げられる。
(B−1)アルミニウムオキシ化合物
(B−2)成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可
能なイオン性化合物またはルイス酸
(B−3)固体酸
(B−4)イオン交換性層状珪酸塩
(B−1)のアルミニウムオキシ化合物がメタロセン錯体を活性化できることは周知であり、そのような化合物としては、具体的には次の各一般式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2005220235

上記の各一般式中、Rは水素原子または炭化水素基、好ましくは炭素数1〜10、特に好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。また、複数のRはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。また、pは0〜40、好ましくは2〜30の整数を示す。
一般式のうち、一番目及び二番目の式で表される化合物は、アルミノキサンとも称される化合物であって、これらの中では、メチルアルミノキサン又はメチルイソブチルアルミノキサンが好ましい。上記のアルミノキサンは、各群内および各群間で複数種併用することも可能である。そして、上記のアルミノキサンは、公知の様々な条件下に調製することができる。
一般式の三番目で表される化合物は、一種類のトリアルキルアルミニウム又は二種類以上のトリアルキルアルミニウムと、一般式RB(OH)で表されるアルキルボロン酸との10:1〜1:1(モル比)の反応により得ることができる。
一般式中、R及びRは、炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜6の炭化水素基を示す。
(B−2)の化合物は、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物またはルイス酸であり、このようなイオン性化合物としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンなどの陽イオンと、トリフェニルホウ素、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ホウ素、トリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などの有機ホウ素化合物との錯化物などが挙げられる。また、上記のようなルイス酸としては、種々の有機ホウ素化合物、例えばトリス(ペンタフルオロフェニル)ホウ素などが例示される。あるいは、塩化アルミニウム、塩化マグネシウムなどの金属ハロゲン化合物などが例示される。
なお、上記のルイス酸のある種のものは、成分(A)と反応して成分(A)をカチオンに変換することが可能なイオン性化合物として把握することもできる。
(B−3)の固体酸としては、アルミナ、シリカ−アルミナ、シリカ−マグネシアなどが挙げられる。
(B−4)のイオン交換性層状化合物は、粘土鉱物の大部分を占めるものであり、好ましくはイオン交換性層状珪酸塩である。
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に「珪酸塩」と略記する場合がある。)は、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、かつ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出されるため、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライトなど)が含まれることが多いが、それらを含んでいてもよい。
珪酸塩は各種公知のものが使用できる。具体的には、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1995年)に記載されている次のような層状珪酸塩が挙げられる。
2:1型鉱物類
モンモリロナイト、ザウコナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイトなどのスメクタイト族; バーミキュライトなどのバーミキュライト族; 雲母、イライト、セリサイト、海緑石などの雲母族; パイロフィライト、タルクなどのパイロフィライト−タルク族; Mg緑泥石などの緑泥石族
2:1リボン型鉱物類
セピオライト、パリゴルスカイトなど
本発明で原料として使用する珪酸塩は、上記の混合層を形成した層状珪酸塩であってもよい。本発明においては、主成分の珪酸塩が2:1型構造を有する珪酸塩であることが好ましく、スメクタイト族であることがさらに好ましく、モンモリロナイトが特に好ましい。本発明で使用する珪酸塩は、天然品または工業原料として入手したものは、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を施すことが好ましい。具体的には、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理などが挙げられる。これらの処理を互いに組み合わせて用いてもよい。本発明において、これらの処理条件には特に制限はなく、公知の条件が使用できる。
また、これらイオン交換性層状珪酸塩には、通常吸着水および層間水が含まれるため、不活性ガス流通下で加熱脱水処理するなどして、水分を除去してから使用するのが好ましい。
(C)有機アルミニウム化合物
メタロセン触媒系に、必用に応じて使用される有機アルミニウム化合物としては、本発明においては、ハロゲンを含有しないものが使用され、具体的には一般式 AlR3−i
(式中、RはC1〜20の炭化水素基、Xは水素、アルコキシ基、iは0≦i≦3の数を示す。但し、Xが水素の場合は、iは0≦i<3とする。)で示される化合物が使用される。
具体的には、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムなどのトリアルキルアルミニウム、またはジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムメトキシド、ジイソブチルアルミニウムエトキシドなどのアルコキシ含有アルキルアルミニウム、さらにはジエチルアルミニウムハライドなどのハライド含有アルキルアルミニウムが挙げられる。
これらのうち、特にトリアルキルアルミニウムが好ましい。さらに好ましくは、トリイソブチルアルミニウム、トリオクチルアルミニウムである。
(D)担体
メタロセン触媒系において必須の成分ではない、担体としては、各種公知の無機あるいは有機の微粒子状固体が使用できる。粒径は5〜300μm 、好ましくは10〜200μm である。また、比表面積が50〜1,000m/g 、好ましくは100〜500m/g であり、細孔容積が0.1〜2.5cm/g 、好ましくは0.2〜0.5cm/g である。無機固体の例示としては、多孔質酸化物が挙げられ、必要に応じて100〜1,000℃、好ましくは150〜700℃で焼成して用いられる。具体的にはSiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThOなど、またはこれらの混合物、たとえばSiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgOなどが挙げられる。これらのうちSiOまたはAlを主成分とするものが好ましい。
また、上記(B)助触媒のうち固体のものであれば、担体兼助触媒として使用することが可能であり、かつ好ましい。具体例としては、(B−3)固体酸や(B−4)イオン交換性層状珪酸塩などが挙げられる。ブロック共重合体の粒子性状を向上させるためには各種公知の造粒をおこなうことが好ましい。
有機固体としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)重合体あるいはビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される重合体もしくは共重合体の固体を例示することができる。
以上の触媒の各成分(A)〜(D)の例示においては、触媒各成分が本発明の本質をなすものではないので、煩雑で冗長な列挙を避けて、簡潔に代表的な例示にとどめている。本発明においては、例示された以外の同等の成分も内包されることは当然のことであり、これらが排除される理由は何もない。
(2)触媒成分の使用量その他
成分(A)と成分(B)の使用量は、それぞれの組み合わせの中で最適な量比で用いられる。
成分(B)が、アルミニウムオキシ化合物の場合はAl/遷移金属のモル比は通常10以上100,000以下、さらに100以上20,000以下、特に100以上10,000以下の範囲が適する。一方、成分(B)としてイオン性化合物あるいはルイス酸を用いた場合は、対遷移金属のモル比は0.1〜1,000、好ましくは0.5〜100、さらに好ましくは1〜50の範囲である。
成分(B)として、固体酸あるいはイオン交換性層状珪酸塩を用いる場合は、成分(B)1gにつき、遷移金属錯体0.001〜10ミリモル、好ましくは0.001〜1ミリモルの範囲である。
これらの使用比率は、通常の割合例を示すものであって、触媒がその使用目的に沿うものとなっていれば、上に述べた使用比率の範囲によって、本発明が限定されることにならないことは当然である。
遷移金属錯体と助触媒からなるポリオレフィン製造用触媒をオレフィン重合用(本重合)の触媒として使用する前に必要に応じて、担体に担持させた後、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレンなどのオレフィンを予備的に少量重合する予備重合処理を施してもよい。予備重合方法は公知の方法が使用できる。
2.キラー化合物
(1)キラー技術
本発明のキラー技術は、チーグラー・ナッタ触媒に比べて、触媒活性が充分に高く、生成重合体の分子量分布が狭くなり、共重合体では組成分布も均一となり、それにより粒子性状を悪化させる低分子量成分やべたつきやすい組成の共重合体成分が少ない利点があり、さらに、分子鎖の長さも均一となって、高級α−オレフィンとの共重合も可能なシングルサイト型のメタロセン触媒を、プロピレン共重合体の連続多段重合法に採用して、ポリプロピレン材料の耐衝撃性を充分に向上させ、その際に、ショートパス粒子の問題を、メタロセン触媒系における新しいキラー化合物により解消させる新規な手法である。
(2)キラー化合物の作用と機能
新しいキラー化合物であるためには、メタロセン触媒のアルミニウム化合物(スカベンジャー)と反応、相互作用する活性水素を持たず、一方メタロセン触媒のシングルサイト活性点へは相互作用する極性基を持っていることが必要である。また、キラー化合物が触媒粒子中を移動する速度もその構造、極性により大きく影響される。シングルサイト活性点とのみ相互作用するキラー化合物が適切な速度で触媒粒子中を移動することで、正常な触媒粒子よりも小さいショートパス粒子を選択的に捕捉し失活させる。これによりゴム成分(EPR)含量が過剰である粒子の生成を抑制する。またキラー添加により第2段階の重合活性が制御可能であり、さらに粒子表面に多くのキラー化合物が作用することから表面のゴム成分が減少し粒子間のべたつきも抑制される。
上記の(1)の手法により、プロピレン共重合部分のゴム成分によるエラストマー性能を充分に発揮させ、プロピレン本来の優れた性質の高剛性を損なうことなくプロピレンン重合体における耐衝撃性を大幅に向上させて、剛性と耐衝撃性バランスが極めて良好となり、ベタツキなどの粒子性の改良も行え、さらに、ショートパス粒子による、成形品におけるゲルによる外観不良などの問題の充分な解消をなすことができ、ゲル生成量を低下させることにより、表面性状や加工性の優れた共重合体を生産性良く製造することも可能となり、第2段階の重合活性も合理的に制御でき、併せて、メタロセン触媒を使用したブロック共重合体の連続多段重合方法に対する、ショートパス粒子への対策として、チーグラー・ナッタ触媒の連続重合で使用されてきた従来のキラー化合物を使用した場合における、フィッシュアイやゲルなどを削減するための、キラーの大量添加の必要性、それによる第2段階の共重合活性の著しい低下、さらには粒子性の改良不足などの問題も解消する。
キラー化合物を供給することにより、プロピレンとα−オレフィンのランダム共重合反応活性が、キラー化合物無供給である系に対して、3%〜70%低下することが実現される。これによりプロピレン−αオレフィンブロック共重合体中のゲルあるいはフィッシュアイを減少させ、さらに、衝撃強度を向上させて剛性/耐衝撃性のバランスを改良し、また、パウダー表面のべたつきを抑制する。さらにキラー化合物の供給は、第2段階の共重合の活性を制御するためにも利用される。
(3)キラー化合物の使用態様
本発明のキラー化合物は、メタロセン触媒の存在下に、第1段階においてプロピレンの結晶性単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体を製造し、第2段階において第1段階で得られた結晶性単独重合体または共重合体の存在下に、プロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)とを共重合させてプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を連続的に製造する方法において、第2段階の共重合に際し、下記の条件(I)に規定する特定の有機化合物を下記の条件(II)に規定する量比で添加される。
条件(I)
(イ)活性水素を有さないこと
(ロ)極性基を有すること
条件(II)
特定の有機化合物の添加モル数が、メタロセン触媒に含まれる遷移金属錯体における遷移金属原子のモル数に対し、0より大きく3以下であること
(4)活性水素を有さない条件
活性水素とは有機化合物の分子内に存在している水素原子のうち、電気陰性度の値が炭素以上である原子と結合している水素のことであり、−OH基や−NH基あるいは−NHR、さらには−SH基や−COOHなどに代表される原子団における水素が相当する。換言すれば、通常の炭素原子に結合した−CHの水素原子は不活性で反応性に乏しく、この水素より化学反応性が高いものが活性水素と定義される。なお、本発明では炭素に結合している水素は活性水素に含めないが、アルデヒドのようにカルボニル炭素に結合している水素は活性水素に含める。
本発明においては、「日本化学会編 化学便覧 基礎編 改訂3版 II−589頁」に記載されているポーリング(Pauling)が導いた電気陰性度を採用する。ここで、代表的な原子の電気陰性度は、H:2.1 B:2.0 C:2.5 N:3.0 O:3.5 F:4.0 Al:1.5 Si:1.8
P:2.1 S:2.5 Cl:3.0 である。
なお、キラー化合物が活性水素を有していると、本発明の作用をなさないのは、重合系内に存在している清浄剤(スカベンジャー)、例えば有機アルミニウムとキラー化合物の活性水素が不可逆的な反応をするために、キラー化合物本来の目的である触媒の被毒作用が妨げられてしまうためと考えられる。
活性水素を有さない条件は、後記する実施例と比較例との対比から、実証されている。
(5)極性基を有す条件
本発明における、極性基とは電気陰性度の差が0.5以上である2つの原子が直接結合している官能基を指す。その具体例としては、C−O結合、C−N結合、C−S結合、C−X(ハロゲン)結合、Al−C結合、B−C結合、Si−C結合などが関わるもので、炭素Cに結合するものとしては、活性水素を有さないものとして、−OR基、−NRR´基、−NO基、−COR(カルボニル)基、−COOR基、−CONRR´基、−CN基、アリール基、ビニル基、ビニルエーテル基、アリル基、−SR基、−CRR´X基、−CRX基、−CX基、−SiRR´R´´基、−POORR´基などが例示される。
これらの基は、同じあるいは異なるものが複数あるほうが好ましい。これらの中で、好ましいのは、後記する実施例からして、ハロゲンを含む、−CRR´X基、−CRX基、−CX基と、ビニルエーテル基である。
したがって、好ましいキラー化合物は、炭素数30以下の脂肪族あるいは芳香族のビニルエーテル化合物CH=CH−O−Rあるいはハロゲン化アルキル化合物である。
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテルなどが挙げられる。
また、ビニル基は二個以上含有していてもよく、1,2−エタンジオールジビニルエーテル、1,3−プロパンジオールジビニルエーテル、1,4−ブタンジオールジビニルエーテル、1,5−ペンタンジオールジビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジビニルエーテルなどが例示される。
ハロゲン化アルキルの例としては、メチルクロライド、エチルクロライド、エチルジクロライド、n−プロピルクロライド、n−ブチルクロライド、n−ペンチルクロライドなどが挙げられる。これらにおいて、塩素の代わりに、フッ素、臭素、ヨウ素を含有するハロゲン化アルキルも好ましい。さらに、これらの化合物の異性体もすべて使用できる。
以上のキラー化合物は、複数組み合わせて使用することもできる。
極性基を有す条件は、後記する実施例と比較例との対比から、実証されている。
(6)キラー化合物の供給
a.キラー化合物の供給方法
キラー化合物の供給方法は、特に制限はなく一括して供給する方法、連続的に供給する方法、断続的に供給する方法が挙げられる。
供給は、キラー化合物がショートパス粒子を捕捉し失活させるために、第2段階目の共重合に際して行うことが好ましい。さらに別の方法としては次に述べるような態様も例示できる。すなわち、第1の重合槽に触媒を連続的に供給して第一段の重合を行った後でモノマーをパージし、当該重合槽内に存在する触媒を失活させることなく、第二段目の重合をおこなう場合において、キラーを供給することなく第一段目の反応を行い、その後キラーを供給して引き続き第二段目の反応を短時間行う方法である。また、第一段の重合の途中にキラーを添加することもできる。
キラーを供給する場所としては直接後段工程に供給する方法、前段から後段へ移送中に供給する方法のいずれでもよい。また、供給の際には原料、コンデンス剤などの成分を供給する際の調製用助剤として使用してもよい。
b.キラー化合物の供給量(添加量)
本発明においては、特定の樹脂構造のランダム共重合体を製造する第2段階の共重合反応系に、適宜に選択される特定のキラー化合物を供給する。好ましい供給量は第2段階の重合の様式によって変化し、一般的に気相重合の場合、系内に液体媒体が存在するスラリー重合やバルク重合よりも必要とするキラー化合物の量は多い。この理由は液体媒体が存在しない様式ではキラー化合物の分散と拡散が起こりにくいためであると考えられる。
本発明で開示され使用されるキラー化合物の添加量としては、活性点であるシングルサイト錯体(メタロセン錯体)の量の数倍程度以下であればよく、それ以上であると第2段階の共重合活性が著しく低下する。活性点であるシングルサイト錯体の量は、重合系内に大量に存在する有機アルミニウムよりも著しく少ないため、結果として従来技術よりも供給するキラー化合物の量を低減させることが可能となる。キラー化合物供給量の低減はコスト的に有利であるばかりでなく、製品ポリマーの臭いや毒性などの原因物質削減という観点からも優れた技術である。
本発明でのキラー化合物の供給量(モル数)は、実験的な検討から、触媒に含まれるメタロセン錯体に由来する遷移金属のモル数の3倍以下であることを特徴とする。3倍を超えるとプロピレンとα−オレフィンのランダム共重合反応活性が著しく低下するため好ましくない。有効なキラー作用の発現のために、遷移金属のモル数の0倍を超える量が下限とされる。これらの供給量の規定条件は、後記する実施例と比較例との対比から、実証されている。
ビニルエーテル基やハロゲンを複数有する場合では、キラー化合物のモル数対遷移金属元素のモル数比は、その複数の数字でさらに除した値とする。
キラー化合物の供給量については、キラー化合物の活性の観点からして、上限値は触媒に含まれるメタロセン錯体に由来する遷移金属のモル数の2倍が好ましく、さらに好ましくは1.2倍ないしは1倍未満、特に好ましくは0.95倍、きわめて好ましくは0.80倍である。キラー化合物の供給量の下限値は触媒に含まれるメタロセン錯体に由来する遷移金属のモル数の0.05倍が好ましく、さらに好ましくは0.10倍、特に好ましくは0.20倍、きわめて好ましくは0.30倍である。
一般にキラー化合物の供給量は後段重合反応器中の液体溶媒の量に大きく左右される。例えばスラリー重合のように溶媒が大量に存在する場合は、キラー化合物の供給量は少量でよく、逆に溶媒が実質的に存在しない気相重合の場合は比較的大量のキラー化合物が必要となる。
しかし、本発明においては、使用するキラー化合物の量が従来技術常識に反して少なくて済むことが予想外の事実であり、本発明者らはその事実に着目して本発明を完成させたものである。
また、本発明で規定するキラー化合物の添加量が特に有効であるのは、後段重合反応器に添加する、液状の溶媒などに由来する不活性炭化水素量の範囲が以下の式を満たす場合である。
V/P≦2.0
(Pは第2段階の重合の反応器内に添加する時間あたりの重合体の量[g/h]、Vは当該反応器内に添加する時間あたりの上記の不活性炭化水素(溶媒など)の量[mL/h]である)。
c.測定
触媒に含まれるメタロセン錯体に由来する遷移金属のモル数の測定は、元素分析にて行う。なお触媒合成手法によっては、原理上使用したメタロセン錯体を100%含有する場合もあり、その場合は使用した錯体量から計算で求めてもよい。
3.共重合モノマー
本発明において使用できる、共重合モノマーであるα−オレフィンとは、プロピレン以外のα−オレフィンをいい、エチレンも含む概念である。例えば、炭素数2〜20程度のエチレン性不飽和結合を有する炭化水素化合物であり、具体的には、エチレン、ブテン、3−メチル−ブテン−1、3−メチル−ペンテン−1、ヘキセン、オクテン、デカンなどが例示できる。また、芳香環を有するα−オレフィンとしては、スチレン、ジビニルベンゼンなどを例示できる。環状のα−オレフィンとしては、ビニルシクロペンタン、ビニルシクロヘキセン、シクロヘキセン、ノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネンなどが例示でき、1,5−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエンなどのジオレフィンも本発明のα−オレフィンの概念に含めることができる。これらのうち好ましいのは、エチレンである。
4.重合方法
(1)多段連続重合
本発明では、第1段階としてプロピレン単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体を製造し、第2段階として第1段階で得られた重合反応混合物の存在下、プロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)との重合を連続して行う。生成ポリマーの分子量調整のため、必要に応じて、連鎖移動剤として水素を加えてもよい。重合は三段階以上の多段重合によっても行われる。
第1段階で得られる結晶性重合体中のプロピレン以外のα−オレフィンの割合は、ポリプロピレンの特性を失わない程度の量、例えば、20重量%以下であることが好ましい。結晶性重合体中のプロピレン以外のα−オレフィンの割合が、20重量%を越えるとポリマー粒子の凝集が増大する。
重合反応は、連続重合で行う。連続重合とはバッチ重合に対する概念であり、触媒と原料モノマーを連続的に反応器に導入する重合方法である。
ここで述べる連続的という意味は間欠的である場合も含む。また、重合反応は多段重合で行う。多段重合の例の一つとしては、直列につないだ複数の反応器の最上流の反応器に触媒を連続的に供給しポリマーを連続的に抜き出しつつ後段の重合槽に移送する様式がある。
また別の例としては、一つの重合槽に触媒を連続的に供給して第一段の重合を行った後でモノマーをパージし、当該重合槽内に存在する触媒を失活させることなく、第二段目の重合をおこなう方法も例示できる。
本発明における第2段階の重合反応とは、少なくとも1つの条件の重合反応後に行う重合反応を指し、例えば、プロピレンホモ重合を多段階で行った後に行うゴム重合も含まれる。ゴム重合は多段階に分けて行ってもよい。この場合に、キラー化合物はどの段階のゴム重合反応器に供給してもよい。
第1段階の重合とは、プロピレンの結晶性単独重合体もしくは共重合体重合であり、通常には、スラリー重合法または実質的に液体溶媒を用いず、各モノマーをガス状に保つ気相重合法が採用される。第1段階の重合は何回かに分けてもよい。また、第1段階の重合の様式は、触媒成分と各モノマーが効率よく接触するならば、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク重合も採用できる。
第2段階の重合は、第1段階の重合で得られる、触媒含有のプロピレン結晶性重合体または共重合体の存在下でゴム重合(例えばエチレン−プロピレンランダム共重合など)を行う重合である。重合方法に特に制限は無いが好ましいのは気相重合である。このましい気相重合様式は、媒質を使わずにガス状の単量体中で重合を行なう方法、たとえば生成ポリマー粒子をモノマー気流で流動させて流動床を形成させる方式あるいは生成ポリマー粒子を撹拌機により反応槽において撹拌する方式である。
(2)重合条件
連続共重合の場合、反応系中の各モノマーの量比は経時的に一定である必要はなく、各モノマーを一定の混合比で供給することも便利であるし、供給するモノマーの混合比を経時的に変化させることも可能である。
重合温度は、基本的に大略、0〜150℃であり、重合圧力は0より大きく、2,000kg/cmG以下、好ましくは0より大きく60kg/cmG以下が適当である。また分子量調節剤として補助的に水素を用いることができる。
バルク重合の場合には、プロピレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとの混合モノマーを液状に保ちうる温度及び圧力条件下で行うことが好ましい。重合温度は、通常30〜90℃、好ましくは50〜80℃である。重合時間は、通常5分〜5時間である。
気相重合では、プロピレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとの混合モノマーを導入して、気相状態を維持できる温度、圧力条件下で行われる。重合温度は通常30〜95℃、好ましくは40〜70℃である。重合時間は通常30分〜10時間、好ましくは1〜5時間である。
本発明においては、第2段の重合における気相中のプロピレン/他のα−オレフィン(エチレンを含む)のモル比が10/90ないし90/10にて共重合を行うことが望ましい。下限モル比の10/90を下回ると製品であるブロック重合体の耐衝撃性が低下するため好ましくない。逆に上限のモル比90/10を超えても同様の不都合が生じる。またこの範囲の好ましい下限は15/85、より好ましい下限は20/80、特に好ましい範囲は30/70である。また、この範囲の好ましい上限は80/20、より好ましい上限は70/30、さらに好ましい上限は60/40である。これらの値はガスクロマトグラフで測定する。
5.ブロック共重合体
(1)各重合比率
第1段階の重合工程で得られるプロピレン(共)重合体と後段工程で得られるプロピレン/α−オレフィン共重合体(いわゆるゴム成分)との生成比率(前段での重量/後段の重量)は20/80以上97/3以下の範囲が望ましい。
好ましい生成比率の下限は30/70、より好ましい下限は50/50、さらに好ましい下限は60/40である。好ましい生成比の上限は95/5、さらに好ましい上限は90/10、特に好ましい上限は80/20である。
また、ゴム成分中のコモノマー含量は10〜90重量%、好ましくは下限が30重量%、特に好ましくは40重量%であり、上限は好ましくは85重量%、特に好ましくは80重量%である。下限を下回ると本発明の効果が小さく、逆に上限を上回ると粒子が生成ゴム成分を保持できず、反応器内に液体状で存在する炭化水素化合物によって粒子相互が凝集あるいは壁面との付着を引き起こす場合がある。ゴム成分中のエチレン含量の測定方法はCFC−IRによる。
(2)MFRと分子量
ブロック共重合体のMFRは、0.01以上500以下であることが望ましい。下限のMFRを下回ると製品のブロック共重合体の溶融時の粘度が高すぎて成形性が悪化するので好ましくない。また、上限のMFRを上回ると溶融時の溶融張力が低下して成形性が悪化するため好ましくない。この範囲の好ましい下限は、0.05、より好ましい下限は0.1である。この範囲の好ましい上限は、300、より好ましい上限は100である。
また、ブロック共重合体中のゴム成分の重量平均分子量は、10,000以上5,000,000以下であるのが好ましい。下限以下の重量分子量では、ブロック共重合体を成形した製品の耐衝撃性が低下するため好ましくない。また、上限以上の分子量の場合、製品の外観が悪化するため好ましくない。この範囲の好ましい下限は50,000、より好ましい下限は100,000である。この範囲の好ましい上限は3,000,000、より好ましい上限は1,000,000である。測定はCFC−IRによる。
(3)ゲル含量
プロピレン−エチレンブロック共重合体中のゲル含量は、厚さ80〜100μm のフィルムをイメージアナライザー装置で画像処理し、その大きさと個数から求められる数値であり、ゲルの定量的指標としては、ゲルの大きさからゲルの体積を計算して求められるフィルム全体に対するゲルの体積占有率、およびゲルの大きさ分布より求められる300μm (長辺の長さ)以上の大きさのゲルの個数割合を用いる。
以下、実施例によって、本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。なお、生成重合体の分析および物性評価は次の様なCFC−IRを用いて行った。
[MFR測定]
MFRは、JIS−K−6758に準拠して230℃、2.16kg荷重により測定したメルトインデックス値である。
[ゴム含量 EPR中のエチレン含量 EPRの重量平均分子量]
プロピレン−エチレン系ブロック共重合体のゴム含量(エチレン−プロピレン共重合体:EPR)、EPR中のエチレン含量及びEPRの重量平均分子量(MwEPR)の測定方法。
EPR活性とは後段工程におけるエチレン−プロピレン共重合の活性であり、触媒1gについて、後段重合1時間当たりの生成したエチレン−プロピレン共重合体(EPR)の重量で表す。後段重合で生成したEPR量は得られたブロック共重合体量にEPR含量(単位:重量%)を掛け合わせることで求められる。
[使用する分析装置]
a.クロス分別装置
ダイヤインスツルメンツ社製CFC T−100(CFCと略す)
b.フーリエ変換型赤外線吸収スペクトル分析
FT−IR パーキンエルマー社製 1760X
CFCの検出器として取り付けられていた波長固定型の赤外分光光度計を取り外して代わりにFT−IRを接続し、このFT−IRを検出器として使用する。
CFCから溶出した溶液の出口からFT−IRまでの間のトランスファーラインは1mの長さとし、測定の間を通じて140℃に温度保持する。FT−IRに取り付けたフローセルは光路長1mm、光路幅5mmφのものを用い、測定の間を通じて140℃に温度保持する。(図1を参照)
c.ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
CFC後段のGPCカラムは、昭和電工製AD806MSを3本直列に接続して使用する。
[CFCの測定条件]
a.溶媒:オルトジクロルベンゼン(ODCB)
b.サンプル濃度:4mg/mL
c.注入量:0.4mL
d.結晶化:140℃から40℃まで約40分かけて降温
e.分別方法:
昇温溶出分別時の分別温度は、40 100 140℃とし、全部で3つのフラクションに分別する。なお、40℃以下で溶出する成分(フラクション1)、40〜100℃で溶出する成分(フラクション2)、100〜140℃で溶出する成分(フラクション3)の溶出割合(単位:重量%)を各々W40、W100、W140と定義する。W40+W100+W140=100である。また、分別した各フラクションは、そのままFT−IR分析装置へ自動輸送される。
f.溶出時溶媒流速:1mL/分
[FT−IRの測定条件]
CFC後段のGPCから試料溶液の溶出が開始した後、以下の条件でFT−IR測定を行い、上述した各フラクション1〜3について、GPC−IRデータを採取する。CFC−FT−IRの概念図を図1に示した。
a.検出器:MCT
b.分解能:8cm−1
c.測定間隔:0.2分(12秒)
d.一測定当たりの積算回数:15回
[測定結果の後処理と解析]
各温度で溶出した成分の溶出量と分子量分布は、FT−IRによって得られる2945cm−1の吸光度を、クロマトグラムとして使用して求める。溶出量は各溶出成分の溶出量の合計が100%となるように規格化する。保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。
使用する標準ポリスチレンは何れも東ソー(株)製の以下の銘柄である。
F380 F288 F128 F80 F40 F20 F10 F4 F1A5000 A2500 A1000
各々が0.5mg/mLとなるようにODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.4mL注入して較正曲線を作成する。較正曲線は最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算は森定雄著「サイズ排除クロマトグラフィー」(共立出版)を参考に汎用較正曲線を用いる。その際使用する粘度式([η]=K×Mα)には以下の数値を用いる。
a.標準ポリスチレンを使用する較正曲線作成時
K=0.000138 α=0.70
b.プロピレン系ブロック共重合体のサンプル測定時
K=0.000103 α=0.78
各溶出成分のエチレン含有量分布(分子量軸に沿ったエチレン含有量の分布)は、GPC−IRによって得られる2956cm−1の吸光度と2927cm−1の吸光度との比を用い、ポリエチレンやポリプロピレンや13C−NMR測定などによりエチレン含有量が既知となっているEPR及びそれらの混合物を使用して予め作成しておいた検量線により、エチレン含有量(重量%)に換算して求める。
[EPR含有量の理論計算]
本発明におけるプロピレン系ブロック共重合体のEPR含有量は、下記式(I)で定義され、以下のような手順で求められる。
EPR含有量(重量%) =
40×A40/B40+W100×A100/B100+W140×A140/B140 (I)
(W40、W100、W140は、上述した各フラクションでの溶出割合(単位:重量%)であり、A40、A100、A140は、W40、W100、W140に対応する各フラククションにおける実測定の平均エチレン含有量(単位:重量%)であり、B40、B100、B140は、各フラクションに含まれるEPRのエチレン含有量(単位:重量%)である。A40、A100、A140、B40、B100、B140の求め方は後述する。
(I)式の意味は以下の通りである。(I)式右辺の第一項はフラクション1(40℃に可溶な部分)に含まれるEPRの量を算出する項である。フラクション1がEPRのみを含み、PP(プロピレン重合体)を含まない場合には、W40がそのまま全体の中に占めるフラクション1由来のEPR含有量に寄与するが、フラクション1にはEPR由来の成分のほかに少量のPP由来の成分(極端に分子量の低い成分及びアタクチックポリプロピレン)も含まれるため、その部分を補正する必要がある。そこでW40にA40/B40を乗ずることにより、フラクション1のうち、EPR成分由来の量を算出する。例えば、フラクション1の平均エチレン含有量(A40)が30重量%であり、フラクション1に含まれるEPRのエチレン含有量(B40)が40重量%である場合、フラクション1の30/40=3/4(即ち75重量%)はEPR由来、残りの1/4はPP由来ということになる。このように右辺第一項でA40/B40を乗ずる操作は、フラクション1の重量%(W40)からEPRの寄与を算出することを意味する。右辺第二項以後も同様であり、各々のフラクションについて、EPRの寄与を算出して加え合わせたものがEPR含有量となる。
[EPR含有量の実測]
上述したように、CFC測定により得られるフラクション1〜3に対応する平均エチレン含有量をそれぞれA40、A100、A140とする(単位はいずれも重量%である)。平均エチレン含有量の求め方は後述する。
フラクション1の微分分子量分布曲線(図2参照)におけるピーク位置に相当するエチレン含有量をB40とする(単位は重量%である)。フラクション2および3については、ゴム部分が40℃で全て溶出してしまうと考えられ、同様の定義で規定することができないので、本発明ではB100=B140=100と定義する。B40、B100、B140は各フラクションに含まれるEPRのエチレン含有量であるが、この値を分析的に求めることは実質的には不可能である。その理由は、フラクションに混在するPPとEPRを完全に分離分取する手段がないからである。種々のモデル試料を使用して検討を行った結果、B40はフラクション1の微分分子量分布曲線のピーク位置に相当するエチレン含有量を使用すると、材料物性の改良効果を合理的に説明することができることがわかった。また、B100、B140は、エチレン連鎖由来の結晶性を持つこと、および、これらのフラクションに含まれるEPRの量がフラクション1に含まれるEPRの量に比べて相対的に少ないことの2点の理由により、共に100と近似する方が、実態にも近く、計算上も殆ど誤差を生じない。そこでB100=B140=100として解析を行うこととしている。
以下の式に従い、EPR実測含有量を求める。
EPR含有量(重量%) =
40×A40/B40+W100×A100/100+W140×A140/100 (II)
つまり、(II)式右辺の第一項であるW40×A40/B40は結晶性を持たないEPR含有量(重量%)を示し、第二項と第三項の和であるW100×A100/100+W140×A140/100は結晶性を持つEPR含有量(重量%)を示す。
ここで、B40およびCFC測定により得られる各フラクション1〜3の平均エチレン含有量A40、A100、A140は、次のようにして求める。
図2は、結晶分布の違いによって分別されたフラクション1をCFC分析装置の一部を構成するGPCカラムで分子量分布を測定した曲線、および、当該GPCカラムの後ろに接続されたFT−IRによって、分子量分布曲線に対応して測定されるエチレン含有量の分布曲線を示した例である。微分分子量分布曲線のピーク位置に対応するエチレン含有量がB40となる。
また、図2において、測定時にデータポイントとして取り込まれる、各データポイント毎の重量割合と、各データポイント毎のエチレン含有量の積の総和が平均エチレン含有量A40となる。
なお、上記3種類の分別温度を設定した意義は次の通りである。本発明のCFC分析においては、40℃とは結晶性を持たないポリマー(例えば、EPRの大部分、もしくはプロピレン重合体成分(PP)の中でも極端に分子量の低い成分及びアタクチックな成分)のみを分別するのに必要十分な温度条件である意義を有する。100℃とは、40℃では不溶であるが100℃では可溶となる成分(例えば、EPR中、エチレン及び/又はプロピレンの連鎖に起因して結晶性を有する成分、および結晶性の低いPP)のみを溶出させるのに必要十分な温度である。140℃とは、100℃では不溶であるが140℃では可溶となる成分(例えばPP中の特に結晶性の高い成分、およびEPR中の極端に分子量が高くかつエチレン結晶性を有する成分)のみを溶出させ、かつ分析に使用するプロピレン系ブロック共重合体の全量を回収するのに必要十分な温度である。なお、W140に含まれるEPR成分は極めて少量であり実質的には無視できる。
[EPR中のエチレン含有量の実測]
EPR中のエチレン含有量(重量%)=
(W40×A40+W100×A100+W140×A140)/[EPR]
但し、[EPR]は先に求めたEPR含有量(重量%)である。
[ゲルの体積占有率の測定]
添加剤配合 得られたブロック共重合体パウダーに、下記の酸化防止剤および中和剤を添加し、十分に撹拌混合した。
酸化防止剤:テトラキス[メチレン−3−(3´,5´−ジ−t−ブチル−4´−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン500ppm トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト500ppm
中和剤:ステアリン酸カルシウム500ppm
混練およびフィルム成形 添加剤を加えた共重合体パウダーを、以下の条件で溶融混練しながらTダイから押し出し、溶融樹脂を直接キャスト成形し外観評価用のフィルムを得た。
押出機:テクノベル社製KZW−15−45MG2軸押出機
スクリュ:口径15mm、L/D=45
スクリュ構成:ニーディングセグメント(L/D=1あたり5条)をL/D=6、他フルフライト
押出機設定温度:(ホッパ下から)40 80 160 200 220 220(ダイ)[℃]
スクリュ回転数:400rpm
吐出量:スクリュフィーダーにて1.5kg/h に調整
ダイ:コートハンガーTダイ(幅120mm、Lip厚み1mm)
フィルム冷却:冷却ロール温度40℃ エアナイフにより冷却エアを吹き付け
製膜速度:約14m/min(フィルム厚みが20μm になるように調整)
得られたフィルムをイメージアナライザー装置で画像処理し、ゲルの大きさと数を測定しゲルの大きさからゲルの体積を計算して求め、フィルム全体に対するゲルの体積占有率を求めた。
[落錘衝撃試験]
落錘衝撃試験は市販の計装化落錘衝撃試験器に先端形状が平面のダート(ダート径20mm、4kgf)を組み合わせて、落下高さ200cm、樹脂温度−30℃で実施した。
[触媒中のHf含量の測定;元素分析]
試料0.1gを白金坩堝に採取し硫酸を添加して加熱炭化後、700℃で灰化した。灰化物に硫酸、フッ化水素を添加後加熱することによりSiF4としてSiを輝散除去し、Hfを溶解してJOBIN YVON社製JY138 ULTRACE型 ICP−AES装置にてHf含量を測定した。
[実施例−1]
(1)触媒合成
a.化学処理
撹拌翼と還流装置を取り付けた5Lセパラブルフラスコに、純水1,700gを投入し、98%硫酸500gを滴下した。そこへ、さらに市販の造粒モンモリロナイト(水澤化学社製、ベンクレイSL、平均粒径:19.5μm)を300g添加後撹拌した。その後90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、洗浄した。
回収したケーキに硫酸リチウム1水和物325gの水900mL水溶液を加え90℃で2時間反応させた。このスラリーをヌッチェと吸引瓶にアスピレータを接続した装置にて、pH>4まで洗浄した。
回収したケーキを120℃で終夜乾燥した。その結果、270gの化学処理体を得た。
b.化学処理モンモリロナイトの有機アルミニウム処理
内容積1Lのフラスコに上記a.で得た化学処理モンモリロナイト10.0gを秤量し、ヘプタン65mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液35.4mL(25mmol)を加え、室温で1時間撹拌した。その後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、最後にスラリー量を100mLに調製した。
(2)プロピレンによる予備重合
上記(1)のb.で調整したトリイソブチルアルミニウム処理したモンモリロナイトのヘプタンスラリーに、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液2.13mL(1504μmol)を加えて10分間、室温で撹拌した。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、(r)−ジクロロ[1,1´−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4H−アズレニル}]ハフニウム(299μmol)にトルエン(60mL)を加えてスラリーとした後、上記の1Lフラスコに加えて、室温で60分間撹拌した。
次に、上記モンモリロナイトのヘプタンスラリーに、さらにヘプタン340mLを追加して内容積1Lの撹拌式オートクレーブに導入し、40℃でプロピレンを238.1mmol/hr(10g/時)の一定速度で120分間にて供給した。
プロピレン供給終了後、50℃に昇温して2時間そのまま維持し、その後残存ガスをパージして予備重合触媒スラリーをオートクレーブより回収した。回収した予備重合触媒スラリーを静置し、上澄み液を抜き出した。残った固体にトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液8.5mL(6.0mmol)を室温にて加え、室温で10分間撹拌した後、減圧乾燥して固体触媒を32.5g回収した。
予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は2.25であった。この触媒の固体触媒量あたりのHf含量は66wt%であった。
(3)重合
第1段階のプロピレンホモ重合:内容積3Lの撹拌機付オートクレーブ内をプロピレンで充分置換した後に、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを加え、水素300mL、続いて液体プロピレン750gを導入し、65℃に昇温した。上記(2)で得られた予備重合触媒をヘプタンにスラリー化し、固体触媒として30mg(予備重合ポリマーを除く正味の固体触媒の量;以下同様)をヘプタン3mLと共に圧入して重合を開始した。
槽内温度を65℃に維持した。触媒投入1時間経過後にさらに触媒5mgをヘプタン0.5mLと共に圧入し5分間65℃で重合した。この段階で系内に存在する触媒に含まれるシングルサイト型錯体に由来する遷移金属Hfのモル数は0.69μmolである。その後、n−ブチルビニルエーテル0.45μmolをヘプタン4.5mL溶液として圧入供給した。さらに5分間65℃で重合したのち残モノマーのパージを行い、アルゴンにて槽内を5回置換した。撹拌を停止させ、アルゴンをフローさせながら、テフロン管を槽内に差し込み、ポリプロピレンを少量抜き出した。抜き出し量は10gであった。
第2段階のプロピレン−エチレン共重合:重合槽の撹拌を再開後にエチレンとプロピレンを6:4のモル比で圧力1.8MPaまで供給した。内温を65℃に保持し、圧力を1.8MPaに保つようにエチレンとプロピレンを40:60のモル割合で供給し気相共重合を30分間実施した。重合終了後、回収したポリマーは90℃窒素気流下で30分間乾燥した。
(4)重合結果とゲル量
プロピレン・エチレンブロックポリマーの収量:289g
エチレン・プロピレン共重合体(EPR)の含有量:4.1重量%
EPR中のエチレン含有量:36重量%
EPR活性 =800[gEPR/(gcat・h)]
ゲルの体積占有率:0.4%
キラー化合物/Hf=0.65[mol/mol]
V/P=0.04
[比較例−1]
(1)重合
実施例−1において、n−ブチルビニルエーテルに替えてエタノール2200μmol(2.2mLヘプタン溶液)を使用した以外は同様に重合を行った。
(2)重合結果とゲル量
プロピレン・エチレンブロックポリマーの収量:290g
エチレン・プロピレン共重合体(EPR)の含有量:3.1重量%
EPR中のエチレン含有量:33重量%
EPR活性 =560[gEPR/(gcat・h)]
ゲルの体積占有率:0.7%
キラー化合物/Hf=3390[mol/mol]
V/P=0.03
[比較例−2]
(1)重合
実施例1において、n−ブチルビニルエーテルに代えて何も使用しないこと以外は同様に重合を行った。
(2)重合結果とゲル量
プロピレン・エチレンブロックポリマーの収量:320g
エチレン・プロピレン共重合体(EPR)の含有量:11.3重量%
EPR中のエチレン含有量:31重量%
EPR活性 =2,400[gEPR/(gcat・h)]
ゲルの体積占有率:8%
キラー化合物/Hf=0[mol/mol]
V/P=0.03
以上の結果を、表1に掲載する。
Figure 2005220235
[実施例−2,3,4,比較例−3,4,5,6]
実施例−1において、最初に圧入する触媒量を30mgから40mgに変更し、表2のようなキラー化合物の種類と量を用いたこと以外は同様に重合を行った。表2のように本発明の方法を用いると粒子性状に優れた結果、高いポリマーBDをもつ粒子が得られた。
Figure 2005220235
[実施例−5]
図3に示したように、内容積0.4mの撹拌装置付き液相重合槽1、0.5mの撹拌流動式気相重合槽7の間に、二重管式熱交換器3と流動フラッシュ槽4からなる脱ガスシステムを組み込んだプロセスにより、プロピレン−エチレンブロック共重合体の連続製造を実施した。
液相重合槽1には、液化プロピレン、水素、トリイソブチルアルミニウム(TIBA)を連続的にフィードした。なお、液化プロピレン、TIBAのフィード量は、それぞれ、112kg/hr、26.2g/hrであり、水素は、モル濃度[H]が370ppmになるようにフィードした。
さらに、固体触媒成分を0.83g/hr(予備重合前の触媒重量相当で換算)となるようにフィードした。また、重合温度が68℃となるように、重合槽1を冷却した。
この重合槽で重合したスラリーは、スラリーポンプ2を用いて循環させながら、その一部を循環ライン途中から脱ガスシステムに抜き出した。スラリーの抜き出しレートは、該スラリーに含まれるポリプロピレン粒子として、約15kg/hrであった。該ポリプロピレン粒子の液相重合槽1ならび循環ラインにおける平均滞留時間は2.2時間であった。また、該ポリプロピレン粒子の平均粒径Dp50は682μm、平均触媒効率CEは18000g/g、重合体MFRは70g/10分であった。触媒効率CEは、固体触媒成分中に含まれる固体成分1gあたりのポリプロピレン収量(g)で定義する。
先述のスラリー循環ライン中より抜き出されたスラリーは、後流の二重管式熱交換器3を経て、流動フラッシュ槽4にフィードされた。流動フラッシュ槽4においては、下部より加熱したプロピレンガスをフィードしながら、槽内温度を70°Cに維持した。ここで得られた固体状ポリプロピレン粒子を、気相重合槽7に送り、プロピレンとエチレンの共重合(EPR重合)を行った。混合効果を高めるため、補助的に撹拌翼を設けた気相重合槽7では、ガス・ブロアー10によって、エチレン、プロピレン、水素の混合ガスを循環させた。エチレンとプロピレンは、エチレンとプロピレンの分圧の和が1.8MPaG、かつ、プロピレンのモル分率が32mol%で一定になるようにフィードした。また、水素濃度が80ppmを維持するように、水素フィード量を調整した。さらに、キラー化合物としてn−ブチルビニルエーテルをフィードした。n−ブチルビニルエーテルのフィード量は、気相重合槽7に供給されるポリマー中に含まれる重合触媒中のHf原子に対して、モル比率で0.67となるようにした。キラー化合物は図3の気相重合槽7と循環ガスクーラー9の間から注入した。
重合温度は65°Cで、気相重合槽7から抜き出したプロピレン−エチレンブロック共重合体の抜き出しレートが、約18kg/hrになるように調節した。気相重合槽7における平均滞留時間は、2.0hrであった。
その結果、気相重合槽7から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFRは35.1 g/10分、かさ密度は0.484g/cc、 EPR含量は16.2重量%であった。これらの重合において、炭化水素化合物は、触媒やキラー化合物の溶媒として反応系内に添加しただけであり、V/P<2である。
[実施例−6]
実施例−5において、キラー化合物を2−エチルヘキシルビニルエーテルとし、そのフィード量を、気相重合槽7に供給されるポリマー中に含まれる重合触媒中のHf原子に対して、モル比率が0.12とした以外は、実施例−5と同様にして、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。
その結果、気相重合槽7から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFRは30.1 g/10分、かさ密度は0.487 g/cc、EPR含量は17.9重量%であった。
[実施例−7]
実施例−5において、キラー化合物をn−ブチルクロライドとし、そのフィード量を、気相重合槽7に供給されるポリマー中に含まれる重合触媒中のHf原子に対して、モル比率0.15とした以外は、実施例−5と同様にして、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。
その結果、気相重合槽7から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFRは34.1 g/10分、かさ密度は0.485g/cc、EPR含量は15.7重量%であった。
[比較例−7]
実施例−5において、キラー化合物をエタノールとし、そのフィード量を、気相重合槽7に供給されるポリマー中に同伴されるAl原子に対して、モル比率を1.1とした以外は、実施例−5と同様にして、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造を行った。
その結果、気相重合槽7から抜き出された重合体粒子を分析したところ、MFRは33.7g/10分、かさ密度は0.481g/cc、EPR含量は15.2重量%であった。
これらのプロピレン系樹脂と配合成分とを、IRGANOX1010(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.10wt%、IRGAFOS168(チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.10wt%、カルシウムステアレート0.05wt%の配合割合(重量%)で配合し、単軸押出機にて混練・造粒してペレット状の樹脂組成物を得た。
得られた組成物を金型温度40℃、シリンダー温度220℃にて加熱した射出成形機に導入し、射出成形により厚さ2mmの試験片を成形した。得られた射出成形片について、落錘衝撃試験を実施した。結果を表3に示す。
Figure 2005220235
[実施例と比較例の結果]
各実施例と各比較例の結果の対照から、活性水素を有さず、極性基を有す本発明のキラー化合物を、メタロセン触媒の遷移金属に対するモル比で0より大きく3以下で添加すると、EPR活性が適度に抑制されて、ゲルの発生が充分に低下されていることが明らかである。
また、比較例−1,3は、特許文献5の先行技術に係わる、チーグラーナッタ触媒系の従来のキラー化合物をメタロセン触媒系に転用した例であって、本発明がこれらに比べて、EPR活性が抑制され、ゲル発生などの面から非常にすぐれた効果を奏すものであることを明示している。比較例−5のようにV/P値が2より大きい場合は活性低下が大きくなりすぎ好ましくない。比較例−6のようにキラー化合物/Hfのモル比が3を越える場合も活性低下が大きくなりすぎ好ましくない。
さらに、実施例−5,6,7と比較例−7との対照から、本発明の主な課題である耐衝撃性が顕著に向上されていることも明らかである。
さらに、また、本発明では、ポリマーBD(嵩密度)が増大され、これにより、ポリマー粒子のベタツキや凝集が抑制されて粒子性が改良されていることも明らかである。ポリマー粒子のべたつきや凝集が抑制されると、重合反応槽の内壁面や撹拌翼へのポリマー粒子の付着凝集が抑制され、安定した連続重合を長時間持続できる。さらにまた、嵩密度が増大されると重合反応槽におけるポリマー保持率が上昇して、これによりポリマーの生産量と生産性が高められる。
CFC−IR測定のフローを示す概念図である。 CFC−IR測定の結果を示すチャート図である。 液相重合槽と撹拌式気相重合槽の間に、二重管式熱交換器と流動フラッシュ槽からなる脱ガスシステムを組み込んだ重合工程図である。
符号の説明
1:液相重合槽 2:.スラリー循環ポンプ
3: 二重管式熱交換器 4: 流動フラッシュ槽
5: 熱交換器 6: ガスブロアー
7: 気相重合槽 8: サイクロン
9: 循環ガスクーラー 10: ガスブロアー
11: サイクロン 12: ホッパー
13: スクリューフィーダー 14: 乾燥器
15: ホッパー 16: ガスブロアー

Claims (9)

  1. メタロセン触媒の存在下に、第1段階においてプロピレンの結晶性単独重合体またはプロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)との共重合体を製造し、第2段階において第1段階で得られた結晶性単独重合体または共重合体の存在下に、プロピレンと他のα−オレフィン(エチレンを含む)とを共重合させてプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体を連続的に製造する方法において、第2段階の共重合に際し、下記の条件(I)に規定する特定の有機化合物を下記の条件(II)に規定する量比で添加することを特徴とする、プロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
    条件(I)
    (イ)活性水素を有さないこと
    (ロ)極性基を有すること
    条件(II)
    特定の有機化合物の添加モル数が、メタロセン触媒に含まれる遷移金属錯体における遷移金属原子のモル数に対し、0より大きく3以下であること
  2. メタロセン触媒が、(A)共役五員環配位子を有する周期律表第4〜6族の遷移金属化合物からなるメタロセン錯体と、それを活性化させる(B)助触媒、並びに必要に応じて使用される(C)有機アルミニウム化合物および(D)担体から構成されるものであることを特徴とする、請求項1におけるプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
  3. 第2段階を気相重合で行うことを特徴とする、請求項1または請求項2に記載されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
  4. 以下の式を満たす量の液状の不活性炭化水素を第2段階の重合反応器に添加することを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
    V/P≦2.0
    (Pは第2段階の重合の反応器内に添加する時間あたりの重合体の量[g/h]、Vは当該反応器内に添加する時間あたりの上記の炭化水素化合物の量[mL/h]である。)
  5. 遷移金属錯体が、下記一般式(1)で表される架橋型メタロセン錯体であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
    Figure 2005220235
    (1)
    (式中、Mは、Ti、ZrまたはHfである。XおよびYは、成分(B)の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる、補助配位子である。AおよびA’は、置換基を有していてもよいインデニル基、フルオレニル基またはアズレニル基である。Qは、AとA’を架橋する基である。)
  6. 条件(I)(ロ)に規定された極性基のうち、少なくとも1つの極性基がハロゲン原子あるいはビニルエーテル基のいずれかであることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
  7. 条件(II)において、特定の有機化合物の添加モル数が、メタロセン触媒に含まれる遷移金属錯体における遷移金属原子のモル数に対し、1未満であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれかに記載されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
  8. 共重合モノマーのα−オレフィンがエチレンであることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
  9. 重合が多段重合で行われることを特徴とする、請求項1〜請求項8のいずれかに記載されたプロピレン−α−オレフィンブロック共重合体の製造方法。
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