JP2009275151A - プロピレン系樹脂組成物およびその成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】剛性、耐衝撃性、耐ドローダウン性等の溶融加工が良好で熱安定性が向上するとともにリサイクル性にも優れたプロピレン系樹脂組成物とその成形体の提供。
【解決手段】所定MFRの結晶性ポリプロピレン0〜79重量%と、所定要件を満たすp−キシレン不溶成分と所定要件を満たすp−キシレン可溶成分からなり、かつ、Mw、熱p−キシレン不溶成分量、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)及びMFRが所定のものであるプロピレン系重合体20〜99重量%と、所定MFRのスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物、所定ムーニー粘度のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムまたは所定MFR及び密度のエチレン重合体樹脂から選ばれる熱可塑性樹脂1〜50重量%とからなるものとする。
【選択図】なし

Description

本発明は、プロピレン系樹脂組成物およびその成形体に関し、さらに詳しくは、剛性、耐衝撃性、耐ドローダウン性等の溶融加工が良好で熱安定性が向上するとともにリサイクル性にも優れたプロピレン系樹脂組成物とその成形体に関する。
中空成形や押出成形に用いられる樹脂は、おしなべて溶融張力が大きいことが重要である。一般に、ポリプロピレン樹脂は、耐熱性や平滑性・光沢等の表面品質には優れているが、溶融張力は小さく、中空成形時の耐ドローダウン性が十分ではない。特に、バンパー、スポイラー、ルーフ等の大型自動車部品のように寸法が1.3m以上の長尺成形体の中空成形用材料に用いた場合にはドローダウンに起因して肉厚が不均一になる問題が顕在化する。
ポリプロピレン樹脂の溶融張力を改良する方法としては、溶融張力の高い高分子量の高密度ポリエチレンを添加する方法(特許文献1)、クロム系触媒により製造される溶融張力の高い高密度ポリエチレンを添加する方法(特許文献2)、スチレン・共役ジエンブロック共重合体を添加する方法(特許文献3)などが提案されている。
しかしながら、高密度ポリエチレンを添加する方法では、成形体表面の平滑性が損なわれてしまい、ポリプロピレン樹脂の特性を充分保っているとは言い難かった。また、スチレン・共役ジエンブロック共重合体を添加する方法では、深絞り部位を有するような複雑な形状の製品に成形すると、パリソン破れや成形品が偏肉するなどの問題があった。
また、最近では、ポリプロピレン樹脂そのものの分子構造を改質して、溶融張力を改良する試みも行われていて、ポリプロピレン樹脂に電子線を照射する方法(特許文献4)、ポリプロピレン樹脂を過酸化物、架橋助剤で処理する方法(特許文献5)、プロピレンとポリエンとを共重合させる方法(特許文献6)、オレフィン重合用触媒の存在下で高分子量のオレフィン重合体を予備重合して得られた予備重合触媒の存在下でプロピレンを重合させる方法(特許文献7)等が提案されている。
しかしながら、ポリプロピレン樹脂に電子線を照射する方法、ポリプロピレン樹脂を過酸化物、架橋助剤で処理する方法では、高次に架橋する副反応を制御することが困難であって、ゲルの発生により外観不良や平滑性に悪影響が生じてしまう。また、プロピレンとポリエンとを共重合させる方法においては、溶融張力の改良効果が必ずしも十分でない上、ゲルの発生も懸念される。また、いずれの方法によるポリプロピレン樹脂おいても、熱履歴により溶融張力が変化してしまうといった問題がある。
すなわち、成形加工、特に中空成形では、環境問題、経済性の観点からバリを回収するなどしてリサイクルが行われるのが通例であるが、一度熱履歴を受けたバリの部分は、溶融張力が低下してしまうため、リサイクル率がたとえ少量でも溶融加工特性に無視できない影響を与えてしまう。このようにリサイクル性に問題があった。
こうした状況下に、従来技術における問題点を解消し、剛性、耐衝撃性、耐ドローダウン性等の溶融加工が良好で熱安定性が向上されるとともにリサイクル性にも優れたプロピレン系樹脂組成物に対する早期開発が求められている。
特開平3−197542号公報 特開平8−92438号公報 特開平7−316361号公報 特開平2−298536号公報 WO99/27007国際公開パンフレット 特開平5−194778号公報 特開平10−231394号公報
本発明の課題は、上記従来技術の問題点に鑑み、剛性、耐衝撃性、耐ドローダウン性等の溶融加工が良好で熱安定性が向上するとともにリサイクル性にも優れたプロピレン系樹脂組成物とその成形体を提供することにある。
本発明者らは、上記の課題を解決するため、鋭意研究の結果、物性バランスの向上を促す、高い歪硬化度(λmax)とアイソタクチックトライアッド分率(mm)を示す新規な長鎖分岐型のプロピレン系重合体を使用し、それに特定の樹脂成分を特定の比率で配合したところ、得られたプロピレン系樹脂組成物は、剛性、耐衝撃性、耐ドローダウン性等の溶融加工が良好で熱安定性が向上するとともにリサイクル性にも優れていることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、メルトフローレート[230℃、21.18N荷重]が0.05〜2g/10分の結晶性ポリプロピレン(A)0〜79重量%と、下記の要件(α1)〜(α5)を満たす25℃でp−キシレンに不溶性の成分(α)と下記の要件(β1)〜(β3)を満たす25℃でp−キシレンに可溶性の成分(β)から構成され、且つ、下記の要件(i)〜(iv)を満たすプロピレン系重合体(B)20〜99重量%と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(c1)、ムーニー粘度[ML1+4(121℃)]が5以上のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(c2)、及びメルトフローレート[230℃、21.18N荷重]が0.3〜2g/10分、密度が0.920g/cm以上のエチレン重合体樹脂(c3)から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂(C)1〜50重量%とからなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
(α1)プロピレン系重合体(B)全量に対して20〜95重量%である
(α2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(α3)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が93%以上である、
(α4)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上である、
(α5)プロピレン単位と、エチレン単位またはα−オレフィン単位を含有する。
(β1)プロピレン系重合体(B)全量に対して5〜80重量%である、
(β2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(β3)プロピレン単位と、エチレン単位および/またはα−オレフィン単位を含有する。
(i)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(ii)熱p−キシレンに不溶な成分が0.3重量%以下である、
(iii)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上である、
(iv)メルトフローレート[230℃、21.18N荷重]が0.05〜20g/10分である。
また、本発明の第2の発明によれば、第1の発明において、前記成分(β)は、さらに(β4)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第3の発明によれば、第1又は2の発明において、プロピレン系重合体成分(B)は、結晶性プロピレン重合セグメントを側鎖に有し、非結晶性プロピレン共重合セグメントを主鎖に有する分岐構造を有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第4の発明によれば、第1〜3のいずれかの発明において、前記成分(α)は、結晶性プロピレン重合セグメントを側鎖に有し、非結晶性プロピレン共重合セグメントを主鎖に有する分岐構造を有することを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第5の発明によれば、第1〜4のいずれかの発明において、前記成分(α)は、エチレン単位を含むものであって、エチレン含量が0.1〜10重量%であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第6の発明によれば、第1〜5のいずれかの発明において、前記成分(β)は、エチレン単位を含むものであって、エチレン含量が10〜60重量%であることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物が提供される。
また、本発明の第7の発明によれば、第1〜6のいずれかの発明のプロピレン系樹脂組成物からなるブロー成形体が提供される。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、中空成形時の耐ドローダウン性、物性バランスと成形体の表面平滑性及び熱安定性(リターン性)が著しく改善されている。そのため、これを用いて押出成形やブロー成形すると、大型で複雑な形状の中空成形体が可能になり、バンパー等の自動車外装部品等に好適である。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、前述したように、所定のメルトフローレート(以下、MFRという)の結晶性ポリプロピレン(A)0〜79重量%と、下記の成分(α)と成分(β)から構成され、且つ、前記(i)〜(iv)の要件を満たす、すなわち重量平均分子量(Mw)、熱p−キシレン不溶成分量、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)及びMFRが所定のものであるプロピレン系重合体(B)20〜99重量%と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(c1)、所定ムーニー粘度のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(c2)、または所定MFR及び密度のエチレン重合体樹脂(c3)から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂(C)1〜50重量%とからなるものである。
成分(α):次の要件(α1)〜(α5)を満たし、25℃でp−キシレンに不溶である成分(CXIS)。
(α1)プロピレン系重合体(B)全量に対して20〜95重量%である
(α2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(α3)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が93%以上である、
(α4)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上である、
(α5)プロピレン単位と、エチレン単位またはα−オレフィン単位を含有する。
成分(β):次の要件(β1)〜(β3)を満たし、25℃でp−キシレンに可溶である成分(CXS)。
(β1)プロピレン系重合体(B)全量に対して5〜80重量%である、
(β2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
(β3)プロピレン単位と、エチレン単位および/またはα−オレフィン単位を含有する。
以下、本発明のプロピレン系樹脂組成物の各成分、その樹脂組成物の製造、成形体等について詳細に説明する。
[I]プロピレン系樹脂組成物の構成成分
1.成分(A):結晶性ポリプロピレン
本発明において使用する結晶性ポリプロピレンとしては、プロピレン単独重合体、プロピレンとエチレン、ブテン−1等の他のα−オレフィンとのランダム共重合体又はブロック共重合体等が挙げられ、これらは併用することもできる。
本発明において使用する結晶性ポリプロピレンは、MFR(JIS K7210、230℃、21.18N荷重で測定)が0.05〜2g/10分、好ましくは0.1〜1.5g/10分、より好ましくは0.2〜1.2g/10分である。下限未満では溶融延展性が低下し、上限を越えると、耐ドローダウン性が低下する。
本発明において結晶性とは、DSC測定において結晶の融解に基づく吸熱ピークを有することを意味し、好ましくは吸熱量が30J/g以上のものをいう。ここで、溶融温度のピーク値は、示差走査型熱量計(DSC)によって得られる吸熱カーブのピークを意味する。測定方法は、例えばパーキンエルマー社製DSC7型を用い、約10mmgのサンプルを、0℃から20℃/分の昇温速度で230℃まで昇温し、3分間保持した後、5℃/分の降温速度で0℃まで降温し、5分間保持し、次いで20℃/分の昇温速度で230℃まで昇温した時に得られる吸熱カーブのピーク温度を求める。
本発明において使用する結晶性ポリプロピレン(A)は、吸熱カーブのピーク温度が145〜170℃であることが好ましい。
また、本発明で用いられる結晶性ポリプロピレン樹脂(A)は、伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が、好ましくは2.0未満であり、より好ましくは1.5未満である。こうすることで、成形品の外観が優れ、経済性も向上する。伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)の測定方法の詳細については、後述する。
2.成分(B):プロピレン系重合体
(2−1)成分(B)の特性
本発明において用いられる成分(B)は、25℃でp−キシレンに不溶である成分(α)と25℃でp−キシレンに可溶である成分(β)から構成され、且つ、(i)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万であり、(ii)熱p−キシレンに不溶な成分が0.3重量%以下であり、(iii)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であり、(iv)メルトフローレート[230℃、21.18N荷重]が0.05〜20g/10分であることを特徴とするプロピレン系重合体である。
成分(B)としては、結晶性プロピレン重合セグメントと非結晶性プロピレン共重合セグメントの一部が化学的に結合している共重合体を含む、結晶性プロピレン重合体成分とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を多段重合により逐次に製造して得られたプロピレン−エチレン共重合体が好ましい。
多段重合は、好ましくは第一段階で結晶性プロピレン重合体成分を重合し、第二段階でプロピレン−エチレンランダム共重合体成分を重合する二段重合である。
第一段階で製造される結晶性プロピレン重合体の一部が末端ビニル基の状態で反応停止するものを多く存在させることで、そのまま二段目の重合を行った場合に、末端ビニルの結晶性プロピレン重合体がマクロモノマーとして、第二段階の重合に関わり、非結晶性プロピレン共重合セグメント(プロピレン−エチレンランダム共重合セグメント)が主鎖であり、結晶性プロピレン重合セグメントが側鎖である分岐構造を有する共重合体が生成する。
本発明者らは、成分(B)の添加が良好な溶融張力を発揮する要因は、この分岐構造の存在に帰せられると考察している。一般に、リアルブロック共重合体や、グラフト共重合体等の、一分子中に異なるモノマーの連鎖からなる部分を有する重合体は、ミクロ相分離構造と呼ばれる、通常の相分離構造よりもかなり小さな分子レベルのオーダーでの相分離構造をとることが知られており、そのような微細な相分離構造は、溶融張力を格段に向上させると考えられる。実際に、本発明に係る成分(B)(分岐構造を有する共重合体)の電子顕微鏡写真(図1、2)では、通常の樹脂(分岐構造の存在しないもの(図3))に比べて、極めて微細なゴムドメインの分散構造が見られており、上記の推察を支持している。
なお、成分(B)は、非結晶性プロピレン共重合セグメント(プロピレン−エチレンランダム共重合セグメント)が主鎖であり、結晶性プロピレン重合セグメントが側鎖である分岐構造を有する共重合体を含んでいる。主鎖を構成する成分としては、プロピレン、エチレンの他、本発明の効果を損なわない範囲内で、他の不飽和化合物、例えば、1−ブテンなどのα−オレフィンを含んでいてもよい。側鎖を構成する成分としては主としてプロピレンであり、本発明の本質を著しく損なわない範囲内で少量の他の不飽和化合物、例えば、エチレン、1−ブテンなどのα−オレフィンを含んでいてもよい。
上記のようなプロピレン−エチレンランダム共重合体成分が主鎖であり、結晶性プロピレン重合体成分が側鎖であるグラフト共重合体が存在しているかどうかを判断する手法の一つとしては、伸張粘度の測定から得られる歪硬化度(λmax)を用いることが有効である。
上記歪硬化度(λmax)は、溶融時強度を表す指標であり、この値が大きいと、溶融張力が向上する効果がある。
また、この歪硬化度は、伸長粘度の非線形性を表す指標であり、通常、分子の絡み合いが多いほど、この値が大きくなると言われている。分子の絡み合いは、分岐の量、分岐鎖の長さに影響を受ける。したがって、分岐の量、分岐の長さが長いほど、歪硬化度は大きくなる。
成分(B)においては、一段目の結晶性プロピレン重合体の製造の際に、末端ビニル基を有するプロピレン重合体がマクロモノマーとして重合に関与し、分岐したプロピレン重合体を生成する。したがって、この歪硬化度は、末端ビニルのプロピレン重合体の生成量の指標であって、1.1以上であることが好ましい。
ここで、歪硬化度の測定方法に関しては、一軸伸長粘度を測定できれば、どのような方法でも原理的に同一の値が得られるが、例えば、測定方法及び測定機器の詳細は、公知文献Polymer 42(2001)8663に記載の方法があるが、好ましい測定方法及び測定機器として、以下を挙げることができる。
測定方法1:
装置:Rheometorics社製 Ares
冶具:ティーエーインスツルメント社製 Extentional Viscosity Fixture
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:プレス成形して18mm×10mm、厚さ0.7mm、のシートを作成する。
測定方法2:
装置:東洋精機社製、Melten Rheometer
測定温度:180℃
歪み速度:0.1/sec
試験片の作成:東洋精機社製キャピログラフを用い、180℃で内径3mmのオリフィスを用いて、速度10〜50mm/minで押し出しストランドを作成する。
算出方法:
歪み速度:0.1/secの場合の伸長粘度を、横軸に時間t(秒)、縦軸に伸長粘度ηE(Pa・秒)を両対数グラフでプロットする。その両対数グラフ上で歪み硬化を起こす直前の粘度を直線で近似し、歪量が4.0となるまでの伸長粘度ηEの最大値(ηmax)を求め、また、その時間までの近似直線上の粘度をηlinとする。
図4は、伸長粘度のプロット図の一例である。ηmax/ηlinを、λmaxと定義し、歪硬化度の指標とする。
測定方法1および測定方法2から算出される伸長粘度や歪硬化度は、原理的には物質固有の伸張粘度および歪硬化度を測定するもので、同一の値を示すものである。したがって測定方法1または測定方法2のどちらの方法で計ってもよい。
但し、測定方法2は、分子量が比較的低いもの(すなわち、MFR>2の場合)を測定する場合、測定サンプルが垂れ下がってしまい、測定精度が落ちてしまうという測定上の制約があり、また、測定方法1は、分子量の比較的高いもの(MFR<1)を測定する場合、測定サンプルが不均一に収縮変形してしまい、測定時に歪むらができてしまうことにより、歪硬化が線形部と平均化されてしまい、歪硬化度を小さく見積もってしまうという測定精度の問題がある。
したがって、分子量の低いものは測定方法1で、分子量の高いものは測定方法2を用いることが、便宜上好ましい。
一般的に、高い歪硬化度を示すには、分岐の長さとして、ポリプロピレンの絡みあい分子量(Me)7000以上が好まく、また、分岐が長いほど歪硬化度は大きくなるといわれている。
成分(B)は、結晶性成分と非晶性成分に分別され、25℃でパラキシレンに溶解する成分(β)量が成分(B)全量に対して、5〜80重量%であり、パラキシレンに不溶の成分(α)量が20〜95重量%であるものである。
ここで、結晶成分と非晶成分の具体的な分別方法は、下記のとおりである。
分別方法:
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHT:2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノールを含む)に、130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で48時間放置する。その後、析出ポリマーと濾液とに濾別する。濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥し、25℃でキシレンに溶解する成分(CXS)を回収する。また、析出ポリマーは、同様にして残存するp−キシレンを十分に除去し、25℃でキシレンに不溶な成分(CXIS)とする。
これまで述べてきたように、成分(B)は、結晶性成分(α)と非晶性成分(β)とからなり、それぞれの成分の一部は、プロピレン−エチレンランダム共重合セグメントが主鎖であり、結晶性プロピレン重合セグメントが側鎖である分岐構造を有する共重合体を含むことから、分析的には、下記の特性(i)〜(iv)、(α1)〜(α5)、(β1)〜(β3)を持つものとして特徴付けられる。
(i):成分(B)のGPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である。
(ii):成分(B)の熱パラキシレンに不溶の成分量が成分(M)全量に対して0.3重量%以下である。
(iii):成分(B)の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上である。
(iv)メルトフローレート[230℃、21.18N荷重]が0.05〜20g/10分である。
(α1):成分(α)量が成分(B)全量に対して20〜95重量%である。
(α2):成分(α)のGPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である。
(α3):成分(α)の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が93%以上である。
(α4):成分(α)の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上である。
(α5):プロピレン単位と、エチレン単位またはα−オレフィン単位を含有する。
(β1):成分(β)量が成分(B)全量に対して5〜80重量%である。
(β2):成分(β)のGPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である。
(β3):プロピレン単位と、エチレン単位および/またはα−オレフィン単位を含有する。
以下、上記の特性毎に、順次説明する。
(i):成分(B)のGPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である。
成分(B)としては、重量平均分子量が10万〜100万の範囲のものが用いられる。
重量平均分子量(Mw)とは、後述するGPC測定装置及び条件で測定されるものであり、成分(B)のMwが10万〜100万の範囲であることが必要である。このMwが10万より小さいと、成形加工性に劣るとともに、機械的強度が不十分であり、一方、Mwが100万を超えると、溶融粘度が高く、成形加工性が低下する。成形加工性と機械的強度のバランスから上記の範囲であり、好ましくはMwが15万〜90万、さらに好ましくは18万〜80万の範囲である。
重量平均分子量(Mw)の値は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって得られるものであるが、その測定法、測定機器の詳細は、以下の通りである。
装置:Waters社製GPC(ALC/GPC、150C)
検出器:FOXBORO社製MIRAN、1A、IR検出器(測定波長:3.42μm)
カラム:昭和電工社製AD806M/S(3本)
移動相溶媒:o−ジクロロベンゼン(ODCB)
測定温度:140℃
流速:1.0ml/分
注入量:0.2ml
試料の調製は、試料をODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)を用いて、1mg/mLの溶液を調製し、140℃で約1時間を要して、溶解させて行う。なお、得られたクロマトグラムのベースラインと区間は、図5のように行う。また、GPC測定で得られた保持容量から分子量への換算は、予め作成しておいた標準ポリスチレンによる検量線を用いて行う。使用する標準ポリスチレンは、何れも東ソー社製の以下の銘柄である。
銘柄:F380、F288、F128、F80、F40、F20、F10、F4、F1、A5000、A2500、A1000
各々が0.5mg/mLとなるように、ODCB(0.5mg/mLのBHTを含む)に溶解した溶液を0.2mL注入して、較正曲線を作成する。較正曲線は、最小二乗法で近似して得られる三次式を用いる。分子量への換算に使用する粘度式:[η]=K×Mαは、以下の数値を用いる。
PS:K=1.38×10−4、α=0.7
PP:K=1.03×10−4、α=0.78
(ii):成分(B)の熱p−キシレンに不溶な成分が0.3重量%以下、好ましくは0.2重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下である。熱p−キシレンに不溶な成分が0.3重量%を超えると成形品の外観が劣ると共に、熱安定性(リターン性)が低下する。
本発明では、熱p−キシレンに不溶な成分が0.3重量%以下であることが必要である。熱p−キシレンに不溶な成分の測定方法は、以下の通りである。
攪拌装置付きガラス製セパラブルフラスコに、ステンレス鋼製400メッシュ(線径0.03μm、目開き0.034mm、空間率27.8%)で作製された籠に、重合体500mgを入れ、攪拌翼に固定した。酸化防止剤(BHT:2,6−ジ−t−ブチルー4−メチルフェノール)1gを含む700ミリリットルのp−キシレンを投入し、温度140℃で2時間攪拌しながら重合体を溶解させた。
p−キシレン不溶部が入った籠を回収し、十分に乾燥させ秤量することにより、パラキシレン不溶部を求めた。熱p−キシレン不溶部として定義するゲル分率(wt%)は、以下の式により算出した。
ゲル分率=[(メッシュ内残量g)/(仕込みサンプル量g)]×100
また、以上のようにゲルが少ない、もしくはゲルないというためには、非常に分子量の高い成分がないということが重要である。したがって、GPCで分子量分布を測定した場合、分子量分布が高分子量側に広がっていないことが重要である。
したがって、GPCで測定したQ値(重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比)としては、7以下が好ましく、さらに好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下である。
また、高分子量側に極端に広がっていないためには、GPCで曲線における積分値が90%になる分子量M(90)が2,000,000以下であることが必要である。
ここでM(90)とは、前述したGPC測定装置及び条件で測定されるGPCで曲線における積分値が90%になる分子量であり、本発明では、M(90)が2,000,000以下であることが特徴である。このM(90)が2,000,000を超えると、高分子量成分が多くなりすぎ、ゲルが発生し成形品の外観を損ねたり、成形加工性を低下させしまう。その為、M(90)は、2,000,000以下であり、また好ましくは1,500,000以下であり、さらに好ましくは1,000,000である。
(iii):成分(B)の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上である。
歪硬化度の物理的意義については、前述したとおりであり、この値が大きいと、成形の際に偏肉がおきにくい。したがって、この歪硬化度は、1.1以上が必要であり、好ましくは1.5以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは4.0以上である。
分岐の長さは、ポリプロピレンの絡みあい分子量7000以上が好ましい。この分子量は、厳密にはGPCで測定される重量平均(Mw)とは異なるものである。そこで、好ましくはGPCで測定される重量平均分子量(Mw)の値で15000以上、さらに好ましくは30000以上である。
(iv)メルトフローレート[JIS K7210、230℃、21.18N荷重]が0.05〜20g/10分、好ましくは、0.1〜10g/10分、より好ましくは0.1〜5g/10分である。このMFRが0.05g/10分より小さいと溶融延展性が低下し、上限を越えると、耐ドローダウン性が低下する。
(α1):成分(α)量が成分(B)全量に対して20〜95重量%、好ましくは30〜94重量%、より好ましくは40〜93重量%である。
本規定は、成分(α)の成分(B)全量に対する範囲であり、剛性と耐衝撃性のバランスから、この範囲のものが用いられる。
(α2):成分(α)のGPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である。
ここで重量平均分子量(Mw)とは、前述したGPC測定装置及び条件で測定されるものであり、成分(B)中の結晶性成分(α)は、重量平均分子量が10万〜100万の範囲のものが用いられる。
このMwが10万より小さいと、溶融加工性に劣るとともに、機械的強度が不十分であり、一方、Mwが100万を超えると、溶融粘度が高く、溶融延展性が低下する。溶融加工性と機械的強度のバランスから上記の範囲であり、好ましくはMwが20万〜90万、さらに好ましくは21万〜80万の範囲である。
(α3):成分(α)の13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が93%以上である。
本発明に係る成分(B)の結晶性成分(α)は、13C−NMRによって得られるプロピレン単位3連鎖のmm分率が93%以上の立体規則性を有するものである。
mm分率は、ポリマー鎖中、頭−尾結合からなる任意のプロピレン単位3連鎖中、各プロピレン単位中のメチル分岐の方向が同一であるプロピレン単位3連鎖の割合である。このmm分率は、ポリプロピレン分子鎖中のメチル基の立体構造がアイソタクチックに制御されていることを示す値であり、高いほど、高度に制御されていることを意味する。結晶性成分(α)のmm分率が、この値より小さいと、製品の弾性率が低下するなど機械的物性が低下してしまう。従って、mm分率は、好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは96%以上である。
13C−NMRによるプロピレン単位3連鎖のmm分率の測定法の詳細は、以下の通りである。
試料375mgをNMRサンプル管(10φ)中で重水素化1,1,2,2、−テトラクロロエタン2.5mlに完全に溶解させた後、125℃でプロトン完全デカップリング法で測定した。ケミカルシフトは、重水素化1,1,2,2−テトラクロロエタンの3本のピークの中央のピークを74.2ppmに設定した。他の炭素ピークのケミカルシフトはこれを基準とする。
フリップ角:90度
パルス間隔:10秒
共鳴周波数:100MHz以上
積算回数:10,000回以上
観測域:−20ppmから179ppm
mm分率の測定は、前記の条件により測定された13C−NMRスペクトルを用いて行う。
スペクトルの帰属は、Macromolecules,(1975年)8卷,687頁やPolymer, 30巻 1350頁(1989年)を参考に、具体的には特願2006−311249号に詳細に記載される方法に従って行う。
(α4):成分(α)の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上である。
成分(α)の歪硬化度(λmax)は、2.0以上、好ましくは3.0以上、より好ましくは4.0以上である。
分岐の長さは、ポリプロピレンの絡みあい分子量7000以上が好ましい。また、重量平均(Mw)としては15000以上、さらに好ましくは30000以上である。
(α5):プロピレン単位と、エチレン単位またはα−オレフィン単位を含有する。
結晶性成分(α)を構成する単位としては、プロピレンがアイソタクチックに配列して結晶性を持つことが必要である。また、結晶性が発現する範囲において、エチレンまたはα−オレフィンをコモノマーの単位として含有してもよい。α、ω−ジエン単位が存在すると、架橋によるゲル化が懸念されることから、α、ω−ジエン単位を含まないことが必要である。
コモノマーの種類としては、エチレンもしくは直鎖状のα−オレフィンが好ましく、さらに好ましくは、エチレンである。
コモノマー含量に関しては、結晶性が発現する範囲で任意の量を含有することができる。
結晶性の指標であるDSCで測定する融点(Tm)が120℃以上、好ましくは150℃以上、さらに好ましくは153℃以上である。融点(Tm)が120℃未満では、剛性が劣るため、工業用部材に不向きである
成分(α)のエチレン含有量は、好ましくは0.1〜10重量%であり、より好ましくは0.2〜7重量%、さらに好ましくは0.3〜5重量%である。
エチレン単位の測定は、13C−NMRを用い、Macromolecules 1982 1150に記載の方法に従って測定する。
(β1):成分(β)量が成分(B)全量に対して5〜80重量%、好ましくは6〜70重量%、より好ましくは7〜60重量%である。
本規定は、成分(β)の成分(B)全量に対する範囲であり、剛性と耐衝撃性のバランスから、この範囲のものが用いられる。
(β2):成分(β)のGPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である。
ここで、重量平均分子量(Mw)とは、前述したGPC測定装置及び条件で測定されるものであり、成分(B)中の非晶性成分(β)は、重量平均分子量が10万〜100万の範囲のものが用いられる。
このMwが10万より小さいと、溶融加工性に劣るとともに、機械的強度が不十分であり、一方、Mwが100万を超えると、溶融粘度が高く、溶融延展性が低下する。溶融加工性と機械的強度のバランスから上記の範囲であり、好ましくはMwが15万〜90万、さらに好ましくは20万〜80万の範囲である。
(β3):プロピレン単位と、エチレン単位および/またはα−オレフィン単位を含有する。
非結晶性成分(β)を構成する単位としては、プロピレンと、エチレンまたはα−オレフィンが共重合している必要がある。また、α、ω−ジエン単位が存在すると架橋によるゲル化が懸念されることから、α、ω−ジエン単位を含まないことが好ましい。
また、コモノマーの種類として、エチレンもしくは直鎖状のα−オレフィンが好ましく、さらに好ましくはエチレンであり、エチレン含量は、通常10重量%以上60重量%以下である。低温での耐衝撃性向上の観点からは、40重量wt%以上60重量wt%以下のものが好ましい。
また、成分(β)は、上記の(β1)〜(β3)のほか、次の(β4)を満たすことが望ましい。
(β4):成分(β)の伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上である
前述した通り、歪硬化度(λmax)の値が大きいと、成形の際に偏肉がおきにくい。したがって、歪硬化度(λmax)は2.0以上が好ましく、2.5以上、20以下が更に好ましい。
(2−2)成分(B)の製造方法
本発明に係る成分(B)は、ビニル末端を有するマクロマーを製造可能であり、更にこのマクロマーとプロピレン、エチレンとの共重合が可能な触媒系を用いることによって製造できる。
なかでも、次に説明する触媒成分(a)、(b)及び(c)を接触させてなる重合用触媒を用いて、
(i)プロピレン単独、又は、プロピレンとエチレン若しくはα−オレフィンを重合し、エチレンまたはα−オレフィンを全モノマー成分に対して0〜10重量%重合させる第一工程、及び
(ii)プロピレンと、エチレンまたはα−オレフィンを重合し、エチレンを全モノマー成分に対して10〜70重量%重合させる第二工程、
を有する工程により、生産性よく製造することができる。
(1)触媒成分(a):
本発明に用いられる触媒成分(a)は、下記一般式(1)で表されるハフニウムを中心金属とするメタロセン化合物である。
Figure 2009275151
一般式(1)中、各々Rは、独立して、水素、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を表し、2つのRの少なくとも一つは、炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を示す。尚、2つのRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。また、各々Rは、独立して、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のハロゲン含有アルキル基、炭素数1〜6の珪素含有アルキル基、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、炭素数6〜16の珪素含有アリール基、炭素数6〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基を表す。尚、2つのRは、互いに同一であっても異なっていてもよい。
さらに、X及びYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を表し、Qは、炭素数1〜20の二価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、オリゴシリレン基、またはゲルミレン基を表す。
上記Rの炭素数4〜16の窒素または酸素、硫黄を含有する複素環基は、好ましくは2−フリル基、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基であり、さらに好ましくは、置換された2−フリル基である。
また、置換された2−フリル基、置換された2−チエニル基、置換された2−フルフリル基の置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜6のアルコキシ基、トリアルキルシリル基、が挙げられる。これらのうち、メチル基、トリメチルシリル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
さらに、Rとして、特に好ましくは、2−(5−メチル)−フリル基である。また、2つのRは、互いに同一である場合が好ましい。
上記Rとしては、炭素数6〜16のアリール基、炭素数6〜16のハロゲン含有アリール基、炭素数6〜16の珪素含有アリール基が好ましく、そのようなアリール基は炭素数6〜16になる範囲で、アリール環状骨格上に、1つ以上の、炭素数1〜6の炭化水素基、炭素数1〜6の珪素含有炭化水素基、炭素数1〜6のハロゲン含有炭化水素基を置換基として有していてもよい。
としては、好ましくは少なくとも1つが、フェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2,3―ジメチルフェニル基、3,5―ジt−ブチルフェニル基、4−フェニル−フェニル基、クロロフェニル基、ナフチル基、又はフェナンスリル基であり、更に好ましくはフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、4−クロロフェニル基である。また、2つのRが互いに同一である場合が好ましい。
一般式(1)中、XおよびYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基、炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基、炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基、アミノ基または炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基を示す。上記のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
上記の炭素数1〜20の炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、等のアルキル基、ビニル、プロペニル、シクロヘキセニル等のアルケニル基、ベンジル等のアリールアルキル基、trans−スチリル等のアリールアルケニル基、フェニル、トリル、1−ナフチル、2−ナフチル等のアリール基が挙げられる。
上記の炭素数1〜20の酸素含有炭化水素基の具体例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ等のアルコキシ基、フェノキシ、ナフトキシ等のアリロキシ基、フェニルメトキシ等のアリールアルコキシ基、フリル基などの酸素含有複素環基などが挙げられる。
上記の炭素数1〜20の窒素含有炭化水素基の具体例としては、メチルアミノ、ジメチルアミノ、エチルアミノ、ジエチルアミノ等のアルキルアミノ基、フェニルアミノ、ジフェニルアミノ等のアリールアミノ基、(メチル)(フェニル)アミノ等の(アルキル)(アリール)アミノ基、ピラゾリル、インドリル等の窒素含有複素環基などが挙げられる。
上記の炭素数1〜20のハロゲン化炭化水素基において、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。そして、上記のハロゲン化炭化水素基は、ハロゲン原子が例えばフッ素原子の場合、フッ素原子が上記の炭化水素基の任意の位置に置換した化合物である。具体的には、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、クロロメチル、ジクロロメチル、トリクロロメチル基などが挙げられる。
上記の炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基の具体例としては、トリメチルシリルメチル、トリエチルシリルメチル等のトリアルキルシリルメチル基、ジメチルフェニルシリルメチル、ジエチルフェニルシリルメチル、ジメチルトリルシリルメチル等のジ(アルキル)(アリール)シリルメチル基などが挙げられる。
一般式(1)中、Qは、二つの五員環を結合する、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有していてもよいシリレン基、オリゴシリレン基、ゲルミレン基の何れかを示す。上述のシリレン基、オリゴシリレン基またはゲルミレン基上に2個の炭化水素基が存在する場合は、それらが互いに結合して環構造を形成していてもよい。
上記のQの具体例としては、メチレン、メチルメチレン、ジメチルメチレン、1,2−エチレン、等のアルキレン基;ジフェニルメチレン等のアリールアルキレン基;シリレン基;メチルシリレン、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジ(n−プロピル)シリレン、ジ(i−プロピル)シリレン、ジ(シクロヘキシル)シリレン等のアルキルシリレン基、メチル(フェニル)シリレン等の(アルキル)(アリール)シリレン基;ジフェニルシリレン等のアリールシリレン基;テトラメチルジシリレン等のアルキルオリゴシリレン基;ゲルミレン基;上記の2価の炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基のケイ素をゲルマニウムに置換したアルキルゲルミレン基;(アルキル)(アリール)ゲルミレン基;アリールゲルミレン基などを挙げることが出来る。これらの中では、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基、または、炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基が好ましく、アルキルシリレン基、アルキルゲルミレン基が特に好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物のうち、好ましい化合物として、以下に具体的に例示する。
ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−チエニル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルゲルミレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルゲルミレンビス(2−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−トリメチルシリル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−フェニル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(4,5−ジメチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−ベンゾフリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジフェニルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−メチル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−イソプロピル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フルフリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−フルオロフェニル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−トリフルオロメチルフェニル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−(1−ナフチル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−(2−ナフチル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−(2−フェナンスリル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−t−ブチル)−フリル)−4−(9−フェナンスリル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、などを挙げることができる。
これらのうち、更に好ましいのは、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルゲルミレンビス(2−(2−(5−メチル)−チエニル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−クロロフェニル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ナフチル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレン(2−メチル−4−フェニル−インデニル)(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、である。
また、特に好ましいのは、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−ナフチル−インデニル)ハフニウムジクロライド、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−(4−t−ブチルフェニル)−インデニル)ハフニウムジクロライドである。
(2)触媒成分(b):
次に、触媒成分(b)は、イオン交換性層状珪酸塩である。
(I)イオン交換性層状珪酸塩の種類
イオン交換性層状珪酸塩(以下、単に珪酸塩と略記することもある)とは、イオン結合などによって構成される面が互いに結合力で平行に積み重なった結晶構造を有し、且つ、含有されるイオンが交換可能である珪酸塩化合物をいう。大部分の珪酸塩は、天然には主に粘土鉱物の主成分として産出され、水中に分散/膨潤させ、沈降速度等の違いにより精製することが一般的であるが、完全に除去することが困難であることがあり、イオン交換性層状珪酸塩以外の夾雑物(石英、クリストバライト等)を含んでいることが多いが、それらを含んでもよい。それら夾雑物の種類、量、粒子径、結晶性、分散状態によっては純粋な珪酸塩以上に好ましいことがあり、そのような複合体も、触媒成分(b)に含まれる。
尚、原料とは、後述する化学処理を行う前段階の珪酸塩をさす。また、珪酸塩は、天然産のものに限らず、人工合成物であってもよい。
また、化学処理を加える前段階でイオン交換性を有していれば、該処理によって物理的、化学的な性質が変化し、イオン交換性や層構造がなくなった珪酸塩も、イオン交換性層状珪酸塩であるとして取り扱う。
イオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、例えば、白水春雄著「粘土鉱物学」朝倉書店(1988年)等に記載される1:1型構造や2:1型構造をもつ層状珪酸塩が挙げられる。
1:1型構造とは、前記「粘土鉱物学」等に記載されているような1層の四面体シートと1層の八面体シートが組み合わさっている1:1層構造の積み重なりを基本とする構造を示し、2:1型構造とは、2層の四面体シートが1層の八面体シートを挟み込んでいる2:1層構造の積み重なりを基本とする構造を示す。
1:1層が主要な構成層であるイオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、ディッカイト、ナクライト、カオリナイト、メタハロイサイト、ハロイサイト等のカオリン族珪酸塩、クリソタイル、リザルダイト、アンチゴライト等の蛇紋石族珪酸塩等が挙げられる。
2:1層が主要な構成層であるイオン交換性層状珪酸塩の具体例としては、モンモリロナイト、バイデライト、ノントロナイト、サポナイト、ヘクトライト、スチーブンサイト等のスメクタイト族珪酸塩、バーミキュライト等のバーミキュライト族珪酸塩、雲母、イライト、セリサイト、海緑石等の雲母族珪酸塩、アタパルジャイト、セピオライト、パリゴルスカイト、ベントナイト、パイロフィライト、タルク、緑泥石群等が挙げられる。これらは混合層を形成していてもよい。
これらの中では、主成分が2:1型構造を有するイオン交換性層状珪酸塩であるものが好ましい。より好ましくは、主成分がスメクタイト族珪酸塩であり、さらに好ましくは、主成分がモンモリロナイトである。
層間カチオン(イオン交換性層状珪酸塩の層間に含有される陽イオン)の種類としては、特に限定されないが、主成分として、リチウム、ナトリウム等の周期律表第1族のアルカリ金属、カルシウム、マグネシウム等の周期律表第2族のアルカリ土類金属、あるいは鉄、コバルト、銅、ニッケル、亜鉛、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、イリジウム、白金、金等の遷移金属などが、工業原料として比較的容易に入手可能である点で好ましい。
(II)イオン交換性層状珪酸塩の造粒
前記イオン交換性層状珪酸塩は、乾燥状態で用いてもよく、液体にスラリー化した状態で用いてもよい。また、イオン交換性層状珪酸塩の形状については、特に制限はなく、天然に産出する形状、人工的に合成した時点の形状でもよいし、また、粉砕、造粒、分級などの操作によって形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩を用いてもよい。このうち造粒されたイオン交換性層状珪酸塩を用いると、該イオン交換性層状珪酸塩を触媒成分として用いた場合に、良好なポリマー粒子性状を与えるため特に好ましい。
造粒、粉砕、分級などのイオン交換性層状珪酸塩の形状の加工は、化学処理の前に行ってもよい(すなわち、あらかじめ形状を加工したイオン交換性層状珪酸塩に下記の化学処理を行ってもよい)し、化学処理を行った後に形状を加工してもよい。
ここで用いられる造粒法としては、例えば、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、ブリケッティング、コンパクティング、押出造粒法、流動層造粒法、乳化造粒法、液中造粒法、圧縮成型造粒法等が挙げられるが、特に限定されない。好ましくは、撹拌造粒法、噴霧造粒法、転動造粒法、流動造粒法が挙げられ、特に好ましくは撹拌造粒法、噴霧造粒法が挙げられる。
なお、噴霧造粒を行う場合、原料スラリーの分散媒として、水あるいはメタノール、エタノール、クロロホルム、塩化メチレン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン等の有機溶媒を用いる。好ましくは水を分散媒として用いる。球状粒子が得られる噴霧造粒の原料スラリー液中における成分(b)の濃度は、0.1〜30重量%、好ましくは0.5〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%である。球状粒子が得られる噴霧造粒の熱風の入口温度は、分散媒により異なるが、水を例にとると80〜260℃、好ましくは100〜220℃で行う。
造粒において、粒子強度の高い担体を得るため、及び、プロピレン重合活性を向上させるためには、珪酸塩を必要に応じ微細化する。珪酸塩は、如何なる方法において微細化してもよい。微細化する方法としては、乾式粉砕、湿式粉砕いずれの方法でも可能である。好ましくは、水を分散媒として使用し珪酸塩の膨潤性を利用した湿式粉砕であり、例えばポリトロン等を使用した強制撹拌による方法やダイノーミル、パールミル等による方法がある。造粒する前の平均粒径は、0.01〜3μm、好ましくは0.05〜1μmである。
また、造粒の際に有機物、無機溶媒、無機塩、各種バインダーを用いてもよい。用いられるバインダーとしては、例えば、塩化マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硫酸マグネシウム、アルコール類、グリコール等が挙げられる。
上記のようにして得られた球状粒子は、重合工程での破砕や微粉発生を抑制するためには、0.2MPa以上の圧縮破壊強度を有することが好ましい。また、造粒されたイオン交換性層状珪酸塩の粒径は、0.1〜1000μm、好ましくは1〜500μmの範囲である。粉砕法についても特に制限はなく、乾式粉砕、湿式粉砕のいずれでもよい。
(III)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
本発明に係る触媒成分(b)のイオン交換性層状珪酸塩は、特に処理を行うことなくそのまま用いることができるが、化学処理を行なうことが望ましく、イオン交換性層状珪酸塩の化学処理とは、酸類、塩類、アルカリ類、有機物等とイオン交換性層状珪酸塩とを接触させることをいう。
化学処理による共通の影響として、層間陽イオンの交換を行うことが挙げられるが、それ以外に各種化学処理は、次のような種々の効果がある。例えば、酸類による酸処理によれば、珪酸塩表面の不純物が取り除かれる他、結晶構造中のAl、Fe、Mg等の陽イオンを溶出させることによって、表面積を増大させることができる。これは、珪酸塩の酸強度を増大させ、また、単位重量当たりの酸点量を増大させることに寄与する。
アルカリ類によるアルカリ処理では、粘土鉱物の結晶構造が破壊され、粘土鉱物の構造の変化をもたらす。
以下に、処理剤の具体例を示す。なお、本発明では、以下の酸類、塩類を組み合わせたものを処理剤として用いてもよい。また、これら酸類、塩類の組み合わせであってもよい。
(i)酸類
酸処理は、表面の不純物を除く、あるいは層間に存在する陽イオンの交換を行うほか、結晶構造の中に取り込まれているAl、Fe、Mg等の陽イオンの一部又は全部を溶出させることができる。酸処理で用いられる酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、ステアリン酸、プロピオン酸、アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、などが挙げられる。中でも無機酸が好ましく、硫酸、塩酸、硝酸が好ましく、さらに好ましくは硫酸である。
(ii)塩類
塩類としては、有機陽イオン、無機陽イオン、金属イオンからなる群から選ばれる陽イオンと、有機陰イオン、無機陰イオン、ハロゲン化物イオンからなる群から選ばれる陰イオンとから構成される塩類が例示される。例えば、周期律表第1〜14族から選択される少なくとも一種の原子を含む陽イオンと、ハロゲンの陰イオン、無機ブレンステッド酸及び有機ブレンステッド酸の陰イオンからなる群より選ばれる少なくとも一種の陰イオンとから構成される化合物が好ましい例として挙げられる。
このような塩類の具体例としては、LiCl、LiBr、LiSO、Li(PO)、LiNO、Li(OOCCH)、NaCl、NaBr、NaSO、Na(PO)、NaNO、Na(OOCCH)、KCl、KBr、KSO、K(PO)、KNO、K(OOCCH)、CaCl、CaSO、Ca(NO、Ca(C、Ti(OOCCH、MgCl、MgSO、Mg(NO、Mg(C、Ti(OOCCH、Ti(CO、Ti(NO、Ti(SO、TiF、TiCl、TiBr、TiI、Zr(OOCCH、Zr(CO、Zr(NO、Zr(SO、ZrF、ZrCl等が挙げられる。
また、Cr(OOCHOH、Cr(CHCOCHCOCH、Cr(NO、Cr(ClO、CrPO、Cr(SO、CrOCl、CrF、CrCl、CrBr、CrI、FeCO、Fe(NO、Fe(ClO、FePO、FeSO、Fe(SO、FeF、FeCl、MnBr、FeI、FeC、Co(OOCH等が挙げられる。
さらに、CuCl、CuBr、Cu(NO、CuC、Cu(ClO、CuSO、Cu(OOCCH、Zn(OOCH、Zn(CHCOCHCOCH、ZnCO、Zn(NO、Zn(ClO、Zn(PO、ZnSO、ZnF、ZnCl、ZnBr、ZnI、AlF、AlCl、AlBr、AlI、Al(SO、Al(C、Al(CHCOCHCOCH、Al(NO、AlPO等が挙げられる。
これらのなかで好ましくは、陰イオンが無機ブレンステッド酸やハロゲンからなり、陽イオンがLi、Mg、Znからなる化合物である。
そのような塩類で特に好ましい化合物は、具体的にはLiCl、LiSO、MgCl、MgSO、ZnCl、ZnSO、Zn(NO、Zn(POがある。
(iii)その他の処理剤
酸、塩処理の他に、必要に応じて下記のアルカリ処理や有機物処理を行ってもよい。アルカリ処理で処理剤としては、LiOH、NaOH、KOH、Mg(OH)、Ca(OH)、Sr(OH)、Ba(OH)などが例示される。
有機処理剤の例としては、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、ドデシルアンモニウム、N,N−ジメチルアニリニウム、N,N−ジエチルアニリニウム、N,N−2,4,5−ペンタメチルアニリニウム、N,N−ジメチルオクタデシルアンモニウム、オクタドデシルアンモニウム、が例示されるが、これらに限定されるものではない。
また、これらの処理剤は、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。これらの組み合わせは、処理開始時に添加する処理剤について組み合わせて用いてもよいし、処理の途中で添加する処理剤について、組み合わせて用いてもよい。また化学処理は、同一または異なる処理剤を用いて複数回行うことも可能である。
(iv)化学処理条件
上述した各種処理剤は、適当な溶剤に溶解させて処理剤溶液として用いてもよいし、処理剤自身を溶媒として用いてもよい。使用できる溶剤としては、特に制限はないが、水、アルコール類が一般的であり、特に水が好ましい。例えば、化学処理として酸処理を行う場合、酸処理剤濃度、イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率、処理時間、処理温度等の酸処理条件を制御することによって、イオン層状珪酸塩化合物を所定の組成、構造へと変化させ制御することが可能である。
そのような酸処理剤濃度に関しては、下式を満たす酸濃度(N)の酸で処理することが好ましい。
N≧1.0
ここで示す酸濃度Nは、酸のモル数×酸の価数/酸水溶液の体積(単位:モル/リットル)と定義する。ただし、塩を共存させたときには、塩化合物に含まれる結晶水量は考慮するが、塩による体積変化は考慮しないものとする。なお、酸水溶液の比重は、化学便覧の基礎編IIp6(日本化学会編集,丸善発行,改訂3版)を引用した。なお、上限は取り扱い上の安全性、容易性、設備面の観点から、酸濃度Nが、20以下、特に15以下であることが好ましい。
イオン交換性層状珪酸塩と処理剤との比率に関しては、特に限定されないが、好ましくは、イオン交換性層状珪酸塩[g]:処理剤[酸の価数×mol数]=1:0.001〜1:0.1程度である。
また、酸処理温度は、室温〜処理剤溶液の沸点の範囲が好ましく、処理時間は5分〜24時間の条件を選択し、イオン交換性層状珪酸塩を構成している物質の少なくとも一部が除去又は交換される条件で行うことが好ましい。酸処理条件は、特には制限されないが、上記化学処理として硫酸を用いた場合、処理温度は80℃から、処理剤溶媒沸点以下で、処理時間は0.5時間以上5時間未満にすることが好ましい。
(IV)イオン交換性層状珪酸塩の乾燥
上記化学処理を実施した後に、過剰の処理剤及び処理により溶出したイオンの除去をすることが可能であり、好ましい。この際、一般的には、水や有機溶媒などの液体を使用する。脱水後は、乾燥を行うが、一般的には、乾燥温度は、100〜800℃、好ましくは150〜600℃で実施可能である。800℃を超えると、珪酸塩の構造破壊を生じるおそれがあるので好ましくない。
これらのイオン交換性層状珪酸塩は、構造破壊されなくとも乾燥温度により特性が変化するために、用途に応じて乾燥温度を変えることが好ましい。乾燥時間は、通常1分〜24時間、好ましくは5分〜4時間であり、雰囲気は、乾燥空気、乾燥窒素、乾燥アルゴン、又は減圧下であることが好ましい。乾燥方法に関しては特に限定されず各種方法で実施可能である。
(V)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理後の組成
化学処理されたイオン交換性層状珪酸塩を、本発明に係る触媒成分(b)としては、Al/Siの原子比として、0.01〜0.25、好ましくは0.03〜0.24のもの、さらには0.05〜0.23の範囲のものがよい。Al/Si原子比は、粘土部分の酸処理強度の指標となるものとみられる。また、上記の範囲にAl/Si原子比を制御する方法としては、化学処理前のイオン交換性層状珪酸塩として、モンモリロナイトを使用し、上記(III)に記載の化学処理をおこなう方法が挙げられる。
イオン交換性層状珪酸塩中のアルミニウム及びケイ素は、JIS法による化学分析による方法で検量線を作成し、蛍光X線で定量するという方法で測定される。
(3)触媒成分(c):
本発明に用いられる触媒成分(c)は、有機アルミニウム化合物であり、好ましくは、一般式(AlR3−nで表される有機アルミニウム化合物が使用される。式中、Rは炭素数1〜20のアルキル基を表し、Xはハロゲン、水素、アルコキシ基又はアミノ基を表し、nは1〜3の、mは1〜2の整数を各々表す。有機アルミニウム化合物は、単独であるいは複数種を組み合わせて使用することができる。
有機アルミニウム化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリノルマルプロピルアルミニウム、トリノルマルブチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルヘキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、トリノルマルデシルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロライド、ジエチルアルミニウムセスキクロライド、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジエチルアルミニウムジメチルアミド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジイソブチルアルミニウムクロライド等が挙げられる。これらのうち、好ましくは、m=1、n=3のトリアルキルアルミニウム及びアルキルアルミニウムヒドリドである。さらに好ましくは、Rが炭素数1〜8であるトリアルキルアルミニウムである。
(4)触媒の調整:
本発明に係るオレフィン重合用触媒は、上記触媒成分(a)、触媒成分(b)及び触媒成分(c)を含む。これらは、重合槽内で、あるいは重合槽外で接触させオレフィンの存在下で予備重合を行ってもよい。
オレフィンとは、炭素間二重結合を少なくとも1個含む炭化水素をいい、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、3−メチルブテン−1、スチレン、ジビニルベンゼン等が例示されるが、特に種類に制限はなく、これらと他のオレフィンとの混合物を用いてもよい。好ましくは炭素数3以上のオレフィンがよい。
前記触媒成分(a)、触媒成分(b)及び触媒成分(c)の使用量は、任意であるが、触媒成分(b)中の遷移金属と触媒成分(c)中のアルミニウムとの比が、触媒成分(a)1gあたり、0.1〜1000(μmol):0〜100000(μmol)となるように接触させることが好ましい。また前記触媒成分(a)に加えて、プロピレン系共重合体を更に効率よく製造する目的で、他の種の錯体を使用することも可能である。
この場合、前記触媒成分(a)で製造する末端ビニルのマクロマーを共重合でき、触媒成分(a)に比べて高分子量の重合体が製造できるメタロセン化合物を組み合わせることが好ましい。
特に好ましいメタロセン化合物としては、下記一般式(2)で示される触媒成分(a−2)が挙げられる。
Figure 2009275151
上記一般式(2)で表される化合物は、メタロセン化合物であって、一般式(2)中、Q21は、二つの共役五員環配位子を架橋する結合性基であり、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、炭素数1〜20の炭化水素基を有するシリレン基または炭素数1〜20の炭化水素基を有するゲルミレン基であり、好ましくは置換シリレン基あるいは置換ゲルミレン基である。ケイ素、ゲルマニウムに結合する置換基は、炭素数1〜12の炭化水素基が好ましく、二つの置換基が連結していてもよい。具体的な例としては、メチレン、ジメチルメチレン、エチレン−1,2−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルシリレン、ジエチルシリレン、ジフェニルシリレン、メチルフェニルシリレン、9−シラフルオレン−9,9−ジイル、ジメチルゲルミレン、ジエチルゲルミレン、ジフェニルゲルミレン、メチルフェニルゲルミレン等が挙げられる。
また、Meは、ジルコニウムまたはハフニウムであり、好ましくはハフニウムである。
さらに、X21およびY21は、補助配位子であり、触媒成分[b]の助触媒と反応してオレフィン重合能を有する活性なメタロセンを生成させる。したがって、この目的が達成される限り、X21とY21は、配位子の種類が制限されるものではなく、それぞれ独立して、水素、ハロゲン基、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数1〜20のアルキルアミド基、トリフルオロメタンスルホン酸基、炭素数1〜20のリン含有炭化水素基または炭素数1〜20のケイ素含有炭化水素基を示す。
一般式(2)中、R21およびR22は、それぞれ独立して、炭素数1〜6の炭化水素基であり、好ましくはアルキル基であり、さらに好ましくは炭素数1〜4のアルキル基である。具体的な例としては、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、n−ヘキシル等が挙げられ、好ましくはメチル、エチル、n−プロピルである。
また、R23およびR24は、それぞれ独立して、炭素数6〜30の、好ましくは炭素数6〜24の、ハロゲン、ケイ素、あるいは、これらから選択される複数のヘテロ元素を含有してもよいアリール基である。好ましい例としては、フェニル、3−クロロフェニル、4−クロロフェニル、3−フルオロフェニル、4−フルオロフェニル、4−メチルフェニル、4−i−プロピルフェニル、4−t−ブチルフェニル、4−トリメチルシリルフェニル、4−(2−フルオロビフェニリル)、4−(2−クロロビフェニリル)、1−ナフチル、2−ナフチル、3,5−ジメチル−4−t−ブチルフェニル、3,5−ジメチル−4−トリメチルシリルフェニル等が挙げられる。
上記メタロセン化合物の非限定的な例として、下記のものを挙げることができる。
例えば、ジクロロ{1,1’−ジメチルシリレンビス(2−メチル−4−フェニル−4−ヒドロアズレニル)}ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(3−メチル−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(1−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(2−クロロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(9−フェナントリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−メチル−4−(4−クロロ−2−ナフチル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−n−プロピル−4−(3−クロロ−4−トリメチルシリルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルシリレンビス{2−エチル−4−(3−クロロ−4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(2−フルオロ−4−ビフェニリル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−ジメチルゲルミレンビス{2−メチル−4−(4−t−ブチルフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウム、ジクロロ[1,1’−(9−シラフルオレン−9,9−ジイル)ビス{2−エチル−4−(4−クロロフェニル)−4−ヒドロアズレニル}]ハフニウムなどが挙げられる。
また、触媒成分(a)以外に、上記式(2)に示す他の種の触媒成分(a−2)を使用する場合には、触媒成分(a)と触媒成分(a−2)の合計量に対する触媒成分(a−2)の量の割合は、プロピレン系重合体の特性を満たす範囲において任意であるが、好ましくは、0.01〜0.7である。この割合を変化させることにより、溶融物性と触媒活性のバランスを調整することが可能であり、より高い溶融物性と高い触媒活性が必要な用途のプロピレン系重合体製造のために、特に好ましくは、0.10〜0.60、さらに好ましくは、0.2〜0.5の範囲である。
前記触媒成分(a)、触媒成分(b)及び触媒成分(c)を接触させる順番は、任意であり、これらのうち2つの成分を接触させた後に残りの1成分を接触させてもよいし、3つの成分を同時に接触させてもよい。これらの接触において、接触を充分に行うため、溶媒を用いてもよい。溶媒としては、脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素、脂肪族不飽和炭化水素やこれらのハロゲン化物、また予備重合モノマーなどが例示される。脂肪族飽和炭化水素、芳香族炭化水素の例として、具体的にはヘキサン、ヘプタン、トルエン等が挙げられる。また予備重合モノマーとしては、プロピレンを溶媒として用いることができる。
(5)予備重合:
本発明に係る触媒は、前記のように、これにオレフィンを接触させて少量重合されることからなる予備重合処理に付されることが好ましい。使用するオレフィンは、特に限定はないが、前記のように、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ブテン、ビニルシクロアルカン、スチレン等を例示することができる。オレフィンのフィード方法は、オレフィンを反応槽に定速的にあるいは定圧状態になるように維持するフィード方法やその組み合わせ、段階的な変化をさせる等、任意の方法が可能である。
予備重合温度、時間は、特に限定されないが、各々−20℃〜100℃、5分〜24時間の範囲であることが好ましい。また、予備重合量は、触媒成分(b)に対する予備重合ポリマーの重量比が好ましくは0.01〜100、さらに好ましくは0.1〜50である。また、予備重合時に触媒成分(c)を添加、又は追加することもできる。
上記各触媒成分の接触の際もしくは接触の後に、ポリエチレン、ポリプロピレン等の重合体、シリカ、チタニア等の無機酸化物の固体を共存させる等の方法も可能である。
予備重合後に触媒を乾燥してもよい。乾燥方法には、特に制限は無いが、減圧乾燥や加熱乾燥、乾燥ガスを流通させることによる乾燥などが例示され、これらの方法を単独で用いてもよいし2つ以上の方法を組み合わせて用いてもよい。乾燥工程において触媒を攪拌、振動、流動させてもよいし静置させてもよい。
(6)重合方法:
重合形態は、前記触媒成分(a)、触媒成分(b)及び触媒成分(c)からなるオレフィン重合用触媒とモノマーが効率よく接触するならば、あらゆる様式を採用しうる。具体的には、不活性溶媒を用いるスラリー法、不活性溶媒を実質的に用いずプロピレンを溶媒として用いるバルク重合法あるいは実質的に液体溶媒を用いず各モノマーをガス状に保つ気相重合法などが採用できる。
また、重合方式は、連続重合、回分式重合、又は予備重合を行う方法も適用される。
また、重合段数は、本発明の物質を製造できるのであればとくに制限はないが、バルク重合2段、バルク重合後気相重合、気相重合2段といった様式も可能であり、さらにはそれ以上の重合段数で製造することが可能である。
しかしながら、本発明に開示する分子量、分子量分布の化合物を得るためには、第一工程をバルク重合で行い、第二工程を気相重合で行うか、もしくは、第一工程、第二工程共に気相重合で行うことが好ましい。
[第一工程]:
スラリー重合の場合は、重合溶媒として、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン等の飽和脂肪族又は芳香族炭化水素の単独又は混合物が用いられる。重合温度は、0〜150℃であり、また分子量調節剤として、補助的に水素を用いることができる。重合圧力は、0〜3MPaG、好ましくは0〜2MPaGが適当である。
バルク重合法の場合は、重合温度は、0〜80℃であり、好ましくは60〜80℃であり、さらに好ましくは65〜75℃である。重合圧力は、0〜5MPaG、好ましくは0〜4MPaGが適当である。
気相重合の場合は、重合温度は、0〜200℃であり、好ましくは60〜120℃であり、さらに好ましくは70〜100℃である。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは0〜3MPaGが適当である。
[第二工程]:
気相重合の場合は、重合温度は、0〜200℃であり、好ましくは20〜90℃であり、さらに好ましくは30〜80℃である。また分子量調節剤として、補助的に水素を用いることができる。重合圧力は、0〜4MPaG、好ましくは0〜3MPaGが適当である。
ここで、生成するプロピレン−エチレン(またはαオレフィン)共重合体は、ビニル末端含有率が低いものの一部は共重合して、主鎖と側鎖が共に(非結晶性)プロピレン−エチレンランダム共重合セグメントを有する分岐構造を有する重合体が生成すると考えられる。この場合、非結晶性のプロピレン―エチレンランダム共重合体中のエチレン含量が低い方が、ビニル末端含有率が高くなる。すなわち非結晶性のプロピレン―エチレンランダム共重合体中のエチレン含量を低くすることで、本発明のプロピレン系重合体のCXS成分のλmaxを大きくすることが可能である。
その為、CXS成分のλmaxを2以上に制御するためには、エチレン含量が10重量%〜40重量%未満とすることが好ましく、エチレンをコモノマーとして用いて目的の組成の重合体を製造するためには、気相のエチレンガス組成を10mol%以上に制御することが必要であり、好ましくは15mol%以上、さらに好ましくは20mol%以上である。また、上限値に関しては、65mol%以下であり、好ましくは60mol%以下、さらに好ましくは50mol%以下である。
逆に、エチレン含量を40重量%〜60重量%にするとCXS成分のλmaxは2未満となり、エチレンをコモノマーとして用いる場合には、気相のエチレンガス組成を50mol%以上に制御することが必要であり、好ましくは60mol%以上、さらに好ましくは65mol%以上である。また、上限値に関しては、90mol%以下であり、好ましくは87mol%以下、さらに好ましくは85mol%以下である。
かくして得られた本発明に係るプロピレン系重合体(X)は、(i)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万であり、(ii)熱p−キシレンに不溶性の成分が0.3%以下であり、(iii)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上であることを特徴とし、結晶性セグメントが側鎖として非結晶性セグメントにグラフトした共重合体を含む。特に、このようなグラフト共重合体は、CXIS成分(A)に存在する。結晶性セグメントが側鎖になり、非結晶性セグメントが主鎖となることは、1段目で結晶性成分のマクロマーを製造し、2段目で非結晶性成分に共重合されるという重合機構から考えて、当然のことである。
3.成分(C)
本発明のプロピレン系樹脂組成物においては、前記の成分(A)及び成分(B)に加えて、次に述べる特定のスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(c1)(以下、単に「成分(c1)」と略称するときもある)、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(c2)(以下、単に「成分(c2)」と略称するときもある)、またはエチレン重合体樹脂(c3)(以下、単に「成分(c3)」と略称するときもある)から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂(C)(以下、単に「成分(C)」と略称するときもある)が必須成分として用いられる。成分(C)は、使用に応じて適宜少なくとも一種添加する。成分(c1)の添加により、低温衝撃性及び溶融張力が改良できる。「成分(c2)」の添加により、低温衝撃性が改良できる。「成分(c3)」の添加により、溶融張力が改良できる。
(1)成分(c1):スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物
本発明において使用するスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物は、共役ジエンとしてブタジエン、イソプレン等を使用したブロック共重合体の水素添加物であり、例えば、スチレン・エチレン・ブチレン・スチレン(SEBS)やスチレン・エチレン・プロピレン・スチレン(SEPS)の他、スチレンとブタジエン及びイソプレンの併用ブロック共重合体の水素添加物等がある。ここでスチレンとしては、α−メチルスチレンやp−メチルスチレン等のスチレン誘導体を使用することもできる。
これらスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物を配合することにより溶融張力が向上して中空成形での耐ドローダウン性が改善され、大型中空成形に非常に有効である。しかしながら、この配合よって溶融破断速度が低下し伸びにくくなるため深絞り形状や複雑な形状の金型などブロー比が大きい中空成形の場合パリソン破れや成形品が偏肉するなどの延展性が低下する問題があることに加え、組成物の経済性が損なわれるため多量に配合することは好ましくない。
ここで使用されるスチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物は、前述の要件を満足する中空成形体が得られるものであれば特に制限はないが、ISO2781での密度が0.90〜0.92g/cmであり、スチレン含有量31〜35重量%、BMS0380法による粘度(1〜2Pa・s)であるものが望ましい。
(2)成分(c2):エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム
本発明において、エチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、塗装性等の改善のために添加することができる。
本発明において使用するエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムは、α−オレフィンとしてプロピレン、ブテン−1、ヘキセン−1、オクテン−1等を使用した共重合体ゴムであって、第三成分としてエチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン等の非共役ジエンを含有成分とする三元共重合体ゴム(いわゆる、EPDM)であってもよい。これらエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムのムーニー粘度[ML1+4(121℃)](ASTMD1646準拠)は5以上、好ましくは10以上、より好ましくは20〜40である。ムーニー粘度が上記範囲であれば、組成物の耐ドローダウン性が低下することも成形時の賦形性が劣ることも抑えられるので好ましい。
本発明において使用するエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴムの密度は、好ましくは0.890g/cm以下、より好ましくは0.885g/cm以下である。
(3)成分(c3):エチレン重合体樹脂
本発明において使用するエチレン重合体樹脂としては、エチレン単独重合体の他に、主成分のエチレンとブテン−1、ヘキセン−1等の他のエチレン性単量体との共重合体が挙げられ、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン等がある。エチレン重合体樹脂は耐ドローダウン性の向上に効果がある。
成形体の表面品質及び塗装性の観点から、MFR(JIS−K6760、230℃、21.18N荷重)が0.3〜2g/10分かつ密度が0.920g/cm以上のエチレン重合体樹脂が好ましい。特に、MFR(JIS−K6760、230℃、21.18N荷重)が0.3〜2g/10分かつ密度が0.940g/cm以上の高密度ポリエチレンが好ましい。
4.構成成分の配合量
上記成分(A)、(B)、(C)の構成成分の配合量は、成分(A)の結晶性ポリプロピレンが0〜79重量%、成分(B)のプロピレン系重合体が20〜99重量%、成分(C)が1〜50重量%であり(成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計量は100重量%)、好ましくは成分(A)が0〜70重量%、成分(B)が20〜95重量%、成分(C)が2〜40重量%であり、より好ましくは成分(A)が0〜65重量%、成分(B)が25〜95重量%、成分(C)が3〜35重量%である。
ここで、成分(A)の配合量が多すぎると溶融張力が低下し成形できない。成分(B)の配合量が少なすぎると耐ドローダウン性及び延展性が低下する。成分(C)の配合量が少なすぎると、耐ドローダウン性と、低温衝撃性が低下する。成分(C)の配合量が多すぎると溶融延展性が悪化するし且つ、曲げ弾性率が低下させたり、外観不良が発生する事がある。
5.他の成分
本発明においては、必要に応じて無機充填剤(D)(以下、単に「成分(D)」と略称するときもある)を配合することができる。無機充填剤の添加は成形物の耐熱剛性の点で有効である。
無機充填剤としては、例えば、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫化モリブデン、カーボンブラック、ガラス繊維、炭素繊維、チタン酸カリウム繊維、酸化チタン、クレー、カオリン、アルミナ、シリカ、中空硝子球等の板状、針状、粒状、繊維状等のものを挙げることができる。これらは二種以上を併用してもかまわないが、中でもタルクが好ましい。これら無機充填剤は、樹脂成分との親和性を向上させために各種の有機シラン、チタネート等で表面処理して使用することもできる。
さらに、本発明においては、上記成分(A)〜成分(C)の外に、本発明の効果を著しく損なわない範囲で他の目的のために他の成分を配合することができる。この様な他の成分(任意の成分)としては、例えば、ブテン重合体樹脂や、4−メチルペンテン−1重合体樹脂等の他のポリオレフィン、ポリアミドやポリエステル等の熱可塑性樹脂、共役ジエン共重合体ゴムやスチレン・共役ジエン共重合体ゴム等の他のエラストマー、無機充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、滑剤、潤滑剤、可塑剤、増粘剤、帯電防止剤、難燃剤、加工性改良剤、着色剤、増核剤、分子量調整剤、塗装性改良剤等の各種添加剤を挙げることができる。これらの成分は組成物に添加してもよいし、各成分に添加されていてもよい。
[II]中空成形用樹脂組成物の製造
本発明の中空成形用樹脂組成物は、上記の成分(A)〜成分(C)、さらには場合により他の成分を配合し、例えば、高速ミキサー、バンバリーミキサー、連続ニーダー、一軸又は二軸押出機、ロール、ブラベンダープラストグラフ等の通常の混合混練機を使用して、一般には加熱溶融混練することにより得られる。この時、通常は造粒する方法が採用される。
[III]中空成形体の製造
この様にして得られる樹脂組成物は、通常の中空成形機により成形されて中空成形体になる。特に寸法が1.3m以上の大型中空成形体に成形された時に本発明の効果が有効に発揮されるので好ましい。
大型中空成形体は、自動車用バンパー、建機用ルーフ等の部品、製品に好適に用いられる。
次に、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性測定、分析等は、下記の方法に従ったものである。
1.物性測定法、分析法、評価法
(1)メルトフローレート(MFR)
JIS K7210A法・条件Mに従い、以下の条件で測定した。
試験温度:230℃、公称荷重:2.16kg、ダイ形状:直径2.095mm、長さ8.000mm。単位はg/10分である。
(2)重量平均分子量(Mw)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、上記本明細書記載の方法で、測定した。
(3)mm分率
日本電子社製、GSX−400、FT−NMRを用い、上記本明細書記載の方法で測定した。単位は%である。
(4)伸長粘度
レオメータを用いて、上記本明細書記載の方法で測定した。
(5)融解温度(Tm):
セイコー社製DSCを用いて測定した。
サンプル5.0mgを採り、200℃で5分間保持した後、40℃まで10℃/minの降温速度で結晶化させてその熱履歴を消去し、更に10℃/minの昇温速度で融解させた時の融解曲線のピーク温度を融点とする。樹脂に複数の融点が観測される場合には、最も高い温度で観測されるものを樹脂の融点とする。
(6)エチレン含量の定量
前述したmm測定と同じ条件にて、13C−NMRにより測定する。エチレン含量は、Macromolecules 1982 1150に記載の解析方法に従って算出する。
(7)熱パラキシレンに不溶の成分量
上記本明細書記載の方法で測定した。
(8)溶融張力(MT)(単位;cN): (株)東洋精機製キャピログラフを使用して、温度230℃に加熱した直径10mmのシリンダーに樹脂を入れ、押し込み速度10.0m/minで溶融樹脂を直径2.095mm、長さ8mmのオリフィスから押し出した樹脂を速度4.0m/minで引き取り溶融張力を測定し耐ドローダウン性の指標とした。大型ブロー製品を成形するためには、溶融張力が8cN以上あることが好ましい。
(9)耐ドローダウン性: (株)プラコー製DA−100型大型ブロー 成形機を使用して、樹脂温度220℃で、長さ2.2m、幅0.4m、重さ8kgの自動車用バンパーを成形した時の、成形体下部肉厚に対する上部肉厚の比が0.8〜1.0のものを良好、0.8未満のもの又は成形不良若しくは成形不能のものを不良とした。
(10)曲げ弾性率:JIS K7203に準拠し、23℃において曲げ速度2mm/minで測定した。 製品物性として、1000MPa以上が好ましい。
(11)Izod衝撃強度:JIS−K7110に準拠して、−30℃の温度下にてノッチ付で測定した。製品物性として4kg/cm以上が好ましい。好ましくは、5kg/cm以上である。
(12)熱安定性(リターン性):(株)プラコー製DA−100型大型ブロー成形機を使用して、樹脂温度220℃で、長さ2.2m、幅0.4m、重さ8kgの自動車用バンパーを成形した。そのバンパーを粉砕機で粉砕し、再度大型ブロー成形機で成形した。5回以上繰返しても製品化できるものを◎とし、3回以上5回未満繰返しても製品化できるものを○、2回以上3回未満繰返しても製品化できるものを×、ドローダウンが大きく1度も繰返し製品化できないものを××とした。
2.原材料の製造
2−1.プロピレン系重合体(B)の製造
[製造例1]:
(1)〔rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライドの合成〕:
(1−a)ジメチルビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)シランの合成:
特開2004−124044号公報の実施例1に記載の方法にしたがって、合成を行った。
(1−b)rac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライドの合成:
100mlのガラス製反応容器に、ジメチルビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)シラン5.3g(8.8ミリモル)、ジエチルエーテル150mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。ここに1.50モル/リットルのn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液12ml(18ミリモル)を滴下した。滴下後、室温に戻し16時間攪拌した。反応液の溶媒を20ml程度まで減圧濃縮し、トルエン200mlを加え、ドライアイス−メタノール浴で−70℃まで冷却した。そこに、四塩化ハフニウム2.8g(8.7ミリモル)を加えた。その後、徐々に室温に戻しながら3日間攪拌した。
溶媒を減圧留去し、ジクロロメタン/ヘキサンで再結晶を行い、ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライドのラセミ体(純度99%以上)を黄橙色結晶として2.9g(収率39%)得た。
得られたラセミ体についてのプロトン核磁気共鳴法(H−NMR)による同定値を以下に記す。
H−NMR(CDCl3)同定結果]
ラセミ体:δ1.12(s,6H),δ2.42(s,6H),δ6.06(d,2H),δ6.24(d,2H),δ6.78(dd,2H),δ6.97(d,2H),δ6.96(s,2H),δ7.25〜δ7.64(m,12H)。
(2)〔触媒の合成〕:
(2−1)イオン交換性層状珪酸塩の化学処理
セパラブルフラスコ中で蒸留水3456gに96%硫酸(1044g)を加えその後、層状珪酸塩としてモンモリロナイト(水沢化学社製ベンクレイSL:平均粒径19μm)600gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水2400g加えた後にろ過したところケーキ状固体1230gを得た。
次に、セパラブルフラスコ中に、硫酸リチウム648g、蒸留水1800gを加え硫酸リチウム水溶液としたところへ、上記ケーキ上固体を全量投入し、更に蒸留水522gを加えた。このスラリーを0.5℃/分で1時間かけて90℃まで昇温し、90℃で120分反応させた。この反応スラリーを1時間で室温まで冷却し、蒸留水1980g加えた後にろ過し、更に蒸留水でpH3まで洗浄し、ろ過を行ったところ、ケーキ状固体1150gを得た。
得られた固体を窒素気流下130℃で2日間予備乾燥後、53μm以上の粗大粒子を除去し、更に215℃、窒素気流下、滞留時間10分の条件でロータリーキルン乾燥することにより、化学処理スメクタイト340gを得た。
この化学処理スメクタイトの組成は、Al:7.81重量%、Si:36.63重量%、Mg:1.27重量%、Fe:1.82重量%、Li:0.20重量%であり、Al/Si=0.222[mol/mol]であった。
(2−2)触媒調製及び予備重合
3つ口フラスコ(容積1L)中に、上で得られた化学処理スメクタイト20gを入れ、ヘプタン(114mL)を加えてスラリーとし、これにトリエチルアルミニウム(50mmol:濃度71mg/mLのヘプタン溶液を81mL)を加えて1時間攪拌後、ヘプタンで残液率1/100まで洗浄し、全容量を200mLとなるようにヘプタンを加えた。
また、別のフラスコ(容積200mL)中で、ヘプタン(85mL)にrac−ジメチルシリレンビス(2−(2−(5−メチル)−フリル)−4−フェニル−インデニル)ハフニウムジクロライド(0.3mmol)を加えてスラリーとした後、トリイソブチルアルミニウム(0.6mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を0.85mL)を加えて45分室温で攪拌し反応させた。この溶液を、化学処理スメクタイトが入った3Lフラスコに加えて、室温で45分攪拌した。その後ヘプタンを214mL追加し、このスラリーを1Lオートクレーブに導入した。
オートクレーブの内部温度を40℃にしたのちプロピレンを20g/時の速度でフィードし2時間40℃を保ちつつ予備重合を行った。その後、プロピレンフィードを止めて、50℃で0.5時間残重合を行った。得られた触媒スラリーの上澄みをデカンテーションで除去した後、再びヘプタンを加えてデカンテーションすることにより予備重合触媒の洗浄のをおこなった。上記デカンテーションにより残った部分に、トリイソブチルアルミニウム(12mmol:濃度140mg/mLのヘプタン溶液を17mL)を加えて10分攪拌した。この固体を2時間減圧乾燥することにより、乾燥予備重合触媒47.6gを得た。予備重合倍率(予備重合ポリマー量を固体触媒量で除した値)は1.38であった。
(1)〔重合〕:
第一工程の重合:
3Lオートクレーブを加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを加え、液体プロピレン750gを導入した後、70℃まで昇温した。その後、上記予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で210mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。70℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより第一工程の重合を停止した。
窒素置換したオートクレーブからテフロン(登録商標)チューブを用いて第一工程後の重合体12gを回収し分析した。
第二工程の重合:
上記の窒素置換したオートクレーブを50℃で大気圧で保持した後、0.5MPa、ついでエチレンを分圧で1.5MPa、まですばやく加えて第二工程の重合を開始した。重合中は組成が一定になるように予め調整しておいたエチレン/プロピレンの混合ガスを導入して全圧2.0MPaに保ち、50℃を保持した。この第二工程の重合の平均ガス組成は、C2:72.5%であった。2時間後、未反応のエチレン/プロピレンの混合ガスをパージして重合を停止し、211gの重合体(LCB−1)を得た。
得られたサンプルの一部は、東洋精機社製ラボプラストミル(モデル50C150)を用い下記条件で溶融混練した。
重合体:42g(チバガイギー社製 IRGASTAB FS210FF 1.0部、ハイドロタルサイト 0.5部を添加)
温度:170℃
回転数:70rpm
時間:3分
得られたサンプルを用いて測定方法1で伸長粘度の測定を行った。
このサンプルの歪硬化度λmaxの値は2.5であり、グラフト共重合体が生成していると考えられる。
[重合例2]:
第一工程の重合:
3Lオートクレーブを、加熱下窒素を流通させることにより予めよく乾燥させた後、プロピレンで槽内を置換して室温まで冷却した。トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(140mg/mL)2.86mLを加え、液体プロピレン750gを導入した後、75℃まで昇温した。
その後、重合例1で調製した予備重合触媒を、予備重合ポリマーを除いた重量で250mgを高圧アルゴンで重合槽に圧送し、重合を開始した。75℃で1時間保持して後、未反応のプロピレンをすばやくパージし、オートクレーブ内を窒素置換することにより、第一工程の重合を停止した。
窒素置換したオートクレーブからテフロン(登録商標)チューブを用いて、第一工程後の重合体24gを回収し分析をおこなった。
第二工程の重合:
上記の窒素置換したオートクレーブを70℃、大気圧で保持した後、プロピレンを分圧で0.5MPa、次いでエチレンを分圧で1.5MPa、まですばやく加えて第二工程の重合を開始した。重合中は、組成が一定になるように予め調整しておいたエチレン/プロピレンの混合ガスを導入して全圧2.0MPaに保ち、70℃を保持した。
この第二工程の重合の平均ガス組成は、C2:80.1%であった。50分後、未反応のエチレン/プロピレンの混合ガスをパージして重合を停止し、174gの重合体(LCB−2)を得た。
このサンプルを実施例と同様に、溶融混練を行い、物性評価を行った。このサンプルの歪硬化度λmaxの値は2.5であり、分岐構造を有する共重合体が生成していると考えられる。
得られた重合体サンプルの評価結果を表1に示す。
Figure 2009275151
なお、後述の比較例で用いられる市販の高溶融張力ポリプロピレンのPF814についてもその評価結果を表1に示す。
〔実施例1〕
プロピレン系重合体としてLCB−1と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としてクレイトンポリマーズグループ製クレイトンG1651(密度が0.91g/cm、スチレン含有量32重量%、BMS0380法による粘度1.5Pa・sであるスチレン・ブチレン・スチレン共重合体の水素添加物(SEBS))とを使用して表2に示す割合で配合し、ミキサーで混合した後二軸押出機で溶融混練し押出温度200℃にてストランドを押し出し冷却カットして造粒しペレット状の組成物を得た。評価結果を表2に示す。
〔実施例2〕
結晶性ポリプロピレンとして、日本ポリプロ製ノバテックEC9(MFR0.5g/10分、融点161℃、λmax1.0のエチレン・プロピレンブロック共重合体)と、プロピレン系重合体としてLCB−1と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としてクレイトンポリマーズグループ製クレイトンG1651(密度が0.91g/cm、スチレン含有量32重量%、BMS0380法による粘度1.5Pa・sであるスチレン・ブチレン・スチレン共重合体の水素添加物(SEBS))とを使用して表2に示す割合で配合したこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例3]
EC9とLCB−1と、熱可塑性樹脂(C)として、日本ポリエチレン製ノバテックHB332R(MFR0.5g/10分、密度0.952g/cmの高密度ポリエチレン)とダウケミカル製エンゲージ8150(MFR1.0g/10分、密度0.868g/cm、ムーニー粘度33のエチレン・1−オクテン共重合体)とを用い、配合割合を表2に示す通りにしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例4]
EC9とLCB−1とエンゲージ8150とを用い、配合割合を表2に示す通りにしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
[実施例5]
結晶性ポリプロピレンとして、日本ポリプロ製ノバテックEC9(MFR0.5g/10分、融点161℃、λmax1.0のエチレン・プロピレンブロック共重合体)と、プロピレン系重合体としてLCB−1と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物としてクレイトンG1651と、無機充填剤としてタルク(比表面積44,000cm/g、平均粒径が1.6μm、粒径10μm以上の成分0.5重量%、MgO成分33.1重量%、SiO成分62.5重量%、その他0.45重量%)を使用して表2に示す割合で配合し、ミキサーで均一混合した後、二軸押出機で溶融混練し押出温度200℃にてストランドを押し出し冷却カットして造粒しペレット状の組成物を得た。その得られたペレットを各種評価方法で評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例1]
結晶性ポリプロピレンとして、日本ポリプロ製ノバテックBC6(MFR2.7g/10分、融点163℃、λmax1.0のプロピレンブロック共重合体)と、プロピレン系重合体としてLCB−1と、HB332Rとを用い、配合割合を表2に示す通りにしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例2]
プロピレン系重合体として高溶融張力ポリプロピレンとして市販されているバゼル社製PF814を用いたこと以外は実施例4と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。PF814は電子線処理が施された長鎖分岐構造が導入されたプロピレン単独重合体とされている。
[比較例3]
プロピレン系重合体としてLCB−2を用いたこと以外は実施例4と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例4]
結晶性ポリプロピレンとして、日本ポリプロ製ノバテックEC9と、プロピレン系重合体としてPF814と、エチレン・α−オレフィン共重合体ゴムとしてエンゲージ8150と、無機充填剤としてタルク(比表面積44,000cm/g、平均粒径が1.6μm、粒径10μm以上の成分0.5重量%、MgO成分33.1重量%、SiO成分62.5重量%、その他0.45重量%)を使用して表2に示す割合で配合し、ミキサーで均一混合した後、二軸押出機で溶融混練し押出温度200℃にてストランドを押し出し冷却カットして造粒しペレット状の組成物を得た。その得られたペレットを各種評価方法で評価した。評価結果を表2に示す。
[比較例5]
熱可塑性樹脂(C)を用いず、EC9とLCB−1とを用い、配合割合を表2に示す通りにしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
[比較例6]
プロピレン系重合体(B)を用いず、EC9とG1651とを用い、配合割合を表2に示す通りにしたこと以外は、実施例1と同様に評価を行った。評価結果を表2に示す。
Figure 2009275151
表2から明らかなように、本発明の必須構成要件における各規定を満たす、実施例1〜5に示す組成を持ったプロピレン系樹脂組成物は、何れも耐ドローダウン性、物性バランス、表面平滑性及び熱安定性の全てにおいて著しく改良されており、バンパー等の自動車外装部品等に好適な性能を有している。一方、比較例1に示すMFRが高い結晶性ポリプロピレンを用いたプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が低くドローダウン性が劣り、比較例2、4に示す従来の高溶融張力ポリプロピレンを用いたプロピレン系樹脂組成物は、熱安定性(リターン性)に劣り、比較例3に示すMFRが高い長鎖分岐型プロピレン系重合体を用いたプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が低下しドローダウン性が低下し、比較例5に示す成分Cを使用しないプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が低下し、比較例6に示す成分Bを使用しないプロピレン系樹脂組成物は、曲げ弾性率が低下する。
以上における、各実施例と各比較例の結果からして、本発明の構成と各要件の合理性と有意性が実証され、さらに本発明の従来技術に対する優位性も明らかにされている。
本発明のプロピレン系樹脂組成物は、剛性、耐衝撃性、耐ドローダウン性等の溶融加工が良好で熱安定性が向上するとともにリサイクル性にも優れ、特に中空成形時の耐ドローダウン性、成形体の表面平滑性、熱安定性、リサイクル性が改善されるため、該樹脂組成物を用いて押出成形やブロー成形すると、大型で複雑な形状の中空成形体とすることが可能になり、バンパー等の自動車外装部品等に好適であるので、産業上大いに利用しうる。
本発明に係るプロピレン系重合体(B)のTEM観察結果の一例を示す図である。 本発明に係るプロピレン系重合体(B)のTEM観察結果の一例を示す図である。 通常のプロピレン系重合体のTEM観察結果の一例を示す図である。 一軸伸長粘度計で測定された伸長粘度の一例を示すプロット図である。 GPCにおけるクロマトグラムのベースラインと区間の説明の図である

Claims (7)

  1. メルトフローレート[230℃、21.18N荷重]が0.05〜2g/10分の結晶性ポリプロピレン(A)0〜79重量%と、下記の要件(α1)〜(α5)を満たす25℃でp−キシレンに不溶性の成分(α)と下記の要件(β1)〜(β3)を満たす25℃でp−キシレンに可溶性の成分(β)から構成され、且つ、下記の要件(i)〜(iv)を満たすプロピレン系重合体(B)20〜99重量%と、スチレン・共役ジエンブロック共重合体の水素添加物(c1)、ムーニー粘度[ML1+4(121℃)]が5以上のエチレン・α−オレフィン系共重合体ゴム(c2)、及びメルトフローレート[230℃、21.18N荷重]が0.3〜2g/10分、密度が0.920g/cm以上のエチレン重合体樹脂(c3)から選ばれる少なくとも一種の熱可塑性樹脂(C)1〜50重量%とからなることを特徴とするプロピレン系樹脂組成物。
    (α1)プロピレン系重合体(B)全量に対して20〜95重量%である
    (α2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
    (α3)13C−NMRで測定するアイソタクチックトライアッド分率(mm)が93%以上である、
    (α4)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上である、
    (α5)プロピレン単位と、エチレン単位またはα−オレフィン単位を含有する。
    (β1)プロピレン系重合体(B)全量に対して5〜80重量%である、
    (β2)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
    (β3)プロピレン単位と、エチレン単位および/またはα−オレフィン単位を含有する。
    (i)GPCで測定する重量平均分子量(Mw)が10万〜100万である、
    (ii)熱p−キシレンに不溶な成分が0.3重量%以下である、
    (iii)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が1.1以上である、
    (iv)メルトフローレート[230℃、21.18N荷重]が0.05〜20g/10分である。
  2. 前記成分(β)は、さらに(β4)伸長粘度の測定における歪硬化度(λmax)が2.0以上であることを特徴とする請求項1に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  3. プロピレン系重合体成分(B)は、結晶性プロピレン重合セグメントを側鎖に有し、非結晶性プロピレン共重合セグメントを主鎖に有する分岐構造を有する請求項1又は2に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  4. 前記成分(α)は、結晶性プロピレン重合セグメントを側鎖に有し、非結晶性プロピレン共重合セグメントを主鎖に有する分岐構造を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  5. 前記成分(α)は、エチレン単位を含むものであって、エチレン含量が0.1〜10重量%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  6. 前記成分(β)は、エチレン単位を含むものであって、エチレン含量が10〜60重量%であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のプロピレン系樹脂組成物からなるブロー成形体。
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