JP2005264004A - ポリオレフィン樹脂用透明化剤及びポリオレフィン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】
良好な透明性を有し、かつ臭気の発生が少ないポリオレフィン組成物、および該組成物を得るための透明化剤を提供する。
【解決手段】
特定の構造を有するアルキルテトラヒドロナフチル置換したソルビトール系化合物からなるポリオレフィン樹脂用透明化剤、および該透明化剤をポリオレフィン樹脂に配合してなるポリオレフィン組成物。
【選択図】

Description

本発明は、ポリオレフィン樹脂に透明性を賦与する透明化剤に関し、特に食品容器、医療器具などの材料として好適なポリオレフィン組成物を提供するものである。
ポリオレフィン樹脂の透明性を向上させるため、これまでに各種の核剤が提供されてきている。核剤は、結晶化速度を促進する事により成形化工速度を促進したり、力学的性質を向上させる等、種々の目的でも提供されてきている。それらのうち、ソルビトール系化合物の核剤として、例えばジベンジリデンソルビトール(特許文献1参照。)やジ(アルキル置換ベンジリデン)ソルビトール(特許文献2または3参照。)等のジベンジリデンソルビトール(DBS)類が知られている。しかし、前者は透明性の向上が十分でなく、後者は透明性の向上はかなり良好であるが、臭気の発生を伴うため、特に食品容器、包装材料、医療器具などに用いるポリオレフィン樹脂には問題を有する。
特開昭51−22740号公報 特公昭55−12460号公報 特公昭61−5498号公報
本発明の目的は、良好な透明性を有し、かつ臭気の発生が少ないポリオレフィン組成物、および該組成物を得るための透明化剤を提供することである。
本発明者らは、上記問題点を解決すべく鋭意検討を行なった。その結果、ソルビトール系化合物のうちで特にアルキルテトラヒドロナフチル置換したソルビトール系化合物が、ポリオレフィンの核剤として透明性の向上に有効であるとともに、臭気の発生も極めて軽減できる効果の知見に基づき、本発明を提供するに至ったものである。
即ち、本発明によれば、下記式(1)で示されるポリオレフィン樹脂用透明化剤が提供される。(式中のRおよびRは、それぞれ1〜4個の炭素原子を含む低級アルキル基を示す。mは0又は1〜4の整数、nは0又は1〜3の整数である。mとnは同時に0ではない。)
Figure 2005264004

また、本発明によれば、ポリオレフィン100重量部に対して、上記式(1)で示される透明化剤0.01〜2重量部を配合してなるポリオレフィン組成物が提供される。
本発明のポリオレフィン樹脂用透明化剤を用いることにより、良好な透明性を有し、かつ臭気の発生が少ないポリオレフィン組成物を得ることができる。
本発明に係るポリオレフィン樹脂は、立体規則性樹脂であって、具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂が例示される。
ポリエチレン系樹脂としては、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン及びエチレン含量50重量%以上のエチレンコポリマーが例示される。
ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンホモポリマー及びプロピレン50重量%以上のプロピレンコポリマーが例示される。
ポリブテン系樹脂としては、ブテンホモポリマー及びブテン含量50重量%以上のブテンコポリマーが例示される。
上記夫々のコポリマーはランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。また、これらの樹脂の立体規則性は、アイソタクチックでもシンジオタクチックでもよい。
上記夫々のコポリマーを構成し得るコポリマーとして、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等のα−オレフィン、1,4−エンドメチレンシクロヘキセン等のビシクロ型モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等が例示できる。
本発明のポリオレフィン樹脂用透明化剤は、下記式(1)で示される。
(式中のRおよびRは、それぞれ1〜4個の炭素原子を含む低級アルキル基を示す。mは0又は1〜4の整数、nは0又は1〜3の整数である。mとnは同時に0ではない。)
Figure 2005264004

ここで、Rが1〜4個の炭素原子を含む低級アルキル基である場合は、nが1〜3の整数であることが好ましい。nが0であり、Rがメチル基である場合は、mが2〜4の整数であることが好ましい。また、nが0であり、Rが2〜4個の炭素原子を含む低級アルキル基である場合は、mが1〜4の整数であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂用透明化剤は、如何なる方法によって製造しても良い。特に簡便な製造方法としては、アルキルテトラヒドロナフトアルデヒドとソルビトールの酸触媒による縮合反応が挙げられる。この反応におけるアルキルテトラヒドロナフトアルデヒドとソルビトールの反応モル比は、2:1近くである事が好ましい。そのほか反応溶媒、酸触媒、反応条件、反応終了後の処理条件、生成物の単離条件等は、従来のアルキル置換ベンジリデンソルビトールの製造において用いられた方法を適宜選択して採用すれば良い。
本発明のポリオレフィン組成物は、前記ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、前記透明化剤を0.01〜2重量部配合してなる。
本発明のポリオレフィン組成物には、その他の透明化剤、分散剤、殺菌剤、紫外線防止剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、酸化防止剤等の添加剤を本発明の効果を損なわない範囲で配合することもできる。
本発明のポリオレフィン組成物は、熱成形加工時の臭気の発生ならびに最終成形品中の臭気が抑制され、かつ透明性等の性能の優れた新規有用なポリオレフィン系樹脂組成物である。
また、本発明のポリオレフィン組成物を成形するに際しては、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれをも採用できる。
本発明のポリオレフィン組成物は、従来DBS類を核剤として配合してなるポリオレフィン組成物が用いられてきたと同様の分野において適用され、より具体的には、熱や放射線等により減菌されるディスポーザブル注射器、輸液・輸血セット、採血器具等の医療用器具類;放射線等により減菌される食品・植物等の包装物;医療ケースや衣料保存用コンテナ等の各種ケース類;食品を熱充填するためのカップ、レトルト食品の包装容器;電子レンジ用容器;ジュース、茶等の飲料用、化粧品用、医薬品用、シャンプー用等の缶、ビン等の容器;味噌、醤油等の調味料用容器及びキャップ;水、米、パン、漬物等の食品用ケース及び容器;冷蔵庫用ケース等の雑貨;文具;電気・機械部品;自動車用部品等の素材として好適である。
以下、実施例及び比較例を揚げ、本発明を詳しく説明する。
(透明化剤の製造)
<実施例1>
温度計、ディーンスターク・トラップ、冷却管、窒素導入口を備えた2リットルの四つ口フラスコに、D(-)-ソルビトール(54.7g)、4,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフトアルデヒド(112.8g)、p-トルエンスルホン酸1水和物(2.0g)及びシクロヘキサン500mlを加え、窒素雰囲気、攪拌下に5時間加熱し、共沸させる事によって生成する水を除いた。反応後、冷却し、中和し、水洗し、乾燥して、式(2)に示される化合物からなる白色固体(118.3g)を得た。これを透明化剤Aとした。
Figure 2005264004
<実施例2>
温度計、ディーンスターク・トラップ、冷却管、窒素導入口を備えた2リットルの四つ口フラスコに、D(-)-ソルビトール(54.6g)、5,8-ジメチル-5,6,7,8-テトラヒドロ-2-ナフトアルデヒド(112.1g)、p-トルエンスルホン酸1水和物(2.0g)及びシクロヘキサン500mlを加え、窒素雰囲気、攪拌下に5時間加熱し、共沸させる事によって生成する水を除いた。反応後、冷却し、中和し、水洗し、乾燥して、式(3)に示される化合物からなる白色固体(113.5 g)を得た。これを透明化剤Bとした。
Figure 2005264004
(ポリプロピレン組成物の調製)
<実施例3〜6>
実施例1および2で得られた白色固体(本発明の透明化剤であるアルキルテトラヒドロナフチル置換したソルビトール)を用いて、下記の要領でポリプロピレンに配合してポリプロピレン組成物を調製し、透明性と臭気を評価した。結果を表1に示す。
(1)配合量
用いたポリプロピレン、透明化剤の配合量は、次の通りである。
ポリプロピレンランダム共重合体(チッソ製K8017、MFR:7.5):100重量部
透明化剤配合量:0.2もしくは0.4重量部
(2)ペレット化
上記ポリプロピレンと透明化剤の混合物を、2軸押出機(PTM30、プラスチック工学研究所製)を用いて、220℃にてペレット化した。
(3)試験用試料の作成
上記ペレットを使用し、射出成形機(ファナック製)により、成形温度:240℃、金型温度:30℃で、1/8インチ厚の2インチ円盤を作成した。
(4)透明性試験
2インチ円盤射出片(1/8インチ厚み)で、日本電色工業製COH-300Aを用いて、ヘイズ(HAZE、%)を測定した。
(5)臭気試験及び評価ランク
150mlの蒸留水を入れた500mlガラス製密封容器(SPRING CRAMP BOTTLE、φ84×110)に2インチ円盤3枚を入れ50℃の恒温機に入れ一定期間(10日間)保存後の試験片を取り出し、室温に戻して各容器内の水の臭いを「特に臭う」、「臭う」、「臭わない」の3段階で判定した。10名のパネラーで行い、結果を点数により評価した。
(臭わない:0点、臭う:2点、特に臭う:4点とし合計点で評価)
<比較例1>
透明化剤を配合せず、ポリプロピレンだけを用いた以外は実施例3〜6と同様に、2インチ円盤を作成し、透明性と臭気を評価した。
Figure 2005264004

Claims (6)

  1. 下記式(1)で示されるポリオレフィン樹脂用透明化剤。
    (式中のRおよびRは、それぞれ1〜4個の炭素原子を含む低級アルキル基を示す。mは0又は1〜4の整数、nは0又は1〜3の整数である。mとnは同時に0ではない。)
    Figure 2005264004
  2. が1〜4個の炭素原子を含む低級アルキル基であり、nが1〜3の整数である請求項1記載の透明化剤。
  3. nが0であり、Rがメチル基であり、mが2〜4の整数である請求項1記載の透明化剤。
  4. nが0であり、Rが2〜4個の炭素原子を含む低級アルキル基であり、mが1〜4の整数である請求項1記載の透明化剤。
  5. アルキルテトラヒドロナフトアルデヒドとソルビトールを脱水縮合させて得られたものである請求項1〜4のいずれかに記載の透明化剤。
  6. ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、請求項1〜5のいずれかに記載の透明化剤を0.01〜2重量部配合してなるポリオレフィン組成物。
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