JPWO2002034827A1 - ジベンジリデンソルビトール核剤、それを含むポリオレフィン系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Abstract
開示されているのは、ジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部当たり、(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部を含有する核剤、該核剤とポリオレフィン系樹脂とを含有するポリオレフィン系樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形してなる成形体である。
Description
技術分野
本発明は、ジベンジリデンソルビトール核剤、該ジベンジリデンソルビトール核剤を含有する、透明性に優れ且つ熱成形加工時並びに最終成形品中の臭気及び味移行性が大幅に抑制されたポリオレフィン系樹脂組成物に関する。更に本発明は、かかるポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる成形体にも関する。
背景技術
ジベンジリデンソルビトール類は、ポリオレフィン系樹脂、特にエチレン、プロピレンのホモポリマー又はそれらを主成分とするコポリマーの核剤として有用な化合物である。特に透明性を向上させる効果に優れ、透明性が要求される各種容器等の成形品分野の樹脂添加剤として広く用いられている。
しかし、ジベンジリデンソルビトール類は、熱成形加工時に一部分解し、ジベンジリデンソルビトール類を構成するベンズアルデヒド類が遊離し、臭気が発生する。このために、最終成形品中にもアルデヒド臭が残存する場合があり、また、成形品に接触する食品等にアルデヒドの味が移行することもあるので、食品容器等の分野において、好まれない場合がある。
これまでにも上記問題点の改善のために様々な提案がなされている。例えば、ヒドロキシルアミン或いはフェニルヒドラジン類による処理(特開昭60−32791号、特開昭60−42385号)、非芳香族有機アミンの添加(特開昭62−4289号)、脂肪族金属塩及び乳酸金属塩等による表面処理(特開昭62−50355号)、脂肪族アミンの配合(特開平2−196841号)、ソルビン酸及び/又はソルビン酸カリウムの添加(特開平5−202055号)、アミノ酸アルカリ金属塩の添加(特開平9−286787号)等の方法が知られている。
しかしながら、上記従来技術においては、上記添加剤の添加によるポリオレフィン系樹脂成形体の黄色着色が発現する場合がある、臭気改善効果が不十分であり、食品包装容器等の分野において用途が限定される等の欠点があり、未だ上記問題点の解決には至っていないのが現状である。
発明の開示
本発明は、上記のポリオレフィン系樹脂成形体の黄色着色の発現を抑制すると共に、ジベンジリデンソルビトール類の不安定性に基づく上記問題点を解消し、成形加工時及び最終成形品中のアルデヒド類の発生量が大幅に抑制され、臭気及び味移行性が抑制された新規有用なポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる現状に鑑み、上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、ジベンジリデンソルビトール類に対し、(A)アミノ酸の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種(以下「添加剤(A)」と略記する)、又は、(B)アミノ酸アルカリ金属塩の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種(以下「添加剤(B)」と略記する)を添加することにより、ペレット及び成形品中のアルデヒド類の発生量が大幅に抑制され、臭気及び味の移行性が抑制される効果が得られることを見い出した。
更に、本発明者の研究によれば、上記添加剤(A)又は添加剤(B)が添加された場合、ジベンジリデンソルビトール類の透明化剤としての機能を阻害することが懸念されたが、本発明核剤を使用しても成形品の透明性が殆ど損なわれないことも見出された。
本発明は、かかる知見に基づき、更に検討を加えて完成されたものである。
即ち、本発明は、次のジベンジリデンソルビトール核剤、ポリオレフィン系樹脂組成物及びポリオレフィン系樹脂成形体を提供するものである。
項1 一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部当たり、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部
を含有することを特徴とするジベンジリデンソルビトール核剤。
項2 アミノ酸が、一般式(2)
[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基、又は、1個又は2個の窒素原子を含む5〜6員の単環式複素環基もしくは該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基を表し、
R3及びR4で示される炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜2のアルキルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1個又は2個の置換基で置換されていてもよい。
また、R3及びR4の一方とアミノ基とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]
で表されるα−アミノ酸である上記項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項3 アミノ酸が、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、プロリン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、トリプトファン、リシン、トレオニン、メチオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ノルバリン及びα−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である上記項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項4 アミノ酸が、グリシン、L−アラニン、L−フェニルアラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−プロリン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−システイン、L−チロシン、L−アスパラギン、L−グルタミン、L−ノルバリン及びL−α−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である上記項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項5 炭素数8〜32の脂肪酸が、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸及びエルカ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1に記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項6 一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部に対して、(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部を含有することを特徴とする上記項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項7 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである上記項6記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項8 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩が、ステアリン酸ナトリウム塩及びステアリン酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項6記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項9 更に、酸化防止剤を含有する上記項1〜8のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項10 酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である上記項9記載のジベジリデンソルビトール核剤。
項11 (I)一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部当たり、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部
を含有するジベンジリデンソルビトール核剤、及び
(II)ポリオレフィン系樹脂
を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
項12 ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、ジベンジリデンソルビトール核剤を0.05〜3重量部の量で含有する上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項13 アミノ酸が、一般式(2)
[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、
(a)水素原子、
(b)炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、
(c)炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、
(d)ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基、又は、
(e)1個又は2個の窒素原子を含む5〜6員の単環式複素環基もしくは該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基
を表し、
R3及びR4で示される上記(b)の炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜2のアルキルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1個又は2個の置換基で置換されていてもよい。
また、R3及びR4の一方とアミノ基とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]
で表されるα−アミノ酸である上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項14 アミノ酸が、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、プロリン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、トリプトファン、リシン、トレオニン、メチオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ノルバリン及びα−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項15 アミノ酸が、グリシン、L−アラニン、L−フェニルアラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−プロリン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−システイン、L−チロシン、L−アスパラギン、L−グルタミン、L−ノルバリン及びL−α−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項16 炭素数8〜32の脂肪酸が、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸及びエルカ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項17 一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部に対して、(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部を含有することを特徴とする上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項18 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである上記項17記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項19 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩が、ステアリン酸ナトリウム塩及びステアリン酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項17記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項20 更に、酸化防止剤を含有する上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項21 酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である上記項20記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項22 上記項11〜21のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を成形することにより得ることができるポリオレフィン系樹脂成形体。
項23 一般式
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類及びポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂組成物又はポリオレフィン系樹脂成形体からの臭気及び味の移行を抑制するための方法であって、上記一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類に、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部を添加することを特徴とする方法。
項24 一般式
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類及びポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂組成物又はポリオレフィン系樹脂成形体からの臭気及び味の移行を抑制するための
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部の使用。
発明の詳細な記載
ジベンジリデンソルビトール類
上記一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類(以下、「DBS類」という)において、R1及びR2で示される炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖又は分岐のもの、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等を例示でき、これらのうちでも、特に炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。また、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、直鎖又は分岐のもの、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基等を例示でき、これらのうちでも特に炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等を例示できる。
上記一般式(1)のDBS類の具体例としては、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の同種の置換又は非置換ベンジリデン基を有する化合物を例示できる。
更に、本発明で使用できるDBS類として、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチル−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチル−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチル−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロル−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール等の異種の非置換又は置換ベンジリデン基を有する化合物等が例示される。
本発明において、上記一般式(1)で表されるDBS類は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
上記一般式(1)で表されるDBS類の中でも、特に次の化合物が好ましい:
・m及びnが0である一般式(1)で表される化合物、
・R1及びR2が炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等)であり、m及びnが1又は2である一般式(1)で表される化合物。
また、本発明の範囲には日本国特許2111253号及び日本国特許第2826152号に記載のベンジリデンソルビトール組成物が含まれる。
アミノ酸及びそのアルカリ金属塩
本発明で使用するアミノ酸は、分子内に1個以上のカルボキシル基と1個以上のアミノ基を同時に有する化合物を広く総称するものであって、タンパク質を構成するα−アミノ酸(アミノ基とカルボキシル基が同一炭素原子に結合しているもの)を筆頭に一般に極めて安全性に優れていることが知られているものであり、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて適用される。また、これらアミノ酸に不斉炭素が存在する場合、光学異性体単独或いは2以上の光学異性体の混合物(例えばラセミ混合物)のいずれも使用できる。
これらアミノ酸のうちでも、下記一般式(2)
[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、
(a)水素原子、
(b)炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、
(c)炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、
(d)ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基、又は、
(e)1個又は2個の窒素原子を含む5〜6員の単環式複素環基又は該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基
を表し、
R3及びR4で示される上記(b)の炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜2のアルキルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
また、R3及びR4の一方とアミノ基(即ち、R3及びR4が結合している炭素原子に結合しているアミノ基)とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]
で表されるα−アミノ酸が推奨される。
上記炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−アミル、イソアミル、n−ヘキシル等を例示でき、これらのうちでも、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、3−メチル−3−ブテニル等が例示でき、特に炭素数3〜5のアルケニル基が好ましい。
ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基としては、ベンゼン環上に水酸基を1〜2個有するベンジル基が挙げられ、特に、4−ヒドロキシベンジル基、3,4−ジヒドロキシベンジル基)等を例示できる。
また、窒素原子1〜2個を含む5〜6員の単環式複素環基又は該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基としては、該炭素数1〜2のアルキル基がメチル基であるものが好ましく、例えば、4−イミダゾリルメチル基、3−インドリルメチル基等を例示できる。
水酸基を有していてもよいピロリジン環としては、水酸基を1個又は2個有していてもよいピロリジン環が例示できる。
上記アミノ酸のうちでも、特に、上記一般式(2)[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ベンゼン環上に水酸基を1個有していてもよいベンジル基、4−イミダゾリルメチル基又は3−インドリルメチル基を表し、R3及びR4で示される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、メチルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。また、R3及びR4の一方とアミノ基とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を1個有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]で表されるアミノ酸がより好ましい。
上記アミノ酸のうちでも、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、プロリン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、トリプトファン、リシン、トレオニン、メチオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ノルバリン及びα−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のα−アミノ酸が好ましい。
特に、上記のようなα−アミノ酸の中でも、特に、(1)グリシン、L−アラニン、L−フェニルアラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−プロリン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−システイン及びL−チロシンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、更に、(2)L−アスパラギン、L−グルタミン、L−ノルバリン及びL−α−アミノ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種も好ましい。
また、本発明において使用する上記のようなアミノ酸のアルカリ金属塩において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等が挙げられ、中でもナトリウム、カリウムが最も好ましい。これらアミノ酸のアルカリ金属塩も1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明で使用するアミノ酸及びそのアルカリ金属塩は、いずれも、公知であるか又は従来から慣用されている合成法、例えば、カーク−オスマー エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)第4版第2巻第504〜570頁に記載の方法等に従って、容易に製造できる。
脂肪酸及びそのアルカリ金属塩
本発明で使用する炭素数8〜32の脂肪酸としては、飽和又は不飽和のものがいずれも使用でき、特に、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましい。具体的には、飽和脂肪酸であるオクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等、並びに、不飽和脂肪酸であるオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、エルカ酸等が例示される。これら脂肪酸は、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
本発明で使用する上記炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられ、中でもナトリウム、カリウムが最も好ましい。これら脂肪酸のアルカリ金属塩も、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
添加剤(A)及び添加剤(B)
本発明においては、既述のように、上記アミノ酸の少なくとも1種及び上記炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種(添加剤(A))、又は、上記アミノ酸アルカリ金属塩の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種(添加剤(B))を使用する。
本発明に係る添加剤(A)の各成分の使用量については、一般式(1)で表されるDBS類100重量部に対して、アミノ酸の少なくとも1種を0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜30重量部、より好ましくは0.3〜10重量部の割合で使用し、炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種を0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜80重量部、より好ましくは0.3〜60重量部の割合で使用することが推奨される。
同様に、本発明に係る添加剤(B)の各成分の使用量については、一般式(1)で表されるDBS類100重量部に対して、アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種を0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜30重量部、より好ましくは0.3〜10重量部の割合で使用し、炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種を0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜80重量部、より好ましくは0.3〜60重量部の割合で使用することが推奨される。
一般式(1)で表されるDBS類100重量部に対して、添加剤(A)のアミノ酸の少なくとも1種及び上記炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種、又は、添加剤(B)のアミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種の添加量が、共に0.1重量部未満の場合には、所定の効果が得られにくい。
一方、一般式(1)で表されるDBS類100重量部に対して、添加剤(A)のアミノ酸の少なくとも1種又は添加剤(B)のアミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種の添加量が50重量部を越える場合、又は、添加剤(A)の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種又は添加剤(B)の脂肪酸の少なくとも1種の添加量が100重量部を越える場合には、味及び臭気移行性の抑制効果はあるものの、樹脂に添加した場合に成形物からブリードしたり、成形物の透明性が低下する等の問題を起こす傾向がある。
酸化防止剤
更に、本発明の上記DBS類と添加剤(A)又は添加剤(B)からなる本発明核剤に対して、酸化防止剤を添加することにより、本発明核剤の貯蔵安定性、特に高温条件下に貯蔵した場合の貯蔵安定性が著しく向上する。即ち、このような貯蔵安定性が一段と向上した本発明ジベンジリデンソルビトール核剤は、本発明の添加剤(A)又は添加剤(B)とDBS類とからなる核剤100重量部に対し、酸化防止剤0.01〜5重量部を添加してなることを特徴とする。
かかる酸化防止剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(1995年1月)に記載されている各種安定剤が挙げられ、より具体的には、フェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物及びイオウ系化合物等が例示され、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて適用される。
酸化防止剤の中でも、特に熱に対する一次酸化防止剤として有効なフェノール系酸化防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]及び3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が例示され、中でもテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが推奨される。
本発明に係る酸化防止剤の好ましい添加量は、添加剤(A)又は添加剤(B)とDBS類とからなる核剤100重量部に対して、0.01〜4重量部、特に、0.01〜3重量部の範囲である。
本発明のジベンジリデンソルビトール核剤
本発明のジベンジリデンソルビトール核剤は、前記一般式(1)で表されるDBS類に対して、上記添加剤(A)又は添加剤(B)及び必要に応じて上記酸化防止剤を添加することにより製造される。
本発明に係る添加剤(A)又は添加剤(B)、又は酸化防止剤の添加方法としては、特に限定されるものではないが、(a)従来から慣用されている各種の方法(例えば、特開平2−231488号に記載の方法)に従って、ソルビトールと相当するベンズアルデヒド類より一般式(1)で表されるDBS類を製造する過程で添加する方法、(b)一般式(1)で表されるDBS類にヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー等のミキサーを用いて粉末混合する方法、(c)メタノール、エタノール等の炭素数1〜3程度のアルコール類や水等を分散媒とした一般式(1)で表されるDBS類のスラリー中に、上記添加剤(A)又は(B)及び必要に応じて酸化防止剤を、そのまま或いはメタノール、エタノール等の炭素数1〜3程度のアルコール類や水等の溶媒に溶かした溶液の形で、前記所定量添加して混合し、その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
上記(a)の方法に関して、ソルビトールとベンズアルデヒド類とのジアセタール化反応により一般式(1)で表されるDBS類が生成した時点以降で、上記添加剤(A)又は(B)及び必要に応じて酸化防止剤を上記所定量添加するのが好ましい。
また、上記(c)の方法に関して、DBS類のスラリーの濃度としては特に限定されないが、一般には、10〜60重量%程度とするのが好ましい。また、該スラリーの温度も広い範囲から選択できるが、一般には、20〜100℃とするのが好ましい。
かくして得られた添加剤(A)もしくは添加剤(B)、及び必要に応じて酸化防止剤を含むDBS類からなる本発明核剤は、樹脂添加剤として用いた場合に熱履歴によるアルデヒド類の発生、性能低下の極めて少ない新規有用なものである。また、本発明核剤は、酸化防止剤を含む場合、貯蔵安定性が著しく向上する。
ポリオレフィン系樹脂組成物
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記本発明の安定化されたDBS類をポリオレフィン系樹脂に常法に従って配合することにより得られる。
本発明のジベンジリデンソルビトール核剤のポリオレフィン系樹脂に対する配合量は、所定の効果が得られる限り特に限定されるものではなく、広い範囲から適宜選択することができるが、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、0.05〜3重量部程度、好ましくは0.07〜1重量部程度配合される。これらの範囲内で配合することにより充分に本発明の効果を得ることができる。
ポリオレフィン系樹脂に対するDBS類の添加方法としては、慣用されている装置、例えば、一軸又は二軸押し出し機を用いる直接添加法が好ましいが、これに限定されるわけではない。また、例えば、2〜15重量%程度の高濃度マスターバッチの形態による添加法を採用しても何ら差し支えない。
本発明に係るポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂が例示され、より具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、エチレン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン50重量%以上(特に70重量%以上)のプロピレンコポリマー、ブテンホモポリマー、ブテン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のブテンコポリマー、メチルペンテンホモポリマー、メチルペンテン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のメチルペンテンコポリマー、ポリブタジエン等が例示される。
上記コポリマーはランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。これらの樹脂に立体規則性がある場合は、アイソタクチックでもシンジオタクチックでもよい。
上記コポリマーを構成し得るコモノマーとして、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等のα−オレフィン、1,4−エンドメチレンシクロヘキセン等のビシクロ型モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等が例示できる。
かかる重合体を製造するために適用される触媒としては、一般に使用されているチーグラー・ナッタ型触媒はもちろん、遷移金属化合物(例えば、三塩化チタン、四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物)を塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウムを主成分とする担体に担持してなる触媒と、アルキルアルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等)とを組み合わせてなる触媒系やメタロセン触媒も使用できる。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂の推奨されるメルトフローレート(以下「MFR」と略記する。JIS K 7210−1976)は、その適用する成形方法により適宜選択されるが、通常、0.01〜200g/10分、好ましくは0.05〜100g/10分である。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物には、使用目的やその用途に応じて適宜、従来公知のポリオレフィン用改質剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
かかるポリオレフィン用改質剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(1995年1月)に記載されている各種添加剤が挙げられ、より具体的には、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等)、酸化防止剤(フェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イオウ系化合物)、界面活性剤、滑剤(パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22の高級脂肪酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の高級脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体等)、充填剤(タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、ゼオライト、パーライト、珪藻土、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、発泡剤、発砲助剤、ポリマー添加剤の他、可塑剤(ジアルキルフタレート、ジアルキルヘキサヒドロフタレート等)、架橋剤、架橋促進剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、有機無機の顔料、加工助剤、他の核剤等の各種添加剤が例示される。
かくして得られる本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、熱成形加工時のアルデヒドの発生並びに最終成形品中のアルデヒド臭気及び味移行性が抑制され、かつ透明性等の性能に優れた新規有用なポリオレフィン系樹脂組成物である。
ポリオレフィン系樹脂成形体
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、上記本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を慣用されている成形法に従って成形することにより得られる。本発明に係る樹脂組成物を成形するに際しては、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれをも採用できる。成形条件としては、従来採用されている条件が広い範囲から適宜選択できる。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、従来、DBS類を核剤として配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物が用いられてきたのと同様の分野において適用され、成形体とされる。
より具体的には、熱や放射線等により滅菌されるディスポーザブル注射器、輸液・輸血セット、採血器具等の医療用器具類;放射線等により滅菌される食品・植物等の包装物;衣料ケースや衣料保存用コンテナ等の各種ケース類;食品を熱充填するためのカップ、レトルト食品の包装容器;電子レンジ用容器;ジュース、茶等の飲料用、化粧品用、医薬品用、シャンプー用等の缶、ビン等の容器;味噌、醤油等の調味料用容器及びキャップ;水、米、パン、漬物等の食品用ケース及び容器;冷蔵庫用ケース等の雑貨;文具;電気・機械部品;自動車用部品等の素材として好適である。
従来のDBS類を含有する樹脂組成物から成形された成形体に比し、上記本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、熱成形加工時のアルデヒド類の発生が抑制されるため、成形加工時に臭気の発生が少ない。
また、本発明成形体は、アルデヒド類の量が大幅に低減されているため、アルデヒド類に起因する臭気及び味移行性が低減されている。しかも、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、透明性にも優れている。
従って、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、食品包装材及び食品容器、化粧品容器等の分野で有利に使用することができる。
実施例
以下、実施例及び比較例を掲げ、本発明を詳しく説明する。
実施例A:本発明ジベンジリデンソルビトール核剤の製造
1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(以下「Me−DBS」と略記する。)をメタノール(Me−DBSの6倍重量)中で攪拌して分散させながら、表1の実施例1〜9の項に記載のアミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を、表1の実施例1〜9の項に記載の量で、脱イオン水(Me−DBSの4倍重量)に溶解した溶液を添加した。
得られた分散溶液を加熱し、還流条件下、1時間攪拌して、白色ペースト状の混合物を得た。次いで、メタノール及び脱イオン水を減圧下で除去し、乾燥装置として真空乾燥機を用い、圧力1333Pa、温度80℃の条件下で、2時間乾燥させて粉末状の試料を得た。
実施例1〜9
エチレン含有量3.0重量%のアイソタクチックランダムポリプロピレン樹脂(MFR=20g/10分、以下「r−PP」と略記する。)100重量部に対して、前記実施例Aで製造されたアミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩及びMe−DBSからなる核剤0.2重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)0.05重量部およびステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、樹脂温度240℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。
得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価した。得られた結果を表1に示す。
<乾式法によるペレットの臭気評価>
ペレット60gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽に2時間放置し、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
次に、上記で得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、試験片を調製した。得られた射出成形品を用いて、以下の方法により結晶化温度(Tc)、ヘイズ値を測定した。得られた結果を表1に示す。
<結晶化温度(Tc)の測定方法>
示差走査熱量計(商品名「DSC7」、パーキン−エルマー(PERKIN−ELMER)社製)を用いて、JIS K7121に準じて測定した。Tcが高い程、結晶化速度が速く、成形サイクルの短縮が可能である。
<ヘイズ値の測定方法>
東洋精機製作所製のヘイズメータを用いて、JIS K6714、JIS K6717に準じて測定した。得られた数値が小さい程、透明性に優れている。
次に、得られた射出成形品の臭気評価を以下の乾式法、湿式法にて評価した。得られた結果を表1に示す。
<乾式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽に2時間放置し、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
<湿式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽中に2時間放置し、冷却後10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
比較例1
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例10
DBS類として、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール(以下「DBS」と略記する。)を用いた以外は実施例5と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例2
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は、実施例10と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例11
DBS類として、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール(以下「Et−DBS」と略記する。)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例3
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例11と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例12
DBS類として、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(以下「3,4−DMBS」と略記する。)を用いた以外は、実施例7と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例4
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例12と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例5
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を配合しない以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例13
樹脂としてアイソタクチックホモポリプロピレン樹脂(MFR=30g/10分、以下「h−PP」と略記する。)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例6
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は、実施例13と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例7
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を配合しない以外は実施例13と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例14
表1に記載のアミノ酸、脂肪酸アルカリ金属塩及びMe−DBSをそれぞれ表1に記載の割合で用いる以外は実施例Aと同様にして本発明のジベンジリデンソルビトール核剤を調製した。
得られた本発明のジベンジリデンソルビトール核剤0.2重量部を、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度=0.926g/cm3、MFR=20g/10分、以下「LLDPE」と略記する。)100重量部に配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、200℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価した。得られた結果を表1に示す。
<乾式法によるペレットの臭気評価>
ペレット60gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽に2時間放置し、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
次に、得られたペレットを樹脂温度200℃、金型温度30℃の条件下で射出成形し、試験片を調製した。得られた射出成形品を用いて、実施例1〜9で採用した方法により結晶化温度(Tc)、ヘイズ値を測定した。得られた結果を表1に示す。
次に、得られた射出成形品の臭気評価を以下の乾式法にて評価した。得られた結果を表1に示す。
<乾式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽に2時間放置し、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
比較例8
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例14と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例9
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を配合しない以外は実施例14と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例15
樹脂として高密度ポリエチレン樹脂(密度=0.967g/cm3、MFR=6.7g/10分、以下「HDPE」と略記する。)を用いた以外は実施例14と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例10
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例15と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例11
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を配合しない以外は実施例15と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例16〜24
エチレン含有量3.0重量%のアイソタクチックランダムポリプロピレン樹脂(MFR=20g/10分、「r−PP」)100重量部に対して、表2に記載のMe−DBS、アミノ酸及びステアリン酸ナトリウムをそれぞれ所定量使用する以外は実施例Aと同様にして本発明核剤を得た。
得られた本発明核剤を、表2記載の重量部(Me−DBSの添加量がr−PP樹脂100重量部に対して0.2重量部となる量)で添加し、更に、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)0.05重量部およびステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで均一となるまで混合後、240℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。
次に、得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、試験片を調製した。
得られた試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽中に2時間放置し、冷却した水溶液を評価用サンプルとして、以下の方法によりアルデヒド発生量の測定と味覚評価をした。得られた結果を表2に示す。
<射出成形品のアルデヒド発生量測定>
高速液体クロマトグラフィーを用いて、評価用サンプルのアルデヒド含有量を定量した。アルデヒド量は、μg/PPg、即ち、試験片1g当たりのマイクログラム数で表す。
<射出成形品の味覚評価>
評価用サンプル10mlをガラス製のコップに入れ、10名のパネラーにより味覚評価を行った。判定基準は、以下の方法により調製した味覚評価用比較サンプルの味覚と比較して、0ポイント=全く違わない、1ポイント=わずかに違う、2ポイント=はっきり違うとし、10名のポイント合計値で表した。
<味覚評価用比較サンプルの調製>
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例16と同様の操作により、得られた水溶液を味覚評価用比較サンプルとした。
比較例12
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例16と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例13
アミノ酸を添加しない以外は実施例21と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例25
DBS類として、DBSを用いた以外は実施例19と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例14
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例25と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例26
DBS類として、Et−DBSを用いた以外は実施例16と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例15
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例26と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例27
DBS類として、3,4−DMBSを用いた以外は実施例18と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例28
DBS類として、3,4−DMBSを用いた以外は実施例21と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例16
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例27と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例29
樹脂としてh−PP(MFR=30g/10分)を用いた以外は実施例16と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例17
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は、実施例29と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例30
Me−DBS5gとステアリン酸0.45gをメタノール30g中で攪拌して分散させながら、グリシンナトリウム0.1gを脱イオン水20mlに溶解した溶液を添加した。得られた分散溶液を加熱し、還流条件下、1時間攪拌したものを乾燥して、試料を得た。
得られた試料を用いて、結晶化温度、ヘイズ値及び臭気評価を実施例1と同様の方法により評価し、アルデヒドの発生量及び味覚評価を実施例16と同様の方法により評価を行った結果、結晶化温度:128℃、ヘイズ値:10%、臭気評価:ペレット(乾式法)=7ポイント、射出成形品(乾式法)=6ポイント、射出成形品(湿式法)=6ポイント、アルデヒドの発生量:2.1μg/PPg、味覚評価:6ポイントであった。
実施例31
(a)フェノール系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.25gをメタノール30gに溶解した溶液をMe−DBS5gに加え、攪拌して分散させながら、L−ヒスチジン0.08gおよびステアリン酸ナトリウム0.185gを脱イオン水20mlに溶解した溶液を添加した。得られた分散溶液を加熱し、還流条件下、1時間攪拌したものを乾燥して、試料を得た。
得られた試料をガラス瓶中に密封した後、50℃の恒温槽中に1週間又は2週間放置し、貯蔵安定性試験を行った。続いて、下記の方法により貯蔵安定性試験前後の試料について黄色度の測定を行った。得られた結果を表3に示す。
(b)なお、酸化防止剤を添加しない以外は上記(a)と同様にして評価を行った。得られた結果を表3に示す。
<黄色度の測定方法>
試料4gにシクロヘキサン6gを加えてペースト状とし、分光測色計(商品名「CM−3500d」、ミノルタ株式会社製)を用いて測定した。得られた数値が小さい程、黄系の着色が少なく貯蔵安定性に優れている。
実施例32
(i)Me−DBS100重量部に対してL−ヒスチジン1重量部及びステアリン酸ナトリウム2重量部を使用する以外は実施例Aと同様にして本発明のジベンジリデンソルビトール核剤を得た。
(ii)エチレン含量3.0重量%のr−PP(MFR=20g/10分)100重量部に対して、上記(i)で得られた本発明のジベンジリデンソルビトール核剤0.2重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)0.05重量部およびステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで均一となるまで混合後、樹脂温度を240℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。
次に、得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、厚さ2mmの試験片を調製した。
(iii)上記(ii)で得られた試験片の黄色着色の程度と下記の比較用サンプルの黄色着色の程度とを目視観察したところ、両者の間には相違が認められなかった。
<比較用サンプルの調製>
上記(i)で得られた本発明のジベンジリデンソルビトール核剤に代えて、Me−DBSを使用する以外は上記(ii)と同様にして射出成形により調製された試験片(比較用サンプル)を得た。
実施例33
(1)アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を使用する代わりに、Me−DBS100重量部に対してL−ヒスチジンナトリウム1重量部及びステアリン酸1.8重量部を使用する以外は実施例Aと同様にして本発明のジベンジリデンソルビトール核剤を得た。
(2)上記(1)で得られた本発明のジベンジリデンソルビトール核剤を使用する以外は実施例32の(ii)と同様にして試験片を調製した。
(3)上記(2)で得られた試験片の黄色着色の程度と、実施例32の(iii)に記載の比較用サンプルの黄色着色の程度とを目視観察したところ、両者の間には相違が認められなかった。
比較例18
(a)アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を使用する代わりに、Me−DBS100重量部に対してL−ヒスチジンナトリウム1重量部を使用する以外は実施例Aと同様にして比較ジベンジリデンソルビトール核剤を得た。
(b)上記(a)で得られた比較ジベンジリデンソルビトール核剤を使用する以外は実施例32の(ii)と同様にして試験片を調製した。
(c)上記(b)で得られた試験片の黄色着色の程度と、実施例32の(iii)に記載の比較用サンプルの黄色着色の程度とを目視観察したところ、両者の間には明らかな相違が認められた。
産業上の利用可能性
一般式(1)で表されるDBS類に、本発明に従い(A)アミノ酸の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種、又は、(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種を、前記の特定量で添加することにより得られる本発明のジベンジリデンソルビトール核剤は、樹脂に配合して用いた場合における熱成形加工時並びに最終成形品中のアルデヒド類の発生が抑制され、臭気並びに味の移行性が大幅に低減され且つ透明性に優れるポリオレフィン系樹脂組成物(ペレット)及び成形体が得られる。
更に、本発明核剤に酸化防止剤を併用することにより、本発明核剤の貯蔵安定性が向上する。
本発明によれば、従来臭気や黄色着色により使用が制限される場合があった食品包装分野においても、樹脂組成物及び成形体の使用が制限されることなく使用できる。
本発明は、ジベンジリデンソルビトール核剤、該ジベンジリデンソルビトール核剤を含有する、透明性に優れ且つ熱成形加工時並びに最終成形品中の臭気及び味移行性が大幅に抑制されたポリオレフィン系樹脂組成物に関する。更に本発明は、かかるポリオレフィン系樹脂組成物を成形してなる成形体にも関する。
背景技術
ジベンジリデンソルビトール類は、ポリオレフィン系樹脂、特にエチレン、プロピレンのホモポリマー又はそれらを主成分とするコポリマーの核剤として有用な化合物である。特に透明性を向上させる効果に優れ、透明性が要求される各種容器等の成形品分野の樹脂添加剤として広く用いられている。
しかし、ジベンジリデンソルビトール類は、熱成形加工時に一部分解し、ジベンジリデンソルビトール類を構成するベンズアルデヒド類が遊離し、臭気が発生する。このために、最終成形品中にもアルデヒド臭が残存する場合があり、また、成形品に接触する食品等にアルデヒドの味が移行することもあるので、食品容器等の分野において、好まれない場合がある。
これまでにも上記問題点の改善のために様々な提案がなされている。例えば、ヒドロキシルアミン或いはフェニルヒドラジン類による処理(特開昭60−32791号、特開昭60−42385号)、非芳香族有機アミンの添加(特開昭62−4289号)、脂肪族金属塩及び乳酸金属塩等による表面処理(特開昭62−50355号)、脂肪族アミンの配合(特開平2−196841号)、ソルビン酸及び/又はソルビン酸カリウムの添加(特開平5−202055号)、アミノ酸アルカリ金属塩の添加(特開平9−286787号)等の方法が知られている。
しかしながら、上記従来技術においては、上記添加剤の添加によるポリオレフィン系樹脂成形体の黄色着色が発現する場合がある、臭気改善効果が不十分であり、食品包装容器等の分野において用途が限定される等の欠点があり、未だ上記問題点の解決には至っていないのが現状である。
発明の開示
本発明は、上記のポリオレフィン系樹脂成形体の黄色着色の発現を抑制すると共に、ジベンジリデンソルビトール類の不安定性に基づく上記問題点を解消し、成形加工時及び最終成形品中のアルデヒド類の発生量が大幅に抑制され、臭気及び味移行性が抑制された新規有用なポリオレフィン系樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、かかる現状に鑑み、上記問題点を解決すべく鋭意検討を行った結果、ジベンジリデンソルビトール類に対し、(A)アミノ酸の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種(以下「添加剤(A)」と略記する)、又は、(B)アミノ酸アルカリ金属塩の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種(以下「添加剤(B)」と略記する)を添加することにより、ペレット及び成形品中のアルデヒド類の発生量が大幅に抑制され、臭気及び味の移行性が抑制される効果が得られることを見い出した。
更に、本発明者の研究によれば、上記添加剤(A)又は添加剤(B)が添加された場合、ジベンジリデンソルビトール類の透明化剤としての機能を阻害することが懸念されたが、本発明核剤を使用しても成形品の透明性が殆ど損なわれないことも見出された。
本発明は、かかる知見に基づき、更に検討を加えて完成されたものである。
即ち、本発明は、次のジベンジリデンソルビトール核剤、ポリオレフィン系樹脂組成物及びポリオレフィン系樹脂成形体を提供するものである。
項1 一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部当たり、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部
を含有することを特徴とするジベンジリデンソルビトール核剤。
項2 アミノ酸が、一般式(2)
[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基、又は、1個又は2個の窒素原子を含む5〜6員の単環式複素環基もしくは該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基を表し、
R3及びR4で示される炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜2のアルキルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1個又は2個の置換基で置換されていてもよい。
また、R3及びR4の一方とアミノ基とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]
で表されるα−アミノ酸である上記項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項3 アミノ酸が、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、プロリン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、トリプトファン、リシン、トレオニン、メチオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ノルバリン及びα−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である上記項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項4 アミノ酸が、グリシン、L−アラニン、L−フェニルアラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−プロリン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−システイン、L−チロシン、L−アスパラギン、L−グルタミン、L−ノルバリン及びL−α−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である上記項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項5 炭素数8〜32の脂肪酸が、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸及びエルカ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項1に記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項6 一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部に対して、(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部を含有することを特徴とする上記項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項7 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである上記項6記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項8 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩が、ステアリン酸ナトリウム塩及びステアリン酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項6記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項9 更に、酸化防止剤を含有する上記項1〜8のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
項10 酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である上記項9記載のジベジリデンソルビトール核剤。
項11 (I)一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部当たり、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部
を含有するジベンジリデンソルビトール核剤、及び
(II)ポリオレフィン系樹脂
を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。
項12 ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、ジベンジリデンソルビトール核剤を0.05〜3重量部の量で含有する上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項13 アミノ酸が、一般式(2)
[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、
(a)水素原子、
(b)炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、
(c)炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、
(d)ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基、又は、
(e)1個又は2個の窒素原子を含む5〜6員の単環式複素環基もしくは該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基
を表し、
R3及びR4で示される上記(b)の炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜2のアルキルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1個又は2個の置換基で置換されていてもよい。
また、R3及びR4の一方とアミノ基とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]
で表されるα−アミノ酸である上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項14 アミノ酸が、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、プロリン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、トリプトファン、リシン、トレオニン、メチオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ノルバリン及びα−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項15 アミノ酸が、グリシン、L−アラニン、L−フェニルアラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−プロリン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−システイン、L−チロシン、L−アスパラギン、L−グルタミン、L−ノルバリン及びL−α−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項16 炭素数8〜32の脂肪酸が、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸及びエルカ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項17 一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部に対して、(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部を含有することを特徴とする上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項18 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである上記項17記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項19 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩が、ステアリン酸ナトリウム塩及びステアリン酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である上記項17記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項20 更に、酸化防止剤を含有する上記項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項21 酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である上記項20記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
項22 上記項11〜21のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を成形することにより得ることができるポリオレフィン系樹脂成形体。
項23 一般式
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類及びポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂組成物又はポリオレフィン系樹脂成形体からの臭気及び味の移行を抑制するための方法であって、上記一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類に、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部を添加することを特徴とする方法。
項24 一般式
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類及びポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂組成物又はポリオレフィン系樹脂成形体からの臭気及び味の移行を抑制するための
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部の使用。
発明の詳細な記載
ジベンジリデンソルビトール類
上記一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類(以下、「DBS類」という)において、R1及びR2で示される炭素数1〜8のアルキル基としては、直鎖又は分岐のもの、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−アミル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等を例示でき、これらのうちでも、特に炭素数1〜3のアルキル基が好ましい。また、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、直鎖又は分岐のもの、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基等を例示でき、これらのうちでも特に炭素数1〜3のアルコキシ基が好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子等を例示できる。
上記一般式(1)のDBS類の具体例としては、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール等の同種の置換又は非置換ベンジリデン基を有する化合物を例示できる。
更に、本発明で使用できるDBS類として、1,3−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロルベンジリデン−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(2,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(2,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−ベンジリデン−2,4−(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(3,4−ジメチルベンジリデン)−2,4−ベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチル−ベンジリデン−2,4−p−エチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−エチル−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール、1,3−p−メチル−ベンジリデン−2,4−p−クロルベンジリデンソルビトール、1,3−p−クロル−ベンジリデン−2,4−p−メチルベンジリデンソルビトール等の異種の非置換又は置換ベンジリデン基を有する化合物等が例示される。
本発明において、上記一般式(1)で表されるDBS類は、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
上記一般式(1)で表されるDBS類の中でも、特に次の化合物が好ましい:
・m及びnが0である一般式(1)で表される化合物、
・R1及びR2が炭素数1〜3のアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基等)であり、m及びnが1又は2である一般式(1)で表される化合物。
また、本発明の範囲には日本国特許2111253号及び日本国特許第2826152号に記載のベンジリデンソルビトール組成物が含まれる。
アミノ酸及びそのアルカリ金属塩
本発明で使用するアミノ酸は、分子内に1個以上のカルボキシル基と1個以上のアミノ基を同時に有する化合物を広く総称するものであって、タンパク質を構成するα−アミノ酸(アミノ基とカルボキシル基が同一炭素原子に結合しているもの)を筆頭に一般に極めて安全性に優れていることが知られているものであり、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて適用される。また、これらアミノ酸に不斉炭素が存在する場合、光学異性体単独或いは2以上の光学異性体の混合物(例えばラセミ混合物)のいずれも使用できる。
これらアミノ酸のうちでも、下記一般式(2)
[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、
(a)水素原子、
(b)炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、
(c)炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、
(d)ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基、又は、
(e)1個又は2個の窒素原子を含む5〜6員の単環式複素環基又は該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基
を表し、
R3及びR4で示される上記(b)の炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜2のアルキルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。
また、R3及びR4の一方とアミノ基(即ち、R3及びR4が結合している炭素原子に結合しているアミノ基)とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]
で表されるα−アミノ酸が推奨される。
上記炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、n−アミル、イソアミル、n−ヘキシル等を例示でき、これらのうちでも、特に炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基としては、例えば、アリル、2−ブテニル、3−ブテニル、2−ペンテニル、3−メチル−3−ブテニル等が例示でき、特に炭素数3〜5のアルケニル基が好ましい。
ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基としては、ベンゼン環上に水酸基を1〜2個有するベンジル基が挙げられ、特に、4−ヒドロキシベンジル基、3,4−ジヒドロキシベンジル基)等を例示できる。
また、窒素原子1〜2個を含む5〜6員の単環式複素環基又は該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基としては、該炭素数1〜2のアルキル基がメチル基であるものが好ましく、例えば、4−イミダゾリルメチル基、3−インドリルメチル基等を例示できる。
水酸基を有していてもよいピロリジン環としては、水酸基を1個又は2個有していてもよいピロリジン環が例示できる。
上記アミノ酸のうちでも、特に、上記一般式(2)[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、水素原子、炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、ベンゼン環上に水酸基を1個有していてもよいベンジル基、4−イミダゾリルメチル基又は3−インドリルメチル基を表し、R3及びR4で示される炭素数1〜4の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、メチルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1〜2個の置換基で置換されていてもよい。また、R3及びR4の一方とアミノ基とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を1個有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]で表されるアミノ酸がより好ましい。
上記アミノ酸のうちでも、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、プロリン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、トリプトファン、リシン、トレオニン、メチオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ノルバリン及びα−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のα−アミノ酸が好ましい。
特に、上記のようなα−アミノ酸の中でも、特に、(1)グリシン、L−アラニン、L−フェニルアラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−プロリン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−システイン及びL−チロシンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく、更に、(2)L−アスパラギン、L−グルタミン、L−ノルバリン及びL−α−アミノ酪酸からなる群から選択される少なくとも1種も好ましい。
また、本発明において使用する上記のようなアミノ酸のアルカリ金属塩において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム等が挙げられ、中でもナトリウム、カリウムが最も好ましい。これらアミノ酸のアルカリ金属塩も1種単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明で使用するアミノ酸及びそのアルカリ金属塩は、いずれも、公知であるか又は従来から慣用されている合成法、例えば、カーク−オスマー エンサイクロペディア オブ ケミカル テクノロジー(Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology)第4版第2巻第504〜570頁に記載の方法等に従って、容易に製造できる。
脂肪酸及びそのアルカリ金属塩
本発明で使用する炭素数8〜32の脂肪酸としては、飽和又は不飽和のものがいずれも使用でき、特に、炭素数8〜22の飽和又は不飽和脂肪酸が好ましい。具体的には、飽和脂肪酸であるオクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸等、並びに、不飽和脂肪酸であるオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸、エルカ酸等が例示される。これら脂肪酸は、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
本発明で使用する上記炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩において、アルカリ金属としては、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウムが挙げられ、中でもナトリウム、カリウムが最も好ましい。これら脂肪酸のアルカリ金属塩も、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて使用される。
添加剤(A)及び添加剤(B)
本発明においては、既述のように、上記アミノ酸の少なくとも1種及び上記炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種(添加剤(A))、又は、上記アミノ酸アルカリ金属塩の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種(添加剤(B))を使用する。
本発明に係る添加剤(A)の各成分の使用量については、一般式(1)で表されるDBS類100重量部に対して、アミノ酸の少なくとも1種を0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜30重量部、より好ましくは0.3〜10重量部の割合で使用し、炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種を0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜80重量部、より好ましくは0.3〜60重量部の割合で使用することが推奨される。
同様に、本発明に係る添加剤(B)の各成分の使用量については、一般式(1)で表されるDBS類100重量部に対して、アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種を0.1〜50重量部、好ましくは0.2〜30重量部、より好ましくは0.3〜10重量部の割合で使用し、炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種を0.1〜100重量部、好ましくは0.2〜80重量部、より好ましくは0.3〜60重量部の割合で使用することが推奨される。
一般式(1)で表されるDBS類100重量部に対して、添加剤(A)のアミノ酸の少なくとも1種及び上記炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種、又は、添加剤(B)のアミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種の添加量が、共に0.1重量部未満の場合には、所定の効果が得られにくい。
一方、一般式(1)で表されるDBS類100重量部に対して、添加剤(A)のアミノ酸の少なくとも1種又は添加剤(B)のアミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種の添加量が50重量部を越える場合、又は、添加剤(A)の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種又は添加剤(B)の脂肪酸の少なくとも1種の添加量が100重量部を越える場合には、味及び臭気移行性の抑制効果はあるものの、樹脂に添加した場合に成形物からブリードしたり、成形物の透明性が低下する等の問題を起こす傾向がある。
酸化防止剤
更に、本発明の上記DBS類と添加剤(A)又は添加剤(B)からなる本発明核剤に対して、酸化防止剤を添加することにより、本発明核剤の貯蔵安定性、特に高温条件下に貯蔵した場合の貯蔵安定性が著しく向上する。即ち、このような貯蔵安定性が一段と向上した本発明ジベンジリデンソルビトール核剤は、本発明の添加剤(A)又は添加剤(B)とDBS類とからなる核剤100重量部に対し、酸化防止剤0.01〜5重量部を添加してなることを特徴とする。
かかる酸化防止剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(1995年1月)に記載されている各種安定剤が挙げられ、より具体的には、フェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物及びイオウ系化合物等が例示され、夫々単独で又は2種以上を適宜組み合わせて適用される。
酸化防止剤の中でも、特に熱に対する一次酸化防止剤として有効なフェノール系酸化防止剤である2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート]及び3,9−ビス{2−[3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]−1,1−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン等が例示され、中でもテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが推奨される。
本発明に係る酸化防止剤の好ましい添加量は、添加剤(A)又は添加剤(B)とDBS類とからなる核剤100重量部に対して、0.01〜4重量部、特に、0.01〜3重量部の範囲である。
本発明のジベンジリデンソルビトール核剤
本発明のジベンジリデンソルビトール核剤は、前記一般式(1)で表されるDBS類に対して、上記添加剤(A)又は添加剤(B)及び必要に応じて上記酸化防止剤を添加することにより製造される。
本発明に係る添加剤(A)又は添加剤(B)、又は酸化防止剤の添加方法としては、特に限定されるものではないが、(a)従来から慣用されている各種の方法(例えば、特開平2−231488号に記載の方法)に従って、ソルビトールと相当するベンズアルデヒド類より一般式(1)で表されるDBS類を製造する過程で添加する方法、(b)一般式(1)で表されるDBS類にヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー等のミキサーを用いて粉末混合する方法、(c)メタノール、エタノール等の炭素数1〜3程度のアルコール類や水等を分散媒とした一般式(1)で表されるDBS類のスラリー中に、上記添加剤(A)又は(B)及び必要に応じて酸化防止剤を、そのまま或いはメタノール、エタノール等の炭素数1〜3程度のアルコール類や水等の溶媒に溶かした溶液の形で、前記所定量添加して混合し、その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
上記(a)の方法に関して、ソルビトールとベンズアルデヒド類とのジアセタール化反応により一般式(1)で表されるDBS類が生成した時点以降で、上記添加剤(A)又は(B)及び必要に応じて酸化防止剤を上記所定量添加するのが好ましい。
また、上記(c)の方法に関して、DBS類のスラリーの濃度としては特に限定されないが、一般には、10〜60重量%程度とするのが好ましい。また、該スラリーの温度も広い範囲から選択できるが、一般には、20〜100℃とするのが好ましい。
かくして得られた添加剤(A)もしくは添加剤(B)、及び必要に応じて酸化防止剤を含むDBS類からなる本発明核剤は、樹脂添加剤として用いた場合に熱履歴によるアルデヒド類の発生、性能低下の極めて少ない新規有用なものである。また、本発明核剤は、酸化防止剤を含む場合、貯蔵安定性が著しく向上する。
ポリオレフィン系樹脂組成物
本発明のポリオレフィン系樹脂組成物は、上記本発明の安定化されたDBS類をポリオレフィン系樹脂に常法に従って配合することにより得られる。
本発明のジベンジリデンソルビトール核剤のポリオレフィン系樹脂に対する配合量は、所定の効果が得られる限り特に限定されるものではなく、広い範囲から適宜選択することができるが、通常、ポリオレフィン系樹脂100重量部当たり、0.05〜3重量部程度、好ましくは0.07〜1重量部程度配合される。これらの範囲内で配合することにより充分に本発明の効果を得ることができる。
ポリオレフィン系樹脂に対するDBS類の添加方法としては、慣用されている装置、例えば、一軸又は二軸押し出し機を用いる直接添加法が好ましいが、これに限定されるわけではない。また、例えば、2〜15重量%程度の高濃度マスターバッチの形態による添加法を採用しても何ら差し支えない。
本発明に係るポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂が例示され、より具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、エチレン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン50重量%以上(特に70重量%以上)のプロピレンコポリマー、ブテンホモポリマー、ブテン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のブテンコポリマー、メチルペンテンホモポリマー、メチルペンテン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のメチルペンテンコポリマー、ポリブタジエン等が例示される。
上記コポリマーはランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。これらの樹脂に立体規則性がある場合は、アイソタクチックでもシンジオタクチックでもよい。
上記コポリマーを構成し得るコモノマーとして、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等のα−オレフィン、1,4−エンドメチレンシクロヘキセン等のビシクロ型モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等が例示できる。
かかる重合体を製造するために適用される触媒としては、一般に使用されているチーグラー・ナッタ型触媒はもちろん、遷移金属化合物(例えば、三塩化チタン、四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物)を塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウムを主成分とする担体に担持してなる触媒と、アルキルアルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等)とを組み合わせてなる触媒系やメタロセン触媒も使用できる。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂の推奨されるメルトフローレート(以下「MFR」と略記する。JIS K 7210−1976)は、その適用する成形方法により適宜選択されるが、通常、0.01〜200g/10分、好ましくは0.05〜100g/10分である。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物には、使用目的やその用途に応じて適宜、従来公知のポリオレフィン用改質剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
かかるポリオレフィン用改質剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(1995年1月)に記載されている各種添加剤が挙げられ、より具体的には、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等)、酸化防止剤(フェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イオウ系化合物)、界面活性剤、滑剤(パラフィン、ワックス等の脂肪族炭化水素、炭素数8〜22の高級脂肪酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の高級脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪酸アマイド、シリコーン油、ロジン誘導体等)、充填剤(タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、ゼオライト、パーライト、珪藻土、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、発泡剤、発砲助剤、ポリマー添加剤の他、可塑剤(ジアルキルフタレート、ジアルキルヘキサヒドロフタレート等)、架橋剤、架橋促進剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、有機無機の顔料、加工助剤、他の核剤等の各種添加剤が例示される。
かくして得られる本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、熱成形加工時のアルデヒドの発生並びに最終成形品中のアルデヒド臭気及び味移行性が抑制され、かつ透明性等の性能に優れた新規有用なポリオレフィン系樹脂組成物である。
ポリオレフィン系樹脂成形体
本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、上記本発明のポリオレフィン系樹脂組成物を慣用されている成形法に従って成形することにより得られる。本発明に係る樹脂組成物を成形するに際しては、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれをも採用できる。成形条件としては、従来採用されている条件が広い範囲から適宜選択できる。
本発明に係るポリオレフィン系樹脂組成物は、従来、DBS類を核剤として配合してなるポリオレフィン系樹脂組成物が用いられてきたのと同様の分野において適用され、成形体とされる。
より具体的には、熱や放射線等により滅菌されるディスポーザブル注射器、輸液・輸血セット、採血器具等の医療用器具類;放射線等により滅菌される食品・植物等の包装物;衣料ケースや衣料保存用コンテナ等の各種ケース類;食品を熱充填するためのカップ、レトルト食品の包装容器;電子レンジ用容器;ジュース、茶等の飲料用、化粧品用、医薬品用、シャンプー用等の缶、ビン等の容器;味噌、醤油等の調味料用容器及びキャップ;水、米、パン、漬物等の食品用ケース及び容器;冷蔵庫用ケース等の雑貨;文具;電気・機械部品;自動車用部品等の素材として好適である。
従来のDBS類を含有する樹脂組成物から成形された成形体に比し、上記本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、熱成形加工時のアルデヒド類の発生が抑制されるため、成形加工時に臭気の発生が少ない。
また、本発明成形体は、アルデヒド類の量が大幅に低減されているため、アルデヒド類に起因する臭気及び味移行性が低減されている。しかも、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、透明性にも優れている。
従って、本発明のポリオレフィン系樹脂成形体は、食品包装材及び食品容器、化粧品容器等の分野で有利に使用することができる。
実施例
以下、実施例及び比較例を掲げ、本発明を詳しく説明する。
実施例A:本発明ジベンジリデンソルビトール核剤の製造
1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(以下「Me−DBS」と略記する。)をメタノール(Me−DBSの6倍重量)中で攪拌して分散させながら、表1の実施例1〜9の項に記載のアミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を、表1の実施例1〜9の項に記載の量で、脱イオン水(Me−DBSの4倍重量)に溶解した溶液を添加した。
得られた分散溶液を加熱し、還流条件下、1時間攪拌して、白色ペースト状の混合物を得た。次いで、メタノール及び脱イオン水を減圧下で除去し、乾燥装置として真空乾燥機を用い、圧力1333Pa、温度80℃の条件下で、2時間乾燥させて粉末状の試料を得た。
実施例1〜9
エチレン含有量3.0重量%のアイソタクチックランダムポリプロピレン樹脂(MFR=20g/10分、以下「r−PP」と略記する。)100重量部に対して、前記実施例Aで製造されたアミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩及びMe−DBSからなる核剤0.2重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)0.05重量部およびステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、樹脂温度240℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。
得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価した。得られた結果を表1に示す。
<乾式法によるペレットの臭気評価>
ペレット60gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽に2時間放置し、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
次に、上記で得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、試験片を調製した。得られた射出成形品を用いて、以下の方法により結晶化温度(Tc)、ヘイズ値を測定した。得られた結果を表1に示す。
<結晶化温度(Tc)の測定方法>
示差走査熱量計(商品名「DSC7」、パーキン−エルマー(PERKIN−ELMER)社製)を用いて、JIS K7121に準じて測定した。Tcが高い程、結晶化速度が速く、成形サイクルの短縮が可能である。
<ヘイズ値の測定方法>
東洋精機製作所製のヘイズメータを用いて、JIS K6714、JIS K6717に準じて測定した。得られた数値が小さい程、透明性に優れている。
次に、得られた射出成形品の臭気評価を以下の乾式法、湿式法にて評価した。得られた結果を表1に示す。
<乾式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽に2時間放置し、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
<湿式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽中に2時間放置し、冷却後10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
比較例1
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例10
DBS類として、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール(以下「DBS」と略記する。)を用いた以外は実施例5と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例2
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は、実施例10と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例11
DBS類として、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール(以下「Et−DBS」と略記する。)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例3
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例11と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例12
DBS類として、1,3:2,4−ビス(3,4−ジメチルベンジリデン)ソルビトール(以下「3,4−DMBS」と略記する。)を用いた以外は、実施例7と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例4
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例12と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例5
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を配合しない以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例13
樹脂としてアイソタクチックホモポリプロピレン樹脂(MFR=30g/10分、以下「h−PP」と略記する。)を用いた以外は実施例1と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例6
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は、実施例13と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例7
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を配合しない以外は実施例13と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例14
表1に記載のアミノ酸、脂肪酸アルカリ金属塩及びMe−DBSをそれぞれ表1に記載の割合で用いる以外は実施例Aと同様にして本発明のジベンジリデンソルビトール核剤を調製した。
得られた本発明のジベンジリデンソルビトール核剤0.2重量部を、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度=0.926g/cm3、MFR=20g/10分、以下「LLDPE」と略記する。)100重量部に配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、200℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価した。得られた結果を表1に示す。
<乾式法によるペレットの臭気評価>
ペレット60gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽に2時間放置し、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
次に、得られたペレットを樹脂温度200℃、金型温度30℃の条件下で射出成形し、試験片を調製した。得られた射出成形品を用いて、実施例1〜9で採用した方法により結晶化温度(Tc)、ヘイズ値を測定した。得られた結果を表1に示す。
次に、得られた射出成形品の臭気評価を以下の乾式法にて評価した。得られた結果を表1に示す。
<乾式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽に2時間放置し、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=全く臭わない、1ポイント=わずかに臭う、2ポイント=はっきり臭う、3ポイント=激しく臭うとし、10名のポイント合計値で評価した。
比較例8
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例14と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例9
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を配合しない以外は実施例14と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例15
樹脂として高密度ポリエチレン樹脂(密度=0.967g/cm3、MFR=6.7g/10分、以下「HDPE」と略記する。)を用いた以外は実施例14と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例10
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例15と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
比較例11
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を配合しない以外は実施例15と同様にして評価を行った。得られた結果を表1に示す。
実施例16〜24
エチレン含有量3.0重量%のアイソタクチックランダムポリプロピレン樹脂(MFR=20g/10分、「r−PP」)100重量部に対して、表2に記載のMe−DBS、アミノ酸及びステアリン酸ナトリウムをそれぞれ所定量使用する以外は実施例Aと同様にして本発明核剤を得た。
得られた本発明核剤を、表2記載の重量部(Me−DBSの添加量がr−PP樹脂100重量部に対して0.2重量部となる量)で添加し、更に、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)0.05重量部およびステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで均一となるまで混合後、240℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。
次に、得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、試験片を調製した。
得られた試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽中に2時間放置し、冷却した水溶液を評価用サンプルとして、以下の方法によりアルデヒド発生量の測定と味覚評価をした。得られた結果を表2に示す。
<射出成形品のアルデヒド発生量測定>
高速液体クロマトグラフィーを用いて、評価用サンプルのアルデヒド含有量を定量した。アルデヒド量は、μg/PPg、即ち、試験片1g当たりのマイクログラム数で表す。
<射出成形品の味覚評価>
評価用サンプル10mlをガラス製のコップに入れ、10名のパネラーにより味覚評価を行った。判定基準は、以下の方法により調製した味覚評価用比較サンプルの味覚と比較して、0ポイント=全く違わない、1ポイント=わずかに違う、2ポイント=はっきり違うとし、10名のポイント合計値で表した。
<味覚評価用比較サンプルの調製>
DBS類、アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例16と同様の操作により、得られた水溶液を味覚評価用比較サンプルとした。
比較例12
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例16と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例13
アミノ酸を添加しない以外は実施例21と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例25
DBS類として、DBSを用いた以外は実施例19と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例14
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例25と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例26
DBS類として、Et−DBSを用いた以外は実施例16と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例15
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例26と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例27
DBS類として、3,4−DMBSを用いた以外は実施例18と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例28
DBS類として、3,4−DMBSを用いた以外は実施例21と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例16
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は実施例27と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例29
樹脂としてh−PP(MFR=30g/10分)を用いた以外は実施例16と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
比較例17
アミノ酸および脂肪酸アルカリ金属塩を添加しない以外は、実施例29と同様にして評価を行った。得られた結果を表2に示す。
実施例30
Me−DBS5gとステアリン酸0.45gをメタノール30g中で攪拌して分散させながら、グリシンナトリウム0.1gを脱イオン水20mlに溶解した溶液を添加した。得られた分散溶液を加熱し、還流条件下、1時間攪拌したものを乾燥して、試料を得た。
得られた試料を用いて、結晶化温度、ヘイズ値及び臭気評価を実施例1と同様の方法により評価し、アルデヒドの発生量及び味覚評価を実施例16と同様の方法により評価を行った結果、結晶化温度:128℃、ヘイズ値:10%、臭気評価:ペレット(乾式法)=7ポイント、射出成形品(乾式法)=6ポイント、射出成形品(湿式法)=6ポイント、アルデヒドの発生量:2.1μg/PPg、味覚評価:6ポイントであった。
実施例31
(a)フェノール系酸化防止剤であるテトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン0.25gをメタノール30gに溶解した溶液をMe−DBS5gに加え、攪拌して分散させながら、L−ヒスチジン0.08gおよびステアリン酸ナトリウム0.185gを脱イオン水20mlに溶解した溶液を添加した。得られた分散溶液を加熱し、還流条件下、1時間攪拌したものを乾燥して、試料を得た。
得られた試料をガラス瓶中に密封した後、50℃の恒温槽中に1週間又は2週間放置し、貯蔵安定性試験を行った。続いて、下記の方法により貯蔵安定性試験前後の試料について黄色度の測定を行った。得られた結果を表3に示す。
(b)なお、酸化防止剤を添加しない以外は上記(a)と同様にして評価を行った。得られた結果を表3に示す。
<黄色度の測定方法>
試料4gにシクロヘキサン6gを加えてペースト状とし、分光測色計(商品名「CM−3500d」、ミノルタ株式会社製)を用いて測定した。得られた数値が小さい程、黄系の着色が少なく貯蔵安定性に優れている。
実施例32
(i)Me−DBS100重量部に対してL−ヒスチジン1重量部及びステアリン酸ナトリウム2重量部を使用する以外は実施例Aと同様にして本発明のジベンジリデンソルビトール核剤を得た。
(ii)エチレン含量3.0重量%のr−PP(MFR=20g/10分)100重量部に対して、上記(i)で得られた本発明のジベンジリデンソルビトール核剤0.2重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名「イルガノックス1010」、チバ・スペシャルティー・ケミカルズ社製)0.05重量部およびステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで均一となるまで混合後、樹脂温度を240℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。
次に、得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、厚さ2mmの試験片を調製した。
(iii)上記(ii)で得られた試験片の黄色着色の程度と下記の比較用サンプルの黄色着色の程度とを目視観察したところ、両者の間には相違が認められなかった。
<比較用サンプルの調製>
上記(i)で得られた本発明のジベンジリデンソルビトール核剤に代えて、Me−DBSを使用する以外は上記(ii)と同様にして射出成形により調製された試験片(比較用サンプル)を得た。
実施例33
(1)アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を使用する代わりに、Me−DBS100重量部に対してL−ヒスチジンナトリウム1重量部及びステアリン酸1.8重量部を使用する以外は実施例Aと同様にして本発明のジベンジリデンソルビトール核剤を得た。
(2)上記(1)で得られた本発明のジベンジリデンソルビトール核剤を使用する以外は実施例32の(ii)と同様にして試験片を調製した。
(3)上記(2)で得られた試験片の黄色着色の程度と、実施例32の(iii)に記載の比較用サンプルの黄色着色の程度とを目視観察したところ、両者の間には相違が認められなかった。
比較例18
(a)アミノ酸及び脂肪酸アルカリ金属塩を使用する代わりに、Me−DBS100重量部に対してL−ヒスチジンナトリウム1重量部を使用する以外は実施例Aと同様にして比較ジベンジリデンソルビトール核剤を得た。
(b)上記(a)で得られた比較ジベンジリデンソルビトール核剤を使用する以外は実施例32の(ii)と同様にして試験片を調製した。
(c)上記(b)で得られた試験片の黄色着色の程度と、実施例32の(iii)に記載の比較用サンプルの黄色着色の程度とを目視観察したところ、両者の間には明らかな相違が認められた。
産業上の利用可能性
一般式(1)で表されるDBS類に、本発明に従い(A)アミノ酸の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種、又は、(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種および炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種を、前記の特定量で添加することにより得られる本発明のジベンジリデンソルビトール核剤は、樹脂に配合して用いた場合における熱成形加工時並びに最終成形品中のアルデヒド類の発生が抑制され、臭気並びに味の移行性が大幅に低減され且つ透明性に優れるポリオレフィン系樹脂組成物(ペレット)及び成形体が得られる。
更に、本発明核剤に酸化防止剤を併用することにより、本発明核剤の貯蔵安定性が向上する。
本発明によれば、従来臭気や黄色着色により使用が制限される場合があった食品包装分野においても、樹脂組成物及び成形体の使用が制限されることなく使用できる。
Claims (24)
- 一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部当たり、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部
を含有することを特徴とするジベンジリデンソルビトール核剤。 - アミノ酸が、一般式(2)
[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、
(a)水素原子、
(b)炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、
(c)炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、
(d)ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基、又は、
(e)1個又は2個の窒素原子を含む5〜6員の単環式複素環基もしくは該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基
を表し、
R3及びR4で示される上記(b)の炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜2のアルキルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1個又は2個の置換基で置換されていてもよい。
また、R3及びR4の一方とアミノ基とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]
で表されるα−アミノ酸である請求項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。 - アミノ酸が、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、プロリン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、トリプトファン、リシン、トレオニン、メチオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ノルバリン及びα−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である請求項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
- アミノ酸が、グリシン、L−アラニン、L−フェニルアラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−プロリン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−システイン、L−チロシン、L−アスパラギン、L−グルタミン、L−ノルバリン及びL−α−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である請求項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
- 炭素数8〜32の脂肪酸が、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸及びエルカ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
- 一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部に対して、(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部を含有することを特徴とする請求項1記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
- 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである請求項6記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
- 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩が、ステアリン酸ナトリウム塩及びステアリン酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項6記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
- 更に、酸化防止剤を含有する請求項1に記載のジベンジリデンソルビトール核剤。
- 酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である請求項9記載のジベジリデンソルビトール核剤。
- (I)一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部当たり、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部
を含有するジベンジリデンソルビトール核剤、及び
(II)ポリオレフィン系樹脂
を含有することを特徴とするポリオレフィン系樹脂組成物。 - ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、ジベンジリデンソルビトール核剤を0.05〜3重量部の量で含有する請求項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- アミノ酸が、一般式(2)
[式中、R3及びR4は、同一又は異なって、それぞれ、
(a)水素原子、
(b)炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、
(c)炭素数2〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルケニル基、
(d)ベンゼン環上に水酸基を1個又は2個有していてもよいフェニル基で置換された炭素数1〜2のアルキル基、又は、
(e)1個又は2個の窒素原子を含む5〜6員の単環式複素環基もしくは該単環式複素環基とベンゼン環とが縮合した二環式複素環基で置換された炭素数1〜2のアルキル基
を表し、
R3及びR4で示される上記(b)の炭素数1〜6の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基は、炭素数1〜2のアルキルチオ基、水酸基、−SH、アミノ基、カルボキシル基、カルバモイル基、グアニジノ基及び−S−SCH2CH(NH2)−COOHからなる群から選ばれる1個又は2個の置換基で置換されていてもよい。
また、R3及びR4の一方とアミノ基とは、互いに結合してそれらが結合する炭素原子と共に、水酸基を有していてもよいピロリジン環を形成していてもよい。]
で表されるα−アミノ酸である請求項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。 - アミノ酸が、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、イソロイシン、バリン、ロイシン、プロリン、アルギニン、アスパラギン酸、シスチン、グルタミン酸、セリン、ヒスチジン、トリプトファン、リシン、トレオニン、メチオニン、システイン、チロシン、アスパラギン、グルタミン、ノルバリン及びα−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である請求項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- アミノ酸が、グリシン、L−アラニン、L−フェニルアラニン、L−イソロイシン、L−バリン、L−ロイシン、L−プロリン、L−アルギニン、L−アスパラギン酸、L−シスチン、L−グルタミン酸、L−セリン、L−ヒスチジン、L−トリプトファン、L−リシン、L−トレオニン、L−メチオニン、DL−メチオニン、L−システイン、L−チロシン、L−アスパラギン、L−グルタミン、L−ノルバリン及びL−α−アミノ酪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種のアミノ酸である請求項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 炭素数8〜32の脂肪酸が、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノレイン酸及びエルカ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類、及び該ジベンジリデンソルビトール類100重量部に対して、(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部を含有することを特徴とする請求項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩のアルカリ金属が、ナトリウム又はカリウムである請求項17記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩が、ステアリン酸ナトリウム塩及びステアリン酸カリウム塩からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項17記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 核剤組成物が、更に、酸化防止剤を含有する請求項11記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 酸化防止剤が、フェノール系酸化防止剤である請求項20記載のポリオレフィン系樹脂組成物。
- 請求項11〜21のいずれかに記載のポリオレフィン系樹脂組成物を成形することにより得ることができるポリオレフィン系樹脂成形体。
- 一般式
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類及びポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂組成物又はポリオレフィン系樹脂成形体からの臭気及び味の移行を抑制するための方法であって、上記一般式(1)で表されるジベンジリデンソルビトール類に、
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部を添加することを特徴とする方法。 - 一般式
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又はハロゲン原子を表す。m及びnは、それぞれ0〜3の整数を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類及びポリオレフィン系樹脂を含有するポリオレフィン系樹脂組成物又はポリオレフィン系樹脂成形体からの臭気及び味の移行を抑制するための
(A)アミノ酸の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸アルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜100重量部、又は
(B)アミノ酸のアルカリ金属塩の少なくとも1種0.1〜50重量部及び炭素数8〜32の脂肪酸の少なくとも1種0.1〜100重量部の使用。
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