JPWO2002040587A1 - ジベンジリデンソルビトール組成物及びそれを含むポリオレフィン樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
開示されているのは、一般式(1)[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]で表されるジベンジリデンソルビトール類及び香料、特に1気圧での沸点が150℃以上の香料、を含有するジベンジリデンソルビトール組成物、ポリオレフィン樹脂100重量部及び該ジベンジリデンソルビトール組成物0.05〜3重量部を含有するポリオレフィン樹脂組成物及び該樹脂組成物を成形して得られるポリオレフィン樹脂成形体である。該ポリオレフィン樹脂組成物及び成形体は、不快な臭気が抑制されている。
Description
技術分野
本発明は、新規有用なジベンジリデンソルビトール組成物(以下「DBS組成物」と略記する。)及び当該DBS組成物を含有する透明性に優れ、且つ成形加工時並びに最終成型品の臭気がマスキングされたポリオレフィン樹脂組成物に関する。
背景技術
ジベンジリデンソルビトール類(以下「DBS類」と略記する。)は、ポリオレフィン樹脂、特にエチレン、プロピレン等のホモポリマー又はそれらを主成分とするコポリマーの核剤として有用な化合物である。特に透明性を向上させる効果に優れ、透明性が要求される各種容器等の成形分野の樹脂添加剤として広く用いられている。
しかし、DBS類は、加熱して成形加工する際に一部分解してDBS類を構成するベンズアルデヒド類が遊離し、加工時に不快な臭気が発生するだけでなく、最終成形品中にもアルデヒド臭が残存し、臭気が問題となる化粧品や食品容器等の分野において好まれない場合がある。
これまでにも上記問題を解決するために、DBS類の熱安定性を向上させ、成形加工時に遊離するベンズアルデヒド類の量を低減させる種々の試みがなされてきた。例えば、ヒドロキシルアミン或いはフェニルヒドラジン類による処理(特開昭60−32791号、特開昭60−42385号)、非芳香族有機アミンの添加(特開昭62−4289号)、脂肪族金属塩及び乳酸金属塩等による表面処理(特開昭62−50355号)、脂肪族アミンの配合(特開平2−196841号)、ソルビン酸及び/又はソルビン酸カリウムの添加(特開平5−202055号)等の方法が挙げられるが、いずれの方法も臭気改善効果が不十分であった。そのため用途が限定される等の欠点を有し、未だ上記問題点の解決には至っていないのが現状である。
発明の開示
本発明は、最終成型品の十分な透明性を保持しつつ、臭気の改善されたポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討を行った結果、DBS類に対し、香料を添加することにより成形加工時に遊離するベンズアルデヒド類の不快な臭気がマスキングされ、所期の効果が得られることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係るジベンジリデンソルビトール組成物は、一般式(1)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるDBS類1種若しくは2種以上及び香料を含有し、要すれば更に香料の保留剤を含有することを特徴とする。
更に、本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、上記ジベンジリデンソルビトール組成物を0.05〜3重量部配合してなることを特徴とする。
より詳しくは、本発明は、次のジベンジリデンソルビトール組成物、該ジベンジリデンソルビトールを含有する樹脂組成物及び成形体を提供するものである。
1.一般式
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種及び香料の少なくとも1種を含有するジベンジリデンソルビトール組成物。
2 ジベンジリデンソルビトール類が、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール又は1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールである上記項1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
3 香料が、1気圧での沸点が150℃以上の香料である上記項1又は2に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
4 香料が、フェニルプロピルアルコール、アニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、シス−4−ヘプテナール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、メチルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、マルトール、エチルマルトール、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−5H−フラン−2−オン、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酪酸イソアミル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、サリシル酸アミル、サリシル酸イソアミル、フェニルプロピオン酸、γ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、ラブダナム油、バルサム油、アニス油及びバニラ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の香料である上記項1又は2に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
5 香料が、バニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、γ−ノナラクトン又はバニラ油である上記項1又は2に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
6 ジベンジリデンソルビトール類に対して、香料を1〜500ppm含有する上記項1〜5のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
7 香料の揮発を抑制する保留剤を更に含有する上記項1〜6のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
8 保留剤が、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル、又はセバシン酸ジエステルである上記項7記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
9 保留剤が、ジメチルシリコーンオイル又はメチルフェニルシリコーンオイルである上記項7記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
10 アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸アミド及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質(特に、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質)を更に含有する上記項7〜9のいずれか記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
11 (i)ポリオレフィン樹脂、
(ii)一般式(1)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種及び
(iii)香料の少なくとも1種
を含有するポリオレフィン樹脂組成物。
12 (I)上記(i)のポリオレフィン樹脂及び
(II)上記(ii)のジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種及び上記(iii)の香料の少なくとも1種を含有するジベンジリデンソルビトール組成物
を含有し、該ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ジベンジリデンソルビトール組成物が0.05〜3重量部使用されている上記項11に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
13 ジベンジリデンソルビトール類が、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール又は1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールである上記項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
14 香料が、1気圧での沸点が150℃以上の香料である上記項11〜13のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
15 香料が、フェニルプロピルアルコール、アニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、シス−4−ヘプテナール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、メチルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、マルトール、エチルマルトール、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−5H−フラン−2−オン、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酪酸イソアミル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、サリシル酸アミル、サリシル酸イソアミル、フェニルプロピオン酸、γ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、ラブダナム油、バルサム油、アニス油及びバニラ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の香料である上記項11〜14項のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
16 香料が、バニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、γ−ノナラクトン又はバニラ油である上記項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
17 ジベンジリデンソルビトール類に対して、香料を1〜500ppm含有する上記項11〜16のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
18 香料の揮発を抑制する保留剤を更に含有する上記項11〜17のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
19 保留剤が、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル又はセバシン酸ジエステルである上記項18に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
20 保留剤が、ジメチルシリコーンオイル又はメチルフェニルシリコーンオイルである上記項18に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
21 アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸アミド及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質(特に、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質)を更に含有する上記項18記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
22 上記項11〜21のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物を成形して得られるポリオレフィン樹脂成形体。
23 一般式(1)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種を含有する樹脂組成物又は樹脂成形体の不快な臭気を抑制する方法であって、該ジベンジリデンソルビトールの少なくとも1種に、
(a)香料の少なくとも1種、又は
(b)香料の少なくとも1種及び保留剤、又は
(c)香料の少なくとも1種、保留剤及び保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質
を添加することからなる方法。
24 一般式(1)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種を含有する樹脂組成物又は樹脂成形体の不快な臭気を抑制するための、(a)香料の少なくとも1種又は(b)香料の少なくとも1種及び保留剤、又は、(c)香料の少なくとも1種、保留剤及び保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質の使用。
発明の詳細な記載
以下に本発明について詳細に説明する。
DBS類
一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるDBS類において、置換基R1及びR2の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、特に限定されない。
炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が例示され、特にメチル基及びエチル基が推奨される。
また、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基等が例示される。
本発明に係る一般式(1)で表されるDBS類としては、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール及び一般式(2)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。但し、R1及びR2が水素原子である場合を除く。]
で表されるDBS類が例示される。これらは単独で又は2種以上混合して適宜使用される。また、本発明の範囲には、特公昭64−7611号記載のジベンジリデンソルビトール類が含まれる。本発明に係るDBS類としては、一般式(2)で表されるDBS類が好ましい。
かかるDBS類としては、具体的には1,3−(ベンジリデン)−2,4−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(p−メチルベンジリデン)−2,4−(ベンジリデン)ソルビトール、1,3−(ベンジリデン)−2,4−(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(o−メチルベンジリデン)−2,4−(ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール等が例示され、特に本発明は1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール及び1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールに対して効果的である。
これらDBS類に含まれる未反応ベンズアルデヒド類の量は、特に限定されるものではないが、多いと所定のマスキングの効果を得るために必要な香料の添加量が増し、樹脂成型体に香料の臭いが強く残ってしまい、不快感を与えてしまう傾向がある。従って、DBS類に含まれる未反応ベンズアルデヒド類の量としては、500ppm以下が推奨され、好ましくは200ppm以下である。
かかる未反応ベンズアルデヒド類の量が500ppm以下であるDBS類は、適当な方法、例えば、i)水又はメタノール、エタノール、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の有機溶媒による洗浄、ii)水及び水と共沸する前記溶媒の少なくとも1種を添加し、その後溶媒を留去する方法等により調製できる。
香料
本発明で使用する香料としては、未反応ベンズアルデヒド又は成形加工時の熱により発生したベンズアルデヒドの不快な臭気をマスキングする効果を有し、成形加工時の熱で分解しにくい香料であれば種々のものが使用できる。一般には、1気圧での沸点が150℃以上である香料が好ましい。沸点が150℃未満の場合は、成形加工時に揮発や分解が起こり、香料によるベンズアルデヒド臭をマスキングする効果が得られにくくなる。
本発明で使用する香料としては、例えば、α−ピネン、リモネン等の炭化水素類、1−オクテン−3−オール、デセノール等の脂肪族アルコール類、アンブリノール等の脂環式アルコール、リナロール、ヒドロキシシトロネロール、α−ターピネオール等のテルペン系、セスキテルペン系アルコール、フェニルプロピルアルコール、ジメチルベンジルカルビトール等の芳香族アルコール、合成サンダル、アニソール等のエーテル、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、芳香族アルデヒド、アセタール、脂肪族ケトン、テルペン系ケトン、セスキテルペン系ケトン、環状ケトン、芳香族ケトン、脂肪族エステル、芳香族カルボン酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、安息香酸エステル、フェニル酢酸エステル、サリチル酸エステル、カルボン酸、ラクトン等の合成香料、アニス油、レモン油、バルサム油、バニラ油、バラ油等の天然香料が例示される。
食品容器、食品包装材料等に使用する場合、食品等に臭気が付着しても不快感を与えない、更には食品添加物として利用されている香料が特に好ましい。
かかる香料としては、例えば、フェニルプロピルアルコール、アニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、3α、6,6,9α−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−b]フラン、(商品名「アンブロキサン」、ヘンケル社製)、シス−4−ヘプテナール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、メチルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、マルトール、エチルマルトール、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−5H−フラン−2−オン(商品名「シュガーラクトン」、曽田香料株式会社製)、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酪酸イソアミル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、サリシル酸アミル、サリシル酸イソアミル、フェニルプロピオン酸、γ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、ラブダナム油、バルサム油、アニス油及びバニラ油等が挙げられ、中でも特にバニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、バニラ油及びγ−ノナラクトンが推奨される。
これらの香料は、1種単独を添加してもよく、また、又は2種以上を混合して添加することもできる。
ジベンジリデンソルビトール組成物
本発明のDBS組成物は、基本的には、上記DBS類の少なくとも1種及び香料の少なくとも1種を含有するものである。
DBS類に対する香料の配合量としては、DBS類に含まれるアルデヒドの臭気をマスキングするのに有効な量とすればよく、一般には、DBS類に対して1〜500ppmが推奨され、より好ましくは10〜300ppmである。この範囲で香料を配合することにより、DBS類の臭気が抑制され、また、香料自体の匂いも実質上無視できる程度であるので、全体として不快感が減少し、官能的性質が向上する。配合量が500ppmを超えると樹脂に香料の臭いが強く残ってしまい、不快感を与える傾向がある。また、1ppm未満では所定の効果が得られにくい。
これら香料をDBS類にあらかじめ添加しておくことにより、香料の添加量の調整を容易にすることができる。
添加方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、DBS類にヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー等のミキサーを用いて粉末混合する方法、メタノール、エタノール、シクロヘキサン、トルエン等の有機溶媒や水等を分散媒としたDBS類のスラリー中にそのまま或いはそれらを上記有機溶媒や水等の溶媒に溶かした溶液を添加して混合し、その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
尚、DBS組成物に後述するポリオレフィン用の各種改質剤をあらかじめ添加しておくことも可能である。添加方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、添加剤に種々のミキサーを用いて粉末混合する方法、メタノール、エタノール、シクロヘキサン、トルエン等の有機溶媒や水等を分散媒とした添加剤の溶液またはスラリー中にそのまま或いは香料を上記溶媒に溶かした溶液を添加して混合し、その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
<香料保留剤>
当該DBS組成物や後述するポリオレフィン用の各種改質剤を添加したDBS組成物の場合、貯蔵条件(特に高温度条件下に貯蔵した場合)によっては経時的に香料が揮発し減少していく場合が見られる。その場合は、香料の保留剤として働く物質を添加することにより香料の保留性が一段と向上し、揮発による減少を抑制することができることを本発明者達は見出した。
かかる香料の保留剤としては、パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、ワックス等の脂肪族炭化水素類、トール油、水添ひまし油等のトリグリセライド類、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、安息香酸エステル類、フタル酸ジエステル等の芳香族ジカルボン酸ジエステル類、マロン酸ジエステル類、コハク酸ジエステル類、アジピン酸ジエステル類、アゼライン酸ジエステル類、セバシン酸ジエステル類等の脂肪族ジカルボン酸ジエステル類、又はクエン酸トリエステル等の脂肪族トリカルボン酸トリエステル類を例示できる。
中でも、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル及びセバシン酸ジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記保留剤としては、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、安息香酸ジベンジル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、マロン酸エチルアミル、マロン酸エチルsec−オクチル、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジベンジル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル等が例示される。特にジメチルシリコーンオイル又はメチルフェニルシリコーンオイルが好ましい。
保留剤の添加方法としては、特に限定されるものではないが、香料と一緒にDBS類に添加する方法、当該DBS組成物に対して、若しくは香料を添加する前にDBS類と保留剤を種々のミキサーを用いて混合する方法、又はメタノール、エタノール、トルエン、キシレン等の有機溶媒を分散媒としたDBS類のスラリー中に保留剤をそのまま或いは上記溶媒に溶かした溶液を添加して混合し、その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
保留剤の添加量としては、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン樹脂の性能に悪影響を及ぼさない範囲で使用され、一般には、DBS類に対して、0.01〜10重量%程度、特に0.1〜5重量%程度が適当である。
<塩基性物質>
また、シリコーンオイル類、及び芳香族アルキルエステル、脂肪族アルキルエステル等のエステル類は、製造方法によっては酸や酸触媒などの酸成分が残存している場合がある。このような化合物を保留剤として使用する場合は、DBS類の分解が促進される可能性がある為、塩基性物質、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸アミド、アミン類等を同時に添加すれば、酸成分が中和され、DBS類の分解を防ぐことができる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が例示できる。
長鎖脂肪酸アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、炭素数8〜32の飽和又は不飽和脂肪酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が例示でき、具体的には、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、モンタン酸等のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等を挙げることができる。
また、水酸化亜鉛も使用でき、更には、炭素数8〜32の飽和又は不飽和脂肪酸の亜鉛塩、アルミニウム塩、例えば、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、モンタン酸等の亜鉛塩、アルミニウム塩等も使用できる。
長鎖脂肪酸アミドとしては、炭素数8〜32の飽和又は不飽和脂肪酸アミドが例示でき、具体的には、オクタン酸、カプリン酸、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、モンタン酸等の第一級アミドである。
アミン類としては、モノ、ジ又はトリ(C1−C22アルキル)アミン、ジ又はトリ(C1−C8アルカノール)アミン、ジ(C1−C8アルカノール)(C1−C22アルキル)アミン、ジ(C12−C18アルキル)メチルアミン、ジメチル(C12−C18アルキル)アミン等が例示され、具体的にはトリイソプロパノールアミン、ジエタノールステアリルアミン、ジエタノールラウリルアミン、ジエタノールパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジステアリルメチルアミン等である。
上記塩基性物質は、単独で又は2種以上混合して適宜使用できる。上記塩基性物質は、保留剤に含有される酸成分を中和するのに有効な量で使用される。一般には、保留剤に対して、0.1〜100重量%程度、特に1〜100重量%程度の量で使用するのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、基本的には、ポリオレフィン樹脂、上記DBS類及び上記香料、及び必要ならばポリオレフィン用添加剤、香料の保留剤、保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質を含有するものである。一般には、上記DBS類及び上記香料(及び必要ならば保留剤及び塩基性物質)は事前に混合して前記DBS組成物の形態にあるのが好ましい。
本発明に係るDBS組成物(DBS類+香料)のポリオレフィン樹脂に対する配合量は、所定の効果が得られる限り特に限定されるものではなく、適宜選択することができるが、通常、樹脂100重量部当たり0.05〜3重量部程度であり、好ましくは0.07〜1重量部程度配合される。これらの範囲内で配合することにより本発明の目的を効果的に達成することができる。
DBS組成物のポリオレフィン樹脂への添加方法としては、一段添加法(即ち、DBS組成物の適当量をポリオレフィン樹脂に直接添加する方法)が好ましいが、例えば、ポリオレフィン樹脂にDBS組成物を高濃度で配合したマスターバッチ、例えば2〜15重量%程度の高濃度マスターバッチの形態でポリオレフィン樹脂に配合する二段法を採用しても何ら差し支えない。これら一段添加及び二段添加法は、通常、一軸又は二軸押出機等を用いて行われ、一般に本発明ポリオレフィン樹脂組成物はペレットの形態に製造される。
また、上記方法に代えて、ポリオレフィン樹脂、一般式(1)で表されるDBS類、香料(並びに必要に応じて保留剤、及び保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質)を同時に混合装置に入れて乾式混合し、次いで、一軸又は二軸押出機等を用いて溶融混合し、ペレット化して、一挙にポリオレフィン樹脂組成物を製造してもよい。その場合、各成分は、前記所定量で使用される。即ち、香料は、DBS類に対して1〜500ppm、特に10〜300ppmの量で使用し、香料とDBS類との合計量が、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して0.05〜3重量部程度、特に0.07〜1重量部程度となるようにこれら3つの成分を使用するのが好ましい。また、保留剤を使用する場合は、保留剤は、DBS類に対して、0.01〜10重量%程度、特に0.1〜5重量%程度が適当である。上記塩基性物質は、これを使用する場合、保留剤に対して0.1〜100重量%、特に1〜100重量%の量で使用するのが好ましい。
<他の添加剤>
本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物には、使用目的やその用途に応じて適宜、従来公知のポリオレフィン用改質剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
かかるポリオレフィン用改質剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(1995年1月)に記載されている各種添加剤が挙げられ、より具体的には、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等)、酸化防止剤(フェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イオウ系化合物等)、界面活性剤、滑剤(炭素数8〜22の高級脂肪酸、炭素数8〜22の高級脂肪酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の高級脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪酸アマイド、ロジン誘導体等)、充填剤(タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、ゼオライト、パーライト、珪藻土、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、発泡剤、発砲助剤、ポリマー添加剤の他、架橋剤、架橋促進剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、有機無機の顔料、加工助剤、他の核剤等の各種添加剤が例示される。
<ポリオレフィン樹脂>
本発明に係るポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂が例示され、より具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、エチレン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン50重量%以上(特に70重量%以上)のプロピレンコポリマー、ブテンホモポリマー、ブテン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のブテンコポリマー、メチルペンテンホモポリマー、メチルペンテン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のメチルペンテンコポリマー、ポリブタジエン等が例示される。
上記コポリマーはランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。これらの樹脂の立体規則性は、アイソタクチックでもシンジオタクチックでもよい。
上記コポリマーを構成し得るコモノマーとして、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等の炭素数2〜12のα−オレフィン、1,4−エンドメチレンシクロヘキセン等のビシクロ型モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等が例示できる。
かかる重合体を製造するために適用される触媒としては、一般に使用されているチーグラー・ナッタ型触媒はもちろん、遷移金属化合物(例えば、三塩化チタン、四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物)を塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウムを主成分とする担体に担持してなる触媒と、アルキルアルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等)とを組み合わせてなる触媒系やメタロセン触媒も使用できる。
本発明に係るポリオレフィン樹脂の推奨されるメルトフローレート(以下「MFR」と略記する。JIS K 7210−1976)は、その適用する成形方法により適宜選択されるが、通常、0.01〜200g/10分、好ましくは0.05〜100g/10分である。
かくして得られる本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、最終成形品中の臭気が改善され、かつ透明性等の性能の優れた新規有用なポリオレフィン樹脂組成物である。
ポリオレフィン樹脂成形体
又、本発明に係る樹脂組成物を成形するに際しては、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれをも採用できる。
本発明に係るポリオレフィン樹脂成形体は、DBS類を構成するアルデヒド類の臭気が香料によりマスキングされているため、臭気が抑制されており、しかも、DBS類が与える透明性のレベルは損なわれていない。
従って、本発明に係るポリオレフィン樹脂成形体は、従来、DBS類を核剤として配合してなるポリオレフィン樹脂成形体が用いられてきたと同様の分野において適用される。
より具体的には、本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、熱や放射線等により滅菌されるディスポーザブル注射器、輸液・輸血セット、採血器具等の医療用器具類;放射線等により滅菌される食品・植物等の包装物;衣料ケースや衣料保存用コンテナ等の各種ケース類;食品を熱充填するためのカップ、レトルト食品の包装容器;電子レンジ用容器;ジュース、茶等の飲料用、化粧品用、医薬品用、シャンプー用等の缶、ビン等の容器;味噌、醤油等の調味料用容器及びキャップ;水、米、パン、漬物等の食品用ケース及び容器;冷蔵庫用ケース等の雑貨;文具;電気・機械部品;自動車用部品等の素材として好適である。
実施例
以下、実施例及び比較例を掲げ、本発明を詳しく説明する。
実施例1〜13
1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(以下「Me−DBS」と略記する。)5gをメタノール30g中で攪拌して分散させながら、これに第1表に記載の香料を溶解したメタノール溶液10mlを添加した。得られた混合溶液を還流条件下、1時間加熱攪拌後、減圧下溶媒を留去し、更に80℃、655Paにて1時間乾燥して、試料(以下「Me−DBS組成物」と略記する。)を得た。
エチレン含有量3.0重量%のアイソタクチックランダムポリプロピレン樹脂(MFR=20g/10分、以下「r−PP」と略記する。)100重量部に対してMe−DBS組成物0.2重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名、イルガノックス1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.05重量部およびステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、樹脂温度240℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価した。得られた結果を第1表に示す。
<乾式法によるペレットの臭気評価>
ペレット60gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽に2時間放置し、室温迄冷却後、直ちに10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、試験片(サイズ:長さ=4cm、幅=7cm、厚さ=2mm)を調製した。得られた射出成形品を用いて、以下の方法により乾式法および湿式法での臭気評価を行い、得られた結果を第1表に示す。又、結晶化温度(Tc)及びヘイズ値(%)の測定を行い核剤性能の評価を行なった。
<乾式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽に2時間放置し、室温迄冷却後、直ちに10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
<湿式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽中に2時間放置し、室温迄冷却後直ちに10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
<結晶化温度(Tc)の測定方法>
示差走査熱量計(商品名「DSC7」、PERKIN−ELMER社製)を用いて、JISK7121に準じて測定した。Tcが高い程、結晶化速度が速く、成形サイクルの短縮が可能である。実施例1で得られた射出成型品のTcは128℃であった。
<ヘイズ値の測定方法>
東洋精機製作所製のヘイズメーターを用いて、JIS K6714、JIS K6717に準じて測定した。得られた数値が小さい程、透明性に優れる。実施例1で得られた射出成型品のヘイズ値(%)は、10であった。
比較例1
香料を添加しない以外は実施例1と同様にして評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
実施例14
Me−DBSの代わりに1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール(以下「Et−DBS」と略記する。)を用いた以外は実施例1と同様の操作にて評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
実施例15
Me−DBSの代わりにEt−DBSを用いた以外は実施例3と同様の操作にて評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
実施例16
Me−DBSの代わりにEt−DBSを用いた以外は実施例10と同様の操作にて評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
比較例2
香料を添加しない以外は実施例14と同様にして評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
比較例3
Me−DBS及び香料を添加しない以外は実施例1と同様にして評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
実施例17
樹脂としてアイソタクチックホモポリプロピレン樹脂(MFR=30g/10分、以下「h−PP」と略記する。)を用いた以外は実施例3と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例4
香料を添加しない以外は、実施例17と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例5
Me−DBS及び香料を添加しない以外は、実施例17と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
実施例18
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度=0.926g/cm3、MFR=20g/10分、以下「LLDPE」と略記する。)100重量部に対してMe−DBS組成物0.2重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、樹脂温度200℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
<乾式法によるペレットの臭気評価>
ペレット60gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽に2時間放置し、室温迄放置後、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
得られたペレットを樹脂温度200℃、金型温度30℃の条件下で射出成形し、試験片を調製した。得られた射出成形品を用いて、以下の方法により乾式法での臭気評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
<乾式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽に2時間放置し、室温迄冷却後、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
<湿式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽中に2時間放置し、室温迄冷却後10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
比較例6
香料を添加しない以外は、実施例18と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例7
Me−DBS及び香料を添加しない以外は、実施例18と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
実施例19
樹脂として高密度ポリエチレン樹脂(密度=0.967g/cm3、MFR=6.7g/10分、以下「HDPE」と略記する。)を用いた以外は実施例18と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例8
香料を添加しない以外は、実施例19と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例9
Me−DBS及び香料を添加しない以外は、実施例19と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
実施例20
香料を添加しないMe−DBSを用い、樹脂とその他の樹脂改質剤をヘンシェルミキサーで混合する際にエチルバニリン1×10−5重量部添加する以外は実施例1と同様にして評価を行なった。
臭気評価は、ペレットについて乾式法で5ポイント、射出成形物について乾式法で4ポイント、湿式法で4ポイントであった。
実施例21
Me−DBS5gをシクロヘキサン40g中で攪拌して分散させながら、ジメチルシリコーンオイル(粘度:500cs)0.1g、ステアリン酸ナトリウム0.05gおよびエチルバニリン0.00025gをメタノール1mlに溶解した溶液を添加した。得られた分散溶液を加熱し、還流条件下、1時間攪拌したものを減圧下溶媒を留去し、更に80℃、665Paにて1時間乾燥して、試料(以下「Me−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物」と略記する。)を得た。
Me−DBS組成物に代えてMe−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物を用いる以外は実施例1と同様にしてペレット及び射出成形品を製造し、臭気評価を行った。得られた結果を第2表に示す。
Me−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物の貯蔵温度による影響を評価するために、80℃で促進試験を実施した。Me−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物をポリ袋に入れて上部を結び、80℃のオーブンで1週間加熱した。加熱前と加熱後のエチルバニリン含量及びp−メチルベンズアルデヒド(以下「p−TAL」と略記する)を高速液体クロマトグラフィーを用いて定量した。得られた結果を第2表に示す。
更に、上記80℃での促進試験後のMe−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物を用いる以外は実施例1と同様にしてペレット及び射出成形品を製造し、実施例1と同様にして臭気評価を行った。得られた結果を第2表に示す。
実施例22
ステアリン酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例21と同様にして評価を行った。得られた結果を第2表に示す。
実施例23
ジメチルシリコーンオイル及びステアリン酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例21と同様に評価を行った。結果を第2表に示す。
第2表から明らかなように、本発明のDBS類と香料を含有するジベンジリデンソルビトール組成物は、加熱下での促進試験においても安定であり、良好な貯蔵安定性を有している。
特に、実施例21に示すように、DBS類、香料、保留剤(ジメチルシリコーン)及び塩基性物質(ステアリン酸ナトリウム)を含有する組成物は、加熱下での促進試験において、香料の減少が少なく、また、p−TAL量も少ないので、極めて優れた貯蔵安定性を有している。そのため、促進試験前のDBS組成物を用いた場合も、促進試験後のDBS組成物を使用した場合も、優れた臭気評価結果が得られる。
実施例22に示すように、DBS類、香料及び保留剤を含有し、塩基性物質を含有しないDBS組成物は、加熱下での促進試験において、香料の減少が少なく、また、p−TAL量が若干増加するが大幅な増加は認められず、許容範囲内にとどまる。従って、促進試験後のDBS組成物を使用して得られるペレット及び成形体であっても、良好な臭気評価を示し、促進試験前のDBS組成物を用いて得られたペレット及び成形体の臭気評価とほぼ同等である。
また、実施例23に示すように、DBS及び香料を含有し、保留剤及び塩基性物質を含有しない組成物は、加熱下での促進試験においても、香料は減少するが尚残存しており、p−TAL量がほとんど増えておらず許容範囲に留まっている。従って、促進試験後のDBS組成物を使用して得られるペレット及び成形体であっても、良好な臭気評価を示し、促進試験前のDBS組成物を用いて得られたペレット及び成形体の臭気評価とほぼ同等である。
産業上の利用性
本発明に係るジベンジリデンソルビトール組成物をポリオレフィン樹脂に添加することにより、発生する臭気が不快ではなく、大幅に改善されているポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)が得られる。
得られる本発明ポリオレフィン樹脂組成物は、成形加工時に発生する臭気が香料の匂いによりマスキングされる結果、不快臭とはならず、成形加工の作業環境が改善される。
また、本発明ポリオレフィン樹脂組成物を成形して得られる成形体も、不快な臭気の発生が抑制されており、成形体からの不快な臭いの移行が少ない。しかも、本発明成形体は、十分な透明性を有している。従って、本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、多くの分野で実用性が高い。
本発明は、新規有用なジベンジリデンソルビトール組成物(以下「DBS組成物」と略記する。)及び当該DBS組成物を含有する透明性に優れ、且つ成形加工時並びに最終成型品の臭気がマスキングされたポリオレフィン樹脂組成物に関する。
背景技術
ジベンジリデンソルビトール類(以下「DBS類」と略記する。)は、ポリオレフィン樹脂、特にエチレン、プロピレン等のホモポリマー又はそれらを主成分とするコポリマーの核剤として有用な化合物である。特に透明性を向上させる効果に優れ、透明性が要求される各種容器等の成形分野の樹脂添加剤として広く用いられている。
しかし、DBS類は、加熱して成形加工する際に一部分解してDBS類を構成するベンズアルデヒド類が遊離し、加工時に不快な臭気が発生するだけでなく、最終成形品中にもアルデヒド臭が残存し、臭気が問題となる化粧品や食品容器等の分野において好まれない場合がある。
これまでにも上記問題を解決するために、DBS類の熱安定性を向上させ、成形加工時に遊離するベンズアルデヒド類の量を低減させる種々の試みがなされてきた。例えば、ヒドロキシルアミン或いはフェニルヒドラジン類による処理(特開昭60−32791号、特開昭60−42385号)、非芳香族有機アミンの添加(特開昭62−4289号)、脂肪族金属塩及び乳酸金属塩等による表面処理(特開昭62−50355号)、脂肪族アミンの配合(特開平2−196841号)、ソルビン酸及び/又はソルビン酸カリウムの添加(特開平5−202055号)等の方法が挙げられるが、いずれの方法も臭気改善効果が不十分であった。そのため用途が限定される等の欠点を有し、未だ上記問題点の解決には至っていないのが現状である。
発明の開示
本発明は、最終成型品の十分な透明性を保持しつつ、臭気の改善されたポリオレフィン樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を達成すべく鋭意検討を行った結果、DBS類に対し、香料を添加することにより成形加工時に遊離するベンズアルデヒド類の不快な臭気がマスキングされ、所期の効果が得られることを見出し、かかる知見に基づいて本発明を完成するに至った。
即ち、本発明に係るジベンジリデンソルビトール組成物は、一般式(1)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるDBS類1種若しくは2種以上及び香料を含有し、要すれば更に香料の保留剤を含有することを特徴とする。
更に、本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、上記ジベンジリデンソルビトール組成物を0.05〜3重量部配合してなることを特徴とする。
より詳しくは、本発明は、次のジベンジリデンソルビトール組成物、該ジベンジリデンソルビトールを含有する樹脂組成物及び成形体を提供するものである。
1.一般式
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種及び香料の少なくとも1種を含有するジベンジリデンソルビトール組成物。
2 ジベンジリデンソルビトール類が、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール又は1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールである上記項1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
3 香料が、1気圧での沸点が150℃以上の香料である上記項1又は2に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
4 香料が、フェニルプロピルアルコール、アニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、シス−4−ヘプテナール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、メチルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、マルトール、エチルマルトール、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−5H−フラン−2−オン、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酪酸イソアミル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、サリシル酸アミル、サリシル酸イソアミル、フェニルプロピオン酸、γ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、ラブダナム油、バルサム油、アニス油及びバニラ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の香料である上記項1又は2に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
5 香料が、バニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、γ−ノナラクトン又はバニラ油である上記項1又は2に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
6 ジベンジリデンソルビトール類に対して、香料を1〜500ppm含有する上記項1〜5のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
7 香料の揮発を抑制する保留剤を更に含有する上記項1〜6のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
8 保留剤が、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル、又はセバシン酸ジエステルである上記項7記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
9 保留剤が、ジメチルシリコーンオイル又はメチルフェニルシリコーンオイルである上記項7記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
10 アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸アミド及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質(特に、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質)を更に含有する上記項7〜9のいずれか記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
11 (i)ポリオレフィン樹脂、
(ii)一般式(1)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種及び
(iii)香料の少なくとも1種
を含有するポリオレフィン樹脂組成物。
12 (I)上記(i)のポリオレフィン樹脂及び
(II)上記(ii)のジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種及び上記(iii)の香料の少なくとも1種を含有するジベンジリデンソルビトール組成物
を含有し、該ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ジベンジリデンソルビトール組成物が0.05〜3重量部使用されている上記項11に記載のポリオレフィン樹脂組成物。
13 ジベンジリデンソルビトール類が、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール又は1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールである上記項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
14 香料が、1気圧での沸点が150℃以上の香料である上記項11〜13のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
15 香料が、フェニルプロピルアルコール、アニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、シス−4−ヘプテナール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、メチルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、マルトール、エチルマルトール、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−5H−フラン−2−オン、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酪酸イソアミル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、サリシル酸アミル、サリシル酸イソアミル、フェニルプロピオン酸、γ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、ラブダナム油、バルサム油、アニス油及びバニラ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の香料である上記項11〜14項のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
16 香料が、バニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、γ−ノナラクトン又はバニラ油である上記項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
17 ジベンジリデンソルビトール類に対して、香料を1〜500ppm含有する上記項11〜16のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
18 香料の揮発を抑制する保留剤を更に含有する上記項11〜17のいずれかに記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
19 保留剤が、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル又はセバシン酸ジエステルである上記項18に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
20 保留剤が、ジメチルシリコーンオイル又はメチルフェニルシリコーンオイルである上記項18に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
21 アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸アミド及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質(特に、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質)を更に含有する上記項18記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
22 上記項11〜21のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物を成形して得られるポリオレフィン樹脂成形体。
23 一般式(1)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種を含有する樹脂組成物又は樹脂成形体の不快な臭気を抑制する方法であって、該ジベンジリデンソルビトールの少なくとも1種に、
(a)香料の少なくとも1種、又は
(b)香料の少なくとも1種及び保留剤、又は
(c)香料の少なくとも1種、保留剤及び保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質
を添加することからなる方法。
24 一般式(1)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種を含有する樹脂組成物又は樹脂成形体の不快な臭気を抑制するための、(a)香料の少なくとも1種又は(b)香料の少なくとも1種及び保留剤、又は、(c)香料の少なくとも1種、保留剤及び保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質の使用。
発明の詳細な記載
以下に本発明について詳細に説明する。
DBS類
一般式(1)
[式中、R1及びR2は、同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。]
で表されるDBS類において、置換基R1及びR2の置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよく、特に限定されない。
炭素数1〜5のアルキル基としては、メチル基、エチル基、イソプロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が例示され、特にメチル基及びエチル基が推奨される。
また、炭素数1〜5のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基等が例示される。
本発明に係る一般式(1)で表されるDBS類としては、1,3:2,4−ジベンジリデンソルビトール及び一般式(2)
[式中、R1及びR2は同一又は異なって、それぞれ水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基又は塩素原子を表す。但し、R1及びR2が水素原子である場合を除く。]
で表されるDBS類が例示される。これらは単独で又は2種以上混合して適宜使用される。また、本発明の範囲には、特公昭64−7611号記載のジベンジリデンソルビトール類が含まれる。本発明に係るDBS類としては、一般式(2)で表されるDBS類が好ましい。
かかるDBS類としては、具体的には1,3−(ベンジリデン)−2,4−(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(p−メチルベンジリデン)−2,4−(ベンジリデン)ソルビトール、1,3−(ベンジリデン)−2,4−(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3−(o−メチルベンジリデン)−2,4−(ベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(o−メチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−メトキシベンジリデン)ソルビトール、1,3:2,4−ジ(p−クロルベンジリデン)ソルビトール等が例示され、特に本発明は1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール及び1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールに対して効果的である。
これらDBS類に含まれる未反応ベンズアルデヒド類の量は、特に限定されるものではないが、多いと所定のマスキングの効果を得るために必要な香料の添加量が増し、樹脂成型体に香料の臭いが強く残ってしまい、不快感を与えてしまう傾向がある。従って、DBS類に含まれる未反応ベンズアルデヒド類の量としては、500ppm以下が推奨され、好ましくは200ppm以下である。
かかる未反応ベンズアルデヒド類の量が500ppm以下であるDBS類は、適当な方法、例えば、i)水又はメタノール、エタノール、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の有機溶媒による洗浄、ii)水及び水と共沸する前記溶媒の少なくとも1種を添加し、その後溶媒を留去する方法等により調製できる。
香料
本発明で使用する香料としては、未反応ベンズアルデヒド又は成形加工時の熱により発生したベンズアルデヒドの不快な臭気をマスキングする効果を有し、成形加工時の熱で分解しにくい香料であれば種々のものが使用できる。一般には、1気圧での沸点が150℃以上である香料が好ましい。沸点が150℃未満の場合は、成形加工時に揮発や分解が起こり、香料によるベンズアルデヒド臭をマスキングする効果が得られにくくなる。
本発明で使用する香料としては、例えば、α−ピネン、リモネン等の炭化水素類、1−オクテン−3−オール、デセノール等の脂肪族アルコール類、アンブリノール等の脂環式アルコール、リナロール、ヒドロキシシトロネロール、α−ターピネオール等のテルペン系、セスキテルペン系アルコール、フェニルプロピルアルコール、ジメチルベンジルカルビトール等の芳香族アルコール、合成サンダル、アニソール等のエーテル、脂肪族アルデヒド、テルペン系アルデヒド、芳香族アルデヒド、アセタール、脂肪族ケトン、テルペン系ケトン、セスキテルペン系ケトン、環状ケトン、芳香族ケトン、脂肪族エステル、芳香族カルボン酸エステル、酢酸エステル、プロピオン酸エステル、酪酸エステル、安息香酸エステル、フェニル酢酸エステル、サリチル酸エステル、カルボン酸、ラクトン等の合成香料、アニス油、レモン油、バルサム油、バニラ油、バラ油等の天然香料が例示される。
食品容器、食品包装材料等に使用する場合、食品等に臭気が付着しても不快感を与えない、更には食品添加物として利用されている香料が特に好ましい。
かかる香料としては、例えば、フェニルプロピルアルコール、アニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、3α、6,6,9α−テトラメチルドデカヒドロナフト[2,1−b]フラン、(商品名「アンブロキサン」、ヘンケル社製)、シス−4−ヘプテナール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、メチルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、マルトール、エチルマルトール、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−5H−フラン−2−オン(商品名「シュガーラクトン」、曽田香料株式会社製)、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酪酸イソアミル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、サリシル酸アミル、サリシル酸イソアミル、フェニルプロピオン酸、γ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、ラブダナム油、バルサム油、アニス油及びバニラ油等が挙げられ、中でも特にバニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、バニラ油及びγ−ノナラクトンが推奨される。
これらの香料は、1種単独を添加してもよく、また、又は2種以上を混合して添加することもできる。
ジベンジリデンソルビトール組成物
本発明のDBS組成物は、基本的には、上記DBS類の少なくとも1種及び香料の少なくとも1種を含有するものである。
DBS類に対する香料の配合量としては、DBS類に含まれるアルデヒドの臭気をマスキングするのに有効な量とすればよく、一般には、DBS類に対して1〜500ppmが推奨され、より好ましくは10〜300ppmである。この範囲で香料を配合することにより、DBS類の臭気が抑制され、また、香料自体の匂いも実質上無視できる程度であるので、全体として不快感が減少し、官能的性質が向上する。配合量が500ppmを超えると樹脂に香料の臭いが強く残ってしまい、不快感を与える傾向がある。また、1ppm未満では所定の効果が得られにくい。
これら香料をDBS類にあらかじめ添加しておくことにより、香料の添加量の調整を容易にすることができる。
添加方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、DBS類にヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー等のミキサーを用いて粉末混合する方法、メタノール、エタノール、シクロヘキサン、トルエン等の有機溶媒や水等を分散媒としたDBS類のスラリー中にそのまま或いはそれらを上記有機溶媒や水等の溶媒に溶かした溶液を添加して混合し、その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
尚、DBS組成物に後述するポリオレフィン用の各種改質剤をあらかじめ添加しておくことも可能である。添加方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、添加剤に種々のミキサーを用いて粉末混合する方法、メタノール、エタノール、シクロヘキサン、トルエン等の有機溶媒や水等を分散媒とした添加剤の溶液またはスラリー中にそのまま或いは香料を上記溶媒に溶かした溶液を添加して混合し、その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
<香料保留剤>
当該DBS組成物や後述するポリオレフィン用の各種改質剤を添加したDBS組成物の場合、貯蔵条件(特に高温度条件下に貯蔵した場合)によっては経時的に香料が揮発し減少していく場合が見られる。その場合は、香料の保留剤として働く物質を添加することにより香料の保留性が一段と向上し、揮発による減少を抑制することができることを本発明者達は見出した。
かかる香料の保留剤としては、パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、ワックス等の脂肪族炭化水素類、トール油、水添ひまし油等のトリグリセライド類、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類、安息香酸エステル類、フタル酸ジエステル等の芳香族ジカルボン酸ジエステル類、マロン酸ジエステル類、コハク酸ジエステル類、アジピン酸ジエステル類、アゼライン酸ジエステル類、セバシン酸ジエステル類等の脂肪族ジカルボン酸ジエステル類、又はクエン酸トリエステル等の脂肪族トリカルボン酸トリエステル類を例示できる。
中でも、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル及びセバシン酸ジエステルからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
上記保留剤としては、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、安息香酸ジベンジル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベンジル、マロン酸エチルアミル、マロン酸エチルsec−オクチル、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジベンジル、酒石酸ジエチル、酒石酸ジ−n−ブチル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アゼライン酸2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−n−ブチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、クエン酸トリメチル、クエン酸トリエチル、クエン酸トリ−n−ブチル等が例示される。特にジメチルシリコーンオイル又はメチルフェニルシリコーンオイルが好ましい。
保留剤の添加方法としては、特に限定されるものではないが、香料と一緒にDBS類に添加する方法、当該DBS組成物に対して、若しくは香料を添加する前にDBS類と保留剤を種々のミキサーを用いて混合する方法、又はメタノール、エタノール、トルエン、キシレン等の有機溶媒を分散媒としたDBS類のスラリー中に保留剤をそのまま或いは上記溶媒に溶かした溶液を添加して混合し、その後溶媒を留去する方法等が挙げられる。
保留剤の添加量としては、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン樹脂の性能に悪影響を及ぼさない範囲で使用され、一般には、DBS類に対して、0.01〜10重量%程度、特に0.1〜5重量%程度が適当である。
<塩基性物質>
また、シリコーンオイル類、及び芳香族アルキルエステル、脂肪族アルキルエステル等のエステル類は、製造方法によっては酸や酸触媒などの酸成分が残存している場合がある。このような化合物を保留剤として使用する場合は、DBS類の分解が促進される可能性がある為、塩基性物質、例えば、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸アミド、アミン類等を同時に添加すれば、酸成分が中和され、DBS類の分解を防ぐことができる。
アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物及びアルカリ土類金属の酸化物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム等が例示できる。
長鎖脂肪酸アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩としては、炭素数8〜32の飽和又は不飽和脂肪酸のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩等が例示でき、具体的には、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、モンタン酸等のリチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等を挙げることができる。
また、水酸化亜鉛も使用でき、更には、炭素数8〜32の飽和又は不飽和脂肪酸の亜鉛塩、アルミニウム塩、例えば、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、モンタン酸等の亜鉛塩、アルミニウム塩等も使用できる。
長鎖脂肪酸アミドとしては、炭素数8〜32の飽和又は不飽和脂肪酸アミドが例示でき、具体的には、オクタン酸、カプリン酸、オクタン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、エイコサン酸、ベヘン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、モンタン酸等の第一級アミドである。
アミン類としては、モノ、ジ又はトリ(C1−C22アルキル)アミン、ジ又はトリ(C1−C8アルカノール)アミン、ジ(C1−C8アルカノール)(C1−C22アルキル)アミン、ジ(C12−C18アルキル)メチルアミン、ジメチル(C12−C18アルキル)アミン等が例示され、具体的にはトリイソプロパノールアミン、ジエタノールステアリルアミン、ジエタノールラウリルアミン、ジエタノールパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジステアリルメチルアミン等である。
上記塩基性物質は、単独で又は2種以上混合して適宜使用できる。上記塩基性物質は、保留剤に含有される酸成分を中和するのに有効な量で使用される。一般には、保留剤に対して、0.1〜100重量%程度、特に1〜100重量%程度の量で使用するのが好ましい。
ポリオレフィン樹脂組成物
本発明のポリオレフィン樹脂組成物は、基本的には、ポリオレフィン樹脂、上記DBS類及び上記香料、及び必要ならばポリオレフィン用添加剤、香料の保留剤、保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質を含有するものである。一般には、上記DBS類及び上記香料(及び必要ならば保留剤及び塩基性物質)は事前に混合して前記DBS組成物の形態にあるのが好ましい。
本発明に係るDBS組成物(DBS類+香料)のポリオレフィン樹脂に対する配合量は、所定の効果が得られる限り特に限定されるものではなく、適宜選択することができるが、通常、樹脂100重量部当たり0.05〜3重量部程度であり、好ましくは0.07〜1重量部程度配合される。これらの範囲内で配合することにより本発明の目的を効果的に達成することができる。
DBS組成物のポリオレフィン樹脂への添加方法としては、一段添加法(即ち、DBS組成物の適当量をポリオレフィン樹脂に直接添加する方法)が好ましいが、例えば、ポリオレフィン樹脂にDBS組成物を高濃度で配合したマスターバッチ、例えば2〜15重量%程度の高濃度マスターバッチの形態でポリオレフィン樹脂に配合する二段法を採用しても何ら差し支えない。これら一段添加及び二段添加法は、通常、一軸又は二軸押出機等を用いて行われ、一般に本発明ポリオレフィン樹脂組成物はペレットの形態に製造される。
また、上記方法に代えて、ポリオレフィン樹脂、一般式(1)で表されるDBS類、香料(並びに必要に応じて保留剤、及び保留剤中の酸成分を中和する塩基性物質)を同時に混合装置に入れて乾式混合し、次いで、一軸又は二軸押出機等を用いて溶融混合し、ペレット化して、一挙にポリオレフィン樹脂組成物を製造してもよい。その場合、各成分は、前記所定量で使用される。即ち、香料は、DBS類に対して1〜500ppm、特に10〜300ppmの量で使用し、香料とDBS類との合計量が、ポリオレフィン樹脂100重量部に対して0.05〜3重量部程度、特に0.07〜1重量部程度となるようにこれら3つの成分を使用するのが好ましい。また、保留剤を使用する場合は、保留剤は、DBS類に対して、0.01〜10重量%程度、特に0.1〜5重量%程度が適当である。上記塩基性物質は、これを使用する場合、保留剤に対して0.1〜100重量%、特に1〜100重量%の量で使用するのが好ましい。
<他の添加剤>
本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物には、使用目的やその用途に応じて適宜、従来公知のポリオレフィン用改質剤を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。
かかるポリオレフィン用改質剤としては、例えば、ポリオレフィン等衛生協議会編「ポジティブリストの添加剤要覧」(1995年1月)に記載されている各種添加剤が挙げられ、より具体的には、安定剤(金属化合物、エポキシ化合物、窒素化合物、燐化合物、硫黄化合物等)、紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物等)、酸化防止剤(フェノール系化合物、亜リン酸エステル系化合物、イオウ系化合物等)、界面活性剤、滑剤(炭素数8〜22の高級脂肪酸、炭素数8〜22の高級脂肪酸金属(Al、Ca、Mg、Zn)塩、炭素数8〜22の高級脂肪族アルコール、ポリグリコール、炭素数4〜22の高級脂肪酸と炭素数4〜18の脂肪族1価アルコールとのエステル、炭素数8〜22の高級脂肪酸アマイド、ロジン誘導体等)、充填剤(タルク、ハイドロタルサイト、マイカ、ゼオライト、パーライト、珪藻土、炭酸カルシウム、ガラス繊維等)、発泡剤、発砲助剤、ポリマー添加剤の他、架橋剤、架橋促進剤、帯電防止剤、難燃剤、分散剤、有機無機の顔料、加工助剤、他の核剤等の各種添加剤が例示される。
<ポリオレフィン樹脂>
本発明に係るポリオレフィン樹脂としては、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂及びポリブテン系樹脂が例示され、より具体的には、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、エチレン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のエチレンコポリマー、プロピレンホモポリマー、プロピレン50重量%以上(特に70重量%以上)のプロピレンコポリマー、ブテンホモポリマー、ブテン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のブテンコポリマー、メチルペンテンホモポリマー、メチルペンテン含量50重量%以上(特に70重量%以上)のメチルペンテンコポリマー、ポリブタジエン等が例示される。
上記コポリマーはランダムコポリマーであってもよく、ブロックコポリマーであってもよい。これらの樹脂の立体規則性は、アイソタクチックでもシンジオタクチックでもよい。
上記コポリマーを構成し得るコモノマーとして、具体的にはエチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、ウンデセン、ドデセン等の炭素数2〜12のα−オレフィン、1,4−エンドメチレンシクロヘキセン等のビシクロ型モノマー、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル等の(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニル等が例示できる。
かかる重合体を製造するために適用される触媒としては、一般に使用されているチーグラー・ナッタ型触媒はもちろん、遷移金属化合物(例えば、三塩化チタン、四塩化チタン等のチタンのハロゲン化物)を塩化マグネシウム等のハロゲン化マグネシウムを主成分とする担体に担持してなる触媒と、アルキルアルミニウム化合物(トリエチルアルミニウム、ジエチルアルミニウムクロリド等)とを組み合わせてなる触媒系やメタロセン触媒も使用できる。
本発明に係るポリオレフィン樹脂の推奨されるメルトフローレート(以下「MFR」と略記する。JIS K 7210−1976)は、その適用する成形方法により適宜選択されるが、通常、0.01〜200g/10分、好ましくは0.05〜100g/10分である。
かくして得られる本発明に係るポリオレフィン樹脂組成物は、最終成形品中の臭気が改善され、かつ透明性等の性能の優れた新規有用なポリオレフィン樹脂組成物である。
ポリオレフィン樹脂成形体
又、本発明に係る樹脂組成物を成形するに際しては、射出成形、押出成形、ブロー成形、圧空成形、回転成形、フィルム成形等の従来公知の成形方法のいずれをも採用できる。
本発明に係るポリオレフィン樹脂成形体は、DBS類を構成するアルデヒド類の臭気が香料によりマスキングされているため、臭気が抑制されており、しかも、DBS類が与える透明性のレベルは損なわれていない。
従って、本発明に係るポリオレフィン樹脂成形体は、従来、DBS類を核剤として配合してなるポリオレフィン樹脂成形体が用いられてきたと同様の分野において適用される。
より具体的には、本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、熱や放射線等により滅菌されるディスポーザブル注射器、輸液・輸血セット、採血器具等の医療用器具類;放射線等により滅菌される食品・植物等の包装物;衣料ケースや衣料保存用コンテナ等の各種ケース類;食品を熱充填するためのカップ、レトルト食品の包装容器;電子レンジ用容器;ジュース、茶等の飲料用、化粧品用、医薬品用、シャンプー用等の缶、ビン等の容器;味噌、醤油等の調味料用容器及びキャップ;水、米、パン、漬物等の食品用ケース及び容器;冷蔵庫用ケース等の雑貨;文具;電気・機械部品;自動車用部品等の素材として好適である。
実施例
以下、実施例及び比較例を掲げ、本発明を詳しく説明する。
実施例1〜13
1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール(以下「Me−DBS」と略記する。)5gをメタノール30g中で攪拌して分散させながら、これに第1表に記載の香料を溶解したメタノール溶液10mlを添加した。得られた混合溶液を還流条件下、1時間加熱攪拌後、減圧下溶媒を留去し、更に80℃、655Paにて1時間乾燥して、試料(以下「Me−DBS組成物」と略記する。)を得た。
エチレン含有量3.0重量%のアイソタクチックランダムポリプロピレン樹脂(MFR=20g/10分、以下「r−PP」と略記する。)100重量部に対してMe−DBS組成物0.2重量部、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン(商品名、イルガノックス1010、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ社製)0.05重量部およびステアリン酸カルシウム0.05重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、樹脂温度240℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価した。得られた結果を第1表に示す。
<乾式法によるペレットの臭気評価>
ペレット60gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽に2時間放置し、室温迄冷却後、直ちに10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
得られたペレットを樹脂温度240℃、金型温度40℃の条件下で射出成形し、試験片(サイズ:長さ=4cm、幅=7cm、厚さ=2mm)を調製した。得られた射出成形品を用いて、以下の方法により乾式法および湿式法での臭気評価を行い、得られた結果を第1表に示す。又、結晶化温度(Tc)及びヘイズ値(%)の測定を行い核剤性能の評価を行なった。
<乾式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽に2時間放置し、室温迄冷却後、直ちに10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
<湿式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封した後、80℃の恒温槽中に2時間放置し、室温迄冷却後直ちに10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
<結晶化温度(Tc)の測定方法>
示差走査熱量計(商品名「DSC7」、PERKIN−ELMER社製)を用いて、JISK7121に準じて測定した。Tcが高い程、結晶化速度が速く、成形サイクルの短縮が可能である。実施例1で得られた射出成型品のTcは128℃であった。
<ヘイズ値の測定方法>
東洋精機製作所製のヘイズメーターを用いて、JIS K6714、JIS K6717に準じて測定した。得られた数値が小さい程、透明性に優れる。実施例1で得られた射出成型品のヘイズ値(%)は、10であった。
比較例1
香料を添加しない以外は実施例1と同様にして評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
実施例14
Me−DBSの代わりに1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトール(以下「Et−DBS」と略記する。)を用いた以外は実施例1と同様の操作にて評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
実施例15
Me−DBSの代わりにEt−DBSを用いた以外は実施例3と同様の操作にて評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
実施例16
Me−DBSの代わりにEt−DBSを用いた以外は実施例10と同様の操作にて評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
比較例2
香料を添加しない以外は実施例14と同様にして評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
比較例3
Me−DBS及び香料を添加しない以外は実施例1と同様にして評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
実施例17
樹脂としてアイソタクチックホモポリプロピレン樹脂(MFR=30g/10分、以下「h−PP」と略記する。)を用いた以外は実施例3と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例4
香料を添加しない以外は、実施例17と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例5
Me−DBS及び香料を添加しない以外は、実施例17と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
実施例18
直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(密度=0.926g/cm3、MFR=20g/10分、以下「LLDPE」と略記する。)100重量部に対してMe−DBS組成物0.2重量部を配合し、ヘンシェルミキサーで混合後、樹脂温度200℃に設定した直径25mmの一軸押出機で溶融混練してペレット化した。得られたペレットの臭気評価を以下の乾式法にて評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
<乾式法によるペレットの臭気評価>
ペレット60gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽に2時間放置し、室温迄放置後、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
得られたペレットを樹脂温度200℃、金型温度30℃の条件下で射出成形し、試験片を調製した。得られた射出成形品を用いて、以下の方法により乾式法での臭気評価を行なった。得られた結果を第1表に示す。
<乾式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽に2時間放置し、室温迄冷却後、10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
<湿式法による射出成形品の臭気評価>
試験片20gと脱イオン水140gを225mlのガラス瓶中に密封した後、40℃の恒温槽中に2時間放置し、室温迄冷却後10名のパネラーにより、臭いの強さを判定した。パネラーにおける判定基準は、0ポイント=不快臭なし、1ポイント=わずかに不快臭あり、2ポイント=はっきり不快臭あり、3ポイント=強い不快臭ありとし、10名の合計値で評価した。
比較例6
香料を添加しない以外は、実施例18と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例7
Me−DBS及び香料を添加しない以外は、実施例18と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
実施例19
樹脂として高密度ポリエチレン樹脂(密度=0.967g/cm3、MFR=6.7g/10分、以下「HDPE」と略記する。)を用いた以外は実施例18と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例8
香料を添加しない以外は、実施例19と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
比較例9
Me−DBS及び香料を添加しない以外は、実施例19と同様にして評価を行った。得られた結果を第1表に示す。
実施例20
香料を添加しないMe−DBSを用い、樹脂とその他の樹脂改質剤をヘンシェルミキサーで混合する際にエチルバニリン1×10−5重量部添加する以外は実施例1と同様にして評価を行なった。
臭気評価は、ペレットについて乾式法で5ポイント、射出成形物について乾式法で4ポイント、湿式法で4ポイントであった。
実施例21
Me−DBS5gをシクロヘキサン40g中で攪拌して分散させながら、ジメチルシリコーンオイル(粘度:500cs)0.1g、ステアリン酸ナトリウム0.05gおよびエチルバニリン0.00025gをメタノール1mlに溶解した溶液を添加した。得られた分散溶液を加熱し、還流条件下、1時間攪拌したものを減圧下溶媒を留去し、更に80℃、665Paにて1時間乾燥して、試料(以下「Me−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物」と略記する。)を得た。
Me−DBS組成物に代えてMe−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物を用いる以外は実施例1と同様にしてペレット及び射出成形品を製造し、臭気評価を行った。得られた結果を第2表に示す。
Me−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物の貯蔵温度による影響を評価するために、80℃で促進試験を実施した。Me−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物をポリ袋に入れて上部を結び、80℃のオーブンで1週間加熱した。加熱前と加熱後のエチルバニリン含量及びp−メチルベンズアルデヒド(以下「p−TAL」と略記する)を高速液体クロマトグラフィーを用いて定量した。得られた結果を第2表に示す。
更に、上記80℃での促進試験後のMe−DBS(ジメチルシリコーンオイル)組成物を用いる以外は実施例1と同様にしてペレット及び射出成形品を製造し、実施例1と同様にして臭気評価を行った。得られた結果を第2表に示す。
実施例22
ステアリン酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例21と同様にして評価を行った。得られた結果を第2表に示す。
実施例23
ジメチルシリコーンオイル及びステアリン酸ナトリウムを添加しなかった以外は実施例21と同様に評価を行った。結果を第2表に示す。
第2表から明らかなように、本発明のDBS類と香料を含有するジベンジリデンソルビトール組成物は、加熱下での促進試験においても安定であり、良好な貯蔵安定性を有している。
特に、実施例21に示すように、DBS類、香料、保留剤(ジメチルシリコーン)及び塩基性物質(ステアリン酸ナトリウム)を含有する組成物は、加熱下での促進試験において、香料の減少が少なく、また、p−TAL量も少ないので、極めて優れた貯蔵安定性を有している。そのため、促進試験前のDBS組成物を用いた場合も、促進試験後のDBS組成物を使用した場合も、優れた臭気評価結果が得られる。
実施例22に示すように、DBS類、香料及び保留剤を含有し、塩基性物質を含有しないDBS組成物は、加熱下での促進試験において、香料の減少が少なく、また、p−TAL量が若干増加するが大幅な増加は認められず、許容範囲内にとどまる。従って、促進試験後のDBS組成物を使用して得られるペレット及び成形体であっても、良好な臭気評価を示し、促進試験前のDBS組成物を用いて得られたペレット及び成形体の臭気評価とほぼ同等である。
また、実施例23に示すように、DBS及び香料を含有し、保留剤及び塩基性物質を含有しない組成物は、加熱下での促進試験においても、香料は減少するが尚残存しており、p−TAL量がほとんど増えておらず許容範囲に留まっている。従って、促進試験後のDBS組成物を使用して得られるペレット及び成形体であっても、良好な臭気評価を示し、促進試験前のDBS組成物を用いて得られたペレット及び成形体の臭気評価とほぼ同等である。
産業上の利用性
本発明に係るジベンジリデンソルビトール組成物をポリオレフィン樹脂に添加することにより、発生する臭気が不快ではなく、大幅に改善されているポリオレフィン樹脂組成物(ペレット)が得られる。
得られる本発明ポリオレフィン樹脂組成物は、成形加工時に発生する臭気が香料の匂いによりマスキングされる結果、不快臭とはならず、成形加工の作業環境が改善される。
また、本発明ポリオレフィン樹脂組成物を成形して得られる成形体も、不快な臭気の発生が抑制されており、成形体からの不快な臭いの移行が少ない。しかも、本発明成形体は、十分な透明性を有している。従って、本発明のポリオレフィン樹脂成形体は、多くの分野で実用性が高い。
Claims (24)
- ジベンジリデンソルビトール類が、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール又は1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールである請求項1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 香料が、1気圧での沸点が150℃以上の香料である請求項1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 香料が、フェニルプロピルアルコール、アニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、シス−4−ヘプテナール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、メチルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、マルトール、エチルマルトール、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−5H−フラン−2−オン、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酪酸イソアミル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、サリシル酸アミル、サリシル酸イソアミル、フェニルプロピオン酸、γ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、ラブダナム油、バルサム油、アニス油及びバニラ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の香料である請求項1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 香料が、バニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、γ−ノナラクトン又はバニラ油である請求項1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- ジベンジリデンソルビトール類に対して、香料を1〜500ppm含有する請求項1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 香料の揮発を抑制する保留剤を更に含有する請求項1に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 保留剤が、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイルメチルフェニルシリコーンオイル、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル、又はセバシン酸ジエステルである請求項7記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 保留剤が、ジメチルシリコーンオイル又はメチルフェニルシリコーンオイルである請求項7記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸アミド及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質を更に含有する請求項7記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- (I)上記(i)のポリオレフィン樹脂及び
(II)上記(ii)のジベンジリデンソルビトール類の少なくとも1種及び上記(iii)の香料の少なくとも1種を含有するジベンジリデンソルビトール組成物
を含有し、該ポリオレフィン樹脂100重量部に対して、ジベンジリデンソルビトール組成物が0.05〜3重量部使用されている請求項11に記載のポリオレフィン樹脂組成物。 - ジベンジリデンソルビトール類が、1,3:2,4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソルビトール又は1,3:2,4−ジ(p−エチルベンジリデン)ソルビトールである請求項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 香料が、1気圧での沸点が150℃以上の香料である請求項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 香料が、フェニルプロピルアルコール、アニソール、アネトール、ジヒドロアネトール、シス−4−ヘプテナール、アニスアルデヒド、バニリン、エチルバニリン、メチルバニリン、メチルイオノン、α−イオノン、β−イオノン、マルトール、エチルマルトール、4,5−ジメチル−3−ヒドロキシ−5H−フラン−2−オン、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酪酸イソアミル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸イソアミル、安息香酸ゲラニル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、フェニル酢酸メチル、フェニル酢酸エチル、フェニル酢酸イソアミル、フェニル酢酸イソブチル、フェニル酢酸ベンジル、桂皮酸メチル、桂皮酸エチル、サリシル酸アミル、サリシル酸イソアミル、フェニルプロピオン酸、γ−ノナラクトン、δ−デカラクトン、ラブダナム油、バルサム油、アニス油及びバニラ油からなる群より選ばれる少なくとも1種の香料である請求項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 香料が、バニリン、メチルバニリン、エチルバニリン、γ−ノナラクトン又はバニラ油である請求項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- ジベンジリデンソルビトール類に対して、香料を1〜500ppm含有する請求項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 香料の揮発を抑制する保留剤を更に含有する請求項11に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 保留剤が、流動パラフィン、合成パラフィン、ミネラルオイル、カストールオイル、ペトロラタム、トール油、水添ひまし油、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、石油系ワックス、ポリエチレンワックス、フタル酸ジエステル、アジピン酸ジエステル、アゼライン酸ジエステル、又はセバシン酸ジエステルである請求項18に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 保留剤が、ジメチルシリコーンオイル又はメチルフェニルシリコーンオイルである請求項18に記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- アルカリ金属の水酸化物、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の酸化物、長鎖脂肪酸アルカリ金属塩、長鎖脂肪酸アルカリ土類金属塩、長鎖脂肪酸アミド及びアミンからなる群から選ばれた少なくとも1種の塩基性物質を更に含有する請求項19記載のジベンジリデンソルビトール組成物。
- 請求項11〜21のいずれかに記載のポリオレフィン樹脂組成物を成形して得られるポリオレフィン樹脂成形体。
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