JP2971603B2 - ポリオレフィンの透明化剤および組成物 - Google Patents

ポリオレフィンの透明化剤および組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリオレフィンに透明
性を賦与する透明化剤に関し、特に食品容器、医療器具
などの材料として好適なポリオレフィン組成物を提供す
るものである。
【0002】
【従来技術およびその問題点】ポリオレフィンは、特に
機械的、熱的、化学的、電気的などの諸性質および成形
性に優れているため、プラスチック工業の主要な原料と
して種々の用途、例えばフィルム、シート、容器、パイ
プなどの包装材料、雑貨容器、工業用部品など広い分野
に大量に使用されている。しかしながら、結晶性のポリ
オレフィンでは、得られる成形品の透明性が一般的に劣
るため、用途が限定される面があった。
【0003】したがって、このようなポリオレフィンの
透明性を向上させるために、種々の造核剤が提供されて
いる。それらのうちソルビトール系化合物の造核剤とし
て、例えばベンジリデンソルビトール(特公昭51−2
2740号)とアルキル置換ベンジリデンソルビートル
(特公昭55−12460号、特公昭61−5498
号)とが知られているが、前者は透明性の向上が十分で
なく、後者は透明性の向上はかなり良好であるが、臭気
の発生を伴うため、特に食品容器、包装材料などに用い
るポリオレフィンには問題を有する。
【0004】
【問題点を解決するための手段】本発明者は、上記した
問題点を解決するために鋭意研究した。その結果、ソル
ビトール系化合物のうちで特にナフチル置換したソルビ
トール系化合物がポリオレフィンの造核剤として透明性
の向上に有効であるとともに、臭気の発生も極めて軽減
である効果の知見に基づき、本発明を提供するに至った
ものである。
【0005】即ち、本発明によれば、下記式
【化2】 で示されるポリオレフィンの透明化剤が提供される。ま
た、本発明によれば、ポリプロピレン100重量部に対
して、上記式
【化3】 で示される透明化剤0.01〜1重量部を配合してなる
ポリオレフィン組成物が提供される。
【0006】本発明の透明化剤が適用されるポリオレフ
ィンとしては、一般にエチレン、プロピレンのポリマー
であり、特にプロピレンのホモポリマーおよびプロピレ
ンと他のα−オレフィンとのコポリマーが好ましい。こ
こで他のαーオレフィンとしては、例えばエチレン、1
−ブテンなどが、本発明の効果を損わない範囲の50重
量%以下で用いられる。また、プロピレンと他のα−オ
レフィンの共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共
重合体およびグラフト重合体のいずれでもよい。さら
に、他のα−オレフィン重合体、例えばエチレン、1−
ブテンなど他のα−オレフィン単独重合体あるいはこれ
ら他のα−オレフィン同士の共重合体と、ポリプロピレ
ンとのブレンド物も用いられる。このブレンド量は本発
明を損わない範囲であり、ブレンドする他のα−オレフ
ィン重合体が一般に20重量部以下の範囲である。
【0007】本発明の下記式
【化3】で示されるようなソルビトールのナフチル置換
された誘導体は、チクソトロピーを賦与するための塗料
成分として公知の化合物である(英国特許第14308
66号)。このような本発明においてポリオレフィンの
透明化剤として用いるソルビトール誘導体は、1・3,
2・4−ビス(ナフチルメチレン)ソルビトールであ
り、α−ナフチル置換体とβ−ナフチル置換体とを有す
るが、特にβ−ナフチル置換体が有効である。さらに、
このようなナフチル置換のソルビトール化合物は、該ナ
フチル基にアルキル基などが結合された置換体でも用い
ることができる。
【0008】本発明の上記したソルビトール誘導体は、
如何なる方法によって製造してもよい。特に簡便な製造
方法としては、ナフチルアルデヒドとソルビトールとの
酸触媒による縮合反応が挙げられる。この反応における
ナフチルアルデヒドとソルビトールとの反応モルは、
2:1近くであることが好ましい。そのほか反応溶媒、
酸触媒、反応条件、反応終了後の処理条件、生成物の単
離条件等は、従来の1・3,2・4−ビス−(ベンジリ
デン)ソルビトールの製造において用いられた方法を適
宜選択して採用すればよい。また、上記反応では、ナフ
チルアルデヒドとソルビトールとの反応比、反応条件お
よび精製条件によって1・3,2・4−ビス(ナフチル
メチレン)ソルビトールに異性体、モノおよび/または
トリ−(ナフチルメチレン)ソルビトールが副生成物と
して若干混在する場合もあるが、これら副生成物の混在
は本発明の目的とすポリオレフィンの透明化に悪影響
を及ぼすことはない。
【0009】本発明においては、ポリオレフィン100
重量部に対して透明化剤を0.01〜1重量部、好まし
くは0.05〜0.5重量部を配合することにより、透
明性の良好なポリオレフィン組成物を得ることができ
る。即ち、本発明の透明化剤は、ポリオレフィンに対し
て配合量が0.01重量部未満では十分な透明性は得ら
れず、1重量部を越える配合量の場合は逆に透明性を損
う可能性があるので好ましくない。なお、本発明のポリ
オレフィン組成物には、その他の透明化剤、分散剤、殺
菌剤、紫外線吸収剤、中和剤、滑剤、帯電防止剤、酸化
防止剤等の添加剤を本発明の効果を損わない範囲で配合
するこもできる。
【0010】本発明のポリオレフィン組成物は、ヘンシ
ェルミキサーなど公知の手段により調製でき、さらにス
クリュー式押出機などにより加熱混練して、押出しペレ
ットとして得ることもできる。
【0011】
【発明の効果】本発明によれば、透明性が良好で、しか
も臭気の発生が殆んど認められない成形品を得ることが
できる。したがって、本発明のポリオレフィン組成物
は、特に放射線滅菌用材料として、例えば食品用容器、
包装材、医療用器具などの用途に極めて有用である。
【0012】
【実施例】以下、本発明を詳細に説明するために実施例
および比較例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限
定されるものではない。
【0013】実施例1 (透明化剤の製造)ベンゼン(200ml)にソルビー
トル(5.47g)、2−ナフチルアルデヒド(9.3
7g)およびp−トルエンスルホン酸1水和物(0.2
0g)を加え、油浴上攪拌下に5時間加熱し、共沸させ
ることによって生成する水を除いた。ベンゼンを減圧下
に留去した後残渣にエタノール(200ml)を加え、
一夜室温にて攪拌した。固体を濾過し、エタノール(3
00ml)で洗浄後乾燥した。該固体を水(200m
l)に懸濁し、炭酸ナトリウム水溶液で中和した。再度
固体を濾過し、水(500ml)、次いでエタノール
(200ml)で洗浄し、融点263〜265℃の白色
固体(11.77g)を得た。
【0014】得られた上記の白色固体について、元素分
析を行ったところC73.60%、H5.77%なる値
を示し、C28266に対する計算値C73.35%、
H5.72%によく一致した。その赤外吸収スペクトル
には3100〜3650cm-1にOHに基ずく幅広い吸
収、2800〜3000cm-1にCHに基ずく吸収、1
600cm-1にナフタレン環に基ずく吸収が見られた。
また、その質量スペクトルを測定したところm/e45
8にM+ に相当するピーク、m/e156にC107
+ に相当するピーク、m/e128にC108 に相当
するピーク、m/e127にC107 + に相当するピー
クを示した。さらにDMSO中で 1H−核磁気共鳴スペ
クトルを測定したところ、図に示すチャートが得られ、
7.5〜8ppmにナフタレン環の14個のプロトンに
基ずくピーク、5.9ppmにナフタレン環に置換した
2個のメチンプロトン、3.3〜5ppmにソルビトー
ル鎖の10個のプロトンに基ずくピークを示した。
【0015】これらの結果から、得られた白色固体が1
・3,2・4−ビス(2−ナフチルメチレン)ソルビー
トルであることが明らかとなった。なお、収率は85.
6%であった。
【0016】(ポリプロピレン組成物の調製)上記で得
た本発明の透明化剤である1・3,2・4−ビス(2−
ナフチルメチレン)ソルビートを用いて、下記するポリ
プロピレンに安定剤とともに配合してポリプロピレン組
成物を調製した。なお、比較のために、従来公知の透明
化剤(造核剤)を用いて、同様にポリプロピレン組成物
を調製した。用いたポリプロピレン、透明化剤および安
定化剤の種類と記号は、次の通りである。 (1)ポリプロピレン(徳山曹達(株)製:粉末状) エチレン−プロピレンランダムコポリマー (エチレン含有量:2.0重量%、 メルトフローレート:20g/10min) (2)造核剤 A:ビス(4−t−ブチルフェニル)リン酸ナトリウム B:p−t−ブチル安息香酸アルミニウム C:1・3,2・4−ジベンジリデンソルビトール D:1・3,2・4−ジ(p−メチルベンジリデン)ソ
ルビトール E:1・3,2・4−ビス(2−ナフチルメチレン)ソ
ルビトール (3)安定剤 F:トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスフ
ァイト G:トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
ベンジル)イソシアヌレート H:ステアリン酸カルシウム
【0017】また、ポリプロピレン組成物(予備混合、
ペレット化)の調整法、試験用試料の作成法および効果
の試験(確認)法は、下記のように行ない、その結果と
併せて表1に示した。 (1)予備混合 ポリプロピレン100重量部に対して、それぞれ造核剤
を第1表に示す割合で配合し、これにさらに加工時の劣
化防止のための酸化防止剤としてF:0.07重量部、
G:0.03重量部及び中和剤としてH:0.1重量部
配合し、ヘンシェルミキサーで予備混合した。 (2)ペレット化 上記混合物を50mmφ押出機(フルフライトタイプス
クリュー:L/D=28、ベント付き)を用いて、シリ
ンダー温度230℃、スクリュー回転88r.p.mで
ペレット化した。 (3)試験用試料の作成 上記ペレットを50ton射出成形機を用いて、一般的
成形条件(シリンダー温度:230℃、金型温度:40
℃)で、2枚取り金型により、1mm厚さの成形板(5
0mm×15mm×1mm)を成形した。 (4)効果試験 (イ)透明性 JIS K7105に準拠して、1mm厚射出成形板で
ヘイズ(Haze、%)を測定した。 (ロ)臭気試験および評価ランク コンデンサーを付けた500mlナス形フラスコに蒸留
水300mlと上記ペレット50gを入れ、コンデンサ
ーに冷却水を通した状態で30 煮沸した。次いで冷
却水を止めた状態で煮沸し、コンデンサー上部から発生
する蒸気をビーカーを逆さにして受け、その臭気をパネ
ラー(5人)により確認した。その結果を次の6段階で
臭気強度を判定し、評価ランクを定めた。 (0:感じない、1:かすかに感じる、2:やや強く感
じる、3:強く感じる、4:非常に強く感じる、5:極
端に強く感じる)
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例で製造した1・3,2・4−ビス
(ナフチルメチレン)ソルビトールの 1H−核磁気共鳴
スペクトルの模式図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−149752(JP,A) 特開 昭56−30449(JP,A) 特開 昭58−87024(JP,A) 特開 昭58−185632(JP,A) 特開 昭62−138545(JP,A) 特開 昭63−39943(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 23/00 - 23/36 C08K 5/15 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式 【化1】 で示されるポリオレフィンの透明化剤
  2. 【請求項2】 ポリオレフィン100重量部に対して、
    請求項1に記載の透明化剤0.01〜1重量部を配合し
    てなるポリオレフィン組成物
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