WO1999020159A1

WO1999020159A1 - Coussin et siege comprenant chacun un revetement retifie

Info

Publication number: WO1999020159A1
Application number: PCT/JP1998/004760
Authority: WO
Inventors: Etsunori Fujita; Hiroki Ohshimo; Shigeki Wagata; Masaki Nishino; Yumi Ogura; Kazuyoshi Chizuka; Shigeyuki Kojima; Taizo Nakata; Hidehiro Oda; Eiichi Koyama; Yoshiaki Nagae; Kazuhiro Ueda
Original assignee: Delta Tooling Co., Ltd.; Kanebo, Limited; Kanebo Gohsen, Ltd.; Suminoe Textile Co., Ltd.
Priority date: 1997-10-21
Filing date: 1998-10-21
Publication date: 1999-04-29
Also published as: AU9645098A; DE69822500T2; EP1033098A1; CN1280467A; US6315364B1; EP1033098B1; DE69822500D1; EP1033098A4; CN1124804C; KR100377117B1; TW381996B; KR20010031346A

Description

明細書ネット状表皮を有するクッション部材及びシート技術分野

本発明は、シートあるいはべッド等に採用することができる通気性に優れたネット状表皮を有するクッション部材、及び、このクッション部材を採用したシ一トに関する。背景技術

従来の車両用シートは、シートフレームにコイルばね、 S型ばねあるいはフォ一ムドワイヤ等のばね材を乗せ、その上にフォーム材、ロック材あるいは綿等のパッド材を設け、さらにビニールレザー、織布、革等の表皮で上張りされたものが一般的である。

また、弾性力あるいは衝撃吸収力を高めるために、粘弾性材料をパッド材に埋設したものも提案されている。

さらに、シートに長時間着座していると、シートクッション及びシ一トバックとの密着部分が汗ばんできて不快感が増大することから、シートクッション及びシートバックの内部より強制的に空気を送ることにより通気性を向上させたシートも提案されている。

一方、車両用シート以外のシートあるいはベッドは、フレームに乗せたパッド材を表皮で被覆したものや、クッシヨン性を高めるためにばね材をさらに設けたものが一般的である。

上記従来のシ一トあるいはべッドにおいては、ばね材ゃパッド材により所定のクッション性は付与されているが、底付き感が解消していないものや、シ一トあるいはべッド全体が重たく高価なものが多、。

また、自動二輪車等において、粘弾性材料をパッド材に埋設したものにあつては、給油時に漏れたガソリンや雨水等の水がシートにかかり、粘弾性材料と接触すると、粘弾性材料を変質させることがある。さらに、自動車用シートにおいては、粘弾性材料の揮発成分が窓ガラスを曇らせるフォツギング現象を惹起する心配もある。

また、シートクッション及びシートバックの内部より強制的に空気を送るようにしたシートは通気性に優れているものの、強制的に空気を送る装置ゃパッド材に通気路を形成する必要があることから、やはり高価であるという問題がある。

本発明は、従来技術の有するこのような問題点に鑑みてなされたものであり所定のクッション性を確保し底付き感を解消するとともに通気性 ·放熱性に優れ、かつ、軽量で全天候型のネット状表皮を有するクッション部材及びシートを提供することを目的としている。発明の開示

上記目的を達成するために、本発明にかかるネット状表皮を有するクッション部材は、フレームと、該フレームに張設されたネット状表皮を有し、該ネット状表皮を、上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層を結合する多数のパイルを有するパイル層とで構成し、上記パイルの各々を 1本の糸で形成したことを特徴とする。

上記フレームと上記ネット状表皮を熱可塑性樹脂製とし、両者を振動溶着により接合するのが好ましい。

また、上記フレームを金属製とする一方、上記ネット状表皮を熱可塑性樹脂製とし、上記ネット状表皮と少なくとも一つの熱可塑性樹脂製押さえ部材を振動溶着により接合した後、上記押さえ部材を上記フレームに固定することもできる。

'さらに、上記ネット状表皮の周囲を紐で押さえ部材に固定した後、該押さえ部材を上記フレームに固定するようにしてもよい。上記ネット状表皮の周囲にインサート成形で樹脂製フレームを形成し、該樹脂製フレームを上記フレームに固定することもできる。

また、本発明にかかるネット状表皮を有するシートは、シートクッションとシートバックとヘッドレストの少なくとも一方が、フレームと、該フレームに張設されたネット状表皮を有し、該ネット状表皮を、上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層を結合する多数のパイルを有するパィル層とで構成し、上記パイルの各々を 1本の糸で形成したことを特徴とする。さらに、本発明にかかるネット状表皮を有するクッション部材は、上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層とを結合する多数のパイルを有するパイル層からなる 3層構造のネット状表皮を有し、上記パイルの各々を一本の糸で形成すると共に、上記パイル層が所定の方向から見てクロス状組織を呈していることを特徴とする。

このクッション部材は、非線型の静荷重一たわみ特性を有し、通常使用域と、該通常使用域よりも小荷重の領域と、上記通常使用域よりも大荷重の領域の少なくとも 3段階のばね定数を持ち、上記通常使用域のばね定数が最も小さい。

また、少なくとも 1方向に所定の間隔で剛性部材あるいは弾性部材を設け、上記上部メッシュ層の面剛性 ·弾性を増加させるのがよい。

さらに、上記ネット状表皮の周縁に係止部材を縫製と振動溶着により取り付け、該係止部材をシ一トの一部に取り付けることもできる。

あるいは、上記下部メッシュ層の周縁に係止部材を取り付け、上記パイル層を圧縮しない状態で上記係止部材をシ一トの一部に取り付けることもできる。

上記係止部材は上記下部メッシュ層の周縁に押し出し成形あるいは射出成形により取り付けてもよい。

また、本発明にかかるネット状表皮を有するシートは、上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層とを結合する多数のパイルを有するパイル層からなる 3層構造のネット状表皮を複数積層し、上記パイルの各々を一本の糸で形成すると共に、上記パイル層が所定の方向から見てクロス状組織を呈していることを特徴とする。上記ネット状表皮を複数積層する代わりにロール状に形成し、口一ル状にしたネット状表皮を複数並置してもよい。図面の簡単な説明

図 1は本発明にかかるネット状表皮を有するクッション部材を採用したシートの斜視図である。

図 2は図 1のシートを構成するシートバックの分解斜視図である。

図 3は図 1のシートの部分断面側面図である。

図 4はネット状表皮の部分拡大正面図である。

図 5はネット状表皮の部分断面側面図である。

図 6はシートバックの変形例の分解斜視図である。

図 7はネット状表皮と押さえ部材との接合方法を示す部分斜視図である。図 8は図 7の接合後のネット状表皮と押さえ部材の部分正面図である。

図 9は図 8のネット状表皮と押さえ部材をフレームに取り付けた状態のシートバックの部分断面図である。

図 1 0は別の接合方法で接合したネット状表皮と押さえ部材の斜視図である。図 1 1は図 1 0のネット状表皮と押さえ部材をフレームに取り付ける時のシ一トバックの部分断面図である。

図 1 2はネット状表皮に採用された立体メッシュニットの荷重一たわみ曲線である。

図 1 3は体重 3 7 k gの人が従来のシートクッションに着座した時の体圧分布を示すグラフである。

図 1 4は体重 3 7 k gの人が本発明にかかるシートクッションに着座した時の体圧分布を示すグラフである。

図 1 5は体重 9 3 k gの人が従来のシートクッションに着座した時の体圧分布を示すグラフである。

図 1 6は体重 9 3 k gの人が本発明にかかるシートクッションに着座した時の体圧分布を示すグラフである。図 1 7は上部及び下部メッシュ層使用される種々の基布組織を模式的に示しており、（a ) は図 4に示されるハニカム状（六角形）メッシュを、（b ) は菱形メッシュを、（c ) は鎖挿入組織をそれぞれ示している。

図 1 8は上部及び下部メッシュ層を結合するパイル組織を模式的に示しており、（a ) は図 5に対応するストレート状組織を、（b ) は 8の字ストレート状組織を、（c ) はクロス状組織を、（d ) は 8の字クロス状組織をそれぞれ示している。

図 1 9は本発明にかかるクッション部材にディスクを押圧することにより得られた静特性を示すグラフである。

図 2 0は本発明にかかる別のクッション部材にディスクを押圧することにより得られた静特性を示すグラフである。

図 2 1は図 1 9の静特性を示すクッション部材と図 2 0に示される静特性を示すクッシヨン部材の積層構造体の静特性を示すグラフである。

図 2 2は線型ばね系の種々の特性を示しており、（ a ) は荷重一たわみ特性を、 ( b ) は過渡応答特性を、（c ) は周波数応答特性を示している。

図 2 3は非線型ばね系の種々の特性を示しており'、 ( a ) は荷重一たわみ特性を、（b ) は過渡応答特性を、（c ) は周波数応答特性を示している。

図 2 4は別の非線型ばね系の種々の特生を示しており、（a ) は荷重一たわみ特性を、（b ) は過渡応答特性を、（c ) は周波数応答特性を示している。

図 2 5は本発明にかかるネット状表皮を有するシートと、従来のウレタンを使用したシートにランダム波が入力された場合の動特性を示すグラフである。

図 2 6はワイヤ等の剛性部材を矩形状に挿入したネット状表皮を示しており、 ( a ) はその概略斜視図で、（b ) は概略縦断面図である。

図 2 7は表 2に示される品番 0 9 0 0 1 Dのネット状表皮にディスクを押圧した場合の静特性を示すグラフである。

図 2 8は品番 0 9 0 0 1 Dのネット状表皮にワイヤを大間隔で挿入した場合の静特性を示すグラフである。

図 2 9は品番 0 9 0 0 1 Dのネット状表皮にワイヤを小間隔で挿入した場合の静特性を示すグラフである。

図 3 0は所定の間隔で樹脂部材を振動溶着したネット状表皮を有するクッション部材を示しており、（a ) はその概略斜視図で、（b ) はその概略平面図である。

図 3 1は図 3 0のクッション部材にディスクを押圧することにより得られた静特性を示すグラフである。

図 3 2は本発明にかかるネット状表皮を一部に採用したシートの斜視図である。図 3 3は図 3 2の線 ΧΧΧΠΙ- XXXIIIに沿った断面図である。

図 3 4はネット状表皮とシートフレームの固定状態を示す断面図である。

図 3 5はネット状表皮とシートフレームの別の固定状態を示す断面図である。図 3 6はネット状表皮とシートフレームのさらに別の固定状態を示す断面図である。

図 3 7はパイル層を圧縮しない場合のネット状表皮の周縁部の部分斜視図である。

図 3 8は図 3 7のネット状表皮とシートフレームの固定状態を示す断面図である。

図 3 9はネット状表皮と係止部材とを押し出し成形あるいは射出成形により接合した場合の断面図である。

図 4 0は複数枚のネット状表皮をシートバック部に積層したシートの正面図である。

図 4 1は図 4 0のシートでネット上表皮をシートクッション部に積層したシートの平面図である。

図 4 2は図 4 0のシートでネット上表皮と粘弾性ウレタンを組み合わせた場合の部分断面側面図である。

図 4 3は図 4 2の線 XLII I- XLIIIに沿った断面図である。

図 4 4はロール状にした複数枚のネット状表皮を並置した場合の図 4 2の線 X L I II -X L I I Iに沿った断面図である。

図 4 5はハニカム面を有しワイヤを挿入しないネット状表皮に着座した場合の体圧分布を示すダラフである。

図 4 6はハニカム面を有しワイヤを挿入したネット状表皮に着座した場合の体圧分布を示すグラフである。

図 4 7はハ-カム面を有しワイヤを揷入しない比較的小面積のネット状表皮に着座した場合の体圧分布を示すグラフである。

図 4 8はハニカム面を有しワイヤを揷入した比較的小面積のネット状表皮に着座した場合の体圧分布を示すグラフである。

図 4 9は図 1 9の静特性を示すネット状表皮と図 2 0の静特性を示すネット状表皮との積層体に着座した場合の体圧分布を示すグラフである。

図 5 0は図 1 9の静特性を示すネット状表皮と図 2 0の静特性を示すネット状表皮との積層体の一部に樹脂部材を振動溶着したものに着座した場合の体圧分布を示すグラフである。

図 5 1はクッシヨン材としてウレタンを主に採用した従来の車椅子に着座した場合の体圧分布を示すダラフである。

図 5 2は図 4 3に示される積層構造を採用した車椅子に着座した場合の体圧分布を示すグラフである。

図 5 3は従来の車椅子に体重の異なる被験者が着座した場合の体圧分布を示すグラフである。

図 5 4は図 4 3に示される積層構造を採用した車椅子に図 5 3の被験者が着座した場合の体圧分布を示すグラフである。

図 5 5は従来の車椅子と本発明にかかる車椅子において温度及び湿度特性を調ベた部位を示すシートの概略斜視図である。

図 5 6は被験者が汗かきの場合の図 5 5のポイント Cushion- Aにおける温度特性を示すグラフである。

図 5 7は被験者が汗かきの場合の図 5 5のポイント Cushion-Aにおける湿度特性を示すグラフである。

図 5 8は通常の被験者の図 5 5のボイント Back-Aにおける温度特性を示すグラフである。図 5 9は通常の被験者の図 5 5のボイント Back- Aにおける湿度特性を示すグラフである。発明を実施するための最良の形態

以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。

図 1は、本発明にかかるネット状表皮を有するクッシヨン部材を採用したシート Sを示しており、シートバック 2と、ヒンジ 4を介してシートバック 2に回動自在に取り付けられたシートクッション 6とを備えている。

図 1のシート Sにおいて、シートバック 2とシートクッション 6の各々が本発明にかかるネット状表皮を有するクッション部材である。

図 2に示されるように、シ一トバック 2は、シ一トバックフレーム 8と、シ一トバックフレーム 8の上に張設されるネット状表皮 1 0と、ネット状表皮 1 0をシートバックフレーム 8に固定する押さえ部材 1 2と力らなる。シートバックフレーム 8の両側には、後述するべノレトをシ一トバックフレーム 8の内部に引き込むためのベルト孔 8 a， 8 a (図 2では一つだけ図示されている）が形成されている。

シートクッション 6も、シ一トバック 2と同様、シートクッションフレーム 1 4と、シートクッシヨンフレーム 1 4の上に張設されるネット状表皮 1 6と、ネット状表皮 1 6をシートクッシヨンフレーム 1 4に固定する押さえ部材 1 8 と力、らなる。

シ一ト Sの両側にはベルト 2 0， 2 0が張架されており、各ベルト 2 0の一端はシートクッションフレーム 1 4の側部に回動自在に取り付けられたベルトアンカ 2 2に係止されている。ベルト 2 0はまた、シートバックフレーム 8に形成されたベルト孔 8 aを介してシ一トバックフレーム 8の内部に引き込まれている。

図 3に示されるように、シートバックフレーム 8の内部両側の下端近傍にはリトラクタ 2 2， 2 2が配設されており、ベルト 2 0， 2 0の他端は、リトラクタ 2 2， 2 2にそれぞれ係止されている。図 1及び図 3はリトラクタ 2 2， 2 2からベルト 2 0， 2 0を最大限引き出した着座状態を示しており、シートバック 2に加わる着座者の荷重をベルト 2 0， 2 0で受ける構造である。

一方、収納時は、シートクッション 6を跳ね上げると、リトラクタ 2 2， 2 2にベルト 2 0， 2 0がそれぞれ卷き込まれ、シートクッション 6はシ一トバック 2に向かって折り畳まれる。

図 4及び図 5は、ネット状表皮 1 0， 1 6を構成する立体メッシュ二ットを示しており、基布の織りをハニカム状（六角形）のメッシュに形成するとともに、上部メッシュ層 2 4と下部メッシュ層 2 6とを多数のパイル 2 8からなるパイル層で結合した 3層の立体的なトラス構造としている。

上部メッシュ層 2 4と下部メッシュ層 2 6の各糸は、多数の細い糸をよつたもので形成する一方、パイル 2 8の各々は 1本の太い糸で形成し立体メッシュニットに剛性を付与している。

表 1は、上部メッシュ層 2 4、下部メッシュ層 2 6、及び、パイル層を形成するパイル 2 8として使用した材料の物性値を示している。

Π口

D80032C D80050 D 80052 D 80052-Β D 80055 D 80053 項目 .

材質ボリプロビレン -ポリ.ェ'ステル / ボリエステノレボリエステ.ノレ原着黒原着黒重量 g/m² 663 480 483 496 481.⁶ 454. 密度縦目/吋 7 5 5 6 6 6

横目/吋 14 1 & 15 15 15 14 繊維太さ地 21 Od/60 f 15 Od/48 f 25 Od/48f 15 Od/48 f (d/f) パィル 38 Od/lf 600 d/ 1 f 黒 600 d/ 1 f 60 Od/lf 黒

2本合せ

引張強度縦 4 I.⁹ 10.⁸ 10. 2 15.¹ 29.° 1 l.² (kg/5cm) 横 2 (J.⁰ 5.⁴ 6.^β 6.⁹⁸ 14.² 9.° 伸び率 . 縦 49.⁵ 50.⁴ 49.⁵ 34.² 37. 7 61ノ (%) 横 178.° 126. 2 114.¹ 153.⁸ 134 71.° パイル組織クロス直行クロスクロスクロスクロス.

表 1において、「原着黒」とは材料を黒く着色したものである。また、 dはデニールを表し、 1 dは 1グラムの糸を 9 , 0 0 O m引っ張った時の太さの単位であり、 2 1 0 dは 1グラムの糸を 9， 0 0 0 / 2 1 0 = 4 2 . 9 m引っ張った時の太さの糸である。さらに、 f はフィラメントを表し、糸が何本の細い糸で構成されているかを示す単位で、 6 0 f は 6 0本の細い糸で 1本の糸を構成している。また、引張強度の k _{g /} 5 c mとは、 5 c m幅のメッシュを長手方向に引っ張った時の強度である。また、パイル組織の「直行」とは上部メッシュ層 2 4の六角形と下部メッシュ層 2 6の六角形とが真上から見た場合に完全に重なった状態を示しており、「クロス」とは両者がズレている状態を示している。

なお、立体メッシュニットの材料としては熱可塑性樹脂が好ましく、繊維状に成形可能で、それを織物にした場合にシート地として要求される強度を発現しうるものであればよい。具体例を挙げると、ポリエチレンテレフタレート ( P E T) 、ポリブチレンテレフタレート（P B T ) などに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂類、ナイロン 6、ナイロン 6 6などに代表されるポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフイン樹脂類、あるいは、これらの樹脂を 2種類以上混合した樹脂などである。

また、各パイル 2 8の繊維太さとしては 3 8 0 d以上で、好ましくは 6 0 0 d以上がよく、立体メッシュニットに加わる着座者の荷重を六角形メッシュの変形とパイルの倒れにより支持することができ、応力集中が起きない柔構造となる。

次に、シートバック 2を構成するシートバックフレーム 8とネット状表皮 1 0との接合方法について説明する。

第 1の方法では、シートバックフレーム 8と押さえ部材 1 2を熱可塑性樹脂で製作した後、シ一トバックフレーム 8と押さえ部材 1 2との間にネット状表皮 1 0を介装せしめ、振動溶着により固定している。

しかしながら、押さえ部材 1 2は必ずしも必要ではなく、シ一トバックフレーム 8とネット状表皮 1 0とを振動溶着により直接固定することもできる。振動溶着は、熱可塑性樹脂の溶融に摩擦熱を利用するもので、この摩擦熱は、溶着される二つのパーツ間を加圧すると同時に溶着面に左右数 m mの振動を与えることにより得られる。通常 2〜3秒の発振後、振動を停止すると、二つのパーツは自動的に位置ズレすることなく元の位置に戻り、 1秒程度の冷却後には強力な溶着が得られるものである。

振動溶着は、サイクルが短い、消費電力が少ない、臭わない、といった利点があるとともに、複雑あるいは不規則な形状にも適用でき、部品相互間の位置決めもできる。また、一度に多数個の溶着も容易に可能である。また、異材質の溶着も可能で、吸水性及び硬度に関係なく強力な溶着ができるという特徴もある。

この振動溶着は、板状のもの同士を接合するのが一般的であるが、本発明では、状のものを板状のものに溶け込ませることにより接合している。

図 6は、一対の押さえ部材 1 2 a， 1 2 bを熱可塑性樹脂で製作する一方、シ一トバックフレーム 8を鉄等の金属で製作し、押さえ部材 1 2 a , 1 2 bの間にネット状表皮 1 0を介装せしめ、振動溶着により固定した後、金属製シートバックフレーム 8に螺着している。

シートバックフレーム 8を金属製とすることで強度ァップとなり、自動車等の衝撃荷重が加わるシートにも採用することができるとともに、ネット状表皮 1 0が使用できなくなった場合、押さぇ部材 1 2 a， 1 2 bとネット状表皮 1 0とを一体的に交換できる利点がある。

なお、ネット状表皮 1 0を押さえ部材 1 2， 1 2 bのいずれか一方に振動溶着により固定した後、金属製シートバックフレーム 8に螺着することもでき、この場合、押さえ部材 1 2 , 1 2 bのうちネット状表皮 1 0を接合していないものについては除去することもできる。

図 7乃至図 9は第 2の接合方法を示している。

図 7及び図 8に示されるように、所定間隔でネット状表皮 1 0の上部メッシュ層 2 4と下部メッシュ層 2 6の端縁部に紐（あるいは糸） 3 0を通して押さぇ部材 1 2に固定することにより端末処理を行った後、図 9に示されるように、押さえ部材 1 2をボルト 3 2とナット 3 4でシートバックフレーム 8に固定している。ボルト 3 2の頭部は、例えば樹脂製のカバー 3 6により被覆される。なお、紐 3 0は必ずしも上部メッシュ層 2 4と下部メッシュ層 2 6の両方に通す必要はなく、片方だけに通してもよい。

図 1 0及び図 1 1は第 3の接合方法を示している。

この方法は、ネット状表皮 1 0の周囲にィンサート成形で樹脂製フレーム 1 2 cを作製し、フレーム 1 2 cを螺子 3 8で固定するようにしたものである。なお、シートクッション 6の各パーツの接合方法も、上記シートバック 2の接合方法と同じなので、その説明は省略する。

図 1 2は、ネット状表皮 1 0， 1 6に採用された立体メッシュニットの荷重一たわみ曲線を示している。

この曲線は、立体メッシュエツトを周囲長 6 5 3 mmに切り取ったものに、 φ 7 6の圧縮板を押圧することにより得られた曲線で、ウレタン等の弾性材に比べ非線形のきれいな曲線となっている。また、ヒステリシスが大きいことから、自動車用シートに採用すると、外部からの振動エネルギを効率的に吸収することができる。

図 1 3乃至図 1 6は、従来のシートクッションと本発明のクッション部材を採用したシートクッションとに着座した時の体圧分布を示しており、図 1 3及び図 1 4は体重 3 7 k gの人が従来のシ一トクッションと本発明のクッション部材を採用したシートクッションに着座した場合の体圧分布をそれぞれ示しており、図 1 5及び図 1 6は体重 9 3 k gの人が従来のシートクッションと本発明のクッシヨン部材を採用したシートクッションに着座した場合の体圧分布をそれぞれ示している。

ここで、従来のシートクッションとは、縦編みと横編みのベルト状のものに異物感のある部位あるいは支持圧を変える部位に局部的にウレタン系パッドを装着したものである。

図 1 3及び図 1 4に示されるように、体重 3 7 k gの人が着座した場合、従来のシートクッションに加わる荷重のピーク値（矢印）より本発明のクッション部材を採用したシートクッションに加わる荷重のピーク値（矢印）はかなり低減しており、実測では約 1ノ 3近く低減していた。

また、図 1 5及び図 1 6に示されるように、体重 9 3 k gの人が着座した場合も、従来のシートクッションに加わる荷重のピーク値（矢印）より本発明のクッション部材を採用したシートクッションに加わる荷重のピーク値（矢印）はかなり低減しており、実測では約 1 / 3近く低減していた。

さらに、立体メッシュニットをネット状表皮として使用した本発明にかかるクッション部材は、上部及び下部メッシュ層 2 4， 2 6をハニカム状に形成するとともに、多数のパイル 2 8の各々を 1本の太い糸で形成し、かつ、トラス構造にしていることから、次のような特徴を有している。

( 1 ) 個々のパイルが弾性機能を有しているので、材質、繊維太さ、組織、機械的特性を変えることにより硬度、弾力、フィット性をコントロールすることができる。

( 2 ) ハニカム形状の形状記憶機能を利用することにより、復元性を高め、へたりにくくすることができる。

( 3 ) トラス構造により、へたりにくい薄型の弾性構造物を形成し、圧力分散と吸収及びフィット性の向上を図ることができる。

( 4 ) ハニカム ' トラス構造の各部が独立した均一なクッション部材であるため、体圧分散（低圧で均一な体圧分布）に優れ、体格差を吸収するとともに、やせ形で肉付きの悪い人に対しては比較的疲労に対して鈍感な座骨結節部に低圧で体圧集中させることにより前ズレを防止することができる。さらに、体重移動性に優れ、姿勢変化が容易で、かつ、対応しやすく、摩擦剪断力も低減する。

( 5 ) ハ-カム · トラス構造により、ハンモック状態（局部的に圧力が集中し側圧感が強い状態）にならず、自然な姿勢支持が可能となり、ハニカム各部の弾性効果により異物感も減少する。

( 6 ) ハニカム ' トラス構造により気孔構造となり、透湿性と通気性に優れている。

( 7 ) ハニカム ' トラス構造により支持（接触）面積は拡大されている。しかしながら、マクロ的には面状支持となっているもののミクロ的には線状支持となっておりムレない構造である。

( 8 ) フレーム形状と薄型高弾性部材により表皮とパッドを無くしながらも、異物感を減少させている。

( 9 ) ハニカム ' トラス構造により強度アップになっている。

本発明にかかるネット状表皮を有するクッション部材は上記特徴を有しているので、例えばシート等に採用することにより、大腿部までの血行障害、神経障害、腰椎障害等を防止することができ、発汗、皮膚温度の適正化を図るとともに、筋肉組織を保護することができる。

なお、上記実施形態において、本発明にかかるネット状表皮を有するクッシヨン部材は、シートクッションとシートバックの両方に採用されているが、いずれか一方にのみ採用してもよい。また、シートバックに取り付けられたへッドレストやべッド等にも本発明のクッシヨン部材を採用することもできる。また、本発明のクッション部材は、掛け心地がソフトで通常使用域でばね定数がソフトであるため、薄型で剛性が高くても振動が伝達されにくいことから自動車用シートとして使用できるばかりでなく、全天候型であることから自動二輪車用のシートにも使用できる。

本発明にかかるクッション部材には数多くの変形例が考えられるが、その変形例につき以下説明する。

図 1 7は、上部及び下部メッシュ層 2 4， 2 6として使用される種々の基布組織を模式的に示しており、（a ) は図 4に示されるハ-カム状（六角形）メッシュを、（b ) は菱形メッシュを、（c ) は鎖揷入組織をそれぞれ示している。

また、図 1 8は、上部及び下部メッシュ層 24， 26を結合するパイル組織を模式的に示しており、（a) は図 5に対応するストレート状組織を、（b) は 8の字ストレート状組織を、（c) はクロス状組織を、（d) は 8の字クロス状組織をそれぞれ示している。

図 1 9及び図 20は、本発明にかかるネット状表皮を有するクッション部材にディスク（Φ 200) を押圧することにより得られた静特性を示すグラフで、上部メッシュ層 24として図 1 7 (a) に示されるハニカム状メッシュの基布組織を採用する一方、下部メッシュ層 26として図 1 7 (c) に示される鎖挿入組織の基布組織を採用するとともに、パイル組織として、ある方向に対し図 1 8 ( a ) のストレート状組織を、この方向に直交する方向に対し図 1 8 (c) のクロス状組織を採用したものである。ネット状表皮としては、品番 0 900 2 D及び D 9002 8— 5 (詳細については後述）のものを採用している。

図 1 9及び図 20のグラフから分かるように、荷重が小さい領域のばね定数を k 1、平衡点廻りを含む通常使用域のばね定数を k 2、荷重が大きい領域のばね定数を k 3とすると、

k 3 >k l >k 2

の関係があり、通常使用域のばね定数を最も小さく設定することができる。上記関係式において、ネット状表皮に加わる荷重が小さい時は、上部メッシュ層 24の基布組織の変形が静特性に大きく影響しており、上部メッシュ層がばね定数 k 1に大きく寄与している。また、通常使用域及び荷重が大きい領域においては、上部メッシュ層 24の変形後、パイル層の変形がばね定数 k 2及び k 3に大きく寄与しており、特に特定方向に対しパイル組織をクロス状としたことで、想定される負荷質量に対し上部及び下部メッシュ層間に空間が確保できる剛性が付与されたことに起因している。

表 2は、上部メッシュ層 24、下部メッシュ層 26、及び、パイル層を形成するパイル 2 8として使用した材料及び他の種々の材料の物性値を示している。

表 2

備考（* 1) 試料サイズ 50 X50 mm 荷重時間 10分放置時間 10分

また、図 2 1は、図 1 9の静特性を示すネット状表皮と図 2 0の静特性を示すネット状表皮を積層した場合の静特性を示しており、積層することによりばね定数が全体として小さくなることから、積層数を増減することによりばね定数を自由にコントロールすることができる。さらに、底付きまでのストロークが増大し、パイル 1本に負荷される荷重が軽減されることにより底付き感も軽減される。

図 2 2乃至図 2 4に示されるグラフは、荷重一たわみ特性と、過渡応答及び周波数応答との関係を模式化したものであり、図 2 2の線型ばね系に比べ、図 2 3及び図 2 4の非線型ばね系の過渡応答及び周波数応答は改善されている。さらに詳述すると、線型ばね系に比べ、平衡点廻りのばね定数が小さい非線型ばね系は、入力の変化に対し加速度及び変位の減衰が早く定常状態に達する時間が短い。この傾向は、平衡点廻りのばね定数が小さいほど顕著である。また、共振周波数 f 。は、

で表されることから、平衡点廻りのばね定数が小さくなるにつれて共振点が低周波側に移行する。すなわち、ばね定数をソフトにすることで共振点が下がり、ダンパーなしでも減衰し、ばね定数が 0の場合には共振点が完全になくなり減衰が始まる。

図 2 5は、本発明にかかるネット状表皮を有するシートと、従来のウレタン (厚み： 5 0 m m) を使用したシートにランダム波が入力された場合の動特性を示すグラフであり、動特性に関しては全体としてほとんど差異が見られない。図 2 6は、ネット状表皮にワイヤ等の剛性部材 4 0を矩形状に挿入し、ばね感を強くしたものである。なお、剛性部材 4 0の両端部に位置するパイルを溶着することにより剛性部材 4 0の抜け止めを行っている。

図 2 6 ( b ) に示されるように、ネット状表皮に荷重 mが加わると、 X—パィル（互いにクロスしたパイル）に軸方向の分力が作用するとともに、上部メッシュ層 2 4に水平分力が作用するが、ネット状表皮の面剛性が増大することにより上部メッシュ層 2 4に作用する水平分力が特に面剛性の影響を受け、底付き感を軽減する。

図 2 7は、表 2に示される品番 0 9 0 0 1 Dのネット状表皮にディスク ( φ 2 0 0 ) を押圧した場合の静特性を示すグラフで、図 2 8及び図 2 9は、剛性部材 4 0としてワイヤ（φ 6 ) を挿入した場合の静特性を示すグラフである。なお、図 2 8及び図 2 9に記載の Large及び Smal lは、揷入されるワイヤの間隔を示しており、図 2 6 ( a ) に対応している。

図 2 7乃至図 2 9のグラフから分かるように、ばね定数は全体として大きくなり面剛性が増大することにより耐荷重域が増大し、底付き感が軽減される。また、剛性部材の代わりに弾性部材を使用することにより、その弾性も利用できる。

図 3 0は、ネット状表皮を有するクッション部材の 2箇所に所定の間隔で P B T (ポリプチルテレフタレート）等の樹脂弾性部材 4 2を振動溶着したもので、図 3 1は、このクッション部材にディスク（0 2 0 0 ) を押圧することにより得られた静特性を示すグラフである。 .

図 3 1のグラフと図 2 0のグラフを比較すると分かるように、剛性部材を矩形状に挿入した場合と同様、通常使用域のばね定数が大きくなるとともに通常使用域の範囲が拡大し、底付き感が軽減される。

図 3 2は、本発明にかかるネット状表皮をシートクッション 4 4及びシートノくック 4 6の一部に採用したシート S 1を示している。

図 3 2及び図 3 3に示されるように、ネット状表皮 4 8は、その周縁が弾性部材 5 0に振動溶着されており、ネット状表皮 4 8の周縁と弾性部材 5 0はパットあるいはトリム 5 2に縫製により接合されるとともに、トリム 5 2はさらにサイド表皮 5 4に縫製により接合されている。弾性部材 5 0としては、ポリプロピレン等の樹脂、ヮデイング（硬質のパッド）、基布等が好ましい。また、図 3 4に示されるように、ネット状表皮 4 8をクリップ等の係止部材 5 6に対し縫製（仮縫い）により位置決めした後、ネット状表皮 4 8の周縁を係止部材 5 6に振動溶着により接合し、フレームの一部 5 8に固定してもよい。この構成は、ネット状表皮 4 8に加わる大荷重を振動溶着部で受け持つことができる。

さらに、図 3 5に示されるように、フレームの被係止部 6 2に係止部材 5 6 を係止したり、図 3 6に示されるように、ネット状表皮の周縁に振動溶着した剛性部材 5 0を被係止部 6 2に挿入し、棒状のガイドを有するフレームを利用することにより張り治具を使用することなくネット状表皮に所定のテンションを付与することもできる。

また、図 3 7及び図 3 8に示されるように、ネット状表皮の下部メッシュ層 2 6のみを係止部材 5 6に縫製及び振動溶着するとともに、上部及び下部メッシュ層 2 4， 2 6を結合するパイル層 2 8を縫製部のみ圧縮した状態で、ネット上表皮の周縁をサイド表皮 6 0の一端部とともに縫製してもよい。この場合、サイド表皮 6 0の他端部を剛性部材 5 0に縫製及び振動溶着し、係止部材 5 6 とともにフレームの被係止部 6 2に係止することができる。

この構成は、パイル層 2 8の縫製部以外が非圧縮状態にあるので、ネットを張ることによるパイルの圧縮を防止することができ、着座者はパイルのたわみにより荷重が分散され、フレーム等の異物感を受けることもない。

なお、下部メッシュ層 2 6と係止部材 5 6とは、縫製及び振動溶着以外にも、図 3 9に示されるように、下部メッシュ層 2 6の端部に係止部材 5 6を押し出し成形あるいは射出成形することにより一体的に接合することもできる。

次に、本発明にかかるネット状表皮を複数積層したシートについて、図 4 0 乃至図 4 3を参照して説明する。

図 4 0乃至図 4 2に示されるシート S 2は、パイプフレーム 6 4に複数枚積層されたネット上表皮を有するシートクッション 6 6と、同様に複数枚積層されたネット上表皮を有するシートバック 6 8とを備えている。図 4 3に示されるように、シ一トクッション 6 6及びシートバック 6 8の各々は、第 1層 7 0、第 2層 7 2、第 3層 7 4、第 4層 7 6、第 5層 7 8、第 6 層 8 0としてネット上表皮が採用しており、各層がこの順番で順次積層されている。第 6層のネット状表皮 8 0には、図 2 6に示されるように、剛性部材 4 0が揷入されている。また、第 2層 7 2〜第 6層 8 0のいずれか 1層をウレタン層とすることもできる。

通常、薄いウレタン層では、底付き感が発生し、ばね構造を付与するか、さらに高弾性ウレタンと組み合わせることになる。これらの対策を施すと、全体のクッション厚が大きくなるが、ネットとウレタンを組み合わせることにより、従来よりも薄型で底付き感対応が可能となる。

また、図 4 4に示されるように、図 4 3に示される第 2層 7 2〜第 5層 7 8 に代えて、ロール状にしたネット状表皮 8 2を複数（図 4 2では五つ）並置することもできる。

図 4 3に示されるようにネット状表皮を複数積層した構成、あるいは、図 4 4に示されるようにネット状表皮をロール状にしたものを並置した構成は、シ ―トの底付き感を軽減するとともに、ばね定数の減少により共振点廻りの振動特性が改善される。また、減衰材、粘弾性ウレタン、高弾性ウレタン、低反発ゥレタン等の異種特性材を装入することにより、共振点廻りの振動特性をさらに改善することが可能となる。さらに、ストローク感のあるソフトな座り心地にすることができ、初期フィーリングを向上することができる。

次に、本発明にかかるネット状表皮を有するシートに着座した場合の体圧分布について説明する。

図 4 5及び図 4 6は、上部及び下部メッシュ層 2 4， 2 6としてハニカム面を採用し、ワイヤを挿入しない場合と、図 2 6に示されるように挿入した場合 (ワイヤ間隔大）の体圧分布（被験者体重： 5 0 k g ) をそれぞれ示している。また、図 4 7及び図 4 8は、上部及び下部メッシュ層 2 4， 2 6としてハニカム面を採用し、同様に、ワイヤを挿入しない場合と挿入した場合（ワイヤ間隔小）の体圧分布（被験者体重： 5 0 k g ) をそれぞれ示している。図 4 5乃至図 4 8のグラフからわかるように、ワイヤを挿入することによりネット状表皮を有するクッション部材の面剛性が上昇し、体圧が分散することから局部圧が減少する。

さらに、図 4 9及び図 5 0は、図 1 9の静特性を示すネット状表皮と図 2 0 の静特性を示すネット状表皮を積層し、樹脂部材を振動溶着しない場合と、図 3 0に示されるように振動溶着した（下層のみ）場合のものに着座した場合の体圧分布（被験者体重： 5 0 k g ) を示している。両図に示されるように、樹脂部材を振動溶着することによりパイル層を形成する各パイルが倒れにくくなり、体圧が分散し局部圧が減少する。また、樹脂部材の弾性も利用でき、クッシヨン部材の全体弾性が改善され、底付き感の軽減にも寄与する。

図 5 1及び図 5 2は、クッション材としてウレタンを主に採用した従来の車椅子と、図 4 3に示される積層構造を採用した車椅子の着座した場合の体圧分布（被験者体重： 5 0 k g ) をそれぞれ示しており、本発明にかかるクッション部材の積層構造は、体圧を効率的に分散し局部圧が減少している。

また、図 5 3及び図 5 4は、従来の車椅子と、図 4 3に示される積層構造を採用した車椅子に着座した場合の体圧分布（被験者体重： 7 4 k g ) をそれぞれ示しており、本発明にかかるクッション部材の積層構造は、被験者の体重に関係なく体圧を効率的に分散し局部圧が減少している。

次に、従来の車椅子と本発明にかかるクッション部材の積層構造を有する車椅子に着座した場合の温度及び湿度特性について説明する。

図 5 5は温度及び湿度特性を調べた部位を示しており、図 5 6及び図 5 7は被験者が汗かきの場合のボイント Cushion- Aにおける特性で、図 5 8及び図 5 9 は通常（汗かきでない）の被験者のポイント Back- Aにおける特性をそれぞれ示している。なお、雰囲気温度及び湿度は、それぞれ 3 5 °C、 6 5 %であった。図 5 6乃至図 5 7のグラフからわかるように、本発明にかかる車椅子は通気性及び放熱性に優れていることから、従来の車椅子に比べ、温度特性及ぴ湿度特性のいずれも改善されている。

また、ポィント Cushion- A及びポィント Back- A以外のポィント Cushion- Bあるいはポイント Back- Bにおいても同様の傾向が認められ、被験者に関係なくすベてのポイントにおいて温度および湿度特性が改善されている。特に、汗かきの被験者の場合、汗が気化する際体温が奪われることにより、官能面では非常に涼しく感じ、快適である。

本発明は、以上説明したように構成されているので、以下に記載されるような効果を奏する。

本発明にかかるネット状表皮を有するクッション部材は、フレームにネット状表皮を張設したので、通気性が向上し、シートあるいはベッドに採用することによりシートあるいはベッド全体の軽量化を図ることができる。また、ネット状表皮を上部メッシュ層と下部メッシュ層と上部及び下部メッシュ層を結合する多数のパイルを有するパイル層との 3層構造とし、各パイルを 1本の糸で形成したので、個々のパイルが弾性的に作用し、所定のクッション性を確保することができる。

また、フレームとネット状表皮を熱可塑性樹脂製とし、両者を振動溶着により接合すると、フレームとネット状表皮とを短時間で容易かつネット上表皮の糸の機械的物性を低下させることなく強力に溶着することができる。また、フレームとネット状表皮がともに熱可塑性樹脂製であることから、全天候型シートを実現することができ、雨水等に晒される'自動二輪車等のシートにも採用することができる。

さらに、ネット状表皮を熱可塑性樹脂製とし、ネット状表皮と少なくとも一つの熱可塑性樹脂製押さえ部材を振動溶着により接合した後、押さえ部材をフレームに固定するようにすると、金属製フレームを採用することができ、衝撃荷重を受ける虞れのある自動車用シートとして使用することができる。また、ネット状表皮が傷んだ場合には、表皮と押さえ部材を一体的に交換することができる。また、ネット状表皮の周囲を紐で押さえ部材に固定した後、押さえ部材をフレームに固定すると、押さえ部材とフレームに任意の材料を選択することがでさる。

また、ネット状表皮の周囲にインサート成形で樹脂製フレームを形成し、この樹脂製フレームを上記フレームに固定すると、上記フレームとして金属製フレームを採用することができ、自動車用シートとして使用することができる。この場合、ネット状表皮が傷んだ場合には、表皮と押さえ部材を一体的に交換することができる。

さらに、パイル層を所定の方向から見てクロス状組織にすると、各パイルの倒れの方向性がなくなり剛性が増大するとともに縫製も可能である。

また、非線型の静荷重一たわみ特性を有し、平衡点廻りを含む通常使用域のばね定数を最も小さく設定したので、過渡応答特性及び周波数応答特性を改善することができる。すなわち、入力の変化に対し加速度及び変位の減衰が早く定常状態に達する時間を短くすることができる。

また、所定の間隔で剛性部材あるいは弾性部材を設けると、ネット状表皮の面剛性あるいは全体剛性が増大し、底付き感が軽減される。

ネット状表皮の周縁に係止部材を縫製と振動溶着により取り付け、係止部材をシ一トの一部に取り付けると、係止部材のネット状表皮に対する位置決めを縫製により行うことができるとともに、振動溶着によりシートに加わる大荷重を受け持つことができる。

また、係止部材を下部メッシュ層の周縁に取り付け、縫製部以外のパイル層を非圧縮状態に保持して係止部材をシ一トの一部に取り付けると、ネット状表皮の周縁で異物感を受けることもない。この場合、係止部材は下部メッシュ層の周縁に押し出し成形、射出成形等により容易に取り付けることができる。

さらに、ネット状表皮を複数枚積層したり、あるいは、ロール状にしたものを複数並置すると、従来構造よりも薄型で底付き感が軽減するとともに共振点廻りの振動特性を改善することができる。

Claims

請求の範囲

1 . フレームと、該フレームに張設されたネット状表皮を有し、該ネット状表皮を、上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層を結合する多数のパイルを有するパイル層とで構成し、上記パイルの各々を 1本の糸で形成したことを特徴とするネット状表皮を有するクッション部材。

2 . 上記フレームと上記ネット状表皮を熱可塑性樹脂製とし、両者を振動溶着により接合した請求項 1に記載のネット状表皮を有するクッション部材。

3 . 上記フレームを金属製とする一方、上記ネット状表皮を熱可塑性樹脂製とし、上記ネット状表皮と少なくとも一つの熱可塑性樹脂製押さえ部材を振動溶着により接合した後、上記押さえ部材を上記フレームに固定するようにした請求項 1に記載のネット状表皮を有するクッション部材。

4 . 上記ネット状表皮の周囲を紐で押さえ部材に固定した後、該押さえ部材を上記フレームに固定するようにした請求項 1に記載のネット状表皮を有するクッション部材。

5 . 上記ネット状表皮の周囲にインサート成形で樹脂製フレームを形成し、該樹脂製フレームを上記フレームに固定するようにした請求項 1に記載のネット状表皮を有するクッション部材。

6 . シートクッションとシートバックとを有するシートにおいて、上記シートクッションとシートバックの少なくとも一方が、フレームと、該フレームに張設されたネット状表皮を有し、該ネット状表皮を、上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層を結合する多数のパイルを有するパイル層とで構成し、上記パイルの各々を 1本の糸で形成したことを特徴とするネット状表皮を有するシート。

7 . 上記フレームと上記ネット状表皮を熱可塑性樹脂製とし、両者を振動溶着により接合した請求項 6に記載のネット状表皮を有するシート。

8 . 上記フレームを金属製とする一方、上記ネット状表皮を熱可塑性樹脂製とし、上記ネット状表皮と少なくとも一つの熱可塑性樹脂製押さえ部材を振動溶着により接合した後、上記押さえ部材を上記フレームに固定するようにした請求項 6に記載のネット状表皮を有するシート。

9 . 上記ネット状表皮の周囲を紐で押さえ部材に固定した後、該押さえ部材を上記フレームに固定するようにした請求項 6に記載のネット状表皮を有するシート。

1 0 . 上記ネット状表皮の周囲にインサート成形で樹脂製フレームを形成し、該樹脂製フレームを上記フレームに固定するようにした請求項 6に記載のネット状表皮を有するシート。

1 1 . シートクッションとシートバックとヘッドレストを有するシートにおいて、上記シートクッションとシ一トノックとへッドレストの少なくとも一つが、フレームと、該フレームに張設されたネット状表皮を有し、該ネット状表皮を、上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層を結合する多数のパイルを有するパイル層とで構成し、上記パイルの各々を 1本の糸で形成したことを特徴とするネット状表皮を有するシート。

1 2 . 上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層とを結合する多数のパイルを有するパイル層からなる 3層構造のネット状表皮を有し、上記パイルの各々を一本の糸で形成すると共に、上記パイル層が所定の方向から見てクロス状組織を呈していることを特徴とするネット状表皮を有するクッション部材。

1 3 . 非線型の静荷重一たわみ特性を有し、通常使用域と、該通常使用域よりも小荷重の領域と、上記通常使用域よりも大荷重の領域の少なくとも 3段階のばね定数を持ち、上記通常使用域のばね定数が最も小さいことを特徴とする請求項 1 2に記載のネット状表皮を有するクッション部材。

1 4 . 少なくとも 1方向に所定の間隔で剛性部材あるいは弾性部材を設け、上記上部メッシュ層の面剛性あるいは弾性を増加させた請求項 1 2に記載のネット状表皮を有するクッション部材。 ―

1 5 . 上記ネット状表皮の周縁に係止部材を振動溶着により取り付け、該係止部材をシートの一部に取り付けるようにした請求項 1 2に記載のネット状表皮を有するクッション部材。

1 6 . 上記下部メッシュ層の周縁に係止部材を取り付け、上記パイル層を圧縮しない状態で上記係止部材をシ一トの一部に取り付けるようにした請求項 1 2に記載のネット状表皮を有するクッション部材。

1 7 . 上記係止部材を上記下部メッシュ層の周縁に押し出し成形により取り付けた請求項 1 6に記載のネット上表皮を有するクッション部材。

1 8 . 上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層とを結合する多数のパイルを有するパイル層からなる 3層構造のネット状表皮を複数積層し、上記パイルの各々を一本の糸で形成すると共に、上記パイル層が所定の方向から見てクロス状糸且織を呈していることを特徴とするネット状表皮を有するシート。

1 9 . 上部メッシュ層と、下部メッシュ層と、該上部及び下部メッシュ層とを結合する多数のパイルを有するパイル層からなる 3層構造のネット状表皮を口ール状に形成し、ロール状にしたネット状表皮を複数並置し、上記パイルの各々を一本の糸で形成すると共に、上記パイル層が所定の方向から見てクロス状組織を呈していることを特徴とするネット状表皮を有するシート。