JP3974856B2 - シート - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、クッション材として三次元立体編物を用いた、自動車、列車等の乗物用シート、事務用又は家具用椅子等の各種のシートに関する。
背景技術
近年、薄型で、高いクッション性を発揮できると共に、多数の空隙を有し、通気性に優れた三次元構造のネット材(三次元立体編物)を用いた乗物用シートが知られている。この三次元立体編物は、互いに離間して配置した一対のグランド編地間を多数の連結糸で結合し、トラス構造(三次元構造)としたもので、へたりにくい弾性構造物となっており、通気性、体圧分散特性、衝撃吸収特性等に優れ、薄型でありながら、クッション材として汎用されている高弾性ポリウレタンフォームに近似した特性を発揮することができる。
ところで、乗物用シート等のクッション材は、一般に、剛性が高いと、座骨結節下付近の筋肉部に人体荷重が集中して座り心地が悪く、長時間着座した場合にはしびれが発生する。
一方、乗り心地に大きく影響を与えるのは、上下振動により骨格自体を上下に揺らす5Hz近辺の揺動と2Hz以下の前後揺動であることが知られていることから、クッション材としては、共振峰がこの範囲外であって、しかも内臓との共振となる6〜8Hzの振動伝達率が低い特性を有するものが理想的と考えられる。
本発明はかかる点に鑑みなされたものであり、薄型かつ軽量で、上記した優れた特性を備えた三次元立体編物をクッション材として用いると共に、座骨結節下における荷重集中を緩和して座り心地を改善し、長時間着座におけるしびれの発生を減らすことができ、しかも入力振動に伴う人体への振動の伝達特性を従来よりも向上させることができるシートを提供することを課題とする。
発明の開示
上記した課題を解決するため、本発明者らは次のような点に着目した。
まず、座骨結節下における荷重の集中及びそれに伴うしびれは、クッション材の剛性が高いことにより、着座時におけるクッション材の変形に比し、押圧する人体部位の筋肉(皮膚も含む)の変形量が大きいことによって生じると考えた。なお、人体部位の筋肉は、衣服等を介してクッション材に接触することになるが、衣服等は無視できるので、以下では「押圧」に代えて「接触」の語を用いる場合もある。
すなわち、図4に示したように、クッション材に荷重(体重)Wが作用する場合において、クッション材のばね定数k1と臀部における筋肉の等価ばね定数k2との直列結合を考えると、クッション材のたわみx1は、x1=W/k1で表され、臀部のたわみx2は、x2=W/k2で表される。このため、k1>k2の場合には、臀部のたわみx2の方が大きくなり、座骨結節下における荷重の集中やしびれが生じ易くなる。
従って、クッション材のばね定数が臀部の筋肉のばね定数よりも小さくなるほど、クッション材のたわみx1の方が大きくなる。このため、クッション材として、そのばね定数が、接触(押圧)する人体部位のばね定数と略同じかそれよりも小さな値の部位を有するものを用いることにより、座骨結節下の荷重集中を緩和し、しびれの発生を減少させると考えられる。また、上記のような部位を形成することにより、人体の筋肉部を振動系の構成材として考えた場合には、動吸振器的効果を有する2自由度の振動モデルとなり、振動伝達特性も改善されると考えられる。ここで、動吸振器的効果は、主として胴体からなる制振対象物に対して、大腿部が制振対象物の振動をアクティブに制振する動吸振器として作用し、制振対象物を制振することである。
一方、「ばね定数」は、荷重とたわみ量との相関関係で求められる。しかし、人がシートに着座した状態を平衡点として考える座骨結節回りの微小領域(単位面積当たりの領域)における評価を踏まえると、圧力変動を入力変数として捉えて変位を出力とする、荷重を圧力値に置き換えたコンプライアンス、すなわち「たわみ量/圧力値」で計算される「弾性コンプライアンス」を指標として用いることが有効である。従って、ばね定数として、接触(押圧)する人体部位と略同等かそれよりも小さな値の部位を設けるということは、クッション材として、その弾性コンプライアンスが、接触する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等かそれよりも大きい値の部位を有する構造に設定すると言い換えることができる。
図22に、直径98mmの加圧板を用い、座骨から大腿部付近で測定した加圧板の圧力に対する筋肉のたわみ特性を示す。この特性から、臀部と大腿部との特性変化が小さいことが理解できる。また、この特性の傾き(たわみ量/圧力値)が弾性コンプライアンスである。この弾性コンプライアンスの詳細については後述する。
この直径98mmの加圧板について説明する。まず、体幹部の質量が座部の座骨結節回りに集中すると仮定する。2つの座骨結節間は、成年男子で100mm〜115mm、成年女子で110mm〜130mmであることが知られている。
そこで、体圧分布のデータを検証する際に、直径100mm以下の加圧板で部分剛性を測定することを考える。体重の80%が座骨結節回りに集中すると仮定し、体重60kgでは直径200mmの加圧板で45kgを支持するとする。この値を圧力値に置き換えると143g/cmとなる。この場合、直径98mmの加圧板2個では21.57kgの荷重を支持することになる。この値は、一般的な座り心地のよいシートの最大圧力値を180〜200g/cmに仮定した場合の直径98mm加圧板の範囲内の値であり、図36に示すように、体圧分布計で実験的に求めた単位面積当たりの圧力値を直径98mmの面積で積分した荷重平均値に近似する。
そこで、体重120kgについて考えると、直径98mmの加圧板1個では21.57kgを負荷することと同一になる。したがって、部分剛性については上記直径98mm加圧板(最大負荷荷重20kg)の条件で計測を行なこととした。また、毛細血管圧値から基準値と考えた80g/cm以上の圧力範囲は、直径98mm加圧板の範囲に集中することも実験的に確認した。さらに、痩せ型の人の圧力値の方が肥満型の圧力値より高くなることも検証した。したがって、筋肉のたわみ特性等を検証するに際して、直径98mmの加圧板を用いてことは妥当性がある。
また、ポリウレタンフォームを用いて座部を形成した場合、通常、座骨結節下が柔らかく、前縁部に向かうほど、硬くなるばね感で形成される。しかしながら、座部の前縁部は、大腿部の裏側を圧迫し、神経系の圧迫や血流障害を生じさせるおそれがあるため、大腿部との接触面積(直径98mmの加圧板面積に略相当)に対する弾性コンプライアンスが、座骨結節下付近における略同じ接触面積に対する弾性コンプライアンスよりも大きく、ばね定数で言えば、座骨結節下付近よりも前縁部のばね定数の方が小さく、反力の小さな特性を備えていることが望まれる。特に、自動車用シートとして用いる場合には、円滑なペダル操作を実現するためにも、前縁部におけるばね性はそれほど大きなものでないことが望ましい。
座骨結節下における弾性コンプライアンス特性を、接触する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等に設定し、前縁部付近における弾性コンプライアンス特性を、座骨結節下の弾性コンプライアンスより大きな弾性コンプライアンスに設定することにより、非線形な変化特性でありながら、ヒステリシスロスが大きいため、荷重的なへたりが発生し、それにより人体への反力を小さくでき、上記のように、座骨結節下におけるしびれ防止、大腿部の血流阻害の防止等を図ることができる。
その一方、座骨結節下よりも約100mm程度前方の骨盤前部においては、当該部位における弾性コンプライアンスを、接触する人体部位の弾性コンプライアンスよりも小さくする一方で、座骨結節下付近よりも線形性の高い特性に設定することによって、骨盤前部付近に堰の役割を果たす部位が形成され、それにより、相対的に人体の座骨部の沈み込みを大きくとることが可能となり、座骨部の回転を防止して着座姿勢の安定感を高めると共に、着座状態の人体の垂直方向荷重の重心位置である座骨結節下に、入力に対応して復元力を持たせるばね系が集中配置されることになるため、復元力の効率がよくなり、小さな周波数帯で相対変位を大きくでき、逆位相による振動低減が可能となると考えられる。
以上のことをまとめると、下記表1に示すようになる。
Figure 0003974856
Figure 0003974856
また、振動周波数に対して筋肉のばね定数kと減衰係数cとを知ることは、クッション材の特性を設定する上で重要になる。ここでは、成人男性4名の臀部のばね定数k及び減衰係数cの周波数特性を簡易的な加振実験によって調べた。
実験は、図31に示すように、370mm×520mm×320mmの大きさの架台に布ばねを張設して構成した座部に着座し、正弦波形の周波数を2Hzから10Hzまで1Hz刻みで変化させて加振した。この時の布ばねの裏側から測定した座骨結節下のたわみ、座骨結節下に取り付けた小型の加速度センサ出力、及び体重の80%の質量を基に、図32に示す1自由度の振動モデルを想定して、実験によって得られた状態量を用いて動ばね定数kと減衰係数cとを同定した。図30A、30BにJM85(日本人男性、体重85kg)のばね定数k及び減衰係数cの周波数特性を示す。
また、布ばねの裏側からショアーA硬度計で臀部の硬度を測定した。測定した硬度と着座姿勢における臀部の硬度とが同じであったことから、布ばねのばね定数が筋肉のばね定数に比べて充分に無視できるので、図30A、30Bの周波数特性は、等価的に臀部のばね定数kと減衰係数cの特性であるとみなすことができる。
ばね定数kは、図30Aに示すように、3Hzから6Hzにかけて減少し、6Hz付近で負の値になる。その後、9Hz付近で最大となる特性である。一方、減衰係数cは、図30Bに示すように、ばね定数kが負となる6Hz及び7Hz付近で減衰係数が大きくなる特性である。ここで、6Hz付近でばね定数kが負になる理由としては、図33に示した臀部筋肉のたわみの周波数特性に示すように、4Hz及び9Hz付近に2つの上下方向の共振が存在し、6Hz付近で反共振が発生したためであると考えられる。そして、各々の共振は、臀部筋肉のばね定数kに対して、上体の質量とで4Hz付近に、腰部の質量とで9Hz付近に生じたものと推測される。ただし、これらの共振周波数は、JM85の例であり、体重の軽い人の場合には、各々の共振周波数は高くなる。
このように、10Hz以下の臀部の筋肉特性は、人体の座位姿勢における2自由度の振動系によりばね定数kと減衰係数cとが振動周波数に依存することが明らかとなった。すなわち、クッション荷重が最も集中する座骨結節下の筋肉のばね定数が、4〜6Hzでゼロに近い特性になっているので、クッションと接触する座骨結節回りの筋肉をつぶさないようにするばね定数の設定が重要となる。そのためには、座骨結節回り(例えば、直径30mmの面積)で接触するクッションのばね定数を極力小さくすると共に、その周囲(例えば、直径98mmの接触面積)で荷重を分散させるために、座骨結節回りとその周辺とで面剛性を変化させるようなばね定数の設定が必要である。
本発明は、上記の知見に基づいてなされたもので、シートフレームと、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成され、前記シートフレームに支持された三次元立体編物を含むクッション材とを具備するシートであって、前記クッション材が、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位と、前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有する第2部位とを備えていることを特徴とする。
上記第2部位は、着座時にクッション材を縮める側に作用する荷重と、該荷重によって生じるクッション材の伸び側反力との釣り合い状態からのクッション材の伸び側への微小反力が作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有するように構成することができる。
走行中の路面振動に対しては、着座時の体重とクッション材の反力との釣り合い状態での荷重変動特性が重要になる。本発明において、釣り合い状態から微小反力が作用する際の弾性コンプライアンス特性を、押圧する人体の部位(筋肉)より大きな値を有するようにすることで、クッション材側へのたわみ変動を大きくし、かつ筋肉のたわみ変動を小さくすることができる。これにより、人体への振動刺激を低減させて、乗り心地を向上することができる。
本発明では、釣り合い状態におけるクッション材の弾性コンプライアンスを調べるために、座骨結節下を中心とした直径98mmの領域における平均圧力を基に、釣り合い状態における荷重値を算出し、算出した荷重値と同等の約67Nの質量を持つ直径98mmの加圧板でクッション後端から150mmと250mmの位置に対して、一定周波数の正弦波形で加振を行なった。そして、加圧板の圧力とクッション材のたわみとから釣り合い状態での弾性コンプライアンスを調べた。
ここで、加圧板の圧力は、加圧板の上に取り付けた加速度センサ出力と質量とで慣性力を算出し、算出した慣性力を加圧板の面積で除算することにより得た。また、クッション材のたわみは、加圧板と加振台との相対変位をレーザ変位計で測定して求めた。図34は、座面後端から150mm位置(座骨結節下付近)と250mm位置とで釣り合い状態を模擬した上記の実験結果の一例を示すものである。図34は、3Hzの加圧板の圧力値とたわみとのリサージュ波形を図22の静的な筋肉特性の上に重ねて表示したものである。
また、図35Aに図34のA部を拡大した3Hzのときの特性を示し、図35Bに4Hzのときの特性を示す。
図34から明らかなように、150mm位置及び250mm位置のリサージュ波形の勾配、すなわち弾性コンプライアンスは、約900mm/Nで略同一になっており、この値は静的な筋肉の弾性コンプライアンスと同一になっている。この弾性コンプライアンスは、各周波数についても同様の傾向である。また、直径98mmの加圧板の平均ばね定数kに換算すると、8.3kN/mとなり、図30Aに示した反共振点である6Hz付近を除いて充分に小さいことが分かる。
従って、着座時にクッション材を縮める側に作用する荷重と、該荷重によって生じるクッション材の伸び側反力との釣り合い状態からのクッション材の伸び側への微小反力が作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有するように構成することにより、クッション材の弾性コンプライアンスが臀部筋肉の弾性コンプライアンスよりも充分に大きくなる(ばね定数が充分小さくなる)ので、走行時にクッション材を介して臀部筋肉に伝達される振動エネルギーは、クッション材で殆ど吸収されることになる。その結果、人体への振動刺激が低減し、乗り心地が向上する。
また、第1部位と第2部位とは、第2部位が座部の表層部に位置するように積層させるか、または、第2部位が座部の前縁側に位置しかつ第1部位が着座者の座骨結節下を含む所定領域(座骨結節下付近)に位置するように配置することができる。第1部位と第2部位とを積層させることにより、上記で説明したように人体の筋肉より大きな弾性コンプライアンスを有する部位を介して振動が伝達されるので、人体への振動刺激を低減し、乗り心地を向上することができる。また、第2部位が座部の前縁側に位置するように配置することにより、座骨結節下付近の筋肉のしびれ、及び大腿部の血流阻害を防止することができる。
さらに、第1部位の下側に、上記人体部位の弾性コンプライアンスよりも小さな値を有する部位を設け、第1部位の弾性コンプライアンスを人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有するようにしてもよい。
本発明においては、クッション材に、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有し、かつ座部の着座者の座骨結節下を含む所定領域に位置する第1部位と、第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有し、かつ座部の前縁部付近に位置する第2部位と、第1部位の弾性コンプライアンスより小さな値を有し、かつ座部の着座者の骨盤前部付近に対応する部位に位置する第3部位と、を設けることができる。
また、本発明においては、三次元立体編物を前記シートフレームに張設し、該三次元立体編物より大きさが小さくかつ弾性コンプライアンス特性が略線形な弾性部材の上に、張設された三次元立体編物の一部分を載置することによって、前記クッション材を構成し、下部に前記弾性部材が存在する部位を前記第1部位として構成し、下部に前記弾性部材が存在しない部位を前記第2部位として構成することができる。この場合において、第2部位が座部の前縁側に位置しかつ第1部位が着座者の座骨結節下を含む所定領域に位置するように配置することにより、座骨結節下におけるしびれ、及び大腿部の血流阻害を防止することができる。
上記弾性部材は、座部における着座者の座骨結節下を含む所定領域(座骨結節下付近)を含み、かつ座部の前縁部付近及び該所定領域より後方側を除いた領域、例えば、座部の後端から100mm〜300mmの範囲内に設けることができる。
また、本発明においては、座骨結節下を含む所定領域と前縁部付近との間の骨盤前部付近に対応する部位に、伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性が、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスよりも小さな値を有し、かつ座骨結節下を含む所定領域と比較して線形性の高い変位を示す部位を設けることができる。これにより、臀部の滑りを小さくし、着座時の安定感を高めることができる。
三次元立体編物をシートフレームに張設する場合には、座面後端から座骨結節下を含む所定領域まで所定量たるみ、かつ座骨結節下を含む所定領域と前縁部付近との間の骨盤前部付近に対応する部位がたるまないように張設することができる。この場合、座面後端から座骨結節下を含む所定領域までの間は、座部を構成するシートフレームの全幅に対して5mm〜60mmの余裕幅でたるみ、かつ骨盤前部付近に対応する部位において余裕幅が0〜20mmになるように、三次元立体編物をシートフレームに張設するのが好ましい。
上記弾性部材は、網状弾性部材、面状弾性部材、又は、金属ばねを介して支持された網状若しくは面状弾性部材で構成し、かつそれらの弾性が骨盤前部付近に対応する部位において大きく作用するようにすることができる。
次に、本発明に適用可能な三次元立体編物につい説明する。
三次元立体編物は、面剛性の高い部位と、圧縮変形に対して主たる復元力を発揮する面剛性の低い部位としての主弾性部と、を含むように構成することができる。この場合、三次元立体編物に、圧縮率の異なる2種類以上の部位を設け、圧縮率の高い部位が、圧縮変形に対して主たる復元力を発揮する主弾性部として構成することができる。
三次元立体編物は、主弾性部の圧縮率が20〜90%の範囲、圧縮弾性率が75〜100%の範囲で、かつ主弾性部を構成しない部位との圧縮率の差が5%以上とすることができる。
さらに、三次元立体編物の少なくとも一面に凹凸部を設け、凹部及び凸部のいずれかを主弾性部として形成することができる。この場合、凸部が主弾性部を構成するように、凸部を隣接する凹部間に断面略アーチ状に形成し、この断面略アーチ状の凸部の曲げ方向の弾性を利用可能に形成することができる。
上記三次元立体編物の凸部を面に沿った任意の方向に沿って畝状に形成し、座部、または座部及び背部の両方において、該凸部に沿った長手方向がシートの左右方向を向くように、三次元立体編物をシートフレームに張設することができる。
この三次元立体編物の凸部を格子状又は千鳥状に形成した場合においても、座部、または座部及び背部の両方において、主弾性部の配置密度の高い方向がシートの左右方向を向くように、三次元立体編物をシートフレームに張設するのが効果的である。
三次元立体編物は、シートフレームに伸び率5%未満で張設し、主弾性部の厚さを5〜80mmの範囲とし、または、平面に投影した際の面積で三次元立体編物の主弾性部の単位面積当たりに占める割合が30〜90%/mの範囲なるようにすることができる。
三次元立体編物の主弾性部は、三次元立体編物の編成組織における、連結糸の配設密度、連結糸の太さ、連結糸の長さ、連結糸の材質、グランド編地の編目形状、グランド編地の編目サイズ、グランド編地を構成するグランド糸の材質、連結糸とグランド編地との結合部分における目締力のうちのいずれか1つの要素又は任意の2つ以上の要素の組み合わせによる調製により形成することができる。
また、一対のグランド編地間を近接させた状態でその間の連結糸同士を接合することにより、凹部を形成し、凸部が主弾性部を構成するようにすることができる。三次元立体編物の凹部は、溶着、接着、縫合、融着繊維を用いた接合、振動溶着ののいずれかによりが形成することができる。
また、三次元立体編物は、凹部領域と凸部領域における連結糸の配設密度、連結糸の太さ、連結糸の長さ、連結糸の材質、グランド編地の編目形状、グランド編地の編目サイズ、グランド編地を構成するグランド糸の材質、連結糸とグランド編地との結合部分における目締力のうちのいずれか1つの要素又は任意の2つ以上の要素が異なるように形成することができる。
さらに、三次元立体編物は、凹部領域における連結糸の配設密度が、主弾性部を構成する凸部領域における連結糸の配設密度よりも粗となるように形成することができる。
三次元立体編物は、上記互いに離間して配置された一対のグランド編地を、フラットな編地組織で形成された第1のグランド編地と、所定間隔隔てて所定方向に延在するように配列された複数の帯状編地部を備えた第2のグランド編地と、で構成し、帯状編地部と第1のグランド編地の該帯状編地部に対向する部位、該帯状編地部と第1のグランド編地の該帯状編地部に隣接する帯状編地部間の空隙の各々に対向する部位、及び、該帯状編地部と第1のグランド編地の該帯状編地部に隣接する他の帯状編地部の各々に対向する部位において、複数の帯状編地部の各々を連結糸で連結することによって構成することができる。このように構成した場合、連結糸で連結した部分が、畝状の凸部として構成される。
この三次元立体編物では、帯状編地部と第1のグランド編地の該帯状編地部に対向する部位との間の幅方向中間部に、連結糸が存在しない中空部を設けたり、帯状編地部の縁部の各々が、第1のグランド編地に接近するように加工し、帯状編地部の各々が凸部を構成するようにすることができる。このように構成することにより、弾性コンプライアンスを更に大きくすることができる。
帯状編地部の延在する方向に所定間隔隔てた複数の部位の各々において、隣接する帯状編地部の各々を連絡する複数の連絡部を更に設けることもできる。
本発明に適用可能な三次元立体編物は、人間の筋肉に近似した弾性コンプライアンス特性を有するように構成するのが好ましい。
以上説明したように、本発明のクッション材は、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位と、前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有する第2部位とを備えている。
従って、薄型かつ軽量なシートを提供できると共に、座骨結節下における荷重集中を緩和して座り心地を改善し、長時間着座におけるしびれの発生を減らすことができると共に、振動伝達特性を改善することができる。
また、前縁部付近の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンスを座骨結節下付近よりも大きくした場合には、大腿部の血流阻害を防止し、自動車用のシートとして用いた場合のペダル操作の円滑性を向上させることができる。
さらに、骨盤前部付近の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性の線形性を高め、弾性コンプライアンスを座骨結節下付近(座骨結節下を含む所定領域)の弾性コンプライアンスよりも小さな構造とすることにより、臀部の滑りを小さくし、着座時の安定感を高めることができる。
発明を実施するための最良の形態
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は本実施形態のシート10の構造を示す一部切り欠き斜視図であり、この図に示したように、本実施形態のシート10は、シートフレーム20と、このシートフレーム20に支持されたクッション材30とにより構成されている。シートフレーム20は、さらに、座部(シートクッション部)用フレーム21と、背部(シートバック部)用フレーム22とを有している。座部用フレーム21には、座部用クッション材31が、背部用フレーム22には背部用クッション材32がそれぞれ支持され、座部用フレーム21と座部用クッション材31とにより本実施形態のシート10の座部(シートクッション部)40を形成し、背部用フレーム22と背部用クッション材32とによりシート10の背部(シートバック部)50を形成している。なお、本実施形態では、背部用フレーム22は、座部用フレーム21に対して支軸23を中心として前後方向に回動し、リクライニング可能な構造となっている。
座部用クッション材31は、図1及び図2に示したように、座部用フレーム21を構成するサイドフレーム21aに一端が支持された金属ばね(コイルスプリング)31aと、この金属ばね31aの他端に弾性的に支持された網状弾性部材31bとを有している。座部用クッション材31は、さらに、この網状弾性部材31bの上面に積層される中間弾性部材31cと、中間弾性部材31cの上面に積層され、対向するサイドフレーム21a間に張設される上部弾性部材31dとを有している。中間弾性部材31c及び上部弾性部材31dは本実施形態ではいずれも三次元立体編物から形成されており、中間弾性部材31cは、上部弾性部材31dのみを配置した場合の底付き感を抑制し、網状弾性部材31bや金属ばね31aの異物感を軽減するために配設される。上部弾性部材31dは、三次元立体編物を折り返すことなく一層で用いることももちろん可能であるが、図1に示したように、サイドフレーム21a付近で折り返して用いることにより、金属ばね31a等の異物感をより軽減することができる。
なお、上部弾性部材31dとして用いる三次元立体編物の厚み等によっては、中間弾性部材31cを設けない構成とすることができることはもちろんである。また、網状弾性部材31bとしては、プルマフレックス(商品名)やコンターマット(商品名)等を挙げることができるが、網状弾性部材を用いることなく、線形性の高いばね定数を持つ糸により構成される二次元あるいは三次元の織物や編物からなる面状弾性部材を用いることもできる。また、網状弾性部材や面状弾性部材単独で、本実施形態のような金属ばね31aを介して用いた場合と同様の弾性力を発揮できる場合には、金属ばねを用いることなく、網状弾性部材等を直接サイドフレーム21aに連結することもできる。
図1に示したように、本実施形態の座部40の前縁部41付近(座面後端から350mmの位置)には、三次元立体編物からなる上部弾性部材31dのみが、前縁部41付近のサイドフレーム21aと前端フレーム21bとによって張設された状態で支持されて配設され、座部用クッション材31を構成する網状弾性部材31b等の他の弾性部材(下部弾性部材)は設けられていない。すなわち、網状弾性部材31b及び金属ばね31a等の下部弾性部材は、座骨結節下付近から前縁部41手前までの部位であって、前縁部41付近と座骨結節下付近より後方部とを除いた部位のみに設けられている。
これにより、着座した際に、座骨結節下付近に対応する部位(座骨結節下を含む所定領域)は、下部に下部弾性部材を有する部位であって、この下部弾性部材が除かれた部位との境界付近の領域に位置することになるため、下部弾性部材が除かれた部位(三次元立体編物のみが存在する部位)と、三次元立体編物及び下部弾性部材が存在する部位との相互作用により、接触する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有するように構成される。
一方、前縁部41付近は、下部に網状弾性部材31b等の下部弾性部材が設けられていないため、着座した際に、網状弾性部材31b等の下部弾性部材を有する他の部位と比較して伸び側反力(着座者の大腿部を押圧する方向の反力)の作用する際のばね定数が小さくなり、すなわち伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンスが大きくなって、減衰要素としての機能が大きくなる。従って、大腿部の裏側を押圧する反力が小さくなり、血流阻害を抑制できると共に、自動車用のシートとして用いた場合には、ペダル操作の円滑性を高めることができる。
なお、前縁部41付近の弾性コンプライアンスは、座部の他の部位の弾性コンプライアンスより大きくなっているので、前縁部41付近を押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと比較しても値が大きくなっている。
また、座骨結節下付近と前縁部付近との間の骨盤前部付近(座骨結節下から約100mm前方の部位)に対応する部位42は、着座した際に下部に弾性コンプライアンス特性が略線形な網状弾性部材31b等の下部弾性部材が設けられている部位の略中央部(中央部を含み、かつ中央部より前方の領域)に位置することになる。このため、骨盤前部付近に対応する部位42に、伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンスが、接触する人体部位の弾性コンプライアンスよりも小さな値を有し、座骨結節下付近及びそれよりも後方部と比較して、線形性の高い変位を示すように設けることができる。これにより、骨盤前部付近に対応する部位42のばね性が大きくなり、三次元立体編物自体を、座角(鉛直線に対するシートクッションの角度)が大きくなるように張設しなくても、その後方に位置する人体の座骨部の沈み込みを大きくとることが可能となり、座骨部の回転を防止して着座姿勢の安定感を高めることができる。
具体的には、上記した網状弾性部材31b等の下部弾性部材は、座面後端から100mm〜300mmの範囲内に収まるように設け、さらに、それらの大きさ、形状、取り付け角度、取り付け位置等の調節を行うことよって、弾性コンプライアンス特性の線形性が高いそれらの下部弾性部材が骨盤前部付近に対応する部位42において大きく作用するように設ける。
運転するためには、着座姿勢を安定させる必要がある。そのためには、座角を大きくして座骨から腰部の荷重を大きくするのが一般的である。本実施の形態のシートにおいては、座角を大きくするためにあえて三次元立体編物(ネット)を張設するのではなく、座骨結節下よりも後方部において網状弾性部材及び金属ばね等の下部弾性部材を除くことで、座骨部の反力を骨盤前部に比較して小さくしている。これにより、着座すると座骨部の沈み込みが大きくなり、座角を大きくしたのと同様の効果が得られる。
すなわち、本実施の形態は、人間の筋肉のばね特性に近似したばね特性を有する三次元立体編物と、三次元立体編物より大きさが小さくかつ弾性コンプライアンス特性が略線形な下部弾性部材とを用いてクッション材を構成し、シートフレームに張設された三次元立体編物を下部弾性部材の上に載置することによって、三次元立体編物の下部に下部弾性部材が存在しない部位(第2部位)の弾性コンプライアンスを接触する人体部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値とし、三次元立体編物の下部に下部弾性部材が存在する部位であって、下部に下部弾性部材が存在しない部位と下部に下部弾性部材が存在する部位との境界付近の部位(第1部位)の弾性コンプライアンスを接触する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値とし、三次元立体編物の下部に下部弾性部材が存在する部位であって、第1部位と第2部位との間の部位の弾性コンプライアンスを接触する人体部位の弾性コンプライアンスよりも小さくしている。
この下部弾性部材の配置位置は、座部における着座者の座骨結節下に相当する部位を含み、かつこの部位より前方の領域であって、座部の大腿部が当接する前縁部を除いた領域に設けるのが好ましい。
背部用クッション材32は、三次元立体編物からなり、背部用フレーム22のサイドフレーム22a間に張設されている。背部用クッション材32は、このように、三次元立体編物のみから構成されているため、復元性が小さく減衰が大きい。このため、この背部用クッション材32は、体型に追随した変形を生じ易く、よりフィットし易くなっている。なお、背部用クッション材32を構成する三次元立体編物の下部と、座部用クッション材31の上部弾性部材31dを構成する三次元立体編物の後部とは、縫合により一体化されている。この結果、着座時に大きな荷重のかかる臀部から腰部を、それらを浮かせる方向にハンモックの如く支持できるため、それらの後方に配置されている種々のフレーム材の異物感を軽減できると共に、姿勢の変化に追随し易く、着座感を向上させることができる。
これによって、座骨結節下に対応する座部の三次元立体編物の下部に存在し、かつ三次元立体編物の弾性コンプライアンスより小さい下部弾性部材の等価ばね定数と胴体質量とによる4〜6Hz付近の主振動に対して、大腿部の質量と大腿部の下部に位置する三次元立体編物の弾性コンプライアンスとにより、動吸振器的効果を有する2自由度の振動モデルが構成され、大腿部の質量と大腿部の下部に位置する三次元立体編物との振動により、主振動の振動特性ゲインを低減させる効果が得られる。
なお、座部用クッション材31の三次元立体編物からなる上部弾性部材31d、及び三次元立体編物からなる背部用クッション材32は、図3に示したように、それぞれの両側部を、フェルト等の布材31e,32eにより縫い継ぎ、この布材31e,32eが、サイドフレーム21a,22aを被覆するように張設することもできる。これにより、三次元立体編物の横方向(左右のサイドフレーム方向)への伸びが抑制され、前後方向の伸びが大きくなり、ホールド性を高めることができ、着座時の安定性をより向上させることができる。なお、この点についてはさらに後述する。
このようにして設けられた座部用クッション材31及び背部用クッション材32は、上記のように、接触する人体部位の弾性コンプライアンスに近似した傾向で変化する特性を備えるように設定されるが、かかる特性は、三次元立体編物を用いることにより達成される。三次元立体編物は、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されており、各グランド編地を構成する編目の変形、連結糸の変形(倒れないしは座屈)、及び変形している連結糸に対してばね性を付与する隣接した連結糸の復元力によって、荷重を支持する構造である。従って、接触面積が大きい場合には、対応する多数の連結糸による大きな抗力によって高い面剛性が発揮される一方で、例えば、大腿部が接する場合のように、部分的な荷重が作用した場合、すなわち接触面積が小さい場合には、その範囲の連結糸の数が少なく、互いに支え合ってその変形(倒れないしは座屈)を防止する復元力が小さくなる。このため、三次元立体編物の弾性コンプライアンスは、それ自身の特性として接触する人体部位の弾性コンプライアンスに近似して、初期たわみ量が大きくヒステリシスのある戻りの悪い変化特性を示すことができる。
このような弾性コンプライアンスを有する具体的構造のシートは、図1及び図2に示したように、座部用クッション材31の座部用フレーム21を構成するサイドフレーム21aに一端が支持されたコイルばね31aと、このコイルばね31aの他端にコンターマット等で構成された網状弾性部剤31bが支持され、網状弾性部材31bの上に中間弾性部材31cとしての例えば厚さ10mmの粘弾性ウレタンを載置し、更に、例えば30mmのウレタンスラブを積層後、例えば厚さ13mmの従来の三次元立体編物を配置して構成することができる。
このクッション材の直径98mmの加圧板の圧力値とたわみのリサージュ波形を図37に示す。図からも明らかなように、座面後端より150mm(下部弾性部材の後端より50mm前方)の弾性コンプライアンス特性は、人体部位の弾性コンプライアンスと略同等である。また、250mm(下部弾性部材の前端より50mm後方で、骨盤前部付近に対応する部位)の弾性コンプライアンス特性は、人体部位の弾性コンプライアンスより小さいことがわかる。
この具体的構造のシートは、シート前縁部付近から座面後端にかけて、弾性コンプライアンスが、大、小、同等の順に分布しており、弾性コンプライアンス大の部位がシート前縁部付近、弾性コンプライアンス小の部位が骨盤前部付近、座面後端側の弾性コンプライアンス同等の部位が座骨結節下付近に対応する。
三次元立体編物がこのような作用を示すことから、本実施形態の座部用クッション材31は、変形に対して線形性の高いばね定数をもつ上記網状弾性部材31b等の上に、人体の筋肉の特性に近似するばね特性を備えた部材である上部弾性部材31dが設けられていることになる。従って、網状弾性部材31b等の線形性の高いばね力と着座者(乗員)の体重が平衡状態であるときに、シートのクッションとバックレストとから着座者に外部振動が入力されると、クッションのばね定数と人体質量との振動系により上下に人体揺動が生じ、着座時の体重とクッションの網状弾性部材31b、三次元立体編物による上部弾性部材31d、及びばね力との平衡状態のばねたわみによる位置エネルギーが、外部入力により人体質量が振動することによって運動エネルギーに変換される。この運動エネルギーが反重力方向に作用し、加速度を生じさせて重力加速度を軽減し、クッション材に抜重が生じる。この結果、網状弾性部材31bのばね定数よりも小さい三次元立体編物の上部弾性部材31dの方がたわみの戻りが大きくなる。すなわち、振動に対しては、着座者の筋肉部と同等のばね定数を持つ三次元立体編物が作用するため、筋肉のたわみが少なくて人体への振動刺激が小さくなる(図4参照)。
この結果、三次元立体編物を用いた本実施形態のシートによれば、変形に対して線形性の高いばね特性(弾性コンプライアンス特性が高い線形性を有している)と人間の筋肉(特に、臀部の筋肉)のばね特性に近似した柔らかなばね特性との2つのばね特性が発揮されるため、特に、高周波帯の振動特性を改善する効果が大きい。
三次元立体編物は、上記のように、互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されている。従って、三次元立体編物を構成するこれらの要素、すなわち、連結糸の配設密度、連結糸の太さ、連結糸の長さ、連結糸の材質、グランド編地の編目形状、グランド編地の編目サイズ、グランド編地を構成するグランド糸の材質、連結糸とグランド編地との結合部分における目締力のうちのいずれか1つの要素又は任意の2つ以上の要素を適宜選択することにより、筋肉のばね定数特性(弾性コンプライアンス)と同様の傾向を有するようにすることができるので、略線形に変形する網状弾性部材等の下部弾性部材と組合せることによって、筋肉のばね定数よりも小さなばね定数(筋肉の弾性コンプライアンスよりも大きな弾性コンプライアンス)と筋肉のばね定数よりも大きなばね定数(筋肉の弾性コンプライアンスよりも小さな弾性コンプライアンス)とを有するクッション材を形成することができる。
なお、三次元立体編物は、シートフレーム、具体的にはサイドフレーム21a,22aに張設されて用いられる。従って、上記した各特性はシートフレームに張設した状態で発揮されるものであり、さらには、上記実施形態の座部用クッション材31のように、三次元立体編物からなる上部弾性部材31dのほかに、金属ばね31a、網状弾性部材31b等の下部弾性部材を有する場合には、これらを含めた座部用クッション材31全体の特性として測定されるものである。
上記では、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスより大きな値を有する第2部位が座部の前縁側に位置し、かつ押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位が着座者の座骨結節下付近に位置するように、第1部位と第2部位とを配置した例について説明したが、第2部位が座部の表層部に位置するように第1部位と第2部位とを積層させてもよい。第1部位と第2部位とを積層させることにより、人体の筋肉より大きな弾性コンプライアンスを有する部位を介して振動が人体に伝達されるので、人体への振動刺激を低減し、乗り心地を向上することができる。
また、第2部位が座部の表層部に位置するように第1部位と第2部位とを積層させると共に、積層した部位が着座者の座骨結節下付近に位置し、かつ押圧する人体部位の弾性コンプライアンスより大きな値を有する他の部位が座部の前縁側に位置するように配置してもよい。これによって、人体への振動刺激を低減し、乗り心地を向上することができると共に、座骨結節下付近の筋肉のしびれ、及び大腿部の血流阻害を防止することができる。
(三次元立体編物の具体例)
次に、上記実施形態における座部用クッション材31の上部弾性部材31d及び背部用クンション材32として用いられる三次元立体編物100の具体的な構造について説明する。
なお、以下の説明で使用する圧縮率及び圧縮弾性率は、JASO規格M404−84「圧縮率及び圧縮弾性率」に基づいた試験方法により測定されるものである。具体的には、50mm×50mmに切り出した3枚の試料に、それぞれ、厚み方向に初荷重3.5g/cm(0.343kPa)で30秒間加圧したときの厚さt(mm)を測り、次に、200g/cm(19.6kPa)の圧力のもとで10分間放置したときの厚さt(mm)を測る。次に、荷重を除いて10分間放置後、再び3.5g/cm(0.343kPa)で30秒間加圧したときの厚さt’(mm)を測る。そして、次式により圧縮率及び圧縮弾性率を算出し、それぞれ3枚の平均値で表したものである。なお、後述の各製造例では、凸部(又は畝部)と凹部(又は他の部位)を有する各三次元立体編物を、50mm×50mmで切り出して測定した圧縮率、圧縮弾性率を主弾性部としての凸部(又は畝部)のデータとし、凹部(又は他の部位)の圧縮率は、凸部(又は畝部)間の間隔を50mmに編成し直した点を除き、同様の条件で製作したものを50mm×50mmの試料に切り出して測定することにより求めたものである。
圧縮率(%)={(t−t)/t}×100 ・・・(1)
圧縮弾性率(%)={(t’−t)/(t−t)}×100 ・・・(2)
まず、第1の具体例について、図5〜図8に基づいて説明する。図5に示すように、この三次元立体編物100は、互いに離間して配置された一対のグランド編地110,120と、一対のグランド編地110,120間を往復して両者を結合する多数の連結糸130とを有する立体的な三次元構造の編物で構成されている。
一方のグランド編地110は、例えば、図6に示したように、単繊維を撚った糸から、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織(細目)によって形成されている。これに対し、他方のグランド編地120は、例えば、図7に示したように、短繊維を撚った糸から、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する、一方のグランド編地110よりも大きな編み目構造に形成されている。もちろん、この編地組織はあくまで一例であり、細目組織やハニカム状以外の編地組織を採用することもできる。連結糸130は、一方のグランド編地110と他方のグランド編地120とが所定の間隔を保持するように、この一対のグランド編地110,120間に編み込んだもので、立体メッシュニットとなっている三次元立体編物100に所定の剛性を付与している。
グランド編地110,120を形成するグランド糸の太さ等は、立体編地に必要な腰の強さを具備させることができると共に、編成作業が困難にならない範囲のものが選択される。また、グランド糸としてはモノフィラメント糸を用いることも可能であるが、風合い及び表面感触の柔らかさ等の観点から、マルチフィラメント糸やスパン糸を用いることが好ましい。
連結糸130としては、モノフィラメント糸を用いることが好ましく、太さ167〜1100デシテックスの範囲のものが好適である。マルチフィラメント糸では復元力の良好なクッション性を付与できず、また、太さが167デンテックスを下回ると腰の強さが得られにくくなり、1100デンテックスを上回る場合には、硬くなり過ぎて適度なばね性(クッション性)を得ることができないからである。すなわち、連結糸130として上記範囲のモノフィラメント糸を採用することにより、上記したように、各グランド編地110,120を構成する編目の変形と連結糸130の変形(倒れ及び座屈)によって、また、変形した連結糸130にばね特性を付与する隣接した連結糸130の復元力によって、着座者の荷重を支持することができ、柔らかなばね特性を有する応力集中の起きない柔構造とすることができる。なお、後述のように、三次元立体編物に凹凸部を形成した場合には、断面略アーチ状のばね要素を形成できるため、さらに柔らかなばね特性を付与することができ、筋肉の弾性コンプライアンスと略同等かそれよりも大きな弾性コンプライアンスを有する構造を容易に形成できる。
グランド糸又は連結糸130の素材としては、特に限定されるものではなく、例えば、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿等の天然繊維が挙げられる。上記素材は単独て用いてもよいし、これらを任意に併用することもできる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等に代表される熱可塑性ポリエステル系繊維、ナイロン6、ナイロン66等に代表されるポリアミド系繊維、ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン系繊維、あるいはこれらの繊維を2種類以上組み合わせたものである。なお、ポリエステル系繊維はリサイクル性に優れており好適である。また、グランド糸又は連結糸130の糸形状も限定されるものではなく、丸断面糸でも異形断面糸等でもよい。
連結糸130の配設の仕方(パイル組織)としては、各グランド編地110,120を連結する連結糸130を側面から見た状態で表すと、より具体的には、例えば、図8A〜図8Eに示したような種類に分類される。図8A、図8Bは、グランド編地110,120間に連結糸130を略垂直に編み込んだストレートタイプであり、このうち図8Aは8の字状にしてストレートに編んだもので、図8Bは単純なストレートに編んだものである。図8C〜図8Eは、グランド編地110,120間において、連結糸130が中途で交差するように編んだクロスタイプであり、このうち図8Cは8の字状にクロスさせたもの、図8Dは単純なクロスに編んだもの、図8Eは2本ずつまとめてクロス(ダブルクロス)させたものである。なお、図8C〜図8Eに示したように、連結糸130同士を交差させて斜めに配置した場合には、連結糸130をグランド編地110,120間に略垂直に配置した形態と比較して(図8A、図8B参照)、各連結糸130の座屈強度により十分な復元力を保持しながら、圧縮率の大きな柔らかなばね特性を付与することができる。
三次元立体編物の第2の具体例は、上記した第1の具体例の三次元立体編物100を、図17に示す第5の具体例と同様に、凹部及び凸部を有する構造に加工したものである。すなわち、図17で使用した符号を用いて説明すると、三次元立体編物100に対し、離間して配置された一対のグランド編地330,340が、コース方向に沿って所定間隔毎に近接するように加工し、これにより凹部150を形成して、隣接する凹部150,150間に凸部160を形成したものである。これにより、筋肉のばね定数特性(弾性コンプライアンス)の傾向に近似し、しかも、筋肉のばね定数よりも小さなばね定数(筋肉の弾性コンプライアンスよりも大きな弾性コンプライアンス)を有する構造を容易に形成することができる。
このように三次元立体編物に凹凸部を形成する場合には、三次元立体編物の表層部に筋肉の弾性コンプライアンスより大きな値を有する第2部位を形成し、この第2部位の下部に筋肉の弾性コンプライアンスと略同の値を有する第1部位を形成することができる。
凹部150は、一対のグランド編地面のうち、一方のグランド編地側からのみ形成することもできるが、図17に示したように、両側から形成することもできる。グランド編地同士を近接させて凹部150を形成する手段としては、溶着手段、接着手段のほか、ミシン縫いによる縫合手段、さらには、融着繊維をグランド編地間に介在させて融着繊維を溶融させて接合する手段等を用いることができる。なかでも、振動溶着手段を用いることが好ましい。溶着部位の剛体化を避けることができると共に、接合強度が強力だからである。
このようにして、凹部150を形成することにより、該凹部150の形成部位においては、当該領域に配置された連結糸130が傾斜し、あるいはたわむことになり、さらに、凹部150を介して隣接する凸部160の領域に連結糸130が移動するように偏在していくものも生じ、当該領域においては、近辺の連結糸130同士が交絡(鎖交)して接合する。このように、交絡接合される結果、図15に模式的に示したように、当該連結糸130は、交絡部130aを挟んだ両側、すなわち凸部が、それぞれの結合対象となっているグランド編地に対して、それぞれ独立したばね要素(変形要素)として機能することが可能となる。従って、図15に模式的に示したように、ある一つの凹部150において交絡した連結糸130の交絡部130aから、隣接する凹部150において交絡した連結糸130の交絡部130aまでの間が、グランド編地と当該領域に配置された連結糸130を含めて、断面略アーチ状の一つのばね要素及び糸間摩擦による減衰要素と見なせる構造が形成されることになる。
このため、凹凸部を有する三次元立体編物は、凹部150と凸部160との弾性率が異なることになり、凸部160が負荷荷重により圧縮変形する際には、三次元立体編物100に凹凸部を形成せずに用いる場合と比較して、連結糸130の座屈強度が相対的に小さくなって座屈特性が表れにくくなり、図15の想像線で示したように、交絡した連結糸130を含む、断面略アーチ状のばね要素の曲げ方向の弾性機能が相対的に大きくなる。すなわち、凸部160のばね特性は、凹凸部を形成しないことを除いて同様の条件で形成された三次元立体編物と比較すると、ばね定数が小さくなり(弾性コンプラアイアンスが大きくなり)微小荷重域から変形し易くなって、座屈特性が表れにくくなる。
また、第2の具体例では、上記のように凹部150において連結糸130を交絡接合させることにより、凹部150の形成ラインに対して略直交する方向に伸縮する弾性も付与される。このため、シートに張設した際には、厚み方向に生じる、断面略アーチ状のばね要素による曲げ方向のばね性のほか、これに略直交する平面方向に生じる弾性(ばね性)が加わることになり、この伸びが上記のばね定数を下げ、弾性コンプライアンスを上げることに寄与する。
第2の具体例の三次元立体編物100は、上記のような特性を十分発揮させるために、シートフレームに張設するに当たっては、伸び率5%未満で張設することが好ましい。なお、上記したように、座骨結節下付近及びそれよりも後方においては、三次元立体編物100の特性を大きく作用させ、骨盤前部付近に対応する部位42において網状弾性部材31b等による線形性の高いばね作用を発揮させために、座面後端から座骨結節下付近に至るまで、すなわち、座面後端から100〜150mm付近までにおいては、シートフレームの幅に対し5〜60mm、好ましくは15〜35mmの余裕幅を持たせてたるむように張設し、骨盤前部付近に対応する部位42である座面後端から200〜300mm付近に至ったならば、余裕幅が略ゼロになるように張設することがより好ましい。
また、図3に示したように、少なくとも座部においては、凸部160(凹部150)の長手方向が、シートの左右方向(Y方向)に沿うように張設することが好ましい。すなわち、このように張設することにより、凸部160の長手方向に対して略直交する平面方向に生じる弾性によって、座部では左右方向よりも前後方向(X方向)に伸び易くなる。従って、前後方向に対する剪断力が左右方向に比較して小さくなり、着座時において座角が大きくなり易くなるため、臀部の前滑りが抑制され、姿勢変化に対する形状追従性を向上させ、運転席のシートに適用した場合には、運転姿勢の安定性が増し、長時間運転における疲労が軽減される。また、図3に示したように、背部に配設する三次元立体編物も、座部と同様に凸部160の長手方向が背部の左右方向に配置されるように張設することにより、上下方向(Z方向)に伸び易くなり、座部のたわみを助け、姿勢変化の形状追従性をさらに向上させることができる。
また、上記では三次元立体編物の凸部を複数個並列配置した例について説明したが、三次元立体編物の凸部160は、図38Aに示すように格子状、又は図38Bに示すように千鳥状に形成することもできる。この場合にも上記と同様の理由により、少なくとも座部において、好ましくは座部及び背部共に、該格子状又は千鳥状の凸部の面積割合、すなわち配置密度の高い方向が、シートの左右方向(Y方向)となるように張設することが好ましい。
また、上記した構造の三次元立体編物100は、図16に示したように、質量Mで表す人体の骨により突出した部位(直径30mmの加圧板に略相当)が接した時点においては、凹部150を挟んだ両側の凸部160がへこみながら外側に逃げるように変形し、部分的なへたりが生じる。すなわち、凸部は相互に離れる方向に変形する。その後、さらに荷重がかかり広い面積で加圧された際には、三次元立体編物全体で荷重を支持することになるが、このような凹凸部を有することにより図16に示したような変形を示すことから、小さな変位領域におけるフィット感が向上する。
ここで、上記した凸部160は、圧縮変形に対して主たる復元力を発揮する面剛性の低い主弾性部として機能する圧縮率の大きな部位に相当し、凹部150は、厚み方向に僅かな弾性力しか発揮できない圧縮率の小さな面剛性の高い部位に相当する。なお、面剛性の高低は、縦方向(厚み方向)及び横方向(剪断方向)に対するひずみの程度によって判断され、上記した圧縮率の大きな部位は、縦方向及び横方向共にひずみ易く、圧縮率の小さな部位は縦方向及び横方向共にひずみ難いことから、圧縮率の大きな部位が面剛性の低い部位となり、圧縮率の小さな部位が面剛性の高い部位となる。
主弾性部を構成する凸部160は、上記構成により、圧縮率が大きい一方で、必要な復元力を備え、これをシートフレームに張設してクッション材として用いることにより、人の臀部等の筋肉に近似したばね定数特性(弾性コンプライアンス)を発揮することが可能となる。すなわち、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、接触する人体部位の弾性コンプライアンスより大きな値を有する凸部と、接触する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する凹部とを設けることができる。
これにより、着座時に臀部等の筋肉が変形することを防止でき、6Hz以上、特に10Hz以上のびびり振動領域の減衰要素となる人の皮膚及び筋肉のばね特性を減殺することを防止できる。
また、三次元立体編物100は、上記した特性を発揮させるために、主弾性部である凸部160の圧縮率を20〜90%の範囲とすると共に、圧縮弾性率を75〜100%の範囲に設定し、主弾性部を構成しない部位、すなわち第2の具体例では凹部150との圧縮率の差が5%以上となるように設定することが好ましい。
次に三次元立体編物の第3の具体例を図9〜図12を参照して説明する。三次元立体編物210は、一対のグランド編地220,230と、連結糸130とにより構成されている。
−対のグランド編地220,230は、互いに所定間隔離間して配置され、このグランド編地220,230の相互間を往復するように連結糸130が設けられている。一方のグランド編地220は、図9に示したように、複数ウェールの編目の連綴からなり、ウェール方向に延びると共に、互いに1又は複数ウェール離間して形成された複数の帯状編地部221を有する構造である。その結果、隣接する帯状編地部221間には、空隙部222が形成され、図10に示したように、各帯状編地部221は、当該領域において他方のグランド編地230との間に配置された連結糸130と共に、凸部として作用する畝部223の一部を構成している。各畝部223を形成する帯状編地部221同士は、それぞれ独立して存在させることもできるが、独立して存在させる場合よりも、連結糸130による復元力を向上させるために、ウェール方向に所定間隔毎に、隣接する帯状編地部221同士を架橋するように連絡する連絡部224を、1ないし数コースの範囲に亘って形成することが好ましい。図9及び図11には、連絡部224により連絡した状態が示されている。
なお、連絡部224の形成位置は、図9及び図11に示したように必ずしも格子状でなくてもよく、千鳥状であってもよいし、不規則配置であってもよい。一方、他方のグランド編地230は、図12に示したように、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織から形成されている。但し、いずれのグランド編地220,230も、その組織形態は図に示したものに限定されるものではなく、例えば、メッシュ又はトリコット等の透孔組織を採用することもできる。
連結糸130は、対向するグランド編地220,230間を往復するように配設されるが、より具体的には、連結糸130の一部は、帯状編地部221とそれに対向する領域のグランド編地230間に配設される。また、図10に示したように、ある一つの帯状編地部221に結合された連結糸130の一部は、当該一の帯状編地部221に正対面する領域のグランド編地230に結合される一方で、連結糸130の他の一部は、当該−の帯状編地部221に隣接する空隙部222の直下に位置するグランド編地230の領域、及び隣接する他の帯状編地部221に正対面するグランド編地230の領域に結合されている。
この結果、連結糸130の他の一部は、グランド編地220,230間に傾斜して配設されることになる。また、いずれの帯状編地部221においても、連結糸130がこのような形態で配設される結果、隣接する帯状編地部221間の空隙部222の下方において、傾斜して配設された一部の連結糸130同士が交差することになる。そして、連結糸130のこのような配設形態により、全ての連結糸130をグランド編地220,230間に略垂直に配置した形態(図5参照)と比較して、圧縮率の大きな柔らかなばね特性を付与することができる。その一方、各連結糸130の座屈強度により、圧縮率の大きな柔らかばね感でありながら、十分な復元力を発揮できる。また、第3の具体例においては、帯状編地部221と連結糸130とにより形成される各畝部223の幅方向略中間付近には、連結糸の存在しない中空部241が形成されており、これにより、より一層高い圧縮率を達成すると共に軽量化に寄与している。
第3の具体例の上記した帯状編地部221と連結糸130とにより形成される各畝部223は、上記の凸部160と同様に、圧縮変形に対して主たる復元力を発揮する面剛性の低い主弾性部として機能するものであり、また、各畝部223は上記のように1ないし数ウェールずつ離間して形成されていることから、部分的に設けられた主弾性部に相当するものである。換言すれば、各畝部223は、上記のように、連結糸130により所定の弾性を備えた圧縮率の大きな部位である。また、畝部223間の空隙部222の直下に存在する連結糸130の一部と他方のグランド編地230の一部領域とからなる部位は、連結糸130の配設密度が、前記主弾性部を構成する畝部223領域における連結糸130の配設密度よりも相対的に粗となっている領域であると共に、連結糸130の変形によって厚み方向に僅かな弾性力しか発揮できない圧縮率の小さな面剛性の高い部位であることから、第3の具体例の三次元立体編物210は、面剛性の異なる二種類以上の部位を有する構成となっている。
ここで、図21には、人の臀部の筋肉のばね特性が示されているが、この図から明らかなように、直径98mmの円形の圧縮板で押圧した際の臀部の筋肉のばね定数は0.1〜10N/mmの範囲であると共に、ヒステリシスロスが小さく、比較的高い線形性を有している。これに比較し、従来のソフトな弾性構造で軟質ポリウレタンスラブフォームと粘弾性ポリウレタンフォームを積層させた構造の場合には、荷重特性の一部に同様のばね定数範囲を有するものの、ヒステリシスロスが大きく、復元力に欠ける。このことに鑑みると、三次元立体編物210を、シートフレームに張設した際にばね定数が上記した筋肉のばね定数範囲に略一致し、筋肉のばね特性と略同様のヒステリシスロスと線形性を発揮できる構成とすることで、着座時に筋肉の変形を来すことなく、かつ必要な復元力を確保できることになる。
シートフレームに張設した際に上記機能を発揮させるに当たっては、三次元立体編物210は、張設前におけるそれ自身の厚み方向の荷重特性として、比較的ヒステリシスロスが小さく、かつ比較的高い線形性を有する特性を備えていることが必要となるが、第1の具体例の三次元立体編物は、連結糸の配設密度や太さ等が全体的に均等であり(図5参照)、面全体で一様な弾性で形成されていることから、連結糸の座屈特性の影響が大きく、その荷重特性は、非線形で大きなヒステリシスロスを有する。従って、第1の具体例の三次元立体編物において、例えば、連結糸の太さと密度の調整により、復元性を重視した構造とするとばね定数が高くなり過ぎ、一方、連結糸の太さや密度を面全体で一様に下げ、ばね定数を筋肉のばね定数範囲に近づけた構造とするとヒステリシスロスが大きくなって復元力が不足する可能性がある。
これに対し、第3の具体例によれば、上記した帯状編地部221と連結糸130とにより形成される主弾性部となる各畝部223が部分的に設けられていることにより、換言すれば、二種類以上の圧縮率(面剛性)の異なる部位を有する構成とすることにより、同様の素材、編目組織で、連結糸の配設数を面全体で一様な構造とした従来の三次元立体編物と比較して、必要な復元力を保持したまま柔らかなばね特性とすることができる。このことは、図20に示した荷重特性を示すグラフからも明らかであり、第1の具体例の三次元立体編物(比較例1(製造条件は後述の実施例4と同じ。但し、圧縮率は13.2%、圧縮弾性率は98.1%))の特性と比較し、実施例1として示した第3の具体例のばね定数は小さくなって、柔らかなばね特性となっていると共に、ヒステリシスロスが小さくなり、線形性も高くなっている。このことから、第3の具体例の三次元立体編物210が、人の筋肉の特性に近似したばね特性と、必要な復元性とを有するシートのクッション材(表皮材)としてより適していることが分かる。
第3の具体例の三次元立体編物210にかかる特性を持たせるためには、凸部160を形成した場合と同様に、主弾性部である畝部223の圧縮率を20〜90%の範囲とすると共に、圧縮弾性率を75〜100%の範囲に設定し、主弾性部を構成しない部位、すなわち第3の具体例では畝部223間の空隙部222の直下に存在する連結糸130の一部と他方のグランド編地230の一部領域とからなる部位との圧縮率の差が5%以上となるように設定することが好ましい。また、主弾性部である畝部223の厚さ(連結糸130を介して配設された一対のグランド編地220,230の表面間の厚さt)は、乗物用シートのクッション材としての特性を満足させる場合には5〜100mmの範囲が好ましい。この範囲を下回る場合には、良好なクッション性を発揮させることが困難となり、上回る場合には三次元立体編物210の形態安定性を確保することが難しくなる。また、かかる範囲においても、例えば、50mmを越えるような比較的厚みが厚い場合には、連結糸130の弾性率によっては、剛体に近い硬めのクッション特性となってしまう点に留意する必要があり、比較的厚くする場合には、連結糸130として弾性率の高いものを用いて、ストロークの大きい柔らかなクッション特性を付与するように設計するとよい。なお、縫製の行い易さも加味して総合的に考慮すると、上記した範囲の中でも5〜30mmの範囲がより好ましい。また、三次元立体編物210を、複数枚積層したり、また、プルマフレックス等の他の弾性部材と積層して用いることもできるが、この場合には、他の弾性部材のばね性が加味されることから、三次元立体編物210の一枚当たりの厚み(畝部223の厚みt)は、上記した範囲の中でも比較的厚みの薄い範囲である5〜30mmの範囲がやはり適切である。
また、上記と同様の理由から、平面に投影した際の面積で、主弾性部である畝部223の単位面積当たりに占める割合が、1〜99%/mの範囲、特に自動車用のシートとして用いる場合には、30〜90%/mの範囲となるように形成されていることが好ましい。主弾性部である畝部223の単位面積当たりに占める割合をかかる範囲となるように設定するに当たっては、各帯状編地部221の幅及び隣接する帯状編地部221間の離間間隔を次のような範囲となるように決定することが好ましい。
すなわち、各帯状編地部221の幅のウェール数及び隣接する帯状編地部221間の離間間隔のウェール数をいずれもWとした場合に、
W=(0.14・E)/2.54〜(15.24・E)/2.54
の範囲となるように決定することが好ましい。ここで、「E」は三次元立体編物を編成する編機のゲージ数であり、「2.54」は1インチをcm単位で換算した値である。係数「0.14」及び「15.24」は、本発明者の検討の結果、編機のゲージ数の大小に拘わらず、好ましいウェール数を算出できる値として経験則より導き出したものである。
なお、上記した主弾性部である畝部223の単位面積当たりに占める割合については、部分的に畝部223の密度を高くしたり低くしたりすることにより、あるいは、部分的に畝部223の幅を広くしたり狭くしたりすることにより、変化させることもできる。例えば、骨盤の前滑りを抑え、姿勢変化に対する形状追従性を向上させるために、腰椎部に対応する部分においては畝部223の幅を広くし、座骨部に対応する部分においては畝部223の幅を狭くするように設定することができる。
グランド編地220,230を形成するグランド糸の種類及び太さ等は、特に限定されるものではないが、167〜2800デシテックスのマルチフィラメント糸やスパン糸を用いるのが好ましい。167デシテックス未満の場合には、立体編地に必要な腰の強さを具備させることが困難でへたり易くなり、2800デシテックスを超える太さの場合には、編成作業が困難になり、また編地表面の風合いも低下する。グランド糸としてはモノフィラメント糸を用いることも可能であるが、風合い及び表面感触の柔らかさ等の観点から、上記したようにマルチフィラメント糸やスパン糸を用いることが好ましい。
連結糸130としては、上記と同様に、モノフィラメント糸を用い、その太さを167〜1100デシテックスとすることが好ましい。
グランド糸又は連結糸130の素材としては、上記で説明したのと同じ素材を用いることができる。
また、第3の具体例のように、編物の編成組織のみによって上記特性を発揮させるためには、連結糸130の突出を防ぐため、グランド編地220,230を構成するグランド糸と連結糸130とで形成される編目の糸の合計太さは330デシテックス以上とすることが好ましく、さらには420〜2800デシテックスの範囲とすることがより好ましい。これにより、連結糸130の結合部分における編目の目締力が向上し、負荷質量がかかった際の連結糸130の突出が防止され、形態安定性が向上し、上記したような良好なクッション特性と体圧分散特性を示すことが可能となる。
なお、編成組織の調製によって、上記特性を発揮させるに当たっては、上記に示した編地の組織形態や各種数値範囲、あるいは材料等に限定されるものではないことはもちろんであり、連結糸の配設密度、連結糸の太き、連結糸の長さ、連結糸の材質、グランド編地の編目形状、グランド編地の編目サイズ、グランド編地を構成するグランド糸の材質、連結糸とグランド編地との結合部分における目締力のうちのいずれか1つの要素又は任意の2つ以上の要素の適宜の組み合わせにより調製することができる。
次に、三次元立体編物の第4の具体例を図13及び図14を参照して説明する。なお、第3の具体例で示したものと同様の部材については同一の符号で示す。この具体例では、上記した第3の具体例にかかる三次元立体編物210と全く同様に製作された編物(帯状編地部を連絡した編物)に対し、第2の具体例と同様に凹部150及び凸部160を形成したことを特徴とし、このうち、凸部160が主弾性部を構成している。
すなわち、第4の具体例は、第3の具体例の三次元立体編物210に対し、コース方向に沿って所定間隔毎に、離間して配置された一対のグランド編地220,230が近接するように加工することにより凹部150を形成したものである。第4の具体例では、帯状編地部間(空隙部が形成されている部分)に凹部150を形成しているので、凹部150の形成部位においては、当該領域に配置された連結糸130が傾斜し、あるいはたわむことになり、当該領域において近辺の連結糸130同士が交絡して接合する。交絡接合される結果、当該連結糸130は、交絡部130aを挟んだ両側が、それぞれの結合対象となっているグランド編地220又はグランド編地230に対して、それぞれ独立したばね要素として機能することが可能となる。従って、図15に模式的に示したように、ある一つの凹部150において交絡した連結糸130の交絡部130aから、隣接する凹部150において交絡した連結糸130の交絡部130aまでの間が、グランド編地220と当該領域に配置された連結糸130を含めて、断面略アーチ状の一つのばね要素と見なせる構造が形成されることになる。
このため、凸部160が負荷質量により圧縮変形する際には、上記第3の具体例における畝部223が圧縮変形する場合と比較して、連結糸130の座屈強度が相対的に小さくなって座屈特性が表れにくくなり、復元力としては、図15の想像線で示したように、交絡した連結糸130を含む、断面略アーチ状のばね要素の曲げ方向の弾性機能が相対的に大きくなる。この結果、凹部150及び凸部160を形成したことを除いた諸条件が、第3の具体例の場合と全く同様であるとすると、第4の具体例の凸部160のばね特性は、第3の具体例の畝部223のばね特性と比較して、ばね定数が小さくなり微小荷重域から変形し易くなる一方で、座屈特性が表れにくくなることからヒステリシスロスが小さくなって線形性が高まる。
逆に言えば、シートフレームに張設した際のばね特性を人の筋肉のばね特性に近似させるために、三次元立体編物それ自身の荷重特性を、比較的小さなヒステリシスロスで、比較的高い線形性を有する構造とするに当たって、第3の具体例のように、これを編成組織のみで達成しようとする場合と比較し、第4の具体例のように凸部160を形成した三次元立体編物210は、容易に、すなわち、グランド編地220,230の編み組織や連結糸130の配設の仕方等の条件をより緩和したとしても、必要な特性を備えさせることができるということである。
この点は、図20の荷重特性を見れば明らかなように、第3の具体例(実施例1)は、確かに、第1の具体例の三次元立体編物(比較例1)と比較する限りは、ヒステリシスロスが小さくなり線形性が高まるものの、第4の具体例(実施例2)は、さらにヒステリシスロスが小さくなってより高い線形性を示している。また、断面略アーチ状のばね要素による曲げ方向のばね性が利用されていることから、ばね定数も低くなっており、第3の具体例よりも、明らかに柔らかいクッション構造となっている。
また、第4の具体例では、上記のように凹部150において連結糸130を交絡接合させることにより、凹部150の形成ラインに対して略直交する方向に伸縮する弾性も付与される。このため、シートに張設した際には、厚み方向に生じる、断面略アーチ状のばね要素による曲げ方向のばね性のほか、これに略直交する平面方向に生じる弾性(ばね性)が加わることになり、この伸びが上記のばね定数を下げるのに寄与する。第4の具体例の三次元立体編物は、このような特性を有することから、シートは、図3に基づいて第2の具体例で説明したように、凸部がシートの幅方向(Y方向)に延在するように張設するのが好ましい。
ここで、凹部150の形成手段について説明する。まず、形成位置は任意であるが、凹部150自体は、厚み方向の復元力としてはそれ自身大きな作用を発揮しない部位であり、また、一部の連結糸130を交絡させることにより凸部160を断面略アーチ状のばね要素とするために形成されるものであるため、当該領域における連結糸130は、その配設密度が粗となっている部位でよい。これにより、三次元立体編物の軽量化を図ることができる。従って、第3の具体例をそのまま利用した第4の具体例においては、図9に示した第3の具体例における帯状編地部221間の空隙部222の領域に含まれる部位を、連結部224と共にウェール方向に沿って厚みを薄くし、当該領域に含まれる連結糸130を交絡させることにより形成することが好ましい。
但し、第1の具体例、または後述の第5の具体例のように、凸部及び凹部の連結糸の配設密度を同等とすることもできるし、連結糸の太さや編成組織等によっては、凹部における連結糸の配設密度を凸部よりも密にすることも可能である。また、凹部150の領域と凸部160領域における連結糸130の配設密度、連結糸130の太さ、連結糸130の長さ、連結糸130の材質、グランド編地220,230の編目形状、グランド編地220,230の編目サイズ、グランド編地220,230を構成するグランド糸の材質、連結糸130とグランド編地220,230との結合部分における目締力のうちのいずれか1つの要素又は任意の2つ以上の要素が異なるように形成することもできる。これにより、断面略アーチ状のばね要素の弾性機能をより適切に調節することが可能となり、また、後述のように、グランド編地220,230同士を近接させて押圧するに当たって、例えば、凹部150を形成する領域の連結糸130の太さを細くしておくことで、作業を容易にすることもできる。
また、当該領域に含まれる連結糸130は、凹部150の形成前にあっては、図10に示したように、隣接する帯状編地部221間の空隙部222の下方において、連結糸130同士が交差し傾斜して配設されている。従って、当該交差している部位において連結糸130同士を交絡接合させることで、図15に示したように、凸部160の両脇を斜めに支持し易くなり、断面略アーチ状のばね要素を容易に形成することができる。
凹部150の形状は任意であり、面に沿った任意の方向に形成することができる。例えば、第4の具体例のように、コース方向に所定間隔をおいて、ウェール方向に沿って形成することで、凸部160を並列配置することもできるし、さらに、ウェール方向に所定間隔をおいても凹部150を形成することで、図38A、図38Bに示すように、凸部160を格子状や千鳥状に形成することもできる。
凹部150は、一対のグランド編地220,230面のうち、一方側からのみ形成することもできるが、第4の具体例のように、両側から形成することもできる。また、グランド編地220,230同士を近接させて凹部150を形成する手段としては、溶着手段、接着手段のほか、ミシン縫いによる縫合手段、さらには、融着繊維をグランド編地220,230間に介在させて融着繊維を溶融させて接合する手段等を用いることができる。なかでも、振動溶着手段を用いることが好ましい。溶着部位の剛体化を避けることができると共に、接合強度が強力だからである。
第4の具体例の三次元立体編物における主弾性部である凸部160の圧縮率、圧縮弾性率及び厚さの好ましい範囲は、上記した第3の具体例における主弾性部である畝部223と全く同様であり、また、凸部160と凹部150との圧縮率の差が5%以上となるように設定することが好ましいことも同様である。
また、平面に投影した際の主弾性部である凸部160の単位面積当たりに占める割合も、その好ましい範囲は上記第3の具体例の畝部223と同様であり、凸部160の幅のウェール数W及び隣接する凸部160間の離間間隔、すなわち凹部150の幅のウェール数Wを、上記のW=(0.14・E)/2.54〜(15.24・E)/2.54の範囲とすることが好ましいことも同様である。なお、図14に示したように、凹部150は谷底部の略平らな部位をもって平面投影時の幅bとし、隣接する凹部150の略平らな部位間の間隔を凸部160の平面投影時の幅aとする。
その他、グランド編地220,230を形成するグランド糸や連結糸130の種類及び太さ等の好ましい範囲も同様である。素材も同様のものを用いることができるが、凹部150を振動溶着により形成する場合には、熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等に代表される熱可塑性ポリエステル樹脂類、ナイロン6、ナイロン66等に代表されるポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレン等に代表されるポリオレフィン樹脂類、あるいはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂等を用いることができる。
但し、第4の具体例では、一部の連結糸130同士が交絡接合され、これにより連結糸130の突出が防止されるため、グランド編地220,230を構成するグランド糸と連結糸130とで形成される編目の目締力は上記第3の具体例の場合よりも低く設定することができ、当該編目の合計太さをより細い範囲の設定とすることができる。これにより、グランド編地220,230の感触が柔らかくできる。
図17は、三次元立体編物の第5の具体例を示す断面図であり、第4の具体例と同様に、凹部150及び凸部160を有するが、グランド編地330,340がいずれも、図13に示した第3の具体例における他方のグランド編地230と同様に、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織から形成されている点で異なる。また、連結糸350は、凹部150を形成前の状態で、全ての面において均一な配設密度で配置し、粗部を形成していない点でも異なる。その他の諸条件については第4の具体例と全く同様である。従って、第5の具体例は、第2の具体例と略同様の構成である。
第5の具体例においても、主弾性部である凸部160が部分的に形成されていることから、第4の具体例と同様の特性を備えている。図20には、第5の具体例と同様の構造の三次元立体編物の荷重特性を実施例3として示しているが、この図から明らかなように、従来のものと比較して、第5の具体例も、ばね定数が低下すると共に、ヒステリシスロスが小さくなり、線形性が高くなっている。なお、図20において、実施例3の荷重特性が上記第4の具体例と同様の構造の実施例2のものよりばね定数が低いのは、実施例3においては、実施例2よりも径の細い連結糸を用いたことによる。
図18は、第6の具体例の三次元立体編物を示す断面図であり、第4及び第5の具体例と同様に、凹部150及び凸部160を有するが、一方のグランド編地430は、図19に示したように、凸部160を形成する部位420aがウェール方向に連続したひし形メッシュ組織に形成され、凹部150を形成する部位410aがウェール方向及びコース方向のいずれにも連続したフラットな編地組織から形成されている。なお、他方のグランド編地440は、図12に示した第3の具体例における他方のグランド編地230と同様に、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織から形成されている。また、連結糸450は、凸部160よりも凹部150を形成する部位の配設密度がやや密になっている。その他の諸条件については第4の具体例と全く同様である。
第6の具体例においても、主弾性部である凸部160が部分的に形成されていることから、第4の具体例と同様の特性を備えている。すなわち、図20に示したように、第6の具体例の三次元立体編物の荷重特性(実施例4)は、従来のものと比較して、ばね定数が低下すると共に、ヒステリシスロスが小さくなり、線形性が高くなっている。但し、実施例1〜3として示した他の実施形態にかかるものよりもばね定数が高いのは、実施例1及び2と同様の径を有する連結糸を用いながら、連結糸の配設密度が高いことによる。
上記した三次元立体編物は、自動車、列車等の乗物川シート、事務用椅子、家具用椅子等の各種シートのシートフレームに張設してクッション材(表皮材を含む)として用いるのに好適である。但し、該シートフレームに張設する際には、上記で説明したように伸び率5%未満で張設することが好ましい。これにより、後述する図21に示したような人の筋肉の特性に近似したばね特性を有する構造を作り易くなる。
また、上記した第2、4〜6の具体例では、いずれも、凸部を主弾性部としており、また、第3の具体例においても、凸部としての畝部、または凸部としての畝部を連絡部で連絡させ場合の畝部を主弾性部としており、製造の容易さや、特に自動車用のシートに用いた場合に発揮される特性を考慮すると、かかる構成が好ましいが、連結糸やグランド糸の太さを変化させたり、編成組織を変化させたりすることにより、凹部を圧縮弾性率の高い主弾性部として、上記に匹敵する特性を発揮させることも可能である。
上記では、空隙部を形成することにより帯状編地部を形成する例について説明したが、所定方向に延在する密に編成した部分と所定方向に延在する粗に編成した部分とが交互に多数個位置するようにグランド編地を編成し、密に編成した部分を帯状編地部に代え、かつ粗に編成した部分を空隙部に代えて使用してもよい。
また、主弾性部を凸部または畝部等で構成する例について説明したが、三次元立体編物の表層部に毛足の長い繊維を植毛して、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスより大きな値を有する部位を形成してもよい。
(製造条件)
次に、上記した機能を発揮し得る三次元立体編物の具体的な製造条件を参考として例示する。なお、製造例1の三次元立体編物は、凹凸部はなく、図9に示したように、1又は複数ウェール毎離間して形成した畝部(帯状部)223と畝部223間に空隙部222を有する構造である。空隙部222には、隣接する畝部223同士を架橋するように、1ないし数コースの範囲に亘って連絡部224が形成されている。製造例2〜製造例4は図13及び図14に示したような凹凸部をいずれも有している。
製造例1
編機:ダブルラッセル編機(9ゲージ/2.54cm、釜間距離15mm)
ウェール密度:10本/2.54cm
コース密度:14本/2.54cm
仕上がり厚み(一対のグランド編地の表面間の距離):11.5mm
一方のグランド編地のグランド糸:1170デシテックス/96fポリエステル・BCFマルチフィラメント(捲縮加工糸)
他方のグランド編地のグランド糸:660デシテックス/192fポリエステル・BCFマルチフィラメント(捲縮加工糸)
連結糸:660デシテックス/1fポリエステル
一方のグランド編地の組織:2コースメッシュの変化組織
他方のグランド編地の組織:クインズコード
一方のグランド編地のグランド糸と連結糸とにより形成される編目の合計太さ:1830デシテックス(一部3000デシテックス)
他方のグランド編地のグランド糸と連結糸とにより形成される編目の合計太さ:1980デシテックス
畝部の圧縮率:49.5%
畝部の圧縮弾性率:98.8%
畝部と他の部位との圧縮率の差:5.2%
畝部の幅:6ウェール
空間部の幅:1ウェール
製造例2
編機:ダブルラッセル編機(9ゲージ/2.54cm、釜間距離15mm)
ウェール密度:10本/2.54cm
コース密度:14本/2.54cm
仕上がり厚み(一対のグランド編地の表面間の距離):11.5mm
一方のグランド編地のグランド糸:1170デシテックス/96fポリエステル・BCFマルチフィラメント(捲縮加工糸)
他方のグランド編地のグランド糸:660デシテックス/192fポリエステル・BCFマルチフィラメント(捲縮加工糸)
連結糸:660デシテックス/1fポリエステル
一方のグランド編地の組織:2コースメッシュの変化組織
他方のグランド編地の組織:クインズコード
一方のグランド編地のグランド糸と連結糸とにより形成される編目の合計太さ:1880デシテックス(一部3000デシテックス)
他方のグランド編地のグランド糸と連結糸とにより形成される編目の合計太さ:1980デシテックス
凸部の圧縮率:57.9%
凸部の圧縮弾性率:98.8%
凸部と凹部との圧縮率の差:57.8%
凹部の振動溶着条件:加圧力18.2kgf/m、振幅1.0mm、時間1.2sec
凸部の幅:5ウェール
凹部の幅:2ウェール
製造例3
編機:ダブルラッセル編機(9ゲージ/2.54cm、釜間距離15mm)
ウェール密度:9.8本/2.54cm
コース密度:12.8本/2.54cm
仕上がり厚み(一対のグランド編地の表面間の距離):12.05mm
一方のグランド編地のグランド糸:1170デシテックス/384f
他方のグランド編地のグランド糸:560デシテックス/70f
連結糸:560デシテックス/1f
一方のグランド編地の組織:1リピート2コースのメッシュ
他方のグランド編地の組織:クインズコード
一方のグランド編地のグランド糸と連結糸とにより形成される編目の合計大さ:1730デシテックス
他方のグランド編地のグランド糸と連結糸とにより形成される編目の合計太さ:1120デシテックス
凸部の圧縮率:89.1%
凸部の圧縮弾性率:100%
凸部と凹部との圧縮率の差:89.0%
凹部の振動溶着条件:加圧力21.7kgf/m、振幅1.0mm、時間1.0sec
凸部の幅:6ウェール
凹部の幅:2ウェール
製造例4
編機:ダブルラッセル編機(9ゲージ/2.54cm、釜間距離15mm)
ウェール密度:9本/2.54cm
コース密度:13.5本/2.54cm
仕上がり厚み(一対のグランド編地の表面間の距離):11.5mm
一方のグランド編地のグランド糸:1170デシテックス/96f
他方のグランド編地のグランド糸:660デシテックス/192f
連結糸:660デシテックス/1f
一方のグランド編地の組織:凸部は1リピート4コースメッシュ、凹部はWアトラス変形
他方のグランド編地の組織:クインズコード
一方のグランド編地のグランド糸と連結糸とにより形成される編目の合計太さ:2050デシテックス(一部3220デシテックス)
他方のグランド編地のグランド糸と連結糸とにより形成される編目の合計太さ:1540デシテックス
凸部の圧縮率:20.0%
凸部の圧縮弾性率:94.3%
凸部と凹部との圧縮率の差:6.8%
凹部の振動溶着条件:加圧力18.2kgf/m、振幅1.0mm、時間1.2sec
凸部の幅:9ウェール
凹部の幅:3ウェール
(試験例1)
製造例2により製造した三次元立体編物を、座部用クッション材31を構成する上部弾性部材31dとして使用し、図3に示したように、凸部160の長手方向がシートの左右方向に沿うように配設し、圧力値に対するたわみ量から弾性コンプライアンスを求めた。上部弾性部材31dを構成する三次元立体編物は伸び率0%で配設し、上部弾性部材31dの下部には、図1及び図2に示したように、三次元立体編物からなる中間弾性部材31c、網状弾性部材31b、及び金属ばね31aを配設した。中間弾性部材31cを構成する三次元立体編物は、凹凸部を形成しなかった点を除いて、製造例2と同様の条件で製造したものを用いた。網状弾性部材31bとしては、プルマフレックス(商品名)を用い、これを、左右それぞれ4本ずつの金属ばね31aで支持した。また、網状弾性部材31bは、座面後端から140mm〜290mmまでの位置に設け、座面後端から150mmの座骨結節下付近及びそれよりも後方においては、この網状弾性部材31b及び金属ばね31aの弾性作用がほとんど機能しないように設けた。なお、使用した金属ばね31aは、線材径2.6mm、コイル長54.6mm、コイル平均径16.1mm、総巻数20、ばね定数0.55N/mmのコイルばねである。
かかる構成からなる試験例の座部用クッション材31の座面後端から150mm(座骨結節下付近)、座面後端から250mm、座面後端から350mm(前縁部41付近)において、直径98mmの円形の加圧板を、50mm/分の速度で三次元立体編物の表面から100Nまで押圧して、圧力値に対するたわみ量を測定した。また、比較のため、座面後端から150mm(座骨結節下付近)における厚みが105mm、座面後端から250mmにおける厚みが75mm、座面後端から350mmにおける厚みが50mmのポリウレタンフォームをクッション材として用いたシートに対して、座面後端から150mm(座骨結節下付近)、座面後端から250mm、座面後端から350mm(前縁部41付近)において同様の測定を行った。結果を図23〜図25に示す。また、着座した際に座面後端から150mm、250mm、350mmにそれぞれ相当する被験者の座骨付近、座骨から100mm下方、座骨から200mm下方の部位について、直径98mmの円形の加圧板により20Nまで圧縮して圧力値に対するたわみ量を測定した。その結果を図22に示す。なお、図23〜図25においては、図22の結果を重ねて示す。
図23から明らかなように、座面後端から150mm部位においては、伸び側反力を生じる際の弾性コンプライアンスが、試験例及び比較例共に、ヒステリシスが人体部位の特性と同等かそれ以上で、人体部位の弾性コンプライアンスの変化特性に近似した傾向の変化特性を有していた。
一方、図24を見ると、試験例では、線形性が高くなって、伸び側反力の生じる際の弾性コンプライアンスが小さくなっているのに対し、比較例の場合には、図23に示した座面後端から150mmの位置での変化特性と比較して大きな変化はなく、非線形の傾向の強い特性を示している。
図26及び図27は、座面後端から150mm、250mmの各部位における試験例の弾性コンプライアンス特性と、同様の部位における比較例の弾性コンプライアンス特性とを、それぞれ重ね合わせて示したものであるが、これらの図から、試験例の場合に250mmにおける弾性コンプライアンス特性の線形性が高くなり、比較例の場合にはほとんど変化がないことがよくわかる。このように、試験例の場合には、骨盤前部付近で、線形性が高くなる変化を示すことで、着座時においては、当該骨盤前部付近で堰が形成されることになり、座骨結節下付近及びそれよりも後方の部位が相対的に沈み込んで、臀部の前方へのずれを防止することができ、着座時の安定感を増すことができることがわかる。
また、図25から明らかなように、試験例の場合には、前縁部付近の伸び側反力の生じる際の弾性コンプライアンスが、人体部位の弾性コンプライアンスよりも大きくなっているのに対し、比較例の場合には、人体部位の弾性コンプライアンスと略同程度である。
直径98mmの加圧板は、大腿部の片側の接触面積に略相当する大きさであるが、試験例の場合には、上記のように、前縁部において弾性コンプライアンスが大きくなっているため、大腿部の血流阻害を防止するのに有効であると共に、ペダル操作のために大腿部を動かした際には、かかる接触面積では大きな反力が加わらないため、円滑なペダル操作を行うことができることがわかる
(試験例2)
上記のシートにJM96(クッション分担荷重:85kg)の人間が着座し、加振装置のプラットフォームをシートクッション部の下部に設置して、周波数に対する振動伝達率(G/G)を測定し、結果を図28において太い実線で示した。比較のため、ポリウレタンフォームを用いたシートの振動特性を細い実線で示した。
振動伝達率(G/G)は、あまり大きくなると過渡応答性が悪くなり振動が残留して乗り心地感に悪影響を与えるが、この点、三次元立体編物を用いたシートは、ポリウレタンフォームを用いたシートよりもさらに低く、好ましい特性を示した。
また、乗り心地に大きく影響を与えるのは振動により骨格自体を揺らす2Hz以下の動揺であるが、本実施形態のシートの場合には、共振峰が2Hzと5Hzの間であると共に、ポリウレタンフォームを用いた場合よりも低い周波数であり、また、内臓との共振となる6〜8Hzの振動伝達率がポリウレタンフォームを用いた場合と比較して小さくなっていた。従って、本実施形態のシートによれば、振動吸収性能の点でも非常に優れている。
また、図29に示したように、フロアに対するクッション材と腰の相対上下振動伝達特性を調べたところ、ポリウレタンフォームを用いたクッション材よりも、三次元立体編物を用いたクッション材の方が、低い周波数領域から相対変位が大きいことがわかった。すなわち、三次元立体編物を用いたものは、広い面で加圧する場合には連結糸全体がたわむが、狭い面で加圧する場合には連結糸自体に加圧力が作用し、連結糸とグランド編地間で連結糸のずれが生じる。この際のクーロン摩擦力が、連結糸の曲げ弾性に打ち勝ち、復元性に時間的遅れを生じさせる。この結果、入力振動に対する位相遅れが大きくなり、振動エネルギーをよく吸収し、振動伝達率を低いレベルで抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明のシートの一実施形態を示す一部を切り欠いた斜視図である。
図2は、図1のA−A線断面図である。
図3は、上部弾性部材及び背部用クッション材を構成する三次元立体編物の他の配設態様を示す斜視図である。
図4は、クッション材への荷重の作用を説明するためのクッション材の簡易モデルを示す図である。
図5は、上記実施形態で使用可能な三次元立体編物の第1の具体例の構成を示す断面図である。
図6は、一方のグランド編地の一例を示す図である。
図7は、他方のグランド編地の一例を示す図である。
図8A〜図8Eは、連結糸の各種配設の仕方を例示した図である。
図9は、上記実施形態で使用可能な三次元立体編物の第3の具体例の構成を示す斜視図である。
図10は、図9の断面図である。
図11は、図9の平面図である。
図12は、第3の具体例の一方のグランド編地の一例を示す図である。
図13は、上記実施形態で上部弾性部材等として使用可能な凹凸部を備えた三次元立体編物の第4の具体例を示す斜視図である。
図14は、図13に示した三次元立体編物の断面図である。
図15は、図13に示した三次元立体編物に形成される略アーチ状のばね要素の作用を説明するための図である。
図16は、図13に示した三次元立体編物に形成される略アーチ状のばね要素の作用を説明するための図である。
図17は、上記実施形態で使用可能な三次元立体編物の第5の具体例を示す断面図である。
図18は、上記実施形態で使用可能な三次元立体編物の第6の具体例を示す断面図である。
図19は、第6の具体例の一方のグランド編地の一例を示す図である。
図20は、三次元立体編物の第3〜第6の具体例の実施例と比較例との変位と荷重との関係を示す線図である。
図21は、三次元立体編物の第3〜第6の具体例の実施例と臀部との変位と荷重との関係を示す線図であう。
図22は、直径98mmの加圧板により測定した人体部位の弾性コンプライアンスを示す図である。
図23は、試験例及び比較例の座部用クッション材の座面後端から150mmの位置において、直径98mmの加圧板により測定した弾性コンプライアンス特性を示す図である。
図24は、試験例及び比較例の座部用クッション材の座面後端から250mmの位置において、直径98mmの加圧板により測定した弾性コンプライアンス特性を示す図である。
図25は、試験例及び比較例の座部用クッション材の座面後端から350mmの位置において、直径98mmの加圧板により測定した弾性コンプライアンス特性を示す図である。
図26は、試験例の座部用クッション材の座面後端から150mmと250mmの位置における弾性コンプライアンス特性を重ね合わせて示した図である。
図27は、比較例の座部用クッション材の座面後端から150mmと250mmの位置における弾性コンプライアンス特性を重ね合わせて示した図である。
図28は、試験例にかかるシートの振動伝達特性を示す図である。
図29は、試験例にかかるシートのフロアに対するクッション材と腰の相対上下振動伝達特性を示す図である。
図30AはJM85のばね定数kの周波数特性を示す線図であり、図30BはJM85の減衰係数cの周波数特性を示す線図である。
図31はJM85のばね定数k及び減衰係数cを測定するための装置を示す概略図である。
図32は、ばね定数k及び減衰係数cを備えた1自由度の振動モデルを示す図である。
図33は、臀部筋肉のたわみの周波数特性を示す線図である。
図34は、座面後端から150mm位置と250mm位置とで釣り合い状態を模擬した際の筋肉特性と釣り合い状態におけるクッション材の弾性コンプライアンスを示す線図である。
図35Aは、図34のA部を拡大した3Hzのときの特性を示す線図であり、図35Bは4Hzのときの特性を示す線図である。
図36は、クッション材の静的体圧分布を示す線図である。
図37は、クッション材の直径98mmの加圧板による圧力値とたわみとのリサージュ波形を示す線図である。
図38Aは、凸部を格子状に配列した場合の概略平面図、図38Bは、凸部を千鳥状に配列した場合の概略平面図である。

Claims (26)

  1. シートフレームと、
    互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されると共に前記シートフレームに張設された三次元立体編物の一部分を、該三次元立体編物より大きさが小さくかつ弾性コンプライアンス特性が略線形な弾性部材の上に載置することによって構成されたクッション材とを具備するシートであって、
    前記弾性部材を、座部における着座者の座骨結節下を含む所定領域を含み、かつ座部の前縁部付近及び該所定領域より後方側を除いた領域に設けることで、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在する部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位として構成すると共に、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在しない部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有する前記第2部位として構成したシート。
  2. シートフレームと、
    互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されると共に前記シートフレームに張設された三次元立体編物の一部分を、該三次元立体編物より大きさが小さくかつ弾性コンプライアンス特性が略線形な弾性部材の上に載置することによって構成されたクッション材とを具備するシートであって、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在する部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位として構成すると共に、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在しない部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有する前記第2部位として構成し、
    かつ、座部における着座者の座骨結節下を含む所定領域と該座部の前縁部付近との間の骨盤前部付近に対応する部位に、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスよりも小さな値を有し、かつ座骨結節下を含む所定領域と比較して線形性の高い変位を示す部位を設けたシート。
  3. 着座者の体重と前記クッション材の反力が釣り合った状態において前記クッション材が外部からの加振力によって振動する状態で、前記骨盤前部付近に対応する部位が、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有するようにした請求項2記載のシート。
  4. シートフレームと、
    互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されると共に前記シートフレームに張設された三次元立体編物の一部分を、該三次元立体編物より大きさが小さくかつ弾性コンプライアンス特性が略線形な弾性部材の上に載置することによって構成されたクッション材とを具備するシートであって、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在する部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位として構成すると共に、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在しない部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有する前記第2部位として構成し、
    かつ、座面後端から着座者の座骨結節下を含む所定領域まで所定量たるみ、かつ座骨結節下を含む所定領域と前縁部付近との間の骨盤前部付近に対応する部位のたるみが前記所 定量より少なくなるように、前記三次元立体編物を前記シートフレームに張設したシート。
  5. 着座者の体重と前記クッション材の反力が釣り合った状態において前記クッション材が外部からの加振力によって振動する状態で、前記骨盤前部付近に対応する部位が、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有するように張設した請求項4記載のシート。
  6. シートフレームと、
    互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されると共に前記シートフレームに張設された三次元立体編物の一部分を、該三次元立体編物より大きさが小さくかつ弾性コンプライアンス特性が略線形な弾性部材の上に載置することによって構成されたクッション材とを具備するシートであって、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在する部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位として構成すると共に、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在しない部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有する前記第2部位として構成し、
    かつ、座面後端から着座者の座骨結節下を含む所定領域までの間は、座部を構成するシートフレームの全幅に対して5mm〜60mmの余裕幅でたるみ、かつ骨盤前部付近に対応する部位において余裕幅が0〜20mmになるように、前記三次元立体編物を前記シートフレームに張設したシート。
  7. 着座者の体重と前記クッション材の反力が釣り合った状態において前記クッション材が外部からの加振力によって振動する状態で、前記骨盤前部付近に対応する部位が、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有するように張設した請求項6記載のシート。
  8. シートフレームと、
    互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成されると共に前記シートフレームに張設された三次元立体編物の一部分を、該三次元立体編物より大きさが小さくかつ弾性コンプライアンス特性が略線形な弾性部材の上に載置することによって構成されたクッション材とを具備するシートであって、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在する部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位として構成すると共に、
    前記クッション材における下部に前記弾性部材が存在しない部位を、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有する前記第2部位として構成し、
    かつ、前記弾性部材を、網状弾性部材、面状弾性部材、又は、金属ばねを介して支持された網状若しくは面状弾性部材で構成し、かつ構成された弾性部材の弾性が骨盤前部付近に対応する部位において大きく作用するようにしたシート。
  9. 着座者の体重と前記クッション材の反力が釣り合った状態において前記クッション材が外部からの加振力によって振動する状態で、前記骨盤前部付近に対応する部位が、前記弾性部材の弾性によって押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有するようにした請求項8記載のシート。
  10. シートフレームと、
    互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成され、前記シートフレームに支持された三次元立体編物を含むクッション材とを具備するシートであって、
    前記クッション材が、
    着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有し、かつ座部の着座者の座骨結節下を含む所定領域に位置する第1部位と、
    前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有し、かつ座部の前縁部付近に位置する第2部位と、
    前記第1部位の弾性コンプライアンスより小さな値を有し、かつ座部の着座者の骨盤前部付近に対応する部位に位置する第3部位と、
    を備えたシート。
  11. 前記クッション材が振動する状態で、前記第3部位が、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有するようにした請求項10記載のシート。
  12. シートフレームと、
    互いに離間して配置された一対のグランド編地同士を連結糸で結合することにより形成され、前記シートフレームに支持された三次元立体編物を含むクッション材とを具備するシートであって、
    前記クッション材が、着座した際の伸び側反力の作用する際の弾性コンプライアンス特性として、押圧する人体部位の弾性コンプライアンスと略同等の値を有する第1部位と、前記第1部位の弾性コンプライアンスよりも大きな値を有する第2部位とを備え、
    かつ、前記三次元立体編物は、前記シートフレームに張設されて座部の前後方向の弾性コンプライアンスを左右方向の弾性コンプライアンスに対し大とするように、面剛性の高い前記第2部位と、圧縮変形に対して主たる復元力を発揮する面剛性の低い前記第1部位の主弾性部とが設けられて構成されているシート。
  13. 前記三次元立体編物は、圧縮率の異なる2種類以上の部位を有し、圧縮率の高い前記第2部位が、圧縮変形に対して主たる復元力を発揮する前記第1部位の主弾性部として構成されている請求項12記載のシート。
  14. 前記三次元立体編物の主弾性部の圧縮率が20〜90%の範囲、圧縮弾性率が75〜100%の範囲で、かつ前記主弾性部を構成しない部位との圧縮率の差が5%以上である請求項13記載のシート。
  15. 前記三次元立体編物は、少なくとも一面に凹凸部が設けられ、凹部及び凸部のいずれかが前記主弾性部として形成されている請求項12記載のシート。
  16. 前記凸部が前記主弾性部を構成し、該凸部か隣接する凹部間に断面略アーチ状に形成され、この断面略アーチ状の凸部の曲げ方向の弾性を利用可能な構造に形成されている請求項15記載のシート。
  17. 前記三次元立体編物の凸部が、面に沿った任意の方向に畝状に形成されており、座部、または座部及び背部の両方において、該凸部に沿った長手方向がシー卜の左右方向を向くように、前記三次元立体編物を前記シートフレームに張設した請求項15記載のシート。
  18. 前記三次元立体編物の凸部が格子状又は千鳥状に形成されており、座部、または座部及び背部の両方において、前記主弾性部の配置密度の高い方向がシートの左右方向を向くように、前記三次元立体編物を前記シートフレームに張設した請求項15記載のシート。
  19. 前記三次元立体編物の主弾性部の厚さが、5〜80mmの範囲である請求項12記載のシート。
  20. 平面に投影した際の面積で、前記三次元立体編物の主弾性部の単位面積当たりに占める割合が、30〜90%/m の範囲である請求項12記載のシート。
  21. 前記三次元立体編物の主弾性部が、編成組織の調製により形成されている請求項12記載のシート。
  22. 前記三次元立体編物の編成組織が、連結糸の配設密度、連結糸の大さ、連結糸の長さ、連結糸の材質、グランド編地の編目形状、グランド編地の編目サイズ、グランド編地を構成するグランド糸の材質、連結糸とグランド編地との結合部分における目締力のうちのいずれか1つの要素又は任意の2つ以上の要素の組み合わせにより調製されたている請求項21記載のシート。
  23. 前記一対のグランド編地間を近接させた状態でその間の連結糸同士を接合することにより前記凹部が形成され、前記凸部が主弾性部を構成している請求項15記載のシート。
  24. 溶着、接着、縫合、融着繊維を用いた接合、振動溶着のいずれかにより前記三次元立体編物の凹部が形成されている請求項23記載のシート。
  25. 前記三次元立体編物は、前記凹部領域と凸部領域における連結糸の配設密度、連結糸の太さ、連結糸の長さ、連結糸の材質、グランド編地の編目形状、グランド編地の編目サイズ、グランド編地を構成するグランド糸の材質、連結糸とグランド編地との結合部分における目締力のうちのいずれか1つの要素又は任意の2つ以上の要素が異なるように形成されている請求項23記載のシート。
  26. 前記三次元立体編物は、前記凹部領域における連結糸の配設密度が、前記主弾性部を構成する凸部領域における連結糸の配設密度よりも粗となるように形成されている請求項15記載のシート。
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