JP2006188773A - 合成皮革及び立体編物 - Google Patents

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悦則 藤田
Yumi Ogura
由美 小倉
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Abstract

【課題】荷重の分散性に優れ、本革に近い特性を備えた合成皮革を提供する。
【解決手段】本発明の合成皮革1は、基材層10として立体編物20を用いた構成である。立体編物20は、グランド編地21,22の伸び及び連結糸23の倒れ等により、1点集中荷重では柔らかなバネ特性が作用するため、速やかに外力を吸収、分散できると共に、面接触で荷重が付加された際には線形性の高いバネ特性が作用するため、人体の支持機能が高い。このため、本革よりも折れや摩耗に弱いという合成皮革の弱点を補い、より本革に近い柔らかなクッション機能を備えさせることができると共に、本発明の合成皮革1のみで所定の荷重を支持できるため、シートクッションやシートバックにおいて表皮材の下層に配置されるクッション材のクッション特性を補うことができ、乗物用シートの表皮材として特に適している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、特に、航空機、列車、船舶、フォークリフト、自動車などの乗物用シートの表皮材として用いられる合成皮革に関する。
特許文献1には、低明度層上に、空間保持層としての立体編物を積層し、さらに該立体編物の表面に光線透過層としての合成樹脂膜を積層した構造の表皮材が開示されている。また、光線透過層として皮革調模様を型押しした透明ポリ塩化ビニル樹脂膜を用いる例も開示されているが、いずれにしても、空間保持層として立体編物に断熱機能を担わせた表皮材である。
特開2003−205561号公報
特許文献1に開示されたものは、立体編物を断熱層として利用するものであるため、その表面には光線を透過する透明の合成樹脂膜を配設しなければならない。従って、この表皮材は、立体編物の色調が透明の合成樹脂膜を介して直接外観に現れるものであり、合成樹脂膜として皮革調のものを用いたとしても、透明であるため、自動車等のシート(座席)に用いる合成皮革としては外観上問題がある。このため、特許文献1においても、その用途の具体例としては、インスツルメントパネル、ドアトリム等が例示されているのみであり、乗物用シートへの適用には言及されていない。
一方、立体編物は、薄型でも、高い復元力を有し、適度な弾力性を持ち、1点集中荷重では柔らかなバネ特性を発揮するが、所定の大きさの面接触では面剛性が高く硬いバネ特性を発揮する特性を備えている。例えば、人の突出している骨に相当する大きさである直径30mmの加圧板を用いた荷重−たわみ特性では、柔らかなバネ特性が作用し、直径98mmの加圧板を用いた荷重−たわみ特性では、面剛性が高く、線形性の高いバネ特性が作用するため、人の臀部筋肉に対して直径30mm、98mmの加圧板により測定した場合に近似した傾向のバネ特性を備えている。従って、この立体編物を乗物用シートの表皮材に組み込めば、人の筋肉に近似した特性を備えた層が配設されることになり、違和感なく外力を効果的に分散でき、簡易な構造で、本革に近似した弾性を備えた表皮材(合成皮革)を提供できることが期待される。また、通気性の高い合成樹脂膜を表面層として組み合わせることで、立体編物の有する高い通気機能を十分生かすことができる。
本発明は上記の点に着目してなされたもので、立体編物を利用することにより、より本革に近い機能を備え、乗物用シートの表皮材として適する合成皮革を提供することを課題とする。
上記課題を解決するため、請求項1記載の本発明では、基材層と、該基材層の表面に積層された表面層とを備えてなり、乗物用シートの表皮材として使用される合成皮革において、
前記基材層が、互いに離間して配置された一対のグランド編地と、該一対のグランド編地間を往復して両者を結合する多数の連結糸とを有する立体的な三次元構造に形成された立体編物から構成されていることを特徴とする合成皮革を提供する。
請求項2記載の本発明では、前記表面層が、通気性の合成樹脂膜から形成されていることを特徴とする請求項1記載の合成皮革を提供する。
請求項3記載の本発明では、前記表面層は、透過水蒸気量が70g/m hr以上であることを特徴とする請求項2記載の合成皮革を提供する。
請求項4記載の本発明では、前記基材層は、前記立体編物の裏面に、さらに、保湿性を備えた通気性のウレタン層が積層されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の合成皮革を提供する。
請求項5記載の本発明では、前記ウレタン層は、通気度が50〜200cc/cm・secの範囲であることを特徴とする請求項4記載の合成皮革を提供する。
請求項6記載の本発明では、前記表面層と接合する立体編物の接合面は、粘性減衰係数が5〜20Ns/mの範囲であり、かつ、クーロン摩擦力が1〜3Nの範囲であるか、又は、粘性減衰係数が20〜100Ns/mの範囲であり、かつ、クーロン摩擦力が3〜15Nの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の合成皮革を提供する。
請求項7記載の本発明では、前記立体編物のグランド編地を形成するグランド糸の太さが、55〜168デシテックスの範囲であり、連結糸の太さが、170〜300デシテックスの範囲であることを特徴とする請求項6記載の合成皮革を提供する。
請求項8記載の本発明では、前記表面層と接合する該立体編物の接合面が、起毛処理されていることを特徴とする請求項6又は7記載の合成皮革を提供する。
本発明の合成皮革は、基材層として立体編物を用いた構成である。立体編物は、グランド編地の伸び及び連結糸の倒れ等により、1点集中荷重では柔らかなバネ特性が作用するため、速やかに外力を吸収、分散できると共に、面接触で荷重が付加された際には線形性の高いバネ特性が作用するため、人体の支持機能が高い。このため、本革よりも折れや摩耗に弱いという合成皮革の弱点を補い、より本革に近い柔らかなクッション機能を備えさせることができると共に、本発明の合成皮革のみで所定の荷重を支持できるため、シートクッションやシートバックにおいて表皮材の下層に配置されるクッション材のクッション特性を補うことができ、乗物用シートの表皮材として特に適している。
また、立体編物は引っ張り方向だけでなく圧縮方向にもバネ特性や粘性特性が作用すると共に、合成皮革を構成する表面層の厚みは極めて薄い。このため、立体編物における表面層との接合面の触感が、そのまま薄い表面層を介して表皮材自体の触感として現れやすい。逆に言えば、立体編物における表面層との接合面の触感を本革に近い触感に設定すれば、表面層を介しての触感も本革に近似することになる。従って、立体編物における表面層との接合面における触感を決定する粘性減衰係数及びクーロン摩擦力を所定の範囲とすることにより、より人に好まれる本革に近似した合成皮革を提供できる。
また、表面層として、通気性の高い合成樹脂膜を用いることにより、通気性に優れた立体編物の特徴を生かすことができる。従って、本発明の合成皮革では、吸熱性が高いといった本革の弱点をも補うことができる。また、立体編物にウレタン層を積層することにより、乗物用シートに必要な保湿性能も確保できる。
以下、図面に示した本発明の実施形態に基づき、さらに詳細に説明する。図1は、本発明の一の実施形態に係る合成皮革1を示す断面図である。この図に示したように、本実施形態の合成皮革1は、基材層10と表面層50とを備えて構成される。
基材層10は、立体編物20とウレタン層30との積層体からなり、該立体編物20の裏面(下面)にウレタン層30の表面(上面)が接している。立体編物20は、例えば、特開2002−331603号公報に開示されているように、互いに離間して配置された一対のグランド編地21,22と、該一対のグランド編地21,22間を往復して両者を結合する多数の連結糸23とを有する立体的な三次元構造となった編地である。
一方のグランド編地21は、例えば、単繊維を撚った糸から、ウェール方向及びコース方向のいずれの方向にも連続したフラットな編地組織(細目)によって形成され、他方のグランド編地22は、例えば、短繊維を撚った糸から、ハニカム状(六角形)のメッシュを有する編み目構造に形成されている。もちろん、この編地組織は任意であり、細目組織やハニカム状以外の編地組織を採用することもできるし、両者とも細目組織を採用するなど、その組み合わせも任意である。連結糸23は、一方のグランド編地21と他方のグランド編地22とが所定の間隔を保持するように、この一対のグランド編地21,22間に編み込んだもので、立体編物20に所定の剛性を付与する。グランド編地21,22を形成するグランド糸の太さは、立体編地20に必要な腰の強さを具備させることができると共に、編成作業が困難にならない範囲のものが選択される。
但し、本実施形態においては、立体編物20には表面層50が積層されるため、少なくとも該表面層50が積層される立体編物20の接合面(上面)側に位置するグランド編地21は、合成樹脂膜からなる表面層50を積層した際に、該表面層50にグランド編地21の編地組織の模様ないしは凹凸が見えるなどの悪影響を及ぼさないようにする必要がある。従って、立体編物20の一方のグランド編地21は、表面層50との接合面が、できるだけ細かな生地密度になっていることが好ましい。
具体的には、立体編物20の一方のグランド編地21における表面層50との接合面は、粘性減衰係数が5〜20Ns/mの範囲であり、かつ、クーロン摩擦力が1〜3Nの範囲であるか、又は、粘性減衰係数が20〜100Ns/mの範囲であり、かつ、クーロン摩擦力が3〜15Nの範囲であることが好ましい(図6(a)において「最適」で示した範囲」。粘性減衰係数及びクーロン摩擦力がかかる範囲になっている場合には、本革に近似した触感となり、薄い表面層50を介しての触感も本革に近似する。また、生地密度が細かくなることから、薄い表面層50を介しての外観も本革に近似することになる。立体編物20における表面層50との接合面において上記した特性を得るためには、グランド糸及び連結糸としてできるだけ細い糸を選択する手段がある。具体的には、グランド糸の太さとしては55〜168デシテックス、連結糸の太さとしては170〜300デシテックスの範囲から選択することが好ましい。但し、グランド糸や連結糸の太さが上記した範囲内であっても、あるいは上記した範囲よりも太い場合であっても、上記所定の粘性減衰係数及びクーロン摩擦力の範囲に収まらない場合には、接合面を起毛させることにより、生地密度を実質的に高密度にし、上記範囲の粘性減衰係数及びクーロン摩擦力を得られるように設定することができる。なお、起毛手段は限定されるものではなく、針布やサンドペーパなどを用いて起毛させることができる。
ここで、上記した粘性減衰係数及びクーロン摩擦力の範囲は、複数種類の本革について、粘性減衰係数及びクーロン摩擦力を測定し、各本革に手指で触ったときの好適感(好き、又は、嫌い)、柔らかさを評価し、両者の相関を調べた結果に基づくものである。
粘性減衰係数を測定するに当たっては、測定対象物である各本革を平坦な測定板上に置き、該本革上に手が自然に置かれた状態に極めて近い状態で、すなわち、本革鉛直方向に対しては自由度があるように支持した1kgの負荷質量を本革表面に沿って0.03〜0.06m/sで往復運動させ、その際の荷重の変化をロードセルで測定した。そして、次のようにデータ処理した。
まず、負荷質量に作用する力Fは、速度の関数で表されると考える。力Fは、ロードセルに作用する荷重に等しいとする。横軸を負荷変位X、縦軸を負荷質量に作用する減衰力Fとするリサージュ図形を図5(a)に示したように作成する。次に、速度V=ΔX/Δtを計算し、横軸を負荷質量変位X、縦軸をVとするリサージュ図形を図5(b)に示したように作成する。図5(b)に示すF1、F2、V1,V2を読み取る。ここで、減衰力F1(X),F2(X)は、減衰係数C、クーロン摩擦力Fcを用いて次の式で表すことができると仮定する。
F1(X)=CV1+Fc・・・・(1)
F2(X)=CV2−Fc・・・・(2)
上記式(1)と(2)の引き算を行い、次のように変形する。
C=[F1(X)−F2(X)−2Fc]/(X1−X2)・・・・(3)
ΔF=CΔV+2Fc ・・・・(4)
式(3)より減衰係数を求める。また、式(4)より縦軸を減衰力、横軸を速度とするグラフを作成する。傾きが減衰係数で切片の1/2がクーロン摩擦力Fcとなる。
式(3)、(4)を用いて測定した各本革のクーロン摩擦力Fc(N)及び粘性減衰係数C(Ns/m)は次のとおりであった。
本革タイプ クーロン摩擦力Fc(N) 粘性減衰係数C(Ns/m)
茶1 8.324533782 65.0685926
茶2 2.23399982 27.21141851
青 8.320680589 20.6270551
バロン 3.534694874 16.54502064
ネイビーブルー 3.345642061 -1.288703059
肌色 2.116373436 11.34227099
黒1 2.849930834 28.47915117
黒2 2.682115963 4.168718135
黒3 1.848418019 17.92211998
23名の被験者により好適感(心理量)、柔らかさ(心理量)を上記各本革について評価したところ、好適感は柔らかさと高い相関があり、そしてこの柔らかさで高い評価が示された本革の粘性減衰係数及びクーロン摩擦力を調べると、上記した粘性減衰係数5〜20Ns/mの範囲及びクーロン摩擦力1〜3Nの範囲という組み合わせと、粘性減衰係数20〜100Ns/mの範囲及びクーロン摩擦力3〜15Nの範囲という組み合わせにおいて、柔らかさという心理量と高い相関が認められた。上記の本革タイプの中では、「茶2」、「バロン」、「ネイビーブルー」、「黒1」、「黒2」の5タイプが適切な範囲からはずれることになる。以上のことから、立体編物20の接合面の粘性減衰係数及びクーロン摩擦力を上記の範囲に設定することにより、好適感レベルの高い本革とほぼ同等の触感を得ることができる。なお、「柔らかさ」については、人の評価バラツキが懸念されたため、クラスター分析により人の分布状況を確認したところ、5グループに分かれたが、その内訳が、Aグループ:15名、Bグループ:3名、Cグループ:3名、Dグループ:1名、Eグループ:1名であり、大きなバラツキのないレベルであることが確認できた。
グランド糸又は連結糸の素材としては、上記したように、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリロニトリル、レーヨン等の合成繊維や再生繊維、ウール、絹、綿等の天然繊維が挙げられるが、これらの素材は単独で用いてもよいし、これらを任意に併用することもできる。好ましくは、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂類、ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン樹脂類、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)あるいはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂である。なお、ポリエステル系樹脂はリサイクル性に優れており好適である。また、グランド糸又は連結糸の糸形状は限定されるものではなく、丸断面糸でも異形断面糸等でもよい。
連結糸23は、表層と裏層のグランド編地21,22中にループ状の編み目を形成してもよく、挿入組織で表層と裏層のグランド編地に引っかけた構造でもよいが、少なくとも2本の連結糸23が表層と裏層の編地21,22を互いに逆方向に斜めに傾斜して、クロス状(X状)やトラス状に連結することが、立体編地20の形態安定性を向上させる上で好ましい。
なお、立体編物20は、相対する2列の針床を有する編機で編成することができる。このような編機として、ダブルラッセル編機、ダブル丸編機、Vベッドを有する横編機等がある。寸法安定性のよい立体編物を得る上で、ダブルラッセル編機を用いるのが好ましい。
上記した条件を満たす立体編物20の具体例としては次の立体編物がある。
(1)製品番号T21502(旭化成せんい株式会社製)
表側のグランド編地21のグランド糸:
材料:ポリトリメチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸
太さ:167デシテックス/48フィラメント
連結糸23:
材料:ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
太さ:280デシテックス
一方、グランド糸、連結糸の太さが上記範囲外であるが、接合面を起毛させることにより、所定の粘性減衰係数及びクーロン摩擦力の得られるものとしては次の立体編物がある。
(2)製品番号T24004A−3S(以下、「T24004A」(旭化成せんい株式会社製)
表側のグランド編地21のグランド糸:
材料:ポリエチレンテレフタレート繊維仮撚加工糸
太さ:500デシテックス/144フィラメント
連結糸23:
材料:ポリトリメチレンテレフタレートモノフィラメント
太さ:390デシテックス
また、上記(1)の製品番号T21502及び(2)の製品番号T24004Aの粘性減衰係数及びクーロン摩擦力を測定したところ、次表のとおりであった。
試料 測定方向 クーロン摩擦力Fc(N) 粘性減衰係数C(Ns/m)
T21502(1) ロール方向 2.736826521 23.33231611
T21502(2) 直角方向 2.490458392 9.949691485
T24004A(1) ロール方向 2.381075874 11.76378238
T24004A(2) 直角方向 2.048227787 -3.33748056
T24004A(3) 直角方向 1.968455191 9.778626064(起毛処理)
なお、表中、「ロール方向」は、立体編物の原反の巻き取り方向であり、「直角方向」はそれに直交する方向である。また、T24004A(3)は、ロール方向に沿って起毛処理したものである。
図6(a)は、上記の結果をプロットしたものであり、図6(b)は上記結果から作成した最小二乗近似による1次関数グラフである。これらの図から、製品番号T21502は、ロール方向、直角方向とも図6(a)の「最適」範囲に含まれるため、そのまま使用できる。これに対し、T24004Aの場合には、未処理状態では、直角方向の値(T24004A(2)の値)が「最適」範囲からはずれて「適」範囲になるため、そのままでは使用できない。しかしながら、これを起毛処理した場合には、直角方向の値(T24004A(3)の値)が、「最適」範囲に収まり、本実施形態の立体編物20として用いることが可能となる。なお、図6(a)において、「最適」は粘性減衰係数及びクーロン摩擦力が上記した2つの好ましい範囲に収まり、本実施形態の立体編物20として使用できる範囲を示し、「適」は、そのままでは使用できないが、起毛処理することにいおり、「最適」範囲に移行する可能性のある粘性減衰係数及びクーロン摩擦力の範囲であり、「不適」は、起毛処理しても「最適」範囲に移行する可能性がほとんどない粘性減衰係数及びクーロン摩擦力の範囲である。
ウレタン層30は、通気性、保湿性を備えるスラブウレタンフォームが用いられる。好ましいスラブウレタンフォームは、通気度が50〜200cc/cm・secの範囲である。厚さは、かかる機能を有する限り、制限されるものではないが、5〜20mmであることが好ましい。基材層10としては、立体編物20のみから構成することもできるが、ウレタン層30を有することにより、着座時における人体が接触している付近の環境を、乗物用シートで適当とされる55%の保湿度を保つことができるため好ましい。また、ウレタン層30は、立体編物20の裏面に接着剤を介して接合される。
表面層50は、合成皮革の表面層として従来用いられている合成樹脂膜であれば何であってもよいが、例えば、離型紙上にポリウレタンを塗布して加熱乾燥して得られるポリウレタン膜を用いることができる。ポリウレタン膜を形成するポリウレタンとしては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変成物等が挙げられるが、中でも、ポリカーボネート系ポリウレタンが好適である。表面層50を構成するポリウレタン膜の厚みは、乾燥厚で10〜100μm程度が好ましい。表面層50を構成するポリウレタン膜は、離型紙が貼着された面と反対面に接着剤が塗布されて加熱乾燥され、かかる接着剤を塗布した面を立体編物20の接合面に重なるようにして熱圧着される。接着剤としては、ポリカーボネート系ポリウレタン、ポリエーテル系ポリウレタン、ポリエステル系ポリウレタン及びこれらの変成物等が挙げられ、中でもポリエーテル系ポリウレタンが好ましい。また、接着剤の厚みは50〜100μm程度が適当である。
表面層50を構成するポリウレタン膜は、通気性があることが好ましく、さらには、透過水蒸気量が70g/m hr以上であることがより好ましい。そのため、上記したポリウレタン膜は、スキン層をなくすように、コールドキュアでは除圧発泡による成型金型で発泡したり、ホットキュアによる連泡の発泡組織を持つものが好ましい。
本実施形態によれば、基材層10として立体編物20を備えている。従って、立体編物20特有のバネ特性が機能し、例えば、手指や骨の突出部などによる1点集中荷重がかかった際には、柔らかなバネ作用により、表面層50に生じるしわは小じわになり、本革調の外観、質感を呈する。その一方で、立体編物20特有の広い面積で荷重がかかった際には、線形性の高いバネ特性が作用し、面剛性が高まるため、着座時において高い支持感が発揮される。また、人体による加重と抜重が繰り返されることにより、立体編物20を構成する連結糸の倒れないしは座屈特性、それらに伴う連結糸の復元力が作用し、立体編物の空間内の空気の移動を効果的に促し、通気性を備えた表面層50やウレタン層30を通じて高い換気機能を発揮することができる。
(試験例)
厚さ10mm、通気度100cc/cm・secのスラブウレタンフォームに、上記した製品番号T21502(旭化成せんい株式会社製)の立体編物(厚さ11mm)を接着剤を用いて固着して一体化して基材層を得た。一方、離型紙上に乾燥厚30μmとなるようにポリカーボネート系ポリウレタンを塗布して加熱乾燥し、表面層を得て、該表面層の片面にポリエーテル系ポリウレタンの接着剤を乾燥厚で50μmとなるように塗布して加熱乾燥した。
接着剤を塗布した表面層を、立体編物の接合面に積層して熱圧着し、所定時間放置後離型紙を剥離し、試験例の合成皮革を得た。
得られた合成皮革を、平らな測定面上に載置し、直径30mm、直径98mm、直径200mmの加圧板により、それぞれ、50mm/minの速度で100N(直径200mmの加圧板の場合は1000N)まで加圧し、試験例の合成皮革の荷重−たわみ特性を測定した。結果を図2〜図4に示す。なお、直径30mmの加圧板は、人の突出している骨の部分の大きさにほぼ相当し、直径98mmの加圧板は、体重60kg(日本人成人の平均体重)の人が乗物用シートに着座した際の体圧分布において、各座骨結節を中心として50mmHg以上の圧力がかかる大きさにほぼ相当する。また、直径200mmは、概略臀部面積に相当し、通常着座時においてシートクッションに付加される荷重の面積に相当する。
図2から、直径30mmの加圧板により加圧した際には、変位量約3mmまでの間、極めて低いバネ特性を示している。これは、立体編物の連結糸の倒れ、グランド編地の伸びによるものであり、さらに、変位量約11mmまでの間も変位量約3mmまでと比較すると多少高くなるが、低いバネ特性を示している。変位量約11mmを過ぎた時点から急激にバネ特性が高くなるが、これは、表面層の特性が出ているものと考えられる。従って、骨の突出している部分や手指等により押圧された際には、この柔らかなバネ特性により荷重を吸収し、表面層に折れなどを生じさせることなく、小じわがよるような外観変化を付与することができる。
直径98mmの加圧板により加圧した際には、図3に示したように、変位量約3mmまでの間は低いバネ特性で推移しているが、その後は急激に線形性が高くなっている。また、変位量約3mmまでの間では、加重工程と抜重工程とでヒステリシスロスが生じている。ヒステリシスロスが生じているのは、スラブウレタンフォームの影響であり、これにより、直径98mmといった所定の面積で荷重がかかった際の着座時における初期フィーリングを柔らかな感じにする作用がある。変位量約3〜6mmにおいて線形性が高くなっているのは、立体編物の特性によるものであり、これにより、人体を支持する際の強い支持感が得られる。
直径200mmの加圧板で加圧した場合は、図4に示したように、変位量約3mmまでは低いバネ特性で、変位量約3〜7mmまではやや線形になり、変位量約7〜10mmでバネ特性があまり変化しない領域が生じ、その後、急激に高いバネ特性になっている。従って、人が着座した際には、初期状態においてスラブウレタンフォームのバネ特性により柔らかな初期フィーリングが得られると共に、その後、直径98mmの加圧板により加圧した際に明確に現れた立体編物の線形のバネ特性が作用する一方で、直径200mmの場合には、直径98mmより加圧面積がさらに広くなるため、より高い面剛性が得られ、変位量約7〜10mmにおいて、40〜50kg前後の荷重を立体編物によって支持できることがわかる。
以上のことから、本発明の合成皮革は、立体編物により小さな加圧面積では小じわを生じさせるようなバネ特性が機能し、表面層の外観変化が、より本革に近似した形態になる一方で、大きな加圧面積では、荷重の支持性が高く、乗物用シートの表皮材として特に適している。
図1は、本発明の一の実施形態に係る合成皮革の構造を説明するための断面図である。 図2は、試験例の合成皮革を直径30mmの加圧板で押圧した際の荷重−たわみ特性を示す図である。 図3は、試験例の合成皮革を直径98mmの加圧板で押圧した際の荷重−たわみ特性を示す図である。 図4は、試験例の合成皮革を直径200mmの加圧板で押圧した際の荷重−たわみ特性を示す図である。 図5(a),(b)は、粘性減衰係数及びクーロン摩擦力の求め方を説明するための図である。 図6(a),(b)は、本発明の実施形態に係る合成皮革の粘性減衰係数及びクーロン摩擦力の適切な範囲を説明するための図である。
符号の説明
1 合成皮革
10 基材層
20 立体編物
30 ウレタン層
50 表面層

Claims (8)

  1. 基材層と、該基材層の表面に積層された表面層とを備えてなり、乗物用シートの表皮材として使用される合成皮革において、
    前記基材層が、互いに離間して配置された一対のグランド編地と、該一対のグランド編地間を往復して両者を結合する多数の連結糸とを有する立体的な三次元構造に形成された立体編物から構成されていることを特徴とする合成皮革。
  2. 前記表面層が、通気性の合成樹脂膜から形成されていることを特徴とする請求項1記載の合成皮革。
  3. 前記表面層は、透過水蒸気量が70g/m hr以上であることを特徴とする請求項2記載の合成皮革。
  4. 前記基材層は、前記立体編物の裏面に、さらに、保湿性を備えた通気性のウレタン層が積層されてなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の合成皮革。
  5. 前記ウレタン層は、通気度が50〜200cc/cm・secの範囲であることを特徴とする請求項4記載の合成皮革。
  6. 前記表面層と接合する立体編物の接合面は、粘性減衰係数が5〜20Ns/mの範囲であり、かつ、クーロン摩擦力が1〜3Nの範囲であるか、又は、粘性減衰係数が20〜100Ns/mの範囲であり、かつ、クーロン摩擦力が3〜15Nの範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1に記載の合成皮革。
  7. 前記立体編物のグランド編地を形成するグランド糸の太さが、55〜168デシテックスの範囲であり、連結糸の太さが、170〜300デシテックスの範囲であることを特徴とする請求項6記載の合成皮革。
  8. 前記表面層と接合する該立体編物の接合面が、起毛処理されていることを特徴とする請求項6又は7記載の合成皮革。
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