JP2010202168A - 車両用内装材 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸音性に優れ、しかも高い意匠性及び優れたクッション性を有する自動車や鉄道車両の天井またはピラーの内装材を提供する。
【解決手段】自動車等の車両の天井またはピラー用表皮材としての布帛にダブルラッシェル編地を用い、該ダブルラッシェル編地の裏側に起毛4を施し、ポリウレタンフォームを介さずに直接基材層3と接着させ、ポリウレタンフォームの接着工程を省き、リサイクル性を向上させる。
【選択図】図1
【解決手段】自動車等の車両の天井またはピラー用表皮材としての布帛にダブルラッシェル編地を用い、該ダブルラッシェル編地の裏側に起毛4を施し、ポリウレタンフォームを介さずに直接基材層3と接着させ、ポリウレタンフォームの接着工程を省き、リサイクル性を向上させる。
【選択図】図1
Description
本発明は、自動車や鉄道車両の天井またはピラーの内装材として用いられる、クッション性があり、しかも吸音性に優れた車両用内装材に関するものである。
従来から、自動車や鉄道車両の天井またはピラーの内装材として、表皮材層、クッション材層、基材層の3層からなる積層物が用いられている。前記クッション材層はポリウレタンフォーム等からなり、クッション性を付与し、布帛の皺や傷痕をおさえ、接着剤が布帛表面にしみ出すのを防ぐ目的で用いられている。例えば特許文献1では、表皮材として、編地、不織布、スエード調合成皮革等を用い、該表皮材の裏面にポリウレタンフォームを積層し、さらに樹脂板やフォームからなる基材層に接着剤層を介して接着積層し、所定の形状に成型した内装材が開示されている。
しかしながら、これらの発明による内装材では、ポリウレタンフォームを表皮材の片面に積層するのに非常に煩雑な手間を要し、製造コストが高いという問題を有する。また、ポリウレタンフォームは非常に燃えやすいため、これを天井またはピラーの内装材に用いるには、該ポリウレタンフォームに高価な難燃剤を多く配合しなければならず、材料コストが高くなるという問題もある。さらにポリエステル等が使用される表皮材とポリウレタンフォームが積層された異なる素材の複合となるために、リサイクルが非常に困難となるという問題があった。
また、特許文献2では、表皮材の裏面にポリウレタンフォームを使用せず、低融点ポリエステル等を含む不織布を積層した車両用内装材も提案されている。しかしながら、これらの発明による車両用内装材では、上記ポリウレタンフォームに由来する問題は解決することができるものの、不織布のクッション性が不十分で、良好な感触が得られないという問題があった。また、不織布と布帛を積層一体化するために用いられている接着剤が、成形時にしみ出して表皮材の表面に凹凸をつくり見栄えが悪くなるという問題もあった。
さらに、特許文献3には、当出願人が先に出願した、トリコット編地の裏側に起毛を施し、ポリウレタンフォームを介さずに直接基材層と接着させることにより、ポリウレタンフォームの接着工程を省き、軽量化とリサイクル性を向上した自動車用天井材に関する発明が記載されている。しかしながら、トリコット編地では、表面の意匠性やクッション性が乏しく、裏面の起毛による傷痕が表面に発現するという問題があった。さらには基材層との接着が不十分という問題もあった。
特開2003−245969号公報
特開2000−095036号公報
特開2005−068577号公報
本発明が解決しようとする課題は、自動車や鉄道車両の天井またはピラーの内装材のリサイクル性及び生産性を高めるためにウレタン層を省き、接着剤が成形時にしみ出して表皮材の表面に凹凸を作り、見栄えが悪くなるという問題も無く、吸音性に優れ、しかも高い意匠性及び優れたクッション性を有する自動車や鉄道車両の天井またはピラーの内装材を提供することである。
特に従来の表皮材では、基材の凹凸がそのまま表皮材表面の痘痕として現われやすく、ポリウレタンフォームを省くことは困難であり、また省いたとしても、高い意匠性とクッション性を有する状態で使用することは困難であったが、ダブルラッシェル編地の裏面を起毛し、特定の厚さにすることによりクッション性と通気性が付与され、ポリウレタンフォームを省くことが可能であることを見出し本発明に到達した。
本発明は、自動車等の車両の天井またはピラー用表皮材としての布帛にダブルラッシェル編地を用い、該ダブルラッシェル編地の裏側に起毛を施し、ポリウレタンフォームを介さずに直接基材層と接着させ、ポリウレタンフォームの接着工程を省き、リサイクル性を向上させ、且つ高い意匠性及び優れたクッション性を有する自動車や鉄道車両の天井またはピラーの内装材を提供するものである。
[1]車両内部の天井またはピラーに装着される車両用内装材において、前記車両用内装材が基材層と表皮材層からなる積層構造を有し、前記表皮材層がダブルラッシェル編地からなり、該ダブルラッシェル編地の裏面が起毛されて、厚さ0.5mm〜3.0mmの起毛部が形成され、該起毛部の先端部分と前記基材層が接着剤を介して接着していることを特徴とする車両用内装材。
[2]前記ダブルラッシェル編地の厚さが1.0mm〜8.0mm、通気度が5〜150cm3/cm2・秒である前項1に記載の車両用内装材。
[3]前記接着剤の前記起毛部への含浸深さは、起毛部先端から該起毛部高さの1/3〜2/3の範囲である前項1または2にに記載の車両用内装材。
[1]の発明では、車両用内装材がポリウレタンフォーム等のクッション材を貼り合わせることなく、基材層と表皮材層からなる積層構造のために、煩雑なポリウレタンフォームの積層工程を省くことができ、リサイクル性が向上した車両用内装材となる。
また前記表皮材層がダブルラッシェル編地からなるために、伸縮性が良好で、車両用内装材用の布帛として好適に用いることができ、好適なクッション性を付与するための厚みの有る表皮材層とすることが可能となる。また、該ダブルラッシェル編地の表面は接着剤の影響を受ける事無く、種々の編組織や糸等の組み合わせにより高い意匠性を表現できる車両用内装材となる。さらに該ダブルラッシェル編地の裏面は起毛されて起毛部が形成されているために、ウレタン層を介さずに直接基材層に接着することが可能となり、軽量で、しかも適度な通気性を有するために、吸音性に優れた車両用内装材を提供することができる。
また、前記ダブルラッシェル編地の裏面に、厚さ0.5mm〜3.0mmの起毛部が形成されているために、基材層との接着及び好適なクッション性と吸音効果を備える層とすることができる。
[2]の発明では、前記ダブルラッシェル編地の厚さが1.0mm〜8.0mmであるために、好適なクッション性を有する車両用内装材となる。また、通気度が5〜150cm3/cm2・秒であるために、車両内の騒音を軽減する吸音効果のある車両用内装材となる。さらに、基材層との接着の際に、接着剤がしみ出すことも無く、車両内部の各部位の凹凸がそのまま表皮材表面の傷痕として現われることの無い車両用内装材となる。
[3]の発明では、接着剤の起毛部への含浸深さは、起毛部先端から該起毛部高さの1/3〜2/3の範囲であるために、成形時に接着剤がしみ出して表皮材の見栄えが悪くなる事無く、強い接着力で基材層と表皮材層が積層される。また、根元部分は接着剤の介在しない繊維層となり、適度な通気性とクッション性を有し、表皮材層のダブルラッシェル編地の効果と相俟って好適なクッション性と吸音効果のある車両用内装材となる。
本発明の車両内部の天井またはピラーに装着される車両用内装材について、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の車両用内装材(1)の一実施形態を示す断面図である。同図において車両用内装材(1)は基材層(2)と表皮材層(3)からなっている。基材層(2)は樹脂成形体等からなり、表皮材層(3)はダブルラッシェル編地で、裏面を起毛し起毛部(4)を構成している。
本発明における基材層(2)は、樹脂成形体、段ボール等からなり、天井やピラーへの結露を防止するための断熱性と、天井やピラーへの取り付けの作業性から、適度の剛性が必要とされている。
本発明における表皮材層(3)はダブルラッシェル編地からなり、該ダブルラッシェル編地は表裏編地と表裏編地を連結する連結糸から構成され、相対する2列の針列を有するダブルラッシェル機で編成される。編機ゲージは7〜32ゲージが好ましく用いられる。該ダブルラッシェル編機により編成されたダブルラッシェル編地は、網目構造に編成された表編地と裏編地とを連結糸でつないで三次元に構成され、クッション性、意匠性、通気性の面から好適に使用できる。
ダブルラッシェル編地を構成する繊維は、表裏編地と連結糸共に、天然繊維、再生繊維、合成繊維、或いはそれらの組み合わせを問わず使用可能であるが、耐久性、起毛性、リサイクル性から、ポリエステル、ポリプロピレン等の合成繊維が好ましい。また糸条については紡績糸、マルチフィラメント、モノフィラメントなど特に限定されず、また糸の形態についても生糸、仮撚加工糸、カバリング糸、収縮糸、あるいは芯鞘構造の捲縮糸など、特に限定されるものではないが、表裏編地を構成する繊維は、良好な手触りと意匠性の面から生糸または仮撚加工糸が好ましい。
表裏編地を構成する繊維は、単糸繊度が0.3〜20dtex、総繊度が10〜1000dtexが好ましい。単糸繊度が前記範囲であれば、良好な起毛性が得られ、高い意匠性を有する編地とすることができる。0.3dtex未満ではダブルラッシェル編地の製編が困難となり、20dtexを超えると起毛が困難となる。また総繊度が前記範囲であれば、高い意匠性を有する編地とすることができる。10dtex未満ではダブルラッシェル編地の製編が困難となり、1000dtexを超えると高い意匠性を有する編地の編成が困難となる。
ダブルラッシェル編地の表裏編面を連結する連結糸は、単糸繊度は1〜150dtexが好ましく、より好ましくは20〜100dtexである。ダブルラッシェル編地の表裏編面間の空間を維持させ、通気性とクッション性を向上させる上で、1〜150dtexの生糸や加工糸及びモノフィラメントを使用することができる。連結糸の単糸繊度が1dtex以上であれば繊維の曲げ剛性によって、ダブルラッシェル編地の表裏編面間の空間を維持することが容易であるため、好ましい通気性とクッション性を得ることができる。また、連結糸の単糸繊度が150dtex以上であれば、曲げ剛性が大きくなりすぎずダブルラッシェル編地の製
編上好適である。
編上好適である。
また、吸音効率から繊維の総繊度は、30〜3000dtexの範囲であることが望ましい。一般的に、繊維を細くすれば、吸音性能が向上し、太くすれば低下する傾向にあり、前記範囲の繊維を選択するのが好ましい。
ダブルラッシェル編地の厚さは1.0mm〜8.0mmが好ましく、さらに好ましくは厚さが1.5〜6.0mmがよい。この厚みにより良好なクッション性を有し、さらに基材層(2)と表皮材層(3)との接着の際に、接着剤がしみ出さず、車両内部の各部位の凹凸がそのまま表皮材表面の傷痕として現われることの無い車両内装材(1)となる。厚みが1.0mm未満ではクッション性が劣り、さらには充分な通気性が得られない。また、厚みが8.0mmを超えると編地の生産性及び仕上げ加工が困難となる。厚さの調整は連結糸の長さや、糸本数、起毛条件等によって調整する。
ダブルラッシェル編地の表裏編地を形成する地組織については、起毛を施す裏編地は開口の無い無地組織が望ましく、表編地は意匠性と通気性の面からメッシュ編地で構成されることが望ましい。ここでいうメッシュ編地とはハニカム柄、ダイヤ柄、格子柄、円形柄等の編地のことをいい、ダブルラッシェル編地の少なくとも片面がメッシュ編地であることにより、高い意匠性及び通気性を有し、吸音性能が向上する。
ダブルラッシェル編地の通気度は、5〜150cm3/cm2・秒であることがよい。天井またはピラーに装着される車両用内装材としての通気度が5cm3/cm2・秒以下では吸音率が低下し好ましくない。また、150cm3/cm2・秒を越えると、音は吸音されずに通過し、基材層で反射して再び車内空間に出てしまうことになる。好ましくは5〜50cm3/cm2・秒であることがよい。さらに好ましくは30〜50cm3/cm2・秒がよい。
本発明において、表皮材層(3)は裏面を起毛し、厚さ0.5mm〜3.0mmの起毛部(4)を構成している。厚さが0.5mm〜3.0mmであれば、後述する接着剤が含浸した起毛部(4)の先端部分、及び接着剤が含浸していない起毛部(4)の根元部分を構成する事が可能となり、該接着剤が含浸した起毛部(4)の先端部分は、基材層と表皮材層との接着層となり、もう一方の接着剤が含浸していない起毛部(4)の根元部分は接着剤が介在しない繊維層となる事により、適度な通気性とクッション性を有し、表皮材層のダブルラッシェル編地の効果と相俟って好適なクッション性と吸音効果のある車両用内装材となる。0.5mm未満であれば、接着剤の含浸の制御が困難となり、3.0mmを越えれば、成型の際の接着時に基材層(2)と表皮材層(3)にずれが生じ、寸法安定性が不十分となる。起毛する方法は特に限定されないが、針布による方法が一般的に用いられる。
本発明における基材層(2)と表皮材層(3)の積層方法は、前記起毛部(4)が前記基材層(2)にホットメルト接着剤(5)を用いて、直接にプレスにて積層を行なう方法を用いることができる。本発明において用いられるホットメルト接着剤は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体のポリオレフィン系樹脂、又は該ポリオレフィン系樹脂の変成物等の単独又は2種類以上の混合物であり、シート状、あるいは粉末状の樹脂を使う。特に、通気性を必要とする場合は、ホットメルト接着剤粉末を表皮材層または基材層に直接散布してもよいし、ホットメルト接着剤粉末分散液を作成しスプレー等で塗布すればよい。
つぎに、接着剤の塗布された表皮材層と基材層を重ね、ホットメルト接着剤(5)の軟化点以上の温度でホットプレスするか、接着剤の塗布された表皮材層または基材層を前記温度で過熱し、ホットメルト接着剤(5)を軟化させてから、該表皮材層と該基材層を重ねてコールドプレスして天井またはピラーに装着される車両用内装材を製造する。
ホットメルト接着剤の起毛部(4)への含浸する深さは、起毛部の1/3〜2/3が好ましい。1/3より少ないと接着力が弱く使用中に剥がれる可能性があり、2/3より多いと、通気度の低下による吸音効果が十分に得られず、さらにクッション性が損なわれて好ましくない。
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお実施例における特性値の測定は次のように行った。(1)厚さ定荷重0.78Nのダイヤルゲージにて測定した。(2)クッション性(圧縮回復率)ここで、クッション性とは、厚み方向への適度な変形があり、かつ、変形後に元の厚みに戻ることをいう。さらに車両用内装材の圧縮後の回復率が80%以上であることが好ましく、より好ましくは90%以上である。回復率が80%未満では回復が不十分となり、クッション材としての性能が不足する場合がある。圧縮回復率は車両用内装材の厚み(Amm)が半分(A/2mm)になるように荷重を加えて5分間放置し、除重して10分後の厚み(Bmm)を測定し、下記式により算出する。 圧縮回復率(%)=(B/A)×100(3)通気度JIS−L−1096 8.27.1 A法により測定した。この方法は試料の異なる5ヶ所から試験片約20cm×20cmを採取し、フラジール形試験機を用い、円筒の一端に試験片を取り付けた後、加減抵抗器によって傾斜形気圧計が125Paの圧力を示すように吸込みファンを調整し、そのときの垂直形気圧計の示す圧力と、使用した空気孔の種類とから、試験機に付属の表によって試験片を通過する空気量(cm3/cm2・s)を求める。測定は5回とし、その平均値で示す。(4)手触り感官能評価とし、車両用内装材の形態に製作した試験試料を触手し、手触り感が最も好ましいものを5級とし、表皮材の接着していない基材層のみのものを1級とする5段階評価をした。なお、4級以上を合格とした。(5)外観(意匠性)車両用内装材の形態に製作し外観を黙視して評価した。高い意匠性が有り、基材層の影響を受けず、皺の発生もない最も好ましいものを5級とし、意匠性が乏しく、皺が発生し凹凸感の著しい、最も好ましくないものを1級とする5段階評価をした。なお、4級以上を合格とした。
<実施例1>22ゲージからなる6枚筬のダブルラッシェル編機を使用し、筬L1にポリエステル84dtex/36f加工糸をフルセットで筬通しし、筬L2・L3にポリエステル56dtex/36f生糸を1イン1アウトで筬通ししてこの3枚の筬を使用して意匠面側となる層を形成する。そして筬L5・L6にポリエステル84dtex/36f加工糸をフルセットで筬通ししてこの2枚の筬を使用して基材との貼り合わせ側となる層を形成する。そして筬L4に56dtex/36f、即ち単糸繊度が1.6dtexの加工糸をフルセットで筬通しして上述の2層をつなぐ連結糸の組織を、編地の厚さが2mmになるように形成させてダブルラッシェル生地を得た。次に該ダブルラッシェル生地を幅だし加工をおこない、液流染色機にてグレーの分散染料で染色をおこない、乾燥後起毛油剤処理を経た後針布起毛機にて裏面起毛し、幅だし加工をおこない表皮材とした。通気度が48cm3/cm2・秒のダブルラッシェル編地であった。
次ぎに発泡樹脂成形体からなる基材層の片面に、ホリエチレン粉末樹脂接着材を、80g/m2散布し、220℃、1分間加熱後直ぐ反転して、前記ダブルラッシェル生地の裏面の起毛面上に積層し接着した。車両用内装材の形状に裁断し評価したところ、良好な手触りでボリュウム感があり、外観も良好であった。クッション性が93%であった。
<実施例2>実施例1において、ダブルラッシェル生地の厚さを1.5mmになるように、連結糸の組織を形成させたこと以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。通気度が55cm3/cm2・秒のダブルラッシェル編地であり、クッション性が91%、の車両用内装材であった。
<実施例3>実施例1において、ダブルラッシェル生地における連結糸を22dtex/1f、即ち単糸繊度を22dtexのモノフィラメントを用い、ダブルラッシェル生地の厚さを6mmになるように、連結糸の組織を形成させたこと以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。通気度が37cm3/cm2・秒のダブルラッシェル編地であり、クッション性が95%、の車両用内装材であった。
<比較例1>実施例1において、ダブルラッシェル生地を起毛せずに、4mm厚のウレタンフォームを介して基材層に接着したこと以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。通気度が103cm3/cm2・秒のダブルラッシェル編地であり、クッション性が88%、の車両用内装材であった。
<比較例2>実施例1において、ダブルラッシェル生地を起毛せずに直接基材層に接着したこと以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。通気度が103cm3/cm2・秒のダブルラッシェル編地であり、クッション性が82%、の車両用内装材であった。
<比較例3>実施例1において、表皮材としてダブルラッシェル編地のダブルラッシェル生地を用いずに、厚さ3.8mmの、裏面を起毛したトリコットを用いたこと以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。通気度が57cm3/cm2・秒の表皮材であり、クッション性が63%、の車両用内装材であった。
<比較例4>実施例1において、ダブルラッシェル生地の厚さを0.7mmになるように形成させたこと以外は実施例1と同様にして車両用内装材を得た。通気度が201cm3/cm2・秒のダブルラッシェル編地であり、クッション性が62%、の車両用内装材であった。
上記のようにして得られた各車両用内装材に対して前記評価法に基づいて特性値を調べた結果を表1に示す。
表1から明らかなように、この発明の実施例1〜3の車両用内装材は、ウレタン層が省かれた環境対応の内装材となり、90%以上の心地よいクッション性を有し、吸音性に優れ、しかも高い意匠性が認められた。これに対し、比較例1はクッション性及び吸音性を有しているものの、ウレタン層が介在しており、製造コスト、リサイクル性の劣る車両用内装材となり、比較例2は通気度、外観に劣る車両用内装材となった。また比較例3は、クッション性、外観に劣る車両用内装材となり、比較例4は各特性において満足のいく車両用内装材ではなかった。
1 車両用内装材2 基材層3 表皮材層4 起毛部
Claims (3)
- 車両内部の天井またはピラーに装着される車両用内装材において、前記車両用内装材が基材層と表皮材層からなる積層構造を有し、前記表皮材層がダブルラッシェル編地からなり、該ダブルラッシェル編地の裏面が起毛されて、厚さ0.5mm〜3.0mmの起毛部が形成され、該起毛部の先端部分と前記基材層が接着剤を介して接着していることを特徴とする車両用内装材。
- 前記ダブルラッシェル編地の厚さが1.0mm〜8.0mm、通気度が5〜150cm3/cm2・秒である請求項1に記載の車両用内装材。
- 前記接着剤の前記起毛部への含浸深さは、起毛部先端から該起毛部高さの1/3〜2/3の範囲である請求項1または2にに記載の車両用内装材。
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