JP3803447B2 - 座席 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座席のクッション構造体に関する。さらに詳しくは、軽量で、感触が優れ、通気性があり快適性にも優れ、三次元形状のクッション芯材の形状に沿って形状が出しやすく、製造が容易で、燃えたときの燃焼ガスの毒性が少なく、使用後もリサイクル性に優れた座席、特に車両用座席として優れた特性を有する座席に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、発泡ウレタンフォームを使った座席は、その製造工程において有毒性の高い、厳しい管理の必要な薬品の使用やフロン系発泡助剤の使用などの問題がある。一方、発泡成型されたウレタンフォームの使用は通気性がないために着用中蒸れ易く好ましくない。また、圧縮量の少ない圧縮初期は硬く、圧縮量が進み発泡セルが潰れ始めると、潰れが伝播して柔らかくなると言った特性のため、触った感触が硬いという特性や底突き感を感じ易いといった特性となり好まれない場合が多い。このため、表面布帛に高発泡倍率の薄い発泡ウレタン層を表面を溶かして接着し、裏面を縫製でのミシンの糸抜けを防止するために、再び発泡ウレタン層を裏表面を溶かして、トリコットやスパンボンドを張り合わせるといった層を用いて感触改善や底突き感の減少の改善の必要が生じる。
【0003】
しかし、そのような工程は面倒なだけでなく、表面布帛の反対側に柔らかい発泡ウレタンの裏面に硬い層が一体化することによってこの布帛複合一体化層の曲げ特性が硬くなり、三次元曲面で構成されるウレタンフォーム芯材の曲面に沿ってうまく形状が出にくくなり、直線状に折れたり、直線的凹み皺が発生し易くなってしまう。勿論、ウレタンフォームは水分や熱、光などによって劣化し易く、また使用後は、架橋分子構造のため再溶融出来ず、リサイクルの手段が大きく制限される。一方、焼却処理では、燃焼において煙が多く、青酸ガスが発生し易い点が指摘され、埋め立てなどにより処理される方法が通常であるが、嵩高で容積が大きく、埋め立てなどの場所の確保や管理が厳しくなる状況では、問題になることが多い。
【0004】
一方、これらのウレタンフォームの問題点を解消するために、本発明者らは、熱可塑性エラストマーが表面に露出した複合繊維と非弾性ポリエステル系捲縮短繊維によるクッション材を提案(公表特許公報 WO91/19032号参照)した。しかし、この提案ではそれぞれのクッション材への適用は考えられるが、座席としての総合的に性能を引き出す方法、例えば座席の複雑な三次元曲面にそった形状をうまく出したり、側地と一体化した感触や着用感を良くしたり、座席全体のリサイクル性を良くするなどの提案はまだなされていない。
また、特開平5−3894号公報では布帛とクッション性繊維構造体の接着方法が提案されているが、座席の複雑な三次元曲面に沿った形状をうまく出したり、リサイクル性を総合的に行なう方法や、感触や着用感を改良するなどの提案はされていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、製造環境がクリーンで、製造し易く、得られた座席が軽量で、感触や着用感が良好で、複雑な三次元形状が出し易く、座席全体の燃焼ガスの毒性が少なく、リサイクルも行い易い座席を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、前記本発明の目的は、
(A)非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をマトリックス(a)とし、該短繊維中には短繊維を構成するポリエステルの融点よりも40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出した弾性複合繊維(b)が分散・混入され、かつ該熱可塑性ポリエステルエラストマーの融着により該短繊維が一体化した0.015〜0.10g/cmの密度を有するクッション構造体より形成され、一部が三次元曲面形状に成型された芯材〔A〕、
(B)その芯材〔A〕を被覆したポリエステル表皮層〔B〕および
(C)その芯材〔A〕と表皮層〔B〕との間にあって、該芯材〔A〕よりも表面硬度が柔らかく、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をマトリックス(c)とし、該短繊維中には短繊維を構成するポリエステルの融点よりも40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出した芯材〔A〕と同じもしくは異なる弾性複合繊維(d)が分散・混入され、かつ該熱可塑性ポリエステルエラストマーの融着により該短繊維が一体化したポリエステル繊維層〔C〕よりなり、かつ表皮層〔B〕とポリエステル繊維層〔C〕は接触界面において該複合繊維(d)の熱可塑性エラストマーの融点よりも20℃以上低い融点の低融点ポリマーで融着され、さらにポリエステル繊維層〔C〕は、表皮層〔B〕との融着側の面が、芯材〔A〕と接する側の面よりも密度が高いことを特徴とする座席により達成されることが見出された。
【0007】
本発明のマトリックスに使われる非弾性ポリエステル系捲縮短繊維(aやc)および弾性複合繊維(bやd)を形成する非弾性ポリエステルとは、ポリエステルであって非弾性のポリマーであればなんでもよいが、通常のポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチルシクロヘキサンテレフタレート、ポリピバロラクトン、これらの共重合体エステルまたはこれらの二種以上の混合物が好ましい。
【0008】
また、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維(aやc)の断面形状は円形、偏平、異または中空のいずれであってもよい。
【0009】
本発明の芯材〔A〕のマトリックスを構成するポリエステル系捲縮短繊維(a)は、低融点複合繊維により融着されクッション材の骨組みとなるため、ポリエステル系短繊維単独でも嵩高いこと、反撥性が発揮されることが必要である。単独の嵩高性(JIS L−1097)は、0.5g/cm2の荷重下で 50cm3/g以上、10g/cm2の荷重下で20cm3/g以上あることが好ましく、さらに好ましくは、それぞれ、60cm3/g以上、25cm3/g以上あることが必要である。これらの嵩高性が低いと、得られた繊維成型クッション材の弾力性や圧縮反撥性が低いといった問題が顕著になってくる。特に、螺旋状やオメガ型捲縮形態や捲縮度の20%以上の原綿が好ましい。
【0010】
一方、本発明のポリエステル繊維層〔C〕のマトリックスを構成するポリエステル系捲縮短繊維(c)は、クッション芯材〔A〕に比べ人の触感を柔らかく感じさせる層を形成するマトリックスとして使用するために、ポリエステル系捲縮短繊維(a)より低反撥な低嵩高性の原綿が使われたり、同じ構成の時には、低密度や、低融点複合繊維の低い混率が使われる。
【0011】
該ポリエステル系捲縮短繊維(a)や(c)は、その繊度が2〜500デニールの範囲が好ましく、さらに好ましくは3〜50デニールである。繊度が2デニールより小さいと嵩高性が発揮されず、クッション性や反撥力が乏しくなってしまう。また500デニールよりも大きくなると該繊維をウェッブ化が難しく、得られた繊維成型クッション材の構成本数が少なくなり過ぎてクッション性の乏しくなる。
【0012】
一方、該ポリエステル系捲縮短繊維(a)および(c)の捲縮数は4〜30個/インチ、捲縮度は20〜40%が好ましいが、特に反撥弾性や硬さから(a)に比べ(c)が低いことが好ましい。この捲縮数や捲縮度が小さ過ぎるとウェッブの嵩が出にくくなったり、ウェッブ化が困難になったりして好ましくない。得られるクッション材も反撥性に乏しかったり、耐久性の低いものしか得られない。また、逆に捲縮数や捲縮度が大きすぎるとウェッブの嵩高性が大きくならず高密度のクッション材しか得られなかったり、ウェッブ化の際に繊維の絡みが強く筋状のムラなどが出来て好ましくない。これら捲縮短繊維は押し込み捲縮、スパイラル捲縮のいずれでも良い。
【0013】
複合繊維(b)や(d)を構成する熱可塑性エラストマーは、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維の融点より40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーが少なくとも一部を構成する複合短繊維であり、加熱により少なくともその表面の熱可塑性エラストマーの一部が溶融し非弾性ポリエステル系短繊維(a)や(c)とそれぞれ融着し得る短繊維のことを言う。この融点差が40℃以下であると、加工する温度がポリエステル系短繊維の融点に近くなってしまい、ポリエステル系捲縮短繊維(A)の物性や捲縮特性が悪くなってクッション性能が悪くなったり、成型時収縮が大きくなってしまう。低融点熱可塑性エラストマー成分を有する複合繊維は、形態保持安定性や成形性が優れているので好ましい。複合形態は、サイドバイサイド型や芯鞘型、偏心芯鞘型などが好ましい。勿論低融点成分が表面に露出する断面形態が好ましい。
【0014】
この複合繊維(b)や(d)の非弾性ポリエステル系ポリマーの繊維表面の露出度は25〜49%で露出することが好ましい。この露出度が少ないと、原綿を製造する際の低融点熱可塑性エラストマーの粘着などによって、ローラーに巻きついたり、クリンパーでのトラブルなどが増加したり、ウェッブ化の際のカード通過性が悪くなり好ましくない。またこの露出度が大きすぎると繊維表面の融着成分である熱可塑性エラストマーが少なくなり、構造体熱成型時の融着が十分でなくなる。また後述の湾曲度との兼ね合いもでてくるが、熱成型時のこの複合繊維が捲縮発現しながら融着する作用が露出度が大きいときには捲縮発現が少なくマトリックスとの絡みが少なくなり変形に対し弱くなり耐久性が悪くなったりする。また露出度が小さすぎると捲縮発現が大きすぎ、小さい塊状になりかえって構造体の結合が弱くなり、耐久性が小さくなる。
【0015】
また、この複合繊維(b)および(d)における熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルの接合は湾曲度が1.1〜2.5の範囲が好ましい。この湾曲度がこの範囲よりも小さいときには上記の用に捲縮発現が大きすぎたり、湾曲度が大きすぎる時には捲縮発現が起きにくくなり、構造体の耐久性が悪くなる。勿論、この捲縮発現性には繊維断面の肉厚度も関係し、1.2〜3.0が好ましい。この肉厚度が小さいと捲縮発現が十分でなく、大きすぎると捲縮が発現しすぎて、構造体の耐久性が悪くなったりする。
【0016】
この成型後のクッション材は使用中には繰り返し圧縮変形され、しかもその圧縮量、すなわち変形量が大きい(例えば、厚みの50%)クッション用途では、上記熱固着点が変形応力が加わった時変形し易く、変形応力が無くなったときは、歪みを残さず元の位置に戻り易いことが必要である。繊維成型クッション体に大きな変形量が加わっていることは、その繊維構造体を構成している繊維の低融点ポリマーで構成される交絡点はさらに大きく角度の変化や引き延ばされたり、捩じれたりなどの変形が加わる。従って、この熱固着ポリマ−は大きく変形回復する特性が必要になってくるため、破壊伸度が大きく、伸長回復特性の良い熱可塑性エラストマーによって構成されることが必要である。この熱可塑性エラストマーは、ポリウレタン系のエラストマーやポリエステル系のエラストマーが物性や製糸の面から好ましい。しかし、熱固着する相手のマトリックス繊維がポリエステル系短繊維であることからポリエステル系エラストマーが特に好ましい。
【0017】
ポリエステル系エラストマーとしては、熱可塑性ポリエステルをハードセグメントとし、ポリ(アルキレンオキシド)グリコールをソフトセグメントとして共重合してなるポリエーテルエステルブロック共重合体、より具体的には、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレン−2,6−ジカルボン酸、ナフタレン2,7−ジカルボン酸、ジフェニル−4,4−ジカルボン酸、ジフェノキシエタンジカルボン酸、3−スルフォイソフタル酸ナトリウムなどの芳香族ジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、シュウ酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸、またはこれらのエステル形成誘導体などから選ばれたジカルボン酸の少なくとも一種と、1,4−ブタンジオール、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、デカメチレングリコールなどの脂肪族ジオール、あるいは1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリシクロデカンジメタノールなどの脂環族ジオール、またはこれらのエステル形成誘導体などから選ばれたジオール成分の少なくとも一種、および平均分子量が約400〜5,000程度のポリエチレングリコール、ポリ(1,2−および1,3−プロピレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドとの共重合体、エチレンオキシドとテトラヒドロフランとの共重合体などのポリ(アルキレンオキシド)グリコールのうち少なくとも一種から構成される三元共重合体である。
【0018】
しかしながら、ポリエステル系捲縮短繊維(a)および(c)との接着性や温度特性、強度、物性の面などから、ポリブチレン系テレフタレートをハードセグメントとし、ポリオキシテトラメチレングリコールをソフトセグメントとするブロック共重合ポリエーテルポリエステルが好ましい。この場合、ハードセグメントを構成するポリエステル部分は、主たる酸成分がテレフタル酸、主たるジオール成分がブチレングリコール成分であるポリブチレンテレフタレートである。勿論、この酸成分の一部(通常、30モル%以下)は他のジカルボン酸成分やオキシカルボン酸成分で置換されてもよく、同様にグリコール成分の一部はブチレングリコール成分以外のジオキシ成分に置換されてもよい。また、ソフトセグメントを構成するポリエーテル成分は、テトラメチレングリコール以外のジオキシ成分で置換されたポリエーテルであってもよい。なお、ポリマー中には、各種安定剤、紫外線吸収剤、増粘分枝剤、艶消剤、着色剤、その他各種の改良剤なども必要に応じて配合されていてもよい。
【0019】
この複合繊維(b)および(d)は繊維構造体に構成するときの接着成分であることから、デニールは、2〜150デニールであることが好ましく、特に4〜100デニールが好ましい。デニールが小さいと結合点が増えすぎてクッション性が出にくい。また太すぎると、結合点が少なすぎて反撥性が低すぎたり、使用中にばらけたりし易くなる。カット長は38〜255mm、捲縮は4〜50個/インチであることが好ましい。この範囲から外れると、混綿しにくくなったり、ウェッブ化が難しくなる。また、成型物のクッション性能や圧縮耐久性も悪くなったりしてしまう。
【0020】
この複合繊維(b)と(d)は同じでも良いし異なってもよい。クッションの芯材〔A〕を構成する(b)は強固に融着したり、高反撥性を発揮したりする必要があるために鞘と芯の比率が大きなものを使ったり、ポリエステル繊維層〔C〕を構成する複合繊維(d)は柔らかい層を構成するために、接着効率が多少低い芯に対する鞘の比率の小さなものを使ったりすることも好ましい。
【0021】
本発明の座席において一部が三次元曲面形状の芯材〔A〕を形成する方法は、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維(a)と、該低融点熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルから構成された複合繊維(b)を一定割合で混綿し、カードなどによってウェッブ化する。ここで、予め設計された三次元形状の空気透過性の下のモールド内に所定位置には所定硬さや形状が出るようにカットされたそれぞれの寸法や重量のウェッブをそれぞれ積層しながら部分部分で重量などを変えて置き、その後、上から上のモールドの蓋をしたのち複合繊維(b)を構成する熱可塑性エラストマーの融点以上の所定温度と時間の熱風で処理を行い、三次元曲面を一部に有するクッション芯材〔A〕を得るのである。
【0022】
この場合、このクッション芯材〔A〕を形成するモールドの三次元形状は人の座った時の臀部の形状などに対応し座った時の応力が一点に集中などしたりしないように、座った時に快適なように設計され、また自動車座席などの場合には、運転中に左右に体が移動したりしないように、臀部や大腿部の両サイドは高くしたり、硬くしたりするなど車が左右に曲がる時などに体が移動しにくい形状にして座り心地が悪くなったり疲労感などが起きることのないように設計する。この設計が座席の性能を左右する重要な要素であり、うまく形状が出ることが重要となる。
【0023】
またこの〔A〕の形状を出すために、該ポリエステル系捲縮短繊維と該複合繊維を混綿後、空気によって、三次元形状のモールド内にそれぞれ吹き込んだり、あるいは混綿後、カードーによってウェッブ化後、クロスレイヤーで積層し、コンベアー式の乾燥機で上下から一定クリアランスで挟みながらニップして融点付近で軽く熱処理を行い、取扱性がよく、あとからの熱処理に影響がない程度の弱い融着をして形成されたマットを一定の歯形のトムソン刃などで打ち抜き、上記ウェッブの下モールド内に並べたのと同様に並べ、その後、マット形成時の熱処理よりも、高い温度や時間で処理する方法などもある。勿論、この形状の座った時の座面の重要な表面がうまくできるように、モールド表面に薄いウェッブを覆ってその上に軽く熱処理したカットされたマットを並べる方法は好ましい実施方法である。このようにして、三次元形状のクッション材の芯材〔A〕が得られる。
【0024】
しかし、このクッション性の芯材〔A〕はそれ単独で表皮層〔B〕と一体化すると、表皮層が織物やニット製品でありクッション性に乏しいために、特に手で触れ易い座席の両サイドが硬くなっている場合など手で触った時の感触が硬く、また表皮層〔B〕とクッション性の芯材〔A〕に伸度の相違などからずれ易く、皺が発生し易く外見が悪くなり好ましくない。
【0025】
このために、クッション性芯材〔A〕と表皮層〔B〕の間に、芯材〔A〕より柔らかい層〔C〕の存在が必要になる。この層の作用はクッション材の3〜20mmの薄い層状であり、そのクッション性能はクッション性芯材〔A〕の弾力性や圧縮耐久性が必要なことから、該芯材〔A〕よりも柔らかく、芯材〔A〕と同じもしくは異なる非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をマトリックス(c)と、該短繊維中には短繊維を構成するポリエステルの融点よりも40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出した芯材〔A〕と同じもしくは異なる弾性複合繊維(d)が分散・混入され、かつ該熱可塑性ポリエステルエラストマーの融着により該短繊維が一体化したポリエステル繊維層〔C〕である。
【0026】
この層の作成方法は、該ポリエステル系捲縮短繊維(c)と該複合繊維(d)を混綿後、カードーによってウェッブ化後、クロスレイヤーで積層し、コンベアー式の乾燥機で上下から一定クリアランスで圧縮し挟みながらニップして該熱可塑性エラストマーの融点以上の熱風温度で処理をし、ポリエステル繊維層〔C〕を得るのである。勿論、厚みの厚いマットから一定厚みになるようにスライスする方法などもある。
【0027】
ポリエステル繊維層〔C〕は、クッション性の芯材〔A〕よりも硬さ計で計った硬さが硬くなく柔らかいことが、座席の触感を良くするために必要なことである。この硬さが硬いと、このポリエステル繊維層〔C〕の導入効果が擦れや皺防止効果などだけになってしまう。また、この層は、ポリエステル表皮層〔B〕と低融点ポリマーで一体化されるのであるが、三次元曲面形状を持ったクッション性芯材〔A〕にうまく沿って形状を出すために、ポリエステル繊維層〔B〕との接着側が、クッション性芯材〔A〕よりも密度が高いことが好ましく、この密度差がない場合や逆になった場合は、ポリエステル表皮層〔B〕と低融点ポリマーで一体化された複合層の表面の表皮層が延びにくいことと、層の反対側が真ん中よりも硬くなることから曲げ易さが小さくなり、三次元曲面形状のクッション体芯材〔A〕の形状に沿って凹凸に曲面状にまげ難くなり、三次元曲面の形状が出にくくなったり、直線状に折れたように皺が入ったりして好ましくなくなる。
【0028】
このような硬さの差のあるポリエステル繊維層〔C〕の作成方法は、熱処理の風速や温度を高めに設定して密度勾配を形成させ、密度が高い側が硬く、密度が低い側が柔らかい層が上下に出来るようにしたり、ポリエステル繊維層〔C〕とポリエステル表皮層〔B〕と熱によって融着一体化する際に、熱や圧縮によって密度を高くしながら融着一体化する方法などがある。
【0029】
ポリエステル繊維層〔C〕は、ポリエステル表皮層〔B〕と一体化して積層されていることが好ましい。この一体化が行われていないと、着用中に、特にポリエステル繊維層〔C〕が延びて皺が入ったり、表皮層〔B〕やポリエステル繊維層〔C〕がクッション性芯材〔A〕からうきあがったりして座席の表面形状が不揃いとなったり、着用感が悪くなり好ましくない。この一体化法は、一度作成されたポリエステル繊維層〔C〕にポリエステル表皮層〔B〕を複合繊維(d)の熱可塑性エラストマーより20℃以上低い融点の低融点ポリマーを使用して接着する方法である。
【0030】
接着ポリマーとしては上記した融点を持つものであれば種々のものが使用出来る。例えば共重合ポリエステル系、共重合ナイロン系、エチレン酢酸ビニル系、酢酸ビニル系、SBR系、オレフィン系共重合のホットメルト型や共重合ナイロン系のエラストマーや共重合系のポリエステル系エラストマーが挙げられる。このポリマーはポリエステルに限らないでも座席全体に対して使用量が少ないために、再溶融し繊維や成型物に成型されるのに大きな障害には余りならない。この融点がこの温度よりも高いと表皮層を接着するときの熱によって、ポリエステル繊維層〔C〕を構成し熱固着点を構成する熱可塑性エラストマーが融解したり、柔らかくなったり、厚みが薄くなったり、密度が高くなって硬くなり、形状が出にくくなったり、または触感が硬くなったりしてしまう。勿論、この低融点ポリマーは、ポリエステル繊維層〔C〕とポリエステル表皮層〔B〕を融着するものであるためにポリエステル系ポリマーが好ましい。また、座席一体で溶融し再成型するリサイクル性のためにも好ましい。
【0031】
また、この接着は、人体の座る座席のために、通気性が快適性のために必要で、そのために、低融点フィルムなどによる全面接着で融着や接着材が多くて通気性を阻害することは好ましくなく、低融点ポリマーが点状に接着できるパウダー接着や、低目付の低融点不織布などを間にいれて点状接着ができる方法が好ましい。この点状接着は、ポリエステル繊維層〔C〕とポリエステル表皮層〔B〕の一体化複合層の曲げ易さも阻害することが少なく好ましい。特に好ましいのは、接着効果やリサイクルの阻害が出にくい低融点ポリエステルのパウダー(粒径50〜50μm)量10〜60g/cm2による実質的な点状接着が可能な条件である。
【0032】
また、座った時の快適性を出すためにはポリエステル繊維層〔C〕とポリエステル表皮層〔C〕の積層物の通気性を10cc/cm2・secよりも高くしないと快適性が悪くなる。クッション性芯材〔A〕は構成が繊維の骨組み構造のため、ウレタンの発泡皮膜構造体よりも通気性があり、人体から発生した汗の蒸気を移動させ蒸れ感を高めない効果があるが、その効果を低減させるためにも必要であり、この通気度を10cc/cm2・sec以上にすることが好ましい。
【0033】
一方、座席のリサイクルは多種の素材が使われているために、座席を細かく分解して、同じ素材を集め、分類するコストや手間のかかる作業をなくすために、座席の各部を同じ素材で構成してこの座席のトータルのリサイクル性を発揮させるために、表皮層はポリエステルで構成されることが必要であり、また、ポリエステル繊維層〔C〕とポリエステル表皮層〔B〕を融着し一体化複合シートを三次元形状を持つクッション性芯材〔A〕に旨くカバー出来るように縫製するミシン糸もポリエステルミシン糸の使用が必要となる。
【0034】
このようにして得られた座席は、ウレタンと同じで密度反撥性も出し易く、従って同じ反発や感触でも、軽量化でき、持ち運びや、自動車の燃費改良といった効果も期待できる。
【0035】
【発明の効果】
本発明における座席は、実質的に熱可塑性ポリエステル100%で構成されるために、使用後に、焼却が有毒ガスの発生が少なく焼却し易く、リサイクルの時、分解したり分別したりする手間をかけず座席全体を溶かして、繊維や成型物に再成型できる。勿論、全体をそのまま機械的に繊維に分解し、反毛化し、フェルトなどの原料にすることも可能である。また、この座席はウレタン対比で軽量化でき、さらに感触や座り心地が優れ、通気性があり蒸れ感が少なく、快適性に優れる。さらにこの座席の形状は設計の三次元形状が出しやすく、製造が容易である。
【0036】
【実施例】
以下に実施例により本発明を説明する。なお、実施例における各評価項目はそれぞれ下記の方法に従って評価した。
【0037】
(a) 捲縮性能;捲縮数、捲縮度
JIS L−1015により測定した。
(b) 表面硬度
高分子計器株式会社製 アスカー表面硬度計(F型)により測定した。
(c) 硬さ(kgf)
試作された繊維構造体を直方体30cm×30cm、1g/cm2の荷重で計測して厚み5cmになるようにカットするか、積層して、JIS K−6401による25%圧縮硬さを測定する方法を流用して求めた。
(d) 融点
Du Pont 社製 熱示差分析計990型を使用し、昇温20℃/分で測定し、融解ピークを求めた。融解温度がハッキリ観測されない場合は、微量融点測定装置(柳本製作所製)を用い、約3gのポリマーを2枚のカバーガラスに挟み、ピンセットで軽く押さえながら、昇温速度20℃/分で昇温し、ポリマーの熱変化を観測する。その際ポリマーが軟化して流動を始めた温度(軟化点)をここでは融点とする。
【0038】
(e) 複合繊維断面形状の測定
複合繊維の繊維軸に直角に薄く切断された断面を透過型の顕微鏡で観察し、写真撮影をして、図1に示した模式図の直線や曲線の長さから算出した。断面は20個取り、その平均値を用いた。
(i)− 露出度
断面全周の曲線(A+B)の長さに対する複合繊維の芯成分の非弾性ポリエステルが断面の周に占める曲線の長さ(B)の比率:
[B/(A+B)]×100%
(ii) − 湾曲度
複合繊維の芯成分の非弾性ポリエステルが断面の周に露出する2点(P1とP2)を直線で結んだ直線距離(L)と複合繊維の芯成分の非弾性ポリエステルが露出しない熱可塑性エラストマーと接する曲線の長さ(C)の比率:
C/L
(iii) − 肉厚度
複合繊維の芯成分の非弾性ポリエステルの最大厚み(LP)と弾性熱可塑性エラストマーの最大厚み(LE)の比率:
P/LE
【0039】
(f) 8万回繰り返し圧縮耐久テスト
サンプル 10cm×10cm、厚み50mm(重ねてもよい)を、初期厚みの75%まで予備圧縮をしたのち再び厚み(T1)を0.5g/cm2の荷重で計り、T1の25%まで圧縮したときの圧縮応力を(F1)とし、T1の50%まで毎秒1回の割合で8万回圧縮をし、30分放置後、75%予備圧縮したのち厚み(T2)を計り、厚みの25%まで圧縮したときの圧縮応力(F2)を求め、〔(T1−T2)/T1×100%〕で残留歪みを算出し、〔(F2/F1)×100%〕で硬さ保持率を算出した。
(g) ウェッブの嵩性
JIS L−1097により測定した。
【0040】
実施例1
テレフタル酸とイソフタル酸とを80/20(モル%)で混合した酸成分とブチレングリコールとを重合し、得られたポリブチレン系テレフタレート40%(重量%)をさらにポリテトラメチレングリコール(分子量2,000)60%(重量%)と加熱反応させ、ブロック共重合ポリエーテルポリエステルエラストマーを得た。この熱可塑性エラストマーの融点は157℃であった。この熱可塑性エラストマーをシースに、常法で得られたポリブチレンテレフタレート(融点224℃)をコアに、シース/コアの重量比で50/50になるように特殊口金とポリマー吐出配分を調整して複合繊維を得た。この繊維を2.0倍に延伸したのち、油剤を付与し120℃で乾燥捲縮発現し、64mmに切断した。ここで得られた複合繊維(b)のデニールは6デニール、捲縮数は18個/インチ、捲縮度は30%であった。
ここで得られた複合繊維の非弾性ポリエステルの露出度は34%であり、湾曲度は1.62で、肉厚度は2.7であった。
【0041】
次に、常法にて得られたポリエチレンテレフタレート(固有粘度0.65、融点254℃)を中空口金で紡糸し、紡糸された直後に一方方向が良く冷却したのち3.1倍延伸し、油剤を付与して160℃で乾燥とスパイラル捲縮発現をしたのち64mmにカットして非弾性ポリエステル系短繊維(a)を得た。この繊維の繊度は6デニールで捲縮数9個/インチ、捲縮度30%、0.5g/cm2の荷重で100cm3/g、10cm2/gの荷重で34cm3/g、断面形状は中空、中空率29%を得た。
【0042】
ここで得られた複合繊維30%と非弾性ポリエステル系短繊維70%の混綿比率になるようにローラーカードを2回通過させて、クロスレイヤーで積層してウェッブを得た。モールドの三次元曲面形状が出るように、また部分部分で設定密度になるように種々の形状目付に積層ウェッブをカットしてモールドの内側に積層などして並べた。このウェッブを並べるに前に、上記クロスレイヤーごの積層ウェッブに軽いニードルパンチを付与して目付100g/cm2の薄いシートを得て、予めモールドの内側に敷いておいた。さらにその上にウェッブを配列後、上モールドをかぶせたのち固定し、熱風乾燥機に入れ、200℃で20分間熱処理を行い、乾燥機から取り出しゆっくりと冷却後、三次元形状に熱成型されたクッション構造体の成型芯材〔A〕を得た。
この座席の座る部分を切り出し、8万回の圧縮繰り返し耐久テストを行ったが、残留歪みは5%と低く、硬さ保持率も85%と高かった。
【0043】
このモールドの座席の座る部分の密度は35kg/m3、密度から推定した硬さは18kgfであり、座席に両サイド部分は密度は58kg/m3、密度から推定した硬さは45kgfであり、モールドの三次元曲面形状が旨く出ていた。また、この表面硬度は、座席の座る部分で15〜20、両サイド部分で30〜40であった。
【0044】
次に、上記クロスレイヤーで得られたウェッブが所定目付になるように積層し2枚の10mmのクリアランスのパンチングプレートの間に挟み込んで熱風により210℃で5分間処理しポリエステル繊維層(C)を得た。このシートの密度は0.020g/cm3であり、このシートを半分にスライスして上下の密度を計ると、下側が0.025g/cm3で、上側が0.015g/cm3で、下側から上側に密度勾配が出来ていた。このシートは密度勾配があるためか均一密度のシートと比べて曲げ易かった(カンチレバーの値が低かった。)。なお、この繊維層(C)の表面硬度は、下側が7で、上側が4であり、芯材(A)より非常に柔らかいものであった。
さらにこの繊維層(C)を積層して8万回の繰り返し圧縮テストを行ったが残留歪みは4%、硬さ保持率は88%と高かった。
【0045】
この得られたポリエステル繊維層(C)の高密度側に布帛を一体化するために、常法で得られたポリエステル100%の自動車シート用モケット(目付312g/m2、厚み1.2mm、通気度75cc/cm2・sec、バックコーチィング無し)の立毛側の反対の裏側にエムスジャパン(株)製の共重合ポリエステル系パウダー(992−5;融点105〜115℃、パウダー径300〜500μm)をふるいを用いて40g/m2の量で均一に散布し、ポリエステル繊維層(C)の高密度側をこの接着層に合わせ、メイヤー社のラミネート機を用いて、下側をモケットとし、上70℃、下150℃、クリアランス13mmとし、5m/分で通しプレスローラで張り合わせた。接着面を繊維層(C)をカットして観察すると実質的に点状接着していた。ここで得られた複合積層体は通気度が60cc/cm2・secであり、防炎性FMVSS302法にも合格できた。この複合積層体をシートのカバーがうまくできるように型紙でカットし、ポリエステル製ミシン糸で縫製した。ウレタンのみを布帛に接着一体化した場合に起こる糸抜けもなく、またウレタンより滑り易く縫製も良好であった。
【0046】
ウレタンの場合、この糸抜け防止と滑りを良くするために裏側にもトリコットハーフを接着しているために表皮側と反対の側が延びにくいために曲げ難く、直線的に折れる現象があるが、この複合積層体では見られず、曲げ易く、直線的に折れる作用も少なかった。
このようにして得られた積層体縫製カバーを、熱成型して得られた三次元曲面形状のクッション芯材〔A〕にカバーして一部とめた座席は、うまく三次元曲面形状がでて、しかも、さわった触感もソフトで、座った感じもよく、長時間座った後の蒸れ感もウレタンの構成からなる物よりも良好で蒸れにくかった。
【0047】
比較例1
ポリエステル繊維層(C)を密度を40kg/m3(スライスした下側が45 kg/m3で、上側が34kg/m3)にした以外は実施例1と同様にして座席を作成した。このポリエステル繊維層(C)の表面硬度は、上側が30で、下側が25であった。
【0048】
このような構成で作成された座席は、形状の三次元曲面がうまくでず、直線的に折れ目が発生してしまい好ましくなく、見栄えの悪いものであった。また手触りも硬く、座り心地も粗硬感があり好ましくなかった。
【0049】
比較例2
実施例1の熱可塑性エラストマーの代わりに、テレフタル酸とイソフタル酸を60/40(モル%)で混合した酸成分と、エチレングリコールとジエチレングリコールとを85/15(モル%)で混合したジオール成分とから共重合された低融点ポリエステル、固有粘度0.78、融点110℃を用いて同様に試作した複合繊維を得た。この繊維を2.8倍延伸したのち、油剤を付与し、押し込み捲縮を付与した後、50℃で乾燥、64mmにカットして複合繊維(b)を得た。この繊維は7デニールで捲縮数は12個/インチ、捲縮度は22%であった。ここで得られた複合繊維の低融点ポリエステルの露出度は26%であり、湾曲度は1.9で肉厚度は2.0であった。
【0050】
この複合繊維(b)と実施例1の非弾性ポリエステル系短繊維(a)と実施例1と同様にしてクッション構造体の成型芯材(A)を得た。この芯材は座席の座る部分は密度33kg/m3で表面硬度は50と硬いものであった。この部分を切り出し、8万回繰り返し圧縮耐久性を調べたが、残留歪みが22%と著しく悪く、硬さ保持率も35%と悪いものであった。このため、座席として着用はしてみたが、へたりが大きく、座席の圧縮される面がへこみ座席としては使用できないレベルであった。
【0051】
比較例3
実施例1のポリエステル繊維層(C)の代わりに、裏側に目付20g/m2のポリエステルトリコットハーフをフレームラミネートされた密度20kg/m3のウレタンスライスされた10mmのシートを実施例1と同様にして自動車用モケットに共重合ポリエステル系パウダー(992−5)で融着させた。このウレタンスライスシートの表面硬さは10であった。
【0052】
この複合積層体を使って縫製したカバーを実施例1の一部が三次元曲面形状を持つクッション構造体の成型芯材(A)にカバーしたが、やはり形状がうまくでず見栄えの悪いものであった。また曲面部分では直線的に折れており形状の追従性が悪いものであった。また、手触り感はウレタン特有の少しの圧縮で触っているときは硬いが、強く触ると急に凹む様なソフトな感触とは異なる物であり、感触は良くなかった。ポリエステルのリサイクルのため、ウレタン部分を外すためこの複合積層体カバーを外すのに手間がかかり、さらに縫製された部分からウレタンシートを外すことはウレタンシートがすぐに切れてうまく分離しにくく、また、このウレタンからポリエステルトリコットハーフを剥がそうとしたがうまく剥がれず、トリコット面にウレタンが多くくっついて残り、ポリエステル部分の再溶融によるリサイクルは困難なことが予想された。
【0053】
比較例4および5
実施例1のクッション構造体の芯材を密度0.012g/cm3で作成しようとしたが、密度が低くすぎて、混綿綿の反撥が低すぎて、成型したとき、モールドとの間に隙間が発生して、設計とおりの形状が得られなかった。また密度を0.12g/cm3とした座席は硬さが80kgf以上の硬いもので座席としての使用は、間に柔らかい層を用いても使用できないものであった。
【0054】
比較例6
実施例1にポリエステル繊維層(C)とモケット用シートを積層する共重合ポリエステル系パウダーの融点を145℃のものを用いた。当初、実施例1と同様な条件で接着を試みたがうまく接着できず、下の温度を180℃付近から接着しはじめたが、ポリエステル繊維層(C)が薄くなり、密度が高くなって表面硬度が30以上に硬くなってしまった。この繊維複合層は曲げにくく、座席のカバー材としての使用は問題であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 複合繊維の断面を示す模式図である。
【符号の説明】
E 弾性熱可塑性エラストマー
P 非弾性ポリエステル
A 露出しているEの長さ
B 露出しているPの長さ
E Eの最大厚み
P Pの最大厚み
L 周囲におけるPとEの接点(P1とP2)を結んだ直線距離
C Pの露出しないEと接する曲線の長さ

Claims (7)

  1. (A)非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をマトリックス(a)とし、該短繊維中には短繊維を構成するポリエステルの融点よりも40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出した弾性複合繊維(b)が分散・混入され、かつ該熱可塑性ポリエステルエラストマーの融着により該短繊維が一体化した0.015〜0.10g/cmの密度を有するクッション構造体より形成され、一部が三次元曲面形状に成型された芯材〔A〕、
    (B)その芯材〔A〕を被覆したポリエステル表皮層〔B〕および
    (C)その芯材〔A〕と表皮層〔B〕との間にあって、該芯材〔A〕よりも表面硬度が柔らかく、非弾性ポリエステル系捲縮短繊維集合体をマトリックス(c)とし、該短繊維中には短繊維を構成するポリエステルの融点よりも40℃以上低い融点を有する熱可塑性エラストマーと非弾性ポリエステルとからなり、前者が少なくとも繊維表面に露出した芯材〔A〕と同じもしくは異なる弾性複合繊維(d)が分散・混入され、かつ該熱可塑性ポリエステルエラストマーの融着により該短繊維が一体化したポリエステル繊維層〔C〕よりなり、かつ表皮層〔B〕とポリエステル繊維層〔C〕は接触界面において該複合繊維(d)の熱可塑性エラストマーの融点よりも20℃以上低い融点の低融点ポリマーで融着され、さらにポリエステル繊維層〔C〕は、表皮層〔B〕との融着側の面が、芯材〔A〕と接する側の面よりも密度が高いことを特徴とする座席。
  2. ポリエステル繊維層〔C〕と表皮層〔B〕とを融着する低融点ポリマーがポリエステル系ポリマーで構成されている請求項1記載の座席。
  3. ポリエステル繊維層〔C〕と表皮層〔B〕との融着が、実質的に点状に融着されている請求項1または2のいずれか記載の座席。
  4. ポリエステル繊維層〔C〕と表皮層〔B〕と融着された積層物の通気性が10cc/cm・sec以上である請求項1〜のいずれか記載の座席。
  5. ポリエステル繊維層〔C〕と表皮層〔B〕と融着された積層物がポリエステル系ミシン糸によって縫製されている請求項1〜のいずれか記載の座席。
  6. 複合繊維(b)または(d)を構成する弾性熱可塑性エラストマーがポリエステル系エラストマーである請求項1〜のいずれか記載の座席。
  7. 複合繊維(b)または(d)はそれを構成している非弾性ポリエステル系ポリマーの繊維表面の露出度が25〜49%で露出し、かつ熱可塑性エラストマーと湾曲度1.1〜2.5で一体化している請求項1〜のいずれか記載の座席。
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