JP2002177091A - 乗物用シート - Google Patents

乗物用シート

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JP2002177091A
JP2002177091A JP2000384768A JP2000384768A JP2002177091A JP 2002177091 A JP2002177091 A JP 2002177091A JP 2000384768 A JP2000384768 A JP 2000384768A JP 2000384768 A JP2000384768 A JP 2000384768A JP 2002177091 A JP2002177091 A JP 2002177091A
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JP2000384768A
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Yoshinori Fujita
悦則 藤田
Kazuyoshi Sene
一義 千柄
Seiji Kawasaki
誠司 川崎
Seiji Sezaki
誠二 瀬崎
Yuji Ikeda
裕二 池田
Naoteru Ochiai
直輝 落合
Shizuhito Tsumura
静人 津村
Yumi Ogura
由美 小倉
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Delta Tooling Co Ltd
Original Assignee
Delta Tooling Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ソフトで大きなストロークの要求される部位
の復元性を向上させる。 【解決手段】 表皮材30として、表面メッシュ層と裏
面メッシュ層とが多数のパイルで結合された三次元構造
のネット材を用いると共に、剛性が前記ネット材に近似
する素材から形成され、前記ネット材を人体との接触面
に対して略垂直方向に付勢する復元性を付与する支持バ
ネ部材40を、ネット材に積層した構造である。例え
ば、座部の前縁部20、頸椎支持部及び頭部支持部のい
ずれか少なくとも一つの部位に、支持バネ部材40を配
設することにより、表皮材30であるネット材を低い伸
び率で張設した場合であっても、所定の復元力を作用さ
せることができる。また、支持バネ部材40は、剛性が
三次元構造のネット材に近似する素材から形成されてい
るため、着座者に対して異物感を与えることがない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車、列車など
の乗物用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ウレタン等のパッド材と比較し
て、薄型でも高いクッション性を発揮できると共に、多
数の空隙を有し、通気性に優れた三次元構造のネット材
を用いた乗物用シートが知られている。表面メッシュ層
と裏面メッシュ層との間を多数のパイルで連結し、トラ
ス構造(三次元構造)としたもので、へたりにくい弾性
構造物となっており、通気性、体圧分散特性、衝撃吸収
特性等に優れている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、三次元
構造のネット材を表皮材として用いる場合、通常、周縁
のほとんどの部分がシートフレームを構成する各フレー
ム材に巻き付けられて支持されるため、結果として、か
なり高い伸び率(例えば、10〜20%程度)でシート
フレームに張設される。この結果、このネット材は張力
構造体となっており、共振点以上での振動吸収特性の点
で改善の余地がある。このため、表皮材を低い伸び率
で、例えば、姿勢の設計基準位置及び設計基準の負荷を
与えた場合で5%未満の伸び率となるように設置し、振
動吸収特性を改善する試みもなされている。しかしなが
ら、この場合には、例えば、ペダル操作を妨げないため
にソフトなバネ感で大きなストロークが要求される座部
の前縁部において、負荷が加わった後、人体との接触面
に略垂直方向に該前縁部を復元させる復元力が不足す
る。この点は、ソフトなバネ感と大きなストロークが要
求される頸椎支持部や頭部支持部においても同じことが
言える。
【0004】表皮材としてのネット材を低い伸び率で設
置した場合の復元力不足を補うため、座部の前縁部の下
部等に金属バネを設けることも考えられるが、合成樹脂
製のネット材と金属バネとでは、剛性が大きく異なるた
め、着座者に金属バネの異物感を与える。一方、自動車
用シートなどにおいては、三次元構造のネット材から構
成される表皮材により座部を形成するに当たって、通
常、該座部の下方には、復元力を補うため、支持部材で
ある面状弾性部材としてプルマフレックスが配置され
る。しかしながら、ネット材に板状の支持バネ部材を積
層して、この支持バネ部材により復元力を補えば、プル
マフレックス等の面状弾性部材を配設する必要がなくな
り、部品点数の低減、シートの軽量化を図ることが可能
である。
【0005】本発明は上記した事情に鑑みなされたもの
であり、ネット材を低い伸び率で張設した場合であって
も、ソフトなバネ感で大きなストロークが要求される部
位における復元力を補うことができると共に、着座者に
対して硬い当たり感(異物感)を与えることのない構造
を備えた乗物用シートを提供することを課題とする。ま
た、本発明は、プルマフレックス等の面状弾性部材を用
いなくても必要な復元力を発揮させることができ、部品
点数の低減、シートの軽量化を図ることができる乗物用
シートを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、請求項1記載の本発明では、表皮材として、表面
メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合さ
れた三次元構造のネット材を用いた乗物用シートであっ
て、剛性が前記ネット材に近似する素材から形成され、
前記ネット材を人体との接触面に対して略垂直方向に付
勢する復元性を付与する支持バネ部材を、ネット材に積
層して配設したことを特徴とする乗物用シートを提供す
る。請求項2記載の本発明では、前記表皮材のうち、座
部の前縁部、頸椎支持部及び頭部支持部のいずれか少な
くとも一つの部位に、前記支持バネ部材を積層したこと
を特徴とする請求項1記載の乗物用シートを提供する。
請求項3記載の本発明では、前記表皮材が、姿勢の設計
基準位置及び設計基準の負荷を与えた場合で、5%未満
の伸び率でフレーム材に支持されていることを特徴とす
る請求項1又は2記載の乗物用シートを提供する。請求
項4記載の本発明では、前記支持バネ部材が、合成樹脂
製プレートであることを特徴とする請求項1〜3のいず
れか1に記載の乗物用シートを提供する。請求項5記載
の本発明では、前記支持バネ部材が、前記ネット材に、
幅方向に積層される第1の合成樹脂製プレートと、第1
の合成樹脂製プレートに対して略直交する縦方向に積層
される第2の合成樹脂製プレートとによって構成されて
いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載
の乗物用シートを提供する。請求項6記載の本発明で
は、前記支持バネ部材の少なくとも一部が、積層された
2枚以上の合成樹脂製プレートから構成されていること
を特徴とする請求項4又は5記載の乗物用シートを提供
する。請求項7記載の本発明では、前記表皮材の裏面側
に配置され、該表皮材に復元性を付与すると共に、表面
メッシュ層と裏面メッシュ層とが多数のパイルで結合さ
れた三次元構造のネット材からなるクッション材層を有
し、前記支持バネ部材が、表皮材とクッション材層のい
ずれか少なくとも一方に積層されていることを特徴とす
る請求項1〜6のいずれか1に記載の乗物用シートを提
供する。請求項8記載の本発明では、前記支持バネ部材
の積層される部位の25%圧縮硬度が、150N以下で
あることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1に記載
の乗物用シートを提供する。請求項9記載の本発明で
は、前記支持バネ部材の積層される部位のバネ定数が、
10N/mm以下の領域を有するように設定されている
ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか1に記載の乗
物用シートを提供する。請求項10記載の本発明では、
前記支持バネ部材の積層される部位のバネ定数が、負荷
荷重200N以下の領域において10N/mm以下に設
定され、負荷荷重200Nを越える領域において10N
/mmより大きな値で設定されていることを特徴とする
請求項9記載の乗物用シートを提供する。請求項11記
載の本発明では、三次元構造のネット材における座部に
相当する部位の適宜位置に前記支持バネ部材を積層する
と共に、該支持バネ部材の積層される部位のバネ定数を
10N/mmより大きくかつ50N/mm以下の領域を
有するように設定したことを特徴とする請求項1〜7の
いずれか1に記載の乗物用シートを提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図面に示した実施形態に基
づいて本発明を更に詳しく説明する。図1〜図3は、本
発明の一の実施形態にかかる乗物用シート10を説明す
るための図である。このうち図1及び図2は、座部の前
縁部20付近を示している。これらの図に示したよう
に、座部の前縁部20付近を構成するフレーム構造は、
前端フレーム部21と、該前端フレーム部21の両端か
ら延びるサイドフレーム部22を有した略コ字状をなし
ている。
【0008】サイドフレーム部22間には、下方に突出
するブラケット23がそれぞれ取り付けられており、各
ブラケット23には、車両の床面に固定されるレール部
材25に沿ってスライド可能なスライドフレーム24が
設けられている。対向するスライドフレーム24間には
両者を連結する連結フレーム26が設けられており、レ
ール部材25に沿ったスライドフレーム24の移動を円
滑にしている。また、前端フレーム部21には、その内
側に突出するように固着した取り付けフレーム21fが
設けられている。
【0009】三次元構造のネット材からなる表皮材30
は、低い伸び率で、例えば、設計基準位置及び設計基準
の負荷を与えた場合で、5%未満の伸び率となるように
設けられる。これにより、表皮材30を構成する三次元
構造のネット材の弾性変形及び熱衝撃によるへたりを軽
減、防止でき、バネ性を十分発揮して、入力振動の方向
を変えることも可能となり、振動吸収特性の改善に資す
る。表皮材30の前縁部31には、断面略U字状に形成
したセットプレート32が振動溶着などの手段により固
着されており、表皮材30は、前端フレーム部21及び
サイドフレーム部22を覆うように配置した上で、前端
フレーム部21を乗り越え、下側へ回り込ませ、セット
プレート32を取り付けフレーム21fに係止すること
により張設される。
【0010】ここで、表皮材30として用いられる三次
元構造のネット材100について図9〜図12に基づき
説明する。図9に示すように、このネット材100は、
表面メッシュ層110、裏面メッシュ層120及び該表
面メッシュ層110と裏面メッシュ層120とを結合す
る多数のパイル130とを有する立体的なトラス構造
(三次元構造)から構成されている。
【0011】表面メッシュ層110は、例えば、図10
に示したように、単繊維を撚った糸をゴム編みにして小
さなメッシュ(細目)を有する構造に形成されている。
これに対し、裏面メッシュ層120は、例えば、図11
に示したように、単繊維を撚った糸から、ハニカム状
(六角形)のメッシュを有する表面メッシュ層110よ
りも大きな編み目構造に形成されている。パイル130
は、単繊維又は糸で形成し、表面メッシュ層110と裏
面メッシュ層120とが所定の間隔を保持するように、
該表面メッシュ層110と裏面メッシュ層120との間
に編み込んだもので、この立体メッシュニットとなって
いるネット材100に所定の剛性を付与している。な
お、本明細書中、単に「繊維」と述べた場合には、単繊
維(モノフィラメント)と糸(マルチフィラメント)の
両者のほか、紡績糸等をも含む意味である。
【0012】なお、上記説明では、ゴム編みの小さなメ
ッシュを有する層を表面(例えば、座部やバック部の人
体に接する面)としているが、これを裏面とし、ハニカ
ム状のメッシュを有する層を表面として使用することも
できる。また、このメッシュ層組織としてはハニカム状
や細目以外のメッシュ形状を採用することももちろん可
能である。
【0013】表面メッシュ層110、裏面メッシュ層1
20又はパイル130を構成する繊維の材料としては、
熱可塑性樹脂が好ましい。例えば、ポリエチレンテレフ
タレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(P
BT)などに代表される熱可塑性ポリエステル樹脂類、
ナイロン6、ナイロン66などに代表されるポリアミド
樹脂類、ポリエチレン、ポリプロピレンなどに代表され
るポリオレフィン樹脂類、あるいはこれらの樹脂を2種
類以上混合した樹脂などを用いることができる。
【0014】パイル130としては、例えば、380d
以上で、好ましくは600d以上の繊維を用いることが
できる。これにより、着座者の荷重を各メッシュ層11
0,120を構成するメッシュの変形とパイル130の
倒れ及び座屈特性、そしてその座屈特性にバネ特性を付
与する隣接したパイル130の復元力によって支持する
ことができ、すなわち、復元力を持つ座屈特性によって
支持することができ、応力集中の起きない柔構造とする
ことができる。なお、参考のため、次表に、上記三次元
構造のネット材100の物性値の一例を示す。
【0015】
【表1】
【0016】なお、パイル130の配設の仕方(パイル
組織)としては、表面メッシュ層110と裏面メッシュ
層120とを連結するパイル130の側面から見た状態
で表すと、より具体的には、例えば、図12に示したよ
うな種類に分類される。(a),(b)は、表面メッシ
ュ層110を構成する各糸に対し、これに対向する裏面
メッシュ層120を構成する各糸との間にパイル130
が配設されているストレートタイプであり、このうち
(a)は8の字状にしてストレートに編んだもので、
(b)は単純なストレートに編んだものである。(c)
〜(e)は、表面メッシュ層110の隣接する各糸と、
これに裏面メッシュ層120の隣接する各糸との間で、
パイル130が中途で交差するように編んだクロスタイ
プであり、このうち(c)は8の字状にクロスさせたも
の、(d)は単純なクロスに編んだもの、(e)は2本
ずつまとめてクロス(ダブルクロス)させたものであ
る。
【0017】表皮材30の裏面には、図1〜図3に示し
たように、支持バネ部材40が積層される。支持バネ部
材40は、上記のように低い伸び率で設置される表皮材
30のうち、特に、ソフトなバネ感と大きなストローク
が要求される部位に設けられるものである。
【0018】支持バネ部材40は、合成樹脂材料からな
り、長尺な平板状に形成された第1の合成樹脂製プレー
ト41と第2の合成樹脂製プレート42とを有して構成
される。合成樹脂材料から形成することにより、その剛
性が三次元構造のネット材からなる表皮材30の剛性と
近似するため、着座時における異物感が小さい。従っ
て、合成樹脂材料としては、上記した三次元構造のネッ
ト材と同様に熱可塑性樹脂から形成することが好まし
く、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、
ポリブチレンテレフタレート(PBT)などに代表され
る熱可塑性ポリエステル樹脂類、ナイロン6、ナイロン
66などに代表されるポリアミド樹脂類、ポリエチレ
ン、ポリプロピレンなどに代表されるポリオレフィン樹
脂類、あるいはこれらの樹脂を2種類以上混合した樹脂
などを用いることができる。中でも、靱性の高いものが
好ましい。例えば、次表のような物性を有するカネボウ
合繊(株)製の高靱性PBTを用いることができる。
【0019】
【表2】
【0020】第1の合成樹脂製プレート41と第2の合
成樹脂製プレート42は、ソフトなバネ感で大きなスト
ロークを発揮することができる限り、その長さ、幅及び
厚みはいずれも限定されるものではない。本実施形態で
は、第1の合成樹脂製プレート41は、図2及び図3に
示したように、表皮材30の前縁部31付近に、幅方向
に沿って設けられることから、この表皮材30の幅以下
の長さで形成されている。第2の合成樹脂製プレート4
2は、第1の合成樹脂製プレート41に略直交する縦方
向(奥行き方向)に配置される。第2の合成樹脂製プレ
ート42は、このように縦方向に配置されることによ
り、表皮材30の前縁部31付近を、人体との接触面に
対して略垂直方向に付勢し、負荷変形に対する復元力と
して作用するものであり、図1及び図2に示したよう
に、一端を第1の合成樹脂製プレート41に接して配置
した場合に、他端が、座部の略中央部にまでは至らない
程度の長さを有していればよい。
【0021】第1の合成樹脂製プレート41と第2の合
成樹脂製プレート42とは、両者を一体成形することも
できるが、別体に成形しておき、表皮材30の裏面に別
々に積層することができる。この場合、第1の合成樹脂
製プレート41の側面には、第2の合成樹脂製プレート
42の一端面を突き当て、両者を接合して一体化する。
このように、長手方向を表皮材30の幅方向に沿わせて
配置した第1の合成樹脂製プレート41に対し、第2の
合成樹脂製プレート42の一端面が接合されることによ
り、第2の合成樹脂製プレート42のはね上げが感が防
止される。第2の合成樹脂製プレート42は、第1の合
成樹脂製プレート41に対して配置バランスを考慮して
1本以上配設され、それによりソフトなバネ感と大きな
ストローク感を発揮できればよく、配設本数も限定され
るものではないが、図1〜図3では、所定間隔をおいて
2本配設している。
【0022】第1の合成樹脂製プレート41及び第2の
合成樹脂製プレート42は、いずれも表皮材30の裏面
に固定される。固定手段は任意であるが、固定作業の容
易性、三次元構造のネット材100への固定の確実性を
考慮すると、振動溶着が適切である。また、第1の合成
樹脂製プレート41及び第2の合成樹脂製プレート42
は、表皮材30の裏面に対し、その全面を振動溶着によ
り固定することもできるし、部分的に振動溶着を施して
固定することもできる。
【0023】三次元構造のネット材100からなる表皮
材30をフレーム材に対して低い伸び率で設置した場合
には、上記のように三次元構造のネット材100の弾性
変形及び熱衝撃によるへたりを軽減、防止し、バネ性を
十分発揮させて、入力振動の方向を変えることを可能と
して振動吸収特性の改善に資するという利点を有するも
のの、例えば、ペダル操作により、前縁部31付近に負
荷がかかって変形すると、負荷が除去された後の、人体
との接触面に対して略垂直方向に生じる復元性が不足す
る。しかしながら、本実施形態によれば、表皮材30の
前縁部31付近の裏面に、第1の合成樹脂製プレート4
1と第2の合成樹脂製プレート42とから構成される支
持バネ部材40を備えている。従って、この支持バネ部
材40の復元力により、前縁部31は、表皮材30を低
い伸び率で設置しているにも拘わらず、負荷が除去され
ると速やかに復元する。
【0024】三次元構造のネット材100からなる表皮
材30に支持バネ部材40を積層することにより、ソフ
トで大きなストロークのバネ感とするためには、支持バ
ネ部材40の積層される部位の25%圧縮硬度は、15
0N以下の範囲となるように設定されることが好まし
く、さらには、120N以下の範囲であることがより好
ましい。なお、25%圧縮硬度は、JIS K−640
1に規定されている方法により測定される。25%圧縮
硬度が上記範囲を上回る場合にはバネ感が硬くなる。ま
た、下限値は、前縁部20付近の構造により任意に決定
される。
【0025】25%圧縮硬度が上記範囲であれば、ソフ
トで大きなストロークのバネ感を得ることができるが、
支持バネ部材40を積層した部位におけるバネ定数とし
ては、図4で示したような全体として非線形で発泡ウレ
タンと同様の傾向を示すように設定されていることが好
ましい。
【0026】図4では、上記の表2で示した高靱性PB
Tからなる支持バネ部材40を、図1〜図3に示したよ
うに前縁部20付近に配置し、直径200mmの圧縮板
により、50mm/minで押圧して荷重−変位特性を
測定した。比較のため、発泡ウレタンを用いたシートの
前縁部についても同様の測定を行った。図中、「3DN
ET+熱可塑性樹脂」が本実施形態を示し、「ウレタ
ン」が発泡ウレタンを用いた場合を示す。
【0027】図4から明らかなように、本実施形態で
は、発泡ウレタンを用いた前縁部と同様に、全体として
非線形の傾向を示している。負荷荷重100〜200N
の範囲においては、本実施形態の場合、6.04N/m
mであり、発泡ウレタンの負荷荷重100〜200Nの
領域のバネ定数4.96N/mmよりもやや高いもの
の、いずれにしても10N/mm以下の低い値を示し、
ソフトで大きなストロークのバネ感であることが分か
る。特に、本実施形態の場合、負荷荷重100N以下の
領域においては、2.88N/mmと、発泡ウレタンよ
りも低い値を示しており、着座者の初期荷重領域におい
てさらにソフトなバネ感を発揮していることを示してい
る。その一方で、200Nを越える負荷荷重領域におい
ては、発泡ウレタンと同様に、10N/mmを越える線
形に近いバネ定数値を示しており、高荷重領域において
も、底付き感を感じることがなく、復元性に優れたバネ
特性を発揮していることが分かる。
【0028】図5〜図7は、本発明の他の実施形態にか
かる乗物用シート10を説明するための図である。この
図に示したように、本実施形態の乗物用シート10で
は、表皮材30の裏面側(図の下方側)に、所定間隔を
おいてクッション材層50を設けている。このクッショ
ン材層50は、表皮材30と同様に三次元構造のネット
材100からなるが、表皮材30よりも高い伸び率で張
設され、着座時の大腿部から尻下におけるストローク感
ないしは厚み感を増すと共に、フレーム材等への当たり
感を軽減する作用を発揮するものである。
【0029】クッション材層50は、図6(b)に示し
たように、サイドフレーム部22のうち、前端フレーム
部21寄りの部位では、該サイドフレーム部22の周囲
に巻き付けられて配設され、それよりも後方寄りの部位
では、図6(a)に示したように、サイドフレーム部2
2の下方の補助ワイヤ22aに係合されている。このク
ッション材層50は、上記のように大腿部から尻下にお
けるストローク感等を増すために配置されるが、本実施
形態では、該クッション材層50における前縁部51付
近にも、支持バネ部材40’が積層されている。支持バ
ネ部材40’は、上記の表皮材30に積層される支持バ
ネ部材40と同様の構造を有しており、幅方向に沿って
積層される第1の合成樹脂製プレート41’と、この第
1の合成樹脂製プレート41’に対して略直交する縦方
向に積層される第2の合成樹脂製プレート42’とを備
えている。なお、積層手段は上記と同様に任意であり、
例えば、振動溶着手段によりクッション材層50に部分
的に、あるいは全面的に接合することができる。
【0030】本実施形態によれば、支持バネ部材40,
40’が表皮材30のみではなく、クッション材層50
にも積層された構造である。従って、上記実施形態の場
合よりも、高い復元力を発揮させることができる。但
し、かかる場合であっても、支持バネ部材40,40’
を配置した部位における25%圧縮硬度及びバネ定数
は、上記実施形態と同様の範囲に設定されることが好ま
しいことはもちろんである。
【0031】なお、上記した説明では、人体との接触面
に対して略垂直方向に付勢する復元性を付与する支持バ
ネ部材を、表皮材30の前縁部31付近に配設している
が、ソフトなバネ感と大きなストローク感が要求される
部位であれば、支持バネ部材の配設箇所は、かかる部位
に限定されるものではない。例えば、人体の頸椎から頭
部を支持する部位においてもソフトでストロークの大き
なバネ感を有することが望まれる。従って、これらの部
位に設けられる三次元構造のネット材100からなる表
皮材に対して、上記と同様に支持バネ部材を配設するこ
とができる。また、座部を構成する三次元構造のネット
材の適宜部位、特に、大腿側部あるいは大転子支持部付
近に、支持バネ部材を、例えば幅方向に沿って積層する
と共に、この支持バネ部材を積層した部位のバネ定数が
10N/mmより大きくかつ50N/mm以下の領域を
有するように設定し、復元力をより大きくし、表皮材を
支持するためのプルマフレックス等の面状弾性部材を不
要とすることができる。このようにバネ定数を高くする
手段としては、上記実施形態で説明したものと同様の合
成樹脂製プレートを複数枚積層して、あるいは、部分的
に複数枚積層して互いに固着して用いる手段が挙げられ
る(図8参照)。これにより、必要な箇所のみ、バネ定
数を高くすることが可能となる。合成樹脂製プレート同
士の固着手段としては、振動溶着等、任意の溶着手段が
挙げられるが、互いに全面的に溶着してもよいし、部分
的に溶着してもよい。特に、部分溶着する部位の位置や
溶着面積等を変化させることにより、積層された合成樹
脂製プレートがたわみ易くなったりするなど、所望のバ
ネ特性を発揮するよう、容易に調整することができる。
なお、このように合成樹脂製プレートを複数枚積層して
支持バネ部材を構成する手段は、上記実施形態で説明し
た座部の前縁部、頸椎支持部及び頭部支持部において
も、所望のバネ特性を発揮させるために必要に応じて行
うことができる。例えば、図8に示したように、支持バ
ネ部材40を構成する第2の合成樹脂製プレート42に
沿って、第1の合成樹脂製プレート41における第2の
合成樹脂製プレート42の延長部に至るまでの長さを有
する他の合成樹脂製プレート43を積層し、第1の合成
樹脂製プレート41及び/又は第2の合成樹脂製プレー
ト42に対し、適宜間隔でスポット溶着又は全面溶着す
ることにより一体化し、バネ定数を上げることができ
る。
【0032】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の乗物用シ
ートは、表皮材として、表面メッシュ層と裏面メッシュ
層とが多数のパイルで結合された三次元構造のネット材
を用いると共に、剛性が前記ネット材に近似する素材か
ら形成され、前記ネット材を人体との接触面に対して略
垂直方向に付勢する復元性を付与する支持バネ部材を、
ネット材に積層した構造である。従って、ソフトなバネ
感で大きなストロークが要求される部位にこの支持バネ
部材を配設することにより、例えば、座部の前縁部、頸
椎支持部及び頭部支持部のいずれか少なくとも一つの部
位に、支持バネ部材を配設することにより、表皮材であ
るネット材を低い伸び率で張設した場合であっても、所
定の復元力を作用させることができる。また、支持バネ
部材は、剛性が三次元構造のネット材に近似する素材か
ら形成されているため、着座者に対して硬い当たり感
(異物感)を与えることがない。また、座部の適宜部位
に、特に、大腿側部あるいは大転子支持部付近に、所望
のバネ特性を発揮し得る支持バネ部材を積層配設するこ
とにより、復元力がより大きくなり、表皮材を支持する
ためのプルマフレックス等の面状弾性部材を不要とする
ことができ、部品点数の低減、シート重量の軽量化に資
する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一の実施形態にかかる乗物用
シートの前縁部付近を示す一部断面図である。
【図2】図2は、上記実施形態にかかる乗物用シートの
前縁部付近の全体構造を示す図である。
【図3】図3は、表皮材に支持バネ部材を配設した状態
を示す図である。
【図4】図4は、表皮材に支持バネ部材を積層した前縁
部における荷重−変位特性及び発泡ウレタンの荷重−変
位特性を示すグラフである。
【図5】図5は、本発明の他の実施形態にかかる乗物用
シートの前縁部付近の全体構造を示す図である。
【図6】図6(a)は、図5のA−A線切断端面図であ
り、図6(b)は、図5のB−B線切断端面図であり、
図6(c)は、図5のC−C線切断端面図である。
【図7】図7は、表皮材に支持バネ部材を配設した状態
を示す図である。
【図8】図8は、合成樹脂製プレートを複数枚積層して
表皮材に配設した状態を示す図である。
【図9】図9は、上記各実施形態で用いた三次元構造の
ネット材の一部を示す断面図である。
【図10】図10は、図9に示したネット材の表面メッ
シュ層を示す拡大図である。
【図11】図11は、図9に示したネット材の裏面メッ
シュ層を示す拡大図である。
【図12】図12(a)〜(e)は、パイルの配設の仕
方を説明するための図である。
【符号の説明】
10 乗物用シート 20 前縁部 21 前端フレーム部 22 サイドフレーム部 30 表皮材 31 前縁部 40,40’ 支持バネ部材 41,41’ 第1の合成樹脂製プレート 42,42’ 第2の合成樹脂製プレート 50 クッション材層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A47C 27/12 A47C 27/12 D B32B 3/24 B32B 3/24 Z 5/04 5/04 B68G 11/02 B68G 11/02 (72)発明者 川崎 誠司 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 瀬崎 誠二 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 池田 裕二 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 落合 直輝 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 津村 静人 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 (72)発明者 小倉 由美 広島県広島市安芸区矢野新町一丁目2番10 号 株式会社デルタツーリング内 Fターム(参考) 3B084 DD02 EA01 EC04 3B096 AB08 AB11 AC11 AD02 AD04 4F100 AK01D AK03 AK42 AK46 AR00E BA05 BA07 BA10A BA10E BA22D BA44D DC02A DC02C DC16A DC16C DC16E DC22D DG01A DG01C DG07B DG07E DG14A DG14C GB33 JA20 JK08 JK11 JK12 JK17E

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表皮材として、表面メッシュ層と裏面メ
    ッシュ層とが多数のパイルで結合された三次元構造のネ
    ット材を用いた乗物用シートであって、 剛性が前記ネット材に近似する素材から形成され、前記
    ネット材を人体との接触面に対して略垂直方向に付勢す
    る復元性を付与する支持バネ部材を、ネット材に積層し
    て配設したことを特徴とする乗物用シート。
  2. 【請求項2】 前記表皮材のうち、座部の前縁部、頸椎
    支持部及び頭部支持部のいずれか少なくとも一つの部位
    に、前記支持バネ部材を積層したことを特徴とする請求
    項1記載の乗物用シート。
  3. 【請求項3】 前記表皮材が、姿勢の設計基準位置及び
    設計基準の負荷を与えた場合で、5%未満の伸び率でフ
    レーム材に支持されていることを特徴とする請求項1又
    は2記載の乗物用シート。
  4. 【請求項4】 前記支持バネ部材が、合成樹脂製プレー
    トであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に
    記載の乗物用シート。
  5. 【請求項5】 前記支持バネ部材が、前記ネット材に、
    幅方向に積層される第1の合成樹脂製プレートと、第1
    の合成樹脂製プレートに対して略直交する縦方向に積層
    される第2の合成樹脂製プレートとによって構成されて
    いることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載
    の乗物用シート。
  6. 【請求項6】 前記支持バネ部材の少なくとも一部が、
    積層された2枚以上の合成樹脂製プレートから構成され
    ていることを特徴とする請求項4又は5記載の乗物用シ
    ート。
  7. 【請求項7】 前記表皮材の裏面側に配置され、該表皮
    材に復元性を付与すると共に、表面メッシュ層と裏面メ
    ッシュ層とが多数のパイルで結合された三次元構造のネ
    ット材からなるクッション材層を有し、前記支持バネ部
    材が、表皮材とクッション材層のいずれか少なくとも一
    方に積層されていることを特徴とする請求項1〜6のい
    ずれか1に記載の乗物用シート。
  8. 【請求項8】 前記支持バネ部材の積層される部位の2
    5%圧縮硬度が、150N以下であることを特徴とする
    請求項1〜7のいずれか1に記載の乗物用シート。
  9. 【請求項9】 前記支持バネ部材の積層される部位のバ
    ネ定数が、10N/mm以下の領域を有するように設定
    されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1
    に記載の乗物用シート。
  10. 【請求項10】 前記支持バネ部材の積層される部位の
    バネ定数が、負荷荷重200N以下の領域において10
    N/mm以下に設定され、負荷荷重200Nを越える領
    域において10N/mmより大きな値で設定されている
    ことを特徴とする請求項9記載の乗物用シート。
  11. 【請求項11】 三次元構造のネット材における座部に
    相当する部位の適宜位置に前記支持バネ部材を積層する
    と共に、該支持バネ部材の積層される部位のバネ定数を
    10N/mmより大きくかつ50N/mm以下の領域を
    有するように設定したことを特徴とする請求項1〜7の
    いずれか1に記載の乗物用シート。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2010099500A (ja) * 2004-05-13 2010-05-06 Humanscale Corp 膜状パネルを有する柱脚付き椅子
USD673401S1 (en) 2005-05-13 2013-01-01 Humanscale Corporation Chair support structure
JP2013081605A (ja) * 2011-10-07 2013-05-09 Takano Co Ltd 椅子の支持構造物およびその製造方法

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