明細 静電荷像現像用 トナー及びその製造方法 <技術分野〉
本発明は、 着色剤と してカーボンブラ ッ クを含有する静電荷像現 像用 トナーに関 し、 さ らに詳し く は、 流動性、 保存性、 帯電性、 画 質の環境性、 画質の耐久性な どの諸特性に優れ、 しかも人体や環境 に対する悪影響が抑制され、 安全性が顕著に改善された静電荷像現 像用 トナー、 及びその製造方法に関する。
<従来技術 >
従来よ り、 電子写真装置ゃ静電記録装置等の画像形成装置におい ては、 均一かつ一様に帯電させた感光体上に像露光を行つて静電潜 像 (静電荷像) を形成し、 こ の静電潜像を現像剤によ り現像してい る。 具体的には、 こ の静電潜像に現像剤を付着させて現像剤像 (可 視像) を形成している。 次いで、 必要に応じて、 こ の現像剤像を紙 等の転写材上に転写した後、 加熱、 加圧、 溶剤蒸気など種々 の方式 によ り定着している。
現像剤の主成分は、 結着樹脂と着色剤とを含有する着色微粒子か らなる静電荷像現像用 トナーである。 現像剤には、 トナーとキ ヤ リ ァ粒子とからなる二成分現像剤と、 実質的に トナ一のみか らな り、 キヤ リ ァ粒子を使用 しない一成分現像剤とがある。 一成分現像剤に は、 磁性粉を含有する磁性一成分現像剤と、 磁性粉を含有しない非 磁性一成分現像剤とがある。 一般に現像剤では、 トナーの流動性を 高めるために、 コロイ ダルシ リ カなどの流動化剤を独立して添加す
る こ とが多い。
トナーの製造方法には、 大別する と粉砕法と重合法とがある。 粉 砕法では、 合成樹脂と着色剤と必要に応じてその他の添加剤とを溶 融混合した後、 粉砕し、 次いで、 所望の粒径の粒子が得られるよ う に分級して着色粒子 (粉砕法 トナー) を得ている。 重合法では、 着 色剤と重合性単量体とを含み、 必要に応じて帯電制御剤などの各種 添加剤を均一に溶解ないしは分散せしめた重合性単量体組成物を調 製し、 次いで、 分散安定剤を含有する水系分散媒体中に攪拌機を用 いて分散して、 重合性単量体組成物の微細な液滴 (油滴) を形成さ せ、 しかる後、 昇温して懸濁重合する こ とによ り、 所望の粒径を有 する着色重合体粒子 (重合法 トナー) を得ている。 重合法 トナーに は、 懸濁重合法による もの以外に、 例えば、 乳化重合法、 分散重合 法などによる ものもある。
電子写真複写機などの画像形成装置によ り形成される画像には、 年々、 精細さの向上が求められている。 従来、 トナーと しては、 粉 砕法によ り得られた トナーが主流であった。 粉砕法による と、 粒径 分布の広い着色粒子が形成されやすいため、 満足できる現像特性を 得るには、 粉砕品を分級して、 ある程度狭い粒径分布に調整する必 要がある。 これに対して、 重合法 トナーは、 重合工程において、 重 合性単量体組成物の液滴の粒径と粒径分布を制御する こ とによ り、 粉砕や分級を行う こ とな く 、 均一な粒径の トナーを得る こ とが可能 である。
重合法の中でも、 懸濁重合法によれば、 真球に近い球形で、 乳化 剤等に起因する残留イオンが少ない トナーを得るこ とができる。 形 状が球形の トナーは、 現像特性に優れており、 高画質の画像を形成 する こ とができる。 残留ィォンが少ない トナーは、 環境安定性が良
好であり、 環境温度や湿度が変化して も、 安定した画質を得る こ と ができる。 しかしながら、 実際には、 重合性単量体組成物中に着色 剤を均一に分散させ、 かつ、 均一な分散状態を維持しながら重合を 行う こ とは困難である。 また、 水系分散媒体中で、 重合性単量体組 成物の液滴の粒径が均一になるよう に制御し、 そ して、 該液滴を安 定して分散させながら重合を行う こ とは困難である。
例えば、 着色剤と して代表的なカーボンブラ ッ クは、 凝集しやす く 、 重合性単量体組成物中に均一に分散させ、 かつ、 均一な分散状 態を維持させる こ とが難しい。 また、 力一ボンブラ ッ クは、 水系分 散媒体中での重合性単量体組成物の液滴の分散安定性に悪影響を及 ぼしやすく 、 その結果、 粒径分布の狭い トナーを得る こ とが困難に なる。
一方、 高画質化への要求の高ま り と と もに、 電子写真複写機ゃプ リ ンタ一から排出されるガスや揮発成分などによる環境汚染の防止 に対する要求も高ま っている。 例えば、 これ らの画像形成装置は、 オゾンを発生しやすい。 そこで、 オゾンの発生を防止するために、 帯電手段や転写手段を従来のコ ロナ放電装置から帯電ローラやベル トなどに変えるなどの工夫がなされている。 また、 重合法 トナーで は、 残存するモノ マー、 触媒残渣、 溶媒などによる臭気が問題とな る。 そ こで、 例えば、 重合開始剤の種類を選択するなどして、 臭気 や揮発成分の発生を抑制する工夫がなされている。
しかしながら、 着色剤に起因する環境汚染の問題については、 十 分な対策がなされていない。 具体的に、 着色剤と して汎用されてい るカーボンブラ ッ ク には、 発ガン性である こ とが知られているベン ゾ ( a ) ピレ ンな どの多環式芳香族炭化水素化合物類が微量含まれ ている。 画像形成装置からの現像剤の飛散によ り、 トナー中に含ま
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れているこれらの微量成分による人体や環境への悪影響が懸念され る。 そのため、 カ ー ボンブラ ッ ク を含有する ト ナーの安全性の改善 が重要な課題となっている。 カーボンブラ ッ ク を含有する トナーの 安全性を高めるには、 トナー中の多環式芳香族炭化水素類の含有量 をできるだけ低減する こ とが有効である と考え られる。
と こ ろが、 本発明者らが検討した結果、 多環式芳香族炭化水素類 の含有量の少ないカーボンブラ ッ クを使用する と、 印字品質に優れ た ト ナーを得る こ とが困難である こ とが判明 した。 特に、 懸濁重合 法によ り トナーを製造する場合、 単に多環式芳香族炭化水素類の含 有量の少ないカーボンブラ ッ クを用いただけでは、 重合性単量体組 成物中での力一ボンブラ ッ ク の分散性や水系分散媒体中での重合性 単量体組成物の液滴の分散安定性が低下し、 高精細な画像を与える ト ナーを得るこ とが困難とな る。
従来よ り、 重合法 ト ナーにおいて、 力 一ボ ンブラ ッ ク の分散性の 改良や揮発成分の低減に関して、 種々 の提案がなされている。
例えば、 (1 ) 特開昭 5 6 - 1 0 6 2 5 0号公報には、 重合性単量体 を、 揮発成分が 6重量%以下のカーボ ンブラ ッ クの存在下で重合す る静電荷像現像用 トナーの製造方法が提案されている。 この公報に は、 揮発成分と して、 カルボキシル基、 フ ヱ ノ ール性水酸基、 スル ホ ン酸基、 カルボニル基な どのカ ーボ ンブラ ッ ク に結合した基、 こ のような基またはイオン性の活性基を有する付着物、 または活性吸 着ガスが挙げられている。 この公報には、 こ のよ う な揮発成分の含 有量が 1 . 0〜 5 . 0重量%のカーボンブラ ッ クを用いた実施例が 示されている。
(2) 特開昭 5 7 — 1 8 1 5 5 3号公報には、 重合性単量体に対する 力一ボンブラ ッ クの分散性を向上させるために、 D B P吸油量が 7 0
〜 2 8 0 m l / l 0 0 g、 好ま し く は 1 0 0〜 2 5 0 m l / l 0 0 g で、 かつ、 p Hが 6 . 0以上のカーボンブラ ッ クを含有する重合性 単量体を重合して静電荷像現像用 トナーを製造する方法が開示され ている。
(3) 特開昭 6 1 — 2 2 3 5 3号公報には、 トナー中にカーボンブラ ッ クを均一に安定分散させるために、 9 5 0 °C、 7分間加熱乾燥下 での揮発分が 1 〜 2重量%で、 かつ、 p Hが 3 〜 4の力一ボンブラ ッ ク の存在下で、 懸濁重合法によ り静電荷像現像用 トナーを製造す る方法が開示されている。
(4) 特開昭 6 3 — 1 1 9 5 7号公報には、 重合性単量体中での力― ボンブラ ッ クの分散を均一にするために、 個数平均粒子径が 4 0〜 3 0 0 m , ( n m ) のカーボンブラ ッ ク と重合性単量体とを含む混 合液を懸濁重合する静電荷像現像用 トナ—の製造方法が開示されて いる。
(5) 特開昭 6 3 — 1 9 6 6 2号公報には、 トナー粒子中に分散した 力一ボンブラ ッ クの数平均粒子径が 2 0〜 5 0 0 m /z ( n m ) であ つて、 かつ、 力—ボンブラ ッ ク粒子の分散の標準偏差値が 7 0以下 の球状 トナー粒子が開示されている。 該公報には、 球状 トナーを懸 濁重合法によ り製造する こ と、 そ して、 それによつて、 重合性単量 体中に分散している力一ボンブラ ッ クの再凝集のない トナーの得ら れる こ とが記載されている。 この公報の実施例には、 数平均粒子径 が 8 8 〜 : L 4 4 m /z ( n m) の力一ボンブラ ッ クを含有する球状 卜 ナ一が示されている。
このよ う に、 従来よ り、 着色剤と して使用する 力 一ボ ンブラ ッ ク について、 種々の提案がなされているが、 印字品質と環境汚染の防 止とを両立させる点では、 いまだ不十分である。 また、 従来技術で
は、 カーボンブラ ッ ク 中に含まれる発ガン性の多環式芳香族炭化水 素化合物類に関する認識が十分ではな く 、 当然のこ とながら、 その 対応策も不十分であつた。
例えば、 カーボ ンブラ ッ ク中の揮発成分の含有量が少な く て も、 カ ーボ ンブラ ッ ク の p Hが低い場合には、 水系分散媒体中での重合 性単量体液滴の分散が不安定にな りやすい。 特に、 分散安定剤と し て難水溶性無機分散剤を用いた場合には、 該分散安定剤が十分に機 能しない。 また、 カーボンブラ ッ ク中の揮発成分の含有量が少な く ても、 カーボンブラ ッ クの D B P吸油量が大きい場合には、 重合性 単量体組成物中で力一ボンブラ ッ クの凝集が生じやすく なる。 した がって、 これらの場合、 印字品質に優れた トナーを得る こ とは困難 である。 さ らに、 カーボンブラ ッ ク中の揮発成分の含有量が少な く ても、 力—ボ ンブラ ッ クの粒径が大きい場合などは、 多環式芳香族 炭化水素類の含有量が十分に小さな もの とはな らず、 トナーの安全 性に不安が残る。
力一ボンブラ ッ ク の粒径が小さいと、 揮発成分や多環式芳香族炭 化水素類の含有量が低く なる傾向にある。 しかし、 カーボンブラ ッ ク の p Hが低い場合や D B P吸油量が大きい場合には、 前記と同様 の問題が生じやすい。 また、 カーボンブラ ッ ク の粒径が小さい場合 であ っ て も、 高度の安全性を得るには、 多環式芳香族炭化水素類の 含有量をでき るだけ低減する こ とが望ま しい。
力一ボンブラ ッ ク の p Hが大きい場合であっても、 D B P吸油量 が大きすぎる と、 重合性単量体組成物中で力一ボンブラ ッ クの凝集 が生じやす く な り、 かぶりが発生しやすく なる。 また、 力一ボンブ ラ ッ ク の p Hが大き く ても、 揮発性成分の含有量が大きかったり、 粒径が大きい場合には、 卜ナ一の安全性に不安が残る。
このよ う に、 従来技術では、 着色剤と してカーボンブラ ッ クを用 いた静電荷像現像用 トナーにおいて、 印字品質と安全性とを高度に バラ ンス さ せる こ と は、 未解決の課題であった。 <発明の開示 >
本発明の目的は、 着色剤と してカーボンブラ ッ クを用いた静電荷 像現像用 ト ナーであ っ て、 良好な印字品質を有し、 しかも安全性の 高い トナ一を提供する こ と にある。
よ り具体的に、 本発明の目的は、 流動性、 保存性、 帯電性、 画質 の環境性、 画質の耐久性などの諸特性に優れ、 しかも人体や環境に 対する悪影響が抑制され、 安全性が顕著に改善された静電荷像現像 用 トナー、 及びその製造方法を提供する こ とにある。
本発明の他の目的は、 良好な印字品質を有し、 かつ、 安全性の高 い トナーを懸濁重合法によ り提供する こ とにある。
本発明者らは、 前記従来技術の問題点を克服するために鋭意研究 を行つた結果、 一次粒径が 2 8〜 6 0 n m、 D B P吸油量が 4 0〜 7 5 m l Z 1 0 0 g、 かつ、 p Hが 6. 0〜 ; 1 0. 0であ る カ ー ボ ンブラ ッ クを用いる こ とによ り、 印字品質と安全性とが高度にバラ ンス した ト ナーの得られるこ とを見いだ した。
これらの特性値を備えたカーボンブラ ッ クを使用する と、 懸濁重 合法を採用 した場合でも、 重合性単量体組成物中での力一ボンブラ ッ クの分散性が良好で、 かつ、 水系分散媒体中での重合性単量体組 成物液滴の分散安定性が良好であ り、 印字品質と安全性に優れた重 合法 卜ナ一を得る こ とができ る。 また、 高度の安全性の観点から、 使用する力—ボンブラ ッ ク は、 多環式芳香族炭化水素化合物類の合 計含有量が 1 5 p p m以下、 特に 1 O p p m以下のものである こ と
が望ま しい。 本発明は、 こ れ らの知見に基づいて完成するに至った ものであ る。
本発明によれば、 着色剤と してカーボンブラ ッ クを含有する静電 荷像現像用 ト ナ一において、 カ ーボ ンブラ ッ ク が、
(1) 一次粒径が 2 8〜 6 O n mの範囲内、
(2) D B P吸油量が 4 0〜 7 5 m 1 / 1 0 0 gの範囲内、 かつ、
(3) p Hが 6. 0〜 1 0. 0の範囲内
のものであることを特徴とする静電荷像現像用 トナーが提供される。
また、 本発明によれば、 少な く と も重合性単量体とカーボンブラ ッ ク とを含有する重合性単量体組成物を懸濁重合する静電荷像現像 用 ト ナーの製造方法において、 力 一ボ ンブラ ッ ク と して、
(1) 一次粒径が 2 8〜 6 0 n mの範囲内、
(2) D B P吸油量が 4 0〜 7 5 m 1 / 1 0 0 gの範囲内、 かつ、
(3) p Hが 6. 0〜 1 0. 0の範囲内
の ものを使用する こ とを特徴とする静電荷像現像用 ト ナーの製造方 法が提供される。
<発明を実施するための最良の形態 >
以下に、 本発明を詳述する。
1 . 静電荷像現像用 トナ―
本発明の静電荷像現像用 ト ナーは、 結着樹脂とカーボ ンブラ ッ ク とを含有する着色粒子であって、 着色剤と して特定のカーボンブラ ッ クを用いる こ と以外は、 通常の トナーの製造方法に従って製造さ れる。
ト ナー製造方法の代表的な もの と しては、 ( 1 ) 合成樹脂 (結着 樹脂) と着色剤を所望によ り使用される添加剤 (例えば、 帯電制御
剤) と共に溶融混練し、 次いで、 粉砕した後、 分級し、 着色粒子を 得る方法 (粉砕法) 、 及び ( 2 ) 着色剤と重合性単量体とを含み、 必要に応じて帯電制御剤などの各種添加剤を均一に溶解ない しは分 散せしめた重合性単量体組成物を調製し、 次いで、 分散安定剤を含 有する水系分散媒体中に攪拌機を用いて分散し、 重合性単量体組成 物の微細な液滴 (油滴) を形成させ、 しかる後、 懸濁重合して、 生 成する重合体 (結着樹脂) 中に着色剤が分散した着色重合体粒子を 得る方法 (重合法) がある。 本発明の トナーは、 前記の特性値を有 する 力一 ボ ンブラ ッ ク を用いる こ と以外は、 こ れ らの常法に従っ て 製造する こ とができ る。
(力 一ボ ンブラ ッ ク)
本発明では、 着色剤と してカーボンブラ ッ クを使用する。 本発明 で用い られる カ ーボ ンブラ ッ ク は、
(1) 一次粒径が 2 8〜 6 0 n mの範囲内、
(2) D B P吸油量が 4 0〜 7 5 m l Z l 0 0 gの範囲内、 かつ、 (3) p Hが 6. 0〜 : 1 0. 0の範囲内
の特性値を有する ものである。 これ らの特性値は、 印字品質と安全 性とのバラ ンスの観点から、 相互に関連性を持つものである。 以下 に、 これ らの特性値について詳述する。
( 1 ) 一次粒径
本発明で用いられるカーボンブラックの一次粒径は、 2 8〜 6 0 n m の範囲内である。
力 一ボンブラ ッ クの一次粒径が上記範囲よ り小さすぎる と、 結着 樹脂または重合性単量体中での力一ボンブラ ッ クの分散が十分では な く 、 こ の よ う な力 一ボ ンブラ ッ ク を含む ト ナーを用いた現像剤で は、 かぶ り の多い画像しか得られない。 逆に、 力 一ボンブラ ッ ク の
一次粒径が大きすぎる と、 多環式芳香族炭化水素化合物類の含有量 が多 く な り、 安全上の問題を解決する こ とができない。 このよ う な 理由から、 本発明で用いられる力一ボンブラ ッ クの一次粒径は、 選 択された小さな大き さである 2 8〜 6 0 n mの範囲内である こ とが 必要である。 この一次粒径は、 好ま し く は 3 0〜 6 0 n m、 最も好 ま し く は 3 2〜 5 8 n mの範囲内である。
本発明において、 カーボンブラ ッ クの一次粒径は、 電子顕微鏡写 真によつて観察されたカーボンブラ ッ ク 1 0 0個の粒径の平均値と して算出された値 (平均一次粒径) である。
( 2 ) D B P吸油量
本発明で用いられるカーボンブラ ッ クの D B P吸油量は、 4 0〜 7 5 m 1 / 1 0 0 gの範囲内である。
カーボンブラ ッ クの一次粒径が前記範囲内にあって、 D B P吸油 量が多すぎる と、 結着樹脂または重合性単量体中でカーボンブラ ッ クが凝集しやすく 、 分散が不十分とな り、 このよう なカーボンブラ ッ クを含む トナーを用いた現像剤では、 かぶり のある画像しか得ら れない。 このよ うな理由から、 本発明で用いられる力一ボンブラ ッ クの D B P吸油量は、 4 0〜 7 5 m 1 / 1 0 0 gの範囲内にある こ とが必要である。 この D B P吸油量は、 印字品質をさ らに高める上 で、 好ま し く は 4 0〜 6 9 m l Z l 0 0 g、 最も好ま し く は 4 5〜 6 8 m 1 / 1 0 0 gの範囲内である。
D B P吸油量とは、 アブソープ ト メ 一夕一を使用 し、 カーボンブ ラ ッ クに D B P (ジブチルフタ レー ト) を添加した時の最大 トルク の 7 0 %から求めた 1 0 0 g当たりの D B P吸油量と して測定され た値である。
( 3 ) p H
本発明で使用するカーボンブラ ッ クの P Hは、 6 . 0 〜 1 0 . 0 の範囲内である。
力一ボンブラ ッ クの一次粒径が前記範囲内にあって、 その p Hが 小さすぎる と、 カーボ ンブラ ッ クを含有する重合単量体液滴の分散 が不安定にな り、 粒径分布の狭い重合法 トナー (着色重合体粒子) が得られず、 このよ う な トナーを用いた現像剤では、 シ ャープな画 像が得られない。 カーボンブラ ッ クの p Hが高すぎる と、 同様に、 重合単量体液滴の分散が不安定になり、 粒径分布の狭い重合法 卜ナー が得られず、 その結果、 シ ャープな画像が得られないとい う問題が 生じる。
力一ボンブラ ッ ク の p H とは、 カーボンブラ ッ ク と蒸留水の混合 液について、 ガラス電極メ 一ターで測定した値である。
カーボンブラ ッ クの p Hは、 力一ボンブラ ッ クを酸やアル力 リ に 浸漬処理するなどの方法によ り、 所望の範囲内に調整する こ と も可 能である。 カーボンブラ ッ クの P Hは、 好ま し く は 6 . 1 〜 9 . 8 である。
これらの特性値(1 )〜(3) を有するカーボンブラ ッ クを着色剤と し て使用する と、 画像特性に優れ、 かつ、 安全性の高い現像剤が得ら れる。
( 4 ) 多環式芳香族炭化水素化合物類
本発明で使用する力一ボンブラ ッ クは、 よ り高度の安全性を有す る静電荷像現像用 トナーを得るには、 多環式芳香族炭化水素化合物 類の合計含有量が好ましくは 1 5 p p m以下、 特に好ましくは 1 0 p p m 以下である こ とが望ま しい。
こ こ で、 多璟式芳香族炭化水素化合物類 (Polycycl ic Aromat i c
Hydrocarbons; 以下、 「P AH」 という こ とがある) とは、 一般にカー ボンブラ ッ ク中に含有され、 発ガン性が問題とされている以下の 1 6 種類の化合物をいう 。 即ち、 ナフ タ レ ン、 ァセナ フチ レ ン、 ァセナ フ テ ン、 フ ノレオ レ ン、 フ エ ナ ン ト レ ン、 ア ン ト ラセ ン、 フノレオラ ン テ ン、 ピレ ン、 ベンゾ ( a ) ア ン ト ラセ ン、 ク リ セ ン、 ベンゾ ( b ) フルオ ラ ンテ ン、 ベ ンゾ ( k, j ) フノレオラ ンテ ン、 ベ ンゾ ( a ) ピ レ ン、 ジベンゾ ( a, h ) ア ン ト ラセ ン、 イ ンデノ ( 1, 2 , 3 一 c d ) ピ レ ン、 及びべンゾ ( g, h , 1 ) ペ リ レ ンである。
カ ーボンブラ ッ ク 中の多環式芳香族炭化水素化合物類 ( P A H) の合計含有量は、 力一ボンブラ ッ ク約 1 0 gを精秤 〔 (WQ) g) し、 全ガラス製のソ ッ ク ス レ一抽出装置で、 4 8時間 トルエ ン溶液で抽 出 した値である。 よ り具体的には、 抽出によ り得られた抽出液を濃 縮後、 液体ク ロマ ト グラ フ ィ ーで分析する こ と によ り 、 1 6種類の 多環式芳香族炭化水素化合物のそれぞれについて含有量を測定し、 そ して、 それ らの値を合計する こ とによ り 、 P A Hの合計含有量を 得る こ とができる。 例えば、 液体ク ロマ ト グラ フ ィ ーによ り、 ある 化合物の測定値を (Wu) gとすると、 その化合物の含有量 i は、 式
( i ) = (Wu) Z (W。) x 1 06 (単位 : p p m) によ り算出するこ とができ る。 これを 1 6種類の化合物について算 出 し、 それらの値を合計する こ とによ り、 力一ボンブラ ッ ク中の多 環式芳香族炭化水素化合物類の合計の含有量 ( P P m) を算出する こ とができ る。
前述したよう に、 これらの P A Hは、 発ガン性がある。 発ガン性 の危険を避けるためには、 使用する力一ボンブラ ッ ク中の P A Hの 合計含有量は、 好ま し く は 1 5 p p m、 特に好ま し く は 1 O p p m 以下であるのが望ま しい。
p A Hの含有量は、 力一ボンブラ ッ クの一次粒径と一定の相関関 係を有している。 カーボンブラ ッ ク の一次粒径が小さいと、 表面積 が大き くなるため、 力一ボンブラ ック精製工程などの加熱により P A H が揮発しやすく なる。 また、 力一ボンブラ ッ ク の一次粒径が小さい と、 カーボンブラ ッ ク粒子内部に保持される P A H量も少な く なる。 ただし、 力一ボンブラ ックの一次粒径が小さい場合であっても、 P A H の含有量が大きいこ とがあり、 その場合には、 P A Hを加熱除去す るなどして、 その含有量をさ らに低減させる こ とが好ま しい。
カーボンブラ ッ クは、 結着樹脂または重合性単量体 1 0 0重量部 に対して、 通常 0 . 1 〜 2 0重量部、 好ま し く は 0 . 5 〜 1 5重量 部、 よ り好ま し く は 1 〜 1 0重量部の割合で用いられる。 トナーの 調色などを目的と して、 カーボンブラ ッ ク と共に、 顔料や染料など のその他の着色剤を併用 してもよい。
2 . 静電荷像現像用 トナーの製造方法
前記したとおり、 本発明の静電荷像現像用 トナーは、 粉砕法及び 重合法のいずれの方法によっても製造する こ とができる。 粉砕法の 場合には、 着色剤と して、 単に、 前記の如き特性値を有する特定の 力一ボンブラ ッ クを使用すればよい。
本発明の静電荷像現像用 トナーは、 重合法によ り製造する場合、 着色剤と して特定の力一ボンブラ ッ クを使用する こ とによ り、 重合 性単量体組成物中での力—ボンブラ ッ クの分散性、 及び水系分散媒 体中での重合性単量体組成物液滴の分散性が特に改善され、 それに よって、 保存性、 帯電性、 画質の環境性、 画質の耐久性などの諸特 性に優れた重合法 トナーを得る こ とができる。 そこで、 以下、 重合 法を中心に本発明の静電荷像現像用 トナーの製造方法について、 使 用する各成分と共に詳述する。
(重合性単量体)
本発明で用いる重合性単量体と して、 モノ ビニル系単量体を挙げ る こ とができ る。 具体的には、 スチ レ ン、 ビニル ト ルエ ン、 α — メ チルスチ レ ン等のスチ レ ン系単量体 ; ァ ク リ ル酸、 メ タ ク リ ル酸 ; ァク リ ノレ酸メ チル、 ァ ク リ ノレ酸ェチル、 アク リ ル酸プロ ピル、 ァ ク リ ル酸ブチル、 ア ク リ ル酸 2 —ェチノレへキシノレ、 ァ ク リ ノレ酸ジメ チ ルア ミ ノ エチル、 メ タ ク リ ノレ酸メ チノレ、 メ タ ク リ ノレ酸ェチノレ、 メ タ ク リ ル酸プロ ピル、 メ タ ク リ ル酸ブチル、 メ タ ク リ ル酸 2 —ェチル へキシル、 メ タ ク リ ル酸ジメ チルア ミ ノ エチル、 アク リ ロニ ト リ ル、 メ タ ク リ ロニ ト リ ル、 ァ ク リ ノレア ミ ド、 メ 夕 ク リ ルア ミ ド等のァ ク リ ル酸ま たはメ タ ク リ ル酸の誘導体 ; エチ レ ン、 プロ ピ レ ン、 プチ レ ン等のエチ レ ン性不飽和モ ノ ォ レ フ ィ ン ; 塩化ビニル、 塩化ビニ リ デン、 フ ツイ匕ビニル等のハ ロ ゲ ンィ匕 ビニル ; 酢酸ビニル、 プロ ピ オ ン酸ビニル等の ビニルエステル ; ビニルメ チルエーテル、 ビニル ェチルエーテル等の ビニルエーテル ; ビニルメ チルケ ト ン、 メ チル イ ソプロぺニルケ ト ン等の ビニルケ ト ン ; 2 — ビニルピ リ ジ ン、 4 一 ビ二ルビ リ ジン、 Ν — ビニルピロ リ ドン等の含窒素ビ二ル化合物 ; 等が挙げられる。 こ れ らのモ ノ ビニル系単量体は、 それぞれ単独で 用いてもよい し、 複数の単量体を組み合わせて用いてもよい。 これ らのモノ ビニル系単量体のう ち、 スチ レ ン系単量体、 及びァク リ ル 酸またはメ タ ク リ ル酸の誘導体が好適に用いられる。
本発明では、 上述のモ ノ ビニル系単量体と共に架橋性単量体を併 用する と、 保存性ゃホ ッ トオ フセ ッ ト性が改善された重合法 ト ナー を得る こ とができ る。 架橋性単量体と しては、 2つ以上の重合可能 な炭素一炭素不飽和二重結合を有する単量体を使用する こ とができ る。 具体的には、 ジ ビニルベ ンゼン、 ジ ビニルナフ タ レ ン、 及びこ
れらの誘導体等の芳香族ジビ二ル化合物 ; エチ レ ンダリ コールジメ タ ク リ レー ト、 ジエチレ ングリ コールジメ タ ク リ レー ト等のジェチ レ ン性不飽和カルボ ン酸エステル ; N, N — ジ ビニルァニ リ ン、 ジ ビニルエーテル等のジ ビニル化合物 ; 3個以上のビニル基を有する 化合物 ; 等を挙げる こ とができる。 これらの架橋性単量体は、 それ ぞれ単独で、 ある いは 2種以上を組み合わせて使用する こ とができ る。
架橋性単量体を使用する場合、 その使用割合は、 モノ ビニル系単 量体 1 0 0重量部に対して、 通常 0 . 0 1 〜 5重量部、 好ま し く は 0 . 1 〜 2重量部である。
本発明では、 上述のモノ ビニル系単量体と共に、 マク ロモノ マー を併用する と、 保存性と低温定着性とのバラ ンスが良好な重合法 卜 ナ一を得る こ とができる。 マク ロモノ マ一 (マク ロマ一と もいう) は、 分子鎖末端に重合可能な官能基 (例えば、 炭素 -炭素二重結合 のよう な不飽和基) を有する比較的長い線状分子である。 マク ロモ ノ マーと しては、 分子鎖の末端に ビニル重合性官能基を有し、 数平 均分子量が、 通常、 1 , 0 0 0〜 3 0, 0 0 0 のオ リ ゴマーまたは ポ リ マーが好ま しい。 数平均分子量が小さすぎるマク ロモ ノ マーを 用いると、 重合体粒子の表面部分が柔らか く な り、 保存性が低下す るよう になる。 逆に、 数平均分子量が大きすぎるマク ロモノ マーを 用いると、 マク ロモ ノ マー成分の溶融性が悪く な り、 定着性が低下 するよう になる。
マク ロモノ マーの分子鎖末端のビニル重合性官能基と しては、 ァ ク リ ロイル基、 メ タ ク リ ロイ ル基などを挙げる こ とができ、 共重合 のしやすさの観点からメ タ ク リ ロイル基が好適である。
マク ロモノ マーは、 前記モノ ビニル系単量体を重合して得られる
重合体のガラス転移温度 ( T g ) よ り も高いガラ ス転移温度を有す る ものが好適である。 ただし、 モノ ビニル系単量体を重合して得ら れる重合体とマク 口 モノ マ一 との間の T g の高低は、 相対的なもの であ る。 例えば、 モ ノ ビニル系単量体が T g = 7 0 °Cの重合体を形 成する ものである場合には、 マク ロモノ マーは、 T gが 7 0 °Cを越 える ものであればよい。 モノ ビニル系単量体が T g = 2 0 °Cの重合 体を形成するものである場合には、 マク ロモノ マ一は、 例えば、 T g = 6 0 °Cのものであってもよい。 なお、 T gは、 通常の示差走査熱 量計 (D S C ) 等の測定機器で測定される値である。
本発明に用いるマク ロモノ マーの具体例と しては、 スチ レ ン、 ス チ レ ン誘導体、 メ タ ク リ ル酸エステル、 ア ク リ ル酸エステル、 ァ ク リ ロニ ト リ ル、 メ タ ク リ ロニ ト リ ル等を単独でまたは 2種以上を重 合して得られる重合体 ; ポリ シロキサン骨格を有するマクロモノマ一 ; 特開平 3 — 2 0 3 7 4 6号公報の第 4頁〜第 7頁に開示されている ものなどを挙げるこ とができる。 これらマク ロモノマーのなかでも、 親水性のもの、 特にメ タク リ ル酸エステルまたはァク リ ル酸エステ ルを単独で、 あるいは、 これらを組み合わせて重合して得られる重 合体が好適である。
マク ロモ ノ マーを使用する場合、 その使用割合は、 モ ノ ビニル系 単量体 1 0 0重量部に対して、 通常 0 . 0 1 〜 1 0重量部、 好ま し く は 0 . 0 3 〜 5重量部、 よ り好ま し く は 0 . 0 5 〜 1 重量部であ る。 マク ロモ ノ マーの使用量が少なすぎる と、 保存性と定着性との バラ ンスを向上させる効果が小さ く 、 多すぎる と、 定着性が低下す る o
(帯電制御剤)
本発明の静電荷像現像用 トナーは、 非磁性一成分現像剤である こ
とが好ま しい。 その場合、 ト ナーの帯電特性を改善するために、 通 常、 帯電制御剤が使用される。
本発明では、 一般的に用いられる正帯電性または負帯電性の帯電 制御剤を用いる こ とができ る。 帯電制御剤と して、 例えば、 力ルボ キシル基または含窒素基を有する有機化合物の金属錯体、 含金属染 料、 ニグ口 シ ン等が挙げられる。 よ り具体的には、 ス ピロ ンブラ ッ ク T R H (保土ケ谷化学社製) 、 T— 7 7 (保土ケ谷化学社製) 、 ボン ト ロ ン S — 3 4 (オ リ エ ン ト化学社製) 、 ボン ト ロ ン E — 8 4 (オ リ エ ン ト化学社製) 、 ボ ン ト ロ ン N— 0 1 (オ リ エ ン ト化学社 製) 、 コ ピーブル一一 P R (へキス ト社製) 等の帯電制御剤を用い る こ とができ る。
また、 帯電制御剤と して、 4級ア ンモニゥ ム塩含有樹脂、 スルホ ン酸基含有樹脂などの帯電制御樹脂を好ま し く 使用する こ とができ る、 これらの中でも、 スチ レ ンなどの重合性単量体に可溶性の帯電 制御樹脂が特に好ま しい。
前記した 4級アンモニゥム塩含有樹脂は、 例えば、 以下の方法に よ り得る こ とができ る。
( 1 ) ビニル芳香族炭化水素単量体、 (メ タ) ァ ク リ レー ト単量 体、 及び N, N —二置換ァ ミ ノ のアルキル (メ タ) アタ リ レー ト 〔以 下、 ア ミ ノ基含有 (メ タ) アタ リ レー ト単量体という 〕 を重合開始 剤の存在下で共重合させた後、 4級化剤を用いてア ミ ノ 基を 4級化 する方法。
( 2 ) ビニル芳香族炭化水素単量体、 (メ タ) ァ ク リ レー ト単量 体、 及びァ ミ ノ基含有 (メ タ) ァク リ レー ト単量体をハロゲ ン化有 機化合物で 4級ア ンモニゥ ム塩基化したハ ロゲ ン化 4級ア ンモニゥ ム塩基含有 (メ タ) ァ ク リ レー ト単量体を重合開始剤の存在下で共
重合させた後、 有機酸と反応させて塩とする方法 (例えば、 特開平 3 - 1 7 5 4 5 6号公報) 。
( 3 ) ビニル芳香族炭化水素単量体、 (メ タ) ァク リ レー ト単量 体、 及び 4級アンモニゥ ム塩基含有 (メ タ) ァク リ レー ト単量体を 重合開始剤の存在下で共重合させる方法。
( 4 ) ビニル芳香族炭化水素単量体とハロゲン化アルキル (メ タ) ァク リ レ— 卜単量体との共重合体と、 ビニル芳香族炭化水素単量体 とァ ミ ノ基含有 (メ タ) アタ リ レー ト単量体との共重合体とを混合 し、 ポ リ 間で 4級化する方法。
これ らの中でも、 ( 3 ) の方法によ り 、 ビニル芳香族炭化水素単 量体、 (メ タ) ァ ク リ レー ト単量体、 及びメ タ ク リ ル酸ジメ チルァ ミ ノ ェチルベンジルク ロライ ド塩 (D M L ) を共重合して得られる 4級ア ンモニゥム塩含有樹脂が好ま し く 用いられる。 D M Lの共重 合割合は、 全単量体基準で、 通常 0. 1 1 0重量%である。
4級ア ンモニゥム塩含有樹脂のテ ト ラ ヒ ドロ フ ラ ンを用いたゲル ' ー ミ エ— シ ヨ ン . ク ロマ ト グラ フ ィ ー ( G P C ) によ っ て測定さ れるポ リ スチ レ ン換算の重量平均分子量 (Mw) は、 通常 2 , 0 0 0 4 0 0 0 0であり、 ガラス転移温度 (T g) は、 通常 3 0 1 0 0 °Cである。
スルホ ン酸基含有樹脂と しては、 ビニル系単量体と S 02X (X = H、 アルカ リ金属) 基含有 (メ タ) ア ク リ ルア ミ ド単量体との共重 合体などが挙げられる。 ビニル系単量体と しては、 ビニル芳香族炭 化水素単量体、 (メ タ) アタ リ レー ト単量体などが挙げられる。 so2x 基含有 (メ タ) アク リ ルア ミ ド単量体は、 スルホン酸基またはスル ホン酸塩基含有 (メ タ) ァク リ レー ト単量体であ り、 例えば、 2 — ア ク リ ルア ミ ドー 2 — メ チルプ ンスルホ ン酸、 2 — ァ ク リ ノレア
ミ ド一 2 — フ エニノレプロノ、 °ンスルホ ン酸な どの酸、 ある いは、 これ らの酸のナ ト リ ウ ム塩、 カ リ ウ ム塩などの金属塩が挙げられる。 こ れらの各単量体は、 それぞれ単独で、 あるいは 2種以上を組み合わ せて使用する こ とができ る。
S O。X基含有 (メ タ) アク リ ルア ミ ド単量体の共重合割合は、 全 単量体基準で、 通常 0 . 1 〜 1 0重量%である。 重合方法と しては、 溶液重合、 バルク重合、 懸濁重合などが挙げられる。 スルホ ン酸基 含有樹脂のテ ト ラ ヒ ドロフラ ンを用いた G P Cによって測定される ポ リ スチ レ ン換算の重量平均分子量 (M w ) は、 通常 2 , 0 0 0 〜 2 5 , 0 0 0 である。
帯電制御剤は、 重合性単量体 1 0 0重量部に対して、 通常 0 . 0 1 〜 1 0重量部、 好ま し く は 0 . 0 3 〜 5重量部の割合で使用される。 (分散安定剤)
懸濁重合は、 通常、 分散安定剤を含有する水系分散媒体中で行わ れる。 分散安定剤と しては、 従来よ り使用されている各種の分散安 定剤を使用する こ とができるが、 それ らの中でも、 得られる重合法 トナーの特性の観点から、 無機分散剤が好ま しい。 無機分散剤と し ては、 難水溶性無機分散剤が好ま し く 、 難水溶性金属化合物のコ 口 ィ ドがよ り好ま しい。 難水溶性金属化合物のコロイ ドの中でも、 重 合法 トナーの粒径分布を狭く する こ とができ、 画像の鮮明性が向上 するため、 難水溶性金属水酸化物のコロイ ドが好ま しい。
難水溶性金属化合物と しては、 例えば、 硫酸バ リ ウム、 硫酸カル シゥムなどの硫酸塩 ; 炭酸バリ ウム、 炭酸カルシウ ム、 炭酸マグネ シゥ ムな どの炭酸塩 ; リ ン酸カルシ ウ ムな どの り ん酸塩 ; 酸化アル ミ ニゥム、 酸化チタ ンな どの金属酸化物 ; 水酸化アル ミ ニウム、 水 酸化マグネシゥ ム、 水酸化第二鉄などの金属水酸化物 ; などを挙げ
る こ とができ る。
これ らの中で も、 水酸化アル ミ ニウ ム、 水酸化マグネ シ ウ ム、 水 酸化第二鉄等の金属水酸化物は、 カチオ ン性分散剤であ り、 重合法 トナー表面に吸着され難く 、 その結果、 トナーの粒子形状が整い画 質に優れる上、 耐久性に優れるため好ま しい。 分散安定剤と して、 重合法 トナ—の粒径分布を狭く する こ とができ る点で、 難水溶性金 属化合物のコロイ ドが特に好ま し く用いられる。 難水溶性金属水酸 化物のコロイ ドは、 その製法による制限はないが、 水溶性多価金属 化合物のコ ロイ ド、 特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカ リ金 属との水相中での反応によ り生成する難水溶性金属水酸化物のコロ ィ ドが好ま しい。
本発明で用いられる難水溶性金属化合物のコ ロイ ドは、 個数粒径 分布 D 5 0 (個数粒径分布の 5 0 %累積値) が 0 . 5 ^ m以下で、 D 9 0 (個数粒径分布の 9 0 %累積値) が 1 a m以下である こ とが 好ま しい。 コロイ ド粒径が大き く な りすぎる と、 重合反応系の安定 性が崩れ、 また、 得られる トナ一の保存性が低下する。
分散安定剤 (特に無機分散剤) は、 重合性単量体 1 0 0重量部に 対して、 通常 0 . 0 1 〜 2 0重量部、 好ま し く は 0 . 1 〜 1 0重量 部の割合で用いられる。 この使用割合が少なすぎる と、 十分な重合 安定性を得る こ とが困難であ り、 重合凝集物が生成しやす く なる。 この使用割合が大きすぎる と、 水系分散媒体の粘度が上昇し、 得ら れる重合法 トナー粒径の分布が広く なるので、 好ま し く ない。
(添加剤)
本発明においては、 重合性単量体を重合するための重合開始剤、 分子量調整剤などの重合副資材、 離型剤、 滑剤、 分散助剤等の各種 添加剤を使用する こ とができ る。 これ らの各添加剤成分は、 通常、
重合性単量体組成物中に含有させて使用するが、 場合によ つては、 水系分散媒体中に添加してもよい。 例えば、 重合開始剤は、 最初か ら重合性単量体組成物中に含有させる と、 早期重合が生じやす く な るが、 重合性単量体組成物の液滴形成の過程で水系分散媒体中に添 加する と、 液滴中に移行し、 特性が均一な ト ナーを製造しやす く な る。
<重合開始剤 >
重合開始剤と しては、 過硫酸カ リ ウ ム、 過硫酸ア ンモニゥ ムなど の過硫酸塩 ; 4, 4 —ァゾビス ( 4 一 シァ ノ吉草酸) 、 2, 2 — ァ ゾビス ( 2 — ア ミ ジ ノ プロパン) 二塩酸塩、 2, 2 —ァゾビス一 2 ー メ チルー N— 1 , 1 — ビス ( ヒ ドロキシメ チル) 一 2 — ヒ ドロ キ シェチルプロ ピオア ミ ド、 2 , 2 ' ー ァゾビス ( 2, 4 ー ジメ チル ノくレ ロニ ト リ ル) 、 2, 2 ' — ァゾビスイ ソプチロニ ト リ ノレ、 1 , 1 ' ーァゾ ビス ( 1 ー シ ク ロへキサ ンカルボ二 ト リ ル) な どのァ ゾ ィ匕合物 ; メ チルェチルバ一ォキシ ド、 ジ— t —プチルパ一ォキシ ド、 ァセチルバ一ォキシ ド、 ジク ミ ルノ、0—ォキシ ド、 ラ ウ ロイ ノレノ、0—ォ キシ ド、 ベ ン ゾィ ルパ一ォキ シ ド、 t ー ブチルバ一ォキシ 一 2 —ェ チルへキサノ エ一 ト、 ジーイ ソプロ ピルパ一ォキシジ力一ボネ一 卜、 ジー t —ブチルバ一ォキシイ ソ フ タ レー 卜 な どの過酸化物類 ; な ど を例示する こ とができ る。 また、 これら重合開始剤と還元剤とを組 み合わせた レ ドッ ク ス開始剤を挙げる こ とができ る。
これ らの重合開始剤う ち、 油溶性ラ ジカル開始剤が好ま し く 、 特 に、 1 0時間半減期の温度が 6 0〜 8 0 °C、 好ま し く は 6 5〜 8 0 °Cで、 かつ、 分子量が 2 5 0以下の有機過酸化物から選択される油 溶性ラ ジカル開始剤、 特に t ーブチルバ一ォキシ — 2 —ェチルへキ サノエ一 トが、 印字時の臭気が少ないこ と、 臭気などの揮発成分に
よる環境破壊が少ない こ とから好適である。
重合開始剤の使用量は、 水系分散媒体基準で、 通常 0 . 0 0 1 〜 3重量%である。 重合開始剤の使用割合が小さすぎる と、 重合速度 が遅く な り、 大きすぎる と、 分子量が低く な り、 また、 経済的では ないので好ま し く ない。
<分子量調整剤 >
本発明では、 分子量調整剤を使用する こ とができる。 分子量調整 剤と しては、 例えば、 t ー ドデシルメ ルカ ブタ ン、 n — ドデシルメ ルカ プタ ン、 n —ォ ク チルメ ノレカ プタ ン等のメ ルカ プタ ン類 ; 四塩 化炭素、 四臭化炭素等のハ口ゲン化炭化水素類 ; などを挙げる こ と ができ る。 これ らの分子量調整剤は、 重合開始前、 あるいは重合途 中に添加する こ とができる。 分子量調整剤は、 重合性単量体 1 0 0 重量部に対して、 通常 0 . 0 1 〜 1 0重量部、 好ま し く は 0 . 1 〜 5重量部の割合で用いられる。
<離型剤 >
本発明では、 トナー中に離型剤を含有させる こ とができ る。 離型 剤と しては、 例えば、 ペ ンタ エ リ ス リ ト ールテ ト ラ ステアラ ー ト の ごとき多官能エステル化合物 ; 低分子量ポ リ ェチ レ ン、 低分子量ポ リ プロ ピ レ ン、 低分子量ポ リ プチ レ ンな どの低分子量ポ リ オレ フ ィ ン類 ; ノ、。ラ フ ィ ンワ ッ ク ス類 ; などを挙げる こ とができる。 これら の内、 多官能エステル化合物、 特にペンタエリ ス リ トールと炭素数 1 0〜 3 0 個のカルボン酸か らな るエステル化物、 具体的には、 ぺ ンタ エ リ ス リ ト ールテ ト ラ ステア ラ ー ト やペンタエ リ ス リ ト ールテ ト ラ ミ リ ステー トが好適である。 離型剤は、 重合性単量体 1 0 0重 量部に対して、 通常 0 . 1 〜 4 0重量部、 好ま し く は 1 〜 2 0重量 部の割合で使用される。 離型剤の使用割合が小さすぎる と、 低温定
着性の改善効果が小さ く 、 大きすぎる と、 トナーの耐ブロ ッ キング 性 (保存性) が低下する。
<滑剤 · 分散助剤 >
本発明では、 力一ボンブラ ッ クの均一分散な どを目的と して、 ォ レイ ン酸、 ステア リ ン酸、 各種ワ ッ ク ス類、 ポ リ エチ レ ン、 ポ リ プ ロ ピ レ ン等のォ レ フ ィ ン系の各種滑剤 ; シラ ン系またはチタ ン系力 ッ プリ ング剤等の分散助剤 ; などを使用 してもよい。 こ のよ う な滑 剤や分散剤は、 着色剤 (カーボンブラ ッ ク) の重量を基準と して、 通常、 1 Z 1 0 0 0〜 1 Z 1 程度の割合で使用される。
(懸濁重合)
本発明の 卜ナ―の製造方法では、 重合性単量体とカーボンブラ ッ ク と、 必要に応じて、 帯電制御剤、 架橋性単量体、 分子量調整剤、 その他の添加剤などを混合し、 ボール ミ ル等を用いて均一に分散さ せて、 重合性単量体組成物 (混合液) を調製する。 この混合液を、 分散安定剤を含有する水系分散媒体中に投入して懸濁させる。 こ の 懸濁液を攪拌して、 重合性単量体組成物の液滴を形成する。
重合性単量体組成物中に予め重合開始剤を添加していない場合に は、 重合性単量体組成物の一次液滴を形成してから、 水系分散媒体 中に重合開始剤を添加し、 高剪断力を有する混合装置を用いて、 一 次液滴をさ らに トナーの大き さの二次液滴になるまで小さ く分散さ せ、 同時に、 重合開始剤を液滴中に移行させる。 高剪断力を有する 混合装置と しては、 特に限定されないが、 例えば、 高速回転する回 転子と、 それを取り囲みかつ小孔または櫛歯を有する固定子との間 隙に液体を流通させる方式の混合装置を挙げる こ とができ る。
水系分散媒体中における重合性単量体組成物 (混合液) の分散状 態は、 重合性単量体組成物の液滴 (二次液滴) の体積平均粒径が、
通常 0 . :! 〜 2 0 〃 m、 好ま し く は、 0 . 5 〜 1 0 ^ mとなる状態 である。 こ の液滴が大きすぎる と、 生成する トナー粒子が大き く な りすぎて、 画像の解像度が低下するよ う になる。
当該液滴の体積平均粒径/数平均粒径は、 通常 1 〜 3、 好ま し く は 1 〜 2である。 該液滴の粒径分布が広すぎる と、 得られる トナー の定着温度にばらつきが生じ、 かぶり、 フ ィ ル ミ ングなどの不具合 が生じやす く なる。 該液滴は、 その体積平均粒径 ± l // mの範囲に 5 0体積%以上、 好ま し く は 6 0体積%以上が存在する粒径分布の ものである こ とが望ま しい。
本発明においては、 重合性単量体組成物の分散液を調製した後、 重合反応器に仕込み、 重合する こ とが好ま しい。 具体的には、 分散 液調製用の容器で重合性単量体組成物を水系分散媒体中に添加して 重合性単量体組成物分散液を調製し、 該分散液を別の容器 (重合反 応用容器) に移送し、 そ こで重合する こ とが好ま しい。 従来の懸濁 重合法のごと く 、 分散液を重合反応器で調製し、 そのまま重合反応 をさせる方法では、 反応器内にスケールが生起し、 粗大粒子が多量 に生成しやすく なる。
分散安定剤を含有する水系分散媒体中で重合性単量体組成物の微 小な液滴を造粒した後、 通常、 3 0 〜 2 0 0 °C、 好ま し く は 3 5 〜 1 2 0 °Cの温度に昇温し、 懸濁重合を行う。 重合反応は、 重合転化 率が通常 8 0 %以上、 好ま し く は 8 5 9 以上、 よ り好ま し く は 9 0 %以上となるまで行う。 重合転化率が低すぎる と、 未反応の重合性 単量体が残存し、 ト ナーを熱定着したと き に、 こ の残存単量体が揮 発して、 作業環境を悪化させる。
本発明の トナーは、 結着樹脂 (重合体) 中に各成分が均一に分散 した ト ナー と して得る こ とができ るが、 所望によ り 、 コ ア ' シ ェ ル
構造を付与してもよい。 重合法 トナーを製造する場合、 コア ' シ ヱ ル構造を形成するには、 例えば、 水系分散媒体中で、 重合性単量体 と着色剤 (カーボンブラ ッ ク) とを含有する重合性単量体組成物の 液滴の重合を行い、 次いで、 該重合性単量体から形成される重合体 の T g よ り も高 T g の重合体を形成する こ とができ る重合性単量体 を添加し、 さ らに重合を継続して、 シ ェ ル層を形成する方法が好適 である。 この方法によ り形成されたコア · シ ヱル構造の トナーは、 耐ブロ ッキング性 (保存性) と低温定着性とのバラ ンスに優れてい る。
本発明の製造方法によれば、 体積平均粒径が、 通常 0 . 5 〜 2 0 H m . 好ま し く は 1 〜 1 0 mの着色重合体粒子 (重合法 トナー) が得られる。 この重合法 トナーの体積平均粒径 ( d v ) /個数平均 粒径 ( d p ) は、 通常 1 . 7以下、 好ま し く は 1 . 5以下、 よ り好 ま し く は 1 . 4以下である。
3 . 現像剤
本発明の静電荷像現像用 トナーは、 そのままで非磁性一成分現像 剤と して使用する こ とができるが、 通常は、 流動化剤や研磨剤など の外添剤と組み合わせて現像剤とされる。 こ のよ う な外添剤は、 ト ナ一の表面に付着して、 ト ナーの流動性を高めたり、 あるいは、 研 磨作用によ り 、 感光体上な どへの ト ナーのフ ィ ル ミ ン グの形成を防 止する作用を担う。 本発明の トナーは、 所望によ り、 キ ャ リ ア と組 み合わせて、 二成分現像剤と して使用する こ と も可能である。
(外添剤)
本発明の現像剤の製造に用いられる外添剤と しては、 無機粒子や 有機樹脂粒子が挙げられる。 無機粒子と しては、 例えば、 二酸化ケ ィ素、 酸化アル ミ ニウ ム、 酸化チタ ン、 酸化亜鉛、 酸化錫、 チタ ン
酸バ リ ウ ム、 チタ ン酸ス ト ロ ンチウ ムなどが挙げられる。 有機樹脂 粒子と しては、 メ タ ク リ ル酸エステル重合体粒子、 アク リ ル酸エス テル重合体粒子、 スチ レ ンー メ タ ク リ ル酸エステル共重合体粒子、 スチ レ ンー ァ ク リ ル酸エステル共重合体粒子、 コ アがメ タ ク リ ル酸 エステル共重合体でシ ヱルがスチ レ ン重合体で形成されたコアシ ヱ ル型粒子などが挙げられる。
これ らのう ち、 無機酸化物粒子、 特に二酸化ケイ素粒子が好適で ある。 また、 これ らの粒子表面を疎水化処理する こ とができ る。 疎 水化処理された二酸化ケイ素粒子が特に好適である。 外添剤の添加 量は、 特に限定されないが、 トナー 1 0 0重量部に対して、 通常、
0. :! 〜 6重量部である。
外添剤は 2種以上を組み合わせて用いてもよい。 外添剤を組み合 わせて用いる場合には、 平均粒径の異なる 2種の無機酸化物粒子ま たは有機樹脂粒子を組み合わせる方法が好適である。 よ り具体的に は、 平均粒径 5 〜 2 0 n m、 好ま し く は 7 〜 1 8 n mの粒子 (好適 には無機酸化物粒子) と、 平均粒径 2 0 n m超過 2 ^ m以下、 好ま し く は S O n m l mの粒子 (好適には無機酸化物粒子) とを組 み合わせて、 トナーに付着させる こ とが好適である。 外添剤粒子の 平均粒径は、 透過型電子顕微鏡で該粒子を観察し、 無作為に 1 0 0 個選んで、 それらの粒子径を測定した値の平均値である。
前記 2種の外添剤粒子の量は、 トナー 1 0 0重量部に対して、 平 均粒径 5〜 2 O n mの粒子が、 通常 0. 1 〜 3重量部、 好ま し く は 0. 2〜 2重量部、 平均粒径 2 0 n m超過 2 // m以下の粒子が、 通 常 0. 1 〜 3重量部、 好ま し く は 0. 2〜 2重量部である。 平均粒 径 5 〜 2 O n m粒子と平均粒径 2 0 n m超過 2 // m以下粒子との重 量比は、 通常、 1 : 5〜 5 : 1 、 好ま し く は 1 0 : 3 〜 3 : 1 0 の
範囲である。
外添剤の トナーへの付着は、 通常、 外添剤と トナーとをへンシ ヱ ル ミ キサ一などの混合機に入れて、 攪拌する こ とによ り行う。
4 . 画像形成装置
本発明の現像剤が適用される画像形成装置は、 通常、 非磁性一成 分現像方式の電子写真複写機ゃプリ ンタ—などの画像形成装置であ る。
こ のよ う な画像形成装置は、 一般に、 感光体 (感光体 ドラ ム) 、 感光体の表面を帯電する手段、 感光体の表面に静電潜像を形成する 手段、 現像剤を収容する手段、 現像剤を供給して感光体表面の静電 潜像を現像し現像剤像を形成する手段、 現像剤像を感光体表面から 転写材上に転写する手段、 及び定着手段などを有する ものであり、 必要に応じて、 感光体上に残存する現像剤を除去するためのク リ ー ニング手段などをも備えている。
<実施例〉
以下に、 実施例及び比較例を挙げて、 本発明をさ らに具体的に説 明するが、 本発明は、 これらの実施例のみに限定される ものではな い。 なお、 部及び%は、 特に断りのない限り重量基準である。
各種特性の評価方法は、 以下のとお りである。
(力一ボンブラ ッ ク特性)
( 1 ) 一次粒径 ( n m )
電子顕微鏡写真によつて観察された力一ボンブラ ッ ク 1 0 0個の 粒径の平均値と して算出された値である。
( 2 ) D B P吸油量 (m l / 1 0 0 g )
アブソープ ト メ 一ターを使用 し、 力一ボンブラ ッ ク に D B Pを添
力 [] した時の最大 トルクの 7 0 %から求めた 1 0 0 g当た り の D B P 吸油量である。
( 3 ) p H
カーボンブラ ッ ク と蒸留水との混合液について、 ガラス電極メ一 ターで測定した p H値である。
( 4 ) P A H含有量 ( p p m)
カーボンブラ ッ ク約 1 0 gを精秤 [: (WQ) g ] し、 全ガラス製の ソ ッ ク ス レ一抽出装置で、 4 8時間 ト ルエ ン溶液で抽出した。 抽出 液を濃縮後、 液体ク ロマ ト グラ フ ィ ーで分析し、 i 番目の P A H化 合物の測定値 (Wu) gを用いて、 以下の 2つの式
( i ) = (WH) / (W0) x 1 06 (単位 : p p m)
P A H量 =∑ ( i ) ( i = l〜 1 6 ) によって算出 した値である。
分析条件
カ ラ ム : V y d a c O D S、
流動相 : 水/ァセ ト ニ ト リ ル、 ァセ ト ニ ト リ ルの濃度勾配 = 6 0 + ( t / 5. 8 5 ) 3 (式中、 t = 0 — 2 0 ) で 2 0分間、 その後、 ァ セ トニ ト リ ル濃度 = 1 0 0 %で 2分間
液温 : 3 5 °C、
流速 : 2 m l /m i n、
検出器 : 紫外ノ蛍光検出器。
(流動性)
篩 3種 (目開き : 1 5 0、 7 5、 4 5 ^ m) をこ の順に上から重 ね、 一番上の篩上に測定する現像剤を 4 g精秤して載せる。 こ の 3 種の篩を、 粉体測定機 (細川ミ ク口ン社製 ;商品名 「R E◦ S T A T」 ) を用いて、 振動強度 4の条件で、 1 5秒間振動した後、 篩を通過し
た現像剤の重量を測定し、 以下の各式に入れて、 a b c の各数値を 算出 した。 次いで、 この各数値を用いて、 下記式から流動性 (%) を算出 した。 1 サンプルにっき 3回測定し、 その平均値を流動性の 指標と した。
算出式 :
a = 〔 1 5 0 ^ m篩に残った現像剤重量 ( g ) / 4 g〕 x 1 0 0 b = 〔 7 5 ^ 111篩に残つた現像剤重量 ( g ) / 4 g〕 x 1 0 0 x 0 - 6
c = 〔 4 5 〃 m篩に残った現像剤重量 ( g ) / 4 g〕 x 1 0 0 x 0. 2
流動性 (%) = 1 0 0 - ( a + b + c )
(保存性)
現像剤を密閉した容器に入れて、 密閉した後、 5 5 °Cの温度に保 持した恒温水槽の中に沈めた。 一定時間経過した後、 容器から静か に現像剤を取り 出 し、 4 2 メ ッ シュの篩の上にでき るだけ構造を破 壊しな いよ う に移 し、 粉体測定機 (細川 ミ ク ロ ン社製 ; 商品名 「R E O S T A T」 ) を用いて、 振動強度 4. 5 の条件で、 3 0秒 間振動した。 篩上に残った現像剤の重量を測定し、 凝集現像剤の重 量と した。 全現像剤に対する凝集現像剤の重量の割合 (重量%) を 算出 した。 1 サ ンプルにっき 3回測定し、 その平均値を保存性の指 標と した。
(電気抵抗)
現像剤の電気抵抗 (体積固有抵抗) は、 誘電体測定器 (安藤電気 社製、 商品名 「 T R S - 1 0型」 ) を用いて、 温度 3 0 °C、 周波数 1 k H z の条件で測定した。
(画質の環境依存性)
非磁性一成分現像方式のプ リ ン タ — ( 4枚機) に現像剤を入れ、 温度 3 5 °C X相対湿度 (R H) 8 0 % ( H / H ) 環境下、 及び 1 0 °C X 2 0 R Η % ( L / L ) 環境下で、 それぞれ初期から連続印字を 行い、 印字濃度が反射濃度計 (マ ク ベス社製) で 1. 3以上、 非画 像部のかぶりが白色度計 (日本電色社製) で 1 0 %以下の画質を維 持できる連続印字枚数を調べ、 以下の基準で画質の環境性を評価し た。
〇 : 上記画質を維持でき る連続印字枚数が 1 0 0 0枚以上、 △ : 上記画質を維持でき る連続印字枚数が 1 0 0 0枚未満、 5 0 0 枚以上、
: 上記画質を維持でき る連続印字枚数が 5 0 0枚未満。
(画質の耐久性)
前述のプリ ンタ—に現像剤を入れ、 2 3 °C x 5 0 R H %室温環境 下で初期から連続印字を行い、 印字濃度が反射濃度計 (マクベス社 製) で 1. 3以上、 非画像部のかぶりが白色度計 (日本電色社製) で 1 0 %以下の画質を維持でき る連続印字枚数を調べ、 以下の基準 で画質の耐久性を評価した。
〇 : 上記画質を維持でき る連続印字枚数が 1 0 0 0 0枚以上、 Δ : 上記画質を維持できる連続印字枚数が 1 0 0 0 0枚未満、 5 0 0 0 枚以上、
X : 上記画質を維持でき る連続印字枚数 5 0 0 0枚未満。
[実施例 1 ]
( 1 ) スチ レ ン · 離型剤分散液の調製
スチ レ ン 9 0部及び離型剤 (シ ヱ ル · M D S社製 ; 商品名 「 F T 一 1 0 0」 ) 1 0部を、 メ ディ ャ型湿式粉砕機に投入して、 湿式粉 砕を行い、 離型剤が均一に分散しス チ レ ン · 離型剤分散液を調製し
た。 こ の分散液中の離型剤の体積平均粒径は、 D 5 0が 3. 2 / m で、 D 9 0 が 7. であ っ た。 また、 こ の分散液の固形分濃度 は、 1 0. 1 %であった。 体積平均粒径は、 スチ レ ンに試料を加え て、 超音波をかけて分散液と し、 次いで、 スチ レンを満た した測定 セルに分散液を滴下し、 S A L D - 2 0 0 0 J (島津製作所製) で 測定した。
( 2 ) 重合性単量体組成物 (混合液) の調製
次いで、 上記 ( 1 ) で得られたスチ レ ン · 離型剤分散液 2 0部、 スチ レ ン 6 5部、 n — プチルァ ク リ レー 卜 1 7部、 カ ーボ ンブラ ッ ク (表 1 に記載のカーボンブラ ッ ク A) 7部、 帯電制御剤 (保土谷 化学社製 : ス ピロ ンブラ ッ ク T R H ) 1 . 0部、 及びジビニルペ ン ゼン 0. 3部を通常の攪拌装置で攪拌 · 混合した後、 メ ディ ャ型分 散機によ り、 均一分散し、 重合性単量体組成物 (混合液) を得た。
( 3 ) 難水溶性金属水酸化物のコロイ ド溶液の調製
イ オ ン交換水 2 5 0部に塩化マ グネ シ ウ ム (水溶性多価金属塩) 1 0. 2部を溶解した水溶液に、 ィォン交換水 5 0部に水酸化ナ 卜 リ ウ ム (水酸化アルカ リ金属) 6. 2部を溶解した水溶液を攪拌下 で徐々 に添加して、 水酸化マグネ シ ウ ムコ ロイ ド (難水溶性金属水 酸化物のコ ロイ ド) 分散液を調製した。
生成した上記コロイ ドの粒径分布をマイ ク ロ ト ラ ッ ク粒径分布測 定器 (日機装社製) で測定したと こ ろ、 粒径は、 D 5 0 (個数粒径 分布の 5 0 %累積値) が 0. 3 7 z mで、 D 9 0 (個数粒径分布の 9 0 %累積値) が 0. 8 1 〃 mであ っ た。 こ のマイ ク ロ ト ラ ッ ク粒 径分布測定器による測定は、 測定レ ン ジ = 0. 1 2〜 7 0 4 m、 測定時間 = 3 0秒間、 媒体 =イ オ ン交換水の条件で行った。
( 4 ) 懸濁重合
上記 ( 3 ) によ り得られた水酸化マグネ シ ウ ムコ ロイ ドの分散液 に、 上記 ( 2 ) によ り得られた重合性単量体組成物を投入し、 液滴 (一次液滴) が安定するまで攪拌し、 次いで、 重合開始剤と して t ーブチルバ一ォキシ一 2 — ェチルへキサノ エ一 ト 7部を添加した。 その後、 T K式ホモ ミ キサーを用いて 1 2 , O O O r p mの回転数 で高剪断攪拌して、 重合性単量体組成物の微細な液滴 (二次液滴) を造粒した。 この造粒した重合性単量体組成物の水分散液を、 攪拌 翼を装着した反応器に入れ、 9 0 °Cで重合反応を開始させ、 8時間 継続した後、 反応を停止し、 p H 9. 5の着色重合体粒子の水分散 液を得た。
上記によ り得られた着色重合体粒子の水分散液を攪拌しながら、 硫酸によ り系の P Hを約 5. 5 に して酸洗浄 ( 2 5 °C、 1 0分間) を行った。 次いで、 濾過、 脱水し、 脱水後、 洗浄水を振りかけて水 洗浄を行った。 その後、 乾燥器 ( 4 5 °C) にて 2昼夜乾燥を行い、 乾燥した着色重合体粒子 (重合法 トナー) を得た。
( 5 ) 現像剤の調製
上記によ り得られた着色重合体粒子 1 0 0部に、 疎水化処理した 平均粒子径 1 4 n mの シ リ カ (デグサ社製 ; 商品名 「 R 2 0 2」 ) 0. 8部を添加し、 ヘンシヱル ミ キサーを用いて混合して非磁性一 成分現像剤を製造した。 こ のよ う に して得られた現像剤の体積平均 粒径 ( d V ) は、 7. 1 mであ っ た。
画像評価では、 高温高湿 (H/H) 下及び低温低湿 ( L / L ) 下 のいずれにおいても、 色調が良好で、 画像濃度が高く 、 かぶりの無 い、 極めて良好な画像が得られた。 評価結果を表 1 に示した。
[実施例 2 ]
実施例 1 のカ ーボンブラ ッ ク Aを、 表 1 に示すカ ーボンブラ ッ ク
Bに代えた他は実施例 1 と同様に実施した。 結果を表 1 に示す。 [比較例 1 ]
実施例 1 においてのカ ーボ ンブラ ッ ク Aを、 表 1 に示す力 一ボ ン ブラ ッ ク 1 に代えた他は実施例 1 と同様に実施した。 結果を表 1 に 示す。
[比較例 2 ]
実施例 1 のカ ーボ ンブラ ッ ク Aを、 表 1 に示す力 一ボ ンブラ ッ ク 2 に代えた他は実施例 1 と同様に実施した。 結果を表 1 に示す。 表 1
実施例 比較例
1丄 9 1丄 9
/7 rf、1、、 zノプノ、ノ 、ッ ノ々 A B 1 2 一次粒径 (nm) 34 56 25 75
DBP吸油量 (ml/lOOg) 48 46 71 71 pH 8.5 9.5 9.0 8.0
PAH ( pm) ≤ 10 ≤ 10 ≤ 10 120 トナー粒径 (〃m) 7.1 7.0 7.2 7.1 定着温度 (°C) 140 150 140 150 流動性 (%) 85 88 86 82 保存性 0.6 0.4 0.4 0.4 電気抵抗 (log Ω /cm) 11.1 11.2 10.3 11.6 画質
(H/ H) 〇 〇 Δ 〇
(L/ L) 〇 〇 Δ 〇 耐久性 〇 〇 X 〇
[実施例 3 ]
実施例 1 のカーボンブラ ッ ク Aを、 表 2 に示すカーボンブラ ッ ク Cに代えた他は実施例 1 と同様に実施した。 結果を表 2 に示す。 [実施例 4 ]
実施例 1 のカーボンブラ ッ ク Aを、 表 2 に示す力一ボンブラ ッ ク Dに代えた他は実施例 1 と同様に実施した。 結果を表 2 に示す。
匕較例 3 ]
実施例 1 の力一ボンブラ ッ ク Aを、 表 2 に示すカーボンブラ ッ ク 3 に代えた他は実施例 1 と同様に実施した。 結果を表 2 に示す。 表 2
実施例 比較例
3 4 3
カーボンブラック C D 3
一次粒径 (nm) 34 38 28
DBP吸油量 (ml/100g) 48 66 100
PH 8.5 9.0 9.5
PAH (ppm) ≤ 10 ≤ 10 ≤ 10
トナー粒径 ( j m) 7.1 7.0 6.8
定着温度 (°o 140 140 140
流動性 (%) 85 89 75
保存性 0.6 0.8 0.6
電気抵抗 (log Ω /cm) 11.1 11.3 10.5
画質
環境性
(H/ H) 〇 〇 X
(L / L) 〇 〇 Δ
耐久性 〇 〇 Δ
[実施例 5 ]
実施例 1 のカーボンブラ ッ ク Aを、 表 3 に示す力一ボンブラ ッ ク Eに代えた他は実施例 1 と同様に実施した。 結果を表 3 に示す。
[比較例 4 ]
実施例 1 の力一ボンブラ ッ ク Aを、 表 3 に示す力一ボンブラ ッ ク 4 に代えた他は実施例 1 と同様に実施した。 結果を表 3 に示す。 表 3
以上の表 1 〜 3の結果から、 カーボンブラ ッ クの一次粒径、 D B P 吸油量、 及び p Hが、 本発明の線に沿って選択された ものを用いる と、 印字特性に優れ、 かつ、 安全性に優れた トナーの得られる こ と
が分かる。
<産業上の利用可能性〉
本発明によれば、 カーボンブラ ッ ク中に含有する多環式芳香族炭 化水素化合物類の含有量が少な く 、 安全性が顕著に優れ、 しかも印 字特性に優れた静電荷像現像用 トナーが提供される。 本発明の静電 荷像現像用 トナーは、 非磁性一成分現像方式の印刷機や複写機にお いて好適に使用する こ とができる。