JPWO2007086195A1 - トナー及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明のトナーは、少なくとも第一及び第二のワックスを含み、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度が50〜90℃、第二のワックスの吸熱ピーク温度が第一のワックスよりも5℃〜50℃高温であり、第一のワックスの吸熱量をJw1、第二のワックスの吸熱量をJw2、MDSC法における第一のワックスの融解吸熱量をJmw1、第二のワックスの融解吸熱量をJmw2とすると,Jmw1/Jw1が0.5以下で、かつJmw2/Jw2が0.5〜1.2の範囲であり、第一のワックス第二のワックスを予め混合して分散液としておき、これを樹脂粒子分散液及び着色剤粒子分散液と混合し、凝集して芯粒子に形成する。これにより、シャープな粒度分布を有する小粒径のトナーを分級工程不要で作成できる。

Description

本発明は複写機、レーザプリンタ、普通紙FAX、カラーPPC、カラーレーザプリンタ、カラーFAX及びこれらの複合機に用いられるトナー及びその製造方法に関するものである。
近年、プリンタなどの画像形成装置はオフィスユースの目的からパーソナルユースへと移行しつつあり、小型化、高速化、高画質化、メンテナンスフリーなどを実現する技術が求められている。カラー画像の高速出力を可能とするタンデムカラープロセス、また定着時にオフセット防止のための定着オイルを使用せずとも高光沢性、高透光性を有する鮮明なカラー画像と非オフセット性を両立させるオイルレス定着が良メンテナンス性、低オゾン排気などの条件とともに要求されている。そしてこれらの機能は同時に両立させる必要があり、プロセスのみならずトナーの特性向上が重要なファクターである。
カラープリンタでは、定着プロセスにおいては、カラー画像ではカラートナーを溶融混色させ透光性を上げる必要がある。トナーの溶融不良が起こるとトナー画像表面又は内部に於いて光の散乱が生じて、トナー色素本来の色調が損なわれると共に、重なった部分では下層まで光が入射せず、色再現性が低下する。従って、トナーには完全溶融特性を有し、色調を妨げないような透光性を有することが必要条件である。OHP用紙での光透過性がカラーでのプレゼンテーション機会の増加で、その必要はより大きくなっている。
カラー画像を得る際に、定着ローラ表面にトナーが付着してオフセットが生じるため定着ローラに多量のオイル等を塗布しなければならず、取扱や、機器の構成が複雑になる。そのため機器の小型化、メンテナンスフリー化、低コスト化のために、後述する定着時にオイルを使用しないオイルレス定着の実現が要求される。これを可能とするため、シャープメルト特性を有する結着樹脂中にワックス等の離型剤を添加する構成が実用化されつつある。
しかし、このようなトナーの構成での課題は、トナーの凝集性が強い特質を有するため、転写時のトナー像乱れ、転写不良の傾向がより顕著に生じ、転写と定着の両立が困難となる。また二成分現像として使用する際に、粒子間の衝突、摩擦、又は粒子と現像器との衝突、摩擦等の機械的な衝突、摩擦による発熱により、キャリア表面にトナーの低融点成分が付着するスペントが生じ易く、キャリアの帯電能力を低下させ現像剤の長寿命化の妨げとなる。
トナーにおいて、種々の構成が提案されている。周知のように電子写真方法に使用される静電荷現像用のトナ−は一般的に結着樹脂である樹脂成分、顔料もしくは染料からなる着色成分および可塑剤、電荷制御剤、更に必要に応じて離型剤などの添加成分によって構成されている。樹脂成分として天然または合成樹脂が単独あるいは適時混合して使用される。
そして、上記添加剤を所定の割合で予備混合し、熱溶融によって加熱混練し、気流式衝突板方式により微粉砕し、微粉分級されてトナー母体が完成する。また化学重合的な方法によりトナー母体が作成される方法もある。その後このトナー母体に例えば疎水性シリカなどの外添剤を外添処理してトナーが完成する。一成分現像では、トナーのみで構成されるが、トナーと磁性粒子からなるキャリアと混合することによって二成分現像剤が得られる。
しかし、従来の混練粉砕法における粉砕・分級操作では、小粒径化といっても経済的、性能的に現実に提供できる粒子径は約8μm程度までである。現在、種々の方法による小粒径トナーを製造する方法が検討されている。またトナーの溶融混練時に低軟化性の樹脂中にワックス等の離型剤を配合してオイルレス定着を実現させる方法が検討されている。しかし配合できるワックス量には限界があり添加量を多くするに従ってトナーの流動性の低下、転写時の中抜けの増大、感光体へのフィルミング発生等の弊害が生じてくる。一方、乳化重合法を用いたトナーの調製法は、樹脂粒子を分散させてなる分散液中で顔料等の着色剤粒子とともに芯粒子を形成し、加熱して融合する工程により製造される。
下記特許文献1では、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で、前記樹脂粒子のガラス転移点以下の温度に加熱して芯粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する第1工程、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程及び前記付着粒子を加熱して融合する構成が開示され、現像性、転写性、定着性、クリーニング性等の諸特性に優れ、しかも前記諸性能を安定に維持・発揮し、信頼性の高い効果が記載されている。
下記特許文献2では、少なくとも樹脂粒子を分散せしめた樹脂粒子分散液と、少なくとも着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液、及び少なくとも離型剤粒子を分散せしめた離型剤粒子分散液とを混合する工程、これらの粒子を凝集する工程、前記凝集体粒子を加熱して融合する工程を包含する静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記離型剤粒子分散液の離型剤粒子が、体積平均粒径で0.5μmより小さく、かつ1.0μm以上の粒子が5%以下の構成が開示され、離型剤分散径が可視光の波長領域よりも小さいことにより、凝集工程、融合工程において離型剤の逸脱を防止でき、均一で高品質のトナー粒子を安定して作成できること、離型剤分散径が可視光の波長領域よりも小さいことにより、トナーの発色が良くなり、OHP透過性が上がること、トナー中への離型剤の内添量を増加でき、定着特性に優れたトナーを作成できること等の効果が記載されている。
下記特許文献3では、極性を有する分散剤中に樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、極性を有する分散剤中に着色剤粒子を分散させてなる着色剤粒子分散液とを少なくとも混合して混合液を調製する混合液調製工程、前記混合液中において含まれる分散剤の極性が同極性とすることで、帯電性及び発色性に優れた信頼性の高い静電荷像現像用トナーを容易にかつ簡便に製造し得ることが開示され、発色性、帯電性、現像性、転写性、定着性等の諸特性、特に帯電性及び発色性に優れた信頼性の高い効果が記載されている。
下記特許文献4では、離型剤が、炭素数が12〜30の高級アルコール及び炭素数12〜30の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルを少なくとも1種含み、かつ、前記樹脂粒子が、分子量が異なる少なくとも2種の樹脂粒子を含み、離型剤としては、低分子量ポリオレフィン類、脂肪酸アミド類、植物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のワックスが開示され、遊離する離型剤量が少なく、トナー表面における離型剤量が少なく、このため遊離する離型剤のトナー粒子表面への付着による帯電不良に起因する地被り等を防止でき、離型剤の光散乱による発色性の減少、透明性の低下を効果的に防止し、特にカラー用途において離型剤の内添量を増加した場合でも高画質の複写像を安定して形成できる効果が記載されている。
下記特許文献5では、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びトナー粒子の10〜25質量%の範囲の離型剤を含み、形状係数SF1が140以下の電子写真用トナーを用い、離型剤の平均ドメイン径が0.5〜2.3μmの構成が開示され、高生産性を維持しつつ、高光沢であり、保管性に優れ、さらに、OHPなどに対しても優れた透過性を有する画像を形成できる効果が記載されている。
下記特許文献6では、トナーが少なくとも結着樹脂と着色剤と2種以上の離型剤とからなり、かつ、結着樹脂の重量平均分子量Mwが6000〜45000の範囲で、前記2種以上の離型剤のうち、最も低融点の離型剤の融点αが90〜115℃の範囲であり、他の少なくとも1種の高融点の離型剤の融点が1.3α〜2.1α℃の範囲である構成が開示され、高光沢紙を用いても、高速プロセスで用紙グロスと同等の高光沢画像を得ることができ、ドキュメント保管性に優れた効果が開示されている。下記特許文献7ではトナーが少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とからなるトナーであり、且つ結着樹脂中に離型剤を内包させた樹脂粒子と着色剤とを塩析/融着させて得られるトナーが開示されている。
しかし、離型剤を添加してその分散性が悪化すると、定着時に溶融したトナー画像において色濁りが生じ易い傾向にある。それと共に顔料の分散度も悪化し、トナーの発色性が不十分になってしまう。また次の工程において凝集体表面にさらに樹脂微粒子を付着融合する際にその離型剤等の分散性低下が樹脂微粒子の付着を不安定なものとなってしまう。また一度樹脂と凝集した離型剤が分離して水系中に遊離する。離型剤の分散は使用するワックス等の極性、融点等の熱特性が混合凝集時の凝集に与える影響は大きい。さらには定着時にオイルを使用しないオイルレス定着を実現するため、特定のワックスを多量に添加する構成となる。
一定量以上のワックスを配合した系において、凝集反応により粒子を形成する際において、加熱処理時間とともに粒子径が粗大化し、狭い粒度分布で小粒径粒子の生成が困難となる。
離型剤を使用することで、オイルレス定着と、現像時のカブリの低減や、転写効率との両立を図ることが可能となるが、逆に製造時の水系中での樹脂微粒子、顔料微粒子との均一な混合凝集が妨げられ、水系中で凝集にかかわらない浮遊した離型剤の存在や、その影響による凝集融合粒子を粗大化させる要因となる傾向にある。
特開平10−026842号公報 特開平11−002922号公報 特開平10−198070号公報 特開平10−301332号公報 特開2003−215842号公報 特開2004−198862号公報 特開2001−272819号公報
本発明は、シャープな粒度分布を有する小粒径のトナーを分級工程不要で作成でき、定着ローラにオイルを使用しないオイルレス定着において、トナー中にワックス等の離型剤を使用し、低温定着性と、高温非オフセット性、定着ローラ等との紙の分離性及び高温保存時の貯蔵安定性を実現できるトナー及びその製造方法を提供する。
本発明のトナーは、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合、凝集して生成される芯粒子を含むトナーであって、
前記ワックスが、少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、
前記第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃であり、前記第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が前記第一のワックスのTmw1よりも5℃〜50℃高温であり、
DSC法における前記第一のワックスの吸熱量をJw1(J/g)、DSC法における前記第二のワックスの吸熱量をJw2(J/g)、MDSC法における前記第一のワックスの融解吸熱量をJmw1(J/g)、MDSC法における前記第二のワックスの融解吸熱量をJmw2(J/g)とすると,Jmw1/Jw1が0.5以下で、かつJmw2/Jw2が0.5〜1.2の範囲であり、
前記第一のワックス前記第二のワックスを予め混合して分散液としておき、これを前記樹脂粒子分散液及び着色剤粒子分散液と混合し、凝集して芯粒子に形成したことを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合、凝集により芯粒子を生成する工程を含むトナーの製造方法であって、
DSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃であって、かつ、DSC法における吸熱量Jw1(J/g)とMDSC法における融解吸熱量Jmw1(J/g)との比Jmw1/Jw1が0.5以下となるように第1のワックスを選択し、
DSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃)と称す)が前記第一のワックスのTmw1よりも5℃〜50℃高温であって、かつ、DSC法における吸熱量Jw2(J/g)とMDSC法における融解吸熱量Jmw2(J/g)との比Jmw2/Jw2が0.5〜1.2の関係を満たすように第2のワックスを選択し、
前記第一のワックス及び前記第二のワックスを少なくとも含むワックス粒子分散液を作成し、
前記作成したワックス粒子分散液と、予め作成した樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液および着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液とを、水系媒体中において混合、凝集させることにより芯粒子を生成することを特徴とする。
図1は本発明の一実施例で使用した画像形成装置の構成を示す断面図である。 図2は本発明の一実施例で使用した定着ユニットの構成を示す断面図である。 図3は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の概略図である。 図4は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た図である。 図5は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の概略図である。 図6は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た図である。 図7Aは本発明の一実施例におけるトナー母体のDSC法、及び図7BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。 図8Aは本発明の一実施例におけるトナー母体本発明の一実施例のDSC法、及び図8BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。 図9Aは比較例におけるトナー母体のDSC法、及び図9BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。 図10Aは比較例におけるトナー母体のDSC法、及び図10BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。 図11Aは比較例におけるトナー母体のDSC法、及び図11BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。
本発明は、水系中で凝集に関わらない浮遊したワックス、樹脂及び着色剤粒子の存在を低減することで、ワックスを添加した芯粒子を粗大化させず、小粒径でかつ粒径がほぼ揃った芯粒子を含むトナー母体粒子を、分級工程無しで作成することができる。また、低融点のワックスを添加しても均一な分散を実現して、感光体へのフィルミングやキャリアへのトナー成分の融着を防止できるトナーを提供することができる。また、低温定着性・透光性・光沢性及び高温非オフセット性を向上させつつ、貯蔵安定性を保つことができる。また、複数の感光体及び現像部を有する像形成ステーションを並べて配置し、転写体に順次各色のトナーを連続して転写プロセスを実行するタンデムカラープロセスにおいて、転写時の中抜けや逆転写を防止し、高転写効率を得ることが出来る。
以下、各工程にしたがって説明する。
(1)重合及び凝集工程
樹脂粒子分散液の調製は、ビニル系単量体を界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子を界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。その手段としては、例えば、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、コロイド型乳化装置、メデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビスー4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、や過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
着色剤粒子分散液は、界面活性剤を添加した水中に着色剤粒子を添加し、前記した分散の手段を用いて分散させることにより調製される。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水中で、ワックス粒子を添加し、分散手段を用いて分散させることにより調製される。
トナーには一層の低温定着化と、定着時に定着ローラにシリコーンオイル等を塗布しないオイルレス定着における高温での耐オフセット性、紙と定着ローラとの分離性、カラー画像の高透光性、高温状態での貯蔵安定性が要求され、それらを同時に満足しなければならない。
そのため、ワックスは、低温定着性、高温非オフセット性、及び定着時に溶融したトナーが加熱ローラとの離型性が低下したトナーが載った複写用紙等の転写媒体が加熱ローラと分離しない分離不良を回避する等の目的で添加される。これらの機能は相矛盾する特性であり、複数のワックスを添加することが好ましい。トナー中に添加するワックスの機能別に融点の異なる又は骨格が異なる複数のワックスを配合する形態により、低温定着化と離型剤の両立を図ることが好ましい。
本発明のトナーの第一の実施形態は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して芯粒子を生成する。このとき、前記ワックスが、少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃で、第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が第一のワックスのTmw1よりも5℃〜50℃高温とする。そして生成されたトナーのDSC法におけるトナー中の第一のワックスの吸熱量をJw1(J/g)、第二のワックスの吸熱量をJw2(J/g)、MDSC法における第一のワックスの融解吸熱量をJmw1(J/g)、第二のワックスの融解吸熱量をJmw2(J/g)とすると、トナー中の第一のワックスのDSC法における吸熱量とMDSC法における融解吸熱量とを特定の関係を満たす。その関係はJmw1/Jw1が0.5以下で、かつJmw2/Jw2が0.5〜1.2の関係である。
好ましくはJmw1/Jw1が0.4以下、Jmw2/Jw2が0.6〜1.0、より好ましくはJmw1/Jw1が0.3以下、Jmw2/Jw2が0.7〜1.0、さらに好ましくはJmw1/Jw1が0.2以下、Jmw2/Jw2が0.7〜1.0である。
融点の異なるワックスの使用により、ワックスの機能を分離することで、低温定着及び高温耐オフセット性を両立し定着温度領域の広い特性を得ることができる。しかし、融点の異なるワックスの使用により、水系媒体中で低融点ワックス粒子同士や、高融点粒子ワックス同士の凝集体が生成されやすく、芯粒子中でワックスが偏在した分散状態となりやすい。また、芯粒子分散液中に凝集に加わらないワックス粒子が残留しやすく、芯粒子の粒度分布が広くなったり、形状が不均一になりやすい。
本発明者らは、狭い粒度分布の小粒径の芯粒子生成、及び低温定着と高温非オフセット性を両立させることが可能となることを見出した。融点の異なるワックスを水系中にて樹脂、着色剤と凝集させてトナー粒子を形成する際に、ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑える効果が得られる。
まず、DSC法では被測定試料と基準物質(アルミナ)を加熱炉中で同時に一定の昇温速度(dT/dt)で加熱する。被測定試料と基準物質の温度差を温度センサーで検出し、単位時間に被測定試料に供給される熱量と、基準物質に供給される熱量との差を、温度の関数(dH/dt)として記録する。この関数は、一般に次式のように表される。
dH/dt=Cp(dT/dt)+f(T,t)
式中、Hはエンタルピーを表し、その時間関数dH/dtは示差走査熱量計(DSC)での熱流を表す。Cpは被測定試料の熱容量を表す。Tは温度を表し、dT/dt(℃/min)は昇温速度を表す。f(T,t)は時間と絶対温度に依存する吸熱を示す。
この式中、右辺第1項は、熱容量と昇温速度の積で表される熱流(単位時間当たりの熱量)であり、被測定試料のガラス転移点、比熱、融解により生じる熱流がこの項に前記当する。
右辺第2項は熱容量、昇温速度に依存しない熱流(吸熱)である。この右辺第2項は、温度と時間の関数で示される熱流である。この右辺第2項の熱流(吸熱)が第1項の熱流に比べて大きい場合、第1項で示されるガラス転移等による熱流の測定が困難になる。
DSC法で被測定試料の吸熱量(Jm(J/g)と称す)は、DSC信号(dH/dt(W/g))を時間で積分して得ることができる。
次に、MDSC法は、昇温速度を周期的に変化させて熱流を測定することで、この被測定試料の熱容量に依存しない熱流を除いて、被測定試料のガラス転移点、比熱、融解により生じる熱流の選択的な測定が可能となる。なお、MDSC法については、たとえば特開平8−178878号公報に詳述されている。具体的には、昇温速度の最小値をdT/dt1(℃/min)、最大値をdT/dt2(℃/min)とし、それぞれの昇温速度における熱流の差をとることで、昇温速度に依存しない右辺第2項を除くことができ、次式にて表すことができる。
△dHm/dt=Cp(dT/dt1−dT/dt2
MDSC法による被測定試料の融解吸熱量(Jmw(J/g)と称す)は、熱容量Cpに昇温速度の平均値を乗じて得た熱流(MDSC信号(dHm/dt(W/g))を時間で積分して得ることができる。MDSC法によれば融解吸熱量がDSC法の吸熱量に対して減少する現象は、熱的緩和現象に起因する。
これは、樹脂粒子及びワックス粒子はトナーの凝集反応過程において加熱処理されることにより、溶融したワックス粒子が溶融した樹脂粒子と混在し、又は相溶化した状態で芯粒子を形成し、その状態で冷却されて固化する。
ワックスと樹脂が混在又は相溶したトナー粒子を加熱することにより、ワックスの吸熱現象は熱的緩和現象となり、DSC信号(dH/dt(W/g))では再融解による吸熱量は検出されるが、MDSC信号(dHm/dt(W/g))では再融解による吸熱は熱的緩和現象であるため検出されないと推測する。
つまり、樹脂とワックスが混在した相溶状態であると、MDSC信号では検出されず、ワックスがトナー中で結晶状態で存在すると、MDSC信号及びDSC信号での検出がされる状態となるものと考えられる。
Jmw1/Jw1が0.5を超えると、トナー中で結晶状態で存在する第1のワックスが増加する傾向にあり、その結果、凝集に寄与しない浮遊したワックス粒子の発生が増加し、また芯粒子の粒度分布が広くフ゛ロート゛になる傾向にある。また、樹脂との相溶による芯粒子のガラス転移点及び軟化点を下げる作用が弱く、低温定着性への寄与が悪化する傾向にある。また結晶状態で存在する低融点の第一のワックスが多くなると、高温状態に放置したときの貯蔵安定性が低下する。
Jmw2/Jw2が0.5未満になると、第2のワックスの分子レベルで混在化が進むため、第2のワックスが有する高温非オフセット性が損なわれる。
Jmw2/Jw2が1.2を超えると、トナー粒子中に第2のワックスが単独で存在し、芯粒子の粗大化が生じやすくなる。
ここで、MDSC法の吸熱量/DSC法の吸熱量の比Jmw2/Jw2が、一例として、1.0以上となる事象は以下の理由による。ワックスは、吸熱した場合にエネルギー的に安定な構造を形成し発熱する場合がある。この発熱は熱的緩和減少である。DSC法ではワックスの発熱が吸熱を相殺するため、見かけ上吸熱量が減少する。一方、MDSC法ではこの発熱が検出されない。よってワックスが発熱した場合、MDSC法の吸熱量/DSC法の吸熱量の比Jmw/Jwが1.0以上となる。
樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子を混合し、凝集して芯粒子を生成する際の水系媒体の温度は70〜95℃の高温状態で凝集反応が行われる。そのため、前記した50〜90℃の融点を有するワックスの使用は、上記した凝集時の温度においては溶融がかなり進行している状態で数時間(1〜5時間)樹脂粒子との凝集が進行するため、樹脂とワックスが混在し、相溶化した状態が進行しやすく、Jmw1/Jw1が小さい値となる傾向にあるものと思われる。そのため、凝集に寄与しない浮遊したワックス粒子を抑制し、芯粒子の凝集反応が促進され、芯粒子が小粒径で狭い粒度分布を形成することができるものと思われる。樹脂との相溶により、芯粒子のガラス転移点及び軟化点を下げる作用を有し、低温定着性に寄与できるものと思われる。
第一のワックスの融点は、好ましくは55〜85℃、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは、68〜74℃である。50℃未満であると、凝集の進行が早すぎ、生成する芯粒子が粗大化しやすい。また高温保存状態での貯蔵安定性が悪化する。90℃を超えると、低温定着性、カラー光沢性が向上しない。 融点が、第一のワックスの融点Tmw1よりも、5℃以上高温の第二のワックスの使用は、凝集反応時には低融点の第一のワックスほどは溶融が進行していないため、第二のワックスがトナー中で結晶状態で存在する割合が増加し、Jmw2/Jw2の値が小さくならないものと思われる。
また、融点が、第一のワックスの融点Tmw1よりも、5℃以上高温の第二のワックスの使用は、ワックスの機能を効率よく分離でき、低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離性を両立させる効果がある。
より好ましくは10℃以上高温であり、40℃以下、さらに好ましくは、15℃以上高温であり、35℃以下とする。複数のワックスの機能を効率よく分離でき、低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離性を両立させる効果がある。5℃未満になると低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離不良を両立させる効果が出にくくなる。50℃を超えると、第一のワックスと第二のワックスが相分離し、トナー粒子中に均一に取り込まれなくなる。
複数のワックスを使用する好ましい第一の例として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃で、かつ第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃)と称す)が80〜120℃である。
このとき、また、Tmw1は好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜85℃、さらに好ましくは、65〜75℃である。Tmw1が50℃未満であると、生成する芯粒子が粗大化しやすくなる。また貯蔵安定性が悪化する。90℃を超えると、低温定着性、カラー光沢性が向上しない。
第二のワックスの融点Tmw2は80〜120℃であることが好ましい。より好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。Tmw2が80℃未満であると、高温非オフセット性及び紙の分離性が弱くなる。120℃を超えると、ワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加し、形状が不均一になりやすくなる。
複数のワックスを使用する好ましい第ニの例として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスが、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルワックスを含み、かつ第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含む。
複数のワックスを使用する好ましい第三の例として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスが、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含み、第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含む。好ましくは第一のワックスのヨウ素価が1以上25以下である。より好ましくは第一のワックスのヨウ素価が1以上10以下である。
ワックスとして好ましい第二の例及び第三の例において、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))が50〜90℃であり、55〜85℃、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは、68〜74℃である。50℃未満になると、トナーの貯蔵安定性、耐熱性が悪化する。90℃を超えるとワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加する。また低温定着性、光沢性が向上しない。
また、第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が80〜120℃であり、好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。80℃未満になると、貯蔵安定性が悪化、高温非オフセット性及び紙の分離性が弱くなる。120℃を超えると、ワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加する。また、低温定着性、カラー透光性が阻害される。
ワックスとして好ましい第二又は第三の例において、水系中で樹脂、着色剤及び脂肪族炭化水素系ワックスとともに芯粒子を形成する際、脂肪族炭化水素系のワックスは樹脂とのなじみ性から樹脂との凝集が起こりにくいワックスであり、ワックスが溶融芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在や、芯粒子の凝集が進まずに粒度分布がブロードになりやすい。
浮遊粒子の抑制や、粒度分布のブロード化を防止するために、加熱処理の温度や、時間を変えることを行うと粒子径が粗大化してしまう。また後述するように、この溶融した芯粒子にさらに樹脂粒子をシェル化する際に、芯粒子が急激に二次凝集を生じて粒子が粗大化する現象が表れる。
そこで、ワックスとして、特定の脂肪族炭化水素系ワックスを含む第二のワックスとともに、特定のワックスを含む第一のワックスとから構成されるワックスを使用することにより、脂肪族炭化水素系ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑えることができる。加熱凝集の際、第一のワックスが樹脂と相溶化が進むことで、脂肪族炭化水素系ワックスの樹脂との凝集が助長され、均一に取り込まれるためと思われる。そして、前記したJmw1/Jw1及びJmw2/Jw2が一定の範囲に占めることとなる。
加熱凝集の際、第一のワックスが樹脂と相溶化が進むことで、第ニのワックスである脂肪族炭化水素系ワックスの樹脂との凝集が助長されることで、均一に取り込まれ、浮遊粒子の存在を防止することが出来るものと思われる。
さらには、第一のワックスは樹脂と相溶化が一部進むことで、低温定着がより向上する傾向にある。そして、第ニのワックスである脂肪族炭化水素系のワックスは樹脂との相溶化は進まないため、このワックスは高温オフセット性を良化する機能を発揮させることが出来る。つまり、この第一のワックスは脂肪族炭化水素系ワックスの乳化分散処理時の分散助剤としての機能、更には低温定着助剤としての機能を有することになる。
このように、Jmw1/Jw1及びJmw2/Jw2値を一定の数値範囲内に制御するための材料組成の構成としては、第一のワックス及び第二のワックスの吸熱ピーク温度を一定の範囲とする構成、また、第一のワックスが上記した特定のエステルワックス、かつ第二のワックスが脂肪族炭化水素系ワックスを含む構成、さらには後述する芯粒子に使用樹脂粒子の分子量特性、特にMw/Mnを小さい値とする構成が挙げられる。
複数のワックスを使用する前記第一、第二又は第三の例において、ワックス粒子分散液中のワックス100重量部に対する第一のワックス重量割合をES1、第二のワックスの重量割合をFT2とすると、FT2/ES1が0.2〜10が好ましい。より好ましくは1〜9の範囲である。0.2未満であると、高温オフセットの効果が得られず、貯蔵安定性が悪化する傾向となる。10を超えると低温定着が実現できず、また芯粒子の粒度分布がブロードになりやすい。さらに、FT2の配合割合が50wt%以上とすることは、低温定着性と、高温貯蔵安定性と定着高温オフセット性の両立できるバランスの良い割合である。
全ワックス添加量は、樹脂100重量部に対して、5〜30重量部が好ましい。好ましくは8〜25重量部、より好ましくは10〜20重量部である。5重量部未満であると、低温定着性、離型性の効果が発揮されない傾向となる。30重量部を超えると小粒径の粒子制御が困難になる傾向となる。
複数のワックスを使用する第一、第二又は第三の例において、融点の異なるワックスを水系中にて樹脂、着色剤と凝集させて芯粒子を形成する際に、第一のワックス、第二のワックスそれぞれ別々に乳化分散処理した分散液を、樹脂分散液及び着色剤分散液と混合して、加熱凝集させると、ワックスの溶融速度の差から、第一のワックスが樹脂粒子と共に芯粒子を形成し、第二のワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊しやすく、粒度分布がブロードになりやすく、小粒径で狭い粒度分布の粒子形成が困難な状況になる場合がある。また、シェル化する際に、芯粒子が急激に二次凝集を生じて粒子が粗大化する課題も十分には解消できない。第一のワックス及び第2のワックスを別々に乳化分散処理した分散液を用いた場合、Jmw1/Jw1は0.7〜0.8と大きくなり、Jmw2/Jw2は0.8〜1.4となる傾向にある。
そこで、ワックス粒子分散液生成において、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化共分散処理して作成することが好ましい。乳化分散装置内に第一のワックスと第二のワックスを一定配合比で加熱乳化分散処理する方法である。投入は別々でも同時でもかまわないが、最終的に得られる分散液には第一のワックスと第二のワックスが混合した状態で含まれていることが好ましい。これにより、Jmw1/Jw1は、0.5よりさらに小さい値を示し、かつJmw2/Jw2は、あまり変わらない傾向を示すことになる。
また、ワックスを陰イオン界面活性剤により処理すると、芯粒子の凝集の際、粒子径が粗大化してシャープな粒度分布の粒子が得にくい。特に炭化水素系のワックスとエステル系ワックスと混合して芯粒子を作成する際にその現象が出やすい。
そのためワックス粒子分散液が、非イオン界面活性剤(ノニオン)を主成分とする界面活性剤により、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化分散処理して作成することが好ましい。非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤によりエステル系ワックスと混合して分散処理して乳化分散液を作成することにより、ワックス自体の凝集が抑制され分散安定性が向上する。そしてこれらのワックスを樹脂、着色剤分散体との芯粒子作成において、ワックスの遊離がなく、小粒径でかつ狭いシャープな粒度分布の粒子を形成することが出来る。非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜100wt%有することが好ましい。より好ましくは60〜100wt%含有させる。
芯粒子製造の好ましい例として、水系媒体中において、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液とを混合し、この混合分散液のpHを一定の条件下に調整し、水溶性無機塩を添加することにより、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集した芯粒子を生成する。水系媒体を、樹脂粒子のガラス転移点温度(Tg)以上及び/又はワックスの融点以上に加熱することで少なくとも一部が溶融した芯粒子を生成することができる。
樹脂粒子分散液は、乳化重合樹脂を重合生成する際に重合開始剤として過硫酸カリウム等の過硫酸塩を使用した際、その残留分が加熱凝集工程時の熱により分解してpHを変動(下げる)させてしまうことがあるため、乳化重合した後に一定温度以上(残留分を十分に分散させておくために80℃以上が好ましい)で、一定時間(1〜5時間程度が好ましい)加熱処理を施すことが好ましい。
前記した混合分散液のpHは9.5〜12.2の範囲に調整することが好ましい。好ましくは、pHは10.5〜12.2、さらに好ましくはpHは11.2〜12.2の範囲に調整する。1NのNaOHを添加することでpHの調整が可能である。pH値を9.5以上とすることで、形成された芯粒子が粗大化する現象を抑制する効果がある。pH値が12.2以下とすることで、遊離するワックス粒子や着色剤粒子の発生を抑え、ワックスや着色剤を均一に内包化できやすくする効果がある。
混合分散液のpH調整後に、水溶性無機塩を添加し、加熱処理して少なくとも第一の樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が少なくとも一部が溶融し凝集した所定の体積平均粒径の芯粒子が形成される。この所定の体積平均粒径の芯粒子が形成されたときの液のpHが7.0〜9.5の範囲に保持されることにより、ワックスの遊離が少なく、ワックスが内包された狭い粒度分布の芯粒子が形成できる。添加するNaOH量、凝集剤種や量、乳化重合樹脂分散液のpH、着色剤分散液のpH、ワックス分散液のpHの設定値や、加熱温度、時間は適宜選択される。粒子が形成されたときの液のpHが7.0未満であると、芯粒子が粗大化する傾向になる。pHが9.5を超えると、凝集不良で遊離ワックスが多くなる傾向になる。
また樹脂粒子分散液は、乳化重合樹脂を重合生成する際に重合開始剤として過硫酸カリウム等の過硫酸塩を使用した際、その残留分が加熱凝集工程時の熱により分解してpHを変動(下げる)させてしまうことがあるため、乳化重合した後に一定温度以上(残留分を十分に分散させておくために80℃以上が好ましい)で、一定時間(1〜5時間程度が好ましい)加熱処理を施すことが好ましい。好ましくは4以下、更に好ましくは1.8以下である。
pH(水素イオン濃度)の測定は、被測定液を液槽内からピペットを用いてサンプルを10ml採取し、同容量程度のビーカーに入れる。このビーカーを冷水に浸漬し、サンプルを室温(30℃以下)まで冷却する。pHメータ(セブンマルチ:メトラートレド社製)を用い、室温まで冷やしたサンプルに測定プローブを浸す。メータの表示が安定したらその数値を読み取り、pHの値とする。
混合分散液のpH調整後、液を攪拌しながら混合分散液温度を昇温させる。昇温速度は0.1〜10℃/minが好ましい。遅いと生産性が低くなる。早すぎると粒子表面が平滑にならないうちに形状が球形に進みすぎる傾向にある。
芯粒子のより好ましい一製造例として、水系媒体中において、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合して混合分散液を生成する。そしてこの混合分散液を加熱し、混合分散液の液温度が一定の温度に達した後に、この混合分散液に凝集剤として水溶性無機塩を添加することが好ましい。
芯粒子を生成する方法として、前記した混合液と凝集剤を予め混合してから、混合分散液を加熱昇温し、樹脂のガラス転移点以上に加熱する方法が考えられるが、この方法では、凝集反応が昇温時間とともに緩慢に起こるため、小粒径で狭い粒度分布の粒子の生成が困難になる。また凝集途中の粒子の凝集状態が変動しやすくなり、凝集融着して得られる粒子の粒径分布がブロードになったり、最終的に得られるトナー粒子の表面性が変動したりする。特に使用するワックスや着色剤により、粒径分布や表面性に影響が現れやすい傾向にある。
また、融点の異なるワックスを併用して使用する場合、昇温の過程で、低融点のワックスが先に溶融が開始されるため、低融点のワックス同士の凝集が始まり、さらに昇温が進行すると、次には高融点のワックスの溶融が開始され、凝集が開始されるため、低融点ワックス粒子同士や、高融点粒子ワックス同士の凝集体が生成されやすく、芯粒子中でワックスが偏在した分散状態となりやすい。また、芯粒子の粒度分布が広くなったり、形状が不均一になりやすくなる。
そこで、混合分散液の温度が一定以上に達した状態で凝集剤を添加することにより、凝集が昇温時間とともに緩慢に起こる現象をさけられ、凝集剤の添加と共に凝集反応が一気に進行し、短時間に芯粒子の生成が可能となり、前記したJmw1/Jw1及びJmw2/Jw2が一定の範囲に占めることとなる。また、ワックスや着色剤を均一に内包化した小粒径で狭い粒径分布の芯粒子形成が可能となる。
添加する凝集剤は一定の水濃度を有する水溶性無機塩を含有した水溶液を使用するが、その水溶液のpH値を調整した後に、少なくとも第一の樹脂粒子を分散させた第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合した混合分散液中に添加することも好ましい。
凝集剤を含んだ水溶液のpH値を一定値に調整することにより、凝集剤としての粒子の凝集作用をより高めることができるものと考えられる。混合分散液のpH値と一定の関係を持たせることが好ましく、混合分散液にpH値が離れた凝集剤水溶液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、凝集粒子が粗大化したり、ワックスの分散が不均一になりやすい。このような現象を抑えるために、凝集剤水溶液のpHを調整することが効果的である。
樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液を混合した混合分散液を加熱処理し、凝集剤を含む水溶液の添加前の混合分散液のpH値をHGとすると、凝集剤を含む水溶液のpH値は、HG+2〜HG−4の範囲に調整して添加することが好ましい。好ましくはHG+2〜HG−3の範囲、より好ましくはHG+1.5〜HG−2の範囲、さらに好ましくはHG+1〜HG−2の範囲である。
混合分散液にpH値が離れた凝集剤水溶液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、凝集反応が遅れて進行しずらくなったり、凝集粒子が粗大化しやすくなりやすい。このような現象を抑えるために、凝集剤水溶液のpHを調整することが効果的である。原因は不明であるが凝集剤を含む水溶液のpH値を混合分散液のpH値よりも低くすることがより好ましいと思われる。
HG−4以上とすることで、凝集剤としての粒子の凝集作用をより高められ、凝集反応を加速できる。HG+2以下とすることで、凝集粒子が粗大化したり、粒度分布がブロードになる現象を抑える効果がある。
凝集剤を添加する時期としては、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液の温度が、後述するDSC法により測定されるワックスの融点以上に到達後に凝集剤を添加することが好ましい。ワックスの溶融が開始されている状態で、凝集剤を添加することにより、溶融するワックス粒子と、樹脂粒子及び着色剤粒子の凝集が一気に進行し、さらに加熱処理続けることでワックス粒子、樹脂粒子の溶融が進行して粒子形成されるものと思われる。
このとき、混合分散液の温度が第一の樹脂粒子のガラス転移点に達した時点で凝集剤を添加しても、粒子はほとんど凝集せず、粒子形成されない。混合分散液の温度がワックスの特定温度に達した時点で凝集剤を添加することにより粒子の凝集が進行し、その後0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間、より好ましくは1〜2時間加熱処理することにより所定の粒度分布の芯粒子が生成され、前記したJmw1/Jw1及びJmw2/Jw2が一定の範囲に占めることとなる。
加熱処理はワックスの特定温度をキープしたままでも良いが、好ましくは80〜95℃、より好ましくは90〜95℃で加熱する。凝集反応を加速でき、処理時間の短縮につながる。
さらに、後述するようにワックスを2種類以上含む場合には、低い方の融点を有するワックスの方の特定温度に調整することが好ましい。より好ましくは高い方の融点を有するワックスの特定温度に調整する。ワックス粒子の溶融が開始されている温度状態で凝集剤を添加することが効果的である。
凝集剤の添加は、全量一括して添加することもよいが、凝集剤の滴下を1〜120minの時間を要して滴下するのも好ましい。分割しながらでもよいが、好ましくは連続した滴下である。加熱された混合分散液に凝集剤を一定速度で滴下することにより、反応釜内にある混合分散液全体に凝集剤が徐々に均一に混ざりあうことになり、偏在により粒度分布がブロードになったり、ワックスや着色剤の浮遊粒子の発生を抑制する効果がある。また混合分散液の液温度の急激な低下を抑えることができる。好ましくは5〜60min、より好ましくは10〜40min、さらに好ましくは15〜35minである。1min以上により芯粒子の形状が過度に不定形に進まず、安定した形状が得られる。120min以下とすることで、着色剤やワックス粒子の凝集不良となって単独で浮遊する粒子の存在を抑える効果が得られる。
樹脂粒子、顔料微粒子及びワックス微粒子の総和100重量部に対し、凝集剤は1〜50重量部滴下することが好ましい。好ましくは1〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部である。少ないと凝集反応が進行せず、多すぎると生成粒子が粗大化する傾向にある。
混合分散液は、第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液以外に液中の固体濃度を調整するために、イオン交換水を添加してもかまわない。液中の固体濃度は5〜40wt%が好ましい。
また凝集剤としては、水溶性無機塩をイオン交換水等で一定濃度に調整して使用することも好ましい。凝集剤水溶液の濃度は5〜50wt%が好ましい。
芯粒子のより好ましい一製造例として、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して芯粒子を生成する際、樹脂粒子分散液を作成する際に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤であり、着色剤粒子及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤とする。前記において「主成分」とは、使用する界面活性剤のうち50wt%以上をいう。
樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜95wt%有することが好ましい。より好ましくは55〜90wt%、さらに好ましくは60〜85wt%である。
着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜100wt%有することが好ましい。より好ましくは60〜100wt%、さらに好ましくは60〜90wt%である。
さらに、各粒子に使用する界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤の界面活性剤全体に対して占める重量割合が、樹脂粒子分散液よりも、着色剤粒子分散液又はワックス粒子分散液の方が多くなることが好ましい。これにより、まず樹脂粒子が凝集を開始して核ができる。次に、ワックス粒子又は着色剤粒子が樹脂粒子の核の周りに凝集を始める。樹脂粒子は着色剤粒子やワックス粒子に比べて、重量濃度として、通常数倍以上添加するので、さらにワックス粒子の上にも樹脂粒子のみの核が凝集し、最表面が樹脂で覆われたトナーが形成されやすく、水系中で凝集にかかわらない浮遊した着色剤粒子やワックス粒子の存在をなくし、小粒径でかつ均一で狭い範囲でシャープな粒度分布を有する芯粒子を形成できるものと考えられる。
樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合であり、かつワックス粒子分散液及び着色剤粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤のみとすることも好ましい。
このような例の樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子を用いて、水系媒体中で凝集剤を作用させると、まず樹脂粒子が凝集を開始して核ができる。次に、ワックス粒子及び着色剤粒子が樹脂粒子の核の周りに凝集を始める。樹脂粒子は着色剤粒子やワックス粒子に比べて、重量濃度として、通常数倍以上添加するので、さらにワックス粒子の上にも樹脂粒子のみの核が凝集し、最表面が樹脂で覆われたトナーが形成されると推定される。このようなメカニズムで水系中で凝集にかかわらない浮遊した着色剤粒子やワックス粒子の存在をなくし、小粒径でかつ均一で狭い範囲でシャープな粒度分布を有する芯粒子を形成できるものと考えられる。
樹脂粒子分散液の界面活性剤において、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して、50〜95wt%有することが好ましい。より好ましくは55〜90wt%、さらに好ましくは、60〜85wt%有する。50wt%以上とすることにより、生成される芯粒子の粒度分布が広がる現象を抑えられる。95wt%以下とすることで樹脂粒子分散液中の樹脂粒子自体の分散を安定させる効果がある。イオン型界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤が好ましい。
このように、Jmw1/Jw1及びJmw2/Jw2値を一定の数値範囲内に制御するための工法としては、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化共分散処理して作成すること、また、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液を加熱し、混合分散液の液温度が一定の温度に達した後に、この混合分散液に凝集剤として水溶性無機塩を添加すること、また芯粒子を生成する際の樹脂粒子分散液を作成する際に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤であり、着色剤粒子及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤とすること、各粒子に使用する界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤の界面活性剤全体に対して占める重量割合が、樹脂粒子分散液よりも着色剤粒子分散液又はワックス粒子分散液の方が多くなること、さらには、樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合であり、かつワックス粒子分散液及び着色剤粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤のみとすることが挙げられる。
芯粒子が分散した芯粒子分散液に、第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液を添加混合し、加熱処理して芯粒子に、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させてトナー母体粒子を生成することも好ましい。
本発明のトナーでは、顔料およびワックスはトナーの内部に取り込まれているが、最表面に着色剤(例えば顔料)およびワックスが存在する可能性もあり、これらの顔料およびワックスが、電子写真装置内で蓄積されると、画像品質に悪影響を与えるので、このような課題を未然に防止することからも、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着層(シェル層と称することもある)を形成することが望ましい。また、トナーの高温状態での貯蔵安定性を高める観点から、ガラス転移点(Tg(℃))の高い樹脂粒子を、高温での耐オフセット性を確保する観点から、高分子量の乳化樹脂微粒子を、帯電安定性の観点から電荷調整剤を含有した樹脂粒子をシェル層として形成しても望ましい。
第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させる例において、芯粒子分散液に、第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液を添加し、加熱処理して芯粒子に、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させる樹脂融着層を形成する際、第二の樹脂粒子分散液のpH値を一定範囲に調整した後に添加することが好ましい。特に第二の樹脂粒子分散液の滴下条件と組み合わせることがより効果的である。
液のpHのバランスを乱すことなく、第二の樹脂粒子分散液を添加することにより、融着に加わらない浮遊する第二の樹脂粒子の発生を抑え、芯粒子への第二の樹脂粒子の付着を良好なものとし、あるいは芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えることが狙いである。
第二の樹脂粒子分散液のpH値の条件としては、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値をHSとすると、第ニの樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液のpHを、HS+4〜HS−4の範囲に調整して添加することが好ましい。好ましくはHS+3〜HS−3の範囲、より好ましくはHS+3〜HS−2の範囲、さらに好ましくはHS+2〜HS−1の範囲とする。
芯粒子分散液にpH値が離れた第二の樹脂粒子分散液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、芯粒子への第二の樹脂粒子の付着が生じないか、あるいは芯粒子同士の二次凝集の発生により生成粒子を粗大化させる結果となってしまう。このような現象を抑えるために、第二の樹脂粒子分散液のpHを調整することが効果的である。これにより、第二の樹脂粒子の浮遊粒子の発生が低減され、第二の樹脂粒子の芯粒子表面への均一な付着が行える。また芯粒子への付着が促進され、融着の処理時間が早くなり、生産性を向上させることができる。また、第二の樹脂粒子の芯粒子への融着の際、粒子の急激な粗大化を防ぐことができ、小粒径でシャープな粒度分布を形成することができる。pH値をHS+4以下とすることにより、粒子の粗大化し、粒度分布がブロードになる傾向を抑制することができる。pH値をHS−4以上とすることにより、第二の樹脂粒子の芯粒子への付着を進行させて、融着処理を単時間に行える。また、第二の樹脂粒子が融着に加わらず水系中に浮遊したままで、液が白濁のままで反応が進行しない現象も抑制する効果が得られる。
添加する第二の樹脂粒子分散液のpHを、前記芯粒子が分散した芯粒子分散液のpHに近い又は高い値に調整して添加することにより実現できる。この範囲に調整することにより、第ニの樹脂粒子の芯粒子への付着溶融の際に芯粒子同士を一部二次凝集させることで、形状を球形からポテト状に粒子の形状制御することができる。
これは現像、転写、クリーニングプロセスとの整合によりトナーの形状が定められる傾向が強く、感光体や転写ベルトのクリ−ニング性を重視する場合にはトナー形状は球形ではなくポテト状としたほうがクリーニングの余裕度が広がる。また転写性を重視する場合にはトナー形状を球形に近づけ、転写効率を上げる。
第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させる例において、芯粒子分散液に添加する第二の樹脂粒子を分散せしめた第二の樹脂粒子分散液のpH値は、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値にかかわりなく、3.5〜11.5の範囲に調整して添加することが好ましい。好ましくは5.5〜11.5、より好ましくは6.5〜11、さらに好ましくは6.5〜10.5の範囲である。pHを3.5以上とすることにより、第二の樹脂粒子の凝集粒子表面への付着を進行させ、第二の樹脂粒子が水系中で浮遊し、液は白濁で残る現象を抑制できる。pH値を11.5以下とすることにより、生成される粒子が急激に粗大化する傾向を抑制できる。
また、第ニの樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液のpHを、HS〜HS+4の範囲で高めに調整すると、芯粒子同士の二次凝集の発生状態を調整することができ、第二の樹脂粒子添加時に最終生成されるトナー母体粒子の形状を制御することも可能となる。
第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させる例において、第二の樹脂粒子分散液の添加の方法は特には限定されず、全量一括して添加してもかまわない。また、より好ましくは生成された芯粒子が分散した芯粒子分散液に、第二の樹脂粒子分散液の滴下条件として、生成された芯粒子量100重量部に対し、第二の樹脂粒子の滴下速度が、0.14重量部/min〜2重量部/minの滴下条件で滴下して生成することが好ましい。好ましくは0.15重量部/min〜1重量部/min、さらに好ましくは、0.2重量部/min〜0.8重量部/minである。
第二の樹脂粒子分散液の添加時期は、芯粒子が所定の粒径に達したら、そのまま添加される。添加は順次滴下が好ましい。所定全量を一気に添加したり、2重量部/minを超えると第二の樹脂粒子のみ同士の凝集が生じやすく、粒度分布がブロードになりやすい。また、投入量が多くなると、液温度が急激に低下し凝集反応の進行が止まることになり、第二の樹脂粒子の一部が芯粒子への付着に加わらずに水系中で浮遊した状態で残ってしまう場合がある。
また、0.14重量部/minよりも少ないと、第二の樹脂粒子の一部が芯粒子への付着する量が減量し、加熱を続けていく際に、芯粒子同士の凝集が生じて、粒子が粗大化、粒度分布がブロードになりやすい。
第二の樹脂粒子分散液の滴下条件を適正化することで、芯粒子同士の凝集や第二の樹脂粒子のみ同士の凝集を防いで、小粒径で粒度分布の狭い粒子の生成を可能とする。
生成された芯粒子が分散された芯粒子分散液の液温度の変動を10%以内に抑えるように、第二の樹脂粒子分散液を滴下するようなことが好ましい。
芯粒子又は第二の樹脂粒子が融着した芯粒子を任意の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を経て、トナー母体粒子を得ることができる。この洗浄工程においては、帯電性を向上させる観点より、十分にイオン交換水による置換洗浄を行うのが好ましい。前記固液分離工程における分離方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、吸引濾過法や加圧濾過法などの公知の濾過方法が好ましく挙げられる。前記乾燥工程における乾燥方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、フラッシュジェット乾燥方法、流動乾燥方法、及び振動型流動乾燥方法などの公知の乾燥方法が好ましく挙げられる。
本発明で使用する水溶性無機塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの炭素数が3以下のアルコールが好ましく、特に2−プロパノールが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、他価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤が特に好ましく使用できる。
水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記極性を有する分散剤における前記極性界面活性剤の含有量としては、一概に規定することはできず、目的に応じて適宜選択することができる。
また本発明においては、非イオン界面活性剤と、イオン型界面活性剤とを併用する場合には、極性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(2)ワックス
好ましい第一のワックスの例としては、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルを少なくとも1種含む。このワックスを使用することにより、脂肪族炭化水素系ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑え、さらにはシェル化する際に芯粒子が急激に粗大化する現象を緩和することができる。また低温定着化を進めることが出来る。第二のワックスとの併用により、高温非オフセット性、紙の分離性とともに粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。
アルコール成分としては、メチル、エチル、プロピル又はブチル等のモノアルコールの外、エチレングリコール又はプロピレングリコール等のグリコール類又はその多量体、グリセリン等のトリオール類又はその多量体、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ソルビタン又はコレステロール等が好適である。これらのアルコール成分が多価アルコールである場合の前記高級脂肪酸は、モノ置換体であってもよいし、多価置換体であってもよい。
具体的には、(i)ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、(ii)ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、(iii)モンタン酸モノエチレングリコールエステル、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリド、モノベヘン酸グリセリド、トリパルミチン酸グリセリド、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジリノレート、ペンタエリスリトールトリオレエート又はペンタエリスリトールテトラステアレート等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル類、若しくは、(iv)ジエチレングリコールモノベヘネート、ジエチレングリコールジベヘネート、ジプロピレングリコールモノステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド、ヘキサベヘン酸テトラグリセリド又はデカステアリン酸デカグリセリド等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステル類などが好適に挙げられる。これらのワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール成分及び/又は酸成分の炭素数は16未満であると分散助剤としての機能が発揮しにくく、24を越えると低温定着助剤としての機能が発揮しにくくなる。
また、好ましい第一のワックスの例として、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含む。第二のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。ヨウ素価を規定することで、ワックスの分散安定性を向上させる効果が得られ、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一にでき、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子形成を可能とする。好ましくはヨウ素価が20以下、けん化価が30〜200、より好ましくはヨウ素価が10以下、けん化価が30〜150である。
ヨウ素価が25より大きいと、逆に分散安定性がよくなりすぎ、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一に行えず、ワックスの浮遊粒子が増える傾向にあり、粒子の粗大化、ブロードな粒度分布になりやすい。浮遊粒子がトナーに残留してしまうと、感光体等のフィルミングを生じさせる。一次転写でのトナー多層転写時にトナーの電荷作用による反発が緩和されにくくなる。けん化価が30より小さくなると、不けん化物、炭化水素の存在が増加し、小粒径の均一な芯粒子形成が困難になる。感光体フィルミング、トナーの帯電性の悪化を生じ、連続使用時の帯電性の低下を招く。300より大きくなると水系中での浮遊物が増大する。トナーの電荷作用による反発が緩和されにくくなる。またカブリやトナー飛散の増大を招く。
ヨウ素価、けん化価を規定したワックスの220℃における加熱減量は8重量%以下であることが好ましい。加熱減量が8重量%より大きくなると、トナーのガラス転移点を低下させ、トナーの貯蔵安定性を損なう。現像特性に悪影響を与え、カブリや感光体フィルミングを生じさせる。生成されるトナーの粒度分布がブロードになってしまう。
ヨウ素価、けん化価を規定したワックスのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)における分子量特性、数平均分子量が100〜5000、重量平均分子量が200〜10000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜8、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜10、分子量5×102〜1×104の領域に少なくとも一つの分子量極大ピークを有していることが好ましい。より好ましくは数平均分子量が500〜4500、重量平均分子量が600〜9000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜7、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜9、さらに好ましくは数平均分子量が700〜4000、重量平均分子量が800〜8000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜6、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜8である。
数平均分子量が100より小さく、重量平均分子量が200より小さく、分子量極大ピークが5×102よりも小さい範囲に位置しているとなると貯蔵安定性が悪化する。また現像器内でのハンドリング性が低下し、トナー濃度の均一性保持を阻害する。トナーの感光体フィルミングを生じてしまう。生成されるトナーの粒度分布がブロードになってしまう。
数平均分子量が5000より大きく、重量平均分子量が10000より大きく、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が8より大きく、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が10より大きく、分子量極大ピークが1×104の領域よりも大きい範囲に位置していると、離型作用が弱くなり低温定着性が低下する。ワックスの乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒径を小さくできにくくなる。
第一のワックスとしては、メドウフォーム油誘導体、カルナウバワックス誘導体、ホホバ油誘導体、木ロウ、ミツロウ、オゾケライト、カルナウバワックス、キャンデリアワックス、セレシンワックス又はライスワックス等の材料も好ましく、またこれらの誘導体も好適に使用される。そして一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
メドウフォーム油誘導体としては、メドウフォーム油脂肪酸、メドウフォーム油脂肪酸の金属塩、メドウフォーム油脂肪酸エステル、水素添加メドウフォーム油又はメドウフォーム油トリエステルも好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散液を作成することができる。オイルレス定着における低温定着性と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
メドウフォーム油をけん化分解して得られるメドウフォーム油脂肪酸は4〜30個の炭素原子を有する脂肪酸からなるものが好ましい。その金属塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉛、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト又はアルミニウムなどの金属塩が使用することが出来る。高温非オフセット性が良好である。
メドウフォーム油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチルやグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール又はトリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル又はメドウフォーム油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。低温定着性に効果がある。
水素添加メドウフォーム油はメドウフォーム油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。低温定着性、光沢性を向上できる。
さらには、メドウフォーム油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物を、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、等のイソシアネートで架橋して得られるメドウフォーム油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ホホバ油誘導体としては、ホホバ油脂肪酸、ホホバ油脂肪酸の金属塩、ホホバ油脂肪酸エステル、水素添加ホホバ油、ホホバ油トリエステル、エポキシ化ホホバ油のマレイン酸誘導体、ホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物、ハロゲン化変性ホホバ油も好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散液を作成することができる。樹脂とワックスの均一混合分散が行いやすい。オイルレス定着における低温定着性と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
ホホバ油をけん化分解して得られるホホバ油脂肪酸は4〜30個の炭素原子を有する脂肪酸からなる。その金属塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉛、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウムなどの金属塩が使用することが出来る。高温非オフセット性が良好である。
ホホバ油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチルやグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、ホホバ油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。低温定着性に効果がある。
水素添加ホホバ油はホホバ油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。低温定着性、光沢性を向上できる。
さらには、ホホバ油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物を、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジシソシアネート(MDI) 、等のイソシアネートで架橋して得られるホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ケン化価は、試料1gをけん化するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価とエステル価の和にあたる。ケン化価値を測定するには約0.5Nの水酸化カリウムのアルコール溶液中で試料をケン化した後、0.5Nの塩酸で過剰の水酸化カリウムを滴定する。
ヨウ素価は試料にハロゲンを作用させたときに、吸収されるハロゲンの量をヨウ素に換算し、試料100gに対するg数で表したものをいう。吸収されるヨウ素のグラム数であり、この値が大きいほど試料中の脂肪酸の不飽和度が高いことを示す。試料のクロロホルム又は四塩化炭素溶液にヨウ素と塩化水銀(II)のアルコール溶液又は塩化ヨウ素の氷酢酸溶液を加えて、放置後反応しないで残ったヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定して吸収ヨウ素量を算出する。
加熱減量の測定は試料セルの重量を0.1mgまで精秤(W1mg)し、これに試料10〜15mgを入れ、0.1mgまで精秤する(W2mg)。試料セルを示差熱天秤にセットし、秤量感度を5mgにして測定開始する。測定後、チャートにより試料温度が220℃になった時点での重量減を0.1mgまで読み取る(W3mg)。装置は、真空理工製TGD−3000、昇温速度は10℃/min、最高温度は220℃、保持時間は1minで、加熱減量(%)=W3/(W2−W1)×100、で求められる。
ワックスのDSC法及びMDSC法による吸熱ピーク温度(融点℃)、オンセット温度及び吸熱量はQ100型示差操作熱量計(ティー・エイ・インスツルメンツ社製、冷却には純正の電気冷凍機を使用)を使用し、測定モードを「標準」、パージガス(N2)流量を50ml/minで、電源投入後、測定セル内の温度を30℃に設定し、その状態で1時間放置した後,純正のアルミニウム製のクリンプパンに被測定試料をサンプル量として8mg±2mg入れ、試料が入ったアルミニウム製のクリンプパンを測定機器内に投入した。その後5℃で5min間保持し、昇温速度1℃/minで120℃まで昇温した。解析は、装置に付属の「Universal Analysis Version 4.0」を使用した。
グラフにおいて、横軸にリファレンスである空のアルミニウム製のクリンプパンの温度、縦軸に、DSC法での測定は(数式1)で表されるヒートフローを、MDSC法での測定は(数式2)で表されるリバースヒートフローを取り、ベースラインから吸熱曲線が立ち上がり始める温度をオンセット温度、吸熱曲線のピーク値を吸熱ピーク温度(融点)とした。
DSC法の測定条件は、昇温速度毎分1℃で測定した。一般的にDSC法で測定を行う場合、試料の熱履歴を消すために一旦昇温と冷却を実施した後に再度昇温を行いその際の吸熱を測定するが、試料を溶融することで試料の構造が変化することが予測されたため、熱履歴を消すための昇温過程と冷却過程は省略した。
MDSC法は平均昇温速度毎分1℃、変調周期40秒、変調振幅温度0.106℃で測定した。このとき昇温速度は最小で毎分0℃、最大で毎分2℃まで周期的に変化する。
第一のワックスと第二のワックスの吸熱領域に重なり合う部分がある場合、第一のワックスの吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))と第二のワックスの吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))の間で、DSC法による吸熱曲線において吸熱が極小となる温度を境界として、両者の吸熱量を算出した。
また、第一のワックスとして前述したワックスに代わって、又は併用してヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルの材料も好ましく、一種類又は二種類以上組合せての使用も有効である。均一な乳化分散の小粒径芯粒子の作成が可能となり、第二のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体としては、12−ヒドロキシステアリン酸メチル、12−ヒドロキシステアリン酸ブチル、プロピレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアラート又はエチレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温定着性、紙の分離性改良効果と、感光体フィルミング防止効果がある。
グリセリン脂肪酸エステルとしてはグリセリンステアラート、グリセリンジステアラート、グリセリントリステアラート、グリセリンモノパルミタート、グリセリンジパルミタート、グリセリントリパルミタート、グリセリンベヘナート、グリセリンジベヘナート、グリセリントリベヘナート、グリセリンモノミリスタート、グリセリンジミリスタート又はグリセリントリミリスタート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温時のコールドオフセット性緩和と、転写性低下防止効果がある。
グリコール脂肪酸エステルとしては、プロピレングリコールモノパルミタート若しくはプロピレングリコールモノステアラート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、又はエチレングリコールモノステアラート若しくはエチレングリコールモノパルミタート等のエチレングリコール脂肪酸エステルが好適な材料である。低温定着性、現像での滑りを良くしキャリアスペント防止の効果がある。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタントリパルミタート又はソルビタントリステアラートが好適な材料である。さらには、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、アジピン酸とステアリン酸又はオレイン酸の混合エステル類等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。オイルレス定着における紙の分離性改良効果と、感光体フィルミング防止効果がある。
第ニのワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス又はフィッシャートトプッシュワックス等の脂肪酸炭化水素系ワックスが好適に使用できる。
また、ワックスを混合凝集時に脱離浮遊させず、均一に樹脂中に内包化するためには、ワックスの分散粒度分布、ワックスの組成、ワックスの溶融特性も影響される。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水系媒体中にワックスをイオン交換水中で加熱し、溶融させ分散させることにより調製される。
ワックスの分散粒子径は小粒径側から積算したときの体積粒径積算分布において16%径(PR16)が20〜200nm、50%径(PR50)が40〜300nm、84%径(PR84)が400nm以下、PR84/PR16が1.2〜2.0の大きさにまで乳化分散し、200nm以下の粒子が65体積%以上、500nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
好ましくは、小粒径側から積算したときの体積粒径積算分における16%径(PR16)が20〜100nm、50%径(PR50)が40〜160nm、84%径(PR84)が260nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。150nm以下の粒子が65体積%以上、400nmを越える粒子が10体積%以下である。
さらに好ましくは、小粒径側から積算したときの体積粒径積算分における16%径(PR16)が20〜60nm、50%径(PR50)が40〜120nm、84%径(PR84)が220nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。130nm以下の粒子が65体積%以上、300nmを越える粒子が10体積%以下である。
樹脂粒子分散液と着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合凝集して芯粒子を形成するとき、50%径(PR50)が40〜160nmと微細分散とすることにより、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれやすくワックス自体同士での凝集を防止でき、分散が均一に行える。樹脂粒子に取り込まれ水中に浮遊する粒子をなくすことができる。
さらに芯粒子を水系中で加熱して溶融した凝集粒子を得る際に、表面張力の関係から溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を取り囲み、包含する形となり、樹脂中に離型剤が内包されやすくなる。
PR16が200nmより大きく、50%径(PR50)が300nmより大きく、PR84が400nmよりも大きく、PR84/PR16が2.0よりも大きく、200nm以下の粒子が65体積%未満、500nmを越える粒子が10体積%より多くなると、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれにくくワックス自体同士のみでの凝集が多発する傾向となる。また、芯粒子に取り込まれず、水中に浮遊する粒子が増大する傾向にある。芯粒子を水系中で加熱して溶融した芯粒子を得る際に、溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を包含する形となりにくく、樹脂中にワックスが内包されにくくなる。さらに樹脂を付着融合させる際にトナー母体表面に露出遊離するワックス量が多くなり、感光体へのフィルミング、キャリアへのスペントの増加、現像でのハンドリング性が低下し、また現像メモリーが発生しやすくなる。
PR16が20nmより小さく、50%径(PR50)が40nmより小さく、PR84/PR16が1.2よりも小さくしようとすると、分散状態を維持しづらく、放置時にワックスの再凝集が発生し、粒度分布の放置安定性が低下する傾向となる。また分散時に負荷が大きくなり、発熱が大きくなり、生産性が低下する傾向となる。
ワックスの融点以上の温度に保持された分散剤を添加した媒体中に、前記ワックスをワックス濃度40wt%以下で溶融させたワックス溶融液を、固定体と一定のギャップを介して高速回転する回転体により生じる高せん断力作用により乳化分散させることにより、ワックス粒子を微細に分散できる。
図3、4に示す一定容量の槽内の槽壁に、0.1mm〜10mm程度のギャップを設けて、回転体を30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上の高速で回転することにより、水系に強力なずりせん断力が作用し、微細な粒径の乳化分散液が得られる。処理時間は30s〜5min程度の処理で分散液が形成できる。
また図5、6に示すような固定した固定体に対し、1〜100μm程度のギャップを設けて30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上で回転する回転体との強いせん断力作用を付加することにより、微細な分散液を作成することができる。
ホモジナイザーのような分散機よりも微細な粒子の粒度分布をより狭小化シャープに形成できる。また長時間の放置でも分散液を形成した微粒子が再凝集することなく、安定した分散状態を保つことができ、粒度分布の放置安定性が向上する。
ワックスの融点が高い場合は、高圧状態で加熱することにより溶融した液を作成する。又はワックスを油性溶剤に溶解させる。この溶液を図3、4、5、6に示した分散機を用いて界面活性剤や高分子電解質と共に水中で微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して前記油性溶剤を蒸散させることにより得られる。
粒度測定は堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)、島津製作所レーザ回折粒度測定器(SALD2100)などを用いて測定することができる。
(3)樹脂
本実施形態のトナーの樹脂微粒子としては、例えば熱可塑性結着樹脂が挙げられる。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する不飽和多価カルボン酸系単量体などの単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物等を挙げることができる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビスー4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、や過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
樹脂粒子分散液における前記樹脂粒子の含有量としては、通常5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。
ワックス、着色剤との凝集反応による芯粒子生成において浮遊粒子の存在をなくし、シャープな粒度分布の粒子を形成するために、芯粒子を構成する第一の樹脂粒子のガラス転移点は45℃〜60℃、軟化点が90℃〜140℃であることが好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が45℃〜55℃、軟化点が90℃〜135℃、さらに好ましくは、ガラス転移点が45℃〜52℃、軟化点が90℃〜130℃である。
また、第一の樹脂粒子の好ましい例として、重量平均分子量(Mw)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜6である。好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜5万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3.9である。さらに好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜3万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3である。
これにより、凝集反応の過程で、溶融する樹脂粒子との第一ワックスとの分散性が良化して、芯粒子の粗大化を防ぎ、狭い粒度分布の粒子を効率よく生成することができる。Jmw1/Jw1及びJmw2/Jw2値を一定の数値範囲内に制御することができるものと考察する。また、低温定着性を可能とし、さらに画像光沢度の定着温度に対する変化を少なくし、画像光沢を一定に出来る効果がある。通常は定着温度上昇すると画像の光沢度が上昇するため、定着の温度変動により画像の光沢が変動して定着の温度制御をシビアにする必要があった。しかし、本例により定着温度の変動によっても画像光沢性の変動が少ない効果が得られる。
第一の樹脂粒子のガラス転移点が45℃よりも小さいと、芯粒子が粗大化する。貯蔵安定性や耐熱性が低下する。60℃よりも大きいと低温定着性が悪化する。Mwが1万よりも小さいと芯粒子が粗大化する。貯蔵安定性や耐熱性が低下する。6万よりも大きいと低温定着性が悪化する。Mw/Mnが6よりも大きいと、芯粒子の形状が安定せず、不定形になりやすく、粒子表面に凹凸が残り、表面平滑性の劣るものとなる。
また、芯粒子に第二の樹脂粒子を芯粒子に融着して樹脂融着層を形成することも好ましく、その樹脂の例として、ガラス転移点が55℃〜75℃、軟化点が140℃〜180℃、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された重量平均分子量(Mw)が5万〜50万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10が好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が60℃〜70℃、軟化点が145℃〜180℃、Mwが8万〜50万、Mw/Mnが2〜7である。さらに好ましくは、ガラス転移点が65℃〜70℃、軟化点が150℃〜180℃、Mwが12万〜50万、Mw/Mnが2〜5である。
芯粒子表面の熱融着を促進し、軟化点を高め設定とすることにより、耐久性、耐高温オフセット性、分離性を向上させることが狙いである。第二の樹脂粒子のガラス転移点が55℃よりも低いと二次凝集を生じやすい。また貯蔵安定性が悪化する。75℃よりも高いと、芯粒子表面への熱融着性が悪化し、均一付着性が低下する。第二の樹脂粒子の軟化点が140℃よりも小さいと耐久性、耐高温オフセット性、分離性が低下する。180℃よりも大きいと光沢性、透光性が低下する。Mw/Mnを小さくして分子量分布を単分散に近づけることにより、芯粒子表面への第二の樹脂粒子の熱融着が均一に行うことが出来きる。第二の樹脂粒子のMwが5万よりも小さいと耐久性、高温非オフセット性、紙分離性が低下する。50万よりも大きいと低温定着性、光沢性、透光性が低下する。
また、第一の樹脂粒子はトナー全樹脂に対して60wt%以上であることが好ましく、より好ましくは70wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上である。
樹脂、ワックス及びトナーの分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
装置は、東ソー社製HLC8120GPCシリーズ、カラムはTSKgel superHM−H H4000/H3000/H2000(6.0mmI.D.−150mm×3)、溶離液THF(テトラヒドロフラン)、流量0.6mL/min、試料濃度0.1%、注入量20μL、検出器RI、測定温度40℃、測定前処理は試料をTHFに溶解後一晩放置後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、シリカ等の添加剤を除去した樹脂成分を測定する。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
また、結着樹脂の軟化点は、島津製作所の定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタ(CFT500)により、1cm3の試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより約9.8×105N/m2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのダイから押し出して、このプランジャーのピストンストロークと温度との関係における昇温温度特性との関係から、ピストンストロークが立上り始める温度が流出開始温度(Tfb)、ピストンストローク特性の曲線の最低値と流出終了点の差の1/2を求め、それと曲線の最低値を加えた点の位置における温度を1/2法における溶融温度(軟化点Ts℃)となる。
また、樹脂のガラス転移点は示差走査熱量計(島津製作所DSC−50)を用い、100℃まで昇温し、その温度にて3分間放置した後、降温速度10℃/minで室温まで冷却したサンプルを、昇温速度10℃/minで昇温して熱履歴を測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立上り部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を言う。
(4)顔料
本実施形態に使用される着色剤(顔料)の黒顔料としては、カーボンブラックを使用する。前述したようにカーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)は45〜70である。粒子径は20〜40nmのもが好ましい。好ましくは粒子径は20〜35nmである。粒子径は電子顕微鏡による算術平均径を取っている。粒子径が大きいと着色力が低下する。粒子径が小さいと、液中での分散が困難になる。例えば、三菱化学社製の#52(粒径27nm,DBP吸油量63ml/100g),#50(同28nm,同65ml/100g),#47(同23nm,同64ml/100g),#45(同24nm,同53ml/100g)、#45L(同24nm,同45ml/100g)、キャボット社製のREGAL250R(同35nm、同46ml/100g)、REGAL330R(同25nm、同65ml/100g)、MOGULL(同24nm、同60ml/100g)がこのましい材料である。より好ましくは#45、#45、LREGAL250Rである。
DBP吸油量の測定(JISK6217)は、150℃±1℃で1時間乾燥した試料20g(Ag)をアブソープトメータ(Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを最大トルクの約70%に設定した後、混合機を回転する。同時に自動ビューレットからDBP(比重1.045〜1.050g/cm3)を4ml/minの割合で添加する。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それまでに添加したDBP量(Bml)と試料重量から試料100gあたりのDBP吸油量(=Bx100/A)(ml/100g)が求められる。
また、カラートナーとして使用する顔料の例としては、イエロー顔料は、C.I.ピグメント・イエロー1,3,74,97又は98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12,13,14,17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ソルベンイエロー19,77,79又はC.I.ディスパース・イエロー164が配合され、特に好ましくはC.I.ピグメント・イエロー93,180,185のベンズイミダゾロン系顔料が好適である。
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメント・レッド48,49:1,53:1,57,57:1,81,122,5等の赤色顔料、C.I.ソルベント・レッド49,52,58,8等の赤色染料が好ましく使用できる。
シアン顔料としては、C.I.ピグネント・ブルー15:3等のフタロシアニン及びその誘導体の青色染顔料が好ましく使用できる。添加量は結着樹脂100重量部に対し、3〜8重量部が好ましい。
各粒子のメジアン径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記メジアン径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子が発生し、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記メジアン径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記メジアン径は、例えば堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)などを用いて測定することができる。
(5)外添剤
本実施形態では外添剤として無機微粉末が混合添加される。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物微粉末、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる。外添剤は必要に応じて疎水化処理される。
外添剤に処理されるシリコーンオイル系の材料としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル及びクロルフェニル変成シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理される外添剤が好適に使用される。例えば東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823又はBY16―855B等が挙げられる。
処理は外添剤とシリコーンオイル等の材料とをヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)などの混合機により混合する方法や、外添剤へシリコーンオイル系の材料を噴霧する方法、溶剤にシリコーンオイル系の材料を溶解或いは分散させた後、外添剤と混合した後、溶剤を除去して作成する方法等がある。外添剤100重量部に対して、シリコーンオイル系の材料は1〜20重量部配合されるのが好ましい。
シランカップリング剤としては、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルクロルシラン又はジメチルビニルクロルシラン等が好適に使用できる。シランカップリング剤処理は、外添剤を攪拌等によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理、又は外添剤を溶媒中に分散させたシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法等により処理される。
またシランカップリング処理した後にシリコーンオイル系の材料を処理することも好ましい。
正極帯電性を有する外添剤はアミノシラン、アミノ変性シリコーンオイル又はエポキシ変性シリコーンオイルで処理される。
また、疎水性処理を高めるため、ヘキサメチルジシラザンやジメチルジクロロシラン、他のシリコーンオイルによる処理の併用も好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル又はアルキル変性シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理することが好ましい。
また、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸及び脂肪酸金属塩の群より選ばれた1種又は2種以上(以下脂肪酸等)により外添剤の表面を処理することも好ましい。表面処理したシリカ又は酸化チタン微粉末がより好ましい。
脂肪酸又は脂肪酸金属塩としては、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラクセル酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸又はリノール酸等が挙げられる。中でも炭素数12〜22の脂肪酸が好ましい。
また脂肪酸金属塩を構成する金属としては、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、鉛又はバリウムが挙げられ、中でもアルミニウム、亜鉛又はナトリウムが好ましい。特に好ましくはジステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C1735COO)2)、又はモノステアリン酸アルミニウム(Al(OH)2(C1735COO))、等のジ脂肪酸アルミニウム、モノ脂肪酸アルミニウムである。OH基を有することが過帯電を防止し、転写不良を抑えることができる。また処理時に外添剤との処理性が向上するものと考えられる。
脂肪族アミドとしては、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド、エイコセン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド又はリグリノセリン酸アミド等の炭素数16〜24を有する飽和または1価の不飽和の脂肪族アミドが好ましく用いられる。
脂肪酸エステルとしては例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、若しくは脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、又は脂肪酸トリメチロールプロパンエステル等が好ましく用いられる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
表面処理の好ましい形態としては、処理される外添剤の表面をカツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイル等のポリシロキサンにて処理を施した後に脂肪酸等により処理を施すことも好ましい。単に親水性シリカの脂肪酸を処理する場合よりも均一な処理が可能となり、トナーの高帯電化を図れることと、トナーに添加したときの流動性が向上する効果があるためである。またカツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイルとともに脂肪酸等を処理することでも上記効果を奏する。
脂肪酸等をトルエン、キシレン又はヘキサン等の炭化水素系有機溶剤に溶解し、それとシリカ、酸化チタン、アルミナ等の外添剤とを分散機にかけ湿式混合して処理剤により、外添剤の表面に付着させて、表面処理を施し、その後に溶剤を溜去して乾燥処理を行うことにより生成される。
ポリシロキサンと脂肪酸等との混合割合が1:2〜20:1であることが好ましい。割合が1:2よりも脂肪酸等が多くなると、外添剤の帯電量が高くなり、画像濃度の低下、二成分現像においてはチャージアップが発生しやすくなる。20:1よりも脂肪酸等が少なくなると、転写における中抜け、逆転写性への効果が低下する。
このとき脂肪酸等を表面処理した外添剤の強熱減量は1.5〜25wt%であることが好ましい。より好ましくは5〜25wt%、更に好ましくは8〜20wt%である。1.5wt%より少ないと、処理剤の機能が十分に発揮されず、帯電性、転写性向上の効果が現れない。25wt%よりも多いと未処理剤が存在し、現像性や耐久性に悪影響を与える。
本発明により生成されたトナー母体粒子表面は従来の粉砕方式と異なり、トナー母体粒子表面が平滑で均質化され、また表面が略樹脂のみで構成されているため、帯電の均一性という面からは有利であるが、帯電付与性、或いは帯電保持性に関して使用する外添剤との相性が重要となるためである。
平均粒子径6nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し1〜6重量部外添処理することが好ましい。平均粒子径6nmよりも小さいと、浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い。転写時の逆転写の発生を抑さえ切れない。200nmよりも大きくなると、トナーの流動性が悪化する。1重量部よりも少ないとトナーの流動性が悪化する。転写時の逆転写の発生を抑さえ切れない。6重量部よりも多いと浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い。高温非オフセット性を悪化される。
また、平均粒子径が6nm〜20nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部と、20nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部とを少なくとも外添処理することも好ましい。これにより機能分離した外添剤の使用で、帯電付与性、帯電保持性が向上する、転写時の逆転写、中抜け、トナー飛散に対しよりマージンが取れる。このとき平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量が0.5〜20wt%、平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5〜25wt%であることが好ましい。平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量を、平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量よりも多くすることにより、帯電保持性がとともに転写時の逆転写、中抜けに効果が発揮される。
外添剤の強熱減量を特定することにより、転写時の逆転写、中抜け、飛散りに対しよりマージンが取れる。現像器内でのハンドリング性を向上させトナー濃度の均一性を上げることができる。
平均粒子径が6nm〜20nmの強熱減量が0.5wt%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる。20wt%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる。好ましくは強熱減量が1.5〜17wt%、より好ましくは4〜10wt%である。
平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5wt%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる。25wt%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる。好ましくは強熱減量が2.5〜20wt%、より好ましくは5〜15wt%である。
また、平均粒子径が6nm〜20nm、強熱減量が0.5〜20wt%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2重量部と、平均粒子径が20nm〜100nm、強熱減量が1.5〜25wt%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部、平均粒子径が100nm〜200nm、強熱減量が0.1〜10wt%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部とを少なくとも外添処理することも好ましい。この平均粒子径と強熱減量を特定した機能分離した外添剤により帯電付与性、帯電保持性の向上、転写時の逆転写、中抜けの改善とともに、キャリアの表面への付着物の除去に効果が得られる。
さらには、平均粒子径6nm〜200nm、強熱減量が0.5〜25wt%である正帯電性を有する外添剤をさらにトナー母体粒子100重量部に対し0.2〜1.5重量部を外添処理することも好ましい。
正帯電性を有する外添剤を添加する効果は、トナーが長期連続使用の際に過帯電になることを抑え、より現像剤寿命を延ばすことが可能となる。さらには過帯電による転写時の飛散りを抑える効果も得られる。またキャリアへのスペントを防止できる。0.2重量部よりも少ないとその効果が得にくい。1.5重量部よりも多くなると、現像でのかぶりが増大する。強熱減量は好ましくは1.5〜20wt%、より好ましくは5〜19wt%である。
乾燥減量(%)は、予め乾燥、放冷、精秤した容器に試料約1gを取り、精秤する。熱風乾燥器(105℃±1℃)で2時間乾燥する。デシケータ中で30分間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
乾燥減量(%)=[乾燥による減量(g)/試料量(g)]×100
強熱減量は、予め乾燥、放冷、精秤した磁性ルツボに試料約1gを取り、精秤する。500℃に設定した電気炉中で2時間強熱する。デシケータ中で1時間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
強熱減量(%)=[強熱による減量(g)/試料量(g)]×100
また処理された外添剤の水分吸着量が1wt%以下であることが好ましい。好ましくは0.5wt%以下、より好ましくは0.1wt%以下、さらに好ましくは0.05wt%以下である。1wt%より多いと、帯電性の低下、耐久時の感光体へのフィルミングを生じる。水分吸着量の測定は、水吸着装置については、連続蒸気吸着装置(BELSORP18:日本ベル株式会社)にて測定した。
疎水化度の測定は、メタノール滴定により測定し、250mlのビーカー中に装入した蒸留水50mlに試験すべき生成物0.2gを秤取する。先端に、液体中に浸威しているビュレットからメタノールを外添剤の総量がぬれるまで滴下する。その際不断に電磁攪拌機でゆっくりと攪拌する。完全に濡らすために必須なメタノール量a(ml)から次式により疎水化度が算出される。
疎水化度=(a/(50+a))×100(%)
(6)トナーの粉体物性
本実施形態では、結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母体粒子の体積平均粒径が3〜7μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が10〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が25〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が5体積%以下で含有し、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の体積%をV46とし、個数分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の個数%をP46としたとき、P46/V46が0.5〜1.5の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜25%、個数粒径分布の変動係数が10〜28%であることが好ましい。
好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜6.5μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が20〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が35〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が3体積%以下で含有し、P46/V46が0.5〜1.3の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜20%、個数粒径分布の変動係数が10〜23%である。さらに、好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜5μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が40〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が45〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が1体積%以下で含有し、P46/V46が0.5〜0.9の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜15%、個数粒径分布の変動係数が10〜18%である。
高解像度画質、さらにはタンデム転写における逆転写の防止、中抜けを防止し、オイルレス定着との両立を図ることを可能とできる。トナー中の微粉はトナーの流動性、画質、貯蔵安定性、感光体や現像ローラ、転写体ヘのフィルミング、経時特性、転写性、特にタンデム方式での多層転写性に影響する。さらにはオイルレス定着での非オフセット性、光沢性、透光性に影響する。オイルレス定着実現のためにワックス等のワックスを配合したトナーにおいて、タンデム転写性との両立において微粉量が影響する。
体積平均粒径が7μmを超えると画質と転写の両立が図れない。体積平均粒径が3μm未満であると現像でのトナー粒子のハンドリング性が困難となる。
個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が10個数%未満になると、画質と転写の両立が図れない。75個数%を超えると、現像でのトナー母体粒子のハンドリング性が困難となる。また感光体、現像ローラ、転写体へのフィルミングが発生しやすくなる。さらに微粉は熱ローラとの付着性も大きいためオフセットしやすい傾向にある。またタンデム方式において、トナーの凝集が強くなりやすく、多層転写時に2色目の転写不良を生じ易くなる。
体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が75体積%を超えると、画質と転写の両立が図れない。25体積%未満になると、画質の低下が生じる。
体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が5体積%を越えて含有すると、画質の低下が生じる。転写不良の原因となる。
体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の体積%をV46とし、個数分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の個数%をP46としたとき、P46/V46が0.5よりも小さいとき、微粉存在量が過多になり、流動性の低下、転写性の悪化、地カブリが悪化する。1.5よりも大きいときは、大きい粒子が多く存在しかつ粒度分布がブロードになり、高画質化が図ることが出来ない。
P46/V46を規定する目的は、トナー粒子を小粒径にして、かつその粒度分布を狭くするための指標とできるものである。
変動係数とはトナーの粒径における標準偏差を平均粒径で割ったものである。コールターカウンタ(コールター社)を使用して測定した粒子径をもとにしたものである。標準偏差は、n個の粒子系の測定を行なった時の、各測定値の平均値からの差の2乗を(n−1)で割った値の平方根であらわされる。
つまり変動係数とは粒度分布の広がり具合を表したもので、体積粒径分布の変動係数が10%未満、又は個数粒径分布の変動係数が10%未満となると、生産的に困難であり、コストアップの要因となる。体積粒径分布の変動係数が25%より大、又は個数粒径分布の変動係数が28%より大きくなると、粒度分布がブロードとなり、トナーの凝集性が強くなり、感光体へのフィルミング、転写不良、クリーナーレスプロセスでの残留トナーの回収が困難となる。
粒度分布測定は、コールターカウンタTA−II型(コールターカウンタ社)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続して測定する。電解液は濃度1wt%となるよう界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を加えたもの50ml程度に被測定トナーを2mg程度加え、試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約3分間分散処理を行い、コールターカウンタTA−II型にてアパーチャー70μmのアパーチャーを用いた。70μmのアパーチャー系では、粒度分布測定範囲は1.26μm〜50.8μmであるが、2.0μm未満の領域は外来ノイズ等の影響で測定精度や測定の再現性が低いため実用的ではない。よって測定領域を2.0μm〜50.8μmとした。
また、静嵩密度と動嵩密度から算出されるのが圧縮度で、トナー流動性の指標の一つである。トナーの流動性はトナーの粒度分布、トナー粒子形状、外添剤、ワックスの種類や量に影響される。トナーの粒度分布が狭く微粉が少ない場合、トナーの表面に凹凸が少なく形状が球形に近い場合、外添剤の添加量が多い場合、外添剤の粒径が小さい場合は、圧縮度が小さくなりトナーの流動性は高くなる。圧縮度は5〜40%が好ましい。より好ましくは、10〜30%である。オイルレス定着と、タンデム方式多層転写との両立を図ることが可能となる。5%より小さいと、定着性が低下し、特に透光性が悪化しやすい。現像ロ−ラからトナー飛散が多くなりやすい。40%よりも大きい転写性が低下し、タンデム方式での中抜け、転写不良を生じる。
(7)タンデムカラープロセス
高速にカラー画像を形成するために、本実施形態では、感光体と帯電手段とトナー担持体を含むトナー像形成ステーションを複数個有し、像担持体上に形成した静電潜像を顕像化したトナー像を、前記像担持体に無端状の転写体を当接させて前記転写体に転写させる一次転写プロセスが順次連続して実行して、前記転写体に多層の転写トナー画像を形成し、その後前記転写体に形成した多層のトナー像を、一括して紙やOHP等の転写媒体に一括転写させる二次転写プロセスが実行されるよう構成された転写プロセスにおいて、第1の一次転写位置から第2の一次転写位置までの距離をd1(mm)、感光体の周速度をv(mm/s)とした場合、d1/v≦0.65となる転写位置構成を取る構成で、マシンの小型化と印字速度の両立を図るものである。毎分20枚(A4)以上処理でき、かつマシンがSOHO用途として使用できる大きさの小型化を実現するためには、複数のトナー像形成ステーション間を短く、かつプロセス速度を高める構成が必須である。その小型化と印字速度の両立のためには上記値が0.65以下とする構成がミニマムと考えられる。
しかし、このトナー像形成ステーション間を短いとき、例えば1色目のイエロートナーが一次転写された後、次の2色目のマゼンタトナーが一次転写されるまでの時間が極めて短く、転写体の帯電緩和又は転写されたトナーの電荷緩和が殆ど生じず、イエロートナーの上にマゼンタトナーを転写する際に、マゼンタトナーがイエロートナーの電荷作用により反発され、転写効率の低下、転写時の文字の中抜けという問題が生じる。さらに第3色目のシアントナーの一次転写の時、前のイエロー、マゼンタトナーの上に転写される際にシアントナーの飛び散り、転写不良、転写中抜けが顕著に発生する。さらに繰り返し使用しているうちに特定粒径のトナーが選択的に現像され、トナー粒子個々の流動性が大きく異なると摩擦帯電する機会が異なるため、帯電量のバラツキが生じ、より転写性の劣化を招いてしまう。
そこで、本実施形態のトナー又は二成分現像剤を使用することにより、帯電分布が安定化しトナーの過帯電を抑えると共に、流動性変動を抑えることができる。そのため定着特性を犠牲にすることなく、転写効率の低下、転写時の文字の中抜け、逆転写を防止することができる。
(8)オイルレスカラー定着
本実施形態では、トナーを定着する手段にオイルを使用しないオイルレス定着の定着プロセスを具備する電子写真装置に好適に使用される。その加熱手段としては電磁誘導加熱がウオームアップ時間の短縮、省エネの観点から好ましい。磁場発生手段と、電磁誘導により発生する発熱層及び離型層を少なくとも有する回転加熱部材と、前記回転加熱部材と一定のニップを形成している回転加圧部材とを少なくとも有する加熱加圧手段を使用して、回転加熱部材と回転加圧部材間にトナーが転写された複写紙等の転写媒体を通過させ、定着させる。その特徴として、回転加熱部材のウオームアップ時間が従来のハロゲンランプを使用している場合に比べて、非常に早い立ち上がり性を示す。そのため回転加圧部材が十分に昇温していない状態で複写の動作に入るため、低温定着と広範囲な耐オフセット性が要求される。
加熱部材と定着部材を分離した定着ベルトを使用した構成も好ましく使用される。そのベルトとしては耐熱性と変形自在性とを有するニッケル電鋳ベルトやポリイミドベルトの耐熱ベルトが好適に用いられる。離形性を向上するために表面層としてシリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂を用いるのが好ましい。
これらの定着においては、従来は離型オイルを塗布してオフセットを防止してきた。オイルを使用せずに離型性を有するトナーにより、離型オイルを塗布する必要はなくなった。しかし、離型オイルを塗布しないと帯電しやすく、未定着のトナー像が加熱部材又は定着部材と近接すると帯電の影響により、トナー飛びが生じる場合がある。特に低温低湿下において発生しやすい。
そこで、本実施形態のトナーの使用により、オイルを使用せずとも低温定着と広範囲な耐オフセット性を実現でき、カラー高透光性を得ることができる。またトナーの過帯電性を抑制でき加熱部材又は定着部材との帯電作用によるトナーの飛びを抑えられる。
(1)キャリア製造例
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe23換算で49.6mol%及びSrO換算で0.8mol%を湿式ボールミルで、10時間粉砕し、混合し、乾燥させた後、950℃で4時間保持し、仮焼成を行った。これを湿式ボールミルで24時間粉砕し、次いでスプレードライヤにより造粒し、乾燥し、電気炉にて、酸素濃度2%雰囲気の中で1270℃で6時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに分級して平均粒径50μm、印加磁場が3000エルステットの時の飽和磁化が65emu/gであるフェライト粒子の芯材を得た。
次に、(化1)で示されるR1、R2がメチル基、すなわち(CH32SiO2/2単位が15.4mol%、(化2)で示されるR3がメチル基、すなわちCH3SiO3/2単位が84.6mol%であるポリオルガノシロキサン250gと、CF3CH2CH2Si(OCH3321gとを反応させフッ素変性シリコーン樹脂を得た。さらにそのフッ素変性シリコーン樹脂を固形分換算で100gとアミノシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)10gとを秤量し、300ccのトルエン溶剤に溶解させた。
Figure 2007086195
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前記フェライト粒子10kgに対し、液浸乾燥式被覆装置を用い、上記被覆樹脂溶液を20分間攪拌することによりコーティングを行った。その後260℃で1時間焼き付けを行い、キャリアCA1を得た。
(2)樹脂粒子分散液の作成
次に本発明のトナーの実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(a)樹脂粒子分散液RL1の調製
スチレン240.1gと、n−ブチルアクリレート59.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)7.2g、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(20wt%濃度))24g(実質アニオン量4.8g)、ドデカンチオール6gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム4.5gを加えて、75℃で4時間乳化重合を行った。その後さらに90℃で2時間熟成処理を行い、Mnが7200、Mwが13800、Mzが20500、Mpが10800、Tsが98℃、Tgが52℃、中位径が0.14μmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液RL1を調製した。このときの樹脂分散液のpHは1.8であった。
(表1)は、樹脂粒子分散液の作成例として調製された本発明に係る樹脂粒子分散液(RL1、RL2、RL3、RH1、RH2、rl4、rl5、rh3、rh4)において得られた結着樹脂の特性を示す。なお、“Mn”は数平均分子量、“Mw”は重量平均分子量、“Mz”はZ平均分子量、“Mw/Mn”は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mn、“Mz/Mn”はZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)の比Mz/Mn、“Mp”は分子量のピーク値、Tg(℃)はガラス転移点、Ts(℃)は軟化点を表わす。(表2)に各樹脂粒子分散液に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率(wt%)を示す。(表3)に各樹脂粒子分散液RL2、RL3、RH1、RH2、rl4、rl5、rh3、rh4の乳化重合において、樹脂粒子分散液RL1の調製をベースに各樹脂粒子分散液に使用したモノマー等の配合量等を示す。
Figure 2007086195
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(3)顔料分散液の作成
(a)1Lのビーカーにイオン交換水308gおよび非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)を12gを秤量し、マグネットスターラーで界面活性剤の固形分が溶解するまで撹拌した。この界面活性剤水溶液にシアン顔料(大日本インキ社製KETBLUE111)を80g添加し、さらに引き続いて、マグネットスターラーで10分間撹拌した。次に、1Lのトールビーカーに内容物を移しかえ、ホモジナイザー(IKA製、T−25)を用いて回転数9500rpmで10分間分散した。この分散液をさらに、分散機(特殊機化社製T−Kフィルミックス:56−50)で分散した。作製した分散液を顔料粒子分散液PM1とした。顔料濃度は20wt%であった。顔料粒子分散液PM1の調整条件をベースに、各顔料分散液に使用した顔料を(表4)に示す。
Figure 2007086195
(3)ワックス分散液の作成
(a)ワックス粒子分散液WA1の調製
図3に攪拌分散装置(特殊機化社製T−Kフィルミックス)の概略図、図4に上から見た図を示す。801が外槽でその内部に冷却水を808から注入し、807から排出されるようにしている。802は被処理液がせき止める堰板で中央部に穴があけられており、ここから処理された液が順次805を通じて外部に取り出す。803が高速で回転する回転体でシャフト806に固定され、高速に回転できる。回転体の側面には、1〜5mm程度の穴があけられており、被処理液の移動を可能とする。槽は120mlで、被処理液はその2分の1程度投入する。回転体の速度MAXは50m/sまで可能である。回転体の径は52mm、槽の内径は56mmである。804は連続処理の場合の原料注入口である。高圧処理やバッチ式のときは封印している。
槽内を常圧の状態で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、第一のワックス(W−1)5gと第二のワックス(W−11)25gを仕込み、回転体の速度は30m/sで5min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理した。ワックス粒子分散液WA1が形成された。(表5)、(表6)及び(表7)は、ワックス粒子分散液の作成例として形成した本実施例に係るワックス粒子分散液の作成において、それぞれ使用したワックス材料及びその特性を示す。
Figure 2007086195
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以下、ワックス粒子分散液WA1の調整条件をベースに、(表8)に作成した各ワックス粒子分散液ワックス粒子分散液(WA1〜WA8、wa9〜wa15)に使用したワックス、使用した界面活性剤の種類と特性を示す。“第一のワックス”及び“第二のワックス”は、ワックス粒子分散液に仕込まれたワックス材料を示し、ワックスを示す符号末尾の( )内の値は前記ワックスの配合重量組成量(重量割合)を表わす。WA1同様ワックス全量30gとした比率を示す。また、“PR16”は、ワックス粒子分散液におけるワックス粒子の体積基準による粒径分布において小粒径側から積算したときの16%点での粒径を、同様に、“PR50”は同50%径を、“PR84”は同84%径を表わす。また、“PR84/PR16”は、84%径(PR84)と16%径(PR16)の比PR86/PR16を表わす。
Figure 2007086195
(表9)にワックス粒子分散体に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率(wt%)を示す。
Figure 2007086195
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(固形分20wt%濃度))を使用した液においては、顔料濃度は20wt%程度となるようにイオン交換水を調整した。表中の重量比は実質のアニオン量比を示し、トータル量を同一量としている。
(5)トナー母体の作成
(a)トナー母体M1の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、シアン顔料粒子分散液PC1を40g、ワックス粒子分散液WA1を30g添加し、イオン交換水150mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合粒子分散液のpH値は10.1)で、水溶液のpH値を9.0に調整した23wt%濃度の硫酸マグネシウム水溶液800gを30minの所要時間にて連続して滴下し1時間加熱処理し、その後90℃に昇温して3時間加熱処理し、芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.2であった。
その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH1を100g添加し、滴下終了後1.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。
そして、冷却後、生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径3.7μm、変動係数16.3であった。
トナー母体M2、M4、M5は、M1の条件をベースにして、ワックス粒子分散液を変えて、芯粒子の凝集性を観察した。
(b)トナー母体M3の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、シアン顔料粒子分散液PC1を36g、ワックス粒子分散液WA3を40g添加し、イオン交換水150mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合分散液のpH値は8.4)で、水溶液のpH値を5.4に調整した23wt%濃度の硫酸マグネシウム水溶液800gを100minの所要時間にて連続して滴下し、1時間加熱後90℃に昇温し、3時間加熱処理して芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.0であった。
その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを6.8に調整した第二の樹脂粒子分散液RH1を70g添加し、滴下終了後1.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。
そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.7m、変動係数16.9であった。
トナー母体M6は、M3の条件をベースにして、ワックス粒子分散液を変えて、芯粒子の凝集性を観察した。
(c)トナー母体M7の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、シアン顔料粒子分散液PC1を44g、ワックス粒子分散液WA7を50g添加し、イオン交換水150mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。
その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23wt%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を900g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後3時間加熱処理し芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。
その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを6.8に調整した第二の樹脂粒子分散液RH1を120g添加し、滴下終了後1.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。
そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径4.9m、変動係数19.1であった。
トナー母体M8、m9〜m17は、M6の条件をベースにして、ワックス粒子分散液等を変えて、試作評価した。
トナー母体m16は、M6の条件をベースにして、ワックス粒子分散液をwa7を15gと、wa4を30gを別々に添加して試作した。
トナー母体m17は、M6の条件をベースにして、ワックス粒子分散液をwa10を15gと、wa12を30gを別々に添加して試作した。
(表10)は、トナー母体の作成例として作成した本発明に係るトナー母体(M1〜M8)及び比較のためのトナー母体(m9〜m17)について、それぞれの組成及び作成されたトナー母体において得られた特性を示す。また(表11)にトナー母体粒子の体積平均粒径d50(μm)、トナー母体におけるトナー母体粒子の体積基準での粒径分布の広がりを示した変動係数、Jmw1/Jw1、Jmw2/Jw2、及び芯粒子凝集性の状態を示す。
Figure 2007086195
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乳化樹脂微粒子と、顔料微粒子およびワックス微粒子とを凝集、融着させてトナーを製造する過程で、顔料微粒子およびワックス微粒子が樹脂微粒子に囲まれてトナー内部に取り込まれているかどうかの確認は、凝集、融着反応中の反応液を一定時間おきに取り出し、遠心分離にかけることにより、判断できる。顔料微粒子およびワックス微粒子がトナーの内部に取り込まれていれば、反応液は遠心分離にかけると、固液2層に分かれ、上澄み液は無色透明になる。ワックス微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が白濁する。また、顔料微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が顔料の色相を示す。たとえば、シアントナーなら、シアン色、ブラックトナーなら黒色を示す。
芯粒子の凝集性は、芯粒子凝集反応中にサンプリングした分散液は等量のイオン交換水で希釈した後、試験管に入れ、遠心分離器に3000min-1で5分間かけた。遠心分離した上澄み液の濁度を目視で判断した状態を示している。
M1〜M8は2時間(h)〜3時間(h)で上澄み液が透明となり、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得られる。また、Jmw1/Jw1は0.09〜0.43となり、第一ワックスのMDSC法による吸熱量はDSC法による吸熱量に比べて減少し0.5以下となっている現象が見られる。また、Jmw2/Jw2は0.58〜1.17となり、第二ワックスのDSC法による吸熱量に対するMDSC法による吸熱量の減少の程度は、第一ワックスよりも減少しておらず、Jmw2/Jw2は0.5以上を示している。
表11においてM6、M8はJmw2/Jw2が1.0以上になっている。これは、融点の高い第二ワックスを一定以上の配合割合で使用したため、結晶化時の発熱量が大きくなったことが要因と推定される。結晶化に伴う発熱は、DSC法で検出され、DSC法の吸熱量の一部が結晶化に伴う発熱量によって相殺される。一方、MDSC法では熱的緩和現象である結晶化に伴う発熱量は検出されず、吸熱量が相殺されない。これにより、MDSC法による吸熱量がDSC法による吸熱量よりも大きくなったためにMDSC法による吸熱量/DSC法による吸熱量の比が1.0以上となったものと推定される。
図7AにM7トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図7BにM7トナー母体のMDSC法の吸熱曲線を示す。DSC法の測定条件は、昇温速度毎分1℃で測定した。一般的にDSC法で測定を行う場合、試料の熱履歴を消すために一旦昇温と冷却を実施した後に再度昇温を行いその際の吸熱を測定するが、試料を溶融することで試料の構造が変化することが予測されたため、熱履歴を消すための昇温過程と冷却過程は省略した。
MDSC法は平均昇温速度毎分1℃、変調周期40秒、変調振幅温度0.106℃で測定した。このとき昇温速度は最小で毎分0℃、最大で毎分2℃まで周期的に変化する。測定温度範囲はDSC法、MDSC法ともに5℃から120℃までとした。
図7A,図7Bのように第一のワックスと第二のワックスの吸熱領域に重なり合う部分がある場合、第一のワックスの吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))と第二のワックスの吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))の間で、DSC法による吸熱曲線において吸熱が極小となる温度を境界として、両者の吸熱量を算出した。
第一のワックスのみを単独で使用したm9、m10は凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。また、第二のワックスのみを単独で使用したm11、m12も凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。表11中、凝集反応後の液の透明性に関して、“A”はOKレベルで凝集に加わらない浮遊したワックス粒子の残留がほとんど見られない良好な状態、“B”は上澄液が白濁した状態にあるものの、出力1mWのレーザーポインタで波長635nmの赤色光を照射した場合の透過率が40%〜80%となる状態であり、“C”は透過率が40%未満となる状態である。
図8Aにm10トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図8Bにm10トナー母体のMDSC法の吸熱曲線、図9Aにm12トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図9Bにm12トナー母体のMDSC法の吸熱曲線を示す。第一のワックス、第二のワックスをそれぞれ単独で用いた場合、図8A,図8B、図9A,図9Bに示すように、MDSC法による分析でも、DSC法による分析と同様に吸熱ピークがみられ、MDSC法による吸熱ピークの減少は見られない。
ワックスの分散液をwa14で作成したm14トナー母体も凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。図10Aにm14トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図10Bにm14トナー母体のMDSC法の吸熱曲線を示す。樹脂粒子とワックスとの分散が不均一で相溶化も進んでいないため、第一ワックスのJmw1/Jw1、第二ワックスのJmw2/Jw2も1以上の高い値となっている。1以上の値を示したのはワックスが結晶化する際の発熱量が大きくためと考えられる。ワックスの分散液をwa13、wa15で作成したm13トナー母体、m15トナー母体も凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。樹脂粒子とワックスとの分散が不均一で相溶かも進んでいないため、第一ワックスのJmw1/Jw1は0.5以上の高い値となり、また第二ワックスのJmw2/Jw2も高い値となっている。
m16トナー母体は凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。図11Aにm16トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図11Bにm16トナー母体のMDSC法の吸熱曲線を示す。第二ワックスのDSC法による吸熱量に対するMDSC法による吸熱量の減少の程度は、第一ワックスと同様減少し、Jmw2/Jw2は0.5以下を示している。高融点のワックスの樹脂粒子との相溶化が進んだ結果と思われ、定着時の高温オフセット性が弱くなる傾向にある。
(6)外添剤
次に、外添剤の例について述べる。(表12)は、本実施例で使用した外添剤(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9)について、それぞれの材料及びその特性を示す。
Figure 2007086195
処理材料1と処理材料2の複数種で処理しているものは、( )に各処理材料の配合重量割合を示している。“5分値”及び“30分値”は帯電量([μC/g])を表わし、これらは、ノンコートのフェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃、45RH%の環境下で、100mlのポリエチレン容器にキャリア50gとシリカなど0.1gを混合し、縦回転にて100分間-1の速度で5分、30分間攪拌した後、0.3g採取し、窒素ガス1.96×104[Pa]で1分間ブローして測定した。
負帯電性では5分値が−100〜−800μC/gで、30分の値が−50〜−600μC/gであることが好ましい。高い帯電量のシリカでは少量の添加量で機能を発揮できる。
ヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)により、溶剤に処理剤A,Bを溶解分散させた後、外添剤と混合した後、溶剤を除去して作成した。外添剤100重量部に対して、10重量部配合した。処理剤A、Bでの括弧内の数字はAとBの配合割合を示す。
(表13)に本実施例に本実施例で使用したトナー材料組成を示す。他のマゼンタトナー、黒トナー、イエロートナーは顔料にPM1,PB1,PY1を使用して、他の組成はシアントナー組成と同様とした。
Figure 2007086195
外添剤はトナー母体100重量部に対する配合量(重量部)を示している。外添処理は(ヘンシェルミキサーFM20B、三井鉱山社製)において、攪拌羽根Z0S0型、回転数2000min-1、処理時間5min、投入量1kgで行った。
図1は本実施例で使用したフルカラー画像形成用の画像形成装置の構成を示す断面図である。図1において、カラー電子写真プリンタの外装筐は省略している。転写ベルトユニット17は、転写ベルト12、弾性体よりなる第1色(イエロー)転写ローラ10Y、第2色(マゼンタ)転写ローラ10M、第3色(シアン)転写ローラ10C、第4色(ブラック)転写ローラ10K、アルミローラよりなる駆動ローラ11、弾性体よりなる第2転写ローラ14、第2転写従動ローラ13、転写ベルト12上に残ったトナー像をクリーニングするベルトクリーナブレード16、クリーナブレードに対向する位置にローラ15を設けている。このとき、第1色(Y)転写位置から第2色(M)転写位置までの距離は70mm(第2色(M)転写位置から第3色(C)転写位置、第3色(C)転写位置から第4色(K)転写位置も同様距離)、感光体の周速度は125mm/sである。
転写ベルト12は、絶縁性ポリカーボネート樹脂中に導電性のフィラーを混練して押出機にてフィルム化して用いる。本実施例では、絶縁性樹脂としてポリカーボネート樹脂(たとえば三菱ガス化学製,ユーピロンZ300)95重量部に、導電性カーボン(たとえばケッチェンブラック)5重量部を加えてフィルム化したものを用いた。また、表面にフッ素樹脂をコートし、厚みは約100μm、体積抵抗は107〜1012Ω・cm、表面抵抗は107〜1012Ω/□である。ドット再現性を向上させるためもある。転写ベルト12の長期使用による弛みや,電荷の蓄積を有効に防止できるようにするためであり、表面をフッ素樹脂でコートしているのは、長期使用による転写ベルト表面へのトナーフィルミングを有効に防止できるようにするためである。体積抵抗が107Ω・cmよりも小さいと、再転写が生じ易く、1012Ω・cmよりも大きいと転写効率が悪化する。
第1転写ローラは外径8mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第1転写動作時には、第1転写ローラ10は、転写ベルト12を介して感光体1に1.0〜9.8(N)の押圧力で圧接され、感光体上のトナーがベルト上に転写される。抵抗値が102Ωよりも小さいと、再転写が生じ易い。106Ωよりもおおきと転写不良が生じ易くなる。1.0(N)よりも小さいと転写不良を生じ、9.8(N)よりも大きいと転写文字抜けが生じる。
第2転写ローラ14は外径10mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第2転写ローラ14は、転写ベルト12及び紙、OHP等の転写媒体19とを介して転写ローラ13に圧接される。この転写ローラ13は転写ベルト12に従動回転可能に構成している。第2次転写での第2転写ローラ14と対向転写ローラ13とは5.0〜21.8(N)の押圧力で圧接され、紙等の記録材上19に転写ベルトからトナーが転写される。抵抗値が102Ωよりも小さいと、再転写が生じ易い。106Ωよりもおおきと転写不良が生じ易くなる。5.0(N)よりも小さいと転写不良となり、21.8(N)よりも大きいと負荷が大きくなり、ジッタが出やすくなる。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色用の4組の像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが、図のように直列状に配置されている。
各像形成ユニット18Y、18M、18C、18K、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するためY用の像形成ユニット18Yについて説明し、他色用のユニットの説明については省略する。
像形成ユニットは以下のように構成されている。1は感光体、3は画素レーザ信号光、4は内部に1200ガウスの磁力を有する磁石を有するアルミよりなる外径10mmの現像ロ−ラで、感光体とギャップ0.3mmで対向し、矢印の方向に回転する。6は攪拌ローラで現像器内のトナーとキャリアを攪拌し、現像ローラへ供給する。キャリアとトナーの配合比を透磁率センサーにより読み取り(図示せず)、トナーホッパー(図示せず)から適時供給される。5は金属製の磁性ブレードで現像ローラ上に現像剤の磁気フ゛ラシ層を規制する。現像剤量は150g投入している。ギャップは0.4mmとした。電源は、省略しているが、現像ローラ4には−500Vの直流と、1.5kV(p−p)、周波数6kHzの交流電圧が印加される。感光体と現像ローラ間の周速度比は1:1.6とした。またトナーとキャリアの混合比は93:7とし、現像器中の現像剤量は150gで行った。
2はエピクロルヒドリンゴムよりなる外径10mmの帯電ローラで直流バイアス−1.2kVが印加される。感光体1表面を−600Vに帯電する。8はクリーナ、9は廃トナーボックス、7は現像剤である。
紙搬送は転写ユニット17の下方から搬送され、転写ベルト12と第2転写ローラ14との圧接されたニップ部に紙給送ローラ(図示せず)により紙19が送られてくるように、紙搬送路が形成されている。
転写ベルト12上のトナーは第2転写ローラ14に印加された+1000Vにより紙19に転写され、定着ローラ201、加圧ローラ202、定着ベルト203、加熱媒体ローラ204、インダクションヒータ部205から構成される定着部に搬送され、ここで定着される。
図2にその定着プロセス図を示す。定着ローラ201とヒートローラ204との間にベルト203がかけられている。定着ローラ201と加圧ローラ202との間に所定の加重がかけられており、ベルト203と加圧ローラ202との間でニップが形成される。ヒートローラ204の外部周面にはフェライトコア206、とコイル207よりなるインダクションヒータ部205が設けられ、外面には温度センサー208が配置されている。
ベルトは30μmのNiを基体としてその上にシリコーンゴムを150μm、さらにその上にPFAチューブ30μmの重ねあわせた構成である。
加圧ローラ202は加圧バネ209により定着ローラ201に押しつけられている。トナー210を有する記録材19は、案内板211に沿って動く。
定着部材としての定着ローラ201は、長さが250mm、外径が14mm、厚さ1mmのアルミニウム製中空ローラ芯金213の表面に、JIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が20度のシリコーンゴムからなる厚さ3mmの弾性層214を設けている。この上にシリコーンゴム層215が3mmの厚みで形成され外径が約26mmとなっている。図示しない駆動モータから駆動力を受けて125mm/sで回転する。
ヒートローラ204は肉厚1mm、外径20mmの中空パイプからなっている。定着ベルト表面温度はサーミスタを用いて表面温度170度に制御した。
加圧部材としての加圧ローラ202は、長さが250mm、外径20mmである。これは外径16mm、厚さ1mmのアルミニウムからなる中空ローラ芯金216の表面にJIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が55度のシリコーンゴムからなる厚さ2mmの弾性層217を設けている。この加圧ローラ202は、回転可能に設置されており、片側147Nのバネ加重のバネ209によって定着ローラ201との間で幅5.0mmのニップ幅を形成している。
以下、動作について説明する。フルカラーモードではY,M,C,Kのすべての第一転写ローラ10が押し上げられ、転写ベルト12を介して像形成ユニットの感光体1を押圧している。この時第一転写ローラには+800Vの直流バイアスが印加される。画像信号がレーザ光3から送られ、帯電ローラ2により表面が帯電された感光体1に入射し、静電潜像が形成される。感光体1と接触し回転する現像ローラ4上のトナーが感光体1に形成された静電潜像を顕像化する。
このとき像形成ユニット18Yの像形成の速度(感光体の周速に等しい125mm/s)と転写ベルト12の移動速度は感光体速度が転写ベルト速度よりも0.5〜1.5%遅くなるように設定されている。
像形成工程により、Yの信号光3Yが像形成ユニット18Yに入力され、Yトナーによる像形成が行われる。像形成と同時に第1転写ローラ10Yの作用で、Yトナー像が感光体1Yから転写ベルト12に転写される。このとき第1転写ローラ10Yには+800Vの直流電圧を印加した。
第1色(Y)第一転写と第2色(M)第一転写間のタイムラグを持たせて、Mの信号光3Mが像形成ユニット18Mに入力され、Mトナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10Mの作用で、Mトナー像が感光体1Mから転写ベルト12に転写される。このとき第一色(Y)トナーが形成されている上にMトナーが転写される。同様にC(シアン)、K(ブラック)トナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10C、10Kの作用で、YMCKトナー像が転写ベルト12上に形成される。いわゆるタンデム方式と呼ばれる方式である。
転写ベルト12上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のKトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセット(図示せず)から送られる紙19に、第2転写ローラ14の作用で一括転写される。このとき転写ローラ13は接地し、第2転写ローラ14には+1kVの直流電圧を印加した。紙に転写されたトナー像は定着ローラ対201・202により定着された。紙はその後排出ローラ対(図示せず)を経て装置外に排出された。中間転写ベルト12上に残った転写残りのトナーは、クリーニングブレード16の作用で清掃され次の像形成に備えた。
(画像出し評価例)
次に、トナー及び二成分現像剤についての画像出し評価の例について述べる。ここでは、画像形成装置を用い、トナーとキャリアとの混合比率を変えた数種の二成分現像剤について、それぞれA4版出力で10万枚のランニング耐久試験を行って、帯電量及び画像濃度を測定すると共に、出力サンプルにおける非画像部での地かぶり、全面ベタ画像での均一性、及び転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)、並びにトナーフィルミングについて評価した。画像濃度(ID)評価はMacbeth Division of Kollmorgen Instruments Corporate製の反射濃度計 RD−914を用いて黒ベタ部を測定した。
なお、帯電量は、フェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃、相対湿度45%RHの環境下で、耐久性評価のサンプルを0.3g採取し、窒素ガス1.96×104Paで1分間ブローして測定した。
(表14)は、本実施例で使用した、本発明に係る二成分現像剤(DM1〜DM8)及び比較のための二成分現像剤(cm9〜cm17)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアの構成、及びA4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。表中、カブリレベルは、Gretag Macbeth社製Spectrolino Spectro Scanにより、0.07以下であればより良好なレベル“A”、0.07を超え、0.1未満であればややカブリが増加したレベル“B”、0.1以上では問題あるレベル“C”を表わす。
全面ベタ画像均一性においては、A4サイズにおける全面にベタ画像サンプルを取ったときに、部分的に画像濃度に変化が少なく画像濃度差が小さいレベルであれば“A”、“A”の比べて画像濃度差がやや見られる程度のレベルであれば“B”、部分的に画像濃度の差が目立つレベルであれば“C”で表わす。
転写時の文字飛びにおいては、「轟、議、魏」の文字を印写したとき、線の周辺に存在するトナーの状態で評価し、線の周辺に存在するトナーが少なくレベルであれば“A”、線の周辺にトナーが少し存在するレベルであれば“B”、線の周辺に存在するトナーが多いレベルであれば“C”で表わす。
逆転写は、2色以上の画像サンプルを印字した時、1色目の色のトナーが感光体から転写ベルトに転写された後、2色目の色のトナーが感光体から転写ベルトに転写される際、1色目の色のトナーの一部が2色目の感光体に付着してしまう現象をいう。評価は、その1色目のトナーが2色目の感光体に付着してクレーニングブレードで感光体から除去され、廃トナーボックスに回収されるトナーの量を目視して評価する。1色目のトナーと2色目のトナーがほとんど混ざっていなければ“A”、1色目のトナーと2色目のトナーがやや混ざっているレベルであれば“B”、混ざっているのが明らかには分かれば“C”、で表わす。
転写中抜けにおいては、線が交差するパターン「+」を印字し、この交点においてトナーの存在状態を評価する。交点においてトナーが存在しているレベルであれば“A”、交点においてトナーの不存在の部分が少しあるレベルであれば“B”、交点においてトナーが存在しない状態であれば“C”で表わす。
Figure 2007086195
本発明に係るトナーを使用した二成分現像剤DM1〜DM8は、A4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施したときの感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。
また、ランニング試験前後での画像濃度について、本発明に係るトナーを使用した二成分現像剤DM1〜DM8は、いずれも、画像濃度1.3以上の高濃度の画像が得られた。そして、A4版紙10万枚の耐久試験後においても、二成分現像剤の流動性が安定しており、画像濃度は1.3以上と変化が少なく安定した特性を示した。
また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性について、本発明に係る二成分現像剤DM11〜DM20は、いずれも、高画像濃度で非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。
また、連続使用においても、縦筋の異常画像は発生しなかった。そして、キャリアへのトナー成分のスペント化現象もほとんど生じなかった。そして、キャリア抵抗の変化、帯電量の低下も少なく、更に全面ベタ画像をとり続けてトナーを急速に補給した時の帯電立ち上がり性も良好であり、高湿環境下でかぶりが増大する現象も見られなかった。また、長期使用においても、高い飽和帯電量が長期間維持できた。また、低温低湿下での帯電量の変動もほとんど生じなかった。
また、転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)について、本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM8は、いずれも、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。
なお、トナーとキャリアとの混合比率を5〜20wt%まで変えても、本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM8は、画像濃度、地かぶり等の画質の変化が少なく、トナー濃度の広い制御が可能となった。
一方、比較のための二成分現像剤cm9〜cm17は、ランニング耐久試験において、感光体上へのトナーフィルミングが発生するものや、ランニング試験前後での画像濃度についても、低濃度であったり、長期使用にいて帯電量上昇による画像濃度低下が発生したり、非画像部でのかぶりが増加したりした。更に、全面ベタ画像をとり続けてトナーを急速に補給した時に、帯電低下が生じ、かぶりが増大した。特に、高湿環境下ではその現象が悪化した。なお、トナーとキャリアとの混合比率は、6〜8wt%の範囲では濃度を変化させても画像濃度、地かぶり等の画質の変化は少なかったものの、これより小さい値になると画像濃度の低下が生じ、また、大きい値になると地かぶりが増大した。
次に、フルカラー画像における定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を(表15)に示す。表中、貯蔵安定性テストの"A"は評価の結果が良好であり、高温での放置後熱凝集が生じず、粉体状態を保っていることを示す。“B”は評価のレベルがAに比べてやや劣るが、30g/cm2以上の少しの荷重で凝集がほぐれることを示す。"C"は問題があり、高温での放置後、凝集塊の状態となりで300g/cm2以上の荷重をかけないと塊が崩落しないことを表わす。
ここでは、付着量1.2mg/cm2のベタ画像をプロセス速度125mm/s、オイルを塗布しないベルトを用いた定着装置にて、OHP用フィルム透過率(定着温度160℃)、並びに最低定着温度及び高温でのオフセット現象発生温度を測定した。また、貯蔵安定性は、55℃、24時間の放置後のトナーの状態を評価した。
なお、OHP用フィルム透過率は、分光光度計U−3200(日立製作所)で、700nmの光の透過率を測定した。
Figure 2007086195
本発明に係るトナーTM1〜TM8は、定着性について、いずれも、OHP用フィルム透過率が80%以上を示しており、良好である。また、非オフセット性についても、オイルを使用しない定着ローラにおいて、非オフセット温度幅が広い範囲で得られ、定着可能温度範囲(最低定着温度から高温オフセット現象発生温度までの幅)が広い。なお、普通紙の全面ベタ・フルカラー画像20万枚でも、オフセット現象は全く発生しなかった。また、シリコーン又はフッ素系の定着ベルトでオイルを塗布せずともベルトの表面劣化現象はみられない。また、高温貯蔵安定性についても、50℃24時間の貯蔵安定性においても凝集はほとんど見られなかった。また、定着ベルトへの紙の巻付き性についても、定着ニップ部でのOHP用フィルムのジャムは発生しなかった。
tm9、tm10、tm16トナーではオフセット性が弱くなっており、定着可能領域のマージンが狭い。逆にtm11、tm12、tm14、tm15トナーでは低温定着性が悪く、定着可能領域のマージンが狭い。tm9〜tm17トナーはワックスや樹脂の浮遊粒子がトナーに残存した影響と思われる貯蔵安定性が悪化した。
本発明のトナーは、プリンター、ファクシミリ装置などの画像形成装置に好適に使用される。また、感光体を使用した電子写真方式以外にも、直接的に用紙や、配線パターンとして基板上に導電性を有する物質を配合したトナーを付着させて印刷する方式などにも有用である。
本発明は複写機、レーザプリンタ、普通紙FAX、カラーPPC、カラーレーザプリンタ、カラーFAX及びこれらの複合機に用いられるトナー及びその製造方法に関するものである。
近年、プリンタなどの画像形成装置はオフィスユースの目的からパーソナルユースへと移行しつつあり、小型化、高速化、高画質化、メンテナンスフリーなどを実現する技術が求められている。カラー画像の高速出力を可能とするタンデムカラープロセス、また定着時にオフセット防止のための定着オイルを使用せずとも高光沢性、高透光性を有する鮮明なカラー画像と非オフセット性を両立させるオイルレス定着が良メンテナンス性、低オゾン排気などの条件とともに要求されている。そしてこれらの機能は同時に両立させる必要があり、プロセスのみならずトナーの特性向上が重要なファクターである。
カラープリンタでは、定着プロセスにおいては、カラー画像ではカラートナーを溶融混色させ透光性を上げる必要がある。トナーの溶融不良が起こるとトナー画像表面又は内部に於いて光の散乱が生じて、トナー色素本来の色調が損なわれると共に、重なった部分では下層まで光が入射せず、色再現性が低下する。従って、トナーには完全溶融特性を有し、色調を妨げないような透光性を有することが必要条件である。OHP用紙での光透過性がカラーでのプレゼンテーション機会の増加で、その必要はより大きくなっている。
カラー画像を得る際に、定着ローラ表面にトナーが付着してオフセットが生じるため定着ローラに多量のオイル等を塗布しなければならず、取扱や、機器の構成が複雑になる。そのため機器の小型化、メンテナンスフリー化、低コスト化のために、後述する定着時にオイルを使用しないオイルレス定着の実現が要求される。これを可能とするため、シャープメルト特性を有する結着樹脂中にワックス等の離型剤を添加する構成が実用化されつつある。
しかし、このようなトナーの構成での課題は、トナーの凝集性が強い特質を有するため、転写時のトナー像乱れ、転写不良の傾向がより顕著に生じ、転写と定着の両立が困難となる。また二成分現像として使用する際に、粒子間の衝突、摩擦、又は粒子と現像器との衝突、摩擦等の機械的な衝突、摩擦による発熱により、キャリア表面にトナーの低融点成分が付着するスペントが生じ易く、キャリアの帯電能力を低下させ現像剤の長寿命化の妨げとなる。
トナーにおいて、種々の構成が提案されている。周知のように電子写真方法に使用される静電荷現像用のトナ−は一般的に結着樹脂である樹脂成分、顔料もしくは染料からなる着色成分および可塑剤、電荷制御剤、更に必要に応じて離型剤などの添加成分によって構成されている。樹脂成分として天然または合成樹脂が単独あるいは適時混合して使用される。
そして、上記添加剤を所定の割合で予備混合し、熱溶融によって加熱混練し、気流式衝突板方式により微粉砕し、微粉分級されてトナー母体が完成する。また化学重合的な方法によりトナー母体が作成される方法もある。その後このトナー母体に例えば疎水性シリカなどの外添剤を外添処理してトナーが完成する。一成分現像では、トナーのみで構成されるが、トナーと磁性粒子からなるキャリアと混合することによって二成分現像剤が得られる。
しかし、従来の混練粉砕法における粉砕・分級操作では、小粒径化といっても経済的、性能的に現実に提供できる粒子径は約8μm程度までである。現在、種々の方法による小粒径トナーを製造する方法が検討されている。またトナーの溶融混練時に低軟化性の樹脂中にワックス等の離型剤を配合してオイルレス定着を実現させる方法が検討されている。しかし配合できるワックス量には限界があり添加量を多くするに従ってトナーの流動性の低下、転写時の中抜けの増大、感光体へのフィルミング発生等の弊害が生じてくる。一方、乳化重合法を用いたトナーの調製法は、樹脂粒子を分散させてなる分散液中で顔料等の着色剤粒子とともに芯粒子を形成し、加熱して融合する工程により製造される。
下記特許文献1では、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で、前記樹脂粒子のガラス転移点以下の温度に加熱して芯粒子を形成し、凝集粒子分散液を調製する第1工程、前記凝集粒子分散液中に、微粒子を分散させてなる微粒子分散液を添加混合して前記凝集粒子に前記微粒子を付着させて付着粒子を形成する第2工程及び前記付着粒子を加熱して融合する構成が開示され、現像性、転写性、定着性、クリーニング性等の諸特性に優れ、しかも前記諸性能を安定に維持・発揮し、信頼性の高い効果が記載されている。
下記特許文献2では、少なくとも樹脂粒子を分散せしめた樹脂粒子分散液と、少なくとも着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液、及び少なくとも離型剤粒子を分散せしめた離型剤粒子分散液とを混合する工程、これらの粒子を凝集する工程、前記凝集体粒子を加熱して融合する工程を包含する静電荷像現像用トナーの製造方法において、前記離型剤粒子分散液の離型剤粒子が、体積平均粒径で0.5μmより小さく、かつ1.0μm以上の粒子が5%以下の構成が開示され、離型剤分散径が可視光の波長領域よりも小さいことにより、凝集工程、融合工程において離型剤の逸脱を防止でき、均一で高品質のトナー粒子を安定して作成できること、離型剤分散径が可視光の波長領域よりも小さいことにより、トナーの発色が良くなり、OHP透過性が上がること、トナー中への離型剤の内添量を増加でき、定着特性に優れたトナーを作成できること等の効果が記載されている。
下記特許文献3では、極性を有する分散剤中に樹脂粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、極性を有する分散剤中に着色剤粒子を分散させてなる着色剤粒子分散液とを少なくとも混合して混合液を調製する混合液調製工程、前記混合液中において含まれる分散剤の極性が同極性とすることで、帯電性及び発色性に優れた信頼性の高い静電荷像現像用トナーを容易にかつ簡便に製造し得ることが開示され、発色性、帯電性、現像性、転写性、定着性等の諸特性、特に帯電性及び発色性に優れた信頼性の高い効果が記載されている。
下記特許文献4では、離型剤が、炭素数が12〜30の高級アルコール及び炭素数12〜30の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルを少なくとも1種含み、かつ、前記樹脂粒子が、分子量が異なる少なくとも2種の樹脂粒子を含み、離型剤としては、低分子量ポリオレフィン類、脂肪酸アミド類、植物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス等のワックスが開示され、遊離する離型剤量が少なく、トナー表面における離型剤量が少なく、このため遊離する離型剤のトナー粒子表面への付着による帯電不良に起因する地被り等を防止でき、離型剤の光散乱による発色性の減少、透明性の低下を効果的に防止し、特にカラー用途において離型剤の内添量を増加した場合でも高画質の複写像を安定して形成できる効果が記載されている。
下記特許文献5では、少なくとも結着樹脂、着色剤、及びトナー粒子の10〜25質量%の範囲の離型剤を含み、形状係数SF1が140以下の電子写真用トナーを用い、離型剤の平均ドメイン径が0.5〜2.3μmの構成が開示され、高生産性を維持しつつ、高光沢であり、保管性に優れ、さらに、OHPなどに対しても優れた透過性を有する画像を形成できる効果が記載されている。
下記特許文献6では、トナーが少なくとも結着樹脂と着色剤と2種以上の離型剤とからなり、かつ、結着樹脂の重量平均分子量Mwが6000〜45000の範囲で、前記2種以上の離型剤のうち、最も低融点の離型剤の融点αが90〜115℃の範囲であり、他の少なくとも1種の高融点の離型剤の融点が1.3α〜2.1α℃の範囲である構成が開示され、高光沢紙を用いても、高速プロセスで用紙グロスと同等の高光沢画像を得ることができ、ドキュメント保管性に優れた効果が開示されている。下記特許文献7ではトナーが少なくとも結着樹脂と着色剤と離型剤とからなるトナーであり、且つ結着樹脂中に離型剤を内包させた樹脂粒子と着色剤とを塩析/融着させて得られるトナーが開示されている。
しかし、離型剤を添加してその分散性が悪化すると、定着時に溶融したトナー画像において色濁りが生じ易い傾向にある。それと共に顔料の分散度も悪化し、トナーの発色性が不十分になってしまう。また次の工程において凝集体表面にさらに樹脂微粒子を付着融合する際にその離型剤等の分散性低下が樹脂微粒子の付着を不安定なものとなってしまう。また一度樹脂と凝集した離型剤が分離して水系中に遊離する。使用するワックス等の極性、融点等の熱特性が混合凝集時の凝集に与える影響は大きい。さらには定着時にオイルを使用しないオイルレス定着を実現するため、特定のワックスを多量に添加する構成となる。
一定量以上のワックスを配合した系において、凝集反応により粒子を形成する際において、加熱処理時間とともに粒子径が粗大化し、狭い粒度分布で小粒径粒子の生成が困難となる。
離型剤を使用することで、オイルレス定着と、現像時のカブリの低減や、転写効率との両立を図ることが可能となるが、逆に製造時の水系中での樹脂微粒子、顔料微粒子との均一な混合凝集が妨げられ、水系中で凝集にかかわらない浮遊した離型剤の存在や、その影響による凝集融合粒子を粗大化させる要因となる傾向にある。
特開平10−026842号公報 特開平11−002922号公報 特開平10−198070号公報 特開平10−301332号公報 特開2003−215842号公報 特開2004−198862号公報 特開2001−272819号公報
本発明は、シャープな粒度分布を有する小粒径のトナーを分級工程不要で作成でき、定着ローラにオイルを使用しないオイルレス定着において、トナー中にワックス等の離型剤を使用し、低温定着性と、高温非オフセット性、定着ローラ等との紙の分離性及び高温保存時の貯蔵安定性を実現できるトナー及びその製造方法を提供する。
本発明のトナーは、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合、凝集して生成される芯粒子を含むトナーであって、
前記ワックスが、少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、
前記第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃であり、前記第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が前記第一のワックスのTmw1よりも5℃〜50℃高温であり、
DSC法における前記第一のワックスの吸熱量をJw1(J/g)、DSC法における前記第二のワックスの吸熱量をJw2(J/g)、MDSC法における前記第一のワックスの融解吸熱量をJmw1(J/g)、MDSC法における前記第二のワックスの融解吸熱量をJmw2(J/g)とすると,Jmw1/Jw1が0.5以下で、かつJmw2/Jw2が0.5〜1.2の範囲であり、
前記第一のワックス前記第二のワックスを予め混合して分散液としておき、これを前記樹脂粒子分散液及び着色剤粒子分散液と混合し、凝集して芯粒子に形成したことを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合、凝集により芯粒子を生成する工程を含むトナーの製造方法であって、
DSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃であって、かつ、DSC法における吸熱量Jw1(J/g)とMDSC法における融解吸熱量Jmw1(J/g)との比Jmw1/Jw1が0.5以下となるように第1のワックスを選択し、
DSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃)と称す)が前記第一のワックスのTmw1よりも5℃〜50℃高温であって、かつ、DSC法における吸熱量Jw2(J/g)とMDSC法における融解吸熱量Jmw2(J/g)との比Jmw2/Jw2が0.5〜1.2の関係を満たすように第2のワックスを選択し、
前記第一のワックス及び前記第二のワックスを少なくとも含むワックス粒子分散液を作成し、
前記作成したワックス粒子分散液と、予め作成した樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液および着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液とを、水系媒体中において混合、凝集させることにより芯粒子を生成することを特徴とする。
本発明は、水系中で凝集に関わらない浮遊したワックス、樹脂及び着色剤粒子の存在を低減することで、ワックスを添加した芯粒子を粗大化させず、小粒径でかつ粒径がほぼ揃った芯粒子を含むトナー母体粒子を、分級工程無しで作成することができる。また、低融点のワックスを添加しても均一な分散を実現して、感光体へのフィルミングやキャリアへのトナー成分の融着を防止できるトナーを提供することができる。また、低温定着性・透光性・光沢性及び高温非オフセット性を向上させつつ、貯蔵安定性を保つことができる。また、複数の感光体及び現像部を有する像形成ステーションを並べて配置し、転写体に順次各色のトナーを連続して転写プロセスを実行するタンデムカラープロセスにおいて、転写時の中抜けや逆転写を防止し、高転写効率を得ることが出来る。
以下、各工程にしたがって説明する。
(1)重合及び凝集工程
樹脂粒子分散液の調製は、ビニル系単量体を界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子を界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。その手段としては、例えば、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、コロイド型乳化装置、メデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
重合開始剤としては、2,2'−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビスー4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、や過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4'−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
着色剤粒子分散液は、界面活性剤を添加した水中に着色剤粒子を添加し、前記した分散の手段を用いて分散させることにより調製される。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水中で、ワックス粒子を添加し、分散手段を用いて分散させることにより調製される。
トナーには一層の低温定着化と、定着時に定着ローラにシリコーンオイル等を塗布しないオイルレス定着における高温での耐オフセット性、紙と定着ローラとの分離性、カラー画像の高透光性、高温状態での貯蔵安定性が要求され、それらを同時に満足しなければならない。
そのため、ワックスは、低温定着性、高温非オフセット性、及び定着時に溶融したトナーが載った複写用紙等の転写媒体が加熱ローラと分離しない分離不良を回避する等の目的で添加される。これらの機能は相矛盾する特性であり、複数のワックスを添加することが好ましい。トナー中に添加するワックスの機能別に融点の異なる又は骨格が異なる複数のワックスを配合する形態により、低温定着化と離型剤の両立を図ることが好ましい。
本発明のトナーの第一の実施形態は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して芯粒子を生成する。このとき、前記ワックスが、少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃で、第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が第一のワックスのTmw1よりも5℃〜50℃高温とする。そして生成されたトナーのDSC法におけるトナー中の第一のワックスの吸熱量をJw1(J/g)、第二のワックスの吸熱量をJw2(J/g)、MDSC法における第一のワックスの融解吸熱量をJmw1(J/g)、第二のワックスの融解吸熱量をJmw2(J/g)とすると、トナー中の第一のワックスのDSC法における吸熱量とMDSC法における融解吸熱量とを特定の関係を満たす。その関係はJmw1/Jw1が0.5以下で、かつJmw2/Jw2が0.5〜1.2の関係である。
好ましくはJmw1/Jw1が0.4以下、Jmw2/Jw2が0.6〜1.0、より好ましくはJmw1/Jw1が0.3以下、Jmw2/Jw2が0.7〜1.0、さらに好ましくはJmw1/Jw1が0.2以下、Jmw2/Jw2が0.7〜1.0である。
融点の異なるワックスの使用により、ワックスの機能を分離することで、低温定着及び高温耐オフセット性を両立し定着温度領域の広い特性を得ることができる。しかし、融点の異なるワックスの使用により、水系媒体中で低融点ワックス粒子同士や、高融点粒子ワックス同士の凝集体が生成されやすく、芯粒子中でワックスが偏在した分散状態となりやすい。また、芯粒子分散液中に凝集に加わらないワックス粒子が残留しやすく、芯粒子の粒度分布が広くなったり、形状が不均一になりやすい。
本発明者らは、狭い粒度分布の小粒径の芯粒子生成、及び低温定着と高温非オフセット性を両立させることが可能となることを見出した。融点の異なるワックスを水系中にて樹脂、着色剤と凝集させてトナー粒子を形成する際に、芯粒子中に取り込まれずに浮遊するワックス粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑える効果が得られる。
まず、DSC法では被測定試料と基準物質(アルミナ)を加熱炉中で同時に一定の昇温速度(dT/dt)で加熱する。被測定試料と基準物質の温度差を温度センサーで検出し、単位時間に被測定試料に供給される熱量と、基準物質に供給される熱量との差を、温度の関数(dH/dt)として記録する。この関数は、一般に次式のように表される。
dH/dt=Cp(dT/dt)+f(T,t)
式中、Hはエンタルピーを表し、その時間関数dH/dtは示差走査熱量計(DSC)での熱流を表す。Cpは被測定試料の熱容量を表す。Tは温度を表し、dT/dt(℃/min)は昇温速度を表す。f(T,t)は時間と絶対温度に依存する吸熱を示す。
この式中、右辺第1項は、熱容量と昇温速度の積で表される熱流(単位時間当たりの熱量)であり、被測定試料のガラス転移点、比熱、融解により生じる熱流がこの項に該当する
右辺第2項は熱容量、昇温速度に依存しない熱流(吸熱)である。この右辺第2項は、温度と時間の関数で示される熱流である。この右辺第2項の熱流(吸熱)が第1項の熱流に比べて大きい場合、第1項で示されるガラス転移等による熱流の測定が困難になる。
DSC法で被測定試料の吸熱量(Jm(J/g)と称す)は、DSC信号(dH/dt(W/g))を時間で積分して得ることができる。
次に、MDSC法は、昇温速度を周期的に変化させて熱流を測定することで、この被測定試料の熱容量に依存しない熱流を除いて、被測定試料のガラス転移点、比熱、融解により生じる熱流の選択的な測定が可能となる。なお、MDSC法については、たとえば特開平8−178878号公報に詳述されている。具体的には、昇温速度の最小値をdT/dt1(℃/min)、最大値をdT/dt2(℃/min)とし、それぞれの昇温速度における熱流の差をとることで、昇温速度に依存しない右辺第2項を除くことができ、次式にて表すことができる。
△dHm/dt=Cp(dT/dt1−dT/dt2
MDSC法による被測定試料の融解吸熱量(Jmw(J/g)と称す)は、熱容量Cpに昇温速度の平均値を乗じて得た熱流(MDSC信号(dHm/dt(W/g))を時間で積分して得ることができる。MDSC法によれば融解吸熱量がDSC法の吸熱量に対して減少する現象は、熱的緩和現象に起因する。
これは、樹脂粒子及びワックス粒子はトナーの凝集反応過程において加熱処理されることにより、溶融したワックス粒子が溶融した樹脂粒子と混在し、又は相溶化した状態で芯粒子を形成し、その状態で冷却されて固化する。
ワックスと樹脂が混在又は相溶したトナー粒子を加熱することにより、ワックスの吸熱現象は熱的緩和現象となり、DSC信号(dH/dt(W/g))では再融解による吸熱量は検出されるが、MDSC信号(dHm/dt(W/g))では再融解による吸熱は熱的緩和現象であるため検出されないと推測する。
つまり、樹脂とワックスが混在した相溶状態であると、MDSC信号では検出されず、ワックスがトナー中で結晶状態で存在すると、MDSC信号及びDSC信号での検出がされる状態となるものと考えられる。
Jmw1/Jw1が0.5を超えると、トナー中で結晶状態で存在する第1のワックスが増加する傾向にあり、その結果、水系溶媒中で浮遊したワックス粒子の数が、樹脂粒子と凝集しているワックス粒子よりむしろ増加し、また芯粒子の粒度分布が広くブロードになる傾向にある。また、樹脂との相溶による芯粒子のガラス転移点及び軟化点を下げる作用が弱く、低温定着性への寄与が悪化する傾向にある。また結晶状態で存在する低融点の第一のワックスが多くなると、高温状態に放置したときの貯蔵安定性が低下する。
Jmw2/Jw2が0.5未満になると、第2のワックスの分子レベルで混在化が進むため、第2のワックスが有する高温非オフセット性が損なわれる。
Jmw2/Jw2が1.2を超えると、トナー粒子中に第2のワックスが単独で存在し、芯粒子の粗大化が生じやすくなる。
ここで、MDSC法の吸熱量/DSC法の吸熱量の比Jmw2/Jw2が、一例として、1.0以上となる事象は以下の理由による。ワックスは、吸熱した場合にエネルギー的に安定な構造を形成し発熱する場合がある。この発熱は熱的緩和減少である。DSC法ではワックスの発熱が吸熱を相殺するため、見かけ上吸熱量が減少する。一方、MDSC法ではこの発熱が検出されない。よってワックスが発熱した場合、MDSC法の吸熱量/DSC法の吸熱量の比Jmw/Jwが1.0以上となる。
樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子を混合し、凝集して芯粒子を生成する際の水系媒体の温度は70〜95℃の高温状態で凝集反応が行われる。そのため、前記した50〜90℃の融点を有するワックスの使用は、上記した凝集時の温度においては溶融がかなり進行している状態で数時間(1〜5時間)樹脂粒子との凝集が進行するため、樹脂とワックスが混在し、相溶化した状態が進行しやすく、Jmw1/Jw1が小さい値となる傾向にあるものと思われる。そのため、凝集に寄与しない浮遊したワックス粒子を抑制し、芯粒子の凝集反応が促進され、芯粒子が小粒径で狭い粒度分布を形成することができるものと思われる。樹脂との相溶により、芯粒子のガラス転移点及び軟化点を下げる作用を有し、低温定着性に寄与できるものと思われる。
第一のワックスの融点は、好ましくは55〜85℃、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは、68〜74℃である。50℃未満であると、凝集の進行が早すぎ、生成する芯粒子が粗大化しやすい。また高温保存状態での貯蔵安定性が悪化する。90℃を超えると、低温定着性、カラー光沢性が向上しない。 融点が、第一のワックスの融点Tmw1よりも、5℃以上高温の第二のワックスの使用は、凝集反応時には低融点の第一のワックスほどは溶融が進行していないため、第二のワックスがトナー中で結晶状態で存在する割合が増加し、Jmw2/Jw2の値が小さくならないものと思われる。
また、融点が、第一のワックスの融点Tmw1よりも、5℃以上高温の第二のワックスの使用は、ワックスの機能を効率よく分離でき、低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離性を両立させる効果がある。
より好ましくは10℃以上高温であり、40℃以下、さらに好ましくは、15℃以上高温であり、35℃以下とする。複数のワックスの機能を効率よく分離でき、低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離性を両立させる効果がある。5℃未満になると低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離不良を両立させる効果が出にくくなる。50℃を超えると、第一のワックスと第二のワックスが相分離し、トナー粒子中に均一に取り込まれなくなる。
複数のワックスを使用する好ましい第一の例として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃で、かつ第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃)と称す)が80〜120℃である。
このとき、また、Tmw1は好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜85℃、さらに好ましくは、65〜75℃である。Tmw1が50℃未満であると、生成する芯粒子が粗大化しやすくなる。また貯蔵安定性が悪化する。90℃を超えると、低温定着性、カラー光沢性が向上しない。
第二のワックスの融点Tmw2は80〜120℃であることが好ましい。より好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。Tmw2が80℃未満であると、高温非オフセット性及び紙の分離性が弱くなる。120℃を超えると、ワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加し、形状が不均一になりやすくなる。
複数のワックスを使用する好ましい第二の例として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスが、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルワックスを含み、かつ第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含む。
複数のワックスを使用する好ましい第三の例として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスが、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含み、第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含む。好ましくは第一のワックスのヨウ素価が1以上25以下である。より好ましくは第一のワックスのヨウ素価が1以上10以下である。
ワックスとして好ましい第二の例及び第三の例において、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))が50〜90℃であり、55〜85℃、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは、68〜74℃である。50℃未満になると、トナーの貯蔵安定性、耐熱性が悪化する。90℃を超えるとワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加する。また低温定着性、光沢性が向上しない。
また、第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が80〜120℃であり、好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。80℃未満になると、貯蔵安定性が悪化、高温非オフセット性及び紙の分離性が弱くなる。120℃を超えると、ワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加する。また、低温定着性、カラー透光性が阻害される。
ワックスとして好ましい第二又は第三の例において、水系中で樹脂、着色剤及び脂肪族炭化水素系ワックスとともに芯粒子を形成する際、脂肪族炭化水素系のワックスは樹脂とのなじみ性から樹脂との凝集が起こりにくいワックスであり、ワックスが溶融芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在や、芯粒子の凝集が進まずに粒度分布がブロードになりやすい。
浮遊粒子の抑制や、粒度分布のブロード化を防止するために、加熱処理の温度や、時間を変えることを行うと粒子径が粗大化してしまう。また後述するように、この溶融した芯粒子にさらに樹脂粒子をシェル化する際に、芯粒子が急激に二次凝集を生じて粒子が粗大化する現象が表れる。
そこで、ワックスとして、特定の脂肪族炭化水素系ワックスを含む第二のワックスとともに、特定のワックスを含む第一のワックスとから構成されるワックスを使用することにより、芯粒子中に取り込まれずに浮遊する脂肪族炭化水素系ワックス粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑えることができる。加熱凝集の際、第一のワックスが樹脂と相溶化が進むことで、脂肪族炭化水素系ワックスの樹脂との凝集が助長され、均一に取り込まれるためと思われる。そして、前記したJmw1/Jw1及びJmw2/Jw2が一定の範囲に占めることとなる。
加熱凝集の際、第一のワックスが樹脂と相溶化が進むことで、第二のワックスである脂肪族炭化水素系ワックスの樹脂との凝集が助長されることで、均一に取り込まれ、浮遊ワックス粒子の存在を防止することが出来るものと思われる。
さらには、第一のワックスは樹脂と相溶化が一部進むことで、低温定着がより向上する傾向にある。そして、第二のワックスである脂肪族炭化水素系のワックスは樹脂との相溶化は進まないため、このワックスは高温オフセット性を良化する機能を発揮させることが出来る。つまり、この第一のワックスは脂肪族炭化水素系ワックスの乳化分散処理時の分散助剤としての機能、更には低温定着助剤としての機能を有することになる。
このように、Jmw1/Jw1及びJmw2/Jw2値を一定の数値範囲内に制御するための材料組成の構成としては、第一のワックス及び第二のワックスの吸熱ピーク温度を一定の範囲とする構成、また、第一のワックスが上記した特定のエステルワックス、かつ第二のワックスが脂肪族炭化水素系ワックスを含む構成、さらには後述する芯粒子に使用樹脂粒子の分子量特性、特にMw/Mnを小さい値とする構成が挙げられる。
複数のワックスを使用する前記第一、第二又は第三の例において、ワックス粒子分散液中のワックス100重量部に対する第一のワックス重量割合をES1、第二のワックスの重量割合をFT2とすると、FT2/ES1が0.2〜10が好ましい。より好ましくは1〜9の範囲である。0.2未満であると、高温オフセットの効果が得られず、貯蔵安定性が悪化する傾向となる。10を超えると低温定着が実現できず、また芯粒子の粒度分布がブロードになりやすい。さらに、FT2の配合割合が50wt%以上とすることは、低温定着性と、高温貯蔵安定性と定着高温オフセット性の両立できるバランスの良い割合である。
全ワックス添加量は、樹脂100重量部に対して、5〜30重量部が好ましい。好ましくは8〜25重量部、より好ましくは10〜20重量部である。5重量部未満であると、低温定着性、離型性の効果が発揮されない傾向となる。30重量部を超えると小粒径の粒子制御が困難になる傾向となる。
複数のワックスを使用する第一、第二又は第三の例において、融点の異なるワックスを水系中にて樹脂、着色剤と凝集させて芯粒子を形成する際に、第一のワックス、第二のワックスそれぞれ別々に乳化分散処理した分散液を、樹脂分散液及び着色剤分散液と混合して、加熱凝集させると、ワックスの溶融速度の差から、第一のワックスが樹脂粒子と共に芯粒子を形成し、第二のワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊しやすく、粒度分布がブロードになりやすく、小粒径で狭い粒度分布の粒子形成が困難な状況になる場合がある。また、シェル化する際に、芯粒子が急激に二次凝集を生じて粒子が粗大化する課題も十分には解消できない。第一のワックス及び第2のワックスを別々に乳化分散処理した分散液を用いた場合、Jmw1/Jw1は0.7〜0.8と大きくなり、Jmw2/Jw2は0.8〜1.4となる傾向にある。
そこで、ワックス粒子分散液生成において、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化共分散処理して作成することが好ましい。乳化分散装置内に第一のワックスと第二のワックスを一定配合比で加熱乳化分散処理する方法である。投入は別々でも同時でもかまわないが、最終的に得られる分散液には第一のワックスと第二のワックスが混合した状態で含まれていることが好ましい。これにより、Jmw1/Jw1は、0.5よりさらに小さい値を示し、かつJmw2/Jw2は、あまり変わらない傾向を示すことになる。
また、ワックスを陰イオン界面活性剤により処理すると、芯粒子の凝集の際、粒子径が粗大化してシャープな粒度分布の粒子が得にくい。特に炭化水素系のワックスとエステル系ワックスと混合して芯粒子を作成する際にその現象が出やすい。
そのためワックス粒子分散液が、非イオン界面活性剤(ノニオン)を主成分とする界面活性剤により、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化分散処理して作成することが好ましい。非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤によりエステル系ワックスと混合して分散処理して乳化分散液を作成することにより、ワックス自体の凝集が抑制され分散安定性が向上する。そしてこれらのワックスを樹脂、着色剤分散体との芯粒子作成において、ワックスの遊離がなく、小粒径でかつ狭いシャープな粒度分布の粒子を形成することが出来る。非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜100wt%有することが好ましい。より好ましくは60〜100wt%含有させる。
芯粒子製造の好ましい例として、水系媒体中において、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液とを混合し、この混合分散液のpHを一定の条件下に調整し、水溶性無機塩を添加することにより、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集した芯粒子を生成する。水系媒体を、樹脂粒子のガラス転移点温度(Tg)以上及び/又はワックスの融点以上に加熱することで少なくとも一部が溶融した芯粒子を生成することができる。
前記した混合分散液のpHは9.5〜12.2の範囲に調整することが好ましい。好ましくは、pHは10.5〜12.2、さらに好ましくはpHは11.2〜12.2の範囲に調整する。1NのNaOHを添加することでpHの調整が可能である。pH値を9.5以上とすることで、形成された芯粒子が粗大化する現象を抑制する効果がある。pH値12.2以下とすることで、樹脂粒子と凝集せず、浮遊しているワックス粒子や着色剤粒子の発生を抑え、ワックスや着色剤を均一に内包化できやすくする効果がある。
混合分散液のpH調整後に、水溶性無機塩を添加し、加熱処理して少なくとも第一の樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が少なくとも一部が溶融し凝集した所定の体積平均粒径の芯粒子が形成される。この所定の体積平均粒径の芯粒子が形成されたときの液のpHが7.0〜9.5の範囲に保持されることにより、ワックスの遊離が少なく、ワックスが内包された狭い粒度分布の芯粒子が形成できる。添加するNaOH量、凝集剤種や量、乳化重合樹脂分散液のpH、着色剤分散液のpH、ワックス分散液のpHの設定値や、加熱温度、時間は適宜選択される。粒子が形成されたときの液のpHが7.0未満であると、芯粒子が粗大化する傾向になる。pHが9.5を超えると、凝集不良で遊離ワックスが多くなる傾向になる。
また樹脂粒子分散液は、乳化重合樹脂を重合生成する際に重合開始剤として過硫酸カリウム等の過硫酸塩を使用した際、その残留分が加熱凝集工程時の熱により分解してpHを変動(下げる)させてしまうことがあるため、乳化重合した後に一定温度以上(残留分を十分に分散させておくために80℃以上が好ましい)で、一定時間(1〜5時間程度が好ましい)加熱処理を施すことが好ましい。好ましくは4以下、更に好ましくは1.8以下である。
pH(水素イオン濃度)の測定は、被測定液を液槽内からピペットを用いてサンプルを10ml採取し、同容量程度のビーカーに入れる。このビーカーを冷水に浸漬し、サンプルを室温(30℃以下)まで冷却する。pHメータ(セブンマルチ:メトラートレド社製)を用い、室温まで冷やしたサンプルに測定プローブを浸す。メータの表示が安定したらその数値を読み取り、pHの値とする。
混合分散液のpH調整後、液を攪拌しながら混合分散液温度を昇温させる。昇温速度は0.1〜10℃/minが好ましい。遅いと生産性が低くなる。早すぎると粒子表面が平滑にならないうちに形状が球形に進みすぎる傾向にある。
芯粒子のより好ましい一製造例として、水系媒体中において、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合して混合分散液を生成する。そしてこの混合分散液を加熱し、混合分散液の液温度が一定の温度に達した後に、この混合分散液に凝集剤として水溶性無機塩を添加することが好ましい。
芯粒子を生成する方法として、前記した混合液と凝集剤を予め混合してから、混合分散液を加熱昇温し、樹脂のガラス転移点以上に加熱する方法が考えられるが、この方法では、凝集反応が昇温時間とともに緩慢に起こるため、小粒径で狭い粒度分布の粒子の生成が困難になる。また凝集途中の粒子の凝集状態が変動しやすくなり、凝集融着して得られる粒子の粒径分布がブロードになったり、最終的に得られるトナー粒子の表面性が変動したりする。特に使用するワックスや着色剤により、粒径分布や表面性に影響が現れやすい傾向にある。
また、融点の異なるワックスを併用して使用する場合、昇温の過程で、低融点のワックスが先に溶融が開始されるため、低融点のワックス同士の凝集が始まり、さらに昇温が進行すると、次には高融点のワックスの溶融が開始され、凝集が開始されるため、低融点ワックス粒子同士や、高融点粒子ワックス同士の凝集体が生成されやすく、芯粒子中でワックスが偏在した分散状態となりやすい。また、芯粒子の粒度分布が広くなったり、形状が不均一になりやすくなる。
そこで、混合分散液の温度が一定以上に達した状態で凝集剤を添加することにより、凝集が昇温時間とともに緩慢に起こる現象をさけられ、凝集剤の添加と共に凝集反応が一気に進行し、短時間に芯粒子の生成が可能となり、前記したJmw1/Jw1及びJmw2/Jw2が一定の範囲に占めることとなる。また、ワックスや着色剤を均一に内包化した小粒径で狭い粒径分布の芯粒子形成が可能となる。
添加する凝集剤は一定の濃度を有する水溶性無機塩を含有した水溶液を使用するが、その水溶液のpH値を調整した後に、少なくとも第一の樹脂粒子を分散させた第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合した混合分散液中に添加することも好ましい。
凝集剤を含んだ水溶液のpH値を一定値に調整することにより、凝集剤としての粒子の凝集作用をより高めることができるものと考えられる。混合分散液のpH値と一定の関係を持たせることが好ましく、混合分散液にpH値が離れた凝集剤水溶液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、凝集粒子が粗大化したり、ワックスの分散が不均一になりやすい。このような現象を抑えるために、凝集剤水溶液のpHを調整することが効果的である。
樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液を混合した混合分散液を加熱処理し、凝集剤を含む水溶液の添加前の混合分散液のpH値をHGとすると、凝集剤を含む水溶液のpH値は、HG+2〜HG−4の範囲に調整して添加することが好ましい。好ましくはHG+2〜HG−3の範囲、より好ましくはHG+1.5〜HG−2の範囲、さらに好ましくはHG+1〜HG−2の範囲である。
混合分散液にpH値が離れた凝集剤水溶液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、凝集反応が遅れて進行しずらくなったり、凝集粒子が粗大化しやすくなりやすい。このような現象を抑えるために、凝集剤水溶液のpHを調整することが効果的である。原因は不明であるが凝集剤を含む水溶液のpH値を混合分散液のpH値よりも低くすることがより好ましいと思われる。
HG−4以上とすることで、凝集剤としての粒子の凝集作用をより高められ、凝集反応を加速できる。HG+2以下とすることで、凝集粒子が粗大化したり、粒度分布がブロードになる現象を抑える効果がある。
凝集剤を添加する時期としては、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液の温度が、後述するDSC法により測定されるワックスの融点以上に到達後に凝集剤を添加することが好ましい。ワックスの溶融が開始されている状態で、凝集剤を添加することにより、溶融するワックス粒子と、樹脂粒子及び着色剤粒子の凝集が一気に進行し、さらに加熱処理続けることでワックス粒子、樹脂粒子の溶融が進行して粒子形成されるものと思われる。
このとき、混合分散液の温度が第一の樹脂粒子のガラス転移点に達した時点で凝集剤を添加しても、粒子はほとんど凝集せず、粒子形成されない。混合分散液の温度がワックスの特定温度に達した時点で凝集剤を添加することにより粒子の凝集が進行し、その後0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間、より好ましくは1〜2時間加熱処理することにより所定の粒度分布の芯粒子が生成され、前記したJmw1/Jw1及びJmw2/Jw2が一定の範囲に占めることとなる。
加熱処理はワックスの特定温度をキープしたままでも良いが、好ましくは80〜95℃、より好ましくは90〜95℃で加熱する。凝集反応を加速でき、処理時間の短縮につながる。
さらに、後述するようにワックスを2種類以上含む場合には、低い方の融点を有するワックスの方の特定温度に調整することが好ましい。より好ましくは高い方の融点を有するワックスの特定温度に調整する。ワックス粒子の溶融が開始されている温度状態で凝集剤を添加することが効果的である。
凝集剤の添加は、全量一括して添加することもよいが、凝集剤の滴下を1〜120minの時間を要して滴下するのも好ましい。分割しながらでもよいが、好ましくは連続した滴下である。加熱された混合分散液に凝集剤を一定速度で滴下することにより、反応釜内にある混合分散液全体に凝集剤が徐々に均一に混ざりあうことになり、偏在により粒度分布がブロードになったり、ワックスや着色剤の浮遊粒子の発生を抑制する効果がある。また混合分散液の液温度の急激な低下を抑えることができる。好ましくは5〜60min、より好ましくは10〜40min、さらに好ましくは15〜35minである。1min以上により芯粒子の形状が過度に不定形に進まず、安定した形状が得られる。120min以下とすることで、着色剤やワックス粒子の凝集不良となって単独で浮遊する粒子の存在を抑える効果が得られる。
樹脂粒子、顔料微粒子及びワックス微粒子の総和100重量部に対し、凝集剤は1〜50重量部滴下することが好ましい。好ましくは1〜20重量部、より好ましくは5〜15重量部、さらに好ましくは5〜10重量部である。少ないと凝集反応が進行せず、多すぎると生成粒子が粗大化する傾向にある。
混合分散液は、第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液以外に液中の固体濃度を調整するために、イオン交換水を添加してもかまわない。液中の固体濃度は5〜40wt%が好ましい。
また凝集剤としては、水溶性無機塩をイオン交換水等で一定濃度に調整して使用することも好ましい。凝集剤水溶液の濃度は5〜50wt%が好ましい。
芯粒子のより好ましい一製造例として、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して芯粒子を生成する際、樹脂粒子分散液を作成する際に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤であり、着色剤粒子及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤とする。前記において「主成分」とは、使用する界面活性剤のうち50wt%以上をいう。
樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜95wt%有することが好ましい。より好ましくは55〜90wt%、さらに好ましくは60〜85wt%である。
着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜100wt%有することが好ましい。より好ましくは60〜100wt%、さらに好ましくは60〜90wt%である。
さらに、各粒子に使用する界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤の界面活性剤全体に対して占める重量割合が、樹脂粒子分散液よりも、着色剤粒子分散液又はワックス粒子分散液の方が多くなることが好ましい。これにより、まず樹脂粒子が凝集を開始して核ができる。次に、ワックス粒子又は着色剤粒子が樹脂粒子の核の周りに凝集を始める。樹脂粒子は着色剤粒子やワックス粒子に比べて、重量濃度として、通常数倍以上添加するので、さらにワックス粒子の上にも樹脂粒子のみの核が凝集し、最表面が樹脂で覆われたトナーが形成されやすく、水系中で凝集にかかわらない浮遊した着色剤粒子やワックス粒子の存在をなくし、小粒径でかつ均一で狭い範囲でシャープな粒度分布を有する芯粒子を形成できるものと考えられる。
樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合であり、かつワックス粒子分散液及び着色剤粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤のみとすることも好ましい。
このような例の樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子を用いて、水系媒体中で凝集剤を作用させると、まず樹脂粒子が凝集を開始して核ができる。次に、ワックス粒子及び着色剤粒子が樹脂粒子の核の周りに凝集を始める。樹脂粒子は着色剤粒子やワックス粒子に比べて、重量濃度として、通常数倍以上添加するので、さらにワックス粒子の上にも樹脂粒子のみの核が凝集し、最表面が樹脂で覆われたトナーが形成されると推定される。このようなメカニズムで水系中で凝集にかかわらない浮遊した着色剤粒子やワックス粒子の存在をなくし、小粒径でかつ均一で狭い範囲でシャープな粒度分布を有する芯粒子を形成できるものと考えられる。
樹脂粒子分散液の界面活性剤において、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して、50〜95wt%有することが好ましい。より好ましくは55〜90wt%、さらに好ましくは、60〜85wt%有する。50wt%以上とすることにより、生成される芯粒子の粒度分布が広がる現象を抑えられる。95wt%以下とすることで樹脂粒子分散液中の樹脂粒子自体の分散を安定させる効果がある。イオン型界面活性剤としてはアニオン性界面活性剤が好ましい。
このように、Jmw1/Jw1及びJmw2/Jw2値を一定の数値範囲内に制御するための工法としては、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化共分散処理して作成すること、また、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液を加熱し、混合分散液の液温度が一定の温度に達した後に、この混合分散液に凝集剤として水溶性無機塩を添加すること、また芯粒子を生成する際の樹脂粒子分散液を作成する際に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤であり、着色剤粒子及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤とすること、各粒子に使用する界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤の界面活性剤全体に対して占める重量割合が、樹脂粒子分散液よりも着色剤粒子分散液又はワックス粒子分散液の方が多くなること、さらには、樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合であり、かつワックス粒子分散液及び着色剤粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤のみとすることが挙げられる。
芯粒子が分散した芯粒子分散液に、第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液を添加混合し、加熱処理して芯粒子に、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させてトナー母体粒子を生成することも好ましい。
本発明のトナーでは、顔料およびワックスはトナーの内部に取り込まれているが、最表面に着色剤(例えば顔料)およびワックスが存在する可能性もあり、これらの顔料およびワックスが、電子写真装置内で蓄積されると、画像品質に悪影響を与えるので、このような課題を未然に防止することからも、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着層(シェル層と称することもある)を形成することが望ましい。また、トナーの高温状態での貯蔵安定性を高める観点から、ガラス転移点(Tg(℃))の高い樹脂粒子を、高温での耐オフセット性を確保する観点から、高分子量の乳化樹脂微粒子を、帯電安定性の観点から電荷調整剤を含有した樹脂粒子をシェル層として形成しても望ましい。
第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させる例において、芯粒子分散液に、第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液を添加し、加熱処理して芯粒子に、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させる樹脂融着層を形成する際、第二の樹脂粒子分散液のpH値を一定範囲に調整した後に添加することが好ましい。特に第二の樹脂粒子分散液の滴下条件と組み合わせることがより効果的である。
液のpHのバランスを乱すことなく、第二の樹脂粒子分散液を添加することにより、融着に加わらない浮遊する第二の樹脂粒子の発生を抑え、芯粒子への第二の樹脂粒子の付着を良好なものとし、あるいは芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えることが狙いである。
第二の樹脂粒子分散液のpH値の条件としては、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値をHSとすると、第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液のpHを、HS+4〜HS−4の範囲に調整して添加することが好ましい。好ましくはHS+3〜HS−3の範囲、より好ましくはHS+3〜HS−2の範囲、さらに好ましくはHS+2〜HS−1の範囲とする。
芯粒子分散液にpH値が離れた第二の樹脂粒子分散液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、芯粒子への第二の樹脂粒子の付着が生じないか、あるいは芯粒子同士の二次凝集の発生により生成粒子を粗大化させる結果となってしまう。このような現象を抑えるために、第二の樹脂粒子分散液のpHを調整することが効果的である。これにより、第二の樹脂粒子の浮遊粒子の発生が低減され、第二の樹脂粒子の芯粒子表面への均一な付着が行える。また芯粒子への付着が促進され、融着の処理時間が早くなり、生産性を向上させることができる。また、第二の樹脂粒子の芯粒子への融着の際、粒子の急激な粗大化を防ぐことができ、小粒径でシャープな粒度分布を形成することができる。pH値をHS+4以下とすることにより、粒子の粗大化し、粒度分布がブロードになる傾向を抑制することができる。pH値をHS−4以上とすることにより、第二の樹脂粒子の芯粒子への付着を進行させて、融着処理を単時間に行える。また、第二の樹脂粒子が融着に加わらず水系中に浮遊したままで、液が白濁のままで反応が進行しない現象も抑制する効果が得られる。
添加する第二の樹脂粒子分散液のpHを、前記芯粒子が分散した芯粒子分散液のpHに近い又は高い値に調整して添加することにより実現できる。この範囲に調整することにより、第二の樹脂粒子の芯粒子への付着溶融の際に芯粒子同士を一部二次凝集させることで、形状を球形からポテト状に粒子の形状制御することができる。
これは現像、転写、クリーニングプロセスとの整合によりトナーの形状が定められる傾向が強く、感光体や転写ベルトのクリ−ニング性を重視する場合にはトナー形状は球形ではなくポテト状としたほうがクリーニングの余裕度が広がる。また転写性を重視する場合にはトナー形状を球形に近づけ、転写効率を上げる。
第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させる例において、芯粒子分散液に添加する第二の樹脂粒子を分散せしめた第二の樹脂粒子分散液のpH値は、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値にかかわりなく、3.5〜11.5の範囲に調整して添加することが好ましい。好ましくは5.5〜11.5、より好ましくは6.5〜11、さらに好ましくは6.5〜10.5の範囲である。pHを3.5以上とすることにより、第二の樹脂粒子の凝集粒子表面への付着を進行させ、第二の樹脂粒子が水系中で浮遊し、液は白濁で残る現象を抑制できる。pH値を11.5以下とすることにより、生成される粒子が急激に粗大化する傾向を抑制できる。
また、第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液のpHを、HS〜HS+4の範囲で高めに調整すると、芯粒子同士の二次凝集の発生状態を調整することができ、第二の樹脂粒子添加時に最終生成されるトナー母体粒子の形状を制御することも可能となる。
第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させる例において、第二の樹脂粒子分散液の添加の方法は特には限定されず、全量一括して添加してもかまわない。また、より好ましくは生成された芯粒子が分散した芯粒子分散液に、第二の樹脂粒子分散液の滴下条件として、生成された芯粒子量100重量部に対し、第二の樹脂粒子の滴下速度が、0.14重量部/min〜2重量部/minの滴下条件で滴下して生成することが好ましい。好ましくは0.15重量部/min〜1重量部/min、さらに好ましくは、0.2重量部/min〜0.8重量部/minである。
第二の樹脂粒子分散液の添加時期は、芯粒子が所定の粒径に達したら、そのまま添加される。添加は順次滴下が好ましい。所定全量を一気に添加したり、2重量部/minを超えると第二の樹脂粒子のみ同士の凝集が生じやすく、粒度分布がブロードになりやすい。また、投入量が多くなると、液温度が急激に低下し凝集反応の進行が止まることになり、第二の樹脂粒子の一部が芯粒子への付着に加わらずに水系中で浮遊した状態で残ってしまう場合がある。
また、0.14重量部/minよりも少ないと、第二の樹脂粒子の一部が芯粒子への付着する量が減量し、加熱を続けていく際に、芯粒子同士の凝集が生じて、粒子が粗大化、粒度分布がブロードになりやすい。
第二の樹脂粒子分散液の滴下条件を適正化することで、芯粒子同士の凝集や第二の樹脂粒子のみ同士の凝集を防いで、小粒径で粒度分布の狭い粒子の生成を可能とする。
生成された芯粒子が分散された芯粒子分散液の液温度の変動を10%以内に抑えるように、第二の樹脂粒子分散液を滴下するようなことが好ましい。
芯粒子又は第二の樹脂粒子が融着した芯粒子を任意の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を経て、トナー母体粒子を得ることができる。この洗浄工程においては、帯電性を向上させる観点より、十分にイオン交換水による置換洗浄を行うのが好ましい。前記固液分離工程における分離方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、吸引濾過法や加圧濾過法などの公知の濾過方法が好ましく挙げられる。前記乾燥工程における乾燥方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、フラッシュジェット乾燥方法、流動乾燥方法、及び振動型流動乾燥方法などの公知の乾燥方法が好ましく挙げられる。
本発明で使用する水溶性無機塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの炭素数が3以下のアルコールが好ましく、特に2−プロパノールが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、他価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤が特に好ましく使用できる。
水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記極性を有する分散剤における前記極性界面活性剤の含有量としては、一概に規定することはできず、目的に応じて適宜選択することができる。
また本発明においては、非イオン界面活性剤と、イオン型界面活性剤とを併用する場合には、極性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(2)ワックス
好ましい第一のワックスの例としては、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルを少なくとも1種含む。このワックスを使用することにより、脂肪族炭化水素系ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑え、さらにはシェル化する際に芯粒子が急激に粗大化する現象を緩和することができる。また低温定着化を進めることが出来る。第二のワックスとの併用により、高温非オフセット性、紙の分離性とともに粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。
アルコール成分としては、メチル、エチル、プロピル又はブチル等のモノアルコールの外、エチレングリコール又はプロピレングリコール等のグリコール類又はその多量体、グリセリン等のトリオール類又はその多量体、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ソルビタン又はコレステロール等が好適である。これらのアルコール成分が多価アルコールである場合の前記高級脂肪酸は、モノ置換体であってもよいし、多価置換体であってもよい。
具体的には、(i)ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、(ii)ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、(iii)モンタン酸モノエチレングリコールエステル、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリド、モノベヘン酸グリセリド、トリパルミチン酸グリセリド、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジリノレート、ペンタエリスリトールトリオレエート又はペンタエリスリトールテトラステアレート等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル類、若しくは、(iv)ジエチレングリコールモノベヘネート、ジエチレングリコールジベヘネート、ジプロピレングリコールモノステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド、ヘキサベヘン酸テトラグリセリド又はデカステアリン酸デカグリセリド等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステル類などが好適に挙げられる。これらのワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール成分及び/又は酸成分の炭素数は16未満であると分散助剤としての機能が発揮しにくく、24を越えると低温定着助剤としての機能が発揮しにくくなる。
また、好ましい第一のワックスの例として、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含む。第二のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。ヨウ素価を規定することで、ワックスの分散安定性を向上させる効果が得られ、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一にでき、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子形成を可能とする。好ましくはヨウ素価が20以下、けん化価が30〜200、より好ましくはヨウ素価が10以下、けん化価が30〜150である。
ヨウ素価が25より大きいと、逆に分散安定性がよくなりすぎ、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一に行えず、ワックスの浮遊粒子が増える傾向にあり、粒子の粗大化、ブロードな粒度分布になりやすい。浮遊粒子がトナーに残留してしまうと、感光体等のフィルミングを生じさせる。一次転写でのトナー多層転写時にトナーの電荷作用による反発が緩和されにくくなる。けん化価が30より小さくなると、不けん化物、炭化水素の存在が増加し、小粒径の均一な芯粒子形成が困難になる。感光体フィルミング、トナーの帯電性の悪化を生じ、連続使用時の帯電性の低下を招く。300より大きくなると水系中での浮遊物が増大する。トナーの電荷作用による反発が緩和されにくくなる。またカブリやトナー飛散の増大を招く。
ヨウ素価、けん化価を規定したワックスの220℃における加熱減量は8重量%以下であることが好ましい。加熱減量が8重量%より大きくなると、トナーのガラス転移点を低下させ、トナーの貯蔵安定性を損なう。現像特性に悪影響を与え、カブリや感光体フィルミングを生じさせる。生成されるトナーの粒度分布がブロードになってしまう。
ヨウ素価、けん化価を規定したワックスのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)における分子量特性、数平均分子量が100〜5000、重量平均分子量が200〜10000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜8、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜10、分子量5×102〜1×104の領域に少なくとも一つの分子量極大ピークを有していることが好ましい。より好ましくは数平均分子量が500〜4500、重量平均分子量が600〜9000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜7、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜9、さらに好ましくは数平均分子量が700〜4000、重量平均分子量が800〜8000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜6、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜8である。
数平均分子量が100より小さく、重量平均分子量が200より小さく、分子量極大ピークが5×102よりも小さい範囲に位置しているとなると貯蔵安定性が悪化する。また現像器内でのハンドリング性が低下し、トナー濃度の均一性保持を阻害する。トナーの感光体フィルミングを生じてしまう。生成されるトナーの粒度分布がブロードになってしまう。
数平均分子量が5000より大きく、重量平均分子量が10000より大きく、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が8より大きく、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が10より大きく、分子量極大ピークが1×104の領域よりも大きい範囲に位置していると、離型作用が弱くなり低温定着性が低下する。ワックスの乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒径を小さくできにくくなる。
第一のワックスとしては、メドウフォーム油誘導体、カルナウバワックス誘導体、ホホバ油誘導体、木ロウ、ミツロウ、オゾケライト、カルナウバワックス、キャンデリアワックス、セレシンワックス又はライスワックス等の材料も好ましく、またこれらの誘導体も好適に使用される。そして一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
メドウフォーム油誘導体としては、メドウフォーム油脂肪酸、メドウフォーム油脂肪酸の金属塩、メドウフォーム油脂肪酸エステル、水素添加メドウフォーム油又はメドウフォーム油トリエステルも好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散液を作成することができる。オイルレス定着における低温定着性と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
メドウフォーム油をけん化分解して得られるメドウフォーム油脂肪酸は4〜30個の炭素原子を有する脂肪酸からなるものが好ましい。その金属塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉛、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト又はアルミニウムなどの金属塩が使用することが出来る。高温非オフセット性が良好である。
メドウフォーム油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチルやグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール又はトリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル又はメドウフォーム油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。低温定着性に効果がある。
水素添加メドウフォーム油はメドウフォーム油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。低温定着性、光沢性を向上できる。
さらには、メドウフォーム油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物を、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート(MDI)、等のイソシアネートで架橋して得られるメドウフォーム油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ホホバ油誘導体としては、ホホバ油脂肪酸、ホホバ油脂肪酸の金属塩、ホホバ油脂肪酸エステル、水素添加ホホバ油、ホホバ油トリエステル、エポキシ化ホホバ油のマレイン酸誘導体、ホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物、ハロゲン化変性ホホバ油も好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散液を作成することができる。樹脂とワックスの均一混合分散が行いやすい。オイルレス定着における低温定着性と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
ホホバ油をけん化分解して得られるホホバ油脂肪酸は4〜30個の炭素原子を有する脂肪酸からなる。その金属塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、鉛、マンガン、鉄、ニッケル、コバルト、アルミニウムなどの金属塩が使用することが出来る。高温非オフセット性が良好である。
ホホバ油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチルやグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、ホホバ油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。低温定着性に効果がある。
水素添加ホホバ油はホホバ油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。低温定着性、光沢性を向上できる。
さらには、ホホバ油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物を、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4'−ジシソシアネート(MDI) 、等のイソシアネートで架橋して得られるホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ケン化価は、試料1gをけん化するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価とエステル価の和にあたる。ケン化価値を測定するには約0.5Nの水酸化カリウムのアルコール溶液中で試料をケン化した後、0.5Nの塩酸で過剰の水酸化カリウムを滴定する。
ヨウ素価は試料にハロゲンを作用させたときに、吸収されるハロゲンの量をヨウ素に換算し、試料100gに対するg数で表したものをいう。吸収されるヨウ素のグラム数であり、この値が大きいほど試料中の脂肪酸の不飽和度が高いことを示す。試料のクロロホルム又は四塩化炭素溶液にヨウ素と塩化水銀(II)のアルコール溶液又は塩化ヨウ素の氷酢酸溶液を加えて、放置後反応しないで残ったヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定して吸収ヨウ素量を算出する。
加熱減量の測定は試料セルの重量を0.1mgまで精秤(W1mg)し、これに試料10〜15mgを入れ、0.1mgまで精秤する(W2mg)。試料セルを示差熱天秤にセットし、秤量感度を5mgにして測定開始する。測定後、チャートにより試料温度が220℃になった時点での重量減を0.1mgまで読み取る(W3mg)。装置は、真空理工製TGD−3000、昇温速度は10℃/min、最高温度は220℃、保持時間は1minで、加熱減量(%)=W3/(W2−W1)×100、で求められる。
ワックスのDSC法及びMDSC法による吸熱ピーク温度(融点℃)、オンセット温度及び吸熱量はQ100型示差操作熱量計(ティー・エイ・インスツルメンツ社製、冷却には純正の電気冷凍機を使用)を使用し、測定モードを「標準」、パージガス(N2)流量を50ml/minで、電源投入後、測定セル内の温度を30℃に設定し、その状態で1時間放置した後,純正のアルミニウム製のクリンプパンに被測定試料をサンプル量として8mg±2mg入れ、試料が入ったアルミニウム製のクリンプパンを測定機器内に投入した。その後5℃で5min間保持し、昇温速度1℃/minで120℃まで昇温した。解析は、装置に付属の「Universal Analysis Version 4.0」を使用した。
グラフにおいて、横軸にリファレンスである空のアルミニウム製のクリンプパンの温度、縦軸に、DSC法での測定は(数式1)で表されるヒートフローを、MDSC法での測定は(数式2)で表されるリバースヒートフローを取り、ベースラインから吸熱曲線が立ち上がり始める温度をオンセット温度、吸熱曲線のピーク値を吸熱ピーク温度(融点)とした。
DSC法の測定条件は、昇温速度毎分1℃で測定した。一般的にDSC法で測定を行う場合、試料の熱履歴を消すために一旦昇温と冷却を実施した後に再度昇温を行いその際の吸熱を測定するが、試料を溶融することで試料の構造が変化することが予測されたため、熱履歴を消すための昇温過程と冷却過程は省略した。
MDSC法は平均昇温速度毎分1℃、変調周期40秒、変調振幅温度0.106℃で測定した。このとき昇温速度は最小で毎分0℃、最大で毎分2℃まで周期的に変化する。
第一のワックスと第二のワックスの吸熱領域に重なり合う部分がある場合、第一のワックスの吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))と第二のワックスの吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))の間で、DSC法による吸熱曲線において吸熱が極小となる温度を境界として、両者の吸熱量を算出した。
また、第一のワックスとして前述したワックスに代わって、又は併用してヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルの材料も好ましく、一種類又は二種類以上組合せての使用も有効である。均一な乳化分散の小粒径芯粒子の作成が可能となり、第二のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体としては、12−ヒドロキシステアリン酸メチル、12−ヒドロキシステアリン酸ブチル、プロピレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアラート又はエチレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温定着性、紙の分離性改良効果と、感光体フィルミング防止効果がある。
グリセリン脂肪酸エステルとしてはグリセリンステアラート、グリセリンジステアラート、グリセリントリステアラート、グリセリンモノパルミタート、グリセリンジパルミタート、グリセリントリパルミタート、グリセリンベヘナート、グリセリンジベヘナート、グリセリントリベヘナート、グリセリンモノミリスタート、グリセリンジミリスタート又はグリセリントリミリスタート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温時のコールドオフセット性緩和と、転写性低下防止効果がある。
グリコール脂肪酸エステルとしては、プロピレングリコールモノパルミタート若しくはプロピレングリコールモノステアラート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、又はエチレングリコールモノステアラート若しくはエチレングリコールモノパルミタート等のエチレングリコール脂肪酸エステルが好適な材料である。低温定着性、現像での滑りを良くしキャリアスペント防止の効果がある。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタントリパルミタート又はソルビタントリステアラートが好適な材料である。さらには、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、アジピン酸とステアリン酸又はオレイン酸の混合エステル類等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。オイルレス定着における紙の分離性改良効果と、感光体フィルミング防止効果がある。
第二のワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス又はフィッシャートトプッシュワックス等の脂肪族炭化水素系ワックスが好適に使用できる。
また、ワックスを混合凝集時に脱離浮遊させず、均一に樹脂中に内包化するためには、ワックスの分散粒度分布、ワックスの組成、ワックスの溶融特性も影響される。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水系媒体中でワックスを加熱し、溶融させ分散させることにより調製される。
ワックスの分散粒子径は小粒径側から積算したときの体積粒径積算分布において16%径(PR16)が20〜200nm、50%径(PR50)が40〜300nm、84%径(PR84)が400nm以下、PR84/PR16が1.2〜2.0の大きさにまで乳化分散し、200nm以下の粒子が65体積%以上、500nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
好ましくは、小粒径側から積算したときの体積粒径積算分における16%径(PR16)が20〜100nm、50%径(PR50)が40〜160nm、84%径(PR84)が260nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。150nm以下の粒子が65体積%以上、400nmを越える粒子が10体積%以下である。
さらに好ましくは、小粒径側から積算したときの体積粒径積算分における16%径(PR16)が20〜60nm、50%径(PR50)が40〜120nm、84%径(PR84)が220nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。130nm以下の粒子が65体積%以上、300nmを越える粒子が10体積%以下である。
樹脂粒子分散液と着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合凝集して芯粒子を形成するとき、50%径(PR50)が40〜160nmと微細分散とすることにより、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれやすくワックス自体同士での凝集を防止でき、分散が均一に行える。樹脂粒子に取り込まれ水中に浮遊する粒子をなくすことができる。
さらに芯粒子を水系中で加熱して溶融した凝集粒子を得る際に、表面張力の関係から溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を取り囲み、包含する形となり、樹脂中にワックス粒子が内包されやすくなる。
PR16が200nmより大きく、50%径(PR50)が300nmより大きく、PR84が400nmよりも大きく、PR84/PR16が2.0よりも大きく、200nm以下の粒子が65体積%未満、500nmを越える粒子が10体積%より多くなると、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれにくくワックス自体同士のみでの凝集が多発する傾向となる。また、芯粒子に取り込まれず、水中に浮遊する粒子が増大する傾向にある。芯粒子を水系中で加熱して溶融した芯粒子を得る際に、溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を包含する形となりにくく、樹脂中にワックスが内包されにくくなる。さらに樹脂を付着融合させる際にトナー母体表面に露出遊離するワックス量が多くなり、感光体へのフィルミング、キャリアへのスペントの増加、現像でのハンドリング性が低下し、また現像メモリーが発生しやすくなる。
PR16が20nmより小さく、50%径(PR50)が40nmより小さく、PR84/PR16が1.2よりも小さくしようとすると、分散状態を維持しづらく、放置時にワックスの再凝集が発生し、粒度分布の放置安定性が低下する傾向となる。また分散時に負荷が大きくなり、発熱が大きくなり、生産性が低下する傾向となる。
ワックスの融点以上の温度に保持された分散剤を添加した媒体中に、前記ワックスをワックス濃度40wt%以下で溶融させたワックス溶融液を、固定体と一定のギャップを介して高速回転する回転体により生じる高せん断力作用により乳化分散させることにより、ワックス粒子を微細に分散できる。
図3、4に示す一定容量の槽内の槽壁に、0.1mm〜10mm程度のギャップを設けて、回転体を30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上の高速で回転することにより、水系に強力なずりせん断力が作用し、微細な粒径の乳化分散液が得られる。処理時間は30s〜5min程度の処理で分散液が形成できる。
また図5、6に示すような固定した固定体に対し、1〜100μm程度のギャップを設けて30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上で回転する回転体との強いせん断力作用を付加することにより、微細な分散液を作成することができる。
ホモジナイザーのような分散機よりも微細な粒子の粒度分布をより狭小化シャープに形成できる。また長時間の放置でも分散液を形成した微粒子が再凝集することなく、安定した分散状態を保つことができ、粒度分布の放置安定性が向上する。
ワックスの融点が高い場合は、高圧状態で加熱することにより溶融した液を作成する。又はワックスを油性溶剤に溶解させる。この溶液を図3、4、5、6に示した分散機を用いて界面活性剤や高分子電解質と共に水中で微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して前記油性溶剤を蒸散させることにより得られる。
粒度測定は堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)、島津製作所レーザ回折粒度測定器(SALD2100)などを用いて測定することができる。
(3)樹脂
本実施形態のトナーの樹脂微粒子としては、例えば熱可塑性結着樹脂が挙げられる。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する不飽和多価カルボン酸系単量体などの単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物等を挙げることができる。
重合開始剤としては、2,2'−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、1,1'−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2'−アゾビスー4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、や過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4'−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
樹脂粒子分散液における前記樹脂粒子の含有量としては、通常5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。
ワックス、着色剤との凝集反応による芯粒子生成において浮遊粒子の存在をなくし、シャープな粒度分布の粒子を形成するために、芯粒子を構成する第一の樹脂粒子のガラス転移点は45℃〜60℃、軟化点が90℃〜140℃であることが好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が45℃〜55℃、軟化点が90℃〜135℃、さらに好ましくは、ガラス転移点が45℃〜52℃、軟化点が90℃〜130℃である。
また、第一の樹脂粒子の好ましい例として、重量平均分子量(Mw)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜6である。好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜5万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3.9である。さらに好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜3万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3である。
これにより、凝集反応の過程で、溶融する樹脂粒子との第一ワックスとの分散性が良化して、芯粒子の粗大化を防ぎ、狭い粒度分布の粒子を効率よく生成することができる。Jmw1/Jw1及びJmw2/Jw2値を一定の数値範囲内に制御することができるものと考察する。また、低温定着性を可能とし、さらに画像光沢度の定着温度に対する変化を少なくし、画像光沢を一定に出来る効果がある。通常は定着温度上昇すると画像の光沢度が上昇するため、定着の温度変動により画像の光沢が変動して定着の温度制御をシビアにする必要があった。しかし、本例により定着温度の変動によっても画像光沢性の変動が少ない効果が得られる。
第一の樹脂粒子のガラス転移点が45℃よりも小さいと、芯粒子が粗大化する。貯蔵安定性や耐熱性が低下する。60℃よりも大きいと低温定着性が悪化する。Mwが1万よりも小さいと芯粒子が粗大化する。貯蔵安定性や耐熱性が低下する。6万よりも大きいと低温定着性が悪化する。Mw/Mnが6よりも大きいと、芯粒子の形状が安定せず、不定形になりやすく、粒子表面に凹凸が残り、表面平滑性の劣るものとなる。
また、芯粒子に第二の樹脂粒子を芯粒子に融着して樹脂融着層を形成することも好ましく、その樹脂の例として、ガラス転移点が55℃〜75℃、軟化点が140℃〜180℃、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された重量平均分子量(Mw)が5万〜50万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10が好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が60℃〜70℃、軟化点が145℃〜180℃、Mwが8万〜50万、Mw/Mnが2〜7である。さらに好ましくは、ガラス転移点が65℃〜70℃、軟化点が150℃〜180℃、Mwが12万〜50万、Mw/Mnが2〜5である。
芯粒子表面の熱融着を促進し、軟化点を高め設定とすることにより、耐久性、耐高温オフセット性、分離性を向上させることが狙いである。第二の樹脂粒子のガラス転移点が55℃よりも低いと二次凝集を生じやすい。また貯蔵安定性が悪化する。75℃よりも高いと、芯粒子表面への熱融着性が悪化し、均一付着性が低下する。第二の樹脂粒子の軟化点が140℃よりも小さいと耐久性、耐高温オフセット性、分離性が低下する。180℃よりも大きいと光沢性、透光性が低下する。Mw/Mnを小さくして分子量分布を単分散に近づけることにより、芯粒子表面への第二の樹脂粒子の熱融着が均一に行うことが出来きる。第二の樹脂粒子のMwが5万よりも小さいと耐久性、高温非オフセット性、紙分離性が低下する。50万よりも大きいと低温定着性、光沢性、透光性が低下する。
また、第一の樹脂粒子はトナー全樹脂に対して60wt%以上であることが好ましく、より好ましくは70wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上である。
樹脂、ワックス及びトナーの分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
装置は、東ソー社製HLC8120GPCシリーズ、カラムはTSKgel superHM−H H4000/H3000/H2000(6.0mmI.D.−150mm×3)、溶離液THF(テトラヒドロフラン)、流量0.6mL/min、試料濃度0.1%、注入量20μL、検出器RI、測定温度40℃、測定前処理は試料をTHFに溶解後一晩放置後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、シリカ等の添加剤を除去した樹脂成分を測定する。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
また、結着樹脂の軟化点は、島津製作所の定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタ(CFT500)により、1cm3の試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより約9.8×105N/m2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのダイから押し出して、このプランジャーのピストンストロークと温度との関係における昇温温度特性との関係から、ピストンストロークが立上り始める温度が流出開始温度(Tfb)、ピストンストローク特性の曲線の最低値と流出終了点の差の1/2を求め、それと曲線の最低値を加えた点の位置における温度を1/2法における溶融温度(軟化点Ts℃)となる。
また、樹脂のガラス転移点は示差走査熱量計(島津製作所DSC−50)を用い、100℃まで昇温し、その温度にて3分間放置した後、降温速度10℃/minで室温まで冷却したサンプルを、昇温速度10℃/minで昇温して熱履歴を測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立上り部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を言う。
(4)顔料
本実施形態に使用される着色剤(顔料)の黒顔料としては、カーボンブラックを使用する。前述したようにカーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)は45〜70である。粒子径は20〜40nmのもが好ましい。好ましくは粒子径は20〜35nmである。粒子径は電子顕微鏡による算術平均径を取っている。粒子径が大きいと着色力が低下する。粒子径が小さいと、液中での分散が困難になる。例えば、三菱化学社製の#52(粒径27nm,DBP吸油量63ml/100g),#50(同28nm,同65ml/100g),#47(同23nm,同64ml/100g),#45(同24nm,同53ml/100g)、#45L(同24nm,同45ml/100g)、キャボット社製のREGAL250R(同35nm、同46ml/100g)、REGAL330R(同25nm、同65ml/100g)、MOGULL(同24nm、同60ml/100g)がこのましい材料である。より好ましくは#45、#45、LREGAL250Rである。
DBP吸油量の測定(JISK6217)は、150℃±1℃で1時間乾燥した試料20g(Ag)をアブソープトメータ(Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを最大トルクの約70%に設定した後、混合機を回転する。同時に自動ビューレットからDBP(比重1.045〜1.050g/cm3)を4ml/minの割合で添加する。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それまでに添加したDBP量(Bml)と試料重量から試料100gあたりのDBP吸油量(=Bx100/A)(ml/100g)が求められる。
また、カラートナーとして使用する顔料の例としては、イエロー顔料は、C.I.ピグメント・イエロー1,3,74,97又は98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12,13,14,17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ソルベンイエロー19,77,79又はC.I.ディスパース・イエロー164が配合され、特に好ましくはC.I.ピグメント・イエロー93,180,185のベンズイミダゾロン系顔料が好適である。
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメント・レッド48,49:1,53:1,57,57:1,81,122,5等の赤色顔料、C.I.ソルベント・レッド49,52,58,8等の赤色染料が好ましく使用できる。
シアン顔料としては、C.I.ピグネント・ブルー15:3等のフタロシアニン及びその誘導体の青色染顔料が好ましく使用できる。添加量は結着樹脂100重量部に対し、3〜8重量部が好ましい。
各粒子のメジアン径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記メジアン径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子が発生し、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記メジアン径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記メジアン径は、例えば堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)などを用いて測定することができる。
(5)外添剤
本実施形態では外添剤として無機微粉末が混合添加される。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物微粉末、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる。外添剤は必要に応じて疎水化処理される。
外添剤に処理されるシリコーンオイル系の材料としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル及びクロルフェニル変成シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理される外添剤が好適に使用される。例えば東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823又はBY16―855B等が挙げられる。
処理は外添剤とシリコーンオイル等の材料とをヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)などの混合機により混合する方法や、外添剤へシリコーンオイル系の材料を噴霧する方法、溶剤にシリコーンオイル系の材料を溶解或いは分散させた後、外添剤と混合した後、溶剤を除去して作成する方法等がある。外添剤100重量部に対して、シリコーンオイル系の材料は1〜20重量部配合されるのが好ましい。
シランカップリング剤としては、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジビニルクロルシラン又はジメチルビニルクロルシラン等が好適に使用できる。シランカップリング剤処理は、外添剤を攪拌等によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理、又は外添剤を溶媒中に分散させたシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法等により処理される。
またシランカップリング処理した後にシリコーンオイル系の材料を処理することも好ましい。
正極帯電性を有する外添剤はアミノシラン、アミノ変性シリコーンオイル又はエポキシ変性シリコーンオイルで処理される。
また、疎水性処理を高めるため、ヘキサメチルジシラザンやジメチルジクロロシラン、他のシリコーンオイルによる処理の併用も好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル又はアルキル変性シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理することが好ましい。
また、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸及び脂肪酸金属塩の群より選ばれた1種又は2種以上(以下脂肪酸等)により外添剤の表面を処理することも好ましい。表面処理したシリカ又は酸化チタン微粉末がより好ましい。
脂肪酸又は脂肪酸金属塩としては、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラクセル酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸又はリノール酸等が挙げられる。中でも炭素数12〜22の脂肪酸が好ましい。
また脂肪酸金属塩を構成する金属としては、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、鉛又はバリウムが挙げられ、中でもアルミニウム、亜鉛又はナトリウムが好ましい。特に好ましくはジステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C1735COO)2)、又はモノステアリン酸アルミニウム(Al(OH)2(C1735COO))、等のジ脂肪酸アルミニウム、モノ脂肪酸アルミニウムである。OH基を有することが過帯電を防止し、転写不良を抑えることができる。また処理時に外添剤との処理性が向上するものと考えられる。
脂肪族アミドとしては、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド、エイコセン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド又はリグリノセリン酸アミド等の炭素数16〜24を有する飽和または1価の不飽和の脂肪族アミドが好ましく用いられる。
脂肪酸エステルとしては例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、若しくは脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、又は脂肪酸トリメチロールプロパンエステル等が好ましく用いられる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
表面処理の好ましい形態としては、処理される外添剤の表面をカツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイル等のポリシロキサンにて処理を施した後に脂肪酸等により処理を施すことも好ましい。単に親水性シリカの脂肪酸を処理する場合よりも均一な処理が可能となり、トナーの高帯電化を図れることと、トナーに添加したときの流動性が向上する効果があるためである。またカツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイルとともに脂肪酸等を処理することでも上記効果を奏する。
脂肪酸等をトルエン、キシレン又はヘキサン等の炭化水素系有機溶剤に溶解し、それとシリカ、酸化チタン、アルミナ等の外添剤とを分散機にかけ湿式混合して処理剤により、外添剤の表面に付着させて、表面処理を施し、その後に溶剤を溜去して乾燥処理を行うことにより生成される。
ポリシロキサンと脂肪酸等との混合割合が1:2〜20:1であることが好ましい。割合が1:2よりも脂肪酸等が多くなると、外添剤の帯電量が高くなり、画像濃度の低下、二成分現像においてはチャージアップが発生しやすくなる。20:1よりも脂肪酸等が少なくなると、転写における中抜け、逆転写性への効果が低下する。
このとき脂肪酸等を表面処理した外添剤の強熱減量は1.5〜25wt%であることが好ましい。より好ましくは5〜25wt%、更に好ましくは8〜20wt%である。1.5wt%より少ないと、処理剤の機能が十分に発揮されず、帯電性、転写性向上の効果が現れない。25wt%よりも多いと未処理剤が存在し、現像性や耐久性に悪影響を与える。
本発明により生成されたトナー母体粒子表面は従来の粉砕方式と異なり、トナー母体粒子表面が平滑で均質化され、また表面が略樹脂のみで構成されているため、帯電の均一性という面からは有利であるが、帯電付与性、或いは帯電保持性に関して使用する外添剤との相性が重要となるためである。
平均粒子径6nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し1〜6重量部外添処理することが好ましい。平均粒子径6nmよりも小さいと、浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い。転写時の逆転写の発生を抑さえ切れない。200nmよりも大きくなると、トナーの流動性が悪化する。1重量部よりも少ないとトナーの流動性が悪化する。転写時の逆転写の発生を抑さえ切れない。6重量部よりも多いと浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い。高温非オフセット性を悪化される。
また、平均粒子径が6nm〜20nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部と、20nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部とを少なくとも外添処理することも好ましい。これにより機能分離した外添剤の使用で、帯電付与性、帯電保持性が向上する、転写時の逆転写、中抜け、トナー飛散に対しよりマージンが取れる。このとき平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量が0.5〜20wt%、平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5〜25wt%であることが好ましい。平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量を、平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量よりも多くすることにより、帯電保持性がとともに転写時の逆転写、中抜けに効果が発揮される。
外添剤の強熱減量を特定することにより、転写時の逆転写、中抜け、飛散りに対しよりマージンが取れる。現像器内でのハンドリング性を向上させトナー濃度の均一性を上げることができる。
平均粒子径が6nm〜20nmの強熱減量が0.5wt%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる。20wt%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる。好ましくは強熱減量が1.5〜17wt%、より好ましくは4〜10wt%である。
平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5wt%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる。25wt%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる。好ましくは強熱減量が2.5〜20wt%、より好ましくは5〜15wt%である。
また、平均粒子径が6nm〜20nm、強熱減量が0.5〜20wt%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2重量部と、平均粒子径が20nm〜100nm、強熱減量が1.5〜25wt%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部、平均粒子径が100nm〜200nm、強熱減量が0.1〜10wt%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部とを少なくとも外添処理することも好ましい。この平均粒子径と強熱減量を特定した機能分離した外添剤により帯電付与性、帯電保持性の向上、転写時の逆転写、中抜けの改善とともに、キャリアの表面への付着物の除去に効果が得られる。
さらには、平均粒子径6nm〜200nm、強熱減量が0.5〜25wt%である正帯電性を有する外添剤をさらにトナー母体粒子100重量部に対し0.2〜1.5重量部を外添処理することも好ましい。
正帯電性を有する外添剤を添加する効果は、トナーが長期連続使用の際に過帯電になることを抑え、より現像剤寿命を延ばすことが可能となる。さらには過帯電による転写時の飛散りを抑える効果も得られる。またキャリアへのスペントを防止できる。0.2重量部よりも少ないとその効果が得にくい。1.5重量部よりも多くなると、現像でのかぶりが増大する。強熱減量は好ましくは1.5〜20wt%、より好ましくは5〜19wt%である。
乾燥減量(%)は、予め乾燥、放冷、精秤した容器に試料約1gを取り、精秤する。熱風乾燥器(105℃±1℃)で2時間乾燥する。デシケータ中で30分間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
乾燥減量(%)=[乾燥による減量(g)/試料量(g)]×100
強熱減量は、予め乾燥、放冷、精秤した磁性ルツボに試料約1gを取り、精秤する。500℃に設定した電気炉中で2時間強熱する。デシケータ中で1時間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
強熱減量(%)=[強熱による減量(g)/試料量(g)]×100
また処理された外添剤の水分吸着量が1wt%以下であることが好ましい。好ましくは0.5wt%以下、より好ましくは0.1wt%以下、さらに好ましくは0.05wt%以下である。1wt%より多いと、帯電性の低下、耐久時の感光体へのフィルミングを生じる。水分吸着量の測定は、水吸着装置については、連続蒸気吸着装置(BELSORP18:日本ベル株式会社)にて測定した。
疎水化度の測定は、メタノール滴定により測定し、250mlのビーカー中に装入した蒸留水50mlに試験すべき生成物0.2gを秤取する。先端に、液体中に浸威しているビュレットからメタノールを外添剤の総量がぬれるまで滴下する。その際不断に電磁攪拌機でゆっくりと攪拌する。完全に濡らすために必須なメタノール量a(ml)から次式により疎水化度が算出される。
疎水化度=(a/(50+a))×100(%)
(6)トナーの粉体物性
本実施形態では、結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母体粒子の体積平均粒径が3〜7μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が10〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が25〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が5体積%以下で含有し、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の体積%をV46とし、個数分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の個数%をP46としたとき、P46/V46が0.5〜1.5の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜25%、個数粒径分布の変動係数が10〜28%であることが好ましい。
好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜6.5μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が20〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が35〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が3体積%以下で含有し、P46/V46が0.5〜1.3の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜20%、個数粒径分布の変動係数が10〜23%である。さらに、好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜5μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が40〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が45〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が1体積%以下で含有し、P46/V46が0.5〜0.9の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜15%、個数粒径分布の変動係数が10〜18%である。
高解像度画質、さらにはタンデム転写における逆転写の防止、中抜けを防止し、オイルレス定着との両立を図ることを可能とできる。トナー中の微粉はトナーの流動性、画質、貯蔵安定性、感光体や現像ローラ、転写体ヘのフィルミング、経時特性、転写性、特にタンデム方式での多層転写性に影響する。さらにはオイルレス定着での非オフセット性、光沢性、透光性に影響する。オイルレス定着実現のためにワックス等のワックスを配合したトナーにおいて、タンデム転写性との両立において微粉量が影響する。
体積平均粒径が7μmを超えると画質と転写の両立が図れない。体積平均粒径が3μm未満であると現像でのトナー粒子のハンドリング性が困難となる。
個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が10個数%未満になると、画質と転写の両立が図れない。75個数%を超えると、現像でのトナー母体粒子のハンドリング性が困難となる。また感光体、現像ローラ、転写体へのフィルミングが発生しやすくなる。さらに微粉は熱ローラとの付着性も大きいためオフセットしやすい傾向にある。またタンデム方式において、トナーの凝集が強くなりやすく、多層転写時に2色目の転写不良を生じ易くなる。
体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が75体積%を超えると、画質と転写の両立が図れない。25体積%未満になると、画質の低下が生じる。
体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が5体積%を越えて含有すると、画質の低下が生じる。転写不良の原因となる。
体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の体積%をV46とし、個数分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の個数%をP46としたとき、P46/V46が0.5よりも小さいとき、微粉存在量が過多になり、流動性の低下、転写性の悪化、地カブリが悪化する。1.5よりも大きいときは、大きい粒子が多く存在しかつ粒度分布がブロードになり、高画質化が図ることが出来ない。
P46/V46を規定する目的は、トナー粒子を小粒径にして、かつその粒度分布を狭くするための指標とできるものである。
変動係数とはトナーの粒径における標準偏差を平均粒径で割ったものである。コールターカウンタ(コールター社)を使用して測定した粒子径をもとにしたものである。標準偏差は、n個の粒子系の測定を行なった時の、各測定値の平均値からの差の2乗を(n−1)で割った値の平方根であらわされる。
つまり変動係数とは粒度分布の広がり具合を表したもので、体積粒径分布の変動係数が10%未満、又は個数粒径分布の変動係数が10%未満となると、生産的に困難であり、コストアップの要因となる。体積粒径分布の変動係数が25%より大、又は個数粒径分布の変動係数が28%より大きくなると、粒度分布がブロードとなり、トナーの凝集性が強くなり、感光体へのフィルミング、転写不良、クリーナーレスプロセスでの残留トナーの回収が困難となる。
粒度分布測定は、コールターカウンタTA−II型(コールターカウンタ社)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続して測定する。電解液は濃度1wt%となるよう界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を加えたもの50ml程度に被測定トナーを2mg程度加え、試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約3分間分散処理を行い、コールターカウンタTA−II型にてアパーチャー70μmのアパーチャーを用いた。70μmのアパーチャー系では、粒度分布測定範囲は1.26μm〜50.8μmであるが、2.0μm未満の領域は外来ノイズ等の影響で測定精度や測定の再現性が低いため実用的ではない。よって測定領域を2.0μm〜50.8μmとした。
また、静嵩密度と動嵩密度から算出されるのが圧縮度で、トナー流動性の指標の一つである。トナーの流動性はトナーの粒度分布、トナー粒子形状、外添剤、ワックスの種類や量に影響される。トナーの粒度分布が狭く微粉が少ない場合、トナーの表面に凹凸が少なく形状が球形に近い場合、外添剤の添加量が多い場合、外添剤の粒径が小さい場合は、圧縮度が小さくなりトナーの流動性は高くなる。圧縮度は5〜40%が好ましい。より好ましくは、10〜30%である。オイルレス定着と、タンデム方式多層転写との両立を図ることが可能となる。5%より小さいと、定着性が低下し、特に透光性が悪化しやすい。現像ロ−ラからトナー飛散が多くなりやすい。40%よりも大きい転写性が低下し、タンデム方式での中抜け、転写不良を生じる。
(7)タンデムカラープロセス
高速にカラー画像を形成するために、本実施形態では、感光体と帯電手段とトナー担持体を含むトナー像形成ステーションを複数個有し、像担持体上に形成した静電潜像を顕像化したトナー像を、前記像担持体に無端状の転写体を当接させて前記転写体に転写させる一次転写プロセスが順次連続して実行して、前記転写体に多層の転写トナー画像を形成し、その後前記転写体に形成した多層のトナー像を、一括して紙やOHP等の転写媒体に一括転写させる二次転写プロセスが実行されるよう構成された転写プロセスにおいて、第1の一次転写位置から第2の一次転写位置までの距離をd1(mm)、感光体の周速度をv(mm/s)とした場合、d1/v≦0.65となる転写位置構成を取る構成で、マシンの小型化と印字速度の両立を図るものである。毎分20枚(A4)以上処理でき、かつマシンがSOHO用途として使用できる大きさの小型化を実現するためには、複数のトナー像形成ステーション間を短く、かつプロセス速度を高める構成が必須である。その小型化と印字速度の両立のためには上記値が0.65以下とする構成がミニマムと考えられる。
しかし、このトナー像形成ステーション間を短いとき、例えば1色目のイエロートナーが一次転写された後、次の2色目のマゼンタトナーが一次転写されるまでの時間が極めて短く、転写体の帯電緩和又は転写されたトナーの電荷緩和が殆ど生じず、イエロートナーの上にマゼンタトナーを転写する際に、マゼンタトナーがイエロートナーの電荷作用により反発され、転写効率の低下、転写時の文字の中抜けという問題が生じる。さらに第3色目のシアントナーの一次転写の時、前のイエロー、マゼンタトナーの上に転写される際にシアントナーの飛び散り、転写不良、転写中抜けが顕著に発生する。さらに繰り返し使用しているうちに特定粒径のトナーが選択的に現像され、トナー粒子個々の流動性が大きく異なると摩擦帯電する機会が異なるため、帯電量のバラツキが生じ、より転写性の劣化を招いてしまう。
そこで、本実施形態のトナー又は二成分現像剤を使用することにより、帯電分布が安定化しトナーの過帯電を抑えると共に、流動性変動を抑えることができる。そのため定着特性を犠牲にすることなく、転写効率の低下、転写時の文字の中抜け、逆転写を防止することができる。
(8)オイルレスカラー定着
本実施形態では、トナーを定着する手段にオイルを使用しないオイルレス定着の定着プロセスを具備する電子写真装置に好適に使用される。その加熱手段としては電磁誘導加熱がウオームアップ時間の短縮、省エネの観点から好ましい。磁場発生手段と、電磁誘導により発生する発熱層及び離型層を少なくとも有する回転加熱部材と、前記回転加熱部材と一定のニップを形成している回転加圧部材とを少なくとも有する加熱加圧手段を使用して、回転加熱部材と回転加圧部材間にトナーが転写された複写紙等の転写媒体を通過させ、定着させる。その特徴として、回転加熱部材のウオームアップ時間が従来のハロゲンランプを使用している場合に比べて、非常に早い立ち上がり性を示す。そのため回転加圧部材が十分に昇温していない状態で複写の動作に入るため、低温定着と広範囲な耐オフセット性が要求される。
加熱部材と定着部材を分離した定着ベルトを使用した構成も好ましく使用される。そのベルトとしては耐熱性と変形自在性とを有するニッケル電鋳ベルトやポリイミドベルトの耐熱ベルトが好適に用いられる。離形性を向上するために表面層としてシリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂を用いるのが好ましい。
これらの定着においては、従来は離型オイルを塗布してオフセットを防止してきた。オイルを使用せずに離型性を有するトナーにより、離型オイルを塗布する必要はなくなった。しかし、離型オイルを塗布しないと帯電しやすく、未定着のトナー像が加熱部材又は定着部材と近接すると帯電の影響により、トナー飛びが生じる場合がある。特に低温低湿下において発生しやすい。
そこで、本実施形態のトナーの使用により、オイルを使用せずとも低温定着と広範囲な耐オフセット性を実現でき、カラー高透光性を得ることができる。またトナーの過帯電性を抑制でき加熱部材又は定着部材との帯電作用によるトナーの飛びを抑えられる。
(1)キャリア製造例
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe23換算で49.6mol%及びSrO換算で0.8mol%を湿式ボールミルで、10時間粉砕し、混合し、乾燥させた後、950℃で4時間保持し、仮焼成を行った。これを湿式ボールミルで24時間粉砕し、次いでスプレードライヤにより造粒し、乾燥し、電気炉にて、酸素濃度2%雰囲気の中で1270℃で6時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに分級して平均粒径50μm、印加磁場が3000エルステットの時の飽和磁化が65emu/gであるフェライト粒子の芯材を得た。
次に、(化1)で示されるR1、R2がメチル基、すなわち(CH32SiO2/2単位が15.4mol%、(化2)で示されるR3がメチル基、すなわちCH3SiO3/2単位が84.6mol%であるポリオルガノシロキサン250gと、CF3CH2CH2Si(OCH3321gとを反応させフッ素変性シリコーン樹脂を得た。さらにそのフッ素変性シリコーン樹脂を固形分換算で100gとアミノシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)10gとを秤量し、300ccのトルエン溶剤に溶解させた。
Figure 2007086195
Figure 2007086195
前記フェライト粒子10kgに対し、液浸乾燥式被覆装置を用い、上記被覆樹脂溶液を20分間攪拌することによりコーティングを行った。その後260℃で1時間焼き付けを行い、キャリアCA1を得た。
(2)樹脂粒子分散液の作成
次に本発明のトナーの実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(a)樹脂粒子分散液RL1の調製
スチレン240.1gと、n−ブチルアクリレート59.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)7.2g、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(20wt%濃度))24g(実質アニオン量4.8g)、ドデカンチオール6gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム4.5gを加えて、75℃で4時間乳化重合を行った。その後さらに90℃で2時間熟成処理を行い、Mnが7200、Mwが13800、Mzが20500、Mpが10800、Tsが98℃、Tgが52℃、中位径が0.14μmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液RL1を調製した。このときの樹脂分散液のpHは1.8であった。
(表1)は、樹脂粒子分散液の作成例として調製された本発明に係る樹脂粒子分散液(RL1、RL2、RH1、RH2、rh3、rh4)において得られた結着樹脂の特性を示す。なお、"Mn"は数平均分子量、"Mw"は重量平均分子量、"Mz"はZ平均分子量、"Mw/Mn"は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mn、"Mz/Mn"はZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)の比Mz/Mn、"Mp"は分子量のピーク値、Tg(℃)はガラス転移点、Ts(℃)は軟化点を表わす。(表2)に各樹脂粒子分散液に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率(wt%)を示す。(表3)に各樹脂粒子分散液RL1、RL2、RH1、RH2、rh3、rh4の乳化重合において、樹脂粒子分散液RL1の調製をベースに各樹脂粒子分散液に使用したモノマー等の配合量等を示す。
Figure 2007086195
Figure 2007086195
Figure 2007086195
(3)顔料分散液の作成
(a)1Lのビーカーにイオン交換水308gおよび非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)を12gを秤量し、マグネットスターラーで界面活性剤の固形分が溶解するまで撹拌した。この界面活性剤水溶液にシアン顔料(大日本インキ社製KETBLUE111)を80g添加し、さらに引き続いて、マグネットスターラーで10分間撹拌した。次に、1Lのトールビーカーに内容物を移しかえ、ホモジナイザー(IKA製、T−25)を用いて回転数9500rpmで10分間分散した。この分散液をさらに、分散機(特殊機化社製T−Kフィルミックス:56−50)で分散した。作製した分散液を顔料粒子分散液PM1とした。顔料濃度は20wt%であった。顔料粒子分散液PM1の調製条件をベースに、各顔料分散液に使用した顔料を(表4)に示す。
Figure 2007086195
(4)ワックス分散液の作成
(a)ワックス粒子分散液WA1の調製
図3に攪拌分散装置(特殊機化社製T−Kフィルミックス)の概略図、図4に上から見た図を示す。801が外槽でその内部に冷却水を808から注入し、807から排出されるようにしている。802は被処理液がせき止める堰板で中央部に穴があけられており、ここから処理された液が順次805を通じて外部に取り出す。803が高速で回転する回転体でシャフト806に固定され、高速に回転できる。回転体の側面には、1〜5mm程度の穴があけられており、被処理液の移動を可能とする。槽は120mlで、被処理液はその2分の1程度投入する。回転体の速度MAXは50m/sまで可能である。回転体の径は52mm、槽の内径は56mmである。804は連続処理の場合の原料注入口である。高圧処理やバッチ式のときは封印している。
槽内を常圧の状態で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)2g、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(固形分20%濃度))5g、第一のワックス(W−1)5gと第二のワックス(W−11)25gを仕込み、回転体の速度は30m/sで5min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理した。ワックス粒子分散液WA1が形成された。(表5)、(表6)及び(表7)は、ワックス粒子分散液の作成例として形成した本実施例に係るワックス粒子分散液の作成において、それぞれ使用したワックス材料及びその特性を示す。
Figure 2007086195
Figure 2007086195
Figure 2007086195
以下、ワックス粒子分散液WA1の調製条件をベースに、(表8)に作成した各ワックス粒子分散液(WA1〜WA8、wa9〜wa15)に使用したワックスを示す。"第一のワックス"及び"第二のワックス"は、ワックス粒子分散液に仕込まれたワックス材料を示し、ワックスを示す符号末尾の( )内の値は前記ワックスの配合重量組成量(重量割合)を表わす。WA1同様ワックス全量30gとした比率を示す。また、"PR16"は、ワックス粒子分散液におけるワックス粒子の体積基準による粒径分布において小粒径側から積算したときの16%点での粒径を、同様に、"PR50"は同50%径を、"PR84"は同84%径を表わす。また、"PR84/PR16"は、84%径(PR84)と16%径(PR16)の比PR86/PR16を表わす。
Figure 2007086195
(表9)にワックス粒子分散体に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率(wt%)を示す。
Figure 2007086195
アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(固形分20wt%濃度))を使用した液においては、顔料濃度は20wt%程度となるようにイオン交換水を調整した。表中のアニオン量(g)は実質のアニオン量を示している
(5)トナー母体の作成
(a)トナー母体M1の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、マゼンダ顔料粒子分散液PC1を40g、ワックス粒子分散液WA1を30g添加し、イオン交換水150mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合粒子分散液のpH値は10.1)で、水溶液のpH値を9.0に調整した23wt%濃度の硫酸マグネシウム水溶液800gを30minの所要時間にて連続して滴下し1時間加熱処理し、その後90℃に昇温して3時間加熱処理し、芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.2であった。
その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH1を100g添加し、滴下終了後1.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。
そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をイオン交換水にて3回洗浄を行った。その後、ろ過によって、トナー母体を集めた。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径3.7μm、変動係数15.9であった。
トナー母体M2、M4、M5は、M1の条件をベースにして、ワックス粒子分散液を変えて、芯粒子の凝集性を観察した。
(b)トナー母体M3の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、シアン顔料粒子分散液PC1を36g、ワックス粒子分散液WA3を40g添加し、イオン交換水150mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合分散液のpH値は8.4)で、水溶液のpH値を5.4に調整した23wt%濃度の硫酸マグネシウム水溶液800gを100minの所要時間にて連続して滴下し、1時間加熱後90℃に昇温し、3時間加熱処理して芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.0であった。
その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを6.8に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を70g添加し、滴下終了後1.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。
そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をイオン交換水にて3回洗浄を行った。その後、ろ過によって、トナー母体を集めた。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.7μm、変動係数16.9であった。
トナー母体M6は、M3の条件をベースにして、ワックス粒子分散液を変えて、芯粒子の凝集性を観察した。
(c)トナー母体M7の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、シアン顔料粒子分散液PC1を44g、ワックス粒子分散液WA7を50g添加し、イオン交換水150mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。
その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23wt%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を900g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後3時間加熱処理し芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。
その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを6.8に調整した第二の樹脂粒子分散液RH1を120g添加し、滴下終了後1.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。
そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をイオン交換水にて3回洗浄を行った。その後、ろ過によって、トナー母体を集めた。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径4.9μm、変動係数19.1であった。
トナー母体M8、m9〜m17は、M6の条件をベースにして、ワックス粒子分散液等を変えて、試作評価した。
トナー母体m16は、M6の条件をベースにして、ワックス粒子分散液をwa7を15gと、wa4を30gを別々に添加して試作した。
トナー母体m17は、M6の条件をベースにして、ワックス粒子分散液をwa10を15gと、wa12を30gを別々に添加して試作した。
(表10)は、トナー母体の作成例として作成した本発明に係るトナー母体(M1〜M8)及び比較のためのトナー母体(m9〜m17)について、それぞれの組成及び作成されたトナー母体において得られた特性を示す。また(表11)にトナー母体粒子の体積平均粒径d50(μm)、トナー母体におけるトナー母体粒子の体積基準での粒径分布の広がりを示した変動係数、Jmw1/Jw1、Jmw2/Jw2、及び芯粒子凝集性の状態を示す。
Figure 2007086195

Figure 2007086195

乳化樹脂微粒子と、顔料微粒子およびワックス微粒子とを凝集、融着させてトナーを製造する過程で、顔料微粒子およびワックス微粒子が樹脂微粒子に囲まれてトナー内部に取り込まれているかどうかの確認は、凝集、融着反応中の反応液を一定時間おきに取り出し、遠心分離にかけることにより、判断できる。顔料微粒子およびワックス微粒子がトナーの内部に取り込まれていれば、反応液は遠心分離にかけると、固液2層に分かれ、上澄み液は無色透明になる。ワックス微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が白濁する。また、顔料微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が顔料の色相を示す。たとえば、シアントナーなら、シアン色、ブラックトナーなら黒色を示す。
芯粒子の凝集性は、芯粒子凝集反応中にサンプリングした分散液は等量のイオン交換水で希釈した後、試験管に入れ、遠心分離器に3000min-1で5分間かけた。遠心分離した上澄み液の濁度を目視で判断した状態を示している。
M1〜M8は2時間(h)〜3時間(h)で上澄み液が透明となり、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得られる。また、Jmw1/Jw1は0.09〜0.43となり、第一ワックスのMDSC法による吸熱量はDSC法による吸熱量に比べて減少し0.5以下となっている現象が見られる。また、Jmw2/Jw2は0.58〜1.17となり、第二ワックスのDSC法による吸熱量に対するMDSC法による吸熱量の減少の程度は、第一ワックスよりも減少しておらず、Jmw2/Jw2は0.5以上を示している。
表11においてM6、M8はJmw2/Jw2が1.0以上になっている。これは、融点の高い第二ワックスを一定以上の配合割合で使用したため、結晶化時の発熱量が大きくなったことが要因と推定される。結晶化に伴う発熱は、DSC法で検出され、DSC法の吸熱量の一部が結晶化に伴う発熱量によって相殺される。一方、MDSC法では熱的緩和現象である結晶化に伴う発熱量は検出されず、吸熱量が相殺されない。これにより、MDSC法による吸熱量がDSC法による吸熱量よりも大きくなったためにMDSC法による吸熱量/DSC法による吸熱量の比が1.0以上となったものと推定される。
図7AにM7トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図7BにM7トナー母体のMDSC法の吸熱曲線を示す。DSC法の測定条件は、昇温速度毎分1℃で測定した。一般的にDSC法で測定を行う場合、試料の熱履歴を消すために一旦昇温と冷却を実施した後に再度昇温を行いその際の吸熱を測定するが、試料を溶融することで試料の構造が変化することが予測されたため、熱履歴を消すための昇温過程と冷却過程は省略した。
MDSC法は平均昇温速度毎分1℃、変調周期40秒、変調振幅温度0.106℃で測定した。このとき昇温速度は最小で毎分0℃、最大で毎分2℃まで周期的に変化する。測定温度範囲はDSC法、MDSC法ともに5℃から120℃までとした。
図7A,図7Bのように第一のワックスと第二のワックスの吸熱領域に重なり合う部分がある場合、第一のワックスの吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))と第二のワックスの吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))の間で、DSC法による吸熱曲線において吸熱が極小となる温度を境界として、両者の吸熱量を算出した。
第一のワックスのみを単独で使用したm9、m10は凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。また、第二のワックスのみを単独で使用したm11、m12も凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。表11中、凝集反応後の液の透明性に関して、"A"はOKレベルで凝集に加わらない浮遊したワックス粒子の残留がほとんど見られない良好な状態、"B"は上澄液が白濁した状態にあるものの、出力1mWのレーザーポインタで波長635nmの赤色光を照射した場合の透過率が40%〜80%となる状態であり、"C"は透過率が40%未満となる状態である。
図8Aにm10トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図8Bにm10トナー母体のMDSC法の吸熱曲線、図9Aにm12トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図9Bにm12トナー母体のMDSC法の吸熱曲線を示す。第一のワックス、第二のワックスをそれぞれ単独で用いた場合、図8A,図8B、図9A,図9Bに示すように、MDSC法による分析でも、DSC法による分析と同様に吸熱ピークがみられ、MDSC法による吸熱ピークの減少は見られない。
ワックスの分散液をwa14で作成したm14トナー母体も凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。図10Aにm14トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図10Bにm14トナー母体のMDSC法の吸熱曲線を示す。樹脂粒子とワックスとの分散が不均一で相溶化も進んでいないため、第一ワックスのJmw1/Jw1、第二ワックスのJmw2/Jw2も1以上の高い値となっている。1以上の値を示したのはワックスが結晶化する際の発熱量が大きくためと考えられる。ワックスの分散液をwa13、wa15で作成したm13トナー母体、m15トナー母体も凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。樹脂粒子とワックスとの分散が不均一で相溶かも進んでいないため、第一ワックスのJmw1/Jw1は0.5以上の高い値となり、また第二ワックスのJmw2/Jw2も高い値となっている。
m16トナー母体は凝集反応を6時間(h)を要しても、上澄液が透明に近い状態になりにくく、まだ凝集に加わらない残留したワックス粒子による白濁が残る状態である。図11Aにm16トナー母体のDSC法の吸熱曲線、図11Bにm16トナー母体のMDSC法の吸熱曲線を示す。第二ワックスのDSC法による吸熱量に対するMDSC法による吸熱量の減少の程度は、第一ワックスと同様減少し、Jmw2/Jw2は0.5以下を示している。高融点のワックスの樹脂粒子との相溶化が進んだ結果と思われ、定着時の高温オフセット性が弱くなる傾向にある。
(6)外添剤
次に、外添剤の例について述べる。(表12)は、本実施例で使用した外添剤(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9)について、それぞれの材料及びその特性を示す。
Figure 2007086195
処理材料Aと処理材料Bの複数種で処理しているものは、( )に各処理材料の配合重量割合を示している。"5分値"及び"30分値"は帯電量([μC/g])を表わし、これらは、ノンコートのフェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃、45RH%の環境下で、100mlのポリエチレン容器にキャリア50gとシリカなど0.1gを混合し、縦回転にて100分間-1の速度で5分、30分間攪拌した後、0.3g採取し、窒素ガス1.96×104[Pa]で1分間ブローして測定した。
負帯電性では5分値が−100〜−800μC/gで、30分の値が−50〜−600μC/gであることが好ましい。高い帯電量のシリカでは少量の添加量で機能を発揮できる。
ヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)により、溶剤に処理剤A,Bを溶解分散させた後、外添剤と混合した後、溶剤を除去して作成した。外添剤100重量部に対して、10重量部配合した。処理剤A、Bでの括弧内の数字はAとBの配合割合を示す。
(表13)に本実施例に本実施例で使用したトナー材料組成を示す。他のマゼンタトナー、黒トナー、イエロートナーは顔料にPC1,PB1,PY1を使用して、他の組成はシアントナー組成と同様とした。
Figure 2007086195
外添剤はトナー母体100重量部に対する配合量(重量部)を示している。外添処理は(ヘンシェルミキサーFM20B、三井鉱山社製)において、攪拌羽根Z0S0型、回転数2000min-1、処理時間5min、投入量1kgで行った。
図1は本実施例で使用したフルカラー画像形成用の画像形成装置の構成を示す断面図である。図1において、カラー電子写真プリンタの外装筐は省略している。転写ベルトユニット17は、転写ベルト12、弾性体よりなる第1色(イエロー)転写ローラ10Y、第2色(マゼンタ)転写ローラ10M、第3色(シアン)転写ローラ10C、第4色(ブラック)転写ローラ10K、アルミローラよりなる駆動ローラ11、弾性体よりなる第2転写ローラ14、第2転写従動ローラ13、転写ベルト12上に残ったトナー像をクリーニングするベルトクリーナブレード16、クリーナブレードに対向する位置にローラ15を設けている。このとき、第1色(Y)転写位置から第2色(M)転写位置までの距離は70mm(第2色(M)転写位置から第3色(C)転写位置、第3色(C)転写位置から第4色(K)転写位置も同様距離)、感光体の周速度は125mm/sである。
転写ベルト12は、絶縁性ポリカーボネート樹脂中に導電性のフィラーを混練して押出機にてフィルム化して用いる。本実施例では、絶縁性樹脂としてポリカーボネート樹脂(たとえば三菱ガス化学製,ユーピロンZ300)95重量部に、導電性カーボン(たとえばケッチェンブラック)5重量部を加えてフィルム化したものを用いた。また、表面にフッ素樹脂をコートし、厚みは約100μm、体積抵抗は107〜1012Ω・cm、表面抵抗は107〜1012Ω/□である。ドット再現性を向上させるためもある。転写ベルト12の長期使用による弛みや,電荷の蓄積を有効に防止できるようにするためであり、表面をフッ素樹脂でコートしているのは、長期使用による転写ベルト表面へのトナーフィルミングを有効に防止できるようにするためである。体積抵抗が107Ω・cmよりも小さいと、再転写が生じ易く、1012Ω・cmよりも大きいと転写効率が悪化する。
第1転写ローラは外径8mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第1転写動作時には、第1転写ローラ10は、転写ベルト12を介して感光体1に1.0〜9.8(N)の押圧力で圧接され、感光体上のトナーがベルト上に転写される。抵抗値が102Ωよりも小さいと、再転写が生じ易い。106Ωよりもおおきと転写不良が生じ易くなる。1.0(N)よりも小さいと転写不良を生じ、9.8(N)よりも大きいと転写文字抜けが生じる。
第2転写ローラ14は外径10mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第2転写ローラ14は、転写ベルト12及び紙、OHP等の転写媒体19とを介して転写ローラ13に圧接される。この転写ローラ13は転写ベルト12に従動回転可能に構成している。第2次転写での第2転写ローラ14と対向転写ローラ13とは5.0〜21.8(N)の押圧力で圧接され、紙等の記録材上19に転写ベルトからトナーが転写される。抵抗値が102Ωよりも小さいと、再転写が生じ易い。106Ωよりもおおきと転写不良が生じ易くなる。5.0(N)よりも小さいと転写不良となり、21.8(N)よりも大きいと負荷が大きくなり、ジッタが出やすくなる。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色用の4組の像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが、図のように直列状に配置されている。
各像形成ユニット18Y、18M、18C、18K、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するためY用の像形成ユニット18Yについて説明し、他色用のユニットの説明については省略する。
像形成ユニットは以下のように構成されている。1は感光体、3は画素レーザ信号光、4は内部に1200ガウスの磁力を有する磁石を有するアルミよりなる外径10mmの現像ロ−ラで、感光体とギャップ0.3mmで対向し、矢印の方向に回転する。6は攪拌ローラで現像器内のトナーとキャリアを攪拌し、現像ローラへ供給する。キャリアとトナーの配合比を透磁率センサーにより読み取り(図示せず)、トナーホッパー(図示せず)から適時供給される。5は金属製の磁性ブレードで現像ローラ上に現像剤の磁気フ゛ラシ層を規制する。現像剤量は150g投入している。ギャップは0.4mmとした。電源は、省略しているが、現像ローラ4には−500Vの直流と、1.5kV(p−p)、周波数6kHzの交流電圧が印加される。感光体と現像ローラ間の周速度比は1:1.6とした。またトナーとキャリアの混合比は93:7とし、現像器中の現像剤量は150gで行った。
2はエピクロルヒドリンゴムよりなる外径10mmの帯電ローラで直流バイアス−1.2kVが印加される。感光体1表面を−600Vに帯電する。8はクリーナ、9は廃トナーボックス、7は現像剤である。
紙搬送は転写ユニット17の下方から搬送され、転写ベルト12と第2転写ローラ14との圧接されたニップ部に紙給送ローラ(図示せず)により紙19が送られてくるように、紙搬送路が形成されている。
転写ベルト12上のトナーは第2転写ローラ14に印加された+1000Vにより紙19に転写され、定着ローラ201、加圧ローラ202、定着ベルト203、加熱媒体ローラ204、インダクションヒータ部205から構成される定着部に搬送され、ここで定着される。
図2にその定着プロセス図を示す。定着ローラ201とヒートローラ204との間にベルト203がかけられている。定着ローラ201と加圧ローラ202との間に所定の加重がかけられており、ベルト203と加圧ローラ202との間でニップが形成される。ヒートローラ204の外部周面にはフェライトコア206、とコイル207よりなるインダクションヒータ部205が設けられ、外面には温度センサー208が配置されている。
ベルトは30μmのNiを基体としてその上にシリコーンゴムを150μm、さらにその上にPFAチューブ30μmの重ねあわせた構成である。
加圧ローラ202は加圧バネ209により定着ローラ201に押しつけられている。トナー210を有する記録材19は、案内板211に沿って動く。
定着部材としての定着ローラ201は、長さが250mm、外径が14mm、厚さ1mmのアルミニウム製中空ローラ芯金213の表面に、JIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が20度のシリコーンゴムからなる厚さ3mmの弾性層214を設けている。この上にシリコーンゴム層215が3mmの厚みで形成され外径が約26mmとなっている。図示しない駆動モータから駆動力を受けて125mm/sで回転する。
ヒートローラ204は肉厚1mm、外径20mmの中空パイプからなっている。定着ベルト表面温度はサーミスタを用いて表面温度170度に制御した。
加圧部材としての加圧ローラ202は、長さが250mm、外径20mmである。これは外径16mm、厚さ1mmのアルミニウムからなる中空ローラ芯金216の表面にJIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が55度のシリコーンゴムからなる厚さ2mmの弾性層217を設けている。この加圧ローラ202は、回転可能に設置されており、片側147Nのバネ加重のバネ209によって定着ローラ201との間で幅5.0mmのニップ幅を形成している。
以下、動作について説明する。フルカラーモードではY,M,C,Kのすべての第一転写ローラ10が押し上げられ、転写ベルト12を介して像形成ユニットの感光体1を押圧している。この時第一転写ローラには+800Vの直流バイアスが印加される。画像信号がレーザ光3から送られ、帯電ローラ2により表面が帯電された感光体1に入射し、静電潜像が形成される。感光体1と接触し回転する現像ローラ4上のトナーが感光体1に形成された静電潜像を顕像化する。
このとき像形成ユニット18Yの像形成の速度(感光体の周速に等しい125mm/s)と転写ベルト12の移動速度は感光体速度が転写ベルト速度よりも0.5〜1.5%遅くなるように設定されている。
像形成工程により、Yの信号光3Yが像形成ユニット18Yに入力され、Yトナーによる像形成が行われる。像形成と同時に第1転写ローラ10Yの作用で、Yトナー像が感光体1Yから転写ベルト12に転写される。このとき第1転写ローラ10Yには+800Vの直流電圧を印加した。
第1色(Y)第一転写と第2色(M)第一転写間のタイムラグを持たせて、Mの信号光3Mが像形成ユニット18Mに入力され、Mトナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10Mの作用で、Mトナー像が感光体1Mから転写ベルト12に転写される。このとき第一色(Y)トナーが形成されている上にMトナーが転写される。同様にC(シアン)、K(ブラック)トナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10C、10Kの作用で、YMCKトナー像が転写ベルト12上に形成される。いわゆるタンデム方式と呼ばれる方式である。
転写ベルト12上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のKトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセット(図示せず)から送られる紙19に、第2転写ローラ14の作用で一括転写される。このとき転写ローラ13は接地し、第2転写ローラ14には+1kVの直流電圧を印加した。紙に転写されたトナー像は定着ローラ対201・202により定着された。紙はその後排出ローラ対(図示せず)を経て装置外に排出された。中間転写ベルト12上に残った転写残りのトナーは、クリーニングブレード16の作用で清掃され次の像形成に備えた。
(画像出し評価例)
次に、トナー及び二成分現像剤についての画像出し評価の例について述べる。ここでは、画像形成装置を用い、トナーとキャリアとの混合比率を変えた数種の二成分現像剤について、それぞれA4版出力で10万枚のランニング耐久試験を行って、帯電量及び画像濃度を測定すると共に、出力サンプルにおける非画像部での地かぶり、全面ベタ画像での均一性、及び転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)、並びにトナーフィルミングについて評価した。画像濃度(ID)評価はMacbeth Division of Kollmorgen Instruments Corporate製の反射濃度計 RD−914を用いて黒ベタ部を測定した。
なお、帯電量は、フェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃、相対湿度45%RHの環境下で、耐久性評価のサンプルを0.3g採取し、窒素ガス1.96×104Paで1分間ブローして測定した。
(表14)は、本実施例で使用した、本発明に係る二成分現像剤(DM1〜DM8)及び比較のための二成分現像剤(cm9〜cm17)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアの構成、及びA4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。表中、カブリレベルは、Gretag Macbeth社製Spectrolino Spectro Scanにより、0.07以下であればより良好なレベル"A"、0.07を超え、0.1未満であればややカブリが増加したレベル"B"、0.1以上では問題あるレベル"C"を表わす。
全面ベタ画像均一性においては、A4サイズにおける全面にベタ画像サンプルを取ったときに、部分的に画像濃度に変化が少なく画像濃度差が小さいレベルであれば"A"、"A"の比べて画像濃度差がやや見られる程度のレベルであれば"B"、部分的に画像濃度の差が目立つレベルであれば"C"で表わす。
転写時の文字飛びにおいては、「轟、議、魏」の文字を印写したとき、線の周辺に存在するトナーの状態で評価し、線の周辺に存在するトナーが少なくレベルであれば"A"、線の周辺にトナーが少し存在するレベルであれば"B"、線の周辺に存在するトナーが多いレベルであれば"C"で表わす。
逆転写は、2色以上の画像サンプルを印字した時、1色目の色のトナーが感光体から転写ベルトに転写された後、2色目の色のトナーが感光体から転写ベルトに転写される際、1色目の色のトナーの一部が2色目の感光体に付着してしまう現象をいう。評価は、その1色目のトナーが2色目の感光体に付着してクレーニングブレードで感光体から除去され、廃トナーボックスに回収されるトナーの量を目視して評価する。1色目のトナーと2色目のトナーがほとんど混ざっていなければ"A"、1色目のトナーと2色目のトナーがやや混ざっているレベルであれば"B"、混ざっているのが明らかには分かれば"C"、で表わす。
転写中抜けにおいては、線が交差するパターン「+」を印字し、この交点においてトナーの存在状態を評価する。交点においてトナーが存在しているレベルであれば"A"、交点においてトナーの不存在の部分が少しあるレベルであれば"B"、交点においてトナーが存在しない状態であれば"C"で表わす。
Figure 2007086195
本発明に係るトナーを使用した二成分現像剤DM1〜DM8は、A4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施したときの感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。
また、ランニング試験前後での画像濃度について、本発明に係るトナーを使用した二成分現像剤DM1〜DM8は、いずれも、画像濃度1.3以上の高濃度の画像が得られた。そして、A4版紙10万枚の耐久試験後においても、二成分現像剤の流動性が安定しており、画像濃度は1.3以上と変化が少なく安定した特性を示した。
また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性について、本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM8は、いずれも、高画像濃度で非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。
また、連続使用においても、縦筋の異常画像は発生しなかった。そして、キャリアへのトナー成分のスペント化現象もほとんど生じなかった。そして、キャリア抵抗の変化、帯電量の低下も少なく、更に全面ベタ画像をとり続けてトナーを急速に補給した時の帯電立ち上がり性も良好であり、高湿環境下でかぶりが増大する現象も見られなかった。また、長期使用においても、高い飽和帯電量が長期間維持できた。また、低温低湿下での帯電量の変動もほとんど生じなかった。
また、転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)について、本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM8は、いずれも、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。
なお、トナーとキャリアとの混合比率を5〜20wt%まで変えても、本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM8は、画像濃度、地かぶり等の画質の変化が少なく、トナー濃度の広い制御が可能となった。
一方、比較のための二成分現像剤cm9〜cm17は、ランニング耐久試験において、感光体上へのトナーフィルミングが発生するものや、ランニング試験前後での画像濃度についても、低濃度であったり、長期使用にいて帯電量上昇による画像濃度低下が発生したり、非画像部でのかぶりが増加したりした。更に、全面ベタ画像をとり続けてトナーを急速に補給した時に、帯電低下が生じ、かぶりが増大した。特に、高湿環境下ではその現象が悪化した。なお、トナーとキャリアとの混合比率は、6〜8wt%の範囲では濃度を変化させても画像濃度、地かぶり等の画質の変化は少なかったものの、これより小さい値になると画像濃度の低下が生じ、また、大きい値になると地かぶりが増大した。
次に、フルカラー画像における定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を(表15)に示す。表中、貯蔵安定性テストの"A"は評価の結果が良好であり、高温での放置後熱凝集が生じず、粉体状態を保っていることを示す。"B"は評価のレベルがAに比べてやや劣るが、30g/cm2以上の少しの荷重で凝集がほぐれることを示す。"C"は問題があり、高温での放置後、凝集塊の状態となりで300g/cm2以上の荷重をかけないと塊が崩落しないことを表わす。
ここでは、付着量1.2mg/cm2のベタ画像をプロセス速度125mm/s、オイルを塗布しないベルトを用いた定着装置にて、OHP用フィルム透過率(定着温度160℃)、並びに最低定着温度及び高温でのオフセット現象発生温度を測定した。また、貯蔵安定性は、55℃、24時間の放置後のトナーの状態を評価した。
なお、OHP用フィルム透過率は、分光光度計U−3200(日立製作所)で、700nmの光の透過率を測定した。
Figure 2007086195
本発明に係るトナーTM1〜TM8は、定着性について、いずれも、OHP用フィルム透過率が80%以上を示しており、良好である。また、非オフセット性についても、オイルを使用しない定着ローラにおいて、非オフセット温度幅が広い範囲で得られ、定着可能温度範囲(最低定着温度から高温オフセット現象発生温度までの幅)が広い。なお、普通紙の全面ベタ・フルカラー画像20万枚でも、オフセット現象は全く発生しなかった。また、シリコーン又はフッ素系の定着ベルトでオイルを塗布せずともベルトの表面劣化現象はみられない。また、高温貯蔵安定性についても、50℃24時間の貯蔵安定性においても凝集はほとんど見られなかった。また、定着ベルトへの紙の巻付き性についても、定着ニップ部でのOHP用フィルムのジャムは発生しなかった。
tm9、tm10、tm16トナーではオフセット性が弱くなっており、定着可能領域のマージンが狭い。逆にtm11、tm12、tm14、tm15トナーでは低温定着性が悪く、定着可能領域のマージンが狭い。tm9〜tm17トナーはワックスや樹脂の浮遊粒子がトナーに残存した影響と思われる貯蔵安定性が悪化した。
本発明のトナーは、プリンター、ファクシミリ装置などの画像形成装置に好適に使用される。また、感光体を使用した電子写真方式以外にも、直接的に用紙や、配線パターンとして基板上に導電性を有する物質を配合したトナーを付着させて印刷する方式などにも有用である。
図1は本発明の一実施例で使用した画像形成装置の構成を示す断面図である。 図2は本発明の一実施例で使用した定着ユニットの構成を示す断面図である。 図3は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の概略図である。 図4は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た図である。 図5は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の概略図である。 図6は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た図である。 図7Aは本発明の一実施例におけるトナー母体のDSC法、及び図7BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。 図8Aは本発明の一実施例におけるトナー母体のDSC法、及び図8BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。 図9Aは比較例におけるトナー母体のDSC法、及び図9BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。 図10Aは比較例におけるトナー母体のDSC法、及び図10BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。 図11Aは比較例におけるトナー母体のDSC法、及び図11BはMDSC法による吸熱曲線を示すグラフである。

Claims (20)

  1. 水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合、凝集して生成される芯粒子を含むトナーであって、
    前記ワックスが、少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、
    前記第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃であり、前記第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が前記第一のワックスのTmw1よりも5℃〜50℃高温であり、
    DSC法における前記第一のワックスの吸熱量をJw1(J/g)、DSC法における前記第二のワックスの吸熱量をJw2(J/g)、MDSC法における前記第一のワックスの融解吸熱量をJmw1(J/g)、MDSC法における前記第二のワックスの融解吸熱量をJmw2(J/g)とすると,Jmw1/Jw1が0.5以下で、かつJmw2/Jw2が0.5〜1.2の範囲であり、
    前記第一のワックス前記第二のワックスを予め混合して分散液としておき、これを前記樹脂粒子分散液及び着色剤粒子分散液と混合し、凝集して芯粒子に形成したことを特徴とするトナー。
  2. 前記第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃で、前記第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が80〜120℃である請求項1に記載のトナー。
  3. 前記第一のワックスが、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルワックスであり、前記第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスである請求項1又は2に記載のトナー。
  4. 前記第一のワックスが、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含み、前記第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含む請求項1〜3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記第一のワックスと前記第二のワックスの配合割合が、前記第一のワックスの重量割合をES1、第二のワックスの重量割合をFT2とすると、FT2/ES1=0.2〜10の範囲である請求項1〜4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記樹脂粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された数平均分子量(Mn)が0.3万〜1.5万、重量平均分子量(Mw)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜6である請求項1に記載のトナー。
  7. 前記芯粒子に、さらに第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液を添加混合し、加熱して、前記第二の樹脂粒子を前記芯粒子に融着させる請求項1に記載のトナー。
  8. 前記第二の樹脂粒子のテトラヒドロフラン(THF)可溶分のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された数平均分子量(Mn)が0.9万〜3万、重量平均分子量(Mw)が5万〜50万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10である請求項7に記載のトナー。
  9. 前記第一のワックスと前記第二のワックスとの混合分散液中のワックスの分散粒子径は、小粒径側から積算したときの体積粒径積算分布において16%径(PR16)が20〜200nm、50%径(PR50)が40〜300nm、84%径(PR84)が400nm以下、PR84/PR16が1.2〜2.0であり、200nm以下の粒子が65体積%以上、500nmを越える粒子が10体積%以下である請求項1〜8のいずれか1項に記載のトナー。
  10. 水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合、凝集により芯粒子を生成する工程を含むトナーの製造方法であって、
    DSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃であって、かつ、DSC法における吸熱量Jw1(J/g)とMDSC法における融解吸熱量Jmw1(J/g)との比Jmw1/Jw1が0.5以下となるように第1のワックスを選択し、
    DSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃)と称す)が前記第一のワックスのTmw1よりも5℃〜50℃高温であって、かつ、DSC法における吸熱量Jw2(J/g)とMDSC法における融解吸熱量Jmw2(J/g)との比Jmw2/Jw2が0.5〜1.2の関係を満たすように第2のワックスを選択し、
    前記第一のワックス及び前記第二のワックスを少なくとも含むワックス粒子分散液を作成し、
    前記作成したワックス粒子分散液と、予め作成した樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液および着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液とを、水系媒体中において混合、凝集させることにより芯粒子を生成することを特徴とするトナーの製造方法。
  11. 前記樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、前記着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及び前記ワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合分散液を生成し、加熱処理後に凝集剤を添加することにより、前記芯粒子を生成する請求項10に記載のトナーの製造方法。
  12. 前記樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、前記着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及び前記ワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合した混合分散液の水温が、前記ワックスの融点以上に到達後に凝集剤を添加する請求項10又は11に記載のトナーの製造方法。
  13. 前記第一の樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が、非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合物であり、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤のみである請求項10に記載のトナーの製造方法。
  14. 第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃で、第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が80〜120℃である請求項10〜13のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  15. 前記第一のワックスが、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルワックスであり、前記第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスである請求項10〜13のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  16. 前記第一のワックスが、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスであり、前記第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスである請求項10〜13のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  17. 前記ワックス粒子分散液は、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化分散処理して作成する請求項10〜16のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  18. 前記ワックス粒子分散液が、非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤により、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化分散処理して作成する請求項10〜17のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  19. 前記第一のワックスと前記第二のワックスとの混合分散液と、前記樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液との混合分散液のpHを、9.5〜12.2の範囲に調整する請求項10〜18のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
  20. 前記第一のワックスと前記第二のワックスとの混合分散液中のワックスの分散粒子径は、小粒径側から積算したときの体積粒径積算分布において16%径(PR16)が20〜200nm、50%径(PR50)が40〜300nm、84%径(PR84)が400nm以下、PR84/PR16が1.2〜2.0であり、200nm以下の粒子が65体積%以上、500nmを越える粒子が10体積%以下である請求項10〜19のいずれか1項に記載のトナーの製造方法。
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