JPWO2008078497A1 - トナー及びトナーの製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明のトナーは、トナー母体粒子と外添剤を含むトナーであって、前記トナー母体粒子は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して生成される芯粒子を含み、前記着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤を含む。これにより、シャープな粒度分布を有する小粒径のトナーを分級工程不要で作成でき、転写時の中抜けや飛び散りを防止し、高い転写効率が得られる。

Description

本発明は複写機、レーザプリンタ、普通紙ファクシミリ(FAX)、カラー普通紙コピー機(PPC)、カラーレーザプリンタ、カラーFAX及びこれらの複合機に用いられるトナー及びトナーの製造方法に関するものである。
近年、プリンタなどの画像形成装置はオフィスユースの目的からパーソナルユースへと移行しつつあり、小型化、高速化、高画質化、カラー化を実現する技術が求められている。そのためカラー画像の高速出力を可能とするタンデムカラープロセス、また定着時にオフセット防止のための定着オイルを使用せずに高光沢性、高透光性を有する鮮明なカラー画像と非オフセット性を両立させるオイルレス定着が良メンテナンス性、低オゾン排気などの条件とともに要求されている。そしてこれらの機能は同時に両立させる必要があり、プロセスのみならずトナーの特性向上が重要なファクターである。
カラープリンタでは、定着プロセスにおいては、カラー画像ではカラートナーを溶融混色させ透光性を上げる必要がある。トナーの溶融不良が起こるとトナー画像表面又は内部に於いて光の散乱が生じて、トナー色素本来の色調が損なわれると共に、重なった部分では下層まで光が入射せず、色再現性が低下する。従って、トナーには完全溶融特性を有し、色調を妨げないような透光性を有することが必要である。また定着時にシリコーンオイル等を使用しないオイルレス定着の実現が要求される。これを可能とするため、シャープメルト特性を有する結着樹脂中にワックス等の離型剤を添加することが実用化されつつある。
しかし、このようなトナーは、トナーの凝集性が強い特質を有するため、転写時のトナー像乱れ、転写不良の傾向がより顕著に生じ、転写と定着の両立が困難となる問題がある。また二成分現像として使用する際に、粒子間の衝突、摩擦、又は粒子と現像器との衝突、摩擦等の機械的な衝突、摩擦による発熱により、キャリア表面にトナーの低融点成分が付着するスペントが生じ易く、キャリアの帯電能力を低下させ現像剤の長寿命化の妨げとなる。
トナーは、一般的に結着樹脂である樹脂成分、顔料、電荷制御剤、更に必要に応じて離型剤などの添加成分によって構成され、所定の割合で予備混合し、熱溶融によって加熱混練し、気流式衝突板方式により微粉砕し、微粉分級されてトナー母体粒子が完成する。また化学重合的な方法によりトナー母体粒子が作成される方法もある。その後、このトナー母体粒子に例えば疎水性シリカなどの外添剤を外添処理してトナーが完成する。一成分現像では、トナーのみで構成されるが、トナーと磁性粒子からなるキャリアと混合することによって二成分現像剤が得られる。
従来の混練粉砕法における粉砕・分級操作では、小粒径化といっても経済的、性能的に現実に提供できる粒子径には限界がある。そこで、混練粉砕法とは異なる種々の重合法を用いたトナーの製造方法が検討されている。
下記特許文献1では、重合によって形成された粒子と、該粒子表面に乳化重合によって形成された微小粒子からなる被覆層とよりなるトナーであって、水溶性無機塩を加えて、粒子表面に微小粒子による被覆層を生成し、溶液のpHを変化させることにより、粒子表面に微小粒子による被覆層を生成することが開示されている。
下記特許文献2では、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、凝集粒子分散液中に、樹脂微粒子を分散させてなる樹脂微粒子分散液を添加混合して凝集粒子に樹脂微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び付着粒子を加熱して融合する工程を含むトナーの製造方法が開示され、その添加混合の方法としては、例えば、徐々に連続的に行ってもよく、また複数回に分割して段階的に行ってもよい旨が開示されている。そして前記樹脂微粒子(追加粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、粒度分布がシャープな帯電性能に優れた効果が記載されている。
下記特許文献3では、トナー粒子中の界面活性剤の含有量が3重量%以下で、かつ2価以上の電荷を有する無機金属塩例えば塩化亜鉛を10ppm以上で1重量%以下含有し、イオン架橋により形成して耐吸湿性を向上させることが開示されている。樹脂微粒子分散液と、着色剤分散液とを混合し、無機金属塩を用いて凝集体分散液を調整した後、樹脂のガラス転移点以上に加熱し、凝集体を融合してトナーが形成されている。優れた帯電特性及び環境依存性、クリーニング性、転写性を有し、かつシャープな粒度分布を有する小粒子径のトナーが記載されている。
下記特許文献4では、形状係数が100ないし137のトナーが開示され、樹脂微粒子と着色剤の凝集体粒子分散液を形成し、得られた凝集体粒子分散液を、樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以上、好ましくはTgないしTg+10℃の温度範囲に昇温して、例えば、2時間以上かけて目的とするトナー粒子径になるまで凝集体粒子を成長させた後、凝集を停止してさらに同温度に加熱し、10時間以内に凝集体粒子の表面を融合・合一させて、形状係数:100〜137の範囲のトナー粒子を形成させることが開示されている。
下記特許文献5では、樹脂および着色剤を含有する着色粒子(コア粒子)の表面に、塩析/融着法によって樹脂粒子を融着させてなる樹脂層(シェル)が形成されたトナー粒子が開示され、着色粒子を得るための塩析/融着工程に連続して、着色粒子の分散液に樹脂粒子の分散液を添加し、ガラス転移温度以上の温度を保持することが開示され、粒子表面における着色剤の存在量が少なく、高湿度環境下において長期にわたる画像形成に供されても、帯電性・現像性の変化に起因する画像濃度の変化、カブリ、色味の変化を発生させない効果が記載されている。
下記特許文献6では、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、該トナー粒子が、樹脂Aを含有するコアと該コアを被覆する少なくとも1層の、樹脂Bを含有するシェルを有し、該シェルの最表面層の膜厚が50nm〜500nmであるトナーが開示され、耐オフセット性に優れ、且つ、良好な保存性を示す静電荷像現像用トナーの効果が記載されている。
下記特許文献7では、少なくとも結着樹脂およびDBP吸油量70〜120ml/100gのカーボンブラックを含有してなるトナー粒子を含むブラックトナーが開示されている。カーボンブラックが微分散され、その分散粒径分布がシャープであるため、比較的低付着量であっても所望の画像濃度を達成でき、さらには所定の帯電量まで帯電され易い。そのため、逆帯電トナーによる電気的転写不良としての中抜けの問題を十分に防止できる。また帯電環境安定性および耐ストレス性にも優れている効果が記載されている。カーボンブラックのDBP吸油量が小さ過ぎると、カーボンブラックが結着樹脂と絡み難くなって、トナー粒子中においてカーボンブラックがトナー表層に移行し易くなり微分散されないため、所望の画像濃度および所望の帯電量が達成されない。一方、カーボンブラックのDBP吸油量が大き過ぎると、トナー粒子製造時の形状制御性悪化を原因とする円形度低下の問題がある。また、DBP吸油量の値が大きすぎると、カーボンブラックが水に濡れにくくなるためカーボンブラック水分散液の分散安定性が低下する。そのような分散安定性の低いカーボンブラックを用いてトナーを製造すると、凝集が起こりやすく粒子成長がうまく制御できなくなり、トナー中のカーボンブラック分散性が悪化し、その結果、中抜けや帯電量が悪化する効果が記載されている。これらの乳化された樹脂粒子、ワックス粒子及び顔料粒子を凝集させて粒子を形成する構成において、凝集剤、温度,pH等の条件について開示されている。しかし、これらの各粒子の凝集速度のバランスが乱れる場合、例えば顔料の凝集速度が速くなると、樹脂粒子と顔料粒子との凝集が早く進行し、ワックスが取り残されて、液が白濁のままの状態なったり、また顔料のみの凝集した粒子が残存する状態となる場合がある。また樹脂粒子、ワックス粒子及び顔料粒子が凝集した芯粒子にさらに樹脂層を付着してコアシェル構造とする場合、芯粒子表面にワックスがリッチの構成となったりするとシェル樹脂の付着が進行しない場合や、顔料リッチとなると帯電性に影響を与える場合がある。その結果、トナー粒子の形状の制御性が悪化したり、粒度分布がブロードになり小粒径粒子の生成が困難になる。また帯電性の低下は、転写時の中抜けやカブリ等の画質低下を招く傾向にある。つまり、樹脂粒子、顔料粒子およびワックス粒子の凝集速度のバランスを整えて芯粒子を形成することが重要であるが、凝集速度のバランスを整えて芯粒子を凝集させる手段についてはまだ改善の余地がある。
オイルレス定着の実現等の定着性改良のためにワックスを一定量以上添加する方法が開示されているが(例えば特許文献3)、凝集反応中において、ワックス粒子は結晶性が高いためある温度から急に溶融が開始され、樹脂粒子は無定形であるため一定の温度範囲においてはゴム状態が続く。また、顔料粒子は溶融せずに粒子のまま存在する。このような状態においては溶融したワックス粒子と顔料粒子との凝集反応が均一に進まないと、生成される芯粒子の粒度分布が広がったり、ワックスや、顔料が多く偏在した粒子が生成されやすくなる傾向にある。
また凝集に加わらずに浮遊したワックス粒子や、カーボンブラック等の顔料粒子が残留すると、帯電量の低下、非画像部へのトナー付着の増大、感光体や転写体ヘのフィルミングが発生しやすくなる。また、芯粒子中でのワックス粒子や顔料粒子の分散性が悪化すると、定着時に溶融したトナー画像において色濁りが生じ易く、トナーの発色性が不十分になってしまう。
また、芯粒子(コア粒子と称することもある)の表面にシェル樹脂粒子を融着させてトナー粒子を得るコアシェル構造が開示されているが(例えば特許文献5)、コア粒子の分散液にシェル樹脂粒子が分散したシェル樹脂分散液を混合し、加熱してシェル化する方法において、前述したワックスを配合したコア粒子にシェル樹脂粒子を融着させる場合、ワックスの存在がシェル樹脂粒子の付着を妨げて、付着がなかなか進行しない場合や、一旦コア粒子にシェル樹脂粒子が付着してもその後の加熱処理の工程でワックスが溶融するとワックスの離型作用によりシェル樹脂粒子がコア粒子から脱離する場合がある。
また、カーボンブラック粒子は他のフタロシアニン系、キナクリドン系、アゾ系等の有機系顔料に比べ、無機系に近い特性を示し、カーボンブラック粒子は一定のDBP吸油量特性を有する。水系媒体中で加熱処理して、樹脂粒子、ワックス粒子と凝集させて芯粒子を生成する際、加熱温度をワックスの融点以上として凝集反応を進行させる際、ワックスは溶融した状態となり、カーボンブラック粒子は粉の状態である。そして一定のDBP吸油量特性を有するカーボンブラック粒子はその吸油性により、溶融したワックスを吸油(吸着)する。その結果カーボンブラック粒子とワックスが凝集溶融した灰色の粒子が生成されやすい傾向となる。また一部粗大化しやすく、水系中の粒子のバランスが崩れることで凝集にかかわらない浮遊したワックス粒子や、顔料粒子の残留が生じやすくなる傾向にある。またこれらの凝集反応を均一に進行しない場合、その粒子を凝集させる条件によっては、トナーの形状を一定の形に調整することが困難となる場合がある。凝集性の安定化と形状調整が安定に行われることは画像形成の面で重要な要素である。
またカーボンブラック粒子に溶融したワックスが吸油(吸着)されると本来のワックスの低温定着性や耐オフセット性の定着性の機能が低下し、定着可能温度域が減少する傾向になる場合がある。
粉の状態である一定のDBP吸油量特性を有するカーボンブラック粒子と溶融したワックスとの凝集反応は、水系中での凝集反応時の芯粒子形成に影響を及ぼすとともに、ワックスの定着性機能へも影響を及ぼす傾向がある。
特開昭57−045558号公報 特開平10−073955号公報 特開平11−311877号公報 特開2000−131876号公報 特開2002−116574号公報 特開2004−191618号公報 特開2005−221836号公報
本発明は、シャープな粒度分布を有する小粒径のトナーを、分級工程不要で作成でき、転写時の中抜けや飛び散りを防止し、高転写効率が得られるトナー及びトナーの製造方法を提供する。
本発明のトナーは、トナー母体粒子と外添剤を含むトナーであって、前記トナー母体粒子は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して生成される芯粒子を含み、前記着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤を含むことを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法は、トナー母体粒子と外添剤を含むトナーの製造方法であって、前記トナー母体粒子は、水系媒体中において、少なくとも、第一の樹脂粒子を分散させた第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合液を生成する工程と、前記混合液に、凝集剤を添加し、前記第一の樹脂粒子、前記着色剤粒子及び前記ワックス粒子を凝集して芯粒子を生成する工程とを含み、前記着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤を含むことを特徴とする。
図1は本発明の実施例で使用した画像形成装置の概略断面図である。 図2は本発明の実施例で使用した定着ユニットの概略断面図である 図3は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の概略透視図である。 図4は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。 図5は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の概略部分断面図である。 図6は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。 図7は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の概略透視図である。 図8は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。 図9は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の概略透視図である。 図10は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。 図11は本発明のフローテスタによる結着樹脂の軟化点(1/2法における溶融温度)の算出方法の概略図である。 図12は本発明の一実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図13は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図14は本発明の一実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率5000倍)を示す。 図15は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率3000倍)を示す。 図16は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図17は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図18は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率5000倍)を示す。 図19は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率3000倍)を示す。 図20は本発明の別の実施例で形成された第二のシェル樹脂を融着したトナー母体のTEM(透過型電子顕微鏡)観察像(倍率20000倍)を示す。 図21は本発明の別の実施例で形成された第二のシェル樹脂を融着したトナー母体のTEM(透過型電子顕微鏡)観察像(倍率20000倍)を示す。 図22は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図23は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図24は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率5000倍)を示す。 図25は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率5000倍)を示す。 図26は本発明の別の実施例で形成された第二のシェル樹脂を融着したトナー母体のTEM(透過型電子顕微鏡)観察像(倍率20000倍)を示す。 図27は本発明の別の実施例で形成された第二のシェル樹脂を融着したトナー母体のTEM(透過型電子顕微鏡)観察像(倍率20000倍)を示す。 図28は本発明の形状指数を説明するための説明図である。
本発明は、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子を分散させた各粒子分散液を混合し、凝集して生成される芯粒子を含むトナーにおいて、前記着色剤粒子分散液に用いる分散剤にポリマー系分散剤を含むことにより、水系中で芯粒子中に取り込まれずに凝集にかかわらない浮遊したワックスや着色剤粒子の残留する問題を解消し、狭い粒度分布で小粒径粒子の生成を可能できる。また、ワックスの有する定着性の機能を低下させることなく、定着性、耐オフセット性及び貯蔵安定性を向上したトナーが得られる。また、樹脂中でのワックスや着色剤の分散性を向上させることで、現像特性における、耐久性、帯電安定性を向上できる。また、複数の感光体及び現像部を有する像形成ステーションを並べて配置し、転写体に順次各色のトナーを連続して転写プロセスを実行するタンデムカラープロセスにおいて、転写時の中抜けや逆転写を防止し、高転写効率を挙げたトナーが得られる。
以下、工程順に説明する。
(1)重合及び凝集工程
樹脂粒子分散液の調製は、ビニル系単量体を界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子を界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。その手段としては、例えば、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、コロイド型乳化装置、メデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
樹脂粒子における樹脂が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いて界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子を界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
着色剤粒子分散液は、水系中で着色剤粒子を添加し、前記した好適な分散手段を用いて分散させることにより調製される。ワックス粒子分散液は、水系中でワックス粒子を添加し、前記した好適な分散手段を用いて分散させることにより調製される。
トナーにはさらなる低温定着化と、オイルレス定着における高温非オフセット性、離型性、カラー画像の高透光性、一定の高温度下での貯蔵安定性が要求され、それらを同時に満足しなければならない。
本発明は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して得られる芯粒子を含むトナーである。この着色剤粒子分散液に用いる分散剤にポリマー系分散剤を含む。
従来のアニオン系又はノニオン系の界面活性剤を単独で使用するのに比べて、樹脂粒子やワックス粒子との凝集反応が早く進行し、室温から90℃付近までの昇温過程において、溶融するワックス粒子、樹脂粒子と粉状の着色剤粒子とが均一な速度で凝集することで、水系中に凝集に加わらずに浮遊して残留するワックス粒子や着色剤粒子の発生を抑えられる。また凝集生成が早く進行し、粒子生成の生産性を挙げる効果が得られる。また小粒径で粒度分布の狭い粒子生成を得ることができる。
ポリマー系分散剤としては、ポリビニルアルコール、又は部分ケン化ポリビニルアルコールのアルコール類が好ましい。
また、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体樹脂は、例えば、下記のようなポリマーが好ましい。
(1)スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体又はスチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体等のアクリル酸系分散剤
(2)スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、又はスチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体等のマレイン酸系分散剤
(3)アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体、又はアクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体等のスルホン酸系分散剤、あるいはこれらの塩を挙げることができる。
あるいは、水酸基を含有するアクリル系単量体としては、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、水溶性ウレタン樹脂(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが好ましい。
あるいは、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフエニルエステルなどのポリオキシエチレン系等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、アルキルセルロース、ヒドロキシ−アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類等の水溶性高分子が好ましい。これらのセルロース類は、水に対し25℃で0.5%以上溶解させることができ、エーテル化度が0.6〜1.5で、平均重合度が50〜3000のものが好ましい。
これらの中で、(1)スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体若しくはスチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体等のアクリル酸系分散剤、(2)スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体若しくはスチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体等のマレイン酸系分散剤、(3)アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体若しくはアクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体等のスルホン酸系分散剤又はこれらの塩が好ましい。
より好ましくは、マレイン酸系分散剤又はアクリル酸系分散剤であり、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体若しくはアクリル酸エステル−マレイン酸共重合体又はこれらの塩が特に好ましい。一例として、下記化学式1にスチレン−アクリル酸エステル共重合体(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、m、nはそれぞれ共重合体の繰り返し単位)を示し、化学式2にスチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体塩(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、m、nはそれぞれ共重合体の繰り返し単位)を示す。
ポリマー系分散剤内のマレイン酸又はアクリル酸部分で塩を形成させることにより、そのポリマー系分散剤を溶解させるのが好ましい。アルカリ中和剤としては、例えば、アミノメチルプロパノール、2−アミノイソプロパノール、トリエタノールアミン又はアンモニア水等を挙げることができる。
または、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の無機アルカリ剤等を挙げることができる。
アルカリ中和剤の含有量は、カウンターイオンとしてポリマー系分散剤を中和することのできる量(中和当量)又はそれ以上であることができ、中和当量のほぼ1.2〜1.5倍の量で含有すると、凝集性等の点から好ましい。
分散液の分散状態、芯粒子の凝集反応温度に対する凝集性、現像性、定着性の観点からポリマー系分散剤のガラス転移点は40〜150℃、軟化点は90〜220℃、重量平均分子量は3000〜5万、酸価は50〜250mgKOH/gが好ましい。より好ましくは、ガラス転移点は50〜130℃、軟化点は100〜180℃、重量平均分子量は3000〜3万、酸価が80〜200、さらに好ましくは、ガラス転移点は80〜120℃、軟化点は120〜180℃、重量平均分子量は7000〜3万、酸価は100〜200が好ましい。ガラス転移点が40℃未満であると、凝集反応が早くなり、生成される芯粒子が粗大化する傾向にある。ガラス転移点が150℃を超えると、凝集反応が遅れて、凝集に加わらない水系中に残留する着色剤粒子が増加する傾向にある。軟化点が90℃未満であると、凝集反応が早くなり、生成される芯粒子が粗大化する傾向にある。軟化点が220℃を超えると、凝集反応が遅れて、凝集に加わらない水系中に残留する着色剤粒子が増加する傾向にある。重量平均分子量が3000未満であると、凝集反応が早くなり、生成される芯粒子が粗大化する傾向にある。重量平均分子量が5万を超えると、凝集反応が遅れて、凝集に加わらない水系中に残留する着色剤粒子が増加する傾向にある。酸価が50未満であると、ワックス分散液の分散安定性が低下しやすい傾向にある。酸価が250を超えると、凝集の進行が早まり生成される芯粒子が粗大化しやすい傾向にある。
特に、ポリマー系分散剤のガラス転移点は、芯粒子を凝集させる温度以上であることが好ましい。望ましくは、そのガラス転移点は90℃以上である。この理由としては、水系中の温度が上昇する過程において、ポリマー分散剤のガラス転移点を超える温度領域から、CB同士で凝集が生じやすくなり、それがワックスをも取り込んで、水系中に浮遊した大きな残渣物となりやすい傾向にある。ポリマー分散剤のガラス転移点が芯粒子の凝集温度以上であるときは、水系中に浮遊した大きな残渣物が発生しにくい傾向にある。
酸価は試料1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。試料をアルコール−エーテルに溶かして、これにフェノールフタレインを指示薬として0.5Nの水酸化カリウムで滴定する。JIS−K−0070に準拠して行う。
水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して得られる芯粒子を含むトナーである。この着色剤粒子分散液に用いる分散剤として、ポリマー系分散剤及び非イオン系界面活性剤を含むのが好ましい。
特に、一定の融点を有するワックスと、着色剤粒子と樹脂粒子とを凝集して芯粒子を生成するとき、低温度から溶融を開始するワックスと、粉状態の着色剤とではその凝集速度が相違し、一方では溶融により粒子の凝集が進行しやすいものと、一方では凝集の進行が遅いものとによって、粒子形成が不均一になり灰色の粒子の生成や、芯粒子間でワックスや顔料が偏在した芯粒子の生成を生じる傾向にある。また、芯粒子が粗大化して小粒径で狭い粒度分布の粒子生成が困難となる傾向にある。
温度調整や攪拌速度調整等で芯粒子の粗大化を抑えて小粒径粒子を生成しようとすると、着色剤粒子が芯粒子中に取り込まれることなく、芯粒子分散液中に凝集に加わらない着色剤粒子が残留し、反応液が濁ったままで透明になりにくく、凝集に加わらないワックス粒子が残留し、粒度分布が広がってしまう傾向にあった。
そこで、凝集の進行が遅い傾向にある着色剤の分散剤に、ポリマー系分散剤及び非イオン系界面活性剤を含むことにより、樹脂粒子、ワックス粒子との凝集速度のバランスを取ることで、前述した小粒径で粒度分布の狭い粒子生成を得ることができるものと考えられる。非イオン系界面活性剤を含むことにより、溶融したワックス粒子、樹脂粒子との凝集速度を調整することができ、芯粒子中で顔料の粒子同士が固まって凝集した状態で分散することを抑制でき、芯粒子中で顔料の分散を均一に分散させることができる。その結果、現像での非画像部へのトナー付着であるカブリの低減、耐久性が向上、転写性の改善につながる。またワックスの分散性への効果もあり、定着性の改善の効果が得られる。
非イオン界面活性剤のHLBの範囲は、13.3〜18.6とすることが好ましい。この範囲であれば、樹脂粒子、ワックス粒子との凝集速度のバランスを取ることができ、芯粒子中で顔料の粒子の分散を均一化することができる。また、小粒径で粒度分布の狭い粒子生成を得ることができる。HLBが18.6を超えると、凝集速度を調整ができにくく、芯粒子中で顔料の粒子同士が固まって凝集した状態で分散する傾向にある。HLBが13.3未満であると、顔料の凝集速度が遅くなり、顔料粒子が取り残され、生成される粒子がブロードな粒度分布となる傾向にある。好ましくは、15.2〜17.6、より好ましくはWh1が16〜17.6の範囲である。
ここで、HLB値とは、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値である。特に、非イオン界面活性剤のHLB値(Hydrophile-Lipophile Balance)は界面活性剤の親油性部分の分子量をML、親水性部分の分子量をMHとすると、HLB=(MH×20)/(MH+ML)で表すことができる(グリフィン法)。
着色剤粒子に対するポリマー分散剤及び非イオン系界面活性剤の量は、ポリマー系分散剤が、着色剤粒子100重量部に対し3〜20重量部、非イオン系界面活性剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜15重量部とすることが好ましい。より好ましくはポリマー系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し5〜15重量部、非イオン系界面活性剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜10重量部、さらに好ましくはポリマー系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し5〜12重量部、非イオン系界面活性剤が着色剤粒子100重量部に対し3〜10重量部である。
また、ポリマー系分散剤と非イオン系界面活性剤の重量配合比率が1:2〜10:1とすることが好ましい。一定量の非イオン系界面活性剤を含むことにより、その凝集速度をマイルドに徐々に進行させることができ、芯粒子中で顔料の粒子同士が固まって凝集した状態で分散することを緩和でき、芯粒子中で顔料の分散を均一に分散できる効果が発揮できる比率である。好ましくは、ポリマー系分散剤と非イオン系界面活性剤の重量配合比率が1:1〜10:1、より好ましくは1:1〜5:1、さらに好ましくは2:1〜3:1である。
着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤及びアニオン系分散剤とを一定割合で配合するのも好ましい。着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤とアニオン系分散剤とを一定割合で配合させることにより、ワックス粒子、樹脂粒子及び着色剤粒子との凝集速度を調整でき、凝集過程において粗大粒子の発生を抑えることができる。従って、狭い粒度分布の粒子生成が可能となり、また生成される粒子の形状、粒径を制御することができる。アニオン系分散剤比率を高めていくと、凝集の進行がやや遅くなり、形状が球状に近い粒子が生成されやすくなる。
ポリマー系分散剤は、着色剤粒子100重量部に対し3〜20重量部、アニオン系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜15重量部とすることが好ましい。着色粒子分散液のポットライフ(分散安定性)を維持し、かつ小粒径で狭い均一な粒度分布の芯粒子を生成できる適正な範囲である。より好ましくは、ポリマー系分散剤は、着色剤粒子100重量部に対し5〜15重量部、アニオン系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜10重量部とする。さらに好ましいくは、ポリマー系分散剤は、着色剤粒子100重量部に対し5〜12重量部、アニオン系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し3〜10重量部とする。
また、ポリマー系分散剤とアニオン系分散剤の重量配合比率が、1:1〜10:1とすることが好ましい。より好ましくは2:1〜10:1、さらに好ましくは5:1〜10:1とする。樹脂粒子やワックス粒子との凝集速度が適正な範囲とすることができ、芯粒子中に取り込まれずに残留する着色剤粒子やワックス粒子の生成を抑えられ、小粒径で粒度分布の狭い粒子生成を得ることができる範囲である。
また、アニオン系分散剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩又は高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩又は高級アルキルスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコール燐酸エステル塩等の燐酸エステル塩(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はカルシウムとの塩)、の他、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩、アルキルエーテルカルボン酸塩又はジアルキルスルホコハク酸塩(例えば、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩)、等を挙げることができる。その中で、高級アルコール硫酸エステル塩であるラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩であるラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩である炭素数12〜16のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、又はアルキルナフタレンスルホン酸塩が特に好ましい材料である。
ブラックトナーとして着色剤にカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックの分散液を生成する際に使用する分散剤にポリマー系分散剤を含むのが好ましい。カーボンブラックは他のフタロシアニン系、キナクリドン系、アゾ系等の有機系顔料に比べ、無機系に近い特性を示し、ワックス粒子、樹脂粒子との凝集反応において、その凝集性(凝集剤添加時の粒子の凝集速度)が相違する傾向にある。そのためポリマー系分散剤を使用することで凝集性のバランスをとる効果が得られるためと思われる。
また、DBP吸油量が45〜70(ml/100g)のカーボンブラックを含むことが好ましい。好ましくは45〜63、より好ましくは45〜60、さらに好ましくは45〜53である。一定の吸油量特性を有するカーボンブラックの使用により、カーボンブラックが均一に芯粒子中に取り込まれ、またワックスの定着性の機能も維持できる。DBP吸油量が70を超えるカーボンブラックでは、カーボンブラックの凝集が早く起こりやすく、カーボンブラック粒子が芯粒子中に取り込まれにくくなる。また、後述する芯粒子に第二の樹脂粒子を付着させたシェル構造とした場合、生成粒子の窒素吸着によるBET比表面積値が大きくなる傾向にある。その結果、現像時での非画像部へのトナー付着であるカブリが増大する傾向にある。カーボンブラックの凝集不良による分散状態の偏在により表面状態に影響を与えていると思われる。また溶融したワックスとの吸油(吸着)される現象が急速に進行し、灰色の粒子を生成させる結果になると推測する。またワックスの定着性の機能も低下してしまうと推測する。DBP吸油量が45未満のカーボンブラックは好適なサンプルが生産されておらず、入手が困難である。
さらには、一定の融点を有するワックスとの使用においてその効果がより発揮される傾向にある。凝集反応を進行させる際、ワックスは溶融した状態となり、カーボンブラック粒子は粉の状態である。そして所定のDBP吸油量特性を有するカーボンブラック粒子はその吸油性により、溶融したワックスを吸油(吸着)する。その結果、カーボンブラック粒子とワックスが溶融付着した灰色の粒子が生成されやすい傾向となる。また一部粗大化しやすく、水系中の粒子のバランスが崩れることで凝集にかかわらない浮遊したワックスや、顔料粒子の残留が生じやすくなる傾向にある。またカーボンブラック粒子に溶融したワックスが吸油(吸着)されると本来のワックスの低温定着性や耐オフセット性の定着性の機能が低下し、定着可能温度域が減少する傾向にある。
そこで、一定の融点を有する溶融状態のワックスと粉の状態のカーボンブラック粒子の凝集反応において、カーボンブラック粒子のDBP吸油量特性を規定することにより、カーボンブラック粒子が先に粒子成長する現象を抑えられ、芯粒子を小粒径化しても、カーボンブラック粒子が芯粒子中に取り込まれて、芯粒子分散液中に凝集に加わらずに残留するカーボンブラック粒子を解消できる効果が得られることを見出した。また、本来のワックスの定着性の機能が低下する現象を抑えられる効果を見出した。これは、一定以上のDBP吸油量特性を有するカーボンブラック粒子が溶融したワックスとの吸油(吸着)される現象の影響と思われる。
芯粒子に粒子の形状制御する目的で第三の樹脂粒子を配合するのも好ましい。第一の樹脂粒子(芯粒子に使用する樹脂リ粒子を第一の樹脂粒子と称する場合がある)の特性と一定の関連性を有する第三の樹脂粒子を添加することにより、芯粒子の凝集反応性を変えることで形状を変化させる効果が得られる。
その第三の樹脂粒子の好ましい特性として、第三の樹脂粒子の溶融粘度特性における軟化点をTmr3(℃)、第一の樹脂粒子の溶融粘度特性における軟化点をTmr1(℃)とすると、
Tmr1+30℃≦Tmr3≦Tmr1+80℃
の関係を満たすのが好ましい。一定の軟化点を有する第三の樹脂粒子の存在により、加熱処理の過程での凝集反応において、溶融状態の異なる樹脂粒子の存在により凝集粒子の溶融が進行する状態を遅らせ、粒子の溶融による表面張力の効果を変えることで、形状を真球状からポテト形状や不定形とすることが可能となる。第三の樹脂粒子と第一の樹脂粒子の軟化点の差が30℃未満であると、芯粒子の溶融が進行する状態を遅らせることができにくくなり、形状調整がうまく進まない傾向にある。逆に第三の樹脂粒子と第一の樹脂粒子の軟化点の差が80℃を超えると、芯粒子の凝集が進行しずらくなり、第三の樹脂粒子が芯粒子に取り込まれにくく、第三の樹脂粒子が水系中に残留して水系中の白濁が残る場合がある。
また、第三の樹脂粒子の好ましい第二の特性として、第三の樹脂粒子のゲルパーミエーションクロマトグラムにおける重量平均分子量をMwr3、第一の樹脂粒子の重量平均分子量をMwr1とすると、
Mwr1×1.5≦Mwr3≦Mwr1×12
の関係を満たすのが好ましい。一定の重量平均分子量を有する第三の樹脂粒子の存在により、加熱処理の過程での凝集反応において、溶融状態の異なる樹脂粒子の存在により芯粒子の溶融が進行する状態を遅らせることで、形状を真球状からポテト形状や不定形とすることが可能となる。第三の樹脂粒子重量平均分子量が、第一の樹脂粒子の重量平均分子量の1.5倍未満であると、芯粒子の溶融が進行する状態を遅らせることができにくくなり、形状調整がうまく進まない傾向にある。逆に第三の樹脂粒子重量平均分子量が第一の樹脂粒子の重量平均分子量の12倍を超えると、芯粒子の凝集が進行しずらくなり、第三の樹脂粒子が芯粒子に取り込まれにくく、第三の樹脂粒子が水系中に残留して水系中の白濁が残る傾向になる。
また、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、2〜30重量部の範囲とするのが好ましい。2重量部未満であると、形状調整の効果が得にくい。30重量部を超えると、芯粒子の凝集性が悪化し、第三の樹脂粒子が芯粒子に取り込まれにくく、第三の樹脂粒子が水系中に残留して水系中の白濁が残る傾向になる。
また、第三の樹脂粒子の配合割合は、第三の樹脂粒子の軟化点又は重量平均分子量とも関連し、軟化点又は重量平均分子量が高くなるほど配合量は少量で効果を発揮できる。
Tmr3がTmr1+30℃〜Tmr1+45℃のときは、第三の樹脂粒子の配合割合としては、第一の樹脂粒子100重量部に対し、22〜30重量部の範囲、Tmr3がTmr1+45℃〜Tmr1+65℃のときは、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、12〜22重量部の範囲、Tmr3がTmr1+65℃〜Tmr1+80℃のときは、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、2〜12重量部の範囲とすることが目安となるが、目的の形状によって量は増減する。
Mwr3が、Mwr1×1.5〜Mwr1×4のときは、第三の樹脂粒子の配合割合としては、第一の樹脂粒子100重量部に対し、22〜30重量部の範囲、Mwr3が、Mwr1×4〜Mwr1×8のときは、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、12〜22重量部の範囲、Mwr3が、Mwr1×8〜Mwr1×12のときは、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、2〜12重量部の範囲とすることが目安となるが、目的とする形状によって量は増減する。
この形状調整を目的として軟化点等の熱特性の異なる第三の樹脂粒子を配合する際に、前述したポリマー系分散剤を使用することにより、軟化点等の熱特性が異なる樹脂粒子を使用し凝集進行性が変わることによる浮遊粒子生成を防止し、軟化点等の熱特性が異なる状況でも、芯粒子の凝集反応を均一に進め、着色剤やワックスの分散性を向上させる効果が発揮できる傾向にある。ポリマー系分散剤を使用した着色剤粒子が接着性のような機能を発揮される結果であると推測される。
水系媒体中において重合開始剤を用いて単量体を乳化重合することにより、樹脂粒子が得られる。その重合開始剤の添加量は、単量体100重量部に対し、0.5〜2.5重量部、重合開始剤は、水温20℃の水100gに対する溶解度が4g以上の過硫酸塩類、及び単量体がスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び酸基を有するビニル系単量体を含み、酸基を有するビニル化合物の配合量は、単量体中0.1〜5.0重量%とすることが好ましい。
重合開始剤の添加量について、重合開始剤由来の親水基の存在量により樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子の凝集に影響を与える傾向にある。つまり重合開始剤の添加量が多いと凝集反応が遅く進行する傾向にあり、重合開始剤の添加量が少ないと凝集反応が早く進行する傾向にあり、その重合開始剤の添加量の適正量が、単量体100重量部あたり0.5〜2.5重量部である。好ましくは、0.7〜2.0重量部、より好ましくは、1.0〜1.5重量部である。樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子それぞれの凝集が適正となる範囲である。0.5重量部未満であると、樹脂粒子の凝集が早く進行し、ワックス、顔料と凝集した芯粒子生成にいたらず、樹脂粒子同士が凝集した樹脂の粗大粒子が生成されやすい傾向にある。2.5重量部を超えると、芯粒子生成の凝集が遅くなる傾向にあり、生産性に時間を要することになる。また、高温非オフセット性が悪化し、定着可能温度領域が狭まる傾向にある。これは重合開始剤由来の親水基の存在量により、凝集反応が遅く進行することで、ワックスの分散性に影響を及ぼすものと考えられる。
重合開始剤は、水温20℃の水100gに対する溶解度が4g以上の過硫酸塩類を使用することが好ましい。これにより、重合開始剤由来の親水基の存在量の適正化による芯粒子の凝集性と定着性を好適にできる。溶解度が少ないと、乳化重合反応時の過硫酸塩類の溶解に時間を要し生産性が遅くなる。また、乳化する際の過硫酸塩類の分散状態が変化しやすく、凝集反応時の凝集性が不安定になる傾向にある。
酸基を有するビニル化合物の配合量は、単量体中0.1〜5.0重量%であることが好ましい。さらに好ましくは、0.2〜4.5重量%、より好ましくは、0.5〜2.0重量%である。第一の樹脂粒子、第三の樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子それぞれの凝集を適正なものとできる範囲である。0.1重量%未満であると、第一の樹脂粒子の凝集が早くなり、ワックス、顔料と凝集した芯粒子生成にいたらず、樹脂粒子単独が凝集した粗大化した樹脂粒子の発生や、芯粒子が粗大化する傾向にある。5.0重量%を超えると、芯粒子生成の凝集が遅くなる傾向にあり、これは酸基由来の親水基の存在量により、凝集反応が遅く進行することで、樹脂粒子とのワックスの凝集に影響を及ぼす傾向にある。それによりワックスの分散状態が変動し、高温非オフセット性が悪化し、定着可能温度領域が狭まる傾向になると考えられる。
本発明方法は、水系媒体中において、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液とを混合し、凝集剤を添加し、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集した芯粒子を生成する。この着色剤粒子分散液に用いる分散剤にポリマー系分散剤を含ませる。
また、着色剤粒子分散液に用いる分散剤として、ポリマー系分散剤及び非イオン系界面活性剤を含むのも好ましい。また、着色剤粒子分散液に用いる分散剤として、ポリマー系分散剤及びアニオン系界面活性剤を含むのも好ましい。
樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液のpHは9.5〜12.2の範囲に調整することが好ましい。さらに好ましいpHは10〜11.5、より好ましくいpHは10.5〜11の範囲である。1NのNaOHを添加することでpHの調整が可能である。pH値を9.5以上12.2以下とすることで、形成された芯粒子が粗大化する現象を抑制し、凝集に加わらずに遊離するワックス粒子や着色剤粒子の発生を抑え、ワックスや着色剤を均一に内包化できやすくする効果がある。
このとき、樹脂粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合液のpHを9.5〜12.2の範囲に調整した後に、ポリマー系分散剤を使用した着色剤粒子分散液を添加することが好ましい。樹脂粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合液のpHは酸性になっている場合があり、その液にポリマー系分散剤を使用した着色剤粒子分散液を添加すると着色剤粒子が一部単独で凝集が進行する場合があるためである。つまり、樹脂粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合し、その混合液のpHを9.5〜12.2の範囲に調整し、ポリマー系分散剤を使用した着色剤粒子分散液を添加し、水溶性無機塩を添加した後に加熱処理を行うことが好ましい。その後、混合分散液に水溶性無機塩を添加し、樹脂粒子のガラス転移点温度(Tg)以上及び/又はワックスの融点以上に加熱処理することにより、少なくとも樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が少なくとも一部が溶融し凝集した所定の体積平均粒径の芯粒子が形成される。
この所定の体積平均粒径の芯粒子が形成されたときの液のpHが7.0〜9.5の範囲に保持されることが好ましい。これによりワックスの遊離が少なく、ワックスが内包された狭い粒度分布の芯粒子が形成できる。添加するNaOH量、凝集剤種や量、乳化重合樹脂分散液のpH、着色剤分散液のpH、ワックス分散液のpHの設定値や、加熱温度、時間は適宜選択される。粒子が形成されたときの液のpHが7.0未満であると、芯粒子が粗大化する傾向になる。pHが9.5を超えると、凝集不良で遊離ワックスが多くなる傾向になる。
また樹脂粒子分散液は、乳化重合樹脂を重合生成する際に重合開始剤として過硫酸カリウム等の過硫酸塩を使用した際、その残留分が加熱凝集工程時の熱により分解してpHを変動(下げる)させてしまうことがあるため、乳化重合した後に一定温度以上(残留分を十分に分散させておくために80℃以上が好ましい)で、一定時間(1〜5時間程度が好ましい)加熱処理を施すことが好ましい。樹脂粒子分散液のpHは好ましくは4以下、更に好ましくは1.8以下である。
pH(水素イオン濃度)の測定は、被測定液を液槽内からピペットを用いてサンプルを10ml採取し、同容量程度のビーカーに入れる。このビーカーを冷水に浸漬し、サンプルを室温(30℃以下)まで冷却する。pHメータ(セブンマルチ:メトラートレド社製)を用い、室温まで冷やしたサンプルに測定プローブを浸す。メータの表示が安定したらその数値を読み取り、pHの値とする。
混合分散液の昇温速度は0.1〜10℃/minが好ましい。遅いと生産性が低くなる。早すぎると粒子表面が平滑にならないうちに形状が球形に進みすぎる傾向にある。
また、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集して所定の体積平均粒径の芯粒子が形成されたときの芯粒子分散液中のpHを、0.5〜5酸性側にシフトさせることが好ましい。すなわち樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子の混合分散液に水溶性無機塩を添加し、室温から加熱処理して、水系中の温度がワックスの融点以上に達して、所定の体積平均粒径又は一定形状に凝集した芯粒子が形成された後に、その芯粒子が分散した分散液中のpHを酸性側にシフトさせる。
カラー画質はより高精細化が要求され、トナーはより小粒径化が求められる。pH調整をせずにそのまま昇温、加熱処理を続けると、凝集した粒子は各粒子が集まりつつある葡萄状から、球形状に進行するが、そのとき粒径もやや大きくなる傾向にある。また、ポリマー系分散剤を使用した着色剤では、凝集が早く進行し、樹脂粒子、ワックス粒子との凝集速度のバランスを取ることができるが、凝集した粒子の粒径がやや大きめになり、より小粒径粒子生成を得るためには工夫が必要と場合がある。そこで、このpH調整により粒径が大きくなることを防ぎながら、加熱処理を続けることができ、芯粒子を球形状にすることができる。さらには後述するシェル樹脂を付着溶融させる際、その付着がより良好に行え、芯粒子に付着せずに浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑制する効果が得られる。
また、使用する凝集剤とコア樹脂とが凝集反応時に架橋構造を形成して定着時に低温での定着強度が低下する傾向になる場合があるが、本願の酸性側にシフトさせる工程により、架橋構造を一部または全部の構造を解消することにより低温定着性を良化させる効果が得られる。
前述したように、所定の体積平均粒径の芯粒子が形成されたときの芯粒子分散液中のpHは7.0〜9.5の範囲であり、ここからさらに酸性側に0.5〜5シフトさせて、pHを2〜9の範囲に保持することが好ましい。好ましくは酸性側に1.5〜4シフトさせてpHは3〜8に保持させる。さらに好ましくは酸性側に2.5〜3シフトさせてpHは4〜7に保持する。
芯粒子生成の好ましい一実施形態として、水系媒体中において、樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合して混合分散液を生成する。そしてこの混合分散液を加熱し、混合分散液の液温度が一定の温度に達した後に、この混合分散液に凝集剤として水溶性無機塩を添加する方法も好ましい。
混合分散液の温度が一定以上に達した状態で凝集剤を添加することにより、凝集が昇温時間とともに緩慢になる現象をさけられ、凝集剤の添加と共に凝集反応が一気に進行し、短時間に芯粒子の生成が可能となる。また、ワックス粒子と着色剤粒子を均一に内包化した小粒径で狭い粒径分布の芯粒子形成が可能となる。
前記樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合液を生成し、加熱処理後に凝集剤を添加する工程により、前記芯粒子を生成するのも好ましい。また、前記樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合した混合分散液の水温が、前記ワックスの融点以上に到達後に凝集剤を添加するのも好ましい。
また、後述するように融点の異なるワックスを併用して使用する場合、昇温の過程で、低融点のワックスが先に溶融が開始され、昇温が進行すると、次には高融点のワックスの溶融が開始され、凝集が開始されるため、低融点ワックス粒子同士や、高融点粒子ワックス同士の凝集体の生成を防ぐためにも有効な方法である。芯粒子中でワックスの偏在を防止して、芯粒子の粒度分布が広くなったり形状の分布が不均一になることを防ぐことができる。
添加する凝集剤は一定の水濃度を有する水溶性無機塩を含有した水溶液を使用するが、その水溶液のpH値を調整した後に、少なくとも第一の樹脂粒子を分散させた第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合した混合分散液中に添加することも好ましい。
凝集剤を含んだ水溶液のpH値を一定値に調整することにより、凝集剤としての粒子の凝集作用をより高めることができるものと考えられる。混合分散液のpH値と一定の関係を持たせることが好ましく、混合分散液にpH値が離れた凝集剤水溶液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、凝集粒子が粗大化したり、ワックスの分散が不均一になりやすい。このような現象を抑えるために、凝集剤水溶液のpHを調整することが効果的である。
樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液を混合した混合分散液を加熱処理し、凝集剤を含む水溶液の添加前の混合分散液のpH値をHGとすると、凝集剤を含む水溶液のpH値は、HG+2〜HG−4の範囲に調整して添加するのが好ましい。好ましくはHG+2〜HG−3の範囲、より好ましくはHG+1.5〜HG−2の範囲、さらに好ましくはHG+1〜HG−2の範囲とする。
混合分散液にpH値が離れた凝集剤水溶液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、凝集反応が遅れて進行しずらくなったり、凝集粒子が粗大化しやすくなりやすい。このような現象を抑えるために、凝集剤水溶液のpHを調整することが効果的である。凝集剤を含む水溶液のpH値を混合分散液のpH値よりも低くすることがより好ましい。HG−4以上HG+2以下とすることで、凝集剤としての粒子の凝集作用をより高められ、凝集反応を加速でき、凝集粒子が粗大化したり、粒度分布がブロードになる現象を抑える効果がある。
凝集剤を添加する時期としては、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液の温度が、後述するDSC法により測定されるワックスの融点以上に到達後に凝集剤を添加することが好ましい。ワックスの溶融が開始されている状態で、凝集剤を添加することにより、溶融するワックス粒子と、樹脂粒子及び前述した方法が着色剤粒子の凝集が一気に進行し、さらに加熱処理続けることでワックス粒子、樹脂粒子の溶融が進行して粒子形成されると思われる。
このとき、混合分散液の温度がワックスの特定温度に達した時点で凝集剤を添加することにより粒子の凝集が進行し、その後0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間、より好ましくは1〜2時間加熱処理することにより所定の粒度分布の芯粒子が生成される。加熱処理はワックスの特定温度をキープしたままでも良いが、好ましくは80〜95℃、より好ましくは90〜95℃で加熱する。凝集反応を加速でき、処理時間の短縮につながる。
また、分散液中のpHを酸性側にシフトさせる場合には、硫酸マグネシウム等の凝集剤の滴下であれば一定幅でシフトさせることができる。さらに硫酸等を追加滴下することにより調整が可能である。調整の時期としては、凝集剤の滴下時、または凝集剤の滴下終了後である。
さらに、後述するようにワックスを2種類以上含む場合には、低い方の融点を有するワックスの方の特定温度に調整することが好ましい。より好ましくは高い方の融点を有するワックスの特定温度に調整することが好ましい。ワックス粒子の溶融が開始されている温度状態で凝集剤を添加することが効果的である。
凝集剤の添加は、全量一括して添加するのもよいが、凝集剤の滴下を1〜120minの時間を要して滴下するのも好ましい。分割しながらでもよいが、好ましくは連続した滴下が好ましい。加熱された混合分散液に凝集剤を一定速度で滴下することにより、反応釜内にある混合分散液全体に凝集剤が徐々に均一に混ざりあうことになり、偏在により粒度分布がブロードになったり、ワックスや着色剤の浮遊粒子の発生を抑制する効果がある。また混合分散液の液温度の急激な低下を抑えることができる。好ましくは5〜60min、より好ましくは10〜40min、さらに好ましくは15〜35minである。1min以上により芯粒子の形状が過度に不定形に進まず、安定した形状が得られる。120min以下とすることで、着色剤やワックス粒子の凝集に加わらずに単独で浮遊する粒子の存在を抑える効果が得られる。
樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子の総和100重量部に対し、凝集剤は1〜50重量部滴下するのが好ましい。好ましくは5〜25重量部、より好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは10〜15重量部である。少ないと凝集反応が進行せず、多すぎると生成粒子が粗大化する傾向にある。
混合分散液は、樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液以外に液中の固体濃度を調整するために、イオン交換水を添加してもかまわない。液中の固体濃度は5〜40wt%が好ましい。
また凝集剤としては、水溶性無機塩をイオン交換水等で一定濃度に調整して使用することも好ましい。凝集剤水溶液の濃度は5〜50wt%が好ましい。
樹脂粒子分散液を作成する際に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤であり、ワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤とするのが好ましい。これは、樹脂粒子分散液及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜100wt%有することが好ましいことを表す。より好ましくは60〜100wt%、さらに好ましくは60〜90wt%である。
また、樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合物であり、かつワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分を非イオン界面活性剤とするのが好ましい。樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜95wt%有することが好ましい。より好ましくは55〜90wt%、さらに好ましくは60〜85wt%である。
このような樹脂粒子、ワックス粒子及び前述した着色剤粒子を用いて、水系媒体中で凝集剤を作用させると、まず樹脂粒子が凝集を開始して核ができる。次に、着色剤粒子が樹脂粒子の核の周りに凝集を始める。最後にワックス粒子が凝集して着色剤粒子を樹脂粒子とともに挟んだようにして包み込む。樹脂粒子は着色剤粒子やワックス粒子に比べて、重量濃度として、通常数倍以上添加するので、さらにワックス粒子の上にも樹脂粒子のみの核が凝集し、最表面が樹脂で覆われたトナーが形成されると推定される。このようなメカニズムで水系中で凝集にかかわらない浮遊した着色剤粒子やワックス粒子の存在をなくし、小粒径でかつ均一で狭い範囲でシャープな粒度分布を有する芯粒子を形成できると考えられる。
芯粒子が分散した芯粒子分散液に、第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液を添加混合し、加熱処理して芯粒子に、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させてトナー母体粒子を生成するのも好ましい。芯粒子に使用する樹脂粒子を第一の樹脂粒子と称する場合がある。
本発明のトナーには、顔料およびワックスはトナーの内部に取り込まれているが、最表面に微量の顔料およびワックスが存在する可能性もあり、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着層(シェル層と称することもある)を形成することで帯電の安定化に対する効果を得ることできる。また、トナーの高温状態での貯蔵安定性を高める観点から、ガラス転移点(Tg(℃))の高い樹脂粒子を、高温での耐オフセット性を確保する観点から、高分子量の乳化樹脂微粒子を、帯電安定性の観点から電荷調整剤を含有した樹脂粒子をシェル層として形成しても望ましい。
芯粒子分散液に第二の樹脂粒子分散液を滴下する条件として、生成された芯粒子量100重量部に対し、第二の樹脂粒子の滴下速度が、0.14重量部/min〜2重量部/minの滴下条件で滴下して生成するのが好ましい。好ましくは0.15重量部/min〜1重量部/min、さらに好ましくは、0.2重量部/min〜0.8重量部/minである。第二の樹脂粒子分散液の添加時期は、芯粒子が所定の粒径に達したら、そのまま添加される。添加は順次滴下が好ましい。所定全量を一気に添加したり、2重量部/minを超えると第二の樹脂粒子のみ同士の凝集が生じやすく、粒度分布がブロードになりやすい。また、投入量が多くなると、液温度が急激に低下し凝集反応の進行が止まることになり、第二の樹脂粒子の一部が芯粒子への付着に加わらずに水系中で浮遊した状態で残ってしまう場合がある。また、0.14重量部/minよりも少ないと、第二の樹脂粒子の一部が芯粒子への付着する量が減量し、加熱を続けていく際に、芯粒子同士の凝集が生じて、粒子が粗大化、粒度分布がブロードになりやすい。第二の樹脂粒子分散液の滴下条件を適正化することで、芯粒子同士の凝集や第二の樹脂粒子のみ同士の凝集を防いで、小粒径で粒度分布の狭い粒子の生成を可能とする。
生成された芯粒子が分散された芯粒子分散液の液温度の変動を10%以内に抑えるように、第二の樹脂粒子分散液を滴下するのも好ましい。シェル樹脂粒子を芯粒子に融着させる工程において、芯粒子分散液に、シェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液を添加し、加熱処理して芯粒子に、シェル樹脂粒子を芯粒子に融着させる樹脂融着層を形成する際の条件として、シェル樹脂粒子分散液のpH値を一定範囲に調整した後に添加することが好ましい。
シェル樹脂粒子分散液のpH値を一定範囲に調整してシェル樹脂粒子分散液を添加することにより、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑え、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着を良好なものとし、あるいは芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えることができる。
シェル樹脂粒子分散液のpH値を一定範囲に調整する工程において、アルカリ状態に調整したシェル樹脂粒子分散液のpH値は7.5〜10.5の範囲とすることが好ましい。好ましくは8.5〜10、より好ましくは9〜9.5である。シェル樹脂粒子分散液を上記したアルカリ状態に調整することで、シェル樹脂同士が凝集した白粒子の発生及び、芯粒子同士が凝集した二次粒子の発生を抑え、シェル樹脂を芯粒子への付着を促進させることができる。
また、pH値をアルカリ状態に調整したシェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液を、pH値が7以下2以上の範囲にある芯粒子分散液に添加することが好ましい。芯粒子分散液のpH値を上記した範囲とすることで、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着を促進させ、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑え、芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えて、小粒径で狭い粒度分布を形成することが可能となる。また、芯粒子分散液のpH値を7以下として酸性状態とすることにより、凝集剤として例えば硫酸マグネシウムを使用した場合、残存する水酸化マグネシウムを除去する効果が得られる。水酸化マグネシウムが残留すると、トナーが高湿度下に放置した時に水分を吸湿する傾向にあるため、吸収を抑えることができる。
さらに、シェル樹脂粒子分散液のpH値と、芯粒子分散液のpH値とを一定の関係を持させることで、水系中のpHのバランスを一部乱すことで、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着を促進させ、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑え、さらには芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えることができる。
芯粒子分散液のpH値は7以下2以上の範囲とし、かつシェル樹脂粒子分散液のpH値を7.5〜10.5に調整した後に添加することで、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着を促進させ、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑え、芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えて、小粒径で狭い粒度分布を形成することが可能となる。
芯粒子分散液のpH値が2未満であり、かつシェル樹脂粒子分散液のpH値が7.5未満であると、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着が進行せず、シェル樹脂粒子は芯粒子への融着に加わらず、浮遊したままの状態となる傾向にある。芯粒子分散液のpH値が7を超え、かつシェル樹脂粒子分散液のpH値が10.5を超えると、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着が進行せず、生成される粒子が粗大化する傾向にある。pH値の調整には水酸化ナトリウムや塩酸溶液を添加することで調整することができる。
これらのシェル樹脂粒子分散液及び芯粒子分散液のpH値を一定関係に保つことが好ましく、シェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液のpH値は、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値よりも高い値、つまりよりアルカリ状態に調整して添加することが好ましい。
シェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液のpH値は、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値よりも0.5以上高くすることが好ましい。より好ましくは1以上、さらに好ましくは2以上、好ましくは5以下である。芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値よりも0.5未満であると、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生が増える傾向にある。逆に差が5を超えると、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子が発生するとともに、芯粒子同士の二次凝集が発生し、生成される粒子が粗大化する傾向にある。
シェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液のpH値が、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値よりも低い値のときも、シェル樹脂粒子の発生が増える傾向にあり、液は白濁したままの状態が続く。
また、芯粒子表面に第二の樹脂粒子が付着させた後、さらに水系中のpHを3.2〜6.8の範囲に調整した後、第二の樹脂粒子のガラス転移点温度以上の温度で0.5〜5時間加熱処理する方法を採ることも好ましい。このpH値の範囲とすることにより、芯粒子相互の二次凝集を抑制しながら、かつ粒子形状の表面平滑性をより進めることができる。また凝集剤として添加する水溶性無機塩である硫酸マグネシウムを使用した系において、一部アルカリ性で凝集反応が進行することで生成される水酸化マグネシウムを酸状態で酸化し、水溶性として除去させることでトナーが水を吸収しやすくなる現象である吸湿を下げる効果も得られる。
トナーの耐久性、貯蔵安定性、高温非オフセット性を良好なものとするため、第二の樹脂粒子の融着した樹脂層の厚さは0.5μm〜2μmが好ましい。これよりも薄いと貯蔵安定性、高温非オフセット性の効果が発揮せず、厚いと低温定着性が阻害される。
第二の樹脂分散液に用いる界面活性剤の主成分を非イオン界面活性剤とするのが好ましく、さらには、第二の樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合とするのも好ましく、このときには非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して、50〜95wt%有することが好ましい。より好ましくは55〜90wt%、さらに好ましくは、60〜85wt%である。50wt%以上とすることで、芯粒子に対する第二の樹脂粒子微粒子の付着を促進させることができる。95wt%以下とすることにより、で樹脂粒子分散液中の樹脂粒子自体の分散を安定させる効果がある。
凝集反応に使用する好ましい反応釜としてガラスライニング処理したステンレススチール(SUS)製の釜で、分散液を攪拌するための攪拌羽根としては特に限定はしないが、深さ方向に幅の広い翼形状(平板翼)が有効である。その平板翼としては、住友重機社製商品名マックスブレンド翼や神鋼パンテック社製商品名フルゾーン翼などが有効である。
マックスブレンド翼の構成を図7に概略図、図8に上から見た平面図を示す。また、フルゾーン翼の構成を図9に概略図、図10に上から見た平面図を示す。301は軸で図示しない攪拌モータにつながれている。302は攪拌槽、303は液の水面、304は平面マックスブレンド翼で翼内に305の孔が設けられて、液の攪拌強度の調整の役目をしている。306は平面の長方形翼、その下部に攪拌翼307が設けられ、先端部において約130度程度屈曲されている。308は攪拌翼の長さを示している。
攪拌翼の回転速度は、分散液中の粒子濃度や、目的とする粒径により変動するが、好ましくは0.5〜2.0m/sである。より好ましくは0.7〜1.8m/s、さらに好ましくは1.0〜1.6m/sである。低速になりすぎると生成される粒子の粒径が大きく、かつ粒度分布が広がる傾向にある。高速になりすぎると、粒子の凝集が阻害され、形状が不定形になりやすく、粒子生成ができにくくなる。
コアとシェルの着色粒子が形成された後、任意の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を経て、トナー母体粒子を得ることができる。この洗浄工程においては、帯電性を向上させる観点より、イオン交換水による洗浄を行うのが好ましい。また、酸とアルカリを使用して洗浄する方法も好ましい。
固液分離工程における分離方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、吸引濾過法や加圧濾過法などの公知のろ過方法が好ましく挙げられる。
乾燥工程における乾燥方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、フラッシュジェット乾燥方法、流動乾燥方法、及び振動型流動乾燥方法などの公知の乾燥方法が好ましく挙げられる。
凝集剤としては、水溶性無機塩が選択され、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。イオン交換水等で一定濃度に調整して使用することも好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、他価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤が特に好ましく使用できる。
水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記極性を有する分散剤における前記極性界面活性剤の含有量としては、一概に規定することはできず、目的に応じて適宜選択することができる。
また非イオン界面活性剤と、イオン型界面活性剤とを併用する場合には、極性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(2)ワックス
定着ローラにオイルを使用しないオイルレス定着において、低温定着性、高温非オフセット性、又は定着時に溶融したトナーが載った複写用紙等の転写媒体の加熱ローラ等との分離性改良のため、さらには低温定着、高温耐オフセット性及び高温下での貯蔵安定性の相矛盾する定着特性のマージンを拡大し、その機能性向上のため、ワックスを添加するのが好ましく、さらには複数のワックスを添加することが好ましい。
ワックスは少なくとも、吸熱ピーク温度が50〜90℃のワックスを含む。低温定着実現のため低融点のワックスを使用することが好ましい。好ましくは55〜85℃、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは68〜74℃である。50℃以上とすることで貯蔵安定性を向上させ、90℃以下とすることで低温定着性、カラー光沢性を向上できる。
また、ワックスの好ましい一実施形態として、複数のワックスを添加するのが好ましい。その好ましい第一のワックス形態として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃で、かつ第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が80〜120℃とする。Tmw1は好ましくは55〜85℃、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは、68〜74℃である。Tmw2はより好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。
融点の異なるワックスの使用により、ワックスの機能を分離することで、低温定着及び高温耐オフセット性を両立し定着温度領域の広い特性を得ることができる。
また、前述した特定の分散剤を使用したワックス粒子分散剤により、芯粒子を生成する際、凝集を均一に進行させ、凝集に加わらずに浮遊するワックス粒子や着色剤粒子を低減して、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成に対して効果的である。
Tmw1が50℃未満であると、生成する芯粒子が粗大化しやすく、また貯蔵安定性が悪化する傾向にある。90℃を超えると、低温定着性、カラー光沢性が向上しない傾向にある。
Tmw2が80℃未満であると、高温非オフセット性及び紙の分離性が弱くなる傾向にある。120℃を超えると、ワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加し、形状が不均一になりやすい傾向にある。
また、複数のワックスを使用する形態において、好ましい第ニの形態として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスが、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルワックスを含み、かつ第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含むことが好ましい。
また、複数のワックスを使用する形態において、好ましい第三の形態として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスが、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含み、第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含む。
ワックスとして好ましい第二の形態又は第三の形態において、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))が50〜90℃であり、55〜85℃が好ましく、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは、68〜74℃である。
50℃未満であると、トナーの貯蔵安定性、耐熱性が悪化する傾向にある。90℃を超えるとワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集に加わらない遊離粒子が増加し、また低温定着性、光沢性が向上しない傾向にある。
また、第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が80〜120℃であり、好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。80℃未満であると、貯蔵安定性が悪化、高温非オフセット性及び紙の分離性が弱くなる傾向にある。120℃を超えると、ワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集に加わらない遊離粒子が増加し、また、低温定着性、カラー透光性が阻害される傾向にある。
ワックスとして好ましい第二又は第三の形態において、ワックスとして、特定の脂肪族炭化水素系ワックスを含む第二のワックスとともに、特定のワックスを含む第一のワックスを含むワックスを使用することにより、脂肪族炭化水素系ワックスが芯粒子中に凝集されずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑え、さらにはシェル化する際に芯粒子が急激に粗大化する現象を抑制することができる。
加熱凝集の際、第一のワックスが樹脂と相溶化が進むことで、脂肪族炭化水素系ワックスの樹脂との凝集が助長され、均一に取り込まれ、凝集に加わらずに浮遊する粒子の発生を防止することが出来るものと思われる。さらには、第一のワックスは樹脂と相溶化が一部進むことで、低温定着性がより向上する傾向にある。そして、脂肪族炭化水素系ワックスは樹脂との相溶化は進みにくいため、このワックスは高温オフセット性や紙との分離性を良化する機能を発揮させることが出来る。つまり、この第一のワックスは脂肪族炭化水素系ワックスの乳化分散処理時の分散助剤としての機能、更には低温定着助剤としての機能を有することになる。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、融点の異なるワックス粒子を水系中にて第一の樹脂粒子、着色剤粒子と凝集させて芯粒子を形成する際に、第一のワックス、第二のワックスそれぞれ別々に乳化分散処理した分散液を、樹脂分散液及び着色剤分散液と混合して、加熱凝集させると、ワックスの溶融速度の差から、ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在や、芯粒子の凝集が進まずに粒度分布がブロードになる傾向にある。ワックスがトナー中に均一に取り込まれ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子形成が困難になる傾向にある。また、芯粒子に第二の樹脂を溶融付着させる(以下シェル化と称する場合もある)際に、生成粒子が急激に粗大化する傾向にある。
そこで、ワックス粒子分散液生成において、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化分散処理して作成することが好ましい。乳化分散装置内に第一のワックスと第二のワックスを一定配合比で加熱乳化分散処理する方法である。投入は別々でも同時でもかまわないが、最終的に得られる分散液には、第一のワックスと第二のワックスが混合した状態で含まれていることが好ましい。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、ワックス粒子分散液中のワックス100重量部に対する第一のワックス重量割合をES1、第二のワックスの重量割合をFT2とすると、FT2/ES1が0.2〜10が好ましい。より好ましくは1〜9、更に好ましくは1.5〜3の範囲である。0.2未満、すなわち第一のワックス重量割合が多くなりすぎると、高温非オフセット性の効果が得られず、また貯蔵安定性が悪化する傾向となる。10を超える、すなわち第二のワックス重量割合が多くなりすぎると、低温定着が実現できず、また上記した芯粒子が粗大化しやすい傾向となる。さらにFT2の配合割合をES1に対して1.5倍以上3倍以下とすることは、低温定着性、高温貯蔵安定性及び定着高温非オフセット性の両立できるバランスの良い割合である。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、ワックス、特に脂肪族炭化水素系ワックスを、陰イオン界面活性剤により処理すると分散安定性は向上するが、芯粒子の凝集の際、芯粒子が粗大化してシャープな粒度分布の粒子が得にくい。
そこで、ワックス粒子分散液が、非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤により、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化分散処理して作成することが好ましい。非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤により混合して分散処理して乳化分散液を作成することにより、ワックス自体の凝集が抑制され分散安定性が向上する。そしてこれらのワックスを樹脂、着色剤分散液との凝集粒子作成において、ワックスの遊離がなく、小粒径でかつ狭い粒度分布の芯粒子を形成することができる。
主成分とする界面活性剤は、ワックス粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜100wt%有することが好ましい。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、全ワックス添加量は結着樹脂100重量部に対して、5〜30重量部が好ましい。より好ましくは8〜25重量部、さらに好ましくは10〜20重量部である。5重量部未満であると、低温定着性、高温非オフセット性、紙の分離性の効果が発揮されない傾向となる。30重量部を超えると小粒径の粒子制御が困難になる傾向となる。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、Tmw2が、Tmw1よりも5℃以上50℃以下とするのが好ましい。より好ましくは10℃以上40℃以下、さらに好ましくは、15℃以上35℃以下とする。前記の範囲であれば、複数のワックスの機能を効率よく分離でき、低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離性を両立させる効果がある。前記の差が5℃未満になると低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離不良を両立させる効果が出にくくなる傾向となる。前記差が50℃を超えると、第一のワックスと第二のワックスが相分離し、トナー粒子中に均一に取り込まれにくくなる傾向となる。
好ましい第一のワックスとしては、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルを少なくとも1種含む。このワックスを使用することにより、脂肪族炭化水素系ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑え、さらにはシェル化する際に芯粒子が急激に粗大化する現象を緩和することができる。また低温定着化を進めることが出来る。第二のワックスとの併用により、高温非オフセット性、紙の分離性とともに粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。
アルコール成分としては、メチル、エチル、プロピル又はブチル等のモノアルコールの外、エチレングリコール又はプロピレングリコール等のグリコール類又はその多量体、グリセリン等のトリオール類又はその多量体、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ソルビタン又はコレステロール等が好適である。これらのアルコール成分が多価アルコールである場合の前記高級脂肪酸は、モノ置換体であってもよいし、多価置換体であってもよい。
具体的には、(1)ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、(2)ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、(3)モンタン酸モノエチレングリコールエステル、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリド、モノベヘン酸グリセリド、トリパルミチン酸グリセリド、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジリノレート、ペンタエリスリトールトリオレエート又はペンタエリスリトールテトラステアレート等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル類、若しくは、(4)ジエチレングリコールモノベヘネート、ジエチレングリコールジベヘネート、ジプロピレングリコールモノステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド、ヘキサベヘン酸テトラグリセリド又はデカステアリン酸デカグリセリド等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステル類などが好適に挙げられる。これらのワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール成分及び/又は酸成分の炭素数は16未満であると分散助剤としての機能が発揮しにくく、24を越えると低温定着助剤としての機能が発揮しにくくなる。
また、好ましい第一のワックスとして、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含む。第二のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。ヨウ素価を規定することで、ワックスの分散安定性を向上させる効果が得られ、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一にでき、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子形成を可能とする。好ましくはヨウ素価が20以下、けん化価が30〜200、より好ましくはヨウ素価が10以下、けん化価が30〜150である。
ヨウ素価が25を超えると、逆に分散安定性がよくなりすぎ、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一に行えず、凝集に加わらないワックスの浮遊粒子が増え、粒子の粗大化、ブロードな粒度分布になりやすい傾向となる。浮遊粒子がトナーに残留してしまうと、感光体等のフィルミングを生じさせる。一次転写でのトナー多層転写時にトナーの電荷作用による反発が緩和されにくくなる。けん化価が30未満になると、小粒径の均一な芯粒子形成が困難となり、また感光体フィルミング、トナーの帯電性の悪化を生じ、連続使用時の帯電性の低下を招く傾向となる。けん化価が300を超えると水系中での浮遊物が増大し、またカブリやトナー飛散の増大を招く傾向となる。
ヨウ素価、けん化価を規定したワックスの220℃における加熱減量は8重量%以下であることが好ましい。加熱減量が8重量%を超えると、トナーのガラス転移点を低下させ、トナーの貯蔵安定性を損なう傾向となる。また現像特性に悪影響を与え、カブリや感光体フィルミングを生じさせる傾向となる。生成されるトナーの粒度分布がブロードになってしまう傾向となる。
ヨウ素価、けん化価を規定したワックスのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)における分子量特性、数平均分子量が100〜5000、重量平均分子量が200〜10000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜8、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜10、分子量5×102〜1×104の領域に少なくとも一つの分子量極大ピークを有していることが好ましい。より好ましくは数平均分子量が500〜4500、重量平均分子量が600〜9000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜7、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜9、さらに好ましくは数平均分子量が700〜4000、重量平均分子量が800〜8000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜6、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜8である。
数平均分子量が100未満であり、重量平均分子量が200未満であり、分子量極大ピークが5×102未満であると貯蔵安定性が悪化し、また感光体フィルミングを生じやすくなる傾向となる。生成されるトナーの粒度分布がブロードになりやすい傾向となる。
数平均分子量が5000を超え、重量平均分子量が10000を超え、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が8を超え、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が10を超え、分子量極大ピークが1×104の領域を超えると、低温定着性が低下する傾向となる。ワックスの乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒径を小さくできない傾向となる。
第一のワックスとしては、メドウフォーム油誘導体、カルナウバワックス誘導体、ホホバ油誘導体、木ロウ、ミツロウ、オゾケライト、カルナウバワックス、キャンデリアワックス、セレシンワックス又はライスワックス等の材料も好ましく、またこれらの誘導体も好適に使用される。そして一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
メドウフォーム油誘導体としては、メドウフォーム油脂肪酸、メドウフォーム油脂肪酸の金属塩、メドウフォーム油脂肪酸エステル、水素添加メドウフォーム油又はメドウフォーム油トリエステルも好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散液を作成することができる。オイルレス定着における低温定着性と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
メドウフォーム油をけん化分解して得られるメドウフォーム油脂肪酸は4〜30個の炭素原子を有する脂肪酸からなるものが好ましい。その金属塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、マンガン又はアルミニウムなどの金属塩が使用することが出来る。高温非オフセット性が良好である。
メドウフォーム油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチル、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール又はトリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル又はメドウフォーム油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。低温定着性に効果がある。
水素添加メドウフォーム油はメドウフォーム油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。低温定着性、光沢性を向上できる。さらには、メドウフォーム油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物とを、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)等のイソシアネートで架橋して得られるメドウフォーム油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ホホバ油誘導体としては、ホホバ油脂肪酸、ホホバ油脂肪酸の金属塩、ホホバ油脂肪酸エステル、水素添加ホホバ油、ホホバ油トリエステル、エポキシ化ホホバ油のマレイン酸誘導体、ホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物、ハロゲン化変性ホホバ油も好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散液を作成することができる。樹脂とワックスの均一混合分散が行いやすい。オイルレス定着における低温定着性と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
ホホバ油をけん化分解して得られるホホバ油脂肪酸は4〜30個の炭素原子を有する脂肪酸からなる。その金属塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛又はアルミニウムなどの金属塩が使用することが出来る。高温非オフセット性が良好である。
ホホバ油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチル、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、ホホバ油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。低温定着性に効果がある。
水素添加ホホバ油はホホバ油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。低温定着性、光沢性を向上できる。さらには、ホホバ油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物を、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジシソシアネート(MDI)、等のイソシアネートで架橋して得られるホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ケン化価は、試料1gをけん化するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。ワックスの場合、そのエステル結合を切断するために必要なアルカリ量がケン化価であり、ケン化価が高いワックスは、エステル結合の数が多いことを意味し、低い場合は、不ケン化物、炭化水素などの存在が多いことが考えられる。ケン化価値を測定するには約0.5Nの水酸化カリウムのアルコール溶液中で試料をケン化する。
ヨウ素価は試料にハロゲンを作用させたときに、吸収されるハロゲンの量をヨウ素に換算し、試料100gに対するg数で表したものをいう。吸収されるヨウ素のグラム数であり、この値が大きいほど試料中の脂肪酸の不飽和度が高いことを示す。試料のクロロホルム又は四塩化炭素溶液にヨウ素と塩化水銀(II)のアルコール溶液又は塩化ヨウ素の氷酢酸溶液を加えて、放置後反応しないで残ったヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定して吸収ヨウ素量を算出する。
加熱減量の測定は試料セルの重量を0.1mgまで精秤(W1mg)し、これに試料10〜15mgを入れ、0.1mgまで精秤する(W2mg)。試料セルを示差熱天秤にセットし、秤量感度を5mgにして測定開始する。測定後、チャートにより試料温度が220℃になった時点での重量減を0.1mgまで読み取る(W3mg)。装置は、真空理工製TGD−3000、昇温速度は10℃/min、最高温度は220℃、保持時間は1minで、加熱減量(%)=W3/(W2−W1)×100、で求められる。
ワックスの示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピーク温度(融点℃)、オンセット温度の測定は、TAインスツルメンツ社製、Q100型(冷却には純正の電気冷凍機を使用)を使用し、測定モードを「標準」、パージガス(N2)流量を50ml/minで、電源投入後、測定セル内の温度を30℃に設定し、その状態で1時間放置した後,純正のアルミパンに被測定試料をサンプル量として10mg±2mg入れ、試料が入ったアルミパンを測定機器内に投入した。その後5℃で5min間保持し、昇温速度1℃/minで150℃まで昇温した。解析は、装置に付属の"Universal Analysis Version 4.0"を使用した。グラフにおいて、横軸に槽内温度、縦軸にヒートフローを取り、ベースラインから吸熱曲線が立ち上がり始める温度をオンセット温度、吸熱曲線のピーク値を吸熱ピーク温度(融点)とした。
また、第一のワックスとして前述したワックスに代わって、又は併用してヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルの材料も好ましく、一種類又は二種類以上組合せての使用も有効である。均一な乳化分散の小粒径芯粒子の作成が可能となり、第二のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体としては、12−ヒドロキシステアリン酸メチル、12−ヒドロキシステアリン酸ブチル、プロピレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアラート又はエチレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温定着性、紙の分離性改良効果と、感光体フィルミング防止効果がある。
グリセリン脂肪酸エステルとしてはグリセリンステアラート、グリセリンジステアラート、グリセリントリステアラート、グリセリンモノパルミタート、グリセリンジパルミタート、グリセリントリパルミタート、グリセリンベヘナート、グリセリンジベヘナート、グリセリントリベヘナート、グリセリンモノミリスタート、グリセリンジミリスタート又はグリセリントリミリスタート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温時のコールドオフセット性緩和と、転写性低下防止効果がある。
グリコール脂肪酸エステルとしては、プロピレングリコールモノパルミタート若しくはプロピレングリコールモノステアラート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、又はエチレングリコールモノステアラート若しくはエチレングリコールモノパルミタート等のエチレングリコール脂肪酸エステルが好適な材料である。低温定着性、現像での滑りを良くしキャリアスペント防止の効果がある。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタントリパルミタート又はソルビタントリステアラートが好適な材料である。さらには、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、アジピン酸とステアリン酸又はオレイン酸の混合エステル類等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。オイルレス定着における紙の分離性改良効果と、感光体フィルミング防止効果がある。
第二のワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス又はフィッシャートトプッシュワックス等の脂肪酸炭化水素系ワックスが好適に使用できる。
また、ワックスを混合凝集時に脱離浮遊させず、均一に樹脂中に内包化するためには、ワックスの分散粒度分布、ワックスの組成、ワックスの溶融特性も影響される。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水系媒体中にワックスをイオン交換水中で加熱し、溶融させ分散させることにより調製される。
ワックスの分散粒子径は小粒径側から積算したときの体積粒径積算分布において16%径(PR16)が20〜200nm、50%径(PR50)が40〜300nm、84%径(PR84)が400nm以下、PR84/PR16が1.2〜2.0の大きさにまで乳化分散し、200nm以下の粒子が65体積%以上、500nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
好ましくは、16%径(PR16)が20〜100nm、50%径(PR50)が40〜160nm、84%径(PR84)が260nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。150nm以下の粒子が65体積%以上、400nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、16%径(PR16)が20〜60nm、50%径(PR50)が40〜120nm、84%径(PR84)が220nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。130nm以下の粒子が65体積%以上、300nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
樹脂粒子分散液と着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合凝集して芯粒子を形成するとき、50%径(PR50)が40〜300nmと微細分散とすることにより、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれやすくワックス自体同士での凝集を防止でき、分散が均一に行える。樹脂粒子に取り込まれ水中に浮遊する粒子をなくすことができる。
さらに芯粒子を水系中で加熱して溶融した芯粒子を得る際に、表面張力の関係から溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を取り囲み、包含する形となり、樹脂中に離型剤が内包されやすくなる。
PR16が200nmを超え、50%径(PR50)が300nmを超え、PR84が400nmを超え、PR84/PR16が2.0を超え、200nm以下の粒子が65体積%未満、500nmを越える粒子が10体積%を超えると、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれにくくワックス自体同士のみでの凝集が多発する傾向となる。また、芯粒子に取り込まれず、水中に浮遊する粒子が増大する傾向にある。芯粒子を水系中で加熱して溶融した芯粒子を得る際に、溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を包含する形となりにくく、樹脂中にワックスが内包されにくくなる。さらに樹脂を付着融合させる際にトナー母体表面に露出遊離するワックス量が多くなり、感光体へのフィルミング、キャリアへのスペントの増加、現像でのハンドリング性が低下し、また現像メモリーが発生しやすくなる。
PR16が20nm未満であり、50%径(PR50)が40nm未満であり、PR84/PR16が1.2未満であると、分散状態を維持しづらく、放置時にワックスの再凝集が発生し、粒度分布の放置安定性が低下する傾向となる。また分散時に負荷が大きくなり、発熱が大きくなり、生産性が低下する傾向となる。
ワックスの融点以上の温度に保持された分散剤を添加した媒体中に、前記ワックスをワックス濃度40wt%以下で溶融させたワックス溶融液を、固定体と一定のギャップを介して高速回転する回転体により生じる高せん断力作用により乳化分散させることにより、ワックス粒子を微細に分散できる。
図3、4に示す一定容量の槽内の槽壁に、0.1mm〜10mm程度のギャップを設けて、回転体を30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上の高速で回転することにより、水系に強力なずりせん断力が作用し、微細な粒径の乳化分散液が得られる。水温度はワックスの融点以上に加熱する。処理時間は30s〜5min程度の処理で分散液が形成できる。
また図5、6に示すような固定した固定体に対し、1〜100μm程度のギャップを設けて30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上で回転する回転体との強いせん断力作用を付加することにより、微細な分散液を作成することができる。
ホモジナイザーのような分散機よりも微細な粒子の粒度分布をより狭小化シャープに形成できる。また長時間の放置でも分散液を形成した微粒子が再凝集することなく、安定した分散状態を保つことができ、粒度分布の放置安定性が向上する。
ワックスの融点が95℃以上の高い場合は、高圧状態とすることで加熱温度をワックスの融点以上とすることにより溶融した液を作成する。又はワックスを油性溶剤に溶解させる。この溶液を図3〜6に示した分散機を用いて界面活性剤や高分子電解質と共に水中で微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより得られる。
粒度測定は堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)、島津製作所レーザ回折粒度測定器(SALD2100)などを用いて測定することができる。
(3)樹脂
本実施形態のトナーの樹脂微粒子としては、例えば熱可塑性結着樹脂が挙げられる。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する不飽和多価カルボン酸系単量体などの単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物等を挙げることができる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビスー4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、や過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
樹脂粒子分散液における前記樹脂粒子の含有量としては、通常5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。
ワックス、着色剤との凝集反応により凝集粒子(芯粒子と称することもある)生成において浮遊粒子の存在をなくし、シャープな粒度分布の粒子を形成するために、芯粒子を構成する第一の樹脂粒子のガラス転移点は45℃〜60℃、軟化点は90℃〜140℃が好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が45℃〜55℃、軟化点が90℃〜135℃、さらに好ましくは、ガラス転移点が45℃〜52℃、軟化点が90℃〜130℃であるのが好ましい。
また、第一の樹脂粒子の好ましい例として、重量平均分子量(Mw)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜6であるのが好ましい。好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜5万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3.9であるのが好ましい。さらに好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜3万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3であるのが好ましい。
第一の樹脂粒子,ワックスを含むことにより、芯粒子の粗大化を防ぎ、狭い粒度分布の粒子を効率よく生成することができる。また、低温定着性を可能とし、さらに画像光沢度の定着温度に対する変化を少なくし、画像光沢を一定に出来る効果がある。通常は定着温度上昇すると画像の光沢度が上昇するため、定着の温度変動により画像の光沢が変動して定着の温度制御をシビアにする必要があった。しかし本発明方法により定着温度の変動によっても画像光沢性の変動が少ない効果が得られる。
第一の樹脂粒子のガラス転移点が45℃未満であると、芯粒子が粗大化し、貯蔵安定性や耐熱性が低下する。60℃を超えると、低温定着性が悪化する。Mwが1万未満であると、芯粒子が粗大化し、貯蔵安定性や耐熱性が低下する。6万を超えると低温定着性が悪化する。Mw/Mnが6を超えると、芯粒子の形状が安定せず、不定形になりやすく、粒子表面に凹凸が残り、表面平滑性の劣るものとなる。
また、芯粒子に第二の樹脂粒子を芯粒子に融着して樹脂融着層を形成するのも好ましく、その樹脂として、ガラス転移点が55℃〜75℃、軟化点が140℃〜180℃、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された重量平均分子量(Mw)が5万〜50万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10であるのが好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が60℃〜70℃、軟化点が145℃〜180℃、Mwが8万〜50万、Mw/Mnが2〜7であるのが好ましい。さらに好ましくは、ガラス転移点が65℃〜70℃、軟化点が150℃〜180℃、Mwが12万〜50万、Mw/Mnが2〜5であるのが好ましい。
芯粒子表面の熱融着を促進し、軟化点を高め設定とすることにより、耐久性、耐高温オフセット性、分離性を向上させることができる。第二の樹脂粒子のガラス転移点が55℃よりも低いと二次凝集を生じやすい。また貯蔵安定性が悪化する。75℃よりも高いと、芯粒子表面への熱融着性が悪化し、均一付着性が低下する。第二の樹脂粒子の軟化点が140℃未満であると耐久性、耐高温オフセット性、分離性が低下する。180℃を超えると、光沢性、透光性が低下する。Mw/Mnを小さくして分子量分布を単分散に近づけることにより、芯粒子表面への第二の樹脂粒子の熱融着が均一に行うことが出来きる。第二の樹脂粒子のMwが5万未満であると、耐久性、高温非オフセット性、紙分離性が低下する。50万を超えると、低温定着性、光沢性、透光性が低下する。
また、第一の樹脂粒子はトナー全樹脂に対して60wt%以上であることが好ましく、より好ましくは70wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上が好ましい。
ポリマー分散剤、樹脂、ワックス及びトナーの分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
装置は、東ソー社製HLC8120GPCシリーズ、カラムはTSKgel superHM−H H4000/H3000/H2000(6.0mmI.D.−150mm×3)、溶離液THF(テトラヒドロフラン)、流量0.6mL/min、試料濃度0.1%、注入量20μL、検出器RI、測定温度40℃、測定前処理は試料をTHFに溶解後一晩放置後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、シリカ等の添加剤を除去した樹脂成分を測定する。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
また長鎖アルキルアルコール、不飽和多価カルボン酸又はその無水物及び合成炭化水素系ワックスとの反応により得られるワックスの測定は、装置はWATERS製GPC−150C、カラムはShodex HT−806M(8.0mmI.D.−30cm×2)、溶離液はo−ジクロロベンゼン、流量は1.0mL/min、試料濃度は0.3%、注入量は200μL、検出器はRI、測定温度は130℃、測定前処理は試料を溶媒に溶解後0.5μmの金属焼結フィルターでろ過処理した。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
ポリマー分散剤、結着樹脂の軟化点は、島津製作所の定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタ(CFT500)により測定する。まず、試料をシリンダに充てんし、周囲から熱して溶融させ、上部からピストンによって一定の圧力を加える。溶融した試料は細い穴(直径1mm、長さ1mm)を持ったダイを通して押し出され、フローレート(cm3/g)から試料の流動性、すなわち溶融粘度が求められる。
次に、シリンダ、ダイを取り囲む加熱炉を設け、50℃に設定する。1gの試料をシリンダに充てんする。荷重をかけずに50℃で2.5min保持する。試料中の空気を抜くために荷重をかける。このとき加熱炉から出ているピストンの長さが12〜15mm程度になるようにする。総保持時間が5minになったら昇温を開始する。
ピストンに9.8×105N/m2の荷重を与え、昇温速度6℃/分で加熱する。試料が溶融を始めるとピストンの下方への移動が始まる。ピストンの移動が停止した時点で昇温、および加圧を停止する。
このとき、下降するピストンの移動量と温度との関係において、昇温温度特性との関係から、各温度における粘度を測定することができる。
図11に流動曲線を示す。横軸に温度、縦軸に押し出されるピストンの移動量のイメージを示す。Aの時点では試料の固体状態の領域であり、その後の昇温ともに、AからBは遷移域で、試料が圧縮荷重を受けて変形し、内部空隙が次第に減少していく段階である。Bは内部空隙が消失し、不均一な応力の分布を持ったまま外観上均一な1個の透明体となる温度である。
BからCは、有限な時間内ではピストンの位置に明瞭な変化はなく、かつ試料のダイからの流出は認めがたい領域で、この領域は試料のゴム状弾性域を含む。
Cは、試料が流動を開始し始め、ピストンが降下しはじめる温度で、試料が流れ出す温度(流出開始温度(Tfb))と定義する。
CからDを経てEにいたる領域は、試料が明らかにダイより流出する流動領域で、Eが試料の流出が終了した点である。
結着樹脂の軟化点は、1/2法における溶融温度(軟化点Ts℃)で定義する。具体的には流出開始温度から流出終了温度までのピストンの総移動距離に対し、流出開始温度からピストンが50%移動した時点での温度を軟化点と定義する。
図11に示す昇温温度とピストン移動量と関係において、まずピストンが降下しはじめる温度(試料が流れ出す温度)を測定する。これが流出開始温度(Tfb)である。このときのピストン位置を読み取り、それを最低値(Smin)とする。
その後、昇温とともに、試料がダイから流出しつづけ、試料の流出が終了した流出終了点Eでの温度と、ピストンの位置を読み取り、それを流出終了点(Smax)とする。流出終了点(Smax)と、最低値(Smin)の差の1/2を求め(X=(Smax−Smin)/2)、Xと曲線の最低値Sminを加えた点Dの位置における温度を算出する。これが1/2法における溶融温度(軟化点Ts℃)となる。
ポリマー分散剤、結着樹脂のガラス転移点は示差走査熱量計(TAインスツルメンツ社製、Q100型(冷却には純正の電気冷凍機を使用))を使用し、測定モードを「標準」、パージガス(N2)流量を50ml/minで、電源投入後、測定セル内の温度を30℃に設定し、その状態で1時間放置した後,純正のアルミパンに被測定試料をサンプル量として10mg±2mg入れ、試料が入ったアルミパンを測定機器内に投入した。その後5℃で5min間保持し、昇温速度1℃/minで150℃まで昇温した。解析は、装置に付属の"Universal Analysis Version 4.0"を使用した。グラフにおいて、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立上り部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を言う。
これらの樹脂の熱特性の測定においては、乳化重合で得られたエマルジョンから樹脂粒子の固形分を抽出する必要がある。このエマルジョンから樹脂粒子の固形分を抽出する方法としては、トナーの凝集工程に沿った方法で行う。まず、乳液20gに対し1N NaOHを2ml添加し、硫酸マグネシウム6gとイオン交換水20gを添加した後、85℃に昇温して、1時間加熱する。そのあと冷却し,1N HClを0.5ml添加し、濾過し、沈殿したサンプルを乾燥し、得られたポリマーの分子量、軟化点、ガラス転移点等の測定をする。
(4)顔料
本実施形態に使用される着色剤(顔料)の黒顔料としては、カーボンブラックを使用する。前述したようにカーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)は45〜70が好ましい。例えば、三菱化学社製の#52(粒径27nm,DBP吸油量63ml/100g),#50(同28nm,同65ml/100g),#47(同23nm,同64ml/100g),#45(同24nm,同53ml/100g)、#45L(同24nm,同45ml/100g)、キャボット社製のREGAL250R(同35nm、同46ml/100g)、REGAL330R(同25nm、同65ml/100g)、MOGULL(同24nm、同60ml/100g)がこのましい材料である。より好ましくは#45、#45、LREGAL250Rである。DBP吸油量は粒子の鎖状集合状態(ストラクチャー)を定量的に表したもので、化学的結合による一次ストラクチャーと、ファンデルワールス力による物理的結合の2次的ストラクチャーから表される。
DBP吸油量の測定(JISK6217)は、150℃±1℃で1時間乾燥した試料20g(Ag)をアブソープトメータ(Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを最大トルクの約70%に設定した後、混合機を回転する。同時に自動ビューレットからDBP(比重1.045〜1.050g/cm3)を4ml/minの割合で添加する。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それまでに添加したDBP量(Bml)と試料重量から試料100gあたりのDBP吸油量(=Bx100/A)(ml/100g)が求められる。
また、カラートナーとして使用する顔料の例としては、イエロー顔料は、C.I.ピグメント・イエロー1,3,74,97又は98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12,13,14,17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ソルベンイエロー19,77,79又はC.I.ディスパース・イエロー164が配合され、特に好ましくはC.I.ピグメント・イエロー93,180,185のベンズイミダゾロン系顔料が好適である。
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメント・レッド48,49:1,53:1,57,57:1,81,122,5等の赤色顔料、C.I.ソルベント・レッド49,52,58,8等の赤色染料が好ましく使用できる。
シアン顔料としては、C.I.ピグネント・ブルー15:3等のフタロシアニン及びその誘導体の青色染顔料が好ましく使用できる。添加量は結着樹脂100重量部に対し、3〜8重量部が好ましい。
なお、粒径はSEM電子顕微鏡による算術平均径を取っている。カーボンブラックの粒子径は20〜40nmのもが好ましい。好ましくは粒子径は20〜35nmである。粒子径が40nmを超えると、着色力が低下する傾向となる。粒子径が20nm未満であると、液中での分散が困難になる傾向となる。
(5)外添剤
本実施形態では外添剤として無機微粉末が混合添加される。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物微粉末、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる。外添剤は必要に応じて疎水化処理される。
外添剤に処理されるシリコーンオイル系の材料としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル及びクロルフェニル変成シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理される外添剤が好適に使用される。例えば東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823又はBY16―855B等が挙げられる。
処理は外添剤とシリコーンオイル等の材料とをヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)などの混合機により混合する方法や、外添剤へシリコーンオイル系の材料を噴霧する方法、溶剤にシリコーンオイル系の材料を溶解或いは分散させた後、外添剤と混合した後、溶剤を除去して作成する方法等がある。外添剤100重量部に対して、シリコーンオイル系の材料は1〜20重量部配合されるのが好ましい。
シランカップリング剤としては、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルクロルシラン又はジメチルビニルクロルシラン等が好適に使用できる。シランカップリング剤処理は、外添剤を攪拌等によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理、又は外添剤を溶媒中に分散させたシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法等により処理される。
またシランカップリング処理した後にシリコーンオイル系の材料を処理することも好ましい。
正極帯電性を有する外添剤はアミノシラン、アミノ変性シリコーンオイル又はエポキシ変性シリコーンオイルで処理される。
また、疎水性処理を高めるため、ヘキサメチルジシラザンやジメチルジクロロシラン、他のシリコーンオイルによる処理の併用も好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル又はアルキル変性シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理することが好ましい。
また、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸及び脂肪酸金属塩の群より選ばれた1種又は2種以上(以下脂肪酸等)により外添剤の表面を処理することも好ましい。表面処理したシリカ又は酸化チタン微粉末がより好ましい。
脂肪酸又は脂肪酸金属塩としては、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラクセル酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸又はリノール酸等が挙げられる。中でも炭素数12〜22の脂肪酸が好ましい。
また脂肪酸金属塩を構成する金属としては、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、鉛又はバリウムが挙げられ、中でもアルミニウム、亜鉛又はナトリウムが好ましい。特に好ましくはジステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C1735COO)2)、又はモノステアリン酸アルミニウム(Al(OH)2(C1735COO))、等のジ脂肪酸アルミニウム、モノ脂肪酸アルミニウムが好ましい。OH基を有することが過帯電を防止し、転写不良を抑えることができる。また処理時に外添剤との処理性が向上するものと考えられる。
脂肪族アミドとしては、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド、エイコセン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド又はリグリノセリン酸アミド等の炭素数16〜24を有する飽和または1価の不飽和の脂肪族アミドが好ましく用いられる。
脂肪酸エステルとしては例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、若しくは脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、又は脂肪酸トリメチロールプロパンエステル等が好ましく用いられる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
表面処理の好ましい形態としては、処理される外添剤の表面をカップリング剤及び/又はシリコーンオイル等のポリシロキサンにて処理を施した後に脂肪酸等により処理を施すことも好ましい。単に親水性シリカの脂肪酸を処理する場合よりも均一な処理が可能となり、トナーの高帯電化を図れることと、トナーに添加したときの流動性が向上する効果があるためである。またカップリング剤及び/又はシリコーンオイルとともに脂肪酸等を処理して上記効果を奏する。
脂肪酸等をトルエン、キシレン又はヘキサン等の炭化水素系有機溶剤に溶解し、それとシリカ、酸化チタン、アルミナ等の外添剤とを分散機にかけ湿式混合して処理剤により、外添剤の表面に付着させて、表面処理を施し、その後に溶剤を溜去して乾燥処理を行うことにより生成される。
ポリシロキサンと脂肪酸等との混合割合が1:2〜20:1であることが好ましい。割合が1:2よりも脂肪酸等が多くなると、外添剤の帯電量が高くなり、画像濃度の低下、二成分現像においてはチャージアップが発生しやすくなる傾向となる。20:1よりも脂肪酸等が少なくなると、転写における中抜け、逆転写性への効果が低下する傾向となる。
このとき脂肪酸等を表面処理した外添剤の強熱減量は1.5〜25重量%であることが好ましい。より好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは8〜20重量%である。1.5重量%より少ないと、処理剤の機能が十分に発揮されず、帯電性、転写性向上の効果が現れない。25重量%よりも多いと未処理剤が存在し、現像性や耐久性に悪影響を与える。
本発明により生成されたトナー母体粒子表面は従来の粉砕方式と異なり、略樹脂のみで形成されているため、帯電の均一性という面からは有利であるが、帯電付与性、或いは帯電保持性に関して使用する外添剤との相性が重要となるためである。
平均粒子径が6nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し1〜6重量部外添処理するのが好ましい。平均粒子径が6nm未満であると、浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い傾向となる。転写時の逆転写が発生し易い傾向となる。200nmを超えると、トナーの流動性が悪化する傾向となる。1重量部よりも少ないとトナーの流動性が悪化する傾向となる。転写時の逆転写は発生し易い傾向となる。6重量部よりも多いと浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い傾向となる。
また、平均粒子径が6nm〜20nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部と、20nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部とを少なくとも外添処理するのも好ましい。これにより機能分離した外添剤の使用で、帯電付与性、帯電保持性が向上する、転写時の逆転写、中抜け、トナー飛散に対しよりマージンが取れる。このとき平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量が0.5〜20重量%、平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5〜25重量%であることが好ましい。平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量を、平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量よりも多くすることにより、帯電保持性がとともに転写時の逆転写、中抜けに効果が発揮される。
外添剤の強熱減量を特定することにより、転写時の逆転写、中抜け、飛散りに対しよりマージンが取れる。現像器内でのハンドリング性を向上させトナー濃度の均一性を上げることが出きる。
平均粒子径が6nm〜20nmの強熱減量が0.5重量%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる傾向となる。20重量%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる傾向となる。好ましくは強熱減量が1.5〜17重量%、より好ましくは4〜10重量%である。
平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5重量%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる傾向となる。25重量%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる傾向となる。好ましくは強熱減量が2.5〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
また、平均粒子径が6nm〜20nm、強熱減量が0.5〜20重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2重量部と、平均粒子径が20nm〜100nm、強熱減量が1.5〜25重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部、平均粒子径が100nm〜200nm、強熱減量が0.1〜10重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部とを少なくとも外添処理するのも好ましい。この平均粒子径と強熱減量を特定した機能分離した外添剤により帯電付与性、帯電保持性の向上、転写時の逆転写、中抜けの改善とともに、キャリアの表面への付着物の除去に効果が得られる。
さらには、平均粒子径6nm〜200nm、強熱減量が0.5〜25重量%である正帯電性を有する外添剤をさらにトナー母体粒子100重量部に対し0.2〜1.5重量部を外添処理するのも好ましい。
正帯電性を有する外添剤を添加する効果は、トナーが長期連続使用の際に過帯電になることを抑え、より現像剤寿命を延ばすことが可能となる。さらには過帯電による転写時の飛散りを抑える効果も得られる。またキャリアへのスペントを防止できる。0.2重量部よりも少ないとその効果が得にくい。1.5重量部よりも多くなると、現像でのかぶりが増大する。強熱減量は好ましくは1.5〜20重量%、より好ましくは5〜19重量%である。
平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)、倍率1000倍にて拡大写真をとり、約100個の粒子の長軸と短軸の平均値を求めた値である。
乾燥減量(重量%)は、予め乾燥、放冷、精秤した容器に試料約1gを取り、精秤する。熱風乾燥器(105℃±1℃)で2時間乾燥する。デシケータ中で30分間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
乾燥減量(重量%)=[乾燥による減量(g)/試料量(g)]×100
強熱減量は、予め乾燥、放冷、精秤した磁性ルツボに試料約1gを取り、精秤する。500℃に設定した電気炉中で2時間強熱する。デシケータ中で1時間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
強熱減量(重量%)=[強熱による減量(g)/試料量(g)]×100
また処理された外添剤の水分吸着量が1重量%以下であることが好ましい。好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下である。1重量%より多いと、帯電性の低下、耐久時の感光体へのフィルミングを生じる。水分吸着量の測定は、水吸着装置については、連続蒸気吸着装置(BELSORP18:日本ベル株式会社)にて測定した。
疎水化度の測定は、メタノール滴定により測定し、250mlのビーカー中に装入した蒸留水50mlに試験すべき生成物0.2gを秤取する。先端に、液体中に浸威しているビュレットからメタノールを外添剤の総量がぬれるまで滴下する。その際不断に電磁攪拌機でゆっくりと攪拌する。完全に濡らすために必須なメタノール量a(ml)から次式により疎水化度が算出される。
疎水化度=(a/(50+a))×100(%)
(6)トナーの粉体物性
本実施形態では、結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母体粒子の体積平均粒径が3〜6μm、体積基準の変動係数が10〜25%、個数基準分布における2.0〜3.63μmの粒径を有するトナー粒子の含有量が10〜85個数%、体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子が25〜75体積%、体積基準分布における6.06μm以上の粒径を有するトナー粒子が5体積%以下で含有し、体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子の体積%をV34とし、個数基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子の個数%をP34としたとき、P34/V34が0.4〜2.2の範囲にあることが好ましい。
より好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜5μm、体積基準の変動係数が10〜20%、個数基準分布における2.0〜3.63μmの粒径を有するトナー粒子の含有量が15〜85個数%、体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子が30〜65体積%、体積基準分布における6.06μm以上の粒径を有するトナー粒子が2体積%以下で含有し、P34/V34が0.5〜1.5の範囲にある。
さらに好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜5μm、体積基準の変動係数が10〜16%、個数基準分布における2.0〜3.63μmの粒径を有するトナー粒子の含有量が25〜85個数%、体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子が40〜60体積%、体積基準分布における6.06μm以上の粒径を有するトナー粒子が0.5体積%以下で含有し、P34/V34が0.5〜0.9の範囲にある。
高解像度画質、さらにはタンデムにおいて転写時の逆転写の防止、中抜けを防止し、オイルレス定着との両立を図ることを可能とできる。トナーの粒度分布はトナーの流動性、画質、貯蔵安定性、感光体や現像ローラ、転写体ヘのフィルミング、経時特性、転写性、特にタンデム方式での多層転写性に影響する。さらにはオイルレス定着での高温非オフセット性、光沢性に影響する。オイルレス定着実現のためにワックスを配合したトナーにおいて、タンデム転写性との両立において微粉量が影響する。
体積平均粒径が6μmを超えると画質と転写の両立が図れない。体積平均粒径が3μm未満であると現像でのトナー粒子のハンドリング性が困難となる傾向となる。
個数基準分布における2.0〜3.63μmの粒径を有するトナー粒子の含有量が10個数%未満になると、画質と転写の両立が図れない傾向となる。85個数%を超えると、現像でのトナー母体粒子のハンドリング性が困難となる傾向となる。また感光体、現像ローラ、転写体へのフィルミングが発生する場合がある。さらに微粉は熱ローラとの付着性も大きいため高温オフセットしやすい傾向にある。またタンデム方式において、トナーの凝集が強くなりやすく、多層転写時に2色目の転写不良を生じ易くなる傾向となる。
体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子が25体積%未満になると、画質の低下が生じる傾向となる。75体積%を超えると、画質と転写の両立が図れない傾向となる。
体積基準分布における6.06μm以上の粒径を有するトナー粒子が5体積%を越えて含有すると、画質の低下が生じ、転写不良の原因となる傾向となる。
P34/V34が0.4未満であると、微粉存在量が過多になり、流動性の低下、転写性の悪化、地カブリが悪化する傾向となる。2.2を超えると、大きい粒子が多く存在しかつ粒度分布がブロードになり、高画質化を図ることが出来ない傾向となる。
P34/V34を規定する目的は、トナー粒子を小粒径にして、かつその粒度分布を狭くするための指標とできるものである。
変動係数とはトナーの粒径における標準偏差を平均粒径で割ったものである。コールターカウンタ(コールター社)を使用して測定した粒子径をもとにしたものである。標準偏差は、n個の粒子系の測定を行なった時の、各測定値の平均値からの差の2乗を(n−1)で割った値の平方根であらわされる。
つまり変動係数とは粒度分布の広がり具合を表したもので、体積粒径分布の変動係数が10%未満、又は個数粒径分布の変動係数が10%未満になると、生産的に困難であり、コストアップの要因となる。体積粒径分布の変動係数が25%を超えるか、又は個数粒径分布の変動係数が28%を超えると、粒度分布がブロードとなり、トナーの凝集性が強くなり、感光体へのフィルミングや転写不良を生じる傾向となる。
また、トナーの形状指数としては1.25〜1.55が好ましく、より好ましくは1.33〜1.46、さらに好ましくは1.35〜1.42である。球形が進行するゴムブレードによるクリーニング性が低下し、不定形が進行すると転写性の低下となる傾向になる。
また、トナー母体粒子の形状指数をSC、体積平均粒径をd50(μm)とすると、SCとd50の積(SC×d50)が3.9〜7.3であることが好ましい。好ましくは4.0〜6.6、より好ましくは4.1〜5.7である。
この数値を規定することにより、粒子が小粒径にシフトしたとき形状の球形化が進行するとゴムブレードによるクリーニング性が悪化しやすい。また粒子が大粒径にシフトしたとき形状が不定形に進行すると転写性の低下や画質の低下を生じる傾向となる場合があり、小粒径粒子の場合には形状を不定形にシフトさせてクリーニング性を維持させ、大粒径粒子の場合には形状を球形にシフトさせて画質の維持を図るために、SCとd50の積を一定範囲としたものである。3.9未満であると、クリーニング性が悪化しやすい傾向となる。7.3を超えると、画質の低下を生じやすい傾向となる。
粒度分布測定は、コールターカウンタTA−II型(コールターカウンタ社)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続して測定する。電解液は濃度1重量%となるよう界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を加えたもの50ml程度に被測定トナーを2mg程度加え、試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約3分間分散処理を行い、コールターカウンタTA−II型にてアパーチャー70μmのアパーチャーを用いた。70μmのアパーチャー系では、粒度分布測定範囲は1.26μm〜50.8μmであるが、2.0μm未満の領域は外来ノイズ等の影響で測定精度や測定の再現性が低いため実用的ではない。よって測定領域を2.0μm〜50.8μmとした。
形状指数はキーエンス社製のリアルサーフェイスビュー顕微鏡(VE7800)を使用し、1000倍に拡大したトナー母体粒子100個程度を取込み、最大長及び投影面積を測定し、下記の式にて求めた(d:トナー粒子の最大長、A:トナー粒子の投影面積)。
SC(形状係数)=π・d2/(4・A)
なお、形状指数について、図28を用いて説明する。図28のBはトナー粒子の最大長dを直径とする真円であり、真円Bの面積は、π・(d/2)2である。図28のAはトナー粒子の投影面積である。形状指数はB/Aで表わされるから、B/A=π・(d/2)2/Aであり、これを整理するとπ・d2/(4・A)となる。
(7)オイルレスカラー定着
本実施形態では、トナーを定着する手段にオイルを使用しないオイルレス定着の定着プロセスを具備する電子写真装置に好適に使用される。その加熱手段としては電磁誘導加熱がウオームアップ時間の短縮、省エネの観点から好ましい。磁場発生手段と、電磁誘導により発生する発熱層及び離型層を少なくとも有する回転加熱部材と、該回転加熱部材と一定のニップを形成している回転加圧部材とを少なくとも有する加熱加圧手段を使用して、回転加熱部材と回転加圧部材間にトナーが転写された複写紙等の転写媒体を通過させ、定着させるのである。その特徴として、回転加熱部材のウオームアップ時間が従来のハロゲンランプを使用している場合に比べて、非常に早い立ち上がり性を示す。そのため回転加圧部材が十分に昇温していない状態で複写の動作に入るため、低温定着と広範囲な耐オフセット性が要求される。
加熱部材と定着部材を分離した定着ベルトを使用した装置も好ましく使用される。そのベルトとしては耐熱性と変形自在性とを有するニッケル電鋳ベルトやポリイミドベルトの耐熱ベルトが好適に用いられる。離形性を向上するために表面層としてシリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂を用いるのが好ましい。
これらの定着においては、従来は離型オイルを塗布してオフセットを防止してきた。オイルを使用せずに離型性を有するトナーにより、離型オイルを塗布する必要はなくなった。しかし、離型オイルを塗布しないと帯電しやすく、未定着のトナー像が加熱部材又は定着部材と近接すると帯電の影響により、トナー飛びが生じる場合がある。特に低温低湿下において発生しやすい。
そこで、本実施形態のトナーの使用により、オイルを使用せずとも低温定着と広範囲な耐オフセット性を実現でき、カラー高透光性を得ることができる。またトナーの過帯電性を抑制でき加熱部材又は定着部材との帯電作用によるトナーの飛びを抑えられる。
(8)タンデムカラープロセス
高速にカラー画像を形成するために、本実施形態では、感光体と帯電手段とトナー担持体を含むトナー像形成ステーションを複数個有し、像担持体上に形成した静電潜像を顕像化したトナー像を、前記像担持体に無端状の転写体を当接させて前記転写体に転写させる一次転写プロセスが順次連続して実行して、前記転写体に多層の転写トナー画像を形成し、その後前記転写体に形成した多層のトナー像を、一括して紙やOHP等の転写媒体に一括転写させる二次転写プロセスが実行される転写プロセスにおいて、第1の一次転写位置から第2の一次転写位置までの距離をd1(mm)、感光体の周速度をv(mm/s)とした場合、d1/v≦0.65となる転写位置を取り、マシンの小型化と印字速度の両立を図るものである。毎分20枚(A4)以上処理でき、かつマシンがSOHO用途として使用できる大きさの小型化を実現するためには、複数のトナー像形成ステーション間を短く、かつプロセス速度を高めるのが必須である。その小型化と印字速度の両立のためには上記値が0.65以下とするのがミニマムと考えられる。
しかし、このトナー像形成ステーション間を短くするとき、例えば1色目のイエロートナーが一次転写された後、次の2色目のマゼンタトナーが一次転写されるまでの時間が極めて短く、転写体の帯電緩和又は転写されたトナーの電荷緩和が殆ど生じず、イエロートナーの上にマゼンタトナーを転写する際に、マゼンタトナーがイエロートナーの電荷作用により反発され、転写効率の低下、転写時の文字の中抜けという問題が生じる。さらに第3色目のシアントナーの一次転写の時、前のイエロー、マゼンタトナーの上に転写される際にシアントナーの飛び散り、転写不良、転写中抜けが顕著に発生する。さらに繰り返し使用しているうちに特定粒径のトナーが選択的に現像され、トナー粒子個々の流動性が大きく異なると摩擦帯電する機会が異なるため、帯電量のバラツキが生じ、より転写性の劣化を招いてしまう。
そこで、本実施形態のトナーを使用することにより、帯電分布が安定化しトナーの過帯電を抑えると共に、流動性変動を抑えることができる。そのため定着特性を犠牲にすることなく、転写効率の低下、転写時の文字の中抜け、逆転写を防止することができる。
次に本発明のトナーの実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)キャリア製造例
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe23換算で49.6mol%及びSrO換算で0.8mol%湿式ボールミルで、10時間粉砕し、混合し乾燥させた後、950℃で4時間保持し、仮焼成を行った。これを湿式ボールミルで24時間粉砕し、次いでスプレードライヤにより造粒し、乾燥し、電気炉にて、酸素濃度2%雰囲気の中で1270℃で6時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに分級して平均粒径50μm、印加磁場が3000エルステットの時の飽和磁化が65emu/gであるフェライト粒子の芯材を得た。
次に、下記化学式3で示されるR1、R2がメチル基、すなわち(CH32SiO2/2単位が15.4mol%、化学式4で示されるR3がメチル基、すなわちCH3SiO3/2単位が84.6mol%であるポリオルガノシロキサン250gと、CF3CH2CH2Si(OCH33 21gとを反応させフッ素変性シリコーン樹脂を得た。さらにそのフッ素変性シリコーン樹脂を固形分換算で100gとアミノシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)10gとを秤量し、300ccのトルエン溶剤に溶解させた。
(但し、R1,R2,R3,R4はメチル基、mは平均重合度であり100である。)
(但し、R1,R2,R3,R4,R5,R6はメチル基、nは平均重合度であり80である。)
前記フェライト粒子10kgに対し、液浸乾燥式被覆装置を用い、上記被覆樹脂溶液を20分間攪拌することによりコーティングを行った。その後260℃で1時間焼き付けを行い、キャリアCA1を得た。
(2)樹脂粒子分散液の作成
表1は、作成された樹脂粒子分散液(RL1、RL2、RL3、RH1、RH2、RH3、RH4、RH5、RH6)において得られた樹脂粒子の特性を示す。表1において、“Mn”は数平均分子量、“Mw”は重量平均分子量、“Mz”はZ平均分子量、“Mw/Mn”は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mn、“Mz/Mn”はZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)の比Mz/Mn、“Mp”は分子量のピーク値、Tg(℃)はガラス転移点、Ts(℃)は軟化点を表わす。
(a)樹脂粒子分散液RL1の調製
スチレン240.1gと、n−ブチルアクリレート59.9gと、アクリル酸8gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)7.2g、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(20重量%水溶液濃度))24g(実質アニオン量4.8g)、ドデカンチオール8gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム4.5gを加えて、78℃で3時間乳化重合を行った。その後さらに90℃で4時間熟成処理を行い、樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液RL1を調製した。このときの樹脂分散液のpHは1.8であった。
表2に各樹脂粒子分散液に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率(重量%)を示す。アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(固形分20重量%濃度))を使用した液において、表2中の重量比は実質のアニオン量比を示している。
表3、表4に各樹脂粒子分散液の乳化重合において、樹脂粒子分散液RL1の調製をベースに各樹脂粒子分散液に使用したアクリル酸、過硫酸カリウム等の配合量等を示す。過硫酸カリウムはモノマー成分100重量部に対する重量部を示す。
(3)顔料分散液の作成
表5、表6及び表7に使用した着色剤(顔料)、使用した分散剤(界面活性剤)を示す。
(a)顔料粒子分散液CBS21の調製
1Lのビーカーにイオン交換水308g、ポリマー系分散剤A(PD2)を9.6g及びノニオン系分散剤B(AN2)を2.4gを秤量し、マグネットスターラーで界面活性剤の固形分が溶解するまで撹拌した。この界面活性剤水溶液にカーボンブラックCB1を80g添加し、さらに引き続いて、マグネットスターラーで10分間撹拌した。次に、1Lのトールビーカーに内容物を移しかえ、ホモジナイザー(IKA製、T−25)を用いて回転数9500rpmで10分間分散した。この分散液をさらに、分散機(特殊機化社製T−Kフィルミックス:56−50)で分散した。顔料濃度は約20重量%であった。
以下、顔料粒子分散液CBS21の調整条件をベースに、各着色剤分散液に使用した顔料、使用した分散剤及び顔料分散液の条件を表8〜9に示す。分散剤A及び分散剤Bの括弧内数字は、着色剤粒子100重量部に対する分散剤の配合重量部である。
表10〜表11に分散液生成時の使用したイオン交換水、着色剤重量(g)、分散剤量(g)、着色剤濃度(wt%)を示す。
(3)ワックス分散液の作成
(a)ワックス粒子分散液WA1の調製
図3に攪拌分散装置(特殊機化社製T−Kフィルミックス)の概略図、図4に上から見た図を示す。801が外槽でその内部に冷却水を808から注入し、807から排出されるようにしている。802は被処理液がせき止める堰板で中央部に穴があけられており、ここから処理された液が順次805を通じて外部に取り出す。803が高速で回転する回転体でシャフト806に固定され、高速に回転できる。回転体の側面には、1〜5mm程度の穴があけられており、被処理液の移動を可能とする。槽は120mlで、被処理液はその2分の1程度投入する。回転体の速度MAXは50m/sまで可能である。回転体の径は52mm、槽の内径は56mmである。804は連続処理の場合の原料注入口である。高圧処理やバッチ式のときは封印している。槽内を常圧の状態で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤である分散剤B(AN4)を3g、ワックス(W−1)30gを仕込み、回転体の速度は30m/sで5min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理した。表12〜表14は、ワックス粒子分散液の作成において、それぞれ使用したワックス材料及びその特性を示す。
ワックス粒子分散液WA1の調整条件をベースに、各ワックス粒子分散液に使用したワックス、使用した分散剤の種類と特性を表15示す。“第一のワックス”及び“第二のワックス”は、ワックス粒子分散液に仕込まれたワックス材料を示す。ワックスを示す符号末尾の( )内の値は当該ワックスの配合重量組成量(重量割合)を表わす。分散剤Bの括弧内数字は、ワックス粒子100重量部に対する界面活性剤の配合重量部である。アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(20重量%濃度))を使用した液においては、顔料濃度は20重量%程度となるようにイオン交換水を調整した。表中の重量比は実質のアニオン量比を示し、トータル量を同一量としている。
また、表16にワックス分散液生成時の使用したイオン交換水量(g)、ワックス重量(g)、分散剤量(g)、ワックス濃度(wt%)を示す。また、ワックスW13、W14、W15を使用する際においては槽内を0.4MPaまで加圧している。
(5)トナー母体の作成
(a)トナー母体B6の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS3を56g、ワックス粒子分散液WA1を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後3時間加熱処理し芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。その芯粒子分散液のpHを6に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを8に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。トナー母体B1〜B5、B7〜B14は、B6の条件をベースにして、着色剤粒子分散液等を変えて、試作評価した。またB11トナーにおいては、第二の樹脂粒子の滴下終了後2.5時間加熱処理した後、pHを5に調整して1.5時間加熱処理した。形成された粒子は表面がより平滑化する傾向にある。また80%程度の高湿度下に放置したときの水分吸収量も低下する傾向にある。
(b)トナー母体B15の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS9を56g、ワックス粒子分散液WA7を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合粒子分散液のpH値は10.1)で、水溶液のpH値を9.0に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液300gを30minの所要時間にて連続して滴下し1時間加熱処理し、その後90℃に昇温して3時間加熱処理し、芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.2であった。その芯粒子分散液のpHを5に調整し、1時間加熱した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させた。また、トナー母体B16、B17、B21〜B23もB15の条件をベースにして、カーボンブラック粒子分散液等を変えて、芯粒子の凝集性を観察した。
(c)トナー母体B18の作成(V2)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS12を56g、ワックス粒子分散液WA7を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合分散液のpH値は8.4)で、水溶液のpH値を5.4に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液300gを100minの所要時間にて連続して滴下し、1時間加熱後90℃に昇温し、3時間加熱処理して芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.0であった。その芯粒子分散液のpHを4に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを7.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。トナー母体B19、B24〜B25は、B18の条件をベースにして、カーボンブラック粒子分散液等を変えて、試作評価した。また、トナー母体B22処方をベースにして、芯粒子に使用する樹脂として、第一の樹脂粒子分散液RL1を169gと、形状制御を目的として第三の樹脂粒子分散液RH3を35g、とした以外はトナー母体M22処方と同様にして試作を行った。凝集は良好に進行し、形状指数1.41、体積平均粒径5.2μm、変動係数19.7の粒子を得た。M22の形状指数1.32に比べてポテト形状(不定形)にシフトしている。トナー母体の作成例として作成したトナー母体(B1〜B25)について、それぞれの処方を表17に示す。また、表18に芯粒子凝集性の状態、d50(μm)はトナー母体粒子の体積平均粒径、変動係数は得られたトナー母体におけるトナー母体粒子の体積基準での粒径分布の広がりを示した特性を示す。
乳化樹脂微粒子と、顔料微粒子およびワックス微粒子とを凝集、融着させてトナーを製造する過程で、顔料微粒子およびワックス微粒子が樹脂微粒子に囲まれてトナー内部に取り込まれているかどうかの確認は、凝集、融着反応中の反応液を一定時間おきに取り出し、遠心分離にかけることにより、判断できる。顔料微粒子およびワックス微粒子がトナーの内部に取り込まれていれば、反応液は遠心分離にかけると、固液2層に分かれ、上澄み液は無色透明になる。ワックス微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が白濁する。また、顔料微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が顔料の色相を示す。たとえば、シアントナーなら、シアン色、ブラックトナーなら黒色を示す。芯粒子の凝集性は、芯粒子凝集反応中にサンプリングした分散液は等量のイオン交換水で希釈した後、試験管に入れ、遠心分離器に3000min-1で5分間かけた。遠心分離した上澄み液の濁度を目視で判断した状態を示している。
B6〜B25は1時間(h)〜6時間(h)で上澄み液が透明となり、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得られている。
B1〜B5では凝集不良の凝集に加わらない浮遊した顔料粒子が残存し、濁りが消えない傾向にある。第二の樹脂粒子はその黒濁等の状態からそのままシェル化を付着させた。
B17,B23は5h〜6hで略透明になったが、粒度分布がやや大きくなり、粒度分布は少し広がる傾向にある。画像評価ではカブリ、転写の文字飛びが他のトナーよりも少し多めとなる傾向にある。
図12にトナー母体B6における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。試験管は径1cm、高さ約10cmである。Aは90℃に到達したときの反応液、Bは90℃に到達後0.25h経過後の反応液、Cは90℃に到達後0.5h経過後の反応液、Dは90℃に到達後0.75h経過後の反応液、Eは90℃に到達後1h経過後の反応液、Fは90℃に到達後2h経過後の反応液、Gは90℃に到達後3h経過後の反応液の写真を示す。Eの90℃に到達後1h経過後で反応液は透明になり、樹脂、ワックス及びカーボンブラックが凝集した芯粒子が形成されている。図14に形成されたトナー母体B6の芯粒子のSEM観察像(倍率5000)を示す。良好な芯粒子が形成されている。
図13にトナー母体B1における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Hは90℃に到達したときの反応液、Iは90℃に到達後1h経過後の反応液、Jは90℃に到達後2h経過後の反応液、Kは90℃に到達後3h経過後の反応液、Lは90℃に到達後4h経過後の反応液、Mは90℃に到達後5h経過後の反応液、Nは90℃に到達後6h経過後の反応液の写真を示す。Nの90℃に到達後6h経過しても反応液は依然黒のままで透明にはなっておらず、カーボンブラック粒子が浮遊したままで凝集不良の芯粒子しかできていない。図15に形成されたトナー母体B1の芯粒子のSEM観察像(倍率3000)を示す。形がいびつで、粒子表面にカーボンブラック粒子が芯粒子に取り込まれずに残留している。
このように一定のポリマー分散剤の使用により、凝集不良による顔料粒子やワックス粒子の凝集に加わらない浮遊粒子の存在をなくし、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得ることができる。
さらには、黒トナーにおいて使用するカーボンブラックのDBP吸油量特性を規定することにより、さらに凝集性が良好に進行し、現像時のカブリや定着性が向上する傾向にある。
(d)トナー母体B27の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS21を56g、ワックス粒子分散液WA3を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後3時間加熱処理し芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。その芯粒子分散液のpHを6に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを8に調整した第二の樹脂粒子分散液RH4を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
トナー母体B28〜B33、B36〜B42、B45〜B56は、B27のの条件をベースにして、着色剤粒子分散液等を変えて、試作評価した。またB30トナーにおいては、第二の樹脂粒子の滴下終了後2.5時間加熱処理した後、pHを5に調整して1.5時間加熱処理した。形成された粒子は表面がより平滑化する傾向にある。また80%程度の高湿度下に放置したときの水分吸収量も低下する傾向にある。
(e)トナー母体B34の作成(V2)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL3を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS28を56g、ワックス粒子分散液WA7を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合粒子分散液のpH値は10.1)で、水溶液のpH値を9.0に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液300gを30minの所要時間にて連続して滴下し1時間加熱処理し、その後90℃に昇温して3時間加熱処理し、芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.2であった。その芯粒子分散液のpHを5に調整し、1時間加熱した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させた。また、トナー母体B35もB34の条件をベースにして、カーボンブラック粒子分散液等を変えて、芯粒子の凝集性を観察した。
(f)トナー母体B43の作成(V2)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL2を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS37を51g、ワックス粒子分散液WA11を60g添加し、イオン交換水400mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し、80℃に到達した時点(混合分散液のpH値は8.4)で、水溶液のpH値を5.4に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液270gを100minの所要時間にて連続して滴下し、1時間加熱後90℃に昇温し、3時間加熱処理して芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.0であった。その芯粒子分散液のpHを4に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを7.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH4を80g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。トナー母体B44は、B43の条件をベースにして、カーボンブラック粒子分散液等を変えて、試作評価した。また、トナー母体B44処方をベースにして、芯粒子に使用する樹脂として、第一の樹脂粒子分散液RL2を169gと、形状制御を目的として第三の樹脂粒子分散液RH3を35g、とした以外はトナー母体B44処方と同様にしてトナー母体の試作を行った。凝集は良好に進行し、形状指数1.46、体積平均粒径5.5μm、変動係数16.7の粒子を得た。B44の形状指数1.39に比べてポテト形状(不定形)にシフトしていることが観察された。トナー母体の作成例として作成したトナー母体(B27〜B56)について、それぞれの処方を表19に示す。また、表20に芯粒子凝集性の状態、d50(μm)はトナー母体粒子の体積平均粒径、変動係数は得られたトナー母体におけるトナー母体粒子の体積基準での粒径分布の広がりを示した特性を示す。
乳化樹脂微粒子と、顔料微粒子およびワックス微粒子とを凝集、融着させてトナーを製造する過程で、顔料微粒子およびワックス微粒子が樹脂微粒子に囲まれてトナー内部に取り込まれているかどうかの確認は、凝集、融着反応中の反応液を一定時間おきに取り出し、遠心分離にかけることにより、判断できる。顔料微粒子およびワックス微粒子がトナーの内部に取り込まれていれば、反応液は遠心分離にかけると、固液2層に分かれ、上澄み液は無色透明になる。ワックス微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が白濁する。また、顔料微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が顔料の色相を示す。たとえば、シアントナーなら、シアン色、ブラックトナーなら黒色を示す。芯粒子の凝集性は、芯粒子凝集反応中にサンプリングした分散液は等量のイオン交換水で希釈した後、試験管に入れ、遠心分離器に3000min-1で5分間かけた。遠心分離した上澄み液の濁度を目視で判断した状態を示している。B29〜B30、B33〜B39、B42〜B45、B48、B51〜B53は1時間(h)〜3時間(h)で上澄み液が透明となり、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得られている。B31、B32、B40、B41、B46、B47、B49は5h程度で略透明になったが、粒度分布がやや大きくなり、粒度分布は少し広がる傾向にある。画像評価ではカブリ、転写の文字飛びが他のトナーよりも少し多めとなる傾向にある。B50、B54〜B56では凝集不良の凝集に加わらない浮遊した顔料粒子が残存し、濁りが消えない傾向にある。第二の樹脂粒子はその黒濁等の状態からそのままシェル化を付着させた。
図16にトナー母体B36における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Aは90℃に到達したときの反応液、Bは90℃に到達後0.25h経過後の反応液、Cは90℃に到達後0.5h経過後の反応液、Dは90℃に到達後0.75h経過後の反応液、Eは90℃に到達後1h経過後の反応液、Fは90℃に到達後2h経過後の反応液、Gは90℃に到達後3h経過後の反応液の写真を示す。Eの90℃に到達後1h経過後で反応液は透明になり、樹脂、ワックス及びカーボンブラックが凝集した芯粒子が形成されている。
図18に形成されたトナー母体B36の芯粒子のSEM観察像(倍率5000)を示す。良好な芯粒子が形成されている。図19に第二のシェル樹脂を融着したトナー母体B36のTEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察した像を示す。粒子中でカボンブラック粒子が均一な分散状態にある。
図17にトナー母体B50における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Hは90℃に到達したときの反応液、Iは90℃に到達後1h経過後の反応液、Jは90℃に到達後2h経過後の反応液、Kは90℃に到達後3h経過後の反応液、Lは90℃に到達後4h経過後の反応液、Mは90℃に到達後5h経過後の反応液、Nは90℃に到達後6h経過後の反応液の写真を示す。Nの90℃に到達後6h経過しても反応液は依然黒のままで透明にはなっておらず、カーボンブラック粒子が浮遊したままで凝集不良の芯粒子しかできていない。
図19に形成されたトナー母体B50の芯粒子のSEM観察像(倍率3000)を示す。形がいびつで、粒子表面にカーボンブラック粒子やワックス粒子が芯粒子に取り込まれずに粒子表面に残留している。
図20に第二のシェル樹脂を融着したトナー母体B50のTEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察した像を示す。ところどころにカーボンブラック粒子が局在して偏在した粒子が見られ、分散状態は不良である。
このように一定のポリマー分散剤、及びノニオン系分散剤又はアニオン系分散剤の使用により、凝集不良による凝集に加わらない顔料粒子やワックス粒子が浮遊して残留する粒子の存在を減らし、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得ることができる。
(g)トナー母体B57の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS45を50g、ワックス粒子分散液WA13を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを7.5に調整し、2時間加熱処理した。目的はpHを酸性側にシフトさせることにより、芯粒子同士が凝集するいわゆる二次凝集を防止しながら加熱を続けることで、芯粒子の表面に残る微小な凹凸を消し去ること、一部完全に凝集が進行していない芯粒子の凝集を促進することであり、次の工程で融着させるシェル樹脂の付着を促進させ、また生成される粒子の粒度分布をより狭いものとすることができる。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後3.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(h)トナー母体B58の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS46を50g、ワックス粒子分散液WA14を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.4であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを5.5に調整し、1.5時間加熱処理した。その後さらに、芯粒子分散液のpHを5.5に再調整した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(i)トナー母体B59の作成(V2)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS47を41g、ワックス粒子分散液WA15を45g添加し、イオン交換水410mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合分散液のpH値は8.4)で、水溶液のpH値を5.4に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液267gを60minの所要時間にて連続して滴下し、0.5時間加熱後90℃に昇温し、1.5時間加熱処理して液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.8であった。その芯粒子分散液のpHを5.5に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを7.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH5を80g添加し、滴下終了後4時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(j)トナー母体B63の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL2を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS51を50g、ワックス粒子分散液WA19を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを10.2とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2.5時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.4であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを5に調整し、1.5時間加熱処理した。その後さらに、芯粒子分散液のpHを5.5に再調整した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(k)トナー母体B61の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS49を50g、ワックス粒子分散液WA17を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後4時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.9であった。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後3.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(l)トナー母体B74の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS45を50g、ワックス粒子分散液WA13を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを8.2に調整し、2時間加熱処理した。その後さらに、芯粒子分散液のpHを7に再調整した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを8.0に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後3.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(m)トナー母体B75の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS46を50g、ワックス粒子分散液WA14を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.7であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを4.8に調整し、1.5時間加熱処理した。その後さらに、芯粒子分散液のpHを5.5に再調整した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。トナー母体B60、B64は、B59の条件をベースにしてワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて試作評価した。トナー母体B65、B66は、B58の条件をベースにしてワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて試作評価した。トナー母体B71〜B75は、B57の条件をベースにしてワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて試作評価した。トナー母体B67は、B61の条件をベースにして、ワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて、試作評価した。トナー母体B69,B70,B76〜B78は、B62の条件をベースにして、ワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて、試作評価した。表21に、トナー母体の作成例として作成したトナー母体についてそれぞれの組成を示す。
表22に作成されたトナー母体において得られた特性を示す。d50(μm)はトナー母体粒子の体積平均20、体積変動係数と形状指数を示す。
樹脂粒子と、顔料粒子及びワックス粒子とを凝集、融着させてトナーを製造する過程で、顔料微粒子およびワックス微粒子が樹脂微粒子に囲まれてトナー内部に取り込まれているかどうかの芯粒子の凝集性の確認は、凝集、融着反応中の反応液を一定時間おきに取り出し、遠心分離にかけることにより、判断できる。顔料粒子およびワックス粒子がトナーの内部に取り込まれていれば、反応液は遠心分離にかけると、固液2層に分かれ、上澄み液は無色透明になる。ワックス粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が白濁する。また、顔料粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が顔料の色相を示す。たとえば、シアントナーなら、シアン色、ブラックトナーなら黒色を示す。芯粒子の凝集性は、芯粒子凝集反応中にサンプリングした分散液は等量のイオン交換水で希釈した後、試験管に入れ、遠心分離器に3000min-1で5分間かけた。遠心分離した上澄み液の濁度を目視で判断した状態を示している。
B57〜B60、B63〜B65、B71〜B75は、芯粒子分散液の液温度が90度に到達後から1.5時間(h)〜3時間(h)で上澄み液が透明となり、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得られている。
B61,B66,B67は、3.5〜5h程度で透明又は略透明になったが、粒度分布がやや大きくなり、粒度分布は少し広がる傾向にある。画像評価ではカブリ、転写の文字飛びが他のB57〜B60、B63〜B65、B71〜B75のトナーよりも少し多めとなる傾向にある。
B69、B70,B76〜B78では凝集不良の凝集に加わらない浮遊したワックス粒子及び顔料粒子が残存し、濁りが消えない傾向にある。
図22にトナー母体B65における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Aは90℃に到達したときの反応液、Bは90℃に到達後0.25h経過後の反応液、Cは90℃に到達後0.5h経過後の反応液、Dは90℃に到達後0.75h経過後の反応液、Eは90℃に到達後1h経過後の反応液、Fは90℃に到達後1.5h経過後の反応液の写真を示す。Fは90℃に到達後1.5h経過後で反応液は透明になり、樹脂、ワックス及びカーボンブラックが凝集した芯粒子が形成されている。
図24に形成されたトナー母体B65の芯粒子のSEM観察像(倍率5000)を示す。良好な芯粒子が形成されている。
図26に第二のシェル樹脂を融着したトナー母体B65のTEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察した像を示す。粒子中でカボンブラック粒子が均一な分散状態にある。
図23にトナー母体B70における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Hは90℃に到達したときの反応液、Iは90℃に到達後1h経過後の反応液、Jは90℃に到達後2h経過後の反応液、Kは90℃に到達後3h経過後の反応液、Lは90℃に到達後4h経過後の反応液、Mは90℃に到達後5h経過後の反応液、Nは90℃に到達後6h経過後の反応液の写真を示す。Nの90℃に到達後6h経過しても反応液は依然黒のままで透明にはなっておらず、カーボンブラック粒子が浮遊したままで凝集不良の芯粒子しかできていない。
図25に形成されたトナー母体B70の芯粒子のSEM観察像(倍率3000)を示す。粒子表面にカーボンブラック粒子やワックス粒子が芯粒子に取り込まれずに残留している。図27に第二のシェル樹脂を融着したトナー母体B70のTEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察した像を示す。ところどころにカーボンブラック粒子が局在して偏在した粒子が見られ、分散状態は不良である。
(6)外添剤
次に、外添剤の例について述べる。表23は、本実施例で使用した外添剤(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9)について、それぞれの材料及びその特性を示す。処理材料1と処理材料2の複数種で処理しているものは、( )に各処理材料の配合重量割合を示している。“5分値”及び“30分値”は帯電量([μC/g])を表わし、これらは、ノンコートのフェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃45RH%の環境下で、100mlのポリエチレン容器にキャリア50gとシリカなど0.1gを混合し、縦回転にて100分間-1の速度で5分、30分間攪拌した後、0.3g採取し、窒素ガス1.96×104[Pa]で1分間ブローして測定した。
なお、負帯電性では、5分値が−100〜−800μC/gで、30分の値が−50〜−600μC/gであることが好ましい。高い帯電量のシリカでは少量の添加量でこのような特性を発揮できる。
(7)トナーの組成及び外添処理
次に、トナーの組成及び外添処理例について述べる。表24〜表25は、トナーの作成例として作成した本実施例のトナーについて、それぞれの材料組成を示す。未配合は添加していないことを示す。なお、外添剤欄において外添剤を示す符号末尾の( )内の値は、トナー母体100重量部に対する当該外添剤の配合量(重量部)を表わす。外添処理は(ヘンシェルミキサーFM20B、三井鉱山社製)において、攪拌羽根Z0S0型、回転数2000min-1、処理時間5min、投入量1kgで行った。
図1は本実施例で使用したフルカラー画像形成用の画像形成装置の構成を示す断面図である。図1において、カラー電子写真プリンタの外装筐は省略している。転写ベルトユニット17は、転写ベルト12、弾性体よりなる第1色(イエロー)転写ローラ10Y、第2色(マゼンタ)転写ローラ10M、第3色(シアン)転写ローラ10C、第4色(ブラック)転写ローラ10K、アルミローラよりなる駆動ローラ11、弾性体よりなる第2転写ローラ14、第2転写従動ローラ13、転写ベルト12上に残ったトナー像をクリーニングするベルトクリーナブレード16、クリーナブレードに対向する位置にローラ15を設けている。このとき、第1色(Y)転写位置から第2色(M)転写位置までの距離は70mm(第2色(M)転写位置から第3色(C)転写位置、第3色(C)転写位置から第4色(K)転写位置も同様距離)、感光体の周速度は125mm/sである。転写ベルト12は、絶縁性ポリカーボネート樹脂中に導電性のフィラーを混練して押出機にてフィルム化して用いる。本実施例では、絶縁性樹脂としてポリカーボネート樹脂(たとえば三菱ガス化学製,ユーピロンZ300)95重量部に、導電性カーボン(たとえばケッチェンブラック)5重量部を加えてフィルム化したものを用いた。また、表面にフッ素樹脂をコートし、厚みは約100μm、体積抵抗は107〜1012Ω・cm、表面抵抗は107〜1012Ω/□である。ドット再現性を向上させるためもある。転写ベルト12の長期使用による弛みや,電荷の蓄積を有効に防止できるようにするためであり、表面をフッ素樹脂でコートしているのは、長期使用による転写ベルト表面へのトナーフィルミングを有効に防止できるようにするためである。体積抵抗が107Ω・cm未満であると、再転写が生じ易く、1012Ω・cmを超えると、転写効率が悪化する。
第1転写ローラは外径8mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第1転写動作時には、第1転写ローラ10は、転写ベルト12を介して感光体1に1.0〜9.8(N)の押圧力で圧接され、感光体上のトナーがベルト上に転写される。抵抗値が102Ω未満であると、再転写が生じ易い。106Ωを超えると、転写不良が生じ易くなる。1.0(N)未満であると、転写不良を生じ、9.8(N)を超えると、転写文字抜けが生じる。
第2転写ローラ14は外径10mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第2転写ローラ14は、転写ベルト12及び紙、OHP等の転写媒体19とを介して転写ローラ13に圧接される。この転写ローラ13は転写ベルト12に従動回転可能にしている。第2次転写での第2転写ローラ14と対向転写ローラ13とは5.0〜21.8(N)の押圧力で圧接され、紙等の記録材上19に転写ベルトからトナーが転写される。抵抗値が102Ω未満であると、再転写が生じ易い。106Ωを超えると、転写不良が生じ易くなる。5.0(N)未満であると、転写不良となり、21.8(N)を超えると、負荷が大きくなり、ジッタが出やすくなる。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色用の4組の像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが、図のように直列状に配置されている。
各像形成ユニット18Y、18M、18C、18K、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するためY用の像形成ユニット18Yについて説明し、他色用のユニットの説明については省略する。
像形成ユニットは以下のように構成されている。1は感光体、3は画素レーザ信号光、4は内部に1200ガウスの磁力を有する磁石を有するアルミよりなる外径10mmの現像ロ−ラで、感光体とギャップ0.3mmで対向し、矢印の方向に回転する。6は攪拌ローラで現像器内のトナーとキャリアを攪拌し、現像ローラへ供給する。キャリアとトナーの配合比を透磁率センサーにより読み取り(図示せず)、トナーホッパー(図示せず)から適時供給される。5は金属製の磁性ブレードで現像ローラ上に現像剤の磁気ブラシ層を規制する。現像剤量は150g投入している。ギャップは0.4mmとした。電源は、省略しているが、現像ローラ4には−500Vの直流と、1.5kV(p−p)、周波数6kHzの交流電圧が印加される。感光体と現像ローラ間の周速度比は1:1.6とした。またトナーとキャリアの混合比は93:7とし、現像器中の現像剤量は150gで行った。
2はエピクロルヒドリンゴムよりなる外径10mmの帯電ローラで直流バイアス−1.2kVが印加される。感光体1表面を−600Vに帯電する。8はクリーナ、9は廃トナーボックス、7は現像剤である。
紙搬送は転写ユニット17の下方から搬送され、転写ベルト12と第2転写ローラ14との圧接されたニップ部に紙給送ローラ(図示せず)により紙19が送られてくるように、紙搬送路が形成されている。
転写ベルト12上のトナーは第2転写ローラ14に印加された+1000Vにより紙19に転写され、定着ローラ201、加圧ローラ202、定着ベルト203、加熱媒体ローラ204、インダクションヒータ部205から構成される定着部に搬送され、ここで定着される。
図2にその定着プロセス図を示す。定着ローラ201とヒートローラ204との間にベルト203がかけられている。定着ローラ201と加圧ローラ202との間に所定の加重がかけられており、ベルト203と加圧ローラ202との間でニップが形成される。ヒートローラ204の外部周面にはフェライトコア206、とコイル207よりなるインダクションヒータ部205が設けられ、外面には温度センサー208が配置されている。
ベルトは30μmのNiを基体としてその上にシリコーンゴムを150μm、さらにその上にPFAチューブ30μmを重ねあわせている。
加圧ローラ202は加圧バネ209により定着ローラ201に押しつけられている。トナー210を有する記録材19は、案内板211に沿って動く。
定着部材としての定着ローラ201は、長さが250mm、外径が14mm、厚さ1mmのアルミニウム製中空ローラ芯金213の表面に、JIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が20度のシリコーンゴムからなる厚さ3mmの弾性層214を設けている。この上にシリコーンゴム層215が3mmの厚みで形成され外径が約26mmとなっている。図示しない駆動モータから駆動力を受けて125mm/sで回転する。
ヒートローラ204は肉厚1mm、外径20mmの中空パイプからなっている。定着ベルト表面温度はサーミスタを用いて表面温度170度に制御した。
加圧部材としての加圧ローラ202は、長さが250mm、外径20mmである。これは外径16mm、厚さ1mmのアルミニウムからなる中空ローラ芯金216の表面にJIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が55度のシリコーンゴムからなる厚さ2mmの弾性層217を設けている。この加圧ローラ202は、回転可能に設置されており、片側147Nのバネ加重のバネ209によって定着ローラ201との間で幅5.0mmのニップ幅を形成している。
以下、動作について説明する。フルカラーモードではY,M,C,Kのすべての第一転写ローラ10が押し上げられ、転写ベルト12を介して像形成ユニットの感光体1を押圧している。この時第一転写ローラには+800Vの直流バイアスが印加される。画像信号がレーザ光3から送られ、帯電ローラ2により表面が帯電された感光体1に入射し、静電潜像が形成される。感光体1と接触し回転する現像ローラ4上のトナーが感光体1に形成された静電潜像を顕像化する。
このとき像形成ユニット18Yの像形成の速度(感光体の周速に等しい125mm/s)と転写ベルト12の移動速度は感光体速度が転写ベルト速度よりも0.5〜1.5%遅くなるように設定されている。
像形成工程により、Yの信号光3Yが像形成ユニット18Yに入力され、Yトナーによる像形成が行われる。像形成と同時に第1転写ローラ10Yの作用で、Yトナー像が感光体1Yから転写ベルト12に転写される。このとき第1転写ローラ10Yには+800Vの直流電圧を印加した。
第1色(Y)第一転写と第2色(M)第一転写間のタイムラグを持たせて、Mの信号光3Mが像形成ユニット18Mに入力され、Mトナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10Mの作用で、Mトナー像が感光体1Mから転写ベルト12に転写される。このとき第一色(Y)トナーが形成されている上にMトナーが転写される。同様にC(シアン)、K(ブラック)トナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10C、10Kの作用で、YMCKトナー像が転写ベルト12上に形成される。いわゆるタンデム方式と呼ばれる方式である。
転写ベルト12上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のKトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセット(図示せず)から送られる紙19に、第2転写ローラ14の作用で一括転写される。このとき転写ローラ13は接地し、第2転写ローラ14には+1kVの直流電圧を印加した。紙に転写されたトナー像は定着ローラ対201・202により定着された。紙はその後排出ローラ対(図示せず)を経て装置外に排出された。中間転写ベルト12上に残った転写残りのトナーは、クリーニングブレード16の作用で清掃され次の像形成に備えた。
(画像出し評価例)
次に、トナー及び二成分現像剤についての画像出し評価の例について述べる。ここでは、画像形成装置を用い、トナーとキャリアとの混合比率を変えた数種の二成分現像剤について、それぞれA4版出力で10万枚のランニング耐久試験を行って、帯電量及び画像濃度を測定すると共に、出力サンプルにおける非画像部での地かぶり、全面ベタ画像での均一性、及び転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)、並びにトナーフィルミングについて評価した。画像濃度(ID)評価はMacbeth Division of Kollmorgen Instruments Corporate製の反射濃度計 RD−914を用いて黒ベタ部を測定した。
なお、帯電量は、フェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃、相対湿度45%RHの環境下で、耐久性評価のサンプルを0.3g採取し、窒素ガス1.96×104Paで1分間ブローして測定した。
表26は、本実施例で使用した二成分現像剤(DB1〜DB25)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアを組み合わせ、A4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。
カブリレベルは、Spectrolino Spectro Scanにより、0.03以下であればより良好なレベル“A”、0.03を超え、0.06以下であればややカブリが増加した程度のレベル“B”、0.06を超えると問題あるレベル“C”を表わす。全面ベタ画像均一性においては、A4サイズにおける全面にベタ画像サンプルを取ったときに、部分的に画像濃度に変化が少なく画像濃度差が小さいレベルであれば“A”、“A”の比べて画像濃度差がやや見られる程度のレベルであれば“B”、部分的に画像濃度の差が目立つレベルであれば“C”で表わす。転写時の文字飛びにおいては、「轟、議、魏」の文字を印写したとき、線の周辺に存在するトナーの状態で評価し、線の周辺に存在するトナーが少なくレベルであれば“A”、線の周辺にトナーが少し存在するレベルであれば“B”、線の周辺に存在するトナーが多いレベルであれば“C”で表わす。
逆転写は、2色以上の画像サンプルを印字した時、1色目の色のトナーが感光体から転写ベルトに転写された後、2色目の色のトナーが感光体から転写ベルトに転写される際、1色目の色のトナーの一部が2色目の感光体に付着してしまう現象をいう。評価は、その1色目のトナーが2色目の感光体に付着してクリーニングブレードで感光体から除去され、廃トナーボックスに回収されるトナーの量を目視して評価する。1色目のトナーと2色目のトナーがほとんど混ざっていなければ“A”、1色目のトナーと2色目のトナーがやや混ざっているレベルであれば“B”、混ざっているのが明らかには分かれば“C”、で表わす。
転写中抜けにおいては、線が交差するパターン「+」を印字し、この交点においてトナーの存在状態を評価する。交点においてトナーが存在しているレベルであれば“A”、交点においてトナーの不存在の部分が少しあるレベルであれば“B”、交点においてトナーが存在しない状態であれば“C”で表わす。
本実施例のトナーを使用した二成分現像剤DB6〜DB25は、A4版の用紙(Panasonic指定紙(104g/m2))で10万枚ランニング耐久試験を実施した。ランニング試験前後での画像濃度について、画像濃度は1.4以上と変化が少なく安定した特性を示した。感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。
また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性について、本実施例の二成分現像剤は非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)についても、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。ただし、DB17,DB23はカブリ、ベタ画像均一性、転写の文字飛びが他のトナーよりも少し多めになる傾向にある。一方、DB1〜DB5は顔料の遊離粒子が多く、画像濃度が低く、画像評価に耐えられるサンプルが得られなかった。
表27は、本実施例で使用した二成分現像剤(DB27〜DB56)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアの構成、及びA4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。
本実施例のトナーを使用した二成分現像剤DB27〜DB49、DB51〜DB53は、A4版の用紙(Panasonic指定紙(104g/m2))で10万枚ランニング耐久試験を実施した。ランニング試験前後での画像濃度について、画像濃度は1.4以上と変化が少なく安定した特性を示した。感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。
また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性について、本実施例の二成分現像剤は非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)についても、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。一方、DB50,DB54〜DB56は顔料等の凝集に加わらない遊離した粒子の影響を思われる、画像濃度の低下等が生じた。
表28は、本実施例で使用した二成分現像剤(DB57〜DB78)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアの構成、及びA4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。
二成分現像剤DB57〜DB60、DB63〜DB66、DB71〜DB75は、A4版の用紙(Panasonic指定紙(104g/m2))で10万枚ランニング耐久試験を実施した。ランニング試験前後での画像濃度について、画像濃度は1.3以上と変化が少なく安定した特性を示した。感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。
また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性について、本実施例の二成分現像剤は非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)についても、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。DB61、DB67では、非画像部の地かぶりがやや発生し、若干転写時の文字飛びが出ている。一方、DB69、DB70,DB76〜DB78は凝集に加わらない遊離したワックス粒子、顔料粒子の影響を思われる画像濃度の低下や、カブリの増加等の現象が生じている。
表29は、本実施例で使用したトナーB1〜B25について、定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を示す。表中、“A”は評価の結果が良好であり、高温での放置後熱凝集が生じず、粉体状態を保っていることを示す。“B”は評価のレベルがAに比べてやや劣るが、30g/cm2以上の少しの荷重で凝集がほぐれることを示す。“C”は問題があり、高温での放置後、凝集塊の状態となりで300g/cm2以上の荷重をかけないと塊が崩落しないことを表わす。ここでは、付着量1.2mg/cm2のベタ画像をプロセス速度125mm/s、オイルを塗布しないベルトを用いた定着装置にて、A4版の用紙(Panasonic指定紙(104g/m2))で、最低定着温度及び高温でのオフセット現象発生温度を測定した。また、高温状態での貯蔵安定性試験は、50℃、24時間の放置後のトナーの状態を評価した。なお、OHP用フィルム透過率は、分光光度計U−3200(日立製作所)で、700nmの光の透過率を測定した。
定着性評価において、一定の融点を有するワックスを配合したTB6〜TB25では、150℃以下の低温定着性、190℃以上の高温非オフセット性を示した。また高温貯蔵安定性も良好であった。ただし、TB17,TB20、TB23,TB26は高温非オフセット性が他のトナーよりもやや低下する傾向にある。TB1〜TB5では低温定着性、高温非オフセット性とも不良で、満足な定着可能温度域は得られなかった。カーボンブラック粒子へのワックスの吸着により樹脂との相溶化が阻害され定着特性が機能していないものと思われる。
表30は、本実施例で使用したトナーB27〜B56について、定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を示す。
定着性評価において、TB29〜TB48、TB51〜TB53では、140℃以下の低温定着性、190℃以上の高温非オフセット性を示した。また高温貯蔵安定性も良好であった。ただし、TB31,TB32,TB41、TB46,TB47、TB49は高温非オフセット性が他のトナーよりもやや低下する傾向にある。TB50、TB54〜TB56では低温定着性、高温非オフセット性とも不良で、満足な定着可能温度域は得られなかった。
表31は、本実施例で使用したトナーB57〜B78について、定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を示す。
定着性評価において、TB57〜TB60、TB63〜TB66、TB71〜TB75では、145℃以下の低温定着性、190℃以上の高温非オフセット性を示した。また高温貯蔵安定性も良好であった。ただし、TB61、TB67は高温非オフセット性が他のトナーよりもやや低下する傾向にある。TB69、TB70,TB76〜TB78では低温定着性、高温非オフセット性とも不良で、十分な定着可能温度域は得られなかった。
産業上の利用の可能性
本発明は、感光体を使用した電子写真方式以外でも、ダイレクトに紙や、配線パターンとして基板上に導電性を有する物質を配合したトナーを付着させて印写する方式等にも有用である。
本発明は複写機、レーザプリンタ、普通紙ファクシミリ(FAX)、カラー普通紙コピー機(PPC)、カラーレーザプリンタ、カラーFAX及びこれらの複合機に用いられるトナー及びトナーの製造方法に関するものである。
近年、プリンタなどの画像形成装置はオフィスユースの目的からパーソナルユースへと移行しつつあり、小型化、高速化、高画質化、カラー化を実現する技術が求められている。そのためカラー画像の高速出力を可能とするタンデムカラープロセス、また定着時にオフセット防止のための定着オイルを使用せずに高光沢性、高透光性を有する鮮明なカラー画像と非オフセット性を両立させるオイルレス定着が良メンテナンス性、低オゾン排気などの条件とともに要求されている。そしてこれらの機能は同時に両立させる必要があり、プロセスのみならずトナーの特性向上が重要なファクターである。
カラープリンタでは、定着プロセスにおいては、カラー画像ではカラートナーを溶融混色させ透光性を上げる必要がある。トナーの溶融不良が起こるとトナー画像表面又は内部に於いて光の散乱が生じて、トナー色素本来の色調が損なわれると共に、重なった部分では下層まで光が入射せず、色再現性が低下する。従って、トナーには完全溶融特性を有し、色調を妨げないような透光性を有することが必要である。また定着時にシリコーンオイル等を使用しないオイルレス定着の実現が要求される。これを可能とするため、シャープメルト特性を有する結着樹脂中にワックス等の離型剤を添加することが実用化されつつある。
しかし、このようなトナーは、トナーの凝集性が強い特質を有するため、転写時のトナー像乱れ、転写不良の傾向がより顕著に生じ、転写と定着の両立が困難となる問題がある。また二成分現像として使用する際に、粒子間の衝突、摩擦、又は粒子と現像器との衝突、摩擦等の機械的な衝突、摩擦による発熱により、キャリア表面にトナーの低融点成分が付着するスペントが生じ易く、キャリアの帯電能力を低下させ現像剤の長寿命化の妨げとなる。
トナーは、一般的に結着樹脂である樹脂成分、顔料、電荷制御剤、更に必要に応じて離型剤などの添加成分によって構成され、所定の割合で予備混合し、熱溶融によって加熱混練し、気流式衝突板方式により微粉砕し、微粉分級されてトナー母体粒子が完成する。また化学重合的な方法によりトナー母体粒子が作成される方法もある。その後、このトナー母体粒子に例えば疎水性シリカなどの外添剤を外添処理してトナーが完成する。一成分現像では、トナーのみで構成されるが、トナーと磁性粒子からなるキャリアと混合することによって二成分現像剤が得られる。
従来の混練粉砕法における粉砕・分級操作では、小粒径化といっても経済的、性能的に現実に提供できる粒子径には限界がある。そこで、混練粉砕法とは異なる種々の重合法を用いたトナーの製造方法が検討されている。
下記特許文献1では、重合によって形成された粒子と、該粒子表面に乳化重合によって形成された微小粒子からなる被覆層とよりなるトナーであって、水溶性無機塩を加えて、粒子表面に微小粒子による被覆層を生成し、溶液のpHを変化させることにより、粒子表面に微小粒子による被覆層を生成することが開示されている。
下記特許文献2では、少なくとも樹脂粒子を分散させてなる分散液中で凝集粒子を形成し凝集粒子分散液を調製する工程、凝集粒子分散液中に、樹脂微粒子を分散させてなる樹脂微粒子分散液を添加混合して凝集粒子に樹脂微粒子を付着させて付着粒子を形成する工程、及び付着粒子を加熱して融合する工程を含むトナーの製造方法が開示され、その添加混合の方法としては、例えば、徐々に連続的に行ってもよく、また複数回に分割して段階的に行ってもよい旨が開示されている。そして前記樹脂微粒子(追加粒子)を添加混合することにより、微小な粒子の発生を抑制し、粒度分布がシャープな帯電性能に優れた効果が記載されている。
下記特許文献3では、トナー粒子中の界面活性剤の含有量が3重量%以下で、かつ2価以上の電荷を有する無機金属塩例えば塩化亜鉛を10ppm以上で1重量%以下含有し、イオン架橋により形成して耐吸湿性を向上させることが開示されている。樹脂微粒子分散液と、着色剤分散液とを混合し、無機金属塩を用いて凝集体分散液を調整した後、樹脂のガラス転移点以上に加熱し、凝集体を融合してトナーが形成されている。優れた帯電特性及び環境依存性、クリーニング性、転写性を有し、かつシャープな粒度分布を有する小粒子径のトナーが記載されている。
下記特許文献4では、形状係数が100ないし137のトナーが開示され、樹脂微粒子と着色剤の凝集体粒子分散液を形成し、得られた凝集体粒子分散液を、樹脂微粒子のガラス転移温度(Tg)以上、好ましくはTgないしTg+10℃の温度範囲に昇温して、例えば、2時間以上かけて目的とするトナー粒子径になるまで凝集体粒子を成長させた後、凝集を停止してさらに同温度に加熱し、10時間以内に凝集体粒子の表面を融合・合一させて、形状係数:100〜137の範囲のトナー粒子を形成させることが開示されている。
下記特許文献5では、樹脂および着色剤を含有する着色粒子(コア粒子)の表面に、塩析/融着法によって樹脂粒子を融着させてなる樹脂層(シェル)が形成されたトナー粒子が開示され、着色粒子を得るための塩析/融着工程に連続して、着色粒子の分散液に樹脂粒子の分散液を添加し、ガラス転移温度以上の温度を保持することが開示され、粒子表面における着色剤の存在量が少なく、高湿度環境下において長期にわたる画像形成に供されても、帯電性・現像性の変化に起因する画像濃度の変化、カブリ、色味の変化を発生させない効果が記載されている。
下記特許文献6では、少なくとも樹脂と着色剤を含有するトナー粒子を含む静電荷像現像用トナーにおいて、該トナー粒子が、樹脂Aを含有するコアと該コアを被覆する少なくとも1層の、樹脂Bを含有するシェルを有し、該シェルの最表面層の膜厚が50nm〜500nmであるトナーが開示され、耐オフセット性に優れ、且つ、良好な保存性を示す静電荷像現像用トナーの効果が記載されている。
下記特許文献7では、少なくとも結着樹脂およびDBP吸油量70〜120ml/100gのカーボンブラックを含有してなるトナー粒子を含むブラックトナーが開示されている。カーボンブラックが微分散され、その分散粒径分布がシャープであるため、比較的低付着量であっても所望の画像濃度を達成でき、さらには所定の帯電量まで帯電され易い。そのため、逆帯電トナーによる電気的転写不良としての中抜けの問題を十分に防止できる。また帯電環境安定性および耐ストレス性にも優れている効果が記載されている。カーボンブラックのDBP吸油量が小さ過ぎると、カーボンブラックが結着樹脂と絡み難くなって、トナー粒子中においてカーボンブラックがトナー表層に移行し易くなり微分散されないため、所望の画像濃度および所望の帯電量が達成されない。一方、カーボンブラックのDBP吸油量が大き過ぎると、トナー粒子製造時の形状制御性悪化を原因とする円形度低下の問題がある。また、DBP吸油量の値が大きすぎると、カーボンブラックが水に濡れにくくなるためカーボンブラック水分散液の分散安定性が低下する。そのような分散安定性の低いカーボンブラックを用いてトナーを製造すると、凝集が起こりやすく粒子成長がうまく制御できなくなり、トナー中のカーボンブラック分散性が悪化し、その結果、中抜けや帯電量が悪化する効果が記載されている。これらの乳化された樹脂粒子、ワックス粒子及び顔料粒子を凝集させて粒子を形成する構成において、凝集剤、温度,pH等の条件について開示されている。しかし、これらの各粒子の凝集速度のバランスが乱れる場合、例えば顔料の凝集速度が速くなると、樹脂粒子と顔料粒子との凝集が早く進行し、ワックスが取り残されて、液が白濁のままの状態なったり、また顔料のみの凝集した粒子が残存する状態となる場合がある。また樹脂粒子、ワックス粒子及び顔料粒子が凝集した芯粒子にさらに樹脂層を付着してコアシェル構造とする場合、芯粒子表面にワックスがリッチの構成となったりするとシェル樹脂の付着が進行しない場合や、顔料リッチとなると帯電性に影響を与える場合がある。その結果、トナー粒子の形状の制御性が悪化したり、粒度分布がブロードになり小粒径粒子の生成が困難になる。また帯電性の低下は、転写時の中抜けやカブリ等の画質低下を招く傾向にある。つまり、樹脂粒子、顔料粒子およびワックス粒子の凝集速度のバランスを整えて芯粒子を形成することが重要であるが、凝集速度のバランスを整えて芯粒子を凝集させる手段についてはまだ改善の余地がある。
オイルレス定着の実現等の定着性改良のためにワックスを一定量以上添加する方法が開示されているが(例えば特許文献3)、凝集反応中において、ワックス粒子は結晶性が高いためある温度から急に溶融が開始され、樹脂粒子は無定形であるため一定の温度範囲においてはゴム状態が続く。また、顔料粒子は溶融せずに粒子のまま存在する。このような状態においては溶融したワックス粒子と顔料粒子との凝集反応が均一に進まないと、生成される芯粒子の粒度分布が広がったり、ワックスや、顔料が多く偏在した粒子が生成されやすくなる傾向にある。
また凝集に加わらずに浮遊したワックス粒子や、カーボンブラック等の顔料粒子が残留すると、帯電量の低下、非画像部へのトナー付着の増大、感光体や転写体ヘのフィルミングが発生しやすくなる。また、芯粒子中でのワックス粒子や顔料粒子の分散性が悪化すると、定着時に溶融したトナー画像において色濁りが生じ易く、トナーの発色性が不十分になってしまう。
また、芯粒子(コア粒子と称することもある)の表面にシェル樹脂粒子を融着させてトナー粒子を得るコアシェル構造が開示されているが(例えば特許文献5)、コア粒子の分散液にシェル樹脂粒子が分散したシェル樹脂分散液を混合し、加熱してシェル化する方法において、前述したワックスを配合したコア粒子にシェル樹脂粒子を融着させる場合、ワックスの存在がシェル樹脂粒子の付着を妨げて、付着がなかなか進行しない場合や、一旦コア粒子にシェル樹脂粒子が付着してもその後の加熱処理の工程でワックスが溶融するとワックスの離型作用によりシェル樹脂粒子がコア粒子から脱離する場合がある。
また、カーボンブラック粒子は他のフタロシアニン系、キナクリドン系、アゾ系等の有機系顔料に比べ、無機系に近い特性を示し、カーボンブラック粒子は一定のDBP吸油量特性を有する。水系媒体中で加熱処理して、樹脂粒子、ワックス粒子と凝集させて芯粒子を生成する際、加熱温度をワックスの融点以上として凝集反応を進行させる際、ワックスは溶融した状態となり、カーボンブラック粒子は粉の状態である。そして一定のDBP吸油量特性を有するカーボンブラック粒子はその吸油性により、溶融したワックスを吸油(吸着)する。その結果カーボンブラック粒子とワックスが凝集溶融した灰色の粒子が生成されやすい傾向となる。また一部粗大化しやすく、水系中の粒子のバランスが崩れることで凝集にかかわらない浮遊したワックス粒子や、顔料粒子の残留が生じやすくなる傾向にある。またこれらの凝集反応を均一に進行しない場合、その粒子を凝集させる条件によっては、トナーの形状を一定の形に調整することが困難となる場合がある。凝集性の安定化と形状調整が安定に行われることは画像形成の面で重要な要素である。
またカーボンブラック粒子に溶融したワックスが吸油(吸着)されると本来のワックスの低温定着性や耐オフセット性の定着性の機能が低下し、定着可能温度域が減少する傾向になる場合がある。
粉の状態である一定のDBP吸油量特性を有するカーボンブラック粒子と溶融したワックスとの凝集反応は、水系中での凝集反応時の芯粒子形成に影響を及ぼすとともに、ワックスの定着性機能へも影響を及ぼす傾向がある。
特開昭57−045558号公報 特開平10−073955号公報 特開平11−311877号公報 特開2000−131876号公報 特開2002−116574号公報 特開2004−191618号公報 特開2005−221836号公報
本発明は、シャープな粒度分布を有する小粒径のトナーを、分級工程不要で作成でき、転写時の中抜けや飛び散りを防止し、高転写効率が得られるトナー及びトナーの製造方法を提供する。
本発明のトナーは、トナー母体粒子と外添剤を含むトナーであって、前記トナー母体粒子は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して生成される芯粒子を含み、前記着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤を含むことを特徴とする。
本発明のトナーの製造方法は、トナー母体粒子と外添剤を含むトナーの製造方法であって、前記トナー母体粒子は、水系媒体中において、少なくとも、第一の樹脂粒子を分散させた第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合液を生成する工程と、前記混合液に、凝集剤を添加し、前記第一の樹脂粒子、前記着色剤粒子及び前記ワックス粒子を凝集して芯粒子を生成する工程とを含み、前記着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤を含むことを特徴とする。
図1は本発明の実施例で使用した画像形成装置の概略断面図である。 図2は本発明の実施例で使用した定着ユニットの概略断面図である 図3は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の概略透視図である。 図4は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。 図5は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の概略部分断面図である。 図6は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。 図7は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の概略透視図である。 図8は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。 図9は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の概略透視図である。 図10は本発明の実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。 図11は本発明のフローテスタによる結着樹脂の軟化点(1/2法における溶融温度)の算出方法の概略図である。 図12は本発明の一実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図13は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図14は本発明の一実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率5000倍)を示す。 図15は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率3000倍)を示す。 図16は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図17は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図18は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率5000倍)を示す。 図19は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率3000倍)を示す。 図20は本発明の別の実施例で形成された第二のシェル樹脂を融着したトナー母体のTEM(透過型電子顕微鏡)観察像(倍率20000倍)を示す。 図21は本発明の別の実施例で形成された第二のシェル樹脂を融着したトナー母体のTEM(透過型電子顕微鏡)観察像(倍率20000倍)を示す。 図22は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図23は本発明の別の実施例におけるトナー母体の芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。 図24は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率5000倍)を示す。 図25は本発明の別の実施例で形成されたトナー母体の芯粒子のSEM観察像(倍率5000倍)を示す。 図26は本発明の別の実施例で形成された第二のシェル樹脂を融着したトナー母体のTEM(透過型電子顕微鏡)観察像(倍率20000倍)を示す。 図27は本発明の別の実施例で形成された第二のシェル樹脂を融着したトナー母体のTEM(透過型電子顕微鏡)観察像(倍率20000倍)を示す。 図28は本発明の形状指数を説明するための説明図である。
本発明は、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子を分散させた各粒子分散液を混合し、凝集して生成される芯粒子を含むトナーにおいて、前記着色剤粒子分散液に用いる分散剤にポリマー系分散剤を含むことにより、水系中で芯粒子中に取り込まれずに凝集にかかわらない浮遊したワックスや着色剤粒子の残留する問題を解消し、狭い粒度分布で小粒径粒子の生成を可能できる。また、ワックスの有する定着性の機能を低下させることなく、定着性、耐オフセット性及び貯蔵安定性を向上したトナーが得られる。また、樹脂中でのワックスや着色剤の分散性を向上させることで、現像特性における、耐久性、帯電安定性を向上できる。また、複数の感光体及び現像部を有する像形成ステーションを並べて配置し、転写体に順次各色のトナーを連続して転写プロセスを実行するタンデムカラープロセスにおいて、転写時の中抜けや逆転写を防止し、高転写効率を挙げたトナーが得られる。
以下、工程順に説明する。
(1)重合及び凝集工程
樹脂粒子分散液の調製は、ビニル系単量体を界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子を界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。その手段としては、例えば、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、コロイド型乳化装置、メデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
樹脂粒子における樹脂が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いて界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子を界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
着色剤粒子分散液は、水系中で着色剤粒子を添加し、前記した好適な分散手段を用いて分散させることにより調製される。ワックス粒子分散液は、水系中でワックス粒子を添加し、前記した好適な分散手段を用いて分散させることにより調製される。
トナーにはさらなる低温定着化と、オイルレス定着における高温非オフセット性、離型性、カラー画像の高透光性、一定の高温度下での貯蔵安定性が要求され、それらを同時に満足しなければならない。
本発明は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して得られる芯粒子を含むトナーである。この着色剤粒子分散液に用いる分散剤にポリマー系分散剤を含む。
従来のアニオン系又はノニオン系の界面活性剤を単独で使用するのに比べて、樹脂粒子やワックス粒子との凝集反応が早く進行し、室温から90℃付近までの昇温過程において、溶融するワックス粒子、樹脂粒子と粉状の着色剤粒子とが均一な速度で凝集することで、水系中に凝集に加わらずに浮遊して残留するワックス粒子や着色剤粒子の発生を抑えられる。また凝集生成が早く進行し、粒子生成の生産性を挙げる効果が得られる。また小粒径で粒度分布の狭い粒子生成を得ることができる。
ポリマー系分散剤としては、ポリビニルアルコール、又は部分ケン化ポリビニルアルコールのアルコール類が好ましい。
また、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合体樹脂は、例えば、下記のようなポリマーが好ましい。
(1)スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体又はスチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体等のアクリル酸系分散剤
(2)スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、又はスチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体等のマレイン酸系分散剤
(3)アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体、又はアクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体等のスルホン酸系分散剤、あるいはこれらの塩を挙げることができる。
あるいは、水酸基を含有するアクリル系単量体としては、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、水溶性ウレタン樹脂(ポリエチレングリコール、ポリカプロラクトンジオール等とポリイソシアネートの反応生成物等)などが好ましい。
あるいは、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテル等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、ビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子又はその複素環を有するものなどのホモポリマー又は共重合体等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフエニルエステルなどのポリオキシエチレン系等の水溶性高分子が好ましい。
あるいは、アルキルセルロース、ヒドロキシ−アルキルセルロース、カルボキシアルキルセルロース、例えばメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類等の水溶性高分子が好ましい。これらのセルロース類は、水に対し25℃で0.5%以上溶解させることができ、エーテル化度が0.6〜1.5で、平均重合度が50〜3000のものが好ましい。
これらの中で、(1)スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体若しくはスチレン−メタクリル酸−アクリル酸アルキルエステル共重合体等のアクリル酸系分散剤、(2)スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体、アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体若しくはスチレン−アクリル酸エステル−マレイン酸共重合体等のマレイン酸系分散剤、(3)アクリル酸エステル−スチレンスルホン酸共重合体、スチレン−メタクリルスルホン酸共重合体若しくはアクリル酸エステル−アリルスルホン酸共重合体等のスルホン酸系分散剤又はこれらの塩が好ましい。
より好ましくは、マレイン酸系分散剤又はアクリル酸系分散剤であり、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体若しくはアクリル酸エステル−マレイン酸共重合体又はこれらの塩が特に好ましい。一例として、下記化学式1にスチレン−アクリル酸エステル共重合体(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、m、nはそれぞれ共重合体の繰り返し単位)を示し、化学式2にスチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体塩(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、m、nはそれぞれ共重合体の繰り返し単位)を示す。
ポリマー系分散剤内のマレイン酸又はアクリル酸部分で塩を形成させることにより、そのポリマー系分散剤を溶解させるのが好ましい。アルカリ中和剤としては、例えば、アミノメチルプロパノール、2−アミノイソプロパノール、トリエタノールアミン又はアンモニア水等を挙げることができる。
または、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム又は水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸物等の無機アルカリ剤等を挙げることができる。
アルカリ中和剤の含有量は、カウンターイオンとしてポリマー系分散剤を中和することのできる量(中和当量)又はそれ以上であることができ、中和当量のほぼ1.2〜1.5倍の量で含有すると、凝集性等の点から好ましい。
分散液の分散状態、芯粒子の凝集反応温度に対する凝集性、現像性、定着性の観点からポリマー系分散剤のガラス転移点は40〜150℃、軟化点は90〜220℃、重量平均分子量は3000〜5万、酸価は50〜250mgKOH/gが好ましい。より好ましくは、ガラス転移点は50〜130℃、軟化点は100〜180℃、重量平均分子量は3000〜3万、酸価が80〜200、さらに好ましくは、ガラス転移点は80〜120℃、軟化点は120〜180℃、重量平均分子量は7000〜3万、酸価は100〜200が好ましい。ガラス転移点が40℃未満であると、凝集反応が早くなり、生成される芯粒子が粗大化する傾向にある。ガラス転移点が150℃を超えると、凝集反応が遅れて、凝集に加わらない水系中に残留する着色剤粒子が増加する傾向にある。軟化点が90℃未満であると、凝集反応が早くなり、生成される芯粒子が粗大化する傾向にある。軟化点が220℃を超えると、凝集反応が遅れて、凝集に加わらない水系中に残留する着色剤粒子が増加する傾向にある。重量平均分子量が3000未満であると、凝集反応が早くなり、生成される芯粒子が粗大化する傾向にある。重量平均分子量が5万を超えると、凝集反応が遅れて、凝集に加わらない水系中に残留する着色剤粒子が増加する傾向にある。酸価が50未満であると、ワックス分散液の分散安定性が低下しやすい傾向にある。酸価が250を超えると、凝集の進行が早まり生成される芯粒子が粗大化しやすい傾向にある。
特に、ポリマー系分散剤のガラス転移点は、芯粒子を凝集させる温度以上であることが好ましい。望ましくは、そのガラス転移点は90℃以上である。この理由としては、水系中の温度が上昇する過程において、ポリマー分散剤のガラス転移点を超える温度領域から、CB同士で凝集が生じやすくなり、それがワックスをも取り込んで、水系中に浮遊した大きな残渣物となりやすい傾向にある。ポリマー分散剤のガラス転移点が芯粒子の凝集温度以上であるときは、水系中に浮遊した大きな残渣物が発生しにくい傾向にある。
酸価は試料1g中に含まれる酸を中和するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。試料をアルコール−エーテルに溶かして、これにフェノールフタレインを指示薬として0.5Nの水酸化カリウムで滴定する。JIS−K−0070に準拠して行う。
水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して得られる芯粒子を含むトナーである。この着色剤粒子分散液に用いる分散剤として、ポリマー系分散剤及び非イオン系界面活性剤を含むのが好ましい。
特に、一定の融点を有するワックスと、着色剤粒子と樹脂粒子とを凝集して芯粒子を生成するとき、低温度から溶融を開始するワックスと、粉状態の着色剤とではその凝集速度が相違し、一方では溶融により粒子の凝集が進行しやすいものと、一方では凝集の進行が遅いものとによって、粒子形成が不均一になり灰色の粒子の生成や、芯粒子間でワックスや顔料が偏在した芯粒子の生成を生じる傾向にある。また、芯粒子が粗大化して小粒径で狭い粒度分布の粒子生成が困難となる傾向にある。
温度調整や攪拌速度調整等で芯粒子の粗大化を抑えて小粒径粒子を生成しようとすると、着色剤粒子が芯粒子中に取り込まれることなく、芯粒子分散液中に凝集に加わらない着色剤粒子が残留し、反応液が濁ったままで透明になりにくく、凝集に加わらないワックス粒子が残留し、粒度分布が広がってしまう傾向にあった。
そこで、凝集の進行が遅い傾向にある着色剤の分散剤に、ポリマー系分散剤及び非イオン系界面活性剤を含むことにより、樹脂粒子、ワックス粒子との凝集速度のバランスを取ることで、前述した小粒径で粒度分布の狭い粒子生成を得ることができるものと考えられる。非イオン系界面活性剤を含むことにより、溶融したワックス粒子、樹脂粒子との凝集速度を調整することができ、芯粒子中で顔料の粒子同士が固まって凝集した状態で分散することを抑制でき、芯粒子中で顔料の分散を均一に分散させることができる。その結果、現像での非画像部へのトナー付着であるカブリの低減、耐久性が向上、転写性の改善につながる。またワックスの分散性への効果もあり、定着性の改善の効果が得られる。
非イオン界面活性剤のHLBの範囲は、13.3〜18.6とすることが好ましい。この範囲であれば、樹脂粒子、ワックス粒子との凝集速度のバランスを取ることができ、芯粒子中で顔料の粒子の分散を均一化することができる。また、小粒径で粒度分布の狭い粒子生成を得ることができる。HLBが18.6を超えると、凝集速度を調整ができにくく、芯粒子中で顔料の粒子同士が固まって凝集した状態で分散する傾向にある。HLBが13.3未満であると、顔料の凝集速度が遅くなり、顔料粒子が取り残され、生成される粒子がブロードな粒度分布となる傾向にある。好ましくは、15.2〜17.6、より好ましくはWh1が16〜17.6の範囲である。
ここで、HLB値とは、界面活性剤の水と油(水に不溶性の有機化合物)への親和性の程度を表す値である。特に、非イオン界面活性剤のHLB値(Hydrophile−Lipophile Balance)は界面活性剤の親油性部分の分子量をML、親水性部分の分子量をMHとすると、HLB=(MH×20)/(MH+ML)で表すことができる(グリフィン法)。
着色剤粒子に対するポリマー分散剤及び非イオン系界面活性剤の量は、ポリマー系分散剤が、着色剤粒子100重量部に対し3〜20重量部、非イオン系界面活性剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜15重量部とすることが好ましい。より好ましくはポリマー系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し5〜15重量部、非イオン系界面活性剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜10重量部、さらに好ましくはポリマー系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し5〜12重量部、非イオン系界面活性剤が着色剤粒子100重量部に対し3〜10重量部である。
また、ポリマー系分散剤と非イオン系界面活性剤の重量配合比率が1:2〜10:1とすることが好ましい。一定量の非イオン系界面活性剤を含むことにより、その凝集速度をマイルドに徐々に進行させることができ、芯粒子中で顔料の粒子同士が固まって凝集した状態で分散することを緩和でき、芯粒子中で顔料の分散を均一に分散できる効果が発揮できる比率である。好ましくは、ポリマー系分散剤と非イオン系界面活性剤の重量配合比率が1:1〜10:1、より好ましくは1:1〜5:1、さらに好ましくは2:1〜3:1である。
着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤及びアニオン系分散剤とを一定割合で配合するのも好ましい。着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤とアニオン系分散剤とを一定割合で配合させることにより、ワックス粒子、樹脂粒子及び着色剤粒子との凝集速度を調整でき、凝集過程において粗大粒子の発生を抑えることができる。従って、狭い粒度分布の粒子生成が可能となり、また生成される粒子の形状、粒径を制御することができる。アニオン系分散剤比率を高めていくと、凝集の進行がやや遅くなり、形状が球状に近い粒子が生成されやすくなる。
ポリマー系分散剤は、着色剤粒子100重量部に対し3〜20重量部、アニオン系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜15重量部とすることが好ましい。着色粒子分散液のポットライフ(分散安定性)を維持し、かつ小粒径で狭い均一な粒度分布の芯粒子を生成できる適正な範囲である。より好ましくは、ポリマー系分散剤は、着色剤粒子100重量部に対し5〜15重量部、アニオン系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜10重量部とする。さらに好ましいくは、ポリマー系分散剤は、着色剤粒子100重量部に対し5〜12重量部、アニオン系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し3〜10重量部とする。
また、ポリマー系分散剤とアニオン系分散剤の重量配合比率が、1:1〜10:1とすることが好ましい。より好ましくは2:1〜10:1、さらに好ましくは5:1〜10:1とする。樹脂粒子やワックス粒子との凝集速度が適正な範囲とすることができ、芯粒子中に取り込まれずに残留する着色剤粒子やワックス粒子の生成を抑えられ、小粒径で粒度分布の狭い粒子生成を得ることができる範囲である。
また、アニオン系分散剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩又は高級アルキルエーテル硫酸エステル塩等の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩又は高級アルキルスルホン酸塩等のスルホン酸塩、高級アルコール燐酸エステル塩等の燐酸エステル塩(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、又はカルシウムとの塩)、の他、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム塩、アルキルエーテルカルボン酸塩又はジアルキルスルホコハク酸塩(例えば、スルホコハク酸ジ−2−エチルヘキシルエステルナトリウム塩)、等を挙げることができる。その中で、高級アルコール硫酸エステル塩であるラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩であるラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩である炭素数12〜16のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)、又はアルキルナフタレンスルホン酸塩が特に好ましい材料である。
ブラックトナーとして着色剤にカーボンブラックを使用する場合、カーボンブラックの分散液を生成する際に使用する分散剤にポリマー系分散剤を含むのが好ましい。カーボンブラックは他のフタロシアニン系、キナクリドン系、アゾ系等の有機系顔料に比べ、無機系に近い特性を示し、ワックス粒子、樹脂粒子との凝集反応において、その凝集性(凝集剤添加時の粒子の凝集速度)が相違する傾向にある。そのためポリマー系分散剤を使用することで凝集性のバランスをとる効果が得られるためと思われる。
また、DBP吸油量が45〜70(ml/100g)のカーボンブラックを含むことが好ましい。好ましくは45〜63、より好ましくは45〜60、さらに好ましくは45〜53である。一定の吸油量特性を有するカーボンブラックの使用により、カーボンブラックが均一に芯粒子中に取り込まれ、またワックスの定着性の機能も維持できる。DBP吸油量が70を超えるカーボンブラックでは、カーボンブラックの凝集が早く起こりやすく、カーボンブラック粒子が芯粒子中に取り込まれにくくなる。また、後述する芯粒子に第二の樹脂粒子を付着させたシェル構造とした場合、生成粒子の窒素吸着によるBET比表面積値が大きくなる傾向にある。その結果、現像時での非画像部へのトナー付着であるカブリが増大する傾向にある。カーボンブラックの凝集不良による分散状態の偏在により表面状態に影響を与えていると思われる。また溶融したワックスとの吸油(吸着)される現象が急速に進行し、灰色の粒子を生成させる結果になると推測する。またワックスの定着性の機能も低下してしまうと推測する。DBP吸油量が45未満のカーボンブラックは好適なサンプルが生産されておらず、入手が困難である。
さらには、一定の融点を有するワックスとの使用においてその効果がより発揮される傾向にある。凝集反応を進行させる際、ワックスは溶融した状態となり、カーボンブラック粒子は粉の状態である。そして所定のDBP吸油量特性を有するカーボンブラック粒子はその吸油性により、溶融したワックスを吸油(吸着)する。その結果、カーボンブラック粒子とワックスが溶融付着した灰色の粒子が生成されやすい傾向となる。また一部粗大化しやすく、水系中の粒子のバランスが崩れることで凝集にかかわらない浮遊したワックスや、顔料粒子の残留が生じやすくなる傾向にある。またカーボンブラック粒子に溶融したワックスが吸油(吸着)されると本来のワックスの低温定着性や耐オフセット性の定着性の機能が低下し、定着可能温度域が減少する傾向にある。
そこで、一定の融点を有する溶融状態のワックスと粉の状態のカーボンブラック粒子の凝集反応において、カーボンブラック粒子のDBP吸油量特性を規定することにより、カーボンブラック粒子が先に粒子成長する現象を抑えられ、芯粒子を小粒径化しても、カーボンブラック粒子が芯粒子中に取り込まれて、芯粒子分散液中に凝集に加わらずに残留するカーボンブラック粒子を解消できる効果が得られることを見出した。また、本来のワックスの定着性の機能が低下する現象を抑えられる効果を見出した。これは、一定以上のDBP吸油量特性を有するカーボンブラック粒子が溶融したワックスとの吸油(吸着)される現象の影響と思われる。
芯粒子に粒子の形状制御する目的で第三の樹脂粒子を配合するのも好ましい。第一の樹脂粒子(芯粒子に使用する樹脂リ粒子を第一の樹脂粒子と称する場合がある)の特性と一定の関連性を有する第三の樹脂粒子を添加することにより、芯粒子の凝集反応性を変えることで形状を変化させる効果が得られる。
その第三の樹脂粒子の好ましい特性として、第三の樹脂粒子の溶融粘度特性における軟化点をTmr3(℃)、第一の樹脂粒子の溶融粘度特性における軟化点をTmr1(℃)とすると、
Tmr1+30℃≦Tmr3≦Tmr1+80℃
の関係を満たすのが好ましい。一定の軟化点を有する第三の樹脂粒子の存在により、加熱処理の過程での凝集反応において、溶融状態の異なる樹脂粒子の存在により凝集粒子の溶融が進行する状態を遅らせ、粒子の溶融による表面張力の効果を変えることで、形状を真球状からポテト形状や不定形とすることが可能となる。第三の樹脂粒子と第一の樹脂粒子の軟化点の差が30℃未満であると、芯粒子の溶融が進行する状態を遅らせることができにくくなり、形状調整がうまく進まない傾向にある。逆に第三の樹脂粒子と第一の樹脂粒子の軟化点の差が80℃を超えると、芯粒子の凝集が進行しずらくなり、第三の樹脂粒子が芯粒子に取り込まれにくく、第三の樹脂粒子が水系中に残留して水系中の白濁が残る場合がある。
また、第三の樹脂粒子の好ましい第二の特性として、第三の樹脂粒子のゲルパーミエーションクロマトグラムにおける重量平均分子量をMwr3、第一の樹脂粒子の重量平均分子量をMwr1とすると、
Mwr1×1.5≦Mwr3≦Mwr1×12
の関係を満たすのが好ましい。一定の重量平均分子量を有する第三の樹脂粒子の存在により、加熱処理の過程での凝集反応において、溶融状態の異なる樹脂粒子の存在により芯粒子の溶融が進行する状態を遅らせることで、形状を真球状からポテト形状や不定形とすることが可能となる。第三の樹脂粒子重量平均分子量が、第一の樹脂粒子の重量平均分子量の1.5倍未満であると、芯粒子の溶融が進行する状態を遅らせることができにくくなり、形状調整がうまく進まない傾向にある。逆に第三の樹脂粒子重量平均分子量が第一の樹脂粒子の重量平均分子量の12倍を超えると、芯粒子の凝集が進行しずらくなり、第三の樹脂粒子が芯粒子に取り込まれにくく、第三の樹脂粒子が水系中に残留して水系中の白濁が残る傾向になる。
また、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、2〜30重量部の範囲とするのが好ましい。2重量部未満であると、形状調整の効果が得にくい。30重量部を超えると、芯粒子の凝集性が悪化し、第三の樹脂粒子が芯粒子に取り込まれにくく、第三の樹脂粒子が水系中に残留して水系中の白濁が残る傾向になる。
また、第三の樹脂粒子の配合割合は、第三の樹脂粒子の軟化点又は重量平均分子量とも関連し、軟化点又は重量平均分子量が高くなるほど配合量は少量で効果を発揮できる。
Tmr3がTmr1+30℃〜Tmr1+45℃のときは、第三の樹脂粒子の配合割合としては、第一の樹脂粒子100重量部に対し、22〜30重量部の範囲、Tmr3がTmr1+45℃〜Tmr1+65℃のときは、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、12〜22重量部の範囲、Tmr3がTmr1+65℃〜Tmr1+80℃のときは、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、2〜12重量部の範囲とすることが目安となるが、目的の形状によって量は増減する。
Mwr3が、Mwr1×1.5〜Mwr1×4のときは、第三の樹脂粒子の配合割合としては、第一の樹脂粒子100重量部に対し、22〜30重量部の範囲、Mwr3が、Mwr1×4〜Mwr1×8のときは、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、12〜22重量部の範囲、Mwr3が、Mwr1×8〜Mwr1×12のときは、第三の樹脂粒子の配合割合は、第一の樹脂粒子100重量部に対し、2〜12重量部の範囲とすることが目安となるが、目的とする形状によって量は増減する。
この形状調整を目的として軟化点等の熱特性の異なる第三の樹脂粒子を配合する際に、前述したポリマー系分散剤を使用することにより、軟化点等の熱特性が異なる樹脂粒子を使用し凝集進行性が変わることによる浮遊粒子生成を防止し、軟化点等の熱特性が異なる状況でも、芯粒子の凝集反応を均一に進め、着色剤やワックスの分散性を向上させる効果が発揮できる傾向にある。ポリマー系分散剤を使用した着色剤粒子が接着性のような機能を発揮される結果であると推測される。
水系媒体中において重合開始剤を用いて単量体を乳化重合することにより、樹脂粒子が得られる。その重合開始剤の添加量は、単量体100重量部に対し、0.5〜2.5重量部、重合開始剤は、水温20℃の水100gに対する溶解度が4g以上の過硫酸塩類、及び単量体がスチレン系単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体及び酸基を有するビニル系単量体を含み、酸基を有するビニル化合物の配合量は、単量体中0.1〜5.0重量%とすることが好ましい。
重合開始剤の添加量について、重合開始剤由来の親水基の存在量により樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子の凝集に影響を与える傾向にある。つまり重合開始剤の添加量が多いと凝集反応が遅く進行する傾向にあり、重合開始剤の添加量が少ないと凝集反応が早く進行する傾向にあり、その重合開始剤の添加量の適正量が、単量体100重量部あたり0.5〜2.5重量部である。好ましくは、0.7〜2.0重量部、より好ましくは、1.0〜1.5重量部である。樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子それぞれの凝集が適正となる範囲である。0.5重量部未満であると、樹脂粒子の凝集が早く進行し、ワックス、顔料と凝集した芯粒子生成にいたらず、樹脂粒子同士が凝集した樹脂の粗大粒子が生成されやすい傾向にある。2.5重量部を超えると、芯粒子生成の凝集が遅くなる傾向にあり、生産性に時間を要することになる。また、高温非オフセット性が悪化し、定着可能温度領域が狭まる傾向にある。これは重合開始剤由来の親水基の存在量により、凝集反応が遅く進行することで、ワックスの分散性に影響を及ぼすものと考えられる。
重合開始剤は、水温20℃の水100gに対する溶解度が4g以上の過硫酸塩類を使用することが好ましい。これにより、重合開始剤由来の親水基の存在量の適正化による芯粒子の凝集性と定着性を好適にできる。溶解度が少ないと、乳化重合反応時の過硫酸塩類の溶解に時間を要し生産性が遅くなる。また、乳化する際の過硫酸塩類の分散状態が変化しやすく、凝集反応時の凝集性が不安定になる傾向にある。
酸基を有するビニル化合物の配合量は、単量体中0.1〜5.0重量%であることが好ましい。さらに好ましくは、0.2〜4.5重量%、より好ましくは、0.5〜2.0重量%である。第一の樹脂粒子、第三の樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子それぞれの凝集を適正なものとできる範囲である。0.1重量%未満であると、第一の樹脂粒子の凝集が早くなり、ワックス、顔料と凝集した芯粒子生成にいたらず、樹脂粒子単独が凝集した粗大化した樹脂粒子の発生や、芯粒子が粗大化する傾向にある。5.0重量%を超えると、芯粒子生成の凝集が遅くなる傾向にあり、これは酸基由来の親水基の存在量により、凝集反応が遅く進行することで、樹脂粒子とのワックスの凝集に影響を及ぼす傾向にある。それによりワックスの分散状態が変動し、高温非オフセット性が悪化し、定着可能温度領域が狭まる傾向になると考えられる。
本発明方法は、水系媒体中において、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液とを混合し、凝集剤を添加し、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集した芯粒子を生成する。この着色剤粒子分散液に用いる分散剤にポリマー系分散剤を含ませる。
また、着色剤粒子分散液に用いる分散剤として、ポリマー系分散剤及び非イオン系界面活性剤を含むのも好ましい。また、着色剤粒子分散液に用いる分散剤として、ポリマー系分散剤及びアニオン系界面活性剤を含むのも好ましい。
樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液のpHは9.5〜12.2の範囲に調整することが好ましい。さらに好ましいpHは10〜11.5、より好ましくいpHは10.5〜11の範囲である。1NのNaOHを添加することでpHの調整が可能である。pH値を9.5以上12.2以下とすることで、形成された芯粒子が粗大化する現象を抑制し、凝集に加わらずに遊離するワックス粒子や着色剤粒子の発生を抑え、ワックスや着色剤を均一に内包化できやすくする効果がある。
このとき、樹脂粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合液のpHを9.5〜12.2の範囲に調整した後に、ポリマー系分散剤を使用した着色剤粒子分散液を添加することが好ましい。樹脂粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合液のpHは酸性になっている場合があり、その液にポリマー系分散剤を使用した着色剤粒子分散液を添加すると着色剤粒子が一部単独で凝集が進行する場合があるためである。つまり、樹脂粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合し、その混合液のpHを9.5〜12.2の範囲に調整し、ポリマー系分散剤を使用した着色剤粒子分散液を添加し、水溶性無機塩を添加した後に加熱処理を行うことが好ましい。その後、混合分散液に水溶性無機塩を添加し、樹脂粒子のガラス転移点温度(Tg)以上及び/又はワックスの融点以上に加熱処理することにより、少なくとも樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が少なくとも一部が溶融し凝集した所定の体積平均粒径の芯粒子が形成される。
この所定の体積平均粒径の芯粒子が形成されたときの液のpHが7.0〜9.5の範囲に保持されることが好ましい。これによりワックスの遊離が少なく、ワックスが内包された狭い粒度分布の芯粒子が形成できる。添加するNaOH量、凝集剤種や量、乳化重合樹脂分散液のpH、着色剤分散液のpH、ワックス分散液のpHの設定値や、加熱温度、時間は適宜選択される。粒子が形成されたときの液のpHが7.0未満であると、芯粒子が粗大化する傾向になる。pHが9.5を超えると、凝集不良で遊離ワックスが多くなる傾向になる。
また樹脂粒子分散液は、乳化重合樹脂を重合生成する際に重合開始剤として過硫酸カリウム等の過硫酸塩を使用した際、その残留分が加熱凝集工程時の熱により分解してpHを変動(下げる)させてしまうことがあるため、乳化重合した後に一定温度以上(残留分を十分に分散させておくために80℃以上が好ましい)で、一定時間(1〜5時間程度が好ましい)加熱処理を施すことが好ましい。樹脂粒子分散液のpHは好ましくは4以下、更に好ましくは1.8以下である。
pH(水素イオン濃度)の測定は、被測定液を液槽内からピペットを用いてサンプルを10ml採取し、同容量程度のビーカーに入れる。このビーカーを冷水に浸漬し、サンプルを室温(30℃以下)まで冷却する。pHメータ(セブンマルチ:メトラートレド社製)を用い、室温まで冷やしたサンプルに測定プローブを浸す。メータの表示が安定したらその数値を読み取り、pHの値とする。
混合分散液の昇温速度は0.1〜10℃/minが好ましい。遅いと生産性が低くなる。早すぎると粒子表面が平滑にならないうちに形状が球形に進みすぎる傾向にある。
また、樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集して所定の体積平均粒径の芯粒子が形成されたときの芯粒子分散液中のpHを、0.5〜5酸性側にシフトさせることが好ましい。すなわち樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子の混合分散液に水溶性無機塩を添加し、室温から加熱処理して、水系中の温度がワックスの融点以上に達して、所定の体積平均粒径又は一定形状に凝集した芯粒子が形成された後に、その芯粒子が分散した分散液中のpHを酸性側にシフトさせる。
カラー画質はより高精細化が要求され、トナーはより小粒径化が求められる。pH調整をせずにそのまま昇温、加熱処理を続けると、凝集した粒子は各粒子が集まりつつある葡萄状から、球形状に進行するが、そのとき粒径もやや大きくなる傾向にある。また、ポリマー系分散剤を使用した着色剤では、凝集が早く進行し、樹脂粒子、ワックス粒子との凝集速度のバランスを取ることができるが、凝集した粒子の粒径がやや大きめになり、より小粒径粒子生成を得るためには工夫が必要と場合がある。そこで、このpH調整により粒径が大きくなることを防ぎながら、加熱処理を続けることができ、芯粒子を球形状にすることができる。さらには後述するシェル樹脂を付着溶融させる際、その付着がより良好に行え、芯粒子に付着せずに浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑制する効果が得られる。
また、使用する凝集剤とコア樹脂とが凝集反応時に架橋構造を形成して定着時に低温での定着強度が低下する傾向になる場合があるが、本願の酸性側にシフトさせる工程により、架橋構造を一部または全部の構造を解消することにより低温定着性を良化させる効果が得られる。
前述したように、所定の体積平均粒径の芯粒子が形成されたときの芯粒子分散液中のpHは7.0〜9.5の範囲であり、ここからさらに酸性側に0.5〜5シフトさせて、pHを2〜9の範囲に保持することが好ましい。好ましくは酸性側に1.5〜4シフトさせてpHは3〜8に保持させる。さらに好ましくは酸性側に2.5〜3シフトさせてpHは4〜7に保持する。
芯粒子生成の好ましい一実施形態として、水系媒体中において、樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合して混合分散液を生成する。そしてこの混合分散液を加熱し、混合分散液の液温度が一定の温度に達した後に、この混合分散液に凝集剤として水溶性無機塩を添加する方法も好ましい。
混合分散液の温度が一定以上に達した状態で凝集剤を添加することにより、凝集が昇温時間とともに緩慢になる現象をさけられ、凝集剤の添加と共に凝集反応が一気に進行し、短時間に芯粒子の生成が可能となる。また、ワックス粒子と着色剤粒子を均一に内包化した小粒径で狭い粒径分布の芯粒子形成が可能となる。
前記樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合液を生成し、加熱処理後に凝集剤を添加する工程により、前記芯粒子を生成するのも好ましい。また、前記樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合した混合分散液の水温が、前記ワックスの融点以上に到達後に凝集剤を添加するのも好ましい。
また、後述するように融点の異なるワックスを併用して使用する場合、昇温の過程で、低融点のワックスが先に溶融が開始され、昇温が進行すると、次には高融点のワックスの溶融が開始され、凝集が開始されるため、低融点ワックス粒子同士や、高融点粒子ワックス同士の凝集体の生成を防ぐためにも有効な方法である。芯粒子中でワックスの偏在を防止して、芯粒子の粒度分布が広くなったり形状の分布が不均一になることを防ぐことができる。
添加する凝集剤は一定の水濃度を有する水溶性無機塩を含有した水溶液を使用するが、その水溶液のpH値を調整した後に、少なくとも第一の樹脂粒子を分散させた第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合した混合分散液中に添加することも好ましい。
凝集剤を含んだ水溶液のpH値を一定値に調整することにより、凝集剤としての粒子の凝集作用をより高めることができるものと考えられる。混合分散液のpH値と一定の関係を持たせることが好ましく、混合分散液にpH値が離れた凝集剤水溶液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、凝集粒子が粗大化したり、ワックスの分散が不均一になりやすい。このような現象を抑えるために、凝集剤水溶液のpHを調整することが効果的である。
樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液を混合した混合分散液を加熱処理し、凝集剤を含む水溶液の添加前の混合分散液のpH値をHGとすると、凝集剤を含む水溶液のpH値は、HG+2〜HG−4の範囲に調整して添加するのが好ましい。好ましくはHG+2〜HG−3の範囲、より好ましくはHG+1.5〜HG−2の範囲、さらに好ましくはHG+1〜HG−2の範囲とする。
混合分散液にpH値が離れた凝集剤水溶液を添加すると、液のpHのバランスが急に乱されるため、凝集反応が遅れて進行しずらくなったり、凝集粒子が粗大化しやすくなりやすい。このような現象を抑えるために、凝集剤水溶液のpHを調整することが効果的である。凝集剤を含む水溶液のpH値を混合分散液のpH値よりも低くすることがより好ましい。HG−4以上HG+2以下とすることで、凝集剤としての粒子の凝集作用をより高められ、凝集反応を加速でき、凝集粒子が粗大化したり、粒度分布がブロードになる現象を抑える効果がある。
凝集剤を添加する時期としては、樹脂粒子分散液と、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液の温度が、後述するDSC法により測定されるワックスの融点以上に到達後に凝集剤を添加することが好ましい。ワックスの溶融が開始されている状態で、凝集剤を添加することにより、溶融するワックス粒子と、樹脂粒子及び前述した方法が着色剤粒子の凝集が一気に進行し、さらに加熱処理続けることでワックス粒子、樹脂粒子の溶融が進行して粒子形成されると思われる。
このとき、混合分散液の温度がワックスの特定温度に達した時点で凝集剤を添加することにより粒子の凝集が進行し、その後0.5〜5時間、好ましくは0.5〜3時間、より好ましくは1〜2時間加熱処理することにより所定の粒度分布の芯粒子が生成される。加熱処理はワックスの特定温度をキープしたままでも良いが、好ましくは80〜95℃、より好ましくは90〜95℃で加熱する。凝集反応を加速でき、処理時間の短縮につながる。
また、分散液中のpHを酸性側にシフトさせる場合には、硫酸マグネシウム等の凝集剤の滴下であれば一定幅でシフトさせることができる。さらに硫酸等を追加滴下することにより調整が可能である。調整の時期としては、凝集剤の滴下時、または凝集剤の滴下終了後である。
さらに、後述するようにワックスを2種類以上含む場合には、低い方の融点を有するワックスの方の特定温度に調整することが好ましい。より好ましくは高い方の融点を有するワックスの特定温度に調整することが好ましい。ワックス粒子の溶融が開始されている温度状態で凝集剤を添加することが効果的である。
凝集剤の添加は、全量一括して添加するのもよいが、凝集剤の滴下を1〜120minの時間を要して滴下するのも好ましい。分割しながらでもよいが、好ましくは連続した滴下が好ましい。加熱された混合分散液に凝集剤を一定速度で滴下することにより、反応釜内にある混合分散液全体に凝集剤が徐々に均一に混ざりあうことになり、偏在により粒度分布がブロードになったり、ワックスや着色剤の浮遊粒子の発生を抑制する効果がある。また混合分散液の液温度の急激な低下を抑えることができる。好ましくは5〜60min、より好ましくは10〜40min、さらに好ましくは15〜35minである。1min以上により芯粒子の形状が過度に不定形に進まず、安定した形状が得られる。120min以下とすることで、着色剤やワックス粒子の凝集に加わらずに単独で浮遊する粒子の存在を抑える効果が得られる。
樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子の総和100重量部に対し、凝集剤は1〜50重量部滴下するのが好ましい。好ましくは5〜25重量部、より好ましくは5〜20重量部、さらに好ましくは10〜15重量部である。少ないと凝集反応が進行せず、多すぎると生成粒子が粗大化する傾向にある。
混合分散液は、樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液以外に液中の固体濃度を調整するために、イオン交換水を添加してもかまわない。液中の固体濃度は5〜40wt%が好ましい。
また凝集剤としては、水溶性無機塩をイオン交換水等で一定濃度に調整して使用することも好ましい。凝集剤水溶液の濃度は5〜50wt%が好ましい。
樹脂粒子分散液を作成する際に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤であり、ワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤とするのが好ましい。これは、樹脂粒子分散液及びワックス粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜100wt%有することが好ましいことを表す。より好ましくは60〜100wt%、さらに好ましくは60〜90wt%である。
また、樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合物であり、かつワックス粒子分散液に用いる界面活性剤の主成分を非イオン界面活性剤とするのが好ましい。樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜95wt%有することが好ましい。より好ましくは55〜90wt%、さらに好ましくは60〜85wt%である。
このような樹脂粒子、ワックス粒子及び前述した着色剤粒子を用いて、水系媒体中で凝集剤を作用させると、まず樹脂粒子が凝集を開始して核ができる。次に、着色剤粒子が樹脂粒子の核の周りに凝集を始める。最後にワックス粒子が凝集して着色剤粒子を樹脂粒子とともに挟んだようにして包み込む。樹脂粒子は着色剤粒子やワックス粒子に比べて、重量濃度として、通常数倍以上添加するので、さらにワックス粒子の上にも樹脂粒子のみの核が凝集し、最表面が樹脂で覆われたトナーが形成されると推定される。このようなメカニズムで水系中で凝集にかかわらない浮遊した着色剤粒子やワックス粒子の存在をなくし、小粒径でかつ均一で狭い範囲でシャープな粒度分布を有する芯粒子を形成できると考えられる。
芯粒子が分散した芯粒子分散液に、第二の樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液を添加混合し、加熱処理して芯粒子に、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着させてトナー母体粒子を生成するのも好ましい。芯粒子に使用する樹脂粒子を第一の樹脂粒子と称する場合がある。
本発明のトナーには、顔料およびワックスはトナーの内部に取り込まれているが、最表面に微量の顔料およびワックスが存在する可能性もあり、第二の樹脂粒子を芯粒子に融着層(シェル層と称することもある)を形成することで帯電の安定化に対する効果を得ることできる。また、トナーの高温状態での貯蔵安定性を高める観点から、ガラス転移点(Tg(℃))の高い樹脂粒子を、高温での耐オフセット性を確保する観点から、高分子量の乳化樹脂微粒子を、帯電安定性の観点から電荷調整剤を含有した樹脂粒子をシェル層として形成しても望ましい。
芯粒子分散液に第二の樹脂粒子分散液を滴下する条件として、生成された芯粒子量100重量部に対し、第二の樹脂粒子の滴下速度が、0.14重量部/min〜2重量部/minの滴下条件で滴下して生成するのが好ましい。好ましくは0.15重量部/min〜1重量部/min、さらに好ましくは、0.2重量部/min〜0.8重量部/minである。第二の樹脂粒子分散液の添加時期は、芯粒子が所定の粒径に達したら、そのまま添加される。添加は順次滴下が好ましい。所定全量を一気に添加したり、2重量部/minを超えると第二の樹脂粒子のみ同士の凝集が生じやすく、粒度分布がブロードになりやすい。また、投入量が多くなると、液温度が急激に低下し凝集反応の進行が止まることになり、第二の樹脂粒子の一部が芯粒子への付着に加わらずに水系中で浮遊した状態で残ってしまう場合がある。また、0.14重量部/minよりも少ないと、第二の樹脂粒子の一部が芯粒子への付着する量が減量し、加熱を続けていく際に、芯粒子同士の凝集が生じて、粒子が粗大化、粒度分布がブロードになりやすい。第二の樹脂粒子分散液の滴下条件を適正化することで、芯粒子同士の凝集や第二の樹脂粒子のみ同士の凝集を防いで、小粒径で粒度分布の狭い粒子の生成を可能とする。
生成された芯粒子が分散された芯粒子分散液の液温度の変動を10%以内に抑えるように、第二の樹脂粒子分散液を滴下するのも好ましい。シェル樹脂粒子を芯粒子に融着させる工程において、芯粒子分散液に、シェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液を添加し、加熱処理して芯粒子に、シェル樹脂粒子を芯粒子に融着させる樹脂融着層を形成する際の条件として、シェル樹脂粒子分散液のpH値を一定範囲に調整した後に添加することが好ましい。
シェル樹脂粒子分散液のpH値を一定範囲に調整してシェル樹脂粒子分散液を添加することにより、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑え、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着を良好なものとし、あるいは芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えることができる。
シェル樹脂粒子分散液のpH値を一定範囲に調整する工程において、アルカリ状態に調整したシェル樹脂粒子分散液のpH値は7.5〜10.5の範囲とすることが好ましい。好ましくは8.5〜10、より好ましくは9〜9.5である。シェル樹脂粒子分散液を上記したアルカリ状態に調整することで、シェル樹脂同士が凝集した白粒子の発生及び、芯粒子同士が凝集した二次粒子の発生を抑え、シェル樹脂を芯粒子への付着を促進させることができる。
また、pH値をアルカリ状態に調整したシェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液を、pH値が7以下2以上の範囲にある芯粒子分散液に添加することが好ましい。芯粒子分散液のpH値を上記した範囲とすることで、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着を促進させ、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑え、芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えて、小粒径で狭い粒度分布を形成することが可能となる。また、芯粒子分散液のpH値を7以下として酸性状態とすることにより、凝集剤として例えば硫酸マグネシウムを使用した場合、残存する水酸化マグネシウムを除去する効果が得られる。水酸化マグネシウムが残留すると、トナーが高湿度下に放置した時に水分を吸湿する傾向にあるため、吸収を抑えることができる。
さらに、シェル樹脂粒子分散液のpH値と、芯粒子分散液のpH値とを一定の関係を持させることで、水系中のpHのバランスを一部乱すことで、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着を促進させ、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑え、さらには芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えることができる。
芯粒子分散液のpH値は7以下2以上の範囲とし、かつシェル樹脂粒子分散液のpH値を7.5〜10.5に調整した後に添加することで、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着を促進させ、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生を抑え、芯粒子同士の二次凝集の発生を抑えて、小粒径で狭い粒度分布を形成することが可能となる。
芯粒子分散液のpH値が2未満であり、かつシェル樹脂粒子分散液のpH値が7.5未満であると、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着が進行せず、シェル樹脂粒子は芯粒子への融着に加わらず、浮遊したままの状態となる傾向にある。芯粒子分散液のpH値が7を超え、かつシェル樹脂粒子分散液のpH値が10.5を超えると、芯粒子へのシェル樹脂粒子の付着が進行せず、生成される粒子が粗大化する傾向にある。pH値の調整には水酸化ナトリウムや塩酸溶液を添加することで調整することができる。
これらのシェル樹脂粒子分散液及び芯粒子分散液のpH値を一定関係に保つことが好ましく、シェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液のpH値は、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値よりも高い値、つまりよりアルカリ状態に調整して添加することが好ましい。
シェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液のpH値は、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値よりも0.5以上高くすることが好ましい。より好ましくは1以上、さらに好ましくは2以上、好ましくは5以下である。芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値よりも0.5未満であると、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子の発生が増える傾向にある。逆に差が5を超えると、融着に加わらない浮遊するシェル樹脂粒子が発生するとともに、芯粒子同士の二次凝集が発生し、生成される粒子が粗大化する傾向にある。
シェル樹脂粒子を分散させたシェル樹脂粒子分散液のpH値が、芯粒子が分散した芯粒子分散液のpH値よりも低い値のときも、シェル樹脂粒子の発生が増える傾向にあり、液は白濁したままの状態が続く。
また、芯粒子表面に第二の樹脂粒子が付着させた後、さらに水系中のpHを3.2〜6.8の範囲に調整した後、第二の樹脂粒子のガラス転移点温度以上の温度で0.5〜5時間加熱処理する方法を採ることも好ましい。このpH値の範囲とすることにより、芯粒子相互の二次凝集を抑制しながら、かつ粒子形状の表面平滑性をより進めることができる。また凝集剤として添加する水溶性無機塩である硫酸マグネシウムを使用した系において、一部アルカリ性で凝集反応が進行することで生成される水酸化マグネシウムを酸状態で酸化し、水溶性として除去させることでトナーが水を吸収しやすくなる現象である吸湿を下げる効果も得られる。
トナーの耐久性、貯蔵安定性、高温非オフセット性を良好なものとするため、第二の樹脂粒子の融着した樹脂層の厚さは0.5μm〜2μmが好ましい。これよりも薄いと貯蔵安定性、高温非オフセット性の効果が発揮せず、厚いと低温定着性が阻害される。
第二の樹脂分散液に用いる界面活性剤の主成分を非イオン界面活性剤とするのが好ましく、さらには、第二の樹脂粒子分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合とするのも好ましく、このときには非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して、50〜95wt%有することが好ましい。より好ましくは55〜90wt%、さらに好ましくは、60〜85wt%である。50wt%以上とすることで、芯粒子に対する第二の樹脂粒子微粒子の付着を促進させることができる。95wt%以下とすることにより、で樹脂粒子分散液中の樹脂粒子自体の分散を安定させる効果がある。
凝集反応に使用する好ましい反応釜としてガラスライニング処理したステンレススチール(SUS)製の釜で、分散液を攪拌するための攪拌羽根としては特に限定はしないが、深さ方向に幅の広い翼形状(平板翼)が有効である。その平板翼としては、住友重機社製商品名マックスブレンド翼や神鋼パンテック社製商品名フルゾーン翼などが有効である。
マックスブレンド翼の構成を図7に概略図、図8に上から見た平面図を示す。また、フルゾーン翼の構成を図9に概略図、図10に上から見た平面図を示す。301は軸で図示しない攪拌モータにつながれている。302は攪拌槽、303は液の水面、304は平面マックスブレンド翼で翼内に305の孔が設けられて、液の攪拌強度の調整の役目をしている。306は平面の長方形翼、その下部に攪拌翼307が設けられ、先端部において約130度程度屈曲されている。308は攪拌翼の長さを示している。
攪拌翼の回転速度は、分散液中の粒子濃度や、目的とする粒径により変動するが、好ましくは0.5〜2.0m/sである。より好ましくは0.7〜1.8m/s、さらに好ましくは1.0〜1.6m/sである。低速になりすぎると生成される粒子の粒径が大きく、かつ粒度分布が広がる傾向にある。高速になりすぎると、粒子の凝集が阻害され、形状が不定形になりやすく、粒子生成ができにくくなる。
コアとシェルの着色粒子が形成された後、任意の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を経て、トナー母体粒子を得ることができる。この洗浄工程においては、帯電性を向上させる観点より、イオン交換水による洗浄を行うのが好ましい。また、酸とアルカリを使用して洗浄する方法も好ましい。
固液分離工程における分離方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、吸引濾過法や加圧濾過法などの公知のろ過方法が好ましく挙げられる。
乾燥工程における乾燥方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、フラッシュジェット乾燥方法、流動乾燥方法、及び振動型流動乾燥方法などの公知の乾燥方法が好ましく挙げられる。
凝集剤としては、水溶性無機塩が選択され、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。イオン交換水等で一定濃度に調整して使用することも好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、他価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤が特に好ましく使用できる。
水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記極性を有する分散剤における前記極性界面活性剤の含有量としては、一概に規定することはできず、目的に応じて適宜選択することができる。
また非イオン界面活性剤と、イオン型界面活性剤とを併用する場合には、極性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(2)ワックス
定着ローラにオイルを使用しないオイルレス定着において、低温定着性、高温非オフセット性、又は定着時に溶融したトナーが載った複写用紙等の転写媒体の加熱ローラ等との分離性改良のため、さらには低温定着、高温耐オフセット性及び高温下での貯蔵安定性の相矛盾する定着特性のマージンを拡大し、その機能性向上のため、ワックスを添加するのが好ましく、さらには複数のワックスを添加することが好ましい。
ワックスは少なくとも、吸熱ピーク温度が50〜90℃のワックスを含む。低温定着実現のため低融点のワックスを使用することが好ましい。好ましくは55〜85℃、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは68〜74℃である。50℃以上とすることで貯蔵安定性を向上させ、90℃以下とすることで低温定着性、カラー光沢性を向上できる。
また、ワックスの好ましい一実施形態として、複数のワックスを添加するのが好ましい。その好ましい第一のワックス形態として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃)と称す)が50〜90℃で、かつ第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が80〜120℃とする。Tmw1は好ましくは55〜85℃、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは、68〜74℃である。Tmw2はより好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。
融点の異なるワックスの使用により、ワックスの機能を分離することで、低温定着及び高温耐オフセット性を両立し定着温度領域の広い特性を得ることができる。
また、前述した特定の分散剤を使用したワックス粒子分散剤により、芯粒子を生成する際、凝集を均一に進行させ、凝集に加わらずに浮遊するワックス粒子や着色剤粒子を低減して、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成に対して効果的である。
Tmw1が50℃未満であると、生成する芯粒子が粗大化しやすく、また貯蔵安定性が悪化する傾向にある。90℃を超えると、低温定着性、カラー光沢性が向上しない傾向にある。
Tmw2が80℃未満であると、高温非オフセット性及び紙の分離性が弱くなる傾向にある。120℃を超えると、ワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加し、形状が不均一になりやすい傾向にある。
また、複数のワックスを使用する形態において、好ましい第ニの形態として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスが、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルワックスを含み、かつ第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含むことが好ましい。
また、複数のワックスを使用する形態において、好ましい第三の形態として、ワックスが少なくとも第一のワックス及び第二のワックスを含み、第一のワックスが、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含み、第二のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含む。
ワックスとして好ましい第二の形態又は第三の形態において、第一のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))が50〜90℃であり、55〜85℃が好ましく、より好ましくは58〜85℃、さらに好ましくは、68〜74℃である。
50℃未満であると、トナーの貯蔵安定性、耐熱性が悪化する傾向にある。90℃を超えるとワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集に加わらない遊離粒子が増加し、また低温定着性、光沢性が向上しない傾向にある。
また、第二のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が80〜120℃であり、好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃である。80℃未満であると、貯蔵安定性が悪化、高温非オフセット性及び紙の分離性が弱くなる傾向にある。120℃を超えると、ワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集に加わらない遊離粒子が増加し、また、低温定着性、カラー透光性が阻害される傾向にある。
ワックスとして好ましい第二又は第三の形態において、ワックスとして、特定の脂肪族炭化水素系ワックスを含む第二のワックスとともに、特定のワックスを含む第一のワックスを含むワックスを使用することにより、脂肪族炭化水素系ワックスが芯粒子中に凝集されずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑え、さらにはシェル化する際に芯粒子が急激に粗大化する現象を抑制することができる。
加熱凝集の際、第一のワックスが樹脂と相溶化が進むことで、脂肪族炭化水素系ワックスの樹脂との凝集が助長され、均一に取り込まれ、凝集に加わらずに浮遊する粒子の発生を防止することが出来るものと思われる。さらには、第一のワックスは樹脂と相溶化が一部進むことで、低温定着性がより向上する傾向にある。そして、脂肪族炭化水素系ワックスは樹脂との相溶化は進みにくいため、このワックスは高温オフセット性や紙との分離性を良化する機能を発揮させることが出来る。つまり、この第一のワックスは脂肪族炭化水素系ワックスの乳化分散処理時の分散助剤としての機能、更には低温定着助剤としての機能を有することになる。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、融点の異なるワックス粒子を水系中にて第一の樹脂粒子、着色剤粒子と凝集させて芯粒子を形成する際に、第一のワックス、第二のワックスそれぞれ別々に乳化分散処理した分散液を、樹脂分散液及び着色剤分散液と混合して、加熱凝集させると、ワックスの溶融速度の差から、ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在や、芯粒子の凝集が進まずに粒度分布がブロードになる傾向にある。ワックスがトナー中に均一に取り込まれ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子形成が困難になる傾向にある。また、芯粒子に第二の樹脂を溶融付着させる(以下シェル化と称する場合もある)際に、生成粒子が急激に粗大化する傾向にある。
そこで、ワックス粒子分散液生成において、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化分散処理して作成することが好ましい。乳化分散装置内に第一のワックスと第二のワックスを一定配合比で加熱乳化分散処理する方法である。投入は別々でも同時でもかまわないが、最終的に得られる分散液には、第一のワックスと第二のワックスが混合した状態で含まれていることが好ましい。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、ワックス粒子分散液中のワックス100重量部に対する第一のワックス重量割合をES1、第二のワックスの重量割合をFT2とすると、FT2/ES1が0.2〜10が好ましい。より好ましくは1〜9、更に好ましくは1.5〜3の範囲である。0.2未満、すなわち第一のワックス重量割合が多くなりすぎると、高温非オフセット性の効果が得られず、また貯蔵安定性が悪化する傾向となる。10を超える、すなわち第二のワックス重量割合が多くなりすぎると、低温定着が実現できず、また上記した芯粒子が粗大化しやすい傾向となる。さらにFT2の配合割合をES1に対して1.5倍以上3倍以下とすることは、低温定着性、高温貯蔵安定性及び定着高温非オフセット性の両立できるバランスの良い割合である。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、ワックス、特に脂肪族炭化水素系ワックスを、陰イオン界面活性剤により処理すると分散安定性は向上するが、芯粒子の凝集の際、芯粒子が粗大化してシャープな粒度分布の粒子が得にくい。
そこで、ワックス粒子分散液が、非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤により、第一のワックスと第二のワックスを混合乳化分散処理して作成することが好ましい。非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤により混合して分散処理して乳化分散液を作成することにより、ワックス自体の凝集が抑制され分散安定性が向上する。そしてこれらのワックスを樹脂、着色剤分散液との凝集粒子作成において、ワックスの遊離がなく、小粒径でかつ狭い粒度分布の芯粒子を形成することができる。
主成分とする界面活性剤は、ワックス粒子分散液に用いる界面活性剤のうち、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して50〜100wt%有することが好ましい。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、全ワックス添加量は結着樹脂100重量部に対して、5〜30重量部が好ましい。より好ましくは8〜25重量部、さらに好ましくは10〜20重量部である。5重量部未満であると、低温定着性、高温非オフセット性、紙の分離性の効果が発揮されない傾向となる。30重量部を超えると小粒径の粒子制御が困難になる傾向となる。
ワックスとして好ましい第一、第二又は第三の形態において、Tmw2が、Tmw1よりも5℃以上50℃以下とするのが好ましい。より好ましくは10℃以上40℃以下、さらに好ましくは、15℃以上35℃以下とする。前記の範囲であれば、複数のワックスの機能を効率よく分離でき、低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離性を両立させる効果がある。前記の差が5℃未満になると低温定着性、高温非オフセット性及び紙の分離不良を両立させる効果が出にくくなる傾向となる。前記差が50℃を超えると、第一のワックスと第二のワックスが相分離し、トナー粒子中に均一に取り込まれにくくなる傾向となる。
好ましい第一のワックスとしては、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルを少なくとも1種含む。このワックスを使用することにより、脂肪族炭化水素系ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑え、さらにはシェル化する際に芯粒子が急激に粗大化する現象を緩和することができる。また低温定着化を進めることが出来る。第二のワックスとの併用により、高温非オフセット性、紙の分離性とともに粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。
アルコール成分としては、メチル、エチル、プロピル又はブチル等のモノアルコールの外、エチレングリコール又はプロピレングリコール等のグリコール類又はその多量体、グリセリン等のトリオール類又はその多量体、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ソルビタン又はコレステロール等が好適である。これらのアルコール成分が多価アルコールである場合の前記高級脂肪酸は、モノ置換体であってもよいし、多価置換体であってもよい。
具体的には、(1)ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、(2)ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、(3)モンタン酸モノエチレングリコールエステル、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリド、モノベヘン酸グリセリド、トリパルミチン酸グリセリド、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジリノレート、ペンタエリスリトールトリオレエート又はペンタエリスリトールテトラステアレート等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル類、若しくは、(4)ジエチレングリコールモノベヘネート、ジエチレングリコールジベヘネート、ジプロピレングリコールモノステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド、ヘキサベヘン酸テトラグリセリド又はデカステアリン酸デカグリセリド等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステル類などが好適に挙げられる。これらのワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール成分及び/又は酸成分の炭素数は16未満であると分散助剤としての機能が発揮しにくく、24を越えると低温定着助剤としての機能が発揮しにくくなる。
また、好ましい第一のワックスとして、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含む。第二のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。ヨウ素価を規定することで、ワックスの分散安定性を向上させる効果が得られ、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一にでき、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子形成を可能とする。好ましくはヨウ素価が20以下、けん化価が30〜200、より好ましくはヨウ素価が10以下、けん化価が30〜150である。
ヨウ素価が25を超えると、逆に分散安定性がよくなりすぎ、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一に行えず、凝集に加わらないワックスの浮遊粒子が増え、粒子の粗大化、ブロードな粒度分布になりやすい傾向となる。浮遊粒子がトナーに残留してしまうと、感光体等のフィルミングを生じさせる。一次転写でのトナー多層転写時にトナーの電荷作用による反発が緩和されにくくなる。けん化価が30未満になると、小粒径の均一な芯粒子形成が困難となり、また感光体フィルミング、トナーの帯電性の悪化を生じ、連続使用時の帯電性の低下を招く傾向となる。けん化価が300を超えると水系中での浮遊物が増大し、またカブリやトナー飛散の増大を招く傾向となる。
ヨウ素価、けん化価を規定したワックスの220℃における加熱減量は8重量%以下であることが好ましい。加熱減量が8重量%を超えると、トナーのガラス転移点を低下させ、トナーの貯蔵安定性を損なう傾向となる。また現像特性に悪影響を与え、カブリや感光体フィルミングを生じさせる傾向となる。生成されるトナーの粒度分布がブロードになってしまう傾向となる。
ヨウ素価、けん化価を規定したワックスのゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)における分子量特性、数平均分子量が100〜5000、重量平均分子量が200〜10000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜8、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜10、分子量5×102〜1×104の領域に少なくとも一つの分子量極大ピークを有していることが好ましい。より好ましくは数平均分子量が500〜4500、重量平均分子量が600〜9000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜7、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜9、さらに好ましくは数平均分子量が700〜4000、重量平均分子量が800〜8000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜6、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜8である。
数平均分子量が100未満であり、重量平均分子量が200未満であり、分子量極大ピークが5×102未満であると貯蔵安定性が悪化し、また感光体フィルミングを生じやすくなる傾向となる。生成されるトナーの粒度分布がブロードになりやすい傾向となる。
数平均分子量が5000を超え、重量平均分子量が10000を超え、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が8を超え、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が10を超え、分子量極大ピークが1×104の領域を超えると、低温定着性が低下する傾向となる。ワックスの乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒径を小さくできない傾向となる。
第一のワックスとしては、メドウフォーム油誘導体、カルナウバワックス誘導体、ホホバ油誘導体、木ロウ、ミツロウ、オゾケライト、カルナウバワックス、キャンデリアワックス、セレシンワックス又はライスワックス等の材料も好ましく、またこれらの誘導体も好適に使用される。そして一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
メドウフォーム油誘導体としては、メドウフォーム油脂肪酸、メドウフォーム油脂肪酸の金属塩、メドウフォーム油脂肪酸エステル、水素添加メドウフォーム油又はメドウフォーム油トリエステルも好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散液を作成することができる。オイルレス定着における低温定着性と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
メドウフォーム油をけん化分解して得られるメドウフォーム油脂肪酸は4〜30個の炭素原子を有する脂肪酸からなるものが好ましい。その金属塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、マンガン又はアルミニウムなどの金属塩が使用することが出来る。高温非オフセット性が良好である。
メドウフォーム油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチル、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール又はトリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル又はメドウフォーム油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。低温定着性に効果がある。
水素添加メドウフォーム油はメドウフォーム油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。低温定着性、光沢性を向上できる。さらには、メドウフォーム油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物とを、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)等のイソシアネートで架橋して得られるメドウフォーム油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ホホバ油誘導体としては、ホホバ油脂肪酸、ホホバ油脂肪酸の金属塩、ホホバ油脂肪酸エステル、水素添加ホホバ油、ホホバ油トリエステル、エポキシ化ホホバ油のマレイン酸誘導体、ホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物、ハロゲン化変性ホホバ油も好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散液を作成することができる。樹脂とワックスの均一混合分散が行いやすい。オイルレス定着における低温定着性と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
ホホバ油をけん化分解して得られるホホバ油脂肪酸は4〜30個の炭素原子を有する脂肪酸からなる。その金属塩はナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛又はアルミニウムなどの金属塩が使用することが出来る。高温非オフセット性が良好である。
ホホバ油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチル、グリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、ホホバ油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。低温定着性に効果がある。
水素添加ホホバ油はホホバ油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。低温定着性、光沢性を向上できる。さらには、ホホバ油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物を、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジシソシアネート(MDI)、等のイソシアネートで架橋して得られるホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ケン化価は、試料1gをけん化するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。ワックスの場合、そのエステル結合を切断するために必要なアルカリ量がケン化価であり、ケン化価が高いワックスは、エステル結合の数が多いことを意味し、低い場合は、不ケン化物、炭化水素などの存在が多いことが考えられる。ケン化価値を測定するには約0.5Nの水酸化カリウムのアルコール溶液中で試料をケン化する。
ヨウ素価は試料にハロゲンを作用させたときに、吸収されるハロゲンの量をヨウ素に換算し、試料100gに対するg数で表したものをいう。吸収されるヨウ素のグラム数であり、この値が大きいほど試料中の脂肪酸の不飽和度が高いことを示す。試料のクロロホルム又は四塩化炭素溶液にヨウ素と塩化水銀(II)のアルコール溶液又は塩化ヨウ素の氷酢酸溶液を加えて、放置後反応しないで残ったヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定して吸収ヨウ素量を算出する。
加熱減量の測定は試料セルの重量を0.1mgまで精秤(W1mg)し、これに試料10〜15mgを入れ、0.1mgまで精秤する(W2mg)。試料セルを示差熱天秤にセットし、秤量感度を5mgにして測定開始する。測定後、チャートにより試料温度が220℃になった時点での重量減を0.1mgまで読み取る(W3mg)。装置は、真空理工製TGD−3000、昇温速度は10℃/min、最高温度は220℃、保持時間は1minで、加熱減量(%)=W3/(W2−W1)×100、で求められる。
ワックスの示差走査熱量計(DSC)による吸熱ピーク温度(融点℃)、オンセット温度の測定は、TAインスツルメンツ社製、Q100型(冷却には純正の電気冷凍機を使用)を使用し、測定モードを「標準」、パージガス(N2)流量を50ml/minで、電源投入後、測定セル内の温度を30℃に設定し、その状態で1時間放置した後,純正のアルミパンに被測定試料をサンプル量として10mg±2mg入れ、試料が入ったアルミパンを測定機器内に投入した。その後5℃で5min間保持し、昇温速度1℃/minで150℃まで昇温した。解析は、装置に付属の"Universal AnalysisVersion 4.0"を使用した。グラフにおいて、横軸に槽内温度、縦軸にヒートフローを取り、ベースラインから吸熱曲線が立ち上がり始める温度をオンセット温度、吸熱曲線のピーク値を吸熱ピーク温度(融点)とした。
また、第一のワックスとして前述したワックスに代わって、又は併用してヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステルの材料も好ましく、一種類又は二種類以上組合せての使用も有効である。均一な乳化分散の小粒径芯粒子の作成が可能となり、第二のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子の生成が可能となる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体としては、12−ヒドロキシステアリン酸メチル、12−ヒドロキシステアリン酸ブチル、プロピレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアラート又はエチレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温定着性、紙の分離性改良効果と、感光体フィルミング防止効果がある。
グリセリン脂肪酸エステルとしてはグリセリンステアラート、グリセリンジステアラート、グリセリントリステアラート、グリセリンモノパルミタート、グリセリンジパルミタート、グリセリントリパルミタート、グリセリンベヘナート、グリセリンジベヘナート、グリセリントリベヘナート、グリセリンモノミリスタート、グリセリンジミリスタート又はグリセリントリミリスタート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温時のコールドオフセット性緩和と、転写性低下防止効果がある。
グリコール脂肪酸エステルとしては、プロピレングリコールモノパルミタート若しくはプロピレングリコールモノステアラート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、又はエチレングリコールモノステアラート若しくはエチレングリコールモノパルミタート等のエチレングリコール脂肪酸エステルが好適な材料である。低温定着性、現像での滑りを良くしキャリアスペント防止の効果がある。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタントリパルミタート又はソルビタントリステアラートが好適な材料である。さらには、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、アジピン酸とステアリン酸又はオレイン酸の混合エステル類等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。オイルレス定着における紙の分離性改良効果と、感光体フィルミング防止効果がある。
第二のワックスとしては、ポリプロピレンワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス又はフィッシャートトプッシュワックス等の脂肪酸炭化水素系ワックスが好適に使用できる。
また、ワックスを混合凝集時に脱離浮遊させず、均一に樹脂中に内包化するためには、ワックスの分散粒度分布、ワックスの組成、ワックスの溶融特性も影響される。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水系媒体中にワックスをイオン交換水中で加熱し、溶融させ分散させることにより調製される。
ワックスの分散粒子径は小粒径側から積算したときの体積粒径積算分布において16%径(PR16)が20〜200nm、50%径(PR50)が40〜300nm、84%径(PR84)が400nm以下、PR84/PR16が1.2〜2.0の大きさにまで乳化分散し、200nm以下の粒子が65体積%以上、500nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
好ましくは、16%径(PR16)が20〜100nm、50%径(PR50)が40〜160nm、84%径(PR84)が260nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。150nm以下の粒子が65体積%以上、400nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。さらに好ましくは、16%径(PR16)が20〜60nm、50%径(PR50)が40〜120nm、84%径(PR84)が220nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。130nm以下の粒子が65体積%以上、300nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
樹脂粒子分散液と着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合凝集して芯粒子を形成するとき、50%径(PR50)が40〜300nmと微細分散とすることにより、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれやすくワックス自体同士での凝集を防止でき、分散が均一に行える。樹脂粒子に取り込まれ水中に浮遊する粒子をなくすことができる。
さらに芯粒子を水系中で加熱して溶融した芯粒子を得る際に、表面張力の関係から溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を取り囲み、包含する形となり、樹脂中に離型剤が内包されやすくなる。
PR16が200nmを超え、50%径(PR50)が300nmを超え、PR84が400nmを超え、PR84/PR16が2.0を超え、200nm以下の粒子が65体積%未満、500nmを越える粒子が10体積%を超えると、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれにくくワックス自体同士のみでの凝集が多発する傾向となる。また、芯粒子に取り込まれず、水中に浮遊する粒子が増大する傾向にある。芯粒子を水系中で加熱して溶融した芯粒子を得る際に、溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を包含する形となりにくく、樹脂中にワックスが内包されにくくなる。さらに樹脂を付着融合させる際にトナー母体表面に露出遊離するワックス量が多くなり、感光体へのフィルミング、キャリアへのスペントの増加、現像でのハンドリング性が低下し、また現像メモリーが発生しやすくなる。
PR16が20nm未満であり、50%径(PR50)が40nm未満であり、PR84/PR16が1.2未満であると、分散状態を維持しづらく、放置時にワックスの再凝集が発生し、粒度分布の放置安定性が低下する傾向となる。また分散時に負荷が大きくなり、発熱が大きくなり、生産性が低下する傾向となる。
ワックスの融点以上の温度に保持された分散剤を添加した媒体中に、前記ワックスをワックス濃度40wt%以下で溶融させたワックス溶融液を、固定体と一定のギャップを介して高速回転する回転体により生じる高せん断力作用により乳化分散させることにより、ワックス粒子を微細に分散できる。
図3、4に示す一定容量の槽内の槽壁に、0.1mm〜10mm程度のギャップを設けて、回転体を30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上の高速で回転することにより、水系に強力なずりせん断力が作用し、微細な粒径の乳化分散液が得られる。水温度はワックスの融点以上に加熱する。処理時間は30s〜5min程度の処理で分散液が形成できる。
また図5、6に示すような固定した固定体に対し、1〜100μm程度のギャップを設けて30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上で回転する回転体との強いせん断力作用を付加することにより、微細な分散液を作成することができる。
ホモジナイザーのような分散機よりも微細な粒子の粒度分布をより狭小化シャープに形成できる。また長時間の放置でも分散液を形成した微粒子が再凝集することなく、安定した分散状態を保つことができ、粒度分布の放置安定性が向上する。
ワックスの融点が95℃以上の高い場合は、高圧状態とすることで加熱温度をワックスの融点以上とすることにより溶融した液を作成する。又はワックスを油性溶剤に溶解させる。この溶液を図3〜6に示した分散機を用いて界面活性剤や高分子電解質と共に水中で微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより得られる。
粒度測定は堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)、島津製作所レーザ回折粒度測定器(SALD2100)などを用いて測定することができる。
(3)樹脂
本実施形態のトナーの樹脂微粒子としては、例えば熱可塑性結着樹脂が挙げられる。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する不飽和多価カルボン酸系単量体などの単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物等を挙げることができる。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビスー4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、や過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
樹脂粒子分散液における前記樹脂粒子の含有量としては、通常5〜50重量%であり、好ましくは10〜40重量%である。
ワックス、着色剤との凝集反応により凝集粒子(芯粒子と称することもある)生成において浮遊粒子の存在をなくし、シャープな粒度分布の粒子を形成するために、芯粒子を構成する第一の樹脂粒子のガラス転移点は45℃〜60℃、軟化点は90℃〜140℃が好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が45℃〜55℃、軟化点が90℃〜135℃、さらに好ましくは、ガラス転移点が45℃〜52℃、軟化点が90℃〜130℃であるのが好ましい。
また、第一の樹脂粒子の好ましい例として、重量平均分子量(Mw)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜6であるのが好ましい。好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜5万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3.9であるのが好ましい。さらに好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜3万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが1.5〜3であるのが好ましい。
第一の樹脂粒子,ワックスを含むことにより、芯粒子の粗大化を防ぎ、狭い粒度分布の粒子を効率よく生成することができる。また、低温定着性を可能とし、さらに画像光沢度の定着温度に対する変化を少なくし、画像光沢を一定に出来る効果がある。通常は定着温度上昇すると画像の光沢度が上昇するため、定着の温度変動により画像の光沢が変動して定着の温度制御をシビアにする必要があった。しかし本発明方法により定着温度の変動によっても画像光沢性の変動が少ない効果が得られる。
第一の樹脂粒子のガラス転移点が45℃未満であると、芯粒子が粗大化し、貯蔵安定性や耐熱性が低下する。60℃を超えると、低温定着性が悪化する。Mwが1万未満であると、芯粒子が粗大化し、貯蔵安定性や耐熱性が低下する。6万を超えると低温定着性が悪化する。Mw/Mnが6を超えると、芯粒子の形状が安定せず、不定形になりやすく、粒子表面に凹凸が残り、表面平滑性の劣るものとなる。
また、芯粒子に第二の樹脂粒子を芯粒子に融着して樹脂融着層を形成するのも好ましく、その樹脂として、ガラス転移点が55℃〜75℃、軟化点が140℃〜180℃、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された重量平均分子量(Mw)が5万〜50万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10であるのが好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が60℃〜70℃、軟化点が145℃〜180℃、Mwが8万〜50万、Mw/Mnが2〜7であるのが好ましい。さらに好ましくは、ガラス転移点が65℃〜70℃、軟化点が150℃〜180℃、Mwが12万〜50万、Mw/Mnが2〜5であるのが好ましい。
芯粒子表面の熱融着を促進し、軟化点を高め設定とすることにより、耐久性、耐高温オフセット性、分離性を向上させることができる。第二の樹脂粒子のガラス転移点が55℃よりも低いと二次凝集を生じやすい。また貯蔵安定性が悪化する。75℃よりも高いと、芯粒子表面への熱融着性が悪化し、均一付着性が低下する。第二の樹脂粒子の軟化点が140℃未満であると耐久性、耐高温オフセット性、分離性が低下する。180℃を超えると、光沢性、透光性が低下する。Mw/Mnを小さくして分子量分布を単分散に近づけることにより、芯粒子表面への第二の樹脂粒子の熱融着が均一に行うことが出来きる。第二の樹脂粒子のMwが5万未満であると、耐久性、高温非オフセット性、紙分離性が低下する。50万を超えると、低温定着性、光沢性、透光性が低下する。
また、第一の樹脂粒子はトナー全樹脂に対して60wt%以上であることが好ましく、より好ましくは70wt%以上、さらに好ましくは80wt%以上が好ましい。
ポリマー分散剤、樹脂、ワックス及びトナーの分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
装置は、東ソー社製HLC8120GPCシリーズ、カラムはTSKgel superHM−H H4000/H3000/H2000(6.0mmI.D.−150mm×3)、溶離液THF(テトラヒドロフラン)、流量0.6mL/min、試料濃度0.1%、注入量20μL、検出器RI、測定温度40℃、測定前処理は試料をTHFに溶解後一晩放置後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、シリカ等の添加剤を除去した樹脂成分を測定する。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
また長鎖アルキルアルコール、不飽和多価カルボン酸又はその無水物及び合成炭化水素系ワックスとの反応により得られるワックスの測定は、装置はWATERS製GPC−150C、カラムはShodex HT−806M(8.0mmI.D.−30cm×2)、溶離液はo−ジクロロベンゼン、流量は1.0mL/min、試料濃度は0.3%、注入量は200μL、検出器はRI、測定温度は130℃、測定前処理は試料を溶媒に溶解後0.5μmの金属焼結フィルターでろ過処理した。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
ポリマー分散剤、結着樹脂の軟化点は、島津製作所の定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタ(CFT500)により測定する。まず、試料をシリンダに充てんし、周囲から熱して溶融させ、上部からピストンによって一定の圧力を加える。溶融した試料は細い穴(直径1mm、長さ1mm)を持ったダイを通して押し出され、フローレート(cm3/g)から試料の流動性、すなわち溶融粘度が求められる。
次に、シリンダ、ダイを取り囲む加熱炉を設け、50℃に設定する。1gの試料をシリンダに充てんする。荷重をかけずに50℃で2.5min保持する。試料中の空気を抜くために荷重をかける。このとき加熱炉から出ているピストンの長さが12〜15mm程度になるようにする。総保持時間が5minになったら昇温を開始する。
ピストンに9.8×105N/m2の荷重を与え、昇温速度6℃/分で加熱する。試料が溶融を始めるとピストンの下方への移動が始まる。ピストンの移動が停止した時点で昇温、および加圧を停止する。
このとき、下降するピストンの移動量と温度との関係において、昇温温度特性との関係から、各温度における粘度を測定することができる。
図11に流動曲線を示す。横軸に温度、縦軸に押し出されるピストンの移動量のイメージを示す。Aの時点では試料の固体状態の領域であり、その後の昇温ともに、AからBは遷移域で、試料が圧縮荷重を受けて変形し、内部空隙が次第に減少していく段階である。Bは内部空隙が消失し、不均一な応力の分布を持ったまま外観上均一な1個の透明体となる温度である。
BからCは、有限な時間内ではピストンの位置に明瞭な変化はなく、かつ試料のダイからの流出は認めがたい領域で、この領域は試料のゴム状弾性域を含む。
Cは、試料が流動を開始し始め、ピストンが降下しはじめる温度で、試料が流れ出す温度(流出開始温度(Tfb))と定義する。
CからDを経てEにいたる領域は、試料が明らかにダイより流出する流動領域で、Eが試料の流出が終了した点である。
結着樹脂の軟化点は、1/2法における溶融温度(軟化点Ts℃)で定義する。具体的には流出開始温度から流出終了温度までのピストンの総移動距離に対し、流出開始温度からピストンが50%移動した時点での温度を軟化点と定義する。
図11に示す昇温温度とピストン移動量と関係において、まずピストンが降下しはじめる温度(試料が流れ出す温度)を測定する。これが流出開始温度(Tfb)である。このときのピストン位置を読み取り、それを最低値(Smin)とする。
その後、昇温とともに、試料がダイから流出しつづけ、試料の流出が終了した流出終了点Eでの温度と、ピストンの位置を読み取り、それを流出終了点(Smax)とする。流出終了点(Smax)と、最低値(Smin)の差の1/2を求め(X=(Smax−Smin)/2)、Xと曲線の最低値Sminを加えた点Dの位置における温度を算出する。これが1/2法における溶融温度(軟化点Ts℃)となる。
ポリマー分散剤、結着樹脂のガラス転移点は示差走査熱量計(TAインスツルメンツ社製、Q100型(冷却には純正の電気冷凍機を使用))を使用し、測定モードを「標準」、パージガス(N2)流量を50ml/minで、電源投入後、測定セル内の温度を30℃に設定し、その状態で1時間放置した後,純正のアルミパンに被測定試料をサンプル量として10mg±2mg入れ、試料が入ったアルミパンを測定機器内に投入した。その後5℃で5min間保持し、昇温速度1℃/minで150℃まで昇温した。解析は、装置に付属の"Universal Analysis Version 4.0"を使用した。グラフにおいて、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立上り部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を言う。
これらの樹脂の熱特性の測定においては、乳化重合で得られたエマルジョンから樹脂粒子の固形分を抽出する必要がある。このエマルジョンから樹脂粒子の固形分を抽出する方法としては、トナーの凝集工程に沿った方法で行う。まず、乳液20gに対し1N NaOHを2ml添加し、硫酸マグネシウム6gとイオン交換水20gを添加した後、85℃に昇温して、1時間加熱する。そのあと冷却し,1N HClを0.5ml添加し、濾過し、沈殿したサンプルを乾燥し、得られたポリマーの分子量、軟化点、ガラス転移点等の測定をする。
(4)顔料
本実施形態に使用される着色剤(顔料)の黒顔料としては、カーボンブラックを使用する。前述したようにカーボンブラックのDBP吸油量(ml/100g)は45〜70が好ましい。例えば、三菱化学社製の#52(粒径27nm,DBP吸油量63ml/100g),#50(同28nm,同65ml/100g),#47(同23nm,同64ml/100g),#45(同24nm,同53ml/100g)、#45L(同24nm,同45ml/100g)、キャボット社製のREGAL250R(同35nm、同46ml/100g)、REGAL330R(同25nm、同65ml/100g)、MOGULL(同24nm、同60ml/100g)がこのましい材料である。より好ましくは#45、#45、LREGAL250Rである。DBP吸油量は粒子の鎖状集合状態(ストラクチャー)を定量的に表したもので、化学的結合による一次ストラクチャーと、ファンデルワールス力による物理的結合の2次的ストラクチャーから表される。
DBP吸油量の測定(JISK6217)は、150℃±1℃で1時間乾燥した試料20g(Ag)をアブソープトメータ(Brabender社製、スプリング張力2.68kg/cm)の混合室に投入し、予めリミットスイッチを最大トルクの約70%に設定した後、混合機を回転する。同時に自動ビューレットからDBP(比重1.045〜1.050g/cm3)を4ml/minの割合で添加する。終点近くになるとトルクが急速に増加してリミットスイッチが切れる。それまでに添加したDBP量(Bml)と試料重量から試料100gあたりのDBP吸油量(=Bx100/A)(ml/100g)が求められる。
また、カラートナーとして使用する顔料の例としては、イエロー顔料は、C.I.ピグメント・イエロー1,3,74,97又は98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12,13,14,17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ソルベンイエロー19,77,79又はC.I.ディスパース・イエロー164が配合され、特に好ましくはC.I.ピグメント・イエロー93,180,185のベンズイミダゾロン系顔料が好適である。
マゼンタ顔料としては、C.I.ピグメント・レッド48,49:1,53:1,57,57:1,81,122,5等の赤色顔料、C.I.ソルベント・レッド49,52,58,8等の赤色染料が好ましく使用できる。
シアン顔料としては、C.I.ピグネント・ブルー15:3等のフタロシアニン及びその誘導体の青色染顔料が好ましく使用できる。添加量は結着樹脂100重量部に対し、3〜8重量部が好ましい。
なお、粒径はSEM電子顕微鏡による算術平均径を取っている。カーボンブラックの粒子径は20〜40nmのもが好ましい。好ましくは粒子径は20〜35nmである。粒子径が40nmを超えると、着色力が低下する傾向となる。粒子径が20nm未満であると、液中での分散が困難になる傾向となる。
(5)外添剤
本実施形態では外添剤として無機微粉末が混合添加される。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物微粉末、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる。外添剤は必要に応じて疎水化処理される。
外添剤に処理されるシリコーンオイル系の材料としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル及びクロルフェニル変成シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理される外添剤が好適に使用される。例えば東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823又はBY16―855B等が挙げられる。
処理は外添剤とシリコーンオイル等の材料とをヘンシェルミキサ(三井鉱山社製FM20B)などの混合機により混合する方法や、外添剤へシリコーンオイル系の材料を噴霧する方法、溶剤にシリコーンオイル系の材料を溶解或いは分散させた後、外添剤と混合した後、溶剤を除去して作成する方法等がある。外添剤100重量部に対して、シリコーンオイル系の材料は1〜20重量部配合されるのが好ましい。
シランカップリング剤としては、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルクロルシラン又はジメチルビニルクロルシラン等が好適に使用できる。シランカップリング剤処理は、外添剤を攪拌等によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理、又は外添剤を溶媒中に分散させたシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法等により処理される。
またシランカップリング処理した後にシリコーンオイル系の材料を処理することも好ましい。
正極帯電性を有する外添剤はアミノシラン、アミノ変性シリコーンオイル又はエポキシ変性シリコーンオイルで処理される。
また、疎水性処理を高めるため、ヘキサメチルジシラザンやジメチルジクロロシラン、他のシリコーンオイルによる処理の併用も好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル又はアルキル変性シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理することが好ましい。
また、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸及び脂肪酸金属塩の群より選ばれた1種又は2種以上(以下脂肪酸等)により外添剤の表面を処理することも好ましい。表面処理したシリカ又は酸化チタン微粉末がより好ましい。
脂肪酸又は脂肪酸金属塩としては、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸、ラクセル酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸又はリノール酸等が挙げられる。中でも炭素数12〜22の脂肪酸が好ましい。
また脂肪酸金属塩を構成する金属としては、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、鉛又はバリウムが挙げられ、中でもアルミニウム、亜鉛又はナトリウムが好ましい。特に好ましくはジステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C1735COO)2)、又はモノステアリン酸アルミニウム(Al(OH)2(C1735COO))、等のジ脂肪酸アルミニウム、モノ脂肪酸アルミニウムが好ましい。OH基を有することが過帯電を防止し、転写不良を抑えることができる。また処理時に外添剤との処理性が向上するものと考えられる。
脂肪族アミドとしては、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド、エイコセン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド又はリグリノセリン酸アミド等の炭素数16〜24を有する飽和または1価の不飽和の脂肪族アミドが好ましく用いられる。
脂肪酸エステルとしては例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル又はモンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル又はオレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、若しくは脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、又は脂肪酸トリメチロールプロパンエステル等が好ましく用いられる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル又はソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
表面処理の好ましい形態としては、処理される外添剤の表面をカップリング剤及び/又はシリコーンオイル等のポリシロキサンにて処理を施した後に脂肪酸等により処理を施すことも好ましい。単に親水性シリカの脂肪酸を処理する場合よりも均一な処理が可能となり、トナーの高帯電化を図れることと、トナーに添加したときの流動性が向上する効果があるためである。またカップリング剤及び/又はシリコーンオイルとともに脂肪酸等を処理して上記効果を奏する。
脂肪酸等をトルエン、キシレン又はヘキサン等の炭化水素系有機溶剤に溶解し、それとシリカ、酸化チタン、アルミナ等の外添剤とを分散機にかけ湿式混合して処理剤により、外添剤の表面に付着させて、表面処理を施し、その後に溶剤を溜去して乾燥処理を行うことにより生成される。
ポリシロキサンと脂肪酸等との混合割合が1:2〜20:1であることが好ましい。割合が1:2よりも脂肪酸等が多くなると、外添剤の帯電量が高くなり、画像濃度の低下、二成分現像においてはチャージアップが発生しやすくなる傾向となる。20:1よりも脂肪酸等が少なくなると、転写における中抜け、逆転写性への効果が低下する傾向となる。
このとき脂肪酸等を表面処理した外添剤の強熱減量は1.5〜25重量%であることが好ましい。より好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは8〜20重量%である。1.5重量%より少ないと、処理剤の機能が十分に発揮されず、帯電性、転写性向上の効果が現れない。25重量%よりも多いと未処理剤が存在し、現像性や耐久性に悪影響を与える。
本発明により生成されたトナー母体粒子表面は従来の粉砕方式と異なり、略樹脂のみで形成されているため、帯電の均一性という面からは有利であるが、帯電付与性、或いは帯電保持性に関して使用する外添剤との相性が重要となるためである。
平均粒子径が6nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し1〜6重量部外添処理するのが好ましい。平均粒子径が6nm未満であると、浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い傾向となる。転写時の逆転写が発生し易い傾向となる。200nmを超えると、トナーの流動性が悪化する傾向となる。1重量部よりも少ないとトナーの流動性が悪化する傾向となる。転写時の逆転写は発生し易い傾向となる。6重量部よりも多いと浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い傾向となる。
また、平均粒子径が6nm〜20nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部と、20nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部とを少なくとも外添処理するのも好ましい。これにより機能分離した外添剤の使用で、帯電付与性、帯電保持性が向上する、転写時の逆転写、中抜け、トナー飛散に対しよりマージンが取れる。このとき平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量が0.5〜20重量%、平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5〜25重量%であることが好ましい。平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量を、平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量よりも多くすることにより、帯電保持性がとともに転写時の逆転写、中抜けに効果が発揮される。
外添剤の強熱減量を特定することにより、転写時の逆転写、中抜け、飛散りに対しよりマージンが取れる。現像器内でのハンドリング性を向上させトナー濃度の均一性を上げることが出きる。
平均粒子径が6nm〜20nmの強熱減量が0.5重量%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる傾向となる。20重量%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる傾向となる。好ましくは強熱減量が1.5〜17重量%、より好ましくは4〜10重量%である。
平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5重量%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる傾向となる。25重量%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる傾向となる。好ましくは強熱減量が2.5〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
また、平均粒子径が6nm〜20nm、強熱減量が0.5〜20重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2重量部と、平均粒子径が20nm〜100nm、強熱減量が1.5〜25重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部、平均粒子径が100nm〜200nm、強熱減量が0.1〜10重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部とを少なくとも外添処理するのも好ましい。この平均粒子径と強熱減量を特定した機能分離した外添剤により帯電付与性、帯電保持性の向上、転写時の逆転写、中抜けの改善とともに、キャリアの表面への付着物の除去に効果が得られる。
さらには、平均粒子径6nm〜200nm、強熱減量が0.5〜25重量%である正帯電性を有する外添剤をさらにトナー母体粒子100重量部に対し0.2〜1.5重量部を外添処理するのも好ましい。
正帯電性を有する外添剤を添加する効果は、トナーが長期連続使用の際に過帯電になることを抑え、より現像剤寿命を延ばすことが可能となる。さらには過帯電による転写時の飛散りを抑える効果も得られる。またキャリアへのスペントを防止できる。0.2重量部よりも少ないとその効果が得にくい。1.5重量部よりも多くなると、現像でのかぶりが増大する。強熱減量は好ましくは1.5〜20重量%、より好ましくは5〜19重量%である。
平均粒子径は、走査電子顕微鏡(SEM)、倍率1000倍にて拡大写真をとり、約100個の粒子の長軸と短軸の平均値を求めた値である。
乾燥減量(重量%)は、予め乾燥、放冷、精秤した容器に試料約1gを取り、精秤する。熱風乾燥器(105℃±1℃)で2時間乾燥する。デシケータ中で30分間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
乾燥減量(重量%)=[乾燥による減量(g)/試料量(g)]×100
強熱減量は、予め乾燥、放冷、精秤した磁性ルツボに試料約1gを取り、精秤する。500℃に設定した電気炉中で2時間強熱する。デシケータ中で1時間放冷後その重量を精秤し次式より算出する。
強熱減量(重量%)=[強熱による減量(g)/試料量(g)]×100
また処理された外添剤の水分吸着量が1重量%以下であることが好ましい。好ましくは0.5重量%以下、より好ましくは0.1重量%以下、さらに好ましくは0.05重量%以下である。1重量%より多いと、帯電性の低下、耐久時の感光体へのフィルミングを生じる。水分吸着量の測定は、水吸着装置については、連続蒸気吸着装置(BELSORP18:日本ベル株式会社)にて測定した。
疎水化度の測定は、メタノール滴定により測定し、250mlのビーカー中に装入した蒸留水50mlに試験すべき生成物0.2gを秤取する。先端に、液体中に浸威しているビュレットからメタノールを外添剤の総量がぬれるまで滴下する。その際不断に電磁攪拌機でゆっくりと攪拌する。完全に濡らすために必須なメタノール量a(ml)から次式により疎水化度が算出される。
疎水化度=(a/(50+a))×100(%)
(6)トナーの粉体物性
本実施形態では、結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母体粒子の体積平均粒径が3〜6μm、体積基準の変動係数が10〜25%、個数基準分布における2.0〜3.63μmの粒径を有するトナー粒子の含有量が10〜85個数%、体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子が25〜75体積%、体積基準分布における6.06μm以上の粒径を有するトナー粒子が5体積%以下で含有し、体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子の体積%をV34とし、個数基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子の個数%をP34としたとき、P34/V34が0.4〜2.2の範囲にあることが好ましい。
より好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜5μm、体積基準の変動係数が10〜20%、個数基準分布における2.0〜3.63μmの粒径を有するトナー粒子の含有量が15〜85個数%、体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子が30〜65体積%、体積基準分布における6.06μm以上の粒径を有するトナー粒子が2体積%以下で含有し、P34/V34が0.5〜1.5の範囲にある。
さらに好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜5μm、体積基準の変動係数が10〜16%、個数基準分布における2.0〜3.63μmの粒径を有するトナー粒子の含有量が25〜85個数%、体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子が40〜60体積%、体積基準分布における6.06μm以上の粒径を有するトナー粒子が0.5体積%以下で含有し、P34/V34が0.5〜0.9の範囲にある。
高解像度画質、さらにはタンデムにおいて転写時の逆転写の防止、中抜けを防止し、オイルレス定着との両立を図ることを可能とできる。トナーの粒度分布はトナーの流動性、画質、貯蔵安定性、感光体や現像ローラ、転写体ヘのフィルミング、経時特性、転写性、特にタンデム方式での多層転写性に影響する。さらにはオイルレス定着での高温非オフセット性、光沢性に影響する。オイルレス定着実現のためにワックスを配合したトナーにおいて、タンデム転写性との両立において微粉量が影響する。
体積平均粒径が6μmを超えると画質と転写の両立が図れない。体積平均粒径が3μm未満であると現像でのトナー粒子のハンドリング性が困難となる傾向となる。
個数基準分布における2.0〜3.63μmの粒径を有するトナー粒子の含有量が10個数%未満になると、画質と転写の両立が図れない傾向となる。85個数%を超えると、現像でのトナー母体粒子のハンドリング性が困難となる傾向となる。また感光体、現像ローラ、転写体へのフィルミングが発生する場合がある。さらに微粉は熱ローラとの付着性も大きいため高温オフセットしやすい傾向にある。またタンデム方式において、トナーの凝集が強くなりやすく、多層転写時に2色目の転写不良を生じ易くなる傾向となる。
体積基準分布における3.5〜4.53μmの粒径を有するトナー粒子が25体積%未満になると、画質の低下が生じる傾向となる。75体積%を超えると、画質と転写の両立が図れない傾向となる。
体積基準分布における6.06μm以上の粒径を有するトナー粒子が5体積%を越えて含有すると、画質の低下が生じ、転写不良の原因となる傾向となる。
P34/V34が0.4未満であると、微粉存在量が過多になり、流動性の低下、転写性の悪化、地カブリが悪化する傾向となる。2.2を超えると、大きい粒子が多く存在しかつ粒度分布がブロードになり、高画質化を図ることが出来ない傾向となる。
P34/V34を規定する目的は、トナー粒子を小粒径にして、かつその粒度分布を狭くするための指標とできるものである。
変動係数とはトナーの粒径における標準偏差を平均粒径で割ったものである。コールターカウンタ(コールター社)を使用して測定した粒子径をもとにしたものである。標準偏差は、n個の粒子系の測定を行なった時の、各測定値の平均値からの差の2乗を(n−1)で割った値の平方根であらわされる。
つまり変動係数とは粒度分布の広がり具合を表したもので、体積粒径分布の変動係数が10%未満、又は個数粒径分布の変動係数が10%未満になると、生産的に困難であり、コストアップの要因となる。体積粒径分布の変動係数が25%を超えるか、又は個数粒径分布の変動係数が28%を超えると、粒度分布がブロードとなり、トナーの凝集性が強くなり、感光体へのフィルミングや転写不良を生じる傾向となる。
また、トナーの形状指数としては1.25〜1.55が好ましく、より好ましくは1.33〜1.46、さらに好ましくは1.35〜1.42である。球形が進行するゴムブレードによるクリーニング性が低下し、不定形が進行すると転写性の低下となる傾向になる。
また、トナー母体粒子の形状指数をSC、体積平均粒径をd50(μm)とすると、SCとd50の積(SC×d50)が3.9〜7.3であることが好ましい。好ましくは4.0〜6.6、より好ましくは4.1〜5.7である。
この数値を規定することにより、粒子が小粒径にシフトしたとき形状の球形化が進行するとゴムブレードによるクリーニング性が悪化しやすい。また粒子が大粒径にシフトしたとき形状が不定形に進行すると転写性の低下や画質の低下を生じる傾向となる場合があり、小粒径粒子の場合には形状を不定形にシフトさせてクリーニング性を維持させ、大粒径粒子の場合には形状を球形にシフトさせて画質の維持を図るために、SCとd50の積を一定範囲としたものである。3.9未満であると、クリーニング性が悪化しやすい傾向となる。7.3を超えると、画質の低下を生じやすい傾向となる。
粒度分布測定は、コールターカウンタTA−II型(コールターカウンタ社)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続して測定する。電解液は濃度1重量%となるよう界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を加えたもの50ml程度に被測定トナーを2mg程度加え、試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約3分間分散処理を行い、コールターカウンタTA−II型にてアパーチャー70μmのアパーチャーを用いた。70μmのアパーチャー系では、粒度分布測定範囲は1.26μm〜50.8μmであるが、2.0μm未満の領域は外来ノイズ等の影響で測定精度や測定の再現性が低いため実用的ではない。よって測定領域を2.0μm〜50.8μmとした。
形状指数はキーエンス社製のリアルサーフェイスビュー顕微鏡(VE7800)を使用し、1000倍に拡大したトナー母体粒子100個程度を取込み、最大長及び投影面積を測定し、下記の式にて求めた(d:トナー粒子の最大長、A:トナー粒子の投影面積)。
SC(形状係数)=π・d2/(4・A)
なお、形状指数について、図28を用いて説明する。図28のBはトナー粒子の最大長dを直径とする真円であり、真円Bの面積は、π・(d/2)2である。図28のAはトナー粒子の投影面積である。形状指数はB/Aで表わされるから、B/A=π・(d/2)2/Aであり、これを整理するとπ・d2/(4・A)となる。
(7)オイルレスカラー定着
本実施形態では、トナーを定着する手段にオイルを使用しないオイルレス定着の定着プロセスを具備する電子写真装置に好適に使用される。その加熱手段としては電磁誘導加熱がウオームアップ時間の短縮、省エネの観点から好ましい。磁場発生手段と、電磁誘導により発生する発熱層及び離型層を少なくとも有する回転加熱部材と、該回転加熱部材と一定のニップを形成している回転加圧部材とを少なくとも有する加熱加圧手段を使用して、回転加熱部材と回転加圧部材間にトナーが転写された複写紙等の転写媒体を通過させ、定着させるのである。その特徴として、回転加熱部材のウオームアップ時間が従来のハロゲンランプを使用している場合に比べて、非常に早い立ち上がり性を示す。そのため回転加圧部材が十分に昇温していない状態で複写の動作に入るため、低温定着と広範囲な耐オフセット性が要求される。
加熱部材と定着部材を分離した定着ベルトを使用した装置も好ましく使用される。そのベルトとしては耐熱性と変形自在性とを有するニッケル電鋳ベルトやポリイミドベルトの耐熱ベルトが好適に用いられる。離形性を向上するために表面層としてシリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂を用いるのが好ましい。
これらの定着においては、従来は離型オイルを塗布してオフセットを防止してきた。オイルを使用せずに離型性を有するトナーにより、離型オイルを塗布する必要はなくなった。しかし、離型オイルを塗布しないと帯電しやすく、未定着のトナー像が加熱部材又は定着部材と近接すると帯電の影響により、トナー飛びが生じる場合がある。特に低温低湿下において発生しやすい。
そこで、本実施形態のトナーの使用により、オイルを使用せずとも低温定着と広範囲な耐オフセット性を実現でき、カラー高透光性を得ることができる。またトナーの過帯電性を抑制でき加熱部材又は定着部材との帯電作用によるトナーの飛びを抑えられる。
(8)タンデムカラープロセス
高速にカラー画像を形成するために、本実施形態では、感光体と帯電手段とトナー担持体を含むトナー像形成ステーションを複数個有し、像担持体上に形成した静電潜像を顕像化したトナー像を、前記像担持体に無端状の転写体を当接させて前記転写体に転写させる一次転写プロセスが順次連続して実行して、前記転写体に多層の転写トナー画像を形成し、その後前記転写体に形成した多層のトナー像を、一括して紙やOHP等の転写媒体に一括転写させる二次転写プロセスが実行される転写プロセスにおいて、第1の一次転写位置から第2の一次転写位置までの距離をd1(mm)、感光体の周速度をv(mm/s)とした場合、d1/v≦0.65となる転写位置を取り、マシンの小型化と印字速度の両立を図るものである。毎分20枚(A4)以上処理でき、かつマシンがSOHO用途として使用できる大きさの小型化を実現するためには、複数のトナー像形成ステーション間を短く、かつプロセス速度を高めるのが必須である。その小型化と印字速度の両立のためには上記値が0.65以下とするのがミニマムと考えられる。
しかし、このトナー像形成ステーション間を短くするとき、例えば1色目のイエロートナーが一次転写された後、次の2色目のマゼンタトナーが一次転写されるまでの時間が極めて短く、転写体の帯電緩和又は転写されたトナーの電荷緩和が殆ど生じず、イエロートナーの上にマゼンタトナーを転写する際に、マゼンタトナーがイエロートナーの電荷作用により反発され、転写効率の低下、転写時の文字の中抜けという問題が生じる。さらに第3色目のシアントナーの一次転写の時、前のイエロー、マゼンタトナーの上に転写される際にシアントナーの飛び散り、転写不良、転写中抜けが顕著に発生する。さらに繰り返し使用しているうちに特定粒径のトナーが選択的に現像され、トナー粒子個々の流動性が大きく異なると摩擦帯電する機会が異なるため、帯電量のバラツキが生じ、より転写性の劣化を招いてしまう。
そこで、本実施形態のトナーを使用することにより、帯電分布が安定化しトナーの過帯電を抑えると共に、流動性変動を抑えることができる。そのため定着特性を犠牲にすることなく、転写効率の低下、転写時の文字の中抜け、逆転写を防止することができる。
次に本発明のトナーの実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(1)キャリア製造例
MnO換算で39.7mol%、MgO換算で9.9mol%、Fe23換算で49.6mol%及びSrO換算で0.8mol%湿式ボールミルで、10時間粉砕し、混合し乾燥させた後、950℃で4時間保持し、仮焼成を行った。これを湿式ボールミルで24時間粉砕し、次いでスプレードライヤにより造粒し、乾燥し、電気炉にて、酸素濃度2%雰囲気の中で1270℃で6時間保持し、本焼成を行った。その後、解砕し、さらに分級して平均粒径50μm、印加磁場が3000エルステットの時の飽和磁化が65emu/gであるフェライト粒子の芯材を得た。
次に、下記化学式3で示されるR1、R2がメチル基、すなわち(CH32SiO2/2単位が15.4mol%、化学式4で示されるR3がメチル基、すなわちCH3SiO3/2単位が84.6mol%であるポリオルガノシロキサン250gと、CF3CH2CH2Si(OCH33 21gとを反応させフッ素変性シリコーン樹脂を得た。さらにそのフッ素変性シリコーン樹脂を固形分換算で100gとアミノシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)10gとを秤量し、300ccのトルエン溶剤に溶解させた。
(但し、R1,R2,R3,R4はメチル基、mは平均重合度であり100である。)
(但し、R1,R2,R3,R4,R5,R6はメチル基、nは平均重合度であり80である。)
前記フェライト粒子10kgに対し、液浸乾燥式被覆装置を用い、上記被覆樹脂溶液を20分間攪拌することによりコーティングを行った。その後260℃で1時間焼き付けを行い、キャリアCA1を得た。
(2)樹脂粒子分散液の作成
表1は、作成された樹脂粒子分散液(RL1、RL2、RL3、RH1、RH2、RH3、RH4、RH5、RH6)において得られた樹脂粒子の特性を示す。表1において、“Mn”は数平均分子量、“Mw”は重量平均分子量、“Mz”はZ平均分子量、“Mw/Mn”は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mn、“Mz/Mn”はZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)の比Mz/Mn、“Mp”は分子量のピーク値、Tg(℃)はガラス転移点、Ts(℃)は軟化点を表わす。
(a)樹脂粒子分散液RL1の調製
スチレン240.1gと、n−ブチルアクリレート59.9gと、アクリル酸8gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)7.2g、アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(20重量%水溶液濃度))24g(実質アニオン量4.8g)、ドデカンチオール8gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム4.5gを加えて、78℃で3時間乳化重合を行った。その後さらに90℃で4時間熟成処理を行い、樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液RL1を調製した。このときの樹脂分散液のpHは1.8であった。
表2に各樹脂粒子分散液に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率(重量%)を示す。アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(固形分20重量%濃度))を使用した液において、表2中の重量比は実質のアニオン量比を示している。
表3、表4に各樹脂粒子分散液の乳化重合において、樹脂粒子分散液RL1の調製をベースに各樹脂粒子分散液に使用したアクリル酸、過硫酸カリウム等の配合量等を示す。過硫酸カリウムはモノマー成分100重量部に対する重量部を示す。
(3)顔料分散液の作成
表5、表6及び表7に使用した着色剤(顔料)、使用した分散剤(界面活性剤)を示す。
(a)顔料粒子分散液CBS21の調製
1Lのビーカーにイオン交換水308g、ポリマー系分散剤A(PD2)を9.6g及びノニオン系分散剤B(AN2)を2.4gを秤量し、マグネットスターラーで界面活性剤の固形分が溶解するまで撹拌した。この界面活性剤水溶液にカーボンブラックCB1を80g添加し、さらに引き続いて、マグネットスターラーで10分間撹拌した。次に、1Lのトールビーカーに内容物を移しかえ、ホモジナイザー(IKA製、T−25)を用いて回転数9500rpmで10分間分散した。この分散液をさらに、分散機(特殊機化社製T−Kフィルミックス:56−50)で分散した。顔料濃度は約20重量%であった。
以下、顔料粒子分散液CBS21の調整条件をベースに、各着色剤分散液に使用した顔料、使用した分散剤及び顔料分散液の条件を表8〜9に示す。分散剤A及び分散剤Bの括弧内数字は、着色剤粒子100重量部に対する分散剤の配合重量部である。
表10〜表11に分散液生成時の使用したイオン交換水、着色剤重量(g)、分散剤量(g)、着色剤濃度(wt%)を示す。
(3)ワックス分散液の作成
(a)ワックス粒子分散液WA1の調製
図3に攪拌分散装置(特殊機化社製T−Kフィルミックス)の概略図、図4に上から見た図を示す。801が外槽でその内部に冷却水を808から注入し、807から排出されるようにしている。802は被処理液がせき止める堰板で中央部に穴があけられており、ここから処理された液が順次805を通じて外部に取り出す。803が高速で回転する回転体でシャフト806に固定され、高速に回転できる。回転体の側面には、1〜5mm程度の穴があけられており、被処理液の移動を可能とする。槽は120mlで、被処理液はその2分の1程度投入する。回転体の速度MAXは50m/sまで可能である。回転体の径は52mm、槽の内径は56mmである。804は連続処理の場合の原料注入口である。高圧処理やバッチ式のときは封印している。槽内を常圧の状態で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤である分散剤B(AN4)を3g、ワックス(W−1)30gを仕込み、回転体の速度は30m/sで5min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理した。表12〜表14は、ワックス粒子分散液の作成において、それぞれ使用したワックス材料及びその特性を示す。
ワックス粒子分散液WA1の調整条件をベースに、各ワックス粒子分散液に使用したワックス、使用した分散剤の種類と特性を表15示す。“第一のワックス”及び“第二のワックス”は、ワックス粒子分散液に仕込まれたワックス材料を示す。ワックスを示す符号末尾の( )内の値は当該ワックスの配合重量組成量(重量割合)を表わす。分散剤Bの括弧内数字は、ワックス粒子100重量部に対する界面活性剤の配合重量部である。アニオン性界面活性剤(第一工業製薬製、ネオゲンS20−F(20重量%濃度))を使用した液においては、顔料濃度は20重量%程度となるようにイオン交換水を調整した。表中の重量比は実質のアニオン量比を示し、トータル量を同一量としている。
また、表16にワックス分散液生成時の使用したイオン交換水量(g)、ワックス重量(g)、分散剤量(g)、ワックス濃度(wt%)を示す。また、ワックスW13、W14、W15を使用する際においては槽内を0.4MPaまで加圧している。
(5)トナー母体の作成
(a)トナー母体B6の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS3を56g、ワックス粒子分散液WA1を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後3時間加熱処理し芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。その芯粒子分散液のpHを6に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを8に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。トナー母体B1〜B5、B7〜B14は、B6の条件をベースにして、着色剤粒子分散液等を変えて、試作評価した。またB11トナーにおいては、第二の樹脂粒子の滴下終了後2.5時間加熱処理した後、pHを5に調整して1.5時間加熱処理した。形成された粒子は表面がより平滑化する傾向にある。また80%程度の高湿度下に放置したときの水分吸収量も低下する傾向にある。
(b)トナー母体B15の作成
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS9を56g、ワックス粒子分散液WA7を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合粒子分散液のpH値は10.1)で、水溶液のpH値を9.0に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液300gを30minの所要時間にて連続して滴下し1時間加熱処理し、その後90℃に昇温して3時間加熱処理し、芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.2であった。その芯粒子分散液のpHを5に調整し、1時間加熱した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させた。また、トナー母体B16、B17、B21〜B23もB15の条件をベースにして、カーボンブラック粒子分散液等を変えて、芯粒子の凝集性を観察した。
(c)トナー母体B18の作成(V2)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS12を56g、ワックス粒子分散液WA7を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合分散液のpH値は8.4)で、水溶液のpH値を5.4に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液300gを100minの所要時間にて連続して滴下し、1時間加熱後90℃に昇温し、3時間加熱処理して芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.0であった。その芯粒子分散液のpHを4に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを7.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。トナー母体B19、B24〜B25は、B18の条件をベースにして、カーボンブラック粒子分散液等を変えて、試作評価した。また、トナー母体B22処方をベースにして、芯粒子に使用する樹脂として、第一の樹脂粒子分散液RL1を169gと、形状制御を目的として第三の樹脂粒子分散液RH3を35g、とした以外はトナー母体M22処方と同様にして試作を行った。凝集は良好に進行し、形状指数1.41、体積平均粒径5.2μm、変動係数19.7の粒子を得た。M22の形状指数1.32に比べてポテト形状(不定形)にシフトしている。トナー母体の作成例として作成したトナー母体(B1〜B25)について、それぞれの処方を表17に示す。また、表18に芯粒子凝集性の状態、d50(μm)はトナー母体粒子の体積平均粒径、変動係数は得られたトナー母体におけるトナー母体粒子の体積基準での粒径分布の広がりを示した特性を示す。
乳化樹脂微粒子と、顔料微粒子およびワックス微粒子とを凝集、融着させてトナーを製造する過程で、顔料微粒子およびワックス微粒子が樹脂微粒子に囲まれてトナー内部に取り込まれているかどうかの確認は、凝集、融着反応中の反応液を一定時間おきに取り出し、遠心分離にかけることにより、判断できる。顔料微粒子およびワックス微粒子がトナーの内部に取り込まれていれば、反応液は遠心分離にかけると、固液2層に分かれ、上澄み液は無色透明になる。ワックス微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が白濁する。また、顔料微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が顔料の色相を示す。たとえば、シアントナーなら、シアン色、ブラックトナーなら黒色を示す。芯粒子の凝集性は、芯粒子凝集反応中にサンプリングした分散液は等量のイオン交換水で希釈した後、試験管に入れ、遠心分離器に3000min-1で5分間かけた。遠心分離した上澄み液の濁度を目視で判断した状態を示している。
B6〜B25は1時間(h)〜6時間(h)で上澄み液が透明となり、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得られている。
B1〜B5では凝集不良の凝集に加わらない浮遊した顔料粒子が残存し、濁りが消えない傾向にある。第二の樹脂粒子はその黒濁等の状態からそのままシェル化を付着させた。
B17,B23は5h〜6hで略透明になったが、粒度分布がやや大きくなり、粒度分布は少し広がる傾向にある。画像評価ではカブリ、転写の文字飛びが他のトナーよりも少し多めとなる傾向にある。
図12にトナー母体B6における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。試験管は径1cm、高さ約10cmである。Aは90℃に到達したときの反応液、Bは90℃に到達後0.25h経過後の反応液、Cは90℃に到達後0.5h経過後の反応液、Dは90℃に到達後0.75h経過後の反応液、Eは90℃に到達後1h経過後の反応液、Fは90℃に到達後2h経過後の反応液、Gは90℃に到達後3h経過後の反応液の写真を示す。Eの90℃に到達後1h経過後で反応液は透明になり、樹脂、ワックス及びカーボンブラックが凝集した芯粒子が形成されている。図14に形成されたトナー母体B6の芯粒子のSEM観察像(倍率5000)を示す。良好な芯粒子が形成されている。
図13にトナー母体B1における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Hは90℃に到達したときの反応液、Iは90℃に到達後1h経過後の反応液、Jは90℃に到達後2h経過後の反応液、Kは90℃に到達後3h経過後の反応液、Lは90℃に到達後4h経過後の反応液、Mは90℃に到達後5h経過後の反応液、Nは90℃に到達後6h経過後の反応液の写真を示す。Nの90℃に到達後6h経過しても反応液は依然黒のままで透明にはなっておらず、カーボンブラック粒子が浮遊したままで凝集不良の芯粒子しかできていない。図15に形成されたトナー母体B1の芯粒子のSEM観察像(倍率3000)を示す。形がいびつで、粒子表面にカーボンブラック粒子が芯粒子に取り込まれずに残留している。
このように一定のポリマー分散剤の使用により、凝集不良による顔料粒子やワックス粒子の凝集に加わらない浮遊粒子の存在をなくし、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得ることができる。
さらには、黒トナーにおいて使用するカーボンブラックのDBP吸油量特性を規定することにより、さらに凝集性が良好に進行し、現像時のカブリや定着性が向上する傾向にある。
(d)トナー母体B27の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS21を56g、ワックス粒子分散液WA3を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後3時間加熱処理し芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。その芯粒子分散液のpHを6に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを8に調整した第二の樹脂粒子分散液RH4を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
トナー母体B28〜B33、B36〜B42、B45〜B56は、B27のの条件をベースにして、着色剤粒子分散液等を変えて、試作評価した。またB30トナーにおいては、第二の樹脂粒子の滴下終了後2.5時間加熱処理した後、pHを5に調整して1.5時間加熱処理した。形成された粒子は表面がより平滑化する傾向にある。また80%程度の高湿度下に放置したときの水分吸収量も低下する傾向にある。
(e)トナー母体B34の作成(V2)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL3を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS28を56g、ワックス粒子分散液WA7を70g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合粒子分散液のpH値は10.1)で、水溶液のpH値を9.0に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液300gを30minの所要時間にて連続して滴下し1時間加熱処理し、その後90℃に昇温して3時間加熱処理し、芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.2であった。その芯粒子分散液のpHを5に調整し、1時間加熱した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させた。また、トナー母体B35もB34の条件をベースにして、カーボンブラック粒子分散液等を変えて、芯粒子の凝集性を観察した。
(f)トナー母体B43の作成(V2)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL2を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS37を51g、ワックス粒子分散液WA11を60g添加し、イオン交換水400mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し、80℃に到達した時点(混合分散液のpH値は8.4)で、水溶液のpH値を5.4に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液270gを100minの所要時間にて連続して滴下し、1時間加熱後90℃に昇温し、3時間加熱処理して芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.0であった。その芯粒子分散液のpHを4に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを7.5に調整した第二の樹脂粒子分散液RH4を80g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理して第二の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。トナー母体B44は、B43の条件をベースにして、カーボンブラック粒子分散液等を変えて、試作評価した。また、トナー母体B44処方をベースにして、芯粒子に使用する樹脂として、第一の樹脂粒子分散液RL2を169gと、形状制御を目的として第三の樹脂粒子分散液RH3を35g、とした以外はトナー母体B44処方と同様にしてトナー母体の試作を行った。凝集は良好に進行し、形状指数1.46、体積平均粒径5.5μm、変動係数16.7の粒子を得た。B44の形状指数1.39に比べてポテト形状(不定形)にシフトしていることが観察された。トナー母体の作成例として作成したトナー母体(B27〜B56)について、それぞれの処方を表19に示す。また、表20に芯粒子凝集性の状態、d50(μm)はトナー母体粒子の体積平均粒径、変動係数は得られたトナー母体におけるトナー母体粒子の体積基準での粒径分布の広がりを示した特性を示す。
乳化樹脂微粒子と、顔料微粒子およびワックス微粒子とを凝集、融着させてトナーを製造する過程で、顔料微粒子およびワックス微粒子が樹脂微粒子に囲まれてトナー内部に取り込まれているかどうかの確認は、凝集、融着反応中の反応液を一定時間おきに取り出し、遠心分離にかけることにより、判断できる。顔料微粒子およびワックス微粒子がトナーの内部に取り込まれていれば、反応液は遠心分離にかけると、固液2層に分かれ、上澄み液は無色透明になる。ワックス微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が白濁する。また、顔料微粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が顔料の色相を示す。たとえば、シアントナーなら、シアン色、ブラックトナーなら黒色を示す。芯粒子の凝集性は、芯粒子凝集反応中にサンプリングした分散液は等量のイオン交換水で希釈した後、試験管に入れ、遠心分離器に3000min-1で5分間かけた。遠心分離した上澄み液の濁度を目視で判断した状態を示している。B29〜B30、B33〜B39、B42〜B45、B48、B51〜B53は1時間(h)〜3時間(h)で上澄み液が透明となり、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得られている。B31、B32、B40、B41、B46、B47、B49は5h程度で略透明になったが、粒度分布がやや大きくなり、粒度分布は少し広がる傾向にある。画像評価ではカブリ、転写の文字飛びが他のトナーよりも少し多めとなる傾向にある。B50、B54〜B56では凝集不良の凝集に加わらない浮遊した顔料粒子が残存し、濁りが消えない傾向にある。第二の樹脂粒子はその黒濁等の状態からそのままシェル化を付着させた。
図16にトナー母体B36における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Aは90℃に到達したときの反応液、Bは90℃に到達後0.25h経過後の反応液、Cは90℃に到達後0.5h経過後の反応液、Dは90℃に到達後0.75h経過後の反応液、Eは90℃に到達後1h経過後の反応液、Fは90℃に到達後2h経過後の反応液、Gは90℃に到達後3h経過後の反応液の写真を示す。Eの90℃に到達後1h経過後で反応液は透明になり、樹脂、ワックス及びカーボンブラックが凝集した芯粒子が形成されている。
図18に形成されたトナー母体B36の芯粒子のSEM観察像(倍率5000)を示す。良好な芯粒子が形成されている。図19に第二のシェル樹脂を融着したトナー母体B36のTEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察した像を示す。粒子中でカボンブラック粒子が均一な分散状態にある。
図17にトナー母体B50における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Hは90℃に到達したときの反応液、Iは90℃に到達後1h経過後の反応液、Jは90℃に到達後2h経過後の反応液、Kは90℃に到達後3h経過後の反応液、Lは90℃に到達後4h経過後の反応液、Mは90℃に到達後5h経過後の反応液、Nは90℃に到達後6h経過後の反応液の写真を示す。Nの90℃に到達後6h経過しても反応液は依然黒のままで透明にはなっておらず、カーボンブラック粒子が浮遊したままで凝集不良の芯粒子しかできていない。
図19に形成されたトナー母体B50の芯粒子のSEM観察像(倍率3000)を示す。形がいびつで、粒子表面にカーボンブラック粒子やワックス粒子が芯粒子に取り込まれずに粒子表面に残留している。
図20に第二のシェル樹脂を融着したトナー母体B50のTEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察した像を示す。ところどころにカーボンブラック粒子が局在して偏在した粒子が見られ、分散状態は不良である。
このように一定のポリマー分散剤、及びノニオン系分散剤又はアニオン系分散剤の使用により、凝集不良による凝集に加わらない顔料粒子やワックス粒子が浮遊して残留する粒子の存在を減らし、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得ることができる。
(g)トナー母体B57の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS45を50g、ワックス粒子分散液WA13を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを7.5に調整し、2時間加熱処理した。目的はpHを酸性側にシフトさせることにより、芯粒子同士が凝集するいわゆる二次凝集を防止しながら加熱を続けることで、芯粒子の表面に残る微小な凹凸を消し去ること、一部完全に凝集が進行していない芯粒子の凝集を促進することであり、次の工程で融着させるシェル樹脂の付着を促進させ、また生成される粒子の粒度分布をより狭いものとすることができる。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後3.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(h)トナー母体B58の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS46を50g、ワックス粒子分散液WA14を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.4であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを5.5に調整し、1.5時間加熱処理した。その後さらに、芯粒子分散液のpHを5.5に再調整した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(i)トナー母体B59の作成(V2)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS47を41g、ワックス粒子分散液WA15を45g添加し、イオン交換水410mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から昇温し80℃に到達した時点(混合分散液のpH値は8.4)で、水溶液のpH値を5.4に調整した23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液267gを60minの所要時間にて連続して滴下し、0.5時間加熱後90℃に昇温し、1.5時間加熱処理して液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.8であった。その芯粒子分散液のpHを5.5に調整し、1時間加熱した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを7.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH5を80g添加し、滴下終了後4時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(j)トナー母体B63の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL2を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS51を50g、ワックス粒子分散液WA19を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを10.2とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2.5時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.4であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを5に調整し、1.5時間加熱処理した。その後さらに、芯粒子分散液のpHを5.5に再調整した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH2を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(k)トナー母体B61の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS49を50g、ワックス粒子分散液WA17を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後4時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.9であった。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後3.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(l)トナー母体B74の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS45を50g、ワックス粒子分散液WA13を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.5とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは9.1であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを8.2に調整し、2時間加熱処理した。その後さらに、芯粒子分散液のpHを7に再調整した。その後さらに、水温を92℃とした状態で、pHを8.0に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後3.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。
(m)トナー母体B75の作成(STD)
温度計、冷却管、pHメータ、攪拌翼を装着した円筒形の2Lのガラス容器に、第一の樹脂粒子分散液RL1を204g、カーボンブラック粒子分散液CBS46を50g、ワックス粒子分散液WA14を80g添加し、イオン交換水480mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11とし、その後23重量%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から90℃まで昇温し、その後2時間加熱処理し、液が透明になった芯粒子分散液を得た。得られた芯粒子分散液のpHは8.7であった。その透明になった芯粒子分散液のpHを4.8に調整し、1.5時間加熱処理した。その後さらに、芯粒子分散液のpHを5.5に再調整した。その後、水温を92℃とした状態で、pHを8.5に調整したシェル樹脂粒子分散液RH3を110g添加し、滴下終了後2.5時間加熱処理してシェル樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させた。トナー母体B60、B64は、B59の条件をベースにしてワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて試作評価した。トナー母体B65、B66は、B58の条件をベースにしてワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて試作評価した。トナー母体B71〜B75は、B57の条件をベースにしてワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて試作評価した。トナー母体B67は、B61の条件をベースにして、ワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて、試作評価した。トナー母体B69,B70,B76〜B78は、B62の条件をベースにして、ワックス粒子分散液又は着色剤粒子分散液等を変えて、試作評価した。表21に、トナー母体の作成例として作成したトナー母体についてそれぞれの組成を示す。
表22に作成されたトナー母体において得られた特性を示す。d50(μm)はトナー母体粒子の体積平均20、体積変動係数と形状指数を示す。
樹脂粒子と、顔料粒子及びワックス粒子とを凝集、融着させてトナーを製造する過程で、顔料微粒子およびワックス微粒子が樹脂微粒子に囲まれてトナー内部に取り込まれているかどうかの芯粒子の凝集性の確認は、凝集、融着反応中の反応液を一定時間おきに取り出し、遠心分離にかけることにより、判断できる。顔料粒子およびワックス粒子がトナーの内部に取り込まれていれば、反応液は遠心分離にかけると、固液2層に分かれ、上澄み液は無色透明になる。ワックス粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が白濁する。また、顔料粒子がトナー内部に取り込まれていない場合は、上澄み液が顔料の色相を示す。たとえば、シアントナーなら、シアン色、ブラックトナーなら黒色を示す。芯粒子の凝集性は、芯粒子凝集反応中にサンプリングした分散液は等量のイオン交換水で希釈した後、試験管に入れ、遠心分離器に3000min-1で5分間かけた。遠心分離した上澄み液の濁度を目視で判断した状態を示している。
B57〜B60、B63〜B65、B71〜B75は、芯粒子分散液の液温度が90度に到達後から1.5時間(h)〜3時間(h)で上澄み液が透明となり、小粒径で粒度分布の狭い粒子が得られている。
B61,B66,B67は、3.5〜5h程度で透明又は略透明になったが、粒度分布がやや大きくなり、粒度分布は少し広がる傾向にある。画像評価ではカブリ、転写の文字飛びが他のB57〜B60、B63〜B65、B71〜B75のトナーよりも少し多めとなる傾向にある。
B69、B70,B76〜B78では凝集不良の凝集に加わらない浮遊したワックス粒子及び顔料粒子が残存し、濁りが消えない傾向にある。
図22にトナー母体B65における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Aは90℃に到達したときの反応液、Bは90℃に到達後0.25h経過後の反応液、Cは90℃に到達後0.5h経過後の反応液、Dは90℃に到達後0.75h経過後の反応液、Eは90℃に到達後1h経過後の反応液、Fは90℃に到達後1.5h経過後の反応液の写真を示す。Fは90℃に到達後1.5h経過後で反応液は透明になり、樹脂、ワックス及びカーボンブラックが凝集した芯粒子が形成されている。
図24に形成されたトナー母体B65の芯粒子のSEM観察像(倍率5000)を示す。良好な芯粒子が形成されている。
図26に第二のシェル樹脂を融着したトナー母体B65のTEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察した像を示す。粒子中でカボンブラック粒子が均一な分散状態にある。
図23にトナー母体B70における芯粒子凝集時の反応時間毎にサンプリングした反応液を示す。Hは90℃に到達したときの反応液、Iは90℃に到達後1h経過後の反応液、Jは90℃に到達後2h経過後の反応液、Kは90℃に到達後3h経過後の反応液、Lは90℃に到達後4h経過後の反応液、Mは90℃に到達後5h経過後の反応液、Nは90℃に到達後6h経過後の反応液の写真を示す。Nの90℃に到達後6h経過しても反応液は依然黒のままで透明にはなっておらず、カーボンブラック粒子が浮遊したままで凝集不良の芯粒子しかできていない。
図25に形成されたトナー母体B70の芯粒子のSEM観察像(倍率3000)を示す。粒子表面にカーボンブラック粒子やワックス粒子が芯粒子に取り込まれずに残留している。図27に第二のシェル樹脂を融着したトナー母体B70のTEM(透過型電子顕微鏡)による断面観察した像を示す。ところどころにカーボンブラック粒子が局在して偏在した粒子が見られ、分散状態は不良である。
(6)外添剤
次に、外添剤の例について述べる。表23は、本実施例で使用した外添剤(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9)について、それぞれの材料及びその特性を示す。処理材料1と処理材料2の複数種で処理しているものは、( )に各処理材料の配合重量割合を示している。“5分値”及び“30分値”は帯電量([μC/g])を表わし、これらは、ノンコートのフェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃45RH%の環境下で、100mlのポリエチレン容器にキャリア50gとシリカなど0.1gを混合し、縦回転にて100分間-1の速度で5分、30分間攪拌した後、0.3g採取し、窒素ガス1.96×104[Pa]で1分間ブローして測定した。
なお、負帯電性では、5分値が−100〜−800μC/gで、30分の値が−50〜−600μC/gであることが好ましい。高い帯電量のシリカでは少量の添加量でこのような特性を発揮できる。
(7)トナーの組成及び外添処理
次に、トナーの組成及び外添処理例について述べる。表24〜表25は、トナーの作成例として作成した本実施例のトナーについて、それぞれの材料組成を示す。未配合は添加していないことを示す。なお、外添剤欄において外添剤を示す符号末尾の( )内の値は、トナー母体100重量部に対する当該外添剤の配合量(重量部)を表わす。外添処理は(ヘンシェルミキサーFM20B、三井鉱山社製)において、攪拌羽根Z0S0型、回転数2000min-1、処理時間5min、投入量1kgで行った。
図1は本実施例で使用したフルカラー画像形成用の画像形成装置の構成を示す断面図である。図1において、カラー電子写真プリンタの外装筐は省略している。転写ベルトユニット17は、転写ベルト12、弾性体よりなる第1色(イエロー)転写ローラ10Y、第2色(マゼンタ)転写ローラ10M、第3色(シアン)転写ローラ10C、第4色(ブラック)転写ローラ10K、アルミローラよりなる駆動ローラ11、弾性体よりなる第2転写ローラ14、第2転写従動ローラ13、転写ベルト12上に残ったトナー像をクリーニングするベルトクリーナブレード16、クリーナブレードに対向する位置にローラ15を設けている。このとき、第1色(Y)転写位置から第2色(M)転写位置までの距離は70mm(第2色(M)転写位置から第3色(C)転写位置、第3色(C)転写位置から第4色(K)転写位置も同様距離)、感光体の周速度は125mm/sである。転写ベルト12は、絶縁性ポリカーボネート樹脂中に導電性のフィラーを混練して押出機にてフィルム化して用いる。本実施例では、絶縁性樹脂としてポリカーボネート樹脂(たとえば三菱ガス化学製,ユーピロンZ300)95重量部に、導電性カーボン(たとえばケッチェンブラック)5重量部を加えてフィルム化したものを用いた。また、表面にフッ素樹脂をコートし、厚みは約100μm、体積抵抗は107〜1012Ω・cm、表面抵抗は107〜1012Ω/□である。ドット再現性を向上させるためもある。転写ベルト12の長期使用による弛みや,電荷の蓄積を有効に防止できるようにするためであり、表面をフッ素樹脂でコートしているのは、長期使用による転写ベルト表面へのトナーフィルミングを有効に防止できるようにするためである。体積抵抗が107Ω・cm未満であると、再転写が生じ易く、1012Ω・cmを超えると、転写効率が悪化する。
第1転写ローラは外径8mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第1転写動作時には、第1転写ローラ10は、転写ベルト12を介して感光体1に1.0〜9.8(N)の押圧力で圧接され、感光体上のトナーがベルト上に転写される。抵抗値が102Ω未満であると、再転写が生じ易い。106Ωを超えると、転写不良が生じ易くなる。1.0(N)未満であると、転写不良を生じ、9.8(N)を超えると、転写文字抜けが生じる。
第2転写ローラ14は外径10mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第2転写ローラ14は、転写ベルト12及び紙、OHP等の転写媒体19とを介して転写ローラ13に圧接される。この転写ローラ13は転写ベルト12に従動回転可能にしている。第2次転写での第2転写ローラ14と対向転写ローラ13とは5.0〜21.8(N)の押圧力で圧接され、紙等の記録材上19に転写ベルトからトナーが転写される。抵抗値が102Ω未満であると、再転写が生じ易い。106Ωを超えると、転写不良が生じ易くなる。5.0(N)未満であると、転写不良となり、21.8(N)を超えると、負荷が大きくなり、ジッタが出やすくなる。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色用の4組の像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが、図のように直列状に配置されている。
各像形成ユニット18Y、18M、18C、18K、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するためY用の像形成ユニット18Yについて説明し、他色用のユニットの説明については省略する。
像形成ユニットは以下のように構成されている。1は感光体、3は画素レーザ信号光、4は内部に1200ガウスの磁力を有する磁石を有するアルミよりなる外径10mmの現像ロ−ラで、感光体とギャップ0.3mmで対向し、矢印の方向に回転する。6は攪拌ローラで現像器内のトナーとキャリアを攪拌し、現像ローラへ供給する。キャリアとトナーの配合比を透磁率センサーにより読み取り(図示せず)、トナーホッパー(図示せず)から適時供給される。5は金属製の磁性ブレードで現像ローラ上に現像剤の磁気ブラシ層を規制する。現像剤量は150g投入している。ギャップは0.4mmとした。電源は、省略しているが、現像ローラ4には−500Vの直流と、1.5kV(p−p)、周波数6kHzの交流電圧が印加される。感光体と現像ローラ間の周速度比は1:1.6とした。またトナーとキャリアの混合比は93:7とし、現像器中の現像剤量は150gで行った。
2はエピクロルヒドリンゴムよりなる外径10mmの帯電ローラで直流バイアス−1.2kVが印加される。感光体1表面を−600Vに帯電する。8はクリーナ、9は廃トナーボックス、7は現像剤である。
紙搬送は転写ユニット17の下方から搬送され、転写ベルト12と第2転写ローラ14との圧接されたニップ部に紙給送ローラ(図示せず)により紙19が送られてくるように、紙搬送路が形成されている。
転写ベルト12上のトナーは第2転写ローラ14に印加された+1000Vにより紙19に転写され、定着ローラ201、加圧ローラ202、定着ベルト203、加熱媒体ローラ204、インダクションヒータ部205から構成される定着部に搬送され、ここで定着される。
図2にその定着プロセス図を示す。定着ローラ201とヒートローラ204との間にベルト203がかけられている。定着ローラ201と加圧ローラ202との間に所定の加重がかけられており、ベルト203と加圧ローラ202との間でニップが形成される。ヒートローラ204の外部周面にはフェライトコア206、とコイル207よりなるインダクションヒータ部205が設けられ、外面には温度センサー208が配置されている。
ベルトは30μmのNiを基体としてその上にシリコーンゴムを150μm、さらにその上にPFAチューブ30μmを重ねあわせている。
加圧ローラ202は加圧バネ209により定着ローラ201に押しつけられている。トナー210を有する記録材19は、案内板211に沿って動く。
定着部材としての定着ローラ201は、長さが250mm、外径が14mm、厚さ1mmのアルミニウム製中空ローラ芯金213の表面に、JIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が20度のシリコーンゴムからなる厚さ3mmの弾性層214を設けている。この上にシリコーンゴム層215が3mmの厚みで形成され外径が約26mmとなっている。図示しない駆動モータから駆動力を受けて125mm/sで回転する。
ヒートローラ204は肉厚1mm、外径20mmの中空パイプからなっている。定着ベルト表面温度はサーミスタを用いて表面温度170度に制御した。
加圧部材としての加圧ローラ202は、長さが250mm、外径20mmである。これは外径16mm、厚さ1mmのアルミニウムからなる中空ローラ芯金216の表面にJIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が55度のシリコーンゴムからなる厚さ2mmの弾性層217を設けている。この加圧ローラ202は、回転可能に設置されており、片側147Nのバネ加重のバネ209によって定着ローラ201との間で幅5.0mmのニップ幅を形成している。
以下、動作について説明する。フルカラーモードではY,M,C,Kのすべての第一転写ローラ10が押し上げられ、転写ベルト12を介して像形成ユニットの感光体1を押圧している。この時第一転写ローラには+800Vの直流バイアスが印加される。画像信号がレーザ光3から送られ、帯電ローラ2により表面が帯電された感光体1に入射し、静電潜像が形成される。感光体1と接触し回転する現像ローラ4上のトナーが感光体1に形成された静電潜像を顕像化する。
このとき像形成ユニット18Yの像形成の速度(感光体の周速に等しい125mm/s)と転写ベルト12の移動速度は感光体速度が転写ベルト速度よりも0.5〜1.5%遅くなるように設定されている。
像形成工程により、Yの信号光3Yが像形成ユニット18Yに入力され、Yトナーによる像形成が行われる。像形成と同時に第1転写ローラ10Yの作用で、Yトナー像が感光体1Yから転写ベルト12に転写される。このとき第1転写ローラ10Yには+800Vの直流電圧を印加した。
第1色(Y)第一転写と第2色(M)第一転写間のタイムラグを持たせて、Mの信号光3Mが像形成ユニット18Mに入力され、Mトナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10Mの作用で、Mトナー像が感光体1Mから転写ベルト12に転写される。このとき第一色(Y)トナーが形成されている上にMトナーが転写される。同様にC(シアン)、K(ブラック)トナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10C、10Kの作用で、YMCKトナー像が転写ベルト12上に形成される。いわゆるタンデム方式と呼ばれる方式である。
転写ベルト12上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のKトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセット(図示せず)から送られる紙19に、第2転写ローラ14の作用で一括転写される。このとき転写ローラ13は接地し、第2転写ローラ14には+1kVの直流電圧を印加した。紙に転写されたトナー像は定着ローラ対201・202により定着された。紙はその後排出ローラ対(図示せず)を経て装置外に排出された。中間転写ベルト12上に残った転写残りのトナーは、クリーニングブレード16の作用で清掃され次の像形成に備えた。
(画像出し評価例)
次に、トナー及び二成分現像剤についての画像出し評価の例について述べる。ここでは、画像形成装置を用い、トナーとキャリアとの混合比率を変えた数種の二成分現像剤について、それぞれA4版出力で10万枚のランニング耐久試験を行って、帯電量及び画像濃度を測定すると共に、出力サンプルにおける非画像部での地かぶり、全面ベタ画像での均一性、及び転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)、並びにトナーフィルミングについて評価した。画像濃度(ID)評価はMacbeth Division of Kollmorgen Instruments Corporate製の反射濃度計 RD−914を用いて黒ベタ部を測定した。
なお、帯電量は、フェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃、相対湿度45%RHの環境下で、耐久性評価のサンプルを0.3g採取し、窒素ガス1.96×104Paで1分間ブローして測定した。
表26は、本実施例で使用した二成分現像剤(DB1〜DB25)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアを組み合わせ、A4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。
カブリレベルは、Spectrolino Spectro Scanにより、0.03以下であればより良好なレベル“A”、0.03を超え、0.06以下であればややカブリが増加した程度のレベル“B”、0.06を超えると問題あるレベル“C”を表わす。全面ベタ画像均一性においては、A4サイズにおける全面にベタ画像サンプルを取ったときに、部分的に画像濃度に変化が少なく画像濃度差が小さいレベルであれば“A”、“A”の比べて画像濃度差がやや見られる程度のレベルであれば“B”、部分的に画像濃度の差が目立つレベルであれば“C”で表わす。転写時の文字飛びにおいては、「轟、議、魏」の文字を印写したとき、線の周辺に存在するトナーの状態で評価し、線の周辺に存在するトナーが少なくレベルであれば“A”、線の周辺にトナーが少し存在するレベルであれば“B”、線の周辺に存在するトナーが多いレベルであれば“C”で表わす。
逆転写は、2色以上の画像サンプルを印字した時、1色目の色のトナーが感光体から転写ベルトに転写された後、2色目の色のトナーが感光体から転写ベルトに転写される際、1色目の色のトナーの一部が2色目の感光体に付着してしまう現象をいう。評価は、その1色目のトナーが2色目の感光体に付着してクリーニングブレードで感光体から除去され、廃トナーボックスに回収されるトナーの量を目視して評価する。1色目のトナーと2色目のトナーがほとんど混ざっていなければ“A”、1色目のトナーと2色目のトナーがやや混ざっているレベルであれば“B”、混ざっているのが明らかには分かれば“C”、で表わす。
転写中抜けにおいては、線が交差するパターン「+」を印字し、この交点においてトナーの存在状態を評価する。交点においてトナーが存在しているレベルであれば“A”、交点においてトナーの不存在の部分が少しあるレベルであれば“B”、交点においてトナーが存在しない状態であれば“C”で表わす。
本実施例のトナーを使用した二成分現像剤DB6〜DB25は、A4版の用紙(Panasonic指定紙(104g/m2))で10万枚ランニング耐久試験を実施した。ランニング試験前後での画像濃度について、画像濃度は1.4以上と変化が少なく安定した特性を示した。感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。
また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性について、本実施例の二成分現像剤は非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)についても、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。ただし、DB17,DB23はカブリ、ベタ画像均一性、転写の文字飛びが他のトナーよりも少し多めになる傾向にある。一方、DB1〜DB5は顔料の遊離粒子が多く、画像濃度が低く、画像評価に耐えられるサンプルが得られなかった。
表27は、本実施例で使用した二成分現像剤(DB27〜DB56)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアの構成、及びA4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。
本実施例のトナーを使用した二成分現像剤DB27〜DB49、DB51〜DB53は、A4版の用紙(Panasonic指定紙(104g/m2))で10万枚ランニング耐久試験を実施した。ランニング試験前後での画像濃度について、画像濃度は1.4以上と変化が少なく安定した特性を示した。感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。
また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性について、本実施例の二成分現像剤は非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)についても、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。一方、DB50,DB54〜DB56は顔料等の凝集に加わらない遊離した粒子の影響を思われる、画像濃度の低下等が生じた。
表28は、本実施例で使用した二成分現像剤(DB57〜DB78)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアの構成、及びA4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。
二成分現像剤DB57〜DB60、DB63〜DB66、DB71〜DB75は、A4版の用紙(Panasonic指定紙(104g/m2))で10万枚ランニング耐久試験を実施した。ランニング試験前後での画像濃度について、画像濃度は1.3以上と変化が少なく安定した特性を示した。感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。
また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性について、本実施例の二成分現像剤は非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)についても、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。DB61、DB67では、非画像部の地かぶりがやや発生し、若干転写時の文字飛びが出ている。一方、DB69、DB70,DB76〜DB78は凝集に加わらない遊離したワックス粒子、顔料粒子の影響を思われる画像濃度の低下や、カブリの増加等の現象が生じている。
表29は、本実施例で使用したトナーB1〜B25について、定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を示す。表中、“A”は評価の結果が良好であり、高温での放置後熱凝集が生じず、粉体状態を保っていることを示す。“B”は評価のレベルがAに比べてやや劣るが、30g/cm2以上の少しの荷重で凝集がほぐれることを示す。“C”は問題があり、高温での放置後、凝集塊の状態となりで300g/cm2以上の荷重をかけないと塊が崩落しないことを表わす。ここでは、付着量1.2mg/cm2のベタ画像をプロセス速度125mm/s、オイルを塗布しないベルトを用いた定着装置にて、A4版の用紙(Panasonic指定紙(104g/m2))で、最低定着温度及び高温でのオフセット現象発生温度を測定した。また、高温状態での貯蔵安定性試験は、50℃、24時間の放置後のトナーの状態を評価した。なお、OHP用フィルム透過率は、分光光度計U−3200(日立製作所)で、700nmの光の透過率を測定した。
定着性評価において、一定の融点を有するワックスを配合したTB6〜TB25では、150℃以下の低温定着性、190℃以上の高温非オフセット性を示した。また高温貯蔵安定性も良好であった。ただし、TB17,TB20、TB23,TB26は高温非オフセット性が他のトナーよりもやや低下する傾向にある。TB1〜TB5では低温定着性、高温非オフセット性とも不良で、満足な定着可能温度域は得られなかった。カーボンブラック粒子へのワックスの吸着により樹脂との相溶化が阻害され定着特性が機能していないものと思われる。
表30は、本実施例で使用したトナーB27〜B56について、定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を示す。
定着性評価において、TB29〜TB48、TB51〜TB53では、140℃以下の低温定着性、190℃以上の高温非オフセット性を示した。また高温貯蔵安定性も良好であった。ただし、TB31,TB32,TB41、TB46,TB47、TB49は高温非オフセット性が他のトナーよりもやや低下する傾向にある。TB50、TB54〜TB56では低温定着性、高温非オフセット性とも不良で、満足な定着可能温度域は得られなかった。
表31は、本実施例で使用したトナーB57〜B78について、定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を示す。
定着性評価において、TB57〜TB60、TB63〜TB66、TB71〜TB75では、145℃以下の低温定着性、190℃以上の高温非オフセット性を示した。また高温貯蔵安定性も良好であった。ただし、TB61、TB67は高温非オフセット性が他のトナーよりもやや低下する傾向にある。TB69、TB70,TB76〜TB78では低温定着性、高温非オフセット性とも不良で、十分な定着可能温度域は得られなかった。
本発明は、感光体を使用した電子写真方式以外でも、ダイレクトに紙や、配線パターンとして基板上に導電性を有する物質を配合したトナーを付着させて印写する方式等にも有用である。

Claims (20)

  1. トナー母体粒子と外添剤を含むトナーであって、
    前記トナー母体粒子は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して生成される芯粒子を含み、
    前記着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤を含むことを特徴とするトナー。
  2. 前記ポリマー系分散剤は、親水性部分と疎水性部分とを分子中に有する共重合ポリマーである請求項1に記載のトナー。
  3. 前記ポリマー系分散剤は、マレイン酸系分散剤又はアクリル酸系分散剤を含み、前記ポリマー系分散剤のガラス転移点が40〜150℃である請求項1又は2記載のトナー。
  4. 前記ポリマー系分散剤は、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体若しくはアクリル酸エステル−マレイン酸共重合体及びこれらの塩から選ばれる少なくとも一つの物質を含む請求項1〜3のいずれかに記載のトナー。
  5. 前記着色剤粒子分散液が、さらに、非イオン系界面活性剤及びアニオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも一つの界面活性剤を含む請求項1に記載のトナー。
  6. 前記非イオン系界面活性剤のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)が、13.3〜18.6である請求項5に記載のトナー。
  7. 前記アニオン系分散剤が、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルナフタレンスルホン酸塩から選ばれる少なくとも一つである請求項5に記載のトナー。
  8. 前記ポリマー系分散剤が着色剤粒子100重量部に対し3〜20重量部、及び非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤が着色剤粒子100重量部に対し1〜15重量部である請求項5に記載のトナー。
  9. 前記ポリマー系分散剤の配合量が、非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤の配合量以上であり、ポリマー系分散剤と非イオン系界面活性剤又はアニオン系界面活性剤の配合比率が、1:1〜10:1である請求項5に記載のトナー。
  10. 前記着色剤粒子がDBP吸油量45〜70(ml/100g)のカーボンブラックを含み、かつワックスがDSC法による吸熱ピーク温度50〜90℃のワックスを含む請求項1に記載のトナー。
  11. トナー母体粒子と外添剤を含むトナーの製造方法であって、
    前記トナー母体粒子は、水系媒体中において、少なくとも、第一の樹脂粒子を分散させた第一の樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合液を生成する工程と、
    前記混合液に、凝集剤を添加し、前記第一の樹脂粒子、前記着色剤粒子及び前記ワックス粒子を凝集して芯粒子を生成する工程とを含み、
    前記着色剤粒子分散液にポリマー系分散剤を含むことを特徴とするトナーの製造方法。
  12. 前記樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集して生成された芯粒子が分散した前記芯粒子分散液中のpHを0.5〜5酸性側にシフトさせる工程を含む請求項11に記載のトナーの製造方法。
  13. 前記樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集して芯粒子が生成されたときの前記芯粒子分散液中のpHが7〜9.5の範囲である請求項11に記載のトナーの製造方法。
  14. 前記芯粒子を含む芯粒子分散液に、さらに第ニの樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液を添加し、加熱して、前記第二の樹脂粒子を前記芯粒子に融着させる工程を含む請求項11に記載のトナーの製造方法。
  15. 前記第二の樹脂粒子分散液を添加する際に、第二の樹脂粒子分散液のpH値をアルカリ状態に調整しておき、pH値が7以下、2以上の範囲の状態の芯粒子が分散した芯粒子分散液に添加する工程を含む請求項14に記載のトナーの製造方法。
  16. 前記アルカリ状態に調整した第ニの樹脂粒子を分散させた第二の樹脂粒子分散液のpH値が7.5〜10.5の範囲である請求項14又は15に記載のトナーの製造方法。
  17. 前記着色剤粒子分散液が、さらに非イオン系界面活性剤及びアニオン系界面活性剤から選ばれる少なくとも一つの界面活性剤を含む請求項11に記載のトナーの製造方法。
  18. 前記ポリマー系分散剤は、マレイン酸系分散剤又はアクリル酸系分散剤を含み、前記ポリマー系分散剤のガラス転移点が40〜150℃である請求項11又は17に記載のトナーの製造方法。
  19. 前記ポリマー系分散剤が、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸ハーフエステル共重合体若しくはアクリル酸エステル−マレイン酸共重合体、又はこれらの塩を含む請求項11、17又は18のいずれかに記載のトナーの製造方法。
  20. 前記非イオン系界面活性剤のHLB(Hydrophile-Lipophile Balance)が13.3〜18.6である請求項17に記載のトナーの製造方法。
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