本発明は、複写機、レーザプリンタ、普通紙ファクシミリ、カラー複写機、カラーレーザプリンタ、カラーファクシミリ及びこれらが複合された複合機等に使用される色材であるトナー、そのトナーの製造方法及び二成分現像剤に関するものである。
近年、プリンタなどの画像形成装置は、その用途がオフィスユースからパーソナルユースへと広がりつつあり、メンテナンスフリーと、より小型化・高速化・高画質化を図る技術が求められている。そのため、例えば、電子写真方式における転写残りのトナーをクリーニングせず現像において回収するクリーナーレスプロセス、カラー画像を高速に形成するために各色の像形成ユニットを並べて配置し各色同時に像形成を行ういわゆるタンデムカラープロセス、高速プリント及び省エネルギーのための低温定着、また、定着器の定着ローラ表面にトナーが付着するいわゆるオフセット現象を、離型オイル(定着オイル)を使用せずに防止して鮮明なカラープリントを得るオイルレス定着等が、良好なメンテナンス性、低オゾン排気等の条件が要求されている。そして、これらの機能は同時にいずれも互いに両立させることが望まれている。このような技術の開発においては、画像形成のプロセスのみならずそこで使用されるトナーの特性向上がその開発の重要なファクターとなっている。
例えば、プリントの高解像度化・高画質化のベースとなるトナー粒子の小粒径化はもとより、カラープリンタにあっては、カラープリントの定着プロセスにおいて、カラーを構成する各色のトナーを十分に溶融混色させて透光性を上げることも必要とされている。このときトナーの溶融不良が起こると、トナーで形成されている画像いわゆるトナー像の表面又は内部において光の散乱が生じてトナー色素本来の色調が損なわれると共に、各色のトナーの層が重なった部分では下層まで光が入射せず色再現性が低下する。そこでトナーは、低温定着にも対応し、また十分な溶融特性を有しトナー色素の色調を損なわないような透光性能を有することが、小粒径化と共に必要とされている。ことにオーバーヘッドプロジェクター(OHP)用フィルムでの透光性は、カラーでのプレゼンテーション機会の増加でその必要性がより高くなってきている。
ところが、十分な溶融特性を有するトナーを用いる場合、定着ローラの表面にトナーが付着する高温オフセット(ホットオフセット)現象を生じ易く、そこで、それを抑えるための離型剤であるオイルなど(定着オイル)を定着ローラ表面に多量に塗布しなければならず、その定着器の構成や取扱いが複雑になる。そのようなことから、装置の小型化・メンテナンスフリー化・低コスト化のために、定着時に定着オイルを使用しないオイルレス定着が要求されている。そして、トナーには、高温オフセット現象を起こさず、また高温状態での保存時に凝集することのない凝集性能が、低温定着のための低温溶融や透光性等の溶融性能と共に両立されることが求められている。
ところで、トナーは一般的に結着材としての樹脂成分と、着色添加剤である顔料又は染料から成る着色成分と、可塑剤、電荷制御剤及び必要に応じてワックスなどの離型剤等のその他の添加剤による添加成分とによって構成される。樹脂成分としては、天然又は合成の樹脂が、単独で又は適宜混合されて使用される。そして、前述の添加剤を適当な割合で予備混合した後、加熱混練して熱溶融させる。そして、それを気流式衝突板方式により微粉砕し、そして微粉分級して、トナー母体が作成される。なお、この混練粉砕法に代わって、化学重合的な方法によりトナー母体を作成する方法もある。
その後、このトナー母体に例えば疎水性シリカなどの外添剤を外添処理してトナーが完成される。一成分現像剤としてはこのトナーのみで構成されるが、二成分現像剤としてはこのトナーに更に磁性粒子から成るキャリアを混合して構成される。
ここで、小粒径のトナー母体粒子を製造するために、現在、種々の方法が検討されている。すなわち、従来の混練粉砕法における粉砕・分級の操作では、小粒径化といっても経済的・性能的に現実に提供できる粒径は8μm程度までであった。そこで、混練粉砕法とは異なる種々の重合法を用いたトナー母体の製造方法が更に検討されている。
例えば、懸濁重合法によりトナー母体を製造する方法がある。ただ、この方法では、トナー母体の粒径分布を制御しようとしても混練粉砕法の域を出ることはできず、多くの場合は更なる分級操作を必要とする。更に、この方法で得られたトナー母体粒子は、その形状がほぼ真球状であるので、電子写真装置における感光体などに残留するトナーのクリーニング性が悪く、画質信頼性を損ねるという問題もある。
また、乳化重合法によるトナー母体の製造法もある。これは、分散剤を添加した水系中に少なくとも結着樹脂微粒子(後述の第2の結着樹脂微粒子と区別するときには第1の結着樹脂微粒子とも呼ぶ)を分散させて成る分散液中で凝集粒子を生成させた凝集粒子分散液を得る工程と、その凝集粒子分散液中に更に第2の結着樹脂微粒子を分散させて成る第2の樹脂粒子分散液を添加混合し更に加熱して前述の凝集粒子(芯粒子とも呼ぶ)に第2の結着樹脂微粒子を付着融合させて樹脂融着層を形成させる工程とによりトナー母体を作成するものである。
以上述べてきたようなトナーにおいてオイルレス定着を実現可能とするために、シャープメルト特性すなわち十分な溶融特性を有する結着樹脂中にワックスなどの離型剤を添加する構成が実用化されつつある。
しかし、このようなトナーの構成は、トナーの凝集性が強いという特質を有するので、転写時のトナー像乱れや転写不良の傾向がより顕著に生じ、それゆえ、定着と転写の両立が困難である。すなわち、溶融混練時に低軟化性の樹脂中に離型剤としてワックスを添加配合するトナー母体の製造方法では、その添加量を多くするに従って、トナーの流動性の低下、転写時のいわゆる中抜けなどの転写不良の増大、感光体にトナーの成分が付着するいわゆるトナーフィルミングの発生等の弊害を生じるので、添加配合できるワックスの量に限界がある。また、そのトナーを二成分現像剤として使用した際には、トナー及びキャリアの粒子間の衝突・摩擦又は粒子と現像器との衝突・摩擦などの機械的な衝突・摩擦による発熱によってキャリアの表面にトナーの低融点成分が付着してトナー膜が形成されるいわゆるスペント化現象が生じ易いので、キャリアのトナーに対する帯電能力が低下して二成分現像剤の長寿命化が妨げられる。
このような問題に対し、下記特許文献1では、正帯電型トナーに対し、被覆(コーティング)層のシリコーン樹脂にフッ素置換アルキル基を導入したコーティングキャリアが提案されている。更に、下記特許文献2では、高速プロセスにおいて、現像能力が高く、それが長期において劣化しないものとして、導電性カーボンと架橋型フッ素変性シリコーン樹脂とを含有するコーティングキャリアが提案されている。これらのキャリアは、シリコーン樹脂の優れた帯電特性を生かすとともにフッ素置換アルキル基によって、滑り性・剥離性・撥水性等の特性を付与し、摩耗・はがれ・クラック等が発生しにくい上、スペント化現象も防止できるとしている。
一方、乳化重合法において、下記特許文献3で、極性を有する分散剤中に結着樹脂微粒子を分散させてなる樹脂粒子分散液と、極性を有する分散剤中に着色剤微粒子を分散させてなる着色剤粒子分散液とを少なくとも混合して混合液を調製する混合液調製工程において、前記混合液中に含まれる分散剤の極性を同極性とすることで、帯電性及び発色性に優れた信頼性の高い静電荷像現像用トナーを容易にかつ簡便に製造し得ることが開示されている。
下記特許文献4で、離型剤が、炭素数が12〜30の高級アルコール及び炭素数12〜30の高級脂肪酸の少なくとも一方から成るエステルを少なくとも1種含み、かつ、該結着樹脂微粒子が、分子量が異なる少なくとも2種の結着樹脂微粒子を含むことで、定着性・発色性・透明性・混色性等に優れることが開示されている。
下記特許文献5では、樹脂成分の分子量分布が少なくとも1,500〜20,000と50,000〜500,000にピーク又はショルダーを有しており、低分子量側のピーク又はショルダーに由来する分子量分布(ML)がMw/Mn=1.2〜4.0であり、且つ高分子量側の1つのピーク又はショルダーに由来する分子量分布(MH)がMw/Mn=2.0〜30.0とする構成が開示され、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックスや、これらの変性物、カルナバワックスやライスワックス等の天然ワックス、脂肪酸ビスアミドなどのアミド系ワックスなどを添加する構成が開示され、熱定着時の耐オフセット性に優れ、高画質の可視画像を長期にわたり安定して形成できる効果が記載されている。
実施例では、低分子量樹脂粒子を分散したラテックス1と、高分子量樹脂粒子を分散したラテックス5をと着色剤分散液1とWAXエマルジョン(ポリプロピレンエマルジョン)とを塩析/融着させた製造が記載されている。
下記特許文献6では、樹脂が少なくともGPCにて測定された分子量分布で1,500〜20,000の範囲にピーク又はショルダーを有する低分子量成分と50,000〜500,000の範囲にピーク又はショルダーを有する高分子量成分からなり、且つ離型剤がDSCにて70〜100℃の領域にピークを有する構成で、塩析/融着させてなるトナーの構成が開示され、クリーニング性、帯電安定性に優れ、高画質な画像を長期にわたり形成できる効果が記載されている。実施例において、低分子量樹脂粒子分散液「ラテックス1」と、高分子量樹脂粒子分散液「ラテックス2」と、「着色剤粒子分散液1」と「離型剤粒子分散液1」を攪拌し、塩析/融着させた製造が記載されている。
下記特許文献7では、重量平均分子量(MwA)が15,000〜500,000である樹脂粒子(A)および着色剤粒子を塩析/融着させて得られる着色粒子(コア粒子)の表面に、塩析/融着法によって一定の分子量値を規定した樹脂粒子(B)を融着させてなる樹脂層(シェル)が形成されたトナーが開示され、粒子表面における着色剤の存在量が少なく、当該トナーの高い帯電性および現像性が使用環境によって影響を受けにくい効果が記載されている。
しかし、従来の特許文献1及び特許文献2に示される構成では、ワックスなどの離型剤が添加されたトナーを混合した二成分現像剤において、キャリアの被覆層が摩耗・はがれ・クラック等について充分に満足のいくものではない上に、負帯電性を有するトナーを用いた場合には、その二成分現像剤は、トナーの帯電量が低過ぎ、また逆帯電性トナー(正帯電性を有するトナー)が多量に発生してかぶりやトナー飛散等が生じて、使用に耐えるものではなかった。
また、従来の特許文献3及び特許文献4に示される構成では、重合法によるトナー母体の製造においてワックスなどの離型剤を添加することで、そのトナーは、オイルレス定着と、現像時のかぶりの低減や転写効率との両立を図ることを可能とする構成である。しかしワックスを凝集粒子中に均一に取り込むことが困難で、ワックスの分散性が悪化して、定着時に溶融されるトナー像が色濁りを生じやすい。また、顔料等の着色剤の分散性も悪化して、トナーの発色性が不十分になってしまう。
特許文献5及び特許文献6に示される構成では、結着樹脂が異なる分子量分布を有しているため、塩析/融着の際、一部溶融したワックスと先に溶融が開始される低分子量樹脂粒子間で凝集が始まり、その後に遅れて溶融が開始される高分子量樹脂粒子の凝集が始まるため、最終得られる凝集粒子の粒度分布がブロードに広がりやすく、またワックスの分散性が低分子量樹脂粒子の影響を強く受けるため、凝集粒子中のワックスの分散性が均一になりにくい。
また、製造工程において凝集粒子を芯粒子として、その表面に更に第2の結着樹脂微粒子を付着溶融させて樹脂融着層を形成させる際、そのワックスを均一に取り込めずにワックスの分散性が悪化した凝集粒子に対しては、第2の結着樹脂微粒子の付着が進まず又は一旦は凝集粒子と付着した第2の結着樹脂微粒子が凝集粒子表面に存在するワックスのリリ−ス作用により、再び分離して、水系中に遊離する第2の結着樹脂微粒子が残留してしまう傾向にあった。
また、ワックスなどの離型剤の分散は、使用するワックスなどの極性、融点などの熱特性等が混合凝集時の凝集性に与える影響が大きい。また、オイルレス定着を実現するためには特定のワックスを多量に添加しなければならなくなる。そして、一定量以上のワックスを配合する系では、凝集反応によりトナー母体粒子を生成形成する際、その粒径が加熱処理時間と共に粗大化する傾向にあった。
特に低温定着性の実現と高温非オフセット性とを両立して定着可能温度域を広げるため、融点又は組成の異なる複数のワックスを使用する場合、凝集粒子生成のため水系中の温度を昇温する過程で、低融点のワックスの溶融が始まり、着色剤や一部溶融した樹脂粒子との凝集が開始されるが、高融点ワックスの方は溶融が生じておらず、水系中で溶融していない粒子の状態で存在し、凝集反応が進行しない状態となり、溶融して凝集が進行するワックスと進行しないワックスが存在し、最終生成した凝集粒子のワックスの分散が偏在した状態となりやすく、生成した凝集粒子の粒径が粗大化したり、粒度分布がブロードに広がる傾向にあった。
このように、従来の構成は、ワックスなどの離型剤の混合、特に融点又は組成の異なる複数のワックスを併用して使用する場合、製造時の水系中での結着樹脂微粒子及び着色剤微粒子を含む微粒子相互の均一な混合凝集を妨げ、水系中で凝集にかかわらない浮遊したワックスの存在を生み、トナー母体粒子となる溶融した凝集粒子を粗大化させる要因となって、その結果、小粒径で粒径が揃ったトナー母体粒子の作成を困難にする傾向にあった。また、二成分現像剤において、キャリアと混合して使用する際、ワックス等の成分がキャリア表面に付着するいわゆるスペント化現象により劣化し易いという課題があった。
特許第2801507号公報
特開2002−23429号公報
特開平10−198070号公報
特許第3399294号公報
特開2001−154405号公報
特開2001−134017号公報
特開2002−116574号公報
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、低温定着のための低温溶融と、高温オフセット現象及び高温下での貯蔵安定性の確保との両立を図りつつ、重合法によるトナー母体の製造においてワックスなどの離型剤の添加によってもトナー母体粒子となる凝集粒子が粗大化されず、分級工程が不要で粒径が揃った小粒径のトナーとその製造方法、及び帯電能力が高く、耐久性も十分でスペント化現象による劣化を生じない二成分現像剤を提供する。
本発明は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し加熱して凝集生成される芯粒子に、第2の樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液を添加混合し、加熱して、前記第2の樹脂粒子を前記芯粒子に融着したトナー母体粒子を含むトナーであって、
前記芯粒子を形成する前記樹脂粒子は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量(Mw1)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜6であり、前記第2の樹脂粒子のGPCによって測定された分子量特性として、数平均分子量(Mn)が0.9万〜3万、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10であり、 前記ワックス粒子は、少なくとも第1のワックスと第2のワックスとを含み、
前記第1のワックスの示差走査熱量測定(DSC)法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1)が55〜85℃である炭素数16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一つのエステルワックスを含有し、前記第2のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含有し、 かつ、
前記第2のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2)とTmw1との関係が、
5+Tmw1(℃) ≦ Tmw2(℃) ≦ 50+Tmw1(℃)
であるトナーである。
また、本発明のトナーは、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し加熱して凝集生成される芯粒子に、第2の樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液を添加混合し、加熱して、前記第2の樹脂粒子を前記芯粒子に融着したトナー母体粒子を含むトナーであって、
前記芯粒子を形成する前記樹脂粒子は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量(Mw1)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜6であり、前記第2の樹脂粒子のGPCによって測定された分子量特性として、数平均分子量(Mn)が0.9万〜3万、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10であり、 前記ワックス粒子は、少なくとも第1のワックスと第2のワックスとを含み、 前記第1のワックスの示差走査熱量測定(DSC)法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1)が55〜85℃であるヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300のワックスを含有し、前記第2のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含有し、かつ、
前記第2のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2)とTmw1との関係が、
5+Tmw1(℃) ≦ Tmw2(℃) ≦ 50+Tmw1(℃)
であるトナーである。
また、本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合分散液を生成し、前記混合分散液を加熱処理し、前記混合分散液の加熱処理の過程で、前記複数のワックス粒子の少なくとも一部を溶融させ、溶融した粒子を凝集合体させて芯粒子を形成する工程と、第2の樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液を添加し、加熱して、前記第2の樹脂粒子を前記芯粒子に融着させる工程を含むトナーの製造方法であって、
前記芯粒子を形成する前記樹脂粒子は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量(Mw1)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜6であり、前記第2の樹脂粒子のGPCによって測定された数平均分子量(Mn)が0.9万〜3万、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10であり、
前記ワックス粒子は、少なくとも第1のワックスと第2のワックスとを含み、
前記第1のワックスの示差走査熱量測定(DSC)法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1)が55〜85℃である炭素数16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸から選ばれる少なくとも一つのエステルワックスを含有し、前記第2のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含有し、 かつ、
前記第2のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2)とTmw1との関係が、
5+Tmw1(℃) ≦ Tmw2(℃) ≦ 50+Tmw1(℃)
であるトナーの製造方法である。
また、本発明のトナーの製造方法は、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合分散液を生成し、前記混合分散液を加熱処理し、前記混合分散液の加熱処理の過程で、前記複数のワックス粒子の少なくとも一部を溶融させ、溶融した粒子を凝集合体させて芯粒子を形成する工程と、
第2の樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液を添加し、加熱して、前記第2の樹脂粒子を前記芯粒子に融着させる工程を含むトナーの製造方法であって、
前記芯粒子を形成する前記樹脂粒子は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量(Mw1)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜6であり、
前記第2の樹脂粒子のGPCによって測定された数平均分子量(Mn)が0.9万〜3万、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10であり、
前記ワックス粒子は、少なくとも第1のワックスと第2のワックスとを含み、
前記第1のワックスの示差走査熱量測定(DSC)法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1)が55〜85℃であるヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300のワックスを含有し、前記第2のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含有し、かつ、
前記第2のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2)とTmw1との関係が、
5+Tmw1(℃) ≦ Tmw2(℃) ≦ 50+Tmw1(℃)
であるトナーの製造方法である。
本発明は、トナーの製造において、結着樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及び融点又は組成の異なる複数のワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を水系中で混合し加熱して凝集させ、凝集粒子が生成される際、結着樹脂の重量平均分子量Mwを1万〜6万、Mw/Mnを1.5〜6とすることで低温定着性を保った上で、水系中で凝集に関わらない浮遊したワックス粒子又は着色剤粒子の存在を抑えて、凝集粒子の粒度分布がブロード化又は粗大化することを抑え、凝集粒子の形状が不定形になることや、表面平滑性が損なわれて凹凸状になることを抑えることができる。このようにワックスの添加によってもトナー母体粒子となる溶融した凝集粒子を粗大化させず、小粒径でかつ粒径がほぼ揃ったトナー母体粒子を分級工程無しで作成することができる。
更に、複数のワックスを併用せしめて、融点(Tmw1)が50〜90℃の第1のワックスの採用により、低温定着性・透光性・光沢性を向上させ、かつ融点(Tmw2)がTmw1よりも5〜50℃高温の第2のワックスを採用することで、定着時の高温耐オフセット特性を付与することができる。このように、低融点ワックスと高融点ワックスとの併用により、低温での定着を可能とした上で定着オイルの塗布を必要とせずにオフセット現象を抑制できる。
更に、平均粒径が6〜200nmの範囲の無機微粉末をこのトナー母体100重量部に対し1〜6重量部の範囲で添加し外添処理して、表面が少なくともアミノシランカップリング剤を含むフッ素変性シリコーン系樹脂で被覆された磁性粒子から成るキャリアと混合した二成分現像剤としてもスペント化現象による劣化を生じないという効果を奏する。
本発明は、オイルレス定着で高光沢性、高透光性を有し、好適な帯電特性及び環境依存性、クリーニング性、転写性を有し、かつシャープな粒度分布を有する小粒子径の静電荷像現像用トナー、二成分現像剤を提供し、かつ、トナーの飛散、かぶり等の無い高画質で信頼性の高いカラー画像の形成を可能にする画像形成を提供することについて鋭意検討した。
(1)重合方法
樹脂粒子分散液の調製は、ビニル系単量体を界面活性剤中で乳化重合やシード重合等することにより、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)の樹脂粒子を界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。その手段としては、例えば、高速回転型乳化装置、高圧乳化装置、コロイド型乳化装置、メデイアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
樹脂粒子における樹脂が、前記ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体以外の樹脂である場合には、該樹脂が、水への溶解度が比較的低い油性溶剤に溶解するのであれば、該樹脂を該油性溶剤に溶解させ、この溶液を、ホモジナイザー等の分散機を用いて界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより、ビニル系樹脂以外の樹脂製の樹脂粒子を界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
重合開始剤としては、2,2’−アゾビスー(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサンー1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビスー4−メトキシー2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系又はジアゾ系重合開始剤、や過硫酸塩(過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(4,4’−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。
着色剤粒子分散液は、界面活性剤を添加した水中に着色剤粒子を添加し、前記した分散の手段を用いて分散させることにより調製される。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水中で、ワックス粒子を添加し、適当な分散手段を用いて分散させることにより調製される。
本発明のトナーの基本構成としては、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合して混合液を生成し、前記混合液を加熱処理して溶融した凝集粒子を生成する際、ワックスは、少なくともDSC法による吸熱ピーク温度が異なる複数のワックスを含み、混合液の加熱処理の過程で、複数のワックス粒子の少なくとも一部の溶融が進行し、かつ樹脂粒子の溶融が進行した後に、着色剤粒子と溶融したワックス粒子と溶融した樹脂粒子とが凝集し溶融合体して、溶融した凝集粒子が生成する。
本発明のトナーは、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液を混合し、凝集して少なくとも一部が溶融した凝集粒子を生成する。
樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液と、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックス粒子を分散させたワックス粒子分散液とを混合して混合分散液を生成し、その混合分散液のpHを一定の条件下に調整し、水溶性無機塩を添加し、混合分散液を第1の樹脂粒子のガラス転移点温度(Tg)以上及び/又はワックスの融点以上に加熱して凝集させることで少なくとも一部が溶融した凝集粒子(芯粒子と称することもある)を生成するのが好ましい。
すなわち、使用する樹脂粒子のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量特性と、ワックスの熱特性(融点)を一定の関係とする。
具体的には、樹脂粒子の重量平均分子量(Mw1)が1万〜6万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜6とするものであり、かつ、ワックスが、少なくとも第1のワックス及び第2のワックスを含み、第1のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw1(℃))が50〜90℃であり、第2のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が、Tmw1よりも5〜50℃高温とする。
樹脂粒子において、より好ましくは、重量平均分子量(Mw1)が1万〜5万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜3.9であり、更に好ましくは、重量平均分子量(Mw1)が1万〜3万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜3である。
また、数平均分子量(Mn1)が0.3万〜1.5万、重量平均分子量(Mw1)が1万〜6万、Z平均分子量(Mz1)が3万〜10万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜6、Z平均分子量(Mz1)と数平均分子量(Mn1)の比Mz1/Mn1が3〜10であるのが好ましい。
より好ましくは、数平均分子量(Mn1)が0.3万〜1.2万、重量平均分子量(Mw1)が1万〜5万、Z平均分子量(Mz1)が3万〜7万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜3.9、Z平均分子量(Mz1)と数平均分子量(Mn1)の比Mz1/Mn1が3〜8である。
さらに好ましくは、数平均分子量(Mn1)が0.4万〜0.8万、重量平均分子量(Mw1)が1万〜3万、Z平均分子量(Mz1)が3万〜5万、重量平均分子量(Mw1)と数平均分子量(Mn1)の比Mw1/Mn1が1.5〜3、Z平均分子量(Mz1)と数平均分子量(Mn1)の比Mz1/Mn1が3〜5である。
融点の異なる複数のワックスを併用して使用する場合、昇温の過程で、低融点のワックスが先に溶融が開始し、さらに昇温後遅れて高融点ワックスの溶融が開始される。そのため、従来の分子量分布が2山の構成や広がったMw1/Mn1の大きい分子量特性を有する結着樹脂では、樹脂の溶融が昇温とともに、徐々に進行し、一部溶融したワックスと先に溶融が開始される低分子量樹脂粒子間で凝集が始まり、その後に遅れて溶融が開始される高分子量樹脂粒子の凝集が始まるため、凝集反応が昇温と共に緩慢に進行してしまい、最終得られる凝集粒子の粒度分布がブロードに広がりやすく、またワックスの分散性が低分子量樹脂粒子の影響を強く受けるため、凝集粒子中のワックスの分散性が均一になりにくいものと推測される。
しかし、本発明の一定の分子量特性を有する樹脂の使用により、従来の樹脂特性のように樹脂の溶融が徐々に生じるのではなく、樹脂粒子の溶融が比較的シャープに進行するため、低融点ワックスの溶融が開始されても、樹脂粒子との凝集の進行が遅れるため、その後に高融点のワックスの溶融が開始し、低融点及び高融点ワックス粒子と樹脂粒子との溶融凝集が加速的に進行するため、低融点及び高融点ワックスを均一に内包化した小粒径で狭い粒径分布の凝集粒子形成が可能となるものと考えられる。
Mwが1万よりも小さいと、またはMzが3万よりも小さいと、凝集が進みやすく粒子が粗大化しやすい。耐オフセット性、高温度下での貯蔵安定性が低下する。
Mwが6万を超え、またはMzが10万を超えると、低温定着性が悪化する。Mw/Mnが6を超え、またはMz/Mnが10を超えると、凝集粒子の粒度分布がブロードに広がりやすく、また凝集粒子中のワックスの分散性が均一になりにくい。芯粒子の形状が安定せず、不定形や表面平滑性の劣るものとなる。またMw/Mnが1.5未満、またはMz/Mnが3未満のとき樹脂の生産性が低下する。
第1のワックスの融点Tmw1は好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜85℃、さらに好ましくは、65〜75℃である。50℃未満のとき貯蔵安定性が悪化する。90℃を超えると、低温定着性、カラー透光性、光沢性が向上しない。
第2のワックスの融点Tmw2は、第1のワックスの融点Tmw1よりも、5℃以上高温とすることにより、複数のワックスの機能を効率よく分離でき、低融点ワックスにより低温定着性を具備させ、高融点ワックスにより高温耐オフセット性、耐熱性及び高温貯蔵安定性を得ることが目的である。5℃未満となると低温定着性と耐オフセット性の離型性との両方の効果が出にくくなる。
第2のワックスのDSC法による吸熱ピーク温度(融点Tmw2(℃))が、Tmw1よりも50℃を超えて高温となると、凝集粒子生成において、ワックスの溶融のタイミングが離れすぎるため、ワックスの分散が均一になりにくく、また粒度分布もブロードになってしまう。
また、本発明のトナーにおいて、特定のワックス組成を使用することが好ましい。具体的には、ワックスが少なくとも第1のワックス及び第2のワックスを含み、第1のワックスが、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルワックスを含み、かつ第2のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含むのが好ましい。
また、本発明のトナーにおいて、特定のワックス組成を使用することが好ましい。具体的には、ワックスが少なくとも第1のワックス及び第2のワックスを含み、第1のワックスが、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含み、第2のワックスが、脂肪族炭化水素系ワックスを含むのが好ましい。
水系中で樹脂、着色剤及び脂肪族炭化水素系ワックスとともに凝集粒子(芯粒子と称することもある)を形成する際、脂肪族炭化水素系のワックスは樹脂とのなじみ性から樹脂との凝集が起こりにくいワックスである。ワックスが凝集粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在や、凝集粒子の凝集が進まずに粒度分布がブロードになりやすい。
また、その浮遊粒子の抑制や、粒度分布のブロード化を防止するために、加熱処理の温度や、時間を変えることを行うと粒子径が粗大化してしまう。さらにこの溶融した芯粒子にさらに第2の樹脂粒子をシェル化する際に、芯粒子が急激に二次凝集を生じて粒子が粗大化する現象が表れる。
そこで、ワックスとして、特定の脂肪族炭化水素系ワックスを含む第2のワックスとともに、特定のワックスを含む第1のワックスとから構成されるワックスを使用することにより、脂肪族炭化水素系ワックスが凝集粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在を抑え、また凝集粒子の粒度分布がブロードになることを抑え、さらにはシェル化する際に芯粒子が急激に二次凝集を生じて芯粒子が粗大化する現象を緩和する傾向にある。
これは、加熱凝集の際、第1のワックスが樹脂と相溶化が進むことで、脂肪族炭化水素系ワックスの樹脂との凝集を助長されることで、均一に取り込まれ、浮遊粒子の存在を防止することが出来るものと推測する。
さらには、第1のワックスは樹脂と相溶化が一部進むことで、低温定着がより向上する傾向にある。そして、脂肪族炭化水素系のワックスは樹脂との相溶化は進まないため芯粒子中で結晶状態で存在し、高温オフセット性を良化する機能を発揮させることが出来る。つまり、この第1のワックスは、脂肪族炭化水素系ワックスの乳化分散処理時の分散助剤としての機能、更には低温定着助剤としての機能を有するものと考えられる。
また、本発明のトナーにおいて、第1のワックスの融点Tmw1は50〜90℃、第2のワックスの融点Tmw2は80〜120℃であることが好ましい。
第1のワックスの融点Tmw1は、好ましくは55〜85℃、より好ましくは60〜85℃、さらに好ましくは、65〜75℃である。50℃未満となると、トナーの高温下での貯蔵安定性が悪化しやすい。また、ワックスの溶融が早まり、凝集粒子が粗大化しやすい。90℃を超えると芯粒子生成時の水系中でのワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加しやすい。また低温定着性が向上しずらい。
また、第2のワックスの融点Tmw2はより好ましくは85〜100℃、さらに好ましくは90〜100℃であることが好ましい。80℃未満となると、貯蔵安定性が悪化、耐オフセットの離型作用が弱くなる。120℃を超えると、芯粒子生成時の水系中でのワックスの凝集性が低下し、水系中に凝集しない遊離粒子が増加する。また、低温定着性、カラー透光性が阻害される。
また、本発明のトナーにおいて、ワックス粒子分散液が、第1のワックスと第2のワックスを混合乳化分散処理して共分散作成することが好ましい。乳化分散装置内に第1のワックスと第2のワックスを一定配合比で加熱乳化分散処理する方法である。投入は別々でも同時でもかまわないが、最終得られる分散液には第1のワックスと第2のワックスが混合した状態で含まれていることが好ましい。
第1のワックス、第2のワックスそれぞれ別々に乳化分散処理した分散液を、樹脂粒子分散液及び着色剤粒子分散液と混合して、加熱凝集させると、ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在や、芯粒子の粒度分布がブロードになりやすい課題は解消できない。またシェル化する際に、芯粒子が二次凝集を生じて芯粒子が粗大化する課題も十分には解消できない。
脂肪族炭化水素系ワックスを陰イオン界面活性剤により処理すると分散安定性は向上するが、芯粒子の凝集の際、粒子径が粗大化してシャープな粒度分布の粒子が得にくい。そのためワックス粒子分散液が、非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤により、第1のワックスと第2のワックスを混合乳化分散処理して作成することが好ましい。
非イオン界面活性剤を主成分とする界面活性剤により脂肪族炭化水素系ワックスとエステル系ワックスと混合して分散処理して乳化分散液を作成することにより、ワックス自体の凝集が抑制され分散安定性が向上する。そしてこれらのワックスを樹脂粒子、着色剤粒子分散液との芯粒子作成において、ワックス粒子の遊離がなく、小粒径でかつ狭いシャープな粒度分布の粒子を形成することが出来る。
また、ワックス粒子分散液中のワックス100重量部に対する第1のワックス重量割合をES1、第2のワックスの重量割合をFT2とすると、FT2/ES1が0.2〜10が好ましい。より好ましくは1〜9の範囲である。さらに好ましくは1.5〜9の範囲である。0.2よりも小さいと、高温耐オフセットの効果が得られず、また貯蔵安定性が悪化する。10よりも大きいと低温定着が実現できず、凝集粒子の粒度分布がブロードになりやすい。さらに1.5〜3の範囲とすると、低温定着性と、高温貯蔵安定性と定着高温オフセット性の両立できるバランスの良い割合である。
全ワックス添加量は結着樹脂成分100重量部に対して、5〜30重量部が好ましい。好ましくは8〜25重量部、より好ましくは10〜20重量部が好ましい。5重量部未満であると、低温定着性、離型性の効果が発揮されない。30重量部を超えると小粒径の粒子制御が困難になる。
また、本発明のトナーにおいて、融点の異なる2種のワックス粒子及び着色剤粒子との凝集反応による凝集粒子形成において、浮遊粒子の存在をなくし、その粒径分布がシャープな凝集粒子を形成するために、凝集粒子を構成する結着樹脂は、ガラス転移温度が45〜60℃、軟化温度が90〜140℃であるものが好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が45℃〜55℃、軟化点が90℃〜135℃、さらに好ましくは、ガラス転移点が45℃〜52℃、軟化点が90℃〜130℃であるのが好ましい。
ガラス転移点が45℃未満であると、凝集粒子の粒度分布がブロードになりやすく、また粒子が粗大化する。高温下での貯蔵安定性が低下する。ガラス転移点が60℃を超えると低温定着性が悪化する。軟化点が90℃未満であると凝集粒子の粒度分布がブロードになりやすく、また粒子が粗大化する。光沢度の変動が大きくなる。軟化点が140℃を超えると低温定着性が悪化する。凝集粒子生成時に結着樹脂粒子の凝集性が低下し、浮遊粒子が増加する。
また、本発明のトナーにおいて、水系媒体中において、少なくとも、樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液、着色剤粒子を分散させた着色剤粒子分散液及びワックスを分散させたワックス粒子分散液とを混合する。このとき樹脂粒子を分散させた樹脂粒子分散液のpH(水素イオン濃度)を6.0以下とすることが好ましい。
乳化重合樹脂を重合生成する際に重合開始剤として過硫酸カリウム等の過硫酸塩を使用した際、その残留分が加熱凝集工程時の熱により分解してpHを下げてしまうことがあるため、乳化重合した後に一定温度以上(残留分を十分に分散させておくために80℃以上が好ましい)で、一定時間(1〜5時間程度が好ましい)加熱処理を施すことが好ましい。好ましくは4以下、更に好ましくは1.8以下である。前記において、pHが6.0を超えていると、加熱して凝集粒子を形成する際に、重合開始剤の過硫酸塩の残留分が分解し、液中のpH変動(pH減少現象)が大きくなり、加熱凝集して得られた凝集粒子が粗大化する傾向となる。
そして、樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合した混合分散液に水溶性無機塩を添加し、樹脂のガラス転移点以上及び/又はワックスの融点以上に加熱することで一定の粒径を有した凝集粒子が生成される。このとき水溶性無機塩の添加前及び加熱前に、混合分散液のpHを9.5〜12.2の範囲に調整することが好ましい。好ましくは10〜12、より好ましくは10.5〜12の範囲である。1NのNaOHを添加することでpHの調整が可能である。pHが9.5未満であると、形成される凝集粒子が粗大化する傾向となる。また、pHが12.2を超えると、遊離ワックスが多くなりワックスを均一に内包化することが困難になる。
pH調整後に、水溶性無機塩を添加し、加熱処理して少なくとも樹脂粒子、着色剤粒子及びワックス粒子が凝集した少なくとも一部が溶融した所定の体積平均粒径(例えば3〜7μm)の凝集粒子が形成される。この所定の体積平均粒径の凝集粒子が形成された分散液のpHを7.0〜9.5の範囲に保持させるようにすることにより、ワックスの遊離が少なく、ワックスが内包された狭い粒度分布の凝集粒子が形成できる。添加するNaOH量、凝集剤種や量、乳化重合樹脂分散液のpH、着色剤分散液のpH、ワックス分散液のpHの設定値や、加熱温度、時間は適宜選択する。凝集粒子が形成された分散液のpHが7.0未満となると、凝集粒子が粗大化する傾向になる。pHが9.5を超えると、凝集不良で遊離ワックスが多くなる傾向になる。
その後、さらにpHを2.2〜6.8の範囲に調整し、一定時間(1〜5時間が好ましい)、凝集粒子を加熱処理する方法も好ましい。この範囲に調整して加熱処理を施すことにより、凝集粒子相互の二次凝集を抑制しながら、かつ凝集粒子形状の表面平滑性を進めることができ、また粒度分布をよりシャープに絞り込めることが出来る。
また、本発明のトナーにおいて、凝集粒子を作成するとき、樹脂粒子分散液を作成する際に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤であり、着色剤分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤であり、かつワックス分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤とするのが好ましい。これにより水系中で凝集にかかわらない浮遊した着色剤粒子やワックス粒子の存在をなくし、小粒径でかつ均一で狭い範囲でシャープな粒度分布を有する小粒径のトナーを、分級工程不要で作成することができる。
上記第1の樹脂粒子を分散させた第1の樹脂粒子分散液の界面活性剤は、非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤との混合系が好ましく、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して、60重量%以上有することが好ましい。好ましくは60〜95重量%、より好ましくは65〜90重量%である。60重量%未満であると安定した凝集粒子が得られない。また非イオン界面活性剤のみ、又は95重量%より多いと、樹脂粒子自体の分散が安定しない。
また、第1の樹脂分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合であり、着色剤分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤のみであり、かつワックス分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤のみとするのも好ましい。
また、第1の樹脂分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合であり、着色剤分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合であり、かつワックス分散液に用いる界面活性剤の主成分が非イオン界面活性剤のみとするのも好ましい。このとき、着色剤分散液及び第1の樹脂分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合の場合、非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して、60重量%以上有することが好ましい。好ましくは60〜95重量%、より好ましくは65〜90重量%である。
また、界面活性剤によりワックス、樹脂微粒子には水分子が多数、分散粒子に水和しているので、粒子同士がくっつきにくい。電解質を加えることにより水和している水分子が電解質に奪われ、くっつきやすくなる。さらに粒子がくっつき合い、大きな粒子に成長していく。このときイオン型界面活性剤による分散液、たとえば樹脂分散にアニオン系、ワックス分散にアニオン系を使用すると、凝集粒子は得られるが、電解質を加えることにより水和している水分子が奪われる際に、ワックス粒子が反発する粒子が残り、単独で浮遊するワックスのみ凝集した粒子が存在しやすくなる。この凝集に参加しない粒子の存在は感光体へのフィルミング、現像時の画像濃度低下やカブリの増大を招くことになる。またこれらの浮遊した粒子は、一定時間の凝集加熱反応工程時に徐々に凝集粒子に加わり、得られた粒子が粗大化、ブロード化してしまう要因にもつながる。
それに対して、非イオン界面活性剤によるワックス分散液では、電解質を加えることにより水和している水分子が電解質に奪われ、くっつきやすくなる。さらに粒子がくっつき合い、大きな粒子に成長していく。電解質を加えることにより水和している水分子が奪われる際に、非イオン系であるため、ワックス粒子が反発する影響が少なく、単独で浮遊するワックスのみ凝集した粒子の存在が抑えられ、粒度分布のシャープで均一な粒子を形成することが可能となると考えられる。
また、本実施形態において、前記した凝集粒子(芯粒子と称することもある)に、第2の樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液を添加混合し、加熱して、前記第2の樹脂粒子を芯粒子に融着させてトナー母体粒子を生成するのも好ましい。芯粒子が分散した芯粒子分散液に、第2の樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液を混合し、前記第2の樹脂粒子のガラス転移点温度以上の温度で加熱処理して芯粒子に、前記第2の樹脂粒子を前記芯粒子に融着させる樹脂融着層を形成する(以下シェル化と称する)のも好ましい。
使用する第2の樹脂粒子のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された分子量特性として、数平均分子量(Mn)が0.9万〜3万、重量平均分子量(Mw)が5万〜50万、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnが2〜10とするのが好ましい。
より好ましくは、数平均分子量(Mn)が1.1万〜2.5万、重量平均分子量(Mw)が5万〜40万、Z平均分子量(Mz)が10万〜50万、Mw/Mnが2〜8、Mz/Mnが5〜40、さらに好ましくは、数平均分子量(Mn)が1.4万〜2.2万、重量平均分子量(Mw)が5万〜30万、Z平均分子量(Mz)が10万〜40万、Mw/Mnが2.5〜5、Mz/Mnが5〜30であるのが好ましい。
芯粒子表面に第2の樹脂粒子を融着させることにより、高温耐オフセット性、高温での貯蔵安定性又は現像時の耐刷性を向上させることを目的とするものである。
ワックスを配合した芯粒子表面に第2の樹脂粒子を付着溶融(融着)させる際、ワックスの離型効果により第2の樹脂粒子の融着が妨げられ、融着に寄与しない水中で浮遊したままの樹脂粒子が残存し、均一な第2の樹脂融着層の形成が困難になりやすい。特に前記した融点又は組成の異なる2種以上のワックスを含有させる芯粒子において、ワックスが一部露出していると融着がよりしにくくなる傾向にある。
そこで、分子量特性、ガラス点転移点又は軟化点を一定範囲内とした第2の樹脂粒子の使用により、加熱時の第2の樹脂粒子の溶融を早めることで、融点の異なる2種以上のワックスを含有した芯粒子表面にワックスの影響を抑えることで、第2の樹脂粒子を融着させることができる。
Mnが0.9万未満、Mwが5万未満またはMzが10万未満であると耐久性、耐高温オフセット性、定着時の定着ローラ等と紙との分離性が低下する。第2の樹脂粒子の溶融が早くなるため、第2の樹脂粒子が融着した粒子の粒度分布が粗大化しやすい。Mnが3万を超え、Mwが50万を超えまたはMzが50万を超えると光沢性、透光性が低下する。また第2の樹脂粒子の芯粒子表面への融着が進行しずらくなる。
Mw/Mnを小さく、またはMz/Mnを小さくして分子量分布を単分散に近づけることにより、芯粒子表面への第2の樹脂の熱融着が均一に行うことが出来きる。Mw/Mnが10を超えまたはMz/Mnが40を超えると芯粒子表面への熱融着性が悪化し、融着した第2の樹脂層にムラが出来たり、表面層に凹凸が残り平滑性とできにくい。またMw/Mnが2未満またはMz/Mnが5未満のとき樹脂の生産性が低下する。
さらには、第2の樹脂粒子の構成として、ガラス転移点(Tg2(℃))が60℃〜75℃、軟化点(Ts2(℃))が140℃〜180℃であるのが好ましい。より好ましくは、ガラス転移点が63℃〜75℃、軟化点が150℃〜180℃、さらに好ましくは、ガラス転移点が68℃〜75℃、軟化点が160℃〜180℃であるのが好ましい。高温下での貯蔵安定性、耐刷性、耐高温オフセット性又は紙の分離性を向上させることが目的である。
第2の樹脂のガラス転移点が60℃未満であると貯蔵安定性が悪化する。75℃を超えると融点の異なる2種のワックス粒子が配合される芯粒子表面への融着性が悪化し、均一に付着しづらくなる。第2の樹脂の軟化点が140℃未満であると耐刷性、耐高温オフセット性又は紙の分離性が低下する。180℃を超えると芯粒子表面への融着性が悪化し、均一に付着しづらくなる。光沢性又は透光性が悪化する。
また、第2の樹脂の軟化点及びガラス転移点を前記した芯粒子に使用する樹脂粒子(第1の樹脂粒子と称する)よりも高い値とすることにより、低温定着性と、高温下での貯蔵安定性、耐オフセット性を満足させることができる。しかし第2の樹脂粒子の軟化点及びガラス転移点を第1の樹脂粒子よりも高い値とすることにより、芯粒子表面への熱融着性が悪化し、融着した層にムラが生じたり、表面層に凹凸が残り平滑にできにくい場合がある。そこで、前述した第2の樹脂粒子のMw/Mnを小さく、またはMz/Mnを小さくして分子量分布を単分散に近づけることにより、芯粒子表面への第2の樹脂粒子の熱融着が均一に行うことができる。
第2の樹脂粒子はトナー全樹脂に対して10重量%以上であることが好ましく、より好ましくは20重量%以上、さらに好ましくは30重量%以上で、40重量%以下とするのが好ましい。
芯粒子の表面に第2の樹脂粒子を付着させて、その第2の樹脂粒子のTg以上に加熱して樹脂表面融着層を形成する際に、第2の樹脂粒子を遊離させることなく、かつ芯粒子の二次凝集を防いで、芯粒子表面に均一に付着させるため、その芯粒子が分散した芯粒子分散液に第2の樹脂粒子を分散させた第2の樹脂粒子分散液を添加し、その後第2の樹脂粒子分散液が添加された芯粒子分散液のpHを2.2〜7.8の範囲に調整した後、第2の樹脂粒子のガラス転移点温度以上の温度で0.5〜5時間加熱処理する方法を採ることも好ましい。
この工程を取り入れることにより、第2の樹脂粒子を芯粒子表面に第2の樹脂粒子の浮遊粒子を抑えて均一に付着させることが可能となる。pHが2.2未満であると、第2の樹脂粒子の付着がやや起こりにくく、遊離樹脂粒子が増加する傾向になる。pHが7.8を超えると、芯粒子同士の二次凝集が発生しやすくなる。処理時間を5時間以上長くすると、粒子の粗大化と粒度分布がブロードになる傾向にある。
トナーの耐久性、貯蔵安定性、高温耐オフセット性をより良好なものとするためである。その層の厚さは0.5μm〜2μmが好ましい。これよりも薄いと前記した効果が発揮せず、厚いと低温定着性が阻害される。
第2の樹脂分散液に用いる界面活性剤が非イオン界面活性剤とイオン型界面活性剤の混合とするのが好ましく、このときの構成も非イオン界面活性剤が界面活性剤全体に対して、50重量%以上有することが好ましい。好ましくは60重量%以上、より好ましくは60〜95重量%、さらに好ましくは65〜90重量%である。芯粒子に対して第2の樹脂微粒子の付着を促進させるためである。イオン界面活性剤の存在割合が大きくなると、芯粒子に対して第2の樹脂微粒子の付着が悪化し、時間とともに芯粒子の二次凝集による粗大化が進むが、第2の樹脂粒子が水系中で遊離したままの状態にとどまってしまう。
水溶性無機塩としては、アルカリ金属塩及びアルカリ土類金属塩を挙げることができる。アルカリ金属としては、リチウム、カリウム、ナトリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。これらのうち、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウムが好ましい。前記アルカリ金属又はアルカリ土類金属の対イオン(塩を構成する陰イオン)としては、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、炭酸イオン、硫酸イオン等が挙げられる。
水に無限溶解する有機溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、エチレングリコール、グリセリン、アセトン等が挙げられる。これらのうち、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノールなどの炭素数が3以下のアルコールが好ましく、特に2−プロパノールが好ましい。
非イオン界面活性剤としては、例えば、高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物、脂肪酸エチレンオキサイド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキサイド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキサイド付加物、油脂のエチレンオキサイド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤、グリセロールの脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、ソルビトール及びソルビタンの脂肪酸エステル、ショ糖の脂肪酸エステル、他価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド等の多価アルコール型の非イオン界面活性剤などが挙げられる。
高級アルコールエチレンオキサイド付加物、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物等のポリエチレングリコール型の非イオン界面活性剤が特に好ましく使用できる。
水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。前記極性を有する分散剤における前記極性界面活性剤の含有量としては、一概に規定することはできず、目的に応じて適宜選択することができる。
また本発明においては、非イオン界面活性剤と、イオン型界面活性剤とを併用する場合には、極性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤、アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。
前記アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
前記カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
凝集粒子または芯粒子に樹脂を融着させた樹脂融着層を形成した樹脂融着粒子の生成後、任意の洗浄工程、固液分離工程、及び乾燥工程を経て、トナー母体粒子を得ることができる。この洗浄工程においては、帯電性を向上させる観点より、十分にイオン交換水による置換洗浄を行うのが好ましい。前記固液分離工程における分離方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、吸引濾過法や加圧濾過法などの公知のろ過方法が好ましく挙げられる。前記乾燥工程における乾燥方法としては、特に制限はなく、生産性の観点から、フラッシュジェット乾燥方法、流動乾燥方法、及び振動型流動乾燥方法などの公知の乾燥方法が好ましく挙げられる。
(2)ワックス
第2のワックスとしては、低分子量ポリプロピレンワックス、低分子量ポリエチレンワックス、ポリプロピレンポリエチレン共重合体ワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートトプッシュワックス等の脂肪酸炭化水素系ワックスが好適に使用できる。
また、第2のワックスとして、長鎖アルキルアルコールと不飽和多価カルボン酸又はその無水物及び合成炭化水素系ワックスとの反応により得られるワックスも好ましく使用される。長鎖アルキル基の炭素数は4〜30が好ましく、酸価10〜80mgKOH/gであることが好ましい。
また、長鎖アルキルアミンと不飽和多価カルボン酸又はその無水物及び不飽和炭化水素系ワックスとの反応により得られるワックス、又は長鎖フルオロアルキルアルコールと不飽和多価カルボン酸又はその無水物及び不飽和炭化水素系ワックスとの反応により得られるワックスも好適に使用できる。効果は長鎖アルキル基による離型作用の増進、エステル基による樹脂との分散相性を良くし、ビニル基による耐久性、オフセット性の良化効果が考えられる。
このワックスのGPCにおける分子量分布において、重量平均分子量が1000〜6000、Z平均分子量が1500〜9000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜3.8、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.5〜6.5、1×103〜3×104の領域に少なくとも一つの分子量極大ピークを有し、酸価10〜80mgKOH/g、融点80〜120℃、25℃における針入度が4以下であることが好ましい。
より好ましくは重量平均分子量が1000〜5000、Z平均分子量が1700〜8000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜2.8、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.5〜4.5、1×103〜1×104の領域に少なくとも一つの分子量極大ピークを有し、酸価10〜50mgKOH/g、融点85〜100℃が好ましく、更に好ましくは重量平均分子量が1000〜2500、Z平均分子量が1900〜3000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.2〜1.8、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.7〜2.5、1×103〜3×103の領域に少なくとも一つの分子量極大ピークを有し、酸価35〜50mgKOH/g、融点90〜100℃である。
オイルレス定着における非オフセット性と高光沢性、OHPの高透光性を発現でき、高温保存性を低下させることがない。薄紙に3層のカラートナーが形成された画像において、定着ローラやベルトとの紙の分離性向上に特に効果がある。
また分散剤中での乳化分散が均一な小粒径粒子の作成が可能となり、混合凝集により樹脂顔料との均一凝集が可能となり、浮遊物の存在をなくし、色濁りを抑えられる。これによりオイルを塗布せずとも、オフセット性を防止して低温定着で、高光沢性、透光性を有するオイルレス定着を実現できる。
後述したキャリアと組合せた使用により、オイルレス定着と共にスペントの発生を抑制でき現像剤の長寿命化が図られ、また現像器内での均一性が保持でき、現像メモリーの発生も抑制できる。さらには連続使用時の帯電安定性が得られ、定着性と現像安定性との両立が可能となる。
ここで、ワックスの長鎖アルキルの炭素数が4より小さいと離型作用が弱くなり分離性、高温非オフセット性が低下する。長鎖アルキルの炭素数が30より大きいと樹脂との混合凝集性が悪くなり、分散性が低下する。酸価が10mgKOH/gより小さいとトナーの長期使用時の帯電量低下を招く。酸価が80mgKOH/gより大きいと耐湿性が低下し、高湿下でのかぶりが増大する。高いと乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒径を小さくできにくくなる。
融点が80℃より小さいとトナーの貯蔵安定性が低下し、高温オフセット性が悪化する。融点が120℃より大きいと低温定着性が弱くなり、カラー透光性が悪化する。乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒径を小さくできにくくなる。
25℃における針入度が4より大きいと強靭性が低下し、長期使用中に感光体フィルミングを生じる。
重量平均分子量が1000よりも小さく、Z平均分子量が1500より小さく、重量平均分子量/数平均分子量が1.1よりも小さく、Z平均分子量/数平均分子量が1.5よりも小さく、分子量極大ピークが1×103よりも小さい範囲に位置していると、トナーの保存性が低下、感光体や中間転写体にフィルミングを発生する。また現像器内でのハンドリング性が低下し、トナー濃度の均一性を低下させる。また現像メモリーを生じ易くなる。高速回転による高せん断力作用時の乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒度分布がブロ−ドになってしまう。
重量平均分子量が6000よりも大きく、Z平均分子量が9000よりも大きく、重量平均分子量/数平均分子量が3.8よりも大きく、Z平均分子量/数平均分子量が6.5よりも大きく、分子量極大ピークが3×104の領域よりも大きい範囲に位置していると、離型作用が弱くなり定着オフセット性が低下する。乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒径を小さくできにくくなる。
アルコールとしてはオクタノール(C8H17OH)、ドデカノール(C12H25OH)、ステアリルアルコール(C18H37OH)、ノナコサノール(C29H59OH)、ペンタデカノール(C15H31OH)等の炭素数4〜30の範囲のアルキル鎖を持つものが使用できる。またアミン類としてN−メチルヘキシルアミン、ノニルアミン、ステアリルアミン、ノナデシルアミン等が好適に使用できる。他に1−メトキシ−(パーフルオロー2−メチル−1−プロペン)、ヘキサフルオロアセトン、3−パーフルオロオクチルー1,2−エポキシプロパン等が好適に使用できる。
不飽和多価カルボン酸又はその無水物としては、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等が一種又は二種以上使用できる。なかでもマレイン酸、無水マレイン酸がより好ましい。不飽和炭化水素系ワックスとしては、エチレン、プロピレン、α―オレフィン等が好適に使用できる。
不飽和多価カルボン酸又はその無水物をアルコール又はアミンを用いて重合させ、次にこれをジクルミパーオキサイドやターシャリーブチルパーオキシイソプロピルモノカルボネート等の存在下で合成炭化水素系ワックスに付加させることにより得ることができる。
第1のワックスとしては、炭素数が16〜24の高級アルコール及び炭素数16〜24の高級脂肪酸の少なくとも一方からなるエステルを少なくとも1種含む。このワックスを使用することにより、また低温定着化を進めることが出来る。第2のワックスとの併用により、脂肪族炭化水素系ワックスが芯粒子中に取り込まれずに浮遊する粒子の存在を抑え、また芯粒子の粒度分布がブロードになることを抑えられる。さらには第2の樹脂粒子を付着、融着させる(シェル化)際に、芯粒子が急激に二次凝集を生じて粒子が粗大化する現象を抑制することができる。
アルコール成分としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル等のモノアルコールの外、エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類及びその多量体、グリセリン等のトリオール類及びその多量体、ペンタエリスリトール等の多価アルコール、ソルビタン、コレステロール等が好適である。これらのアルコール成分が多価アルコールである場合の前記高級脂肪酸は、モノ置換体であってもよいし、多価置換体であってもよい。
具体的には、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類、ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル、オレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類、モンタン酸モノエチレングリコールエステル、エチレングリコールジステアレート、モノステアリン酸グリセリド、モノベヘン酸グリセリド、トリパルミチン酸グリセリド、ペンタエリスリトールモノベヘネート、ペンタエリスリトールジリノレート、ペンタエリスリトールトリオレエート、ペンタエリスリトールテトラステアレート等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコールとからなるエステル類、ジエチレングリコールモノベヘネート、ジエチレングリコールジベヘネート、ジプロピレングリコールモノステアレート、ジステアリン酸ジグリセリド、テトラステアリン酸トリグリセリド、ヘキサベヘン酸テトラグリセリド、デカステアリン酸デカグリセリド等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と多価アルコール多量体とからなるエステル類などが好適に挙げられる。これらのワックスは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
アルコール成分及び/又は酸成分の炭素数は16未満であると分散助剤としての機能が発揮しにくく、24を越えると低温定着助剤としての機能が発揮しにくくなる。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水系媒体中にワックスをイオン交換水中で加熱し、溶融させ分散させることにより調製される。
また好ましい第1のワックスとして、ヨウ素価が25以下、けん化価が30〜300からなるワックスを含むのが好ましい。第2のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布の芯粒子からなるトナー母体粒子の生成が可能となる。好ましくは、ヨウ素価が18以下、けん化価が30〜150、さらに好ましくは、ヨウ素価が15以下、けん化価が50〜130である。
ヨウ素価が25を超えると、水系中での浮遊物が増大し、樹脂、着色剤粒子との芯粒子形成が均一に行えず、粒子の粗大化、ブロードな粒度分布になりやすい。けん化価が30未満となると、不けん化物、炭化水素の存在が増加し、小粒径の均一な凝集粒子形成が困難になる。感光体フィルミング、トナーの帯電性の悪化を生じ、連続使用時の帯電性の低下を招く。300を超えると水系中での浮遊物が増大する。
そのワックスの220℃における加熱減量は8重量%以下であることが好ましい。加熱減量が8重量%を超えるとトナーのガラス転移点を低下させ、トナーの貯蔵安定性を損なう。現像特性に悪影響を与え、カブリや感光体フィルミングを生じさせる。生成されるトナーの粒度分布がブロードになってしまう。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)における分子量特性、数平均分子量が100〜5000、重量平均分子量が200〜10000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜8、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜10、分子量5×102〜1×104の領域に少なくとも一つの分子量極大ピークを有していることが好ましい。
より好ましくは数平均分子量が500〜4500、重量平均分子量が600〜9000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜7、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜9、さらに好ましくは数平均分子量が700〜4000、重量平均分子量が800〜8000、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.01〜6、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が1.02〜8である。
数平均分子量が100未満で、重量平均分子量が200未満で又は分子量極大ピークが5×102よりも小さい範囲に位置しているとなると保存安定性が悪化する。トナーの感光体フィルミングが生じやすくなる。また生成されるトナーの粒度分布がブロードになりやすい。
数平均分子量が5000を超え、重量平均分子量が10000を超え、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が8を超え、Z平均分子量と数平均分子量の比(Z平均分子量/数平均分子量)が10を超え、又は分子量極大ピークが1×104の領域よりも大きい範囲に位置していると、離型作用が弱くなり定着性、耐オフセット性等の定着性機能が低下する。ワックスの乳化分散粒子生成時の生成粒子の粒径を小さくできにくくなる。
そのワックスとしては、メドウフォーム油誘導体、カルナウバワックス誘導体、ホホバ油誘導体、木ロウ、ミツロウ、オゾケライト、カルナウバワックス、キャンデリアワックス、セレシンワックス、ライスワックス等の材料も好ましく、またこれらの誘導体も好適に使用される。そして一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
メドウフォーム油誘導体としては、メドウフォーム油脂肪酸、メドウフォーム油脂肪酸の金属塩、メドウフォーム油脂肪酸エステル、水素添加メドウフォーム油、メドウフォーム油トリエステルも好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散体を作成することができる。オイルレス定着と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
メドウフォーム油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチルやグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、メドウフォーム油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、メドウフォーム油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。高温での耐オフセット性とともに耐コールドオフセット性が良好である。
水素添加メドウフォーム油はメドウフォーム油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。耐オフセット性とともに、光沢性、透光性を向上できる。
さらには、メドウフォーム油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物を、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、等のイソシアネートで架橋して得られるメドウフォーム油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ホホバ油誘導体としては、ホホバ油脂肪酸、ホホバ油脂肪酸の金属塩、ホホバ油脂肪酸エステル、水素添加ホホバ油、ホホバ油トリエステル、エポキシ化ホホバ油のマレイン酸誘導体、ホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物、ハロゲン化変性ホホバ油も好ましく使用できる。小粒径の均一な粒度分布の乳化分散体を作成することができる。樹脂とワックスの均一混合分散が行いやすい。オイルレス定着と現像剤の長寿命化、転写性改良に効果が得られる好ましい材料である。これらは1種又は2種以上組み合せての使用が可能である。
ホホバ油脂肪酸エステルとしては例えば、メチル、エチル、ブチルやグリセリン、ペンタエリスリトール、ポリプロピレングリコール、トリメチロールプロパンなどのエステルであり、特に、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、ホホバ油脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、ホホバ油脂肪酸トリメチロールプロパンエステルなどが好ましい。高温での耐オフセット性とともに耐コールドオフセット性が良好である。
水素添加ホホバ油はホホバ油に水素添加して不飽和結合を飽和結合としたものである。耐オフセット性とともに、光沢性、透光性を向上できる。
さらには、ホホバ油脂肪酸とグリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールとのエステル化反応物を、トリレンジイソシアネート(TDI)、ジフェニルメタン−4,4'−ジシソシアネート(MDI) 、等のイソシアネートで架橋して得られるホホバ油脂肪酸多価アルコールエステルのイソシアネート重合物も好ましく使用できる。キャリアへのスペント性が少なく、二成分現像剤のより長寿命化が可能となる。
ケン化価は、試料1gをけん化するのに要する水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価とエステル価の和にあたる。ケン化価値を測定するには約0.5Nの水酸化カリウムのアルコール溶液中で試料をケン化した後、0.5Nの塩酸で過剰の水酸化カリウムを滴定する。
ヨウ素価は試料にハロゲンを作用させたときに、吸収されるハロゲンの量をヨウ素に換算し、試料100gに対するg数で表したものをいう。吸収されるヨウ素のグラム数であり、この値が大きいほど試料中の脂肪酸の不飽和度が高いことを示す。試料のクロロホルム又は四塩化炭素溶液にヨウ素と塩化水銀(II)のアルコール溶液又は塩化ヨウ素の氷酢酸溶液を加えて、放置後反応しないで残ったヨウ素をチオ硫酸ナトリウム標準液で滴定して吸収ヨウ素量を算出する。
加熱減量の測定は試料セルの重量を0.1mgまで精秤(W1mg)し、これに試料10〜15mgを入れ、0.1mgまで精秤する(W2mg)。試料セルを示差熱天秤にセットし、秤量感度を5mgにして測定開始する。測定後、チャートにより試料温度が220℃になった時点での重量減を0.1mgまで読み取る(W3mg)。装置は、真空理工製TGD−3000、昇温速度は10℃/min、最高温度は220℃、保持時間は1minで、加熱減量(%)=W3/(W2−W1)×100、で求められる。
これによりカラー画像における透光性を改善すると共にローラへの耐オフセット性を向上させることが可能となる。またキャリアへのスペントの発生を抑制でき現像剤の長寿命化を可能とできる。
また、第1のワックスとして前述したワックスに代わって、又は併用してヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの材料も好ましく、一種類又は二種類以上組合せての使用も有効である。均一な乳化分散の小粒径粒子の作成が可能となり、第1のワックスとの併用により、粒度の粗大化を防ぎ、小粒径で狭い粒度分布のトナー母体粒子の生成が可能となる。オイルを塗布せずとも、オフセット性を防止して低温定着で、高光沢性、透光性を有するオイルレス定着を実現できる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体としては、12−ヒドロキシステアリン酸メチル、12−ヒドロキシステアリン酸ブチル、プロピレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート、グリセリンモノ12−ヒドロキシステアラート、エチレングリコールモノ12−ヒドロキシステアラート等が好適な材料である。オイルレス定着における紙の巻付き防止効果と、フィルミング防止効果がある。
グリセリン脂肪酸エステルとしてはグリセリンステアラート、グリセリンジステアラート、グリセリントリステアラート、グリセリンモノパルミタート、グリセリンジパルミタート、グリセリントリパルミタート、グリセリンベヘナート、グリセリンジベヘナート、グリセリントリベヘナート、グリセリンモノミリスタート、グリセリンジミリスタート、グリセリントリミリスタート等が好適な材料である。オイルレス定着における低温時のコールドオフセット性緩和と、転写性低下防止効果がある。
グリコール脂肪酸エステルとしては、プロピレングリコールモノパルミタート、プロピレングリコールモノステアラート等のプロピレングリコール脂肪酸エステル、エチレングリコールモノステアラート、エチレングリコールモノパルミタート等のエチレングリコール脂肪酸エステルが好適な材料である。オイルレス定着性とともに、現像での滑りを良くしキャリアスペント防止の効果がある。
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノパルミタート、ソルビタンモノステアラート、ソルビタントリパルミタート、ソルビタントリステアラートが好適な材料である。さらには、ペンタエリスリトールのステアリン酸エステル、アジピン酸とステアリン酸又はオレイン酸の混合エステル類等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。オイルレス定着における紙の巻付き防止効果と、フィルミング防止効果がある。
これらのワックスを混合凝集時に脱離浮遊させず、均一に樹脂中に内包化するためには、ワックスの分散粒度分布、ワックスの組成、ワックスの溶融特性も影響される。
ワックス粒子分散液は、界面活性剤を添加した水系媒体中にワックスをイオン交換水中で加熱し、溶融させ分散させることにより調製される。
このときワックスの分散粒子径は小粒径側から積算したときの体積粒径積算分布において16%径(PR16)が20〜200nm、50%径(PR50)が40〜300nm、84%径(PR84)が400nm以下、PR84/PR16が1.2〜2.0の大きさにまで乳化分散し、200nm以下の粒子が65体積%以上、500nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
好ましくは、小粒径側から積算したときの体積粒径積算分における16%径(PR16)が20〜100nm、50%径(PR50)が40〜160nm、84%径(PR84)が260nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。150nm以下の粒子が65体積%以上、400nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
さらに好ましくは、小粒径側から積算したときの体積粒径積算分における16%径(PR16)が20〜60nm、50%径(PR50)が40〜120nm、84%径(PR84)が220nm以下、PR84/PR16が1.2〜1.8である。130nm以下の粒子が65体積%以上、300nmを越える粒子が10体積%以下であることが好ましい。
樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液及びワックス粒子分散液とを混合凝集して凝集粒子を形成するとき、ワックスを微細分散とすることにより、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれやすくワックス自体同士での凝集を防止でき、分散が均一に行える。樹脂粒子に取り込まれ水中に浮遊する粒子をなくすことができる。さらに凝集粒子を水系中で加熱して溶融した凝集粒子を得る際に、表面張力の関係から溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を取り囲み、包含する形となり、樹脂中に離型剤が内包されやすくなる。
PR16が200nmより大きく、50%径(PR50)が300nmより大きく、PR84が400nmよりも大きく、PR84/PR16が2.0よりも大きく、200nm以下の粒子が65体積%未満、又は500nmを越える粒子が10体積%を超えると、ワックスが樹脂粒子間に取り込まれにくくワックス自体同士のみでの凝集が多発する傾向となる。また、樹脂粒子に取り込まれず、水中に浮遊する粒子が増大する傾向にある。凝集粒子を水系中で加熱して溶融した凝集粒子を得る際に、溶融した樹脂粒子が溶融したワックス粒子を包含する形となりにくく、樹脂中にワックスが内包されにくくなる。さらに樹脂を付着融合させる際にトナー母体表面に露出遊離するワックス量が多くなり、感光体へのフィルミング、キャリアへのスペントの増加、現像でのハンドリング性が低下し、また現像メモリーが発生しやすくなる。
PR16が20nmより小さく、50%径(PR50)が40nmより小さく、PR84/PR16が1.2よりも小さくしようとすると、分散状態を維持しづらく、放置時にワックスの再凝集が発生し、粒度分布の放置安定性が低下する傾向となる。また分散時に負荷が大きくなり、発熱が大きくなり、生産性が低下する傾向となる。
ワックスの融点以上の温度に保持された分散剤を添加した媒体中に、前記ワックスをワックス濃度40重量%以下で溶融させたワックス溶融液を、固定体と一定のギャップを介して高速回転する回転体により生じる高せん断力作用により乳化分散させることにより、ワックス粒子を微細に分散できる。
図3、4に示す一定容量の槽内の槽壁に、0.1mm〜10mm程度のギャップを設けて、回転体を30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上の高速で回転することにより、水系に強力なずりせん断力が作用し、微細な粒径の乳化分散体が得られる。処理時間は30s〜5min程度の処理で分散体が形成できる。
また図5、6に示すような固定した固定体に対し、1〜100μm程度のギャップを設けて30m/s以上、好ましくは40m/s以上、より好ましくは50m/s以上で回転する回転体との強いせん断力作用を付加することにより、微細な分散体を作成することができる。
ホモジナイザーのような分散機よりも微細な粒子の粒度分布をより狭小化シャープに形成できる。また長時間の放置でも分散体を形成した微粒子が再凝集することなく、安定した分散状態を保つことができ、粒度分布の放置安定性が向上する。
ワックスの融点が高い場合は、高圧状態で加熱することにより溶融した液を作成する。またワックスを油性溶剤に溶解させる。この溶液を図3、4、5、6に示した分散機を用いて界面活性剤や高分子電解質と共に水中に微粒子分散し、その後、加熱又は減圧して該油性溶剤を蒸散させることにより得られる。
粒度測定は堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)、島津製作所レーザ回折粒度測定器(SALD2100)などを用いて測定することができる。
(3)樹脂
本実施形態のトナーの樹脂微粒子としては、例えば熱可塑性結着樹脂が挙げられる。具体的には、スチレン、パラクロロスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル系単量体、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2−エチルヘキシル等のメタクリル系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸などのカルボキシル基を解離基として有する不飽和多価カルボン酸系単量体などの単独重合体、それらの単量体を2種以上組み合せた共重合体、又はそれらの混合物等を挙げることができる。
樹脂粒子分散液における前記樹脂粒子の液濃度としては、5〜50重量%であり、好ましくは20〜45重量%が好ましい。
樹脂、ワックス及びトナーの分子量は、数種の単分散ポリスチレンを標準サンプルとするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された値である。
装置は、東ソー社製HLC8120GPCシリーズ、カラムはTSKgel superHM−H H4000/H3000/H2000(6.0mmI.D.−150mm×3)、溶離液THF(テトラヒドロフラン)、流量0.6mL/min、試料濃度0.1%、注入量20μL、検出器RI、測定温度40℃、測定前処理は試料をTHFに溶解後一晩放置後、0.45μmのメンブランフィルターでろ過し、シリカ等の添加剤を除去した樹脂成分を測定する。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
また長鎖アルキルアルコール、不飽和多価カルボン酸又はその無水物及び合成炭化水素系ワックスとの反応により得られるワックスの測定は、装置はWATERS製GPC−150C、カラムはShodex HT−806M(8.0mmI.D.−30cm×2)、溶離液はo−ジクロロベンゼン、流量は1.0mL/min、試料濃度は0.3%、注入量は200μL、検出器はRI、測定温度は130℃、測定前処理は試料を溶媒に溶解後0.5μmの金属焼結フィルターでろ過処理した。測定条件は、対象試料の分子量分布が、数種の単分散ポリスチレン標準試料により得られる検量線における分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される条件である。
また、結着樹脂の軟化点は、島津製作所の定荷重押出し形細管式レオメータフローテスタ(CFT500)により、1cm3の試料を昇温速度6℃/分で加熱しながらプランジャーにより約9.8×105N/m2の荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのダイから押し出して、このプランジャーのピストンストロークと温度との関係における昇温温度特性との関係から、ピストンストロークが立上り始める温度が流出開始温度(Tfb)、曲線の最低値と流出終了点の差の1/2を求め、それと曲線の最低値を加えた点の位置における温度を1/2法における溶融温度(軟化点Ts)となる。
また樹脂のガラス転移点は示差走査熱量計(島津製作所DSC−50)を用い、100℃まで昇温し、その温度にて3分間放置した後、降温速度10℃/minで室温まで冷却したサンプルを、昇温速度10℃/minで昇温して熱履歴を測定した際に、ガラス転移点以下のベースラインの延長線とピークの立上り部分からピークの頂点までの間での最大傾斜を示す接線との交点の温度を言う。
ワックスのDSCによる吸熱ピークの融点は、示差走査熱量計(島津製作所DSC−50)を用い、5℃/minで200℃まで昇温し、5分間保温10℃まで急冷後、15分間放置後5℃/minで昇温させ、吸熱(融解)ピークから求めた。セルに投入するサンプル量は10mg±2mgとした。
(4)顔料
本実施形態に使用される着色剤(顔料)としては、カーボンブラック、鉄黒、グラファイト、ニグロシン、アゾ染料の金属錯体、C.I.ピグメント・イエロー1,3,74,97,98等のアセト酢酸アリールアミド系モノアゾ黄色顔料、C.I.ピグメント・イエロー12,13,14,17等のアセト酢酸アリールアミド系ジスアゾ黄色顔料、C.I.ソルベントイエロー19,77,79、C.I.ディスパース・イエロー164が配合され、特に好ましくはC.I.ピグメント・イエロー93,180,185のベンズイミダゾロン系顔料が好適である。
C.I.ピグメント・レッド48,49:1,53:1,57,57:1,81,122,5等の赤色顔料、C.I.ソルベント・レッド49,52,58,8等の赤色染料、C.I.ピグネント・ブルー15:3等のフタロシアニン及びその誘導体の青色染顔料が1種又は2種類以上で配合される。添加量は結着樹脂100重量部に対し、3〜8重量部が好ましい。
各粒子のメジアン径としては、通常1μm以下であり、0.01〜1μmであるのが好ましい。前記メジアン径が1μmを超えると、最終的に得られる静電荷像現像用トナーの粒径分布が広くなったり、遊離粒子が発生し、性能や信頼性の低下を招き易い。一方、前記メジアン径が前記範囲内にあると前記欠点がない上、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる点で有利である。なお、前記メジアン径は、例えば堀場製作所レーザ回折粒度測定器(LA920)などを用いて測定することができる。
(5)外添剤
本実施形態では外添剤として無機微粉末が混合添加される。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ジルコニア、マグネシア、フェライト、マグネタイト等の金属酸化物微粉末、チタン酸バリウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム等のチタン酸塩、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、ジルコン酸ストロンチウム等のジルコン酸塩あるいはこれらの混合物が用いられる。外添剤は必要に応じて疎水化処理される。
外添剤に処理されるシリコーンオイル系の材料としては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、クロルフェニル変成シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理される外添剤が好適に使用される。例えば東レダウコーニングシリコーン社のSH200、SH510、SF230、SH203、BY16―823、BY16―855B等が挙げられる。処理は外添剤とシリコーンオイル等の材料とをヘンシェルミキサ等の混合機により混合する方法や、外添剤へシリコーンオイル系の材料を噴霧する方法、溶剤にシリコーンオイル系の材料を溶解或いは分散させた後、外添剤と混合した後、溶剤を除去して作成する方法等がある。外添剤100重量部に対して、シリコーンオイル系の材料は1〜20重量部配合されるのが好ましい。
シランカップリング剤としては、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン等がある。シランカップリング剤処理は、外添剤を攪拌等によりクラウド状としたものに気化したシランカップリング剤を反応させる乾式処理又は、外添剤を溶媒中に分散させたシランカップリング剤を滴下反応させる湿式法等により処理される。
またシランカップリング処理した後にシリコーンオイル系の材料を処理することも好ましい。
正極帯電性を有する外添剤はアミノシランや、アミノ変性シリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイルで処理される。
また、疎水性処理を高めるため、ヘキサメチルジシラザンやジメチルジクロロシラン、他のシリコーンオイルによる処理の併用も好ましい。例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイルのうちの少なくとも1種類以上で処理することが好ましい。
また、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、脂肪酸及び脂肪酸金属塩の群より選ばれた1種又は2種以上(以下脂肪酸等)により外添剤の表面を処理することも好ましい。表面処理したシリカ又は酸化チタン微粉末がより好ましい。
脂肪酸、脂肪酸金属塩としては、カプリル酸、カプリン酸、ウンデシル酸、ラウリル酸、ミスチリン酸、パリミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、モンタン酸、ラクセル酸、オレイン酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸等が挙げられる。中でも炭素数12〜22の脂肪酸が好ましい。
脂肪酸金属塩を構成する金属としては、アルミニウム、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、リチウム、ナトリウム、鉛、バリウムが挙げられ、中でもアルミニウム、亜鉛、ナトリウムが好ましい。特に好ましくはジステアリン酸アルミニウム(Al(OH)(C17H35COO)2)又はモノステアリン酸アルミニウム(Al(OH)2(C17H35COO))、等のジ脂肪酸アルミニウム、モノ脂肪酸アルミニウムが好ましい。OH基を有することが過帯電を防止し、転写不良を抑えることができる。また処理時に外添剤との処理性が向上するものと考えられる。
脂肪族アミドとしては、パルミチン酸アミド、パルミトレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、アラキジン酸アミド、エイコセン酸アミド、ベヘニン酸アミド、エルカ酸アミド、リグリノセリン酸アミド等の炭素数16〜24を有する飽和または1価の不飽和の脂肪族アミドが好ましく用いられる。
脂肪酸エステルとしては例えば、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチル、ベヘン酸ベヘニル、モンタン酸ステアリル等の炭素数16〜24の高級アルコールと炭素数16〜24の高級脂肪酸とからなるエステル類や、ステアリン酸ブチル、ベヘン酸イソブチル、モンタン酸プロピル、オレイン酸2−エチルヘキシル等の炭素数16〜24の高級脂肪酸と低級モノアルコールとからなるエステル類や、脂肪酸ペンタエリスリトールモノエステル、脂肪酸ペンタエリスリトールトリエステル、脂肪酸トリメチロールプロパンエステル等が好ましく用いられる。
ヒドロキシステアリン酸の誘導体、グリセリン脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等の多価アルコール脂肪酸エステル等の材料が好ましく、一種類又は二種類以上組み合わせての使用も可能である。
表面処理の好ましい形態としては、処理される外添剤の表面をカツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイルにて処理を施した後に脂肪酸等により処理を施すことが好ましい。単に親水性シリカの脂肪酸を処理する場合よりも均一な処理が可能となり、トナーの高帯電化を図れることと、トナーに添加したときの流動性が向上する効果があるためである。またカツプリング剤及び/又はシリコ−ンオイルとともに脂肪酸等を処理することでも上記効果を奏する。
脂肪酸等をトルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系有機溶剤に溶解し、それとシリカ、酸化チタン、アルミナ等の外添剤とを分散機にかけ湿式混合して処理剤により、外添剤の表面に付着させて、表面処理を施し、その後に溶剤を溜去して乾燥処理を行うことにより生成される。
ポリシロキサンと脂肪酸等との混合割合が1:2〜20:1であることが好ましい。割合が1:2よりも脂肪酸等が多くなると、外添剤の帯電量が高くなり、画像濃度の低下、二成分現像においてはチャージアップが発生しやすくなる。20:1よりも脂肪酸等が少なくなると、転写における中抜け、逆転写性への効果が低下する。
このとき脂肪酸等を表面処理した外添剤の強熱減量は1.5〜25重量%であることが好ましい。より好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは8〜20重量%である。1.5重量%より少ないと、処理剤の機能が十分に発揮されず、帯電性、転写性向上の効果が現れない。25重量%よりも多いと未処理剤が存在し、現像性や耐久性に悪影響を与える。
本発明により生成されたトナー母体粒子表面は従来の粉砕方式と異なり、略樹脂のみで形成されているため、帯電の均一性という面からは有利であるが、帯電付与性、或いは帯電保持性に関して使用する外添剤との相性が重要となるためである。
平均粒子径6nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し1〜6重量部外添処理するのが好ましい。平均粒子径6nmよりも小さいと、浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い。転写時の逆転写の発生を抑さえ切れない。200nmよりも大きくなると、トナーの流動性が悪化する。1重量部よりも少ないとトナーの流動性が悪化する。転写時の逆転写の発生を抑さえ切れない。6重量部よりも多いと浮遊粒子や感光体へのフィルミングが生じ易い。高温オフセット性を悪化される。
また、平均粒子径が6nm〜20nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部と、20nm〜200nmである外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部とを少なくとも外添処理するのも好ましい。これにより機能分離した外添剤の使用で、帯電付与性、帯電保持性が向上する、転写時の逆転写、中抜け、飛散りに対しよりマージンが取れる。このとき平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量が0.5〜20重量%、平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5〜25重量%であることが好ましい。平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量を、平均粒子径が6nm〜20nmの外添剤の強熱減量よりも多くすることにより、帯電保持性がとともに転写時の逆転写、中抜けに効果が発揮される。
外添剤の強熱減量を特定することにより、転写時の逆転写、中抜け、飛散りに対しよりマージンが取れる。現像器内でのハンドリング性を向上させトナー濃度の均一性を上げることが出きる。また現像メモリー発生を抑制できる。
平均粒子径が6nm〜20nmの強熱減量が0.5重量%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる。20重量%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる。好ましくは強熱減量が1.5〜17重量%、より好ましくは4〜10重量%である。
平均粒子径が20nm〜200nmの強熱減量が1.5重量%よりも少ないと、逆転写、中抜けに対する転写マージンが狭くなる。25重量%よりも多くなると、表面処理がムラになり、帯電のバラツキが生じる。好ましくは強熱減量が2.5〜20重量%、より好ましくは5〜15重量%である。
また、平均粒子径が6nm〜20nm、強熱減量が0.5〜20重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2重量部と、平均粒子径が20nm〜100nm、強熱減量が1.5〜25重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜3.5重量部、平均粒子径が100nm〜200nm、強熱減量が0.1〜10重量%である外添剤をトナー母体粒子100重量部に対し0.5〜2.5重量部とを少なくとも外添処理するのも好ましい。この平均粒子径と強熱減量を特定した機能分離した外添剤により帯電付与性、帯電保持性の向上、転写時の逆転写、中抜けの改善とともに、キャリアの表面への付着物の除去に効果が得られる。
さらには、平均粒子径6nm〜200nm、強熱減量が0.5〜25重量%である正帯電性を有する外添剤をさらにトナー母体粒子100重量部に対し0.2〜1.5重量部を外添処理するのも好ましい。
正帯電性を有する外添剤を添加する効果は、トナーが長期連続使用の際に過帯電になることを抑え、より現像剤寿命を延ばすことが可能となる。さらには過帯電による転写時の飛散りを抑える効果も得られる。またキャリアへのスペントを防止できる。0.2重量部よりも少ないとその効果が得にくい。1.5重量部よりも多くなると、現像でのかぶりが増大する。強熱減量は好ましくは1.5〜20重量%、より好ましくは5〜19重量%である。
乾燥減量(%)は、予め乾燥、放冷、精秤した容器に試料約1gを取り、精秤する。熱風乾燥器(105℃±1℃)で2時間乾燥する。デシケータ中で30分間放冷後その重量を精秤し、次式より算出する。
乾燥減量(%)=[乾燥による減量(g)/試料量(g)]×100
強熱減量は、予め乾燥、放冷、精秤した磁性ルツボに試料約1gを取り、精秤する。500℃に設定した電気炉中で2時間強熱する。デシケータ中で1時間放冷後その重量を精秤し、次式より算出する。
強熱減量(%)=[強熱による減量(g)/試料量(g)]×100
(6)トナーの粉体物性
本実施形態では、結着樹脂、着色剤及びワックスを含むトナー母体粒子の体積平均粒径が3〜7μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が10〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が25〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が5体積%以下で含有し、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の体積%をV46とし、個数分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子の個数%をP46としたとき、P46/V46が0.5〜1.5の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜25%、個数粒径分布の変動係数が10〜28%であることが好ましい。
好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜6.5μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が20〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が35〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が3体積%以下で含有し、P46/V46が0.5〜1.3の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜20%、個数粒径分布の変動係数が10〜23%であることが好ましい。
さらに、好ましくは、トナー母体粒子の体積平均粒径が3〜5μm、個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が40〜75個数%、体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が45〜75体積%であり、体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が3体積%以下で含有し、P46/V46が0.5〜0.9の範囲にあり、体積平均粒径における変動係数は10〜15%、個数粒径分布の変動係数が10〜18%であることが好ましい。
高解像度画質、さらにはタンデム転写における逆転写の防止、中抜けを防止し、オイルレス定着との両立を図ることを可能とできる。トナー中の微粉はトナーの流動性、画質、貯蔵安定性、感光体や現像ローラ、転写体ヘのフィルミング、経時特性、転写性、特にタンデム方式での多層転写性に影響する。さらにはオイルレス定着での非オフセット性、光沢性、透光性に影響する。オイルレス定着実現のためにワックス等のワックスを配合したトナーにおいて、タンデム転写性との両立において微粉量が影響する。
体積平均粒径が7μmを超えると画質と転写の両立が図れない。体積平均粒径が3μm未満であると現像でのトナー粒子のハンドリグ性が困難となる。
個数分布における2.52〜4μmの粒径を有するトナー母体粒子の含有量が10個数%未満になると、画質と転写の両立が図れない。75個数%を超えると、現像でのトナー母体粒子のハンドリグ性が困難となる。また感光体、現像ローラ、転写体へのフィルミングが発生しやすくなる。さらに微粉は熱ローラとの付着性も大きいためオフセットしやすい傾向にある。またタンデム方式において、トナーの凝集が強くなりやすく、多層転写時に2色目の転写不良を生じ易くなる。適当な範囲が必要となる。
体積分布における4〜6.06μmの粒径を有するトナ−母体粒子が75体積%を超えると、画質と転写の両立が図れない。25体積%未満になると、画質の低下が生じる。
体積分布における8μm以上の粒径を有するトナ−母体粒子が5体積%を越えて含有すると、画質の低下が生じる。転写不良の原因となる。
P46/V46が0.5よりも小さいとき、微粉存在量が過多になり、流動性の低下、転写性の悪化、地カブリが悪化する。1.5よりも大きいときは、大きい粒子が多く存在しかつ粒度分布がブロードになり、高画質化が図ることが出来ない。
P46/V46を規定する目的は、トナー粒子を小粒径にして、かつその粒度分布を狭くするための指標とできるものである。
変動係数とはトナーの粒径における標準偏差を平均粒径で割ったものである。コールターカウンタ(コールター社)を使用して測定した粒子径をもとにしたものである。標準偏差は、n個の粒子系の測定を行なった時の、各測定値の平均値からの差の2乗を(n−1)で割った値の平方根であらわされる。
つまり変動係数とは粒度分布の広がり具合を表したもので、体積粒径分布の変動係数が10%未満、又は個数粒径分布の変動係数が10%未満となると、生産的に困難であり、コストアップの要因となる。体積粒径分布の変動係数が25%より大、又は個数粒径分布の変動係数が28%より大きくなると、粒度分布がブロードとなり、トナーの凝集性が強くなり、感光体へのフィルミング、転写不良、クリーナーレスプロセスでの残留トナーの回収が困難となる。
粒度分布測定は、コールターカウンタTA−II型(コールターカウンタ社)を用い、個数分布、体積分布を出力するインターフェイス(日科機製)及びパーソナルコンピュータを接続して測定する。電解液は濃度1%となるよう界面活性剤(ラウリル硫酸ナトリウム)を加えたもの50ml程度に被測定トナーを2mg程度加え、試料を懸濁した電解液は超音波分散器で約3分間分散処理を行い、コールターカウンタTA−II型にてアパーチャー70μmのアパーチャーを用いた。70μmのアパーチャー系では、粒度分布測定範囲は1.26μm〜50.8μmであるが、2.0μm未満の領域は外来ノイズ等の影響で測定精度や測定の再現性が低いため実用的ではない。よって測定領域を2.0μm〜50.8μmとした。
また、静嵩密度と動嵩密度から算出されるのが圧縮度で、トナー流動性の指標の一つである。トナーの流動性はトナーの粒度分布、トナー粒子形状、外添剤、ワックスの種類や量に影響される。トナーの粒度分布が狭く微粉が少ない場合、トナーの表面に凹凸が少なく形状が球形に近い場合、外添剤の添加量が多い場合、外添剤の粒径が小さい場合は、圧縮度が小さくなりトナーの流動性は高くなる。圧縮度は5〜40%が好ましい。より好ましくは、10〜30%である。オイルレス定着と、タンデム方式多層転写との両立を図ることが可能となる。5%より小さいと、定着性が低下し、特に透光性が悪化しやすい。現像ロ−ラからトナー飛散が多くなりやすい。40%よりも大きい転写性が低下し、タンデム方式での中抜け、転写不良を生じる。
(7)キャリア
本実施形態のキャリアは、コア材の表面がアミノシランカップリング剤を含むフッ素変性シリコーン樹脂により被覆された磁性粒子を含むキャリアが好適に使用される。
さらには、少なくとも磁性体粒子とバインダー樹脂とを有する複合磁性粒子であって、その磁性粒子表面がアミノシランカップリング剤を含有したフッ素変性シリコーン系樹脂からなる樹脂により被覆されているキャリアがより好適に使用される。
その磁性粒子を構成するバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂が好ましい。熱硬化性樹脂としては、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、キシレン樹脂、アセトグアナミン樹脂、フラン樹脂、シリコーン系樹脂、ポリイミド樹脂、ウレタン樹脂があり、これらの樹脂は単独でも2種以上を混合しても構わないが、少なくともフェノール樹脂を含有していることが好ましい。
本発明における複合体粒子は、平均粒子径が好ましくは10〜50μm、より好ましくは10〜40μm、さらに好ましくは10〜30μm、最も好ましくは15〜30μmの球状粒子であることが好ましい。さらにその特性は比重が2.5〜4.5、特に2.5〜4.0であり、キャリアの窒素吸着によるBET比表面積が0.03〜0.3m2/gであることが好ましい。キャリアの平均粒径が10μm未満では、キャリア粒子の分布において微粒子の存在率が高くなり、それらのキャリア粒子はキャリア1粒子当たりの磁化が低くなるため、キャリアが感光体に現像されやすくなる。また、キャリアの平均粒子が50μmを超えると、キャリア粒子の比表面積が小さくなり、トナ−保持力が弱くなるため、トナー飛散が発生する。また、ベタ部分の多いフルカラーでは、特にベタ部の再現が悪く好ましくない。
従来のフェライト系をコア粒子とするキャリアでは、比重が5〜6と大きく、また粒子径も50〜80μmと大きいため、BET比表面積が小さい値となっており、トナーとの攪拌時の混合性が弱く、トナーが補給されたときの帯電立ち上がり性が不十分でトナーが多く消費され、多量のトナーが補給されたとき、カブリの発生が多く見られる傾向にあった。またトナーとキャリアとの濃度比率を狭い範囲で制御しないと、画像濃度とカブリ、トナー飛散低減の両立を図ることが困難であった。しかし比表面積値の大きいキャリアの使用により、トナーとキャリアとの濃度比率を広い範囲で制御しても画質の悪化が生じにくく、トナー濃度制御がラフに行えることが出来る。
また前述したトナーは球形に近い形をしており、比表面積値もキャリアに近づいている。そのためトナーとの攪拌時の混合性がより均一に行えることができ。トナーが補給されたとき、良好な帯電立ち上がり性を有し、トナーとキャリアとの濃度比率をより広い範囲で制御しても画質の悪化が生じにくく、画像濃度とカブリ、トナー飛散低減の両立を図ることが出来る。
このときトナーの比表面積値をTS(m2/g)、キャリアの比表面積値をCS(m2/g)とすると、TS/CSが2〜110の関係を満たすことにより、画質の安定性を図ることが出来る。好ましくは2〜50、より好ましくは2〜30である。2より小さいと、キャリア付着が生じやすくなる。また110よりも大きいと、画像濃度とカブリ、トナー飛散低減の両立を図るためのトナーとキャリアとの濃度比率が狭くなってしま、画質の悪化が生じやすくなる。従来のフェライト系をコア粒子とするキャリアでは、比表面積が小さい値であり、また従来の粉砕方式のトナーでは形状が不定形であり、比表面積値が大きい値となっている。
複合磁性粒子は、磁性体粒子及び塩基性触媒の存在下で、フェノール類とアルデヒド類とを水性媒体中で撹拌しながら、フェノール類とアルデヒド類とを反応・硬化させて、磁性粒子とフェノール樹脂とを含有する磁性粒子を生成する方法により製造することが出来る。
得られる複合磁性粒子の平均粒子径の制御は、使用する水の量によって適当な剪断・圧密がかかるように撹拌装置の撹拌翼周速度を調整することによって、調整が可能である。
バインダー樹脂としてエポキシ樹脂を用いた複合体粒子の製造は、例えば、水性媒体中にビスフェノール類とエピハロヒドリンと親油化処理を行なった無機化合物粒子粉末を分散させ、アルカリ水性媒体中で反応させる方法が挙げられる。
本発明における複合磁性粒子の磁性体微粒子と、バインダー樹脂との含有割合は、バインダー樹脂1〜20重量%と磁性体粒子80〜99重量%であることが好ましい。磁性体粒子の含有量が80重量%未満の場合には、飽和磁化値が小さくなり、99重量%を超える場合には、フェノール樹脂による磁性体微粒子間の結着が弱くなりやすい。複合磁性粒子の強度を考慮すると、97重量%以下であることが好ましい。
磁性体微粒子としては、マグネタイト、ガンマ酸化鉄等のスピネルフェライト、鉄以外の金属(Mn、Ni、Zn、Mg、Cu等)を一種又は二種以上含有するスピネルフェライト、バリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライト、表面に酸化層を有する鉄や合金の微粒子粉末を用いることができる。その形状は、粒状、球状、針状のいずれであってもよい。特に、高磁化を要する場合には、鉄等の強磁性微粒子粉末を用いることができるが、化学的な安定性を考慮すると、マグネタイト、ガンマ酸化鉄を含むスピネルフェライトやバリウムフェライト等のマグネトプランバイト型フェライトの強磁性体微粒子粉末を用いることが好ましい。強磁性体微粒子粉末の種類及び含有量を適宜選択することにより、所望の飽和磁化を有する複合体粒子を得ることができる。
1000エルステッド(79.57kA/m)の磁界下での測定において、磁化の強さが30〜70Am2/kg、好ましくは35〜60Am2/kgであり、残留磁化(σr)が0.1〜20Am2/kg、好ましくは0.1〜10Am2/kgであり、比抵抗値が1×106〜1×1014Ωcm、好ましくは5×106〜5×1013Ωcm、さらに好ましくは5×106〜5×109Ωcmであることが好ましい。
本発明にかかるキャリアの製造方法においては、水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下、磁性体粒子、懸濁安定剤を共存させて反応させる。
ここで使用されるフェノール類としては、フェノールの他、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールA等のアルキルフェノール類、及びベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子又は臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類等のフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられるが、この中でフェノールが最も好ましい。フェノール類としてフェノール以外の化合物を用いた場合には、粒子が生成し難かったり、粒子が生成したとしても不定形状であったりすることがあるので、形状性を考慮すれば、フェノールが最も好ましい。
また、本発明における複合体粒子の製造法で用いられるアルデヒド類としては、ホルマリン又はパラホルムアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド及びフルフラール等が挙げられるが、ホルムアルデヒドが特に好ましい。
また、本発明の樹脂被覆層に用いる樹脂としては、フッ素変性シリコーン系樹脂が必須である。そのフッ素変性シリコーン系樹脂としては、パーフロロアルキル基含有の有機ケイ素化合物とポリオルガノシロキサンとの反応から得られる架橋性フッ素変性シリコ−ン樹脂が好ましい。ポリオルガノシロキサンとパーフロロアルキル基含有の有機ケイ素化合物との配合比は、ポリオルガノシロキサン100重量部に対して、パーフロロアルキル基含有の有機ケイ素化合物が3重量部以上20重量部以下であることが好ましい。従来のフェライトコア粒子への被覆に比べて、硬化型樹脂中に磁性体粒子を分散した複合磁性粒子における接着性が強まり、後述する帯電性とともに、耐久性向上の効果が発揮される。
ポリオルガノシロキサンは下記式(化1)及び(化2)から選ばれる少なくとも一つの繰り返し単位を示すものが好ましい。
パーフロロアルキル基含有の有機ケイ素化合物の例としては、CF3CH2CH2Si(OCH3)3、C4F9CH2CH2Si(CH3)(OCH3)2、C8F17CH2CH2Si(OCH3)3、C8F17CH2CH2Si(OC2H5)3、(CF3)2CF(CF2)8CH2CH2Si(OCH3)3等が挙げられるが、特にトリフロロプロピル基を有するものが好ましい。
また、本実施形態においては、アミノシランカップリング剤を被覆樹脂層に含有させる。このアミノシランカップリング剤としては公知のものでよく、例えばγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチル〔3−(トリメトキシシリル)プロピル〕アンモニウムクロライド(上からSH6020、SZ6023、AY43−021:共に東レダウコーニングシリコーン社製商品名)、KBM602、KBM603、KBE903、KBM573(信越シリコーン社製商品名)等が挙げられるが、特に、1級アミンが好ましい。メチル基、エチル基、フェニル基等で置換された2級又は3級のアミンでは極性が弱く、トナーとの帯電立ち上がり特性に対して効果が少ない。また、アミノ基の部分が、アミノメチル基、アミノエチル基、アミノフェニル基になると、シランカップリング剤の最先端は、1級アミンであるが、シランから伸びる直鎖の有機基中のアミノ基は、トナーとの帯電立ち上がり特性に寄与せず、逆に高湿時に水分の影響を受けるため、最先端のアミノ基により初期のトナーとの帯電付与能力は有するものの、耐刷時に帯電付与能力が下がり、最終的には寿命が短いものとなる。
そこでこのようなアミノシランカップリング剤とフッ素変性シリコ−ン樹脂を併用して用いることにより、トナーに対して、シャ−プな帯電量分布を確保したまま、負帯電性を付与でき、かつ補給されたトナーに対し、早い帯電立ち上がり性を有し、トナー消費量を低減させることができる。さらに、アミノシランカップリング剤が架橋剤の如き効果を発現し、ベ−ス樹脂であるフッ素変性シリコ−ン樹脂層の架橋度を向上させ、被膜樹脂硬度をさらに向上させ、長期使用での摩耗・剥離等が低減でき、耐スペント性を向上させ、帯電付与能力の低下が抑えられて帯電の安定化が図られ、耐久性が向上する。
さらに前述したトナーにおいて、低融点のワックスを一定量以上添加したトナー表面は略樹脂のみであるため、帯電性がやや不安定な面がある。例えば帯電性が弱く、また帯電立ち上がり性が遅くなるケ−スが想定され、カブリ、全面ベタ画像の均一性が低下し、また転写時に文字飛び、中抜けが発生しやすくなるが、トナーと本キャリアを組合せて使用することにより、上記課題が改善され、現像器内でのハンドリング性が向上し、ベタ画像採取後に履歴が残るいわゆる現像メモリーも低減できる。
アミノシランカップリング剤の使用割合としては、樹脂に対して、5〜40重量%、好ましくは10〜30重量%である。5重量%未満であるとアミノシランカップリング剤の効果がなく、40重量%を越えると樹脂被覆層の架橋度が高くなり過ぎ、チャ−ジアップ現象を引き起こし易くなり、現像性不足等の画像欠陥の発生原因となることがある。
また、帯電安定化のため,チャージアップを防止するため、樹脂被覆層には導電性微粒子を含有することも可能である。導電性微粒子としては、オイルファーネスカーボンやアセチレンブラックのカーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛などの半導電性酸化物、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粉末表面を酸化スズやカーボンブラック、金属で被覆したもの等が挙げられ、その固有抵抗が1010Ω・cm以下のものが好ましい。導電性微粒子を用いる場合の含有量は1〜15重量%が好ましい。導電性微粒子は、樹脂被覆層に対し、ある程度の含有量であれば、フィラ−効果により樹脂被覆層の硬度の向上をもたらすが、15重量%を越えると、逆に樹脂被覆層の形成を阻害し、密着性・硬度の低下の原因となる。さらには、フルカラ−現像剤における導電性微粒子の過剰の含有量は、紙面上に転写・定着されたトナ−の色汚れの原因となる。
複合磁性粒子上に被覆層を形成する方法には、特に制限はなく、公知の被覆方法、例えば、複合磁性粒子である粉末を、被膜層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被膜層形成用溶液を複合磁性粒子の表面に噴霧するスプレー法、複合磁性粒子を流動エアーにより浮遊させた状態で被膜層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中で複合磁性粒子と被膜層形成用溶液を混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等の湿式被覆方法の他、粉末状の樹脂と複合磁性粒子とを高速混合し、その摩擦熱を利用することで樹脂粉末を複合磁性粒子表面に融着被覆する乾式被覆方法等が挙げられ、いずれも適用することができるが、本発明におけるアミノシランカップリング剤を含有するフッ素変性シリコ−ン系樹脂の被覆においては、湿式被覆方法が特に好ましく用いられる。
被膜層形成用塗布液に使用する溶剤は、前記コート樹脂を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、用いられるコート樹脂に適合するように選択することができる。一般的には、例えば、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル類が使用できる。
樹脂被覆量は複合磁性粒子に対し、0.2〜6.0重量%が好ましく、より好ましくは0.5〜5.0重量%、さらに好ましくは0.6〜4.0重量%、0.7〜3重量%である。樹脂の被覆量が0.2重量%未満になると、複合磁性粒子表面に均一な被覆を形成することができず複合磁性粒子の特性の影響を大きく受けてしまい、本発明のフッ素変性シリコ−ン樹脂とアミノシランカップリング剤の効果を充分に発揮できない。6.0重量%を超えると被覆層が厚くなり過ぎ、複合磁性粒子同士の造粒が発生し、均一な複合磁性粒子が得られない傾向にある。
このようにして、複合磁性粒子表面にアミノシランカップリング剤を含有するフッ素変性シリコ−ン樹脂を被覆した後には、焼き付け処理を施すことが好ましい。焼き付け処理を施す手段としては、特に制限はなく、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば、固定式又は流動式電気炉、ロ−タリ−キルン式電気炉、バ−ナ−炉でもよく、もしくはマイクロ波による焼き付けでもよい。ただし、焼き付け処理の温度に関しては、樹脂被覆層の耐スペント性を向上さるというフッ素変性シリコ−ンの効果を効率よく発現させるために、200〜350℃の高温で処理することが好ましく、より好ましくは、220〜280℃である。処理時間は1.5〜2.5時間が好ましい。処理温度が低いと被膜樹脂自体の硬度が低下する。処理温度が高すぎると帯電低下が生じる。
(8)タンデムカラープロセス
高速にカラー画像を形成するために、本実施形態では、感光体と帯電手段とトナー担持体を含むトナー像形成ステーションを複数個有し、像担持体上に形成した静電潜像を顕像化したトナー像を、前記像担持体に無端状の転写体を当接させて前記転写体に転写させる一次転写プロセスが順次連続して実行して、前記転写体に多層の転写トナー画像を形成し、その後前記転写体に形成した多層のトナー像を、一括して紙やOHP等の転写媒体に一括転写させる二次転写プロセスが実行されるよう構成された転写プロセスにおいて、第1の一次転写位置から第2の一次転写位置までの距離をd1(mm)、感光体の周速度をv(mm/s)とした場合、d1/v≦0.65となる転写位置構成を取る構成で、マシンの小型化と印字速度の両立を図るものである。毎分20枚(A4)以上処理でき、かつマシンがSOHO用途として使用できる大きさの小型化を実現するためには、複数のトナー像形成ステーション間を短く、かつプロセス速度を高める構成が必須である。その小型化と印字速度の両立のためには上記値が0.65以下とする構成がミニマムと考えられる。
しかし、このトナー像形成ステーション間を短い構成をとるとき、例えば1色目のイエロートナーが一次転写された後、次の2色目のマゼンタトナーが一次転写されるまでの時間が極めて短く、転写体の帯電緩和又は転写されたトナーの電荷緩和が殆ど生じず、イエロートナーの上にマゼンタトナーを転写する際に、マゼンタトナーがイエロートナーの電荷作用により反発され、転写効率の低下、転写時の文字の中抜けという問題が生じる。さらに第3色目のシアントナーの一次転写の時、前のイエロー、マゼンタトナーの上に転写される際にシアントナーの飛び散り、転写不良、転写中抜けが顕著に発生する。さらに繰り返し使用しているうちに特定粒径のトナーが選択的に現像され、トナー粒子個々の流動性が大きく異なると摩擦帯電する機会が異なるため、帯電量のバラツキが生じ、より転写性の劣化を招いてしまう。
そこで、本実施形態のトナー又は二成分現像剤を使用することにより、帯電分布が安定化しトナーの過帯電を抑えると共に、流動性変動を抑えることができる。そのため定着特性を犠牲にすることなく、転写効率の低下、転写時の文字の中抜け、逆転写を防止することができる。
(9)オイルレスカラー定着
本実施形態では、トナーを定着する手段にオイルを使用しないオイルレス定着構成の定着プロセスを具備する電子写真装置に好適に使用される。その加熱手段としては電磁誘導加熱がウオームアップ時間の短縮、省エネの観点から好ましい構成である。磁場発生手段と、電磁誘導により発生する発熱層及び離型層を少なくとも有する回転加熱部材と、該回転加熱部材と一定のニップを形成している回転加圧部材とを少なくとも有する加熱加圧手段を使用して、回転加熱部材と回転加圧部材間にトナーが転写された複写紙等の転写媒体を通過させ、定着させる構成である。その特徴として、回転加熱部材のウオームアップ時間が従来のハロゲンランプを使用している場合に比べて、非常に早い立ち上がり性を示す。そのため回転加圧部材が十分に昇温していない状態で複写の動作に入るため、低温定着と広範囲な耐オフセット性が要求される。
構成としては、加熱部材と定着部材を分離した定着ベルトを使用した構成も好ましく使用される。そのベルトとしては耐熱性と変形自在性とを有するニッケル電鋳ベルトやポリイミドベルトの耐熱ベルトが好適に用いられる。離形性を向上するために表面層としてシリコーンゴム、フッ素ゴム、フッ素樹脂を用いるのが好ましい。
これらの定着においては、従来は離型オイルを塗布してオフセットを防止してきた。オイルを使用せずに離型性を有するトナーにより、離型オイルを塗布する必要はなくなった。しかし、離型オイルを塗布しないと帯電しやすく、未定着のトナー像が加熱部材又は定着部材と近接すると帯電の影響により、トナー飛びが生じる場合がある。特に低温低湿下において発生しやすい。
そこで、本実施形態のトナーの使用により、オイルを使用せずとも低温定着と広範囲な耐オフセット性を実現でき、カラー高透光性を得ることができる。またトナーの過帯電性を抑制でき加熱部材又は定着部材との帯電作用によるトナーの飛びを抑えられる。
(1)キャリア芯材製造例
1リットルのフラスコに、フェノール52g、37%ホルマリン75g、平均粒径が0.24μmの球状マグネタイト粒子粉末粒子400g、28%アンモニア水15g、フッ化カルシウム1.0g及び水50gを仕込み、撹拌しながら60分間で85℃に上昇させた後、同温度で120分間反応・硬化させることにより、フェノール樹脂と球状マグネタイト粒子からなる複合磁性粒子の生成を行った。
次に、フラスコ内の内容物を30℃に冷却した後、この中に0.5リットルの水を添加した後、上澄み液を除去し、さらに下層の沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に、50〜60℃で乾燥して複合磁性粒子(キャリア芯材A)を得た。
1リットルのフラスコに、フェノール50g、37%ホルマリン65g、平均粒径が0.24μmの球状マグネタイト粒子粉末粒子450g、28%アンモニア水15g、フッ化カルシウム1.0g及び水50gを仕込み、撹拌しながら60分間で85℃に上昇させた後、同温度で120分間反応・硬化させることにより、フェノール樹脂と球状マグネタイト粒子からなる複合磁性粒子の生成を行った。
次に、フラスコ内の内容物を30℃に冷却した後、この中に0.5リットルの水を添加した後、上澄み液を除去し、さらに下層の沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に、50〜60℃で乾燥して複合磁性粒子(キャリア芯材B)を得た。
1リットルのフラスコに、フェノール47.5g、37%ホルマリン62g、平均粒径が0.24μmの球状マグネタイト粒子粉末粒子480g、28%アンモニア水15g、フッ化カルシウム1.0g及び水50gを仕込み、撹拌しながら60分間で85℃に上昇させた後、同温度で120分間反応・硬化させることにより、フェノール樹脂と球状マグネタイト粒子からなる複合磁性粒子の生成を行った。
次に、フラスコ内の内容物を30℃に冷却した後、この中に0.5リットルの水を添加した後、上澄み液を除去し、さらに下層の沈殿物を水洗し、風乾した。次いで、これを減圧下(5mmHg以下)に、50〜60℃で乾燥して複合磁性粒子(キャリア芯材C)を得た。
比較例として、芯材dとして、平均粒径50μm、印加磁場が238.74kA/m(3000エルステット)の時の飽和磁化が65Am2/kgであるフェライト粒子を用いた。
(キャリア製造例1)
次に、下記式(化3)で示されるR1、R2がメチル基、すなわち(CH3)2SiO2/2単位が15.4mol%、下記式(化4)で示されるR3がメチル基、すなわちCH3SiO3/2単位が84.6mol%であるポリオルガノシロキサン250gと、CF3CH2CH2Si(OCH3)321gとを反応させフッ素変性シリコーン樹脂を得た。さらにそのフッ素変性シリコーン樹脂を固形分換算で100gとアミノシランカップリング剤(γ−アミノプロピルトリエトキシシラン)10gとを秤量し、300ccのトルエン溶剤に溶解させた。
前記キャリア芯材A10kgに対し、液浸乾燥式被覆装置を用い、上記被覆樹脂溶液を20分間攪拌することによりコーティングを行った。その後260℃で1時間焼き付けを行い、キャリアA1を得た。
キャリアA1は、球状マグネタイト粒子の含有量が80.4質量%の球状粒子であり、平均粒子径が30μm、比重が3.05であって、磁化値が61Am2/kg、体積固有抵抗が3×109Ωcm、比表面積0.098m2/gであった。
(キャリア製造例2)
製造例1において、キャリア芯材Bを使用し、CF3CH2CH2Si(OCH3)3をC8F17CH2CH2Si(OCH3)3に変更した以外は、製造例1と同様の工程でキャリアB1を得た。
キャリアB1は、球状マグネタイト粒子の含有量が88.4質量%の球状粒子であり、平均粒子径が45μm、比重が3.56であって、磁化値が65Am2/kg、体積固有抵抗が8×1010Ωcm、比表面積0.057m2/gであった。
(キャリア製造例3)
製造例1において、キャリア芯材Cを使用し、導電性カーボン(ケッチェンブラックインタ−ナショナル社製 EC)を樹脂固形分に対し5重量%をボールミルにて分散した以外は、製造例1と同様の工程でキャリアC1を製造した。
キャリアC1は、球状マグネタイト粒子の含有量が92.5質量%の球状粒子であり、平均粒子径が48μm、比重が3.98であって、磁化値が69Am2/kg、体積固有抵抗が2×107Ωcm、比表面積0.043m2/gであった。
(キャリア製造例4)
製造例1において、アミノシランカップリング剤の添加量を30gに変更した以外は、製造例1と同様の工程でキャリアA2を製造した。
キャリアA2は、球状マグネタイト粒子の含有量が80.4質量%の球状粒子であり、平均粒子径が30μm、比重が3.05であって、磁化値が61Am2/kg、体積固有抵抗が2×1010Ωcm、比表面積0.01m2/gであった。
(キャリア比較例5)
アミノシランカップリング剤の添加量を50gに変更した以外は、製造例1と同様の工程でコア材を製造し、コーティングを行い、キャリアa1を得た。
(キャリア比較例6)
被覆樹脂をストレートシリコーン(東レ・ダウコーニング社製 SR−2411)を固形分換算で100g、を秤量し、300ccのトルエン溶剤に溶解させた。フェライト粒子d10kgに対し、液浸乾燥式被覆装置を用い、上記被覆樹脂溶液を20分間攪拌することによりコーティングを行った。その後210℃で1時間焼き付けを行い、キャリアd2を得た。平均粒子径が80μm、比重が5.5であって、磁化値が75Am2/kg、体積固有抵抗が2×1012Ωcm、比表面積0.024m2/gであった。
(キャリア比較例7)
被覆樹脂をアクリル変性シリコーン樹脂(信越化学社製 KR−9706)を固形分換算で100gを秤量し、300ccのトルエン溶剤に溶解させた。前記フェライト粒子d10kgに対し、液浸乾燥式被覆装置を用い、上記被覆樹脂溶液を20分間攪拌することによりコーティングを行った。その後210℃で1時間焼き付けを行い、キャリアd3を得た。平均粒子径が80μm、比重が5.5であって、磁化値が75Am2/kg、体積固有抵抗が2×1011Ωcm、比表面積0.022m2/gであった。
(2)樹脂粒子分散液の作成
次に本発明のトナーの実施例について説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
表1は、樹脂粒子分散液の作成例として調製された本発明に係る樹脂粒子分散液(RL1、RL2、RL3、RH1、RH2、RH3、RH4、RH5)及び比較のための樹脂粒子分散液(rl4、rl5、rh1,rh2,rh3,rh4)において得られた結着樹脂の特性を示す。なお、“Mn”は数平均分子量、“Mw”は重量平均分子量、“Mz”はZ平均分子量、“Mw/Mn”は重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比“Mz/Mn”はZ平均分子量(Mz)と数平均分子量(Mn)の比、“Mp”は分子量のピーク値を表わす。Tgはガラス転移点、Tsは軟化点を示す。
表2に各樹脂粒子分散液に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率(重量%)を示す。
各樹脂粒子分散液の調製は、以下のとおりである。
[樹脂粒子分散液RL1]
スチレン240.1gと、n−ブチルアクリレート59.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)7.5g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)22.5g、ドデカンチオール6gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム4.5gを加えて、75℃で4時間乳化重合を行った。その後更に90℃で2時間熟成処理を行い、Mnが7200、Mwが13800、Mzが20500、Mpが10800、軟化温度が98℃、ガラス転移温度が52℃、中位径が0.14μmの結着樹脂微粒子が分散した樹脂粒子分散液RL1が調製された。
[樹脂粒子分散液RL2]
スチレン230.1gと、n−ブチルアクリレート69.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)7.5g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)22.5g、ドデカンチオール6gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム4.5gを加えて、75℃で4時間乳化重合を行った。その後更に90℃で5時間熟成処理を行い、Mnが7500、Mwが17600、Mzが30100、Mpが18500、軟化温度が106℃、ガラス転移温度が47℃、中位径が0.18μmの結着樹脂微粒子が分散した樹脂粒子分散液RL2が調製された。
[樹脂粒子分散液RL3]
スチレン230.1gと、n−ブチルアクリレート69.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)9g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)15g、ドデカンチオール1.5gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム4.5gを加えて、75℃で4時間乳化重合を行った。その後更に90℃で4時間熟成処理を行い、Mnが15300、Mwが51400、Mzが87400、Mpが31400、軟化温度が126℃、ガラス転移温度が54℃、中位径が0.18μmの結着樹脂微粒子が分散した樹脂粒子分散液RL3が調製された。
[樹脂粒子分散液RH1]
スチレン230.1gと、n−ブチルアクリレート69.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)9.6g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)12g、ドデカンチオール1.5gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム1.5gを加えて、75℃で4時間乳化重合を行った。その後更に90℃で4時間熟成処理を行い、Mnが14300、Mwが51400、Mzが189000、Mpが58000、軟化温度が144℃、ガラス転移温度が58℃、中位径が0.14μmの結着樹脂微粒子が分散した樹脂粒子分散液RH1が調製された。
[樹脂粒子分散液RH2の調製]
スチレン230.1gと、n−ブチルアクリレート69.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)7.5g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)22.5g、ドデカンチオール0.75gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム1.5gを加えて、75℃で4時間乳化重合を行った。その後さらに90℃で4時間熟成処理を行い、Mnが21200、Mwが97700、Mzが173000、Mpが98800、Tgが62℃、軟化温度が143℃、中位径が0.14μmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液RH2を調製した。
[樹脂粒子分散液RH3の調製]
スチレン240.1gと、n−ブチルアクリレート59.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)9g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)15g、ドデカンチオール0.75gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム1.5gを加えて、75℃で4時間乳化重合を行った。その後さらに90℃で2時間熟成処理を行い、Mnが17700、Mwが84600、Mzが146000、Mpが90600、Tgが65℃、軟化温度が178℃、中位径が0.18μmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液RH3を調製した。
[樹脂粒子分散液RH4]
スチレン176gと、n−ブチルアクリレート64gと、アクリル酸3.6gとからなるモノマー液を、イオン交換水350g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)7.6g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)10gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム2.4gを加えて、80℃で4時間乳化重合を行った。その後更に90℃で2時間熟成処理を行い、Mnが23400、Mwが16,3600、Mzが493200、Mpが89100、軟化温度が170℃、ガラス転移温度が58℃、中位径が0.18μmの結着樹脂微粒子が分散した樹脂粒子分散液RH4が調製された。
[樹脂粒子分散液RH5の調製]
スチレン255gと、n−ブチルアクリレート45gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)9.6g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)12g、ドデカンチオール0.5gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム1.5gを加えて、80℃で5時間乳化重合を行った。その後さらに90℃で2時間熟成処理を行い、Mnが25000、Mwが242000、Mzが578000、Mpが154000、Tgが73℃、軟化温度が176℃、中位径が0.18μmの樹脂粒子が分散した、樹脂粒子分散液RH5を調製した。
[樹脂粒子分散液rl4]
スチレン192gと、n−ブチルアクリレート48gと、アクリル酸3.6gとからなるモノマー液を、イオン交換水350g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)3.6g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)30g、ドデカンチオール12g、四臭化炭素2.4gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム2.4gを加えて、70℃で5時間乳化重合を行った。その後更に80℃で2時間熟成処理を行い、Mnが4100、Mwが7600、Mzが43000、Mpが7000、軟化温度が89℃、ガラス転移温度が39℃、中位径が0.18μmの結着樹脂微粒子が分散した、樹脂粒子分散液rl4が調製された。
[樹脂粒子分散液rl5]
スチレン230.1gと、n−ブチルアクリレート69.9gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)4.5g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)37.5g、ドデカンチオール1.5gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム1.5gを加えて、75℃で5時間乳化重合を行い、その後更に80℃で2時間熟成処理を行い、Mnが8900、Mwが61200、Mzが108400、Mpが52800、軟化温度が142℃、ガラス転移温度が57℃、中位径が0.16μmの結着樹脂微粒子が分散した樹脂粒子分散液rl5が調製された。
[樹脂粒子分散液rh1]
スチレン204gと、n−ブチルアクリレート36gと、アクリル酸3.6gとからなるモノマー液を、イオン交換水350g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)4.2g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)25g、ドデカンチオール12g、四臭化炭素2.4gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム2.4gを加えて、75℃で5時間乳化重合を行った。その後更に80℃で2時間熟成処理を行い、Mnが2600、Mwが28300、Mzが96200、Mpが2700、軟化温度が135℃、ガラス転移温度が43℃、中位径が0.18μmの結着樹脂微粒子が分散した、樹脂粒子分散液rh1が調製された。
[樹脂粒子分散液rh2の調製]
スチレン176gと、n−ブチルアクリレート64gと、アクリル酸3.6gとからなるモノマー液を、イオン交換水350g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)2.4g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)36g、ドデカンチオール6gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム1.2gを加えて、70℃で5時間乳化重合を行い、その後さらに80℃で2時間熟成処理を行い、Mnが4800、Mwが48900、Mzが292000、Mpが23300、Tgが58℃、軟化温度が135℃、中位径が0.16μmの樹脂粒子が分散した樹脂粒子分散液rh2を調製した。
[樹脂粒子分散液rh3の調製]
スチレン272gと、n−ブチルアクリレート28gと、アクリル酸4.5gとからなるモノマー液を、イオン交換水440g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)4.5g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)37.5g、ドデカンチオール0gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム1.5gを加えて、85℃で4時間乳化重合を行った。その後さらに80℃で2時間熟成処理を行い、Mnが17700、Mwが511000、Mzが922000、Mpが185000、Tgが77℃、軟化温度が207℃、中位径が0.18μmの樹脂粒子が分散した、樹脂粒子分散液rh3を調製した。
[樹脂粒子分散液rh4]
スチレン204gと、n−ブチルアクリレート36gと、アクリル酸2.4gとからなるモノマー液を、イオン交換水350g中に、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)2.5g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)36gを用いて分散し、これに過硫酸カリウム2.4gを加えて、80℃で5時間乳化重合を行い、その後更に90℃で2時間熟成処理を行い、Mnが18600、Mwが238700、Mzが529000、Mpが163600、軟化温度が182℃、ガラス転移温度が67℃、中位径が0.16μmの結着樹脂微粒子が分散した樹脂粒子分散液rh4が調製された。
(2)着色剤微粒子分散液の作成
次に、着色剤粒子分散液の作成例について説明する。表3は、着色剤粒子分散液の作成例として調製した着色剤粒子分散液(PM1、PC1、PY1、PB1、PM2)及び比較のための着色剤粒子分散液(pm3、pm4)において使用した顔料を示す。表4に着色剤粒子分散液に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率(重量%)を示す。
(2-1)着色剤粒子分散液PM1の調製
マゼンタ顔料20g(クラリアント社製PERMANENT RUBINE F6B)、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)2g、イオン交換水78gを混合し、超音波分散機を用いて発振周波数30kHzで20分間分散を行って、中位径が0.12μmの着色剤粒子が分散した着色剤粒子分散液PM1を調製した。
(2-2)着色剤粒子分散液PC1の調製
シアン顔料20g(大日本インキ社製KETBLUE111)、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)2g、イオン交換水78gを混合し、超音波分散機を用いて発振周波数30kHzで20分間分散を行って、中位径が0.12μmの着色剤粒子が分散した着色剤粒子分散液PC1を調製した。
(2-3)着色剤粒子分散液PY1の調製
イエロ顔料20g(山陽色素社製PY74)、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)2g、イオン交換水78gを混合し、超音波分散機を用いて発振周波数30kHzで20分間分散を行って、中位径が0.12μmの着色剤粒子が分散した着色剤粒子分散液PY1を調製した。
(2-4)着色剤粒子分散液PB1の調製
ブラック顔料20g(三菱化学社製MA100S)、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)2g、イオン交換水78gを混合し、超音波分散機を用いて発振周波数30kHzで20分間分散を行って、中位径が0.12μmの着色剤粒子が分散した着色剤粒子分散液PB1を調製した。
(2-5)着色剤粒子分散液PM2の調製
マゼンタ顔料20g(クラリアント社製PERMANENT RUBINE F6B)、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)1.5g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)6g、イオン交換水78gを混合し、超音波分散機を用いて発振周波数30kHzで20分間分散を行って、中位径が0.12μmの着色剤粒子が分散した着色剤粒子分散液PM2を調製した。
(2-6)着色剤粒子分散液pm3の調製
マゼンタ顔料20g(クラリアント社製PERMANENT RUBINE F6B)、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:ノニポール400)1.2g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)7g、イオン交換水78gを混合し、超音波分散機を用いて発振周波数30kHzで20分間分散を行って、中位径が0.12μmの着色剤粒子が分散した着色剤粒子分散液pm3を調製した。
(2-7)着色剤粒子分散液pm4の調製
マゼンタ顔料20g(クラリアント社製PERMANENT RUBINE F6B)、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製:S20−F、20%濃度水溶液)10g、イオン交換水78gを混合し、超音波分散機を用いて発振周波数30kHzで20分間分散を行って、中位径が0.12μmの着色剤粒子が分散した着色剤粒子分散液pm4を調製した。
(3)ワックス微粒子分散液の作成
次に、ワックス微粒子分散液の作成例について説明する。表5、表6及び表7は、ワックス微粒子分散液の作成例として形成した本発明に係るワックス粒子分散液(WA1、WA2、WA3、WA4、WA5、WA6、WA7、WA8、WA9、WA10)及び比較のためのワックス粒子分散液(wa11、wa12、wa13、wa14、wa15)の作成において、それぞれが使用したワックス材料(W−1、W−2、W−3、W−4、W−5、W−6、W−7、W−8、W−9、W−10、W−11、W−12、W−13)及びその特性を示す。
そして、表8は、作成した本発明に係るワックス粒子分散液(WA1〜WA10)及び比較のためのワックス粒子分散液(wa11〜wa15)について、それぞれのワックス成分の組成及び作成されたワックス粒子分散液において得られた粒子特性を示す。なお、“第1のワックス”及び“第2のワックス”は、ワックス粒子分散液に仕込まれたワックス材料を示し、ワックスを示す符号末尾の( )内の値は当該ワックスの配合組成量(割合)を表わす。また、“PR16”は、ワックス粒子分散液におけるワックス微粒子の体積基準による粒径分布において小粒径側から積算したときの16%点での粒径を、同様に、“PR50”は同50%径を、“PR84”は同84%径を表わす。また、“PR84/PR16”は、84%径(PR84)と16%径(PR16)の比PR86/PR16を表わす。
表9にワックス分散液に使用した界面活性剤のノニオン量(g)とアニオン量(g)と全界面活性剤量に対するノニオン量の比率を示す。
ここで、各ワックス粒子分散液の作成は、以下のとおりである。
(1)ワックス粒子分散液WA1の調製
図3に攪拌分散装置の概略図、図4に上から見た図を示す。801が外槽でその内部に冷却水を808から注入し、807から排出されるようにしている。802は被処理液がせき止める堰板で中央部に穴があけられており、ここから処理された液が順次805を通じて外部に取り出す。803が高速で回転する回転体でシャフト806に固定され、高速に回転できる。回転体の側面には、1〜5mm程度の穴があけられており、被処理液の移動を可能とする。槽は120mlで、被処理液はその2分の1程度投入する。回転体の速度MAXは50m/sまで可能である。回転体の径は52mm、槽の内径は56mmである。44は連続処理の場合の原料注入口である。高圧処理やバッチ式のときは封印している。
槽内を0.4Mpaまで加圧して状態で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)2g、アニオン界面活性剤(三洋化成工業社製SCF)1g、第1のワックス(W−1)5gと第2のワックス(W−11)25gを仕込み、回転体の速度は30m/sで5min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理した。ワックス粒子分散液WA1が形成された。
(2)ワックス粒子分散液WA2の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)1.8g、アニオン界面活性剤(三洋化成工業社製SCF)1.2g、第1のワックス(W−2)10gと第2のワックス(W−12)20gとを仕込み、回転体の速度は30m/sで3min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理し、ワックス粒子分散液WA2が形成された。
(3)ワックス粒子分散液WA3の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)2.5g、アニオン性界面活性剤(三洋化成工業社製SCF)0.5g、第1のワックス(W−3)15gと第2のワックス(W−13)15gとを仕込み、回転体の速度は20m/sで3min、その後回転速度を45m/sに上げ、2min処理し、ワックス粒子分散液WA3が形成された。
(4)ワックス粒子分散液WA4の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、第1のワックス(W−4)10gと第2のワックス(W−11)20gとを仕込み、回転体の速度は30m/sで3min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理し、ワックス粒子分散液WA4が形成された。
(5)ワックス粒子分散液WA5の調製
図5は攪拌分散装置の概略断面図、図6は上から見た平面図を示す。850は原料投入口、852は固定体でフローティング構造としている。851のばねにより押し付けられ、回転体853の高速回転力との押し上げ力とにより約1μm〜10μm狭ギャップを形成している。854はモータ(図示せず)につながるシャフトである。原料投入口850から投入された原料は固定体と回転体とのギャップ間で強いせん断力を受け、液中で微細粒子に分散される。その処理された原料液は856から排出される。図6に上から見た図を示す。排出される原料液855は放射状に飛ばされ、それを密閉した容器に回収される。回転体の外径は100mmである。
原料液はあらかじめ加圧加熱された水媒体中にワックスと界面活性剤をプレ分散させておき、それを投入口850から投入して、瞬時に微細化処理される。供給量は1kg/h、回転体の速度はMAX100m/sで回転させた。
イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、第1のワックス(W−5)6gと第2のワックス(W−12)24gとを仕込み、回転体の速度は100m/s、供給量は1kg/hで処理し、ワックス粒子分散液WA5が形成された。
(6)ワックス粒子分散液WA6の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、第1のワックス(W−6)5gと第2のワックス(W−11)25gとを仕込み、回転体の速度は20m/sで3min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理し、ワックス粒子分散液WA6が形成された。
(7)ワックス粒子分散液WA7の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、第1のワックス(W−7)7.5gと第2のワックス(W−12)22.5gとを仕込み、回転体の速度は20m/sで3min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理し、ワックス粒子分散液WA7が形成された。
(8)ワックス粒子分散液WA8の調製
ワックス粒子分散液WA5と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、第1のワックス(W−8)15gと第2のワックス(W−13)15gとを仕込み、回転体の速度は100m/s、供給量は1kg/hで処理し、ワックス粒子分散液WA8が形成された。
(9)ワックス粒子分散液WA9の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、第1のワックス(W−9)15gと第2のワックス(W−11)15gとを仕込み、回転体の速度は20m/sで3min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理し、ワックス粒子分散液WA9が形成された。
(10)ワックス粒子分散液WA10の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、第1のワックス(W−10)10gと第2のワックス(W−12)20gとを仕込み、回転体の速度は30m/sで3min、その後回転速度を50m/sに上げ、2min処理し、ワックス粒子分散液WA10が形成された。
(11)ワックス粒子分散液wa11の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、ワックス(W−6)30gを仕込み、回転体の速度は30m/sで3min、その後回転速度を45m/sに上げ、3min処理し、ワックス粒子分散液wa11が形成された。
(12)ワックス粒子分散液wa12の調製
ワックス粒子分散液WA1と同様の条件で、イオン交換水67gと、アニオン界面活性剤(三洋化成工業社製SCF)3g、ワックス(W−7)30gを仕込み、回転体の速度は30m/sで3min、その後回転速度を45m/sに上げ、3min処理し、ワックス粒子分散液wa12が形成された。
(13)ワックス粒子分散液wa13の調製
イオン交換水100gと、非イオン系界面活性剤(三洋化成社製:エルミノールNA400)3g、ワックス(W−11)30gとを仕込み、ホモジナイザーにて30min処理し、ワックス粒子分散液wa13が形成された。
(14)ワックス粒子分散液wa14の調製
イオン交換水100gと、アニオン界面活性剤(三洋化成工業社製SCF)3g、ワックス(W−12)30gとを仕込み、ホモジナイザーにて30min処理し、ワックス粒子分散液wa14が形成された。
(15)ワックス粒子分散液wa15の調製
イオン交換水100gと、アニオン界面活性剤(三洋化成工業社製SCF)3g、ワックス(W−13)30gとを仕込み、ホモジナイザーにて30min処理し、ワックス粒子分散液wa15が形成された。
(4)トナー母体の作成
次に、トナー母体の作成例について説明する。なお、ここでは、マゼンタトナーについて説明する。表10は、トナー母体の作成例として作成した本発明に係るトナー母体(M1、M2、M3、M4、M5、M6、M7、M8、M9、M10、M11、M12、M13、M14、M15、M16、M17、M18、M19、M20、M21)について、それぞれの組成及び作成されたトナー母体において得られた特性を示す。表11は、トナー母体の作成例として作成した本発明に係るトナー母体(m22、m23、m24、m25、m26、m27、m28、m29、m30、m31、m32、m33、m34、m35)について、それぞれの組成及び作成されたトナー母体において得られた特性を示す。なお、“変動係数”は得られたトナー母体におけるトナー母体粒子の体積基準での粒径分布の広がりを示す。
ここで、各トナー母体の作成及び得られた特性は、次のとおりである。
[トナー母体M1]
温度計、冷却管、攪拌棒、pHメータを備える4つ口2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL1を204g、着色剤粒子分散液PM1を45g、ワックス粒子分散液WA1を85g添加し、イオン交換水500mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用い10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは2.7であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを11.8とし、その後水溶性無機塩である硫酸マグネシウムの30%濃度水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは9.2であった。その後、1Nの塩化水素(HCl)を添加し、その混合分散液のpHを6.4とし、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを7.2とし、第2の樹脂粒子分散液RH1を165g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物(トナー母体粒子)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、流動式乾燥機にて40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径4.1μm、変動係数18.7のトナー母体M1を得た。
ここで、水溶性無機塩添加前及び加熱前の混合液のpHが、9.5よりも低いと、形成された芯粒子が粗大化してしまう。またpHを12.5とすると遊離ワックスが多くなりワックス成分を均一に内包化することが困難になった。また、芯粒子が形成された時の混合液のpHが9.5よりも高くなっていると、凝集不良で遊離ワックスや遊離着色剤微粒子が多くなる。
また、5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後80℃で2時間加熱処理した後、pHを調整せずに、又は調整をしてもpHが6.8よりも大きい値で加熱処理すると、芯粒子はやや大きくなる傾向にある。また、pHを2.2未満にまで下げると、界面活性剤の効果が消失し粒径が粗大化する傾向にある。
[トナー母体M2]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL1を204g、着色剤粒子分散液PM1を45g、ワックス粒子分散液WA2を80g添加し、イオン交換水500mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは1.8であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは7.2であった。その後更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを3.2とし、第2の樹脂粒子分散液RH1を165g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径6.8μm、変動係数21.1のトナー母体M2を得た。
[トナー母体M3]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL1を204g、着色剤粒子分散液PM1を31g、ワックス粒子分散液WA3を40g添加し、イオン交換水330mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは3.2であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを11とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは8.4であった。その後、1Nの塩化水素を添加し、その混合分散液のpHを5.4とし、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを6.6とし、第2の樹脂粒子分散液RH4を50g添加し、水温95℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径4.4μm、変動係数16.6のトナー母体M3を得た。
[トナー母体M4]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL1を204g、着色剤粒子分散液PM1を31g、ワックス粒子分散液WA4を40g添加し、イオン交換水330mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは3.8であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを11.9とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは9.3であった。その後、1Nの塩化水素を添加し、その混合分散液のpHを6.2とし、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを6.6とし、第2の樹脂粒子分散液RH4を50g添加し、水温95℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径4.1μm、変動係数21.2のトナー母体M4を得た。
[トナー母体M5]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を42g、ワックス粒子分散液WA5を90g添加し、イオン交換水500mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは2.2であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは7であった。その後更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを3.2として、第2の樹脂粒子分散液RH1を145g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径6.6μm、変動係数16.8のトナー母体M5を得た。
[トナー母体M6]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を42g、ワックス粒子分散液WA6を50g添加し、イオン交換水450mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは3.8であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを11.8とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは9.2であった。その後、1Nの塩化水素を添加し、その混合分散液のpHを6.6とし、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを7.6として、第2の樹脂粒子分散液RH1を145g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径4.9μm、変動係数17.8のトナー母体M6を得た。
[トナー母体M7]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を32g、ワックス粒子分散液WA7を60g添加し、イオン交換水360mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは1.8であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは7.2であった。その後更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを3.4とし、第2の樹脂粒子分散液RH4を60g添加し、水温95℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径6.5μm、変動係数20.8のトナー母体M7を得た。
[トナー母体M8]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を32g、ワックス粒子分散液WA8を40g添加し、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは2.1であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを11.2とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは8.5であった。 その後、1Nの塩化水素を添加し、その混合分散液のpHを5.4とし、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを5.5とし、第2の樹脂粒子分散液RH4を60g添加し、水温95℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径5μm、変動係数17.8のトナー母体M8を得た。
[トナー母体M9]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を45g、ワックス粒子分散液WA9を90g添加し、イオン交換水500mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは2.8であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを11.9とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは9.3であった。その後、1Nの塩化水素を添加し、その混合分散液のpHを3.2とし、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを3.4とし、第2の樹脂粒子分散液RH1を165g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径4μm、変動係数16.2のトナー母体M9を得た。
[トナー母体M10]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を32g、ワックス粒子分散液WA10を40g添加し、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは1.9であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは7であった。その後、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを7.4とし、第2の樹脂粒子分散液RH4を60g添加し、水温95℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径6.9μm、変動係数21のトナー母体M10を得た。
[トナー母体M11の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を40g、ワックス分散液WA1を80g添加し、イオン交換水500mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.5であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを10.5とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間加熱処理した。得られた分散液のpHは7.9であった。その後さらに、1NHClを添加し、pHを6.4とし温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを7.2として、第2の樹脂粒子分散液RH2を130g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.9μm、変動係数17.8のトナー母体M11を得た。
水溶性無機塩の添加前及び加熱前の混合分散液のpHを調製する際、9.5よりも低いと形成された芯粒子が粗大化してしまう。またpHを12.5とすると遊離ワックスまたは遊離顔料粒子が多くなり、ワックス、顔料及び樹脂粒子の均一な粒子形成が困難になった。芯粒子が形成されたときの液のpHが9.5よりも高くなっていると凝集不良で遊離ワックスや遊離着色剤粒子が多くなる。
また、1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後80℃で2時間加熱処理した後、pHを調整せずに、または調整をしてもpHが6.8よりも大きい値で加熱処理すると粒子はやや大きくなる傾向にある。pHを2.2未満にまで下げると、界面活性剤の効果が消失し粒子径か粗大化する傾向にある。
[トナー母体M12の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を40g、ワックス分散液WA2を60g添加し、イオン交換水400mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは1.9であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を120g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは7.2であった。その後さらに温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
さらに水温を60℃とし、pHを3.2として、第2の樹脂粒子分散液RH3を125g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で、40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.2μm、変動係数19.7のトナー母体M12を得た。
[トナー母体M13の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を33g、ワックス分散液WA3を40g添加し、イオン交換水300mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.9であった。
その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.8とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を90g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは8.4であった。その後さらに、1NHClを添加し、pHを5.4とし温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを6.6として、第2の樹脂粒子分散液RH5を65g添加し、水温を95℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径4.1μm、変動係数19.8のトナー母体M13を得た。
[トナー母体M14の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を40g、ワックス分散液WA4を80g添加し、イオン交換水360mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは3.2であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.8とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を108g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは7.3であった。その後さらに、1NHClを添加し、pHを6.2とし温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを6.6として、第2の樹脂粒子分散液RH2を125g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.8μm、変動係数17.8のトナー母体M14を得た。
[トナー母体M15の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を40g、ワックス粒子分散液WA5を80g添加し、イオン交換水400mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.2であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を120g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは7であった。その後さらに温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを3.2として、第2の樹脂粒子分散液RH3を125g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.5μm、変動係数18.1のトナー母体M15を得た。
[トナー母体M16の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を33g、ワックス粒子分散液WA6を30g添加し、イオン交換水300mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは3.8であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.8とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を90g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは9.2であった。その後さらに、1NHClを添加し、pHを6.6とし温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを7.6として、第2の樹脂粒子分散液RH5を65g添加し、水温を95℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径4.2μm、変動係数20.2のトナー母体M16を得た。
[トナー母体M17の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を39g、ワックス粒子分散液WA7を80g添加し、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは1.8であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を105g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは7.2であった。その後温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを3.4として、第2の樹脂粒子分散液RH2を120g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.4μm、変動係数18.2のトナー母体M17を得た。
[トナー母体M18の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を39g、ワックス粒子分散液WA8を60g、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.1であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.2とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を105g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは8.5であった。その後さらに、1NHClを添加し、pHを5.4とし温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを5.5として、第2の樹脂粒子分散液RH3を120g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径4.8μm、変動係数19.2のトナー母体M18を得た。
[トナー母体M19の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を30g、ワックス粒子分散液WA9を30g添加し、イオン交換水250mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.8であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを11.9とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を75g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは9.3であった。その後さらに、1NHClを添加し、pHを3.2とし温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを3.4として、第2の樹脂粒子分散液RH5を40g添加し、水温を95℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径3.9μm、変動係数21.0のトナー母体M19を得た。
[トナー母体M20の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を39g、ワックス粒子分散液WA10を80g添加し、イオン交換水370mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは1.9であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を111g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは7であった。その後温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを7.4として、第2の樹脂粒子分散液RH2を120g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.9μm、変動係数18.2のトナー母体M20を得た。
[トナー母体M21の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM2を39g、ワックス粒子分散液WA7を80g添加し、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.6であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を105g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは7.1であった。その後温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを3.4として、第2の樹脂粒子分散液RH2を120g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径6.6μm、変動係数17.8のトナー母体M21を得た。
[トナー母体m22]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液rl4を204g、着色剤粒子分散液PM1を45g、ワックス粒子分散液WA6を50g添加し、イオン交換水450mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは3.2であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは7であった。その後、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを5とし、第2の樹脂粒子分散液rh1を165g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径12.3μm、変動係数25.6のトナー母体m22を得た。
[トナー母体m23]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液rl5を204g、着色剤粒子分散液PM1を44g、ワックス粒子分散液WA7を50g添加し、イオン交換水450mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは3.8であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを12.4とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは8.4であった。その後、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを2.4とし、第2の樹脂粒子分散液rh4を75g添加し、水温95℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径3.3μm、変動係数38.6のトナー母体m23を得た。
[トナー母体m24]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を44g、ワックス粒子分散液wa11を50g添加し、イオン交換水450mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは2.2であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを9とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは6であった。その後、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを2とし、第2の樹脂粒子分散液RH1を160g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径21.2μm、変動係数30.8のトナー母体m24を得た。
[トナー母体m25]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を32g、ワックス粒子分散液wa12を40g添加し、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは2.2であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを10.8とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは8.1であった。その後、1Nの塩化水素を添加し、その混合分散液のpHを2.8とし、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを2.8とし、第2の樹脂粒子分散液RH4を60g添加し、水温95℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径18.5μm、変動係数28.9のトナー母体m25を得た。
[トナー母体m26]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を43g、ワックス粒子分散液wa13を50g添加し、イオン交換水450mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは2.2であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを10.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは7.9であった。その後、1Nの塩化水素を添加し、その混合分散液のpHを2.8とし、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを8とし、第2の樹脂粒子分散液RH1を150g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径16.7μm、変動係数38.4のトナー母体m26を得た。
[トナー母体m27]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液rl4を204g、着色剤粒子分散液PM1を43g、ワックス粒子分散液wa14を50g添加し、イオン交換水450mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは2.1であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを9とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは5.8であった。その後、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを8とし、第2の樹脂粒子分散液rh1を150g添加し、水温90℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径25.7μm、変動係数31.8のトナー母体m27を得た。
[トナー母体m28]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液rl5を204g、着色剤粒子分散液PM1を32g、ワックス粒子分散液WA15を40g添加し、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10分間混合して混合分散液を調製した。得られた混合液のpHは3.7であった。
そして、得られた混合液に1Nの水酸化ナトリウムを投入してpHを12.4とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を150g添加し、10分間攪拌した。その後5℃/minの割合で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間加熱処理して凝集粒子を得た。この時の混合液のpHは8.4であった。その後、更に温度を90℃に昇温し、2時間加熱処理して芯粒子を得た。
更に、水温を60℃とし、pHを2.4とし、第2の樹脂粒子分散液rh4を60g添加し、水温95℃の条件で3時間加熱処理して第2の結着樹脂が融着したトナー母体粒子を得た。そして、冷却後、生成物をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄した。その後、40℃で6時間乾燥させて、体積平均粒径8.5μm、変動係数42.8のトナー母体m28を得た。
[トナー母体m29の作成]
温度計、冷却管をある4つ口フラスコ2000mlに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を39g、ワックス分散液wa11を50g添加し、イオン交換水360mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは3.2であった。
その後、得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を108g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは7であった。その後さらに、温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを5として、第2の樹脂粒子分散液RH2を120g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径22.8μm、変動係数33.8と粗大化しかつ分布がブロードなトナー母体m29を得た。
[トナー母体m30の作成]
温度計、冷却管をある4つ口フラスコ2000mlに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を34g、ワックス分散液wa12を40g添加し、イオン交換水400mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT25)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは3.8であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を300g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは6であった。その後さらに、温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを2として、第2の樹脂粒子分散液RH3を75g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径20.4μm、変動係数35.9と粗大化し、分布がブロードなトナー母体m30を得た。
[トナー母体m31の作成]
温度計、冷却管をある4つ口フラスコ2000mlに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を44g、ワックス粒子分散液wa13を50g添加し、イオン交換水400mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.2であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを12.4とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を120g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは8.4であった。その後さらに、温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを2.4として、第2の樹脂粒子分散液rh3を160g添加し、水温を95℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径8.7μm、変動係数40.8と芯粒子の二次凝集が多く、また第2の樹脂が付着せず浮遊した小粒径の粒子の多い分布がブロードなトナー母体m31を得た。
[トナー母体m32の作成]
温度計、冷却管をある4つ口フラスコ2000mlに、第1の樹脂粒子分散液RL2を204g、着色剤粒子分散液PM1を32g、ワックス粒子分散液wa14を40g添加し、イオン交換水300mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.2であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を90g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を80℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは6であった。その後さらに温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを2として、第2の樹脂粒子分散液rh2を60g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径26.8μm、変動係数31.0と粗大化した分布のブロードなトナー母体m32を得た。
[トナー母体m33の作成]
温度計、冷却管をある4つ口フラスコ2000mlに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液PM1を31g、ワックス粒子分散液wa15を50g添加し、イオン交換水300mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは2.2であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを12.4とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を90g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で22℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは8.4であった。その後さらに温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを2.4として、第2の樹脂粒子分散液rh3を50g添加し、水温を95℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径8.5μm、変動係数40.1と芯粒子の二次凝集が多く、また第2の樹脂が付着せず浮遊した小粒径の粒子の多い分布がブロードなトナー母体m33を得た。
[トナー母体m34の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液pm3を39g、ワックス粒子分散液WA7を80g添加し、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは3.2であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を105g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から70℃まで昇温し、その後70℃で2時間加熱した。その後温度を85℃に昇温し、2時間処理した。得られた分散液のpHは6.9であった。その後温度を90℃に昇温して2時間加熱処理し、芯粒子を得た。
水温を60℃とし、pHを3.4として、第2の樹脂粒子分散液RH2を120g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径9.2μm、変動係数27.8とやや粒度分布の広がったトナー母体m34を得た。
[トナー母体m35の作成]
2000mlの4つ口フラスコに、第1の樹脂粒子分散液RL3を204g、着色剤粒子分散液pm4を39g、ワックス粒子分散液WA7を80g添加し、イオン交換水350mlを投入し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて10min混合して混合粒子分散液を調製した。得られた混合分散液のpHは3.2であった。
その後得られた混合分散液に1N NaOHを投入し、pHを9.7とし、その後30%濃度の硫酸マグネシウム水溶液を105g添加し、10min攪拌した。その後1℃/minの速度で20℃から70℃まで昇温し、その後3時間加熱処理し、芯粒子を得た。得られた芯粒子分散液のpHは7.2であった。
水温を60℃とし、pHを3.4として、第2の樹脂粒子分散液RH2を120g添加し、水温を90℃の条件で3時間加熱処理して第2の樹脂粒子が融着した粒子を得た。そして、冷却後、反応生成物(トナー母体)をろ過し、イオン交換水にて3回洗浄を行った。その後得られたトナー母体を流動式乾燥機で40℃で6時間乾燥させることにより、体積平均粒径12.1μm、変動係数32.6と粒度分布の広がったトナー母体m35を得た。
これらのトナー母体の作成における、処理時間に対する混合分散液のpH・温度及び生成・形成された凝集粒子の粒径(体積平均粒径)について、本発明に係るトナー母体M1〜M10の例を表12に、M11〜M20の例を表13に、また比較のためのトナー母体m22〜m33の例を表14に示す。
表12の本発明に係るトナー母体M1では、凝集粒子の体積平均粒径が、処理時間が1時間から6時間にかけての芯粒子の生成過程では2.08μmから3.27μmへと次第に成長し、その後(処理時間が7時間から9時間)の樹脂融着層の形成過程では4.01〜4.14μmとほぼ一定を保っており、凝集粒子が粗大化していないことが分かる。
また、表10の変動係数は、前述したとおり、トナー母体におけるトナー母体粒子の体積基準での粒径分布の広がりを示すが、本発明に係るトナー母体M1〜M20では変動係数が比較的小さくなっている。
一方、表14の比較のためのトナー母体は、処理時間が7時間から9時間の樹脂融着層の形成過程における凝集粒子の体積平均粒径が、トナー母体m22では11.2〜12.31μmと大きくなり過ぎており、トナー母体m23では2.87〜3.34と小さ過ぎ、また、トナー母体m28では5.48μmから8.51μmへと凝集が止まっていないことが分かる。
また、表11の変動係数について、比較のためのトナー母体m22〜m35は大きな値となっており、これは、粒径のばらつきが大きく、粒径分布がブロードであることを示す。
以上のように、本発明に係るトナー母体M1〜M20は、芯粒子が生成された後から第2の結着樹脂が融着し樹脂融着層が形成されたトナー母体粒子を得るまで間、その粒径がほぼ一定で、トナー母体粒子となる溶融した凝集粒子が粗大化されない効果を示した。そして、このことは、小粒径でかつ粒径がほぼ揃ったトナー母体粒子を、分級工程不要で得ることを可能とする。
一方の比較のためのトナー母体m22〜m35は、トナー母体粒子となるべき溶融した凝集粒子が粗大化したり若しくは小さすぎたり、又は凝集が不安定であったりしている。このことは、小粒径でかつ粒径がほぼ揃ったトナー母体粒子を、分級工程不要で得ることを不可能とする。
以上、マゼンタのトナーについてそのトナー母体の作成例を述べたが、シアン、イエロー及び黒のトナー母体については、それぞれ、顔料にPB1、PC1又はPY1を使用し、その他はマゼンタのトナーと同様である。
(5)外添剤
表15は、本実施例で使用した外添剤(S1、S2、S3、S4、S5、S6、S7、S8、S9)について、それぞれの材料及びその特性を示す。ここで、“5分値”及び“30分値”は帯電量([μC/g])を表わし、これらは、ノンコートのフェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃45RH%の環境下で、100mlのポリエチレン容器にキャリア50gとシリカなど0.1gを混合し、縦回転にて100分間-1の速度で5分、30分間攪拌した後、0.3g採取し、窒素ガス1.96×104[Pa]で1分間ブローして測定した。負帯電性では5分値が−100〜−800μC/gで、30分の値が−50〜−600μC/gであることが好ましい。高い帯電量のシリカでは少量の添加量で機能を発揮できる。
処理材料は外添剤粒子100重量部に対して、10重量部配合させた。処理材料A,Bの配合重量比率は括弧内に表している。
(6)トナーの組成及び外添処理
次に、トナーの組成及び外添処理例について説明する。表16は、トナーの作成例として作成した本発明に係るマゼンタトナー(TM1、TM2、TM3、TM4、TM5、TM6、TM7、TM8、TM9、TM10、TM11、TM12、TM13、TM14、TM15、TM16、TM17、TM18、TM19、TM20、TM21)、及び表17には比較のためのマゼンタトナー(tm22、tm23、tm24、tm25、tm26、tm27、tm28、tm29、tm30、m31、tm32、tm33、tm34、tm35)について、それぞれの材料組成を示す。なお、外添剤欄において外添剤を示す符号末尾の( )内の値は、トナー母体100重量部に対する当該外添剤の配合量(重量部)を表わす。
トナーの外添処理は、ヘンシェルミキサーFM20B(三井鉱山社製)において、攪拌羽根Z0S0型、回転数2000min-1、処理時間5分間、投入量1kgで行った。
なお、ここではマゼンタトナーについて述べたが、他の黒トナー、シアントナー、イエロートナーについては、顔料にPB1、PC1又はPY1を使用し、その他材料組成及び外添処理方法は、マゼンタトナーのそれと同様である。
(画像形成装置例)
次に、画像形成装置の例について説明する。図1は本実施例で使用したフルカラー画像形成用の画像形成装置の構成を示す断面図である。図1において、カラー電子写真プリンタの外装筐は省略している。転写ベルトユニット17は、転写ベルト12、弾性体よりなる第1色(イエロー)転写ローラ10Y、第2色(マゼンタ)転写ローラ10M、第3色(シアン)転写ローラ10C、第4色(ブラック)転写ローラ10K、アルミローラよりなる駆動ローラ11、弾性体よりなる第2転写ローラ14、第2転写従動ローラ13、転写ベルト12上に残ったトナー像をクリーニングするベルトクリーナブレード16、クリーナブレードに対向する位置にローラ15を設けている。このとき、第1色(Y)転写位置から第2色(M)転写位置までの距離は70mm(第2色(M)転写位置から第3色(C)転写位置、第3色(C)転写位置から第4色(K)転写位置も同様距離)、感光体の周速度は125mm/sである。
転写ベルト12は、絶縁性ポリカーボネート樹脂中に導電性のフィラーを混練して押出機にてフィルム化して用いる。本実施例では、絶縁性樹脂としてポリカーボネート樹脂(たとえば三菱ガス化学製,ユーピロンZ300)95重量部に、導電性カーボン(たとえばケッチェンブラック)5重量部を加えてフィルム化したものを用いた。また、表面にフッ素樹脂をコートし、厚みは約100μm、体積抵抗は107〜1012Ω・cm、表面抵抗は107〜1012Ω/□である。ドット再現性を向上させるためもある。転写ベルト12の長期使用による弛みや,電荷の蓄積を有効に防止できるようにするためであり、表面をフッ素樹脂でコートしているのは、長期使用による転写ベルト表面へのトナーフィルミングを有効に防止できるようにするためである。体積抵抗が107Ω・cmよりも小さいと、再転写が生じ易く、1012Ω・cmよりも大きいと転写効率が悪化する。
第1転写ローラは外径8mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第1転写動作時には、第1転写ローラ10は、転写ベルト12を介して感光体1に1.0〜9.8(N)の押圧力で圧接され、感光体上のトナーがベルト上に転写される。抵抗値が102Ωよりも小さいと、再転写が生じ易い。106Ωよりもおおきと転写不良が生じ易くなる。1.0(N)よりも小さいと転写不良を生じ、9.8(N)よりも大きいと転写文字抜けが生じる。
第2転写ローラ14は外径10mmのカーボン導電性の発泡ウレタンローラで、抵抗値は102〜106Ωである。第2転写ローラ14は、転写ベルト12及び紙、OHP等の転写媒体19とを介して転写ローラ13に圧接される。この転写ローラ13は転写ベルト12に従動回転可能に構成している。第2次転写での第2転写ローラ14と対向転写ローラ13とは5.0〜21.8(N)の押圧力で圧接され、紙等の記録材上19に転写ベルトからトナーが転写される。抵抗値が102Ωよりも小さいと、再転写が生じ易い。106Ωよりもおおきと転写不良が生じ易くなる。5.0(N)よりも小さいと転写不良となり、21.8(N)よりも大きいと負荷が大きくなり、ジッタが出やすくなる。
イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色用の4組の像形成ユニット18Y、18M、18C、18Kが、図のように直列状に配置されている。
各像形成ユニット18Y、18M、18C、18K、中に入れた現像剤を除きそれぞれ同じ構成部材よりなるので、説明を簡略化するためY用の像形成ユニット18Yについて説明し、他色用のユニットの説明については省略する。
像形成ユニットは以下のように構成されている。1は感光体、3は画素レーザ信号光、4は内部に1200ガウスの磁力を有する磁石を有するアルミよりなる外径10mmの現像ロ−ラで、感光体とギャップ0.3mmで対向し、矢印の方向に回転する。6は攪拌ローラで現像器内のトナーとキャリアを攪拌し、現像ローラへ供給する。キャリアとトナーの配合比を透磁率センサーにより読み取り(図示せず)、トナーホッパー(図示せず)から適時供給される。5は金属製の磁性ブレードで現像ローラ上に現像剤の磁気フ゛ラシ層を規制する。現像剤量は150g投入している。ギャップは0.4mmとした。電源は、省略しているが、現像ローラ4には−500Vの直流と、1.5kV(p−p)、周波数6kHzの交流電圧が印加される。感光体と現像ローラ間の周速度比は1:1.6とした。またトナーとキャリアの混合比は93:7とし、現像器中の現像剤量は150gで行った。
2はエピクロルヒドリンゴムよりなる外径10mmの帯電ローラで直流バイアス−1.2kVが印加される。感光体1表面を−600Vに帯電する。8はクリーナ、9は廃トナーボックス、7は現像剤である。
紙搬送は転写ユニット17の下方から搬送され、転写ベルト12と第2転写ローラ14との圧接されたニップ部に紙給送ローラ(図示せず)により紙19が送られてくるように、紙搬送路が形成されている。
転写ベルト12上のトナーは第2転写ローラ14に印加された+1000Vにより紙19に転写され、定着ローラ201、加圧ローラ202、定着ベルト203、加熱媒体ローラ204、インダクションヒータ部205から構成される定着部に搬送され、ここで定着される。
図2にその定着プロセス図を示す。定着ローラ201とヒートローラ204との間にベルト203がかけられている。定着ローラ201と加圧ローラ202との間に所定の加重がかけられており、ベルト203と加圧ローラ202との間でニップが形成される。ヒートローラ204の外部周面にはフェライトコア206、とコイル207よりなるインダクションヒータ部205が設けられ、外面には温度センサー208が配置されている。
ベルトは30μmのNiを基体としてその上にシリコーンゴムを150μm、さらにその上にPFAチューブ30μmの重ねあわせた構成である。
加圧ローラ202は加圧バネ209により定着ローラ201に押しつけられている。トナー210を有する記録材19は、案内板211に沿って動く。
定着部材としての定着ローラ201は、長さが250mm、外径が14mm、厚さ1mmのアルミニウム製中空ローラ芯金213の表面に、JIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が20度のシリコーンゴムからなる厚さ3mmの弾性層214を設けている。この上にシリコーンゴム層215が3mmの厚みで形成され外径が約26mmとなっている。図示しない駆動モータから駆動力を受けて125mm/sで回転する。
ヒートローラ204は肉厚1mm、外径20mmの中空パイプからなっている。定着ベルト表面温度はサーミスタを用いて表面温度170℃に制御した。
加圧部材としての加圧ローラ202は、長さが250mm、外径20mmである。これは外径16mm、厚さ1mmのアルミニウムからなる中空ローラ芯金216の表面にJIS規格によるゴム硬度(JIS−A)が55度のシリコーンゴムからなる厚さ2mmの弾性層217を設けている。この加圧ローラ202は、回転可能に設置されており、片側147Nのバネ加重のバネ209によって定着ローラ201との間で幅5.0mmのニップ幅を形成している。
以下、動作について説明する。フルカラーモードではY,M,C,Kのすべての第1転写ローラ10が押し上げられ、転写ベルト12を介して像形成ユニットの感光体1を押圧している。この時第1転写ローラには+800Vの直流バイアスが印加される。画像信号がレーザ光3から送られ、帯電ローラ2により表面が帯電された感光体1に入射し、静電潜像が形成される。感光体1と接触し回転する現像ローラ4上のトナーが感光体1に形成された静電潜像を顕像化する。
このとき像形成ユニット18Yの像形成の速度(感光体の周速に等しい125mm/s)と転写ベルト12の移動速度は感光体速度が転写ベルト速度よりも0.5〜1.5%遅くなるように設定されている。
像形成工程により、Yの信号光3Yが像形成ユニット18Yに入力され、Yトナーによる像形成が行われる。像形成と同時に第1転写ローラ10Yの作用で、Yトナー像が感光体1Yから転写ベルト12に転写される。このとき第1転写ローラ10Yには+800Vの直流電圧を印加した。
第1色(Y)第1転写と第2色(M)第1転写間のタイムラグを持たせて、Mの信号光3Mが像形成ユニット18Mに入力され、Mトナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10Mの作用で、Mトナー像が感光体1Mから転写ベルト12に転写される。このとき第1色(Y)トナーが形成されている上にMトナーが転写される。同様にC(シアン)、K(ブラック)トナーによる像形成が行われ、像形成と同時に第1転写ローラ10C、10Kの作用で、YMCKトナー像が転写ベルト12上に形成される。いわゆるタンデム方式と呼ばれる方式である。
転写ベルト12上には4色のトナー像が位置的に合致して重ね合わされカラー像が形成された。最後のKトナー像の転写後、4色のトナー像はタイミングを合わせて給紙カセット(図示せず)から送られる紙19に、第2転写ローラ14の作用で一括転写される。このとき転写ローラ13は接地し、第2転写ローラ14には+1kVの直流電圧を印加した。紙に転写されたトナー像は定着ローラ対201・202により定着された。紙はその後排出ローラ対(図示せず)を経て装置外に排出された。中間転写ベルト12上に残った転写残りのトナーは、クリーニングブレード16の作用で清掃され次の像形成に備えた。
(画像出し評価例)
次に、トナー及び二成分現像剤についての画像出し評価の例について説明する。ここでは、画像形成装置を用い、トナーとキャリアとの混合比率を変えた数種の二成分現像剤について、それぞれA4版出力で10万枚のランニング耐久試験を行って、帯電量及び画像濃度を測定すると共に、出力サンプルにおける非画像部での地かぶり、全面ベタ画像での均一性、及び転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)、並びにトナーフィルミングについて評価した。帯電量は、フェライトキャリアとの摩擦帯電のブローオフ法により測定した。具体的には、25℃、相対湿度45%RHの環境下で、耐久性評価のサンプルを0.3g採取し、窒素ガス1.96×104Paで1分間ブローして測定した。
表18は、本実施例で使用した、本発明に係る二成分現像剤(DM1、DM2、DM3、DM4、DM5、DM6、DM7、DM8、DM9、DM10、DM11、DM12、DM13、DM14、DM15、DM16、DM17、DM18、DM19、DM20、DM21)、及び比較のための二成分現像剤(cm22、cm23、cm24、cm25、cm26、cm27、cm28、cm29、cm30、cm31、cm32、cm33、cm34、cm35)のそれぞれについて、二成分現像剤としてのトナーとキャリアの組成、及びA4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施し評価した結果を示す。表中、“○”は評価の結果が良好であることを、“×”は問題あることを表わす。
本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM21は、A4版の用紙で10万枚ランニング耐久試験を実施したときの感光体上へのトナーフィルミングについて、いずれも、実用上問題ないレベルであった。なお、転写ベルトへのトナーフィルミングも実用上問題ないレベルであった。そして、転写ベルトのクリーニング不良も未発生であった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、定着ベルトへの紙の巻付きも発生しなかった。ランニング試験前後での画像濃度について、本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM21は、いずれも、画像濃度1.3以上の高濃度の画像が得られた。そして、A4版紙10万枚の耐久試験後においても、二成分現像剤の流動性が安定しており、画像濃度は1.3以上と変化が少なく安定した特性を示した。 また、非画像部かぶり及び全面ベタ画像均一性についても、高画像濃度で非画像部の地かぶりの発生もなく、トナーの飛び散りなどがなく、高解像度であった。そして、現像時の全面ベタ画像を取ったときの均一性も良好であった。
また、連続使用においても、縦筋の異常画像は発生しなかった。そして、キャリアへのトナー成分のスペント化現象もほとんど生じなかった。そして、キャリア抵抗の変化、帯電量の低下も少なく、更に全面ベタ画像をとり続けてトナーを急速に補給した時の帯電立ち上がり性も良好であり、高湿環境下でかぶりが増大する現象も見られなかった。
また、転写性(転写時の文字飛び・逆転写・転写中抜け)について、本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM21は、いずれも、中抜けなどは実用上問題ないレベルであった。そして、3色が重なったフルカラー画像においても、転写不良は発生しなかった。なお、転写効率は95%程度を示した。
なお、トナーとキャリアとの混合比率を5〜20重量%まで変えても、本発明に係る二成分現像剤DM1〜DM21は、画像濃度、地かぶり等の画質の変化が少なく、トナー濃度の広い制御が可能となった。
一方、比較のための二成分現像剤cm22〜cm35は、ランニング耐久試験において、感光体上へのトナーフィルミングが発生しているものがある。また、ランニング試験前後での画像濃度について、低濃度であったり、長期使用において帯電量上昇による画像濃度低下が見られた。更に、全面ベタ画像をとり続けてトナーを急速に補給した時に、帯電低下が生じ、かぶりが増加した。特に、高湿環境下ではその現象が悪化した。なお、トナーとキャリアとの混合比率は、6〜8重量%の範囲では濃度を変化させても画像濃度、地かぶり等の画質の変化は少なかったものの、これより小さい値になると画像濃度の低下が生じ、また、大きい値になると地かぶりが増大した。
次に、フルカラー画像における定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価の例を説明する。ここでは、付着量1.2mg/cm2のベタ画像をプロセス速度125mm/s、オイルを塗布しないベルトを用いた定着装置にて、OHP用フィルム透過率(定着温度160℃)、並びに最低定着温度及び高温でのオフセット現象発生温度を測定した。また、貯蔵安定性は、55℃、24時間の放置後のトナーの状態を評価した。なお、OHP用フィルム透過率は、分光光度計U−3200(日立製作所)で、700nmの光の透過率を測定した。
表19は、フルカラー画像における定着性、非オフセット性、高温貯蔵安定性、定着ベルトへの紙の巻付き性についての評価結果を示す。表中、“○”は評価の結果が良好であることを、“×”は問題あることを表わす。
本発明に係るトナーTM1〜TM20は、定着性について、いずれも、OHP用フィルム透過率が80%以上を示しており、良好である。また、非オフセット性についても、オイルを使用しない定着ローラにおいて、非オフセット温度幅が広い範囲で得られ、定着可能温度範囲(最低定着温度から高温オフセット現象発生温度までの幅)が広い。普通紙像20万枚テストでオフセット現象は全く発生しない。また、シリコーン又はフッ素系の定着ベルトでオイルを塗布せずともベルトの表面劣化現象はみられない。また、高温貯蔵安定性についても、55℃、24時間の貯蔵安定性においても凝集はほとんど見られなかった。
一方、比較のためのトナーtm22〜tm33は、定着性について、OHP用フィルム透過率の低いものがある。また、非オフセット性については、定着可能温度範囲のマージンが狭い。すなわち、最低定着温度が高くなったり、オフセット現象発生温度が低くなって非オフセット性が弱くなったりしている。また、貯蔵安定性についても悪いものが多い。
次に、光沢度ついての評価の例を説明する。ここでは定着可能温度範囲での各定着温度に対するそのときのベタ画像部の光沢度を測定した。なお、光沢度は、堀場製作所グロスチェッカーIG−320を使用して測定した。
表20は、定着可能温度範囲での各定着温度に対するそのときのベタ画像部の光沢度を示す。
本発明に係るトナーTM1〜TM10は、定着温度の広い範囲において、画像光沢度の差が少ない特徴が現われている。一方、比較のためのトナーtm22〜tm28は、定着温度とともに画像光沢が高くなり、その変化が大きい。すなわち、いわゆるテカリが生じている。
これまで説明したように、本発明によって、結着樹脂微粒子を分散させた樹脂粒子分散液と、着色剤微粒子を分散させた着色剤粒子分散液と、離型剤であるワックス微粒子を分散させたワックス粒子分散液とを水系中で混合し加熱して凝集させ、トナー母体粒子を形成する際、水系中で凝集に関わらない浮遊したワックスの粒子及び浮遊着色剤粒子の存在を無くすことで、ワックスの添加によってもトナー母体粒子となる溶融した凝集粒子を粗大化させず、小粒径でかつ粒径がほぼ揃ったトナー母体粒子を分級工程無しで作成することができ、また、低融点ワックスと高融点ワックスとの併用によりトナーの溶融性能(低温定着のための低温溶融)と凝集性能(高温オフセット現象及び保存時凝集の抑制)との両立を図ることで、低温での定着を可能とした上で定着オイルの塗布を必要とせずに高温オフセット現象を抑制し、そして、二成分現像剤としてもスペント化現象による劣化を生じないトナーを製造することができる。
[産業上の利用可能性]
本発明は、感光体を使用した電子写真方式以外でも、ダイレクトに紙や、配線パターンとして基板上に導電性を有する物質を配合したトナーを付着させて印写する方式等にも有用である。
図1は本発明の一実施例で使用した画像形成装置の構成を示す断面図である。
図2は本発明の一実施例で使用した定着ユニットの構成を示す断面図である。
図3は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の概略透視図である。
図4は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。
図5は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の概略断面図である。
図6は本発明の一実施例で使用した攪拌分散装置の上から見た平面図である。