JP4376812B2 - カプセルトナーの製造方法 - Google Patents

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本発明は、電子写真方式を利用した画像形成装置の現像に用いられるカプセルトナーの製造方法に関する。
電子写真方式を利用した画像形成装置に用いられる現像用トナーの種類としては、水媒体を使用しない乾式法トナーや水媒体を用いる湿式法トナーがある。一般に乾式法トナーは粉砕法トナーを指し、粉末状の結着樹脂と着色剤、電荷制御剤、ワックスをヘンシェルミキサーなどの風力混合機で混ぜ合わせ、得られた混合粉末物を二軸混練機などの装置で混練し、冷却後に得られる樹脂固形物をジェットミルなどの粉砕機で数ミクロンになるまで粉砕する工程を経て製造される。
湿式法トナーの代表的なものとしては、懸濁重合法トナーや乳化重合凝集法トナーがある。懸濁重合法トナーは、例えばバインダー樹脂の原料となるビニルモノマーに重合開始剤、着色剤、電荷制御剤、離型剤などを分散剤とともにホモジナイザーなどの攪拌機を用いて水中に分散させ懸濁重合する工程を経て製造される。乳化重合凝集法トナーは、例えばバインダー樹脂の原料となるビニルモノマーを乳化重合し、得られるラテックスを着色剤水性分散液や電荷制御剤水性分散液、ワックス水性分散液と共に凝集させる工程を経て製造される。
近年、電子写真方式を利用した画像形成装置のカラー化が進むにつれて、電子写真装置で得られる画像においてもグラビア印刷や印画紙写真レベルのカラー画像を望む声が高まっている。高画質化のためには、スキャナーの高解像度化や高画質画像処理技術と並んで、色むらや粒状感のない高いドット再現性を有する現像技術が要求されている。その要求に応えるには、トナーの小粒径化が大きな課題となっている。
また違った観点から、地球環境保全の面で二酸化炭素排出量の削減が世界的にも重要テーマとして取り扱われるようになり、コピーやプリンターにおいても消費電力の低減要求は高くなっている。電子写真方式においては、トナーを紙に定着させる際に熱を加えてトナーを溶融させる必要があり、その時に使われるエネルギー量は電子写真装置全体の中でも大きな割合を占めている。コピーやプリンターの待機時及び運転時の消費エネルギーを低減するためには、トナーの定着温度の低減が欠かせない技術課題となっている。
粉砕法トナーにおいては、トナーを小粒径化しようとすれば粉砕に要する時間やエネルギーが大きくなり、生産量が低下したり製造コストが高騰したりするデメリットがある。また、粉砕工程で発生する遊離ワックスや遊離電荷制御剤の混入率が高くなり、キャリアや感光体へのフィルミングが起こりやすくなる傾向がある。その結果、トナーの体積平均粒径が6μm以下となるような小粒径トナーの製品化はコストの点で難しい。
これに対し重合法トナーにおいては、一般に微細なトナー粒子を懸濁重合法や乳化重合法により直接得ることができるため、小粒径化に適した技術である。しかし懸濁重合や乳化重合法ではビニル系モノマーしか使用できないといった制約がある。一般にポリエステル系樹脂に比べてビニル系樹脂(スチレン系樹脂)の軟化点が高いことから、ビニル系樹脂からなる重合法トナーは低温定着性や色再現性が劣るといった課題がある。
また重合法以外のトナー製造方法として、結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いた転相乳化法トナーが例えば特許文献1(特開平7−152202号公報)に開示されている。
前記特許文献1記載の転相乳化法トナーは、樹脂や着色剤などをトルエンなどの疎水性有機溶剤中に溶解または微分散させた後、その溶液に水を加えて転相乳化を行う工程を経て製造される。トナー粒子の造粒工程において重合反応を用いないことから、使用するバインダー樹脂がビニル系樹脂に限定されるといった制限がなくなるため、低温定着性の課題を解決できる。しかし、使用する疎水性有機溶剤はバインダー樹脂と非常に親和性が高いため疎水性有機溶剤がトナー中に残り、トナーとしての保存性や流動性が低下するといった不具合があった。上記不具合を解消するためにトナー粒子から疎水性有機溶剤を完全に留去させることが求められるが、多大なエネルギーと時間が必要となることから、製造コストを増大させる問題が残る。
そこで、トナー粒子の造粒過程において、疎水性有機溶剤を用いる必要がない自己分散性ポリエステル乳化凝集トナーの製造方法が、例えば特許文献2(特開平10−39545号公報)に開示されている。
この特許文献2に記載された方法によれば、分散剤や乳化剤を用いることなしに自己分散性ナトリウムスルホン化ポリエステル樹脂を水中に分散させ、得られた水性分散液と、顔料を水に分散させた顔料水性分散液とを混合し、凝集させることによってトナー粒子を製造している。
しかしながら、得られるトナー樹脂が親水性の高いスルホニウムイオンを含んでいるため、高湿環境下でトナーの抵抗や帯電量が著しく下がり、画像カブリや転写不良を引き起こす可能性がある。
さらに、上記自己分散性ポリエステルを用いたトナーにおいて、親水性の高いイオン性基をトナー粒子の形成後に取り除いた自己分散性ポリエステル溶融分散トナーの製造方法が特許文献3(特開平9−311502号公報)に開示されている。
この特許文献3に記載された方法によれば、イオン性基を有するポリエステル樹脂を顔料と共に溶融混練させた混練物を、アンモニアを含んだ150℃から200℃の水中で微分散しトナー粒子を造粒した後、希塩酸で処理することによってイオン性基を消滅させることによって疎水性を向上させている。これにより特許文献2の問題点が生じることがないものの、一方、有機溶剤を用いずに前記混練物を微分散させるためには、水性混合液を樹脂や離型剤の軟化点より高い高温高圧条件下で機械的手段によって微分散させる必要があり、低粘度の離型剤がトナー粒子から離脱するという可能性がある。
特開平7−152202号公報 特開平10−39545号公報 特開平9−311502号公報
上述したとおり、乾式法トナーではトナーの更なる小粒径化が困難であるという課題があり、また、乾式法トナーに比べて小粒径化が可能な湿式法トナーの製法においても、以下のような課題があった。即ち、樹脂材料がビニル系樹脂に制限されたり、疎水性有機溶剤の残存やスルホニウムイオン等の親水基の残存、あるいは、離型剤の離脱といった湿式法トナー特有の問題があった。
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、疎水性有機溶剤の残存がなく、小粒径トナーにおける生産性が高く、耐湿性に優れたカプセルトナーの製造方法を提供することを目的とする。
本発明の目的を達成するための製造方法は、少なくとも着色剤を含有する数平均粒径が2μmから10μmの着色樹脂粒子(A)の水性分散液を製造する工程と、
側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む数平均粒径が0.3μm以下の樹脂粒子(B)の水性分散液を製造する工程と、
前記着色樹脂粒子(A)の水性分散液と、前記樹脂粒子(B)の水性分散液とを混合し、得られた混合液を加熱するか、または得られた混合液に凝集剤を加えることによって、前記着色樹脂粒子(A)の表面に前記樹脂粒子(B)を凝集被覆させる工程とを含み、
前記着色樹脂粒子(A)と前記樹脂粒子(B)の凝集時、あるいは前記着色脂粒子(A)と前記樹脂粒子(B)の凝集後に酸を添加することで、前記樹脂粒子(B)の側鎖にあるカルボン酸塩をカルボン酸に変換させることを特徴とするカプセルトナーの製造方法である。
また本発明の製造方法は、前記樹脂粒子(B)の水性分散液を製造する工程では、側鎖にカルボン酸を有する自己分散性樹脂を、水溶性有機溶剤中に溶かした後、これをアルカリ水溶液中に投入し、攪拌することを特徴とする。
本発明のカプセルトナーの製造方法においては、トナー粒子を形成させる際の粉砕工程や重合工程、あるいはトナー粒子を形成させた後の疎水性有機溶剤の脱溶剤工程を経ることなく微細なトナー粒子を形成させることができ、またトナー粒子表面には界面活性剤や分散剤が実質的に存在しないことから、バインダーとしてビニル系樹脂に制限されることなく、小粒径トナーにおいても生産性が高く、耐湿性に優れた(帯電量などの湿度依存性が低い)カプセルトナーを得ることができる
本発明は、湿式法にかかるトナーであり、以下に説明するように着色樹脂粒子(A)に樹脂材料(B)を被覆させてなるカプセルトナーである。以下にトナーの製法及びトナーを構成するための各構成材料に分けて説明する。
図1は、本発明のカプセルトナーの製造にかかる一例を示す製造工程の流れを示す図である。図1は、水性分散液製造工程S1、水性分散液混合工程S2、コア粒子[着色樹脂粒子(A)]製造工程S3、シェル材[樹脂粒子(B)]被覆工程S4、ろ過洗浄工程S5、乾燥工程S6、外添工程S7の各工程を経てカプセルトナーを製造する一例であり、トナーの製造においては以下に説明するものに限定されるものではないことは勿論である。
まず、図1の混合液調製工程S1は、自己分散性樹脂、着色剤、離型剤、及び、電荷制御剤をそれぞれ水に分散させて水性分散液を調製する。
次に水性分散液混合工程S2では、混合液調整工程S1で調整された各自己分散樹脂、着色剤、離型剤、および電荷制御剤からなる水性分散液を混合し、混合液を調整する。
続いて粒子形成工程S3では、水性分散液混合工程S2で調整された水性分散混合液に凝集剤を添加し、以下に詳細に説明する本発明における着色剤樹脂(A)であるコア粒子の凝集物を作製する。さらに水媒体を自己分散性樹脂のガラス転移点まで加熱することによって形状の整った凝集体からなるコア粒子水性分散液を調整する。
一方、シェル材被覆工程S4では、粒子形成工程S3で調整した上記コア粒子水性分散液と、以下に詳細に説明する本発明におけるカルボン酸塩を有する樹脂粒子(B)である自己分散樹脂からなる水性分散液とを混合し、凝集剤を加えてシェル材が被覆された凝集被覆粒子を形成する。さらに水媒体を自己分散性樹脂のガラス転移点まで加熱することによって形状の整った凝集体を形成させた後、希塩酸を加えることによって疎水化処理を施された本発明におけるトナー本体粒子の沈殿物を作る。
上記シェル材被覆工程S4にて形成した凝集被覆粒子であるトナー本体粒子を取り出す必要がある。そのため次の工程であるろ過洗浄工程S5では、トナー本体粒子をろ過することによってろ液を取り除いた後、純水を用いてトナー本体粒子を洗浄する。純水を用いたトナーの洗浄は、トナーの帯電性に影響を与えるような不純物などのトナー成分以外の不要な成分を取り除くために行うものであるが、洗浄方法については、バッチ式で行ってもよいし連続式で行ってもよい。さらに、トナーの洗浄は上澄み液の導電率が50μS/cm以下となるまで行うのが好ましい。
上記の工程を経た後、次に乾燥工程S6では、減圧条件下でトナー本体粒子の乾燥を行う。これにより、本発明におけるカプセルトナーを得ることができる。
なお、上述したようにして製造されたカプセルトナーについて、必要に応じて流動性を良好にするために、例えば外添剤を添加される。そのために外添工程S7では、ヘンシェルミキサーなどの風力攪拌機を用いてトナー本体粒子と外添剤を混合し、外添処理されたトナーを作る。また、乾燥工程S6により得られたトナー粒子は緩やかな凝集体を形成しているため、予めヘンシェルミキサー等で解砕処理することが望ましい。
上記本発明のトナー製造方法により界面活性剤などの親水性物質やカルボン酸塩などの親水基が実質的にトナー表面に存在しないことから、耐湿性に優れたカプセルトナーを製造することができる。さらに、バインダー樹脂がビニル樹脂に限定されず小粒径化が容易な製造方法であることから、低温定着性に優れた高画質トナーを製造することができる。
また本発明のトナーの製造方法における攪拌機としては、公知の乳化機および分散機を用いることができる。具体的には、ウルトラタラックス(商品名:IKAジャパン(株)製)、ポリトロンホモジナイザー(商品名:キネマティカ社製)およびTKオートホモミクサー(商品名:特殊機化工業(株)製)などのバッチ式乳化機、エバラマイルダー(商品名:(株)荏原製作所製)、TKパイプラインホモミクサー(商品名:特殊機化工業(株)製)、TKホモミックラインフロー(商品名:特殊機化工業(株)製)、フィルミックス(商品名:特殊機化工業(株)製)、コロイドミル(商品名:神鋼パンテック(株)製)、スラッシャー(商品名:三井三池化工機(株)製)、トリゴナル湿式微粉砕機(商品名:三井三池化工機(株)製)、キャビトロン(商品名:(株)ユーロテック製)およびファインフローミル(商品名:太平洋機工(株)製)などの連続式乳化機、クレアミックス(商品名:エム・テクニック(株)製)およびフィルミックス(商品名:特殊機化工業(株)製)などが挙げられる。また、乳化機および分散機は保温手段を有するものが好ましい。
以上は本発明のトナーの製造方法について説明したが、以下に製造方法に用いるためのトナーの構成材料について説明する。
<着色樹脂粒子(A)の水性分散液>
着色剤を含有する着色樹脂粒子(A)の水性分散液としては、樹脂や着色剤などが分散してなる水性分散液から、樹脂や着色剤などを凝集させて得られる凝集粒子が分散している水性分散液や、着色剤やモノマーを含む水性懸濁液を懸濁重合させて得られる水性分散液などが使用できる。
また、着色樹脂粒子(A)の数平均粒径については、2μm以下では得られるトナーを均一に帯電させることが困難であることから画像欠陥が生じやすく、10μm以上では得られるトナーの粒径が大きくなり満足できる画像品質が得られにくいことから、着色樹脂粒子(A)の数平均粒径としては2μm〜10μmの範囲のものが適している。特に、高画質化の目的を達成するためには数平均粒径2μm〜5μmが好ましい。
着色樹脂粒子(A)の水性分散液の製造方法については、特に限定されるものではないが、小粒径トナーに対する粒径制御性や生産効率、樹脂材料の選定自由度を考慮すると、着色剤や自己分散性樹脂からなる水性分散液から凝集させて得られる着色樹脂粒子の水性分散液が適している。
上記自己分散性樹脂を含む水性分散液から凝集させて得られる着色樹脂粒子の水性分散液を得る方法として、例えば自己分散性樹脂をホモジナイザー等の攪拌装置で1μm以下の微小樹脂粒子に溶融乳化させた後、着色剤水性分散液や電荷制御剤水性分散液、離型剤、及び、水性分散液などを混合し、凝集剤を加えて凝集させることによって得られる。
自己分散性樹脂としては、界面活性剤などの分散剤を用いることなく加熱した水媒体中で攪拌装置を用いて分散可能なものであればよく、スルホン酸やスルホン酸塩、カルボン酸やカルボン酸塩などの親水基を側鎖に有する樹脂などが使用できる。
自己分散性樹脂の分散粒径は自己分散性樹脂中の親水基の含有率に依存し、その含有率が大きいほど分散粒径は小さくなる。さらに自己分散性樹脂の分散粒径は樹脂の分子量にも依存し、その分子量が小さい分散粒径は小さくなる。従って、水媒体中での自己分散性樹脂の分散粒径は親水基の含有率や樹脂の分子量を変えることによって制御することができる。
自己分散性樹脂の中でもスルホン酸塩を側鎖に有する自己分散性樹脂を用いた樹脂を、硫酸マグネシウムのような2価以上の凝集剤を用いて凝集させると、硫酸イオンとマグネシウムイオンを介してイオン架橋構造をとることができることから、樹脂の高分子量化と同じ効果が得られ、耐ホットオフセット性を向上させることができる。溶融乳化法においては、最初から分子量の大きな樹脂を用いて分散させようとすると、分散に要する時間が長くなり生産性が低下するといったデメリットがあるが、上記方法によれば、乳化分散時には分子量の小さい樹脂を用いることができることから、分散工程における生産性と得られるトナーの耐ホットオフセット性の向上が両立できる。2価以上の金属イオンとして、例えば硫酸マグネシウムのほか、塩酸マグネシウムや硫酸アルミニウムなどが使用できる。
スルホン酸塩を側鎖に有する自己分散性樹脂としては、特に限定されるものではないがスルホン酸塩を有する自己分散性ポリエステル樹脂が低温定着性の点で好ましい。
スルホン酸塩を有する自己分散性ポリエステル樹脂からなる着色樹脂粒子の水性分散液は、例えば、数平均粒径として0.01μm以上0.3μm以下に分散させたスルホン酸塩を有する自己分散性ポリエステル樹脂の水性分散液と、数平均粒径として0.3μm以下に分散させた着色剤水性分散液、離型剤水性分散液、及び、電荷制御剤水性分散液を混合し、凝集剤を加えることで得られる。この時、各水性分散液を混ぜた際に不均一凝集が生じないように、カチオン系界面活性剤を実質的に含まないことが望ましい。
スルホン酸塩を有する自己分散性ポリエステル樹脂の水性分散液は、例えば、側鎖にスルホン酸塩を有するポリエステル樹脂と水溶性有機溶剤とをあらかじめそれぞれ50℃以上200℃以下にして混合し、これに水を加えることによって製造する方法がある。
他の方法としては、側鎖にスルホン酸塩を有するポリエステル樹脂と水溶性有機溶剤との混合物を水に加え、さらに40℃以上120℃以下にして撹拌することにより製造する方法がある。
水溶性有機溶剤としてはブタノール、イソプロパノール、エタノール、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトンなどが使用できるが、水溶性有機溶剤は着色樹脂粒子(A)が分散してなる水性分散液を作るために必須のものではなく適宜使用される。
水性分散液に分散している水系微分散体の平均粒子径は、好ましくは0.01μm〜0.3μm以下である。0.3μm以上では、着色樹脂粒子(A)中に均一に着色剤を分散させることが困難で、トナーの色再現性が低下する。また、0.01μm以下となるような樹脂であれば親水性が高すぎることから、得られるトナーに十分な耐湿性が得られなくなる。特に水溶性有機溶剤を用いて水系微分散体を作成する場合においては、水系微分散体の粒子径が大きくなると水溶性有機溶剤の除去に時間がかかることから、生産効率の点で平均粒子径は0.3μm以下が好ましい。
スルホン酸塩を側鎖に有する自己分散性ポリエステル樹脂としては、多価アルコールを多価カルボン酸や多価アルコールとともにスルホン酸塩を側鎖に有する多価カルボン酸や多価アルコールのモノマーを重縮合して得られる。
多価カルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジプロピオン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸、スルホテレフタル酸、それらの金属塩およびアンモニウム塩などの芳香族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸およびシトラコン酸などの脂肪族不飽和多価カルボン酸、フェニレンジアクリル酸などの芳香族不飽和多価カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸などが使用できる。酸成分として、多価カルボン酸類にモノカルボン酸類を含有しているものであってもよい。モノカルボン酸類としては、芳香族モノカルボン酸類が好ましい。芳香族モノカルボン酸類としては、たとえば、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、これらの低級アルキルエステル、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、ターシャルブチル安息香酸およびターシャルブチルナフタレンカルボン酸などを挙げることができる。
多価アルコール類としては、たとえば、脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類および芳香族多価アルコール類などを挙げることができる。脂肪族多価アルコール類としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリテトラメチレングリコールなどの脂肪族ジオ−ル類、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリンおよびペンタエルスリトールなどのトリオール、テトラオール類などを挙げることができる。脂環族多価アルコール類としては、たとえば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、水素化ビスフェノールA、水素化ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオール、トリシクロデカンジメタノ−ルなどを挙げることができる。芳香族多価アルコ−ル類としては、たとえば、パラキシレングリコール、メタキシレングリコール、オルトキシレングリコール、1,4−フェニレングリコール、1,4−フェニレングリコールのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物などを挙げることができる。
また、アルコール成分として、多価アルコール類に、モノアルコール類を含有しているものであってもよい。モノアルコール類としては、脂肪族アルコール、芳香族アルコールおよび脂環族アルコールなどを挙げることができる。
スルホン酸塩を側鎖に有するモノマーとしては、スルホン酸アルカリ金属塩、スルホン酸アンモニウム塩などを側鎖に有する多価カルボン酸類やモノカルボン酸が使用でき、たとえば5−ナトリウムスルホキシイソフタル酸などがある。上記親水性モノマーは、重合開始時から他のモノマーと同時に加えて重合してもよいが、重合の途中で加えてもよい。
トナーのイオン性基は水分散性をポリエステル樹脂に付与する働きを持つが、カウンターカチオンが多価イオンである場合には水分散性を十分に発現できない。したがって、ポリエステルを重合する際におけるこれらイオン性基含有モノマーのカウンターカチオンは、一価のカチオンであることが好ましい。最終的に得られるトナーの耐湿性と製造工程における水分散性を考慮すると、ポリエステルのイオン当量は、10meq/kg以上1000meq/kg以下であることが好ましい。より好ましくは、20meq/kg以上100meq/kg以下の範囲内にあることが好ましい。
<着色剤>
樹脂粒子の水性分散液から着色樹脂粒子(A)を作る場合に使用される着色剤水性分散液としては、着色剤を界面活性剤とともに攪拌装置で攪拌し、数平均粒子径として0.3μm以下に乳化分散したものが使用できる。着色剤としては公知のものを用いることができ、凝集剤を加えても凝集しないような水溶性の染料を除いて特に制限はない。
イエロートナーの着色剤としては、C.I.Pigment Yellow 1、3、4、5、6、12、13、14、15、16、17、18、24、55、65、73、74、81、83、87、93、94、95、97、98、100、101、104、108、109、110、113、116、117、120、123、128、129、133、138、139、147、151、153、154、155、156、168、169、170、171、172、173、180、185等が挙げられ、特に、C.I.Pigment Yellow 17(ジスアゾ)、74(モノアゾ)、155(縮合アゾ)、180(ベンズイミダゾロン)が好ましい。
マゼンタトナーの着色剤としては、C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、15、17、18、22、23、31、37、38、41、42、48:1、48:2、48:3、48:4、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53:1、53:3、54、57:1、58:4、60:1、63:1、63:2、64:1、65、66、67、68、81、83、88、90、90:1、112、114、115、122、123、133、144、146、147、149、150、151、166、168、170、171、172、174、175、176、177、178、179、185、187、188、189、190、193、194、202、208、209、214、216、220、221、224、242、243、243:1、245、246、247等が挙げられ、特に、C.I.Pigment Red 48:1(バリウムレッド)、48:2(カルシウムレッド)、48:3(ストロンチウムレッド)、48:4(マンガンレッド)、53:1(レーキレッド)、57:1(ブリリアントカーミン)、122(キナクリドンマゼンタ)および209(ジクロロキナクリドンレッド)が好ましい。
シアントナーの着色剤としては、フタロシアニン系のC.I.Pigment Blue 1、2、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、15、16、17:1、27、28、29、56、60、63等が挙げられ、特に、C.I.Pigment Blue 15:3(フタロシアニンブルーG)、15(フタロシアニンブルーR)、16(無金属フタロシアニンブルー)、60(インダンスロンブルー)が好ましい。
黒トナーの着色剤としては種々の方法により作製されるカーボンブラックを用いることができる。
本発明の着色剤は界面活性剤等を用いて分散させることができるが、特に、2価以上の金属イオンを有する凝集剤を用いて、着色剤水性分散液とスルホン酸塩を有する樹脂粒子の水性分散液から着色樹脂粒子(A)を作る場合には、着色剤分散剤としてカチオン系界面活性剤を実質的に含まないことが均一粒径制御の点で望ましい。
着色剤は1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。また、着色剤を2種以上併用する場合、同系色の着色剤を併用してもよいし、複数の系統の色の着色剤を併用してもよい。着色剤の含有量は要求されるトナー特性に応じて広い範囲から選択することができるが、樹脂100重量%に対して、0.1重量%以上20重量%以下であることがより好ましく、さらにより好ましくは、0.1重量%以上15重量%以下である。0.1重量%を下回ると十分な画像濃度が得られにくくなり、20重量%を超えると、形成された画像中において着色剤の分散性が確保しにくくなる。
上記の着色剤に加えて、界面活性剤を加えなくても分散可能な自己分散性顔料も使用できる。自己分散性顔料としては、特表平10−510861号公報、特表2000−513396号公報および特表2003−519709号公報に公開されているように、顔料表面にスルホン酸基、カルボキシル基およびポリマーなどを顔料表面に直接導入したものが好ましい。また、転相乳化法などにより顔料表面をスルホン酸基、カルボキシル基およびポリマーなどでコートしたものも用いることができる。自己分散顔料は、顔料の表面に親水性官能基を有するものであり、親水性官能基は、イオン性基および/またはイオン化が可能な基であることが好ましい。親水性官能基としては、たとえば、カルボン酸基、カルボン酸塩を有する基、スルホン酸基、スルホン酸塩を有する基、スルホフェニル基、ベンゼンスルホン酸塩を有する基、p−スルホフェニル基、p−ベンゼンスルホン酸塩を有する基、カルボキシフェニル基、ベンゼンカルボン酸塩を有する基、スルホアミド基、アミド硫酸塩を有する基、四級アンモニウム塩を有する基、それらの誘導体およびそれらの混合物などを挙げることができる。
自己分散顔料は水中で均一に分散させることが容易で、得られるトナー中に顔料の凝集体が発生しにくく、色再現性の優れた画像が得られる。
<離型剤>
本発明トナーにおいては離型剤を使用することもできる。つまり、本発明にかかる着色樹脂粒子(A)は少なくとも着色剤を含むものであるが、この着色剤同様、離型剤が着色樹脂粒子(A)に含まれるものであってもよいことは勿論である。この離型剤をトナー内部に添加する方法としては、例えば離型剤水性分散液を樹脂水性分散液などとともに凝集させる方法がある。
上記離型剤水性分散液としては、離型剤を分散剤や界面活性剤とともに攪拌装置で攪拌し、分散したものが使用できる。数平均粒径が0.3μm以下となるように離型剤を分散させた水性分散液が使用できるが、より透明性や色再現性に優れたトナーを得るためには0.3μm以下に分散したものを使用することが好ましい。
離型剤としては公知のものを用いることができ、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックスなどの石油系ワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス、木蝋などの植物系ワックス、蜜蝋、鯨蝋等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライトなどの鉱物系ワックス、脂肪酸アミド、フェノール脂肪酸エステルなどの油脂系合成ワックス、低分子量ポリプロピレンワックス、低分子量ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックスなどの炭化水素系合成ワックス、および、アルコール系合成ワックスやエステル系合成ワックスなどが挙げられる。これら離型剤は単独で使用してもよいし、2種以上を併用して使用してもよい。本発明のトナーに上記離型剤を添加することによって、定着時の定着ローラーに対する離型効果を与えることができる。
<帯電制御剤>
本発明トナーにおいては電荷制御剤を使用することもできる。つまり、本発明にかかる着色樹脂粒子(A)は少なくとも着色剤を含むものであるが、この着色剤同様、電荷制御剤が着色樹脂粒子(A)に含まれるものであってもよいことは勿論である。また、先に説明した離型剤を同時に含まれるものであってもよい。そこで電荷制御剤をトナー内部に添加する方法としては例えば、予め溶融混練機を用いて樹脂中に電荷制御剤を分散したものを用いる方法や離型剤水性分散液を樹脂水性分散液などとともに凝集させる方法がある。
上記電荷制御剤水性分散液としては、電荷制御剤を分散剤や界面活性剤とともに攪拌装置で攪拌し、分散したものが使用できる。数平均粒径が0.3μm以下となるように電荷制御剤を分散させた水性分散液が使用できるが、より透明性や色再現性に優れたトナーを得るためには0.3μm以下に分散したものを使用することが好ましい。
正電荷制御用の電荷制御剤としては、塩基性窒素原子を有する有機化合物、たとえば塩基性染料、第4級アンモニウム塩、アミノピリン、ピリミジン化合物、多核ポリアミノ化合物、アミノシラン類、ニグロシンベースなどが挙げられる。
負電荷制御用の電荷制御剤としては、オイルブラック、スピロンブラック等の油溶性染料、含金属アゾ染料、ナフテン酸金属塩、アルキルサリチル酸の金属塩、脂肪酸石鹸、樹脂酸石鹸などが挙げられる。
電荷制御剤の添加量は、結着樹脂100重量部に対して0.1〜10重量部の範囲内で添加されるが、好ましくは0.5〜5重量部である。本発明トナーに上記電荷制御剤を添加することによってトナーの帯電特性を制御することができる。
本発明トナーにおいて、着色剤水性分散液、離型剤水性分散液、電荷制御剤水性分散液、及び、樹脂水性分散液の各液を調整する場合、分散粒径を制御する際に、耐湿性に影響が出ない範囲で界面活性剤を用いてもよい。
利用できる界面活性剤としては非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤及び両性界面活性剤のいずれであっても良いが、特にスルホン酸塩を側鎖に有するポリエステル樹脂粒子を凝集させる際に、硫酸マグネシウムや硫酸アルミニウムなどの2価以上の凝集剤を用いる場合には、均一な凝集体を形成させる点で、着色剤や離型剤に使用する界面活性剤としてはカチオン系界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル類;ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエート等のソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート等のポリオキシアルキレンソルビタン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート等のポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセリド、ステアリン酸モノグリセリド等のグリセリン脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン・ポリプロピレン・ブロックコポリマー等を挙げることができる。
アニオン系界面活性剤としては、例えば、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウム等のアルキル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウム等のアルキルスルホコハク酸エステル塩及びその誘導体類;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル硫酸ソーダ等のポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類等を挙げることができる。
カチオン系界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリド、アルキルベンジルジメチルアンモニウムクロリド等の第4級アンモニウム塩;ポリオキシエチルアルキルアミン等が挙げられ、また、両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルベタインなどのアルキルベタイン等を挙げることができる。
また、上記界面活性剤においてアルキル基の水素の一部をフッ素で置換したものも使用可能である。
<樹脂粒子(B)の水性分散液>
着色樹脂粒子(A)のシェル材(コート材)として用いる、側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む樹脂粒子(B)の水性分散液としては例えば以下の方法で作製できる。
側鎖にカルボン酸を有する自己分散性樹脂をブタノール等の水溶性有機溶剤中に溶かした後、樹脂の酸価と等量になるようにアルカリ水溶液中に投入し、攪拌することにより、樹脂粒子(B)の水性分散液を作製できる。
前記の自己分散性樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコ−ルを縮重合した後に、アミンやアルカリ金属水酸化物で処理することによって、樹脂中に未反応のまま残っているカルボン酸をカルボン酸塩に変換する方法などによって得られる。カルボン酸塩に変換することによって親水性を付与することによって、界面活性剤を添加しなくても樹脂自体が水媒体に分散しうる自己分散性を与えることができる。親水性の付与といった点を考慮すると、カルボン酸塩のカチオンとしてはアルカリ金属が好ましく、水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物で処理することによって得られる。
カルボン酸塩は親水性が高いことから、樹脂に自己分散性を与えることができるものであるが、さらには、トナー粒子を形成した後で、トナー粒子を塩酸などの酸で処理することによって、トナー粒子表面のカルボン酸塩をカルボン酸に戻すことができる。その結果、トナー表面の疎水性をあげることができるため、得られるトナーは耐湿性に優れたものとなる。
水溶性有機溶剤としてはブタノール、イソプロパノール、エタノール、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトンなどが使用できる
多価カルボン酸類としては、たとえば、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタルレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アントラセンジプロピオン酸、アントラセンジカルボン酸、ジフェン酸、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7ジカルボン酸、5(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸、などの芳香族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸およびp−(ヒドロキシエトキシ)安息香酸などの芳香族オキシカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、メサコン酸およびシトラコン酸などの脂肪族不飽和多価カルボン酸、フェニレンジアクリル酸などの芳香族不飽和多価カルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸などの脂環族ジカルボン酸などが使用できる。また、酸成分として、多価カルボン酸類にモノカルボン酸類を含有しているものであってもよい。モノカルボン酸類としては、芳香族モノカルボン酸類が好ましい。芳香族モノカルボン酸類としては、たとえば、安息香酸、クロロ安息香酸、ブロモ安息香酸、パラヒドロキシ安息香酸、ナフタレンカルボン酸、アントラセンカルボン酸、4−メチル安息香酸、3−メチル安息香酸、サリチル酸、チオサリチル酸、フェニル酢酸、これらの低級アルキルエステル、スルホ安息香酸モノアンモニウム塩、スルホ安息香酸モノナトリウム塩、シクロヘキシルアミノカルボニル安息香酸、n−ドデシルアミノカルボニル安息香酸、タ−シャルブチル安息香酸およびタ−シャルブチルナフタレンカルボン酸などを挙げることができる。
多価アルコール類としては、たとえば、脂肪族多価アルコール類、脂環族多価アルコール類および芳香族多価アルコール類などを挙げることができる。脂肪族多価アルコ−ル類としては、たとえば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコ−ル、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ルおよびポリテトラメチレングリコ−ルなどの脂肪族ジオ−ル類、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、グリセリンおよびペンタエルスリト−ルなどのトリオ−ル、テトラオ−ル類などを挙げることができる。脂環族多価アルコ−ル類としては、たとえば、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、トリシクロデカンジオ−ル、トリシクロデカンジメタノ−ルなどを挙げることができる。芳香族多価アルコ−ル類としては、たとえば、パラキシレングリコ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキシレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物などを挙げることができる。さらに、ポリエステルポリオ−ルとしては、たとえば、ε−カプロラクトンなどのラクトン類を開環重合して得られるラクトン系ポリエステルポリオ−ル類などを挙げることができる。また、アルコール成分として、多価アルコール類に、モノアルコール類を含有しているものであってもよい。モノアルコール類としては、脂肪族アルコ−ル、芳香族アルコ−ルおよび脂環族アルコ−ルなどが使用できる。
水媒体中に分散する自己分散性樹脂の粒径は、樹脂の分子量や、樹脂中のカルボン酸塩の含有率を変えることによって制御できる。樹脂の分子量が小さくなれば、乳化が容易になり分散粒径が小さくなる。樹脂中のカルボン酸塩の量が多くなれば、乳化が容易になり分散粒径が小さくなるものの、酸価が大きすぎると吸湿性が高まり、その結果、得られるトナーの特性として耐湿性、即ち高湿環境下での帯電量低下や転写効率の低下を引き起こすため、酸価は5〜30mgKOH/gが好ましい。
ポリエステル樹脂に含まれるカルボン酸基を増やす方法としては、3価以上のカルボン酸モノマーを用いる方法がある。3価以上のカルボン酸モノマーを重合反応の初期に加えると、ポリエステル樹脂に架橋構造を与え、後の乳化分散が困難になることから、重合反応の途中あるいは終了間際に加えるのが好ましい。その結果、架橋反応による高分子量化を最小限に抑え、樹脂の酸価を上げることができる。
上記多価カルボン酸類とともに、トリメリット酸、トリメシン酸およびピロメリット酸などの三価以上の多価カルボン酸を使用すれば、未反応のカルボン酸基がより含まれやすくなり、これらモノマーは縮重合反応の終盤に投入すれば、架橋反応が起こらずにカルボン酸基を導入しやすくなる。
樹脂粒子(B)の形成過程において側鎖にカルボン酸塩を有する自己分散性樹脂以外に、自己分散性を有さない樹脂を同時に添加することもできる。その場合、樹脂粒子(B)中の側鎖にカルボン酸塩を有する自己分散性樹脂の含有量が50重量%以下では均一な水性分散液を作ることが難しくなることから、側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂は50重量%以上が好ましい。
樹脂粒子(B)のガラス転移点は、通常45℃〜75℃までのものが使用できるが、着色樹脂粒子(A)のガラス転移点より2℃〜10℃高いものが、保存性(高温環境下での耐凝集性)と低温定着性を両立できる点で好ましい。
樹脂粒子(B)の被覆層の厚みとしては、0.3μm以下では十分な保存性の向上が得られず、1μm以上では低温定着性が低下することから、0.3μm以上1μm以下が好ましい。
樹脂粒子(B)の数平均粒径が0.3μm以上では、着色樹脂粒子(A)の被覆層が厚くなり過ぎたり、均一なコート層が得られにくいことから、樹脂粒子(B)の数平均粒径としては0.3μm以下、より好ましくは0.03μm以下がよい。
さらには着色樹脂粒子(A)の軟化点が、樹脂粒子(B)の軟化点より10℃〜30℃高いものが、低温定着性と耐ホットオフセット性を両立できる点で好ましい。即ち、定着の際に定着装置から受ける熱量が十分ではない時は、トナー表面に存在する低軟化点の樹脂が溶融することによってトナーの定着に必要なトナーと紙面との接着力を与えるのに寄与し、定着の際に定着装置から受ける熱量が多い時は、トナー内部に存在する高軟化点の樹脂が耐ホットオフセット性に寄与する。尚、本発明でいう軟化点はフローテスタCFT−500型(島津製作所製)を用いて下記条件で測定した際の1/2ストローク時の温度とした。
[軟化点の測定条件 サンプル量:1g、ダイ寸法:1.0×1.0、押し出し荷重20kgf/cm2、昇温速度6℃、開始温度:60℃、予熱時間:300秒]
樹脂粒子(B)を着色樹脂粒子(A)表面に凝集被覆させる方法としては、数平均粒径が2μm〜10μmの着色樹脂粒子(A)と側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む数平均粒径が0.3μm以下の樹脂粒子(B)からなる水性分散液を混合した後、水性分散液を加熱したり凝集剤を加えることによって、着色樹脂粒子(A)の表面に樹脂粒子(B)を凝集被覆させていく方法がある。
被覆層の厚みは、混合する着色樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)の各粒径と着色樹脂粒子(A)と樹脂粒子(B)の混合比率で制御できる。被覆層は1層に限定されることはなく、ガラス転移点や軟化点の異なる2種類以上の樹脂粒子を2層以上に被覆することも可能である。
凝集被覆させた後、より強固な粒子を形成させるために凝集物を含んだ水媒体を樹脂のTg以上の温度まで加熱することにより、強固な被覆層を形成させることも可能で、これにより現像槽中で被覆層の剥がれにくいカプセルトナーを得ることができる。
<凝集剤>
着色樹脂粒子(A)表面に樹脂粒子(B)を被覆する際に用いる凝集剤、あるいは着色樹脂粒子(A)の作成時に自己分散性樹脂粒子を着色剤粒子とともに凝集させる際に用いる凝集剤としては、電解質やイオンを有する有機物など公知のものを使用できるが、ポリマー分子とポリマー分子との間でイオン架橋構造をとれるような多価イオン化合物が樹脂の分子量を高める効果がある点で好ましい。多価イオン化合物としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの多価金属塩が水に溶けやすく純水で洗浄しやすい点で好ましい。
側鎖にあるカルボン酸塩をカルボン酸に変換する方法は、凝集時あるいは凝集後に酸を添加することによってできる。この方法により、トナー粒子表面のカルボン酸塩がカルボン酸に変換され疎水性(耐湿性)が高まる。
具体的な処理方法としては、例えば、凝集粒子の水性分散液をTg以上の温度まで加熱し、より強固な凝集粒子を形成させた後、その凝集粒子が分散する懸濁液にpH2〜3に調節した塩酸水溶液を加える方法などが好ましい。酸処理された懸濁液は、ろ過並びに純水を用いた洗浄を繰り返すことによって凝集剤や酸成分を取り除き、乾燥させることによって本発明のトナー粒子を得る方法などがある。
<洗浄水>
洗浄に用いる純水としては、導電率20μS/cm以下であることが好ましい。このような純水は、公知の方法によって得ることができ、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法および逆浸透法などが挙げられる。さらに、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。また、洗浄の際の純水の温度は、10℃以上80℃以下が好ましい。
<外添剤>
以上説明したように本発明のトナーに、流動性や帯電性の向上を目的として公知の外添剤を添加することができる。一般に使用される外添剤としては、平均粒径が0.007μm〜0.02μmのシリカ、酸化チタン、酸化アルミ、および、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した無機微粒子が使用される。また、本発明で得られるトナーの表面が比較的平滑であることから、転写性、クリーニング性、凝集防止を高める目的で、平均粒径が0.03μm以上第2の外添剤を併用することが望ましい。第2の外添剤としては、例えば、平均粒径が0.03μm以上のシリカ、酸化チタン、酸化アルミ、およびそれらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した無機微粒子に加え、脂肪酸金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛粉末やフッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子等のフッ素系樹脂微粒子などがある。
添加される外添剤の量は、トナー本体100重量部に対して0.3〜3重量部の範囲で添加することが望ましい。0.3重量部以下では、流動性向上の効果が得られず、3重量部以上では定着性の低下が起こる。
さらに、上記トナーに研磨剤微粒子を添加することもできる。具体的には、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、炭化ケイ素、マグネタイト等の研磨剤微粒子があげられる。これらの微粒子は、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などのカップリング剤、シリコーンオイルまたはその他の有機化合物で処理されていてもよい。研磨剤微粒子の、粒子径としては0.04〜2μmの範囲のものが使用できる。研磨剤微粒子の添加量は、多過ぎると静電潜像担持体並びに現像剤担持体表面の磨耗が速く進むため、トナー粒子100重量部に対して2重量部以下の添加量が好ましい。
以上説明したようにして本発明の目的を達成してなるカプセルトナーを得ることができる。本発明トナーの粒径としては特に制限されるものではないが、画質の向上を考慮すると数平均粒径が3〜11μmのものが好ましい。現像装置内でのトナー飛散や画像濃度の安定性、優れたドット再現性を考慮すると数平均粒径が4〜6μmのものがより好ましい。
本発明で得られるトナーは、一成分系現像剤としても二成分系現像剤としても使用することができる。二成分系現像剤としては、例えば本発明のトナーとキャリアとを混合した現像剤が使用できる。
キャリアとしては公知のものが使用でき、たとえば、フェライト粒子や鉄粉粒子を被覆用材料で表面被覆したキャリアや、バインダー樹脂中に磁性粉を分散させたキャリアなどが挙げられる。前記被覆用材料としては、たとえば、ポリテトラフルオロエチレン、モノクロロトリフルオロエチレン重合体、ポリフッ化ビニリデン、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ジターシャーリーブチルサリチル酸の金属化合物、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアシド、ポリビニルラール、ニグロシン、アミノアクリレート樹脂、塩基性染料、塩基性染料のレーキ物、シリカ微粉末、アルミナ微粉末、カーボンブラックなどがある。また、被覆物質は、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。キャリアの体積平均粒径としては特に制限はないが、20μm〜50μmのキャリアが画質の向上や画像濃度の安定性を考慮すると好ましい。
上述した本発明のトナーが目的を達成できることを確認するために、以下に一実施例を記載する。この実施例で得られたトナーを評価した結果から、本発明の目的を達成できることが確認でき、合わせて特有の効果を奏し、本発明の主旨が明確になるものと理解する。
<着色樹脂粒子(A)用自己分散性ポリエステル樹脂(A−P)の合成>
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブに、
・ ジメチルテレフタレート 113重量部
・ ジメチルイソフタレート 75重量部
・ 5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート 6重量部
・ エチレングリコール 97重量部
・ プロピレングリコール 50重量部
および触媒として
・ テトラブトキシチタネート 0.1重量部
を加え、150℃以上230℃以下に加熱した状態で120分間攪拌させて反応させる。その後、250℃まで加熱し、反応系の圧力を1mmHg以上10mmHg以下まで減圧して、約1時間攪拌させてさらに反応させることによって、ポリエステル樹脂(A−P)を得た。
得られたポリエステル樹脂(A−P)は、数平均分子量:3000、数平均分子量:5700、ガラス転移点:64℃、スルホン酸ナトリウム基当量:89meq/kg、酸価:2.2mgKOH/g、還元粘度:0.332、であった。なお、分子量は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィ)測定、ガラス転移点は、DSC(示差走査熱量計)測定、スルホン酸ナトリウム基当量は硫黄の定量、酸価は酸塩基滴定によりそれぞれ求め、還元粘度はポリエステル樹脂0.01gをフェノール/テトラクロロエタン(重量比6:4)の混合溶媒250ccに溶解させ、オストワルト粘度計を用いて測定温度30℃で測定した。
≪自己分散性ポリエステル樹脂水性分散液(C)の製造工程≫
温度計、コンデンサおよび攪拌羽根を備えた四つ口の10リットルのセパブルフラスコに上記合成法にて得られたポリエステル樹脂(A−P)を100重量部、ブチルセロソルブを75重量部加え、70℃で攪拌させ溶解させた。次に、70℃のイオン水500重量部を加え、水に分散化させた後、蒸留用フラスコにて留分温度が100℃に達するまで蒸留し、冷却し、その後、純水を加え、固形分濃度を30%となるようにすることによってポリエステル樹脂水性分散液(C)を得た。得られたポリエステル水性分散液(C)に存在する微分散粒子の数平均粒径は、0.1μmであった。
≪着色剤水性分散液(D)の製造工程≫
・ シアン顔料
(BASF社製:Eupolen Blue 69−1501) 50重量部
・ アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 5重量部
・ イオン交換水 223重量部
をホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)で20分間分散し、加えて超音波ホモジナイザーで分散し粒子径が0.2μmの着色剤水性分散液(D)を得た。
≪離型剤水性分散液(E)の製造工程≫
・ パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP10、融点72℃) 50重量部
・ アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 5重量部
・ イオン交換水 161重量部
を95℃に加熱しながらホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)で分散処理を行い、数平均粒子径が0.3μmの離型剤水性分散液(E)を得た。
≪水性分散液混合工程≫
自己分散性ポリエステル樹脂水性分散液(C)、着色剤水性分散液(D)及び離型剤水性分散液(E)を固形分濃度がそれぞれ90重量%、5重量%、5重量%となるように混合し、混合液(F)を得た。
≪コア粒子[着色樹脂粒子(A)]製造工程≫
得られた混合液(F)をホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000:回転数2000rpm)で攪拌しながら0.1重量%の硫酸マグネシウム水溶液を滴下した。その後、この混合液を1時間攪拌することによって体積平均粒径が5.6μmの着色樹脂粒子(A)が分散してなる水性分散液(G)を得た。
<樹脂粒子(B)用自己分散性ポリエステル樹脂(B−P)の合成>
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブに、
・ ジメチルテレフタレート 137重量部
・ ジメチルイソフタレート 55重量部
・ エチレングリコ−ル 68重量部
・ ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物
(平均分子量350) 175重量部
および
・ テトラブトキシチタネート 0.1重量部
を仕込み150〜220℃で180分間加熱してエステル交換反応を行い、次いで、240℃に昇温した後、系の圧力を徐々に減じて30分後に10mmHgとし、70分間反応を続けた。その後、オートクレーブ中を窒素ガスで置換し、大気圧とした。温度を200℃に保ち無水トリメリット酸2重量部を加え、70分間反応を行い、共重合ポリエステル樹脂(B−P)を得た。得られたポリエステル樹脂は、ガラス転移点:64℃、酸価:21.4mgKOH/g、数平均分子量:3800であった。
≪樹脂粒子(B)水性分散液(H)の製造工程≫
上記の合成法にて得られたポリエステル樹脂(B−P)を100重量部、ブタノ−ル48重量部、メチルエチルケトン12重量部、イソプロパノ−ル20重量部を加え70℃にて溶解した。さらに共重合ポリエステルの酸価に等量となるように水酸化ナトリウム水溶液を加え、70℃を保持し30分間撹拌した後70℃の水300重量部を添加し共重合ポリエステルの水系微分散体を得た。さらに得られた水分散体を蒸留用フラスコに入れ、留分温度100℃に達するまで蒸留した後冷却し、脱イオン水にて固形分を調整し最終的に脱溶剤された固形分濃度30%の自己分散性ポリエステル樹脂水性分散液(H)を得た。得られたポリエステル水性分散液(H)に存在する微分散粒子の数平均粒径は、0.03μmであった。
≪シェル材[樹脂粒子(B)]被覆工程≫
着色樹脂粒子(A)が分散してなる水性分散液(G)と樹脂粒子(B)水性分散液(H)を固形分濃度がそれぞれ80重量%、20重量%となるように混合し、0.1重量%の硫酸マグネシウム水溶液を少量ずつ滴下し、その後、この混合液を1時間攪拌した。凝集物を含んだ水媒体を75℃まで加熱して30分間攪拌し、さらに水媒体を90℃まで加熱して30分間攪拌を継続し、粒径および形状の整った凝集物を形成した。
≪ろ過洗浄工程≫
凝集物を含む水媒体の上澄み液を純水に3回交換した後、pH2の塩酸水溶液を加えた。その後、純水で凝集物を2回洗浄し、ろ過することによってトナー粒子のウェットケーキ状凝集体を取り出した。なお、洗浄に用いる純水は、超純水製造装置(ADVANTEC社製:Ultra Pure Water System CPW−102)を用いて水道水から調製した0.5μS/cmの水を利用した。
≪乾燥工程≫
真空乾燥機を用いて取り出したトナー粒子のウェットケーキ状凝集体の乾燥を行い、体積平均粒径が6μmのトナー粒子を作製した。トナー粒子の粒径は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定した。また、得られたトナーの着色剤や離型剤の分散状態を透過型電子顕微鏡を用いて観察すると、不均一な凝集や0.3μm以上の凝集体は見られず、均質な分散状態であったことが確認できた。
≪外添工程≫
上記で得られたトナー100重量部に平均一次粒径12nmの疎水性シリカ微粒子0.7重量部と平均一次粒径30nmの疏水化処理酸化チタン微粒子1.2重量部をヘンシェルミキサーで混合することによってトナーを製造した。
<現像剤の作製>
上記トナーを平均粒径が40μmのシリコンコートされたフェライトキャリアとボールミルで混合し、トナー濃度が8%、帯電量が28.5μc/gの2成分現像剤を作製した。
[評価結果]
上記トナー及び現像剤を用いて、実機にて評価を行った。その評価条件並びに評価結果を下記に示す。評価用マシンとして、デジタルフルカラー複合機(シャープ社製:AR−C150)改造機を用いて、常温常湿(20℃、湿度60%)下、定着用紙上のべた画像部のトナー付着量が0.5mg/cmとなる現像条件で画像評価を行った。
(画質評価)
画像濃度は、分光測色濃度計(日本平版印刷機材社製:X−Rite938)を用いて評価画像の光学濃度を測定した。 カブリの評価は、以下のようにして評価した。あらかじめ白度計(日本電色工業社製:Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)を用いて、A4サイズのフルカラー専用紙(シャープ社製:PP106A4C)の白度を測定し、その値を第1測定値W1とする。次に、直径55mmの白円を含む原稿を3枚複写し、得られた白部の白度を白度計にて測定し、この値を第2測定値W2とする。下記式からカブリ濃度W(%)を算出し、そのカブリ濃度に基づいて下記の基準により評価した。
W = {100 × (W1−W2) / W1}
その結果、本発明のトナーは画像濃度が高く(ID=1.43)、カブリのない(W=0.9)、微小ドット再現性の高い鮮明な画像が得られた。
(耐湿性評価)
高温高湿(35℃、湿度80%)、並びに低温低湿(10℃、湿度25%)における帯電量を測定した結果、高温高湿環境下で22.9 μc/g、低温低湿環境下で28.3 μc/gとなり、環境依存性の少ないトナーであった。このトナーの帯電量変化量(19%)は評価機(AR−C150)に備え付けられているプロセスコントロールの制御許容範囲内であり、画像濃度が高くカブリのない微小ドット再現性の高い鮮明な画像が得られた。
(転写性評価)
各環境条件において転写効率を調べた結果、いずれの環境条件においても転写効率は90%を超え、満足のいく転写性を示すものであった。
(保存性評価)
AR−C150専用のトナーボトルに300gのトナーを入れ、50℃の恒温槽で2日間放置した後、400メッシュのふるいで凝集体の存在率をチェックした結果、トナー凝集体の発生は見られず優れた流動性を示した。
(定着性評価)
定着ユニットのオイル塗布機構を外した評価機(AR−C150)を用いて、トナーの定着性を評価した結果、ホットオフセットやコールドオフセットの発生がなく、光沢性の高い画像が得られた。
本発明におけるカプセルトナーの製造するための製法の一例を示したもので、トナーの製造方法にかかる一連の流れを示す工程図である。
符号の説明
S4 シェル材被覆工程
S5 ろ過洗浄工程
S6 乾燥工程

Claims (2)

  1. 少なくとも着色剤を含有する数平均粒径が2μmから10μmの着色樹脂粒子(A)の水性分散液を製造する工程と、
    側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む数平均粒径が0.3μm以下の樹脂粒子(B)の水性分散液を製造する工程と、
    前記着色樹脂粒子(A)の水性分散液と、前記樹脂粒子(B)の水性分散液とを混合し、得られた混合液を加熱するか、または得られた混合液に凝集剤を加えることによって、前記着色樹脂粒子(A)の表面に前記樹脂粒子(B)を凝集被覆させる工程とを含み、
    前記着色樹脂粒子(A)と前記樹脂粒子(B)の凝集時、あるいは前記着色脂粒子(A)と前記樹脂粒子(B)の凝集後に酸を添加することで、前記樹脂粒子(B)の側鎖にあるカルボン酸塩をカルボン酸に変換させることを特徴とするカプセルトナーの製造方法。
  2. 前記樹脂粒子(B)の水性分散液を製造する工程では、側鎖にカルボン酸を有する自己分散性樹脂を、水溶性有機溶剤中に溶かした後、これをアルカリ水溶液中に投入し、攪拌することを特徴とする請求項1記載のカプセルトナーの製造方法。
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