JP2006251074A - カプセルトナー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
生産性が高く、耐湿性に優れ、樹脂材料の選択自由度の高い湿式法トナーを提供する。
【解決手段】
数平均粒径が2μm〜10μmの着色樹脂粒子(A)が分散してなる水性分散液と側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む数平均粒径が0.3μm以下の樹脂粒子(B)からなる水性分散液を、被覆工程S4で混合し、さらに凝集させることによって前記着色樹脂粒子(A)の表面に樹脂粒子(B)を凝集被覆させるとともに、前記の凝集中または凝集後に酸を添加することによって側鎖にあるカルボン酸塩をカルボン酸に変換させる。その後ろ過洗浄工程S5、乾燥工程S6を経ることで、バインダーとしてビニル系樹脂に制限されることなく、小粒径トナーにおいても生産性が高く、耐湿性に優れたカプセルトナーが得られる。
【選択図】 図1
Description
着色剤を含有する着色樹脂粒子(A)の水性分散液としては、樹脂や着色剤などが分散してなる水性分散液から、樹脂や着色剤などを凝集させて得られる凝集粒子が分散している水性分散液や、着色剤やモノマーを含む水性懸濁液を懸濁重合させて得られる水性分散液などが使用できる。
樹脂粒子の水性分散液から着色樹脂粒子(A)を作る場合に使用される着色剤水性分散液としては、着色剤を界面活性剤とともに攪拌装置で攪拌し、数平均粒子径として0.3μm以下に乳化分散したものが使用できる。着色剤としては公知のものを用いることができ、凝集剤を加えても凝集しないような水溶性の染料を除いて特に制限はない。
本発明トナーにおいては離型剤を使用することもできる。つまり、本発明にかかる着色樹脂粒子(A)は少なくとも着色剤を含むものであるが、この着色剤同様、離型剤が着色樹脂粒子(A)に含まれるものであってもよいことは勿論である。この離型剤をトナー内部に添加する方法としては、例えば離型剤水性分散液を樹脂水性分散液などとともに凝集させる方法がある。
本発明トナーにおいては電荷制御剤を使用することもできる。つまり、本発明にかかる着色樹脂粒子(A)は少なくとも着色剤を含むものであるが、この着色剤同様、電荷制御剤が着色樹脂粒子(A)に含まれるものであってもよいことは勿論である。また、先に説明した離型剤を同時に含まれるものであってもよい。そこで電荷制御剤をトナー内部に添加する方法としては例えば、予め溶融混練機を用いて樹脂中に電荷制御剤を分散したものを用いる方法や離型剤水性分散液を樹脂水性分散液などとともに凝集させる方法がある。
着色樹脂粒子(A)のシェル材(コート材)として用いる、側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む樹脂粒子(B)の水性分散液としては例えば以下の方法で作製できる。
[軟化点の測定条件 サンプル量:1g、ダイ寸法:1.0×1.0、押し出し荷重20kgf/cm2、昇温速度6℃、開始温度:60℃、予熱時間:300秒]
樹脂粒子(B)を着色樹脂粒子(A)表面に凝集被覆させる方法としては、数平均粒径が2μm〜10μmの着色樹脂粒子(A)と側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む数平均粒径が0.3μm以下の樹脂粒子(B)からなる水性分散液を混合した後、水性分散液を加熱したり凝集剤を加えることによって、着色樹脂粒子(A)の表面に樹脂粒子(B)を凝集被覆させていく方法がある。
着色樹脂粒子(A)表面に樹脂粒子(B)を被覆する際に用いる凝集剤、あるいは着色樹脂粒子(A)の作成時に自己分散性樹脂粒子を着色剤粒子とともに凝集させる際に用いる凝集剤としては、電解質やイオンを有する有機物など公知のものを使用できるが、ポリマー分子とポリマー分子との間でイオン架橋構造をとれるような多価イオン化合物が樹脂の分子量を高める効果がある点で好ましい。多価イオン化合物としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウムなどの多価金属塩が水に溶けやすく純水で洗浄しやすい点で好ましい。
洗浄に用いる純水としては、導電率20μS/cm以下であることが好ましい。このような純水は、公知の方法によって得ることができ、たとえば、活性炭法、イオン交換法、蒸留法および逆浸透法などが挙げられる。さらに、複数の方法を組み合わせて行ってもよい。また、洗浄の際の純水の温度は、10℃以上80℃以下が好ましい。
以上説明したように本発明のトナーに、流動性や帯電性の向上を目的として公知の外添剤を添加することができる。一般に使用される外添剤としては、平均粒径が0.007μm〜0.02μmのシリカ、酸化チタン、酸化アルミ、および、それらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した無機微粒子が使用される。また、本発明で得られるトナーの表面が比較的平滑であることから、転写性、クリーニング性、凝集防止を高める目的で、平均粒径が0.03μm以上第2の外添剤を併用することが望ましい。第2の外添剤としては、例えば、平均粒径が0.03μm以上のシリカ、酸化チタン、酸化アルミ、およびそれらをシランカップリング剤、チタンカップリング剤、シリコーンオイルにより表面処理を施した無機微粒子に加え、脂肪酸金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸鉛、酸化亜鉛粉末やフッ化ビニリデン微粒子、ポリテトラフルオロエチレン微粒子等のフッ素系樹脂微粒子などがある。
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブに、
・ ジメチルテレフタレート 113重量部
・ ジメチルイソフタレート 75重量部
・ 5−ナトリウムスルホジメチルイソフタレート 6重量部
・ エチレングリコール 97重量部
・ プロピレングリコール 50重量部
および触媒として
・ テトラブトキシチタネート 0.1重量部
を加え、150℃以上230℃以下に加熱した状態で120分間攪拌させて反応させる。その後、250℃まで加熱し、反応系の圧力を1mmHg以上10mmHg以下まで減圧して、約1時間攪拌させてさらに反応させることによって、ポリエステル樹脂(A−P)を得た。
温度計、コンデンサおよび攪拌羽根を備えた四つ口の10リットルのセパブルフラスコに上記合成法にて得られたポリエステル樹脂(A−P)を100重量部、ブチルセロソルブを75重量部加え、70℃で攪拌させ溶解させた。次に、70℃のイオン水500重量部を加え、水に分散化させた後、蒸留用フラスコにて留分温度が100℃に達するまで蒸留し、冷却し、その後、純水を加え、固形分濃度を30%となるようにすることによってポリエステル樹脂水性分散液(C)を得た。得られたポリエステル水性分散液(C)に存在する微分散粒子の数平均粒径は、0.1μmであった。
・ シアン顔料
(BASF社製:Eupolen Blue 69−1501) 50重量部
・ アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 5重量部
・ イオン交換水 223重量部
をホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)で20分間分散し、加えて超音波ホモジナイザーで分散し粒子径が0.2μmの着色剤水性分散液(D)を得た。
・ パラフィンワックス(日本精蝋社製、HNP10、融点72℃) 50重量部
・ アニオン性界面活性剤(第一工業製薬社製、ネオゲンR) 5重量部
・ イオン交換水 161重量部
を95℃に加熱しながらホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000)で分散処理を行い、数平均粒子径が0.3μmの離型剤水性分散液(E)を得た。
自己分散性ポリエステル樹脂水性分散液(C)、着色剤水性分散液(D)及び離型剤水性分散液(E)を固形分濃度がそれぞれ90重量%、5重量%、5重量%となるように混合し、混合液(F)を得た。
得られた混合液(F)をホモジナイザー(ポリトロン社製、PT3000:回転数2000rpm)で攪拌しながら0.1重量%の硫酸マグネシウム水溶液を滴下した。その後、この混合液を1時間攪拌することによって体積平均粒径が5.6μmの着色樹脂粒子(A)が分散してなる水性分散液(G)を得た。
温度計、攪拌機を備えたオートクレーブに、
・ ジメチルテレフタレート 137重量部
・ ジメチルイソフタレート 55重量部
・ エチレングリコ−ル 68重量部
・ ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物
(平均分子量350) 175重量部
および
・ テトラブトキシチタネート 0.1重量部
を仕込み150〜220℃で180分間加熱してエステル交換反応を行い、次いで、240℃に昇温した後、系の圧力を徐々に減じて30分後に10mmHgとし、70分間反応を続けた。その後、オートクレーブ中を窒素ガスで置換し、大気圧とした。温度を200℃に保ち無水トリメリット酸2重量部を加え、70分間反応を行い、共重合ポリエステル樹脂(B−P)を得た。得られたポリエステル樹脂は、ガラス転移点:64℃、酸価:21.4mgKOH/g、数平均分子量:3800であった。
上記の合成法にて得られたポリエステル樹脂(B−P)を100重量部、ブタノ−ル48重量部、メチルエチルケトン12重量部、イソプロパノ−ル20重量部を加え70℃にて溶解した。さらに共重合ポリエステルの酸価に等量となるように水酸化ナトリウム水溶液を加え、70℃を保持し30分間撹拌した後70℃の水300重量部を添加し共重合ポリエステルの水系微分散体を得た。さらに得られた水分散体を蒸留用フラスコに入れ、留分温度100℃に達するまで蒸留した後冷却し、脱イオン水にて固形分を調整し最終的に脱溶剤された固形分濃度30%の自己分散性ポリエステル樹脂水性分散液(H)を得た。得られたポリエステル水性分散液(H)に存在する微分散粒子の数平均粒径は、0.03μmであった。
着色樹脂粒子(A)が分散してなる水性分散液(G)と樹脂粒子(B)水性分散液(H)を固形分濃度がそれぞれ80重量%、20重量%となるように混合し、0.1重量%の硫酸マグネシウム水溶液を少量ずつ滴下し、その後、この混合液を1時間攪拌した。凝集物を含んだ水媒体を75℃まで加熱して30分間攪拌し、さらに水媒体を90℃まで加熱して30分間攪拌を継続し、粒径および形状の整った凝集物を形成した。
凝集物を含む水媒体の上澄み液を純水に3回交換した後、pH2の塩酸水溶液を加えた。その後、純水で凝集物を2回洗浄し、ろ過することによってトナー粒子のウェットケーキ状凝集体を取り出した。なお、洗浄に用いる純水は、超純水製造装置(ADVANTEC社製:Ultra Pure Water System CPW−102)を用いて水道水から調製した0.5μS/cmの水を利用した。
真空乾燥機を用いて取り出したトナー粒子のウェットケーキ状凝集体の乾燥を行い、体積平均粒径が6μmのトナー粒子を作製した。トナー粒子の粒径は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いて測定した。また、得られたトナーの着色剤や離型剤の分散状態を透過型電子顕微鏡を用いて観察すると、不均一な凝集や0.3μm以上の凝集体は見られず、均質な分散状態であったことが確認できた。
上記で得られたトナー100重量部に平均一次粒径12nmの疎水性シリカ微粒子0.7重量部と平均一次粒径30nmの疏水化処理酸化チタン微粒子1.2重量部をヘンシェルミキサーで混合することによってトナーを製造した。
上記トナーを平均粒径が40μmのシリコンコートされたフェライトキャリアとボールミルで混合し、トナー濃度が8%、帯電量が28.5μc/gの2成分現像剤を作製した。
[評価結果]
上記トナー及び現像剤を用いて、実機にて評価を行った。その評価条件並びに評価結果を下記に示す。評価用マシンとして、デジタルフルカラー複合機(シャープ社製:AR−C150)改造機を用いて、常温常湿(20℃、湿度60%)下、定着用紙上のべた画像部のトナー付着量が0.5mg/cm2となる現像条件で画像評価を行った。
画像濃度は、分光測色濃度計(日本平版印刷機材社製:X−Rite938)を用いて評価画像の光学濃度を測定した。 カブリの評価は、以下のようにして評価した。あらかじめ白度計(日本電色工業社製:Z−Σ90 COLOR MEASURING SYSTEM)を用いて、A4サイズのフルカラー専用紙(シャープ社製:PP106A4C)の白度を測定し、その値を第1測定値W1とする。次に、直径55mmの白円を含む原稿を3枚複写し、得られた白部の白度を白度計にて測定し、この値を第2測定値W2とする。下記式からカブリ濃度W(%)を算出し、そのカブリ濃度に基づいて下記の基準により評価した。
その結果、本発明のトナーは画像濃度が高く(ID=1.43)、カブリのない(W=0.9)、微小ドット再現性の高い鮮明な画像が得られた。
高温高湿(35℃、湿度80%)、並びに低温低湿(10℃、湿度25%)における帯電量を測定した結果、高温高湿環境下で22.9 μc/g、低温低湿環境下で28.3 μc/gとなり、環境依存性の少ないトナーであった。このトナーの帯電量変化量(19%)は評価機(AR−C150)に備え付けられているプロセスコントロールの制御許容範囲内であり、画像濃度が高くカブリのない微小ドット再現性の高い鮮明な画像が得られた。
各環境条件において転写効率を調べた結果、いずれの環境条件においても転写効率は90%を超え、満足のいく転写性を示すものであった。
AR−C150専用のトナーボトルに300gのトナーを入れ、50℃の恒温槽で2日間放置した後、400メッシュのふるいで凝集体の存在率をチェックした結果、トナー凝集体の発生は見られず優れた流動性を示した。
定着ユニットのオイル塗布機構を外した評価機(AR−C150)を用いて、トナーの定着性を評価した結果、ホットオフセットやコールドオフセットの発生がなく、光沢性の高い画像が得られた。
S5 ろ過洗浄工程
S6 乾燥工程
Claims (15)
- 少なくとも着色剤を含有する着色樹脂粒子(A)に、側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む樹脂粒子(B)を凝集被覆させ、該樹脂粒子(B)の側鎖にあるカルボン酸塩をカルボン酸に変換させたカプセルトナー。
- 着色樹脂粒子(A)が、側鎖にスルホン酸塩を有する樹脂が分散してなる水性分散液(C)と、数平均粒径が0.3μm以下の着色剤が分散してなる水性分散液(D)との混合物に2価以上の凝集剤を添加することによって得られた凝集体であることを特徴とする請求項1に記載のカプセルトナー。
- 側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂粒子(B)が、カルボン酸基を側鎖に有するポリエステル樹脂をアルカリ金属水酸化物で処理することによって得られる自己分散性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1に記載のカプセルトナー。
- 側鎖にスルホン酸塩を有する樹脂が、モノマーユニットとしてナトリウムスルホン酸を側鎖に有する多価カルボン酸からなる自己分散性ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項2に記載のカプセルトナー。
- 2価以上の凝集剤が硫酸マグネシウムまたは硫酸アルミニウムであることを特徴とする請求項2に記載のカプセルトナー。
- 着色樹脂粒子(A)の樹脂のガラス転移点より側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂粒子(B)のガラス転移点が高いことを特徴とする請求項1に記載のカプセルトナー。
- 着色樹脂粒子(A)の樹脂の軟化点が側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂粒子(B)の軟化点より高いことを特徴とする請求項1に記載のカプセルトナー。
- 着色剤水性分散液(D)に含まれる着色剤が実質的に乳化剤を含まない自己分散性顔料であることを特徴とする請求項2に記載のカプセルトナー。
- 請求項2記載の構成において、着色樹脂粒子(A)は、さらに粒径が0.3μm以下の離型剤水性分散液を混合して得られる凝集体であることを特徴とするカプセルトナー。
- 請求項2あるいは請求項9記載の構成において、着色樹脂粒子(A)は、さらに粒径が0.3μm以下の電荷制御剤水性分散液を混合して得られる凝集体であることを特徴とするカプセルトナー。
- 着色剤水性分散液(D)に含まれる界面活性剤としてカチオン系界面活性剤を実質的に含まないことを特徴とする請求項5記載のカプセルトナー。
- トナー粒子の表面に粒子径が0.03μm以上の外添剤が1種類以上付着していることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載のカプセルトナー。
- 請求項1のトナーと体積平均粒が20μmから50μmのキャリアからなることを特徴とする現像剤。
- 少なくとも着色剤を含有する数平均粒径が2μmから10μmの着色樹脂粒子(A)の水性分散液と側鎖にカルボン酸塩を有する樹脂を含む数平均粒径が0.3μm以下の樹脂粒子(B)からなる水性分散液を混合し、得られた混合液に凝集剤を加え、前記着色樹脂粒子(A)の表面に樹脂粒子(B)を凝集被覆させた後に酸を添加することを特徴とするカプセルトナーの製造方法。
- 着色樹脂粒子(A)が、側鎖にスルホン酸塩を有する樹脂が分散してなる水性分散液(C)と、数平均粒径が0.3μm以下の着色剤が分散してなる水性分散液(D)との混合物に2価以上の凝集剤を添加することを特徴とする請求項14に記載のカプセルトナーの製造方法。
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