JPWO2016046867A1 - スライス適性に優れたベーカリー製品及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

モチモチした食感及び柔らかい食感に優れ、しかもベーカリー製品加工時のスライス適性(スライスに対する機械特性)にも優れたベーカリー製品を提供することを課題とし、該課題を解決するために、ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合した澱粉質原料を用いてベーカリー製品を製造することにより、モチ食感及びソフト感とスライス適性を付与したベーカリー製品を製造する。

Description

本発明は、モチモチした食感及び柔らかい食感(ソフト感)に優れ、しかもベーカリー製品加工時のスライス適性(スライス、カットに対する機械特性)に優れたベーカリー製品及びその製造方法に関する。
モチ(餅)は、主として糯米を蒸煮練上げ製造され、その独特の粘着力、付着力、弾力性の食感から、古くから愛されてきた伝統的な食品であるが、近年、喫食時にモチモチした食感(モチ食感)を有する食品を好む消費者が増え、ベーカリー製品においてもモチ食感を有する製品が増加している。その中で、モチ食感だけでなく、モチ食感と合わせて喫食時にしっとりとした食感(しっとり感)や柔らかい食感(ソフト感)を有するベーカリー製品が市場で求められるようになってきた。しかし、モチ食感を有するベーカリー製品について、しっとり感やソフト感を強化しようとする場合、モチ食感が弱くなる傾向がある。
従来より、ベーカリー製品にモチ食感を付与する方法として、いくつかの方法が開示されている。ベーカリー製品にモチ食感を付与する方法としては、2つの方法が知られている。その1つは特定の原料を用いる方法であり、もう1つは湯種生地を利用する方法である。特定の原料を用いる方法として、例えば、特許文献1には、リン酸架橋ワキシーコーンスターチとα化澱粉を組み合わせ、弾力がありながら柔らかく、モチ食感に優れたベーカリー製品を製造する方法が開示されている。しかし、ワキシーコーンスターチには特有の穀物由来の匂いがあるため、該ベーカリー製品にはベーカリー本来の風味が損なわれるなどの問題があった。
特許文献2には、小麦粉62〜92.5質量部、ヒドロキシプロピル澱粉及び/ 又はアセチル澱粉7〜30質量部及びα化澱粉質0.5〜8質量部からなる原料粉を用いることにより、モチ食感を有するパン類を製造する方法が開示されている。該パン類では、モチモチ感の付与のみを目的としたためソフトな食感は得られにくいという問題があった。また、特許文献3には、小麦粉、α化小麦粉及び/又はα化小麦でん粉、αアミラーゼを用いて、モチモチ感やしっとり感を有するパン類を製造する方法が開示されている。該パン類では、原料が小麦由来であることから、強力粉とエーテル化澱粉を用いたパン類に比べてモチ食感は弱いという問題があった。
そこで、特許文献4では、モチ性小麦粉を用いて湯種生地を調製するか又はモチ性小麦粉とα化澱粉を配合することで、モチ食感、ソフト感、しっとり感及び口溶け感が強化されたパン類の製造方法を開示している。該パン類では確かにモチ食感とソフト感のバランスが取られているものの、近年、より強いモチ食感を好む消費者を必ずしも満足させることができていない。
一方、ベーカリー製品にモチ食感を付与するための第2の方法として湯種生地を利用する方法として、例えば、特許文献5には、小麦粉と油相含量3〜90質量%、水相含量10〜97質量%の乳化物とを少なくとも含有する湯種生地材料を、少なくとも該乳化物の水相中の水分温度を80〜100℃として混捏することを特徴とするベーカリー製品用湯種生地の製造方法が開示され、特許文献6には穀粉類及び/又は澱粉類100質量部に対して、乳由来の固形分中のリン脂質の含有量が該固形分を基準として0.5質量%以上である乳原料を、固形分として0.05〜7質量部含有した湯種生地を用いたベーカリー製品が開示されている。湯種生地を利用する方法は、生地製造時に80℃〜100℃のお湯を使用する必要があり、工程が複雑となり、また湯温の厳重な管理が必要であり、最終製品にばらつきが出やすく容易に量産できないという問題がある。
上記のように、ベーカリー製品にモチ食感を付与するための方法として、各種の方法が開示されているが、モチ食感とソフト感を両立させたベーカリー製品を量産する方法は開示されておらず、かかるベーカリー製品を製造する課題は依然として解決されていない。
また、上記以外に、もち種の澱粉を利用したベーカリー製品として以下の技術が開示されている。特許文献7には、主原料粉としてもち種馬鈴薯澱粉を含有し、ミックス全体の蛋白含量が0〜4.0質量%であることを特徴とするベーカリー食品用ミックス及び該ミックスを用いて得られる従来にない外観および食感を有するベーカリー食品が開示されている。該ベーカリー食品には透明感があり、やわらかさを有することが記載されているが、モチ食感は付与されない。また、特許文献8は、小麦粉を主原料とする原料穀粉100質量部に対して、α化した加工ワキシーポテトスターチ0.2〜10質量部を含有する材料を用いて製造された、保存性に優れ、ソフト感、しっとり感を有するベーカリー食品を開示している。該発明はベーカリー製品にソフト感、しっとり感を付与することが目的であり、該ベーカリー製品にモチ食感は付与されない。
更に、特許文献9には、澱粉成分及び有機酸若しくは有機酸混合物を含む、パンケーキ、ワッフル、ブラウニー、マフィン、又はケーキを作るためのすぐ使用できる冷蔵可能な液体練り粉であって、練り粉を60℃から72℃の温度で、練り粉の細菌数を実質的に減少させるに十分な時間加熱することにより微生物学的に安定化させて、練り粉を8℃以下の温度で少なくとも3週間保存できるようにしたこと、及び水分活性Awが0.90より大であり、そして4℃、0.3rpmでの粘度が5,000〜60,000cPであることを特徴とする長期保存が可能な練り粉及び該練り粉を用いて得られる焼き製品が開示されている。該発明は調理中にのみゲル形成をさせるため糊化温度の高い澱粉を使用することを1つの特徴とし、練り粉の長期保存が可能であることが記載されている。該練り粉には有機酸又は有機酸混合物を必須成分として含むため特有の酸味が付加され、ベーカリー製品の風味が損なわれるという問題がある。
上記のとおり、ベーカリー製品において、モチ食感と合わせて喫食時にしっとりとした食感(しっとり感)や柔らかい食感(ソフト感)を有するベーカリー製品が求められるという近年の消費者の嗜好性に対応するために、モチ食感とソフト感を有するベーカリー製品を提供することがこの分野の需要に対する課題となるが、一方で、ベーカリー製品においては、その製品加工時に、スライス加工が行われている。このスライス加工には、ベーカリー製品自体のスライス加工に対するスライス適性(スライス、カットに対する機械特性)が要求されるが、上記のように、モチ食感とソフト感を有するベーカリー製品を提供する場合には、特に、該ベーカリー製品のスライス加工に対するスライス適性が問題となる。すなわち、ベーカリー製品は確かにモチ食感とソフト感を有するが、該ベーカリー製品の2次加工(スライス)工程においてベーカリー製品のスライス面が荒れてしまうという問題が発生する。
従来より、ベーカリー製品において、その製品加工時のスライス加工に対するベーカリー製品のスライス適性(スライス、カットに対する機械特性)を改善する方法も開示されている。例えば、特許文献10には、カルボキシメチルセルロース(CMC)及び/又はリン酸架橋或いはアセチル化、ヒドロキシプロピル化澱粉のような加工澱粉0.01〜5重量%と、乳化剤1〜30重量%及び油脂10重量%以上を含有する乳化油脂組成物からなるパン用品質改良剤を用いてパン類を製造することにより、スライス屑の少ないパンを製造する方法が開示されている。しかし、該開示の方法は、乳化剤との併用が必須であるため乳化剤を添加しないベーカリー製品には適用することができず、広く適用できる方法ではない。
また、特許文献11及び特許文献12には、パン類やドーナッツ類の製造に際して、生地に、アルギン酸エステルを含有する生地改良剤を添加して生地を調製することにより、製パン、焼成或いはフライ後のスライス或いはカットに対する機械耐性を付与したパン類やドーナッツ類の製造方法が開示されている。しかし、該開示のものは、生地改良剤が、パン生地の特性に影響し、モチ食感とソフト感を有するベーカリー製品の製造において、ベーカリー製品の2次加工(スライス)工程におけるスライス適性を改善する方法としては適用することはできない。
以上のように、ベーカリー製品にモチ食感とソフト感を両立させ、しかも、その製品加工時のスライス加工に対する良好なスライス適性を有するベーカリー製品を提供することがこの分野の課題であり、該課題を解決するための、新たなる方法の開発が課題となっている。
特開平10−056946号公報 特開平10−295253号公報 特開2003−199482号公報 特開2010−057368号公報 特開2004−000029号公報 特開2009−201469号公報 特開2013−179841号公報 特開2007−325526号公報 特開2004−512846号公報 特開平5−153897号公報 特開2004−65245号公報 特開2004−208703号公報
本発明の課題は、モチモチした食感及び柔らかい食感に優れ、しかもベーカリー製品加工時のスライス適性(スライスに対する機械特性)にも優れたベーカリー製品及びその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、先に、モチ食感とソフト感に優れたベーカリー製品の製造について、鋭意検討する中で、ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、澱粉質原料に対して、特定質量部のもち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を配合した澱粉質原料を用いてベーカリー製品を製造することにより、モチ食感に優れ、しかもソフト感を有するベーカリー製品を製造することができることを見出し、モチ食感とソフト感を有するベーカリー製品を提供する方法を開発した(特願2014−040918号)。そして、該ベーカリー製品について、ベーカリー製品加工時のスライス適性にも優れたベーカリー製品の製造について更に検討する中で、該ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、澱粉質原料のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を特定質量部と、非もち種リン酸架橋澱粉を特定質量部とを配合した澱粉質原料を用いて、ベーカリー製品を製造することにより、モチ食感及びソフト感に優れるとともに、ベーカリー製品加工時のスライス適性にも優れたベーカリー製品を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合した澱粉質原料を用いて製造された、モチ食感及びソフト感とスライス適性を付与したベーカリー製品、及びその製造方法からなる。本発明のベーカリー製品の製造方法は、各種ベーカリー製品の製造に用いることができ、広い範囲のベーカリー製品の製造に適用して、モチ食感とソフト感に優れ、しかも加工時にスライス性にも優れたベーカリー製品を製造することができ、2次加工(スライス)時のロスがなく、製品価値の高い商品の供給が可能となる。
本発明のベーカリー製品の製造において、澱粉質原料に配合される加工もち種タピオカ澱粉としては、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉及び/又はアセチルもち種タピオカ澱粉を挙げることができる。また、本発明のベーカリー製品の製造において、澱粉質原料に配合される非もち種リン酸架橋澱粉としては、沈降積9.4以下のリン酸架橋澱粉を挙げることができる。本発明において、対象となるベーカリー製品としては、パン類、ケーキ類、ドーナツ類、焼き菓子類又は非発酵パン類を挙げることができる。
更に、本発明は、ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合したベーカリー製品製造用ミックスの発明を包含する。また、本発明は、澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合したベーカリー製品製造用ミックスを澱粉質原料として用いて、ベーカリー製品を製造することを特徴とするモチ食感及びソフト感とスライス適性を付与したベーカリー製品の製造方法の発明を包含する。
すなわち、具体的には本発明は、
(1)ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合した澱粉質原料を用いて製造されたことを特徴とするモチ食感及びソフト感とスライス適性を付与したベーカリー製品や、
(2)加工もち種タピオカ澱粉が、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉及び/又はアセチルもち種タピオカ澱粉であることを特徴とする上記(1)に記載のベーカリー製品や、
(3)非もち種リン酸架橋澱粉が、沈降積9.4以下のリン酸架橋澱粉であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のベーカリー製品や、
(4)ベーカリー製品が、パン類、ケーキ類、ドーナツ類、焼き菓子類又は非発酵パン類である、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のベーカリー製品や、
(5)ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合したことを特徴とするベーカリー製品製造用ミックスや、
(6)澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合したベーカリー製品製造用ミックスを澱粉質原料として用いて、ベーカリー製品を製造することを特徴とするモチ食感及びソフト感とスライス適性を付与したベーカリー製品の製造方法、からなる。
本発明は、モチ食感とソフト感に優れ、しかも、ベーカリー製品加工時のスライス適性にも優れたベーカリー製品を提供する。本発明のベーカリー製品の製造方法は、各種ベーカリー製品の製造に用いることができ、広い範囲のベーカリー製品の製造に適用して、モチ食感とソフト感に優れ、しかも加工時にスライス性にも優れたベーカリー製品を製造することができ、2次加工(スライス)時のロスがなく、本発明は、製品価値の高い商品の供給を可能とする。
本発明は、ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合した澱粉質原料を用いて製造された、モチ食感及びソフト感とスライス適性を付与したベーカリー製品、及びその製造方法からなる。
本発明のベーカリー製品の製造において、澱粉質原料として用いられる、「もち種タピオカ澱粉」とは、もち種タピオカを原料とした澱粉であり、アミロペクチンがほぼ100%で構成されたものを指す。該もち種タピオカ澱粉としては、Thai・Tapioca・Development・Institute(タイ国)から入手したもち種タピオカの芋を原料として、Siam・Quality・Starch社(タイ国)で製造したもち種タピオカ澱粉を利用することができる。
本発明のベーカリー製品の製造においては、澱粉質原料として配合されるもち種タピオカ澱粉としては、加工していないもち種タピオカ澱粉と、該澱粉を物理的、化学的に加工した加工もち種タピオカ澱粉を用いることができる。該物理的に加工されたもち種タピオカ澱粉として、α化もち種タピオカ澱粉を用いることができる。ここで、α化澱粉とは、澱粉を水の存在下、ドラムドライヤー、エクストルーダー、スプレードライヤーなどを用いて加熱し、澱粉をα化、乾燥した後、必要に応じて粉砕した粉末状の澱粉を指す。なお、α化処理していない澱粉は、澱粉又はβ澱粉と呼ぶ。
本発明のベーカリー製品の製造においては、澱粉質原料として配合されるもち種タピオカ澱粉の化学的な加工方法としては、ヒドロキシプロピル化、アセチル化、架橋、酸化及び酸浸漬から選ばれる1種以上の方法を使用することができる。特に、ヒドロキシプロピル化、及び/又はアセチル化もち種タピオカ澱粉は、好ましい加工もち種タピオカ澱粉として挙げることができる。ここで、ヒドロキシプロピル化とは、澱粉にプロピレンオキサイドを反応させる処理を指し、アセチル化とは、澱粉に無水酢酸又は酢酸ビニールモノマー等を反応させる処理を指し、常法に従って実施できる。架橋とは、澱粉にメタリン酸塩、オキシ塩化リンなどの架橋剤を加え反応させる等の処理を指し、常法に従って実施できる。酸化とは、澱粉に次亜塩素酸Naを作用させる処理を指し、酸浸漬とは澱粉に硫酸を作用させる処理を指し、いずれも常法に従って実施できる。
本発明のベーカリー製品の製造において、澱粉質原料として配合される、非もち種リン酸架橋澱粉としては、非もち種の澱粉を上述の架橋処理を施して得られる澱粉を用いることができる。本発明において非もち種の澱粉とは、アミロペクチン含量が95%以下、好ましくは90%以下、より好ましくは85%以下の澱粉を指す。非もち種の澱粉としては、小麦澱粉、コーン澱粉、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、サゴ澱粉、甘藷澱粉、えんどう豆澱粉、緑豆澱粉およびハイアミロースコーン澱粉から選ばれる1種類以上の澱粉を用いることができる。上記の非もち種澱粉を常法に従ってリン酸架橋処理することで非もち種リン酸架橋澱粉が得られる。該非もち種リン酸架橋澱粉には、更に別の加工処理、例えば、リン酸モノエステル化処理などが施されてもよい。
本発明のベーカリー製品の製造において、澱粉質原料として配合されるもち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉以外の澱粉質原料としては、ベーカリー製品の種類等を勘案し必要に応じて配合される小麦粉、全粒粉、ふすま、ライ麦、米、トウモロコシ、大麦、ひえ、あわ、きび、発芽玄米、黒米、赤米、大豆、小豆、アマランサス、キヌアなどの穀類及び必要に応じて配合される小麦グルテンなどを配合することができる。該小麦粉としては、ベーカリーの製造に使用されている一般的な小麦粉を用いることができる。例えば、超強力粉、強力粉、中力粉又は薄力粉が利用でき、強力粉としてはカナダ・ウエスタン・レッド・スプリング小麦、中力粉としてはオーストラリア・スタンダード・ホワイト小麦、薄力粉としてはウエスタン・ホワイト小麦、ホワイトクラブ小麦などから製造される小麦粉が代表的なものとしてあげられる。また、日本国内で生産される小麦粉(例えば、ゆめちから、きたほなみ、春よ恋など)や低アミロース小麦粉、ハイアミロース小麦粉、もち種小麦粉なども用いることができる。
本発明のベーカリー製品に含まれるもち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉以外の澱粉質原料として特に好ましい穀類は、小麦粉であり、ベーカリー製品本来の風味を際立たせることができる。また、必要に応じて、もち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉以外の澱粉を本発明の効果が得られる範囲で用いることができる。例えば健康を考えて、もち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉以外の澱粉を用いて製造した人の消化酵素への耐性を付与した難消化性澱粉(RS)を用いることもできる。難消化性澱粉は一般的に4つの区分に分けられ、RS1、RS2,RS3,RS4と呼ばれる。RS1は蛋白質マトリクス内での顆粒の取り込みに起因し物理的に接近できない澱粉、RS2はα―アミラーゼによる消化に耐えうる澱粉、RS3は老化アミロースからなる澱粉、RS4はα―アミラーゼによる消化に耐えうる加工澱粉を指す。
本発明のベーカリー製品の製造において、澱粉質原料として配合されるもち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉を、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉を1質量部以上〜20質量部以下、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1質量部以上〜20質量部以下配合することにより、好ましいモチ食感とソフト感及び適正なスライス性をベーカリー製品に付与することができる。より好ましくは、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉を5質量部以上〜14質量部以下、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を3.5質量部以上〜14質量部以下配合することにより、ベーカリー製品のモチ食感とソフト感及び適正なスライス適性をより好ましいものにすることができる。
更に、本発明のベーカリー製品の製造において、澱粉質原料として配合されるもち種タピオカ澱粉としては、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉及び/又はアセチルもち種タピオカ澱粉がより好ましい。これらの澱粉を用いると、適正なスライス性を保持したままモチ食感とソフト感がより優れたベーカリー製品が得られる。上記ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉及び/又はアセチルもち種タピオカ澱粉は軽度に架橋処理していてもよい。軽度に架橋処理された澱粉とは、例えば沈降積9.5以上となるように架橋処理された澱粉を指す。
本発明のベーカリー製品の製造において、澱粉質原料として配合される非もち種リン酸架橋澱粉としては、沈降積9.4以下の澱粉がより好ましく、沈降積4.9以下がより好ましい。この範囲の非もち種リン酸架橋澱粉を用いることで、モチ食感とソフト感及びスライス性に優れたベーカリー製品を得られる。
ここで、沈降積とは、架橋の進行を示す指標の1つである。沈降積の測定方法は以下の通り実施できる。乾燥物換算で澱粉0.15gを試験管にとり、15mLの試薬(塩化アンモニウム26重量%、塩化亜鉛10重量%、水64重量%)にて均一に分散させる。これを沸騰浴中で10分間加熱後、25℃〜35℃まで冷却したものを10mLメスシリンダーに10mL目盛りまで流し込む。これを25℃で20時間静置させ、沈殿物の目盛の値を沈降積とする。
本発明のベーカリー製品の製造には、澱粉質原料以外に必要に応じて、イースト、ベーキングパウダー、食塩、水、その他副材料を加えることができる。上記原料を元に常法に従ってベーカリー生地を作製し、焼成、フライ、蒸し等の加熱処理をおこない本発明のベーカリー製品が製造される。その際、澱粉質原料はベーカリー製品100質量部に対し、2質量部以上〜40質量部以下含むことが好ましい。
なお、副材料とは、一般にベーカリーの製造に使用されている副材料、或いはベーカリーの種類、望まれる品質などによって使用されている副材料で、具体的には砂糖、グルコース、異性化糖、希少糖、希少糖含有異性化糖(例えばレアシュガースウィート、松谷化学工業株式会社製)、オリゴ糖、デキストリン、還元澱粉分解物等の糖質、脱脂粉乳、全脂粉乳、牛乳などの乳製品、ショートニング、マーガリン、バター、粉末油脂、乳化油脂等の油脂類、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ステアロイル乳酸カルシウム等の乳化剤、シナモン、バジリコ等の香辛料、ブランデー、ラム酒等の洋酒類、レーズン、ドライチェリー等のドライフルーツ、アーモンド、ピーナッツ等のナッツ類、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコオキシターゼ、プロテアーゼ、リパーゼ、キシラナーゼ、ヘミセルラーゼ、グルコースオキシターゼ等の酵素、香料(例えばバニラエッセンス)、人工甘味料、(例えばアスパルテーム)、ペクチン、グアガム分解物、アガロース、グルコマンナン、ポリデキストロース、アルギン酸ナトリウム、セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチン、キトサン、難消化性デキストリン、シトラスファイバー等の食物繊維、ココアパウダー等が例示できる。
本発明のベーカリーの製造方法において、該ベーカリーの製造方法自体は、澱粉質原料として、もち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉を配合した澱粉質原料を用いる点を除いて、原料、製造方法及び製造条件において、公知のベーカリーの製造方法と変わるところはない。本発明の、もち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉を配合した澱粉質原料は、ベーカリーの製造用の澱粉質原料ミックスとして調製することができ、また、本発明のもち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉を配合した澱粉質原料を、酵素等と組み合わせた品質改良剤として予め準備し、これをベーカリー製品用生地に添加することでも本発明のベーカリー製品は得られる。更に、もち種タピオカ澱粉及び非もち種リン酸架橋澱粉を含む澱粉質原料を、ベーカリー製造法の1つである、予め生地の一部をお湯で捏ねる湯捏法にも利用することは可能であり、また近年ベーカリー食品の製造工程の合理化や流通上の目的で利用される冷蔵生地や冷凍生地にも適用できる。
本発明のベーカリー製品の製造方法を適用できるベーカリー製品としては、パン類:「プルマン、イギリス食パン等の食パン類、バケット、パリジャンなどのフランスパン、菓子パン、デニッシュ、クロワッサン、バンズ、ベーグル、ナン、フォカッチャ、イングリッシュマフィン、テーブルロールなどの各種ロール類など」、ドーナツ類:「イーストドーナツ、ケーキドーナツなど」、ケーキ類:「蒸しケーキ、スポンジケーキ、バターケーキ、ホットケーキ、マドレーヌ、マフィンなど」、非発酵パン類:「ポービリア、ポンデケージョなど」、焼き菓子類:「シュー生地、クレープ、ワッフル、どら焼き、カステラ、たい焼き、今川焼、クッキーなど」、ピザ、トルティーヤ、中華まん、蒸しパン、を挙げることができ、上記の製品にモチ食感とソフト感を付与しながら2次加工時に適正なスライス性を付与することが出来る。特に、スライス面が目立ちやすいサンドイッチに利用されるパン類などに適している。
以下に実施例、比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。ここで、部とあるのは質量部を、%とあるのは質量%を示す。また、α化と明記のない澱粉についてはβ澱粉を示す。
(もち種タピオカ澱粉)
もち種タピオカ澱粉はSiam Quality Starch社(タイ国)のもち種タピオカ澱粉を用いた。加工処理は表1に示す通りで常法により製造した。
Figure 2016046867
(ワキシータピオカ澱粉以外の澱粉)
ワキシータピオカ澱粉以外の澱粉は、各種澱粉を準備し必要に応じて常法により加工処理して製造した。
(ベーカリー製品の食感評価)
常法に従いベーカリー製品を作製し、該ベーカリー製品の喫食時のモチ食感とソフト感について評価を行った。評価に用いるベーカリー製品については、ベーカリー製品を作製後、20℃で1時間保持し評価用サンプルとした。評価はよく訓練された10人のパネラーにより行い、ベーカリー製品のモチ食感とソフト感について表2に示すように各5点満点で評価を行った。なお、基準サンプルのモチ食感とソフト感の点数を3とした。パネラー10人の点数を平均し、各サンプルの評価点数とした。基準サンプルとしては、小麦粉単独で製造したベーカリー製品を採用し、3.5点以上を○以上とした。
評価点数に応じて以下のように◎、○、△又は×を付与した。
◎=4.0点以上。
○=3.5点以上〜4.0点未満。
△=3.0点以上〜3.5点未満。
×=3.0点未満。
Figure 2016046867
(ベーカリー製品のスライス性評価)
ベーカリー製品のスライス性に関してはクリープメータの付着性を測定することで評価を行った。作製したパンの中央を40mm四方、20mm厚でカットし、クリープメータ(RHEONERII・CREEP・METER・RE−2−33005B、YAMADEN社製)を用いてパンを圧縮し、離れる際の付着性を測定し、スライサーの刃への付着(スライス性)の目安とした。該実験で付着性が35J/m以上になると、ベーカリー製品スライス時にパンの表面が荒れてしまうことを確認した。また、現在市販されている食パン類で付着性の試験をしたところ、もちもちとした食感がほとんどない食パン(原料澱粉質として小麦粉単独で製造した食パン)で付着性が6.2J/m、一番付着性が大きいもので34.4J/mであったことから、付着性が35J/m以上の場合、スライス性が好ましくないと判断した。
付着性の値に対して以下のように◎、○、△又は×をスライス性の評価として付与した。
◎=20J/m未満
○=20J/m以上〜30J/m未満
△=30J/m以上〜35J/m未満
×=35J/m以上
クリープメータ測定条件は以下の通りである。
・プランジャー:L50+No.2。
・圧縮速度 :5mm/秒。
総合評価は、食感評価とスライス性評価の悪い方の評価結果を採用した。
(食パン試験1)
「もち種タピオカ澱粉と組合わせる澱粉の検討」
小麦粉の一部をヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉単独又はヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉と種々の澱粉(小麦澱粉、ヒドロキシプロピル小麦澱粉、リン酸架橋小麦澱粉、リン酸架橋もち種コーン澱粉から選ばれた1種)の組合わせに置換し、中種法によりプルマン食パンを製造した。表3に原材料の配合を示す。表3中の澱粉Bについては表4に示す通りである。
Figure 2016046867
Figure 2016046867
(食パン試験1の結果)
表5に示すように、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉を単独で用いた場合、付着性が大きく適正なスライス性をもった食パンが得られなかった。ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉とリン酸架橋小麦澱粉の組合わせを用いた場合、モチ食感とソフト感及びスライス性に優れた食パンが得られた。
Figure 2016046867
(食パン試験2)
「もち種タピオカ澱粉と非もち種リン酸架橋澱粉の配合の検討」
小麦粉の一部をヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉とリン酸架橋小麦澱粉の組合わせに置換し、中種法によりプルマン食パンを製造した。表6に原材料の配合を示す。
Figure 2016046867
(食パン試験2の評価結果)
表7に示すように、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉とリン酸架橋小麦澱粉の組合わせを用いたベーカリー製品において、澱粉質原料100質量部に対して、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉が1〜20質量部且つリン酸架橋小麦澱粉が1〜20質量部の範囲に含まれる場合、モチ食感とソフト感と適正なスライス性のあるベーカリー製品が得られた。また、澱粉質原料100質量部に対して、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉が5〜14質量部且つリン酸架橋小麦澱粉が3.5〜14質量部の範囲に含まれる場合、より好ましいモチ食感とソフト感及びスライス性に優れたベーカリー製品が得られた。
Figure 2016046867
(食パン試験3)
「非もち種リン酸架橋澱粉の検討」
小麦粉の一部をヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉と種々のリン酸架橋澱粉の組合わせに置換し、中種法によりプルマン食パンを製造した。表8に原材料の配合を示す。用いたリン酸架橋澱粉は、表9の通りで、リン酸架橋小麦澱粉、リン酸架橋馬鈴薯澱粉、リン酸架橋米澱粉又はリン酸架橋コーン澱粉である。
Figure 2016046867
Figure 2016046867
(食パン試験3の結果)
表10に示すように、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉と種々のリン酸架橋澱粉を組合わせた場合、モチ食感とソフト感と適正なスライス性をもった食パンが得られた。リン酸架橋澱粉の好ましい沈降積としては9.4以下であり、特に沈降積が4.9以下の場合、より好ましいモチ食感とソフト感と適正なスライス性をもった食パンが得られた。
Figure 2016046867
(食パン試験4)
「もち種タピオカ澱粉の検討」
小麦粉の一部を種々のもち種タピオカ澱粉とリン酸架橋小麦澱粉の組合わせに置換し、中種法によりプルマン食パンを製造した。表11に原材料の配合を示す。もち種タピオカ澱粉として、非α化澱粉を用いた場合は表11の配合1、α化澱粉を用いた場合は表11の配合2を利用した。用いたもち種タピオカ澱粉は表12の通りで、未加工のもち種タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉、ヒドロキシプロピル架橋もち種タピオカ澱粉、アセチルもち種タピオカ澱粉、アセチル架橋もち種タピオカ澱粉、架橋もち種タピオカ澱粉又はα化ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉である。
Figure 2016046867
Figure 2016046867
(食パン試験4の結果)
表13に示すように、リン酸架橋澱粉と組合わせるもち種タピオカ澱粉としては、未加工や種々の加工を施したもち種タピオカ澱粉を用いた場合、モチ食感とソフト感及びスライス性に優れた食パンが得られた。
特に、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉、アセチルもち種タピオカ澱粉又は上記澱粉を架橋処理したもち種タピオカ澱粉を用いた場合、より好ましい効果が得られた。
また、αヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉を用いた場合もリン酸架橋澱粉と組合わせることでモチ食感とソフト感及びスライス性に優れた食パンが得られた。
Figure 2016046867
(コッペパン試験)
小麦粉の一部をヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉又はヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉とリン酸架橋小麦澱粉の組合わせに置換し、中種法によりコッペパンを製造した。表14に原材料の配合を示す。
Figure 2016046867
(コッペパン試験の結果)
ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉とリン酸架橋澱粉を併用した場合、モチ食感とソフト感及びスライス性に優れたコッペパンが得られた。
(スポンジケーキ試験)
小麦粉の一部をヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉又はヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉とリン酸架橋小麦澱粉の組合わせに置換し、オールインミックス法によりスポンジケーキを製造した。表15に原材料の配合を示す。
Figure 2016046867
(スポンジケーキ試験の結果)
ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉とリン酸架橋澱粉を併用した場合、モチ食感とソフト感及びスライス性に優れたスポンジケーキが得られた。
本発明は、モチ食感とソフト感に優れ、しかも、ベーカリー製品加工時のスライス適性にも優れたベーカリー製品を提供する。本発明のベーカリー製品の製造方法は、各種ベーカリー製品の製造に用いることができ、広い範囲のベーカリー製品の製造に適用して、モチ食感とソフト感に優れ、しかも加工時にスライス性にも優れたベーカリー製品を製造することができ、2次加工(スライス)時のロスがなく、本発明は、製品価値の高い商品の供給を可能とする。

Claims (6)

  1. ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、該澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合した澱粉質原料を用いて製造されたことを特徴とするモチ食感及びソフト感とスライス適性を付与したベーカリー製品。
  2. 加工もち種タピオカ澱粉が、ヒドロキシプロピルもち種タピオカ澱粉及び/又はアセチルもち種タピオカ澱粉であることを特徴とする請求項1に記載のベーカリー製品。
  3. 非もち種リン酸架橋澱粉が、沈降積9.4以下のリン酸架橋澱粉であることを特徴とする請求項1又は2に記載のベーカリー製品。
  4. ベーカリー製品が、パン類、ケーキ類、ドーナツ類、焼き菓子類又は非発酵パン類である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のベーカリー製品。
  5. ベーカリー製品の製造に用いる澱粉質原料において、該澱粉質原料100質量部のうち、
    もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合したことを特徴とするベーカリー製品製造用ミックス。
  6. 澱粉質原料100質量部のうち、もち種タピオカ澱粉及び/又は加工もち種タピオカ澱粉を1〜20質量部、及び、非もち種リン酸架橋澱粉を1〜20質量部配合したベーカリー製品製造用ミックスを澱粉質原料として用いて、ベーカリー製品を製造することを特徴とするモチ食感及びソフト感とスライス適性を付与したベーカリー製品の製造方法。
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