JP3742897B2 - フラワーペーストの製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はフラワーペーストの製造法に関し、更に詳しくは食感の良好なフラワーペーストの製造法に関する。
【0002】
【従来技術】
フラワーペーストは澱粉質を水、糖類、油脂などと共に加熱してペースト状にしたもので、パンや菓子類のフィリングやトッピングの材料として広く用いられている。しかし、フラワーペーストは澱粉質を糊化することによりその状態を形成しているので、食感的に澱粉糊様感を有することは避けられないところであった。特に、フィリングの材料として用いる場合、生地に包み込んで焼成するので、焼成中の熱によりフラワーペーストが形崩れしないように、高粘性のペーストに調製されているので、一般的に重くて口溶けが悪く、舌にまとわりつくような澱粉糊特有の食感を残したものになっている。
【0003】
近年、フラワーペーストに限らず食品に対する一般的な傾向として、ソフトで口溶けの良いものが好まれ、特にフラワーペーストの場合はその製法上、極端な表現をすれば澱粉糊の食感となって最近の嗜好に合わない欠点を有していた。この点を含めた食感の改善に多くの方法が提案されている。
【0004】
例えば、油脂含量を多くする(特開昭48−40975号)、蛋白部分加水分解物を用いてホイップドフラワーペーストにしてソフトな食感にする(特開昭60−256330号)、アミロペクチンを主体とする澱粉、油脂、糖類などの特定量を用いてUHT処理する(特開昭63−22148号)、澱粉、小麦粉を全卵と混合した後、その他の原材料と混合して加熱する(特開平2−31647号)、カラギーナンとタマリンドガムを配合する(特開平4−36150号)などが提案されているが、十分に満足し得る状況に至っていない。
【0005】
一方、フラワーペーストの澱粉質としては、基本的に小麦粉とコーンスターチが用いられていた。近年、生産性、衛生的観点から連続的に95℃以上で加熱処理されるようになり、その際の高温下での機械的剪断力により、未加工の澱粉質では保形性がなくなるので、この機械的剪断力に耐えられるように加工した澱粉、例えば架橋澱粉、架橋エーテル化澱粉、湿熱処理澱粉などの加工澱粉が用いられている。このような加工澱粉のペーストは粘着性が少なく、ショートなテクスチャーとなるが、それでも澱粉糊様感はさして改善されず、なるべく高粘性の加工澱粉で添加量を少なくして、澱粉糊様感を軽減する方向にある。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題はフラワーペーストとして一般に求められる特性、即ち、連続製造が可能で充填適正、保形性、保存性、耐熱性を有すると共に、特に食感的に優れたフラワーペースト、即ち、澱粉質でボデーを形成していながら澱粉糊様感がなく、口溶けの良いフラワーペーストの提供にある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
かかる現状に鑑み、上述の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フラワーペーストの製造に際し、特定の膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉を特定比率で使用することにより、本発明の課題が解決されることを見いだして本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明はフラワーペーストの製造に際し、膨潤度が5〜25で、且つ、アセチル基及び/又はヒドロキシプロピル基の平均置換度が0.02〜0.2である膨潤調節澱粉と、高温時は低粘性で冷却すると急激に増粘する特性を有する低温易増粘性澱粉を50:50〜90:10の割合(重量)で澱粉質原料として使用することにより達せられる。
【0009】
本発明に使用する膨潤調節澱粉は、5〜25の膨潤度と0.02〜0.2の置換度を有するリン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋アセチル澱粉、アジピン酸架橋アセチル澱粉から選ばれる一種又は二種以上を50重量%以上含有することが好ましい。また、低温易増粘性澱粉は、糊化して10重量%の濃度で粘度を測定するとき、60℃で50〜500cps、30℃での粘度が60℃に於ける粘度の5倍以上である特性を有することが好ましく、更に小麦澱粉及び/又はサゴ澱粉を原料とし、次亜塩素酸ソーダで処理した澱粉であることが好ましい。
【0010】
【発明の作用】
本発明でフラワーペーストとは小麦粉、コーンスターチ、加工澱粉などの澱粉質、砂糖や水あめなどの糖類、マーガリンやショートニングなどの油脂類の他、必要に応じて乳製品、卵、チョコレートやココアなどの呈味成分、香料、着色料、天然ガムなどを水に加えて混合し、乳化、加熱して澱粉質を糊化してペースト状、或はシート状にしてパン類或は菓子類に充填(フィリング)或は塗布(トッピングなど)して食されるものを総称する。
【0011】
本発明で用いる低温易増粘性澱粉は、高温域では低粘性を示し、冷却して低温にすると急激に増粘する特性を有する澱粉を指称し、具体的には10重量%濃度で糊化して60℃で測定した粘度が20〜1000cps、好ましくは50〜500cpsで、且つ、30℃で測定した粘度が60℃に於ける粘度の3.5倍以上、好ましくは5倍以上となる粘度特性を有する澱粉を指称する。
【0012】
一般にフラワーペーストの製造に用いられている澱粉の場合、60℃の粘度は数千cps以上で、且つ30℃での粘度も60℃の1.5〜2倍程度である。例えば、コーンスターチの粘度は60℃で約16000cps、30℃で約29000cps(60℃の約1.8倍)であり、該澱粉はフラワーペーストに用いる澱粉としては特異的な粘度特性を有する。
【0013】
60℃に於ける粘度が1000cpsを越える澱粉、或は20cpsに満たない澱粉、又は30℃に於ける粘度が60℃の粘度の3.5倍に満たない澱粉では、澱粉糊様感をなくして口溶けを改善する効果に劣る。 尚、本発明で述べる粘度は、試料20gを200mlのガラスビーカーに採り、脱イオン水180gを加え、沸騰浴中で撹拌しながら90℃まで加熱して糊化後、流水にて冷却し、加熱中に生じた蒸発水分を補充して60℃及び30℃にてB型粘度計を用いて測定する。
【0014】
かかる低温易増粘性澱粉は、水に懸濁した澱粉に酸又は酸化剤を作用させて、澱粉粒の状態で澱粉分子を切断して低分子化して、上述の粘度になるようにする。その際、60℃の粘度は澱粉の低分子化の程度を調節することにより容易に所定の範囲にし得るが、更に30℃の粘度が所定範囲になる特性を得るには、澱粉を低分子化する条件を選ぶことで得られ易くなる。即ち、酸を用いる場合は澱粉が糊化しない範囲のなるべく高温、例えば40〜55℃で、酸化剤を用いる場合は高pH域(例えばpH10以上)で比較的低温、例えば20〜35℃で、60℃の粘度が所定範囲になるまで作用させるのが好ましい。作用させる酸又は酸化剤の量は、用いる原料澱粉の種類及び作用させる時間によって異なるので、これらを加味して所定粘度の該澱粉が得られる条件を選択する。
【0015】
低温易増粘性澱粉の製造に用いる酸としては、塩酸、硫酸、蓚酸などが例示されるし、酸化剤としては次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素、過硫酸アンモンなどが例示される。また、用いられる原料澱粉は市販の澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、緑豆澱粉、ハイアミロースコーンスターチなどいずれも使用できる。これらの中で、小麦澱粉及び/又はサゴ澱粉を原料とし、次亜塩素酸ソーダを用いて製造された低温易増粘性澱粉が最も効果的で好ましい。
【0016】
本発明で使用する膨潤調節澱粉は、膨潤度が5〜25で、且つ、アセチル基及び/又はヒドロキシプロピル基の平均置換度が0.02〜0.2である澱粉を指称し、この要件を満たさない澱粉では本発明の効果が得られなくなる。但し、平均置換度に関しては、0.2を越えて高くなっても有効であるが、効果が変わらず、経済的でない。これらの要件は一種の澱粉だけで満たす必要はなく、二種以上の澱粉を組み合わせて満たされてもよく、要は膨潤調節澱粉として用いるものが全体としてこの要件を満たしていればよい。従って、アセチル基及び/又はヒドロキシプロピル基を有する澱粉と組み合わせてこの要件を満たす範囲内で、未処理澱粉及び澱粉が主成分の穀粉、或はこれらの官能基を含まない加工澱粉を用いることもできる。
【0017】
膨潤度は澱粉を加熱して糊化した際の澱粉粒の膨潤程度を表す指標で、下記の方法によって測定される。この膨潤度も一種又は二種以上を混合して満たされればよいが、二種以上用いる場合でもそれぞれがこの範囲の膨潤度を有する澱粉であると、混用比率がこの要件で制約されなくて好ましい。この範囲の膨潤度を有する澱粉としては、未処理澱粉ではコーンスターチ、小麦澱粉、米澱粉など、及びこれらが主成分であるコーンフラワー、小麦粉、米粉などが例示される。加工澱粉としては膨潤度がこの範囲内に加工した漂白澱粉、湿熱処理澱粉、架橋澱粉、架橋エーテル化澱粉、架橋エステル化澱粉が挙げられる。
【0018】
<膨潤度>
乾燥物換算で試料1.0gを純水100mlに分散し、90℃で30分間加熱後30℃に冷却する。次いで、この糊化液を遠心分離(3000rpm、10分間)してゲル層と上澄液に分け、ゲル層の重量を測定してこれをAとする。次に、重量測定したゲル層を乾固(105℃、恒量)して重量を測定してこれをBとし、A/Bで膨潤度を表す。
【0019】
また、本発明の膨潤調節澱粉を特定するもう一つの要因であるアセチル基及び/又はヒドロキシプロピル基の平均置換度は、該澱粉中のこれら官能基の置換度の平均値を表す。該澱粉としては、アセチル基及び/又はヒドロキシプロピル基を持つ澱粉を含むことが必須であるが、これらの置換基を含まない澱粉を併用することもでき、その場合でも平均置換度が上述の範囲になけねばならないし、逆に、この範囲になるように用いる澱粉の比率を選択することができる。
【0020】
アセチル基及び/又はヒドロキシプロピル基を含む澱粉としては、アセチル澱粉やヒドロキシプロピル澱粉も用い得るが、これらは基本的に膨潤度が大きくて膨潤調節澱粉の一部にしか使用できず、膨潤度を調節できるリン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋アセチル澱粉、アジピン酸架橋アセチル澱粉から選ばれる一種又は二種以上が好ましい。他の官能基を持つ澱粉、例えばリン酸架橋コハク酸澱粉、リン酸架橋リン酸澱粉などでは本発明の効果が得られ難い。尚、置換度は澱粉のグルコース残基当たりのヒドロキシプロピル基又はアセチル基のモル数で表す。
【0021】
本発明の膨潤調節澱粉として好ましくは、5〜25の膨潤度と0.02〜0.2の置換度を有するリン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋アセチル澱粉及びアジピン酸架橋アセチル澱粉から選ばれる一種又は二種以上を50重量%以上含有し、且つ、膨潤調節澱粉が全体として5〜25の膨潤度と0.02〜0.2の置換度を有する澱粉である。このような膨潤調節澱粉を用いることにより、本発明の効果がより顕著に発現する。
【0022】
膨潤調節澱粉に用いるリン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉は、澱粉にプロピレンオキサイドでヒドロキシプロピル化すると共に、メタリン酸塩又はオキシ塩化リンで架橋した澱粉であり、リン酸架橋アセチル澱粉は無水酢酸又は酢酸ビニールでアセチル化すると共に上記リン酸架橋を、アジピン酸架橋アセチル澱粉は無水酢酸とアジピン酸でアセチル化とアジピン酸架橋した澱粉である。これらを本発明の架橋加工澱粉と称する。
【0023】
本発明の架橋加工澱粉は常法に従って製造することができ、その膨潤度は架橋を強くすると小さくなり、ヒドロキシプロピル化又はアセチル化の程度が大になると大きくなるので、両者を適度に組み合わせて調節する。ヒドロキシプロピル化又はアセチル化の程度は置換度で表される。
【0024】
また、本発明の架橋加工澱粉の製造に用いられる原料澱粉は、市販の澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、小麦澱粉、粳米澱粉、糯米澱粉、コーンスターチなどいずれも用いることができる。
【0025】
本発明はフラワーペーストの製造に際し、上述の膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉を50:50〜90:10の割合(重量)で両者を併用する。両者の割合がこの範囲を逸脱すると、本発明の効果が得られなくなる。
【0026】
更に、本発明は上記割合の両者を原則として澱粉質原料として使用する。目的物フラワーペーストに於ける割合としては通常4〜15重量%程度となる。本発明に於いては、このように特定の上記澱粉を併用することにより、澱粉を用いてボデーを形成しながら澱粉糊状感がなくて口溶けがよく、顕著に改善された食感を有するフラワーペーストが得られる。この添加量はフラワーペーストの種類、使用目的などにより選択され、例えばクリームパンのように充填して焼成する場合には添加量を多くし、シュークリームのように焼成後に充填、或は塗布して食する場合には少ない添加量でも有効である。添加量が4重量%未満ではボデー形成が劣り、15重量%を越えて多くすると食感、口溶けが悪くなってくる。 本発明に於けるフラワーペーストの製造は、澱粉質として膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉を使用する以外は特に制限はなく、従来の製造法を踏襲することができる。例えば、この澱粉質、糖質、蛋白性原料他を清水中に加えて撹拌、混合し、これに油脂類を加えて乳化させ、バッチ釜又はオンレーターなどの連続式加熱装置を用いて95〜110℃に加熱して澱粉質を糊化した後、冷却すれば目的のフラワーペーストが得られる。その際、膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉は両者を予め混合して添加することもできるし、別々に添加してもよい。
【0027】
一般に、フラワーペーストには上述の澱粉質以外の原材料として、マーガリン、バター、ショートニング、サラダ油などの油脂類、砂糖、グルコース、マルトース、水あめ、異性化糖、トレハロース、各種オリゴ糖などの糖類、ソルビット、マルビットなどの糖アルコール、澱粉分解物、還元澱粉分解物などのデキストリン、全脂粉乳、脱脂粉乳、脱脂練乳、牛乳、濃縮乳などの乳製品、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの酸味量、全卵、卵黄、卵白、カゼイン、ゼラチンなどの蛋白質類、ココア、チョコレート、ピーナツペースト、フルーツ果肉、果汁などの呈味成分、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、オクテニルコハク酸エステル澱粉などの乳化剤、カラギーナン、寒天、タマリンド種子ガム、ジュランガムなどの天然ガム類、バニラなどの各種フレバー、食塩、リン酸塩などの塩類などが用いられていて、本発明に於ても所望に応じて適宜これらを使用することができる。
【0028】
本発明によって得られるフラワーペーストは、一般にフラワーペーストに求められる基本的特性、即ち連続製造が可能で充填適正、保形性、保存性、耐熱性を有するなどの他に、特に食感的に優れたフラワーペースト、即ち、澱粉糊状感がなくて口溶けがよく、パン類、菓子類に充填、或は塗布して用いて近年の嗜好にマッチした好ましい食感が得られる。
【0029】
次に参考例、実施例を挙げ、更に詳しく本発明を説明する。尚、参考例、実施例で部及び%とあるは、重量部及び重量%を示す。
【0030】
【参考例1】
水120部に硫酸ソーダ10部を溶解した液に、コーンスターチ100部を加えたスラリーを5点調製し、撹拌下に3%苛性ソーダ水溶液を加えて約pH11.3に維持しながら、トリメタリン酸ソーダを0.006部、0.02部、0.1部、0.25部、1.2部、それぞれに加え、39℃で15時間反応した後、塩酸でpH9.5に中和し、25℃に冷却する。次いで3%苛性ソーダ水溶液でpH8〜9.5に維持しながら無水酢酸8部をそれぞれに加えてアセチル化し、塩酸で中和、水洗、脱水、乾燥して試料No.1〜5の膨潤度の異なるリン酸架橋アセチル澱粉を得た。これらの置換度と膨潤度を表1に示す。
【0031】
【参考例2】
水120部に硫酸ソーダ25部を溶解した液に、タピオカ澱粉100部を加えたスラリーを3点調製し、撹拌下に3%苛性ソーダ水溶液を35部、トリメタリン酸ソーダ0.12部、プロピレンオキサイド0部、1.5部、10部をそれぞれに加え、43℃で18時間反応後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.6〜8のリン酸架橋澱粉及びリン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉を得た。これらの置換度及び膨潤度を表1に示す。
【0032】
【参考例3】
参考例1に於て、トリメタリン酸ソーダの添加量を0.1部、無水酢酸に替えて無水コハク酸を8部添加した他は同様に処理して、試料No.9のリン酸架橋コハク酸澱粉を得た。これの置換度と膨潤度を表1に示す。
【0033】
【参考例4】
サゴ澱粉100部を水120部に分散したスラリーを6点調製し、3%苛性ソーダ水溶液を加えてpH10.9〜11.1に維持しながら、25〜27℃で市販の次亜塩素酸ソーダ液を8.5部、7部、6部、4.5部、4部、3部それぞれに加えて5時間処理した後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.10〜15を得た。それぞれの粘度を表2に示す。
【0034】
【参考例5】
参考例4に於て、サゴ澱粉を小麦澱粉とコーンスターチに替え、次亜塩素酸ソーダを6.5部加えた他は同様に処理して試料No.16(小麦澱粉)と試料No.17(コーンスターチ)を得た。これらの粘度は表2に示す。
【0035】
【参考例6】
小麦澱粉と馬鈴薯澱粉各100部をそれぞれ水120部に分散し、50%硫酸5部をそれぞれに加え、45℃で6時間処理した後、苛性ソーダで中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.18(小麦澱粉)と試料No.19(馬鈴薯澱粉)を得た。これらの粘度を表2に示す。
【0036】
【参考例7】
参考例4に於て、サゴ澱粉をタピオカ澱粉とワキシーコーンスターチに換え、次亜塩素酸ソーダの添加量を5部とし、処理温度40℃、処理時間を4時間とした他は同様に処理して試料No.20(タピオカ澱粉)と試料No.21(ワキシーコーンスターチ)を得た。これらの粘度を表2に示す。
【0037】
【実施例1】
膨潤調節澱粉として種々の澱粉を用い、下記配合割合でフラワーペーストを製造した。配合割合の内、ショートニングを除く原材料を撹拌混合しながら約60℃に加温し、これに溶融したショートニングを加えて均質化し、97℃で5分間加熱した後冷却した。得られたフラワーペーストを次の評価基準に従って評価し、その結果を表1に示す。尚、膨潤調節澱粉としては参考例1〜3で得た試料No.1〜9及び試料No.A(コーンスターチ45部、小麦粉20部、試料No.7を35部の混合物)、試料No.B(コーンスターチ40部、小麦粉20部、試料No.8を40部の混合物)、試料C(コーンスターチ25部、小麦粉15部、試料No.8を60部の混合物)、試料No.D(試料No.1を40部と試料No.4を60部の混合物)及び試料No.E(「Farinex W-50」アベベ社製のアジピン酸架橋アセチル澱粉)を用いた。
【0038】
【0039】
【0040】
【表1】
【0041】
【実施例2】
膨潤調節澱粉として試料No.3を、低温易増粘性澱粉として種々の澱粉を用い、実施例1に従ってフラワーペーストを製造し、評価した結果を表2に示す。尚、低温易増粘性澱粉としては参考例4−7で得た試料No.10−21を用いた。
【0042】
【表2】
【0043】
【実施例3】
実施例1に於て、膨潤調節澱粉として試料No.3、低温易増粘性澱粉として試料No.16を用い、両者の比率及び両者を合わせた添加量を表3に示す通りにした他は、実施例1と同様にしてフラワーペーストを製造し、評価した結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【実施例4】
牛乳55部に卵黄10部を加えて均一に混合後、砂糖12.5部、マルトース(「サンマルト」林原社製)10部、グリシン1部、膨潤調節澱粉としての試料No.2を60部と小麦粉20部の混合物(膨潤度19.6、平均置換度0.056)に低温易増粘性澱粉としての試料No.12の20部を混合したものを3部(A処方)と4.5部(B処方)及びバニラエッセンスを適量添加して撹拌混合し、オンレーター(桜製作所社製)にて連続的に98℃に加熱し、冷却してシュークリームを製造した。B処方で得られた製品はソフトで澱粉糊様感もなく、口溶けの良好な食感を有し、しかも保形性に優れていたが、A処方で得られた製品はやや舌にまとわりつくような澱粉糊様感があり、口溶け、保形性の点でもやや劣っていた。
【0046】
【実施例5】
下記配合割合の内、マーガリンを除く成分を水に加えて均一に混合して55℃に加温し、これに融解したマーガリンを加えて均質化し、オンレーターにて連続的に105℃に加熱し、冷却してフラワーペーストを製造した。尚、ここで用いた膨潤調節澱粉の膨潤度は16.1、平均置換度は0.124であり、膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉の割合は74.5:25.5である。得られたフラワーペーストをパン生地で包んで焼成して得たクリームパンのクリームは、焼成時に形状は変化せず、ソフトで澱粉糊様感もない口溶けの良好な食感を有していた。また、ここで得たフラワーペーストは冷蔵庫に1週間保存後も形状、食感、口溶けに何ら変化は見られなかった。
【0047】
Claims (5)
- フラワーペーストの製造に際し、膨潤度が5〜25で、且つアセチル基及び/又はヒドロキシプロピル基の平均重合度が0.02〜0.2である膨潤調節澱粉と、10重量%濃度で糊化して粘度を測定するとき、60℃で20〜1000cps、30℃で粘度が60℃における粘度の3.5倍以上である低温易増粘性澱粉との合計量が50:50〜90:10の割合(重量)で澱粉質原料として使用することを特徴とするフラワーペーストの製造法。
- 上記膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉との合計量が、フラワーペースト組成物中4〜15重量%である請求項1に記載の製造法。
- 膨潤調節澱粉が、5〜25の膨潤度と0.02〜0.2の置換度を有するリン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋アセチル澱粉及びアジピン酸架橋アセチル化澱粉から選ばれる一種又は二種以上を50重量%以上含有するものである請求項1に記載のフラワーペーストの製造法。
- 低温増粘性澱粉が、糊化して10重量濃度を測定するとき、60℃で50〜500cp、30℃での粘度の5倍以上である請求項1に記載のフラワーペースト。
- 低温易増粘性澱粉が、小麦澱粉及び/又はサゴ澱粉を原料とし、次亜塩素酸ソーダで処理した澱粉である請求項1又は4に記載のフラワーペーストの製造法。
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1996
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KR20170063539A (ko) * | 2014-09-26 | 2017-06-08 | 마쓰다니가가꾸고오교가부시끼가이샤 | 슬라이스 적성이 뛰어난 베이커리 제품 및 그 제조 방법 |
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