JP3702358B2 - 焼き菓子の製造法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は小麦粉を主原料の一つとする焼き菓子の製造に関し、更に詳しくはサクサク感があり、口溶けに優れた焼き菓子の製造に関する。
【0002】
【従来技術】
クラッカー、ビスケットなどの焼き菓子は、それぞれ固有のロースト感を有し、一般家庭で容易につくることができ、水分が少なく保存性に富み、主食代用にもなるので、世界各国で広く愛用されている菓子である。
【0003】
焼き菓子の食感についても、カリカリ感のあるクラッカーや硬くてかみごたえのあるハードビスケット、ソフトでしっとり感のあるソフトビスケットなどの例に見られるように、個人の嗜好などに合わせて多種類の商品が製造されているが、最近サクサク感があって、口溶けに優れたものが好まれる傾向にある。
【0004】
焼き菓子の主原料の一つである小麦粉が澱粉を主成分として含有しているため、澱粉質系のものを使用して焼き菓子の品質改善をしようとした提案も多く、特開平1−231842号の無漂白粉、ショートニングなどと共にコーンスターチ等の澱粉を原料とする冷水溶解度50%以上の冷水膨潤性澱粉を使用し、水分含量6%以上に焼成するクッキーは、漂白粉を使用した場合と同じようにスプレッド(水平運動の広がり)を抑えることで大きさの揃ったクッキーの製造を容易にしたり、特開平2−215338号の小麦粉、砂糖、ショートニング、化学膨張剤と共に前ゼラチン化澱粉を使用し、化学膨張剤の反応が鈍い温度で予備焙焼したクッキードウは、貯蔵安定性がよく、マイクロ波で焙焼できるクッキーの製造を可能にしたり、特開昭63−14654号の通常のドウの成分で焼成すると軟らくてかみごたえのある第1ドウとDE42以下の澱粉分解物をドウ中2〜30重量%含有し、焼成すると第1ドウより硬くなる第2ドウを積層して焼成する製品はソフトで歯ごたえがあり、硬いテキスチュアーを有し、シエルフ安定性などの改善などをしているが、サクサク感や口溶けの改善を目的とするものでなかった。
【0005】
焼き菓子にサクサク感を与えるものとして、例えば特開昭61−265048号では、澱粉粒子の大半が細胞内に存在しかつ蛋白質含量の少ない澱粉(穀粉や豆類などで上新粉が最良)、油脂、ショ糖などの糖類などを必須成分とする焼き色のつきにくい生地層とビスケットなど典型的な焼き菓子を生成する生地層から製造する焼き菓子は、色調の変化をつけたり、細胞膜が破壊されている澱粉の割合を少なく少なくすることでサクサク感を与えるとしているが、生地層を多段にすることが必要であったり、口溶けも十分なものとはいえなかった。
【0006】
焼き菓子の口溶けに関して、特開昭63−71135号、特開平6−78662号、特開昭56−5039号などが開示されている。
【0007】
特開昭56−5039号は通常の方法で製造したビスケットの重量に対し1〜4倍量の水を含浸させてビスケットを膨潤させ、凍結後凍結乾燥させたビスケットは、多孔質にして組織を柔らかくすることにより口溶けの改良をねらっているが、工程が複雑になって実用的でない。
【0008】
特開平6−78662号は穀物および/または澱粉質原料を主原料とし、消石灰、水酸化ナトリウムなどのアルカリ剤からなるアルカリ性水溶液及びメチオニンなどの含硫アミノ酸、必要に応じて糖、油脂、膨張剤などの副原料よりなる生地を調整し、成型、焼成する焼き菓子は、アルカリ処理と元来肉様のフレーバとされていたメチオニンなどの含硫アミノ酸とを併用することで、焼き菓子の香ばしさ、ロースト感を強化し、α化の促進をはかることで口溶けを改良するとしているが、サクサク感のある食感を有するものではなかった。
【0009】
焼き菓子のサクサク感や、口溶けを改善するために、小麦粉に対する油脂や乳化剤などの添加量を増加させることもとられているが、油脂量をあまり増やしては製造機械などへの付着が多くなって製品歩留を低下させるし、乳化剤等を増量すると焼き菓子の呈味を悪くするなどの問題があったし、サクサク感や口溶けの改善効果が必ずしも十分なものとはいえなかった。
【0010】
これらに対して、特開昭63−71135号や特開平5−168397号などが開示されている。
【0011】
特開昭63−71135号の平均分子量2000〜20000の小麦グルテン部分加水分解物を、穀粉に対し0.05〜5重量%添加したものを使用するビスケット類は、食感が軽くてサクサク感もあり、口溶けも良好なものとしているが、焼成中の生地の膨張がグルテン網の弾力によって妨げられたり、火ぶくれをおこしやすくなるなどの問題がみられた。
【0012】
特開平5−168397号の粒径100〜300μmの小麦粉を20〜100重量部含んだ粗粒小麦粉(A)、油脂(B)、砂糖、膨剤を添加するクッキー類等用のミックス粉(B成分をA成分の13〜20重量%)、クッキー類(B成分をA成分の13〜25重量%)とそれらの製法は、油脂量が低くなると、アルギン酸などの増粘剤、アルファー化度60〜80のα化小麦粉或は化工澱粉(澱粉、酸処理澱粉、架橋澱粉などを原料とするα化澱粉)で食感や風味の低下を補って、油脂の低減をしてもサクサク感があり、口溶けに優れた焼き菓子が得られるとしているが、大粒子が混在しているせいかざらつき感が残るものであった。
【0013】
このように食感にサクサク感があって、口溶けに優れた焼き菓子を得るには、上記のような方法では必ずしも十分なものでなかった。
【0014】
【本発明が解決しようとする課題】
サクサク感があり、口溶けに優れた焼き菓子を製造し得る方法を提供する。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記の課題を解決すべく鋭意努力の結果、小麦粉を主原料の一つとし、ドウを調製し、焼成する焼き菓子の製造に際し、小麦粉95〜50重量部に対して、次亜塩素酸ソーダ処理澱粉、置換度(DS)が0.01〜0.04のアセチル化澱粉及び膨潤度が4〜15のの架橋澱粉から選ばれた澱粉変性品の少なくとも1種類を5〜50重量部を使用することで問題点の解消をはかることができ、本発明を完成した。
【0016】
本発明でいう焼き菓子とは、小麦粉を主原料の一つとして、砂糖などの糖類、バター、マーガリン、ショートニングなどの油脂、膨張剤、イースト、乳製品、卵などの原料と適量の水分を加えてドウを調製し、焼成して得られる菓子類を総称し、具体的には、クラッカーやハードビスケットなどのように食感の硬いハードタイプからソフトビスケット(クッキー含む)、タルトカップにクッキー生地を使用するタルト、メロンパンやシュークリームなどの上掛け用(パン生地やシュー生地にクッキー生地を乗せて焼成)などのように食感の柔らかいソフトタイプ、及び通常のビスケットのようにそれらの中間の食感を有するビスケットを指称する。
【0017】
本発明でいう澱粉変性品とは、次亜塩素酸ソーダ処理澱粉、置換度0.01〜0.04のアセチル化澱粉、膨潤度4〜15の架橋澱粉を総称し、それぞれについては次のように定義する。
【0018】
次亜塩素酸ソーダ処理澱粉は、澱粉に次亜塩素酸ソーダを作用させて元の澱粉の10〜80%の粘度になるように分解させたものを意味する。この際10%未満、或は80%を越えては澱粉質の糊化状態が悪くなり、本発明が目的としている食感や口溶けを有する焼き菓子が得られ難くなる。用いる原料澱粉には、特に制限はなく単独、或は2種類以上の混合品の何れでも使用できる。尚、粘度は原料澱粉の水分散液をブラベンダーアミログラフを用いて加熱し、加熱時のピーク粘度(A)が500〜1500BU(ブラベンダーアミログラフの粘度単位)程度になる濃度で、次亜塩素酸ソーダ処理澱粉の水分散液を加熱した時のピーク粘度(B)を測定し、BのAに対する割合(%)でもって表す。
【0019】
置換度0.01〜0.04のアセチル化澱粉は、澱粉に無水酢酸や酢酸ビニールなどを反応せしめて、置換度が0.01〜0.04になるようにしたものであり、用いる反応薬品の添加量で置換度を適宜調節することができる。置換度が0.01未満では、焼き菓子のサクサク感が不足したり、口溶けを改善する効果が弱い。また0.04を越えると焼き菓子にサクサク感を与える効果はあっても口溶けが悪くなる。用いる原料澱粉としては、特に制限もなく何れの種類のものでも利用できるが、口溶けの点で小麦澱粉を原料とするアセチル化澱粉がより好ましい。尚、置換度は澱粉のグルコ−ス残基一個当たりの置換基の数を示す。
【0020】
膨潤度0.01〜0.04の架橋澱粉は、原料澱粉としてタピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、小麦澱粉を用い、トリメタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、オキシ塩化リン、エピクロルヒドリンなど常用の架橋剤を反応させ、膨潤度が4〜15になるように架橋したものであり、用いる架橋剤の添加量で適宜調節することができる。上記以外の原料澱粉を用いたり、膨潤度が上記範囲を逸脱するとサクサク感を与える効果や口溶けを改善する効果が弱くなる。尚、膨潤度は、乾燥物換算で試料1.0gを純水100mlに分散し、90℃、30分間加熱後30℃に冷却し、得られた糊化液を遠心分離(3000rpm、10分間)してゲル層と上澄層に分け、ゲル層の重量を測定した値をAとし、重量測定したゲル層を乾固(105℃、恒量)して重量を測定した値をBとした時のA/Bの比率でもって表す。
【0021】
本発明は小麦粉を主原料の一つとし、ドウを調製し、焼成する焼き菓子の製造に際し、小麦粉95〜50重量部に対して次亜塩素酸ソーダ処理澱粉、置換度が0.01〜0.04のアセチル化澱粉、膨潤度が4〜15の架橋澱粉から選ばれた澱粉変性品の少なくとも1種類を5〜50重量部使用する焼き菓子の製造法である。
【0022】
焼き菓子製造時のドウを構成する粉末由来の主成分として小麦粉のみを使用する場合、小麦粉として薄力粉や中力粉を使い分けることにより、焼き菓子のソフト感やハード感をかなりの程度まで調節することはできるが、サクサク感が不足したり、口溶けが十分でなかった。また小麦粉の一部をコーンスターチのような未処理の澱粉と置き換えると、チエッキングなどの焼き菓子のわれを減少することはできるが、焼き菓子にサクサク感を与える効果が少なく、口溶けなどの改善効果をはかれるようなものではなかった。
【0023】
しかし、本発明の如く小麦粉の一部を特定の澱粉変性品と置き換えて、焼き菓子を製造することにより、焼き菓子にサクサク感を与え、口溶けを大幅に改善できるようになった。
【0024】
特定の澱粉変性品としては、次亜塩素酸ソーダ処理澱粉、置換度(DS)が0.01〜0.04のアセチル化澱粉及び膨潤度が4〜15の架橋澱粉の一種以上から選択されるが、これらの澱粉変性品をドラムドライヤーなどで処理して一部または全体が冷水で可溶化するアルファー化澱粉にすると、ドウの調製が困難になったり、本発明の意図しているサクサク感や口溶けを焼き菓子に付与しにくくなる。
【0025】
本発明はドウを構成する粉末由来の主成分として小麦粉と澱粉変性品を用いて製造する焼き菓子であり、小麦粉と澱粉変性品の割合を特に問題とし、焼き菓子の種類、小麦粉の種類などによっても影響をうけるが、小麦粉と澱粉変性品の重量比率が95〜50:5〜50、より好ましくは90〜70:10〜30とする。澱粉変性品の割合が5重量%未満ではサクサク感が不足したり、口溶けなどの改善効果が弱く、逆に50重量%を超えるとサクサク感は強くなっても、口溶けが悪くなったりする。
【0026】
焼き菓子は、原料処方の違い、焼成前の生地の厚みや焼成温度或は製造機械の違いなどによって多種類の商品が製品化されている。これらの焼き菓子を食感の上からみると、クラッカーやハードビスケットなどのように食感の硬いハードタイプ、ソフトビスケット(クッキーを含む)のように食感の柔らかいソフトタイプ及びこれらの中間の標準的なビスケットのような中間の食感を有するタイプの3種類に大別でき、これら何れのタイプのものも、従来サクサク感や口溶けについては必ずしも満足のいくものでなかった。しかし乍ら、本発明の小麦粉と澱粉変性品を併用する焼き菓子の製造法によって、焼き菓子にサクサク感を与え、口溶けを大幅に改善できるようになった。その際、焼き菓子が標準的なビスケットのような食感に対しては、澱粉変性品として何れを用いてもほぼ同じように優れた効果を発揮するが、焼き菓子が食感の硬いハードタイプや食感の柔らかいソフトタイプについては、澱粉変性品を選択して用いると本発明の効果がより大きくなる。
【0027】
ハードタイプの焼き菓子は、従来小麦粉として蛋白含量の多い中力粉の含量を増やしたり、油脂や砂糖などの糖類を減少させたり、或は焼成温度を高くするなどの方法で食感を硬めにしているが、サクサク感というよりカリカリ感、或はガリガリ感が強く感じられ、口溶けも悪いものであった。これに対して小麦粉の一部を澱粉変性品で置き換えると、サクサク感や口溶けが改善されるが、澱粉変性品の中でも次亜塩素酸ソーダ処理澱粉、又は置換度0.01〜0.04のアセチル化澱粉を用いた場合、より効果的でより好ましい。
【0028】
ソフトタイプの焼き菓子は、従来小麦粉として蛋白含量の少ない薄力粉を使用したり、油脂や糖類の含量を増やしたり、比較的低温で焼成するなどの方法でソフト感をもたせているが、サクサク感や口溶けなどが十分なものとはいえなかった。これに対して小麦粉の一部を澱粉変性品に置き換えることで、サクサク感や口溶けを改善できるようになったが、澱粉変性品として膨潤度が4〜15の架橋澱粉を選択することでサクサク感や口溶けが極めて優れた焼き菓子の製造が可能になった。
【0029】
本発明は小麦粉と澱粉変性品を併用して生地を調製することからなる焼き菓子の製造法であるが、本発明をより明確にするために以下にその方法の一例を示す。
【0030】
攪拌機を装着したミキサーにマーガリン、ショートニングなどの油脂、砂糖、グルコースなどの糖類、食塩、バニラなどの香料、必要に応じて練乳などの液状の乳製品を投入し、高速で攪拌してエアーをよく抱き込んだクリームにする。この際、膨張剤として重炭酸アンモニウムのように難溶性のものを使用する場合には、予め練りこみ用の水、卵、牛乳などの液体の一部又は全部に溶解して液状にしてからミキサーに投入し、残りの練りこみ用の水、卵、牛乳などを少しずつ添加して十分に攪拌をする。
【0031】
次に小麦粉、本発明の澱粉変性品、全脂又は脱脂粉乳などの粉末状の乳製品、重炭酸ナトリウムなどのように易溶性の膨張剤、必要に応じて粉末状の乳化剤を混合し篩を通過させて塊を除去した粉末ミックスを上記のクリームに添加し、低速で短時間攪拌して焼き菓子用の生地を得る。尚、ハードビスケットの場合、中〜高速で長時間攪拌し、グルテン網を最高に発展させた後にもオーバーミキシングしてグルテン網の一部を切り、生地の伸展性を調節することも多い。。
【0032】
得られた生地の硬さに応じて、ロータリモルダー、カッテイングマシン、ルートプレス、ワイヤーカット、ディポジッターなどの成形機を適宜選別して、所望の大きさや形に成形する。
【0033】
成形された生地を例えば電気又はガス等を熱源とする連続式のトンネルオーブンに入れ、160〜300℃て焼成するが、ソフトタイプの焼き菓子は温度を低めに、ハードタイプの焼き菓子には温度を高めにして焼成するのが一般的である。
【0034】
本発明に於いては、原則としてその製造法は、従来の製造法を適宜選択して使用することができ、上記好ましい製造法の一つを必ず使用しなければならないというものではない。
【0035】
また使用する原料も、上記特定の澱粉変性品以外は、従来から使用されきたものが使用される。例えば、糖類としては、砂糖、グルコース、異性化糖、マルトース、水飴など、油脂としては、バター、マーガリン、ショートニング、サラダ油など、乳製品としては、牛乳、練乳、粉乳、ホエイ、チーズなど、卵製品としては、生、冷凍、或は乾燥した全卵、卵黄、卵白、膨張剤としては、重炭酸アンモニウム、重曹、イーストなど、香料としては、バニラフレーバ、ミルクフレーバ、オレンジフレーバ、チョコレートオイルなど、香辛料としては、シナモン、パプリカ、ジンジャー、ナツメグ、天然又は合成の色素などが例示できる。これらの原料の使用割合としても、従来の割合から適宜選択して決めれば良い。
【0036】
【実施例】
以下に本発明を参考例、実施例でもって説明するが、いずれの例でも部は重量部を表す。
【0037】
【参考例1】
30℃の水125部に馬鈴薯澱粉50部とタピオカ澱粉50部を分散したスラリーを調製し、攪拌下で3%水酸化ナトリウム溶液を添加し、pHを10.8〜11.2に維持しながら、表1に示す割合で次亜塩素酸ソーダ溶液を添加し、活性塩素が残存しなくなった時点(オルトトリジン溶液で確認)で塩酸を使用して中和後、水洗、脱水、乾燥して得た試料No.1〜No.4の次亜塩素酸ソーダ処理澱粉の粘度を表1に示した。これらの粘度は、固形分6重量%濃度のスラリーをブラベンダーアミログラフを用いて加熱した時の加熱時のピーク粘度で、反応前の澱粉の粘度(測定では1200BU)を100とした時の割合で表した。
【0038】
【表1】
Figure 0003702358
【0039】
【参考例2】
25℃の水120部
に表1に示す原料澱粉100部を分散したスラリ−を調製し、撹拌下でそれぞれに3%水酸化ナトリウム溶液16.7部を添加し、表1に示す割合で酢酸ビニ−ルモノマ−を加えて30分間反応させた後、10%硫酸溶液で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.5〜11のアセチル化澱粉を得た。その置換度を表1に示した。
【0040】
【表2】
Figure 0003702358
【0041】
【参考例3】
水120部に硫酸ナトリウム10部を溶解し、表3に示す原料澱粉100部を分散させたスラリーを調製し、攪拌下でそれぞれに3%水酸化ナトリウム溶液を加えてpH11.1〜11.3に維持しながら、表3に示すトリメタリン酸ソーダを添加し、40℃で10時間反応した後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して得た試料No.15〜21の架橋澱粉の膨潤度を表2に示した。
【0042】
【表3】
Figure 0003702358
【0043】
【実施例1】
ケンミックス アイコープロKM(商品名:株式会社愛工舎製作所販売のミキサー)にショートニング、マーガリン、バニラエッセンス、食塩、上白糖を表4の割合で投入し、500rpmで2分間攪拌し、攪拌を停止して攪拌機、容器内壁に付着したクリームをヘラでそぎ落とす。このような攪拌操作を3回繰り返す。
【0044】
次いで、重炭酸アンモニウム0.3部を水16部に溶解した重炭酸アンモニウムの水溶液をミキサーに添加し、上記と同様に500rpmで2分間攪拌する操作を3回繰り返す。
【0045】
次に小麦粉としてフラワー(商品名:日清製粉製の薄力粉)80部、澱粉質試料として参考例1の試料No.1〜No.4の次亜塩素酸ソーダ処理澱粉を20部又はその時に使用した未変性の原料澱粉20部を用い、重曹(重炭酸ナトリウム)0.3部を表4の重量割合で混合し、篩を通過させた粉末ミックスをミキサーに投入し、大きな気泡が入らないようにヘラを用いて切るような混合をする操作を60回行ってから、攪拌速度150rpmで30秒間混合し、攪拌を停止してヘラで攪拌機、容器内壁に付着した内容物をそぎ落し、再度150rpmで30秒間攪拌をしてから攪拌を停止し、得られた生地をラップに包んで15分間室温で放置する。放置後の生地を20gずつ団子状にし、団子状にした生地6個を等間隔で油を薄く塗りつけたアルミ製の天板(40cm×30cm×20mm)に乗せ、麺棒で厚さ3.6mmまで伸ばし、内径55mmの型で抜く。型抜きで生じた余分の生地を取り除いてから、天板を170℃に設定したNCM−Gコンポミニオーブン(商品名:三幸機械製のオーブン)に入れ、10分間焼成して標準的なビスケット(ソフトビスケットとハ−ドビスケットの中間程度の食感)を製造した。得られたビスケットを室温で45分間程度冷却し、ポリエチレンの袋に入れてシールして試料とする。粉末ミックスに薄力粉100部と重曹0.3部を使用したビスケットを対照にし、サクサク感、口溶けを下記のように評価した結果を表5に示す。
【0046】
Figure 0003702358
【0047】
【表4】
Figure 0003702358
【0048】
【表5】
Figure 0003702358
*1. 試料No.1〜試料No.4の製造に使用したもの。
*2. 固形分6重量%スラリーの加熱時のピーク粘度で、原料澱粉の値を100とする。
【0049】
【実施例2】
澱粉質試料として参考例2の試料No.5〜No.11のアセチル化澱粉又は未変性のコーンスターチを用いた以外、実施例1と同じようにしてビスケットを製造して評価した結果を表6に示した。尚、表6の原料澱粉の項目でタピオカ澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチは、それぞれタピオカ、ワキシー、コーンと表記した。
【0050】
【表6】
Figure 0003702358
【0051】
【実施例3】
澱粉類として参考例3の試料No.12〜試料No.18の架橋澱粉を用いた以外、実施例3と同じようにしてビスケットを製造して評価した結果を表7に示した。尚、表3の原料澱粉の項目でワキシーコーンスターチ、コーンスターチはそれぞれ、ワキシー、コーンと表記した。
【0052】
【表7】
Figure 0003702358
【0053】
【実施例4】
小麦粉と試料No.7のアセチル化澱粉を表8の割合で使用した以外、実施例1と同じようにビスケットを製造して評価した結果を表8に示した。
【0054】
【表8】
Figure 0003702358
【0055】
【実施例5】
小麦粉としてオーム(商品名:日清製粉製の中力粉)を用い、小麦粉、澱粉変性品、その他の成分を表9の割合にし、小麦粉100部を用いたものを対照例としてハードビスケットを製造した。その際、含水結晶ブドウ糖3部を甘味剤の一部として用い、脱脂粉乳2部を粉末ミックスに添加し、重炭酸アンモニウム0.40部を全卵液3.5部と水18部に溶解し、実施例1に準じて生地を調製したが、最終攪拌を150rpmで2分間にした。得られた生地を18gずつ団子状にし、厚み2.1mmに伸ばして直径55mmに型抜きし、温度180℃で9分間焼成した。
【0056】
澱粉変性品として試料No.3の次亜塩素酸ソーダ処理澱粉、試料No.7のアセチル化澱粉、試料No.14の架橋澱粉を用い、実施例1に準じた基準でハードビスケットのサクサク感と口溶けを評価した結果を表10に示した。
【0057】
【表9】
Figure 0003702358
【0058】
【表10】
Figure 0003702358
【0059】
【実施例6】
小麦粉としてフラワーを用い、小麦粉、澱粉変性品、その他の成分を表11の割合にし、小麦粉100部を用いたものを対照例としてクッキーを製造した。その際、脱脂粉乳3部を粉末ミックスに添加し、油脂としてはマーガリンのみを用い、重炭酸アンモニウム0.4部を全卵液20部に溶解し、実施例1に準じて調製した生地を28gずつ団子状にし、厚み4.8mmに伸ばして直径55mmに型抜きし、温度160℃で12分間焼成した。
【0060】
澱粉変性品として試料No.3の次亜塩素酸ソーダ処理澱粉、試料No.7のアセチル化澱粉、試料No.14とNo.16の架橋澱粉を用い、実施例1に準じた基準でクッキーのサクサク感と口溶けを評価した結果を表12に示した。
【0061】
【表11】
Figure 0003702358
【0062】
【表12】
Figure 0003702358
【0063】
【実施例7】
実施例4の小麦粉87部と試料No.7のアセチル化澱粉13部を、小麦粉87部、試料No.7のアセチル化澱粉7部、試料No.14の架橋澱粉6部にした以外同じようにしてビスケットを製造した。得られたビスケットはほぼ同じようにサクサク感があって、口溶けも良好であった。

Claims (2)

  1. 焼き菓子の製造に際し、小麦粉95〜50重量部に対して、次亜塩素酸ソーダ処理澱粉、置換度が0.01〜0.04のアセチル化澱粉及び膨潤度が4〜15の架橋澱粉から選ばれた澱粉変性品の少なくとも1種類を、5〜50重量部使用することを特徴とする焼き菓子の製造法。
  2. 小麦粉と澱粉変性品を小麦粉:澱粉変性品=90〜70:10〜30の重量比率で使用する請求項1に記載の焼き菓子の製造法。
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