JPH1084874A - フラワーペーストの製造法 - Google Patents

フラワーペーストの製造法

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JPH1084874A
JPH1084874A JP26135996A JP26135996A JPH1084874A JP H1084874 A JPH1084874 A JP H1084874A JP 26135996 A JP26135996 A JP 26135996A JP 26135996 A JP26135996 A JP 26135996A JP H1084874 A JPH1084874 A JP H1084874A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】連続製造が可能で充填適正、保形性、保存性、
耐熱性を有すると共に、特に食感的に優れたフラワーペ
ーストを提供すること。 【解決手段】フラワーペーストの製造に際し、膨潤度が
5〜25で、且つ、アセチル基及び/又はヒドロキシプ
ロピル基の平均置換度が0.02〜0.2である膨潤調
節澱粉と、高温域では低粘性で冷却すると急激に増粘す
る特性を有する低温易増粘性澱粉とを50:50〜9
0:10の割合(重量)で澱粉質原料として使用するこ
と。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はフラワーペーストの
製造法に関し、更に詳しくは食感の良好なフラワーペー
ストの製造法に関する。
【0002】
【従来技術】フラワーペーストは澱粉質を水、糖類、油
脂などと共に加熱してペースト状にしたもので、パンや
菓子類のフィリングやトッピングの材料として広く用い
られている。しかし、フラワーペーストは澱粉質を糊化
することによりその状態を形成しているので、食感的に
澱粉糊様感を有することは避けられないところであっ
た。特に、フィリングの材料として用いる場合、生地に
包み込んで焼成するので、焼成中の熱によりフラワーペ
ーストが形崩れしないように、高粘性のペーストに調製
されているので、一般的に重くて口溶けが悪く、舌にま
とわりつくような澱粉糊特有の食感を残したものになっ
ている。
【0003】近年、フラワーペーストに限らず食品に対
する一般的な傾向として、ソフトで口溶けの良いものが
好まれ、特にフラワーペーストの場合はその製法上、極
端な表現をすれば澱粉糊の食感となって最近の嗜好に合
わない欠点を有していた。この点を含めた食感の改善に
多くの方法が提案されている。
【0004】例えば、油脂含量を多くする(特開昭48
−40975号)、蛋白部分加水分解物を用いてホイッ
プドフラワーペーストにしてソフトな食感にする(特開
昭60−256330号)、アミロペクチンを主体とす
る澱粉、油脂、糖類などの特定量を用いてUHT処理す
る(特開昭63−22148号)、澱粉、小麦粉を全卵
と混合した後、その他の原材料と混合して加熱する(特
開平2−31647号)、カラギーナンとタマリンドガ
ムを配合する(特開平4−36150号)などが提案さ
れているが、十分に満足し得る状況に至っていない。
【0005】一方、フラワーペーストの澱粉質として
は、基本的に小麦粉とコーンスターチが用いられてい
た。近年、生産性、衛生的観点から連続的に95℃以上
で加熱処理されるようになり、その際の高温下での機械
的剪断力により、未加工の澱粉質では保形性がなくなる
ので、この機械的剪断力に耐えられるように加工した澱
粉、例えば架橋澱粉、架橋エーテル化澱粉、湿熱処理澱
粉などの加工澱粉が用いられている。このような加工澱
粉のペーストは粘着性が少なく、ショートなテクスチャ
ーとなるが、それでも澱粉糊様感はさして改善されず、
なるべく高粘性の加工澱粉で添加量を少なくして、澱粉
糊様感を軽減する方向にある。
【0006】
【本発明が解決しようとする課題】本発明が解決しよう
とする課題はフラワーペーストとして一般に求められる
特性、即ち、連続製造が可能で充填適正、保形性、保存
性、耐熱性を有すると共に、特に食感的に優れたフラワ
ーペースト、即ち、澱粉質でボデーを形成していながら
澱粉糊様感がなく、口溶けの良いフラワーペーストの提
供にある。
【0007】
【課題を解決する為の手段】かかる現状に鑑み、上述の
課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、フラワーペー
ストの製造に際し、特定の膨潤調節澱粉と低温易増粘性
澱粉を特定比率で使用することにより、本発明の課題が
解決されることを見いだして本発明を完成した。
【0008】即ち、本発明はフラワーペーストの製造に
際し、膨潤度が5〜25で、且つ、アセチル基及び/又
はヒドロキシプロピル基の平均置換度が0.02〜0.
2である膨潤調節澱粉と、高温時は低粘性で冷却すると
急激に増粘する特性を有する低温易増粘性澱粉を50:
50〜90:10の割合(重量)で澱粉質原料として使
用することにより達せられる。
【0009】本発明に使用する膨潤調節澱粉は、5〜2
5の膨潤度と0.02〜0.2の置換度を有するリン酸
架橋ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋アセチル澱
粉、アジピン酸架橋アセチル澱粉から選ばれる一種又は
二種以上を50重量%以上含有することが好ましい。ま
た、低温易増粘性澱粉は、糊化して10重量%の濃度で
粘度を測定するとき、60℃で50〜500cps、3
0℃での粘度が60℃に於ける粘度の5倍以上である特
性を有することが好ましく、更に小麦澱粉及び/又はサ
ゴ澱粉を原料とし、次亜塩素酸ソーダで処理した澱粉で
あることが好ましい。
【0010】
【発明の作用】本発明でフラワーペーストとは小麦粉、
コーンスターチ、加工澱粉などの澱粉質、砂糖や水あめ
などの糖類、マーガリンやショートニングなどの油脂類
の他、必要に応じて乳製品、卵、チョコレートやココア
などの呈味成分、香料、着色料、天然ガムなどを水に加
えて混合し、乳化、加熱して澱粉質を糊化してペースト
状、或はシート状にしてパン類或は菓子類に充填(フィ
リング)或は塗布(トッピングなど)して食されるもの
を総称する。
【0011】本発明で用いる低温易増粘性澱粉は、高温
域では低粘性を示し、冷却して低温にすると急激に増粘
する特性を有する澱粉を指称し、具体的には10重量%
濃度で糊化して60℃で測定した粘度が20〜1000
cps、好ましくは50〜500cpsで、且つ、30
℃で測定した粘度が60℃に於ける粘度の3.5倍以
上、好ましくは5倍以上となる粘度特性を有する澱粉を
指称する。
【0012】一般にフラワーペーストの製造に用いられ
ている澱粉の場合、60℃の粘度は数千cps以上で、
且つ30℃での粘度も60℃の1.5〜2倍程度であ
る。例えば、コーンスターチの粘度は60℃で約160
00cps、30℃で約29000cps(60℃の約
1.8倍)であり、該澱粉はフラワーペーストに用いる
澱粉としては特異的な粘度特性を有する。
【0013】60℃に於ける粘度が1000cpsを越
える澱粉、或は20cpsに満たない澱粉、又は30℃
に於ける粘度が60℃の粘度の3.5倍に満たない澱粉
では、澱粉糊様感をなくして口溶けを改善する効果に劣
る。 尚、本発明で述べる粘度は、試料20gを200
mlのガラスビーカーに採り、脱イオン水180gを加
え、沸騰浴中で撹拌しながら90℃まで加熱して糊化
後、流水にて冷却し、加熱中に生じた蒸発水分を補充し
て60℃及び30℃にてB型粘度計を用いて測定する。
【0014】かかる低温易増粘性澱粉は、水に懸濁した
澱粉に酸又は酸化剤を作用させて、澱粉粒の状態で澱粉
分子を切断して低分子化して、上述の粘度になるように
する。その際、60℃の粘度は澱粉の低分子化の程度を
調節することにより容易に所定の範囲にし得るが、更に
30℃の粘度が所定範囲になる特性を得るには、澱粉を
低分子化する条件を選ぶことで得られ易くなる。即ち、
酸を用いる場合は澱粉が糊化しない範囲のなるべく高
温、例えば40〜55℃で、酸化剤を用いる場合は高p
H域(例えばpH10以上)で比較的低温、例えば20
〜35℃で、60℃の粘度が所定範囲になるまで作用さ
せるのが好ましい。作用させる酸又は酸化剤の量は、用
いる原料澱粉の種類及び作用させる時間によって異なる
ので、これらを加味して所定粘度の該澱粉が得られる条
件を選択する。
【0015】低温易増粘性澱粉の製造に用いる酸として
は、塩酸、硫酸、蓚酸などが例示されるし、酸化剤とし
ては次亜塩素酸ソーダ、過酸化水素、過硫酸アンモンな
どが例示される。また、用いられる原料澱粉は市販の澱
粉、例えば馬鈴薯澱粉、コーンスターチ、小麦澱粉、タ
ピオカ澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、緑豆澱粉、ハイアミロ
ースコーンスターチなどいずれも使用できる。これらの
中で、小麦澱粉及び/又はサゴ澱粉を原料とし、次亜塩
素酸ソーダを用いて製造された低温易増粘性澱粉が最も
効果的で好ましい。
【0016】本発明で使用する膨潤調節澱粉は、膨潤度
が5〜25で、且つ、アセチル基及び/又はヒドロキシ
プロピル基の平均置換度が0.02〜0.2である澱粉
を指称し、この要件を満たさない澱粉では本発明の効果
が得られなくなる。但し、平均置換度に関しては、0.
2を越えて高くなっても有効であるが、効果が変わら
ず、経済的でない。これらの要件は一種の澱粉だけで満
たす必要はなく、二種以上の澱粉を組み合わせて満たさ
れてもよく、要は膨潤調節澱粉として用いるものが全体
としてこの要件を満たしていればよい。従って、アセチ
ル基及び/又はヒドロキシプロピル基を有する澱粉と組
み合わせてこの要件を満たす範囲内で、未処理澱粉及び
澱粉が主成分の穀粉、或はこれらの官能基を含まない加
工澱粉を用いることもできる。
【0017】膨潤度は澱粉を加熱して糊化した際の澱粉
粒の膨潤程度を表す指標で、下記の方法によって測定さ
れる。この膨潤度も一種又は二種以上を混合して満たさ
れればよいが、二種以上用いる場合でもそれぞれがこの
範囲の膨潤度を有する澱粉であると、混用比率がこの要
件で制約されなくて好ましい。この範囲の膨潤度を有す
る澱粉としては、未処理澱粉ではコーンスターチ、小麦
澱粉、米澱粉など、及びこれらが主成分であるコーンフ
ラワー、小麦粉、米粉などが例示される。加工澱粉とし
ては膨潤度がこの範囲内に加工した漂白澱粉、湿熱処理
澱粉、架橋澱粉、架橋エーテル化澱粉、架橋エステル化
澱粉が挙げられる。
【0018】<膨潤度>乾燥物換算で試料1.0gを純
水100mlに分散し、90℃で30分間加熱後30℃
に冷却する。次いで、この糊化液を遠心分離(3000
rpm、10分間)してゲル層と上澄液に分け、ゲル層
の重量を測定してこれをAとする。次に、重量測定した
ゲル層を乾固(105℃、恒量)して重量を測定してこ
れをBとし、A/Bで膨潤度を表す。
【0019】また、本発明の膨潤調節澱粉を特定するも
う一つの要因であるアセチル基及び/又はヒドロキシプ
ロピル基の平均置換度は、該澱粉中のこれら官能基の置
換度の平均値を表す。該澱粉としては、アセチル基及び
/又はヒドロキシプロピル基を持つ澱粉を含むことが必
須であるが、これらの置換基を含まない澱粉を併用する
こともでき、その場合でも平均置換度が上述の範囲にな
けねばならないし、逆に、この範囲になるように用いる
澱粉の比率を選択することができる。
【0020】アセチル基及び/又はヒドロキシプロピル
基を含む澱粉としては、アセチル澱粉やヒドロキシプロ
ピル澱粉も用い得るが、これらは基本的に膨潤度が大き
くて膨潤調節澱粉の一部にしか使用できず、膨潤度を調
節できるリン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架
橋アセチル澱粉、アジピン酸架橋アセチル澱粉から選ば
れる一種又は二種以上が好ましい。他の官能基を持つ澱
粉、例えばリン酸架橋コハク酸澱粉、リン酸架橋リン酸
澱粉などでは本発明の効果が得られ難い。尚、置換度は
澱粉のグルコース残基当たりのヒドロキシプロピル基又
はアセチル基のモル数で表す。
【0021】本発明の膨潤調節澱粉として好ましくは、
5〜25の膨潤度と0.02〜0.2の置換度を有する
リン酸架橋ヒドロキシプロピル澱粉、リン酸架橋アセチ
ル澱粉及びアジピン酸架橋アセチル澱粉から選ばれる一
種又は二種以上を50重量%以上含有し、且つ、膨潤調
節澱粉が全体として5〜25の膨潤度と0.02〜0.
2の置換度を有する澱粉である。このような膨潤調節澱
粉を用いることにより、本発明の効果がより顕著に発現
する。
【0022】膨潤調節澱粉に用いるリン酸架橋ヒドロキ
シプロピル澱粉は、澱粉にプロピレンオキサイドでヒド
ロキシプロピル化すると共に、メタリン酸塩又はオキシ
塩化リンで架橋した澱粉であり、リン酸架橋アセチル澱
粉は無水酢酸又は酢酸ビニールでアセチル化すると共に
上記リン酸架橋を、アジピン酸架橋アセチル澱粉は無水
酢酸とアジピン酸でアセチル化とアジピン酸架橋した澱
粉である。これらを本発明の架橋加工澱粉と称する。
【0023】本発明の架橋加工澱粉は常法に従って製造
することができ、その膨潤度は架橋を強くすると小さく
なり、ヒドロキシプロピル化又はアセチル化の程度が大
になると大きくなるので、両者を適度に組み合わせて調
節する。ヒドロキシプロピル化又はアセチル化の程度は
置換度で表される。
【0024】また、本発明の架橋加工澱粉の製造に用い
られる原料澱粉は、市販の澱粉、例えば馬鈴薯澱粉、ワ
キシーコーンスターチ、タピオカ澱粉、サゴ澱粉、小麦
澱粉、粳米澱粉、糯米澱粉、コーンスターチなどいずれ
も用いることができる。
【0025】本発明はフラワーペーストの製造に際し、
上述の膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉を50:50〜
90:10の割合(重量)で両者を併用する。両者の割
合がこの範囲を逸脱すると、本発明の効果が得られなく
なる。
【0026】更に、本発明は上記割合の両者を原則とし
て澱粉質原料として使用する。目的物フラワーペースト
に於ける割合としては通常4〜15重量%程度となる。
本発明に於いては、このように特定の上記澱粉を併用す
ることにより、澱粉を用いてボデーを形成しながら澱粉
糊状感がなくて口溶けがよく、顕著に改善された食感を
有するフラワーペーストが得られる。この添加量はフラ
ワーペーストの種類、使用目的などにより選択され、例
えばクリームパンのように充填して焼成する場合には添
加量を多くし、シュークリームのように焼成後に充填、
或は塗布して食する場合には少ない添加量でも有効であ
る。添加量が4重量%未満ではボデー形成が劣り、15
重量%を越えて多くすると食感、口溶けが悪くなってく
る。 本発明に於けるフラワーペーストの製造は、澱粉
質として膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉を使用する以
外は特に制限はなく、従来の製造法を踏襲することがで
きる。例えば、この澱粉質、糖質、蛋白性原料他を清水
中に加えて撹拌、混合し、これに油脂類を加えて乳化さ
せ、バッチ釜又はオンレーターなどの連続式加熱装置を
用いて95〜110℃に加熱して澱粉質を糊化した後、
冷却すれば目的のフラワーペーストが得られる。その
際、膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉は両者を予め混合
して添加することもできるし、別々に添加してもよい。
【0027】一般に、フラワーペーストには上述の澱粉
質以外の原材料として、マーガリン、バター、ショート
ニング、サラダ油などの油脂類、砂糖、グルコース、マ
ルトース、水あめ、異性化糖、トレハロース、各種オリ
ゴ糖などの糖類、ソルビット、マルビットなどの糖アル
コール、澱粉分解物、還元澱粉分解物などのデキストリ
ン、全脂粉乳、脱脂粉乳、脱脂練乳、牛乳、濃縮乳など
の乳製品、クエン酸、リンゴ酸、乳酸などの酸味量、全
卵、卵黄、卵白、カゼイン、ゼラチンなどの蛋白質類、
ココア、チョコレート、ピーナツペースト、フルーツ果
肉、果汁などの呈味成分、蔗糖脂肪酸エステル、脂肪酸
モノグリセライド、オクテニルコハク酸エステル澱粉な
どの乳化剤、カラギーナン、寒天、タマリンド種子ガ
ム、ジュランガムなどの天然ガム類、バニラなどの各種
フレバー、食塩、リン酸塩などの塩類などが用いられて
いて、本発明に於ても所望に応じて適宜これらを使用す
ることができる。
【0028】本発明によって得られるフラワーペースト
は、一般にフラワーペーストに求められる基本的特性、
即ち連続製造が可能で充填適正、保形性、保存性、耐熱
性を有するなどの他に、特に食感的に優れたフラワーペ
ースト、即ち、澱粉糊状感がなくて口溶けがよく、パン
類、菓子類に充填、或は塗布して用いて近年の嗜好にマ
ッチした好ましい食感が得られる。
【0029】次に参考例、実施例を挙げ、更に詳しく本
発明を説明する。尚、参考例、実施例で部及び%とある
は、重量部及び重量%を示す。
【0030】
【参考例1】水120部に硫酸ソーダ10部を溶解した
液に、コーンスターチ100部を加えたスラリーを5点
調製し、撹拌下に3%苛性ソーダ水溶液を加えて約pH
11.3に維持しながら、トリメタリン酸ソーダを0.
006部、0.02部、0.1部、0.25部、1.2
部、それぞれに加え、39℃で15時間反応した後、塩
酸でpH9.5に中和し、25℃に冷却する。次いで3
%苛性ソーダ水溶液でpH8〜9.5に維持しながら無
水酢酸8部をそれぞれに加えてアセチル化し、塩酸で中
和、水洗、脱水、乾燥して試料No.1〜5の膨潤度の
異なるリン酸架橋アセチル澱粉を得た。これらの置換度
と膨潤度を表1に示す。
【0031】
【参考例2】水120部に硫酸ソーダ25部を溶解した
液に、タピオカ澱粉100部を加えたスラリーを3点調
製し、撹拌下に3%苛性ソーダ水溶液を35部、トリメ
タリン酸ソーダ0.12部、プロピレンオキサイド0
部、1.5部、10部をそれぞれに加え、43℃で18
時間反応後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料
No.6〜8のリン酸架橋澱粉及びリン酸架橋ヒドロキ
シプロピル澱粉を得た。これらの置換度及び膨潤度を表
1に示す。
【0032】
【参考例3】参考例1に於て、トリメタリン酸ソーダの
添加量を0.1部、無水酢酸に替えて無水コハク酸を8
部添加した他は同様に処理して、試料No.9のリン酸
架橋コハク酸澱粉を得た。これの置換度と膨潤度を表1
に示す。
【0033】
【参考例4】サゴ澱粉100部を水120部に分散した
スラリーを6点調製し、3%苛性ソーダ水溶液を加えて
pH10.9〜11.1に維持しながら、25〜27℃
で市販の次亜塩素酸ソーダ液を8.5部、7部、6部、
4.5部、4部、3部それぞれに加えて5時間処理した
後、塩酸で中和し、水洗、脱水、乾燥して試料No.1
0〜15を得た。それぞれの粘度を表2に示す。
【0034】
【参考例5】参考例4に於て、サゴ澱粉を小麦澱粉とコ
ーンスターチに替え、次亜塩素酸ソーダを6.5部加え
た他は同様に処理して試料No.16(小麦澱粉)と試
料No.17(コーンスターチ)を得た。これらの粘度
は表2に示す。
【0035】
【参考例6】小麦澱粉と馬鈴薯澱粉各100部をそれぞ
れ水120部に分散し、50%硫酸5部をそれぞれに加
え、45℃で6時間処理した後、苛性ソーダで中和し、
水洗、脱水、乾燥して試料No.18(小麦澱粉)と試
料No.19(馬鈴薯澱粉)を得た。これらの粘度を表
2に示す。
【0036】
【参考例7】参考例4に於て、サゴ澱粉をタピオカ澱粉
とワキシーコーンスターチに換え、次亜塩素酸ソーダの
添加量を5部とし、処理温度40℃、処理時間を4時間
とした他は同様に処理して試料No.20(タピオカ澱
粉)と試料No.21(ワキシーコーンスターチ)を得
た。これらの粘度を表2に示す。
【0037】
【実施例1】膨潤調節澱粉として種々の澱粉を用い、下
記配合割合でフラワーペーストを製造した。配合割合の
内、ショートニングを除く原材料を撹拌混合しながら約
60℃に加温し、これに溶融したショートニングを加え
て均質化し、97℃で5分間加熱した後冷却した。得ら
れたフラワーペーストを次の評価基準に従って評価し、
その結果を表1に示す。尚、膨潤調節澱粉としては参考
例1〜3で得た試料No.1〜9及び試料No.A(コ
ーンスターチ45部、小麦粉20部、試料No.7を3
5部の混合物)、試料No.B(コーンスターチ40
部、小麦粉20部、試料No.8を40部の混合物)、
試料C(コーンスターチ25部、小麦粉15部、試料N
o.8を60部の混合物)、試料No.D(試料No.
1を40部と試料No.4を60部の混合物)及び試料
No.E(「Farinex W-50」アベベ社製のアジピン酸架
橋アセチル澱粉)を用いた。
【0038】<配合割合> 膨潤調節澱粉(試料No.1−9) 7.5 部 低温易増粘性澱粉(試料No.13) 2.5 部 砂糖 18 部 水あめ 15 部 脱脂粉乳 3 部 ショートニング 3 部 乾燥全卵 0.5 部 クエン酸 0.05部 カラギーナン 0.1 部 フレーバー、着色料 適量 水 50部
【0039】<評価基準> 食感; ◎:ソフトで澱粉糊様感がない ○:ややソフトで澱粉糊様感がほとんどない △:やや重くて澱粉糊様感がある ×:重くて澱粉糊様感が強い 口溶け;◎:良好 ○:やや良好 △:やや不良 ×:不良 耐熱性;フラワーペーストの一定量(約10g)をガラ
ス板上に花模様状に置き、180℃で15分間加熱後の
形状変化を観察して評価する。 ◎:形状に変化は見られない ○:形状にほとんど変化は見られない △:幾分形状に変化が見られる ×:形状に変化が見られる 安定性;調製したフラワーペーストを6〜8℃に保存
し、食感、口溶け、形状のいずれかでも変化する日数を
見る。 ◎:調製時の食感、口溶け、形状が10日以上変化しな
い ○:調製時の食感、口溶け、形状が5〜10日は変化し
ない △:調製時の食感、口溶け、形状が3〜4日で変化する ×:調製時の食感、口溶け、形状が1〜2日以内に変化
する
【0040】
【表1】
【0041】
【実施例2】膨潤調節澱粉として試料No.3を、低温
易増粘性澱粉として種々の澱粉を用い、実施例1に従っ
てフラワーペーストを製造し、評価した結果を表2に示
す。尚、低温易増粘性澱粉としては参考例4−7で得た
試料No.10−21を用いた。
【0042】
【表2】
【0043】
【実施例3】実施例1に於て、膨潤調節澱粉として試料
No.3、低温易増粘性澱粉として試料No.16を用
い、両者の比率及び両者を合わせた添加量を表3に示す
通りにした他は、実施例1と同様にしてフラワーペース
トを製造し、評価した結果を表3に示す。
【0044】
【表3】
【0045】
【実施例4】牛乳55部に卵黄10部を加えて均一に混
合後、砂糖12.5部、マルトース(「サンマルト」林
原社製)10部、グリシン1部、膨潤調節澱粉としての
試料No.2を60部と小麦粉20部の混合物(膨潤度
19.6、平均置換度0.056)に低温易増粘性澱粉
としての試料No.12の20部を混合したものを3部
(A処方)と4.5部(B処方)及びバニラエッセンス
を適量添加して撹拌混合し、オンレーター(桜製作所社
製)にて連続的に98℃に加熱し、冷却してシュークリ
ームを製造した。B処方で得られた製品はソフトで澱粉
糊様感もなく、口溶けの良好な食感を有し、しかも保形
性に優れていたが、A処方で得られた製品はやや舌にま
とわりつくような澱粉糊様感があり、口溶け、保形性の
点でもやや劣っていた。
【0046】
【実施例5】下記配合割合の内、マーガリンを除く成分
を水に加えて均一に混合して55℃に加温し、これに融
解したマーガリンを加えて均質化し、オンレーターにて
連続的に105℃に加熱し、冷却してフラワーペースト
を製造した。尚、ここで用いた膨潤調節澱粉の膨潤度は
16.1、平均置換度は0.124であり、膨潤調節澱
粉と低温易増粘性澱粉の割合は74.5:25.5であ
る。得られたフラワーペーストをパン生地で包んで焼成
して得たクリームパンのクリームは、焼成時に形状は変
化せず、ソフトで澱粉糊様感もない口溶けの良好な食感
を有していた。また、ここで得たフラワーペーストは冷
蔵庫に1週間保存後も形状、食感、口溶けに何ら変化は
見られなかった。
【0047】 <配合割合> 膨潤調節澱粉 試料No.8 5.0 部 コーンスターチ 1.5 部 小麦粉 0.5 部 低温易増粘性澱粉(試料No.16) 2.4 部 砂糖 10.0 部 水あめ 15.0 部 HL−PDX(還元澱粉分解物、松谷化学工業社製) 10.0 部 脱脂粉乳 3.0 部 ショートニング 6.0 部 卵黄粉末 0.2 部 レシチン 0.1 部 脂肪酸モノグリセライド 0.1 部 食塩 0.1 部 クエン酸 0.05部 カラギーナン 0.1 部 フレーバー、着色料 適量 水 46.0 部

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フラワーペーストの製造に際し、膨潤度が
    5〜25で、且つ、アセチル基及び/又はヒドロキシプ
    ロピル基の平均置換度が0.02〜0.2である膨潤調
    節澱粉と、高温域では低粘性で冷却すると急激に増粘す
    る特性を有する低温易増粘性澱粉とを50:50〜9
    0:10の割合(重量)で澱粉質原料として使用するこ
    とを特徴とするフラワーペーストの製造法。
  2. 【請求項2】上記膨潤調節澱粉と低温易増粘性澱粉との
    合計量が、フラワーペースト組成物中4〜15重量%で
    ある請求項1に記載の製造法。
  3. 【請求項3】膨潤調節澱粉が、5〜25の膨潤度と0.
    02〜0.2の置換度を有するリン酸架橋ヒドロキシプ
    ロピル澱粉、リン酸架橋アセチル澱粉及びアジピン酸架
    橋アセチル澱粉から選ばれる一種又は二種以上を50重
    量%以上含有するものである請求項1に記載のフラワー
    ペーストの製造法。
  4. 【請求項4】低温易増粘性澱粉が、糊化して10重量%
    濃度の粘度を測定するとき、60℃で50〜500cp
    s、30℃での粘度が60℃に於ける粘度の5倍以上で
    ある特性を有するものである請求項1に記載のフラワー
    ペーストの製造法。
  5. 【請求項5】低温易増粘性澱粉が、小麦澱粉及び/又は
    サゴ澱粉を原料とし、次亜塩素酸ソーダで処理した澱粉
    である請求項1又は4に記載のフラワーペーストの製造
    法。
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