JP2021159077A - 食物繊維含有加工食品の粉っぽさを改善する方法 - Google Patents

食物繊維含有加工食品の粉っぽさを改善する方法 Download PDF

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Maiko Kobayashi
けい子 山來
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Abstract

【課題】食物繊維含有加工食品の喫食時の粉っぽさを改善し、本来の味を損なわない、より嗜好性に優れた食物繊維含有加工食品を提供する。【解決手段】粉体原料と食物繊維を含む食物繊維含有加工食品の粉っぽさを改善する方法であって、食物繊維含有加工食品に、食用油脂および乳化剤を含む油脂組成物を配合することを含む、方法である。好ましくは、加工食品が、食物繊維を、粉体原料と食物繊維の合計量に対し8質量%以上70質量%以下含む。【選択図】なし

Description

本発明は、食物繊維含有加工食品の粉っぽさを改善する方法に関する。
食物繊維は、消化酵素の作用を受けにくく、小腸を通って大腸まで達する食品成分であり、整腸効果だけでなく、血糖値上昇の抑制や血液中のコレステロール濃度の低下など、様々な生理機能があることが知られている。また、食物繊維は糖尿病や虚血性心疾患などの生活習慣病に対する予防効果も認められており、健康を維持するため積極的に摂取することが推奨されている。
食物繊維は、肉類や魚介類などの動物性食品にはほとんど含まれず、穀類、イモ類、豆類、野菜類、果実類、キノコ類などの植物性食品に多く含まれるため、食物繊維を効率的に摂取するためには、これらの植物性食品を毎日の食事の中にうまく取り入れる必要がある。
しかし、社会構造の変化に伴うライフスタイルの変化が背景となって食生活も変化しており、その結果、食物繊維の摂取量が不足する傾向にあり、食物繊維をできるだけ手軽に摂取できる方法が求められている。
食物繊維を手軽に摂取することを目的として、パン類、麺類および菓子類などに食物繊維を配合した食物繊維含有加工食品が提供されている(例えば、特許文献1乃至5)。しかし、食物繊維の配合量が一定量を超えると、喫食時に粉っぽさが残り、本来の味が損なわれる場合があった。
特開2016−202141号公報 特開2003−250431号公報 特開2014−140363号公報 特開2014−140364号公報 特開2016−174558号公報
このような状況下、喫食時の粉っぽさを改善し、本来の味を損なわない、より嗜好性に優れた食物繊維含有加工食品を提供できることが望ましい。
本発明は、下記の[1]乃至[8]に示したとおり、食物繊維含有加工食品の粉っぽさを改善する方法を提供しようとするものである。
[1]粉体原料と食物繊維を含む食物繊維含有加工食品の粉っぽさを改善する方法であって、
前記食物繊維含有加工食品に、食用油脂および乳化剤を含む油脂組成物を配合することを含む、前記方法。
[2]前記加工食品が、前記食物繊維を、前記粉体原料と前記食物繊維の合計量に対し8質量%以上70質量%以下含むものである、前記[1]に記載の方法。
[3]前記加工食品に含まれる粉体原料および食物繊維の合計100質量部に対する前記油脂組成物の配合比が0.5質量部以上10質量部以下である、前記[1]または[2]に記載の方法。
[4]前記加工食品に含まれる食物繊維100質量部に対する前記乳化剤の配合比が、0.1質量部以上3質量部以下である、前記[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の方法。
[5]前記加工食品に含まれる食物繊維が、レジスタントスターチおよび非澱粉系多糖類から選ばれる1種または2種以上である、前記[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の方法。
[6]前記乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン有機酸脂肪酸エステル、およびモノグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上である、前記[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の方法。
[7]前記食用油脂の10℃における固体脂含量が、0%以上20%以下である、前記[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の方法。
[8]前記加工食品が、パン類、麺類および菓子類からなる群より選ばれる、前記[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の方法。
本発明によれば、粉体原料と食物繊維を含む食物繊維含有加工食品の喫食時の粉っぽさを改善することができ、本来の味を損なわない、より嗜好性に優れた食物繊維含有加工食品を提供することができる。
以下、本発明について説明する。
本発明は、粉体原料と食物繊維を含む食物繊維含有加工食品の粉っぽさを改善する方法であって、前記食物繊維含有加工食品に、食用油脂および乳化剤を含む油脂組成物を配合することを含むことを特徴とする。
本発明によれば、食物繊維含有加工食品の喫食時の粉っぽさを改善することができ、本来の味を損なわないため、嗜好性の高い食物繊維含有加工食品を提供することができる。
ここで、食物繊維とは、人の消化酵素で消化されにくい食物中の難消化性成分の総体を意味する。
本発明において、喫食時の粉っぽさを改善する対象となる食物繊維含有加工食品は、粉体原料と食物繊維を含む加工食品であれば特に制限されない。
<粉体原料>
粉体原料としては、穀粉、澱粉、グルテン、膨張剤、食塩、甘味料、脱脂粉乳、風味パウダー、品質改良剤、全粉乳、ココアパウダー、チーズパウダーなど粉体であるものが挙げられる。
穀粉としては、小麦粉、米粉、大豆粉、ライ麦粉、大麦粉、とうもろこし粉、そば粉などが挙げられる。
小麦粉としては、特に制限されなく、例えば、強力粉、中力粉、薄力粉およびこれらの組合せを使用できるが、強力粉を用いることが好ましい。
米粉としては、特に制限されなく、例えば、うるち米粉、もち米粉を使用できる。
大豆粉としては、特に制限されなく、例えば、全脂大豆粉、脱脂大豆粉およびこれらの組合せを使用できる。
ライ麦粉、大麦粉、とうもろこし粉およびそば粉としては、食品に用いられるものであれば特に制限されない。
これらの穀粉は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
澱粉としては、特に制限されなく、未加工澱粉でも、加工澱粉でもよい。
未加工澱粉の由来としては、レギュラートウモロコシ(デントコーン)、もちトウモロコシ(ワキシーコーン)、高アミローストウモロコシ、うるち米、もち米、小麦、甘藷、馬鈴薯、もち種馬鈴薯、エンドウ豆、キャッサバおよびサゴヤシなどが挙げられるが、これらに制限されない。
加工澱粉としては、未加工澱粉に、アセチル化;リン酸モノエステル化等のモノエステル化;リン酸架橋、アジピン酸架橋などの架橋;ヒドロキシプロピル化等のエーテル化;酸化;酸処理;アルカリ処理;酵素処理;α化処理などの1種または2種以上が施されたものが挙げられる。ただし、後述の食物繊維の範疇のものは、澱粉由来であったとしても、ここでいう澱粉には含まない。
膨張剤としては、特に制限されなく、例えば、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、リン酸ナトリウムアルミニウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、硫酸ナトリウムアルミニウム、リン酸一カルシウムおよびこれらの組合せが挙げられる。
甘味料としては、特に制限されなく、グルコース、フルクトース、異性化糖などの単糖類、砂糖、マルトースおよびトレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、還元澱粉分解物、蜂蜜、糖蜜、メープルシロップ、アステルパームなどの合成甘味料、ステビアなどの天然甘味料およびこれらの組合せが挙げられる。
食物繊維含有加工食品における各粉体原料の含有量は特に制限されなく、加工食品の種類および目的に応じて適宜含有されていればよい。
<食物繊維>
食物繊維としては、水溶性であってもよく、難水溶性であってもよく、一般に加工食品に用いられるものであれば特に制限されないが、好ましくは難水溶性である。例えば、水溶性食物繊維としては、ペクチン、アルギン酸、難消化デキストリン、難消化性オリゴ糖などが挙げられ、難水溶性食物繊維としてはセルロース、ヘミセルロース、リグニン、小麦ふすま、大豆粉末、おからパウダーなどの非澱粉系多糖類;レジスタントスターチ(難消化性澱粉)が挙げられる。本発明では、これらの1種または2種以上を好ましく用いることができる。
ここで、レジスタントスターチは、澱粉に含まれる難消化性の画分であり、腸内環境改善作用、血糖値上昇抑制作用、コレステロール低下作用および脂質代謝改善作用などがあることが知られている。澱粉は植物内に多量に存在するため、比較的精製が容易であることから、レジスタントスターチは、非澱粉系多糖類と比べて安価に入手できる点で好ましい。
レジスタントスターチは、物理的および化学的性質からRS1(細胞壁などで物理的に消化されないもの)、RS2(澱粉粒自体に耐消化性があるもの)、RS3(老化澱粉)およびRS4(化工澱粉)の4種類に分類される。本発明では、これらのいずれを用いてもよく、これらの2種以上を組み合わせて用いてもよい。
レジスタントスターチの原料としての澱粉の由来としては、<粉体原料>の未加工澱粉の項で述べた由来のものが挙げられるが、これらに制限されない。
本発明の一実施態様では、レジスタントスターチとしては、アミロース含量が40%以上であるアミロース高含有澱粉を原料とし、この原料を無機酸水溶液中で酸処理して得られるレジスタントスターチが好ましく用いられる。
これらの中でも、
(a)AOAC公定法2002.02のレジスタントスターチ測定法によるレジスタントスターチ含有量が60%以上、
(b)分子量ピークが6×10以上4×10以下、
(c)分子量分散度が1.5以上6.0以下、および
(d)示唆走査熱量測定による50℃から130℃における糊化エンタルピーが10J/g以下
の各条件を満たすレジスタントスターチ高含有澱粉が特に好ましく用いられる。
なお、上記条件を満たすレジスタントスターチ高含有澱粉およびその製造方法については、国際公開第2011/5930号を参照することができる。
食物繊維含有加工食品における食物繊維の含有量は特に制限されなく、加工食品の種類に応じて含有されていればよい。より効率的に食物繊維を摂取することができ、喫食時の粉っぽさが感じられ易く、本発明の効果がより発揮されるといった点では、食物繊維を、粉体原料と食物繊維の合計量に対し、8質量以上70質量%以下含むことが好ましく、10質量以上70質量%以下含むことがより好ましく、15質量%以上60質量%以下含むことがさらに好ましく、20質量%以上55質量%以下含むことがさらにより好ましい。
なお、本明細書において、数値範囲を示すときは、各数値範囲の上限値と下限値を適宜組み合わせることができるものとする。
本発明の方法は、食物繊維含有加工食品に、食用油脂および乳化剤を含む油脂組成物を配合することを含む。食物繊維含有加工食品に油脂組成物を配合するタイミングは、油脂組成物を生地中に均一に配合できるタイミングであれば特に制限されない。例えば、食物繊維含有加工食品の原材料を混合する際に原材料と一緒に配合してもよく、原材料を混合して生地を調製した後に油脂組成物を配合してもよい。
<食用油脂>
本発明の方法で用いられる食用油脂は、特に制限されなく、例えば、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、大豆油、ナタネ(菜種)油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、オリーブ油、落花生油、カポック油、胡麻油、月見草油、カカオ脂、シア脂、サル脂、牛脂、乳脂、豚脂、魚油、鯨油などの各種油脂、ならびにこれらに水素添加、分別およびエステル交換から選択される1または2以上の処理を施した加工油脂などが挙げられる。本発明では、これらの1種または2種以上を好ましく用いることができる。
これらの中でも、食物繊維への油脂組成物の混合のしやすさの点から、食用油脂の10℃における固体脂含量は、0%以上20%以下が好ましく、0%以上15%以下がより好ましく、0%以上10%以下がさらに好ましく、0%以上5%以下がさらにより好ましく、0%以上3%以下がよりいっそう好ましく、約0%が特に好ましい。
なお、本発明において、食物繊維含有加工食品に配合される油脂組成物中の食用油脂の含有量は、油脂組成物の全量に対し、70質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましく、85質量%以上がさらにより好ましく、90質量%以上がよりいっそう好ましい。
<乳化剤>
本発明の方法で用いられる乳化剤は、特に制限されなく、例えば、レシチン、モノグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン有機酸脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどが挙げられる。本発明では、これらの1種または2種以上を好ましく用いることができる。
中でも、食物繊維の粉っぽさを改善する点で、モノグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン有機酸脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましく、モノグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上を用いることがより好ましく、ポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることがさらに好ましい。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均重合度は、食物繊維の粉っぽさを改善する点で、2以上15以下が好ましく、2以上12以下がより好ましい。
乳化剤のHLB値(Hydrophile Lipophile Balance/親水親油バランス)は特に制限されないが、食物繊維の粉っぽさを改善する点で、1以上11以下が好ましく、2以上9.5以下がより好ましく、3以上8以下がさらに好ましい。
乳化剤は、油脂組成物を配合する食物繊維含有加工食品に応じて適宜選択すればよい。
なお、本発明において、食物繊維含有加工食品に配合される油脂組成物中の乳化剤の含有量は、油脂組成物の全量に対し、1質量%以上20質量%以下が好ましく、3質量%以上18質量%以下がより好ましく、4質量%以上16質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上15質量%以下が特に好ましい。油脂組成物中の乳化剤の含有量は、食物繊維含有加工食品の種類および目的などに応じて適宜決定すればよい。
<他の成分>
油脂組成物には、本発明の目的および効果を阻害しない範囲であれば、任意に、食用油脂および乳化剤以外の他の成分を含んでいてもよい。
他の成分としては、特に制限されないが、カロテン等の着色料;香料;トコフェロール、アスコルビン酸エステル等の酸化防止剤などの油溶性成分が挙げられる。
これらの任意成分は、1種で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
なお、本発明において、食物繊維含有加工食品に配合される油脂組成物に含まれる食用油脂および乳化剤の合計量は、油脂組成物の全量に対し、70質量%以上が好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、95質量%以上が特に好ましく、99質量%以上がなおより好ましい。
また、本発明において、食物繊維含有加工食品に含まれる粉体原料および食物繊維の合計100質量部に対する前記油脂組成物の配合比は、0.5質量部以上10質量部以下であることが好ましく、3.5質量部以上7.5質量部以下であることがより好ましく、4.5質量部以上6.8質量部以下であることがさらに好ましく、5.5質量部以上6.4質量部以下であることが特に好ましい。
また、食物繊維含有加工食品に含まれる食物繊維100質量部に対する前記乳化剤の配合比は、0.1質量部以上3質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上2質量部以下であることがより好ましく、0.4質量部以上1.4質量部以下であることがさらに好ましく、0.5質量部以上1.2質量部以下であることが特に好ましい。
<食物繊維含有加工食品>
本発明によれば、粉っぽさ、特に、喫食時の粉っぽさが改善された食物繊維含有加工食品を提供することができる。
本発明において、食物繊維含有加工食品としては、粉体原料と食物繊維を含むものであれば特に制限されなく、粉体原料と食物繊維を含む生地を加熱処理して得られるものであれば特に制限されない。ここで「加熱」とは、例えば、90℃以上300℃以下で熱することを指し、通常のベイキングの他に、茹でる、揚げる、蒸すなどの処理も含まれる。本発明において、食物繊維含有加工食品としては、例えば、パン類、麺類、菓子類などが挙げられる。
パン類としては、例えば、食パン、ロールパン、デーニッシュ、クロワッサン、イーストドーナツ、揚げパン、蒸しパン、中華まん、ピザ、菓子パン、ブリオッシュ、バンズ、ナン、トルティーヤなどが挙げられる。
麺類としては、例えば、うどん、そば、素麺、ひやむぎ、パスタ、きしめん、中華麺、揚げ麺などが挙げられる。
菓子類としては、例えば、クッキー、ビスケット、ケーキ類などの洋風焼き菓子;ドーナツ類、かりんとうなどの揚げ菓子;煎餅、柿の種、おかきなどの米菓;澱粉煎餅などが挙げられる。
本発明の好ましい態様によれば、食物繊維含有加工食品の粉っぽさ、特に、食物繊維含有加工食品の喫食時の粉っぽさを改善することができ、粉っぽさに邪魔されることなく、本来の味が感じられ易くなるので、本来の味を損なわない、より嗜好性に優れた食物繊維含有加工食品を提供することができる。
次に実施例および比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに何ら制限されない。
各実施例および比較例で得られた食物繊維含有加工食品の評価は、特段記載がない限り、異味および粉っぽさの2項目について、それぞれ、専門パネラー3人または4人により、以下に示す評価基準に従って5段階評価を行い、平均点を評価値とした。ここでいう5段階とは、たとえば5点と3点の間の評価の場合は4点、と評価するという意味である。
(1)異味
5点 異味を感じない
3点 少し異味を感じるが、気にならない
1点 かなり異味を感じる
(2)粉っぽさ
5点 粉っぽさが感じられない
3点 少し粉っぽいが、気にならない
1点 かなり粉っぽい
ここで、粉っぽさを感じるとは、食物繊維含有加工食品の喫食時、すなわち喫食中および喫食後に残る粉っぽい感触を意味する。また、異味を感じるとは、食物繊維含有加工食品の喫食時に本来の味とは異なる味、たとえば乳化剤由来の味がすることを意味する。
なお、本明細書では、異味および粉っぽさ共に、評価値が2点超の場合を合格と判断した。
(食物繊維1の製造例)
食物繊維1として、国際公開第2011/5930号の記載に従い、レジスタントスターチ高含有澱粉を調製した。すなわち、ハイアミロースコーンスターチを水に懸濁して35.6%(w/w)スラリーを調製し、50℃に加温した。そこへ、攪拌しながら4.25Nに調製した塩酸水溶液をスラリー質量比で1/9倍量加え反応を開始した。16時間反応後、3%NaOHで中和し、水洗、脱水、乾燥し、酸処理ハイアミロースコーンスターチを得た。
得られた酸処理ハイアミロースコーンスターチについて、国際公開第2011/5930号の記載に従い、(a)〜(d)のパラメータを測定したところ、以下のとおりであった。
(a)AOAC公定法2002.02のレジスタントスターチ測定法によるレジスタントスターチ含有量:65%
(b)分子量ピーク:1.2×10
(c)分子量分散度:4.1
(d)示唆走査熱量測定による50℃から130℃における糊化エンタルピー:4.9J/g
1.澱粉煎餅の調製(その1)
表1に記載の組成で澱粉煎餅を調製した。
まず、菜種油(10℃における固体脂含量0%)に乳化剤1を加え、60℃恒温で溶解し、油脂組成物を得た。次に、馬鈴薯でん粉と食物繊維1を1:1で混合し、ボウルに計量した。これに前述の油脂組成物と水を加え、2分間手で混練した。得られた生地5gを量り取り、丸めた。160−170℃に温めたホットプレートに生地を置き、上から160−170℃に温めたアイロンで生地を圧縮した。片面1分45秒間圧縮後、生地を裏返して1分間アイロンで生地を圧縮し焼成して澱粉煎餅を得た。
得られた澱粉煎餅の異味および粉っぽさの2項目について、対照例1を基準として、専門パネラー3人により、前記評価基準に従って評価した。結果を表1に示す。
Figure 2021159077
表1に示したとおり、馬鈴薯でん粉と食物繊維を含む澱粉煎餅において、菜種油と乳化剤を配合することで、澱粉煎餅の本来の味を損なうことなく粉っぽさを改善することができた(実施例1−1〜1−3)。
一方、菜種油を配合しても、乳化剤を配合しない場合(比較例1−1)、粉っぽさの改善効果が十分に得られなかった。
2.澱粉煎餅の調製(その2)
表2に記載の組成を用いたこと以外は、前記「1.澱粉煎餅の調製(その1)」と同様にして澱粉煎餅を調製した。
得られた澱粉煎餅の異味および粉っぽさの2項目について、対照例2を基準として、専門パネラー4人により、前記評価基準に従って評価した。結果を表2に示す。
Figure 2021159077
表2に示したとおり、馬鈴薯でん粉と食物繊維を含む澱粉煎餅において、菜種油と乳化剤を配合することで、澱粉煎餅の粉っぽさを改善することができた(実施例2−1〜2−3)。なお、油脂組成物の配合量が多くなるにつれて、粉っぽさの改善効果が高くなる一方で、若干異味が感じられる傾向がみられた。
一方、菜種油を配合しても、乳化剤を配合しない場合、粉っぽさの改善効果が十分に得られなかった(比較例2−1)。
3.パン(食パン)の調製(その1)
表3に記載の組成でパンを調製した。
まず、表3に示した原料のうち粉体原料を混合した後、残りの原料をパンケースに入れ、さらに粉体原料を加えパンケースをホームベーカリー(パナソニック株式会社製ホームベーカリー「SD−BMS105」)にセットした。セミドライイーストをイースト容器に入れ、ホームベーカリーの早焼き食パンモードを用いて、パンの生地を練り、発酵、焼成し、パンを得た。
得られたパンの異味および粉っぽさの2項目について、比較例3−1および比較例3−2を基準として、専門パネラー4人により、前記評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
Figure 2021159077
表3に示したとおり、強力粉と食物繊維を含むパンにおいて、菜種油と乳化剤を配合することで、本来の味を損なうことなく粉っぽさを改善することができた(実施例3−1〜3−4)。
一方、菜種油を配合し、乳化剤を配合しない場合、粉っぽさの改善効果が十分に得られなかった(比較例3−1および3−2)。
4.パン(食パン)の調製(その2)
表4に記載に記載の組成を用いたこと以外は、前記「3.パン(食パン)の調製(その1)」と同様にしてパンを調製した。
得られたパンの異味および粉っぽさの2項目について、比較例4−1を基準として、専門パネラー4人により、前記評価基準に従って評価した。結果を表4に示す。
Figure 2021159077
表4に示したとおり、強力粉と食物繊維を含むパンにおいて、菜種油と乳化剤を配合することで、パン本来の味を損なうことなく粉っぽさを改善することができた(実施例4−1〜4−4)。
一方、菜種油を配合しても、乳化剤を配合しない場合、粉っぽさの改善効果が十分に得られなかった(比較例4−1)。
乳化剤の種類は、粉っぽさおよび異味改善の観点から、モノグリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルを用いた場合が良好であり、ポリグリセリン脂肪酸エステルがより良好であった。
乳化剤のHLBは、粉っぽさ改善の観点から、2.8以上9以下のとき良好であり、2.8以上7.5以下のとき、より良好であり、4.5以上7.3のとき、さらに良好であった。
5.澱粉煎餅の調製(その3)
表5に記載の組成を用いたこと以外は、前記「1.澱粉煎餅の調製(その1)」と同様にして澱粉煎餅を調製した。
得られた澱粉煎餅の異味および粉っぽさの2項目について、比較例5−1を基準として、専門パネラー3人により、前記評価基準に従って評価した。結果を表5に示す。
Figure 2021159077
表5に示したとおり、馬鈴薯でん粉と食物繊維を含む澱粉煎餅において、菜種油と乳化剤を配合することで、澱粉煎餅の本来の味を損なうことなく粉っぽさを改善することができた(実施例5−1、5−2)。
乳化剤の種類は、粉っぽさおよび異味の無さの観点から、ポリグリセリン脂肪酸エステルがより良好であった。
一方、菜種油を配合し、乳化剤を配合しない場合、粉っぽさの改善効果が十分に得られなかった(比較例5−1)。
6.米菓(柿の種)の調製
表6に記載の組成で米菓を次の方法に従って調製した。
(1)まず、表6に示した原料のうち、粉体原料(すなわち、上新粉、ワキシーコーンスターチ)および食物繊維1をガラスボウルに量り取った後、水を加え、混合物を得た。該混合物を木べらでならし、以下の手順で掻き、餅生地を得た。
(手順1)木べらで上下20回動かし混合物を掻いた。その後ボウルを時計回りに90度回転させ、同様に木べらで前後20回ずつ動かし掻いた。同じ操作をあと2回繰り返し、計4方向掻いた。
(2)上記(1)で得られた餅生地を電子レンジ(700W)で加熱し、手順2の順番で手順1に従い掻いた。
(手順2)30秒加熱→餅生地を掻いた→30秒加熱→餅生地を掻いた→25秒加熱→餅生地を掻いた→10秒加熱→餅生地を掻いた
(3)上記(2)で得られた餅生地をラップに包み、細長い棒状にした。
(4)上記(3)で得られた細長い棒状の餅生地を再度ラップに包み、バットに並べ、冷蔵庫(4℃)で二晩硬化させた。
(5)上記(4)で得られた硬化させた餅生地をすりおろし器のスライサー(2mm)でスライスし、包丁で半月形に成型した。
(6)上記(5)で成型した餅生地を、45℃のオーブンで乾燥させた(約3時間、水分19−24%前後まで)
(7)上記(6)で乾燥させた餅生地を、240℃のオーブンで5分間焼成し、柿の種を得た。
得られた柿の種の粉っぽさについて、対照例3を基準として、専門パネラー4人の合議により評価した。その結果を表6に示す。
Figure 2021159077
表6に示したとおり、上新粉、ワキシーコーンスターチおよび食物繊維を含む米菓において、菜種油と乳化剤を配合することで、粉っぽさを改善することができた(実施例6−1、6−2および6−3)。粉っぽさ改善効果は、乳化剤を含む油脂組成物の含有量が増すほど、効果が見られた。
7.澱粉煎餅の調製(その4)
表7に記載の組成を用いたこと以外は、前記「1.澱粉煎餅の調製(その1)」と同様にして澱粉煎餅を調製した。なお、実施例7−1および7−2、比較例7−1および対照例4において、馬鈴薯でん粉と食物繊維の混合割合は1:1(質量基準)であり、実施例7−3および7−4において、馬鈴薯でん粉と食物繊維の混合割合は7:3(質量基準)である。
得られた澱粉煎餅の異味および粉っぽさの2項目について、対照例4を基準として、専門パネラー4人により、前記評価基準に従って評価した。結果を表7に示す。
Figure 2021159077
表7に示したとおり、馬鈴薯でん粉と食物繊維を含む澱粉煎餅において、菜種油と乳化剤を配合することで、澱粉煎餅の本来の味を損なうことなく粉っぽさを改善することができた(実施例7−1、7−2、7−3および7−4)。粉っぽさ改善効果は、食物繊維に対する乳化剤の含有量が増すほど、効果が見られた。
一方、菜種油を配合し、乳化剤を配合しない場合、粉っぽさの改善効果が十分に得られなかった(比較例7−1)。
以上に示したとおり、本発明によれば、粉体原料と食物繊維を含む食物繊維含有加工食品を喫食時の粉っぽさを改善することができ、本来の味を損なわない、より嗜好性に優れた食物繊維含有加工食品を提供することができた。

Claims (8)

  1. 粉体原料と食物繊維を含む食物繊維含有加工食品の粉っぽさを改善する方法であって、
    前記食物繊維含有加工食品に、食用油脂および乳化剤を含む油脂組成物を配合することを含む、前記方法。
  2. 前記加工食品が、前記食物繊維を、前記粉体原料と前記食物繊維の合計量に対し8質量%以上70質量%以下含むものである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記加工食品に含まれる粉体原料および食物繊維の合計100質量部に対する前記油脂組成物の配合比が0.5質量部以上10質量部以下である、請求項1または2に記載の方法。
  4. 前記加工食品に含まれる食物繊維100質量部に対する前記乳化剤の配合比が、0.1質量部以上3質量部以下である、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記加工食品に含まれる食物繊維が、レジスタントスターチおよび非澱粉系多糖類から選ばれる1種または2種以上である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記乳化剤が、ポリグリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン有機酸脂肪酸エステル、およびモノグリセリン脂肪酸エステルからなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記食用油脂の10℃における固体脂含量が、0%以上20%以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記加工食品が、パン類、麺類および菓子類からなる群より選ばれる、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法。
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