JPWO2015147105A1 - ステータ及びそれを備えた回転電機 - Google Patents
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Abstract
Description
上記従来の回転電機の製造方法及び回転電機では、以下に示すような問題点を有している。
上記従来の回転電機では、十分な接合強度を確保するために、U字形状のセグメント導体をスロット内に挿入した後に、セグメント導体の端部同士を圧縮しているが、接合する端部が密集している場合には、圧縮を行うことが困難であった。
特許文献1よりも更に複数のセグメント導体を1つのスロット内に配置した場合には、接合する端部が増えて密集するため圧縮を行うことが困難であり、十分な接合強度を確保した回転電機を提供することが困難であった。
本発明は、従来の課題を考慮し、たとえ接合する部分が密集していた場合であっても、十分な接合強度を確保することが可能なステータ及びそれを用いた回転電機を提供することを目的とする。
第1の発明に係るステータは、ステータコアと、コイルとを備えている。ステータコアは、円筒状であり、その内側に径方向に沿って形成された複数のスロットを有する。コイルは、スロットに配置されたセグメント導体を複数有し、セグメント導体の端部同士が接合されて形成される。セグメント導体は、断面が矩形状であり、幅が広い第1面と幅が狭い第2面を持つ平角線によって形成されており、第1面が径方向と平行になるようにスロットに配置されている。それぞれのスロット内には、互いの第2面同士が対向するようにセグメント導体が複数配置されている。ステータコアの内側からi番目(iは1以上の整数)に配置されているセグメント導体は、他のスロット内においてi+1番目に配置されているセグメント導体と、それぞれの端部において第1面同士が対向して接合されている。接合された対向する第1面は、径方向と平行に形成されている。本明細書における平行とは、厳密な意味での平行のみを意味するものではない。構成部品の機械加工、曲げ、組付けによりばらつきが生じるため、必ずしも幾何学で定義している精度には収まらないが、本願においては、説明上、平行と述べる。
セグメント導体の端部同士を圧縮する必要がないため、たとえ接合する部分が密集していた場合であっても、十分な接合強度を確保可能なステータを提供することが出来る。
接合部分には、更に、強度及び導電性を得るためにセグメント導体と同じ断面積を確保する必要があるが、幅の広い第1面同士を対向させて接合しているため、接合深さを第2面の幅分確保すればよく、コイルエンド部の高さの抑制を図ることが出来る。
セグメント導体の端部同士を溶接する際には、接合する予定の2つのセグメント導体の端部同士が当接された状態を保持するために、対向して配置された2つの端部の周方向外側にステータの外周側から楔形状の溶接電極が差し込まれる。
ここで、接合予定の2つの端部の位置がステータコアの外側寄りに位置する方が、周方向に隣合う接合予定の位置の間隔が広くなるため、治具を差し込みやすく、溶接電極の先端を極端に細くする必要がないため溶接電極の製造も容易となる。
これにより、セグメント導体同士を短い距離で接合することが可能となる。
これにより、曲げ加工を施した後でもセグメント導体をステータコアの内側からスロット内に差し込むことが出来る。セグメント導体をスロットに差し込んだ後に曲げ加工を施す必要がないため、容易に加工を施すことが出来る。
このように、径方向に沿って接合する予定の端部対が複数設けられている場合であっても、圧縮を行う必要がないため、十分な接合強度を確保した溶接を行うことが出来る。
これにより、隙間の間に絶縁シートを挿入しやすくなる。また、隙間を十分に確保することで、絶縁性を確保しやすい。
例えば、iが1の場合には、2番目のセグメント導体は、その端部が径方向内側を向くように曲げられ、3番目のセグメント導体は、端部が径方向外側を向くように曲げられている。このため、1番目のセグメント導体と2番目のセグメント導体の溶接をステータコアの径方向内側から行い、3番目のセグメント導体と4番目のセグメント導体の溶接をステータコアの径方向外側から行うことが出来る。
このように溶接部分をステータの径方向外側と内側に形成できるため、ステータの全体の高さを抑えることが出来る。
これにより、十分な接合強度を確保することが可能なステータを備えた回転電機を実現できる。
本発明によれば、たとえ接合する部分が密集していた場合であっても、十分な接合強度を確保することが可能なステータ及びそれを用いた回転電機を提供することが出来る。
<1.構成>
図1は、本実施形態の回転電機1の外観を示す斜視図であり、図2は、図1の回転電機1の内部構成を示すために中心軸Aを通る平面で切断した断面図である。
図1及び図2では、本実施形態の回転電機1の駆動力によって駆動される対象物の一例として、スイングマシナリ100が示されている。
本実施形態の回転電機1は、スイングマシナリ100の上側に配置されており、回転電機1において発生した駆動力がスイングマシナリ100へと伝達される。ここで、スイングマシナリ100は、油圧ショベル等の作業車両において、履帯を有する下部走行体に対して、作業機などを有する上部旋回体を旋回させる。回転電機1の回転駆動力が減速機構を経て出力ギヤに伝達され、出力ギヤと噛み合っているスイングサークルの内側又は外側をスイングマシナリ100が回転移動することによって、下部走行体に対して上部旋回体が旋回する。
本実施形態1の回転電機1は、3相交流回転電機であり、図2に示すようにステータ2、ロータ3及びシャフト4を収納するハウジング5とを備えている。
ハウジング5は、スイングマシナリ100の上面部102を覆うように形成されており、円筒部51と、天井部52とを有している。
ロータ3は、ステータ2の中央空間に回転可能に配置されている。ロータ3は、円柱形状であり、その外周側に磁石が設けられている。尚、ロータ3は、図中において上下方向を回転軸として回転する。
シャフト4は、ロータ3の中心に配置されており、ロータ3とともに回転する。このシャフト4を回転可能に支持する軸受け部6aがハウジング5の天井部52に設けられており、軸受け部6bが、スイングマシナリ100の上面部102に設けられている。シャフト4は、その下端でスイングマシナリ100のシャフト103と連結されている。
図3は、本実施形態のステータ2を示す斜視図である。図3に示すように、本実施形態のステータ2は、中心軸Aを有し、円筒形状のステータコア10と、ステータコア10に装着されたコイル20とを有し、上端面10a及び下端面10bを有している。
図4に示すように、ステータコア10の中心軸をAで示し、軸方向から見た平面視において周方向をCで示し、径方向をRで示している。この中心軸Aは、ロータ3の回転中心であり、軸方向とは、この中心軸Aと平行な方向を示す。周方向Cは、ステータコア10の外周面10dに沿った方向のことである。ここで、周方向Cのうち軸方向の上方から上端面10aを見た平面視において反時計回りの方向をC1とし、時計回りの方向をC2とする。周方向Cと記載した場合は、C1、C2の双方を示す。径方向Rとは、軸方向から見た平面視において中心軸Aからステータコア10の外周面10dを結ぶ方向のことである。径方向Rのうち内側方向をR1、外側方向をR2として示す。
本実施形態のコイル20は、複数の相コイル21を有している。本実施形態の回転電機1は3相回転電機であるため、相コイル21として、図3に示すようにU相コイル21UとV相コイル21VとW相コイル21Wが設けられている。それぞれの相コイル21は、それぞれ複数のセグメント導体200、300が接合されて形成された複数のコイル部22を有している。
U相コイル21U、V相コイル21V、及びW相コイル21Wのそれぞれの相コイル21の構成は、実質上同じであるため、U相コイル21Uを例に挙げて以下に説明する。
図5は、U相コイル部22Uの斜視図である。U相コイル21Uは、複数のU相コイル部22Uを有している。
U相コイル部22Uは、平角線9によって形成されたセグメント導体200とセグメント導体300が接合されて形成されている。この平角線9について、はじめに説明する。
平角線9は、例えば、銅等によって形成されており、その表面はエナメル等の絶縁性の被膜によって覆われている。
U相コイル部22Uは、図5に示すように、4つのセグメント導体200と4つのセグメント導体300が周方向Cに沿って交互に連結されて形成されている。1つのセグメント導体200と1つのセグメント導体300の下端がU相コイル部22Uの端であるコイル部端22a、22bを形成している。コイル部端22aを有するセグメント導体200から上方から見た平面視において反時計回りにセグメント導体300、セグメント導体200、セグメント導体300、セグメント導体200、セグメント導体300、セグメント導体200、及びセグメント導体300の順に周方向C1に沿って配置されている。
以上のように、セグメント導体200は、その周方向C1側の隣に配置されているセグメント導体300と上端の接合部22cで接合され、その周方向C2側の隣に配置されているセグメント導体300とは、下端の接合部22dで接合されている。
次に、各相コイル21を形成するセグメント導体200、300について説明する。
図7は、セグメント導体200を示す斜視図である。図6(a)において説明したように、セグメント導体200は、その第1面9aが周方向Cと垂直な状態でスロット11内に配置されている。
セグメント導体200は、図3に示すようにスロット11内に配置された状態において、ステータコア10の上端面10a及び下端面10bから突出している。セグメント導体200は、スロット11内に配置される直線部201と、上端面10aから突出した第1突出部202と、下端面10bから突出した第2突出部203とを有している。第1突出部202は、直線部201を基準にすると周方向C1に曲げられており、第2突出部203は周方向C2に曲げられている。
これら直線部201と傾斜部202aの間、傾斜部202aと鉛直部202bの間の折り曲げ部分は、平角線9の第1面9a側が折り曲げられ、第2面9bは同一平面上に保持されている。本明細書における鉛直とは、厳密な意味での鉛直のみを意味するものではない。構成部品の機械加工、曲げ、組付けによりばらつきが生じるため、必ずしも幾何学で定義している精度には収まらないが、本願においては、説明上、鉛直と述べる。
これら直線部201と傾斜部203aの間及び傾斜部203aと鉛直部203bの間の折り曲げ部分は、平角線9の第1面9a側が折り曲げられ、第2面9bは同一平面上に保持されている。
図8は、セグメント導体300を示す斜視図である。図6(a)において説明したように、セグメント導体300は、その第1面9aが、周方向Cと垂直な状態でスロット11内に配置されている。
このセグメント導体300は、第1面9aが周方向Cと垂直な状態(第1面9aが径方向Rと平行な状態)を保ったまま平角線9が曲げられて形成されている。セグメント導体300は、第1面9aが径方向Rと平行な状態を保った状態で形成されている。
図5に示す8番目のセグメント導体300の第2突出部303には、水平部303cは形成されておらず、鉛直部303bのみが形成されており、その鉛直部303bが、コイル部端22bを構成している。
以上のような構成のコイル部22が径方向Rに3つ配置されることによってそれぞれの相のコイル部組23が形成される。
図9は、U相コイル部組23Uの斜視図である。図10は、U相コイル部組23Uのみをステータコア10に配置した状態を示す斜視図である。
U相コイル部組23Uにおける3つのU相コイル部22Uは、それぞれのセグメント導体200、300が同じスロット11内に配置される。詳細には、3つのU相コイル部22Uのそれぞれのコイル部端22aを有する1番目のセグメント導体200が、同じスロット11内に配置され、それぞれの2番目のセグメント導体300が、1つのスロット11内に配置される。3番目〜8番目のセグメント導体200、300についても同様に、1つのスロット11内に配置されている。U相コイル部組23Uにおける3つのU相コイル部22Uの接合部22cは上端面10a側に、接合部22dは下端面10b側に径方向Rに沿ってそれぞれ並んで配置されている。
本実施形態では、このようなU相コイル部組23Uが4つ配置されてU相コイル21Uが形成される。
図11は、1つのU相コイル部組23Uがステータコア10に装着されている状態を内周面10c側から見た模式図である。実際には、紙面奥方向に平角線9が3つ配置されていることになるが、分かりやすくするため平角線9を一本のみ示している。
図12は、第1のU相コイル部組23(1)Uと第2のU相コイル部組23(2)Uがステータコア10に装着された状態を示す図である。第2のU相コイル部組23(2)Uは、第1のU相コイル部組23(1)Uと区別をつけるために点線で示している。
第1のU相コイル部組23(1)Uのセグメント導体200と、第2のU相コイル部組23(2)のセグメント導体300が、同一のスロット11内に配置されている。第1のU相コイル部組23(1)Uのセグメント導体300と、第2のU相コイル部組23(2)Uのセグメント導体200が、同一のスロット11内に配置されている。
図12では、1つのスロット11内における第1のU相コイル部組23(1)U及び第2のU相コイル部組23(2)Uのセグメント導体200、300をそれぞれ1本ずつしか示していないが、実際には1つのスロット11内に3本ずつ配置される。
図13は、第1のU相コイル部組23(1)と第2のU相コイル部組23(2)のセグメント導体200、300のスロット11内における配置を説明するための図である。図13に示すように、第1のU相コイル部組23(1)のセグメント導体200(1)と、第2のU相コイル部組23(2)のセグメント導体300(2)は、スロット11内において交互に配置されている。より詳細には、内周面10cから外周面10d方向に、セグメント導体300(2)、セグメント導体200(1)、セグメント導体300(2)、セグメント導体200(1)、セグメント導体300(2)、及びセグメント導体200(1)の順に1つのスロット11内に配置されている。他のスロット11内では、セグメント導体300(1)、セグメント導体200(2)、セグメント導体300(1)、セグメント導体200(2)、セグメント導体300(1)、及びセグメント導体200(2)の順に配置されている。
このように、内周面10cから外周面10dに向かって、セグメント導体300及びセグメント導体200の順にセグメント導体200、300が合計6本入っている。
セグメント導体200とセグメント導体300の接合部分について更に詳しく説明する。図5のS部拡大図及び図13のX部拡大図に示すように、セグメント導体300の水平部302cの第1面9a(図中括弧書きでP1と示す)と、セグメント導体200の鉛直部202bの第1面9a(図中括弧書きでP2と示す)が対向するように当接し接合されている。平角線9には、2つの第1面9aが存在するが、詳細には、接合されるセグメント導体300が配置されているスロット11側の鉛直部202bの第1面9aと、接合されるセグメント導体200が配置されているスロット11側の水平部302cの第1面9aが対向している。
以上のように、第1のU相コイル部組23(1)Uと第2のU相コイル部組23(2)が組み合わされているが、本実施形態のU相コイル21Uでは、この組み合わせが2組設けられている。
本実施形態のステータ2は、このような構成のU相コイル21Uと、U相コイル21Uと同様の構成のV相コイル21VとW相コイル21Wがステータコア10に装着されている。
図15は、ステータコア10への各相コイル21の装着状態を説明するための部分平面図である。図15では、例示として第1のU相コイル部組23(1)Uのセグメント導体200、300について、200(1)U、300(1)Uとして示す。第2、第3、第4のU相コイル部組23(2)U、23(3)U、23(4)Uについても同様に、200(2)U、300(2)U、200(3)U、300(3)U、200(4)U、300(4)Uとして示す。
スロット11Aを1番目として周方向C1の2番目のスロット11には、第3のU相コイル部組23(3)Uのセグメント導体200(3)Uと、第4のU相コイル部組23(4)Uのセグメント導体300(4)Uが交互に配置されている。
図15に示すように、1、2番目のスロット11では紙面奥から手前に向かって電流が流れており、3、4番目のスロット11では紙面手前から奥に向かって電流が流れている。このように周方向Cに2つのスロット11ごとに電流の向きが入れ替わっている。尚、このような電流の向きになるように、図5で示したコイル部端22a、22bが、図3に示す接続線90等によって適宜接続されている。
次に、本実施形態のステータ2の製造方法について説明する。
本実施形態のステータの製造は、セグメント導体200、300を形成するセグメント導体作成工程と、セグメント導体200、300をステータコア10に配置する配置工程と、セグメント導体200、300の間を溶接する溶接工程とを備えている。
図16は、本実施形態のセグメント導体200、300を作成する方法を示すフロー図である。図17(a)〜(c)は、セグメント導体300の作成工程を説明するための図である。
はじめに、セグメント導体200、300を形成するために、平角線9が所定の寸法になるように両切りで切断される(S1)。
続いて、ステータコア10の内側から数えてi番目、詳細にはステータコア10の内側から数えて奇数番目に配置されるセグメント導体300について、その両方の端部の先端が同一方向に90度曲げられる(S3)。S3では、第1面9aが同一平面を保った状態で平角線9が曲げられて、図17(a)に示すように水平部302c、303cが形成される(点線で囲まれたJ部参照)。
次に、セグメント導体200、300がステータコア10の周方向Cに沿って湾曲するようにR形状に成形される(S5)。S5では、図17(c)に示すように、セグメント導体300の傾斜部302aと傾斜部303aが、ステータコア10の周方向Cに沿って湾曲するように成形される(点線で囲まれたL部参照)。
尚、セグメント導体200は、S3の工程が行われない以外は、セグメント導体300と同様に作成される。
これによって、セグメント導体200、300が作成される。
次に、セグメント導体200、300がステータコア10のスロット11内に配置される。セグメント導体200、300をスロット11内に配置する際には、セグメント導体200、300をステータコア10の内周面10cからスロット11の開口部11a(図4参照)を介して、スロット11内に配置される。
詳しくは、セグメント導体200、300をステータコア10の内周面10cよりも内側に配置してから径方向外側R2に向けて移動し、開口部11aを介して、その直線部201、301をスロット11内に挿入することによって、セグメント導体200、300がスロット11内に配置される。
図18は、接合部の溶接を行っている状態を示す図である。図18に示すように、溶接する予定の鉛直部202bと水平部302cの対向する溶接予定部800が複数設けられている。これら複数の溶接予定部800の間に、ステータコア10の外周面10d側から楔形の溶接電極701が、溶接する予定の鉛直部202bと水平部302cの間に差し込まれる。溶接電極701には、電源コード702が接続されており、溶接予定部800の上方には、溶接用トーチ703が配置されている。2つの溶接電極701の間に溶接予定部800が複数配置されている場合には、溶接予定部800の間の隙間に導電性を有する楔704が差込まれている。図18では、2つの楔704が差込まれている。この溶接電極701及び楔704の差込によって、鉛直部202bと水平部302cの対向する第1面9aを接触させることが出来る。
複数の溶接予定部800を溶接する場合、溶接電極701の間に楔704を配置することによって、溶接電極701の位置を一回毎に移動させる必要がないため、連続して溶接を行うことが出来る。溶接電極701と溶接予定部800を挟んで楔704を差込むことにより、安定した溶接予定部が確保される。
図19に示すように、鉛直部202bと水平部302cの対向する部分に接合部22cが形成される。尚、図19では、接合されていない部分(溶接予定部800)も示す。
同様に、下端面10b側の鉛直部203bと水平部303cの対向する部分にも接合部22dが形成される。
最後に適宜接続線90(図3参照)が設けられて本実施形態のステータ2が製造される。
(3−1)
上記実施形態のステータ2は、ステータコア10と、コイル20とを備えている。ステータコア10は、円筒状であり、その内側に径方向に沿って形成された複数のスロット11を有する。コイル20は、スロット11に配置されたセグメント導体200、300を複数有し、セグメント導体200の鉛直部202b、203b(端部の一例)とセグメント導体300の水平部302c、303c(端部の一例)が接合されて形成される。セグメント導体200、300は、断面が矩形状であり、幅が広い第1面9aと幅が狭い第2面9bを持つ平角線9によって形成されている。第1面9aが径方向Rと平行になるようにスロット11に配置されている。それぞれのスロット11内には、互いの第2面9b同士が対向するようにセグメント導体200、300が複数配置されている。ステータコア10の内側からi番目(iは1以上の整数)に配置されているセグメント導体300は、他のスロット11内においてi+1番目に配置されているセグメント導体200と、それぞれの鉛直部202b、203b及び水平部302c、303cにおいて第1面9a同士が対向して接合されている。接合された対向する第1面9aは、径方向Rと平行に形成されている。
セグメント導体200、300の端部同士を圧縮する必要がないため、たとえ接合する部分が密集していた場合であっても、十分な接合強度を確保可能なステータ2を提供することが出来る。
接合部分には、セグメント導体200、300と同じ断面積を確保する必要があるが、幅の広い第1面9a同士を対向させて接合しているため、接合深さを第2面9bの幅分確保すればよく、コイル20エンドの高さを抑制することが出来る。更に、導電率を確保することが出来る。
上記実施形態のステータ2は、図13に示すようにi番目のセグメント導体300の水平部302c、303c(端部の一例)は、第2面9bが湾曲するように、i+1番目のセグメント導体200の鉛直部202b、203b(端部の一例)に向かって外側に曲げられて、i+1番目のセグメント導体200の鉛直部202b、203bと接合されている。
セグメント導体200、300の端部同士を溶接する際には、接合する予定の2つのセグメント導体200の鉛直部202b、203bとセグメント導体300の水平部302c、303cが当接された状態を保持するために、対向して配置された鉛直部202b、203bと水平部302c、303cの端部の周方向Cの外側にステータコア10の外周側から楔形状の溶接電極701と楔704が差し込まれる。
ここで、接合予定の2つの鉛直部202b、203bと水平部302c、303cの位置がステータコア10の外側寄りに位置する方が、周方向Cに隣合う接合予定の位置(溶接予定部800)の間隔が広くなるため、溶接電極701を差し込みが容易である。溶接電極701の先端を極端に細くする必要がないため溶接電極701の製造も容易となる。
上記実施形態のステータ2は、対向する第1面9a同士とは、図13に示すようにi番目のセグメント導体300のi+1番目のセグメント導体200が配置されているスロット11側の第1面9a(図13中括弧書きでP1と示す)と、i+1番目のセグメント導体200のi番目のセグメント導体300が配置されている前記スロット側の前記第1面(図13中括弧書きでP2と示す)である。
これにより、セグメント導体200、300同士を短い距離で接合することが可能となる。
上記実施形態のステータ2では、セグメント導体200、300は、スロット11内に配置される直線部201、301(スロット内部分の一例)と、ステータコア10の両端面のうち上端面10a(第1端面の一例)から突出した第1突出部202、302と、両端面のうち下端面10b(第2端面の一例)から突出した第2突出部203、303とを有している。鉛直部202b、203b及び水平部302c、303c(端部の一例)は、第1突出部202、302及び第2突出部203、303の双方に設けられており、接合された対向する第1面9aは、第1突出部202、302側及び第2突出部203、303側の双方に設けられている。
セグメント導体200、300をスロット11に差し込んだ後に曲げ加工を施す必要がないため、容易に加工を施すことが出来る。
上記実施形態のステータ2では、それぞれのスロット11内には、互いの第2面9b同士が対向するようにセグメント導体200、300が4つ以上配置されており、接合された対向する第1面9aは、径方向Rに沿って複数配置されている。
このように、径方向Rに沿って接合する予定の端部対が複数設けられている場合であっても、圧縮を行う必要がないため、固定(クランプ)を行う必要が生じず、十分な接合強度を確保した溶接を行うことが出来る。
上記実施形態の回転電機1は、ステータ2と、ステータ2の内側に配置されたロータ3とを備えている。
これにより、十分な接合強度を確保することが可能なステータ2を備えた回転電機1を実現できる。
以下に、本発明に係る実施形態2について説明する。
<1.構成>
上記実施形態1では、接合されているセグメント導体200とセグメント導体300は、周方向Cに沿って視ると隣接しており、その間に隙間が形成されていないが、本実施形態2のコイル20では、セグメント導体200とセグメント導体300の間に隙間が形成されている。以下の実施形態2の説明では、実施形態1との相違点を中心に説明する。
一方、図20(a)および図20(b)に示すように、本実施形態2におけるセグメント導体200の第1突出部202とセグメント導体300の第1突出部302の間には、隙間Bが形成されている。この隙間Bが形成されることにより、図20(d)に示すように絶縁シート60を挟み込みやすくなる。隙間Bの間隔を適宜変更することができ、適切な厚さ(例えば1mm)の絶縁シートを配置し絶縁性の確保を行いやすくなる。
実施形態1の図13と比較すると、図21およびそのX部拡大図に示すように、最も外周側に配置されたセグメント導体200(1)の鉛直部202bが、平面視において外周面10dから外側に突出しない範囲で外周面10dよりに配置されている。外周面10dよりに配置された鉛直部202bに届くように、内側に配置されたセグメント導体300(1)の水平部302cが形成されている。これにより、最も外周側に配置されたセグメント導体200(1)と、そのセグメント導体200(1)と接合するセグメント導体300(1)の間に周方向Cから見て隙間Bが形成される。図21のX部拡大図では、鉛直部202bと鉛直部302bにドットが施されている。
上記説明では、ステータ2の上側について説明したが、下側についても同様の構成であり、周方向Cに沿って見た場合にセグメント導体300の第2突出部303とセグメント導体200の第2突出部203の間に隙間が形成されている。
本実施の形態2では、更に以下の特徴を備える。
本実施の形態2のステータ2では、内周側から数えて1番目(i番目の一例)のセグメント導体300の第1突出部302と2番目(i+1番目の一例)のセグメント導体200の第1突出部202の間には、ステータコア10の周方向Cに沿って見た場合に隙間Bが形成されており、1番目(i+1番目の一例)のセグメント導体300の第2突出部303と2番目(i+1番目の一例)のセグメント導体200の第2突出部203の間には、周方向Cに沿って見た場合に隙間が形成されている。内周側から数えて3番目(i番目の一例)のセグメント導体300の第1突出部302と4番目(i+1番目の一例)のセグメント導体200の第1突出部202の間には、ステータコア10の周方向Cに沿って見た場合に隙間Bが形成されており、3番目(i+1番目の一例)のセグメント導体300の第2突出部303と4番目(i+1番目の一例)のセグメント導体200の第2突出部203の間には、周方向Cに沿って見た場合に隙間が形成されている。
次に、本発明にかかる実施形態3について説明する。
<1.構成>
上記実施形態1のコイルでは、全てのセグメント導体において径方向Rの内側(径方向内側R1)のセグメント導体が外側のセグメント導体に向かって延びているが、本実施形態3のコイルでは、径方向Rの外側(径方向外側R2)のセグメント導体が内側のセグメント導体に向かって延びた構成も有している。
コイル部22では、径方向外側に配置されているセグメント導体200の鉛直部202bに向かうように、径方向内側に配置されているセグメント導体300に水平部302cが形成されている。
図22に示すセグメント導体200、200´、300、300´の配置ででは、径方向外側および内側にTIG溶接を行うことが出来る。
図22には、セグメント導体200とセグメント導体300の間のTIG溶接による接合部41がハッチングで示されている。接合部41は、セグメント導体300の水平部302cの径方向外側R2を向いている端面302dの上部と、セグメント導体200の鉛直部202bの径方向外側を向いている第2面9bの上部との間を接合するように形成されている。
接合部42は、セグメント導体200´の水平部202cの径方向外側を向いている端面202dの上部と、セグメント導体300´の鉛直部302bの径方向内側R1を向いている第2面9bの上部との間を接合するように形成されている。
セグメント導体200´とセグメント導体300´の間を接合する予定の溶接予定部802は、径方向内側を向いて設けられているため、溶接の際には、溶接用トーチ703は溶接予定部802の径方向内側であって斜め上方に近接配置される。このような溶接用トーチ703の配置でTIG溶接を行うことにより、セグメント導体200´とセグメント導体300´を接合する接合部42(図22参照)が形成される。
このように、接合部41、42が径方向の外側と内側に形成されることによって、実施形態1のようにステータ2の上下方向に形成される場合と比較してステータ2全体の高さを低くできる。
本実施形態3では、更に以下の特徴を備える。
本実施形態3のステータ2では、内側から数えて2番目(i+1番目の一例)のセグメント導体200´の水平部202c(端部の一例)は、第2面9bが湾曲するように、1番目(i番目の一例)のセグメント導体300´の鉛直部302b(端部の一例)に向かって内側に曲げられ、1番目(i番目の一例)のセグメント導体300´の鉛直部302bと接合されている。3番目(i+2番目の一例)のセグメント導体300の水平部302c(端部の一例)は、第2面9bが湾曲するように、4番目(i+3番目の一例)のセグメント導体200の鉛直部202b(端部の一例)に向かって外側に曲げられ、4番目(i+3番目の一例)のセグメント導体200の鉛直部202bと接合されている。
溶接部分をステータの径方向外側と内側に形成できるため、実施形態1のように溶接部分がステータの上下に形成されず、ステータの全体の高さを抑えることが出来る。
(A)
上記実施形態1〜3では、セグメント導体200の鉛直部202b、203b及びセグメント導体300の水平部302c、303cの対向する第1面9aは平らであるが、水平部302c、303cに段差が形成されていても良い。
図24(a)は、セグメント導体300の水平部302cの第1面9aに段差901が形成された構成を示す図である。図24(a)に示すように、セグメント導体300の水平部302cの第1面9aに段差が形成されており、ステータコア10に装着された状態において、上端面10aと垂直に段差面901aが形成されている。この段差面901aは、第1面9aの幅(図6参照)W1全体に設けられている。水平部302cの先端から段差面901aが形成されている部分までの平角線9の第2面9bの幅は一定に形成されているが、その幅の長さは、W2(図6参照)よりも小さい。
i番目のセグメント導体300の端部には、第2面9bの幅が狭くなるように第1面9aに段差901が形成されている。段差901によって第1面9aに対して垂直に形成された段差面901aは、径方向に対して垂直に配置されており、段差面901aには、i+1番目のセグメント導体200の内側の第2面9bが当接する。
上記実施形態1、2では、i番目のセグメント導体300の水平部302c、303c(端部の一例)が、その第2面9bが湾曲するように、i+1番目のセグメント導体200の鉛直部202b、203b(端部の一例)に向かって外側に曲げられて、i+1番目のセグメント導体200の鉛直部202b、203bと接合されていたが、i+1番目のセグメント導体200に内側に向かって水平部が形成されて、水平部が形成されていないi番目のセグメント導体300の鉛直部と接合されてもよい。
具体的には、図25(a)に示すように、セグメント導体200´の鉛直部202bの先端から径方向内側R1に向かって水平部202cが形成されている。セグメント導体300´には、鉛直部302bの先端から水平部302cが形成されていない。そして、水平部202cと、鉛直部302bの互いの第1面9aが対向して接合される。
図25(b)に示すように、水平部202cが形成されたセグメント導体200´と、水平部302cが形成されたセグメント導体300が接合されてもよい。水平部202cと水平部302cの第1面9a同士が対向して接合されている。
(D)
上記実施形態では、図13に示すようにi番目のセグメント導体300のi+1番目のセグメント導体200が配置されているスロット11側の第1面9a(図13中括弧書きでP1と示す)と、i+1番目のセグメント導体200のi番目のセグメント導体300が配置されているスロット11側の第1面9a(P2)が対向して接合されていたが、これに限られるものではない。例えば、図26に示すように、i番目のセグメント導体300のi+1番目のセグメント導体200が配置されているスロット11とは反対側の第1面9a(図26中括弧書きでP3と示す)と、i+1番目のセグメント導体200のi番目のセグメント導体300が配置されているスロット11とは反対側の第1面9a(図26中括弧書きでP4と示す)が対向して接合されていてもよい。
上記実施形態1では、1つのスロット11内に合計6つのセグメント導体200、300が配置されていたが、6つに限られるものではない。上記実施形態2、3では、1つのスロット11内に合計4つセグメント導体が配置されていたが、4つに限られるものではない。
上記実施形態では、ステータ2を備えた回転電機1をスイングマシナリ100の駆動のために用いたが、スイングマシナリ100に限られるものではない。例えば、下部走行体の走行用の駆動モータとして用いられても良い。その際、回転電機1は、その中心軸Aが水平になるように配置されてもよい。
2 ステータ
3 ロータ
4 シャフト
5 ハウジング
6a、6b 軸受け部
9 平角線
9a 第1面
9b 第2面
10 ステータコア
10a 上端面
10b 下端面
10c 内周面
10d 外周面
11 スロット
11a 開口部
12 ティース
20 コイル
21 相コイル
21U U相コイル
21V V相コイル
21W W相コイル
22 コイル部
22a、22b コイル部端
22U U相コイル部
22c、22d 接合部
23 コイル部組
23U U相コイル部組
23V V相コイル部組
23W W相コイル部組
51 円筒部
52 天井部
90 接続線
100 スイングマシナリ
102 上面部
103 シャフト
200 セグメント導体(i+1番目のセグメント導体の一例)
201 直線部(スロット内部分の一例)
202 第1突出部
202a 傾斜部
202b 鉛直部(端部の一例)
202c 水平部(端部の一例)
203 第2突出部
203a 傾斜部
203b 鉛直部(端部の一例)
300 セグメント導体(i番目のセグメント導体の一例)
301 直線部(スロット内部分の一例)
302 第1突出部
302a 傾斜部
302b 鉛直部
302c 水平部(端部の一例)
303 第2突出部
303a 傾斜部
303b 鉛直部
303c 水平部(端部の一例)
701 溶接電極
702 電源コード
703 溶接用トーチ
704 楔
800、801、802 溶接予定部
901 段差形状
901a 段差面
Claims (8)
- 円筒状であり、その内側に径方向に沿って形成された複数のスロットを有するステータコアと、
前記スロットに配置されたセグメント導体を複数有し、前記セグメント導体の端部同士が接合されて形成されるコイルと、
を備え、
前記セグメント導体は、断面が矩形状であり、幅が広い第1面と幅が狭い第2面を持つ平角線によって形成されており、前記第1面が前記径方向と平行になるように前記スロットに配置され、
それぞれの前記スロット内には、互いの前記第2面同士が対向するように前記セグメント導体が複数配置されており、
前記スロットの内側からi番目(iは1以上の整数)に配置されている前記セグメント導体は、他の前記スロットにおいてi+1番目に配置されている前記セグメント導体と、それぞれの端部において前記第1面同士が対向して接合されており、
前記接合された対向する前記第1面は、前記径方向と平行に配置されており、
前記セグメント導体は、前記スロット内に配置されるスロット内部分と、前記ステータコアの両端面のうち第1端面から突出した第1突出部と、前記両端面のうち第2端面から突出した第2突出部とを有し、
前記端部は、前記第1突出部及び前記第2突出部の双方に設けられており、
前記接合された対向する前記第1面は、前記第1突出部側及び前記第2突出部側の双方に設けられている、
ステータ。 - 前記i番目のセグメント導体の端部は、前記第2面が湾曲するように、前記i+1番目のセグメント導体の端部に向かって外側に曲げられて、前記i+1番目のセグメント導体の端部と接合されている、
請求項1に記載のステータ。 - 対向する前記第1面同士とは、前記i番目のセグメント導体の前記i+1番目のセグメント導体が配置されている前記スロット側の前記第1面と、前記i+1番目の前記セグメント導体の前記i番目のセグメント導体が配置されている前記スロット側の前記第1面である、
請求項1又は2に記載のステータ。 - 前記i番目のセグメント導体の前記端部には、前記第2面の幅が狭くなるように前記第1面に段差が形成されており、
前記段差によって前記第1面に対して垂直に形成された段差面は、径方向に対して垂直に配置されており、前記段差面には、前記i+1番目のセグメント導体の内側の前記第2面が当接する、
請求項3に記載のステータ。 - それぞれの前記スロット内には、互いの前記第2面同士が対向するように前記セグメント導体が4つ以上配置されており、
前記接合された対向する第1面は、前記径方向に沿って複数配置されている、
請求項1に記載のステータ。 - 前記i番目のセグメント導体の前記第1突出部と前記i+1番目のセグメント導体の前記第1突出部の間には、前記ステータコアの周方向に沿って見た場合に隙間が形成されており、
前記i番目のセグメント導体の前記第2突出部と前記i+1番目のセグメント導体の前記第2突出部の間には、前記周方向に沿って見た場合に隙間が形成されている、
請求項1に記載のステータ。 - 前記i+1番目のセグメント導体の端部は、前記第2面が湾曲するように、前記i番目のセグメント導体の端部に向かって内側に曲げられ、前記i番目のセグメント導体の端部と接合されており、
i+2番目の前記セグメント導体の端部は、前記第2面が湾曲するように、i+3番目の前記セグメント導体の端部に向かって外側に曲げられ、前記i+3番目のセグメント導体の端部と接合されている、
請求項1に記載のステータ。 - 請求項1〜7のいずれかに記載のステータと、
前記ステータの内側に配置されたロータと、
を備えた、回転電機。
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