JPWO2012002277A1 - インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents
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Abstract
Description
従来、万年筆、フェルトペン用等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。これらの水性インクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そして、これらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること等が要求される。また、使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。さらに、形成される画像には、耐水性、耐光性、耐ガス性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
1)
色素(I)として、少なくとも1種類の下記式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩と、色素(II)として、少なくとも1種類の下記式(3)で表される化合物若しくはその互変異性体又はそれらの塩と、色素(III)として、少なくとも1種類の下記式(4)で表される化合物又はその塩と、を含有することを特徴とするインク組成物、
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N,N−ジアルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;ホスホ基;ニトロ基;アシル基;ウレイド基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、アシルアミノ基;を表し、
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表し、
nは0又は1であり、
基Aは下記式(2)で表される基である。]
R5は、シアノ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシカルボニル基;又は、フェニル基;を表し、
R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、アシルアミノ基;を表す。]
mは0又は1であり、
R101からR103は、それぞれ独立に、水素原子;スルホ基;又は、C1−C4アルコキシ基;を表し、
基Dは、1つ乃至3つのスルホ基で置換された、フェニル基又はナフチル基を表す。]
R201からR204は、それぞれ独立に、水素原子;又は、スルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表す。]
上記式(1)において、
ニトロ基の置換位置が、該ニトロ基が置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
基Aの置換位置が、該基Aが置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
nが1であり、
R1、R3、及びR7がスルホ基であり、
R2が水素原子であり、
R4が水素原子、塩素原子、又はスルホ基であり、
R5がカルボキシ基である上記1)に記載のインク組成物、
3)
上記式(3)において、
mが1であり、
R101が水素原子又はスルホ基であり、
R102がC1−C4アルコキシ基であり、
R103が水素原子又はスルホ基であり、
基Dが、1つ又は2つのスルホ基で置換されたフェニル基、及び、3つのスルホ基で置換されたナフチル基のいずれかである上記1)又は2)に記載のインク組成物、
4)
前記式(4)において、
R201及びR202の少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、
R203及びR204の少なくとも一方がスルホプロポキシ基である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物、
インク組成物中に含有する色素の総質量において、上記色素(I)の比率が10〜80質量%であり、上記色素(II)の比率が10〜80質量%であり、上記色素(III)の比率が10〜40質量%である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載のインク組成物、
6)
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクの液滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより、記録を行うインクジェット記録方法、
7)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記6)に記載のインクジェット記録方法、
8)
上記情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである上記7)に記載のインクジェット記録方法、
9)
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物、又は、
上記6)乃至8)のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法、により着色された着色体、
10)
上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
なお、以下の本明細書においては煩雑さを避けるため、「化合物」、「その互変異性体」、「それらの塩」の全てを含めて、「化合物」と簡略化して記載する。また、本発明において特に断りが無い限り、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。
本発明のインク組成物に含有される色素(I)は、上記式(1)で表される化合物である。色素(I)は少なくとも1種類の式(1)で表される化合物からなり、式(1)で表される単一の化合物からなる色素であってもよく、複数の化合物からなる色素の混合物であってもよい。なお、式(1)で表される化合物は、水溶性の染料である。
また、N,N−ジアルキルアミノスルホニル基としては、N,N−ジメチルアミノスルホニル基、N,N−ジ(n−プロピル)アミノスルホニル基等のN,N−ジC1−C4アルキルアミノスルホニル基;等が挙げられる。
アルキルカルボニル基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖の、通常C1−C6アルキルカルボニル基、好ましくはC1−C4アルキルカルボニル基が挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチル(メチルカルボニル)、プロピオニル(エチルカルボニル)、ブチリル(プロピルカルボニル)等の直鎖のもの;イソブチリル(イソプロピルカルボニル)等の分岐鎖のもの;等が挙げられる。
アリールカルボニル基としては、アリール部分の炭素数がC6−C10のものが挙げられ、具体例としてはベンゾイル、ナフトイル等が挙げられる。
これらの中ではスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基が好ましい。
アルキルカルボニルアミノ基としては、アルキル部分が直鎖又は分岐鎖の、通常C1−C6アルキルカルボニルアミノ基、好ましくはC1−C4アルキルカルボニルアミノ基が挙げられ、直鎖のものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ(メチルカルボニルアミノ)、プロピオニルアミノ(エチルカルボニルアミノ)、ブチリルアミノ(プロピルカルボニルアミノ)等のアルキル部分が直鎖のもの;イソブチリルアミノ(イソプロピルカルボニルアミノ)等のアルキル部分が分岐鎖のもの;等が挙げられる。
アリールカルボニルアミノ基としては、アリール部分の炭素数がC6−C10のものが挙げられ、具体例としてはベンゾイルアミノ、ナフトイルアミノ等が挙げられる。
好ましくは、該ベンゼン環に置換するアゾ基の置換位置を1位として、下記(a)乃至(d)の組み合わせが挙げられ、(a)の組み合わせが特に好ましい。
(a)ニトロ基が4位、R1が2位、R2が6位。
(b)ニトロ基が4位、R1が2位、R2が5位。
(c)ニトロ基が2位、R1が4位、R2が6位。
(d)ニトロ基が3位、R1が2位、R2が5位。
特に好ましくは、いずれか一方が塩素原子であり、他方がスルホ基であるものが挙げられる。
好ましくは、該ベンゼン環に置換するアゾ基の置換位置を1位として、下記(e)乃至(h)の組み合わせが挙げられ、(e)の組み合わせが特に好ましい。
(e)R3及びR4の一方が3位、他方が5位、基Aが4位。
(f)R3及びR4の一方が2位、他方が5位、基Aが4位。
(g)R3及びR4の一方が2位、他方が4位、基Aが5位。
(h)R3及びR4の一方が3位、他方が4位、基Aが5位。
具体例としては、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等の、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等の、C1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等の、スルホC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。
好ましくは、該ベンゼン環に置換する(ピラゾロン環の)窒素原子の置換位置を1位として、下記(i)乃至(k)の組み合わせが挙げられる。
(i)3つがいずれも水素原子以外のとき、2位、4位、及び5位;又は、2位、4位、及び6位。
(j)2つが水素原子以外の基、1つが水素原子のとき、水素原子以外の基が2位及び4位;2位及び5位;又は、3位及び5位。
(k)1つが水素原子以外の基、2つが水素原子のとき、水素原子以外の基が4位。
なお、下記式(5)乃至(7)中、R101からR103は、いずれも上記式(3)におけるのと同じ意味を表す。
ナフチル基上のスルホ基の位置については特に制限されないが、以下のものが好ましい。
すなわち、
[基Dが1−ナフチル基のとき]
(l)スルホ基の数が1つのとき、3、4、5、6、7位。
(m)スルホ基の数が2つのとき、3位と4位、3位と5位、3位と6位、3位と7位、4位と6位、4位と7位、5位と7位の組み合わせ。
(n)スルホ基の数が3つのとき、3位と4位と6位、3位と4位と7位、3位と5位と6位、3位と5位と7位、3位と6位と7位の組み合わせ。
[基Dが2−ナフチル基のとき]
(o)スルホ基の数が1つのとき、4、5、6、7、8位。
(p)スルホ基の数が2つのとき、4位と6位、4位と7位、4位と8位、5位と6位、5位と7位、5位と8位、6位と8位の組み合わせ。
(q)スルホ基の数が3つのとき、4位と6位と7位、4位と6位と8位、4位と7位と8位の組み合わせ。
具体例としては、7−スルホナフト−1−イル、5,7−ジスルホナフト−2−イル、6,8−ジスルホナフト−2−イル、4,8−ジスルホナフト−2−イル、4,6,8−トリスルホナフト−2−イル、4,7,8−トリスルホナフト−2−イル等が挙げられる。
このうち特に好ましいものは、4,6,8−トリスルホナフト−2−イルである。
各表においてスルホ基、カルボキシ基等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。
具体例としては、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。3−スルホプロポキシが特に好ましい。
各表においてスルホ基、カルボキシ基等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。
式(8)におけるZ1、Z2、Z3、Z4のアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルコキシアルキル基の例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエトキシC1−C4アルキルが好ましい。特に好ましいものとしては、水素原子;メチル;ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基;ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシエトキシC1−C4アルキル基が挙げられる。
なお、各工程における化合物の構造式は遊離酸の形で表すものとし、また下記式(9)乃至(25)において適宜使用されるR201からR204は、それぞれ式(4)におけるのと同じ意味を表す。
式(11)で表される化合物の別合成方法としては、以下の方法が挙げられる。すなわち、下記式(9)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、これとアニリンのメチル−ω−スルホン酸誘導体とを常法によりカップリング反応させた後、アルカリ条件下で加水分解して下記式(12)で表される化合物を得る。得られた式(12)で表される化合物を発煙硫酸等で処理してスルホ化することにより、式(11)で表される化合物を得ることができる。また、式(11)で表される化合物の中には、市販品として購入できるもの(例えばC.I.アシッドイエロー9)もある。
式(9)で表される化合物のジアゾ化物と式(10)で表される化合物とのカップリング反応も、それ自体公知の反応条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、0〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ、酸性から弱酸性のpH値、例えばpH1〜6で反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液は酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、塩基の添加によって反応液を上記のpH値へ調整するのが好ましい。塩基としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物;炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩;酢酸ナトリウム等の酢酸塩;アンモニア又は有機アミン;等が使用できる。式(9)で表される化合物と式(10)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(11)で表される化合物のジアゾ化物と、式(13)、式(15)、式(17)、又は式(19)で表される化合物とのカップリング反応も、それ自体公知の反応条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、0〜30℃、好ましくは5〜25℃の温度、且つ、酸性から弱酸性のpH値、例えばpH1〜6で反応を行うことが有利である。ジアゾ化反応液は酸性であり、また、カップリング反応の進行により反応系内はさらに酸性化してしまうため、塩基の添加によって反応液を上記のpH値へ調整するのが好ましい。塩基としては上記と同じものが使用できる。式(11)の化合物と、式(13)、式(15)、式(17)、又は式(19)の化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
本発明のインク組成物中に含有する色素の総質量中、色素(I)の比率は10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%、色素(II)の比率は10〜80質量%、好ましくは20〜70質量%、より好ましくは20〜65質量%、色素(III)の比率は10〜40質量%である。
また、本発明のインク組成物の総質量における色素(I)、色素(II)、及び色素(III)の総含有量は、インク組成物の総質量に対して、通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。
本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜20質量%含有してもよく、残部は水である。
インク調製剤としては、例えば、防黴防腐剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、色素溶解剤、界面活性剤、酸化防止剤(退色防止剤)等の公知の添加剤が挙げられる。
水溶性有機溶剤の含有量は、本発明のインク組成物の総質量に対して0〜60質量%、好ましくは10〜50質量%であり、インク調製剤は同様に0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%用いるのがよい。上記以外の残部は水である。
これらの中でも、イソプロパノール、N−メチル−2−ピロリドン、グリセリン、ブチルカルビトール等が好ましい。
有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられる。ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられる。イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤の具体例としては、無水酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、あるいはアーチケミカル社製、商品名プロクセルRTMGXL(S)やプロクセルRTMXL−2(S)等が挙げられる。
なお、本明細書において、上付きの「RTM」は、登録商標を意味する。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。
該記録方法は、公知の各方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等を採用することができる。
なお、インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の色素濃度(色素含有量)の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相でインク中の色素濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;及び無色透明のインクを用いる方式;等も含まれる。
a)上記1)乃至5)に記載の本発明のインク組成物、又は、
b)上記6)乃至8)に記載の本発明のインクジェット記録方法、により着色された物質であり、好ましくは本発明のインク組成物を用いて、本発明のインクジェット記録方法により着色された物質である。
着色されうる被記録材としては特に制限はないが、例えば、紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルタ用基材等が挙げられ、中でも情報伝達用シートが好ましい。
情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸又は塗工する方法;多孔質シリカ、アルミナゾル、特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る無機微粒子をポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工する方法;等により設けられる。このようなインク受容層を設けたものは、通常インクジェット専用紙、インクジェット専用フィルム、光沢紙、光沢フィルム等と呼ばれる。
上記のような多孔性白色無機物を表面に塗工したシートとして代表的な市販品の一例を挙げると、キヤノン(株)製、商品名:写真用紙・光沢プロ「プラチナグレード」、写真用紙・光沢ゴールド;セイコーエプソン(株)製、商品名:写真用紙クリスピア(高光沢)、写真用紙(光沢)、フォトマット紙;日本ヒューレット・パッカード(株)製、商品名:アドバンスフォト用紙(光沢);富士フィルム(株)製、商品名:画彩写真仕上げPro;等があるが、本発明のインク組成物の用途としては、これらの専用紙等に限られるものではない。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明のインク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)、レッド(又はオレンジ)等の各色のインク組成物とを併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明のインク組成物を含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
本発明のインク組成物又は該インク組成物から調製されるインクは、保存時の安定性や吐出安定性にも優れている。すなわち、本発明のインク組成物は、長期間保存後の固体析出、物性変化、色相の変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。
また、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用等として好適に用いられ、特にインクジェット専用紙に記録した際には、濃色及び淡色印刷時のいずれにおいても色味のないニュートラルな黒〜グレー色を呈し、異なるメディアに記録した場合であっても、色相の変化が少ない。また、記録画像の印字(印刷)濃度が非常に高く、高濃度溶液を印字した場合でもその画像にブロンジングを起こさず、さらに、耐湿性、耐水性等の各種堅牢性、特に耐光性及び耐オゾンガス性が共に優れている。
また、マゼンタ、シアン、及びイエロー色素を含有する他のインク組成物と併用することで、各種堅牢性に優れ、保存性の優れたフルカラーのインクジェット記録が可能であり、普通紙にも当然使用できる。
このように本発明のインク組成物は、インクジェット記録用の黒色インクとして極めて有用である。
実施例中、特に断りのない限り、「部」及び「%」とあるのは、質量基準である。また、合成反応や晶析等の各操作については撹拌下に行った。1回の合成反応において目的とする化合物の必要量が得られなかった場合には、必要量が得られるまで該反応を繰り返し行った。
また、下記の各式において、スルホ、カルボキシ等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。
また、実施例中に記載したpH値及び反応温度は、いずれも反応系内における測定値を示す。
また、合成した化合物の最大吸収波長(λmax)は、pH5〜8の水溶液中で測定し、測定した化合物については実施例中に測定値を記載した。
(工程1)
2−アミノ−6−メトキシベンゾチアゾール5.0部を15%発煙硫酸16部中に15〜25℃でゆっくり添加した。添加後、同温度で2時間撹拌した後、60部の氷水中に約10分間かけて滴下した。析出した結晶を濾取し、乾燥して、下記式(27)で表される化合物6.4部を得た。
50%硫酸20部に上記工程(1)で得られた式(27)で表される化合物3.2部を50%硫酸20部に懸濁し、撹拌下、5〜10℃で40%ニトロシル硫酸4.7部を約10分間かけて滴下することによりジアゾ懸濁液を得た。
一方、水30部に上記式(28)で表される化合物2.9部、スルファミン酸0.4部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH5.0〜5.5とすることにより水溶液を得た。
得られた水溶液に上記のジアゾ懸濁液を反応温度20〜30℃で、約10分間かけて滴下した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、水酸化ナトリウムを加えてpH0.7〜1.2にした後に析出固体を濾取することにより、下記式(29)で表される化合物を含むウェットケーキ11.8部を得た。
なお、下記式(28)の化合物は、特開2004−083492号公報に記載の方法で得た。
水30部に下記式(30)で表される化合物2.7部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH7.5〜8.0とすることにより水溶液を得た。
一方、撹拌下、上記(工程2)で得られた式(29)で表される化合物を含むウェットケーキを水110部に懸濁し、水酸化ナトリウムを加えてpH6.0〜6.5とすることにより水溶液を得た。
得られた水溶液に35%塩酸2.6部、次いで反応温度15〜20℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液2.0部を約5分間かけて滴下することにより、ジアゾ懸濁液を得た。
得られたジアゾ懸濁液を、先に得られた式(30)で表される化合物を含む水溶液に、反応温度20〜30℃で、20分間かけて滴下した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を7.0〜8.0に保持した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾取することにより、下記式(31)で表される化合物を含むウェットケーキ16.9部を得た。
水30部に3,5−ジスルホアニリン12.7部、35%塩酸18.3部、次いで反応温度0〜5℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液9.1部を約5分間かけて滴下することにより、ジアゾ液を得た。
一方、撹拌下、アセチルこはく酸ジメチルに水9部、次いでエタノール2部を加え懸濁させた後、先に得られたジアゾ液を反応温度10〜20℃で、15分間かけて滴下した。
滴下後、反応系内に酢酸ナトリウムを加えてpH値を7.0〜8.0に保持した。滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、反応系内に水酸化ナトリウムを加えてpH13.0〜13.5、15〜20℃で2時間撹拌後、35%塩酸を加えpH0〜0.5、5〜10℃で2時間撹拌し、析出した結晶を濾取し、下記式(32)で表される化合物10.9部を得た。
水30部に上記(工程4)で得られた式(32)で表される化合物2.5部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH7.5〜8.0とすることにより水溶液を得た。
一方、撹拌下、上記(工程3)で得られた式(31)で表される化合物を含むウェットケーキ全量を水150部に溶解し、35%塩酸3.5部、次いで反応温度20〜25℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.5部を約5分間かけて滴下することにより、ジアゾ液を得た。
得られたジアゾ液を、先に得られた式(32)で表される化合物を含む水溶液に、反応温度20〜30℃で、30分間かけて滴下した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を7.0〜8.0に保持した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、塩化ナトリウムを添加して塩析し、析出した固体を濾取することにより、ウェットケーキ40.8部を得た。得られたウェットケーキを水180部に溶解し、メタノール250部を添加して晶析し、析出した固体を濾取することによりウェットケーキを得た。さらに、得られたウェットケーキを水180部に溶解し、塩化リチウム22部を添加し、メタノール200部を添加して晶析し、析出した固体を濾取することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度、水80部に溶解し、メタノール200部を添加して晶析し、析出した固体を濾取し、乾燥することにより、下記式(33)で表される化合物(λmax:606.5nm)7.0部をリチウム塩として得た。なお、この化合物は、表7に記載のNo.38で表される化合物と、表7に記載のNo.40で表される化合物との混合物である。
上記式(32)の合成において、原料として、3,5−ジスルホアニリン12.7部に代えて、2−アミノナフタレン−4,6,8−トリスルホン酸19.2部を用いることによって、下記式(34)で表される化合物を得、これを原料として、合成例1の(工程5)を行うことにより、下記式(35)で表される化合物(λmax:607.0nm)を得た。なお、この化合物は、表5に記載のNo.32で表される化合物と、表6に記載のNo.33で表される化合物との混合物である。
下式(36)で表される化合物(λmax:604.0nm)を、特開2009−84346号公報の実施例2に記載の方法により合成した。この化合物は、表5に記載のNo.28で表される化合物と、表5に記載のNo.29で表される化合物との混合物である。
(工程1)
水200部に下記式(37)で表されるモノアゾ化合物(C.I.アシッドイエロー9)35.7部を加え、水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を、0〜10℃に保った5%塩酸300部中に30分間かけて滴下した後、20℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行い、ジアゾ反応液を調製した。
得られたメチル−ω−スルホン酸誘導体水溶液を、先に調製したジアゾ反応液中に加え、0〜15℃、炭酸水素ナトリウムの添加によりpH4〜5に調整しながら5時間反応させた。反応液に35%塩酸100部を添加した後、70〜80℃でさらに5時間反応させた。反応液に塩化ナトリウムを加えて塩析し、析出固体を濾過分取することにより、下記式(38)で表される化合物120部をウェットケーキとして得た。
水200部に上記式(37)で表されるモノアゾ化合物(C.I.アシッドイエロー9)35.7部を加え、水酸化ナトリウムでpH6に調整しながら溶解し、次いで亜硝酸ナトリウム7.2部を加えた。この溶液を、35%塩酸31.3部を水200部で希釈した水溶液中に、0〜10℃を保ちながら30分間かけて滴下した後、20℃以下で1時間撹拌してジアゾ化反応を行った。得られた反応液にスルファミン酸0.4部を添加し5分間撹拌してジアゾ反応液を調製した。
一方、40〜50℃の温水300部に、特開2004−083492号公報に記載の方法で得た下記式(39)で表される化合物24.0部及び25%水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH5〜6に調整し、水溶液を得た。この水溶液に上記で得られたジアゾ反応液を15〜25℃で、30分間かけて滴下した。滴下中は炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH5〜6に保持した。滴下後、同温度、同pHで2時間撹拌した後、35%塩酸の添加によりpH0〜1に調整した。得られた液を65℃に加熱し、同温度で2時間撹拌した後、室温まで冷却し、析出した固体を濾過分取することにより、下記式(40)で表される化合物を含むウェットケーキ130部を得た。
水300部に上記(工程1)で得られた式(38)で表される化合物を含むウェットケーキ50部を25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH8〜9として溶解した。この溶液にライオン(株)社製、商品名:レオコールRTMTD90(界面活性剤、以下「レオコールRTMTD90」と省略)0.48部を加えた後、5〜10℃で塩化シアヌル7.3部を添加した。添加後、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を6〜7に保持しながら5〜10℃で6時間撹拌した。
一方、水150部に上記(工程2)で得られた式(40)で表される化合物を含むウェットケーキ51部を25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH7〜8として溶解し、溶液を得た。この溶液を上記反応液に添加した後、65〜70℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を6〜7に保持しながら7時間撹拌した。次にピペラジン1.7部を添加した後、90〜95℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を7〜8に保持しながら18時間撹拌した。
得られた反応液を20〜30℃まで冷却後、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。
このウェットケーキを水600部に溶解した。この溶液にメタノール50部、次いで2−プロパノール800部を加え、30分間撹拌した。析出した固体を濾過分取することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水400部に溶解し、2−プロパノール1000部を添加し、析出した固体を濾過分取し、乾燥することにより、下記式(41)で表されるアゾ化合物(λmax:435nm)25.3部をナトリウム塩として得た。
水250部に上記合成例4の(工程2)で得られた式(40)で表される化合物を含むウェットケーキ65部を25%水酸化ナトリウム水溶液の添加によりpH7〜8として溶解した。この溶液にレオコールRTMTD90(0.10部)を加えた後、15〜25℃で塩化シアヌル3.8部を添加した。添加後、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を5〜6に保持しながら15〜25℃で2時間撹拌した。次にこの反応液を60〜65℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を6〜7に保持しながら5時間撹拌した。
次にピペラジン0.89部を添加した後、90〜95℃に加熱し、炭酸ナトリウム水溶液の添加によりpH値を8〜9に保持しながら16時間撹拌した。
得られた反応液を20〜30℃まで冷却後、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾過分取してウェットケーキを得た。このウェットケーキを水400部に溶解した。この溶液にメタノール50部、次いで2−プロパノール800部を加え、30分間撹拌した。析出した固体を濾過分取することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度水200部に溶解し、2−プロパノール800部を添加し、析出した固体を濾過分取し、乾燥することにより、下記式(42)で表されるアゾ化合物(λmax:436nm)13.5部をナトリウム塩として得た。
[(A)インクの調製]
下記表11に記載した各成分を混合することにより、本発明及び比較用のインク組成物をそれぞれ得た後、0.45μmのメンブランフィルタで夾雑物を濾別することにより、試験用のインクを得た。このインクの調製をそれぞれ実施例1乃至4、及び比較例1とする。得られた本発明のインクは、貯蔵中、沈殿分離を生じることなく、また長期間の保存後においても物性の変化は生じなかった。
また、以下の各実施例及び比較例において、インクの調製にはイオン交換水を使用した。インクの調製時においては、各インクのpHを8〜10に調整する目的で、適宜水酸化リチウムを用い、イオン交換水を加えることにより総量100部とした。
表中、色素(I)、(II)、(III)は、本発明のインク組成物中に含有される、色素(I)、色素(II)、及び色素(III)にそれぞれ対応する。各色素の欄は破線により上下に2分割されており、上欄に記載の括弧付きの番号は、本実施例中に記載の化合物の式番号に対応しており、下欄には用いた部数を記載した。また、色素欄以外の、水溶性有機溶剤、各添加剤等の欄中に記載の数字は、いずれも組成物中における部数を記載した。
なお、表中の略号は以下の意味を表す。
GLY:グリセリン
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
IPA:イソプロパノール
BCTL:ブチルカルビトール
EDTA・2Na:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム
SURF:商品名サーフィノールRTM 日信化学社製
これらの化合物は国際公開第2007/077931号に開示された方法を追試することで、下記式(43)乃至(45)で表される化合物のナトリウム塩をそれぞれ得た。これらの色素を用いて表11に記載のインクを調製することで得たインクを比較例1とした。
上記の各実施例及び各比較例で得たそれぞれのインクを使用し、Canon社製インクジェットプリンタ、商品名「PIXUSRTM iP4500」により、光沢紙であるヒューレットパッカート社製、商品名「写真用紙アドバンストフォトペーパーRTM<高光沢>」にインクジェット記録を行った。インクジェット記録の際は、100%、80%、60%、40%、20%、10%濃度の6段階の階調が得られるように画像パターンを作り、濃黒色〜淡黒色のグラデーションの記録物を得た。得られた記録物は印刷後24時間以上室温で乾燥させ、これを試験片として各種評価に用いた。
上記のようにして得た各試験片を2種類の耐オゾンガス性試験に用いた。
記録画像の測色は、いずれもGRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名「SpectroEye」を用いて行った。測色する際は、いずれも濃度基準にDIN NB、視野角2°、光源D65の条件で行った。
耐オゾンガス性試験では、試験前の記録画像のブラック反射濃度Dk値が1.2〜1.5の範囲にある階調部分を測色することにより測定した。具体的な試験方法は下記の通りである。
スガ試験機社製、商品名「オゾンウェザオメーター」に試験片を設置し、オゾン濃度10pm、湿度50%RH、温度23℃の条件下で24時間放置した。オゾン暴露前及び暴露後の各試験片の記録画像について、CIEのL*、a*、b*を測定し、下記式により色差ΔEを算出した。なお、下記計算式中、ΔL*、Δa*、及びΔb*は、それぞれ暴露前後のL*、a*、及びb*の差をそれぞれ意味する。
ΔE=(ΔL*2+Δa*2+Δb*2)1/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。オゾン暴露前後でのΔEが小さいものが試験前後の色変化が少なく優れた結果を表す。
評価結果を表12に示す。
A:ΔEが7.0未満
B:ΔEが7.0以上8.0未満
C:ΔEが8.0以上10.0未満
D:ΔEが10.0以上
スガ試験機社製、商品名「オゾンウェザオメーター」に試験片を設置し、オゾン濃度10pm、湿度50%RH、温度23℃の条件下で48時間放置した。オゾン暴露前及び暴露後の各試験片の記録画像について、CIEのL*、a*、b*を測定し、下記式により色差ΔEを算出した。なお、下記計算式中、ΔL*、Δa*、及びΔb*は、それぞれ暴露前後のL*、a*、及びb*の差をそれぞれ意味する。
評価結果を表12に示す。
A:ΔEが12.0未満
B:ΔEが12.0以上15.0未満
C:ΔEが15.0以上18.0未満
D:ΔEが18.0以上
具体的には、各実施例のインクは、比較例1のインクと比較してオゾンガスの暴露に対する色変化がいずれも少なく、耐オゾンガス性に優れる印刷画像を与えることが明らかである。
黒色の色相の品質を評価するため、印刷した各試験片の、彩度C*値を評価した。評価する際は上記測色システムを用いて、CILのL*、a*、b*を測色し、下記式を用いて算出した。
C*=(a*2+b*2)1/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を表14に示す。C*値は小さい方(0に近い方)が無彩色で色味の無い高品質の黒色に近づくため優れる。
A:C*値が5未満
B:C*値が5以上8未満
C:C*値が8以上10未満
D:C*値が10以上
具体的には、比較例2乃至4のように、色素(I)、色素(II)のどちらか一方からなるインクや、比較例5のように、色素(I)と色素(II)との両者からなるインクでは、ニュートラルで且つ無彩な黒色の色相を与えず、黒色の品質としては不適切であることが明らかである。
一方、本発明の色素(I)、色素(II)、及び色素(III)を含有する各実施例のインクは、得られた彩度がいずれも5以下であり、より無彩色なブラックで高品位な黒色色相の記録画像を与えることが明らかである。
Claims (10)
- 色素(I)として、少なくとも1種類の下記式(1)で表される化合物若しくはその互変異性体、又はそれらの塩と、色素(II)として、少なくとも1種類の下記式(3)で表される化合物若しくはその互変異性体又はそれらの塩と、色素(III)として、少なくとも1種類の下記式(4)で表される化合物又はその塩と、を含有することを特徴とするインク組成物。
R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;スルファモイル基;N−アルキルアミノスルホニル基;N,N−ジアルキルアミノスルホニル基;N−フェニルアミノスルホニル基;ホスホ基;ニトロ基;アシル基;ウレイド基;C1−C4アルキル基;ヒドロキシ基又はC1−C4アルコキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、アシルアミノ基;を表し、
R3及びR4は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;又は、ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、及びカルボキシ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表し、
nは0又は1であり、
基Aは下記式(2)で表される基である。]
R5は、シアノ基;カルボキシ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシカルボニル基;又は、フェニル基;を表し、
R6、R7、及びR8は、それぞれ独立に、水素原子;ハロゲン原子;シアノ基;カルボキシ基;スルホ基;ニトロ基;C1−C4アルキル基;C1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、及びスルホ基よりなる群から選択される少なくとも1種類の基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、アシルアミノ基;を表す。]
mは0又は1であり、
R101からR103は、それぞれ独立に、水素原子;スルホ基;又は、C1−C4アルコキシ基;を表し、
基Dは、1つ乃至3つのスルホ基で置換された、フェニル基又はナフチル基を表す。]
R201からR204は、それぞれ独立に、水素原子;又は、スルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表す。] - 前記式(1)において、
ニトロ基の置換位置が、該ニトロ基が置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
基Aの置換位置が、該基Aが置換するベンゼン環上のアゾ基の置換位置を1位として4位であり、
nが1であり、
R1、R3、及びR7がスルホ基であり、
R2が水素原子であり、
R4が水素原子、塩素原子、又はスルホ基であり、
R5がカルボキシ基である請求項1に記載のインク組成物。 - 前記式(3)において、
mが1であり、
R101が水素原子又はスルホ基であり、
R102がC1−C4アルコキシ基であり、
R103が水素原子又はスルホ基であり、
基Dが、1つ又は2つのスルホ基で置換されたフェニル基、及び、3つのスルホ基で置換されたナフチル基のいずれかである請求項1又は2に記載のインク組成物。 - 前記式(4)において、
R201及びR202の少なくとも一方がスルホプロポキシ基であり、
R203及びR204の少なくとも一方がスルホプロポキシ基である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク組成物。 - インク組成物中に含有する色素の総質量において、前記色素(I)の比率が10〜80質量%であり、前記色素(II)の比率が10〜80質量%であり、前記色素(III)の比率が10〜40質量%である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクの液滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に付着させることにより、記録を行うインクジェット記録方法。
- 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項6に記載のインクジェット記録方法。
- 前記情報伝達用シートが、多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するシートである請求項7に記載のインクジェット記録方法。
- 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物、又は、
請求項6乃至8のいずれか一項に記載のインクジェット記録方法、により着色された着色体。 - 請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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