JPWO2009136577A1 - インク組成物、インクジェット記録方法及び着色体 - Google Patents

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隆志 吉本
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Abstract

水を主要成分とする媒体に対する溶解性が高く、高濃度水溶液等を長期間保存した場合でも安定であり、印字された画像の濃度が高く、高濃度溶液を印字した画像にブロンジングを生じず、演色性が良好で、該画像の堅牢性に優れた黒色の記録画像を与える黒色インク用色素とそのインク組成物を提供する。黒色インク用色素としては、下記式(1)で表される色素(I)又はその塩と、下記式(2)で表される色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩とを用いる。[式(1)中、RaはC1−C4アルキル基等、Xはスルホ置換脂肪族アミノ基等をそれぞれ表す。][式(2)中、R1はC1−C4アルキル基等、R2はシアノ基等、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子;スルホ基等、R5からR7又はR8からR10が置換している環は、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環;該環が存在する場合にはナフタレン環を、R5からR7はそれぞれ独立に水素原子;C1−C4アルキル基;スルホ置換C1−C4アルコキシ基等、R8からR10はそれぞれ独立に水素原子;C1−C4アルキル基;スルホ置換C1−C4アルキルチオ基等、基Aはスルホ置換2−ナフトチアゾリル基等を、それぞれ表す。]

Description

本発明は少なくとも2種類の色素を含有するインク組成物、該インク組成物を用いたインクジェット記録方法、及び該インク組成物によって着色された着色体に関する。
各種のカラー記録方法の中でも代表的方法の1つであるインクジェットプリンタによる記録方法は、インクの小滴を発生させ、これを種々の被記録材(紙、フィルム、布帛等)に付着させ記録を行うものである。この方法は、記録ヘッドと被記録材とが接触しないため、音の発生が少なく静かであり、また小型化、高速化が容易であるという特長を有するため、近年急速に普及しつつあり、今後とも大きな伸長が期待されている。
従来、万年筆、フェルトペン等のインク及びインクジェット記録用のインクとしては、水溶性色素を水性媒体中に溶解した水性インクが使用されている。また、これらの水性インクにおいては、ペン先やインク吐出ノズルでのインクの目詰まりを防止すべく、一般に水溶性有機溶剤が添加されている。そしてこれらのインクにおいては、十分な濃度の記録画像を与えること、ペン先やノズルの目詰まりを生じないこと、被記録材上での乾燥性がよいこと、滲みが少ないこと、保存安定性に優れること、印刷画像においてブロンズ性が起こりにくいこと等が要求される。また、使用される水溶性色素には、特に水への溶解度が高いこと、インクに添加される水溶性有機溶剤への溶解度が高いことが要求される。さらに、形成される画像には、耐水性、耐光性、耐酸化性ガス性、耐湿性等の画像堅牢性が求められている。
ブロンズ性とは、色素の会合やインクの吸収不良等が原因で、光沢紙上の表面に色素が金属片状になり、金属のような光沢を有してぎらつくブロンズ現象(ブロンジング現象ともいう)の起こりやすさをいう。ブロンズ現象が起こると光沢、印刷品位、印刷濃度の全ての点がブロンズ現象の起こっていないものより劣ったものになる。
耐酸化性ガス性は、通常、耐ガス性等とも呼ばれるが、これは空気中に存在する酸化作用を持つガスが被記録材中で色素と反応し、印刷された画像を変退色させるという現象に対する耐性のことである。この種の作用を持つ酸化性ガスとしては、オゾンガス、NOx、SOx等が挙げられるが、これらの酸化性ガスのうちオゾンガスがインクジェット記録画像の変退色現象をより促進させる原因物質とされており、これらの耐酸化性ガス性の程度を知るための加速試験にはオゾンガスが用いられている。このような酸化性ガスによる変退色現象はインクジェット画像に特徴的なものであるため、耐オゾンガス性の向上はより重要な課題となっている。特に、写真画質インクジェット専用紙の表面に設けられるインク受容層には、インクの乾燥を早め、また高画質での滲みを少なくするために、白色無機顔料等による多孔質の材料を用いているものが多く、このような記録紙上でオゾンガスによる変退色が顕著に見られる。
また、耐湿性とは、着色された被記録材を高湿度の雰囲気下に保存した際に、被記録材中の色素が滲んでくるという現象に対する耐性のことである。色素の滲みがあると、特に写真調のような高精細な画質を求められる画像においては著しく画像品位が低下するため、できるだけこの様な滲みを少なくすることが重要である。したがって、耐湿性も、前述の耐オゾンガス性と同様にインクジェット用の色素として求められる重要な課題である。
今後、インクを用いた印刷方法の使用分野を拡大すべく、インクジェット記録用に用いられるインク組成物及びそれによって着色された着色体には、耐水性、耐光性、耐湿性、耐オゾンガス性のさらなる向上が強く求められている。
種々の色相のインクが種々の色素から調製されているが、それらのうち黒色インクは、文字情報をプリントする用途のみならず、カラー画像においても用いられる重要なインクである。しかし、濃色域と淡色域とが共にニュートラルな色相で、且つ印字濃度が高く、さらに、色相の光源依存性が小さい良好な黒色を呈する色素の開発は技術的に困難な点が多く、多大な研究開発が行われているがまだ十分な性能を有するものが少ない。そのため、一般には複数の多様な色素を混合して黒色インクを調製することが行われている。しかし、複数の色素を混合してインクを調製すると、単一の色素でインクを調製した場合に比べて、1)メディア(被記録材)によって色相が異なる、2)光やオゾンガスによる色素の分解によって特に変色が大きくなる、等の問題がある。
印刷物の各種耐久性が良好なインクジェット用黒色インク組成物としては、例えば特許文献1のもの等が提案されている。このインク組成物は色相が黒色として非常に良好であり、印刷物の画像堅牢性についても大きく改良がなされたインク組成物であるが、特に耐オゾンガス性について更なる改善が要望されており、未だ市場の要求を十分に満足する製品を提供するには至っていない。
国際公開第2007/077931号パンフレット 国際公開第2006/001274号パンフレット
本発明は、長期間保存した場合でも安定であり、濃色及び淡色印刷時のいずれにおいても色味のないニュートラルな黒〜グレー色を呈し、印字された画像の濃度が高く、メディア毎の色相に変化が無く、印字後の各種画像保存性、すなわち、耐水性、耐光性、耐酸化性ガス性、耐湿性等、特に耐オゾンガス性及び耐光性に非常に優れた黒色の記録画像を与える水性黒色インク組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は上記課題を解決すべく、鋭意検討した。その結果、特定の少なくとも2種類の色素を含有するインク組成物が上記課題を解決するものであることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
1)
下記式(1)で表される色素(I)又はその塩と、下記式(2)で表される色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩とを含有するインク組成物、
Figure 2009136577
[式(1)中、
は水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルキル基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシC1−C5アルキルアミノ基;ビス(カルボキシC1−C5アルキル)アミノ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルカノイルアミノ基;ベンゼン環がカルボキシ基、スルホ基、若しくはアミノ基で置換されていてもよいフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子;又はウレイド基;を表し、
Xはカルボキシ基又はスルホ基を有する脂肪族アミノ基を表す。]
Figure 2009136577
[式(2)中、
はカルボキシ基;非置換、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;又は、非置換、若しくはスルホ基で置換されたフェニル基であり、
はシアノ基;カルバモイル基;又はカルボキシ基であり、
及びRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;スルホ基;非置換C1−C4アルキル基;又は非置換C1−C4アルコキシ基であり、
からRが置換している環は、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環;破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環であり、
からRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、若しくはヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;非置換、若しくはヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換、若しくはヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたN’−C1−C4アルキルウレイド基;非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルアミノ基;非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたベンゾイルアミノ基;又は、非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
からR10が置換している環は、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環;破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環;であり、
からR10はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、若しくはヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルチオ基;非置換、若しくはヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換、若しくはヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたN’−C1−C4アルキルウレイド基;非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルアミノ基;非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたベンゾイルアミノ基;又は、非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
基Aは非置換又は置換基を有する2−ナフトチアゾリル基であり、該2−ナフトチアゾリル基が置換基を有する場合には、塩素原子;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、又はヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;及び、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニル基;よりなる群から選択される置換基を有してもよい。]
2)
インク組成物中に含有する色素の全てが、式(1)で表される色素(I)又はその塩と、式(2)で表される色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩との両者である上記1)に記載のインク組成物、
3)
上記色素(I)が下記式(3)で表される色素である上記1)又は2)に記載のインク組成物、
Figure 2009136577
[式(3)中、Xは式(1)におけるのと同じ意味を有する。]
4)
Xがカルボキシ基又はスルホ基を有する、モノC1−C5アルキルアミノ基又はジC1−C5アルキルアミノ基である上記1)乃至3)のいずれか一項に記載のインク組成物、
5)
Xがスルホエチルアミノ基である上記1)乃至4)のいずれか一項に記載のインク組成物、
6)
上記色素(II)が下記式(4)で表される色素である上記1)乃至5)のいずれか一項に記載のインク組成物、
Figure 2009136577
[式(4)中、基A、RからR10は、式(2)におけるのと同じ意味を有する。]
7)
上記色素(II)が下記式(5)で表される色素である上記1)乃至6)のいずれか一項に記載のインク組成物、
Figure 2009136577
[式(5)中、
基A、RからRは式(1)と同じ意味を有し、
及びRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換C1−C4アルキル基;又は、非置換、若しくはスルホ基若しくはヒドロキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表し、Rは水素原子を表し、
及びR10はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;スルホC1−C4アルコキシ基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、若しくはスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルチオ基;を表し、Rは水素原子を表す。]
8)
基Aが下記式(6)で表される基である上記1)乃至7)のいずれか一項に記載のインク組成物、
Figure 2009136577
[式(6)中、
11からR14はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;非置換、又はヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;及び、非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;よりなる群から選択される基を表す。]
9)
がメチル基、Rがシアノ基又はカルバモイル基、Rが水素原子、Rがスルホ基、Rがスルホプロポキシ基又はスルホブトキシ基、Rが水素原子、Rが水素原子、塩素原子、アセチルアミノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、スルホプロポキシ基、又はスルホブトキシ基、Rがスルホプロピルチオ基又はスルホブチルチオ基、Rが水素原子、R10が水素原子、塩素原子、アセチルアミノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、又はスルホプロポキシ基、R11からR14のうち3つがスルホ基、1つが水素原子である上記8)に記載のインク組成物、
10)
インク組成物中に含有する色素(I)又はその塩、及び色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩の総質量中、色素(I)又はその塩の比率が10〜30質量%、色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩の比率が70〜90質量%である上記1)乃至9)のいずれか一項に記載のインク組成物、
11)
インク組成物中に含有する色素(I)又はその塩、及び色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩の総質量が、インク組成物の総質量に対して2〜8質量%である上記1)乃至10)のいずれか一項に記載のインク組成物、
12)
インクジェット記録に用いられる請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物、
13)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法、
14)
上記被記録材が情報伝達用シートである上記13)に記載のインクジェット記録方法、
15)
上記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するものである上記14)に記載のインクジェット記録方法、
16)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体、
17)
着色がインクジェットプリンタによりなされた上記16)に記載の着色体、
18)
上記1)乃至12)のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ、
に関する。
本発明のインク組成物は長期間保存後の結晶析出、物性変化、色変化等もなく、貯蔵安定性が良好である。また、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用、筆記用具用として用いられ、インクジェット専用紙に記録した場合の記録画像の色相がニュートラルで、濃度が薄いインクとした場合でも黒色の印字物が得られる、また、印字濃度が高く、各種の堅牢性、すなわち、耐水性、耐光性、耐酸化性ガス性、耐湿性等、特に耐オゾンガス性及び耐光性に優れており、色相の光源依存性も小さい。また、マゼンタ、シアン、及びイエロー色素と共に用いることで耐光性及び耐水性に優れたフルカラーのインクジェット記録が可能である。このように本発明のインク組成物はインクジェット記録用黒色インクとして極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明において特に断りが無いかぎり、スルホ基、カルボキシ基等の酸性官能基は遊離酸の形で表す。また、「色素(I)又はその塩」及び「色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩」は、記載が煩雑となるのを避けるため、便宜上、「色素(I)」及び「色素(II)」とそれぞれ簡略して記載し、該色素やその互変異性体、あるいはそれらの塩のいずれをも含むものとする。
本発明のインク組成物は、少なくとも上記式(1)で表される色素(I)及び上記式(2)で表される色素(II)の両者を含有することを特徴とする。調色等を目的として、これらの2種類以外の色素を含有してもよいが、これら2種類以外は含有しなくてもよい。換言すると、本発明のインク組成物中に含有する色素の全てが、上記式(1)で表される色素(I)及び上記式(2)で表される色素(II)の両者でもよい。
本発明のインク組成物が含有する色素(I)は、1種以上の式(1)で表される色素である。すなわち、色素(I)は、式(1)で表される単一の色素であってもよいし、式(1)で表される複数の色素の混合物であってもよいが、式(1)以外の色素は実質的に含まない。
式(1)の色素において、Rは水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルキル基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシC1−C5アルキルアミノ基;ビス(カルボキシC1−C5アルキル)アミノ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルカノイルアミノ基;ベンゼン環がカルボキシ基、スルホ基、若しくはアミノ基で置換されていてもよいフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子;又はウレイド基;を表す。
として、ヒドロキシ基又はC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の非置換のもの;2−ヒドロキシエチル等のヒドロキシ置換のもの;メトキシエチル、エトキシエチル、n−プロポキシエチル、イソプロポキシエチル、n−ブトキシエチル、sec−ブトキシエチル、tert−ブトキシエチル等のアルコキシ置換のもの;等が挙げられる。
として、ヒドロキシ基又はC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等の非置換のもの;2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシ置換のもの;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等のアルコキシ置換のもの;2−ヒドロキシエトキシエトキシ等のヒドロキシ及びアルコキシが複合して置換したもの;等が挙げられる。
として、ヒドロキシ基又はC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルキルアミノ基の例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、イソブチルアミノ等の非置換モノアルキルアミノ基;N,N−ジメチルアミノ、N,N−ジエチルアミノ、N,N−ジ(n−プロピル)アミノ、N,N−ジ(イソプロピル)アミノ等の非置換ジアルキルアミノ基;ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、3−ヒドロキシプロピルアミノ等のモノ(ヒドロキシ置換アルキル)アミノ基;ビス(ヒドロキシエチル)アミノ等のビス(ヒドロキシ置換アルキル)アミノ基;メトキシエチルアミノ、エトキシエチルアミノ等のモノ(アルコキシ置換アルキル)アミノ基;ビス(メトキシエチル)アミノ、ビス(2−エトキシエチル)アミノ等のビス(アルコキシ置換アルキル)アミノ基;等が挙げられる。
として、カルボキシC1−C5アルキルアミノ基の例としては、カルボキシメチルアミノ、カルボキシエチルアミノ、カルボキシプロピルアミノ、カルボキシ−n−ブチルアミノ、カルボキシ−n−ペンチルアミノ等が挙げられる。
として、ビス(カルボキシC1−C5アルキル)アミノ基の例としては、ビス(カルボキシメチル)アミノ、ビス(カルボキシエチル)アミノ、ビス(カルボキシプロピル)アミノ等が挙げられる。
として、ヒドロキシ基又はC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルカノイルアミノ基の例としては、アセチルアミノ、n−プロピオニルアミノ、イソプロピオニルアミノ等の非置換のもの;ヒドロキシアセチルアミノ、2−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、3−ヒドロキシ−n−プロピオニルアミノ、2−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ、3−ヒドロキシ−n−ブチリルアミノ等のヒドロキシ置換のもの;2−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、3−メトキシ−n−プロピオニルアミノ、2−メトキシ−n−ブチリルアミノ、3−メトキシ−n−ブチリルアミノ等のアルコキシ置換のもの;等が挙げられる。
として、ベンゼン環がカルボキシ基、スルホ基、又はアミノ基で置換されていてもよいフェニルアミノ基の例としては、フェニルアミノ等の非置換のもの;カルボキシフェニルアミノ、ビスカルボキシフェニルアミノ等のカルボキシ置換のもの;スルホフェニルアミノ等のスルホ置換のもの;アミノフェニルアミノ、ジアミノフェニルアミノ等のアミノ置換のもの;ジアミノスルホフェニルアミノ等のスルホ及びアミノがそれぞれ置換したもの;等が挙げられる。
好ましいRとしてはC1−C4アルキル基であり、メチルがより好ましい。
Xはカルボキシ基又はスルホ基を有する脂肪族アミノ基であり、スルホC1−C5アルキルアミノ基;カルボキシC1−C5アルキルアミノ基;ジ(スルホC1−C5アルキル)アミノ基;ジ(カルボキシC1−C5アルキル)アミノ基;等の、カルボキシ基又はスルホ基を有する、モノC1−C5アルキルアミノ基又はジ(C1−C5アルキル)アミノ基が挙げられる。より好ましい脂肪族の炭素数は1又は2である。好ましい具体例としては、スルホエチルアミノ等のスルホC1−C5アルキルアミノ基;ジ(カルボキシメチル)アミノ等のジ(カルボキシC1−C5アルキル)アミノ基;が挙げられ、中でもスルホエチルアミノ等のスルホC1−C5アルキルアミノ基がより好ましい。式(1)で表される色素(I)の最も好ましいものは下記式(7)で表される色素である。
Figure 2009136577
本発明で使用する色素(II)は、1種以上の式(2)で表される色素である。すなわち、色素(II)は、式(2)で表される単一の色素であってもよいし、式(2)で表される複数の色素の混合物であってもよいが、式(2)以外の色素は実質的に含まない。
上記式(2)で表されるトリスアゾ化合物は互変異性体を有し、この互変異性体としては、式(2)で表される化合物以外に下記式(8)、(9)等が考えられる。これらの互変異性体も本発明に含まれる。なお、下記式(8)、(9)において、基A、RからR10が置換している環は、破線で表される環を含めて上記式(2)におけるのと同じ意味を有する。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
上記式(2)において、Rはカルボキシ基;非置換、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;又は、非置換、若しくはスルホ基で置換されたフェニル基を表す。
式(2)におけるRが非置換C1−C4アルキル基である場合、該アルキル基としては、直鎖及び分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖が好ましい。非置換C1−C4アルキル基の具体例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐鎖;が挙げられる。
該C1−C4アルキル基がカルボキシ基を有する場合も、該アルキル基部分は好ましいものを含めて上記と同じでよい。
がカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基の場合、好ましい具体例としてはカルボキシメチル、2−カルボキシエチル、3−カルボキシプロピル、等が挙げられる。
式(2)におけるRが、非置換、又はスルホ基で置換されたフェニル基である場合の具体例としては例えば、非置換フェニル、又は2−スルホフェニル、4−スルホフェニル、2,4−ジスルホフェニル、3,5−ジスルホフェニル等の、スルホ基が通常1乃至4、好ましくは1乃至3、より好ましくは1乃至2置換したスルホ置換フェニル;等が挙げられる。
上記式(2)におけるRは、上記のうち非置換C1−C4アルキル基;又は非置換フェニル基がさらに好ましく、非置換C1−C4アルキルが特に好ましい。
式(2)における好ましいRの具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、tert−ブチル、フェニルであり、より好ましくはメチル、n−プロピル、フェニルであり、さらに好ましくはメチル、n−プロピルである。
上記式(2)において、Rはシアノ基;カルバモイル基;又はカルボキシ基を表す。Rとしてはいずれも好ましいが、シアノ又はカルバモイルがより好ましく、シアノがさらに好ましい。
式(2)における好ましいRとRとの組み合わせは、RがメチルでRがシアノ、又はRがメチルでRがカルバモイルである。前者の組み合わせがより好ましい。
上記式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;スルホ基;非置換C1−C4アルキル基;又は非置換C1−C4アルコキシ基;を表す。
式(2)におけるR及びRが非置換C1−C4アルキル基である場合、該アルキル基は好ましいものを含めて、上記Rが非置換C1−C4アルキル基である場合と同じでよい。
式(2)におけるR及びRが非置換C1−C4アルコキシ基である場合、該アルコキシ基は直鎖及び分岐鎖のいずれも好ましい。具体例としてはメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ等が挙げられる。
上記式(2)におけるR及びRは、上記のうち水素原子;スルホ基;又は非置換C1−C4アルキル基がさらに好ましい。
式(2)における好ましいR及びRの具体例としては、水素原子、スルホ、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、tert−ブチルであり、より好ましくは水素原子、スルホ、メチル、イソプロピルであり、さらに好ましくは水素原子、スルホである。
式(2)における特に好ましいR及びRは、水素原子、メチル、又はスルホである。また、好ましいRとRとの組み合わせはRが水素原子でRがスルホ、又はRがスルホでRが水素原子である。前者の組み合わせがより好ましい。
上記式(2)において、RからRが置換している環は、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環;破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環;をそれぞれ表す。破線で表される環が存在しないこと、すなわち、RからRが置換している環がベンゼン環であることが好ましい。
からRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、又はヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;非置換、又はヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたN’−C1−C4アルキルウレイド基;非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルアミノ基;非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたベンゾイルアミノ基;及び、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;よりなる群から選択される基を表す。
〜Rが非置換C1−C4アルキル基である場合、該アルキル基としては、直鎖及び分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖が好ましい。非置換C1−C4アルキル基の具体例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐鎖;が挙げられる。好ましい具体例は、メチル又はエチル、より好ましくはメチルである。
式(2)におけるR〜Rが非置換C1−C4アルコキシ基である場合、該アルコキシ基は好ましいものも含めて上記R及びRが非置換C1−C4アルコキシ基である場合と同じでよい。
該アルコキシ基がヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等の非置換C1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;2−ヒドロキシエトキシエトキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ等のカルボキシC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜Rが、非置換のモノ又はジC1−C4アルキルアミノ基である場合、該C1−C4アルキル部分は直鎖及び分岐鎖のいずれも好ましい。その具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ等の直鎖;sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ジイソプロピルアミノ等の分岐鎖;等が挙げられる。
該モノ又はジC1−C4アルキルアミノ基が、ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、2,2’−ジヒドロキシジエチルアミノ等のヒドロキシ置換モノ又はジC1−C4アルキルアミノ基;2−スルホエチルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、4−スルホブチルアミノ、3,3’−ジスルホジプロピルアミノ等のスルホ置換モノ又はジC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシメチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、3−カルボキシプロピルアミノ、2,2’−ジカルボキシジエチルアミノ等のカルボキシ置換モノ又はジC1−C4アルキルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜Rが、非置換C1−C4アルキルカルボニルアミノ基である場合、該C1−C4アルキル部分は、直鎖及び分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖であるものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ、プロパノイルアミノ、ブタノイルアミノ等が挙げられる。
該C1−C4アルキルカルボニルアミノ基が、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されている場合、該C1−C4アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては例えば、ヒドロキシエタノイルアミノ、2−ヒドロキシプロパノイルアミノ、4−ヒドロキシブタノイルアミノ等のヒドロキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;3−カルボキシプロパノイルアミノ等のカルボキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜Rが、N’−C1−C4アルキルウレイド基である場合、非置換であるよりは置換基を有するものが好ましい。
該N’−C1−C4アルキルウレイド基が、ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、N’−2−ヒドロキシエチルウレイド、N’−3−ヒドロキシエチルウレイド等のN’−ヒドロキシC1−C4アルキルウレイド基;N’−2−スルホエチルウレイド、N’−3−スルホプロピルウレイド等のN’−スルホC1−C4アルキルウレイド基;N’−カルボキシメチルウレイド、N’−2−カルボキシエチルウレイド、N’−3−カルボキシプロピルウレイド、N’−4−カルボキシブチルウレイド等のN’−カルボキシC1−C4アルキルウレイド基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜Rが、以下に順次記載する、それぞれ置換基を有するフェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、又はフェニルスルホニルアミノ基であり、それぞれの基に含まれるベンゼン環の置換基がC1−C4アルキル基である場合、該アルキル基は直鎖、分岐鎖、及び環状のいずれでもよいが、直鎖及び分岐鎖であるものが好ましい。具体例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐鎖;のものが挙げられる。
式(2)におけるR〜Rが、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルアミノ基である場合、その具体例としては例えば、非置換フェニルアミノ、又は2−クロロフェニルアミノ、4−クロロフェニルアミノ、2,4−ジクロロフェニルアミノ等の塩素原子置換フェニルアミノ基;2−メチルフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−tert−ブチルフェニルアミノ等の非置換C1−C4アルキル置換フェニルアミノ基;2−ニトロフェニルアミノ、4−ニトロフェニルアミノ等のニトロ置換フェニルアミノ基;3−スルホフェニルアミノ、4−スルホフェニルアミノ、2,4−ジスルホフェニルアミノ、3,5−ジスルホフェニルアミノ等のスルホ置換フェニルアミノ基;2−カルボキシフェニルアミノ、4−カルボキシフェニルアミノ、2,5−ジカルボキシフェニルアミノ、3,5−ジカルボキシフェニルアミノ等のカルボキシ置換フェニルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜Rが、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたベンゾイルアミノ基である場合、その具体例としては例えば、非置換ベンゾイルアミノ、又は2−クロロベンゾイルアミノ、4−クロロベンゾイルアミノ、2,4−ジクロロフェニルアミノ等の塩素原子置換ベンゾイルアミノ基;2−メチルベンゾイルアミノ、3−メチルベンゾイルアミノ、4−メチルベンゾイルアミノ等のC1−C4アルキル置換ベンゾイルアミノ基;2−ニトロベンゾイルアミノ、4−ニトロベンゾイルアミノ、3,5−ジニトロベンゾイルアミノ等のニトロ置換ベンゾイルアミノ基;2−スルホベンゾイルアミノ、4−スルホベンゾイルアミノ等のスルホ置換ベンゾイルアミノ基;2−カルボキシベンゾイルアミノ、4−カルボキシベンゾイルアミノ、3,5−ジカルボキシベンゾイルアミノ等のカルボキシ置換ベンゾイルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜Rが、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基である場合、その具体例としては例えば、非置換フェニルスルホニルアミノ、又は2−クロロフェニルスルホニルアミノ、4−クロロフェニルスルホニルアミノ等の塩素原子置換フェニルスルホニルアミノ基;2−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−tert−ブチルフェニルスルホニルアミノ等のC1−C4アルキル置換フェニルスルホニルアミノ基;2−ニトロフェニルスルホニルアミノ、3−ニトロフェニルスルホニルアミノ、4−ニトロフェニルスルホニルアミノ等のニトロ置換フェニルスルホニルアミノ基;3−スルホフェニルスルホニルアミノ、4−スルホフェニルスルホニルアミノ等のスルホ置換フェニルスルホニルアミノ基;3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ、4−カルボキシフェニルスルホニルアミノ等のカルボキシ置換フェニルスルホニルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)における好ましいRからRの具体例は、水素原子、カルボキシ、スルホ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、2−スルホエチルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、2,2’−ジヒドロキシジエチルアミノ、2,2’−ジカルボキシジエチルアミノ、3,3’−ジスルホジプロピルアミノ、アセチルアミノ、3−カルボキシプロパノイルアミノ、4−ヒドロキシブタノイルアミノ、N’−カルボキシメチルウレイド、N’−2−スルホエチルウレイド、4−スルホフェニルアミノ、2,4−ジスルホフェニルアミノ、2,5−ジカルボキシフェニルアミノ、ベンゾイルアミノ、3−スルホベンゾイルアミノ、2−カルボキシベンゾイルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−ニトロフェニルスルホニルアミノ、3−スルホフェニルスルホニルアミノ、4−カルボキシフェニルスルホニルアミノ等であり、より好ましくは、水素原子、スルホ、メチル、メトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ、ジメチルアミノ、3,3’−ジスルホジプロピルアミノ、アセチルアミノ、3−カルボキシプロパノイルアミノ、N’−2−スルホエチルウレイド、2,4−ジスルホフェニルアミノ、ベンゾイルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノであり、さらに好ましくは、水素原子、スルホ、メチル、メトキシ、3−スルホプロポキシである。
式(2)における好ましいRからRの組み合わせは、Rがスルホプロポキシ又はスルホブトキシ、好ましくは3−スルホプロポキシ又は4−スルホブトキシ、Rが水素原子、Rが水素原子、塩素原子、アセチルアミノ、メチル若しくはエチル、メトキシ若しくはエトキシ、又はスルホプロポキシ若しくはスルホブトキシである。また、さらに好ましいRからRの組み合わせは、Rがスルホプロポキシ、Rが水素原子、Rがメチル、メトキシ、塩素原子、又はアセチルアミノである。
上記式(2)において、RからR10が置換している環は、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環;破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環;をそれぞれ表す。破線で表される環が存在しないこと、すなわち、RからR10が置換している環がベンゼン環であることが好ましい。
からR10はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、又はヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルチオ基;非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;非置換、又はヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたN’−C1−C4アルキルウレイド基;非置換、又はベンゼン環が塩素原子、C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルアミノ基;非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたベンゾイルアミノ基;及び、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;よりなる群から選択される基を表す。
〜R10が非置換C1−C4アルキル基である場合、該アルキル基としては、直鎖及び分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖が好ましい。非置換C1−C4アルキル基の具体例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐鎖;が挙げられる。好ましい具体例は、メチル又はエチル、より好ましくはメチルである。
式(2)におけるR〜R10が、非置換C1−C4アルコキシ基である場合、該アルコキシ基は好ましいものも含めて上記R及びRが非置換C1−C4アルコキシ基である場合と同じでよい。
該アルコキシ基がヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、2−ヒドロキシエトキシ、2−ヒドロキシプロポキシ、3−ヒドロキシプロポキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシ基;メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、n−プロポキシエトキシ、イソプロポキシエトキシ、n−ブトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、エトキシプロポキシ、n−プロポキシプロポキシ、イソプロポキシブトキシ、n−プロポキシブトキシ等の非置換C1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;2−ヒドロキシエトキシエトキシ等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルコキシ基;3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ等のスルホC1−C4アルコキシ基;カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、3−カルボキシプロポキシ等のカルボキシC1−C4アルコキシ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜R10が、非置換C1−C4アルキルチオ基である場合、該C1−C4アルキル部分は直鎖及び分岐鎖のいずれも好ましい。その具体例としては、メチルチオ、エチルチオ、n−プロピルチオ、イソプロピルチオ、n−ブチルチオ、ジメチルチオ、ジエチルチオ、ジ−n−プロピルチオ、ジ−n−ブチルチオ等の直鎖;sec−ブチルチオ、tert−ブチルチオ、ジイソプロピルチオ等の分岐鎖;等が挙げられる。
該モノ又はジC1−C4アルキルチオ基が、ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチルチオ、2−ヒドロキシプロピルチオ、2,2’−ジヒドロキシジエチルチオ等のヒドロキシ置換モノ又はジC1−C4アルキルチオ基;2−スルホエチルチオ、3−スルホプロピルチオ、4−スルホブチルチオ、3,3’−ジスルホジプロピルチオ等のスルホ置換モノ又はジC1−C4アルキルチオ基;カルボキシメチルチオ、2−カルボキシエチルチオ、3−カルボキシプロピルチオ、2,2’−ジカルボキシジエチルチオ等のカルボキシ置換モノ又はジC1−C4アルキルチオ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜R10が、非置換のモノ又はジC1−C4アルキルアミノ基である場合、該C1−C4アルキル部分は直鎖及び分岐鎖のいずれも好ましい。その具体例としては、メチルアミノ、エチルアミノ、n−プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、n−ブチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジ−n−プロピルアミノ、ジ−n−ブチルアミノ等の直鎖;sec−ブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ジイソプロピルアミノ等の分岐鎖;等が挙げられる。
該モノ又はジC1−C4アルキルアミノ基が、ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、2−ヒドロキシエチルアミノ、2−ヒドロキシプロピルアミノ、2,2’−ジヒドロキシジエチルアミノ等のヒドロキシ置換モノ又はジC1−C4アルキルアミノ基;2−スルホエチルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、4−スルホブチルアミノ、3,3’−ジスルホジプロピルアミノ等のスルホ置換モノ又はジC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシメチルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、3−カルボキシプロピルアミノ、2,2’−ジカルボキシジエチルアミノ等のカルボキシ置換モノ又はジC1−C4アルキルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜R10が、非置換C1−C4アルキルカルボニルアミノ基である場合、該C1−C4アルキル部分は、直鎖及び分岐鎖のいずれでもよいが、直鎖であるものが好ましい。具体例としては、アセチルアミノ、プロパノイルアミノ、ブタノイルアミノ等が挙げられる。
該C1−C4アルキルカルボニルアミノ基が、ヒドロキシ基又はカルボキシ基で置換されている場合、該C1−C4アルキルカルボニルアミノ基の具体例としては例えば、ヒドロキシエタノイルアミノ、2−ヒドロキシプロパノイルアミノ、4−ヒドロキシブタノイルアミノ等のヒドロキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;3−カルボキシプロパノイルアミノ等のカルボキシC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜R10が、N’−C1−C4アルキルウレイド基である場合、非置換であるよりは置換基を有するものが好ましい。
該N’−C1−C4アルキルウレイド基が、ヒドロキシ基、スルホ基、又はカルボキシ基で置換されている場合、その具体例としては例えば、N’−2−ヒドロキシエチルウレイド、N’−3−ヒドロキシエチルウレイド等のN’−ヒドロキシC1−C4アルキルウレイド基;N’−2−スルホエチルウレイド、N’−3−スルホプロピルウレイド等のN’−スルホC1−C4アルキルウレイド基;N’−カルボキシメチルウレイド、N’−2−カルボキシエチルウレイド、N’−3−カルボキシプロピルウレイド、N’−4−カルボキシブチルウレイド等のN’−カルボキシC1−C4アルキルウレイド基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜R10が、以下に順次記載する、それぞれ置換基を有するフェニルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、又はフェニルスルホニルアミノ基であり、それぞれの基に含まれるベンゼン環の置換基がC1−C4アルキル基である場合、該アルキル基は直鎖、分岐鎖、及び環状のいずれでもよいが、直鎖及び分岐鎖であるものが好ましい。具体例としては例えば、メチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル等の直鎖;イソプロピル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等の分岐鎖;のものが挙げられる。
式(2)におけるR〜R10が、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルアミノ基である場合、その具体例としては例えば、非置換フェニルアミノ、又は2−クロロフェニルアミノ、4−クロロフェニルアミノ、2,4−ジクロロフェニルアミノ等の塩素原子置換フェニルアミノ基;2−メチルフェニルアミノ、4−メチルフェニルアミノ、4−tert−ブチルフェニルアミノ等の非置換C1−C4アルキル置換フェニルアミノ基;2−ニトロフェニルアミノ、4−ニトロフェニルアミノ等のニトロ置換フェニルアミノ基;3−スルホフェニルアミノ、4−スルホフェニルアミノ、2,4−ジスルホフェニルアミノ、3,5−ジスルホフェニルアミノ等のスルホ置換フェニルアミノ基;2−カルボキシフェニルアミノ、4−カルボキシフェニルアミノ、2,5−ジカルボキシフェニルアミノ、3,5−ジカルボキシフェニルアミノ等のカルボキシ置換フェニルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜R10が、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたベンゾイルアミノ基である場合、その具体例としては例えば、非置換ベンゾイルアミノ、又は2−クロロベンゾイルアミノ、4−クロロベンゾイルアミノ、2,4−ジクロロフェニルアミノ等の塩素原子置換ベンゾイルアミノ基;2−メチルベンゾイルアミノ、3−メチルベンゾイルアミノ、4−メチルベンゾイルアミノ等のC1−C4アルキル置換ベンゾイルアミノ基;2−ニトロベンゾイルアミノ、4−ニトロベンゾイルアミノ、3,5−ジニトロベンゾイルアミノ等のニトロ置換ベンゾイルアミノ基;2−スルホベンゾイルアミノ、4−スルホベンゾイルアミノ等のスルホ置換ベンゾイルアミノ基;2−カルボキシベンゾイルアミノ、4−カルボキシベンゾイルアミノ、3,5−ジカルボキシベンゾイルアミノ等のカルボキシ置換ベンゾイルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)におけるR〜R10が、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基である場合、その具体例としては例えば、非置換フェニルスルホニルアミノ、又は2−クロロフェニルスルホニルアミノ、4−クロロフェニルスルホニルアミノ等の塩素原子置換フェニルスルホニルアミノ基;2−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−tert−ブチルフェニルスルホニルアミノ等のC1−C4アルキル置換フェニルスルホニルアミノ基;2−ニトロフェニルスルホニルアミノ、3−ニトロフェニルスルホニルアミノ、4−ニトロフェニルスルホニルアミノ等のニトロ置換フェニルスルホニルアミノ基;3−スルホフェニルスルホニルアミノ、4−スルホフェニルスルホニルアミノ等のスルホ置換フェニルスルホニルアミノ基;3−カルボキシフェニルスルホニルアミノ、4−カルボキシフェニルスルホニルアミノ等のカルボキシ置換フェニルスルホニルアミノ基;等が挙げられる。
式(2)における好ましいRからR10の具体例は、水素原子、塩素原子、カルボキシ、スルホ、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、2−ヒドロキシエチルアミノ、2−スルホエチルアミノ、3−スルホプロピルアミノ、2−カルボキシエチルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、2,2’−ジヒドロキシジエチルアミノ、2,2’−ジカルボキシジエチルアミノ、3,3’−ジスルホジプロピルアミノ、アセチルアミノ、3−カルボキシプロパノイルアミノ、4−ヒドロキシブタノイルアミノ、N’−カルボキシメチルウレイド、N’−2−スルホエチルウレイド、4−スルホフェニルアミノ、2,4−ジスルホフェニルアミノ、2,5−ジカルボキシフェニルアミノ、ベンゾイルアミノ、3−スルホベンゾイルアミノ、2−カルボキシベンゾイルアミノ、フェニルスルホニルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノ、4−ニトロフェニルスルホニルアミノ、3−スルホフェニルスルホニルアミノ、4−カルボキシフェニルスルホニルアミノ等であり、より好ましくは、水素原子、塩素原子、スルホ、メチル、メトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ、ジメチルアミノ、3,3’−ジスルホジプロピルアミノ、アセチルアミノ、3−カルボキシプロパノイルアミノ、N’−2−スルホエチルウレイド、2,4−ジスルホフェニルアミノ、ベンゾイルアミノ、4−メチルフェニルスルホニルアミノであり、さらに好ましくは、水素原子、スルホ、メチル、メトキシ、3−スルホプロポキシである。
式(2)における好ましいRからR10の組み合わせは、Rがスルホプロピルチオ又はスルホブチルチオ、好ましくは3−スルホプロピルチオ又は4−スルホブチルチオ、より好ましくはスルホプロピルチオ、Rが水素原子、R10が塩素原子、アセチルアミノ基、メチル基若しくはエチル基、メトキシ基若しくはエトキシ基、又はスルホプロポキシ基、好ましくは塩素原子、アセチルアミノ、メチル、又はメトキシ、より好ましくは塩素原子である。
上記式(2)で表される化合物の好ましいものが、上記式(4)で表される化合物である。式(4)中、n、基A、RからR10、及びRからR10が置換している環は、破線で表される環、及び好ましいもの等を含めて上記式(2)と同じでよい。
上記式(4)で表される化合物の好ましいものが、上記式(5)で表される化合物である。式(5)中、基A、RからRは、上記式(4)と好ましいもの等を含めて同じでよい。
及びRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換C1−C4アルキル基;又は、非置換、若しくはスルホ基若しくはヒドロキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基を表し、Rは水素原子を表す。
及びR10はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;スルホC1−C4アルコキシ基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、若しくはスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルチオ基;を表し、Rは水素原子を表す。式(5)におけるR及びR10は、好ましいものを含めて、上記式(2)におけるR及びR10のうちから相当するものと同じでよい。
上記式(2)、(4)、及び(5)において、基Aとして好ましいものが上記式(6)で表される基である。
上記式(6)において、R11からR14はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;非置換、又はヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;及び、非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;よりなる群から選択される基を表す。
式(6)におけるR11からR14が、非置換、又はヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基である場合、該アルコキシ基は好ましいものも含めて上記式(2)におけるRからRが、相当するC1−C4アルコキシ基である場合と同じでよい。
式(6)におけるR11からR14が、非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基の場合、その具体例としては例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、プロピルスルホニル、イソプロピルスルホニル、n−ブチルスルホニル、sec−ブチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル等の直鎖又は分岐鎖の非置換C1−C4アルキルスルホニル基;2−ヒドロキシエチルスルホニル、3−ヒドロキシプロピルスルホニル等のヒドロキシC1−C4アルキルスルホニル基;2−スルホプロピルスルホニル、3−スルホプロピルスルホニル、4−スルホブチルスルホニル等のスルホC1−C4アルキルスルホニル基;カルボキシメチルスルホニル、2−カルボキシエチルスルホニル、3−カルボキシプロピルスルホニル等のカルボキシC1−C4アルキルスルホニル基;等が挙げられる。
式(6)における好ましいR11からR14の具体例は、水素原子、塩素原子、スルホ、ニトロ、メトキシ、エトキシ、2−ヒドロキシエトキシ、2−スルホエトキシ、3−スルホプロポキシ、4−スルホブトキシ、カルボキシメトキシ、2−カルボキシエトキシ、メチルスルホニル、エチルスルホニル、tert−ブチルスルホニル、2−ヒドロキシエチルスルホニル、3−スルホプロピルスルホニル、2−カルボキシエチルスルホニル、フェニルスルホニル、4−クロロフェニルスルホニル、4−メチルフェニルスルホニル、2,4−ジメチルフェニルスルホニル、4−ニトロフェニルスルホニル、4−スルホフェニルスルホニル、2−カルボキシフェニルスルホニル、4−カルボキシフェニルスルホニル等であり、より好ましくは、水素原子、塩素原子、スルホ、ニトロ、メトキシ、メチルスルホニルであり、さらに好ましくは、水素原子、スルホ、メトキシ、3−スルホプロポキシである。R11からR14のうち、少なくとも1つは水素原子が好ましく、少なくとも1つは水素原子以外の置換基が好ましい。
式(6)における好ましいR11からR14の組み合わせは、2つがスルホで他方2つが水素原子、又は3つがスルホで他方1つが水素原子であり、より好ましくは後者の組み合わせである。3つがスルホで他方1つが水素原子である場合は、スルホの置換位置がナフトチアゾール環の4位と6位と8位の場合がより好ましい。
上記式(1)及び(3)の置換基について記載した好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた化合物はさらに好ましい。さらに好ましいもの同士等についても同様である。
同様に、上記式(2)、(4)、(5)、及び(6)の置換基について記載した好ましいもの同士を組み合わせた化合物はより好ましく、より好ましいもの同士を組み合わせた化合物はさらに好ましい。さらに好ましいもの同士等についても同様である。
なお、上記の通り、式(8)乃至(9)中、n、基A、RからR10が置換している環は、破線で表される環を含めて上記式(2)におけるのと同じ意味を有する。また、好ましいもの、好ましいもの同士の組み合わせ等においても同じでよい。
色素(I)及び(II)の塩は、無機又は有機の陽イオンの塩である。そのうち無機塩の具体例としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、及びアンモニウム塩が挙げられ、好ましい無機塩は、リチウム、ナトリウム、カリウムの塩、及びアンモニウム塩である。また、有機の陽イオンの塩としては、例えば下記式(10)で表される4級アンモニウムイオンが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、遊離酸、その互変異性体、及びそれらの各種の塩の混合物であってもよい。例えば、ナトリウム塩とアンモニウム塩との混合物、遊離酸とナトリウム塩との混合物、リチウム塩、ナトリウム塩、及びアンモニウム塩の混合物など、いずれの組み合わせを用いてもよい。塩の種類によって溶解性等の物性値が異なる場合も有り、必要に応じて適宜塩の種類を選択したり、複数の塩等を含む場合にはその比率を変化させたりすることにより、目的に適う物性を有する混合物を得ることもできる。また、色素(I)と色素(II)とが同じ塩である必要は無く、それぞれが別の塩であっても構わない。
Figure 2009136577
式(10)においてZ、Z、Z、Zは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、ヒドロキシアルキル基、及びヒドロキシアルコキシアルキル基よりなる群から選択される基を表す。
式(10)におけるZ、Z、Z、Zのアルキル基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基が挙げられる。ヒドロキシアルコキシアルキル基の具体例としては、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基が挙げられ、これらのうちヒドロキシエトキシC1−C4アルキルが好ましい。特に好ましいものとしては、水素原子;メチル、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、3−ヒドロキシプロピル、2−ヒドロキシプロピル、4−ヒドロキシブチル、3−ヒドロキシブチル、2−ヒドロキシブチル等のヒドロキシC1−C4アルキル基、ヒドロキシエトキシメチル、2−ヒドロキシエトキシエチル、3−ヒドロキシエトキシプロピル、2−ヒドロキシエトキシプロピル、4−ヒドロキシエトキシブチル、3−ヒドロキシエトキシブチル、2−ヒドロキシエトキシブチル等のヒドロキシエトキシC1−C4アルキル基が挙げられる。
式(10)として好ましい化合物のZ、Z、Z、及びZの組み合わせの具体例を下記表1に示す。
Figure 2009136577
上記式(1)で表される色素(I)の合成方法は、特許文献2に記載されている。
上記式(2)で表されるトリスアゾ化合物は、例えば次のような方法で合成することができる。なお、各工程における化合物の酸性官能基は便宜上、遊離酸の形で表すものとする。また、下記式(11)乃至(16)において、基A、RからR10、及びRからR10が置換しているそれぞれの環は、破線で表される環を含めて上記式(2)におけるのと同じ意味を有する。
下記式(11)で表される化合物を常法によりジアゾ化し、これと下記式(12)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(13)で表される化合物を得る。なお、式(11)で表される化合物は、東独国特許第223149号明細書に記載の方法に準じて合成することができる。また、式(12)及び(14)で表される化合物は、常法により合成することができる。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
Figure 2009136577
得られた式(13)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(14)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させ、下記式(15)で表される化合物を得る。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
得られた式(15)で表される化合物を常法によりジアゾ化した後、これと下記式(16)で表される化合物とを常法によりカップリング反応させることにより、上記式(2)で表されるトリスアゾ化合物を得ることができる。
Figure 2009136577
なお、上記式(16)で表される化合物は、西独国特許第2004488号明細書に記載の方法に準じて合成することができる。
上記式(2)で表される化合物の好適な具体例として、特に限定されるものではないが、下記表2から13に挙げた構造式で表される化合物等が挙げられる。
各表においてスルホ基、カルボキシ基等の官能基は、便宜上、遊離酸の形で記載する。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
Figure 2009136577
Figure 2009136577
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Figure 2009136577
Figure 2009136577
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上記式(11)で表される化合物のジアゾ化は、それ自体公知の方法で実施される。例えば、硫酸、酢酸、又は燐酸中、例えば−5〜20℃、好ましくは5〜10℃の温度でニトロシル硫酸を使用して実施される。式(11)で表される化合物のジアゾ化物と式(12)で表される化合物とのカップリングも、それ自体公知の条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体(水と水溶性有機溶剤との混合物等)中、例えば−5〜30℃、好ましくは10〜30℃の温度で実施される。式(11)で表される化合物と式(12)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(13)で表される化合物のジアゾ化も、それ自体公知の方法で実施される。例えば、塩酸、硫酸のような無機酸の存在下、水又は水性有機媒体中、例えば−5〜40℃、好ましくは5〜30℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(13)で表される化合物のジアゾ化物と式(14)で表される化合物とのカップリングも、それ自体公知の条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜30℃の温度、且つ弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH6〜10で実施される。ジアゾ化反応液が酸性であり、またカップリング反応の進行により反応系内がさらに酸性化してしまうため、上記のpH値への調整を塩基の添加によって行うのが好ましい。塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩、酢酸ナトリウム等の酢酸塩、アンモニア、有機アミン等が使用できる。式(13)で表される化合物と式(14)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(15)で表される化合物のジアゾ化も、それ自体公知の方法で実施される。例えば、塩酸、硫酸のような無機酸存在下、水又は水性有機媒体(水と水溶性有機溶剤との混合物等)中、例えば−5〜40℃、好ましくは10〜30℃の温度で亜硝酸塩、例えば亜硝酸ナトリウムのごとき亜硝酸アルカリ金属塩を使用して実施される。式(15)で表される化合物のジアゾ化物と式(16)で表される化合物とのカップリングも、それ自体公知の条件で実施される。例えば、水又は水性有機媒体中、例えば−5〜50℃、好ましくは10〜30℃の温度、且つ弱酸性からアルカリ性のpH値で行うことが有利である。好ましくは弱酸性から弱アルカリ性のpH値、例えばpH6〜10で実施され、pH値の調整は塩基の添加によって実施される。塩基としては、上記と同じものが使用できる。式(15)で表される化合物と式(16)で表される化合物とは、ほぼ化学量論量で用いる。
式(1)及び(2)で表される色素を所望の塩とするには、カップリング反応後、所望の無機塩又は有機の陽イオンの塩を反応液に添加することにより塩析するか、あるいは塩酸等の鉱酸の添加により遊離酸の形で単離し、これを水、酸性の水又は水性有機媒体等を必要に応じ用いて洗浄することにより無機塩を除去後、水性の媒体中で所望の無機又は有機の塩基により中和することで、対応する塩の溶液とすることができる。ここで酸性の水とは、例えば硫酸、塩酸等の鉱酸や酢酸等の有機酸を水に溶解し、酸性にしたものをいう。また、水性有機媒体とは、水を含有する水と混和可能な有機物質、水と混和可能ないわゆる有機溶剤等をいい、具体例としては後述する水溶性有機溶剤等が挙げられる。無機塩の例としては、塩化リチウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩、塩化アンモニウム、臭化アンモニウム等のアンモニウム塩が挙げられ、有機の陽イオンの塩の例としては、上記した式(10)で表される有機アミンのハロゲン塩等が挙げられる。無機の塩基の例としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、水酸化アンモニウム、あるいは炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩等が挙げられ、有機の塩基の例としては、有機アミン、例えばジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の上記した式(10)で表される4級アンモニウム類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明のインク組成物について説明する。色素(I)及び(II)をいずれも含む本発明のインク組成物は、セルロースからなる材料を染色することが可能である。また、その他のカルボンアミド結合を有する材料にも染色が可能で、皮革、織物、紙の染色に幅広く用いることができる。
色素(I)及び(II)を含むそれぞれの反応液は、本発明のインク組成物の製造に直接使用することができる。すなわち、それぞれ別途に合成した該色素を含む2種類の反応液を混合することによっても本発明のインク組成物を製造することが可能である。しかし、まず各色素を含む反応液を個別に乾燥、例えばスプレー乾燥させて各色素を単離するか;塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、硫酸ナトリウム等の無機塩類を添加することによって塩析するか;塩酸、硫酸、硝酸等の鉱酸を添加することによって酸析するか;あるいは上記した塩析と酸析とを組み合わせた酸塩析すること;等によって各色素を単離し、これを混合してインク組成物を調製することもできる。
本発明のインク組成物は、色素(I)及び(II)の2種類の色素のいずれをも含む。各色素(I)及び(II)は、上記した特定の条件を満たす範囲でそれぞれ単独の色素でもよいし、それぞれが複数の色素の混合物であってもよい。したがって、本発明のインク組成物は、少なくとも2種類以上の色素が配合されたものである。色素としてインク組成物中に含有する上記の色素(I)及び(II)の総質量は、インク組成物の総質量に対して、通常0.1〜20質量%、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%の比率であり、それ以外のインク組成物中の残部は水を主要な媒体とする。
本発明のインク組成物には、さらに水溶性有機溶剤を例えば0〜30質量%、インク調製剤を例えば0〜10質量%含有していてもよく、水溶性有機溶剤は含有するのが好ましい。また、所望により調色等の目的でさらに他の色素を上記の範囲で含んでもよい。なお、インク組成物のpHとしては、保存安定性を向上させる点で、pH5〜11が好ましく、pH7〜10がより好ましい。また、インク組成物の表面張力としては、25〜70mN/mが好ましく、25〜60mN/mがより好ましい。さらに、インク組成物の粘度としては、30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下がより好ましい。本発明のインク組成物のpH、表面張力は後記するようなpH調整剤、界面活性剤で適宜調整することが可能である。
色素としてインク組成物中に含有する色素(I)及び(II)の総質量中における各色素の比率は、色素(I)が10〜30質量%、色素(II)が70〜90質量%の範囲に入ることが好ましいが、色素(I)については15〜25質量%がより好ましく、色素(II)については75〜85質量%がより好ましい。調色等を目的として、本発明のインク組成物には上記式(1)で表される色素(I)及び式(2)で表される色素(II)以外の他の色素を、本発明の効果を阻害しない範囲でさらに加えてもよい。他の色素を加え得る量の範囲は、該色素を加える目的等により異なるため、一概に決めることは困難である。しかし、おおよその目安として、インク組成物中に含有する色素の総質量において、色素(I)及び(II)の合計が70〜99質量%、これら以外の色素が合計で1〜30質量%程度がよい。なお、上記の通り、色素(I)及び(II)以外の他の色素は、本発明のインク組成物には加えなくてもよい。
本発明のインク組成物は、上記色素(I)及び(II)を、必要に応じて他の調色用等の色素と共に、水又は水溶性有機溶剤(水と混和可能な有機溶剤)に溶解し、必要に応じインク調製剤を添加したものである。インク組成物の黒色を、色味のないニュートラルな色相に調整する目的等により、本発明のインク組成物に、他の調色用の色素等を適宜加えてもよい。このインク組成物をインクジェットプリンタ用のインクとして使用する場合、色素(I)及び(II)は、金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機不純物の含有量が少ないものを用いるのが好ましい。その無機不純物含有量の目安は、おおよそ色素の総質量に対して1質量%以下程度である。無機不純物の少ない色素を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法、又は色素の乾燥品あるいはウェットケーキをメタノール等のアルコール及び水の混合溶媒中で撹拌し、析出物を濾過分離して、乾燥する等の方法で脱塩処理すればよい。
上記インク組成物の調製において、水溶性有機溶剤は、インクの粘度を調整するため、インクの乾燥性を調整するため、印刷後の記録媒体や記録媒体表面のインク受容層への浸透性を調整するため等の目的で使用される。用い得る水溶性有機溶剤の具体例としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール等のC1−C4アルカノール;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のカルボン酸アミド;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジン−2−オン等のラクタム;1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−オン、1,3−ジメチルヘキサヒドロピリミド−2−オン等の環式尿素類;アセトン、メチルエチルケトン、2−メチル−2−ヒドロキシペンタン−4−オン等のケトン又はケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル;エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール等のC2−C6アルキレン単位を有するモノ、オリゴ、若しくはポリ−アルキレングリコール又はチオグリコール;トリメチロールプロパン、グリセリン、ヘキサン−1,2,6−トリオール等のポリオール(トリオール);エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルカルビトール)トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールのC1−C4アルキルエーテル;γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
なお、上記の水溶性有機溶剤にはトリメチロールプロパン等のように、常温で固体の物質も含まれているが、これらは固体であっても水溶性を示し、水に溶解させた場合には水溶性有機溶剤と同じ目的で使用することができるため、便宜上、本明細書においては水溶性有機溶剤の範疇に記載するものとする。
上記インク組成物の調製において適宜用いられるインク調製剤は、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、色素溶解剤、酸化防止剤、界面活性剤等が挙げられる。以下にこれらの薬剤について説明する。
防黴剤の具体例としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク組成物中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
防腐剤の具体例としては、例えば、有機硫黄系、有機窒素硫黄系、有機ハロゲン系、ハロアリルスルホン系、ヨードプロパギル系、N−ハロアルキルチオ系、ニトリル系、ピリジン系、8−オキシキノリン系、ベンゾチアゾール系、イソチアゾリン系、ジチオール系、ピリジンオキシド系、ニトロプロパン系、有機スズ系、フェノール系、第4アンモニウム塩系、トリアジン系、チアジン系、アニリド系、アダマンタン系、ジチオカーバメイト系、ブロム化インダノン系、ベンジルブロムアセテート系、無機塩系等の化合物が挙げられる。有機ハロゲン系化合物の具体例としては、例えばペンタクロロフェノールナトリウムが挙げられ、ピリジンオキシド系化合物の具体例としては、例えば2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウムが挙げられ、イソチアゾリン系化合物の具体例としては、例えば、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンマグネシウムクロライド、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オンカルシウムクロライド等が挙げられる。その他の防腐防黴剤の具体例として、無水酢酸ソーダ、ソルビン酸ソーダ、安息香酸ナトリウム等が挙げられる。
pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずに、インクのpHを例えば5〜11の範囲に制御できるものであれば任意の物質を使用することができる。その具体例としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン等のアルカノールアミン;水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;水酸化アンモニウム(アンモニア水);炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;酢酸カリウム等の有機酸のアルカリ金属塩;ケイ酸ナトリウム、リン酸二ナトリウム等の無機塩基等が挙げられる。
キレート試薬の具体例としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラシル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
防錆剤の具体例としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオグルコール酸アンモニウム、ジイソプロピルアンモニウムナイトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトライト等が挙げられる。
水溶性紫外線吸収剤の具体例としては、例えば、スルホ化したベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾ−ル系化合物、サリチル酸系化合物、桂皮酸系化合物、又はトリアジン系化合物が挙げられる。
水溶性高分子化合物の具体例としては、ポリビニルアルコール、セルロース誘導体、ポリアミン、ポリイミン等が挙げられる。
色素溶解剤の具体例としては、例えば、ε−カプロラクタム、エチレンカーボネート、尿素等が挙げられる。
酸化防止剤の具体例としては、例えば、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。上記有機系の褪色防止剤の例としては、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、複素環類等が挙げられる。
界面活性剤の具体例としては、例えば、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の公知の界面活性剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤の具体例としては、アルキルスルホン酸塩、アルキルカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、アルキル硫酸塩ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリールスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキルシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤の具体例としては、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
ノニオン界面活性剤の具体例としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のエーテル系;ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール(アルコール)系;その他の具体例として例えば、日信化学社製、商品名サーフィノール104、105、82、465、オルフィンSTG等が挙げられる。
これらのインク調製剤は、単独又は混合して用いられる。
本発明のインク組成物は、上記各成分を任意の順序で混合、撹拌することによって得られる。得られたインク組成物は、所望により、狭雑物を除くためにメンブランフィルタ等で濾過を行ってもよい。また、インク組成物としての黒の色相を調整するため、上記の色素(I)及び(II)以外に、種々の色相を有する他の色素を混合してもよい。その場合は、他の色相を有する黒色や、イエロー、オレンジ、ブラウン、スカーレット、レッド、マゼンタ、バイオレット、ブルー、ネイビー、シアン、グリーン、その他の色の色素を混合して用いることができる。
本発明のインク組成物は、各種分野において使用することができるが、筆記用水性インク、水性印刷インク、情報記録インク等に好適であり、インクジェット用インクとして用いることが特に好ましく、後述する本発明のインクジェット記録方法において好適に使用される。
次に、本発明のインクジェット記録方法について説明する。本発明のインクジェット記録方法は、上記本発明のインク組成物を用いて記録を行うことを特徴とする。本発明のインクジェット記録方法においては、上記インク組成物を含有してなるインクジェット用インクを用いて受像材料(被記録材)に記録を行うが、その際に使用するインクノズル等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
公知の方法、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式;ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式);電気信号を音響ビームに変えインクに照射し、その放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式;インクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット、すなわちバブルジェット(登録商標)方式;等を採用することができる。
なお、上記インクジェット記録方法には、フォトインクと称する、インク中の色素濃度(色素含有量)の低いインクを、小さい体積で多数射出する方式;実質的に同じ色相でインク中の色素濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式;無色透明のインクを用いる方式;等も含まれる。
本発明の着色体は、少なくとも色素(I)及び(II)を含有するインク組成物により着色されたものであり、より好ましくはインクジェットプリンタを用いるインクジェット記録方法により、本発明のインク組成物によって着色されたものである。
着色され得るものとして特に制限はないが、例えば紙、フィルム等の情報伝達用シート、繊維や布(セルロース、ナイロン、羊毛等)、皮革、カラーフィルター用基材等が挙げられる。
このうち情報伝達用シートとしては、表面処理されたもの、具体的には紙、合成紙、フィルム等の基材にインク受容層を設けたものが好ましい。インク受容層は、例えば上記基材にカチオン系ポリマーを含浸あるいは塗工すること;多孔質シリカ、アルミナゾルや特殊セラミックス等のインク中の色素を吸収し得る多孔性白色無機物を、ポリビニルアルコールやポリビニルピロリドン等の親水性ポリマーと共に上記基材表面に塗工すること;等により設けられる。このようなインク受容層を設けた情報伝達用シートは、通常インクジェット専用紙(フィルム)、光沢紙(フィルム)等と呼ばれる。
上記の情報伝達用シートのうち、特に多孔性白色無機物を表面に塗工したシートに記録した画像は、オゾンガスによって変退色が大きくなることが知られている。しかし、本発明のインク組成物は耐オゾンガス性が優れているため、このような被記録材へインクジェット記録した際に、特に大きな効果を発揮する。
その様な多孔性白色無機物を表面に塗工したシートの具体例としては、キヤノン株式会社製、商品名 プロフェッショナルフォトペーパー、スーパーフォトペーパー、又はマットフォトペーパー;セイコーエプソン株式会社製、商品名 写真用紙(光沢)、PMマット紙、クリスピア;日本ヒューレット・パッカード株式会社製、商品名 アドバンスフォトペーパー;富士フィルム株式会社製、画彩写真仕上げPro;等として市販品が入手可能である。
本発明のインクジェット記録方法で普通紙や上記の情報伝達用シート等の被記録材に記録するには、例えば上記のインク組成物を含有する容器をインクジェットプリンタの所定の位置に装填し、通常の方法で被記録材に記録すればよい。
本発明のインクジェット記録方法は、本発明の黒色のインク組成物と、例えば公知のマゼンタ、シアン、イエロー、及び必要に応じて、グリーン、ブルー(又はバイオレット)、レッド(又はオレンジ)等の各色のインク組成物とのインクセットとして併用することもできる。
各色のインク組成物は、それぞれの容器に注入され、その各容器を本発明の黒色のインク組成物を含有する容器と同様にインクジェットプリンタの所定の位置に装填してインクジェット記録に使用される。
本発明のインク組成物は長期間保存しても結晶の析出、物性の変化、色相の変化等を生じないため、貯蔵安定性が良好である。
また、本発明のインク組成物は、インクジェット記録用、筆記具用として用いることが可能である。
さらに、情報記録用シート、特にインクジェット専用紙に記録した場合、その記録画像の印字濃度が高く、加えて記録画像の各種耐久性、すなわち、耐水性、耐光性、耐酸化性ガス性、耐湿性等、特に耐オゾンガス性及び耐光性が優れている。
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本文中「部」及び「%」とあるのは、特別の記載のない限り質量基準である。
また、下記の各式において、スルホ、カルボキシ等の官能基は便宜上、遊離酸の形で表記する。
また、以下に記載するpH値及び反応温度は、いずれも反応系内における測定値を示す。
また、合成した色素の最大吸収波長(λmax)はpH7〜8の水溶液中で300nmから800nmの範囲で測定し、測定した色素については実施例中に測定値を記載した。
また、無機不純物である塩化ナトリウム及び硫酸ナトリウムは、それぞれイオンクロマト法を用いて塩化物イオン及び硫酸イオンの含有量を測定し、それぞれのイオンのカウンターカチオンが全てナトリウムイオンであると換算して計算した。
なお、実施例にて合成した各々の色素は、いずれも水に対して100g/L以上の溶解度を示した。
[合成例1]
(工程1)
4−クロロ−3−ニトロトルエン17.1部、3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム22.0部、及びジメチルスルホキシド60部の混合物を撹拌しながら60℃に加熱し、ここに炭酸ナトリウム11.2部を添加した。添加後120〜130℃に加熱し、同温度で6時間撹拌した。反応液を室温まで冷却した後、2−プロパノール330部中に添加した。析出した固体を濾過分取し、得られた固体を2−プロパノール100部で洗浄した。得られた固体を水300部に添加後、35%塩酸にてpH値を7.0〜7.5とし、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出物を濾過分取して下記式(17)で表される化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 2009136577
(工程2)
水120部に鉄粉16.6部、及び35%塩酸3.1部を加えて90℃に加熱した。40分後、この溶液に上記(工程1)にて得られたウェットケーキを水60部に懸濁させたものを約15分かけて滴下した。滴下後、反応液を85〜90℃で2時間撹拌し、室温まで冷却した。不溶物を濾別した後、濾液に35%塩酸を添加し酸析することにより析出する固体を濾過分取し、乾燥して、下記式(18)で表される化合物16.7部を得た。
Figure 2009136577
(工程3)
メタノール260部にチオシアン酸カリウム29.2部を溶解し、次いで硫酸26部、2−ナフタレン−5,7−ジスルホン酸30.4部を加えた。得られた溶液に35%過酸化水素水34部を滴下し、55〜60℃で1時間撹拌した。20℃まで冷却した後に28%アンモニア水70部加え、析出する固体を濾過分取することにより、下記式(19)で表される化合物28.8部を得た。
Figure 2009136577
(工程4)
上記式(19)で表される化合物18部を30%発煙硫酸180部中に20〜25℃でゆっくり添加した後、160℃に昇温し、同温度で1時間撹拌した。反応液を158部の氷水中に約15分間で滴下し、下記式(20)で表される化合物を含む溶液を得た。この溶液に60%硝酸6.3部を加え、5〜10℃で40%ニトロシル硫酸25部を約10分間で滴下し、1時間反応することによりジアゾ反応液を得た。
水200部に上記式(18)で表される化合物13.1部、スルファミン酸7.0部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH5.0〜5.5とすることにより水溶液を得た。
得られた水溶液に上記のジアゾ反応液を反応温度20〜30℃、約20分間で滴下した。
滴下終了後、同温度で1時間撹拌し、アセトン800部を加えた後、析出固体を濾過分取することにより、下記式(21)で表される化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
(工程5)
水110部に上記(工程4)で得られたウェットケーキ、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH7.0〜7.5とすることにより水溶液を得た。得られた水溶液に35%塩酸4.6部、次いで反応温度15〜20℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液4.6部を約5分間で滴下し、1時間反応することにより、ジアゾ反応液を得た。
一方、水35部に下記式(22)で表される化合物5.4部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH5.0〜5.5とすることにより水溶液を得た。この水溶液に、上記のようにして得られたジアゾ反応液を、反応温度20〜30℃、20分間で滴下した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を5.0〜5.4に保持した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出した固体を濾過分取することにより、下記式(23)で表される化合物を含むウェットケーキを得た。
なお、下記式(22)で表される化合物は、特開2004−083492号公報に記載の方法で得た。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
(工程6)
上記(工程5)で得られた式(23)で表される化合物を含むウェットケーキを水150部に溶解し、35%塩酸5.0部、次いで反応温度20〜25℃で40%亜硝酸ナトリウム水溶液1.8部を約5分間で滴下し、1時間反応することにより、ジアゾ反応液を得た。
一方、水55部に国際公開第2007/077931号パンフレット記載の方法で得られた式(24)の化合物2.4部、次いで水酸化ナトリウムを加えてpH7.5〜8.0とすることにより水溶液を得た。この水溶液に、上記のようにして得られたジアゾ反応液を、反応温度20〜30℃、30分間で滴下した。この間、反応系内に炭酸ナトリウムを加えてpH値を7.0〜8.0に保持した。
滴下終了後、同温度で2時間撹拌し、塩化ナトリウムを添加して塩析し、析出した固体を濾過分取することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを水160部に溶解し、アセトン350部を添加した後、析出した固体を濾過分取することによりウェットケーキを得た。得られたウェットケーキを再度、水110部に溶解し、アセトン280部を添加した後、析出した固体を濾過分取し、乾燥することにより下記式(25)で表される化合物(表2におけるNo.1の化合物)7.2部をナトリウム塩として得た。この化合物は本発明のインク組成物に用いられる色素(II)に該当する。
λmax:585nm。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
[合成例2]
(工程1)
2,5−ジクロロニトロベンゼン19.2部、3−メルカプトプロパンスルホン酸ナトリウム22.0部、及びジメチルスルホキシド60部を加え、撹拌下、60℃に加熱し、ここに炭酸ナトリウム11.2部を添加した。添加後120〜130℃に加熱し、同温度で6時間撹拌した。室温まで冷却し、反応液を2−プロパノール330部中に撹拌しながら添加した。析出した固体を濾過分取し、2−プロパノール100部で洗浄した。得られた固体を水300部に添加後、35%塩酸にてpH値を7.0〜7.5とし、塩化ナトリウムの添加により塩析し、析出物を濾過分取して下記式(26)で表される化合物を含むウェットケーキを得た。次いで、式(26)で表される化合物を含むウェットケーキに水170部、活性炭1.8部、無水塩化第二鉄0.4部を加え、撹拌下、80%ヒドラジン一水和物15部を70℃〜80℃で約30分かけて滴下した。滴下後、85〜95℃で3時間撹拌し、室温まで冷却した。不溶物を濾別した後、50%硫酸を添加して酸析することにより得られた析出物を濾過分取し、下記式(27)で表される化合物を含むウェットケーキを得た。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
(工程2)
合成例1の(工程4)における式(18)で表される化合物13.1部を使用する代わりに合成例2の(工程1)で得られた式(27)で表される化合物を含むウェットケーキを使用する以外は実施例1と同様にして、下記式(28)で表される化合物(表7におけるNo.26の化合物)3.4部をナトリウム塩として得た。この化合物は本発明のインク組成物に用いられる色素(II)に該当する。
λmax:595nm。
Figure 2009136577
[合成例3]
特許文献2の実施例1に記載の方法で、本発明のインク組成物に用いられる色素(I)として、上記式(7)で表される色素を130部得た。
[(A)インクの調製]
[実施例1]
下記表14に記載の各成分を混合することにより本発明のインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルタで濾過することによりインクジェット用のインクを得た。このインクの調製を実施例1とする。また、水はイオン交換水を使用した。なお、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように1.0%水酸化ナトリウムで調整し、総量100.0部となるように水を加えた。得られたインクは、貯蔵中に、また長期間保存後においても沈殿分離が生ぜず物性の変化は生じなかった。
Figure 2009136577
[実施例2]
下記表15に記載の各成分を混合することにより本発明のインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルタで濾過することによりインクジェット用のインクを得た。このインクの調製を実施例2とする。また、水はイオン交換水を使用した。なお、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように1.0%水酸化ナトリウムで調整し、総量100.0部となるように水を加えた。得られたインクは、貯蔵中に、また長期間保存後においても沈殿分離が生ぜず物性の変化は生じなかった。
Figure 2009136577
[比較例1乃至3]
比較対象のインクとして、色素(I)及び(II)をそれぞれ単独で使用し、下記表16、17、18に記載の各成分を混合することによりインク組成物を調製し、0.45μmのメンブランフィルタで濾過することによりインクジェット用の比較用インクを得た。実施例1と同様に水はイオン交換水を使用した。なお、インク組成物のpHがpH=8〜10になるように1.0%水酸化ナトリウム水溶液で調整し、総量100部となるように水を加えた。色素として合成例1で得られた色素(II)のみを用いたインクの調製を比較例1、合成例2で得られた色素(II)のみを用いたインク調製を比較例2、合成例3で得られた色素(I)のみを用いたインクの調製を比較例3とする。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
Figure 2009136577
[比較例4]
比較例4として、特許文献1の実施例3−2に開示されたインクを調製した。このインクは、3種類の色素成分の配合比率が異なる以外は、各実施例と同様の組成を有する。また、水にはイオン交換水、インク組成物のpHは8〜10になるように水酸化ナトリウムで調整し、0.45μmのメンブランフィルタで濾過を行った。このインクの調製を比較例4とする。なお、比較例4は、色素(II)とは異なる2種類の色素と、合成例3で得られた色素(I)とを含有する3種類の色素を配合した黒色のインクであり、特許文献1の合成例4で得られた化合物は、本発明における合成例3の化合物と同一である。
比較例4のインクの組成を下記表19に示す。表19中、「特許文献1の実施例2−6で得られた色素」及び「特許文献1の合成例1で得られた色素」の構造式は、それぞれ下記式(29)及び(30)で表される。
Figure 2009136577
Figure 2009136577
Figure 2009136577
[(B)インクジェット記録]
上記で得られたインクを使用し、Canon社製インクジェットプリンタ、商品名PIXUS iP4100により、情報伝達シートであるキヤノン社製、商品名 プロフェッショナルフォトペーパーPR−101(インクジェット専用紙)にインクジェット記録を行った。
印刷の際は、反射濃度が数段階の階調で得られるように画像パターンを作り、濃黒色から淡いグレーの印刷物を得た。
[(C)記録画像の評価]
実施例1から2、及び比較例1から4のインクを用いて得られた各プリント画像は、耐光性及び耐オゾンガス性のそれぞれについて、試験前後の画像のブラックの色差ΔEに関して評価を行った。また、耐湿性試験については、最小単位が1.5mmの正方形からなるチェック柄で印刷を行い、印刷部から未印刷部への色素の滲み出しの有無を観察した。
耐光性及び耐オゾンガス性については、プリント画像の濃度変化は、GRETAG−MACBETH社製の測色機、商品名 SpectroEye を用いて行い、試験前のプリント画像の反射濃度Dk値が1.3から1.6の範囲にある階調部分を測色することにより測定した。なお、反射濃度Dk値の算出の際は、濃度基準はDIN、視野角は2度とした。
試験結果を表20に示した。
具体的な試験方法は下記の通りである。
1)耐オゾンガス性試験
スガ試験機社製、商品名 オゾンウェザオメーターを用いて、オゾン濃度10ppm、湿度60%RH、温度24℃の条件下で各プリント画像を24時間放置した。オゾン暴露前及び暴露後のそれぞれの各プリント画像について、CIEのL*、a*、b*を測定し、下記式を用いて色差ΔEを算出した。L*、a*、b*の測定の際には、光源はD65を用い、視野角は2度とした。なお、下記計算式中、ΔL*、Δa*及びΔb*は、それぞれ暴露前後のL*、Δa*及びΔb*の差を意味する。
ΔE=(ΔL*+Δa*+Δb*1/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を下記表20に示す。
○:ΔEが10未満
△:ΔEが10以上20未満
×:ΔEが20以上
2)耐光性試験
スガ試験機(株)社製、商品名 低温キセノンウェザオメーターXL75を用い、10万Lux照度、湿度60%RH、温度24℃の条件で上記の各プリント画像に対して168時間照射を行った。キセノン光の暴露前及び暴露後のそれぞれの各プリント画像について、CIEのL*、a*、b*を測定し、下記式を用いて色差ΔEを算出した。L*、a*、b*の測定の際には、光源はD65を用い、視野角は2度とした。なお、下記計算式中、ΔL*、Δa*及びΔb*は、それぞれ暴露前後のL*、Δa*及びΔb*の差を意味する。
ΔE=(ΔL*+Δa*+Δb*1/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を下記表20に示す。
○:ΔEが10未満
△:ΔEが10以上20未満
×:ΔEが20以上
3)耐湿性試験
ヤマト科学(株)社製、恒温恒湿器 商品名 Humidic chamber IG400を用い、温度24℃、相対湿度80%RHで上記の各プリント画像に対して7日間の保存を行った。試験後、印刷物の滲みを目視で判断し、全く滲みが無いものは○、少しでも滲みのあるものは×として評価した。評価結果を下記表20に示す。
Figure 2009136577
4)色相評価
印刷物の色の評価として高濃度部分と低濃度部分との両方で彩度C*を測定した。なお、この評価に用いた印刷物は、上記した通り、反射濃度が数段階の階調で得られるように印刷した画像パターンを用い、明度L*の範囲により、高濃度部分と低濃度部分とを区別した。すなわち高濃度部分は、明度L*の範囲が4.0〜10.0であり、低濃度部分は、明度L*の範囲を50.0〜60.0である画像パターンの部分をそれぞれ示す。無彩色な黒色としてC*は0に近いほど良好であることから以下の判定基準で黒色の色相を評価した。なお、彩度C*値は、CIEのa*、b*を測定し、下記式を用いて算出した。a*、b*の測定の際には、光源はD65を用い、視野角は2度とした。
なお、比較例3のインクはブラウン色であり、明らかに黒色ではなかったため、この評価は行っていない。
C*=(a*+b*1/2
試験結果は、以下の基準で評価を行った。評価結果を下記表21に示す。
○ C*が15未満
△ C*が15以上20未満
× C*が20以上
Figure 2009136577
表20の結果より明らかなように、比較例4は耐オゾンガス性において、全ての実施例及び比較例中で最も劣ることが分かる。また、比較例1及び3は、それぞれ耐オゾンガス性又は耐光性が、各実施例より劣るものであった。さらに、比較例2は、耐オゾンガス性、耐光性、耐湿性においては、各実施例と同等の良好な堅牢性を有することが分かった。一方、表21の結果から明らかなように、比較的良好な堅牢性を示した比較例1及び2は、色相においては彩度が各実施例より極めて高く、この点で各実施例より劣る結果を示した。
本願発明の各実施例のインクは、高濃度部分及び低濃度部分の両方で彩度C*が低く、良好な黒色の色相であった。さらに画像堅牢性においては、耐オゾンガス性、耐光性、及び耐湿性のいずれにおいても極めて良好な結果を示した。
なお、比較例2は上記の通り、目視で明らかなブラウン色を呈したため、色相評価は行っていないが、堅牢性については試験を行った。しかしながら、耐光性試験後の色差ΔEが10以上20未満と評価は「△」であり、各実施例よりも劣るものであった。
以上の結果より、色素(I)と色素(II)とを両方とも含む各実施例のインクの色相は良好であり、所望の黒色の色相を得るには色素(II)のみからなる比較例1及び比較例2のインクよりもよりも明らかに優れていることが分かった。
また、色素(I)に、色素(II)以外の色素を配合した比較例4では所望の黒色の色相は得られるが、画像堅牢性においては各実施例のインクのほうが優れていることが分かった。
以上の結果から、本発明のインクにより得られたプリント画像の堅牢度は、特にインクジェット記録画像に要求される各種の堅牢性、特に耐オゾンガス性、耐光性、及び耐湿性に極めて優れ、高濃度でも低濃度でも変わらずに良好な黒色の色相を呈することが分かる。
本発明のインク組成物はインクジェット記録用、筆記用具用ブラックインク液として好適に用いられる。

Claims (18)

  1. 下記式(1)で表される色素(I)又はその塩と、下記式(2)で表される色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩とを含有するインク組成物。
    Figure 2009136577
    [式(1)中、
    は水素原子;ヒドロキシ基;カルボキシ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルキル基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルキルアミノ基;カルボキシC1−C5アルキルアミノ基;ビス(カルボキシC1−C5アルキル)アミノ基;ヒドロキシ基若しくはC1−C4アルコキシ基によって置換されていてもよいC1−C4アルカノイルアミノ基;カルボキシ基、スルホ基、若しくはアミノ基で置換されていてもよいフェニルアミノ基;スルホ基;ハロゲン原子;又はウレイド基;を表し、
    Xはカルボキシ基又はスルホ基を有する脂肪族アミノ基を表す。]
    Figure 2009136577
    [式(2)中、
    はカルボキシ基;非置換、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキル基;又は、非置換、若しくはスルホ基で置換されたフェニル基であり、
    はシアノ基;カルバモイル基;又はカルボキシ基であり、
    及びRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;スルホ基;非置換C1−C4アルキル基;又は非置換C1−C4アルコキシ基であり、
    からRが置換している環は、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環;破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環であり、
    からRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、若しくはヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;非置換、若しくはヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換、若しくはヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたN’−C1−C4アルキルウレイド基;非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルアミノ基;非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたベンゾイルアミノ基;又は、非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
    からR10が置換している環は、破線で表される環が存在しない場合にはベンゼン環;破線で表される環が存在する場合にはナフタレン環;であり、
    からR10はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;ヒドロキシ基;スルホ基;カルボキシ基;スルファモイル基;カルバモイル基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、若しくはヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、ヒドロキシC1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;ヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルチオ基;非置換、若しくはヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたモノ若しくはジC1−C4アルキルアミノ基;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換、若しくはヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたN’−C1−C4アルキルウレイド基;非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルアミノ基;非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたベンゾイルアミノ基;又は、非置換、若しくはベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニルアミノ基;を表し、
    基Aは非置換又は置換基を有する2−ナフトチアゾリル基であり、該2−ナフトチアゾリル基が置換基を有する場合には、塩素原子;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、又はヒドロキシ基、C1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;及び、非置換、又はベンゼン環が塩素原子、非置換C1−C4アルキル基、ニトロ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたフェニルスルホニル基;よりなる群から選択される置換基を有してもよい。]
  2. インク組成物中に含有する色素の全てが、式(1)で表される色素(I)又はその塩と、式(2)で表される色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩との両者である請求項1に記載のインク組成物。
  3. 前記色素(I)が下記式(3)で表される色素である請求項1又は2に記載のインク組成物。
    Figure 2009136577
    [式(3)中、Xは式(1)におけるのと同じ意味を有する。]
  4. Xがカルボキシ基又はスルホ基を有する、モノC1−C5アルキルアミノ基又はジC1−C5アルキルアミノ基である請求項1乃至3のいずれか一項に記載のインク組成物。
  5. Xがスルホエチルアミノ基である請求項1乃至4のいずれか一項に記載のインク組成物。
  6. 前記色素(II)が下記式(4)で表される色素である請求項1乃至5のいずれか一項に記載のインク組成物。
    Figure 2009136577
    [式(4)中、基A、RからR10は、式(2)におけるのと同じ意味を有する。]
  7. 前記色素(II)が下記式(5)で表される色素である請求項1乃至6のいずれか一項に記載のインク組成物。
    Figure 2009136577
    [式(5)中、
    基A、RからRは式(1)と同じ意味を有し、
    及びRはそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;非置換C1−C4アルキル基;又は、非置換、若しくはスルホ基若しくはヒドロキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;を表し、
    は水素原子を表し、
    及びR10はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;非置換、若しくはヒドロキシ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルカルボニルアミノ基;スルホC1−C4アルコキシ基;非置換C1−C4アルキル基;非置換、若しくはスルホ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;又は、スルホ基若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルチオ基;を表し、
    は水素原子を表す。]
  8. 基Aが下記式(6)で表される基である請求項1乃至7のいずれか一項に記載のインク組成物。
    Figure 2009136577
    [式(6)中、
    11からR14はそれぞれ独立に水素原子;塩素原子;スルホ基;ニトロ基;ヒドロキシ基;スルファモイル基;非置換、又はヒドロキシ基、非置換C1−C4アルコキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルコキシ基;及び、非置換、又はヒドロキシ基、スルホ基、若しくはカルボキシ基で置換されたC1−C4アルキルスルホニル基;よりなる群から選択される基を表す。]
  9. がメチル基、Rがシアノ基又はカルバモイル基、Rが水素原子、Rがスルホ基、Rがスルホプロポキシ基又はスルホブトキシ基、Rが水素原子、Rが水素原子、塩素原子、アセチルアミノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、スルホプロポキシ基、又はスルホブトキシ基、Rがスルホプロピルチオ基又はスルホブチルチオ基、Rが水素原子、R10が水素原子、塩素原子、アセチルアミノ基、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、又はスルホプロポキシ基、R11からR14のうち3つがスルホ基、1つが水素原子である請求項8に記載のインク組成物。
  10. インク組成物中に含有する色素(I)又はその塩、及び色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩の総質量中、色素(I)又はその塩の比率が10〜30質量%、色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩の比率が70〜90質量%である請求項1乃至9のいずれか一項に記載のインク組成物。
  11. インク組成物中に含有する色素(I)又はその塩、及び色素(II)若しくはその互変異性体、又はそれらの塩の総質量が、インク組成物の総質量に対して2〜8質量%である請求項1乃至10のいずれか一項に記載のインク組成物。
  12. インクジェット記録に用いられる請求項1乃至11のいずれか一項に記載のインク組成物。
  13. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載のインク組成物をインクとして用い、該インクのインク滴を記録信号に応じて吐出させて被記録材に記録を行うインクジェット記録方法。
  14. 前記被記録材が情報伝達用シートである請求項13に記載のインクジェット記録方法。
  15. 前記情報伝達用シートが多孔性白色無機物を含有するインク受容層を有するものである請求項14に記載のインクジェット記録方法。
  16. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載のインク組成物により着色された着色体。
  17. 着色がインクジェットプリンタによりなされた請求項16に記載の着色体。
  18. 請求項1乃至12のいずれか一項に記載のインク組成物を含有する容器が装填されたインクジェットプリンタ。
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